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1957-03-20 第26回国会 衆議院 文教委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十日(水曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 長谷川 保君    理事 赤城 宗徳君 理事 坂田 道太君    理事 竹尾  弌君 理事 米田 吉盛君    理事 河野  正君 理事 佐藤觀次郎君       簡牛 凡夫君    杉浦 武雄君       塚原 俊郎君    木下  哲君       小牧 次生君    櫻井 奎夫君       高津 正道君    野原  覺君       平田 ヒデ君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤誉三郎君         文部事務官         (社会教育局         長)      福田  繁君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君  委員外出席者         専  門  員 石井つとむ君     ――――――――――――― 三月十五日  委員清瀬一郎辞任につき、その補欠として小  島徹三君が議長指名委員に選任された。 三月十八日  委員小島徹三君、野原覺君及び山崎始男辞任  につき、その補欠として清瀬一郎君、小松幹君  及び鈴木義男君が議長指名委員に選任され  た。 同月十九日  委員清瀬一郎君、河野正君及び小松幹辞任に  つき、その補欠として小島徹三君、小山亮君及  び野原覺君が議長指名委員に選任された。 同 日  委員小山亮辞任につき、その補欠として河野  正君が議長指名委員に選任された。 同 日  河野正君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 三月十四日  学校教育法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇〇号)  市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇一号) 同月十五日  理科教育振興法の一部を改正する法律案内閣  提出第三〇号)(参議院送付) 同月十八日  大学における単一学部制度実施に関する請願(  受田新吉君紹介)(第二一九一号) の審査を本委員会に付託された。 三月十五日  学校給食専従職員身分法制定等に関する陳情  書  (第五〇五号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  就学困難な児童のための教科用図書給与に対  する国の補助に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出第九号)  学校給食法の一部を改正する法律案内閣提出  第二三号)  学校教育法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇〇号)  市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇一号)  学校教育及び社会教育に関する件     ―――――――――――――
  2. 長谷川保

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  学校教育法の一部を改正する法律案及び市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案一括議題とし、両案の提案理由説明を聴取いたします。灘尾文部大臣
  3. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 まず、今回政府から拠出いたしました学校教育法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  昭和二十二年、学校教育法が制定されまして、精神薄弱、身体不自由その他心身に故障のある子女のために養護学校制度が設けられることとなったのでありますが、御承知通り、その義務制は、いまだ実施されるに至っておりません。  もとより、政府といたしましては、義務制実施を目標として、従来努力いたしておるところでありますが、去る第二十四回国会において、盲学校ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律の一部が改正されまして、養護学校就学する児童生徒についてもこの法律による就学奨励のための措置が講ぜられることとなり、さらには、公立養護学校整備特別措置法が制定されまして、公立養護学校の建物の建築、教職員給与等に要する経費の負担について特別措置が講ぜられることとなったことなどによりまして、養護学校整備は一そう促進される機運となって参ったのであります。  一方、養護学校子女就学させる場合におきましては、これをその保護者の立場から考えますと、就学義務を履行しているものと同様の事情にありながら、就学義務の猶予または免除を受けて就学させておるのであります。この点から、養護学校における就学につきましては、小、中学校就学させる場合と同様の取扱いが強く要望されてきたのであります。  これらの事情を考慮いたしまして、政府は、今回、義務制実施までの暫定措置として、養護学校における就学就学義務の履行とみなすことにより、養護学校への就学を容易にすることとし、このための規定を学校教育法に設けることとした次第であります。  次に、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  現在、市町村立の小学校、中学校盲学校ろう学校等教職員につきましては、市町村立学校職員給与負担法により、その給料その他の給与都道府県負担いたしております。一方、市町村立養護学校教職員につきましては、去る第二十四回国会において成立いたしました公立養護学校整備特別措置法によりまして、昭和三十二年度から、給料その他の給与を同様に都道府県負担することとなりました。  しかるに、現行の市町村立学校職員給与負担法第一条及び第二条に規定する教職員につきましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律並びに地方自治法の一部を改正する法律案によりまして、その任免その他の進退を都道府県教育委員会が行うこととなり、また、退職年金等の基礎となる在職期間の通算に関する措置が講ぜられることとなったのであります。  従いまして、今後養護学校整備を一そう促進いたすためには、市町村立養護学校教職員身分取扱い等につきましては、市町村立盲学校ろう学校教職員と同様に措置することが適当と考えられるのであります。  この法律案は、以上の趣旨によりまして、市町村立養護学校教職員市町村立学校職員給与負担法第一条に規定する教職員とするとともに、関係法律整備を行なったものであります。  以上がこの両法律案提出いたしました理由及び内容概略でございます、何とぞ、十分御審議の上御賛成下さるようお願い申し上げます。
  4. 長谷川保

    長谷川委員長 両案に対する質疑は、後日これを行うことといたします。     —————————————
  5. 長谷川保

    長谷川委員長 次に、文教行政について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。佐藤觀次郎君。
  6. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 文部大臣にお尋ねしますが、九十九里浜米軍射撃場ができて、そのために不漁で、その付近の中学生、特に片貝豊海鳴浜中学校生徒が、長期欠席のためにたくさん落第者を出したという話でございますが、長期欠席とか、あるいは義務教育の問題について、一体文部省はどういう指導助言をされておるのか、この際この問題の真相をまずお話しいただきまして、それから質疑に入りたいと思いますから、文部大臣から御説明をお願いいたします。
  7. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 九十九里浜状況につきましては、政府委員から答弁いたさせます。
  8. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 ただいまお話し九十九里浜の三校の長欠生徒につきましては、先般新聞紙上にも出ておったのでございますが、私ども調査によりますと、三校中の豊海中学の三年中、長期欠席で卒業不能の者が十名ということでございまして、この点は多少新聞の報道とは違っているようであります。しかも、そのうちの四名は病欠でございまして、他の六名がよその地域で小僧とか女中とかに雇われているというような状況でございます。なお他の二校の片貝鳴浜には、該当者はございませんでした。  それから長期欠席についての私ども態度につきましてお尋ねがありましたが、文部省といたしましては長欠の原因の調査をいたしたわけであります。それによりますと、本人勉強ぎらいというのが一番大きな項目であります。それから本人病気相当ございます。病気勉強ぎらい、その次に、父兄側の方によりますと、一つは親の無理解、もう一つの大きな要素は経済的に困難である、この四つが大体長欠の大きな理由でございます。そこで文部省といたしましては、文部、厚生、労働三者の協議会を持ちまして、過失数年来いろいろと指導についてやって参ったわけでありまして、特に教育扶助の点につきましては厚生省関係労働基準法関係労働省、学校教育法就学義務督励等につきましては文部省教育委員会を通じて行う、この三者の協議会を作りまして、従来長欠対策として努力をして参ったわけでございます。
  9. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 軍事基地とかあるいは射撃場、そういうようなことのために、生活が不如意になったり、またそのほかに小中学校のそういうような犠牲はあるものか、ないものか、政府委員にお尋ねしたいと思います。
  10. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 今お話し基地の問題には、お話しのように、生活不如意の点があるわけでございます。特に基地の漁師町につきましては、親の無理解という点も相当多いと思います。この点は私どもの方で全国的に調査いたしましたところによりますと、相当数長期欠席があります、これは基地とは関係なしにあるのでございます。
  11. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 しかし、それは現実に起った問題であって、われわれ現場を別に見てないから、文部省報告だけでは納得のいかない点がありますが、しかし義務教育である以上は、文部省はどういう指導助言をやっておられるのか、これは地方教育委員会があって、そこで指導をしておるものの、文部省はこのような問題についてどのような見解を持っておられるのか、これは文部大臣からお伺いしたいと思います。
  12. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 義務教育を完全に行うということは、文部省としてもちろん最も熱心に考えなければならぬことでございます、その義務教育を完全に行うということに妨げのある事情につきましては、できるだけこれが除去に努めて参らなければならぬ、これまた当然のことと思うのであります。今日まで皆さんも御承知通り義務教育学校就学ということを一般的に進めるということはもう論のないところでございますが、経済上の理由によりまして就学困難な者に対しましては、やはり経済的な援助ということを考えなければならぬ。そのために今日まで法律制度をもって、あるいは法律の運用によりましてその措置をして参っております。かように私は考えておるのでございますが、今後といえどもあらゆる観点からさような障害を除去し緩和するという事柄に向って努力すべきであろうと考えております。
  13. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 今後かかる問題が起きないように、文部省としてはこういうような問題についてもっと御検討をいただきたいと思います。  それから問題は変りますが、実は先日南極で非常に難航いたしました宗谷ケープタウンからこっちに帰ってくるわけです。この宗谷に対していろいろ議論がありましたが、おそらくまた本年の末には本観測をやるわけですが、今のような状態でやりますと、もっと大きな問題が起るのじゃないかと考えております。一体これに対して本部長である文部大臣はどういう対策を持っておられますか、その点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  14. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 次の本観測という問題がございます。これに対して万全な策をいたさなければならぬと思っておるわけでありますが、具体的な対策といたしましては、数日のうちに隊長も帰ってくる予定になっておりまするし、同町に船の方の関係の方も帰って参いると思いますので、これらの人の現地におけるいろいろな事情等を十分聴取いたしまして、その上で具体的な対策は立てて参りたいと考えております。
  15. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 いずれ永田隊長も帰られるそうですから、検討はされると思いますが、しかし一メートルぐらいの砕氷船ではどんな場合でも——この前われわれの同僚議員からこれの出発の前にいろいろ心配されて質問されたですが、その心配がやはり図に当りまして、ああいうような結果になったわけですが、もしオビ号が行かなかったらどういう結果になったかということを考えますとりつ然とするわけであります。そういう点についてあのときオビ号に救われて以来、文部省ではこれに対する対策なりあるいはこれまでの検討があったかどうか、またこれに対してどういうような方法——予算関係もありますが、しかし国民があれだけの心配をしたやさきでございますから、日がたつと忘れてしまうようなこともありますけれども、今日これに対して何らかの大きな対策をとらなければ、やはり再びああいうような心配をかけなければならぬということになるのですが、これに対して何らかその後の具体的な話し合いがあったかどうか、これは文部大臣にもう一度お伺いしておきます。
  16. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 御心配もごもっともだと思います。私ども実はこの問題につきましては心配をいたしておるわけでありますので、文部省関係当局との間におきましても寄り寄り話し合いをしておりますが、さようなことを論ずるにいたしましても、やはり実際体験した人たち意見をまず聴取すべきであろう、こういうような考えもありますので、実はケープタウンから永田隊長一足先に、なるべく早く帰ってもらって、そうしてなるべく早く対策を確立いたしたい、こういうような考え方をいたしておるわけであります。
  17. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それからもう一つ居残った十一人の隊員昭和基地におる人がその後どういうような状態であるか、ときどき新聞に出ますけれども、お互いに初めてのことでございますから、いろいろわれわれも心配しておるわけですが、その後順調にいっておるのかどうかまた文部省向うからいろいろ情報があると思いますが、そのことについてもしお聞かせ願えればこの際一つ国民のためにお知らせを願いたいと思います。
  18. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 担当の政府委員がおりませんので、詳細申し上げることもできないのでありますが、大体新聞に出ておるようなことでございまして、今日までわれわれが受けましたところの報告によりますれば、隊員諸君はいずれもきわめて元気にその任務を遂行いたしておるようであります。ただその間氷の状態が変化いたしまして、そのために一部の資材を見失ったとか、あるいはまた先日は非常に大きな吹雪がありまして、そのために食糧を貯蔵いたしておりますところの場所が雪におおわれて、この除雪をやらなければならぬというようなことを言って参っておりますが、現在のところ各隊員ともに元気よく任務の遂行に邁進いたしておるようであります。
  19. 木下哲

    木下委員 関連して。大臣にお伺いいたしますが、あの完谷事件の場合に結局助かった、そのときの海上保安庁長官たる島居長官態度として、私は大へん遺憾に思う点があると思います。涙を流して非常に喜んだ、これは国民に対して、助かったことについての、やれやれ助かったという安心はもちろんありますが、その喜びはありますが、いやしくもその件についての最高責任者はどういう事態が起ろうとも、一年ぐらいは手が届かなくても大丈夫ですというだけの準備をして出してもらいたかった、それをたまたま外国船に助けられたということで、最高責任者が涙を流して喜んだというような記事を見ますと、国民としてはそういう不安心なことで調査に出すのかということについて、そういうことならやめてもらいたい。何十年に一ぺんしかないこの観測に出ていくときに、最高責任者があの助かった記事を見て、心ひそかに御自分で喜ぶ感情はいいでしょう。しかしながら公けの最高責任者として、しかもその件についての責任者として、涙を流して喜んだという態度については、国民としては、腹が立つのを覚えるものでありまして、一つこの件について国民の声として、そういうまずい準備のもとになぜ出すか、行くなら行くでもう少して、一年間手が届かなくても食糧は、あらゆる点大丈夫でございますというだけの自信を持ち、態勢を持ってやってもらいたいということをこの機会にお願い申し上げておきます。
  20. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 御親切な御注意でございますが、ただこれだけは一つ申し上げておきたいと思います。食糧その他につきましては決して御心配のない程度の準備をいたしておるということだけ御承知おきを願います。
  21. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 日本科学がおくれておりまして、盛んに一般的にもいろいろな面で日本科学のために相当心配をしておるわけですが、どうも今の文部省態度としますと、手おくれのような感じがするわけで、これは特に戦後日本は、戦争に負けた結果非常におくれていまして、しかも文部省としては予算が非常に少いから、だれが見ても文化国家あるいは教育国家というような国にしてはあまりに予算が少いので、これはひとり文部大臣を責めるわけにはいきませんけれども、しかし何といっても日本宗谷のようなああいう冒険をやる場合には、これは昔やった時代と違いまして、アメリカソ連もイギリスももうすでに同地へ出発して相当な成功をおさめておるわけなんです。そういう場合にやはり初めから不安で——アメリカソ連では四メートル、七メートルぐらいの砕氷船があって、それを平気で駆使していく。しかし日本は昔のようなまだ幼稚な考え南極へ行って、ああいう遭難にあったということになるわけです。そういう点でただ国民の不安を除去するということでなくて、ほんとうにその予算がなければやはりできないわけなんです。しかしやる以上はやはりある程度の予算措置をしなければ、これは自然力にはなかなか勝てないわけですから、そういう点でほんとうに再検討をしていただきたいと思うのです。これは灘尾文部大臣のときじゃないので、前の大臣のときでありますから、ここで責めようとはしませんけれども、しかしおそらく今度のあの問題でどれくらい国民心配し、またそれにはちゃんと残っておる留守家族があるわけですから、そういう点について不安を持っておるという点だけは事実であります。そういう点ではらはらしてやらせるというようなことではなく、せっかく大自然にぶつかるのに、科学的な検討をする場合には、安心してやれるような方法を講じていただきたいと思うのでありますが、こういう点について、今度いよいよ灘尾文部大臣がこの次の対策を講ぜられるに当りまして、どういう確信を持ってやるのか、ただ事務的にやるようなことでは、われわれはこの次にもまた再びああいうような遭難があるのじゃないかということを心配するわけですが、文部大臣の核心に触れた意見をここで伺っておきたいと思いますので、一つその点の御見解をお願いいたします。
  22. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今度の南極観測一行が遭遇しましたいろいろな事情等につきましては、先ほど申しましたように、帰りまして詳細聴取いたしたいと考えておる次第であります。私といたしましては、今お話のございましたように、就任前に出発しておることでございますけれども、その万全を期するという気持におきましてはほんとうにそう考えましたので、向うに着くまで、あるいは着いてから後も、いつの連絡にも決して無理をしないように、無理をしてはいけないという趣旨のことを常に連絡して参りました。無理とわかっていることを強行するというようなことは絶対に避けなければならぬ、そこで今回いよいよ予備観測一行が帰って参りますれば、この諸君を交えて、今後の対策を作るにつきましては、お話にもございましたように無理は決してしないという心持対策考えてみたいと思うのであります。絶対的に無理であるということであれば、また考え面さなくちゃならぬということもございましょうが、今の問題といたしましては、何とかしてやりかけた本観測をやりたいという趣旨のもとに、無理を避けて計画の立つものなら立ててみたい、こういう心持でおりますので、その点はどうぞ御安心を願いたいと思います。
  23. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 できるだけわれわれの心配しないような対策を講じていただいて予算をとり、宗谷の改装もして、再びああいうような苦難に陥らないように御配慮を願います。  それからまた問題は変りますが、実は教育委員会が昨年の国会でいろいろ問題が起きまして、教育委員会というのが新たに発足して、中にはいろいろ問題もあるし、われわれとしてはあの当暗いろいろ意見を述べたのでありますが、不幸にしてわれわれとしては今度の教育委員会の実際のあり方の中に、われわれの心配したようないろいろな事件が起きておると思うのですが、文部当局はこの教育委員会法が改正されてから、一体うまくいっておるのかどうかということについて、概略説明政府委員でけっこうでありますからしでいただきたいと思います。
  24. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 昨年の六月改正になりまして、その後の歩みを見ますと、大体順調にいっているように思うのであります。ただ助役兼務の者が五百数十人おりますけれども、これも今年の三月三十一日で切れますので、本年の四月一日からは専任教育長を置くことに地方財政計画にも織り込んでおりますし、これも順調に進んでいくと思っております。教育委員につきましては、三人のところが約六百七十九カ所ほどございますけれども、それはいろいろな関係で小さい町村でございますので、例外的に認められているようであります。その他教育委員の質につきましては、これは明確には申せませんが、従来よりは学歴、経験ともに豊富な者がなっていらっしゃるようであります。年令の点では若干前よりは上っておる、こういうような状況でございまして、発足後まだ半年しか経過しておりませんが、都道府県市町村を通じまして順調にこれが運営されておると思います。
  25. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 今内藤政府委員説明ではおおむね順調、おおむねといいますと全部はうまくいっていないということなんで、うまくいっていないところがあるかどうか、一つ政府委員の方から説明願います。
  26. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 おおむねと申しましたのは、委員会が発足してまだ間がないのでございまして、教育委員さんたち教育行政についての認識がまだ不十分であったり、あるいは専任教育長がないために、十分な措置がとられなかった、こういう事例があるという意味でございます。
  27. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 私も意地の悪い質問をしたのですが、われわれから言いますとおおむねうまくいっていない。それはこういう問題がたくさんあります。市町村教育長をきめるときに、県がそれを許可しなかったり、その他の問題で相当もめているところがあるはずですが、そういう情報はきておりませんか。
  28. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 許可しなかったというのはたしか秋田県だと思いますが、一件あっただけだと思います。
  29. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それはまだ幾多の例がありますけれども、ここではそれ以上せんさくしません。しかしそこのところにわれわれが心配した問題があるので、市町村側が推薦したにかかわらず、県の教育委員会教育長がこれを阻止するような問題が愛知県に起きているわけです。そこでわれわれが心配したと同じようなことができてきておるわけなんで、どうかこういう点についてももっと具体的にそういうことの起らぬようにやっていただきたいと思うことが一つ。  それから今度の教育委員任命についてはいろいろ議論がありますが、大体一般的には比較的穏当な人事をやっておる場合が多いと思うのです。これはわれわれは認めます。しかし穏当な人事をやったために、非常に教育に無関心で、せっかく今まで地方においても教育予算などにつきましては相当一生懸命にやって、まあ中には市町村長を困らした人もありますけれども、全体としては非常に熱意が高かったのが、今度の新しい教育委員任命によって、比較的そういうような感じが薄くなった。従って教育熱意が一歩も二歩も退歩したというように私たちには考えられるわけですが、文部当局としてはどういうようなお考えを持っておられるか。これは大臣あるいは政府委員から御説明を願います。
  30. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 今度任命制の教育委員になりまして、お話のように大体穏当な方が教育委員になられたことはお認めになっていらっしゃるようでございますが、非常にお忙しいような方がなっていらっしゃることも事実なんでございます。それで委員会の会合が従来のようにしばしば開かれないということはあり得ると思うのです。しかしそうかといって教育行政に識見なり抱負なりお持ちなんでございますので、一がいに会合が少いから熱意がないというふうにもとれないのではなかろうかと思っております。何分にも発足後間もないことでございますので、まだ十分な意識が整っていない面もあるかと思いますが、文部省といたしましても今後できるだけ指導いたしまして、義務教育行政に熱意を持って当っていただくように努力いたしたいと考えております。
  31. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 あまり時間もありませんから、くどくど聞くことはやめまして、ただ私たちが非常に心配しておるのは、これは日本の学務委員というような形になっていくのじゃないかという心配が非常に一面においてあるわけです。これは町政、市政などにおいては結局しわ寄せが教育の方にくるということはたびたびあの当時の委員会においても質問されたわけですが、そういう機運が起きてきているわけです。そこで率直にいって、一体今の教育委員会法のままでいいとか、何かやはり改正しなければならぬ面があるのじゃないかというふうなお考えをお持ちになるかどうか、半年ばかりでございますから、まだ具体的にそういうようないろんな欠陥が現われてないかもしれませんが、あの法案は御承知のように参議院でもいろいろ難航いたしまして、われわれが修正するひまもなかったほど非常に議論がありました関係上、いろいろ手落ちがあるのじゃないかというようなこともわれわれは委員として心配しているのですが、そういう点についてここで率直な意見を内藤さんから聞きたいと思いますが、その点御説明願います。
  32. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 新法が施行されて日なお浅いのでございまして、今軽々に私どもが新教育委員会の功罪について問うべき時期ではないと思います、私どもとしては新法の趣旨をできるだけ徹底いたしまして、これを育成強化するように今後一そう努力を積んで参りたいと思っております。
  33. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 この点についてはまた他日質問することにいたしまして、最後に文部大臣にお尋ねしたいのですが、教員養成の問題が非常に大きな問題になっております。近く文部大臣は中教審に諮問されるそうでありますが、その諮問になった心境なり、御意図なりをまずお伺いしたいと思います。
  34. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 新聞にいろいろなことが報道せられておるのでございまするが、それに基いてのお尋ねかと伺うのでございまするが、まだ中教審に何を諮問するかというようなことは決定いたしておりません。目下省内においていろいろ検討中でございます。ただ私といたしましては、今佐藤委員のお言葉にもありましたように、教員養成の問題が世上いろいろ問題になっておりますから、こういうふうな問題について、この際中教審の意見を問うのはどうであろうかというような考えはいたしておりますが、具体的にまだ確定いたしておるわけではございません。
  35. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 昨年福岡県で七割からの先生が就職できなかった例があります。そこでわれわれ心配しておるのは、学力の低下、少くとも今の二年制の学芸大学では、これは今の教育の進歩向上のためからいっても、相当なマイナスになるのじゃないかというように考えておりますが、少くとも学芸大学の教養課程を四年くらいにしなければ、結局充実されないというように考えておりますが、こういう点について一体どういうようにお考えになっておるのか、一つ大臣から御説明願います。
  36. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 学校教員の資質が高ければ高いほどよろしいということは当然のことでございます。今日お話のように四年制と二年制と両方の課程があるわけでございますが、われわれといたしましては、二年制の課程よりも四年制の課程に重きを置きたいと思っております。そこでいろいろ議論もございますが、最近の学校卒業生の就職状況等にかんがみまして、若干養成の数を減らすというふうなことを考えまして、その際にも四年制の方に重きを置いてものを考えておるということも御承知通りでございます。ただ、今二年制をどうするかという問題につきましては、まだ各地の状況がいろいろございますので、一刀両断的に二年制をやめるとか何とかというようなところまでは考えておりません。
  37. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 学芸大学の問題は重要な問題でありますから、また他日こういう問題についていろいろ大臣の気持をただしてみたいと思いますが、とにかく非常に地方においてもいろいろ問題がございまして、特にわれわれはいろいろな意見を持っておりますが、とにかく学芸大学の問題、あるいは教員養成の問題は、一つ慎重な態度で臨んでいただきたいことを一言要望いたしまして、私の質問を終ります。     —————————————
  38. 長谷川保

    長谷川委員長 次に就学困難な児童のための教科用図書給与に対する国の補助に関する法律の一部を改正する法律案及び学校給食法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、審査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。平田ヒデ君。
  39. 平田ヒデ

    ○平田委員 昨年の第二十四国会におきまして、成立をみました就学困難な児童のための教科用図書給与に対する国の補助に関する法律によりまして、初めて準要保護児童二十一万五千人、これは全小学生の七%でございますけれども、この教科書が無償で配布されることになったわけでございますが、このたびはさらにこの法律の一部を改正して、小学生だやではなく、中学校生徒にもその適用の範囲を広げられるというのでありまして、まことにけっこうなことでございまして、私は賛意を表する次第でございます。しかし、これによってどれだけの貧しい恵まれない児童生徒が救われるかと申しますと、政府提出昭和三十二年度一般会計予算で明らかなように、小中学校児童生徒を合せてわずかに三十五万人、一・九%にすぎないのでございます。これだけでも父兄の負担は軽減されるのでございますが、しかし全国の小中学校の準要保護生徒児童の数は七十三万人に達しておるのであります。教育の機会均等をうたいながら、七十三万人の子供たちの中からわずかに三十五万人だけを取り上げるだけになったという理由はどういう点でございましようか。多分局長さんは、財源がない、予算がないとおっしゃられるでしょうと思うのでございますけれども、そういう御答弁でなく、ほんとうのお考えをお伺いいたしたいと思います。
  40. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 御承知通り生活保護法で見ておりますのが約六十万人程度見ておるわけでございます。ですから、これを合せまして大体百万人程度の者が救われるわけでございますが、私どもの推計によりますと、大体保護児童が四%ほど、準保護児童がほぼ同様なパーセントを占めておるであろうという推定をいたしますと、ただいまの七十万人という数字が出るわけでございます。しかし準保護児童についての私どもの明確な調査がございませんので、そこで本年とりあえず一・九%実施いたしまして、なおかつどの程度のものが救われないかということを十分検討いたしまして、来年度予算においては準保護児童が漏れないように努力いたしたいと考えております。
  41. 平田ヒデ

    ○平田委員 この七十三万人と申しますのは、いわゆる生活扶助を受けていないボーダー・ライン層の子供でございまして、こういう点から見ますと、まだまだ足りないということになるわけでございますけれども、大体ただいま取り残されておる子供たちに全部配給するといたしますと、どれくらいの予算が必要だと見ておられるでしょうか。
  42. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 この七十三万という数字は、ただいま申しましたように全児童数の四%を予定したわけでございます。そこでこの予算が一億九千万でございますが、その倍あれば四%になるわけでございます。
  43. 平田ヒデ

    ○平田委員 そうすると、約二億でございますけれども、飛行機一機作るのに一億二千万、そしてこれらの維持をするのに八千万かと思うのでございますが、そういたしますと、この一機作る費用でもってこの子供たち全部に教科書を与えることもできるわけであります。新しい教科書をかかえて元気に学校に通う子供たちの姿を想像するだけでも何か心あたたまるような思いがいたしますけれども、私は、飛行機一機作るよりも、こうして子供たちに心のかてを与えてやる、そういうようないわゆる政治の手を差し伸べてやりたいと思うのでございますけれども、この点につきましては、私はもう少し文部省の方が誠意と熱意を持って予算の折衝にお当りになったら、わずか二億でございますからとれるのではないかと思うのでございますけれども、この二億をとることは非常に困難なのでございましようか。
  44. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 もちろん予算獲得というのは非常に困難だと思いますけれども、この四%という数字は私どもの概算なのでございまして、準保護児童の線をどの線で切るかという点に理論的な問題もありますので、私どもとしての四%を必ずしも主張できなかったわけでございますので、今後一・九%を実施した結果、なおかつどうしても救ってあげたいというものがどの程度あるか、さらにあらためて調べた上で、そういう者が漏れないような予算を来年度は要求いたしたいと考えております。
  45. 平田ヒデ

    ○平田委員 そうしますと、来年度はさらにこれに予算を増額されて、全部配給なさるような方向に行かれると考えてようございましょうか。
  46. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 そういうふうに努力いたしたいと考えております。
  47. 平田ヒデ

    ○平田委員 どうもたよりないのでございますが、ほんとうにやっていただきたいと思います。  私は昨年の暮れでございますけれども、すぐそこの議員面会所で日雇い労務者のお母さんたち十人と会いました。義務教育の子供を三人持っていらっしゃるのでございますけれども、その義務教育に使うお金に非常に困難を感じておるというお訴えでございまして、こまかいことにつきましては申し上げませんけれども、こういうお母さん方のせつないお気持をもくんでいただいて、わすか二億でございますから、ぜひとも来年度は完全に全部に配給していただけるように、これはぜひお願いをいたしたいと思います。  私たち社会党では先ごろから全国の二千二百万の児童生徒に対して教科書の無償配付ができるような法案を出したわけであったのでございますけれども、ただいまの小中学校におけるところの教科書配給にいたしましても、私たち考えとはほど遠いのでございます。それでもこのたびの法案は大へんいい法案でございまして、せめてこのボーダー・ライン層の子供たちの一部についてでもお与え下さったということについては、私大へんうれしく思っております。この法案が成立し、来年度もまたこのワクが拡大されることをお願い申し上げまして賛意を表する次第でございます。
  48. 長谷川保

  49. 河野正

    河野(正)委員 ただいま平田ヒデ委員からもいろいろ御質問がございましたが、私も重ねて二、三の点につきまして御質問申し上げてみたいと考えております。  もちろん今回提案されました就学困難な児童のための教科用図書の給付ということは、まことにけっこうなことと思うのでございますが、しかしやはり問題となりますのは、予算のワク内に限られておりますので、いろいろと不合理が生まれてくる点が、やはり非常に大きな一つの問題点だと思います。その点につきまして、ただいま平田委員からもいろいろ御指摘がございましたから、くどくは申し上げませんけれども、残りました三%ですが、具体的な文部省の数字によりますと、小学校では約二十五万、中学校で約十万というものが、この法案がせっかく通過いたしましても、まだこの恩恵に浴すことができないということのようでございますが、そうなりますると、政令でいろいろ規定はされると思いますけれども、そのワク内の操作の過程におきまして、いろいろ私は不合理が生まれてくるんじゃないかという心配を持つわけでございますが、そういった点について、どのように善処して参られようと考えておられますか、その点を一つお尋ねをいたしておきたいと思います。
  50. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 文部省から各県に配付いたしますのは、児童数に按分して各県に一応いくわけでございます。各県におきましては、児童数と生活扶助を受けておる児童数、この二つの要素を勘案して各市町村に適正な配分を行うことになっております。
  51. 河野正

    河野(正)委員 ただいまの御答弁を承わりますと、どうもこの処置が機械的に失するおそれがあるのではないかというふうな心配を強くするわけです。そこでせっかくこういう法案が出て参りましたけれども、問題になりますのはボーダー・ラインでございます。どうもその間のいろいろな配分に不合理が出てきはせぬかということを心配するわけです。そこで全国的な問題ですから、機械的に児童数に按分して配分されるということも一応考えられるわけでございますけれども、やはりその点にある程度考慮をいたすべきではなかろうかというふうに考えるわけでございますが、具体的にそういうふうな御見解なりあるいはまた会後そういった考え方で処理される方針がありますのかどうか、その辺を一つ明らかにしていただきたいと思います。
  52. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 お話しのようにこれがほんとうに困っている人たちに必ずいくように私どもしたいわけでございます。ただ生活保護法によりますと、御承知のように収入の基準額がございまして、ケース・ワークでやっているわけで、非常に綿密な調査によって生活保護の対象を決定しております。ところが教育扶助はその上に乗るものでございます。要するに準保護児童でございますから、そのきめ方が非常に困難なわけです。生計費の困難度をどの程度にとるか、生活保護が行なっておると同じような方式をとるならそれも一つの方式でございます。しかしこのためには膨大なる人と金が要るわけでございますので、そこで私どもの経験によりますと、大体準保護児童というのは生活保護に比例しているという考え方を持っている。生活保護の対象人員を見ますと、各県大体児童数で按分したと同じ程度のものが生活保護の人員になっておるようでございますので、一応各県に児童数で按分し、さらに県内では教育扶助と二つの要素を持ってできるだけ公正に配分いたしたいと考えておるわけでございますが、お説のような点に末端において多少問題はあろうかと思っております。
  53. 河野正

    河野(正)委員 その点は行政上の問題でございますから、今後とも十分遺憾のないように一つ善処、御指導を願いたいと思います。  それから今度は基本的な問題にわたりたいと思うのでございますが、この法案に基きます負担額というものは、本年度は大体全額ということでございますけれども、来年度はその補助率が八割になりますことは御承知通りでございます。従って残りの二割というものは市町村負担ということになって参るわけでございますので、そこでそういった市町村負担というものが二割ふえていく、その二割というものがまたひいては児童を持っております父兄の負担にふえていくということになりまして、この点はまことに残念でございますけれども、私どもが常日ごろから主張いたしております義務教育無償の原則に反するとまではいかぬといたしましても、精神から申し上げますと、義務教育無償の原則に反してくるというふうな考え方を持つわけでございますが、その点に対します御見解を伺っておきたいと存じます。
  54. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 今年度は全額補助でございます。しかし本年度の全額補助と申しますのも予算単価で小学校六百円、中学校九百十円でありますが、予算単価の程度でございまして、もちろんこの単価で足りない市町村もございます。この単価の算出の基礎は現在の教科書の冊数と単価を加重平均をいたしまして出したものでございます。そこで具体的に申しますと、各県、各市町村では、それに上回る場合もあり得ると思います。今回八割補助にいたしましたのは、生活保護法との関連によって八割にいたしたわけでございます。市町村は本来就学奨励をいたすべき義務がある、これは御承知通り学校教育法に規定されております。ですから市町村もある程度の助成をしていただく。国が八割補助をする。こういう建前をとっておるわでございまして、二割の負担はこれは父兄の負担にはかからない、市町村負担するわけでございます。市町村学校教育法上当然に就学奨励を行わなければならぬ義務を持っております。こういう考え方でございます。
  55. 河野正

    河野(正)委員 もちろん市町村負担ということでございますけれども、結局は住民の税金によって負担していくわけですから、ひいてはやっぱり市町村負担というものは父兄の負担になっていくというようなことを御指摘申し上げたわけです。  それからもう一点お尋ね申し上げておきたいと思いますのは、それは予算単価が小学校六百円、中学校九百何十円ということでございますが、御承知のように教科書の採択区域が違いますので、ところによりますと、私の調査したところによりますと、八百円ぐらいがかっておるところがある。これはそれぞれ採択区域が違いますので、教科書の単価も違ってくると思いますから、地方によって相違してくることは当然の話でございますが、そういたしますと、やはり単価が六百円、しかし実質的には八百円ということになりますならば、その二百円というものはよけい負担していかなければならぬというようなことにもなって参りまして、それがまたさらには市町村負担が大きくなり、さらにひいては間接的ということでございますけれども、住民の負担になっていくというようなことになってくるわけでございまして、この点につきましては、もちろんそれは全国的な問題ですから、機械的に御算定願うということはけっこうでございますけれども、しかしやはりこういった実情というものは相当御考慮願わなければ、ただいま申し上げますように市町村によりましては、非常に大きな負担をかけなければならぬということになりますから、こうした点につきましても将来十分な御配慮をしていただかなければならぬと思いますが、そういった御所見を持っておられますかどうか、お尋ね申し上げておきたいと思います。
  56. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 国では予算単価と児童数で按分して出すわけでございますけれども、府県の方ではもちろんそういう事情を勘案して、そうして具体的に御要望に沿えるように今後研究してみたいと思います。
  57. 長谷川保

    長谷川委員長 櫻井奎夫君。
  58. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 私は学校給食法の一部を改正する法律案について二、三質疑をいたしたいと思います。今回政府から提案になっておりますところの学校給食法の一部を改正する法律案は、いわゆる準要保護児童の給食費の援助を、さらに中学校にまで及ぼしていきたい、予算の範囲内で所要経費の二分の一を補助する、こういう点でこれは学校給食制度の上にやはり一大進歩でありまして、私どもその趣旨には全く賛意を表する次第でございます。しかしこの問題について私は二、三質疑をいたしたいと思うのでございます。  私の手元には昭和三十年度の資料しかないのでございますが、その資料に基いて御質問を申し上げたいと思います。学校給食の実施状況を見ますと、三十年度は小学校の方につきましては三四・四%に当る九千二百六十校で給食が実施されておる。その恩恵を受けておる児童の数は六百八十万に上っておるのであります。中学校の方につきましては、わずか六・四%八百八十四校で、こういうふうに非常に小学校と中学校との間に給食の実施についての格段の差異がありますが、これはどういうところに原因しておるのか、一応その原因の究明をお願いしたいと思います。
  59. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 学校給食は御承知のように終戦直後から始まったわけでございます。ただ法律ができましたのはここ数年前、二十八年でありますが、御承知のように学校給食法で給食用の材料に対する援助の規定が入っておりますが、これは小学校だけに適用されておったわけであります。昨年の改正によりまして中学校の学校給食で使用する給食用物資についても、小学校と同様に援助をするという建前になったわけでございます。従って給食の実際行われます場合に、中学校についてはそれまでは国の援助がなかったということが原因しておったものと考えます。
  60. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 それでは昭和三十一年度においては中学校の給食もその後急速に発展をしておる、このように解釈してよろしゅうございますか。
  61. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 三十年度までは大体むしろ減ってきておるような状況であったわけでありますが、三十一年度になって従来約九万ないし十万の実施の対象数が現在では完全給食だけでも十九万、これは三十一年九月の調査でございますが、約十万程度ふえてきておる状況でございます。
  62. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 それでは次に今度の法案の対象になっております準要保護児童生徒ですが、これの数が文部省の方の今回の提案は、小学校の対象児童数が六百七十一万一千人のうちの一%、六万七千人、中学校は三十一万六千人のうちの二%、約三千人を対象にしてこれを実施するということのようでありますが、これは先ほどの教科書の法案と同じようにいろいろ予算の面で制肘を受けるということが大きい原因だと思いますが、しかし実際の三十年度における準要保護児童生徒数は小学校において十二万、それから中学校で四千八百、こういう数字が出ております。これでは少し開きが大きいわけでありますが、これはどういう数からこれをはじかれたのですか。
  63. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 学校給食につきましては、三十年度におきまして全国的な指定統計で実態調査をやったわけでありますが、その当時の数字から申しますと、大体八%程度は給食費の支払いの困難と思われる者がある。そのうち大体半数の四%につきましては生活保護法の教育扶助の給食費によりまして援護を受けておるわけでありまして、残りの四%、大体二十四、五万がこの準要保護の対象になるというふうに推定されるでございます。従って今回の予算措置によりまして、大体このうち七万だけが援護される勘定になるわけでございますが、しかしこの七万という数字は設置者である市町村が全額を補助するという計算のもとに出した数字でございまして、実際市町村では全額補助せず、半分だけを補助するというようなこともありますので、その人数は多少七五より上回って、大体十万程度に達するのではなかろうか。そういたしますと、大体二十四、五万のうちの十万程度、約四割ぐらいはこれによって援護を受けることになるだろうという推定でございます。
  64. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 次に費用の内訳でありますが、小学校は一人当り十四円六十四銭、中学校は一人当り十八円四十五銭、こういうふうな数字を出しておるようでありますが、統計によりますと、準要保護児童生徒の一人平均の補助金額は、小学校が全額補助した場合百九十四円四十銭に、中学校は百九円二十銭、こういう統計が出ておる。なお一部分の補助の場合は、小学校は百十四円十銭、中学校は四十一円八十銭、こういう統計が出ておるわけでありますが、これを小学校十四円、中学校十八円何がしにした算定の基礎はどこにありますか。
  65. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 御承知のように学校給食は児童生徒の健康保持、体位の向上ということをやはり一つの重要な目標にいたしておりまして、従って学校給食をやる以上は、一応とにかく必要の栄養量をとるということが学校給食の実施上必要なことと考えております。この栄養の基準というものを定めてございますが、大体小学校の児童の場合には、一回の給食で六百カロリーをとる、中学校生徒の場合は八百カロリーをとるということを基準といたしております。そうなりますと、それに必要な蛋白質の量、あるいは脂肪の量、その他それぞれ違ってくるわけでございます。従ってそれに使用する小麦粉の量、それからミルクの量、副食材料の量等も違ってくるので、その量の違いから値段の開きが出てくるわけであります。
  66. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 そうするとここにある十四円何がしと十八円何がしは一回についての補助の額ですか。
  67. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 さようでございます。一人一回当りの給食の値段を大体一応推定したものでございます。
  68. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 大体対象人員及び給食費の金額の内容は明瞭になりました。しかしこれは一段の前進でございますけれども、先ほどの教科書の問題と同じく予算の範囲内ということでなく、もっと今後の御努力をお願いしたい、特に教科書は一年に一回というふうに限られておりますけれども、この給食費というのは毎月のことであって、これは非常に父兄の負担が大きい。特に生活保護法を受けておる人、あるいはそれに準ずる人の苦しみは想像に余りあるものがある。やはり一方には子供の健康を保持したいという親の心と経済的事情からそれが十分できない、そういう苦痛があるわけであります。また子供としては毎月持っていく給食費が十分払えないということは、また教育上に非常な影響を及ぼします。どうしてもこれはもうさらに一歩前進したところの形を私どもは要望してやまない次第であります。これも今後の御努力を要望いたしておきます。  次に給食に従事しておる給食関係従業員の点について御質疑を申し上げます。これは小学校について申しますと、給食に専門的に従事しておる専務者、それから非専務者、この割合が七対十三の割合、中学校については三対八、こういう統計が出ております。小学校の場合につきましても、中学校の場合につきましても、雇員といいますか雇いといいますか、専務者というのが非常に率が少い。かりに臨時に雇っておるというような人が大部分を占めておるし、また地域によっては父兄がこれに参画をして手伝いをしておる、こういう状況もあるわけでございますが、こういう制度をさらに完璧なものにするためには、やはり専務者というもののパーセンテージをどうしてもずっとふやしていかなければならぬ、こういうふうに考えるわけでありますが、文部省はどのようなお考えを持っておりますか。
  69. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 学校給食の従事職員につきましては、給食関係の法令の上ではこれは設置者の負担であるということになっております。給食を実施いたします上で最低必要量の給食従事職員はどうしてもやはり確保する必要がございますので、文部省としてはできるだけ従来実施基準の中にもそういった点をうたっておりますし、年々給食従事職員の確保ということについて指導をしてきたものでございますが、なかなか市町村の財政が困難なために、十分なことになっておりません。今回文部省といたしましては自治庁ともいろいろ折衝いたしまして、地方交付税法の単位費用の中に学校給食の従事員の賃金を新たに計上してもらうようにいたしたのでございます。これでかなり私どもといたしましては、そういった面に回り得る金ができるのではないかと思っておる次第でございます。
  70. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 交付税の単位費用の中にそれを組み込まれたということは、私は大きな前進であると考えるわけでありますが、どれくらいの割合で組み入れられておりますか。
  71. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 交付税の単位費用の点でございますが、標準規模の学校、児童数九百人の学校といたしまして、賃金として一日二百四十五円、延べ二百二十人ということで五万三千九百円が新たに加えられておるのでございます。
  72. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 地方自治体に対して国が交付する税金の中に、そういう費用が組み入れられたということは非常な私は進歩だと思うのです。しかしこの点は、私が先ほど申し上げました専務者と雇員との率は、これを逆転するというところまではまだ行かないというふうに考えるわけですが、さらにこれについて御努力なさるという御意思があるかどうか。
  73. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 指定統計に出ております専務者、非専務者の区別でございますが、非専務者と申しますのはたとえば小使さんなら小使さんの身分であって、それが学校給食にも関係するというような調査上の区分けの仕方でやっておるわけでありまして、実際給食専務の方と申しますと、その専務者の中の雇員、用人その他という筋になってくるわけでございます。文部省といたしましても今後ともできるだけ努力をいたしまして、この専務者の必要な数だけは確保するように努力いたしたいと思います。
  74. 櫻井奎夫

    ○櫻井委員 この専務者の問題は、実は給食制度実施していく上に非常に欠くべからざる重要な要素になっておる。現在の実施状況を見ますと、やはりどうしても各学校で臨時に雇ったおばさんといいますか、そういう人が実際の仕事はやっておる、大きな学校にいきますと栄養士等がおりましてここで指導しておるわけでありますが、小さな学校はなかなかそういうことができない、こういう雇い人と申しますか、こういう人たちは身分が絶えず不安定のために、専心してその仕事に従事できない、私はこういうのが大多数の地方における小さな学校の実情ではないかと思います。従ってこの給食制度をさらに前進させるためには、やはりここに従事しておる人の身分を確保してやる、そのような措置がやはり今日最も焦眉の急務ではないかというように考える次第でありますが、どうかその点についてなお一段の御努力を御要望申し上げる次第であります。
  75. 野原覺

    野原委員 給食婦の問題で関連してお尋ねしたいのでありますが、法的な概念としては給食婦といえども学校教育に従事する職員、こういうものの中に入ると思いますが、その点どう考えるか。
  76. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 その点は非常に法律的には議論のあるところだと思います。と申しますのはとにかく職場としては学校で働いておる、そうして現在の学校給食が教育の一環として行われておるということからいけば、教育職員の中に入るかとも考えますが、しかし御承知のように従来事務職員も教育職員としては扱われておりません。そういったものとのかね合いの点等は、今後十分検討しなければならぬと思っております。
  77. 野原覺

    野原委員 これは小林さん、実は前の文教委員会、その前の文教委会でも取り上げて問題にして、文部省としては急に検討してもらいたいということで宿題になっておったわけなんです。残念なるかなあなたの方でまだ結論が出ていないのできわめて遺憾に思いますけれども、これは学校教育に従事する職員でないという根拠がなかろうと思うのです。だからやはり職員だということになると、今日までそのままに放置されておることははなはだ遺憾だと考えるが、今その辺で何か意見が出ておれば、もう一ぺん御答弁願いたい。
  78. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 私ちょっと御説明が足りなくて申しわけございませんでした。私が申し上げましたのは、教育公務員という狭い意味で申しますと問題になるかと思いますが、学校に置かれておる必要な職員でございますので、学校職員であることには間違いないと思います。
  79. 野原覺

    野原委員 たとえば学校に校務員というのがおりますね。これは俗に小使いさんと呼ばれてきておる。この者と何ら差異のない者であり、しかも給食の場合には子供の食べものを扱うのですから、私はこれを採用するときにはいわゆる校務員さん、作業員さん等よりももっと厳重にいろんな点を調査もし、身体検査等も厳重にやり、栄養学その他についても素養ある者を採用するように指導していかなければならぬと思う。給食法が実施されてからずいぶん長くなりますが、これが今日まで放擲されておるように思います。文部省としてはこの給食についてどのような指導市町村設置義務者に対してなされてこられましたか、それを承わりたい。
  80. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 先ほど御質問がございましてお答え申しました中にも申し述べたのでございますが、給食に従事する職員については、適正な給食を行う意味からきわめて重大な問題でございますので、給食の実施の基準の中にもその点をうたっているのでございまして、設置者である市町村はできるだけ知識のあり素養のある者を必要数確保してくれということを言っておるわけでございます。なお年々府県を通じまして、設置者である市町村の給食業務の従事職員の適正な確保ということについても、各府県教育委員会に通知を出して、できるだけ雇用条件、身分の安定等についても適正を期するように努力してくとれいうことを言っておる次第でございます。
  81. 野原覺

    野原委員 その通知を出し、あなたの方ではいろいろな点で進めてはきたけれども一向実を結ばないのはなぜかということを考えなくちゃならぬ。一体文部省は模範を示しておられますか。国立の小学校、中学校というのがあるはずです。学芸大学付置の小中学校は国立なんですね。国立の小学校の給食婦に対して、国が給食婦の給与を見ておりますか。それをお尋ねいたします。
  82. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 国立の小学校ではやはり公立と同様に学校給食をやっておりますが、その一部の職員については雇員あるいは用人として雇っておるのでございます。しかし全部を国の経費で持つという段階にはまだ至っておらないようでございます。
  83. 野原覺

    野原委員 これは文部大臣にお尋ねしますが、ただいまお聞きのように、給食婦の給与は設置義務者が出すべきものだ、こういう御指導をなさっても、地方にいきましたら、何だ文部省は出してないじゃないか。これは私、大へんな問題だと思う。いまだに雇員、用具じゃないか、模範を示さないでわれわれにやれと言ったって地方の財政は赤字でございますからやれやしない。私はこの点きわめて遺憾だと思いますが、これは大臣として早急に給食婦の地位向上あるいは給与の問題について、国が率先して範を示す、大した金は要りませんから何らかの操作によって出せると思う。やはり国としてはこういう態勢をとったということで市町村にも要求してかかるというふうにしてもらいたいと思いますが、大臣の御所見を承わりたいと思います。
  84. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 御趣旨はよくわかりました。十分検討して見ます。
  85. 長谷川保

    長谷川委員長 永山忠則君。
  86. 永山忠則

    ○永山委員 前になまの乳をできるだけ飲ますように指導する、またなまの乳の価格が下らないように留意をするということで、農林当局と懇談をしていくという点を当局の方で御研究されるようになっておったのでございますが、これに対してどういうような御処置を進めておられるか承わりたい。
  87. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 酪農地等におきまして非常に容易になま乳が手に入るというような場合には、学校におきましても乾燥脱脂粉乳を使わずになま乳を使うということが給食普及上の一つ方法かと思います。文部省といたしましても、一昨年から昨年にかけまして農林省といろいろ折衝をいたしまして、そういった地帯で希望があれば、なま乳の低温殺菌の設備を補助するということで全国に照会をいたしたのでございますが、これについての希望は実は比較的少なかったのでございます。三校だけ希望がありまして、それについては国の方で補助を出したのでございますが、私どもの期待したほどの希望校がなかったのでございます。本年度におきましても、もしそうした面に御希望が特にありますれば、さらに農林当局とも交渉をいたしたいと思っております。
  88. 永山忠則

    ○永山委員 一つ方法として低温殺菌の設備助成の点を取り上げられておるのであります。これが酪農振興指定地以外では取り扱わないように指示されました関係上、申し込みが少いのだと思うのでありますが、酪農業団指定地というのはまだ非常に少ないのでございます。指定地外から申し込んだ場合においても取り扱うということを農林当局と打ち合せて実行をお願いいたしたいと思うのであります。  第二点は、なまの乳を使う場合においてはこれに対しても補助をするという考え方において農林省とお話を進めてもらうことになっておりまして、だいぶん話は進んでいるということでございましたが、この点についても一段と話をお進め願いたいと思うのでございます。  さらに輸送関係でございますが、今度の鉄道運賃の値上りによりまして輸送費がふえることになるわけでございます。ふえるとすればどれだけの率でふえていって、どれだけ単価に影響することになるのでございますか、この点を承わりたい。
  89. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 御通知の通りに現在学校給食に使用しております脱脂粉乳は米国産のものを買っておるわけでございます。この米国から日本まで運んでくるのは、米船並びに日本船を使っておるのでございますが、これについては、個々につきまして急に上るという状態ではございません。すでに浮動があるわけでございまして、最近特に高くなったという状況は、この脱脂粉乳についてはまだないわけでございます。それから国内に参りまして、各府県への輸送費についても、最近までの実際の輸送の状況から申しますと、特に値段が高くなって、そのために学童用のミルクの値段に響くという状況には、まだなっておらないのでございます。
  90. 平田ヒデ

    ○平田委員 関連して。学校給食で、だたいまミルク、牛乳のお話もあったようでございますけれども、私が知るところによりますと、学校給食には甘さが足りないのでございます。子供というのはとても甘いものが好きでございます。男の方がお酒を召し上るように好きでございますが、そういう点が欠けおるわけでございまして、甘さ性を与えておやりになりますと、学校給食の牛乳でも、どんどんと飲むようになります。どうかそういう点御考慮をお願いいたしたいと思います。この点につきまして、補助の関係もございましょうが、ただいまお気づきになったような気配が見えますけれども、これについて局長さんの御意見を伺いたいと思います。
  91. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 確かに子供の嗜好に合うような給食をするということは必要だと思います。それで必要最低の甘さと申しますか、甘味料を使うということは必要でありますが、ただ給食の基準を作ります場合に、むやみに甘味料を使って甘さをつけるということが、学童の保健上、果していいかどうかということについては、実は疑問があるようでございます。私どもとしては、あまり多量の甘さを使わないようにという工夫を実はいたしておるような次第でございます。
  92. 平田ヒデ

    ○平田委員 私は、自分の地元でございますが、会津若松市の学校給食をやっていらっしゃる学校をずっと回って、一体どういうところにあなた方望んでいらっしゃる切実な問題がございますか、と伺いましたら、砂糖をほしいということでございまして、文部省でご心配になるほど、甘いものがもらえていないということでございます。調査なさったことがございますか。
  93. 小林行雄

    ○小林(行)政府委員 まだ全体に通じて適当の甘さと申しますか、甘味料の調査はいたしておりません。しかしそれも必要なことであると思いますので、幾つかサンプルのものについて、そういった点についても調べてみたいと思います。
  94. 平田ヒデ

    ○平田委員 そういうことをただお聞きになって、そして子供の心理とかそういうことをお考えにならないで、さしあたって監督という考え方ばかりでいらっしゃると、なかなかうまくいかないと思うのでございますが、(「甘やかしておるからだ」と呼ぶ者あり)甘やかしてもけっこうだと思います。愛情がないといけない。男の方は大体監督が御自分にはよくて……。(笑声)その点十分お考え願いたいと思います。
  95. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 この際教科書の問題について、一言だけ大臣の御意見を聞いておきたいと思います。就学困難な児童に教科書を無料で配付するということは、これはだれが考えたっていいことですが、これをせめて一般の義務教育における教科用図書は、国家で何とか無償配付する、そういうことになると、九十九里の長期欠席ども、そういうことで非常に緩和されるのではないかと思います。そういうような法案もきょうは通るわけですが、そういうことの前進のために、もっと広げるというような御意思があるかどうか、またそういう措置をおとりになるお考えがあるかどうかということを、一言だけ文部大臣にお伺いしておきたいと思います。
  96. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 教科出た準要保護児童に与えるという問題につきまして、先ほど来いろいろ御質疑がございました。まだ対象となるべき範囲が明確になっておらないような心持もいたします。私どもといたしましては、少くともこの準要保護児童に対しましては、法律趣旨にのっとりまして教科書を与えるということに進んで参りたいと考えております。具体的に義務教育において教科書を無償で配付するということにつきましては、まだそこまでは考えておりません。
  97. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 でき得る限り、こういうような義務教育に対して、もう少し広げるようにお願いしたいということを、一言だけお願い申し上げておきます。
  98. 長谷川保

    長谷川委員長 他に御質疑はございませんか。——なければ両案に対する質疑はこれにて終局いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、両案に対する質疑は終局いたすことと決しました。  これよりまず就学困難な児童のための教科書図書の給与に対する国の補助に関する法律の一部を改正する法律案を討論に付します。別に討論の通告もないようでございますので、討論を省略し、直ちに採決したいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕
  101. 長谷川保

    長谷川委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決するに決しました。  次に学校給食法の一部を改正する法律案を討論に付します。別に討論の通告もないようでありますので、討論を省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  これより採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕
  103. 長谷川保

    長谷川委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決するに決しました。  この際河野君より、ただいま議決されました学校給食法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付するの動議が提出されておりますので、この動議の趣旨説明を求めます。河野君。
  104. 河野正

    河野(正)委員 まず附帯決議の案文を朗読いたします。  学校給食の重要性にかんがみて、政府はすみやかに、義務教育諸学校に栄養士の制度を創設するなど、所要の措置を講ずる必要がある。  これが案文の内容でございますが、御承知のように、今日学校給食の学童に及ぼします影響というものは、非常に甚大なものがあるわけでございます。先ほどからいろいろ御討議を願いましたが、きわめて重要な問題でございます。ことに学童の保健、あるいはまた体位向上に及ぼします影響というものは、先ほど申し上げますように、これまたきわめて重要なものがあると考えております。ところが、今回の法案が全会一致で通過いたしましたことは、まことに御同慶の至りでございますけれども、しかしながらなお今後、こういった学校給食の運営につきましては、考慮をいたすべき点が多々あるかと考えておるわけでございます。ことに運営上の問題につきましては、先ほどからもいろいろ御説明がございましたように、栄養あるいはまた衛生等等につきまして、非常に大きな知識、あるいは能力というものが生かされなければならぬと思いますけれども、しかし今日顧みますならば、この運営上におきましては、なおその機構というものが不十分なために、所期の目的を達し得ない点が多々あるのではないかということを私どもきわめて遺憾に考えておるわけでございます。  そこで、案文の内容にもございますように、当局におかれましては、具体的に申し上げますならば、義務教育諸学校に対しまして、栄養士等々の従業員、学校給食の仕事に従事いたしまする従業員の地位、あるいはまた待遇の確保を願いまして、そうしてそういった栄養士その他の従業員の地位、待遇を確保することによって、今後栄養あるいは衛生に対しまする点に万全を期す必要があるのではないかというふうに私は考えて参っておるわけであります。今日の現況を見て参りますると、その身分の所在というものが明確でないために、一部におきましては父兄が負担し、あるいは一部におきましてはPTAが負担し、あるいはまた一部におきましては、方式は学校の消耗品費と申しますか、鉛筆や紙代に肩がわりをして従業員の給与が払われておるといったような実態がございますが、こういった実態の中では、給食に対しまする熱意が生じ、あるいはまた勤労意欲が生ずるということを期待するわけには全く参らぬことでございまして、学校給食がきわめて重大な影響を持っておりまする以上は、どうしてもこの学校給食に非常に大きな熱意と非常に大きな意欲とを燃やして従事してもらわなければならぬ、そのために財政上の理由はございましょうけれども、何と申し上げましても、こういった学校給食に従事いたしまする栄養士あるいはまたその他の従業員の、ことに待遇というものを確保していただくことが、今後こういった法案が非常にスムーズに、あるいは最大の能力を発揮して参りますためには、きわめて重要な条件ではないかと私は考えて参っておるわけでございます。  以上簡単でございまするが、これが本決議案を私どもが上程いたしましたところの趣旨でございます。
  105. 長谷川保

    長谷川委員長 これにて動議の趣旨説明は終りました。  これより河野提出の動議について採決いたします。河野君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立〕
  106. 長谷川保

    長谷川委員長 起立総員。よって河野提出の動議は可決されました。よって学校給食法の一部を改正する法律案は、附帯決議を付するに決しました。  この際お諮りいたします。ただいま可決せられました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  108. 長谷川保

    長谷川委員長 次に学校教育及び社会教育に関する件を議題といたします。  本件に関し坂田委員より教育用テレビジョン放送に関する要望についての動議が提出されております。まずその趣旨説明を求めます。坂田君。
  109. 坂田道太

    ○坂田委員 ただいま議題となっております教育用テレビジョン放送に関する要望案についてまずその案文を朗読いたします。    教育用テレビジョン放送に関す    る要望案   社会教育学校教育の重要性と、現代におけるテレビジョン放送の教育的利用の緊要性にかんがみ、すみやかに、その全国的テレビジョン放送綱を確保し、教育の公共性を保障する見地に立ちて政府は所要の措置を講ずる必要がある。   右要望する。  ただいま朗読いたしました要望案の理由を簡単に申し上げます。近来電波の発達は著しいものがございます。ことにテレビジョンは、視聴覚教育の中心的役割を持つに至ったことは御存じの通りでございます。テレビジョンの発達によりまして、学校教育はもちろん、社会教育科学教育、その教育的効果はまさに多元的効果を持つに至ったのでございます。そうしてテレビの教育に及ぼす影響はよいにつけ悪いにつけ、今後ますます強くなる一方であると考えるのであります。最近テレビジョン放送用電波の整備が当面の問題となりつつあるときに当りまして、われわれは憲法に規定してあります教育の機会均等の実を上げる上からも、特定の電波を指定をいたしまして、教育専用のものとなし、全国の津々浦々で放送をなし得るようにし、しかもこれを教育の中立性、公共性という特性にかんがみまして、教育的に見て質的水準のかおり高い公共性のある教育テレビ放送があまねく全国に及ぶような一切の措置をこの際政府がとられることが、国家百年のために緊要なことと考える次第でございます。  以上簡単ではございますけれども提案理由を御説明申し上げた次第でございます。何とぞ皆様方の御賛同あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  110. 長谷川保

    長谷川委員長 これにてその趣旨説明を終りました。  これより坂田君提出の動議についてお諮りいたします。坂田君提出の動議のごとく決定するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め坂田君提出の動議は可決されました。よって教育用テレビジョン放送に関して要望するに決定いたしました。  なお、右要望の取扱いに関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  113. 長谷川保

    長谷川委員長 この際理事補欠選挙を行います。理事河野正君が昨十九日委員辞任され、同日再び委員に選任されました。つきましては理事が一名欠員になっております。理事の選挙は先例により手続を省略し、委員長において指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、河野正君を再び理事指名いたします。  本日はこの程度とし、次回は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十六分散会      ————◇—————