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1957-03-13 第26回国会 衆議院 文教委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月十三日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 長谷川 保君    理事 高村 坂彦君 理事 坂田 道太君    理事 竹尾  弌君 理事 米田 吉盛君    理事 河野  正君 理事 佐藤觀次郎君       赤城 宗徳君    簡牛 凡夫君       杉浦 武雄君    牧野 良三君       山口 好一君    木下  哲君       小牧 次生君    櫻井 奎夫君       高津 正道君    野原  覺君       平田 ヒデ君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤誉三郎君         文部事務官         (大学学術局         長)      緒方 信一君         文部事務官         (社会教育局         長)      福田  繁君         文部事務官         (管理局長)  小林 行雄君  委員外出席者         厚 生 技 官         (公衆衛生局精         神衛生課長)  大橋 六郎君         郵政事務官         (電波監理局次         長)      荘   宏君         専  門  員 石井つとむ君     ————————————— 三月六日  委員濱野清吾辞任につき、その補欠として赤  澤正道君が議長指名委員に選任された。 同日  委員赤澤正道辞任につき、その補欠として濱  野清吾君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員赤城宗徳辞任につき、その補欠として中  山マサ君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中山マサ辞任につき、その補欠として赤  城宗徳君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員清瀬一郎辞任につき、その補欠として小  島徹三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小島徹三辞任につき、その補欠として清  瀬一郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月七日  私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法  律案内閣提出第九四号) 同月六日  西太良中学校屋内体操場建築費国庫補助に関  する請願小牧次生紹介)(第一八〇五号)  義務教育学校教科書無償配付に関する請願(  北山愛郎紹介)(第一九〇八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国立学校設置法の一部を改正する法律案内閣  提出第一七号)  私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法  律案内閣提出第九四号)  文教行政に関する件     —————————————
  2. 長谷川保

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  まず国立学校設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑通告がありますのでこれを許します。平田ヒデ君。
  3. 平田ヒデ

    平田委員 昭和三十二年度から東京大学に附置新設される予定物性研究所につきまして、その規模、将来の構想等を具体的にお伺いいたしたいと思います。二月二十八日の委員会で、河野委員から御質問がございましたので、重複する点は避けてお伺いいたすことにいたします。  場所はどこに設けられるのでございますか。
  4. 緒方信一

    緒方政府委員 東京大学に付置する計画でございまして、場所は現在駒場の理工学研究所というのがございますが、その校内を転換いたしまして設置する予定でございます。
  5. 平田ヒデ

    平田委員 講座数は幾つの予定でございますか。
  6. 緒方信一

    緒方政府委員 これは、将来の計画といたしましては約二十部門計画いたしておりますけれども初年度三十二年度といたしましては、三講座で出発いたしたいと思っております。
  7. 平田ヒデ

    平田委員 実験設備を置くということでございますが、河野委員のこの間の御質問に対して、緒方局長さんは、物性研究のためには相当大規模実験設備が必要であるから、この物性研究所に集中的に施設する。その実験施設としては、この間の速記録の七ページでございますけれども、極低温実験装置高温発生装置高圧実験装置、高磁場実験装置等をあげられたのでありますけれども、これは今までどこにも設置されていない設備でございますか。
  8. 緒方信一

    緒方政府委員 この前の委員会で私お答え申し上げましたのは、今後漸次設置していきたいと考えておりまする実験装置のおもなものについて申し上げたわけでございまして、それらのものは、今日まだございません。理工学研究所等にもございませんが、理工学研究所にございます実験装置等転換のきく部門につきましては、これを利用していきたいと考えております。
  9. 平田ヒデ

    平田委員 初年度予算によって新設される講座は三講座とおっしゃいましたけれども、それは何と何でございますか。
  10. 緒方信一

    緒方政府委員 初年度の三講座は、電波分光それから結晶第一、理論第二、この三講座でございます。
  11. 平田ヒデ

    平田委員 それによって得られるところの研究成果はどの程度のものを予想されておられるのでございましょうか。
  12. 緒方信一

    緒方政府委員 これは冒頭に申し上げましたように、今後年度計画といたしまして、十分な研究部門も充実いたしまするし、あるいは実験装置も充実いたしたいと考えておりますけれども初年度といたしましては、とりあえずこの三講座でやっていきたい、こういうことでございまして、最初から計画いたしております十分の成果はむずかしいかと存じまするが、漸次これは力を入れまして完成にもっていきたい、かように考えております。
  13. 平田ヒデ

    平田委員 先ほど実験施設の名前を言われたのですけれども低温実験装置でございますか、二百七十度でする何とか、これは東北大学にあるようにちょっと聞いておりますけれども、ございませんですか。
  14. 緒方信一

    緒方政府委員 先ほどちょっと御質問趣旨を取り違えたと存じますが、東北大学にはこれはございます。ただ共同研究施設等につきましては、そこに一カ所にまとめて、そうして総合的に研究していく必要がありますので、この研究所にも設置をいたしたい、かような趣旨でございます。なお現在の理工学研究所にもございますが、転換のきくものは転換いたしまして、総合的に合理的に利用したい、かように考えます。
  15. 平田ヒデ

    平田委員 そうすると、今東北大学にあるのは、そのまま置かれるのでしょうか。
  16. 緒方信一

    緒方政府委員 それをこっちに持ってくるという考えじゃございません。こっちはこっちとして設備いたしたいと考えます。
  17. 平田ヒデ

    平田委員 物性研究所は、原子核研究所と並んで現在の物理学のうちでは重要な部門を占める、いわゆるケミカル・フィジクスの研究を総合的に強力に推し進めるべき性格を有するものでございますけれども全国大学研究者共同利用ができる研究所となるということにつきましては、この前の委員会で明らかになっておりますけれども、その共同利用講座数の割り振りは、どんなふうになさるおつもりでございますか。
  18. 緒方信一

    緒方政府委員 まだこまかい運営方法は、これから関係者で十分検討していきたいと存じますけれども、とにかくここに実験装置も総合的に設置いたしまして、全国物性研究者利用に供したいということでございまして、初年度は、先ほど申し上げたように三部門でございますけれども全国研究者研究できるように、運営方法につきましては、物性学者中心といたしまして、十分これから具体的に検討いたしたい、かように考えております。
  19. 平田ヒデ

    平田委員 研究所運営方針などは、できるだけスムーズにおやりになるように希望いたします。初年度講座につきまして、東大理工研から研究室が三講座移って、三講座になるということでございますけれども、そうしますと、そのあとの東大理工研物理の方はどんなふうになるわけでございましょうか。
  20. 緒方信一

    緒方政府委員 理工研理工研といたしまして残すわけでございますが、理工研の現在ございまする部門の中で、物性研究所といたしまして、共同利用あるいは総合的な研究の中に取り入れた方が、その目的に沿うものにつきましては、こちらに移していきたい、かような計画でございます。理工研研究所はこのまま存置いたしまして、さらに増設すべき部門につきましては、理工研につきましても整備をはかっていきたい、かように考えております。
  21. 平田ヒデ

    平田委員 私はもしそれが吸収されて、ただ、つぶされてしまうようなことがあっては困るのではないかと思ったものですから、ちょっとお伺いいたしたのでございますけれども大学研究所の編成がえだけの意味しか持たないようなやり方にならないように切に要望いたす次第でございます。今後とも研究所研究成果を上げられるためには十分な予算を出して、これらの研究を十分伸ばしてやることが望ましいことでございますけれども、それと同時に大学研究所民間産業技術交流、が日本ではあまりうまく行っていないように私聞いております。せっかく物性研究所を作って研究するのでございますから、その成果日本産業に役立つようになされることを希望いたします。オランダには、これはすでに御存じでいらっしゃるので、ここで私が申し上げるまでもございませんけれどもテレビ、ラジオ・メーカーであり、真空管、トランジスターなどを作っている有名なフィリップス会社がありますけれども、この会社などは、オランダは滅びてもこの会社だけは滅びないと言われているほどの会社だそうでございます。この研究所には優秀な学者がたくさんおられまして、アムステルダムの大学の先生を兼ねたり、その間の技術交流人物交流等も盛んに行われているということを聞いておりますけれども、その点日本はあまりにセクト主義ではないかというふうに私感じております。日本でも立ちおくれました原子工業金属材料などについての技術を伸すためには、物性研究所ができる機会に緊密な技術人物交流をはかられるようにこの際持っていかれてはどうかと思うのでございますけれども、この点については大臣の御所見を承わりたいと思います。
  22. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お尋ねの御趣旨はごもっともに考えます。この研究所充実発展のためには、お話のようなことも十分考慮して参らなければならないと考えております。
  23. 平田ヒデ

    平田委員 局長さんはどういうようにお考えになっておられますか。
  24. 緒方信一

    緒方政府委員 特にお話のございましたように、物性研究所内容といたしまする研究の分野は、特に工業化と申しますか、一般の応用の面が非常に大事な点だと思います。従いまして今大臣からお答えがありましたように、その辺の連絡につきましては十分考え運営をしていかなければならないと思います。ただ大学としましての研究の範囲は、あくまで基礎的な研究を本旨といたしておりますから、今お示しのような、特に物性のものにつきましては、ただいまお示しのような点は大事でありますので、それは実際の運営といたしまして十分気をつけまして、緊密な連絡をとっていくことに心がけていかなければならない、かように考えております。
  25. 平田ヒデ

    平田委員 本年度予算はどのくらいとってありますか。
  26. 緒方信一

    緒方政府委員 予算はいろんなところに計上されておりますけれども経常費といたしまして三百四十七万五千円、それから設備費が三千万円、なお国立文教の方で施設の経費といたしまして四千万円余計上されております。
  27. 平田ヒデ

    平田委員 二十講座全部を設置し、そうして実験装置などにつきましてもおよそ何年くらいの計画でおやりになる御予定でございますか。
  28. 緒方信一

    緒方政府委員 現在のところ三年計画で充実することを目途といたしております。
  29. 平田ヒデ

    平田委員 私の質問はこれで終りますが、予算も当初だけでなしに必要に応じて十分予算化され、そうしてまた研究所の充実されることを切に望んで私の質問を終ります。
  30. 長谷川保

    長谷川委員長 他に御質疑はございませんか——なければ本案に関する質疑はこれにて終局いたしました。  これより本案討論に付します。別に討論通告もないようでございますので討論を省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  これより採決いたします。本案原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。   〔総員起立
  32. 長谷川保

    長谷川委員長 起立総員。よって本案原案の通り可決するに決しました。  なお本案議決に伴う委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  34. 長谷川保

    長谷川委員長 次に、私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法律案議題といたします。その趣旨説明を聴取いたします。灘尾文部大臣
  35. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 このたび政府から提出いたしました私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び改正内容骨子を御説明申し上げます。  私立学校教職員共済組合は、私立学校教職員共済組合法に基き国、公立学校教職員共済組合と同様に私立学校教職員相互扶助事業を行い、その福利厚生をはかり、もって私立学校教育の振興に資することを目的として昭和二十九年一月一日に設立され、すでに満三年余を経過いたしたのでありますが、今回およそ次のような理由から、この私立学校教職員共済組会法に若干の改正を行う必要を生じたのであります。  まずその第一は、別に御審議いただいております国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案との関連において、この法律関係規定所要改正を行うものであります。  すなわち、この法律は、国家公務員共済組合法におおむね準拠して制定されておりますので、国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案において取り上げております改正規定同様組合員資格喪失後、再就職した場合前後の組合員であった期間を合算する旨の規定を加えることなどの改正を行うこととしたのであります。  第二は、短期経理において現在若干の赤字が予想されますので、組合財政健全化をはかる必要がありますとともに、過去三年間の運営の実績に照らして組合事務運営適確にし、かつ簡素化する必要がありますので、他の社会保険制度の例をしんしゃくしてこのための所要改正を行うこととしたのであります。すなわち組合員資格を明確にし、標準給与最低及び最高の額をそれぞれ引き上げるほか、資格喪失後の継続給付を受けるための受給条件を設ける等の措置によって組合財政健全化をはかり、さらに標準給与決定について現在の随時決定方式を改めて定時決定方式を採用する等の措置によって組合事務適確運営簡素化をはかろうとするものであります。  その他軽微な事項について若干の規定整備するのほか、必要な事項について経過規定を設けました。  以上が本法律案提案理由及び改正内容骨子であります。何とぞ十分御審議の上、御賛成下さるようお願いいたします。
  36. 小林行雄

    小林(行)政府委員 ただいまの大臣説明を補足して私立学校教職員共済組合法の一部を改正する法律案内容について御説明申し上げます。  第一は、組合員資格を明確にすることであります。現行法の第十四条は、組合員資格を単に学校法人等に使用される者と規定いたしておりまして、無給の者の組合員資格取扱いについて不明確な点がありますので、これを学校法人等に使用される者で給与を受けるものに改めたのであります。  なお、休職者資格取扱いについても、現行法ではやや不明確でありますので、今回この休職期間給与の全部または一部の支給を受ける場合は、組合員とみなすことといたしました。  第二は、標準給与の改訂であります。今回、健康保険法においては、その標準報酬について、現行最低を三千円から四千円に、最高を三万六千円から五万二千円に引き上げられることになったのでありますが、この組合においても、この健康保険の例をしんしやくして、第二十二条に規定する標準給与について、最低を四千円から六千円に、最高を三万六千円から五万二千円に引き上げることといたしたのであります。このことは、主として財政健全化理由に基くものでありますが、もちろん標準給与給与の実態に合致きせる意味を持つものであります。  第三は、組合員資格を喪失した後の継続給付受給条件新設したことであります。現行法では、組合員資格を喪失した後、保健給付休業給付を受けるためには、国家公務員共済組合法と同様、組合員としての期間は、条件となっていないのでありますが、私立学校教職員任用関係は、公務員の場合のように明確な法的根拠がないため、国家公務員共済組合と同様に取り扱うことに無理があり、このことが同時に短期給付赤字を生ずる一つの原因ともなっておりますので、今回健康保険の例に準じてこの継続給付受給条件として組合員としての期間が一年以上であることを要する旨の規定を第二十五条の二に新設いたしたのであります。  第四は、標準給与決定について定時決定方式を採用することであります。現行法の第二十二条に規定する標準給与決定方法は、給与の異動のつど決定するという、いわゆる随時決定方式でありますが、今回事務簡素化をはかるため、この随時決定方式を改め、毎年七月一日現在において同日前二ヵ月間の給与月額を基礎として、組合員の一年間の標準給与決定するという、いわゆる定時決定方式を採用いたしたのであります。  第五は、国家公務員共済組合法改正に伴って第十七条を改正し、組合口員がその資格を喪失した後、再び組合員資格を取得したときは、前後の組合員であった期間を合算することといたしたことであります。この結果、前後の期間二十年に達すれば退職金が受けられることになるわけであります。  以上このほか、戸籍の無料証明に関する規定新設運営審議会が各学校種別代表の意見を反映することができるように、その委員の定数を現在の十五人以内から二十一人以内に増加すること、現在準用しております国家公務員共済組合法改正に伴う読みかえ規定整備、今後における国家公務員共済組合法改正の場合の経過措置が当然にこの法律にも適用される旨の規定新設学校法人等強制執行を受けた場合等において掛金収入の確実を期するための納期前の掛金の繰り上げ徴収規定新設及び掛金その他この法律規定による徴収金に関しては、従来の書類の送達のほか収入の確実を期するため、新たに相続、解散、合併等の場合についても国税徴収法規定を準用する旨の改正規定等につきまして、所要規定整備いたしたのであります。  最後に、組合員たる期間の計算が、標準給与資格喪失後の継続給付掛金徴収につきまして、それぞれ必要な経過措置規定いたしたのであります。  なお、この法律施行期日は、昭和三十二年四月一日でありますが、国家公務員共済組合法改正に伴う改正規定につきましては、別に政令で定める日から施行することといたしております。  以上が、この法律案内容の概要でございます。
  37. 長谷川保

    長谷川委員長 本案に対する質疑は迫って行うことといたします。     —————————————
  38. 長谷川保

    長谷川委員長 次に文教行政に関する質疑に入ります。質疑通告がありますので順次これを許します。野原覺君。
  39. 野原覺

    野原委員 文部大臣並びに郵政省当局に、私は教育テレビの問題を中心に若干お尋ねをしたいと思うのであります。  これは大臣も御承知のように、世の中がテレビ時代に入ってきたようでありまして、テレビが開設されました当時は、四年前でございますが、八百六十六台しかなかったのが今日三十五万の世帯にふくれてきておる。アメリカでは四千万、英国では六百万だと言われております。このようにわが国でもテレビがどんどん拡張して参りますと、テレビ子供に対する影響、あるいは消極的な面においては、テレビが悪い影響子供に与えるのではないかという問題、あるいはむしろ今度は逆に積極的に、テレビが非常に子供に興味がございますから、このテレビ子供教育に、あるいは社会教育にもっと利用すべきではないかという問題、こういう問題が真剣に論議をされてきておるわけであります。ところが今日送られておりますテレビは、必ずしも子供に安心して見せられない面があるのではないか。もっと突っ込んで申しますと、ニュースあるいはスポーツくらいが安心して見せられるものでございまして、その他のものはドラマあるいはショー、それもきわめて低俗なものがどしどし出されておるわけであります。そこでこれは困るというところから、教育テレビということが真剣に取り上げられて、最近の毎日新聞、読売新聞が社説でこれを書いておりますし、聞くところによれば逓信委員会では相当真剣な論議が戦わされておるようであります。まず、郵政省電波監理局長がまだ見えていないようですから、文部大臣お尋ねをいたしますが、そういう点で今のテレビは安心して子供に見せられないということに対して、文教当局としてはどのような検討をしていらしっしゃるのか、お伺いしたい。
  40. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 テレビジョンの普及に伴いまして、青少年に与える影響というものが積極的にもまた消極的にも考えられるわけでございます。私どもといたしましてはその影響が大きいと考えますので、特に教育的に配慮された番組というようなものがきわめて必要であると感じておるのであります。また教育の手段としてテレビジョンを活用するということも大いに考えなければならぬことと思うのであります。従いまして文部省といたしましては、教育におけるテレビ利用ということにつきましては先般も申し上げたことがあるかと思うのでありますが、大きな関心を持っておる次第でございます。お話の通りに、今日教育テレビの問題がいわば日程に上りまして、郵政省の方でもいろいろ御検討になっておられるようでありますが、われわれといたしましてもこの問題の重要性にかんがみまして、郵政省に対しましても、特にこの問題については慎重に、しかも積極的に考えてほしいというふうに今申し入れをいたしておりまして時々連絡をいたしておるような次第でございます。
  41. 野原覺

    野原委員 そこで、文部省としては慎重に検討されていらっしゃるようでまことにけっこうだと思いますけれども教育テレビを設けることについて、たとえば今NHKからテレビが放送されておる。あるいは民間でもたくさんのものが出しておりますが、これは子供教育という点ではなはだおもしろくないものが多々あるわけであります。学校あるいは公民館等テレビ教育に役立たせようと考えましても役立てることができない。その内容まことにずさん、これを見せることはかえって害がある、こういうようなことに対して一体どういうお考えを持って対処されようとしておるのか承わりたい。
  42. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 現在のテレビの状況が必ずしも青少年のために有益でないもの、があるということは、私もこれは認めざるを得ないと思うのであります。その意味におきましては、現在テレビジョンをやっておりますところの企業体に対しましては、あまりひどいものをやられることのないように、これは御注意を申し上げなければならぬと思っておるのであります。同時に、できるならばほんとうに青少年にふさわしいような、いい教育テレビというものが実現することがきわめて望ましいと私ども考えておる次第であります。
  43. 野原覺

    野原委員 全く同感でございますが、そこで文部大臣としては、テレビの問題は郵政大臣電波を割り当てる権限を持っておるのでありますが、教育テレビの問題を真剣に考えていらっしゃるとするならば、その点で郵政省と折衝されたことがあるのかどうか。政府としての統一された教育テレビについての方針が出されておるのかどうか承わりたい。
  44. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今日までの段階におきましては、郵政省の方でいろいろ御検討になっておるわけでありますが、私どもの方との関係におきましては、まだ具体的に内容に入って御相談を申し上げるというところまで参っておりません。
  45. 野原覺

    野原委員 どうも郵政省が参りませんので、いろいろただすことがあと先になってはなはだ恐縮でございますが、私の知り得た情報によりますと、今日郵政大臣に対して教育テレビについての申請が相当出されておるのであります。三つございまして、一つはNHK、NHKがラジオの第二放送を出しておる、これを第二テレビということで出したい。もう一つは旺文社であります。これが教育テレビを出したい。もう一つは短波放送、合計三局が、猛烈に郵政大臣に対して教育テレビの出願をしておるのでございますが、文部大臣としては、一体NHKという公共企業体、公益性を持った放送局が教育テレビを扱うことが妥当であるのか、それとも商業放送を主にした民放が教育テレビを扱うことが妥当であるのか、そういうことについてあなたのただいまのお答弁を承わりますと、慎重に検討されていらっしゃるようでございますから、これは相当検討された御所信を持っておられようかと思う。だからそういう点についてはどういうお考えを持っておられまするか、お尋ねをいたします。
  46. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は、教育テレビをいかなる主体がやるのが適当であるかということにつきましては、抽象的にはいろいろ考えられると思うのでありますけれども、一がいに一つの結論を出すというわけには参らぬと思う。具体の企業体がいかなるものであるか、いかなる力を持っておるものであるか、いかなる性格のものであるかということによって結論は出さなければならぬと思うのであります。今日の場合、NHKでなければならぬとか、あるいは民放でなければならぬとか、一定した結論を出しておりません。
  47. 野原覺

    野原委員 電波の割当をなさる権限を持っていらっしゃらないから、そういうのんびりしたお考えも出てくるのではないかと、失礼ですけれども思う。これは文部大臣、真剣に教育テレビのことをお考えになるならば、問題はそこまで突っ込んで検討されて御答弁を願わなければ話は進まぬのであります。というのは、この争いというものは実に深刻なもので、NHKの永田会長はこういうことを放送しております。教育テレビは公共放送のNHKがやってこそいいものができる、教育を商業でやるなどはきわめておかしな話だ、アメリカでさえ教育テレビはノン・コマーシャルだ、世論もこのことはわかるはずだと思う、こう申しておるのに対して、民間放送連盟の足立会長は次のように言っております。教育テレビ民間がやるべきだ。片一方はNHKがやるべきだと言って郵政大臣に迫っておる。民放の方は、教育テレビ民間がやるべきだ、それも東京に一局あればよい、東京で作ったものを地方の民間テレビ局がほしい場合は、それを送ってもらうことは技術的にも可能だ。こういう相当深刻な論争が展開されまして、今郵政大臣はこの問題で非常に頭を痛めておるようであります。事教育に関して最高の責任と申しますか、そういう権威を集めておられる文部大臣が、郵政大臣に対して積極的な意見を出すべきときが今日すでにきておる。あなたの見解を郵政大臣から問われたことはございませんか。ありましたかどうか。郵政大臣教育テレビについて勝手に事を進めておるのかどうか、その辺を承わりたいのであります。
  48. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 どういう企業体に、どういうふうにしてやらせるかというような具体の話につきましては、まだ御相談を受けたことはございません。私といたしましては、教育テレビである以上は、ほんとにしっかりした信用の置けるものにやらせてもらいたい、りっぱな教育テレビが実現できるような企業体にやらせてもらいたい、その点は特に慎重にお願いしたいということは申し入れておりますが、具体の問題につきましてはまだ御相談を受けたことはございません。
  49. 野原覺

    野原委員 そこで相当話が具体的になってきたのでありますが、どうも政府お尋ねをしないと話を進めない傾向がございます。私ども質問がへたでございまするから、質問者の意向を灘尾さんは十分くみとられて、私の聞かぬことでもどんどん一つお話をなさるように、これは衷心からお願いを申し上げる次第であります。  しっかりしたものにやらせると今大臣は御答弁になった。事は子供教育社会教育、成人教育であります。青少年教育であります。あるいは婦人の教育あるいはPTAに対しても私ども考えていけようかと思う。そうなりますと、文部省としてはしっかりしたものということは具体的にどう考えるか。しっかりしたものにやらせるという抽象的なことでは、郵政大臣は困る。そうなってくると、事教育テレビの問題を、郵政大臣が勝手にやってもいいのだ、君は何も意見がないのだなということになって参りますので、一体しっかりしたものにやらせるべきだというのは、具体的にいえば、商業放送を取り上げて、スポンサーがついて薬の広告をやったり、あるいは映画の宣伝をしたりするようなところが、その教育テレビの主管者として適当なのか、それとも公益性を持った放送局がやるのが適当なのかということは、私は賢明な文部大臣考えていらっしゃると思う。その辺を承わりたいのであります。
  50. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お答えいたします。私はしっかりしたものと申しますのは、りっぱな教育テレビを国民の前に提供するだけの力のあるものがほしいのであります。と同時に、その事業を経営する場合におきまして、それが直ちにまた俗悪なテレビに堕してしまうというようなおそれのあるものじゃ困るのです。そういう意味におきまして、質、量と申しますか、内容、実質ともに信頼の置けるものにやってもらいたい、私はこういうふうに考えておるわけでありますが、具体の名前を申し上げてはどうかと思いますが、NHKでなければならぬとか、あるいは民放では悪いのだという結論は、直ちには出ないと思うのであります。具体の事業計画というものによって、十分検討すべきものであろうと私は考えております。
  51. 長谷川保

    長谷川委員長 野原君にちょっと申し上げますが、ただいま御要求の荘電波監理局次長が出席しましたから、どうぞ御質問願います。
  52. 野原覺

    野原委員 そういうような大臣のお考えでは、事は一切郵政大臣決定することになります。私ははなはだおもしろくないと思う。郵政省から電波管理局次長、がお見えになったようでございますから、そちらにお尋ねをした上で、文部当局としてもどう一体考えるべきかということを、私は僣越ですけれども示したいと思う。  そこで電波管理局の次長にお尋ねをいたしますが、あなたの方では、ことしの一月下旬、テレビ電波が現在六チャンネルあるのを十一チャンネルに増加をして、全国各地に百十二局を作るという案を発表いたしました。この六チャンネルを十一チャンネルに増加をするということは、私ども考えでは、今後電波の数が十一以上にはもう簡単にふえない、これは国際的割当ではないかということも聞いておる。そこで、これが最後だというので、金もうけにさとい連中は——テレビは非常にもうかるようであります。これは余談でございますが、非常にもうかる。テレビの株の値段は、今日十倍にはね上っておるのです。そこで、実業家の諸君がわれもわれもと投資をして、この電波の十一チャンネルの奪い合いに必死となっております。そこで電波管理局としては、そういう最もよい十一の波を、教育に二つなり三つなり——これは国民教育でありますから、割り当てる意思が一体あるのかないのか、金もうけの商業放送だけに提供すると考えておるのかどうか、承わりたいのであります。
  53. 荘宏

    ○荘説明員 ただいま御質問のございました、郵政省においてチャンネルをふやす場合に、教育関係電波を割り当てる意思があるかないか、その点についてお答えを申し上げます。  郵政省におきましては、ただいまお話のございましたように、現在わが国で使っておりますテレビは六チャンネルでございますが、その数を十一までふやすことにして、それを全国の各地で適当に組み合せて多数の局を置けるようにしよう、その地域別の割当の計画をいろいろ練っておる次第でございます。それで、ただいま郵政省といたしましては、お話にもございましたが、案を公表いたしまして、各方面の御批判を待っているという状況でございます。その案と申しますのは、簡単に申しまして二つあるわけでございます。ただいまのところの一応の目的は、先ほど申しましたように、波を全国に各地域別に割付をする。どこどこの地区ではどういう波を使って何キロワットのテレビ放送をやる、どの地区ではどういう電波を使って放送する、こういう地域別の割当表を作りたい。将来の電波使用の計画表と申しますか、そういうものを作りたいというのがただいまの目標でございます。それをやるにつきましては、大体テレビ電波を今後どういうふうに使っていくか、どういうふうな方針でその割当表を作るかという基本的な方針が必要なものでございますから、まずその方針を一つの案として考えておる次第でございます。  割当表作成上の基本方針と申しますのは、実は昨年の二月に一度作ったのでございます。しかし、その後いろいろ考えてみますと、その基本方針ではいささか工合が悪いじゃないかというふうに反省いたしましたので、ことしになりまして、それの修正案というものを公表いたしておる次第でございます。そうして、郵政省には大臣の諮問機関といたしまして電波監理審議会というものがございます。この審議会に大臣から案を提示し審議をしていただいておるというのが現在の状況でございます。なお、その基本方針案がもしもいいということになれば、それによって全国の地域別割当をすればこういう姿になるという地域別の割当表も一応作成してございまして、それもあわせて審議会の方へ出してございます。そうして、その内容につきましても新聞発表その他一般に公表いたしておる次第でございます。  そういうことでございますが、結局その基本方針の中に、ただいま御質問のございました教育問題も実は私どもとして考えておる次第でございます。せっかく貴重な電波を使うのでございますから、教育的な目的に充てる、教育的な効果を生む番組を組む、そういったことを大体専門的に実施するような局に電波を割り当てることを考えてみたらどうであろうということを方針の中に書いて、今審議会の御意見を伺っておる次第でございます。従いまして、郵政省といたしましては、まだ最終的にこうやるのだときまったわけではございませんが、一応の腹案といたしましては、教育目的にある波を割当てることにしたらどうか、こういう考えを持っておる次第でございます。
  54. 野原覺

    野原委員 どうも私の質問に対する答弁にはなっていないのです。これははっきり申し上げますが、先ほど私はあなたがお見えにならぬから、文部大臣の見解をお尋ねしたのですが、あなたのただいまの御答弁を承わりますと、周波数の割当については昨年の二月に案を作って、本年の一月には十一チャンネルの最終案が出された、諮問機関でございますから、電波監理審議会で審議することは私はけっこうだと思う。また教育用のチャンネルも方針の中には考えておる。あなた方は昨年の二月にこの案を考えておられたようだが、一体このことについて文教当局の批判を求めたことがあるかどうか承わりたい。あなたの今の御答弁によると、各方面の批判を求めたとあるが、電波教育利用するということについて文教当局はどのような考えを持っておるかという批判を郵政省は求めたことがございますかどうか、お尋ねします。
  55. 荘宏

    ○荘説明員 郵政省といたしましては、電波の能率的な、また公平な、最も公共の福祉に役立つ利用方法というものを私どもの責任においていろいろ考えなければならないものだと考えておる次第でございます。そうしていろいろと電波利用方法について研究いたしました結果、テレビ電波ないしテレビ放送は一つの技術的な手段としていろいろな目的に使い得るわけでございますが、教育方面に使うことが最も大切なことではないかと考えましたので、省としてそういうふうな案を考えた次第でございます。
  56. 野原覺

    野原委員 文教当局の意見は聞いて、いない、これははっきりしたのであります。私はくどいことは言いたくない。  そこで灘尾文部大臣にもう一度お尋ねをします。あなた方は教育テレビの番組、内容だと検討していらっしゃるようでございますが、あなた方がのんびりしている間に、実は教育テレビの問題は、その大元綱のあなた方の意見も聞かないで、郵政大臣がその割当をやってしまおうとしておる。一体大臣はこのことをどうお考えになりますか。
  57. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 教育テレビをやるとかやらぬとかいうような意味合いのことにつきましては、文部省電波監理局との間には事務的にはいろいろ連絡がございます。別に何も無連絡で向うがおやりになっているというのではない。ただ先ほどのお話は、今度の問題を考えました場合に、具体的なお話としてはまだ意見は求められておらないということを私は申し上げておるわけであります。
  58. 野原覺

    野原委員 連絡があるということであれば、その点はけっこうでございます。  それではもう一度次長にお尋ねいたしますが、この周波数の割当で教育用チャンネルを考えなければならないという方針は出しておる。けれどもその十一の周波の中から教育用のチャンネルをあなた方の案の中に幾つ確保しておるか、それを承わりたい。
  59. 荘宏

    ○荘説明員 十一チャンネルがございますが、このチャンネルは十一をいろいろ組み合せて全国各地で使うわけでございます。それでたとえば十一チャンネルの中の第四チャンネルとか、第五チャンネルを全国を通じて教育用に使ってしまうというふうな使い方は、非常にやりにくいわけでございます。全体の総合において局の配置を考えましてその上で最も適当、かつ必要とするものを教育専用局ということにしたいと思っておりますが、現在のところ、どこの地域のどの波を教育専用にするということはまだ確定いたしておりません。現在のところ、大体全国に割りつけ得る波はこういう姿の割りつけであるという表はできておりますが、そのうちでどれとどれが教育局の波であるというふうにはまだきめておらぬわけでございます。それは今後いろいろ御意見等を伺ってきめて参りたいと思います。
  60. 野原覺

    野原委員 それは大へんなことです。教育用チャンネルは考えていない。文部大臣はこれをよく聞いていただきたい。あなたが真剣に検討している間に、郵政省教育用チャンネルは具体的には考えておりません。テレビ子供教育利用するとか、テレビの悪影響を防ぐとか、そういうさまつなことを言っておったって、肝心の電波教育にもらわない限りこれは何にもならない。  それでもう一ぺん、だめ押しをいたしますが、教育用チャンネルは一つも確保していない。私も勉強しましたから、組み合せてやることは知っておりますが、組み合せてやったにしても、あなたの今の御答弁から想像できることは、大都市中心です。ところが実は私どもテレビに期待するのは、農村の子供、漁村の子供にも、東京の子供にも、ほんとうの教育の機会均等と申しますか、そういう教育ができるのではないか、たとえば最近NHKでございましたか、テレビで放送しておりますもので、私が非常に感銘を深くしたのは、この一月十七日から農村向けに特別番組の放送として、近代的な新しい農村を作り上げるためにはどうしたらよいかというテーマで連続して出されているテレビを見ますと、農村における生産性向上の問題、あるいは二、三男問題の解決、あるいは新しい日本の農村はどうなっていかなければならぬか、今日の日本農業の欠点はどこにあるか、日本農業に課せられたその根本的な問題を鋭くえぐり出しておりまして、これが農村の公民館等では非常な共鳴を得ております。私は農村や漁村の子供たち、あるいは勤労階層のいなかにいる人々がこういうものを見せられることによって、日本の文化水準というものが非常に高まっていく、こういうことを考えておりますので、本日は特にテレビの問題をお尋ねしているのですから、郵政省がそういう教育用チャンネルの全国津々浦々に行き渡るようなものを考えていないとすれば事重大です。これでは郵政大臣文部大臣との間にそういうことについての話し合いを具体的になさっていないことが全く明確でありますから、岸総理大臣に来てもらって、岸内閣の文教政策の方針について尋ねなくてはならない。私はそのように考えるのですが、全国津々浦々に周波数の割当、教育用チャンネルというものが、あなた方の案で考えられているかどうか、考えられていないならいないと御答弁願いたい。もしいないんだが、なるほど野原の言うことはもっともだから、直ちに帰って、もう一ぺんこの案については慎重に検討してもらう余地があるかないか、その辺を承わりたいのです。
  61. 荘宏

    ○荘説明員 全国津々浦々までに、実は二つのテレビ・ネット、が敷けるように考えているわけでございます。と申しますのは、ただいま出しております基本方針では、NHKを全国あまねく見聞きできるようにしたい。そのような電波の割当を各地に行いたい。それからあわせて民放のテレビ全国大体NHKと同じように見えるようにしたいということを基本的な考え方といたしております。その場合にNHKは、法律でも、国民の要望にこたえ、かつ文化水準の向上に寄与するということをもってプログラム編成の基本的な要求とされております。先生からお話のございましたように、なかなかけっこうな番組を一生懸命組んで実施しておるように思います。この点は今後といえどもNHKが大いにやられることであろう、かように考えております。そして全国にわたりまして、一日も早くNHKのテレビ・ネットが伸びるということが必要であり、郵政省といたしましてもできるだけそれにお力添えをいたしたい、かように考えております。  それから、もう一つの民間放送の方でございますが、これも十分公共的な公益事業として、その職責を考えておられますので、いたずらに俗受けのする番組を出すということではなく、教育的な効果もあるような番組を組むように、いろいろと骨を折っておられるように思います。しかしながら、いろいろスポンサーの要求等もあろうと思いますので、その間に事業者としてはいろいろ苦しい面もあるでありましょうが、その点につきましては、民間放送当事者において、今後十分教育的な方向に番組を持っていきたいという言葉を私ども聞いております。それで先ほど、全国津々浦々まで教育チャンネルを置くことを考えていないのはけしからぬというお話がございましたが、NHK、民放両方を全国に伸ばしまして、その中において教育的なプログラムというものが今後大いに充実していくことを私どもは期待しておる次第でございます。  また、どうも私の御説明がまずくて御理解しにくかったのじゃないかと、恐縮に存じておるわけでございますが、郵政省教育チャンネルといいますのは、ただいま申し上げましたような一般の報道、教養、娯楽、そういったような総合的な番組を出す局のほかに、朝から晩まで教育専門の局というものが全国に幾つかあってもいいのではないかということを基本方針の中で考えたわけでございます。それを教育テレビ用の波というふうに、私ども役所の中で勝手に名をつけておるわけですが、その分は、そうたくさん全国予定することは困難ではなかろうか、かように思っております。そしてその分について、今予定しておるところはどこだという御質問であると考えまして、先ほどお答えしたわけでありますが、その教育番組を朝から晩までやっている専門局といいますのは——そういったようなものも必要ではないかということを基本方針にうたっておりますけれども、どことどこにどの幅で日本国でやったらいいかということは、まだ方針としてなかなか確定し得ない問題でございますので、そういったことを十分練っていきました上で、どことどこにそういった波をとるがいいかということをはっきりきめたい、かように考えておるわけでございます。従いまして、土地の名前を示しまして、ここの第何チャンネル、ここの第何チャンネルという段階にまでは今至っていないということを申し上げたわけでございます。
  62. 野原覺

    野原委員 教育専門の局を考えておられるということでございますから、これはけっこうなことであります。私は教育専門の局を考える場合に、これはやはりこういうことについて、全国に幾つ置くか、どうしなければならぬかいう場合には、文部当局の御意見も、あなた方が案を作るときに当っては一応聞くべきです。郵政省は、はなはだ失礼なことを言いますけれども教育のことはわからぬ省です。そのために文部省があるのです。だから、事教育に関しては、謙虚な気持で文教当局お尋ねなさい。そうして、文教当局の意見を聞いて案を作って、電波監理審議会に出すということが筋道なんだ。  そこで私は質問を発展させたいと思いますが、私の聞くところでは、NHKはラジオの第二放送を持っておりますので、教育テレビにも第二テレビを作りたい、こういう猛烈な申請を郵政省に出しておるわけでございますが、このごとを一体どのようにお考えになるか、承わりたい。
  63. 荘宏

    ○荘説明員 十一の電波テレビに一応予定しておるわけでございますが、これを全国に張りつけをいたしますと、先ほど申し上げましたように、NHKを一わたり、民間放送を一わたり、これだけやりますと、ほとんども電波の割付は余力がなくなってくるような実情でございます。若干のところにおきましてもう少し電波をよけいくっつける、つまりNHK一つ、民放一つ、それに電波をもう一つ持ってくるというところが若干できるわけでございます。また、あるごく限られた場所におきましては、もう一つぐらい持ってこれるところもあるように思います。しかしながら、そのように三十二電波全国に張りつけをするということは、これはとうてい十一の波では不可能な実情でございます。従いまして、NHKが第一、第二の二つを、このただいま予定しております十一チャンネルの中で実施したいという御注文は、実は技術的に非常に困難、または不可能と申し上げるほかないように思うのでございます。十一チャンネルの中から全国的に第一、第二、両方のテレビをやりたいということは、技術的にむずかしい、こういうふうに考えております。
  64. 野原覺

    野原委員 これはまた議論が逆戻りになった。私の言う十一チャンネル、あなたが言っておることもそうでございますが、御承知のように電波にはよい波と悪い波がある。電波のよい波というのは、略語ではVHFと呼ばれておる。このVHF、が十一の電波だ、こういうことになるので、この波を使わなければ、これは全国津々浦々に普及できないのではないかという考えを私は持っておる。それじゃあなたは、悪い波を教育テレビの方に回そうということですか。今電波監理局、が考えておることは、よい方の波でなくて、悪い波を教育テレビには割り当てる、十一チャンネルを教育テレビに持っていくことは困る、それは十一と別の悪い波だ、こういうように受け取ってよろしゅうございますか、お尋ねします。
  65. 荘宏

    ○荘説明員 御質問意味を取り違えているかもわかりませんが、そのときにはまた恐縮ですがお示しいただきたいと思います。私の申し上げましたのは、十一の波、すなわち先生のおっしゃいました超短波帯でございますね、ペリー・ハイ・フリケンシー、VHF帯の波では、日本では大体十一の波をとることがせい一ぱいであろうというのが現状でございます。しかしこの十一の波ではとても——民間放送を全国に一わたり聞えるようにするということをやめてしまいますれば、確かに二つのネットを全国に引けるだけの余裕は十一あればあるわけでありますから、その場合にはNHKの第一、第二ということができるわけでございます。しかしながら民間放送も、一応NHKと同じように、全国に一わたり見聞きできるようにしようという方針をとりますと、NHKの分が一わたり、それに民放の分が一わたり、その程度以上にはむずかしいということを申し上げたのであります。従いましてNHKとしてこのVHF帯を用いて全国に第一、第二の二つの大きなネットを張ろうということは技術的に不可能であろう、こういうことを申し上げた次第でございます。
  66. 野原覺

    野原委員 大体ただいま一の御答弁は、私の質問によくお答え下さっております。しかし私が満足するかどうかは、これは別なんです。結局あなたの今おっしゃることは、十一チャンネルの波を民放とNHKに割り当てるのだ、そこでNHK、が第二テレビを作りたいと申してきても、十一チャンネルでは今のところ無理ですよ、こういうことなんですね。
  67. 荘宏

    ○荘説明員 十一チャンネルでは、NHKが第一、第二のネット・ワークを全国にわたって張るということは、民間放送も全国一わたりということを前提にすれば無理であるということに相なります。それで私どもが今電波監理審議会に出しております基本方針の中で、NHKを全国に見聞きできるようにするとともに、民放についても同様に全国に見聞きできるようにするという、その方針を改めるか改めないかということになってくるように思います。十一チャンネルということを前提とした場合においてのことでございますけれども……。
  68. 野原覺

    野原委員 そうなると、NHKが教育専門に第二テレビを開設したいと申しても、それはVHFの方では困難だ、だから、VHFというか、悪い方の波を使うならばかまわぬということになるでしょう。ところがこの悪い方の波では十分利用ができない。あなたは専門家ですから御承知でしょうが、これはチューナーをつけなくちゃならぬ。チューナーの値段というものは、今日アメリカ合衆国で一万円以上しておる。こういうものをまた別に取りつけるということになれば、実はこれは大へんなことです。そうなると、この教育テレビに対するあなた方の所信の・ほどを疑わざるを得なくなってくるのです。  私はこれからお尋ねしますが、民間放送というものは商業放送が主なんです。資本金を投じて金もうけのためにやっておるのです。私ははっきり言います。それは金もうけでなかったならば株式会社はできないのです。私はあなたが来る前に申し上げましたが、今日テレビ会社の株は、配当がよいからどんどんはね上っております。これは大へんなことです。そこで今度の十一チャンネルに対しても猛烈な申請が郵政省にきて、郵政大臣が非常に頭をひねっておることもよくわかる。こういうように民間放送が商業化し、商業べースでスポンサーがつくのだということになれば、果してどのスポンサーも子供教育ということを真剣に考えてやるでしょうか。そうなると、問題は、一体教育テレビをどこにやらせるかということです。その基本的なことをまずきめてかかる必要がある。これをどこにやらせるか、私はNHKであってもなくてもかまわぬと思う。教育専門の放送であればよいということになる。ここにやらせるということであるならば、ここに優秀なチャンネルを回すというところの決断を下さなければならぬ。商業ベースの波をとった残りを教育放送に回すということは、文教委員会としては承服できない。これは文部大臣も同感だろうと思う。子供教育、青年の教育、おとなの教育、国民全体の文化水準を高めるところに優秀な波をまず割り当てて、これでやるのだということにしてかからなければならぬと思うのであります。その辺を一体どう考えておられるか。  もう一ぺん質問を具体的に言いますと、一体民間放送で教育テレビということになりましても、これは純粋な教育放送が可能であるかどうかということに対する郵政省の見解と、そうなれば、どこかにやらせるということになって、優秀な波をまず割り当てなければならぬと思うが、それに対してはどう考えるか、この二つについて伺いたいと思います。
  69. 荘宏

    ○荘説明員 郵政省といたしましては、教育的な効果を目的とするテレビ局のための電波というものの割当をこの際予定しようではないか、こういうことを基本方針に書いておるわけでございます。それでそういった使い方の目標と申しますか、目的、そういったことを明らかにして、ある一定の波を、必要なものをこの際とっておこうではないか、こういうことなんでございます。それでそのとりました波をどういう企業体が使うかという問題につきましては、確かに先生のお話のようにいろいろむずかしい問題があると考えます。従いまして郵政省といたしましては、この際は全国的に波の割当、将来の地域別の使用計画というものを立て、教育目的のためにある波を確保しておくということまでが当面の作業でございまして、その波をどういう事業体がどういう金の裏づけをもってどういう具体的な放送内容を出してやっていくかというような問題につきましては、これは非常にむずかしい問題でございますので、今後有識者の方方に十分御検討を願いまして、その上で慎重に決定をいたしたい、かように考えておるわけでございます。そのこともその基本方針の中でうたっておる次第でございます。従いまして先ほどお話のございました民間放送に許す考えがあるかないかということにつきましても、現在のところはまだ未決定という状況でありますので、将来の研究問題にさせていただきたい、かように思っておる次第であります。
  70. 野原覺

    野原委員 その通りだろうと私も思う。まだ決定されていないことは十分知って尋ねておる、だから決定の分を聞いておるのではない。私が聞いておることは、商業放送を主にする民間放送ですよ。いわゆる商業放送がたくさんありますね、日本テレビ、その他ラジオ東京、大阪でもまたできるようでありますが、そういうものがどんどん並列していくと、スポンサーがつくのでありますから、番組がどうしても娯楽本位、興味本位になる、教育的な立場でいえば、番組の質が低下する、ドラマとか、ショーとか、美空ひばりが出たりしないといかぬということにどうしても商業上なってくるのです。その辺をどう考えておるかということです。いわゆる商業ベースに乗せるということでは、せっかくあなたの方が優秀な波を教育テレビの方に回しましても、これは困難な面があるのではなかろうか、公益性のあるところに持っていく以外にないのではなかろうか。これはもちろん決定しておりませんから、決定は聞きませんが、郵政省電波監理局のそういうことに対するお考え方を承わっておきたい、こういうわけです。
  71. 荘宏

    ○荘説明員 先生の御質問は、先ほど私が申し上げました教育専用局と申しますか、そういったようなものの経営形態としては、民間放送形態はおもしろくないんじゃないか、こういう御質問だと存じますが、その点につきましては、はなはだどうも申しわけないのでございますが、先ほど申し上げましたように、郵政省といたしましても現在のところ、どうこうという結論を得ておりません。その点につきましては将来十分その道の権威者の方々の御意見を拝聴して、これは具体的に免許の問題になって参りますので、波の具体的な使い方の問題として十分検討させていただきたい、かように考えておりまして、現在のところちょっとお答えをいたしかねる次第でございます。
  72. 野原覺

    野原委員 これはあなたがここで答弁をすると大へんな反響が巻き起る。だから慎重にやられておることはよくわかるのですが、あなたも御承知のように、逓信委員会東大の新聞研究所長千葉雄次郎さんが見えられて公聴会で証言しておられる。その記事を読んでみると、教育テレビはNHKのような公共機関にやらせるべきである。しかし教育は不偏不党でなければならないから、NHK自身がやる場合は不偏不党の保証が必要である。そうなれば教育テレビ成果が上げられる、こういう証言をしておる。この証書を論駁する者は、わが党の諸君から聞いたのでありますが、実はなかったそうであります。これは私がしろうと流に考えても、金もうけを目的にした個人設立の株式会社の機関では、純粋な教育テレビは優秀な波をもらっても不可能であるのじゃなかろうか、可能ではないという疑惑はだれしもあるわけです。だからそういうことに対して、あなたは慎重にかまえて御答弁になりませんが、この辺を十分真剣に考えていただきたいのであります。そうなるとラジオでございますが、NHKの第二放送、これは非常な効果を上げておる。これに対しては文部省も力を入れておりますし、それから現場の学校の先生も協力しております。だからこういうように民主的な機関を設けて番組を作る、あるいは権威者の意見もどんどん聞く、だからテレビ技術者、ラジオの技術者だけが部屋に閉じこもって一生懸命にやっても、今子供は何髪要求しておるか、世の中のことはわからぬわけでございますから、そういうことも十分考えてやれば、これはやはり公共機関でなければ、そういうことになると不可能ではなかろうか。こうなるとNHKは御承知のように国会で放送法というものを作っておる。これは国会が予算を出しておる。こういう国家的なものにまず優先させなければならない。金もうけを本位にした、——私はどことは言いませんけれども、金もうけを本位にしたそういう会社に割当てて、NHKは一本でいいんだ、ほかの民放と同列だ、こういうような考え方はちょっとおかしいのです。ほんとうに教育放送というものを真剣に考えるならば、NHKの第二テレビくらいやられたらどうか、これは私見です。そのように考えますが、重ねて次長のこれに対する御所信をもう一度承わっておきたいのであります。
  73. 荘宏

    ○荘説明員 私のような役人の端くれが申し上げるべき筋合いではないと思いますが、郵政省といたしましては、先ほど申し上げましたように、今後十分慎重に検討して参りたいということを考えておるわけでございます。その際には先生の御意見も十分貴重な御意見と考えましてその中に取り入れて考えて参りたい、かように思っておる次第でございます。
  74. 野原覺

    野原委員 文部省お尋ねしますが、文部省民間放送に朝の教養番組というのを今でも出していますか。
  75. 福田繁

    ○福田政府委員 御説の通り、従来の朝の教養番組を民間放送を通じてやっております。
  76. 野原覺

    野原委員 この朝の教養番組は、民間放送では何時に取り上げられておりますか、お尋ねします。
  77. 福田繁

    ○福田政府委員 朝の五時半から七時までの間でございます。
  78. 野原覺

    野原委員 まあ、早く起きるおじいさんが聞きますかね。あなた方が朝の教養番組を作ったときは、民放の質的低下を防がなければならぬという趣旨があった。ところがその持っていった民放ではたな上げです。しかし持ってきたらやらなければいかぬというので、五時半から七時までやる。私はここではっきりすると思うのです。どうしても金もうけのスポンサーのつくものはこういうことになる。ゴールデン・アワーと申しますか、非常にたくさんの人が聞く、子供たちが夕御飯を食べて、家族そろって優秀な教育テレビを家の中でほんとうに楽しんで見る、あるいはお母さん方に政治の知識を与える、そういういい時間に放送することは、どうしても民放では不可能になることを、ただいまの社会教育局長の答弁からでもうなずけるのであります。一人で時間を食うことはどうかと思いますから、まだお尋ねしたいことはたくさんありますけれども、これで終りますが、私は文部大臣に要望する。文部大臣は、教育テレビについては真剣に検討していらっしゃる、こういうことでございますけれども、ただいま郵政省の監理局次長の御答弁を聞いてもわかるように、優秀な十一チャンネルがすでに割り当てられようとしております。このときに一体どういうことになるのか。これは文部大臣として公共機関にやらせるべきか、それとも民放にやらせるべきか、これを文部当局も真剣に検討されて意見を出して、むしろ郵政大臣に積極的に私は働くべき時期が来ていると思います。この時期を誤まると、せっかくのテレビ教育利用しようという、教育の機会均等、国民の文化水準の向上はだめになると思う。私はテレビ全国的に教育に取り上げられたならば、今日の日本教育というものは根本から一変すると思っておる。教育の革命だと思っておる。従ってもっと真剣にこの問題を取り上げられて、そうして積極的な意見をすみやかに郵政大臣に出されて、公共機関かどうかということは私は本日は申しませんから、出されて、津々浦々にこの教育テレビが有効に国民の間に利用されるように、これは大臣としてはお取り計らい願いたい、このことを要望いたします。従って私の要望に対する文部大臣の御所見を承わって質問を終ります。
  79. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 野原委員の御要望の趣旨は十分承わっておきます。
  80. 長谷川保

    長谷川委員長 米田吉盛君。米田君に申し上げますが、実は今大へん重要な質問でございましたので、野原君に長時間許しましたが、あと四人ございますので、きょうなるべく必要なことをお聞きいただき、明日もまた委員会があるはずでございますから、さように一つ御尽力を願います。
  81. 米田吉盛

    ○米田委員 文部大臣に伺いますが、学校医の全国の総数と、それから一年間の出校回数及びその時間数、それからこれに対する報酬が戦前と比較したものがわかれば、さらに承わりたい。
  82. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 政府委員から答弁いたさせます。
  83. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 学校医の総数につきましては、延べ人員で大体五万になっております。これは一人でかけ持ちをしておるものもありますので、実員で申しますと、それよりも少いのでございます。学校医を設置しておりまする学校が三万九千百五十一となっております。ですからほとんどの学校学校医がおるということになっております。それから出校日数については、平均十五・六日、大体十六日くらいの出校日数になっております。時間数で申しますと、一人年間の平均で四十一・七時間、こういうことになっております。それから報酬でございますが、戦前の報酬は大体最低三十円から最高が二百円、現在の報酬は最低が五百円、最高が一万八千円、平均が三千円、倍率に直しますと、戦前の三百倍をちょっとこえております。
  84. 米田吉盛

    ○米田委員 三百倍をこえておるというお話ですが、実は私が調べましたところによりますと、戦前は年間五十円くらいだったと聞いております。三十円から二十円ということになると、その差がだいぶ開いておるように私は思います。私が調べたのでは、大体五十円前後と聞いております。それから今日の出校回数は八十回だと聞いておりますが、この点もあなたの方の調べと大へん違っておるのですが、私の方が間違いでしょうか。
  85. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 私が申し上げましたのは全国平均でございますので、都市によっていろいろと事情が違うと思います。出校回数につきましては、文部省といたしましては、年間の授業数を三十五週と押えておりますので、一週間に一日程度、三十五日くらい出ることを希望しておるわけでございます。しかし今お話しのように特殊な場合にはそういうケースもあるかと存じます。それから次に金額の点ですが、私はちょっと感違いをしておりまして、お話のように大体五十円前後が戦前だと思います。現在の平均が三千円でございますので、六十倍程度でございます。
  86. 米田吉盛

    ○米田委員 多少の違いはやむを得ないと思うのですが、この程度、戦前の六十倍の手当というようなケースがほかの場合の報酬の問題であるでしょうか。大体三百五、六十倍から四百倍というのが常識になっておるのですが、こういう点から考えると、学校医の報酬というものは時代から取り残されておって、そうして学校医の犠牲の上に新しい教育が行われつつある現状と見るべきじゃないか、こう思うのですが、御所見いかがでしょうか。
  87. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 学校医は御承知の通り非常勤の公務員でございますので、お話のように大体低いことは事実でございます。非常勤の公務員といたしましては、教育委員とか昔の学務委員等の制度もございますが、一般に非常勤の方はお話のように低いのでございます。今後こういう犠牲において学校教育運営をはかることは私どもも好ましくないと思いますので、できるだけ増額するように関係方面と折衝しております。
  88. 米田吉盛

    ○米田委員 これは私が申し上げるまでもなく、学校の健康管理、健康教育というものは、戦後の新しい教育の一大特色になっておるわけです。この淵源は、御承知のようにワイマール憲法の生存権の保証の宣言以来の問題でありまして、わが憲法二十五条はこれをおごそかに規定しております。この精神を受けて、学校教育法十二条にこのことが定められておるわけであります。そういうことを考えてみますと、新しい教育精神というものをどの程度に理解して行政をやっておるかというようなこと、が疑われるのじゃないかと思うわけであります。これは非常勤だからといって結局犠牲をしいるような格好になるわけでございます。これらの規定をいろいろ見ても、その仕事の分量、責任というものが戦前とはうんと違っておるわけです。この点はほんとうに新教育の精神を達成しよう、目的を達成しようというお考えでなければならぬし、またそういうお考えであれば、その裏づけのこういう施策がもっと急速に世の中とテンポを合せて実現しなければならぬ。こういうような報酬の問題は文部省が直接出すわけではないでしょうけれども、できれば半額の負担くらいは国庫でやるという勢いで、それまでにでもとりあえず緊急措置教育委員会の方に指導していただくように、私はぜひ有力な方法で有効な施策を希望するわけです。大臣の御所見を伺いたいと思います。
  89. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 地方財政計画の方に一応見込んでおるのが大体三千円程度でございますので、地方財政計画において、その裏づけになりますところの基準財政需要額の引き上げについて今後努力いたすとともに、できるだけ地方の教育委員会にもこれが増額方についてしばしば要望して参ったわけでございます。大へん現状が低い点については私どもも遺憾に思っております。
  90. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 学校医の問題についてのお尋ねでございますが、実は私も今日の学校医の状態につきましては、一面においていかにも整備しておらない状態に驚きますと同時に、今日学校保健の問題が学校医のいわば奉仕的な熱意によってやってもらっておるような状況であることに対しましては、学校医の諸君にも感謝しなければならぬと思っておる次第であります。いずれにいたしましても、今日学校保健の問題はほとんど行政指導でやっておるというような状況でございまして、学校医の執務の状況等につきましても、学校により、あるいはまた市町村により、あるいは学校医それ自身によってかなりまちまちになっておるようにも思うのであります。これはすみやかに保健に関する制度というものについて検討を加え、それが整備をはかって参らなければならぬ段階で、むしろおくれておる、こういうふうにも感じておる次第でありまして、ただいま学校保健関係の総合的整備についてすみやかに一つ研究をし、その結果を得るように、下僚の諸君にも依頼しておるようなわけであります。学校医の制度等につきましても、その一環として十分検討いたしたいと考えております。
  91. 米田吉盛

    ○米田委員 次に教育の新しい内容について、これはわれわれはある程度知っておることもございますが、新しい文部大臣がどういう考えでおやりになっているかということを、この場所を通して国民に周知させたいと思います。御承知の原子力の時代に入って、今や新しい産業革命の時代が来つつあるわけでして、これに対して、大学には若干の措置がとられつつあるように見受けられますが、これとても問題にするほどのものではないわけであります。こういう時代の科学技術教育の振興について、初等教育から一貫した施策をお考えになっているだろうと思うのですが、こういう点がありますれば、基本的なお考え方を承わりたいと思います。
  92. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 科学技術教育の問題につきましては、お話の通りに、今日申さば産業革命の時代に際会いたしておるわけでございますので、その重要性は申すまでもない。来年度予算等においてもその方面については若干の配意はいたしたつもりでございますけれども、率直に申しまして、これでは、とうてい不十分であります。むしろ私の気持をそのままに申し上げますれば、とてもこんなことでは間に合わないという気持すらいたしておるような次第でございますので、私どもは皆さんの御指導のもとに勉強いたしまして、科学技術教育の振興については思い切って力を入れてみたいと思います。その意味においては、大学教育はもちろんでございますが、お話の通りに初等中等教育から一貫して日本の科学技術教育の新しい生命を開いて参りたいというふうな気持さえいたしておる次第でございます。ただいま省内の諸君にもよく申しまして、これについて現状を十分明らかにして、その上に立ってしっかりした計画を立ててもらい、その計画に基いて、明年度以降においては皆さんの御協力も得て、予算等についてもできるだけ増額をはかって参りたい、かようなことを考えておる次第でございます。何といたしましても、今の時代に今日のごとき状態ではまことにおぼつかないという気持がございますので、この問題についてはともどもに解決いたしたいかような念願を持っております。
  93. 竹尾弌

    ○竹尾委員 私はあまりお尋ねをしないつもりでいたのですが、たまたま米田委員から名質問が出ましたので、これに関連して、大臣にもう一度その点の御所信を確かめたい。  今米田委員の御質問の通りでありまして、オートメーションと原子力の時代になりまして、これから産業大革命が参りますので、御所信まことにけっこうと承わっております。この次の三十三年度予算の編成も間もなく参りますので、私どもは具体的にこの問題を解決していただかなくては困る。そこで理振法の改正どもこれから審議していただくのでありましょうが、理振法、産振法などをさらに適切有効に運用いたしまして、十分大臣の御所信も断行していただきたい。と申しますのは、予算をとっていただきたい。この予算を三十二年度も相当とっていただきましたが、さらに十倍くらいの予算をとっていただきまして、一つ大いにやっていただきたい。この所信をもう一度御確答願いたい。
  94. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 科学技術の振興ということを考えます場合において、この方策はいろいろな角度から考えられるだろうと思います。私はその意味におきましては、その振興方策については一つ総合的な計画を立ててみたいと考えております。私といたしましては、根限りの努力を払ってこの計画を樹立し、実施いたしたいと思います。これは予算がなければ仕事にならぬわけでありますから、予算の増額につきましては精一ぱいの努力をいたすつもりでございます。今日の予算の何倍がいいのかということは、検討の結果に待たなくてはなりませんが、気持といたしましては十倍でも二十倍でも出さなくてはならぬというくらいな気持で事に当って参りたいと思っております。
  95. 米田吉盛

    ○米田委員 これは今のお話の通りでありまして、日本では教育を尊重するとか、科学の振興をはかるとか、あるいは理科振興、産業振興、いろいろの・単行法がありますが、単行法があっても振興しないし、なくてはなお振興しないという、実は妙な文化国家なのであります。  われわれが歴史上考えて見るに、ドイツが工業立国をもくろんだときに、まず最初に手を着けたのは、基礎科学の振興を断行したことです。これが初等教育から基礎科学の振興をやったために、理工科系統に進む青年がどんどんふえていって、そして今日の科学ドイツを築き上げたことをわれわれは考えるわけであります。このことは戦後の経営に当っても米ソは申すに及ばず、ドイツ、イギリス、フランスあたりもこういう点の着想をとっくに実現しつつあるわけなんです。実は文部省からいただいた資料を読みますと、戦前の大学生は、ドイツでは五千五百であったが、今回は西ドイツだけでも十一万九千にふえた、イギリスは五万であったものが今九万にふえているということが書いてあります。どうもドイツの戦前五千五百というのは、法文科全体をひっくるめて二十からの大学で、少し数が少いように思うのですが、とにかくそういう報告があります。西ドイツは人口が五千万に減って、国土は半分近くになったにもかかわらず、彼らの目指すところは米ソを相手と考えて、非常に気宇が壮大なありさまである。それがために大予算を投入して教学の拡充に進んでいる。特に工業技術者と原子物理学者の養成には特段に力をいたしているという報告がありました。こういうことを考えて、われわれはおそいけれども、ぜひこの点は従来の文部大臣のように口頭禅に終らぬように、われわれもやりますから、一つしっかりお願いいたしたい。  それからこれと関連いたしまして、短期大学の問題であります。これはもうすでに中教審の答申も済んでしまっている。世間はこの制度は暫定的なものであるから、早く恒久のものに確定を望んでいるわけでありますから、これを確定するということは、もう日程に上っているようなものでありますが、まだ文部省としてはこれに確たる御決定がないようであります。この点についてはどういうような過程にありますか、一つ承わりたい。
  96. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 短期大学の問題につきましては、御質問の通りに中教審の答申も経ているわけであります。われわれといたしましては、その答申の趣旨を尊重いたしまして、これに具体的に取りかからなければならないわけでありますが、この問題につきましては、なお各方面にいろいろ意見もございますので、その点についても、とくと検討していきたいと思っております。また同時にただいまお話しに出ておりましたような科学技術振興というような面からもまた検討しなければならぬところ、があるのじゃないかというふうに考えますので、目下のところは検討中という段階でございますけれども、これにつきましても、他の諸施策と合せてなるべくすみやかに結論を得たいと思います。
  97. 米田吉盛

    ○米田委員 時間がありませんから、こまかく質問したいのですけれども、できませんので、あとは日教組の問題をちょっと承わりたい。この問題は二つあります。先般閣議でも問題になりました日教組の使節団が方向を変えて中共を視察した。これについては十九日の閣議でも——大臣は御出席なかったようでありますが、旅券法違反であるからどうしなければならぬとかいうような方向の最後決定はなかったが、大体半ば決定らしいような形がとられておるようでありますが、この使節団はすでに帰っておりますが、どういう進行過程にありましょうか、この問題についてお伺いしたい。
  98. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今度の今お話しの問題でございますが、フランスに行くということで出発せられましたが、途中から方向が変って中共の方に行かれ、とうとうフランスにも行かずに帰られた、こういうふうな事実であると承知いたしておるのであります。どういう事情があったのか、その事情はつまびらかにいたしませんけれども、事実はそういうことになっておるわけであります。このフランスに行かれるのについて——これもあとで聞いたことでございますけれども、中共にま行かないというような誓約書をお出しになった方も相当多数おられるようであります。私といたしましては、法の問題はともかくといたしまして、かようなことがそのま事実であるといたしますならば、これは非常に遺憾なことだと思うのであります。ことに学校教職員という身分を持っておられる方が規律を乱り、また誓約したことをほしいままに実行しないでほかの方角に行かれることは、まことにあるまじきことであり、まこと遺憾千万であると申さなければなりません。これが法的措置ということになりますと、これは一概に私は論定できないと思うのです。旅券の問題からいたしますと、確かに旅券法に違反しておるということになりましょう。しかしこれは別に罰則があるわけじゃございません。またフランスに行くと称しまして中共に行ったという事実に対しましても、どの法条をもってこれに当るかということになりますと、その人の個々の場合において、いろいろまた情状等について考えなければならぬ点もございましょう。果してこれが法条に当るか当らないかという問題についても問題があるようでございますが、しかし私といたしましては、いやしくも教職員たる身分を持っておられる方が、かようなことをなさるということは、これは少くとも教職員の信用を失墜する行為だと思う。信用にかかわる私は行為だと思いますので、そういう意味合いにおきまして、地方の関係機関に対しても注意を喚起いたしまして、それぞれの地方の任命権者でありますとか、監督者であります。とか、そういう責任ある権限のあるところでもって、この−問題につきまして十分善処せられることを期待いたしておる次第であります。
  99. 米田吉盛

    ○米田委員 それから十一日の一斉早退の問題でございますが、これは新聞によりますと、日教組の本部で発表しているのは、五十万人の早退をやって大いにやったと発表し、文部省はせいぜい十五万人くらいしか推定できぬという御発表だと聞きますが、これは新聞のことでございますが、同じ教育に携わる関係の人々で、一体どうしてこんなに一方に山があるのか、どっちに山があるか。これはどちらにあっても、教育に携わる考として非常に不適格であると思うのです。その点どういうようなお考えでありますか。
  100. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 十一日の事柄につきまして、政府委員から報告の入っております事項について御説明したさせます。
  101. 内藤誉三郎

    ○内藤政府委員 ただいままでに府県から報告の入っておりますのは三十七件ございまして、今回の事件につきまして、特に目立った点を申し上げますと、県全体として不参加のものが奈良県と佐賀、この二県でございます。で県全体にわたって大部分が不参加、これが山口、富山、島根、徳島、香川、この五県はほとんど参加しておりません。それから県内の一部に相当数不参加があった、いわゆる一部不参加の県が九県でございます。その他は大体集会時刻は三時半ないし四時以降というのが私ども受けております報告に共通した問題でございます。授業の変更は、若干一、二のところに問題はあったようでございますが、ほとんどなかった。これは集会時刻が遅れたせいでございます。それから集会の単位が学校ごとということがきわめて多いわけでありまして、町村単位の会場も相当ありますが、このために表面的な数字が実はつかみにくいわけであります。学校ごとに職員会議をやっておりましたのを、組合会議に切りかえたというような事情もございまして、それのつかみ方が屋外の場合は割合にはっきりできるのですが、こういう点について数字の食い違いがある。私どもの受けた報告によりますと、大体二割五分ないし三割というふうに報告になっております。総数を五十万と見まして、二割五分ないし三割という数字を出したのであります。高等学校組合についてはほとんど参加しておりません。
  102. 米田吉盛

    ○米田委員 これは、この前瀬瀬文部大臣のときにも法律に反した者は断乎たる処分をすると大へん大きく発表になりました。今回も大臣が七日に日教組の小林委員長たちを集められて警告せられておる。こういうようなことがあることは、遺憾であるというようなこまかい内容まで御説明になっておるわけです。しかし多少時間をずらしたところもあるという話しでございますが、あえてやるのならやってみろと言わぬばかりに挑戦的といいますか、そういうような格好で出てきておる。世間の父兄は、この前の大臣も何かいかにもたくさんの処分、責任者を出すという態度をとられたけれども、あれは竜頭蛇尾になって、あの跡仕末はさっぱりわけがわからなくなった、今度もそうなるのじゃないか、ということは、逆に日教組がたけだけしくやるならやってみろと言わぬばかりの態度でやっておる。そしてやった効果が五十万も動員できた、こう発表しておるところから見ても、これはいかにも教育者の団体らしからぬ実は宣伝屋の集まりのような態度だと思う。こういう点についてまだはっきり、だれがどうしてどうなったというこまかいところまでわかっていないから、今どういうことをなさるという具体的の御発表にはならぬと思いますが、どうぞ警告はただおどかしでやらないでもらいたい。そういう段階をもはや今日は過ぎておると思う。この点一つ決然たる態度で、全国の父兄生徒に、その責任の所在を明確にしていただきたいと思います。御所見を伺います。
  103. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私どもの念願しておりましたことは、教職員組合の諸君が法の範囲内において行動せられることは、これは差しつかえないと思いますけれども、いやしくも法に反するがごときことは絶対してもらいたくないという趣旨をもちまして、しばしば地方にも連絡をし、また日教組の諸君にもこのことを御注意いたしたようなわけであります。今回の地方の状況につきましては、ただいままでの報告は今政府委員から申しました程度のことでございます。何さま広範囲にわたることでございますので詳細なことはわかっておりませんけれども、いやしくも法に反するがごとき行動に出たということがありますれば、明確な態度をもって処置してもらいたいというふうに、十分に地方へも連絡いたしておるわけでございます。
  104. 米田吉盛

    ○米田委員 私の知っておる範囲では、外国に教職員組合があるというところもそうたくさんは知っておらぬのですが、日本の日教組のような性格で教職員組合があるということを寡聞にして聞かないのです。日教組の性格はくどく申し上げるまでもなく、一方的の考え方であって、しかもそういうような一方的に偏向した考え方の指導的立場のグループがあって、これからいろいろの指令が出る。これはかなり行き過ぎた指令が出るのですが、内部から批判して反省するというようなことも、全国の教員全体の中に有効に展開されない。結局少数の、一握りの丹頂ヅルの指令に盲従しておるという姿が、大観した日本教育界の姿です。個々の先生についてはりっぱな、穏健な、識見も豊富な人がありますが、一たび団体行動として現われる場合は、五十万と号するだけの者が動員せられたというのです。このことは私は教育界の由々しき問題だと思います。こういうようなことを考えてみまして、私は学校の先生には学校の先生らしい倫理を一般国民以上に要求すべきものだと思うのです。一体、人間には職域倫理というものがあると思うのです。裁判官に対しては一般の国民よりも、裁判官なるがゆえに特に公平でなければならぬという職域倫理があると思う。かりに軍人にたとえてみれば、軍人は特に勇気がなくてはいかぬ。先生についても特に着実な倫理を持っており、誠実に事をやらなければならぬという職域倫理というものが倍加されておるものだと思うのです。そういうところから見ると、この日教組幹部のやり方というもの、指令というものは乱暴きわまる、非常識なものだと思う。堂々とすわり込みをやる、これは暴力です。文部大臣の部屋や廊下へすわり込んで、何百人という者が——一人、二人の気違いがやったのなら別ですが、何百人という、しかも先生の代表として選ばれた人がそういうようなことをやって、警察官の世話になって出される、こういうようなことは私は暴力だと思う。そうして階級的エコイズムだと思う。こんな暴挙を堂々と先生がやりますから、生徒がこれを見習うわけです。だから戦後の子供の状態を見ると、暴力を肯定するような不祥事件が非常に累積しておるのです。こういうような無秩序な状態に先生の団体を置くべきではないと私は思う。これが法に触れるとか触れぬとかいう問題以上に、私は先生という特別な職域倫理の立場からこういうことを容認できないわけなんです。この点について考えますときに、今日の文教行政の一番大きな問題は、日教組をまじめに、本心に、正しい立場に立ち返らすことが、私は文部大臣の最大の仕事だと思う。こういう点はどうも憲法でいろいろの自由が保障されているんだから仕方がない、こういった単に法律だけにとどまらないで、文教関係の特別な職域倫理の立場から、私は適切な、効果のある方法を一つ考えられなければならぬと思っております。こういうように日教組は性格が非常に激しく、御承知のように何でも闘争を目的として執拗にやるわけです。賃金にしても人事異動にしても、少しでもかみつくかどがあれば峻烈に闘争を展開していく。なまやさしいことで平和裡に事をやるというような考えは初めからない。結局最後は法廷闘争にまで持ち込んでいごうという方針を明確にしておる今日の日教組なんです。そしてこの方針を実行するための莫大な資金を裏づけとして持っておるわけなんです。これに対して今の教育委員会は五人の教育委員、貧弱な予算である。私はよほど教育委員会というものは勇気もありまた識見豊富な卓越した教育委員でなければ、この日教組を相手にはできない。従って教育委員会の指導というものはなまやさしいものではないと思います。すぐ法廷闘争に持っていく、何かあればすぐに言いがかりをつけるというようなことでありますから、教育委員会が中正厳正に有力な指導を行うためには、よほどこれは考えを根本において改めなければならないのではないか。こういう点について、大臣としては教育委員会が厳正な処置のとれるような方策を何かお考えになっておるかどうか、この点一つ承わりたい。
  105. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 日教組を対象としてのお話でございますが、日教組の今日までの行動につきましては、ときに行き過ぎがあるというようなこともあったと存じます。またものの考え方につきましても、これは私一個のものの考え方からいえば、違っておるというところも少くないのであります。その行動につきましても遺憾であると考える場合も少くございません。しかし幾ら私と考えが違っておりましても、私の考えをこれに強制するわけには参りません。憲法上保障せられたる権利は、これは認めなければなりません。ただ願うところは、私どもといたしましては、日教組の諸君がほんとうに先生らしい心持ちで、先生らしい行動をとってもらいたいということを願っておるわけであります。そういうふうな意味合におきまして、最も大切なことは、今お話にも出ましたけれども、地方においてそれぞれ教育を担当しておりますところの機関、すなわち教育委員会の諸君が、しっかりした考えのもとにその仕事をやってもらわなくてはならないと思うのであります。その点につきましては御注意もございますけれども、私といたしましても特に留意いたしまして、新教育委員会がほんとうに法律改正趣旨を如実に現わすように努力してもらいたい。このためには文部省といたしましても、十分に緊密な連絡のもとにやって参りたい、かように考えておる次第でございます。今後法の実績に照らしまして、非常に不備があるとか欠陥があるということならまた考えなくてはならぬと思いますけれども、ただいまのところは昨年御制定をいただきました新教育委員会をほんとうにりっぱに、成績を上げるように指導、助言をして参りたい、そういうふうに考えております。
  106. 長谷川保

    長谷川委員長 本日はこの程度とし、次会は明十四日午前十時より開会いたします。  これにて散会いたします。    午後零時四十分散会      ————◇—————