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1957-02-28 第26回国会 衆議院 文教委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月二十八日(木曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 長谷川 保君    理事 坂田 道太君 理事 竹尾  弍君    理事 河野  正君 理事 佐藤觀次郎君       北村徳太郎君    清瀬 一郎君       杉浦 武雄君    永山 忠則君       並木 芳雄君    濱野 清吾君       山口 好一君    木下  哲君       小牧 次生君    櫻井 奎夫君       鈴木 義男君    高津 正道君       野原  覺君    平田 ヒデ君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤誉三郎君         文部事務官         (大学学術局         長)      緒方 信一君         文部事務官         (社会教育局         長)      福田  繁君  委員外出席者         文部事務官         (大臣官房総務         参事官)    斎藤  正君         文部事務官         (大学学術局大         学課長)    春山順之輔君         専  門  員 石井  勗君     ————————————— 二月二十八日  委員山崎始男君辞任につき、その補欠として櫻  井奎夫君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一七号)  学校教育社会教育及び南極地域観測船「宗  谷」の氷海脱出状況に関する件     —————————————
  2. 長谷川保

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  まず文教行政について質疑に入ります。質疑通告がありますので、これを許します。佐藤觀次郎君。
  3. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 大臣スポーツの問題でちょっとお伺いしたいと思います。極東大会の開催もあり、また将来のオリンピック大会を控えておるので、わが国スポーツに対して、厚生省などでもいろいろ議論がありますが、今までスポーツは大体文部省体育課が主管をしておりましたが、新たに文部大臣になられた灘尾大臣は、スポーツ行政に関してどんな御意見を持っておりますか、最初にお伺いしたいと思います。
  4. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私はスポーツ振興ということには、前にも申し上げましたが、格別力を注いでみたい、かように考えております。それもただ選手の養成というようなことだけでなしに、国民全体の間にスポーツを普及し、スポーツ振興をはかって参りたい、かように考えておるのでございますが、その方向に向っていろいろ努力をして参りたいと思うし、また御協力も得たいと思うのでございます。それについて、ただいまスポーツ行政についてというお話でございましたが、このスポーツ関係する行政は、ひとり文部省だけでもないと思います。いろいろ他の部局におきましても、スポーツのことに御協力を願わなければならぬ向きもあるかと考えるのでありますが、それらは十分連絡を密にいたしましてやって参りたいと考えております。  なおまた、文部省の内部の機構の問題、これも従来文部省といたしましては考えて参りましたところでございまして、先般の予算要求の際にも、文部省の中に体育局というようなものを作りまして、この方面仕事をさらに一そう促進するために力をいたしたいと考えておった次第でございますが、これは御承知のように予算といたしましてはものにならなかったのでありまして、まことに残念に考えております。しかし心持はさようなところにあるわけでございますので、今後ともにこの問題については研究も加えてみたいと思いますが、同時に省内の各部局の力を十分総合いたしまして、できるだけ成果を上げるようにいたしたいと考えておる次第であります。
  5. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 先日のメルボルン大会で、国民は非常に期待しておったわけですが、案外日本成果が上らなかったということは、われわれ日本人として非常に遺憾に考えるわけでございます。今後も四年後にローマの大会があるわけでありますが、そういうことについて、文部当局人々はどのような方法で日本スポーツを世界的ならしめるというような対策をお持ちであるか。また日本文化国家として戦争を放棄した関係もありますので、われわれとしてはこういう方面に新しい世界的な発展をしたいというように考えておるわけですが、このメルボルン大会の反省をして、将来こういうようなことをやるというような方針があるかどうか。大臣でも文部当局でもいいですから、お話を願いたいと思います。
  6. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 専門的なことは私にもよくわかりませんが、メルボルン大会成果ということだけをとって考えてみますと、いかにも思った通り成果を上げ得られなかったということは、申し上げられるのではないかと思うのであります。これは言いかえれば、日本選手が諸外国に比較いたしまして弱かったということにもなろうかと思うのであります。これは今日日本の持っておる実力がその程度であるということでありますので、その実力向上を目ざして進んで参らなければならないのではないかと思うのでございます。ただ私は、オリンピック大会において優秀な成績をおさめることは、もちろんわれわれとして心から望むところでございますが、それだけを直接の目的といたしまして、スポーツ振興あるいは普及をはかるということもいかがであろうかと考えるのであります。むしろ日本の中で、いわゆるスポーツ人口とでも申しましょうか、これが非常に多くなることによりまして、そこに適切な指導が加えられて、初めてりっぱな選手がたくさん輩出するということにもなろうかと考えるのであります。今後の問題といたしましては、できるだけ広い範囲スポーツを行う人ができ、それに対しまして専門家が適当な指導を加えることによって、初めて今後の成果が期待できるのではなかろうか、かように考えている次第でございます。
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 国会に出る前に、実は文部省体育局の独立というような構想があったように聞いておるのでありますが、今年度はだめにしても、来年度にそういう御意思があるかどうか、大臣にお伺いいたしたいと思います。
  8. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 文部省立場といたしましては、従来体育局を設置したいという考えはもちろん持っておるわけであります。この次の機会におきましても、できるだけ努力して参りたいと考えております。
  9. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 これはまたちょっと違った問題ですが、最近教育テレビジョンの問題がいろいろ問題になっております。実は今のテレビジョン娯楽性ばかりで、教育的な効果がない、われわれも子を持っておりますが、テレビジョンをやると子供が勉強しないということで、非常に家庭的にも悩みがあるのですが、将来文部省教育テレビの面について確固たる信念があるかどうか、また商業テレビでなくて、こういう方面に力を入れることが非常に重要だと思いますが、大臣はこれについてどういう所感を持っておられますか、お伺いいたしたいと思います。
  10. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 近来テレビジョンがだんだん普及して参ったのでありますが、テレビジョン教育というものを結びつけて考えることは非常に必要であろうかと考えるのであります。諸外国実情をよく存じませんけれども外国におきましても、教育方面テレビジョンが非常に活用せられておるというふうにも聞くのであります。われわれといたしましても、日本テレビジョンがだんだんと発達して参りまするにつけまして、これと教育という問題を結びつけまして、十分考えて参りたいと思うのであります。最近御承知のように、教育テレビジョンというような計画もあるのでございまして、私ども重大な関心を持っておるわけでありますが申すまでもなく、ほんとうに教育的効果を全うするような、りっぱな教育テレビジョンが実現することを望んでおる次第でございます。
  11. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 だいぶテレビジョン発展いたしまして、民間テレビジョンも非常によくなっておりますが、教育テレビに関しては、スポンサー付教育テレビというのは筋として非常に違っているように思います。特に今後日本教育山間僻地までやるには、テレビジョンが一番いいと思うのです。そういう点で郵政大臣などでは、何か民間放送と一緒にやったらどうかという意見もあるらしいし、いろいろのそういういきさつもあるらしいのですが、文部大臣としてはこういう問題についてどういう所見を持っておられますか、確固たる信念を承わりたいと思います。
  12. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は別に具体的に自分としての構想を持っておるわけではございません。今申し上げましたように、りっぱな教育放送というものが行われることを期待しておるわけであります。その意味におきましては郵政大臣に特に教育テレビジョンの問題についてはよく連絡もしてもらいたいし、またいいものができるように特別の御配意を願いたいということを申し入れておるようなわけでございますが、これを一体どういう形においてやるか、だれがどういうふうにしてやるかというようなことにつきましては、特に私今まとまった考えを持っておりません。
  13. 長谷川保

  14. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私は定時制教育の問題につきまして、文部大臣に二、三御質問を申し上げたいと思います。  御承知通り昭和二十八年の第十六国会ですか、これで高等学校定時制教育及び通信教育振興法が成立したわけであります。このことは全くわが国勤労青年奨学措置を講ずる、こういう意味から非常に御同慶にたえない次第ごございますけれども、しかしこの法律の第一条にはこの目的がはっきりとうたわれておりまして、「勤労青年教育重要性にかんがみ、教育基本法精神にのっとり、働きながら学ぶ青年に対し、教育機会均等を保障し、勤労と修学に対する正しい信念を確立させ、もって国民教育水準生産能力向上に寄与するため、高等学校定時制教育及び通信教育振興を図る」と、ここに非常に目的をはっきりさしてあるのでございますけれども、しかし遺憾ながら現在の定時制教育実情を見ますと、この法律の不備な点でもございますけれども施設に対する補助あるいは教職員給与補助勤労青年に対する奨学措置というような重要な項目がこの法律の中にはっきりとうたい上げられていない、附帯決議というふうな形になっておる、そういう点もありまして、必ずしも現在の日本定時制教育というものは所期の目的に沿っていないのではないか、こういうことを憂えるわけであります。  特に地方財政が今日非常に赤字状況を来たしておりまして、各府県とも相当赤字に悩んでおるという状況でございますし、なおまたこの法律の第三条において、国は地方公共団体がやる、たとえば通信教育総合計画を樹立することとか、あるいは施設または設備整理する、あるいは内容の改善をはかる、こういうことを国としては奨励し、かつ指導と助言とを与える、こういうふうに国としては地方公共団体の運営に大幅にまかしてあるというような点、それから先ほど申しました地方公共団体財政的逼迫、こういう点が今日やはり地方定時制教育の不振を招いておる大きな原因だ、こういうふうに私ども考えておるわけでありますが、この定時制教育振興、いわゆる勤労青年の学問を続けていこうという奨学意味あるいは教育機会均等、こういうような立場から、定時制教育について大臣はどのようなことを考えておられるか、一応所信をお伺いしたいと思います。
  15. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 定時制高校教育につきましては、一口に申し上げますれば、私はこの法律精神にのっとりまして、その振興発達をはかって参りたい、かように考えておるのであります。お話通りこの法律に規定しておりますことはいろいろございます。これを目標といたしましてできるだけ理想に近いものを実現していくということに努力して参らなければならぬと思っております。御承知のように国の財政にいたしましても、地方財政にいたしましても、どういたしましても限られた制約があるわけであります。少くともその制約の中においてもできるだけこの目的に向って近づいていくという努力をなさなければならぬ、さように考えておる次第でございます。今度の予算におきましても、できるだけの努力をいたしたつもりでございますけれども、思う通りのことも参っておりません。しかしわずかながらも今回は新たに施設補助といたしまして五千万円を計上した、これはその方面に向って努力したいという心持の現われとして一つ御了承願いたいのでございます。
  16. 櫻井奎夫

    櫻井委員 三十二年度の予算に新たな施設補助として、五千万円計上されておるということは、やはり定時制教育振興一つの現われであろうと私どもは非常にこれは敬意を表するわけでありますが、しかし今行われております。学校教育の中で、定時制教育は非常に弱いために、やはりほかの学校制度よりも圧迫されております。そのしわ寄せがそこにいっておる、こういうふうに思われてならないのであります。特に生徒の方から申しますと、非常に優秀な素質を持って、教育を受けていけばりっぱな人材にたるというような人々が、いろいろな経済的理由、家庭の事情等から就学ができない、こういうのが非常に多いわけであります。こういう子供たち教育を均等に受けさしてやる、こういう意味がこの定時制教育には非常に多いと思うのであります。従って今そのような非常な不遇な立場にある子供、青少年、こういうものを何らかの特別な措置、たとえば奨学資金というような措置を講じて、この定時制教育を受ける恩典に浴させる、こういうことを何か具体的に考えておられないかどうか。お伺いいたします。
  17. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今お話のような、従来ないものを特にこういうことをやってみたいというような意味において、具体的にまだ私構想を持つておりません。しかし定時制教育というものがいかに大切なものであるかということについては十分考えておるつもりでございますので、漸次御趣旨に沿うように努力して参りたいと考えております。
  18. 櫻井奎夫

    櫻井委員 ぜひその点は、不遇な、力がありながらいろいろの周囲の状況で就学できない、こういう人材を伸ばすという意味からも特別な考慮文部当局としてはお払いになるように、切にお願いいたしておきます。  もう一つ施設あるいは定時制教員給与の面でございますが、この振興法によりますと、これは当該設置者に対し、予算範囲内において補助する、こういうふうに予算範囲内で補助するということになっておりますから、予算のかげんにおいてはいくら少額でも予算範囲内ということになって、常にここに圧迫されてくる、こういう点ももう少し考慮になって、定時制教育振興のためにも、予算範囲内というようなことでなくて、三分の一とか、二分の一とか、はっきりした基準を設けられて、定時制教育振興に当られる御意思があるかないか。
  19. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 予算範囲内という字句はしばしば用いられている字句でございまして、かりに二分の一以内というような言葉を使いました場合に、四分の一でもよければ三分の一でもいいのだ、法律上そういうことにもなろうかと思います。しかし現実の問題といたしましては、御承知のように二分の一以内と書けば、二分の一を予算に計上するのが通例だろうと思います。従ってあまり字句に拘泥していただいても困る場合が実はあるわけであります。法律で作ります場合にも、多少そこらにゆとりを作っておきませんと、うまく法律ができないということもございますので、その辺は法律用語例一つの問題として御了承を願いたいと思います。しかし御趣旨はよくわかっておりますので、私どもとしては、今後ともできるだけ予算の獲得に努力して参りたいと存じております。
  20. 櫻井奎夫

    櫻井委員 次に教員給与の問題ですが、これは大臣はおわかりにならなければ、事務官の方からでけっこうであります。  義務制給与は半額国庫負担で、半分は国、半分は地方公共団体から出る。県立の全日制は県から出る。今度定時制交付税交付金の中に含まれておるというお話を聞きましたが、地方公共団体から出るのと交付税から出るのと、そのパーセンテージはどんなになっておりますか。
  21. 斎藤正

    斎藤説明員 お話のように、高等学校職員給与負担関係は、定時制については全日制高等学校と違いまして、市町村立のものでありましても、義務教育と同様に県費負担となっております。従来これは一部を国庫で負担するという制度がありましたが、それが中止しておりまして、今回それを復活するということも一応検討して予算等要求をいたしました。しかしこれはいろいろ財政の都合で実現いたしませんでしたが、町村における定時制教育の実態から考えて、今後とも検討して参りたいと考えております。
  22. 櫻井奎夫

    櫻井委員 これは非常に重大なことだと私は思います。先ほど申しました通り地方公共団体は今財政的に非常に逼迫している。地方財政の中に占める教育費の割合は非常に大きいわけです。従って赤字県等におきましては教育費の方にしわ寄せをしてくることは現実の問題となって起きている。特にこのことが教員低質化、あるいはいろいろな学級の整理統合、こういうふうな面に大きな現実の問題となって起きている。そういう状態の中で、特に弱い、また設立後日浅い定時制の受ける重圧というものは想像にかたくない。普通の全日制職員さえも減らそうという段階にある今日、定時制は夜間のものが多いし、全日制定時制を兼任している先生方は非常に多い。そういう場合に、どうしても整理の対象がこういう定時制教員の方に向けられるということは考えられるし、また現実に起きている。従って定時制教育を今後この法律趣旨に基いて大いに振興していくという文部省の御趣旨であるならば、やはりそこに奉職しているところの職員の地位の安定というものはどうしても確保してやらなければならぬ。そのためには先ほど説明員からお話があったように、給与を今まで国が四〇%ですか負担しておったというような、せっかくそういういい制度があるものを取り上げて、赤字に苦しんでいる地方団体にこれまでも負担させるということは逆行していると思う。私どもから言わせれば、国費の補助を四〇%から。五〇%さらに七〇%と上げていくことにこそ、定時制振興があるのであって、これを逆にもぎ取るということは、定時制はどうでもいいというような、非常に軽視しているとしか考えられないのですが、これは文部省の大蔵省に対する折衝の努力が足りたかった結果かもしれませんが、ぜひこれは元の制度に復していただいて、こういう恵まれない子弟を夜間教育していくという、目の当たらない場所の教育、こういうものは文部省あたりで大いに庇護してやるという精神で今後やっていただきたい。従って給与の問題もぜひ元の制度に復するような努力をしていただきたいことを大臣に要望いたしたいのでございます。     —————————————
  23. 長谷川保

    長谷川委員長 次に国立学校設置法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。質疑通告があります。これを許します。佐藤觀次郎君。
  24. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 わが国大学教育は大体文科系統重きを置いておりまして、外国では理工学系統が七割で文科系統は三割ということでありますが、日本では大体七割が文科系統理工学系統が三割程度ということになっております。これは日本の将来について非常に重要な問題であると思うのですが、もうそろそろこの辺で今までの方針を変えて文部省科学系統理工学系統に、予算関係もありますが、重きを置くという考えがあるかどうか、今年度の予算では無理でありますが、文部大臣はそういう点等についても何らかの見解を持っておられると思いますので、まずその点からお伺いしたいと思います。
  25. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 大体論といたしましては、ただいま佐藤君の申された通りだと私も考えるのであります。少くとも国立大学関係におきましては、お話通り重点理工科系に置いて進んで参りたいと思います。今度の予算においても、その趣旨はかなり現われておると私は考えるのでございます。今後ともにさような努力をいたして参りたいと考えております。
  26. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 先日私北海道に行ったのですが、函館には水産大学分校がありますが、この内容が非常に充実しておりませんし、せっかく大学研究生などがおっても、いろいろの設備も見ましたけれども、大したことはない。北海道方面では水産が非常に重要でございまして、特にそういう感を深くしたわけでございます。日本の将来に関しまして、たとえば今高等海員が不足しておりますし、商船関係大学日本としては非常に重要なポイントを持っているのではないかと思いますし、また水産の問題でも、日本では重要な産業一つでありますから、こういうような教育にもう少しウエートを置いて努力する意思があるかどうか、文部省としてみれば、あれもやりたいこれもやりたいというようにいろいろな問題があり、予算の半額は義務教育費国庫負担でありますから、その予算考えればそう無理には言えませんけれども、何か将来原子力とか、いろいろなこともありますけれども、こういう部面にウエートを置いて今後やっていくというような方針をこの際打ち立てられるべきではないかというように考えておりますが、そういう点についての何か構想があるかどうか、まずお伺いいたします。
  27. 緒方信一

    緒方政府委員 ただいま水産大学商船大学充実の問題の御質問でございますが、大学の今後の充実につきましては、各地方実情に応じましてそれぞれの特色を生かしてこれを充実していく、もちろん先ほど御指摘がありましたように、理工系を時代の要請として優先していかなければならぬのはもちろんでございますけれども、そのほかの考え方といたしましては、さきに申しましたように、地方産業文化に照しまして、その特色を生かしてやっていくということが大事であろうと考えます。水産大学商船大学につきましても、今後充実していかなければならぬ面はたくさんあると思いますが、現在のところその需要とのにらみ合せ等も十分考えましてやっておるような次第でございます。今後十分検討いたしていかなければならぬ、かように考えております。
  28. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 事務当局となれば、今の稻田次官も、おそらく緒方局長もそうだと思うのですが、全体の今までのバランスの上に立っておるからなかなか思い切ったことはできない。これは実際の文部省予算を見ると、あそこも少しここも少しということで進んでおるようなところがあります。私は四年ばかり前にスエーデンノルウエーに行きましたが、スエーデンノルウエーという国は、御承知のように海運と漁業、その他山林も盛んでありますが、自然を生かしていく面が非常に発展をしておる。たとえばスエーデンは世界第三位の商船国となっておりますが、こういう点は、わずか八百万かそこら国民であれだけの力があるというのは、やはり得意の産業重点を置いて仕事をやっておるからと思うので、こういう点について、事務当局でなくて、灘尾文部大臣に、せっかく文部大臣になられたわけでありますから、灘尾文部大臣地方財政に詳しい人でありますし、財政面からも考え一つ来年くらいは何かそういう面にウエートを置き、それはたとえ商船大学でも水産大学でもけっこうですが、そういう点についての画期的な熱意があるかどうか、そういう点について何らかの御意図はあるかどうか、これは一つ大臣にお伺いしたいと思います。
  29. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 水産大学でありますとか、あるいは商船大学でありますとかいうのが議題になっておるわけでありますが、私といたしましては、産業界の趨勢と申しますか、あるいはまた需要関係と申しますか、そういう点を勘案しつつその方面施設を伸ばしていかなくちゃならぬ、こういうふうに考えておる次第であります。
  30. 小牧次生

    小牧委員 関連してこの際文部大臣にお伺いいたしたいのであります。それは九州の久留米の大学の問題です。ただいま佐藤君の質問に対しまして、いろいろ理工系統の大学教育についてもお考えになっておるような御答弁がございましたので、この際一つはっきりした大臣の御意見を承わっておきたい、かように考えるわけであります。どの程度新しい文部大臣が御存じであるかどうかよく存じませんけれども、従来久留米には九州大学の分校がございましたが、いろいろないきさつのためにこれを本校の方に引き揚げまして、現在校舎、それから機械等の設備、こういうものと、それから先生方、これがもとの学校にそのまま残っておる。地元におきましては戦時中に相当莫大な寄付をいたしましてこの学校を設置し、そうして現在までそれが続いて参りまして、これが急に福岡の九州大学の本校に引き揚げられるということに文部省方針がきまりました際に、私どもに対しましても、何とか既存の設備を生かして工業技術系統の教育発展のために、引き続き何らかの形でこれを存置してもらいたい。そのためには学生の通学の便その他いろいろなことを考えて、地元久留米市におきましても、多大な負担をいたしまして新しい大きな橋も最近完成をいたしておるようであります。私も一、二回現場を視察もいたしましたし、また他の文教委員の方でも現地を御視察になった方もあるわけでございますが、今日まで文部省の態度がきまらないために、ずつと放置されて参っておるような現状であります。現在大学制度についても、いろいろ文部当局において、それぞれの諮問機関に御意見を聞いて御検討中であるようでございますが、非常に久しい問題でございますので、すでに何らかの方針なりお考えが出ておるのではないか、かように私は考えるわけでございますが、この際文部大臣の御所見をお伺いいたしたいのでございます。
  31. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ただいま御質問の久留米のお話は、私も就任以来しばしば伺っております。非常に御熱心な御要望として頭に置いておるわけであります。この国立大学の問題につきましては、一般的に申し上げまするならば、今日国立大学がかなりたくさんあるわけであります。しかもその内容必ずしも充実しておらない。いろいろな御批評を受けておるわけでございますので、政府といたしましては、ここしばらくは既存の国立大学について、その内容を整備充実をして参りたい、こういうような考え方をして参っておるわけであります。そういうふうな意味合いからいたしまして、新たに国立大学を作る——短期大学にいたしましても、これを作るということにつきましては、かなり慎重な態度をとって今日までやってきておるわけであります。その関係から、熱心な御要望がありますにもかかわらず、またわれわれも頭を悩ましながら、なかなか結論を出し得ないような状態でございます。  ただいまお尋ねの久留米の問題は、たしか短期大学にしてほしい、こういう御要望であったように思うのであります。短期大学につきましては、今申しましたような問題もございまするし、同時に現在の短期大学をこのままでやっていいのかどうかというような議論もかなり強いものがあるわけであります。御承知のように、中央教育審議会におきましても、すでに短期大学に対する答申も出ておるようなわけでございますので、この短期大学をどうするかという問題について、目下私どもの方では慎重に検討をいたしておるわけであります。この問題は、今各地で二、三短期大学の設置についての御要望がございますが、あわせて考えてみたい、かように現在といたしましては考えておる次第でありまして、私個人の意見のようになるかしれませんけれども、久留米の大学のごときは、もし新たに設置するということになりますれば、当然考えなきゃならぬところじゃないかというふうにも考えておる次第でございますが、ほかとの関係もございますので、いろいろ目下慎重に検討しておる、こういう状態にあるというふうに御了承願いたいと思うのであります。
  32. 小牧次生

    小牧委員 大体大臣の御意見はわかりましたけれども、御承知通り、これは非常に長い間の問題でございまして、何らかの形において結論を出していただくべき時期ではないか。こういう観点から考えますと、ほかにもいろいろ似たような問題があるから、これと一緒に関連して考えて参りたいという御意見には、多少私も意見があるわけでありますが、御承知通り前の久留米大学には機械設備その他膨大なものがすでにあるわけであります。それからまた生産科学研究所と称しまして、教授の方々が数十人あそこにすでにおられましていろいろ研究をやっておられますので、全然新しい予算が必要でないとは言わないわけでございますが、もし新しく金を投ずるにいたしましても、ほかの新しく設置される短期大学なりそういった構想に比較いたしますと、これは非常に少い金で現有設備を生かして、そうしてまた地元側の御希望もかなえてやれる、こういう特殊な条件もあるわけでございます。北九州は御承知通り非常に工業の盛んなところでございます。福岡県には、ほかにたしかどこでございましたか、小倉でございますか、短期大学がもう一つあるようでございますけれども、しかし大牟田、久留米、あの一帯の盛んな工業関係その他から考えまして、何らかの形で今申し上げたような条件を顧慮していただければ、おそらくそれに対してはそう強く反対されるような方もいらっしゃらないのではないか、これは私個人の想像でございますが、推察いたしておるような次第でありますので、ほかの大学制度一般あるいは数ヵ所の短期大学等の関連もあるということは一応はわかりますけれども、何らか一つ従来のいきさつも考えていただきまして、近い将来に妥当な結論が出るように、この機会一つ御要望申し上げておきたいと思います。
  33. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 小牧君から関連がありまして、私も久留米を見たので、久留米市があの学校の近くに一億円以上の経費の橋をかけて、ようやくでき上ることになってから福岡に引き揚げられたような事情がありますので、同様ぜひ一つ久留米のことは解決してやっていただきたいことを御要望しておきます。  なお大学問題と関連いたしまして、今、日本を悩ましておる問題は大学の入学試験だと思うのです。われわれも毎日電話がかかってきて、おそらく同僚委員も、文教委員にでもなれば学校へ入れてもらえると思って電話がかかってきておると思うのですが、大学入学試験のためにわれわれは頭を悩まし、父兄の立場から考えますとお気の毒だと思うのですが、これは灘尾文部大臣の責任ではありませんけれども、何らか抜本的な方策はないか。これは競争でありますからやむを得ませんけれども、入学試験の緩和についての何らかの対策がないものか、一つ大臣でなくてもいいですが、これを何とか緩和する方法とか、あるいはこれについての打開策というものがありやいなや、お尋ねしたいと思います。
  34. 緒方信一

    緒方政府委員 仰せのように大学の入学試験は非常に激しいのでありまして、いろいろと問題もあるのでございますが、入学志願者の状況を申し上げてみますと、高等学校の卒業者が三十二年度の推定によりますと七十二万でございます。そのうち四〇%くらい進学をするものといたしますと、二十九万余の進学希望者が出てくるわけでございます。それから、今申しましたのは三十二年度の卒業生でありますけれども、前年度以前の卒業生、いわゆる浪人というものも相当あるわけでありますので、これも進学の志望をいたしますので、これをいろいろ合せますと、しかも一人が何ヵ所にも受けるということになりますから、延べ数から申しますと相当な入学の志願者がある。それに対しまして現在大学で収容できまする入学者は、三十一年度にいたしまして十七万程度でございます。従いまして四人以上に一人というような倍率になりまして、試験が激烈になってこれが問題になっていることは御指摘の通りであります。ただこれの緩和につきましては、現在大学の数が多いというような批判もありますが、しかしこの観点から見ますと、総数から申しますとまだ多過ぎるということにはならない。これはほかの問題もございますけれども、この関係からだけ申し上げます。この緩和の問題は、ただ大学行政の観点からだけではなかなかむずかしい問題でございまして、世の中の父兄の考え方、必ず大学に進学しなければいかぬといったような考え方を是正するという観点もございましょうし、あるいはまた根本的には学校制度の検討という問題も伴わなければならぬと存じます。ただ私ども非常におそれますことは、大学入学の試験がこういう激烈なために、そのために高等学校以下の教育も従って影響があるというようなことになりますと、これは問題でございますので、入学試験のやり方等につきましては十分注意を払いまして、問題の出し方等につきましては大学の方にも十分要望いたしまして、あるいはまた文部省でもそれらの研究をしまする協議会等を作りまして、検討いたしておるような次第でございます。ただいま御指摘の点は、この緩和策に何か妙案はないかということでございます。これはなかなか一朝一夕には参りません。先ほど申しましたような根本的な問題もあわせ考え、なお私どもとしましては大学試験のやり方等については十分注意を払って、これが高等学校教育をゆがめていくということのないようにしたい。御質問とはかなりお答えがそれますけれども……。
  35. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 お互いに入学試験の問題については悩んでいるわけですが、外国日本のようなこういう激しい競争のある国が、とこかあるかどうか、またそういうことについての調査はできているかどうか、一つ課長さんでもだれでもよろしいから伺いたい。
  36. 緒方信一

    緒方政府委員 外国の調査は十分できておりませんけれども、これは国によっていろいろ違うのではないかと思います。アメリカのごときはさほど競争のある状態ではなかろうと思いますけれども、ヨーロッパの国におきましては相当厳密な試験制度がございまして、大学に進む者は下の段階から相当ふるわれて入っていくというような制度もあるやに聞いております。十分そういう計数的な資料は持ちませんが、大体そういうことであります。
  37. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そうすると今までやりっぱなしにしておいて、これは文部大臣の責任ではないですけれども文部省としては入学試験は仕方がない、幾ら苦しんでもやっていけということでやっておられるか、あるいは何らかの方法で外国の例にならってこの方法を変えるというようなことについて、一体努力をされたことがあるかどうかということを一応お伺いしたいのであります。
  38. 緒方信一

    緒方政府委員 これは先ほど申し上げましたように根本的には非常にむずかしい問題でございまして、私の私見になるかもしれませんけれども、相当学校制度につきましても問題があるのではないか。また一般の就職をしますためには大学を出なければ就職ができないといったようた社会の一般的な考え方、そういうことにつきましても、いろいろと実業界方面との関係もございましょうけれども、一般の認識に待って進めていく必要があるのではないか。かように考えておるわけであります。従来もいろいろそういう点につきまして努力はいたしたと存ずるのでありまするが、非常にむずかしい問題でございますから、一朝一夕にはなかなか解決ができない問題であろうと思います。
  39. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 私たちもやはり入学試験に悩んで、結局一高を受けて落っこちて、早稲田に入ったのですが、灘尾文部大臣のように秀才だとそういう心配はないと思いますが、ぜひ一つ文部省にこういう入学試験の対策の機関でも作って、何とかこの入学試験地獄を解消するように、近ごろ盛んに完全雇用ということをいっておりますが、学生の完全雇用も一つやっていただきたいと思います。そういう立場から、この入学試験の問題は一文部大臣の力だけではできませんけれども、しかしこれは毎年々々続けていけば相当弊害が起きるのではないか。学校に奉公したり、また若い青年のうちで希望を失って投身自殺する者も出てくるのではないかと思われるのですが、灘尾さんはそういう苦労をしておられないからわからないだろうと思いますが、私どものところにこのごろ毎日電話で悩みを訴えてくるのです。こういう点を何とか考えて、一朝一夕には参りませんけれども、この入学試験というものについては、今は中学校から高等学校とずっとあるわけですが、みないい学校、いい学校へ行きたがるのです。郷里のわれわれの中学校からも、世話してくれないかということで頼まれておるわけですが、こういうような入学試験全体について何らかの対策を講ずるように、文部省でも一ぺんに解決はできないでしょうけれども、これは外国でもドイツあたりではそういう点があると思うのですが、こういう点について新しい構想を練って、こういう苦労を少しでも減らすような方法を考える御意思がないかどうかということを、ちょっとお伺いしておきます。
  40. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 入学試験の問題につきましては、悩んで参りましたことは私もその例外ではございません。入学試験なんということは昔からあったものでございますが、最近また特にやかましい問題になってきておるわけであります。今のような状態でありますと、先ほど局長が申しましたように、受け入れ態勢をふやす以外に手がないということになろうかとも思うのであります。しかしこれはおのずから限界がある。特に日本の状態から申しまして、そうむやみに粗末な学校ばかりふやすわけには参らないという制約もあるわけであります。そういう点から考えますと、このままやっていけば、毎年この悩みを繰り返すということになるわけであります。何か名案はないかということはだれしも考える問題でございますけれども、なかなか名案がないというのが実情だろうと考えるのであります。これにつきましては、今の学校制度そのものが一体どうなのか、そこらにやはり考え直す余地があるのではないか。あるいはまた先ほど国立大学等につきましては、内容の整備充実をはかるということを申し上げましたが、これらにつきましても、学生がむやみに東京の大学を志望するとか、あるいは京都の大学を志望するとかということでなしに、各地における国立大学がそれぞれ権威のある国立大学になって、こっちの方のことをやりたい人はこの学校へ行くんだ、こっちの方に進みたい人はこの学校へ行くんだというふうに、どの大学もそれぞれ特色と権威を持った大学になりますれば、学生が一つ学校に集中してくるというようなことはよほど少くなってくるのではなかろうかと考えます。あれこれいろいろ考えてみなければならない点がありますが、お話しの通りに、学生といたしましては、また父兄といたしましては、切実な問題でありますので、お話のような趣旨もございますので、私どもといたしましても何か一つ文部省の中でも十分検討さしていただきたいと思います。またよい御案がありましたらどうぞ一つお示しを願いたいと思います。
  41. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そこで文部省予算を多くとってもらうことにしているのですけれども、私立大学がだいぶ充実してきまして、早稲田、慶応、関西では同志社とか関西学院というようなよい大学も出ておりますが、私ども考えでは、私立大学文科系統をやらして、理工学部は金がかかるので、国家で補助する必要がありますから国立大学にやらせるようにする。そういう方向へ持っていってネジを回していくようにやれる方法があるのではないか、何といっても理工学部とか医学部というものは金がかかりますから、私立では困難な点があります。ことに医学部は御承知のように今いろいろの関係で学生をとることが少いし、設備がやかましいので、なかなか経費も不十分だといろいろ訴えられるわけですが、そういう点で私立大学の方へはできるだけ文科系統の者を収容させるようにし、国立大学には理工学部の金のかかるものを一つ背負ってもらって、そうしてできるだけ予算をうんととるというような方法をとったら、少しはうまくいくんじゃないか、こういうふうに考えますが、そういうことについて何らかの方法があるかどうか。それを最後に質問して終りたいと思います。
  42. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 国立大学の方は理工科系、法文系だけはもっぱら私立大学というふうにはっきりとやるわけにもいかぬと思いますが、大体論といたしましては、今日すでにそういうふうな方向に向っておると、こう申し上げてもよろしいのじゃないかと思うのでありまして、現在国立大学における学生数を考えてみましても、六割以上が理工科系の学生になってきておる。私立大学もまったく逆になっております。そういうふうな傾向にあるということだけは申し上げられると思うのであります。今後の国立大学充実あるいは拡張というような面におきましては、今お話しになりましたような心持でやっていかざるを得ない、さように考えておる次第でございます。
  43. 長谷川保

    長谷川委員長 平田ヒデ君。
  44. 平田ヒデ

    ○平田委員 佐藤先生の御質問に関連してでございますが、公立大学は文字通り公立でございまして、補助もなし、借金するところもなし、禁治産者のように府県の経費だけでまかなわれておりますので、いわゆる谷間の大学と言われておるようでございますけれども、これに対して大臣はどんなふうにお考えになっていらっしやいますか。
  45. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 もともと公立大学は各地方団体がそれぞれの必要からいたしまして設置したものでございます。特別国の援助を当てにして作ったとか、特に国の方から作らしたというものではないと思います。従って建前から申しますと、公立大学というものは公共団体でそれぞれ内容充実、拡充、発展をはかっていっていただきたい。かように考えておる次第でございます。しかしお話しの通りに、現在の実情から申しますと、公立大学の方があまり優勢でない、充実しておらないといううらみは確かにあると思います。私どもといたしましては、公立大学の方まで国の援助を積極的に差し伸べるということは、現在の状態といたしましてはかなり骨が折れる、そこまでなかなか手が伸びかねておるという状況でございますが、一面におきましてはこれを設置いたしておりますところの各公共団体におきまして、自分の実力相応の施設をやってもらいたい、そうしてだんだん内容充実をはかってもらいたい、かように考えております。公立大学のことを全然等閑視しておるわけではございませんけれども、今の状況から申しますと、直ちに積極的に公立大学の方へうんと力を入れるだけの余裕はないように私は考えております。この問題につきましては、なおよく研究さしていただきたいと思います。
  46. 平田ヒデ

    ○平田委員 御趣旨はわかりましたけれども、何だかまま子扱いにしていらっしゃるような気がいたしますが、佐藤委員もおっしゃいましたように、入学試験が困難で、学生が東京の学校に出られない。そこで公立大学の方にはみ出ると言っては、公立大学を私自身が大へん変なふうに申すようになりますけれども、そういう点を緩和する意味でも——いわゆる地財法の適用を受けている県も多うございますので、経営の面でも非常に困っている公立大学に対して何とかしたいという気持の表明だけでございますが、今年度は募集人員を全国で四千名減らしていると聞いております。そういうことは学生の完全雇用ですか、そういうような面から見ましても、私はただいまの政府のお考えと大へん違うように思うのであります。しかし四千名減らすということになりますと、勢い教授、助教授陣も私は減らされるのじゃないかと思います。そういたしますと、いわゆる完全雇用の公約とも反してくるのじゃないか、そんなふうに考えるのでございますけれども、この点いかがでございましょうか。
  47. 緒方信一

    緒方政府委員 ただいま学生定数の問題をおあげになっての御質問でございますので、私から申し上げます。公立大学につきましては、文部省でも現在まだ三十二年度の学生定数につきましては十分わかっておりませんが、おそらくこれはそう減員する実情ではないのじゃなかろうかと存じております。四千名減らすというお話はどういうお話でありますか、私どもまだちょっとよく見当がつきませんが、それぞれ公立大学としましては三十二年度としましてもやっていかれるのでございますから、減る実情ではないのじゃなかろうか、かように考えております。
  48. 平田ヒデ

    ○平田委員 私の福島県では、福島大学の学芸学部が本年は百名減らすという事実を聞いております。この四千名というのは最近陳情の人から聞いたのでありますけれども、こういう点については一応御調査願いたいと思います。そしてこれに対しても、これは地方自治体でもって作ったんだから、当分は財政的援助はできないと大臣はおっしゃっておりますけれども、こういう点については特に力を入れていただきたいと思いますが、当分は見込みなしというようなことになりますと、施政方針と変ってくるのじゃないかと思うのですけれども、この点についてはぜひ善処していただきたいと思うのであります。
  49. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私の申し上げましたことは、決して公立大学を縮小してよろしいとか、そういう意味で申し上げたわけではございません。各公共団体で力を入れてやってもらいたい、ただ国の方から今積極的に公立大学の方へ財政的な援助とかいうような手を差し伸べるほどの余裕がなかなかないということを実は申し上げたわけでございます。今お話になりました入学試験との関連のお話はまことにごもっともだと思うのであります。そういう点は十分私どもにも考えさせていただきたいと思います。
  50. 長谷川保

    長谷川委員長 河野正君。
  51. 河野正

    ○河野(正)委員 国立学校の設置問題を中心として論議が進められて参りましたから、一、二お尋ね申し上げておきたいと思うのでございます。  御承知のように今度国立学校設置法の一部改正の中で、東京大学の中に物性研究所が設立されることに相なって参りました。もちろん原子力時代でございますから、こういった原子科学に対します研究施設が生まれて参ることは私どもも喜ぶべき現象だというふうに考えるわけでございます。そこでちょっとお尋ね申し上げたいと思いますのは、国立学校設置法の改正によって物性研究所が東京大学に設置されるわけでございますから、もちろん総合的な研究所であるということは私ども理解するわけでございます。この総合的研究所の性格でございますが、この法文の説明にもございますように「共同利用の研究施設として」ということでございますから、私どもその共同利用という意味も多少わかるのでございますけれども、しかしいろいろ関連する問題もございますから、ここで一点明らかにしておいていただきたいと思いますことは、この共同利用という性格は、東京大学の学内で原子核に対しますいろいろな研究をやっており、そういった研究の中で総合的に研究を完成していこうというのが、この物性研究所を設置せられました精神であるのかどうか、  この辺をまず聞いておきたいと思います。
  52. 緒方信一

    緒方政府委員 共同利用の内容でございますが、これは国立学校設置法第四条第二項にも規定がございます。  「国立大学教員その他の者で当該研究施設目的たる研究と同一の研究に従事するものに利用させるため、国立大学に、左表の通り研究施設を附置する。」こういう規定に基いてこれを設置したいということでございます。  そこで共同利用は、ちょっと御質問の中にございましたけれども、東京大学の中のほかの部門と共同していくという意味だけに限りませんで、ただいま読み上げましたように、広く大学研究の中におきまして、ほかの大学協力して、研究者等に利用させるという趣旨でございます。現実にすでに東大に付置されております共同利用の研究所といたしまして、最近できました原子核研究所、それからこれはちょっと前でありましたが、宇宙線観測所、こういうものがございます。京都大学にも基礎物理学研究所というのがございまして、共同利用の成果を上げております。それと同じような意味におきまして、このたび物性研究所を東京大学に付置したい、こういう趣旨でございます。
  53. 河野正

    ○河野(正)委員 さらにその点をお尋ねしておきたいと思いますが、それはただいま局長の方から答弁がございましたように、それぞれ研究に従事するものが共同利用していくというようなことでございますが、御承知のように各大学におきましても、原子核に対しまするそれぞれの立場から研究しておる機関があります。そういった研究機関とこの物性研究所との関係がどういった関係になるのか。要するに今度できて参ります研究所を共同施設として利用するということは私ども了解するわけでございますが、各大学におきましてそれぞれの立場から研究いたしておりまする研究機関と、今度の物性研究所との関係でございますね。これがどういう関係になって参りますか、一つその点をお尋ねしておきたいと思います。
  54. 緒方信一

    緒方政府委員 これは今お尋ねの現在あります研究機関と直接な関係は何ら出てこないと思います。これはあくまで東京大学附置研究所でございますから、東京大学が責任を持って参りますが、研究所を使って参りまする運営につきましては、これを利用するものの間でいろいろ具体的な運営方法をきめていかれると思いますけれども、ほかの研究所はほかの研究所として独立してやる、この研究所は物性関係研究者がこれを共同に利用していく、こういうことでやっていけるものと存じております。なお原子核の関係は原子核研究所でやる。物性の問題につきましてはこの物性研究所を利用していく。しかもこの物性の研究のためには相当大規模な実験設備が必要でございますから、この物性研究所に集中的に施設をいたしまして、あっちこっちの研究所では分散してできませんので、一カ所に実験設備を作りまして、それを研究者が共同利用していく、こういう趣旨でございますので、ただいまお話のございました各大学その他研究所で研究しております関係とは、研究機関の関係は直接には出て参らない、かように考えております。
  55. 河野正

    ○河野(正)委員 御答弁を聞いておりますと、事実はその通りでございましょうけれども、私どもは多少疑問がわいてくるのであります。と申し上げますのは、それぞれ各大学におきまして原子核に対しまするいろいろな角度からの研究をやっておることは御承知通りでございます。そういった機関と、今度東京大学に設置されまする物性研究所という機関とが、いろいろ有機的な関係があるといたしますならば、ただいまの御答弁によりますと研究施設等な利用するというような趣旨でございますけれども、しかしながら私が御指摘申し上げますように、それぞれの機関とこの共同研究所機関というものが有機的に関係を持つということになりますならば、私どももある程度了解することはやぶさかではないのでございます。しかしそれぞれ研究するんだということにたりますと、私のちょっと疑問を感じまするのは、先ほど大臣も今日大学の設置等についてもいろいろな設置はしたくない、むしろ内容充実すべきだというふうな御答弁をるると申し述べられたのでございます。そこで私は、そういった、ただ研究機関として利用だけするんだということになりますならば、もちろん私はそれはけっこうだと思います。けっこうだと思いますけれども、今日までいろいろと大学施設その他につきまして大臣が御説明されておりまする意思を私どもが拝聞いたしますと、むしろ今日各処にございますいろいろな研究機関をまず充実して、その上に立ってこの共同研究施設というものを設ける方が大臣の御趣旨にぴったりいくのではないかというふうな考え方を持つわけでございます。そういった意味で私は御質問申し上げておるのでございますから、その辺の事情を一つ明らかにしていただきたい。
  56. 緒方信一

    緒方政府委員 私、少し御説明が足りなかったかと存じますけれども、物性研究所はこのたび初めて作るわけでございます。これは学問的には非常にむずかしいので私も十分説明ができませんが、経緯から申し上げますと、昨年の五月日本学術会議で物性論の研究を総合的、基礎的に行なって、わが国の科学水準を高め、工業力の発展に貢献する必要がおる、そのためにはわが国の物性研究所をすみやかに設置するように要望がございまして、この要望に基きまして科学技術審議会で審議いたしまして、文部省で取り上げまして、これを大学附置研究所として設置するように御審議を願っておるわけであります。  ただいまお話がございましたが、物性論の学者は各研究機関、ほかの大学にもございますが、その学者が利用して研究をする研究所というものは現在ないわけです。それと先ほど申し上げましたように、この物性論の研究のためには実験施設が非常に必要でございますので、あるいは極低温実験装置、高温発生装置、高圧実験装置、高磁場実験装置といったようないろいろな実験装置が必要でございます。これを各大学等に設置することはできません。また、できませんと申しますよりも、一カ所の研究所にこういうものを設置しまして、これを学者が共同に利用して初めて研究成果が上るわけでございますから、そういう意味でこの物性研究所がこのたびできるわけであります。原子力の研究あるいは原子核の研究、これらはお説の通り大学でもやっているところもございますし、それからまた原子核の共同利用としては東大にすでに原子核研究所がございます。しかし物性の研究所はこれが初めてでございまして、ただいま申し上げましたように一カ所に研究施設を集中的に系統的に整備していく、それがぜひ必要でございますので、このたび研究所を作ることに相なりました次第でございます。
  57. 河野正

    ○河野(正)委員 最後に一点、これは希望を申し上げておきたいと思います。  ただいまいろいろ御質疑申し上げましたように、私どももこの物性研究所の専門的な内容につきましてはなかなか理解しがたい点もあるわけでございますけれども、しかしながら今日各大学に設置あるいは付置されております研究機関ではやはり研究費が少いということで、研究費を増額あるいは研究施設を拡充強化してもらいたいというような要望が非常に強いということは御当局も御承知でございます。もちろんそういった新しい物性研究所の高度のものが設置されることにつきましては、私どもも双手を上げて賛成でございますけれども、ただそういう新しい総合施設を作るということにのみ重点が置かれて、そして既設の研究所とか研究施設に対しましてはこれが予算の面におきましてはだんだん軽視されるということになりますならば、結局その基礎的な内容が伴って参りませんから、今後につきましては、先ほど大臣からもいろいろ御説明がされておりますように、既存施設充実ということにつきまして十分一つ留意をしていただきたいということを申し上げましで、私の質疑を終ります。
  58. 長谷川保

    長谷川委員長 野原覺君。
  59. 野原覺

    ○野原委員 ちょっと大臣に、公立大学の問題で平田委員から質問があったようでございますが、私もその質問に関連してお尋ねをしたいと思います。  先ほど大臣は、平川委員質問に対して、できるだけ都府県にやってもらいたい、それを望むといわれた。それはおっしゃる通りだろうと思う。国の予算もなかなか困難でございまするし、それは大臣の仰せられる通りであろうとは思いまするけれども、そう希望されても現実に公立では大学の経営が成り立たなくなってきている。そこで私のお尋ねしたいのは、大学の経営が成り立たないために、現在都道府県立の大学を国で引き取ってもらえないか、国立にしてもらえないかという要請がかなりあるのじゃないかと思いまするが、その辺はどうなっているのですか、お尋ねをいたします。
  60. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お話通りでありまして、今日公立大学国立に移管してほしいという御希望があるということは私も承知いたしております。問題はただ、今度こちらの方の都合から申しまして、なかなかこれをすぐ引き取るというわけに参らないというのが一つの悩みになっておるわけでありますが、現実の問題といたしまして、いま直ちに公立の大学をどんどん国の方で引き取っていくだけの措置は講じにくい実情にあるように思いますので、私は平田さんには率直に申し上げたわけなんでありますが、お互いにこれは十分に考えていかなくちゃならぬ問題でありますけれども現実問題はなかなか容易でないというふうに御了承願いたいと思います。
  61. 野原覺

    ○野原委員 具体的にどの府県あるいはどの公けから国にそういう申し入れがあるのか、御答弁願いたい。
  62. 緒方信一

    緒方政府委員 これは正式に申し入れと申しますか各地方で御希望がありまして、それが陳情等の形で出て参っておるわけでありますが、現在ございます、主として医科大学それから農学関係、こういう大学の方からは相当国立に統合してもらいたいという要望が出ております。数は相当に上っておるように思います。
  63. 野原覺

    ○野原委員 私ども二、三聞いておりますけれども、全体を承知しておりませんので、おついでに、はっきり医科大学は何県の医科大学だとそれを一つ御答弁願いたい。
  64. 緒方信一

    緒方政府委員 ここで私資料を持っております関係だけについて申し上げますが、岐阜県の県立の医科大学、福島県の県立の医科大学、三重県立のこれは医学と水産学とあります、それから、神戸の医科大学、兵庫農科大学、奈良県立医科大学、和歌山県立医科大学、島根の農科大学、山口県立医科大学、九州の歯科大学、これは私ここに資料を特っておるものだけについて申し上げたのでありますが、これらのものにつきましては陳情等が出ておる、こういう実情でございます。
  65. 野原覺

    ○野原委員 これは私は重大な問題じゃないかと思います。私は先般奈良県に参りましたときに、奈良県の理事者といろいろ懇談をしたときに、奈良県では医科大学の経営がもうできない、ところがこれを廃校にするという決意もないわけです。現実に生徒もおるし、やはり一つ学校の沿革もございますから、できるならばこれを何とか存立していかねばならぬのだが、国立に移管する以外にもう県としては考える手はない、こういうことをほんとうに心から哀願されておった。今大学局長の御答弁によりますと、これは十に余る。私は単に今陳情に来ていたいところも、現実に経営の困難の度を増しておると思うのです。だから国に金がないのだ、国ではどうにもならないのだという冷淡なお心持でなしに、やはり国全体の教育についての責任が当然国家にもあるわけでございますから、この辺のところを私どもは真剣に考慮すべき段階にきておるのじゃないか。これを放擲するというと大学の質も自然低下いたします。大臣はどうお考えになっているか、重ねて御答弁をわずらわしたいのであります。
  66. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 実情上今お話しになったようた相当深刻な程度に至っておるところもあろうかと思うのであります。この問題は、私はごく率直に申し上げますが、いわば悩みの問題だ、われわれの頭を悩ましておる問題の一つ、こういうふうにお考えをいただきたいと思うのです。決して知らぬ顔をしているとか、冷淡な態度をとるとかいう気持ではなしに、これをどう処理するかという問題として、なかなかむずかしい点があるということをありのままに申し上げておるわけなんであります。十分さような問題につきましては留意して参ります。
  67. 野原覺

    ○野原委員 本年度の予算文部省としては、公立大学がこういう危機にあるから、補助金を大蔵省に要求しておったと私は思うのですが、その額はどれだけでございましたか。
  68. 緒方信一

    緒方政府委員 文部省としまして、公立大学の助成につきましても財政上許すならばという観点からいたしまして折衝はいたしました。金額は一億要求しております。しかし財政の観点からいたしまして緩急のこともございますので、今年度は計上いたしておりません。
  69. 野原覺

    ○野原委員 一億という金は、国全体の予算あるいはその他の予算から考えると決して多額ではないわけです。これはせっかくそういう態度をとっておりながら、大蔵省からいれられないでこれが実現されていない、こういうことでございますが、大臣としては今後十分考慮するということでありまするから、やはり本年度一億の要求をしたように、来年度は公立大学の経営困難なところに対しては何らかの救いの手を伸べて、その大学を救済する御努力をぜひわずらわしたいのであります。  そこで一点質問しておきたいのは、補助金は一億という要求をしたけれども現実に起債の問題がある。大学施設整備の起債はどういうことになっておるのか、自治庁がいないのではっきりした御答弁も困難かと思いまするが、これは文部大臣から承わっておきたいと思います。
  70. 緒方信一

    緒方政府委員 公立大学の整備等につきまして起債をどういうふうに自治庁が認めておりますか、私ちょっとここに資料を持ちませんので、調べまして後日お答えしたいと思います。
  71. 野原覺

    ○野原委員 では調査した上で御答弁をお聞きして、その上でまたお尋ねをいたしましょう。私の知る限りでは、公立大学については起債を許さない、大学の起債というものを認めない、こういう強硬な方針を自治庁がとつておるように聞いておるのです。この点も十分御調査の上で御答弁をお願いいたします。  以上で終ります。     —————————————
  72. 長谷川保

    長谷川委員長 次に、南極地域観測船宗谷の氷海脱出状況について質疑の申し出があります。これを許します。佐藤觀次郎君。
  73. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 最後に、国民注視の的であります宗谷が本日どのような状況にありますが、本部情報を一つここで御報告願いたいと思います。
  74. 緒方信一

    緒方政府委員 昨日までの状況につきましては、昨日の委員会で島居海上保安庁長官から申し上げました。その後の情報を要約して申し上げますと、二十七日の現地時間で午後四時二十分、これは六時間の差がありますので日本時間では午後十時二十分になりますが、再び氷板間にゆるみを生じたので宗谷は行動を開始した。そして約一海里前進をいたしました。午後六時十分に氷山によってできたオープン・シー——広い水の海域がありますが、オープン・シーに入った。このオープン・シーは南北約十海里、長さ東西に約十九海里であって目下この氷域内を調査している。なおこれからさらに外洋に通じまする最短氷海をヘリコプターによって調査しようとしたけれども、昨日はまだ南東の風が強いのでこれを見合せまして、二十八日朝調査を行う予定であります。それから二十八日の午前零時現在——現地時間ですか、氷海脱出のため行動中であるということであります。こういうような情報が入っております。  それからもう一つ情報がございますので、これを読み上げまして御聴取願いたいと思います。   二月二十八日午前九時三十分宗谷の松本船長から海上保安庁に次の報告が入りました。  一、オープンシーは二十七日午後三時頃(日本時間午後九時)雪の晴れ間に宗谷の西方約四浬にあらわれ宗谷の南方約五浬の迂回して北東方に移動した長さ七浬の巨大な氷山によって形成されたものである。  二、宗谷の午後四時二十分の位置は外洋へ直接向う針路上の氷状は悪いのでウォータースカイの状況から前項のオープンシーに入れば脱出に容易な氷海域があると考え西方に約一浬前進してこのオープンシーに入った。  三、海鷹丸はパック外縁を行動中である。同船と協同してオープンシーと外洋との距離を調査したところ密群氷の巾は約一〇浬である。  四、右の状況をオビ号に連絡し脱出にはまだ確信がないむね通知した。なおオビ号の午後、五時の位置は南緯六十六度一分東経三十度四十九分である。  かようなのが午前九時三十分に入った情報でございます。
  75. 長谷川保

    長谷川委員長 本日はこの程度とし、次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。    午後零時十九分散会