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1957-10-02 第26回国会 衆議院 農林水産委員会農産物価格対策に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月二日(水曜日)     午前十一時三十五分開議  出席小委員    小委員長 田口 長治郎君       石坂  繁君    原  捨思君       芳賀  貢君    細田 綱吉君  小委員外出席者         農林水産委員長 小枝 一雄君         議     員 赤路 友藏君         議     員 川俣 清音君         農林政務次官  本名  武君         農林事務官         (大臣官房秘書         課長)     中西 一郎君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   大和田啓気君         専  門  員 岩隅  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  甘しよ、馬鈴しよの価格安定対策に関する件     —————————————
  2. 田口長治郎

    田口委員長 これより小委員会を開会いたします。  カンショバレイショの本年度買価格について調査を進めます。なお、この議事は都合により懇談の形式で行うことにいたします。      ————◇—————   〔午前十一時三十六分懇談会に入る〕   〔午後零時三十分懇談会を終って休憩〕      ————◇—————   午後二時三十九分開議
  3. 田口長治郎

    田口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  本年度カンショバレイショ買入価格につき調査を進めます。質疑を行います。芳賀貢君。
  4. 芳賀貢

    芳賀委員 本名政務次官にお尋ねしますが、けさの新聞によると、イモ類並びにカンショ澱粉政府基準価格等が発表されておりますが、あの新聞による発表は政府の正式な最終決定と見て間違いありませんか。
  5. 本名武

    本名説明員 午前中の委員会課長から御説明申し上げたかと思いますけれども、昨晩昨日の小委員会の御希望などを考慮いたしまして決定いたしましたものを発表いたしたのでございます。
  6. 芳賀貢

    芳賀委員 その場合、農産物価格安定法によると、政府価格発表する前に、生産者団体等意見を徴してということになっておるわけでありますが、その場合生産者団体というのは全敗連が対象になると思いますが、生産者団体に対して諮問された内容及びその答申等は、どういうものが出ておるとか、その点を参考までにお伺いいたします。
  7. 本名武

    本名説明員 農林省としましても、生産者団体協議をすることにいたしまして、実は公式に話し合いはいたしておりませんが、内々話し合いはいたしております。その話し合い内容として、大体昨年度支持価格を下回らないようにという御希望がございましたので、そういうことを体しまして、決定をいたす、さらにおくればせではありますが、正式にいろいろ話し合いをして今後の運営に万全を期したい、このような準備をいたしております。なお詳細については課長から報告いたさせます。
  8. 芳賀貢

    芳賀委員 この安定法には、第五条に「第二条第一項の規定により買い入れる農産物等政府買入価格は、政令の定めるところにより、左の各号に掲げる額(以下「買入基準価格」という。)を基準とし、生産者団体にはかり、その意見を尊重して農林大臣が定める。」となっておるのです。政府がおきめになって発表する前に、生産者団体に諮ってその意見を徴して、しかもその意見を尊重して農林大臣がきめるということになっておるわけでありますからして、これは正式の手続上の問題としても生産者団体諮問されて、その意見を徴して、それを尊重するということで当然今までもいっておると思うので、あらためて聞く必要のないような点ですが、今年度の場合はどうなっておるかということを、これは将来の運営上からいっても大事な点でありますから、正式に諮問を発せられたのか、生産者団体から意見がいわゆる答申の形であったかどうか、その点をもう一度明らかにしてもらいたいのでございます。
  9. 大和田啓気

    大和田説明員 ただいま政務次官からお答え申し上げましたように、実は農産物価格安定法生産者団体に諮るという場合に、文書で全販連に対して意見を聞くということは、たしか今まで一回しかやっておらないというふうに聞いております。あとは懇談のうちに生産者団体話し合いを進めておるわけでありまして、先ほど政務次官が申し上げましたように、正式な形では諮っておりませんけれども内々話し合いは進めておりますし、至急この第五条に定められてありますような形で、生産者、全販連意見を正式に伺うという予定にいたしております。
  10. 芳賀貢

    芳賀委員 おかしいじゃないですか。きのう実質的には正式発表されて、発表する前に生産者団体意見を十分尊重してきめるということになっているのですから、政府価格をきめて発表してから、生産者団体意見を聞いて尊重すると言ったってしようがないじゃないですか、どうですか。これからたとえばこの政府の発表した価格は安過ぎるというような答申がもし正式に出されたら、それを尊重して是正するという御意思がこの場合あるのですか。
  11. 本名武

    本名説明員 お話通りでありますが、実は慣例と申しては言葉が適切でありませんけれども内々話し合いをいたしておりまして、団体の御意向をある程度伺っておりましたものですから、それらを事務的に処理しながら、またわれわれはその御意向を体して、実はきのう一応の方針をきめたわけであります。そしてその内容というものについては、今あらためて課長からどういう話があったかということを御報告申し上げたいと思います。
  12. 芳賀貢

    芳賀委員 これは別に本名さんを責めるわけじゃないのですけれども、ただ生産者団体の場合に接触はあると思うのです。原料イモ値段を下げてもらっては困るとか、澱粉価格をこうしてもらいたいというような場合の接触は、おそらく生産者団体が、政府に対する要望とか陳情という形で接触はされたと思うのです。しかし正式に政府が今年度原料イモあるいは澱粉価格決定に当って、生産者団体に対してはどういう考えであるか、意見を出してもらいたいというような諮り方というものは、おそらくしていないと思うのです。陳情、請願のような形の接触をもって、意見を聞いたということにはならないと思うのです。こういう点は今後の運用上の問題としても大事な点だと思う。やっていなければやっていないでしようがないというわけじゃないのですけれども、その点をざっくばらんに明らかにしてもらいたい。
  13. 本名武

    本名説明員 お話まことにごもっともでございます。実はことしは一カ月早くきめなければならぬということで頭が一ぱいでありまして、少しあせり過ぎたことはまさにその通りで、そういう点で正式の手続を経て、御協議申し上げなかったという手落ちは確かにございましたですけれども、ただ御要望やら御陳情話し合いと認めないということであれば、全くその通りでございますけれども、御意思としては、大体御要望やら御陳情に盛られておることと、早くさめなければいかぬということで、大へんな手落ちをしたわけでございますが、もちろん今後の運営についても、あるいは今後このような場合には、必ず成規手続を経て、協議を申し上げることにいたしたいと思います。
  14. 田口長治郎

    田口委員長 ただいま川俣君から発言を求められておりますが、委員外発言を許可して差しつかえございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 田口長治郎

    田口委員長 川俣君。
  16. 川俣清音

    川俣清音君 今の問題は団体信用に関すると思うのです。内々話をしておるからということで幹部は了解いたしましても、やはり手続上下部に対して諮問があったことが明瞭に記載され、それに対する回答文を備えていなければ、団体信用にかかわる問題だと思う。農業協同組合及び中央会あるいは販連にいたしましても、これは農林省と密接な関係があるからということで投げやりにいたしますと、下部からの不信を買うことになるのではないか。やはりなれ合いだという印象を与えることはこの際慎しむべきではないか。大体意向がわかっておるからでは済まされない問題だと思う。一応農協としては幹部会を開き、これに対する回答を出す。回答に従うかどうかは別にしてこういう回答を出したということでなければ下部の統制がつかない。下部からの信頼を全く裏切る結果になるだろうと思いますから、これは軽率に、今後やりますでは済まされないと思います。もう一度これに対して御答弁を願いたいと思います。
  17. 本名武

    本名説明員 川俣先生のおっしゃる通り本来からいけばまさにその通りでありまして、先ほども申しましたように今後は決してそういうことのないようにいたします。ただ今回はさっきも申しましたように、米の問題から引き続き加工賃をきめなければならぬということで、実情は少しあわてましたので、お話を伺ったように軽い扱いをしたことはまことに軽率でございまして、今後は慎重を期してやることにいたします。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 この問題は当小委員会においてやむを得ぬというようなことを私たちが言うわけにもいきませんが、法律に明らかに明記されておる点を失念してやらなかったということに対しては、やはり政府当局の重大な失態であるということをこの際指摘しておきたいと思います。  その次にお尋ねしたい点は、小委員会においては先般来価格決定内容等について政府当局から案を提出してもらってそうしてそれぞれ具体的な検討を行なったわけでありますけれども、発表された結果によりますと原料イモの面においては大体委員会意向が反映したようにも考えられますし、またカンショ澱粉の場合においても当初政府考えた案というものは大幅に修正されておるという点はこれは認めるのにやぶさかでないわけでありますが、ただバレイショ澱粉の特に未粉並びに製粉の価格決定に対してはすなおに了承できないような決定の経緯としか考えられないわけです。この点に対しては午前中の懇談会におきまして事務当局より説明は聞いたわけですが、ただ結果的に見るとバレイショ原料イモ価格は当初政府の案としては十九円十六銭というのが二十円五十銭に訂正されたわけでありますが、その半面において一四・五%の従来の歩どまり採用を今回は一五%の歩どまりにこれを直し、一さらに加工賃等の面におきましても十二貫一袋あたり約二十円近い加工賃引き下げというようなことになっておるわけです。それらを総合した場合においては澱粉価格においては、未粉は昨年の二千百六十円に対して二千十五円ということですから、一袋あたり百四十五円の値下り、製品の場合には昨年は二千二百五十円でありましたのが今回は二千七十円ということになりましたので、百八十円の値下りということになるわけです。ところが澱粉内容において原料イモ加工賃あるいは歩どまり等を区分してみる場合はそれぞれの理由がたといあるとしても、澱粉価格現実に百五十円、あるいは百八十円下っておるということは、結局これは生産者に対する原料イモ引き下げを押しつける結果に必ずなると思うのです。こういう点に対しては十分な配慮がとられたというふうに私たちは信頼しておったのでありますが、そういう配慮が全然行われておらなかったということは全く遺憾にたえないわけですが、こういうようなイモ値段も下げるし、それから澱粉値段も下げるというような両面からのしわ寄せをなぜバレイショ澱粉の場合にやらなければならなかったのか、そういう理由がもしあればこの際明らかにしてもらいたいと思いますが、いかがです。
  19. 本名武

    本名説明員 数字の上から見ますと、御指摘の通り一見矛盾のように思われますと同時に、別に取り上げて理由ということにはならないかもしれませんけれども、ここに参りまするまでの一応私ども考えておりましたことを簡単に申し上げますと、まず澱粉原料イモとの価格関係は原則としては一応生産者原料価格を努めて安定させるという、あるいは再生産に見合うような価格にするということを第一に考えたわけであります。ところが、北海道の場合は、実は澱粉価格原料イモ価格というものが非常に密接不可分な関係にあることも承知いたしております。そこで、この実情の上に立って生産者価格を維持させるということとそれから澱粉価格を安定させるということを考えて参りますと、何かここに一つの打つ手がなければならないということで、実は生産者価格を努めて安定維持するということと同時に、この価格を維持するためのいろいろな対策を考慮して決定したわけであります。もう一つは、澱粉の未粉の価格が何とか一つ二千円を下るようなことのないようにしなければならないということで、実は先ほど加工賃引き下げたというお話がございましたが、事務当局計算の報告によりますと、加工賃は下げずに計算をいたしておりますし、そういうようなことで一応二千円を維持していくことにいたしたわけでございます。しかしこれだけでは済みませんので、ぜひ一つ馬澱の場合は特に流通面を考慮しながら早期買い上げというような方法を取りまして、努めて安定を期したい、こういうような方法も一応考慮に入れまして決定したわけでございます。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 こまごました点はお尋ねいたしませんが、ただ大筋からみて結局澱粉が去年より百四十五円も米粉が下っておるというような、そういう形のもとにおいて原料イモの二十円五十銭の正常取引というものが可能であるという見通しが立ちますか。生産者本位考えたという場合においてはやはり原料基準価格の一貫目二十円五十銭なら二十円五十銭という線がおおむねくずれないような体制でいかなければ澱粉を下げた中でイモ価格は比較的据え置きに近い線をとったという効果が現われてこないと思うのです。これに対して政府としてはこれでいけるというような確たる自信を持っておられるかどうか、その点はいかがで十か。
  21. 本名武

    本名説明員 先ほども申し上げましたように、この二十円五十銭を確保するということは、実はかりに澱粉価格をもう少し上げたとしてもそれが確保できるということにもならないので、今度は一つイモ取引は従来のように生産者が買いたたかれるというような弊害のないように何か行政指導の面ででも一つ団体契約を強化するとか何とかいうような形でこれは維持するようにしていきたい、これも一つ方法としてぜひやりたいということで考えております。その点については特に措置をとりたいというつもりで二十円五十銭を維持したい。たださっきも申し上げましたように、北海道の場合はカンショと若干違って、澱粉原料イモ価格構成といいますか実際売買するときの経済事情というのは何といっても澱粉価格が影響するというのが従来の姿でありますが、一方において澱粉価格が若干安くなりましたけれども、これで一つ安定させるというために、需要の転換であるとか買い上げの量あるいは時期というものの調整によって今日までのような弊害を防止したいというつもりで積極的に今その具体的な方法考えております。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 原料イモの場合は昨年よりも一貫目一円下げですから、十五貫一俵にすれば十五円一俵で安くなる。ですからその線がまたくずれるということになれば、これは非常に問題だと思います。本名さんも御承知の通り北海道における原料イモ取引は、澱粉市価から逆算してそうして原料価格幾らということに従来はきまってきているわけですね。ですから澱粉価格が昨年よりも百五十円近くも下ったということになれば、原料イモ価格というものはその比率以上に下ると見るのが至当だと思います。ですからそういう場合において原料イモ価格を去年より一貫目一円下げて維持する場合においては、やはり、澱粉加工賃とか歩どまりというものはできるだけ据え置きの形としておいて、そうしてこの面にある程度のゆとりとか利潤面があるならば原料イモをこれ以上安く買いたたくようなことがあってはならぬという強力な支持ができるかもしれませんが、従来より歩どまりも〇・五%引き上げ、それから加工賃計算においても十二貫に直すと約二十円近くの引き下げを行なっておるということに数字は出てきておるわけですけれども、だからそういうようなことをしておいて原料イモ価格支持が可能であるということには絶対ならないと思います。ただ表面はいかにも体裁よくやっておるようにも見えるけれども、実質的には原料イモの大幅な価格引き下げということになると思います。歩どまりとそれから加工賃をもし据え置きということにすれば、結局原料イモ価格が一貫目十九円七十銭くらいということに実質はなっているわけですね。そういうことになると、北海道畑地農業の面に与える影響は非常に大きいと思う。だからこういう点に対して慎重な配慮が欠けておったと私は見ざるを得ないのですが、どういうわけで歩どまり加工賃の面をさらにイモ価格しわ寄せするような要素をあえて作ったか、そこに理由があれば明らかにしていただきたい。
  23. 本名武

    本名説明員 理由になるかならないかわかりませんが、私はやはり畑作としてイモの作付は減らすわけにはいかない実情から見ましても、何か基本的に安定する方法がなければ、常に統制されたものではない限りは価格の上に不安がある。もちろん政府買い上げその他による処置にもよるかと思いますけれども、いずれにしてもこういう品物は非常に価格の上で不安定だ。そこで一つ安定させるためにやりやすい方法はないかというようなことで実は今いろいろ苦労をいたしたわけでありますが、なるほどお説の通り一見いたしますとそういうことになりますが、今後馬澱政府買い上げその他の処置を適切にいたしまして、むしろこれをバレイショ生産の将来の安定の一つの基礎にしていく、同時に今年度生産澱粉に対して適切な処置をとりやすい道を開いていくというふうにして、市場価格の下落であるとか、あるいはまたその他の経済情勢による価格の変動に対処する道を、私はこれで一つとっていきたい。そういう意味でも、こういうような方法がいいのではないかというふうに考えたわけであります。なお数字的なことは課長からでもまた御報告させます。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、経費部面のいわゆる加工賃が、去年よりも十二貫に直すと約十九円、二十円近く下っておるわけですね。これは午前中の説明によると、結局歩どまりが〇・五%上ったことによって、それで加工賃が違うという説明でしたけれども、十四・五%のときは原料イモが約八十三貫目要るわけです。それから一五%にすれば八十貫で間に合うわけですが、一袋に対して三貫目そこそこの所要量の違いですが、それだけの目方の原料イモ所要数量のとり方で二十円も加工賃が下るということはあり得ないと思いますね。だからこういうけちなことまで言って澱粉の実質的な値下げをしなければならぬということは、これは農林省としてもあまり子供じみたやり方ではないかと思う。もう少し大筋を通して、どうせ澱粉を下げるなら、結果的にイモ値段しわ寄せがくるのだからして、原料イモをあくまでも十九円なら十九円の線でやった方が筋が通ったと思うのですね。ちびちびあちこちから変な格好だけをつけてやるというやり方は、断じてわれわれとしては気持よく了承することはできない点なんですよ。加工賃の面に対してだけ特にお尋ねしておきます。
  25. 大和田啓気

    大和田説明員 先ほども申し上げましたけれどもバレイショ歩どまりの一五%という数字は、私どもの両三年間の調査の結果でも確実な歩どまりということでございまして、ちょうどカンショで二一%という数字に見合う数字バレイショで一五%ということで、私たち実情に合わせて計算をいたしたので、特別に馬澱加工賃を落すというつもりは毛頭ないわけであります。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 大和田さんは初めて企画課長になられたわけであるが、経過を見ると、二十八年が一四・五%で、二十九年に一度一五%にしてみたけれども、それはやはり無理があるということで、三十年、三十一年度はまた前のように十四・五%にこれを戻したわけです。それから今までの経過から見ても、一年間だけは一五%でやったけれども、それはやはり実情にそぐわぬということで、一四・五%にこれを是正してあるわけです。だから特に先般の小委員会等においても、これは歩どまりを上げるという問題は政府からも何ら提起されておらなかった。正直な話は、ただ政府の十九円というイモ原案が周囲の情勢から二十円とか二十円五十銭に直さなければならぬことになったことによって、急速歩どまりを〇・五%上げるということになった。そういうやり方というものはとるべきでないのですよ。信念があればあくまでも十九円とか十九円五十銭で通すべきであって、その点が理論的根拠とか客観性に押されてだめになったから、そのかわり歩どまりの方でそれをまた取り戻すというような、そういうやり方をしたというふうにしか、今度の場合は受け取れないわけだ。あなた方も大体そう思っておると思いますが、これはやはり一年限りではないのですよ。また来年一四・五%に戻したって簡単にはいかないと思いますね。こういう歩どまりとかいう基本的な問題は、今後の畑地振興の場合において、品種改良がほんとうに行われて今までよりも何%現実に上ったというような実例が生まれたり、あるいは澱粉工場の施設が合理化して、そうして工場経営の中でこの歩どまりが改善されたというような、そういう実証が上ってきてから直すならいいのですが、イモ値段を修正しなければならなかったことによって今度は急に〇・五%歩どまりを上げるというようなことは、これはやはり良心的なやり方では断じてないと思うのですがどうですか。
  27. 本名武

    本名説明員 実は原料イモ価格が問題になってから歩どまりを変更したのではないかというお話ですが、そうではなく、最初からそうだったのです。ただ問題は、今までの実績がやはり一五%以上になっているということ、これは私としては否定できないので、ただそれを三十年度において一四・五%に一応したからことしもそれでいかなければならぬということでなく、先ほどお話によれば、こういうふうに澱粉価格が下るときに歩どまり価格を上げることは不都合だ、こういう御説は別の問題としては御説の通りだと思いますが、実は最初から歩どまりというものは実績でいこうということでカンショの二一・一%の問題ももちろん論議されました。その過程においてはやはりこういう数字が出ていたのですが、どういうことからそういうことにお気づきになるかは別として、一応そういうつもりで計算はしていたということなんです。なおもう一つは、やはり先ほどお話がありましたように、一応来年度の予算においてイモ作はもとより畑作振興について特に北海道の場合は相当試験機関を新設するとか、あるいは品種改良のために特別の処置をするとか、それからもちろんイモばかりでなく畑作全体の安定策も積極的にとろうとしておりますが、これはことしの問題ではありませんけれども、一応そういうことをとる場合においても、イモ価格澱粉価格というものを努めて——高いほどいいには違いありませんが、正常な姿にしておいて次の手を打っていく。これが全く採算を割ってしまう数字であるならば、こういうものを置いてはならぬのでありますが、一応そういうことなしにして、むしろ将来の伸びるための安定を期するための処置として努力したつもりでございます。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 今の本名次官の言われたようなことでいくと、最初から一五%にする考えがあったとすれば、歩どまりを一五%にして加工賃も下げてそれからイモ値段を一九円にしたという場合は、そのときの原案澱粉価格幾らですか。おそらく千九百円前後という不当な値段が生まれてくるわけだと思う。そういうことは政府としても最初から考えておらなかったと思う。米粉澱粉を千九百円にするなんていうことは、最初からそういう御意思だったのでございますか。
  29. 大和田啓気

    大和田説明員 政務次官からお答えがありましたけれども、私たち作業をいたしますときは、バレイショ澱粉歩どまりは一五%ということできめておりました。ただバレイショを十九円にするかあるいはもっと下げるか、あるいはもっと上げるかということの議論をやっておりましたときは、従って委員長室で小委員会懇談会がございましたときには申し上げましたけれども澱粉価格の算定はまだいたしておりませんでした。従ってイモ価格がきまってから一五%の歩どまり澱粉価格を算定しようという心がまえだけはやっておりましたが、具体的にどれだけの値段になるかということは算定いたしませんし、また政務次官や大臣にも申し上げておりません。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員 だから最初からの考えでいけば千九百円くらいということになるでしょう。そうなると、たとえば千九百円に、政府の思う通りいったとすれば、これは十二貫に換算すればカンショ澱粉と何ら値段が変らぬというところにくる。そういうような不当な価格構成というものはあり得ないと思う。ですから、この点からいっても一五%に直したというのは十九円と思ったイモ値段を二十円五十銭に直さなければならなかった、実質的には原案を据え履くために一五%の引き下げを行なったという以外に弁明の根拠はないと思うのです。  それから次にお尋ねしたい点は、製粉価格米粉価格以上に安くなっておる。去年が二千二百五十円であったのが二千七十円ですから結局百八十円の値下りということになると、製粉加工をするということが非常に困難になるのじゃないかというふうに思いますが、政府の意図としては製粉事業が事実上採算のとれぬことのないように、むしろ消流面においては未粉澱粉だけの消流ということにやった方がいいというお考えであるかどうか、その点はどうです。
  31. 大和田啓気

    大和田説明員 御指摘のように馬澱米粉値下りよりも製粉の値下りが大きいわけでございますが、米粉から製粉までの歩どまりの率を多少実情にあわせて変えましたことが一番大きな理由であろうと思います。ただ実は馬澱政府に買いげ上を要求する場合に米粉でやるか製粉でやるかということは生産者がどちらが有利かということできめるわけで、私たちもどちらでなければいかぬというふうには考えておりません。おのずから選択が行われるというふうに考えております。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は、買い上げの場合には生産者側の選択の自由にまかせて、未粉で申し込みがある場合は米粉でいく、そういうふうに解釈していいのですね。
  33. 大和田啓気

    大和田説明員 そういうふうにお考えになってけっこうだと思います。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員 次に先ほど歩どまりの問題ですが、甘澱も馬澱も全国それぞれ四十五工場だけを対象にして調査をお進めになったというふうに考えられるわけですが、これは重要な価格構成の要素になるのですから、今後は歩どまり調査についても相当責任のある、しかも権威のあるような調査方法にどうしても改善すべきだと思うのです。昨年の実績の場合も、北海道の四十五工場のうち特にはなはだしいのは一工場の歩どまり成績が一九%とか一七%というような工場も見受けられるわけです。こういうのは全く調査の対象としての価値がないと思うのですね。現在バレイショで一七以上一九%なんという歩どまりのあるような品種北海道には全然ないですからね。こういう数字が出てきて、それらが平均されて一五%はだいじょうぶだということになりますと、やはりはっきりした根拠がないということになる。ですからこういうずさんな調査だけに基いて調査の結果がこうなったということでは非常に不安心ですから、今後歩どまり調査等の面に対してはどういうふうに改善されるか、計画があれば聞かせてもらいたいと思います。
  35. 大和田啓気

    大和田説明員 芳賀先生の方が私よりもよく御存じであると思いますが、歩どまり計算は実は四十五の調査工場の数字は使っておらないわけです。これは御指摘のように歩どまりが非常に工場によって違いますので、数少い工場の調査加工賃をはじくのに使っておりまして、歩どまりは全体の悉皆調査イモの使用量と生産された澱粉の量を分母と分子とに使って計算いたしております。ただ御指摘のように加工賃調査でも四十五工場の調査で十分かどうかということは私も実は参ったばかりでまだ勉強をよくいたしておりませんけれども、来年のイモ価格をきめる場合にもまたいろいろ問題があると思いますので、もし十分整備しておりませんければ整備に努力をいたすつもりでおります。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 次に澱粉の工場の設備改善の問題です。これは北海道のような場合には非常に小規模な経営が多い、とにかく一年間に二千袋、千五百袋以下の工場が相当多いですね。こういう工場はやはり政府が示されたような加工賃の範囲内においては生産ができないのです。これを一挙にまた合理化するといったって容易なことではありません。だから設備改善ということは今度の北海道バレイショ歩どまりの改善とかコスト引き下げには非常に重要な点であるというふうに考えられるのです。実際に効果の上るような措置を講ずるとすれば政府の方針としてどういうようにやるお考えですか。
  37. 本名武

    本名説明員 現在までの澱粉生産工場は、どちらかというと非常に幼稚な設備でやっている工場が多いようであります。これはお説の通り、ひいては原料生産者しわ寄せされるということになる。すなわち合理化されていないところにコスト高その他の問題が起きてきますから、これを合理化するためにはどうするか。今お話のように設備を改善する、そのために資金が要るということになると思います。北海道あたりでもいろいろ進んだ設備に対しては、組合の工場は中金から、あるいは一般の工場は開発公庫から融資のあっせんをいたしている。しかしそれだけではやはり満足ではないのでありまして、特に小さい澱粉工場は、一般金融機関から融資を仰ぐといって毛なかなか容易じゃない実情ですから、これは何とかしなければいかん。そこで実は今まで澱粉工場の資金が通産省関係といいますか、商工中金やあるいは中小企業金融公庫の方から流れる筋でありましたが、何とかこの際一農産物を加工する工業に関する限り中金の金も使えるようにしたらどうかということで、御案内かもしれませんがその方に盛んに計画を立てまして、積極的に澱粉工場の改善の融資の道をとるつもりでその準備をいたしております。そのようにしてまず金融の道をつけて、設備改善の意欲のある企業に対しては積極的に一つ融資あるいはまたさらに機械のかなり優秀なものが海外にありますので、そのものの入手に対しても努めて優先的にこれが入手できるような方法をとって金融と相待って設備の改善に全力を尽していくつもりでございます。こういうことをやりやすくするために、ぜひ一つ今後ほんとうの安定対策価格の面からばかりでなく総合的にとっていきたいというのが、このたびの価格をきめますについての一つの大きな裏打ちと申しますか、腹がまえのもとに出発をしたわけでございます。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 大体大綱的な質問をしたわけですが、結局要約すると今回の特にバレイショ澱粉等の決定には非常に不満足ですが、結局今後の運用を通じて原料イモ支持された二十円五十銭の取引の正常化、これが必ず順調に行われるような政府の責任ある指導とか措置を講じてもらわなければならぬという点と、もう一つはとことんまで引き下げ澱粉価格が年内の出回り最盛期等においてこの基準価格よりまだ下る、そういう場合には、政府澱粉価格を下げたのでそれが拍車になって一そう暴落するということにおそらくなるわけです。そういう場合においては、やはり政府として適宜な措置として、そういう支持価格以下に市場価格が暴落するような場合においては、年度内においても即刻買い上げ等の措置を講じて、そしてこの最低の価格支持する。この二点に対して政府として責任を持って今後の措置を必ず講ずるというようなお考えがあるかどうか、政府を代表して本名政務次官から一つ明確な御答弁を願いたいと思います。
  39. 本名武

    本名説明員 原料価格の確保ということについては、先ほどもちょっと申し上げましたが、一つ方法として団体契約の制度といいますか、その行き方を一つ確立したいということで、これはぜひ一つ馬澱に限らず、もちろんカンショにおいてもそういうような処置を必ずとるつもりでおります。それからなおまたそのほかに実は農林省はいろいろな統計調査はいたしておりますけれども、物の動きに対して調査した、その調査の結果を活用するということが実は非常に欠けていたのであります。今後この原料の出回りあるいは買い上げ状況、価格の状況というものをつぶさに刻々と一つ調査を十分いたしまして、原料価格の安定を期していきたい。それからもう一つは、価格が下ったために直ちに市場価格が下回る、これは従来の実情からいいますと、なるほどそういうことは容易にうなづけるのであります。そこでとりあえず価格の下った馬澱に対しては、できれば今月の末にでも買い入れる数量等を発表して市場価格の下落を防ぐと同時に、市場出回りの調整をして市場品の価格維持ができるような方法をとりたいと考えております。これは考えるだけでなくてぜひ一つ実行に移したいつもりであります。今のところはっきり申し上げられますのはそのような点でありますが、そのほかについても消費の面でどうなるかというと、なるほど今日馬澱は下りましても、——甘澱の場合には結晶ブドウ糖であるとかその他の用途あるいは転換策が実現しやすいかもしれませんが、それと同時に、馬澱についても特殊な需要転換の方法考えております。とりあえず結晶ブドウ糖などは、甘澱によって市場の調整をすると同時に、その穴に対して馬澱を埋め合せて、もっとはっきりした用途に振り向ける。同時にまた結晶ブドウ糖ばかりでなく、イモのカン詰なども、これはもう海外でやっておることでありますし、これは馬澱が非常に適当であるということですから、このような企業の面にも一つぜひ振り向けるような方法をとって買い上げるように調整するとともに、需要転換による安定策も同時に積極的にとっていきたい、このように考えております。
  40. 田口長治郎

  41. 赤路友藏

    赤路友藏君 一点だけ。カンショ澱粉の方の原料価格は昨年価格がそのまま据え置きになったわけでありますが、澱粉の方が昨年より十円安ということになっております。この十円は製品関係の算定基礎の中でどの面でその十円のけり出しが出てきたのか、その点だけお聞きしたい。
  42. 大和田啓気

    大和田説明員 これはカンショ澱粉生産計算で副産物の収入を差し引くわけであります。これは昨年の実績によりまして十貫目当り百七円五十四銭です。これは前年の計算の基礎に比べて約十円ほど高くなっております。ですからその分を実績に応じて差し引いたものですから、澱粉価格で十円引き下げられた、そういうことです。
  43. 田口長治郎

    田口委員長 カンショバレイショの本年度買い入れ価格につきましては、これまで政府当局と種々協議を重ねて参りましたが、昨日農林省においてその価格決定、発表になりましたので、今後の処置について政府に申し入れを行いたいと思います。発言を求められております。これを許します。芳賀貢君。
  44. 芳賀貢

    芳賀委員 この際昭和三十二年産カンショ及びバレイショ原料基準価格並びにカンショ、なま切りぼし、澱粉政府買い入れ価格に関しまして決議を行うための動議を提出いたします。  まず案文を朗読いたします。   政府は出回り期における買いたたきを防止してイモ価格の安定をはかるため、農産物価格安定法に基く価格を例年に比し一カ月繰り上げて決定したのであるが、今後これらの措置をさらに実効あらしめるため、左記各項のごとく実施し、もってイモ作農家の経営安定に遺憾なきを期すべきである。    記  一、なまイモ取引において原料基準価格を下回ることのないよう、生産農家の原料基準価格による収入を確保する具体的な措置を講ずること。  二、カンショ、なま切りぼし及び澱粉の買い入れ数量及び買い入れ時期を適期に決定、公表し、これに要する予算を確保すること。特に支持価格を下回って取り引きされるおそれのある場合には、本年内においても政府買い上げを行うこと。  三、精製ブドウ糖工業の育成及び飼料化の促進等、新規需要面の開拓をさらに積極化すること。、イモ類の消費を阻害する外国産競合物資の輸入を抑制し、国内産業の保護育成に努めること。   なお政府は今後急速に畑作振興対策を強化し、イモ作の合理的な作付転換、優良品種の育成等による生産費の軽減をはかる等、イモ作農家の営農改善に積極的施策を講ずるものとし、価格支持政策の一方的かつ急激な変更については、その影響の少くない事実にかんがみ特に慎重を期すべきである。  右決議する。  提案の趣旨に対しましては、先般来の当小委員会における各委員からの質疑において明らかにされ、また本日の委員会等においても種々の問題点が指摘されておりますので、この際内容についての説明を省略して動議を提出する次第であります。
  45. 田口長治郎

    田口委員長 ただいま芳賀貢君より提案されました昭和三十二年産カンショ及びバレイショ原料基準価格並びにカンショ、切りぼし、澱粉政府買い入れ価格に関する件を小委員会の結論としたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 田口長治郎

    田口委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。なお本件に関し政府より発言があります。
  47. 本名武

    本名説明員 ただいま小委員会において御決定になりました申し入れ事項は、それぞれ各項目検討いたしますと、まことに適切なことであると同時に、政府もその御意見に努めて沿い得るよう善処いたします。なお各項の内容については大体御質問に対して申し上げたつもりでございますが、ぜひこの申し入れを実行できますように万全の策を講じたいと思います。
  48. 田口長治郎

    田口委員長 本件につきましては、いずれ正規の手続を以って政府に申し入れる運びといたしたいと思いますが、急を要する問題でもあり、また全会一致で小委員会決定となった次第でもありますのでとりあえずこの決定の趣旨を政府に伝達する等の取扱いにつきましては、小委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 田口長治郎

    田口委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十五分散会