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1957-03-30 第26回国会 衆議院 農林水産委員会大蔵委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月三十日(土曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員  農林水産委員会    委員長 小枝 一雄君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 田口長治郎君    理事 稲富 稜人君 理事 芳賀  貢君       赤澤 正道君    五十嵐吉藏君       石坂  繁君    大石 武一君       川村善八郎君    木村 文男君       綱島 正興君    八田 貞義君       原  捨思君    松浦 東介君       赤路 友藏君    石山 權作君       川俣 清音君    久保田 豊君       楯 兼次郎君    中村 英男君       細田 綱吉君  大蔵委員会    理事 有馬 英治君 理事 小山 長規君    理事 藤枝 泉介君 理事 平岡忠次郎君    理事 横錢 重吉君       奥村又十郎君    加藤 高藏君       川島正次郎君    吉川 久衛君       杉浦 武雄君    竹内 俊吉君       坊  秀男君    前田房之助君       山本 勝市君    有馬 輝武君       井手 以誠君    春日 一幸君       神田 大作君    久保田鶴松君       田万 廣文君    竹谷源太郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      中尾 博之君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         農林事務官         (農地局管理         部管理課長)  石田  朗君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         農林水産委員会         専門員     岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  土地改良法の一部を改正する法律案内閣提出  第八四号)  特定土地改良工事特別会計法案内閣提出第七  五号)     —————————————   〔小枝農林水産委員長委員長席に着く〕
  2. 小枝一雄

    小枝委員長 これより農林水産委員会大蔵委員会連合審査会を開会いたします。  慣例により、私が委員長の職務を行います。  土地改良法の一部を改正する法律案及び特定土地改良工事特別会計法案一括議題といたします。  まず政府より特定土地改良工事特別会計法案提案理由説明を求めます。
  3. 中尾博之

    中尾政府委員 ただいま議題となりました特定土地改良工事特別会計法案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  政府は、今国会に、別途土地改良法の一部を改正する法律案提案して御審議を願っているのでありますが、同法案規定するところによりまして、国が施行する灌漑排水施設建設工事埋立または干拓工事及び灌漑排水施設建設工事により建設した施設で国が管理するものの災害復旧工事並びにこれらの工事の施工上密接な関連のある工事で国が委託に基き施行するものに関する経理につきましては、これを一般会計と区分して行うことが適当でありますので、特定土地改良工事特別会計を新たに設置することといたしまして、この法律案提案いたしました次第であります。  次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。  第一に、この会計におきましては、土地改良工事に要する費用国庫負担するものにつき一般会計からする繰入金土地改良工事に要する費用にかかる負担金及びその利息、都道府県がその負担金地方債証券で納付した場合におけるその地方債証券償還金及び利子受託工事にかかる納付金借入金埋立または干拓工事によって生じた用地売払代金及び貸付料並び付属雑収入をもってその歳入とし、土地改良工事に要する費用受託工事に要する費用借入金償還金及び利子埋立または干拓工事によって生じた用地で売り払うものの管理及び処分のために直接要する費用一般会計への繰入金並びに付属諸費をもってその歳出とすることといたしております。  第二に、この会計におきましては、この会計設置趣旨にかんがみまして、その歳入歳出及び資産、負債の整理並びに予算配賦等工事別の区分に従って行うことといたしております。  第三に、この会計においては、土地改良工事に要する費用国庫負担するものを除いたもの並びに埋立または干拓工事によって生じた用地管理及び処分のため直接要する費用につきましては、予算をもって国会の議決を経た限度順範囲内でこの会計負担において借入金をすることができることといたしております。なお、その限度額のうち借り入れをしなかった金額がありますときは、翌年度においてその限度内で借入金をすることができることといたしております。また支払上現金に不足があるときは、国庫余裕金の繰りかえ使用をすることができることといたしております。  第四に、他会計への繰入金に関する事項であります。すなわち土地改良工事一般会計負担において行なっていたものが、特定土地改良工事として、この会計において継続して行われることとなった場合におきましては、継続して行うこととなる前の工事にかかる負担金の額並びに用地売払代金及び貸付料の一部を、受託工事の場合におきましては、その工事にかかる納付金の一部を一般会計に繰り入れることといたしております。  以上申し述べましたほか、この会計予算及び決算の作成及び提出予備費使用剰余金の処理、余裕金預託等この会計経理に関しまして必要な事項について規定いたしているのであります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成下さいますようお願いいたします。
  4. 小枝一雄

    小枝委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。神田大作君。
  5. 神田大作

    神田(大)委員 私は簡単に二、三の点を御質問申し上げます。  第一に、今度この土地改良法を一部改正いたしまして、土地改良事業団体を作るというようなことでございますが、この土地改良事業団体と、従来各府県に土地改良協会というものがありますが、その土地改良協会と今度の団体との関連をどうお考えになりますか。
  6. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 従来あった団体民法に基きます社団法人でございまして、今回のは土地改良法に基く、特別法による団体でございます。権利義務継承等のことは特に別に規定しておりません。一応別個のものであります。
  7. 神田大作

    神田(大)委員 そうすると、従来の土地改良協会はこのまま存続を認めて、そして新たに性格は違うのでございます。けれども事業団体を作るということになりますと、末端農民あるいは末端施行者は、これらの二つの団体の経営に対して負担を負わなければならぬということになりますが、そういう問題について検討いたしておりますか。
  8. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 お話のようになりますれば、そういう事態も生ずるかと思いますが、あくまでこれは土地改良法に基く新団体構成員である土地改良市町村農業協同組合、その自主的な判断に待ちまして、設立、加入、脱退も自由で作った方がいい、こういう場合に作っていただきたいと思います。もし望ましい形をわれわれが予想しておるといたしますと、別に行政措置を加えませんけれども連合会は県及び全国に設けることになっておりますので、同種の機能を営む古い団体は解散をせられるのではないかと思っておりますが、特に方針を明確にしたり行政措置をとることはいたさないつもりで、ただ農民負担が過重になるような弊は避けるように自主的にお願いしたいという趣旨宣明程度はいたすのがいいかと私も思います。
  9. 神田大作

    神田(大)委員 従来土地改良協会でもって、土地改良国家補助金に対しまして、その補助額の何割といいますか何分といいますかそれを天引きしてそうして事業に当てておりますけれども、実際に全国土地改良協会でそのようにして集める金はまことに莫大なものであると思いますが、この実態について御報告願いたいと思います。
  10. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 前にそういう事業があったかに聞いておりますが、最近は取り締りましたりまたやめまして、事実そのようにやっておるのはありません。
  11. 神田大作

    神田(大)委員 現在はそういうことをしていないというのですか。
  12. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 私ども社団法人監督上見ておりますところは、事業費割りで直接総事業費から取るとかあるいは財源になるような形で事業費に応じて取るとか、そういう取り方をしないのです。社団法人らしく会員から会費を取っております。
  13. 神田大作

    神田(大)委員 なるほど形式はそのような手続はとってあるかどうか私はわかりませんけれども、実際において末端における町村のそのような係は、末端事業主から補助金の何割というものを天引きしてこれを徴収しておることは事実でありまして、このようなことは農林省当局としても詳細にわかっていなくちゃならぬことでございますから、全国的な状態を詳細に御報告願いたいと思います。
  14. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 昨日芳賀先生から御要求になりました資料で、とりあえず御了解を得ました範囲提出しました書類の中に書いてあります。
  15. 神田大作

    神田(大)委員 私資料をまだ見ておりませんけれども、私の調査いたしました範囲内におきましては、現在におきましても、形式的にはなるほど賦課金とか負担金を徴収するというような形になっておるのでございますけれども、実際は国家補助金あるいは県の補助金割合に応じて五分あるいは二分ぐらいの負担金を徴収して、それによって事業を営んでおる、こういうように考えております。しかもその事業は非常に不明朗な状態になっておりまして、社団法人といいながら、少くとも国家の金が直接的にあるいは間接的にそのような方面に使われている以上は、われわれとしてもこれを放任しておくというわけにはいかないと思うのでございますけれども、この土地改良協会に対して農林省は今までどのような関心とどのような注意を払っておったか、お尋ね申し上げます。
  16. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 私は先ほど民法にいう非営利法人公益法人でございますと申し上げましたが、中には法人でない協会もあるのでございます。民法に基く監督は法に基いて所定の監督をすべきでございますが、地方にありまする県段階協会については、御提出しました資料内容が出ておりますが、あと若干の法的監督事態が起きた場合いたしておりまして、先生のおっしゃいますように十分に監督がいっていなかったのではないかと思います。しかし土地改良事業の特に国庫補助金施行に伴いまして、補助金適正化法等が出ました以降におきましては、国費の適正な使用に関しましては特に留意をいたしまして、従前御指摘のようにやっておるかに聞きましたことは厳重にやめさせるようにいたしておるのであります。また今回特別法団体に、任意ではございますが系統的にやっていただきたいというのは、監督を厳重にし、また経理を明確にして、賦課経費等をかけるようなことも適正にするようにいたしたいと思います。県庁の行います事業委託を受けて適法に行う場合などはいいと思いますが、事業費割合とか補助金割合とかいうふうに経費を取るようなことは厳に監督をいたすつもりでございます。ことに役職員の方についても、法に従いまして監督をしたいと思います。
  17. 神田大作

    神田(大)委員 私は農林委員会提出されました資料をまだ見ておりませんから、その資料を見てから後刻適当な機会に御質問申し上げることにいたしまして、ここで一言だけ申し上げたいことは、この土地改良協会県庁委託を受けて事業をやる場合があります。しかしながらこの事業もたとえば技術者の身分が保障されないために、土地改良協会に奉職しておるところの技術者事業主の希望に沿うような技術の修得をしているかどうかということにも非常に疑問がある。そのためたまたま改良工事が非常にまずく行われたり、手直しをしたり、あるいは必要以上の施設をして農民負担をかけて、土地改良事業に対する農民の熱意を喪失させたりしていることを私は知っております。こういうように無責任な立場に立つところの協会に対しまして、このままにしておくということについては、われわれは非常な疑問を持っておるのでございます。この点についてはあるところにおいては非常な不正事件等も行われておるやにも聞いております。こういう段階にあるのでありますから、この点については農林省といたしましても、せっかく政府の行うところの土地改良事業末端農民に浸透せず、歓迎されないというような状態であってはまことに困ることでございますので、十分の留意をされたいと思うものでございます。この点についての局長の御答弁をお願いします。
  18. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 農林省先生のおっしゃいます御見解と全く同様の見解を持っておりまして、そのために今回土地改良法改正法案とともに特別法をもってその目的を達しようというのであります。運営及び予算資金経理の面においても、技術指導の点におきましても、農民のために土地改良区が働いてかつ国家的にも適正であるように特段の留意をいたしたいと思います。
  19. 小枝一雄

  20. 川俣清音

    川俣委員 私は主として大蔵省に三点ほどお伺いいたしたいと思います。  第一点は、特定土地改良工事特別会計法案大蔵委員会にかかっておるわけですが、この基本法であります土地改良法の一部改正法案農林委員会に付議されております。これはおそらく同時にあげるのが大蔵省見解かと思いまするが、この点いかがであるか。それから土地改良法の一部改正案に重要な変更が加えられるような事態が起きてきた場合には、当然特別会計法の方もこれにならった修正が起きなければならない。しかし、もしもそれができなかった場合は廃案にすることになるのかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  21. 中尾博之

    中尾政府委員 特定土地改良工事特別会計法案は、土地改良法改正うらはらをなすものでございます。従って、両者に関連はございますが、土地改良法改正点は多岐にわたっておりまして、そのうちこの特別会計法うらはらをなすのは、改正後の姿における八十八条の二の規定におきまして国がこれらの事業を行う場合に借入金をする道が開かれるわけで、その借入金規定でございます。従って、修正と申しましてもいろいろございますわけで、どこを御修正になるお考えかと思うのでございますが、借入金は要らぬということになりますと、この会計法関係がございます。その他の点でございますれば関係はございません。
  22. 川俣清音

    川俣委員 今のように理解してよろしいのでありますか。私ども土地改良法の一部改正案の中で、特別会計法関係あるような修正が行われるかもしれないと思っておるわけであります。たとえば、当然農地法修正をすべきところを、土地改良法の一部改正追加補正をいたしておるような格好がございます。そこで、そういう考え方をいたしますと、土地改良法の一部改正の場合、特別会計は、七年以内で必ず完成しなければならないために設ける、こういうふうに規定した場合は重要な関係ある法律になると思うのです。  そこで第二点にお尋ねしたいと思います。大蔵省では、今後はなるべく特別会計を作らないんだということを省議で決定いたしておりますためか、従来この土地改良工事特別会計については、農林省要求を拒否してきた歴史を持っておるわけであります。今度の予算折衝におきましてもなかなかこの点が解決されないで、予算閣議の終った後にもなお尾を引いておったように思うのです。少くとも八月に予算を出した節におきましては、大蔵省事務当局がこれを了解しなかったことは事実でございます。最後政治折衝の結果大蔵大臣がこれをのむことになったことも明瞭なのでございます。そこで、土地改良工事特別会計を設けることについてどういう理由反対されたのか。私はそれにはもっともな理由があったのだと思います。ただいたずら反対して予算を渋滞させるようなことをやっておったわけではないと思うが、一体どういう理由反対されておったのか、その点を伺いたい。
  23. 中尾博之

    中尾政府委員 役所の内部の仕事でございますから、一つのことを決定いたします場合にいろいろな議論もございますわけであります。あるいは大蔵省あるいは農林省あるいは法制局といろいろ意見を戦わせまして、その結論を得るのでありまして、その間においていろいろな考え方も十分に検討されるわけであります。その考え方につきまして、これを政府見解といたしまして申し上げることはどうかと存じます。ただ、特別会計設置関係でございますから、基本的なことだけ申し上げて——今回の土地改良特別会計を設ける場合におきましても同様なんで、単一予算主義というのが財政管理原則であります。これに対しまして、取扱い上特別会計を設けた方が、単一予算主義原則に従うことによって起りますいろいろな弊害より影響が少いという結論を得ました場合は特別会計を設けておる次第でございます。
  24. 川俣清音

    川俣委員 予算審議の上でいろいろ議論されることもあり得るでしょうが、何かこれについて一つの有力なる欠陥と申しますか、おそらく欠点を強調されて反対しておったのだと思う。単なるディスカッションの場合だと反対なんということでなく、研究ということがある。明らかに反対されておったことも事実でしょう。だから、反対されたからには反対された理由があるだろうと思う。しかしながら、改正反対理由がこういうわけで解消したから賛成した、こういうことにならなければならぬと思う。いたずらになぜ理由もないのに反対しておったのか。研究なら別です。研究じゃないのです。去年この問題を持ち込んだ場合もあなたの方は反対していた。最後大蔵大臣調停役を買ってこれをのんだ。事務当局は不服であった。事務的に解決したのではないのです。これは事務折衝の間で解決したことがないことは明瞭でしょう。従って、何か有力な反対がなければならぬはずです。反対もなしにただ予算を打ち切ったとすれば、はなはだもってけしからぬことです。国の予算理由もないのに勝手に引きずったということは重大なことです。何か理由があったと思う。事務的に解決つかないような理由があったと思う。閣議最後にまとめてこれを解決したということはわかるが、国の予算ですよ。大蔵省予算ではないですよ。それに賛成したり、反対したりするからには大きな理由があったはずです。夜業までやってむだな時間を費したのです。そういう余裕があるのですか。何らか重要な反対理由がなければならぬはずなんです。反対はしたけれどもこういう問題が解決したからここで了解に達した、こうならなければならぬはずなんです。この点もう一度。
  25. 中尾博之

    中尾政府委員 どうも説明がなれませんものですから、あるいは誤解があったのかと存じますが、この問題につきましてはそれぞれつかさつかさ役所におきまして十分検討を加えまして取り計らったのでございます。その間におきまして議論がいろいろありますことは当然であります。それが別に反対とか賛成とか、いわばそういう政治的な問題では決してないのでありまして、事務議論をするときには事務レベル利害得失影響というものの議論がございましょう。さらにハイ・レベルになれば、広範な影響に対する御判断もありましょう。このような各般の段階におけるところの検討を十分遂げて得られた結論でございます。
  26. 川俣清音

    川俣委員 もう一つ今の問題ですが、何かあなた方いろいろな反対があったのでしょう。一体ないとすればとんでもないことです。八月の末から折衝しておって、十二月になってようやく解決している。いたずら反対しておったと認めてよろしゅうございますか。大蔵省というものは予算編成についていたずら反対するところであるというふうに認識してよろしゅうございますか。そうじゃないでしょう。私どもも話をした場合に、なかなか大蔵省としてはこれを踏み切って、従来とってきた反対の態度を急に変えるわけにいかないということを再三いわれておるじゃないか。結局は大蔵大臣決定に待つのであるが、事務的には反対でありますということなんだ。なぜ一体そんなに延ばしたのですか。国の予算をもてあそんでよろしいのですか。それは研究じゃなくて、もてあそんでおるのですよ。あなたは予算をもてあそんだというそしりを甘んじて受けるのですか、そうじゃありますまい。こういう理由反対であったけれども、こういうところから問題は解決ついた、こう言ったらいいじゃないか。研究の過程にあるものは明らかにすることがあなた方の任務じゃないか。何のために長い時間かけたか。かけたことをここに明らかにすることが必要じゃないですか。それを明らかにしなさいと言うのです。もしあなたで答弁できなければ、これは局長なり大臣なり来なければこの審議はできないということをはっきり申し上げる。あなたが答弁できませんなら、できませんと答えて下さい。私ども審議できません、こう申し上げますから……。
  27. 中尾博之

    中尾政府委員 特別会計を設けるということは、先ほど来申し上げておりますように、単一予算原則というものに対して重要なる例外をなすものでございます。この点については、特別会計設置すれば、またそれに即応したいろいろな利益もございます。それから一方で、そのような財政管理上の原則にも反しますし、何から何までいいことだらけということではございません。技術的な意味でいろいろな弊害もあることは、これは財政学の教えるところなのでございます。それらの点について慎重なる検討を行うわけであります。相当長時日にわたって農林省も御検討になり、大蔵省においても考えていろいろな相談をいたしておりましたその結果、御提案申し上げたような結論になったわけでございます。その途中においていろいろな見解なり考え方なりというものが外部にいろいろ伝えられたかと存じます。それから事実担当官として若干のことを申し上げたことがあると思います。それらの考え方は決して最後的な政府としての考え方ではないのでございます。おそらくその検討の途中におけるその間の空気が伝わったものと存じます。そういうことで御了承願いたいので、政府としては決してこれをもてあそんだわけでもございませんし、慎重に検討いたした次第でありまして、それを本日ここで御審議願える段階になったわけでございますから、御了承いただきたいと思います。
  28. 川俣清音

    川俣委員 最終決定を見たことについて反対しておるわけじゃないのですよ。それはそれなりに片づいた、こういうことです。しかしながらこれらの問題は非常な大きな問題を含んでいる。これはあなたも認めておられる。そこで相当長い期間研究を要した、こういうことになると思います。そこで、これは何でもかんでもみんないいものではないということはあなたも言われた。どこがよくてどこが悪いのかということが審議の対象となる、そうでしょう。どこがよくてどこが悪いのか。いい点がこれだけあるから、悪い点があっても、このいい点をとってやってはどうか、こういうことになる。だからあなた方が悪いと思われる点を出されたらどうか。悪い点があれば、国会においては修正もしようし、もっとよりよいものにしてもよろしい、またあなたの見解と違えばそれを修正してもよろしい。それらの材料を当然国会審議の前に提供すべきじゃないですか、それがあなた方の任務じゃないですか、予算審議に便宜ならしめるところの理解を求めてこの法案を通そうということがあなた方の建前でなければならぬ。その意味において公務員制度があるんです。あなたは公務員ですよ。従って研究された内容をここで明かにし、つまびらかにして審議を受けるということは当然なことなんです。それがあなた方に課せられた任務じゃないですか。秘密事項じゃないんですよ。個人秘密事項個人見解を聞きたいというのではない。これにはいろいろな長所も短所もある、これはこうしたらいいとかいう有力な意見があったはずである。それを審議の対象に述べられてはどうか、こういうわけです。
  29. 中尾博之

    中尾政府委員 それが機密に属するわけでも決してございませんし、申し上げることにはばかりあるようなことはないのでございます。その点はお断り申し上げておきます。検討いたしますのは、土地改良事業あるいはダムといったような特定のある事業特別会計を設けることの可否ではございません。事は財政法第十三条に「国の会計を分って一般会計及び特別会計とする。」特別会計設置する場合には法律によるんだ、規定はこれだけで簡単なもでございますが、現実に特別会計を設けることは、財政法上と申しますか、財政法以前の原則と申しますか、こういう財政管理原則に照らして、いわゆる単一予算主義原則に反するわけであります。もちろん反する場合もあり得ることは財政法も認めているわけです。その見地からいろいろ議論がございました。単一予算主義原則に尽きるのであります。しかしこれを設けた場合の実益が単一予算主義によらないことを補って余りある場合であるという結論を得ました結果、ここにこの法案をお願いすることになったわけでございます。  これ以上御説明申し上げてもあるいは非常に失礼になるので、非常に簡単なことですが、要するに予算が一本でございませんので、国会で御議決になる場合、決算をごらんになる場合、全体が統一的にごらんなりにくいということでございます。目が届かなければ、とかく政府はむだづかいをするのじゃないかというようなことがある。これは何も土地改良事業に関したことだけではございません。特別会計を設けました場合には、これが一般に伝えられておる弊害でございます。しかし、かかる弊害は多少認められるにいたしましても、すでに特別会計を設けるということは、近代国家といたしまして、どこの国におきましても二十や三十はあるのであります。従って、その取扱いに慎重を要するということであります。今申し上げました単一予算主義の一般原則がございますからというそれだけの理由で、特別会計を設けてはいけないということにはならぬのでありまして、その間に実情に即したいろいろな取扱いが考えられるわけであります。本件につきましては、いろいろ内容検討いたして参りますと、一般会計原則をもって処理いたしますよりも、特別会計を設けまして、主として予算の実行並びに決算の面におきまして一般会計原則を離れて処理いたしまする会計を整えました方が、仕事が的確に行われ、整理も十分に明確になります。一般会計においてこれを行いました場合に比較しての話でございます。より明確になりまして、その整理において完全を得る。その利益はぜひこれを確保しなければならぬものである、近代国家財政管理の一般原則という、そういう大きな見地から、かかる利益を放棄すべきではないという結論がございまして、そのために、この会計を設けました。従って、あるいはいろいろ御懸念もおありだったのかと思いますが、それらの点、特別会計を設けまして得られまする利益を十分に確保できるように、この会計は工夫いたしております。それからこの会計におきましても、一般会計からの繰り入れの関係等もございまして、十分に一般会計の面からも統制がきく会計になっておる次第であります。われわれが予想し得ました限りの当時のいろいろな検討の結果につきましては、いずれも技術的に非常にこまかい点でございまして、いろいろ工夫をこらしております。われわれといたしましては、いろいろ検討の結果懸念されましたことは、この制度によりまして、全然これは心配することはないという考え方が成り立ったわけでございます。そういう次第であります。
  30. 川俣清音

    川俣委員 初めからその理由をはっきり言われれば問題はないのですよ。くどく質問する必要はなかった。それが重要なあなた方の反対する動機であったということは、私も聞き及んでいる。そこで私は次の問題に移ります。  これを一般会計から分離していくということは、われわれの予算審議の上から申しますと、直接というよりもやや間接の傾向を持ってくるものです。それだけに、特別会計事業の面から言いますと、いろいろやかましい審議から幾分でも離れるということの方が、より能率的であるし、より事業的に執行できる、こういうことで作られたと思う。そこに私は問題が出てくると思う。一体同じ土地改良を新規と今までの継続とをこう分離しなければならぬのはどこからでありますか。問題はそこにあるのですね。一般会計の方でやる旧来の継続したものと新規とを分離しなければならない——今の論からいきますと、分離の理論にはならない。従来当然一般会計で見て参りました工事、しかも受益者には、予算範囲内とは申しながら、五年計画、七年計画でこれは達成いたしますという約束をしておいて、予算範囲内におけるとはいいながら、一応計画は立てておられる。この計画というものは、一般の国の歳入歳出予算から制約を受けてきたこともまた明らかであります。そうすると旧来のものはこの制約から脱し切れないし、新しいものだけはこの制約から脱して特別会計を設けてもよろしい経理内容を明らかにして事業を促進するために、これは別個に設けてもいい、あなたの理論はそういう理論です。そこに特徴がある。旧来のやつは一体なぜ一般会計の中に置かねばならぬか、この点について伺いたい。
  31. 中尾博之

    中尾政府委員 お答えをいたします。本特別会計を設けます場合、新規のものと継続のものとを法律上区別をいたしてここへ入れるような制度にはなっておりません。問題は、この特別会計経理を明確にするというところにございます。これは借入金をいたします関係から出て参るのでございます。従って借入金をいたしますものにつきましては、この会計で取り扱うので、その旨規定せられているだけのことであります。借入金を行います場合には負担区分が変って参ります。一たん借入金を行うという関係が成り立つものは、新規であれ、継続であれ、この会計に入り得るものであります。ただいまの御質問にございました新規と継続との区分でございますが、これは現実に、私はそうは申しましても、ことしの予算では灌漑排水の関係は新規だけがこっちに入る予算が出ているわけでございます。これは継続の分につきましては、昭和三十二年度におきまして借り入れの方式に乗り移ることが事務的に不可能に近いというところから参っておるものでございます。それは負担区分が変る関係であります。負担区分の決定が将来にかかっております分につきましては、新しい条件で政府が仕事を始めまして、地元の御承認が得られれば、その仕事が成り立っていくわけであります。従ってその分だけができているわけであります。継続の分につきましてこの借入金方式に乗り移る態勢で仕事をお進めになるということであれば、この会計はこのままでこれを包摂して経理できる会計になっている次第であります。
  32. 川俣清音

    川俣委員 ほんとうにそういうように理解してよろしいのですか。そうじゃないでしょう。予算の上から制約を加えたのではなくして、新規並びに負担区分のできる分を当面目標にして予算を組んだので、予算の上から内容を削ったものではなくして、この程度のものは負担区分が現状においてはできるであろうというところから、あなた方は予算を組んだのではないですか。従ってそういう法律になっておるのじゃないですか。私どもの理解によりますと、負担区分がもしできれば、来年から国会において、大蔵省が何と言おうと予算をふやしさえすれば、もっと広範囲にできる、こう理解してよろしい、こういう法律なのか、そうじゃなくて、大蔵当局と農林当局の間においては一つの協定があるから、法律の明文はないにしても、協定の範囲を出ない、こういう解釈をすべきなのか、この点どちらです。
  33. 中尾博之

    中尾政府委員 大蔵と農林当局の間に何の協定もございません。問題は、借入金方式で参りますということによりまして、新しい負担区分関係が出て参る。しかし従来継続でやっておりました分は、こういう方式を予定しないで着工されます。そういうことの御理解がなくて地元も納得しておられる分であります。それを三十二年度以降政府側で一方的に新規の負担割合の分に切りかえることはできません。従ってこれは乗せていなかったまででございまして、それがまた、その事業が非常に経済性の高い事業でありまして、新しい負担区分にも十分耐える、農村の推進の面から見ましても、十分合理的に説明ができるものであるといたしますならば、それが新しい方式に乗ることは十分に考えられるのであります。その場合にはこの特別会計法でそのまま動くようになっております。ただし三十二年度は予算関係がありまして、予算を編成するまでに見通しが得られるものでなければ予算することができません。三十二年度にそういうふうに転換しようと思いましても、それはちょっと無理でございます。
  34. 川俣清音

    川俣委員 そういう考え方土地改良法の政正案をその趣旨にのっとって修正するならば、明確にするならば、大蔵当局は賛成されるということに理解してよろしいのでございますか。
  35. 中尾博之

    中尾政府委員 ちょっと御答弁に苦しむ次第でありますが、修正は私どもはまことに(「好ましくない」と呼ぶ者あり)好ましくないと申しますか、別に国会の権限の問題ではございませんで、政府といたしましては非常に不適当な結果になると私どもといたしまして考えております。いわんや修正内容等につきましても——御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  36. 川俣清音

    川俣委員 時間がないので内容について今ここで論じはしません。あなたがそういう趣旨で作ったということをもっと明確化するために、既存の五カ年計画、七カ年計画が十数年先に延びるような状態になっておる。これはやはり国の怠慢だといわなければならないと思う。従ってそれから受ける損害も非常に大きいわけだ。むだな負担を受益者がしなければならないような格好になっている。この土地改良法趣旨は御存じの通り農家の生活を安定させると同時に農産物の生産増強に役立つためにこの法律ができているわけなんですから、その趣旨からいって予算の別個な取扱いを受けるということは好ましくないと思う。法律は二様にはいたしておりません。本法の目的は、負担のできる者には負担をさせるとか、できない者には負担させないということにはなっておりません。農家経済の安定のために、農産物の増産のために土地改良事業を行うのだということが大目的なんです。この法律の根本は、大蔵省のような考え方ではできておりません。従ってこの趣旨を生かしながらあなたの今の考えを持っていくということはちっとも差しつかえない。特別会計は、早期に完成できるのだから負担をしてもよろしいではないか、こういう考え方だ。それが五年になるか十年になるか——従来のように十数年かかるということになれば、そんな負担計画を一方的に押しつけられることは本法の趣旨に沿わないことになる。沿わなくても従来やってこられたのであるからここに制約を加えていかなければならないと思う。たとえば特別会計でやる事業は七年をこえるような予算を組んではならないとか、本法の趣旨をじゅうりんするような長期にわたることは許されないとか、これは法律上適切な用語にしなければならぬと思うのでありますが、相当制約を加えるようなことにいたさないと財政上乱用されるおそれがある。また従来のものは予算の縮小から特別会計にだけ重点が置かれて、従来の継続されている事業がさらに遅延するおそれがあることは農民がひとしく不安に思っている。またこれ以上延ばされるのではない。せっかく着工してみたものの、五年たち、六年でできるだろう、七年でできるだろうと期待しておるものが、期待はずれになるといううらみを受ける。政治的なうらみは別としても、経済的な打撃を与えることは本法の趣旨ではないのであります。従って本法の趣旨を厳格に守らせるようなことに修正することは当然な考え方だと思う。それでも迷惑だ。それは大蔵が迷惑だといっても本法の趣旨です。本法の趣旨を変えようという意図があるなら別です。なるべく本法の趣旨に沿うようにしてやろう。ところが大蔵省はいつでも法律趣旨に従わない。予算編成の上から法律を曲げていこうとするのです。そこで曲げては困るということで修正することはちっとも差しつかえない。いかがですか。
  37. 中尾博之

    中尾政府委員 特別会計は、あくまでも経理のやり方についての政府内部の整理の法律でございます。農政の対策とは関係がございません。今の御議論は、土地改良事業を行う場合、おそらく土地改良法の政令の適用の問題だと思います。生産性の特に高い仕事を促進する、しかも財政負担を伴わないでこれを促進するということについての新しい構想から出たものと思いますけれども、ほかのものに充てるべき財政負担を急ぐものに集中するという趣旨に出たものでは決してございません。そういう構想が土地改良法の構想でございます。この特別会計はこの構想に伴ってそれを取り扱うのに必要な技術的な経理手続をきめておるものであります。特別会計を設けたから、従ってこれをどうするこうするというので農政にはね返させるというのは本末転倒で、特別会計は必要に応じて設けたものであり、特別会計にしたためにどうするこうするということは、私ども全然考えておりません。
  38. 川俣清音

    川俣委員 ほんとうに理解してよろしいですか。大蔵省最後に賛成したのはどこにあるかというと、早くできるからということで、受益者の負担が高くなっても受益者が得であろう、双方に利益をするであろう、こういうことがねらいじゃないですか。早く完成できないということになりますと、従来とちっとも変りはない。そんなに大きな負担をすることは迷惑しごくということだ。そうすると今度一般会計予算特別会計とをいたずらに分離しただけで複雑にしてしまうことになる、利益がないということになる。負担を多くしてもこれを早期に完成しよう。早期に完成するところに受益者の利益があるのだから、それだけ多く負担してもよろしいのではないかというのが特別会計考え方です。それが一般予算に引きずられて長引いてもよいということになってくると、分離した効果というものは一つもない。長所というものは消えてしまう。消えてはならないからそこに制約を加えてよろしいかというのです。これ以上質問するのは私は無理だと思いますし、別な機会に大蔵当局に対して十分質疑しないとにわかに賛成できないということだけ申し上げて、時間がないからこの程度にいたしておきます。
  39. 井手以誠

    ○井手委員 私は質問ではございませんが、議事進行に関連して申し上げます。私の質問は後刻いたします。ただいまの法規課長の答弁によりますと、はなはだ心外な内容があったわけであります。特別会計を設けたことは単に会計処理上の問題である、農政の基本方針には関係がないとおっしゃいましたが、大いにあるのです。その点は私は取り消しを願いたいと思って発言を求めたわけです。内容については後刻申し上げますけれども、地元負担借入金によってやろうという会計法内容、これは地元負担を引き上げるということは農政上大きな問題があると思う。農地改革についても大きな問題があると思う。それをあなたはないとおっしゃる。農政には関係ないとおっしゃいますが、ありますよ。その点だけはお取り消しを願いたいと思います。
  40. 中尾博之

    中尾政府委員 私の先ほどの答弁が若干表現において誤解を与えたという点がございましたらお許しを願いたいのでございますが、この特別会計法政府内部の経理の取扱いに関する規定でございます。これによって農民負担金をかけることもできませんし、農民の方の負担金を免除することもできません。ただすでに取るあるいは取らないあるいは重くする、軽くするということが、土地改良法の方で、あるいはそれの政令でおきめになりました場合に、その取扱いの規定を定めておるだけでございます。そういうことを申し上げたのであります。もちろん土地改良法の方でその負担金を従来通りの姿でやっていくならば、この特別会計は必要といたしません。その意味では関係がございます。しかしその特別会計法で基地区の負担金を取りやめるとかあるいは減らすということをいたしておるのではございません。農政に関係する重要な法案であるところの土地改良法の方でそれをおやりになるのでございます。おやりになったその農民の方々と国との関係は、そちらで済むわけでございます。国の内部におきましてそれをどう取り扱うか、どういうふうにやるか、会計法はそういう法律でございます。そういうことを申し上げたのであります。
  41. 小枝一雄

    小枝委員長 石山權作君。
  42. 石山權作

    ○石山委員 私大蔵委員とし二年ばかりいて、大蔵省のお役人さんの気質というふうなものをちょっとうかがっているのでございます。どうも性格上やむを得ないと思うのですが、集めることに一生懸命熱心でございまして、しかも集めた範囲内で何でも物事をやるというのですから、どうもそこには愛情とか将来性とかいうことをあまり考えない傾向がお金の面ではたくさん現われている。たとえば徴税の場合は大へん熱心で、一人当り二百万集めろ、三百万集めろというようなやり方をやる。今さらそういうことを言ってもしようがないけれども、この法律を見ますとそういう印象がますます濃厚にあると考えます。これに賛成した方方も変だと思うのです。農家経済を一番よく理解して一緒にやってきている方々が大蔵省の金の集め方にすぐ賛成してしまっているが、支払い能力がどうもないような印象を受けてならないのでございます。というのは、農林省から出されている広報だよりに昭和三十一年の農家経済の概要という数字が簡単に出ておりますが、これを見てみますと、全国平均農家一戸当り現金総収入三十五万六千五百三十六円、支出三十万三千七百三十五円、剰余の合計が五万二千八百一円、こういう数字が出ているのでございます。それと今度皆さんの方で出されておるこの法律を見ますと、年間に五万二千八百一円しか剰余がない農家が今度は改良、干拓に入るわけです。そうしますと生産の価値は工事期間は当初予想したよりそんなに上ってこないということはだれしもわかることだと思うのです。それに関して改良の場合は四割二分、干拓の場合には今までの約四倍近くになるような計数が出てくるわけであります。こういう点では、よく皆さんの方で、ここ二十九年、三十年は農家が特に豊作だと言われながら、こういう計数が出てくる。今の干拓の場合は一戸当り大がい一万円くらいしか負担していないのに、たとえば四倍出すと仮定しますと四万円、それでここに特にあなたの方で出しているのは、継続期間中の利子も地元で負担しなければならぬという項目もある。そうしますと、どうして払えますか、払えないという数字の方が強いではございませんか。こういう点はいかがでございますか。
  43. 中尾博之

    中尾政府委員 これも実は特別会計そのものではございませんで、そのもとになります土地改良法の運用の問題でございます。今回特別会計法設置する基因になりました新しい負担区分方法は、ただいま御質問にございましたようなやり方でやることを予定しているわけであります。この点につきましては、もちろんこれによって早く生産効果が上るという面も考えてはおります。工事自体の効果の経済性ということを十分考えまして、それの妥当な範囲内で適当な負担率をきめようとしているものでございます。工事が何ぼかかっても、農家の経営なり営農なりと無関係負担金をきめようとしているものでは決してございません。それにつきましては詳細な検討を遂げましてやっているのでございます。土地改良事業を行う場合と一般の農家の場合と違います。お示しの数字も一戸当りとまた反当も違うわけであります。しかしそういう一般的な統計は統計といたしまして、これらの仕事をいたします場合には、特定の地区につきまして、その統計に現われているものよりもさらに恵まれない地域もありましょうし、また条件の有利な地区もございましょう。それらのことは綿密なる計画と検討を経まして、土地改良事業として成り立つものを取り上げていくわけでございます。御懸念の点はないというふうに御承知願いたいのであります。
  44. 石山權作

    ○石山委員 これは全国概数だから、土地々々によって違うだろうと言って逃げられますけれども、概括的に農家経済を調べる場合は、やはりこういう統計が基本にならざるを得ないでございましょう。そういうふうな言い方は不親切だし、おざなりだと思わざるを得ません。ではなぜこんなものをわざわざわれわれの検討資料に出しておられるのですか。特に私ここで御注意したいのは、この中の残りのうちに、財産利用による収入が五千七百五十円という計数がございます。こういう計数を、たとえば五万二千何ぼから引いてごらんなさい、四万五、六千円しかないじゃありませんか。そうしますと、たとえば私の方の今度の八郎潟も、この特別会計によって造成の二割を賦課金にされる、国から改良費の金が約二万五、六千円、その以後の完成を期するためにまた二万くらいかかる。そうしますと、たとえば適正反別をどのくらいにお考えになっているか知りませんけれども、農家一戸当り八十万円から百万円という金になります。それを二十カ年で返済するとなりましても四、五万かかるじゃございませんか。今のようなこういう農家経理になっている場合では、新しく入ったところ、もちろん干拓の場合は生産性が高いというふうな裏づけがあるようでございますけれども、全般から見た計数としては、どうしてもこの賦課の割り振りに対してあまりに酷な数字が出ているように思われてなりません。こういう点はもう一ぺん御返答願いたいのです。
  45. 中尾博之

    中尾政府委員 全国平均の数字と個別のものが違うからということで私が先ほどお答え申したということでは決してないのでございます。たまたま今御質疑で引用されました資料がそういうものでございますからということを申し上げただけでございます。八郎潟にいたしましても有明にいたしましても個々に建設費もかかり、その利息の負担もかかる、そしてさらに営農をいたします場合には、干拓が終りましてもなおその後におきまするところの法的ないろいろな施設経費もかかるし、それから営農そのものの経費もかかるわけでございます。それとまた収益見通しとのかね合いにおきまして十分に余裕のある、さらにその余裕の一部分をもって充て得る、従って無理がなくいくという見通しのもとに、ここにその割り振りを考えておるわけでございます。干拓はできましてもあとの営農ができないというような干拓を作るというつもりは決してございません。
  46. 石山權作

    ○石山委員 干拓はできたけれども営農ができないというふうなことは何もない、そう言われますけれども利子は払わなければならぬし、賦課金はお返ししなければならぬのでございますから、その言われても与えられた任務というものをこの法律では緩和するという条項にはなっていないと思うのです。そうしますと、せっかく購入した牛馬がつまり抵当にとられる、田も抵当になる、こういうふうな傾向が必然的に生まれてくるわけです。私の申したい点は、大蔵省考えている率がわれわれが考えているよりも非常に高いところを目ざしているという点にあるのです。私には説明がどうもピンときません。それから建設期間中も利子をかけなければならないという一つの気持でございますね、こういう点もどうも私たちには理解に苦しむ点でございます。
  47. 中尾博之

    中尾政府委員 繰り返して御説明申し上げることになりますので恐縮でありますが、工事そのものが目的ではないのでございまして、その中に入植を行いまして、さらにそれが定着した農家としてずっと永久に成り立っていくということを目標にしておるものでございますから、御懸念のような取扱いはいたすものではございません。なお大蔵省負担率というようなお話もございましたが、この問題につきましては大蔵省負担率あるいは農林省負担率というものはないのでございます。いろいろ検討はいたしております。あらましの線ももう出ているかと思いますけれども、それに従っていくのでございます。特に両省の間で何か異なった考え方があるというようなことは決してございません。ただ事柄は、干拓というものは従来は負担金の形では一文も負担がなかったのであります。それを新しく負担の形が出て参りまして、その取扱いにつきましては、営農の関係につきまして無理のない、十分にそれに耐え得て、しかも仕事が万事うまくいくというものでなければ何にもなりませんので、干拓そのものを作りますのにも莫大な国費を要するのであります。これは役に立たぬものを作っても何にもならないのでございますから、その点は十分に検討いたしまして、無理のないよう、成り立つような特別な利益を与えるというわけにはなかなか参らぬかもしれませんが、目的を達する、しかも農民の方々もせいぜい工合よくいけるようにという線で考えておるのでございます。その点はそういうことで決して私どもははき違えたことはいたしておらぬつもりでございますから、御了承を願いたいと思います。
  48. 石山權作

    ○石山委員 大へんあたたかい御説明をいただいて気がなごむような気がいたしますが、しかし今までの風聞を聞きますと、非常にからい考え方を大蔵当局が持っているというふうにわれわれは聞いております。そういう点、土壇場になると気のゆるめない点が最終的にも生まれてくるというのが今までの例でございました。ですからどうしても私たちはきちんとした逃げ道のないような、たとえば計数を一応確かめてみたい、こういうふうに思っております。御承知のように国の人口の問題と農家の次男、三男の問題とか、いろいろからみまして今までの開拓事業、開墾、ああいうようなものは、人は突っ込んでみたけれどもほったらかしておった。これはやはりいろんなことを言われておりますけれども、人を突っ込んでおきながらそれに必要なお金を農民に与えなかった、こういうことに尽きるようでございます。そうしますと今回の場合にはどこにおさまろうと負担率は今までよりも高いということをあなたは最初から説明しておられるようでございますから、負担率は高くなる。そうしますと今でさえも私たちが見ていますと、賦課金に苦しめられて同じ組合員が組合員を告訴するところまでいく、村に徴収権をあずけるというような徴候までも示さざるを得なくなっているのが現状でございます。ですから私たちが言いたい点は、国にもう少しほんとうに農家経済を立ち直らすような気持があるとするならば、特別会計をひいた精神とマッチさして負担率を早く一つ限度をきめて明示してこの法律を出すべきだ、こういうふうに考えておるわけなのですが、そういう点は御説明できませんですか。
  49. 中尾博之

    中尾政府委員 内容はちょっと特別会計から離れますので私から申し上げるのはどうかと存じますが、いずれまた別の機会に御質疑においてもう少し明らかになるのじゃないかと思います。私といたしましては、決して無理はしないという先ほどの御答弁の線で考えておるのであります。大蔵省としてもそうでございます。今回の法案を作ります場合に、従来の負担区分をあるいは法律に合わせないとわからないじゃないかということの御意見があります。しかし事情は非常に複雑でございます。資力が営農に非常に関係あるわけですから、一方で同胞の負担ということを考えますれば、工事費の関係もまたなかなかこれを軽視するわけには参りません。その両方をかみ合せまして各方面、農民の方々、指導者の方々、御納得のいく線でこれを出さなければならぬと思います。しかし結論においても合理的なものでなければならぬと思います。その他の点にもいろいろ問題もございましょう。それをいろいろ検討をいたしまして、いずれ政令でこれを明確にするということになっておると思います。ただ考え方は、私が先ほど来申し上げておりましたような考え方であります。工事費をまかなうために営農を犠牲にするということは本末転倒であり、そういうことを決して考えておるわけではありません。逆であります。むしろ営農の上から考えて参りましていくということであります。従ってそういう点無理のない穏当である——しかしどこの農民でも特別の利益を受けるということはこれは考えられませんが、無理のない成り立つ線で考えるということでいろいろ検討しておる次第であります。
  50. 石山權作

    ○石山委員 営農が成り立つ無理のない線、こういうふうな問題は私はその通りだと思います。大いに尊重していただきたいと思いますが、その営農に無理のない、受益者にある恩典を与えるような数字設定に当りまして、大蔵省は一体どこからそれをお出しになってどういう形で、こうしてわれわれが質問しているものに理解をさすという段階はどこで求めるか。ほんとうの意味の数字設定に当ります一つの手続上の問題でお聞きしておきたいと思います。
  51. 中尾博之

    中尾政府委員 実は今の段階で、まだ政府として手続を踏んできめたものでは決してございません。大蔵省なり農林省なりで見込みと申しますか、大体こういう方向でいきたいという案は出ておるのでございます。すでにお手元にお配りしてあることになっております。
  52. 石山權作

    ○石山委員 中ごろは大へんいい答弁をいただいたのですが、最終的になりますと残念ながらまだ未確定だというふうに逃げられるのは、私はこの法律を通す上において非常に残念に思います。しかし私たちも十分この問題については協力も申し上げたい、また国民の代表として監視——監視という言葉を使ってはいかぬと思いますが、十分慎重にこの育成をながめていきたいと思いますので、機会があればまた当委員会でお呼びいたしますから、そのときは一つ資料を御持参になって、はっきりしたところを答弁できるようにお願いをしまして私はこれで終ります。
  53. 小枝一雄

    小枝委員長 芳賀貢君。
  54. 芳賀貢

    芳賀委員 私は特別会計法に関して大蔵省に若干お尋ねします。第一に特別会計内容の問題ですが、土地改良法改正の目的の一つですね。一方においては特別会計を設けてそうして工事を促進させる、すみやかにその経済的な効果を上げるということが土地改良法改正における一つのねらいなのです。そのうらはらにこの特別会計法というものが生まれたということは大蔵当局も先ほど述べた通りです。そういうことになると、結局この特別会計の中における歳入面の確保ということは、工事の完成とか進捗に重大な影響を持つわけなんです。これが完全に確保されなければ、いかに土地改良法の方で計画通りの仕事を進行させたいとしても、あなたの方で持っている財布が充足されないと、また仕事が延びるということになると思うのです。そこでお尋ねしたい点は、この歳入は何であるかということをいろいろ列挙してありますが、その中で負担金及びその利息ということがありますが、これは法律上の解釈からいうと、負担金及びその利子というのは何をさしておるのか、負担金に付随する利息ですか。
  55. 中尾博之

    中尾政府委員 これは明確に書いたつもりで負担金及び利息に分れたのですが、俗には負担金といっておるのに含まれておるものでございます。負担金を国が出しますのは工事が竣工いたしましてからでございます。即時取るものではなく延納になっておる。この延納ということは特に政令に明確に出てはおりませんが、実質は延納である。従ってこの利息は延納利息であります。
  56. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると負担金の概念になるわけですね。負担金を全額納入したときには利息は要らぬということになるのですか。
  57. 中尾博之

    中尾政府委員 利息は要りません。すぐ決済がつきますから、利息をいただいて政府がもうけても何にもなりません。延納利息は、これは負担金をちょうだいいたしまして、それで負担金見合いの借金を返すわけでありますが、その借金についておりますところの利子の見合いであります。すぐ返していただけば両方とも借金は消えますし、要らないわけであります。もちろんしかし一時に返していただくとか、一時に負担金を取り立てるという制度はきわめて不穏当な制度であると存じます。
  58. 芳賀貢

    芳賀委員 ちょっとそれは変ですよ。土地改良法のあなたの方の解釈は違うのですよ。あなたが今言われたのは負担金を一括納入した場合には利子は要らぬ、そう言ったでしょう。土地改良法の方からいうと、負担金負担金利子利子、別になっておるのですよ。そうでしょう。安田さんいかがですか。
  59. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 負担金償還金利と、今回の借入金によってやった分の負担金相当する部分を建設期間中にも負担してもらおうという建設利子と二つあるわけであります。法規課長の言われたのは従来の方式による土地改良、従って灌排事業につきましても、農民負担工事完了後十カ年で元本に償還金利を加えまして払います。都道府県の負担としては建設期間完了後償還していく場合のことと思いますが、都道府県が一度に現金で払ってくれますと利子がつかない。法規課長はそういう意味で申し上げたのだと思います。
  60. 芳賀貢

    芳賀委員 利子の中には建設工事費に対する利子と、負担金に対する利子と二つあるのですか。
  61. 中尾博之

    中尾政府委員 どうも説明が不十分だったと思いますから申し上げますが、利息が経済的に働きますのは二つあるわけです。一つは金を借りるわけです。金を借りて工事をいたします。だから借りた部分について利息がつく。建設工事中もつきます。要するに建設工事が済んで負担金を年賦でちょうだいする、それで返す。その完済するまでに利息がつきます。この利子一つです。もう一つ工事が完了してから負担金をちょうだいすることになっております。そのちょうだいするというのが一時でないために、その間ずっと利息がつく、その利息がございます。片一方は支払い利息、片一方は受け取り利息です。(「それでは二重じゃないか。」と呼ぶ者あり)二重ではありません。建設中の利息と建設後の利息ということに御了解願えばはっきりすると思います。建設中の利息と申します意味はこれは負担金の中に入るので、建設後もうすでに負担金債務だけが残っておる、それの延納分についての利息がここに書いてある利息であります。建設中の利息はこれは負担金の中に入ります。
  62. 芳賀貢

    芳賀委員 整理して私の方で聞きますが、建設費の利息というのは工事全体のコストの中に入っておるわけでしょう。結局完成した場合にそうした借入金や何かで工事費を充足しておるのだから、その借り入れた借金の利子というものは工事費の全体のコストとして入っておるでしょう。その中から負担区分をして受益者にはどれだけ負担させるとか、都道府県にはどれだけ負担させるとか、国がどれだけ持つということになるわけですね。だから建設利子というものは表面に出てこなくてもいいのじゃありませんか。ですから負担区分をする場合には建設利子という名目では何人もこれは支払う必要はないわけでしょう。問題は負担金にのみつく利子というものが歳入の方に要求されるわけでしょう。その場合一括して納入する場合には利子は要らぬし、国の方針でたとえば十年とか十三年に負担金を払えという場合には、その利子がつくということですか。
  63. 中尾博之

    中尾政府委員 先生の御質疑の通りであります。まさにその通りでありまして、重ねて申し上げることはございません。特別会計法利子をとるのではないのでありまして、特別会計法は利息が入ってきた場合の整理を書いたものであります。
  64. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことはわかっておる。ただ性質が何だということを聞いておるわけです。  それからもう一つは、今答弁の中にありましたが、特別会計が行うところの借入金利子というものは特別会計負担において行うというのでありませんか。これをそれ以外の受益者とか都道府県に負担させるというものとは違うというふうに法律でうたっておるのですが、その点はどうですか。
  65. 中尾博之

    中尾政府委員 ちょっと御質疑の趣旨がはっきりしません点もありますが、一応お答えいたしたいと思います。建設中の利子は払わぬでもよいというわけには参りませんので、財政負担で、税金でやっております分は、これは立てかえましても従来から利息という観念がないわけであります。従来のように全部税金でもって一応負担して、それでいく場合には利息という問題はございません。しかし利のついた金を借ります場合には、これはどうしても払わないわけには参りません。従来この種の事業につきましては国庫で、つまり納税者が負担いたします分と、農民の方々が負担いたします分とあるわけであります。それから都道府県で負担いたします分がございます。それらを一応全部納税者の負担にぶっかけてきまして、それであとからこれを都道府県なり、農民の方々から徴収していただくという形になっておったわけであります。その制度である限り、それでもちろん差しつかえないわけでございます。今回の考え方といたしますと、本来国が負担いたすべき分、これを納税者の負担にいたしますことは従来通り、都道府県あるいは農民の方々が負担されまする分、この分は利のついた金を借りて充てるわけでございます。それでは従来の都道府県なり、農民にかわって納税者が負担しておった分はどうなったかと申しますと、これは工事を促進いたしますために国庫負担分を繰り上げます。国庫負担分にそれを充当いたしまして、工事の進捗をはかっておるわけでございます。
  66. 芳賀貢

    芳賀委員 私の聞いておるのは、第十四条の借入金規定があるでしょう、この会計負担において工事別借入金をするということなのですからね。特別会計負担において必要な借入金をやるのですよ。ですから借入金に対する利子の支払い等は、特別会計の責任においてやるということになっておるのです。それであなたの今の答弁からいうと、その借入金のうち、国が負担すべき工事費の部分については国がその利子を払うけれども、それ以外の分に対しては、特別会計負担において利子を払わぬというような、そういう説明をあなたはしたわけですね。この法律で見ると、これは特別会計負担において借入金をするということだから、当然行なった借入金利子というものは特別会計負担において、責任において、これはやるべきことなのですよ。それが本筋なのですよ。そうじゃないですか。
  67. 中尾博之

    中尾政府委員 この会計において負担するとございますが、これはこの会計経理区分に属するという意味でございます。別に法律的に、特別会計民法的な意味法律の権利上の権利主体になるというわけではございません。経理の区分を示したものでございます。借入金をいたしまする場合、この事業が直轄事業でございまするから、その財源といたしましては当然歳入をもってまかなうのであります。これは国の借金でございます。なお先ほど私が御答弁申し上げました中で、国が負担する分ということを申し上げたという御質疑でございますが、私はそういうことを申し上げた覚えはないのでございまして、納税者が負担する分であるか都道府県あるいは農民の方々が負担する分であるかということで申し上げております。
  68. 芳賀貢

    芳賀委員 だからあなたの言う納税者が負担する分というのは、やはり国が負担する分をさしているのでしょう。そうじゃないのですか。
  69. 中尾博之

    中尾政府委員 国が負担する分ということは二つの意味があります。納税者が負担するということで、私は先ほどは申し上げたのでございます。しかし納税者が負担いたしません分で都道府県が負担する分、農民の方々が負担する分も、その工事を行います場合の支払い責任は、直轄事業である以上は国にあります。これは歳出にいたします。従ってこの財源は歳入にとらなければなりません。そういう意味法律上の受け払いは国でございまする以上、国がいたすのでございます。経済的な意味のだれが負担するかという問題につきましては納税者の負担にする、都道府県の負担にする、農民の方々の負担の分、こういうことが法律上の建前といたしまして分れておるわけでございます。しかしいずれにいたしましても、金を取りまとめて使いますのは国であります。そういう意味から申し上げますれば、これは全部国でございます。
  70. 芳賀貢

    芳賀委員 どうも法規課長の言われることは非常に丁寧な答弁なのですが、別に聞かぬでもいいようなことをあなたは言うているのです。だからこれは特別会計利子を支払う場合は、別にそれがすぐ受益者に転嫁させるというような仕組みじゃないのでしょう。借入金利子というのは特別会計歳出の方でちゃんと出すのですからね。だから特別会計の中でも借入金とか利子というものは、歳入歳出経理されてしまうわけなのです。問題は、この負担金なるもののことさら利子をつけるという、この法律の中におけるこういう行為というものは正常なものであるかどうかということにむしろ問題があるのですよ。その点はどういうふうに考えておりますか。
  71. 中尾博之

    中尾政府委員 それはその特別会計法の問題ではございませんで、土地改良事業負担区分の問題でございます。負担区分のやり方といたしまして、国が——国と申しますか納税者が負担いたします分、これは利息のつかない金でございます。そのままです。それから都道府県と農民の方々が負担いたしまする分につきましては、特にその分だけ利のついた金を借りましてやる分でございますから、その分に利息がつきます。もちろん従来、都道府県あるいは農民の方々が負担すべき分は、利息のつかない金でもって実は前貸しをしておったわけであります。それをやめまして、農民の方々に負担分の立てかえを、特に利のついた金でやろうといたしておるのではございません。従来とも立てかえましておりました分は、これを立てかえませんかわりに、国の方で負担いたします——国と申しますか、納税者が負担いたしまする分にこれをつけ加えまして工事の促進をはかろうとしておるものでございます。そういう関係でございまするから、利のついた金をもってお立てかえしている分につきましては、これをちょうだいいたすことにしませんと勘定が合いません。しかしそれによって別に、納税者の方の農民の方々に対する援助の手をゆるめたわけではございません。これ以上にもし何とかするということになりますれば、あるいは新規の納税者負担を増すとか、あるいは先ほどもいろいろ御心配がございましたように、この会計経理しない方の分に充てられる財政負担をこっちへ取り込んでしまうという結果になるわけでございます。そういうことは考えておらぬのであります。
  72. 芳賀貢

    芳賀委員 その負担金工事完了後に徴収するのですから、そういう利子なるものがあるとしても、それは負担金の中に入れても別に差しつかえない性格なのです。負担金を義務づけ徴収するのに何ら怠慢も、過失もないのに利息を払えというのは、これは理由にならぬと思う。そういう当然正当な理由があるとするならば、これはむしろ負担金の中へ、たとえば利子と称するものをその中へ算入して、そうして負担金として徴収するということは、これは何も間違いではないと思うのですが、特別負担金利子をつけるというのは、今までの通念上からいくと、どうしても理解できがたいことだから私は聞いておるわけです。
  73. 中尾博之

    中尾政府委員 その場合の利子建設中の利息ではございませんで、工事竣工後の利息のことをさしておられるのだと思います。工事竣工後に分割の負担金徴収をいたします場合に、利息をつけておりますのは従来からの例でございます。別に事新しい線を出しておるわけではございません。従来の分は、立てかえました金がもともと納税者の金でありまして、これは利息の概念のないものでございます。ほんとうの意味の、純粋の延納利息でございますが、今回はそういう延納利息であるということと同時に、これが借入金の利息と見合っているのであります。その点で見合いの関係が出ました点が加わっただけで、従来の考え方範囲内のものでございます。
  74. 芳賀貢

    芳賀委員 私はあなたが法規課長だというから法律上のことを根拠にして聞いているのです。ですからこれを政府機関の、たとえば金融機関とかいろいろな特別会計があるが、やはり性格によっては、たとえば農林漁業企融公庫にしても、産投特別会計からの出資とか、あるいはそれ以外の、借入金だけでやっていっても、借入金だけでやっていく場合には、今度はコストが非常に高くなって、現在定められた所定の利子農民に貸すことができなくなる。ですから国民の税金ではあるけれども利子のつかない金を政府出資という形で、資金造成の中へそれを入れて、そうして金利の低減をはかりながら、一定の水準以内において、やはり低金利の金を有利な条件で農民に貸し付けるという方法をとっている仕組みがあるし、あるいは食管会計の場合だって、これは特別会計ですが、やはり赤字が出た場合、これは一般会計から繰り入れるとか何とかいうことで、会計のバランスをとっているわけでしょう。だから土地改良特別会計だから、どうしても利子の分は利子の分であくまでも厳重にとらなければならぬということはないと思う。これはやはり政策の問題だと思うのです。ですから特別会計が行う借入金利子というものは、それは農民負担させないという一つの政策的な考えというものがある場合には、何も負担金から利子を取らなければならぬということにしなくても済む場合もあると思う。絶対にこうしなければならぬという原則とか原理的なものはないと思うのですが、いかがですか。
  75. 中尾博之

    中尾政府委員 御質問の通りでございます。別に法律的な問題ではございません。今の御質問にございました政府出資とそれから財政的融資のからみ合せ、これも別に法律的なものではございません。おのおの、たとえば低家賃住宅を作る場合はどうである、道路を作る場合はどうであるという場合の法的な目的に応じましたところの金利というものを、負担の能力というものを考えまして、それに合うようにあんばいをいたしておるわけであります。今回の場合につきましても法律の問題ではございません。ただ営農関係とか、行う仕事の経済効果から見まして、穏当なところでこの利息を考えておるものであります。ただその場合に利息を付するということが新しい問題ですから、それを取らざるを得ない理由、取ることが納税者と農民の方々との負担区分の整理の関係から申しまして、穏当なものであるという御説明を申し上げておるわけであります。政策的に見れば、この利息をどこに持たすかということは、結局農民なり地方公共団体なりと、納税者との間にいかなる負担区分を設けるかという問題に帰するのであります。まさに政策の問題でございましょう。しかしながら、今回政府がこの考え方を打ち出しましたのは、これによって決して新たに一般納税者の負担を増すということではございません。それからまた地方公共団体、あるいは農民の方々の負担を増すという趣旨でもないのであります。経済効果が上って、農民の方々は若干楽になる、その楽になるさらにその範囲内で利息も負担できる。しかも納税者の方々に対しましても御迷惑はかけない。しかもこの会計に属しませんで、継続でやっております方の工事についても、御迷惑はかけないという線でございます。それで借入金の道を開いたわけでございます。借入金自体も大体低金利の金を考えておる次第でございます。御了承願いたいと存じます。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員 ただその場合、受益者の負担が重くなるのですよ。これは現行は特別会計による場合の特定改良事業の場合の負担区分とか利子というものを比較すると、たとえば灌漑排水事業の場合には、今まで都道府県あるいは地元受益者負担は、事業者の四〇%であったのが、今度の場合は四二%に建設利息がつくということになるわけですね。それだけ負担が重くなるわけですね。それから徴収期間は今までは都道府県は十三年、それから地元受益者は十年だったが、今度は都道府県及び地元受益者は十カ年ということになっている。これも若干やはり地元が苦しくなってくる。それから利子率においては、現行の場合には、たとえば地元受益者の分は五分だったのが、今度は六分ということになる。だからこれは明らかに都道府県とか地元受益者というものの負担増になっているのですよ。そのことは、逆にいえば納税者の側の負担軽減ということに、あなたの言をかりていえばあるいはなるかもしれませんが、とにかく公共事業として今まで行なったこれらの直軽事業等が、やはり受益者の負担増によって今後やっていくという形が現われてきたということ、これは否定することはできないでしょう。いかがですか。
  77. 中尾博之

    中尾政府委員 どうも負担区分の割合と税金の税率との相違が混同されているのではないかと思うのであります。税率でありますれば、相手の経済状態が変らない限り、その率が上れば、それは負担の増であります。これはあくまで受益者負担であります。受益者負担のレラティヴな関係でお考え願いませんと、出て参らぬわけであります。先ほど来いろいろの御議論もございましたように、農家の負担力あるいは農家の収益、そういうようなものに対する関係からこれは出てくるものであります。それらのものとの相対的な関係においてこれが高くなるか低くなるかということを御検討をお願いしたいのでございますが、そういう関係から見て参りますと、先ほどの御議論がございましたように、新規の分をこれに取っておるということであります。これにつきましては、少くともその負担区分の関係におきまして、新しい方法によりまして、従来のよりも負担を増す、あるいは農家の受益をこえるというような形にならぬものを取っておるのでございます。しかし継続の分につきましては、必ずしもそういう検討を経ないで始めたものであります。今後の検討によりまして地元の御理解もあればそういう線によると申し上げたのは、まさにこれに符合することでございます。
  78. 芳賀貢

    芳賀委員 次に歳出関係で、国が施行する埋め立てまたは干拓工事によって生じた用地売払代金、これが歳入になるわけですね。これはたとえば公有水面の埋め立てであるとか、あるいは干拓事業であるとか、国営でやって、そうして造成された農地の売り渡し代金という意味ですか。
  79. 中尾博之

    中尾政府委員 農地につきましては、原始取得という形になります。これは農地ではない。農業以外の用途に充てる土地が、たまたま干拓によりまして一緒にできます。その分で、有償で売り払いをいたします分でございます。そこで売払代金ということになっておりまして、農地については、売払代金の事例が起きません。従ってこの該当を見ません。
  80. 芳賀貢

    芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。せっかく一反歩十万円以上もかけて国営で農地の造成をして、その造成した農地の売り払いとか処分を行うという代金こそ、その代価こそこの収入財源の一番最たるものだと思うのですがね。そういうものを見ないというのは、どういうわけですか。
  81. 中尾博之

    中尾政府委員 これは必ずしも負担金とかいう技術的な問題でございませんので、開拓あるいは農家政策といたしまして、土地は比較的新しくできたものであります。これは原始取得という形を考えているわけであります。もちろん工事の方につきましては、工事代金の負担金の形でその受益を徴収するという形で考えておるのであります。
  82. 芳賀貢

    芳賀委員 私の聞いているのは、工事目的が埋め立てと干拓というのは、これは農地の造成でしょう。そうじゃないのですか。でき上ったのは商品と同じです。それを今度は売却する、所有権の帰属は変るようなことになるのですけれども、造成された農地というものはやはり国の財産になるのでしょう。それを処分も何もしないでおくというのは変じゃないですか。そういうものが歳入に入ってこなければ、特別会計というものはうまくいかぬと思うのですが、どうですか。
  83. 中尾博之

    中尾政府委員 土地を作りますのがもちろん干拓でございますけれども、これは有償で売ることが決して目的ではないのでございまして、これが農地として利用されて営農が発展していく、農家経済が発展していく、いろいろな形の農政問題の解決に持っていこうというのが趣旨でございまして、その関係で土地の取扱いにつきましては、それにふさわしいような原始取得という形をとっておるのでございます。なおこの工事そのものをやります場合に金がかかる。それについてはもちろん財源が必要でございますが、それは土地を売るというような感触ではございませんで、工事による受益というような関係を考慮いたしまして、それと建設費用の分担、両方の考え方をまぜ合せたものでもって負担金という観念で取り上げることが一番穏当であり、御納得を得られるものであるという考えで、そういう制度になっておるのであります。
  84. 芳賀貢

    芳賀委員 これを機会にして、今後国営で造成した農地は無償で農民に与えるということにするわけですね。
  85. 中尾博之

    中尾政府委員 国営の干拓、埋め立て工事によりまして造成されました農地につきましては、そういう取扱いになります。
  86. 芳賀貢

    芳賀委員 国有の財産を無償で譲与するということですね。農地というものは開墾によって造成する場合もあるのです。ですから今後国営の農地造成がされた場合は必ず無償で農民に譲与する、そういう明確な方針であるというふうに解釈して差しつかえないですね。
  87. 中尾博之

    中尾政府委員 実体的には御質疑の通りであります。ただ形式的に申し上げますと、国有にレジスターしましてそれを有償で譲渡するという形をとりません。これは分担金を払う、受益者負担を払うということによって、原始取得というように立法政策的には形をとっておるわけでございます。
  88. 芳賀貢

    芳賀委員 これは重大な問題である。国有の財産を無償で譲与するということは、これは法律もありますけれども、造成された農地を無償で譲与するのですから。明確にそうでしょう。負担金をとるからということでは、それは申しわけにも弁明にもならぬと思うのです。今後国営によって造成された農地というものは無償で譲与するということで明確にいくというふうにわれわれは理解するけれども、それで間違いありませんか。これは農地局長と大蔵当局——といっても大臣でも来てもらわなければ困るのですがね。
  89. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 干拓事業に関します土地改良法改正案におきましては、農林省が行います国営の干拓事業によって造成されました土地で、農林省事業でありますから主たる目的は当然に農業用の土地に使用したいのでありますが、その際に干拓予定地に入られる入植農家、その方々には国が公有水面埋立法に基きまして埋め立て、干拓事業を行いまして、その事業の完成の日に通知をいたすのでありますが、あらかじめ入植選考をいたしまして、配分の申し込みを受けまして配分の通知書を渡します。そして工事完成の日にその通知を受けた方が所有権を取得する、こういうふうに法律構成をいたしまして有償無償という概念をとらない。もって農業政策と農地政策を照応せしめよう、こういう意味でございます。
  90. 芳賀貢

    芳賀委員 農地法というのはまだ現存しているでしょう。公有水面の埋め立ての場合、それが農地に造成された場合には、今度はそれの管理費をどうするとか、それの対価をいかにして算定するとか、それらはすべて現在の農地法規定の中に明記されているわけですね。そういう現存法律を励行しないで、こういうわけのわからぬ、全く理解に苦しむような、しかしただ表面から見れば、国が造成した農地を、いかにも農民に無償で与えるがごとき観念を植えつけながら、実質的には負担金と称して、対価と比較した場合はそれ以上のものを巻き上げるというふうな政策というものは、これはとるべき手段じゃないと思うのですがいかがですか。そういう考えというものは、農業政策の上からいっても、国の産業経済政策の上からいっても、何に根拠を置いておるか、一応お聞きしたいのです。
  91. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 現行法の農地法におきましては、干拓地を入植選考するお方々に売渡契約書を渡しまして売り渡しをしております。そういう法律構成を持っておりますが、農地法の意図いたしまするところを、昨日も申し上げましたが、抵触せしめないで続けて励行をしていく、こういう土地改良事業としての性質が干拓事業ではきわめて濃厚で、現行法でも干拓事業土地改良事業であるといたしておりますので、農家、農業、農地政策、財政力と農家の負担、この三者を考え、調整せしめまして一番いい案と考えたのであります。従いまして、その限りにおきましては、農地法干拓地を売り渡して参るという規定を、今回の改正法律案におきまして改正しまして、干拓におきましては、事業手続の開始から配分、管理に至りますまで、一貫して改正案によりたい、こういう改正をお願いしておるわけであります。
  92. 中尾博之

    中尾政府委員 ただいま農地局長から御答弁があった通りでございます。
  93. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は直接特別会計法にはないのですから、当農林委員会において土地改良法改正法案審議の場合に十分ただしたいと思うわけです。  次にお尋ねしたい点は、第七条に歳入歳出予定計算書の作成及び送付に関する条項が出ておりますが、この中で計画的に事業を実施する場合においては、やはり全体の事業実施計画というものがこの中に必ず出さなければならぬ書類として必要じゃないかと思うのです。たとえば工事の開始日とか完成の時期というものを明らかにして、そして毎年度の事業実績の報告等をする場合においても、あと残事業がどれだけあるとか、これはあと必ず何年間に完成するのだということを、毎年々々事業の進渉に伴って出す必要があると思いますが、これにはそういう点が明確になっておらぬようでありますが、この点はいかがですか。
  94. 中尾博之

    中尾政府委員 第七条の規定は、この予算との関係におきましてあるいは決算にもあとで関連して参りますが、その関係におきまして財政面のすでに負担したものは幾らであるか、発生した債権は幾らであるかというようなことを中心といたしまして添付いたします書類になっております関係上、この程度にとどまるわけでございます。なお御質疑にございました、おそらく七年門で完成するというような間隔をもう少し法律の上に出したらどうかというような関係からの御質疑かと思うのでありますが、この点につきましては、これは法律事項にちょっとなじみません。問題は各年度の予算の問題になるわけであります。なおこの予算の各年度の計上額につきましては、あらかじめ法定しておくというのは予算法律との関係上穏当を欠きまするし、問題は方針の問題でございます。この会計を作りまして、こういう態勢でやっておくということになった裏におきまして、工事を促進したいという気分が十二分にあるわけでございまして、その関係におきましてこれを七年、ものによってはもっと早くなるという速度でやっていこうというのが政府の方針でございます。本年度の予算も別にこれと異なっておりません。その方針に従って組んでおるわけでございます。しかもこの際かかる提案を行う方針を立てましたにつきましても、別に納税者の負担を新たに増したわけでもございませんし、農民の方々に対しても受益に合わないような不合理な負担をふやしたということでもないのでございます。少し手前みそになりますが、四方八方うまくいくという形に到達したわけでございます。そういうことで御了承願いたいと思います。
  95. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの私の質問した点は、歳入面において具体的に計画的に充足されない不確定なものがあるから、やはり計画書とか、明らかなものは出せないことになるのです。たとえば一般会計からの繰り入れにしても、第五条では、「政令で定める金額を除き、予算範囲内において、一般会計からこの会計に繰り入れる」ということになっておるのですが、「予算範囲内」ということになると、これは不確定要素なんです。こういうものが歳入面に包蔵されるということになると、この工事の完全実施ということはできる場合もあるし、できない場合もあるということになるのですから、そういう不安とか不確定なことでないようにするには、この会計法の中をもう少し充実しておく必要があるのではないかというふうに考えるのですが、その点を農地局長と大蔵当局にあわせて聞いておきたいと思います。
  96. 中尾博之

    中尾政府委員 特別会計法は金の取扱い整理に関する法律でございまして、当該の目的のために何ほどの金を用いるかということにつきましては、これは予算の問題そのものでございまして、この前御議決もございましたようなわけでございまして、そういう御議決でお願いをする問題にならざるを得ないのでございます。ただしその予算も、本年度は促進の態勢で組んでおりますし、それが国家財政の全体にとりまして、決して無理な予算を組んだわけではないのでありまして、きわめて無理のないところで、しかも促進していく形になっておりますから、その促進は期せられるということの御説明を申し上げておるわけでございます。それに尽きるわけであります。
  97. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 政府案として御提出いたしました法案が一番適切であると思っておるのでございます。
  98. 井手以誠

    ○井手委員 私はこの二法案については多くの意見を持っておりますが、非常に時間が詰まっておるようでありますから、会計法については、後日大蔵委員会におきまして質問をいたします。特に委員長にお願いしたいのは、この特別会計法関連する基本法である土地改良法の一部改正案については、後刻十分なる質問の時間を与えていただきたいということをお願いいたしまして、ごく簡単にお尋ねをいたします。ただいま大蔵省の法規課長のお答えによりますと、この特別会計事業を促進するために設けたものであって、大体埋め立て、干拓事業などはおおむね七カ年以内でやりたいというお話でありましたし、本年度予算の繰入額もその方針にのっとっておるとおっしゃいましたが、その通りでございますか。
  99. 中尾博之

    中尾政府委員 先ほど御答弁申し上げたことそのままでございます。それからこれを七年で完成するという方針になっております。ものによってはもっと早くなるかもしれません。
  100. 井手以誠

    ○井手委員 それでは参考までに農地局長にお尋ねしますが、埋め立て、干拓工事の三十二年度以降における総事業費は幾らでございますか。
  101. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 お手元に提出しました資料にも書いてございますが、総事業費干拓におきましては六百二十一億五百五十八万四千円、今採択してある事業についての事業費決定しておりますから、手戻り工事あるいは災害その他が起きない場合に、今の事業費について申し上げますと、三十二年度以降の事業費は四百六十五億六千四百三十万七千円になります。これは直轄、代行を通じましての額でございます。
  102. 井手以誠

    ○井手委員 四百数十億円に上る事業費に対して、三十二年度はわずかに三十数億円にすぎないと思います。こまかい数字は省きますが、特別会計を設ける以上は、やはり今おっしゃいました大体七ヵ年で完成できるという見通しを持たなくては、私はこういう特別会計法律案は出せないと思います。後年度において財政の都合あるいはいろいろな経済の変化などによって伸縮はあるかもしれませんけれども、少くとも初年度においては大蔵省が予定しておる七カ年でできるだけの予算一般会計から繰り入れるだけの熱意を持たなくては特別会計法案を出す価値は私はないと思います。ものによっては七カ年以内でもやりたいとおっしゃいましたが、いかがでごいますか。
  103. 中尾博之

    中尾政府委員 熱意と申しますか、熱意はもちろんですが、財政計画といたしまして、これが工事を七年以内の期間で完成するという計画に沿うように組んであるものでございます。従って継続のものもございます。そういうようなものにつきましては七年を待たないでどんどんできていくわけでございます。
  104. 井手以誠

    ○井手委員 今のは答弁になりません。継続のものはすでに十年も十何年もかかっておるものはあと一年で完成するものもありましょう。しかしそうでないもの、ほとんどのものは継続中、あと七年も十年も十何年もかかるようなもの、これを事業開始からあるいは残工事量を少くとも七年以内にやろうというならば、少くとも七分の一の予算は初年度には組まなくては私はこんな法律案は出せぬと思う。この予算一般会計からの繰り入れはどこがその方針に沿っておりますか。
  105. 中尾博之

    中尾政府委員 七分の一繰り入れるということには必ずしもならないのでございまして、工事の都合——個々の工事の現場はいろいろ分れておるわけでございまして、それらにつきましてせいぜいやれるものを見まして、それで組み上げて作るわけであります。大きな八郎潟のような工事も採択しているわけであって、それを急いでやる時期になりますと、ことし計上した金額と同じ金額を組み上げたということではないのであります。そのときはまたそのときの問題でございまして、ただ方針といたしまして、そういうふうに取り急いでやるという方針を考えておるということを申し上げたのでございます。
  106. 井手以誠

    ○井手委員 数字をもって七カ年内ならばできるという根拠を明らかにしてもらいたい。どうもあなたの答弁じゃ納得できませんよ。財政の都合によって、本年度は予定通りにはいかないけれども、次の年度あるいは後年度においてはもっと予算を増額してやりたいというお答えはよく大蔵省から聞くのであります。しかしあなたのように、初めから数字が合わないものを予定通りやっておりますなどという答弁を私は聞いたことはないのです。残事業量が五百億近くにもなっておるのに、三十二年度には三十数億円しか事業をやらぬじゃないですか。どうして七年以内に完成できますか。
  107. 中尾博之

    中尾政府委員 七分の一を本年度組んだということでは決してないのでございまして、ことしの予算の問題からいきますと、これは数字は七年間に完成できない予算になっておるではないかという御質疑でありますが、決してそういうことではないのでありまして、大きな工事もございますし、本年度の仕事の段取りもございますので、それに即応してことしの予算は組んでおるものであります。しかしながらそれに即応して組まれた予算と申しますのは、急いでやるという計画に即した予算になっておるのでございます。
  108. 井手以誠

    ○井手委員 時間を非常に急いでおられるようですから、あとで大蔵委員会で聞きます。このように、予定の経費の何分の一にも達しない一般会計からの繰入金でやろうなどということについて、私は非常に疑義を持っておるのであります。しかも先刻来指摘されたように、もし特別会計でやった方がいいということであるならば、一般会計予算ではまかない切れないもの、あるいは借入金をもってやった方が妥当であるというような場合には、そういうことも起るでありましょう。しかしこの借入金は全部地元負担金です。先刻も御指摘になったように、従来特別会計は設けないのがあなたの方の原則なんです。公団も設けないのが原則である。その大蔵省が何ゆえに特別会計を設けられたか。事業促進だけではこれは意味をなしません。もしその熱意を反映しようとするならば、一般会計予算をふやせばいいわけです。もし特別会計のいろいろな都合でできないということであれば借入金をもってやる、そういう場合には特別会計もいいでしょうけれども、国の負担をもってやるべきものを借入金にしたわけではないのでございまして、その意味では特別会計を特に設けられる意味は私はないと思います。これに対する御見解を伺いたいと思います。
  109. 中尾博之

    中尾政府委員 借入金をいたしますのは地方負担並びに受益者負担の分だけでございます。しかしすでに借入金をいたしまして事業を営んで参りまして、負担金と見合い、その元利の計算もいたさなければなりません。そういうような入り組んだ分を明確に処理いたして参りまする場合にはこの特別会計が必要になってくる、これがこの特別会計設置しました必要の理由でございます。ただその理由がよって生じてきたゆえんはどこかと申し上げまするならば、工事の促進である、その工事の促進のためには、従来から一般会計の税負担で立てかえておりました分を金融負担に乗りかえたということが一つ、さらにその乗りかえて金融資金を導入いたしましたほか、一般会計で従来立てかえておりました分は国庫負担の、いわゆる納税者負担の分にまたこれをプラスしたということが一つ、さらにかかる事業を行なって参りますと、またいろいろな歳入を生じて参るわけであります。それらのものを一般会計で処理いたしました場合には、ほかの歳入に混入いたしまして、これを識別することが技術的に非常に手間がかかります。そういうようなものをこの会計に整理いたしますことによってかえってはっきりして参るわけであります。これらの点もあげてまた工事の促進に投ぜられる道を開いておるものでございます。
  110. 井手以誠

    ○井手委員 時間がありませんからもう申し上げませんが、国の負担予算はふやさぬで地元負担金をうんとふやして、ふやすために特別会計を設けるようなこういう会計法は私ども反対です。しかもある地帯においては地元負担金は一反歩十万円にもなる、しかもそれに対して利子を取るなどということについては、私は法律上も財政法上もあるいは実際問題としても非常に疑義を持っております。それはあとで農林水産委員会あるいは大蔵委員会であらためて慎重にお尋ねすることにいたしまして、私の質問はこの際はこれで打ち切ります。
  111. 川俣清音

    川俣委員 この際関連して、石山委員並びに芳賀委員からの質問に対する答弁について質問をいたしたいと思います。表現としては必ずしもこういう表現なのかどうかわかりませんが、農民負担力の限度内において負担金を課するように考えておる、それからもう一つの表現は、経済効果のあるところに土地造成を行うのであって、経済効果のないようなところにはやらないのだ、こういう表現であった、そのように理解いたします。そこで私お尋ねしたいのは、農民負担力の限度内という表現並びに経済効果があるかないかということは、結局生産力がそれに伴うかどうかということであると同時に、その生産されたものの価格が幾らか、こういうことによって決定されると思う。農民負担力がある、ないということは、結局生産されたものの価格によるわけなんです。経済効果も結局生産された農作物の価格によるわけなんです。あなたの説明によりますと、この価格の方は別建であって、単に負担力があればいい、コスト主義からいって負担力のある限度内においてやるのだ、農産物の価格が上れば負担力が出てくる、こういうことで、価格のことは別建だというお考えのように聞えたんですが、そのように理解してよろしゅうございますかということが一つなんです。それからもう一つは、米価決定に当りましては、今まではこういうことが要素にはなっておりません。大蔵省でも小作料の中どころを基準として米価決定の要素といたしております。こういう新しい案をとりますれば、現在までとって参りました生産費補償方式並びに生産費補償の意味から申しましても、あるいは食糧管理法からいたしましても、再生産を確保するに足る生産価格でなければならないという点からいたしましても、こういう取得価格をとらせますと、それが米価決定の重要なる要素となることを十分考えてこの特別会計法をお作りになったと見てよろしいのかどうか、それはやはり別個の問題だと考えておられるのかどうか、これは近く米価審議会が開かれた場合におきましては、従来の方式よりもこの方式をとりますと、今度は予算米価を決定いたしました方式を変更しなければならない重要な予算変更を伴う結果がくることを十分お考えになって提案されたのかどうか、この点について承わりたい。
  112. 中尾博之

    中尾政府委員 農産物の価格に全然関係がないかといいますれば、結論としてこれはございません。ただそう申し上げますとまた誤解がございますのでつけ加えますが、農産物価格の問題が農家経営の問題につながる問題であることは当然であります。そのことは、こういう方式をとることにいたしました場合もいたさない場合も同様でございます。この方式は、その農産物の価格が現在のままの姿である場合に、この事業を行いましたところの生産力、農家の負担力——負担力と申しましても決して税金的な意味負担力ではないのでありますから、結局経済効果と同じことになると思いますが、それの範囲内で、得られたものの範囲内でその御負担を願うということになっておるわけであります。  さらに価格の問題に触れまするならば、納税者との負担区分をどうするかというものであるならば、この方式のみならず、いろいろな土地改良事業全体の負担区分の問題に関連してくるかもしれません。しかし本件で特に負担区分の新しい型を出したということにつきましては、価格に対する関係はほかのものと同じでございます。従って御質疑の第二段の点も、私のこの答弁で尽きておると思います。
  113. 川俣清音

    川俣委員 これは大へん違うのです。大体米価は一本価格。農地法は、農地から上ってくるものは、収量は別といたしましても、生産の不足なところは価格で見るということで、平均的に土地の値上りを来たさないように、小作料の値上りを来たさないように、経済の安定をはかるということが、基本になってできているわけです。従ってこの売り渡し価格をもって、将来小作料に影響しないことを期待しているわけです。土地造成のコスト主義から負担行為によって土地価格が上るということになれば、その生産されたものは、それらの負担行為を行なった土地の上に生じたものでありますから、当然生産費の中に重要な要素として見なければならぬ。そういたしますと米価が上らざるを得ない。特に生産費所得補償方式よりまして、八十なら八十、八十五なら八十五——バルク・ラインをとりますれば、最高八十五ないし九十のバルク・ラインにこれらのものが存することは計算上明らかでございます。そうするとどうしても米価を上げなければならないことをこの制度は認容するというふうに見なければならぬ。これをもって計算いたしますと米価は上らざるを得ない、米価が上ると予算を直さなければならないということを考えながらこの法案を出されたか。これは米価の決定の上に重要な変更を与えることを提案されたものなんです。
  114. 中尾博之

    中尾政府委員 米価の決定はまた決定の問題でございまして御質疑のような関係もあるいはあろうかと存じます。しかし本件の負担区分のきめ方の要素は、前項の米価におきまして算定いたしまして、無理がない姿でバランスをとっております。  なお将来における米価の変動ということを考えれば、またその他の変動ということも考えられるわけでございまして、この場合には、そこでもってお互いに収入も支出も均衡がとれるという関係になると存じます。従ってこの関係で、米価にはね返るという筋合いのものではない、こういうふうに考えております。
  115. 小枝一雄

    小枝委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ、これにて連合審査会を終了いたします。    午後一時五分散会