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中尾政府委員 それが機密に属するわけでも決してございませんし、申し上げることにはばかりあるようなことはないのでございます。その点はお断り申し上げておきます。
検討いたしますのは、
土地改良事業あるいはダムといったような
特定のある
事業が
特別会計を設けることの可否ではございません。事は財政法第十三条に「国の
会計を分って
一般会計及び
特別会計とする。」
特別会計を
設置する場合には
法律によるんだ、
規定はこれだけで簡単なもでございますが、現実に
特別会計を設けることは、財政法上と申しますか、財政法以前の
原則と申しますか、こういう
財政管理の
原則に照らして、いわゆる
単一予算主義の
原則に反するわけであります。もちろん反する場合もあり得ることは財政法も認めているわけです。その見地からいろいろ
議論がございました。
単一予算主義の
原則に尽きるのであります。しかしこれを設けた場合の実益が
単一予算主義によらないことを補って余りある場合であるという
結論を得ました結果、ここにこの
法案をお願いすることになったわけでございます。
これ以上御
説明申し上げてもあるいは非常に失礼になるので、非常に簡単なことですが、要するに
予算が一本でございませんので、
国会で御議決になる場合、決算をごらんになる場合、全体が統一的にごらんなりにくいということでございます。目が届かなければ、とかく
政府はむだづかいをするのじゃないかというようなことがある。これは何も
土地改良事業に関したことだけではございません。
特別会計を設けました場合には、これが一般に伝えられておる
弊害でございます。しかし、かかる
弊害は多少認められるにいたしましても、すでに
特別会計を設けるということは、近代
国家といたしまして、どこの国におきましても二十や三十はあるのであります。従って、その取扱いに慎重を要するということであります。今申し上げました
単一予算主義の一般
原則がございますからというそれだけの
理由で、
特別会計を設けてはいけないということにはならぬのでありまして、その間に実情に即したいろいろな取扱いが
考えられるわけであります。本件につきましては、いろいろ
内容を
検討いたして参りますと、
一般会計の
原則をもって処理いたしますよりも、
特別会計を設けまして、主として
予算の実行並びに決算の面におきまして
一般会計の
原則を離れて処理いたしまする
会計を整えました方が、仕事が的確に行われ、整理も十分に明確になります。
一般会計においてこれを行いました場合に比較しての話でございます。より明確になりまして、その整理において完全を得る。その利益はぜひこれを確保しなければならぬものである、近代
国家の
財政管理の一般
原則という、そういう大きな見地から、かかる利益を放棄すべきではないという
結論がございまして、そのために、この
会計を設けました。従って、あるいはいろいろ御懸念もおありだったのかと思いますが、それらの点、
特別会計を設けまして得られまする利益を十分に確保できるように、この
会計は工夫いたしております。それからこの
会計におきましても、
一般会計からの繰り入れの
関係等もございまして、十分に
一般会計の面からも統制がきく
会計になっておる次第であります。われわれが予想し得ました限りの当時のいろいろな
検討の結果につきましては、いずれも
技術的に非常にこまかい点でございまして、いろいろ工夫をこらしております。われわれといたしましては、いろいろ
検討の結果懸念されましたことは、この制度によりまして、全然これは心配することはないという
考え方が成り立ったわけでございます。そういう次第であります。