○本名
説明員 ハッカの問題につきましては、ただいま吉川先生から
お話のありました
通り、
政府においても鋭意検討いたしております。また中には対策の実行に一歩踏み入った点もございます。あわせて御報告を申し上げておきたいと思いますが、その前に、実はお前は北海道出身であるからハッカのことは詳しいだろうという
お話でございますが、しごく不熱心でございまして、あまりハッカのことはよく知らないのでございます。むしろ吉川先生の方がよく御存じだろうと思いますけれ
ども、一応私の
仕事の上において
承知いたしましたこと、並びにとりました方策について申し上げたいと思います。
ただいま
お話のございましたように、畑作の経営の上からいって、特に寒冷地の北海道などはこのハッカを件付の計画に入れることは必然でありまして、今日までの
生産がなされたことはまことに当然といわなければなりません。しかし世界の市場を相手にしなければならない運命にあるところのハッカの製品は、実はお説の
通り非常に前途は明るくない状態に置かれていることは事実であります。大体におきまして世界の
生産量は約二百十万斤でございますが、それに対して今年度の需要の見通しは大体二百万斤を期待いたしているのであります。しかもそのうちブラジルや台湾、中共などにおいて
生産ざれる毛のもございますが、本年は大体日本
国内におきまして九十万斤の
生産が見込まれたのでございます。そのうち、北海道では病気などの
関係で若干減収の見込みでございますが、それにいたしましても大体八十万斤以上のものが日本でとれるということになっております。この八十万斤の始末ができません限り、御
心配のような細作振興の上にも、あるいはまた寒地農業の対策の上にも非常に問題になって参りますので、先般来御注意もございましたし、また農林省としてもいろいろ検討いたして参りましたが、実はこの対策としては基本的な対策と、それから直ちに今日の応急
処置としてとらなければならない対策と二
通り考えられるのでありますが、基本的な対策というのは非常に実はやってみましてむずかしいのでございます。今後におきましても御指導いただかなければならぬと思いますが、一応の
考え方は持つに至ったわけであります。応急策といたしましては、何といいましてもこれは販路の拡張と
価格の安定をはからなければならない。販路は
国内の消費増も若干見込めないことはないと思いますが、何といっても海外市場に依存しなければならない。そういうところからさしあたりの手といたしまして、たまたまジェトロがアメリカ及びカナダにおいて特別の宣伝機関を持っております。これをこの際
一つ活用しようということであります。これは大体六百万円の予算をもってやっておりますから、この中にハッカを加えまして、直ちに向うにおける友好的な市場の開拓と製品の理解と、そして取引の促進をはかるようにいたしまして、これはすでにもう
現地に対して指令済みでございまして、やがて運動の、あるいは対策の経過が今後日本の方に報告されることと
考えております。
それからちょうど今、日仏と日ソの通商交渉をいたしております。この機会に
一つフランスとソ連に、ぜひその交渉の中にハッカを入れまして、買い取ってもらう約束をしようではないかということで、その交渉の中にこれを織り込むことにいたしました。さしあたりましてフランスに対しては約十万ドルのワクを設けてこれをハッカに充てる。それからソ連に対しましては百八十万ドル相当のハッカをぜひこの協定の中に成立さしてほしいということで交渉いたしております。
それからもう
一つは、三十三年度の予算に対してこれは全く新規の要求でございますが、農林省の中に
輸出農林水産物需要増進補助金というのがありますが、この中にぜひ来年度は
一つハッカを入れまして、海外における市場の開拓であるとか、宣伝であるとか、そういうことを積極的にやって、今までは買いにきた者に売るというようなほど消極的であったのを積極的に売り出すために国の費用をもってこれをやろうというので、アメリカに対して五千ドル、英国に対して四千ドル、これだけの予算を要求いたしております。このようにして来年度はぜひ
一つ積極的に市場開拓をやっていきたい、このように
考えております。
それからもう
一つは、やはり基本策を講じませんと、いたずらに
生産の結果を見て苦労するということではこれは安定になりませんから、何かめどをつけたいという
考え方から、実はハッカの
輸出をいたしますことを
一つの大きな
仕事の目標といたしまして、
輸出共販のような会社をこしらえる、こういう
考え方を今持っておりまして、これを検討いたしております。このことは申すまでもなく非常に問題がございましょうけれ
ども、まず第一に
考えられることは、
輸出対象の製品は全部この会社が買いとっていきたい。けれ
ども、先ほど申し上げましたような対策を取り上げましても、海外市場が一ぺんに好転することは
考えられません。従って、当初この会社はある
程度の欠損を見込まなければならぬ、その欠損に対して
政府はできるだけ助成する方がいいのではないかという
考え方をいたしております。さらにまたこの会社が積極的に
仕事をすることによりまして、海外市場の拡大であるとかあるいは
価格の安定であるとか、あるいは
輸出に対する資金の融通の道を講ずるとかいうようなことで、努めて
生産に安定感を与え、そしてできた製品は努めてこれを
輸出に重点を置いて消化していきたい、このように
考えております。ただここで問題になりますのは、なるほど寒地農業としてはぜひ必要な作柄のものでございますけれ
ども、これを放置いたしまして、大へん失礼な言い方でありますが、かりに
政府の施策よろしきを得、また先生方の御指導のよろしきを得て、
価格その他需要の面で好転いたしたときに作付がふえるということは、これは非常に問題になりはしないかという
心配があります。従いまして、需給の状況と
作付面積といいますか、
国内の
生産量と
輸出振興その他の対策とが、常に計画的にしかもあまり急激な変化のないような
態勢をとっていかなければならない。言葉を変えて端的に申し上げますならば、
国内でこれ以上の増産がはかられたときには、増産を望みますけれ
ども、増産をはかられたときにはかえって今までの対策がまた元の状態に帰りはしないかというような
心配も実はいたしているわけでございます。この
心配は杞憂に終ればいいと思いますが、いずれにいたしましても今日
生産される量は、安定した上に立って
価格を維持し、さらに貿易を促進していきたいというのが今日まで
考え、またやりました対策の内容のあらましでございます。