○赤城国務
大臣 消費者米価を改訂することにいたしましたので、そのいきさつ等につきまして御
説明を申し上げたいと思います。
消費者米価現行は十キログラム七百九十円になっておるのでありますが、十月一日から十キログラム
平均八百五十円、こういうふうに改訂する予定であります。
改訂に至りましたいきさつを申し上げますならば、
生産者米価の方は昨年石一万円でありましたが、本年度におきましては一万三百二十二円、こういうふうに
生産者米価は上ってきたのであります。でありますので、コスト主義を貫きますならば、中間経費あるいは
政府の経費を加えますと、十キロ当り八百八十六円余になるのであります。しかしながら食糧管理制度は、
生産者には
生産費を補償する
生産者
価格を
決定するということになっておりますし、消費者
価格においては家計の安定をそこなわないような
価格において消費者
価格を
決定する、こういう建前になっておりますので、コスト主義を貫くというわけには参りません。でありますから
生産者
価格が上ったからといって、そのままコストをつけ加えて原価主義で
消費者米価を
決定する、こういうわけにはいかないのであります。でありますので、
生産者
価格と消費者
価格との間に差が常に生じてきておりまして、これが今までは次年度あるいは次々年度の決算帳じりにおいてこの跡始末をしていたのが例であります。それで赤字といいますか、一般会計の
政府負担というような建前は、今の食糧管理制度からいえばまぬがれない制度でありますけれ
ども、一般会計の負担、税金による負担というものが非常に多くなるということであっては因るわけであります。二十九年度以降の食管会計の赤字というのはどういうふうに
処理してきたか、簡単に申し上げますと、二十九年度以降においても常に内地米では二百億から二百五十億円の損失を生じてきております。これを食糧管理特別会計の
価格の繰り越し益や外麦の利益等で補てんしてきたのでありますが、繰り越し益を食いつぶしましたために食管会計は年々赤字を残すようになってきたのであります。この赤字は先ほど申し上げましたように一般会計から決算じりにおいて補ってきたのでありますが、その赤字が非常に多額になってくるということになりますと、食管制度というものはやめて、自由販売にしてコスト主義でいった方がよかろう、こういう議論にも導かれるおそれもあるのであります。しかしながら現在の段階においては、私
どもは食糧管理制度というものを置いて、
生産者の
価格にコストをつけ加えて消費者に売るというコスト主義でいくということは好ましくない、やはり
生産者には
生産費を補償し、
消費者米価は安くという建前は残しておきたい、こういう
考えで進めてきておるのでありますが、昨年度におきましてこの赤字が百六十一億に相なっております。本年度も
豊作でありますので、二千七百万石を予約しておるのでありますが、申し込みは二千八百九十万石以上になっております。予約買付が多くなればなるほど
価格差がありますから、
政府の負担といいますか、損失はふえてくるわけであります。本年度の計画から見ましても、米においては二百八十億円の
政府負担を余儀なくされざるを得ないような
数字になるのであります。昨年と合せますならば四百四十億円の赤字といいますか、結局は一般会計から負担をせざるを得ないような
状態になっておるのであります。このまま放置いたしますならば、来年度においては六百億、七百億というようなものを一般会計から負担しなければ跡始末ができない、こういうことになっていますが、一般会計から負担するという制度には実はなっていないのであります。跡始末として一般会計から持つようなことになってきておるのであります。こういうような
状態で放置していることは、現在の段階として適当と認めておりますところの食糧管理制度というものをやめてしまうというか、収拾がつかなくなりまして、結局コスト主義でいって、
生産者から買ったものに諸費用を加えた
価格で消費者に
政府が米を売り渡すということにならざるを得ない、そういうことは私といたしましては好ましいことではない、やはり消費者にはできるだけ低い
価格で
政府は払い下げる、配給するというようなことにいたしたい、こう
考えてきておるのでありますが、今申し上げましたように
政府の負担が非常に多くなり過ぎる、この制度を置くについても限度がある、こういう
考え方から、一般会計から従前におきましては決算じりの跡始末として繰り入れといいますか、始末をしておったのでありますが、今般の措置といたしましては一般会計からまずもって繰り入れる、国民の税金において負担すべきものは負担する、消費者においても幾分の負担はしてもらわなければならない、こういうことから、一般会計からの繰り入れと消費者
価格の改訂によって食糧管理というものを続けていきたい、こういうふうなことにいたしたのであります。食糧の
関係で、米だけから言いますならば、二百八十億円の一般負担を余儀なくされるのでありますが、外麦の利益もあります。そういうことで食糧管理会計の中間経費につきましても、極力この経費の節約に努めた結果、米といたしましては二百四十億円の赤字、こういうことになっておりますので、百億は一般会計から繰り入れて国民の税金においてこの始末をし、あと百四十億については消費者
価格の改訂によって食糧管理ということを続けていかざるを得ない、こういう措置をとったのであります。しかしながら、十キロ七百九十円から八百五十円に上げますので、これが家計に及ぼす
影響も全然無視することはできないのであります。私
どもの調べた統計によりまするならば、この
価格の改訂によって、六大都府県においては五人家族で百十七円の負担、それ以外の府県においては九十数円の負担で、家計に及ぼす
影響は〇・三八%、こういうことになっておりますが、しかしこれに伴っていろいろ負担も増すことも全然無視することはできないというような
考え方から、今度の米の
価格を
決定するにつきましても慎重に考慮をいたしたのであります。それにつきましては、内地米四等米以上のものを基本配給に回すのでありますが、同時に昨年から施行されておりまするところの希望配給、この希望配給が実は基本配給よりも昨年度は値段が高かったのでありますが、今度の措置によりましては、基本配給の米の
価格と希望配給の米の
価格とは同一
価格にいたしたのであります。それからこの
影響を全然無視するわけにもいきませんので、選択の自由を与えて安い米を準備すべきであるということで、俗に特用米、こういうふうにいわれておりますが、特用米の制度を設けたのであります。この特用米につきましては三つの種類を用意する。陸稲及び内地の五等米、これは現在の消費者
価格が七百九十円でありまするけれ
ども、それよりも安く七百七十円ということでこの特用米を
一つ設ける。それから準内地米につきましては、現在七百五十円でありますが、これを七百四十円に引き下げてこれを用意する。普通外米等につきましては、現在の
価格と同様にいたしたのであります。こういうふうにいたしまして、配給基本日数においても一日ふやし、あるいは外米の点におきましても一日よけい用意するというような形で、できるだけこの
影響を少くするという形で改訂案を作ったのであります。またこの特用米につきまして非常に希望が多いということでありまするならば、それに対して十分まかなえるだけの準備をしようというようなことで、内地米も幸いに
豊作の予想でありまするけれ
ども、外貨予算等におきましては、準内地米等の用意もでき得るような措置をこれに伴ってしておるような次第であります。
以上が大体
消費者米価改訂のいきさつと改訂の案であります。これだけで一応
説明を終ります。