○
永野説明員 お
手元に「
九州水害について」と申します横書きにいたしました
資料がお配りいたしてあります。精粗非常に整っておらない
資料でございますが、それによりまして御
説明をいたします。
現在私
どもの方で把握いたしております
被害の
状況でございますが、
長崎県
関係につきましてはここに
数字がいろいろ出ておるようでございますが、私
どもの方で
調査いたしました結果、佐賀、
長崎、
熊本三県
関係を主にいたしまして、
農地、
農業用施設の
被害の見込みが四十一億六千五百万円でございます。それから林野の
関係が六億三千八百万円くらいになっております。それから
水産の
関係が三億一千万円くらいになっております。それから次に
農作物の
関係でございますが、出先の
統計事務所を督促いたしましていろいろ
調査を急いでおるのでありますが、大体とりまとめて相なるのは本月の二十六日ごろに相なるかと思います。現在までその中間の
速報が参っておるのでございますが、八月の初旬の
速報によりますと、
農作物の
関係は約二十四億九千万円になっております。本年の
水害はその大
部分が
水稲でございます。
先ほどお話がございましたように、一部
果樹園その他
家畜等もございますが、
水稲が大
部分でございます。二十五億のうち約二十億は
水稲に相なると思っております。いろいろ
交通関係その他で
農作物の
被害の把握が非常におくれておることは申しわけないと存じますが、極力今後督促をいたしまして、できるだけ早く間に合わせたい、こう考えておるわけであります。
それから従来まで
農林省といたしましてとった
措置を以下列記してあるわけでございますが、その前に、
災害直後
農林省といたしましては、
政府に置かれましたこの
水害に対する
対策本部と
連絡をとるために
農林省における
対策本部を設置いたしました。また
被害の
実態調査のために、
農林大臣が八月の七日、八日、九日に
九州におもむきまして、
関係各県の
被害の
実情を
調査いたしまして、
現地の御
要望等をいろいろ伺って帰ったわけでございます。
私
どもといたしましてとりました
措置の第一は、今回の
水害の
関係が
諫早あるいは
大村その他都市の民家に対する
被害が非常に大きかったのでございます。そのために
食糧の
配給という問題が
災害直後の最も緊急な問題であったわけでございます。お
手元に差し上げてあります
資料にこまかい
数字は
出しておきましたが、
被害の直後、私
どもといたしましては
災害のために
平素準備をいたしております
災害用の乾パンの
応急の
手配をいたしたのでございます。なおそのほかに
罹災の
現地におきましては、緊急たき
出し用の米あるいは国鉄や
電信等の
復旧のためのいろいろな作業に要します
応急用米、そういういろいろな
需要がございます。これらに対しましてはそれぞれ
現地におきまして、
現地の
実情に応じて
手配ができるように、ふだんでございますると、これは
食糧事務所長から
本省の方と打ち合せをすることになっておるのでございますが、今回は
本省と打ち合せをする必要はない、
現地で適宜
措置をとれという指令をいたしまして、これに基きまして大体大過なく
応急食糧の
対策ができたと存ずるのでございます。
なお
被害者のうち
農民の
関係につきましては、飯米の流失その他でさっそく新しく
食糧の
配給を受けなければならないというものが出て参りますので、それにつきましては
数字の二に書いておりますように、
生産世帯用の
配給米穀の
ワクを
現地でふやしてよろしいというふうに
措置をいたしておるわけでございます。
次に、
災害地におきましては、もう
災害直後金融の
関係が非常に困難をいたします。
罹災者といたしましては、もちろんすぐ米の
代金を払うというようなことができないわけでございますので、私
どもの方といたしましては
現地の
配給機構に対しまして、
食糧庁へ納めるべき
代金の
延納を認めるという
措置をとったのでございます。通常の場合でも
卸売業者は九日
程度の
延納を認められておるのでございまするが、
災害地におきましてはこれをさらに十日
程度延納を認めるという
措置をとったわけでございます。また
被害当時までに
政府に納めなければならない米の
代金があったのでございますが、これらにつきましても
災害救助法適用期間中
卸売業者につきましてはさらに
代金延納を認めるという
措置をとったのでございます。ただこの
食糧の
代金につきましては、ああいう異常な
混乱状態の
現地でございますので、この
代金の回収なり何なりに、いろいろ
現地としては若干の
混乱があったようでございまするが、私
どもといたしましては、県なり市なり等がその
代金の問題につきましてある
程度しっかりした
資料に基きまして
罹災者に対する
代金を待ってもらいたいという話に対しましては、できるだけその話に応じて、
実情に適するような
措置をとるように
指導いたしたのでございます。
なお、ここに書いてございません問題といたしまして、
米作農家が
政府に対する米の
予約をいたしまして、その
予約の
概算金の返納の問題があるのでございます。すでに
罹災当時大体
現地におきます
農民は
政府に対する
予約を完了いたしておりまして、
予約の
概算金を受け取っておったのでございます。この受け取っておる
概算金は出来秋になりましてもほとんど収穫皆無でございます場合が多いので、これをどうして返すか、これを延期してもらいたい、あるいはこれに対する
金利の
軽減、
免除をはかってもらいたいという問題があったのでございます。これは幸いにして昨年北海道の冷害の際に、当
委員会等で非常に熱心な御審議の結果、本年はその
概算金につきましては、あらかじめ
予約の
契約を結びます際の
売買条件の中に、
災害の
程度に応じまして
概算金の
金利は
軽減または最もひどい場合には
免除をするという約款が入っておるのでございまして、私
どもといたしましては、
概算金の
金利の
軽減、
免除の問題につきましては、その
売買条件に書いてございます
条項によりまして処理をいたしたい、こう考えておるのでございます。
なお、この問題が起きますのは、この
九州につきましては、来年の一月末に
概算金を返納するということになっておるのでございます。その時期になりましても、おそらく
農家からこの
概算金を直接返させるという場合、非常に困離な
農家も出てくると思うのでございますが、それらにつきましては、この
予約制度といたしましてはできるだけ
指定集荷機関、つまり
農協でありますとかあるいは県の
経済連等がプールをいたしまして、
政府に対する
概算金の
代理弁済をする
契約になっておるの一でございまして、その
条項によりまして
指定集荷機関において
代理弁済をいたさすということにいたしまして、全然
弁済能力のない
個々の
農家から無理に
概算金を返納さすというふうにはいたさないように
処置をいたすつもりでございます。
次に、口の
復旧用木材が、
現地におきましてはまた当然緊急の問題になって参ります。これらにつきましては二十八年
災害の
経験もございますので、大体
現地におきます
木材の
需要が十万石くらいであろうという想定を立てまして、これに必要な
原木を
国有林において確保するという
趣旨におきましていろいろな
措置をとったわけでございます。当初
熊本営林局管内にございます
供給力が約六万石であるということでありましたので、これ以外のものは場合によっては大阪及び
四国方面の
営林局において供給するという前提のもとに、多少売りどめもいたしまして、
原木の
所在調査をいたしたのでございまするが、大体
九州の
営林局、
熊本の
営林局管内で間に合うというような模様のようでございます。そのために
現地の方へ
管内の各営林署から
緊急輸送をいたしておるのでございます。現在までまだこれらの
罹災地におきまして
木材が非常に高騰したというようなことは聞いておらないのであります。なお今後必要な
処置を適宜やって参りたい、こう考えております。
それから
罹災農家に対する
営農対策として
稲苗の植えかえの問題があるのでございます。本年の
災害の
発生の時期が七月の下旬という非常におそい時期でございます。二十八年当時はこれより約一カ月早かったのでございますが、当時よりは稲の苗の植えかえということは非常に困難ではないかと実は心配をいたしたのでございますが、当時の
経験を生かしまして、この苗の
緊急輸送をすることあるいはこの面を集めてから運ぶまでの時間をなるべく節約して、いきのいい苗を
現地に送ること、この二つにつきまして実は
現地の各
方面の非常な御
努力によりまして、相当いい結果が出たのでございます。そのために苗を見ました
農家の方では、こういうものならば自分の方でももっと植えかえをしたいというようなことで、当初から時間の経過いたしますにつれまして非常にこの
希望が熾烈であったのでございます。この運送につきましては、
現地の
自衛隊当局等にも非常な御
努力を願いましたが、また
先ほどお話しが出ましたように、それ以外に民間の
輸送機関を利用して緊急な
輸送も行われたようでございます。これによりましてここに
数字を掲げておりますが、
長崎県におきまして二百
町歩、
熊本県におきましては六百四十
町歩というような、相当大きな面積の植えかえが大体この十五日までで終了いたすということに相なっておるのでございます。なおこの植えかえにつきましては、
地元におきまして
個々のどの人の田ということを問わずほとんど部落の共同経営的な形で、相当大きな苗でございますが、植えかえが行われております。今後の
営農指導につきましては、この植えかえが成功いたしますように、
現地の
技術当局におきましては相当周到な
指導が必要であろうと思っておりますので、この点もなお続けて
手配をとっておきたい、こう思っておるわけでございます。なお代作の種子は一応
手配をいたしましたけれ
ども、ほとんど純
水田地帯等が多いので、現在まで実はあまり
地元からは大きな
希望が参っておりません。
それからその次の
植物防疫でございますが、この
関係につきましては
現地の
病虫害の防除のための器具の貸与というものを用意いたしたのでございます。なお
農薬等につきましても、
備蓄農家の放出を
手配する等万全を期しておるのでございますが、今後
水害の跡には非常に
病虫害の
異常発生という問題が起きて参ると思うので、これに対しまして十分な
措置をやって参らなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。また
冠水田が非常に多かったのでありますが、こり冠水の排除のためにポンプを使うように
手配をいたしたのであります。
次に
資金の問題でございますが、
先ほども
お話が出ましたように、
災害復旧をいたしますにつきましても、また今後のいろいろな
生産関係につきましても、
資金の確保が当面第一の問題でございますが、
災害復旧の
つなぎ資金といたしましては
農林漁業公庫の
つなぎ資金の
ワクの六億三千三百万円を
関係各県に
災害後至急割り当てた次第であります。なお
天災による
営農資金の
融資の問題でございますが、この問題につきましては、この
災害直後
農林省といたしましては、今度の
災害に対しましては、この
天災法に基く
融資を実行するという、つまり
政令にこの
災害地を指定するという方針をきめたのであります。それによりまして
農協系統の
つなぎ資金の
融資等も
手配をいたしたのでございますが、この
政令につきましてはなお
大蔵省と折衝をいたしております。近々に
政令を出すことに相なろうかと思っておりますが、この点は
事務が多少遅延いたしておることはまことに申しわけないと思っておりますが、早急に
政令を
出したいと思っております。なお
農業保険の
共済金の支
払いにつきましても、
先ほど話しが出ましたように、
現地におきましては仮
払いの
要望が非常に強いのでございます。また仮
払いをいたしましたあとの県の
共済団体に対する再
保険金の
概算払いの問題もあるのであります。これは
資料が
現地から整って参りました場合には早急にその運びができるように、私
どもといたしましては
農業保険課と県の
共済団体との
連絡をとっておるわけであります。なお今後の問題といたしまして
農地、
農用施設の
復旧の問題があります。この問題につきましては
現地の
査定が非常に遅延をいたして御迷惑をかけることのないように、
現地査定をできるだけ急ぎたいと思いまして、この
査定の
スタッフと申しますか、
関係官を
九州各
方面から、また一部
本省からも応援を
出しまして、
現地査定の
スタッフは
十分用意をいたしておるのでございます。今後
地元の方の計画の進行とにらみ合せまして、少くとも九月上旬くらいに
現地査定を完了するような心構えでやっておるようなわけであまりす。その他
山林関係につきましても
現地査定を急ぐために福岡及び
本省から派遣をいたしまして、
現地査定の
スタッフを充実いたしたのでございますが、おおむね八月末までには主要な個所の
査定を終了いたしたいと考えておるのであります。なお
水産の
関係につきましては
有明海方面におきまして
漁船の
被害あるいは養殖その他の
関係のいろいろな
被害があるのでございますが、これらに対しましては必要な
査定を行いまして
補助金を計上する、あるいは
天災融資法による
経営資金の
融資、さらに
農林漁業公庫からの
漁船建造資金あるいは
共同施設の
資金というようなものの
措置をとりたい、こう考えておるのであります。
漁船保険に加入いたしております
漁船が相当多いようでございまして、この
関係の
救済は相当適切に参ったと思っておるのであります。
大体現在までとりあえずとりました
措置の概略を御
報告申し上げた次第でございます。