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1957-06-10 第26回国会 衆議院 農林水産委員会 第51号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十二年六月十日(月曜日) 午後二時二十七分
開議
出席委員
委員長
小枝
一雄君
理事
笹山茂太郎
君
理事
助川 良平君 安藤 覺君
五十嵐吉藏
君 石坂 繁君 椎名 隆君 永山 忠則君 原
捨思君
松野 頼三君 村松 久義君
赤路
友藏
君
伊瀬幸太郎
君 石山 權作君
川俣
清音
君
栗原
俊夫
君
田中
利勝
君 中村 英男君 日野 吉夫君 細田 綱吉君
山田
長司
君
委員外
の
出席者
農林事務官
(
農林経済局農
政課長
) 富谷
彰介
君
農林事務官
(
農林経済局統
計
調査部長
) 藤巻 吉生君 農 林 技 官 (
蚕糸局蚕業課
長) 小林 明隆君 専 門 員 岩隈 博君
—————————————
六月十日
委員茜ケ久保重光
君及び
田中利勝
君辞任につき、 その補欠として
栗原俊夫
君及び
川俣清音
君が議 長の指名で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
食糧
に関する小
委員会
に
参考人出頭
要求に関する件 六月上旬の
関東地方
における降雪による
農業
被
害状況
について、
派遣委員
より
報告
を聴取
—————————————
小枝一雄
1
○
小枝委員長
これより
会議
を開きます。 凍
霜害
及び
ひょう害対策
について
調査
を進めます。まず
ひょう害
について
派遣委員
より
調査報告
を求めることにいたします。
原捨思君
。
原捨思
2
○原(捨)
委員
私は
ひょう害調査
の
栃木班
を代表いたしまして御
報告
申し上げます。 本班の
派遣委員
は
山田長司委員
と私でありますが、
地元議員
として
神田大作委員
及び
高瀬傳議員
も終始参加せられ、熱心に
栃木
県における
ひょう害等
の
調査
を行なったのであります。 まず
被害概要
について申し上げます。 六月一日午後四時半ごろ
寒冷前線
が
関東
を通過した際、突然
関東北部山沿い
に
雷雨
の
発生
を見たのであります。
栃木
県の
激甚地
の
那須
郡においては、二、三十メートルの突風を伴う
雷雨
となり、
ひょう
をまじえた
豪雨
が深夜の十一時まで続いたのであります。
降ひょう
は断続的に約二時間、
降水量
二百二十五ミリを記録する
豪雨
が約六時間も続いたとのことであります。県下に五ヵ所の
被害
を見たのでありますが、塩谷郡の二ヵ所、下都賀郡の一ヵ所及び安蘇郡の一ヵ所も、範囲は一村から二村
程度
であるが、やはり四、五時間の
降ひょう
を伴う
雷雨
による部分的に大きな
被害
を受けているのであります。県及び
市町村当局
は直ちにこれが
対策
に乗り出したのでありますが、その
被害
は県の
調査
によれば、六月三日現在で二億一千余万円となっておりまして、おもな
被害農作物
は
大麦
、
小麦
、裸麦で、
被害
総
面積
二千百五十五
町歩
中千三百五十六
町歩
を占め、
金額
にして五千五百万円となり、そのほかにバレイショ及び
トウモロコシ等
が見られたのであります。
工芸作物
としては
タバコ
で、
被害面積
二百三十八
町歩
に及び、
金額
にして七千九百万円をこえる大きな
被害
でありまして、次に
トウガラシ
の二千五百万円があり、また
菜種
の
被害
も随所に見られるのであります。
蔬菜
、
果樹等
も二千九百万円に上る
被害
を受けているのであります。また
豪雨
のための
施設被害
も大きく、河川のはんらんによる
田畑
の
流失
、
堤塘
の決壊、橋梁、水路、
頭首工
の
破損等
の
農地
、
農業用施設
の
被害
が七百万円に上り、その後
調査
が進むにつれて、この額も倍近くになるのではないかといわれているのであります。以上が
被害
の
概要
であります。 次に、
現地調査
の順を追って申し上げます。
調査地域
は
那須
郡
大田原
市及び
黒羽
町一帯でありまして、この二
地区
に
栃木
県の
被害
のほとんどを集中的に出しているのであります。
被害農家
は一千百三十二戸に上り、
被害面積
中収穫皆無に近いものも半数に達するといわれているのであります。特に
災害
時期がちょうど各
作物
の
収穫期
を目前に控え、一方、
夏作物
も大部分は
作付
を終えた時期であった
関係
上、
農家
の
経済的打撃
はまことに深刻なるものがあるのであります。 われわれはまず
大田原市役所
に参りまして、
県当局
及び
市当局
より
被害
の
概要
について
説明
を聴取いたしたのであります。その
説明
によりますれば、この
地区
は凍
霜害
、
ひょう害
の常
襲地帯
であり、毎年のごとく
被害
を受けており、その
被害地区
は管内にある
開拓地
が常に激甚であったようであります。今度もこの
地区
に最も激甚でありまして、特に痛手を受けているのは、この
開拓地
は水田が非常に少いために、
陸稲
による
自家用米
を生産しているわけでありますが、
被害陸稲
の再
作付
もわずかな日おくれのためにできず、麦の大減収による
現金収入
の激減に加え、米の
自家用不足
による
配給米
の
購入
の必要が生ずるわけで、
悪条件
の積み重ねとなり、それが救済について国の特別の
助成
と無利子または
最低利資金
の融通を強く希望していたのであります。
被害額
は、
麦類
千四百万円、
陸稲
千七百万円、
タバコ
千九百万円、
トウガラシ
二千七百万円、その他で、計八千八百万円であります。 次に、
金丸開拓地
及び
金丸ヶ
原
開拓地
に参ったのであります。この二ヵ所はただいま申しました
大田原
市の
開拓地
でありまして、
金丸地区
は四十七戸、
金丸ヶ
原
地区
は百八戸の終戦直後の入植であって、
耕作面積平均
二町に及ぶ地質に恵まれたゆるい傾斜の
開拓地
であります。
被害
は四十七戸の
開拓地
が最も激甚で、ほとんど全
農家
が例外もなく皆無の
被害
をこうむっておったのであります。
麦類
はこの
地区
の唯一の
主要作物
で、これによる
被害
は
農家
の年間総
収入
の七割以上を占めるといわれているのであります。
陸稲
は、前述のように、再
作付
が不可能のため、そのまま放置せられていたのであります。この
地区
は、激しい
降ひょう
が約十五分間ずつ三回と、雨量が非常に多かったために畑の土が流されて、
夏作物
のアズキ・
トウガラシ等
を
流失
、埋没しているのが多く見られたのであります。
菜種
も
ひょう
にたたかれて、全然
収穫見込み
が立たない
状況
にあったのであります。 次に、
南金丸地区
、
川西地区
に参り、主として
大麦
、
小麦
、
菜種等
の
調査
をいたしたのであります。この
地区
は
被害
後早く学徒の動員を得て、麦を刈り取り、
堆肥等
に取り片づけてしまっており、また
菜種
は来年度の種子の足しにでもと、白枯れの多い実を、一粒でも多かれと大切に残していたのであります。
事情
を語る
農民
の一人々々の顔には、
農作物
に対する愛着の深さが現われ、胸を打たれるものがあったのであります。 次に、
川西地区
の
家畜検査所
に行き、
豪雨
のため上堂川がはんらんし、堤防の
欠壊
、
田畑
の
流失
の現場を見たのでありますが、
被害
を受けた状態のままに放置されており、早急なる
被害
の査定と
工事着手
により
復旧
のすみやかならんことを強く要望していたのであります。 次に、
被害額
において県全体の七割以上を占める
黒羽
町に参ったのであります。
町当局
の
説明
によりますれば、この
地区
は
災害発生
と同時に
対策本部
を設置し、種々
対策
を講じたのでありますが、
農作物
、
タバコ等
の
被害
は一億二千五百万円という大
打撃
を受けたのであります。この
地区
は
降ひょう
は連続二時間に及んだといわれ、
豪雨
六時間の最
激甚被害地
であり、
寒冷前線
の
中心部
に当っていたようであります。そのため、
被害
は
麦類
に七百八十九
町歩
で七千三百七十万円、
タバコ
に三百
町歩
で五千三百九十万円、
蔬菜
に二千百六十万円となり、そのほか
農地
、
農業用施設
の
被害
は八千四百万に上ったのであります。この
地区
は
タバコ
の栽培が盛んであって、その
被害
も徹底的て平常ならば
尺余
であるべき
生長率
が、いまだ土に埋もれたままか、一、二寸
程度
にしか伸びていないのであります。これも
専売局
の命令にて、このまま肥料を施せば半作くらいにいくのではないかとのことで、改値しないままになっていたのでありますが、われわれが
調査
した感じではそこまで回復するかどうか疑問であります。 以上で
調査
を終ったのでありますが、
百聞一見
にしかずで、営々として長い間苦労し、汗を流した結果が瞬間的に葬り去られた
農民
の心境を察するに余りあるものがあったのであります。このように局地的ではあるが、火災のように徹底的な
打撃
を受けた
被害農家
は、半年のかてを失った上に、次の
作付
さえ満足にできない
悪条件
と戦わねばならないのであります。このような
農民
に対しては
融資
のみといわず、もっとあたたかい援助の手を差し伸べてこそ、生きた政治であり、生きた
対策
であると思うのであります。以上簡単な
報告
でありますが
委員各位
におかれては、実情をよくおくみ取り下さり、
対策
に万全を期していただきたいと存ずるのであります。 終りに、
県当局
及び
関係者
よりの要望を申し上げます。一、再
生産確保
のため、
被災農民
に対し
長期低利資金融資
についての
特別措置
及び
既融資金
の
償還期限
の延長。二、
農業共済金
の仮払いによる
早期支払い
。三、
被災農家
に対する
所得税
の減免。四、
被害作物
に対し
病害虫防除
に要する
薬剤購入費
の
助成
。五、
代作用種苗購入費
の
助成
。六、
農業改良普及員指導経費
の
増額交付
。七、
開拓農家
に対する
特別融資
及び
既融資金
の
償還期限
の延期。八、
地方交付税
の
増額
。九、
農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助
の
暫定措置
に関する法律の適用。
恒久策
といたしましては、
集約酪農地域
の指定による
酪農業
の確立を強く要望していたのであります。 以上をもって
報告
を終ります。
小枝一雄
3
○
小枝委員長
なお、第二班の群馬県の
派遣委員
よりの
調査報告
につきましては、
調査報告書
が
委員長
の手元に提出されておりますので、これを
会議録
に掲載することにいたしますから、さよう御了承願います。
—————————————
小枝一雄
4
○
小枝委員長
この際お諮りいたします。御承知の通り、現在
政府
において
臨時食糧管理調査会
を設置せられ、
食糧管理制度
を検討されておりますが、明十一日
米価等
について
政府
に対し
答申
を行われる予定になっておるとのことでありますので、
調査会
の
会長東畑精一
君及び
委員大川一司
君を
参考人
として
出頭
を求め、
調査会
の
答申
の内容及び審議の
経過等
について来たる十二日の
食糧
に関する小
委員会
において
説明
を聴取いたしたいと存じますが御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小枝一雄
5
○
小枝委員長
御
異議
なしと認め、さよう決定いたしました。 なお
参考人
の都合により出席できない等の
事情
があります場合には、これにかわるべき
参考人
の選定につきましては
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小枝一雄
6
○
小枝委員長
御
異議
なしと認め、さよう取り計らいます。 ちょっと
速記
をとめて下さい。 〔
速記中止
〕
小枝一雄
7
○
小枝委員長
それでは
速記
を始めて下さい。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時四十五分散会