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1957-06-08 第26回国会 衆議院 農林水産委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年六月八日(土曜日)    午前十一時三十七分開議  出席委員    委員長 小枝 一雄君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 田口長治郎君    理事 中村 時雄君 理事 芳賀  貢君       石坂  繁君    大野 市郎君       川村善八郎君    鈴木 善幸君       中馬 辰猪君    原  捨思君       松田 鐡藏君    松野 頼三君       村松 久義君    赤路 友藏君       足鹿  覺君    伊瀬幸太郎君       石田 宥全君    石山 權作君       稻富 稜人君    川俣 清音君       田中 利勝君    中村 英男君       日野 吉夫君    細田 綱吉君  出席国務大臣         農 林 大 臣 井出一太郎君  委員外出席者         外務事務官         (アジア局第一         課長)     菅沼  潔君         外務事務官         (欧亜局長)  金山 政英君         外務事務次官         (欧亜局第三課         長)      山下 重明君         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         農林事務官         (大臣官房長) 永野 正二君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         農林事務官         (振興局長)  大坪 藤市君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    斎藤  誠君         水産庁長官   岡井 正男君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      新沢  寧君         農林事務官         (水産庁生産部         長)      坂村 吉正君         農 林 技 官         (水産庁生産部         海洋第二課長) 増田 正一君         通商産業事務官 中沢 三郎君         通商産業事務官         (公益事業局         長)      岩武 照彦君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 六月八日  委員川俣清音君及び成田知巳君辞任につき、そ  の補欠として稲富稜人君及び田中利勝君が議長  の指名で委員に選任された。 本日の会議に付した案件  農水月電力料金に関する件  砂糖及び甜菜に関する件  公海における漁船の安全操業等に関する件  昭和三十二年産生産者米価に関する件     ―――――――――――――
  2. 小枝一雄

    小枝委員長 これより会議を開きます。  農水用電力料金の問題について調査を進めます。質疑通告がありますのでこれを許します。石田宥全君
  3. 石田宥全

    石田(宥)委員 公益事業局長にお尋ねいたしておこうと思います。  先般、東北北陸電力会社がそれぞれ、東北は二一・二%、北陸は二四%の料金値上げ申請をいたしたのでありますが、その後政府は、東北については一八・五、北陸については一九・四程度に押えるという案をお作りになり、先般開かれた商工委員会でその案の御説明があったようであります。その後さらに当局内容検討をし、また与党側からもその値上げ率低減についての申し入れが行われたということを承わっておるのでございますが、現在の段階における電気料金値上げについての概要を御報告願いたいと思います。
  4. 岩武照彦

    岩武説明員 電力料金値上げにつきまして、今お話がありましたように、四月二十日に両社から申請がありました。これは、東北電力につきましては総合しまして二一%、北陸電力につきましては二四%になるわけであります。これを法規の規定によりまして、五月の十日に仙台及び富山におきまして聴聞会を開催いたし、両者とも四十名を越えます利害関係者よりいろいろ意見開陳がございましたが、概して、やむをないが最低限にとどめてほしいというふうな、趣旨の意見開陳が多かったようでございます。そこで当局としましては、これしを最低限と認めますようにいろいろ検討いたしまして、先ほどお話ありましたように、両社とも総合いたしまして大体一八%台におさまるようにということでやっておりますが、実はまだ最終の結論を得ておりません。われわれとしましても、できるだけ影響を緩和したいと考えておりまして、特に農事用電力につきましては、申請者会社側の方も、それぞれこの電力特殊性にかんがみまして、たとえば灌漑排水でありますれば基本料金を据え置くとか、あるいは脱穀調製につきましては、ものによりましては据え置き措置をとるとかいうふうに考えておるようであり、ます。こういうことで、できるだけ各方面に急激な影響を与えないようにしたいということで、目下いろいろ検討いたしておる段階でございます。
  5. 石田宥全

    石田(宥)委員 一般論としては、時間の関係もありまして私避けたいと思いますけれども、特に農事用関係におきましては、御承知通り電気料値上げというものは、灌漑排水等に対してはきわめて大きな影響をもたらすものでありますし、脱穀調製にしても同様でありますが、しかも本年度米価はまだ決定をいたしておりませんけれども米価というものはやはり別に公定し、価格でこれを抑制されておる。しかるに一面において電力料金値上げというものが行われますと、米作農民に対しての影響はきわめて大きい次第であります。従来は特に灌漑排水の問題に関しましては、排水のごときはおおむね洪水現象が起るような豊水期に特に多く使うのであります。従って料金は御承知通り水力電気火力電気とで非常に大きな差があって、以前には夏料金冬料金というような区別もなされておったのでありますが、特に灌漑排水のごとさ、あるいは脱穀調室製ごときも、豊水期のみにこれを使う性質のものなんです。従って従来は全国一律に一般料金よりも三割逓減を原則として参ったのであります。さらに二十九年十月の値上げの際に当りましても、私ども土地改良関係団体が強力にこの運動を進めまして、当時平均二〇%程度値上りということでありましたけれども、事実は新潟県、愛知県その他におきましては六〇%程度値上げになるような事態が起こりまして、それに対して数回会社側並びに通産省と話し合いの結果、その値上げ率を極力押えまして今日に及んでおるのであります。聞くところによりまずと、今回その農事用電力の別建制というものを廃止されるように会社側申請をしておるということでありますが、従来の逓減率の別建制というものに対してはどういう構想のもとに作業をお進めになっておるか承わりたい。
  6. 岩武照彦

    岩武説明員 別建制のことは、実は私も聞いておりませんし、申請にもこれは別にしております。農事用電力電灯という別の種類を設けまして、それぞれに応じた電力料金を考えております。それで先ほど申し上げましたように、灌漑排水におきましては、両社とも基本料金は据え置くといっております。なお電力用料金つまりキロワット・アワーにかかります料金の方は、両社とも一割程度上げておりまするが、これもほかの地域に比べまして約半額程度でございます。基本料金据え置きでございまするから、アワー料金があるいは一割程度上りましても、全体の値上り率はそれほどにならないわけでございます。脱穀調製の方も灌漑排水ほど各地の差はないようでございますが、しかし値上げ率はきわめて低位――これはいろいろ種類がありますので、均一に申し上げられませんけれども、非常に低く押えております。平均値上げ率をはるかに下回っております。実は過日、と申しましてもことしの冬でございますが、たしか新潟県であったかと思います。あるいは宮城県であったと思いますが、灌漑排水電気についていろいろお話がありました。私もいろいろ気になりますので、今度会社申請書を出して、それに基いて一体灌漑排水の方はどういうふうな影響になるのか、具体的に資料をいただきたいというふうに言っておざましたが、実はまだ今日まで私どもいただいておりません。水利組合なりあるいはそれを負担いたしまする農家の方にどういうふうに響きますのか、夫はよくわかりません。しかしいずれにしましても、申請の分をそのままかりに認可いたしましても、私はきわめて軽微ではないかと思っております。これはいろいろ実際の資料をいただいてみないとわかりません。極力低くさせるように努力しておることは、一つ御了承願いたいと思います。
  7. 石田宥全

    石田(宥)委員 電灯料金並びに灌排関係、これはいずれも基本料金は動かさない、アワー料金の方を上げる、灌排もアワー料金一〇%程度上げる、こういうことになりますと、小さな規模のところはそれほど影響はないのでありまするけれども、五千町歩、六千町少というようなところで、信濃川とか何かのようなああいう特別な地域になりますると、非常に大きなものになるのです。従ってそういうところでは、私も実はまだ資料をとっておらないのですけれども、こういうふうなアワー料金を一〇%上げるというような結論において、やはり五〇%、六〇%値上りという結果になるのではないかと思うのです。この前もそうであったのです。これはあなたよく御存じじゃないのですよ。栗ノ木用水だとか新井郷用水のように年間に五百万円も七百万円も支払うようなところになりますと、基本料金据え置きでも、アワー料金のふくらみで非常な大きなものになるのです。そういう点は十分――私も実は資料がまだ届かないので不勉強ですけれども、これは必ずそういう結果になると思うのです。従ってこの点はもう少し実情について御検討願いたい。先刻申し上げたように、この前の二十九年十月の際にも平均二〇%値上げということでありましたが、私どもの特殊の地域は六、七〇%の値上げになったのです。そういう計算現実に出たのです。そこでそれを大幅に修正を願ったわけです。今回もこの一〇%値上げというものは私は相当大きなものであろうと思うのです。従って、こういう問題については、どうも局長はまだよくお調べになっておらないようでありまして、これは現実に具体的に当ってみないとわからないというのでありますが、一つ十分御考慮を願いたいと思います。  それからなお、今度そういうことになりますと、実際新潟県などは――今回は東北北陸だけでありますが、富山県でもそういう問題が起っておるようでありまするけれども、これは発電県であります。発電県でありまして、関西電力なり東京電力なりに年じゅう送っておるわけであります。そうしておいて最近需用が多くなったために、今度は火力発電の非常に固いものを調整用として受け入れなければならない、こういうことになるのでありますが、聞くところによると、実は火力電力をもらっておるのでなしに、事実上は水力電力を入れておきながら火力料金を取られておるような事実があるように承わっておるのでありますが、そういうような点については、公益事業局としてどのように監督、監査が行き届くのか、その点は行き届き得ないのであるか、どうなんでしょうか。
  8. 岩武照彦

    岩武説明員 お話の点は融通の問題かと思いますが、御承知のように、電力は色もございませんので、線路がつながっておれば、サイクルが同じであれば電気が通じますから、どの電気がどこに行ったかということはトレースできないわけであります。ただ、ただいまお話新潟県あるいは富山県の関係を申し上げますれば、東京電力の方から東北電力融通するとなりますれば、その融通した身がわりを、東京では水力がないときには火力発電をたくということはございます。従って売ります電気原価火力を含めた原価になる。これは理屈としては当然だろうと思うのです。私どもの方も現在、お話のありましたように、融通料金の単価が適当かどうか、これは目下検討中でございまして、今までの結論はすべて少し高過ぎやしないかということで、これをさらに減らすようにやっております。それで全体の値上げ率を下げよう、こういうふうに考えております。電気性質上どの電気がどこに行くということはございません。全体として計算するようにしております。
  9. 石田宥全

    石田(宥)委員 時間もないようでありますから簡単にして終りますけれども新潟県にいたしましても、富山県にいたしましても、発電県であって、その電力を他に送っておる。送り出しておりながら、これがむしろそれを受けておる方の東京電力なり関西電力よりも高い電力料金を使わなければならないというような不合理な値上げであってはならないと思うのです。値上げ本質論についてはいろいろの問題がございましょう。私はきょうその本質論について触れるつもりはございませんが、ただ農事用といたしましては、全体の量からすればきわめて微々たるものであり、先刻申し上げるように、おおむね豊水期電力量が非常に余る時期なんです。ことに東北地方などの電気というものは、豊水時と渇水時に非常に差が大きいのでありまして、豊水時には実は処分に困るほどの電力が出る。そういう時期に大部分使うのでありますから、そういうところについては、やはりコストの安い電気でありますので、それは特別に御配慮を願いたい。先ほどちょっとお話のありました、どの程度値上りになるかということについては、私もすぐ調べますけれども、具体的な個々の灌漑、個々排水機械設備について計算をいたしませんと、実は出て参らぬのでありとます。これはいろいろ複雑な制度がありまして出て参らぬのでありますから、そういう点も、個々の点に当ってみて、それを参考にして、幸いにしてまだ案が固まっておらないようでありまするから、この機会に特に御配慮をわずらわしたい、これを希望申し上げて私の質問を終ります。
  10. 小枝一雄

    小枝委員長 ただいま調査いたしております農水産用電気料金値上げに関する件について自民、社会共同でもって決議をいたしたい旨の申し出があります。これを許します。石田宥全君
  11. 石田宥全

    石田(宥)委員 ただいまお諮りになりました農水産用電気料金値上げに関する件について、御提案を申し上げたいと思います。朗読いたします。    農水産用電気料金値上げに関する件   東北及び北陸電力株式会社は、政府に対し、需要の急増に対応する開発資金及び購入電力量増加等理由として、過般、電気料金大幅値上げ申請し、政府においても聴聞会を開く等種々検討を進めているようであるが、この地域農林漁業電力需要の急激な増大の要因となつているとは認められず、かつ、電気料金値上げ農林漁業経営に著しい負担となる。   よって政府は、電源配分の在り方について根本的な再検討を行うはもちろんであるが、極力電気料金値上率を低減し、左記の如く措置すべきである。     記  一、かんがい排水及び脱穀調整等農事用電灯電力料金については、従来通りの別建制を堅持すること。  二、製氷冷凍用電気料金についても、極力その引上げを避けること 以上でありますが、何とぞ皆さんの御賛成を得て御決議あらんことを希望いたします。
  12. 小枝一雄

    小枝委員長 ただいま石田君より提案されました自民党、社会党共同提案にかかる農水産用電気料金値上げに関する件を、本委員会決議とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお本決議政府への参考書送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  15. 小枝一雄

    小枝委員長 次に、砂糖に関する問題について調査を進めます。質疑通告がありますので、これを許します。中村時雄君。
  16. 中村時雄

    中村(時)委員 まず農林大臣に、この前私が質問いたしましたときに、砂糖行政に対してはいろいろ複雑なる事情があるので、その結果時間をしばらくかしていただきたい、こういう御答弁があったはずであります。その後砂糖のいろいろな海外市場の騰貴、暴騰また現在におきましては手持ちドルの減少、そういうような問題から、複雑な状況を来たしておるわけであります。そこで今後における大綱的な、農林大臣としての砂糖行政に対する考え方、これを第一点にお聞きし、続いて現在行われましたところの割当に対しての問題、さらには北海道におけるところのテンサイ糖工場設立に関する問題、この三点に関して今後お尋ねしていきたい、このように考えております。  次いで第一点の農林大臣砂糖行政に対する抱負をお伺いしたい。これは少くとも現在の砂糖というものは、外貨をつぶすのには三億ドル以上というものがあげられておる状態であります。ほとんど米を輸入する価値ひとしいくらいの大きなファクターを持っておる。ところが実際の商社というものは、非常に利潤の追求のために、個個の経営をなかなか発表しない。そこで非常に複雑な問題が出てくる。その間隙をぬっていろいろの問題が音さたされておるわけであります。そういう観点に立って誠実なる砂糖行政をどう持っていったらいいのか、その点を第一にお尋ねしたい。
  17. 井出一太郎

    井出国務大臣 抱負というほどには参りますまいが、若干の所見を申し上げます。砂糖国民必需品でございまして、極力その価格の安定を期して需要者に対しまして不安なからしめる、このことは申し上げるまでもない点であります。しかしながら国内需要量の九割余を輸入に負うておるという実情にございますので、その輸入に当っては適切かつ円滑を期しますとともに、他面テンサイ糖でありますとかその他の国内甘味の資源を開発いたしまして、極力その自給度を推進すべきものと思っておるのであります。現在の砂糖行政原料糖輸入割当制度の上に立ってこれを行なっておるのでありますが、この場合政府による輸入原料糖の管理であるとかあるいは砂糖輸入方式を自由にせしめるとかいろいろと制度が考えられるのでございますが、私といたしましては、今後の経済情勢推移に照らし、かつは経済自由化の方向をも考慮しつつ検討さるべきものであろうか、このように考えておる次第でございます。
  18. 中村時雄

    中村(時)委員 農林大臣お話を聞いているとまことにオーソドックスなものの考え方をしていらっしゃる。現実には、その一つ目途というものは、国民に安定した値段で、しかもできる限り安い値段砂糖を供給することなんですし第二点は外貨割当によってこの超過利潤の発生を防ごうということが在来問題になっていたはずなんです。それと同時に第三点は、この国内競合農産物価格等をどのように調整していくか、私はこの三つ目途としてあるのだろうと思うのです。あなたの考え方というものは、非常に基本的なものから象抽的なものが入っていますけれども、私はその三つだと思うのです。この三つ現実的にどうかみ合せていくかということが、私はこの砂糖行政目途でなければならぬ、このように思っているわけです。そこで実際に以前に振り返ってみましても、以前あなたに私は注意したはずなんです。たとえばそれらの行政措置というものは価格の安定というものから末端にのみ走っている。そのために少くともこの末端理由からくるところの昭和三十年の下半期の糖価暴騰あるいは暴落、あるいは砂糖行政の根幹たる輸入行政の拙劣によってあの三十年九月、十月における糖価の大暴騰となったと思う。そこで政府輸入の公表時期を誤まったためにこれが出てきた。一つ一つ具体的に言えば幾らでもはっきりしている。たとえばその結果政府が驚いて今度は大量に輸入を行なった。そこで暴落をしてしまった。それが去年私があなたにお話しした経過であったはずなんです。今度は外貨が少くなるから、また溶糖制限とかいろいろな問題が起ってきますが、そういう意味において私はお聞きしておった。ところが今お聞きしていましたら、こういうふうな基本的な個々の問題を一つもあなたは打ち出されておらない。そこで非常にいろいろな砂糖の問題が加味されてくる。そこで私は具体的な問題をお尋ねしましよう。たとえば本年度実需者団体の間におけるところの比率は何を基準にして作られましたか。
  19. 井出一太郎

    井出国務大臣 輸入原料糖割当制度をとってをおります現状におきましては、精糖業者に対しましては輸入相当量を直接割当をいたすことによって、また需要者に対しましては砂糖の需給安定をもたらすことを目途といたして割当をいたしたわけでございます。しこうして精糖業者それぞれに対する割当の基本的な考え方といたしましては、大企業中小企業それぞれに対しまして、その能力あるいは精製商品等の実態に即した割当基準に基いてこれを行う、こういう方針でございます。
  20. 中村時雄

    中村(時)委員 どうも大臣、私の言うことがわかりにくいらしいのですね。能力割当とか実績割当というものはわかっているんですよ。今度あなた方がやられたこの需要考団体比率決定根拠というものは一体何なんですか。わからないですか。
  21. 斎藤誠

    斎藤説明員 今回の精糖業者に対する割当基準といたしましては、従来の考え方を尊重いたしまして、粗糖実績基準製品実績基準を使って各実需者に対する割当基準といたしたのであります。ただいまその考え方いかん根拠いかん、こういう御質問がございましたので、私の基準をとりました考え方について申し上げたいと思います。考え方といたしましては、通常粗糖を使う精糖メーカーに対する割当でありますから、粗糖を使うということが一応普遍的な基準であると考えられるわけです。その他の物資につきましてもそういうふうな考え方割当基準をとっているのであります。ただ今回粗糖基準のほかに製品基準をとりましたゆえんのものは二つある。一つには、粗糖生産部門におきましても各種の団体がございまして、それぞれ経済推移に応じて、あるいは需要情勢変化に応じて製品を作っているわけでございますが、われわれとしては、だんだんに製品が合理化し良質のものになるということを期待いたしているわけでありますが、そういう面から考えますと、下級材であるものがだんだん粗糖を多くしてよりよい製品を作るという傾向がここ三、三年出ているわけであります。従ってそういうものを加味する必要があろう、これが第一点。第二点といたしましては、粗糖割当のみによるということになりますと、御承知のように粗糖の現在の割当は二割が商割、八割が実需者割当ということになっておりますけれども、実際問題として粗糖割当が八割を占めるということは、その割当に基いてまた割当をもらうということにもなりますので、若干そこに競争的な要因というものが入って、つまり過去における努力というものも加味して割り当てるということが望ましいのじゃないか。そういうことを考えます基準として、粗糖割当以外にとる基準としてほかに適当なものがないので、今申しましたような製品基準というものをとるということにいたしたのであります。
  22. 中村時雄

    中村(時)委員 要は結局実績割当を行なった、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  23. 斎藤誠

    斎藤説明員 さようでございます。
  24. 中村時雄

    中村(時)委員 そうするとその実績割当内容はどうなんです。
  25. 斎藤誠

    斎藤説明員 実績割当は、やや詳細になりますけれども、現在の割当の対象といたしましては、御承知のように大きく分けて四つの団体があるわけでございます。一つ精糖工業会、これは日産能力大体八千二百トン以上になっております。それから精糖協会というのがございます。これは日産百九十五トン程度中小のグループでございます。あと二つ再製糖部門がございまして、再製糖工業会あるいは製糖会というのがございます。この実績基準をとりまして、今年度割当いたしました数字的な変化について申し上げますならば、昨年度精糖部門再製糖部門では九十四対六になっております。本年度再製糖部門とそうでない部門との比率は若干再製糖部門がふえて参っております。精糖工業会中小メーカーの精糖協会との比率もまた、精糖協会の方が若干ふえておる、こういうことになった次第でございます。
  26. 中村時雄

    中村(時)委員 私の聞いておるのは、その比率がどうなっているかということ、若干とかなんとかということでない。きのう、きょうとこの委員会に呼ばれて、あなた方は十分内部で打ち合せが済んでおるはずでしょう。だから、そのようにぼかす必要はない。工業会は去年が九一・一五%、本年が九〇・〇八%、精糖協会が昨年度二・八五%、本年度三・五一%、再製糖部門は昨年六%の割当であったが本年は二団体に分れて三・二六%と三・一五%、こういうふうに分けられたと私は記憶しておる。間違っておりましたら御訂正を願いたい。まず一点、これをお聞きします。
  27. 斎藤誠

    斎藤説明員 その通りでございます。
  28. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、あなたの答弁の中に私は一つ疑義を持ったのですが、たとえばだんだん上質にしていきたいとおっしゃる。上質にするということは精糖することなんです。再製糖じゃありませんよ。しかるにこの比率を見ていったら、明らかにこれは再製糖のみが上昇している状態になっておる。これはどういうような原因がこのようにさせたのか、この点御答弁を願いたい。
  29. 斎藤誠

    斎藤説明員 御承知のように、精糖部門の中における各種の製品種類がございます。その製品種類の中におきましても、一番上等なグラニュー糖からすそものの洗いザラ糖等まで各種の砂糖種類銘柄が分れておるわけであります。その中で、今お話になりましたように精製糖でありますならば、これはもちろん上級品になるわけであります。再製糖部門の中におきましてもだんだんにそういう努力の傾向が現われてきた、これはおそらくは消費部面における需要を反映いたしたものであろうと思うのであります。そういった意味をここに反映させた次第でございます。
  30. 中村時雄

    中村(時)委員 おかしいでしょう。再製糖というものはまだ十分に精糖ではないのです。しかも再製糖を中心にしていって実績割当をやったというならば、その根拠を私は聞きたい。その実績割当の中にはテンサイ糖を含んでおるか、あるいは黒糖を含んでおるか。私はおそらくこのような割当をするならば、テンサイ糖なり黒糖というものを加算していってこの再製糖の割当というものがこういうように上昇したのだ、このように推察ができる。これに対してどうなんですか。
  31. 斎藤誠

    斎藤説明員 精糖部門全般におきましても、原料糖といたしましてはひとり粗糖ばかりでなしに、テンサイ糖であるとかあるいは黒糖であるとか、そのようなものを使用しておったのであります。また現に使用しておるわけであります。各部門におきましてもこのような原料の使用を行なっていたことは、過去においてはあったと思うのであります。また現に精糖部門におきましても、たとえば工業会、協会の系統におきましても原料溶糖というものは粗糖以外のものが入っておるわけであります。しかし傾向的に見ますならば、精糖部門におきましては粗糖以外の原料糖がだんだん減って参っておるというのが現在の状況であります。従って再製糖部門におきましても、粗糖以外の原料糖というものがだんだんと減って、粗糖に対する要請というものがだんだん強まってきた。これは今申しましたように消費部面を反映いたしまして、消費の傾向というものがだんだんそういうものを要請するという一面がありますと同時に、粗糖に対する一般的な需要が高まって参った、こういうことであろうと考えております。
  32. 中村時雄

    中村(時)委員 そうするとおかしいでしょう。粗糖というものは外貨によって入ってくるんです。そうでしょう。あなた方はその粗糖割当を行なっている。その中に、国内の黒糖なりテンサイ糖を含めて余分に、私どもはこれを溶糖いたしましたからといって、割当を多量に受けようとしています。もしこの要求をそのまま受け取ったら、粗糖の実際の実績精糖割当ではなくて、粗糖がほしいためにテンサイ糖なり黒糖というものを加味して余分のプラス・アルファをとろうということになりますが、大臣はこれをいかに考えられますか。今私が言ったのは、粗糖を割り当てている、そうでしょう。そこで、国内の黒糖なりテンサイ糖というものをその粗糖割当にプラス・アルファして、私の実績はこれだけありますと水ぶくれにふくらましている。しかも再製糖というものは御承知のように、ヤキダマ等のように粗糖以外の雑物がたくさん入っていて水ぶくれさしている。片一方の粗糖というものはだんだん精糖するから減って参ります。片一方の再製糖というものはふえてきます。そのふえているところへ持ってきて国内の黒糖なりテンサイ糖を入れてくるから実績だけはふえて参ります。それをこの実績に入れて割り当てるということになりますと、こちらがふくれてくるのは当然なんです。いかがでしょう。
  33. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいま来斎藤部長から御説明を申し上げました通り国内産のテンサイ糖あるいは黒糖、これは必ずしも再製糖業者のみが全部使うというのではないわけでございまして、砂糖原料全体としてこれをながめますならば、今回の一は粗糖実績、一は製品実績、これをフィフティ・フィフティに勘案をして決定をした、こういうことでございます。
  34. 中村時雄

    中村(時)委員 それじゃ斎藤さんに尋ねますけれども、その再製糖の方面に黒糖なりテンサイ糖がある。パーセントいき、先ほどあなたが言いました精糖を扱っているところはほとんどそういうものは少くなっているということはその通りだと思いますが、そうすると再製糖の方にたくさんいっているということは事実としてはあるだろうと思う。あなたはそれをどういうふうに考えます。
  35. 斎藤誠

    斎藤説明員 今中村先生の御指摘の通り、結果的に、各部門において粗糖以外の原料糖と使用しておりますけれども再製糖部門においては粗糖以外の原料糖が多いということも事実であります。ただ私がここで申し上げたい点は、先ほども申し上げた通りでありますけれども、精製糖部門におきましてもかつては粗糖以外の原料糖というものがあったわけであります。それがだんだんに製品の向上に伴い、あるいは消費の嗜好を反映いたしまして、粗糖に重点が移ってきた。同じような傾向と申しますか、再製糖部門におけるここ二、三年以来の製品の状況を見ますると、そういうものからだんだんに離脱して粗糖部門に入ってきておる、こういう傾向が出ておるわけであります。これをまるまる見るということについては、これは私もいろいろ疑問があると思います。しかし製品の向上化というもの、あるいは粗糖自身に対する公正な割当基準、こういう意味からいいまして、両方をフィフティ・フィティで加味するということをとることは必ずしも不合理ではなからう、かように考えたわけであります。いま一点、先ほど申し上げました点をつけ加えますれば、粗糖だけの割当基準ということになりますと、政府が割り当てた、つまり八割のものを割り当てて、しかもその割り当てた基準を年々また反映させて割り当てる、つまりトートロジーであるというようなことがありますので、そこにはやはり競争的なほかのファクターを入れるものとすればほかに何があるだろうという観点から、製品需要というものを入れた次第であります。
  36. 中村時雄

    中村(時)委員 ことし初めてとった製品需要なんですが、そういう基準の問題をあなたはおっしゃいましたけれども、それでは通産省の方に私は一つお尋ねしたい。今局長も来ていないし次長も来ていませんが、通産省の割当基準は、たとえば消費者割当だけでもいいですが、その消費者割当基準はどこへ置きました。本年度のパーセントだけでもいいです。
  37. 中沢三郎

    ○中沢説明員 本年度はまだ商社に割り当てておりませんので、三十一年度比率で申し上げますと、三十年四月一日から三十一年三月三十一日までに通関しました通関実績をもって割り当てております。
  38. 中村時雄

    中村(時)委員 この通算自身もおかしい。本年度は一年間の割当をやっており、昨年度は一年半でやっている。その前は三年間の実績でやったじゃないですか。あなたの方は、その基準はいつもその都度その都度変るのですか。そういうところに業者の動き方が――どだい砂糖屋というのは私らの目から言わせたら、中には良心的な者もあるけれども、大半の人は悪党といってもいいと思う、もうけることにかけたらめちゃくちゃですよ。実際にあなた方もよく考えてごらんなさい。そういう連中があなたのところに行って、━━━━━━━━━━━━━━━ということがちゃんとここに出ておりますが、そういうことをやっておるのです。そういう連中が圧力をかけながら幾らでも基準を勝手にきめてかかってくる。今までの基準はみなそうです。農林省もそうでしょう、今のよううに実際に再製糖の面だけをふくらまそうという考え方を持って実績割当をすれば、再製糖の面だけがふえてくることは間違いないと思う。そういう基準を最初に考えるのではなくて、最初にそういう実績を考えながら、これだけふやしてやろうと思って、その基準というものを今言ったように実績割当にしていくというような考え方がついてくるでしょう、私はそう思う。これに対して斎藤部長はどういうふうに考えておるのか。続いて、その問題に関連してもう一つお聞きしておきたいのは、その実績割当をやった結果、こういうふうになったことはなったとして、あなたの実際の砂糖業界に対する考え方、たとえば今精糖といいながらここに精糖工業会があり、片一方には協会がある。再製糖も二つに分れておる、こういう実情をどういうお考えを持っておるのですか。
  39. 斎藤誠

    斎藤説明員 第一点の再製糖工業部門について、意識的に増加することを考慮したかどうかという点でございますが、この点につきましては、特に意識的にやったという考えは毛頭ございません。現在の実情を反映するという考え方のもとに統一的な基準でやったわけでありますが、特に再製糖だけについてふやすという意図を持ってやったわけではございません。再製糖部門につきましてこのような実績を考慮するということによりまして、将来どんどんふやすことが望ましいかどうかという御質問でございますが、これは製品の実績と消費の嗜好によっておのずからそこに制約もあり、業界の競争のもとにおいて調整されるべきものであろう、つまりわれわれがどうこうするという問題ではなくして、市場において調整されるべきものであろうと思うのでありますけれども、今の一般的傾向からいいまして、市場製品の良質化の傾向にある現在、悪質下級材がふえていくということについては望ましいと必ずしも考えておるわけではございません。  第二の四つの団体があることについてどう考えているかという御質問でございますが、ちょっと意味がはっきりつかめないのでございますが、どういう御質問でございましょうか。
  40. 中村時雄

    中村(時)委員 それはこういう意味です。たとえばあなた方の在来の考え方は精糖なら精糖で一本で行けばよろしい、再製糖なら再製糖で一本で行けばよろしい、こういう考え方が縦割りとしては出てくると思うのです。あなたはそれに対してどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
  41. 斎藤誠

    斎藤説明員 率直にわれわれが砂糖行政末端実施部分について処理するやり方を考えますならば、できるだけ業界が一本になり、統一した形において共同活動が行われることが一番望ましいし、またわれわれとしてもそのような行き方の方が行政上もやりやすいという面があることは否定し得ないところでございます。
  42. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると私はおかしいと思うのです。あなたはなるべく一本にしていきたい、このような考え方を持っている一方において、昨年度までは工業会と精糖協会と再製糖、これだけあったのですね。ところが不思議なことに、本年度に限ってこの再製糖の一部が分離した。再製糖が二つに割れて、その割れたところの製糖会というものが、割当にしたら一番たくさんもらっている、これはどういう意味なのですか。あなたは一本にしておいて再製糖として渡してあげればよろしいと私は思うのです。思うにかかわらずわざわざ実績割当でいきますとなると、今言ったように黒糖であるとかあるいはテンサイ糖であるとか、これらをおもに使っているものは再製糖業者であります。これが出てきたわけなのですね。その中で再製糖業者が一番割当をたくさんもらいますということになったら再製糖の中が二つにぽんと割れて、今まで六%であった割当が片一方は三・二六%、片一方は三・一五%というふうに水ぶくれにふえてきているのです。これはあなたは他意はありませんとおっしゃっても、ものは結果において見ていく、結果において出てきた数量を見てみると分れさせなくてもよろしいと考えているあなた方の考えと逆に、分れて行ったものがふえてくる、一体これはどういうわけなのです。
  43. 斎藤誠

    斎藤説明員 業界ができるだけ分化しないで一つの共同活動ができるような形にまとまることはわれわれの立場からいえば望ましいということを申し上げたわけでございます。しかし事はわれわれの問題ではなくて業界内部の問題であり、相互の問題であります。やはり大と小とにおいてはそこに利害関係から、あるいは精糖形態によっておのずから分れる、このような傾向に対しましては望ましいということと、それから現実割当をやるという場合において、現実に存在するものまでも無視してやるということについては若干のギャップがあると思うのであります。一応われわれ現在あるというものを前提として、ただ将来のものとしてはこのように考えているということを申し上げた。
  44. 中村時雄

    中村(時)委員 今あなたはこういうことを言っているわけです。自分の理屈をどうやってつけようかと思うけれども、理屈にならなくなっている。そうでしょう、一本にしていきたいと言いながら実際は分割させてしまう。その一つの例をとってみましょうか。たとえば協会を見てごらんなさい、協会におきましては再製糖と精糖と両方が入っておったわけなのです。そこであなた方の指導によってこれは精糖として一本にしなさいと打ち出しているじゃないですか、あなた方業界の希望だからその通りにしますと言うけれども、そうじゃない。あなた方が指導して、再製糖はいけませんから精糖にしなさいといって精糖一本にしていったでしょう。ところが今度だけはそうじやありません、再製糖はあなた方の任意ですから、どうぞ二つにでもお割り下さいということになっていくのですか。どうも理屈が合わないでしょう、自分でもそう思わぬですか。わからなかったら幾らでも御説明しますよ。
  45. 斎藤誠

    斎藤説明員 どうも中村先生の方がいろいろのことをよく御存じなので私も答弁しかねるのでございます。が、今申しましましたように、われわれとしてはたとえば精糖部門あるいは再製糖部門についてできるだけ一本の形というのが望ましい、これは単なる主観的な希望を申し上げただけで、現実問題としてこれは業界のそのものの問題でございますので、それぞれの利害関係に伴って分れておるという現実自身は無視するわけに参りません。それを基礎に置いて一応今回の割当を考えたということでございますただ今の精糖協会の問題においては 農林省の方において指導して一つの形にする、こういう御質問があったのでありますけれども、私の承知している限りにおいては、精糖協会の中にも再製糖を行なっておるものがある。つまりその業者については一人の人間が精糖部門再製糖部門と二つに分れて活動しているということであります。それから製糖会と再製糖工業会はこれは一つのものが二つの会に加入しているというわけではなくて、それぞれの部門に単独で入っておるわけであります。そういう意味で一つの協会が二つに分れて、いわば両足を突っ込んだといったような形において割当問題についていろいろ論議するということはまずかろうという話し合いができて、精糖協会の中に入り込む、こういうことになったというふうに考えております。
  46. 中村時雄

    中村(時)委員 どうもますますあなたの言っていることはわからなくなる。そうでしょう。よく考えてごらんなさい。再製糖と精糖を兼務しているところがあると困るから一本にしましょうといって指導した、こういう。片一方においては再製糖という会がある。その再製糖だけをやっているものが二つに分れるのは仕方がありません、こうおっしゃる。そんな理屈か成り立ちますか。それは小学校の生徒だって成り立たぬと言うでしょう。その二つに分れたものが最も割当を多く受けておる。私は一つ感心していることは、それは何かというと、中小企業形態としてこの前農林大臣に言ったときに、一万トンくらいはどんなはかなごとがあってもそちらに回せるんじゃないかと言った。ところがその点だけは回っている。回っていたものがそれを見つけて再製糖を分離して余分にやれば、自分たちの実績がふえているから、余分にとれるじゃないか、こういう考えが出ている。あなたは良心的な方だから御存じないかもしれないが、そのために今度は実績になるんだということを考えて、再製糖のものが二つに分れて、そのうしろに政治家もつく。それは頼まれたらだれもやるでしょう。そういうことが結果において現われたから疑義を持つんです。抽象でいえば、こんなことをしなくてもやる方法は幾らでもありますよ。たとえば再製糖と精糖部門一つになって精糖協会ができ上った。これは非常に抽象で弱いんだ。そこでいろいろなバランスがアンバランスになっておる。そこで均衡的な割当一つにしてやろう。そこで残りは六対四の能力とかあるいは製品割当にしてもよろしい、こういうことになったら一ぺんに解決できる。方法は幾らでもあるにかかわらずそれをせずして、今言ったような実績だけでやるときに不可解な点が幾らでも出てくる。これは大臣もよく聞いておっていただきたい。そこでそういうアンバランスをバランスをとるという意味において、そういう観点だけにおいてあなたは今後どういうふうにしてやっていくかということをよくお考えになっていただきたい。同時に大臣としても、この割当を今お聞きになったらすぐにおわかりになっただろうと思う。いろいろな疑義が出てきておる。そこで再製糖だけをこういうふうに持ってきた観点を――中小企業を育成するなら育成するでけっこうですから、今言ったように、精糖と再製糖をやっておる小さいところを精糖一本化にして、それにはっきりバックアップしてあげるということ、そういうところに対してどういう考えを持っていらっしゃるか。一点お聞きしておきたい。
  47. 井出一太郎

    井出国務大臣 お答えをいたします。先ほど来申し上げております割当基準については、これは実績、つまり粗糖の実績と製品の実績とにかんがみてこれを取り上げたということでありまして、これは部長からるる御説明を申し上げておるような次第でございまして、何ら意識とか作意というふうなものがあったわけではございません。結果についてそのような御批判を受けることは、これはそれぞれの御見解があろうかと思いますけれども、われわれとしては当面この基準でやって参る所存であります。ただ中小企業に対する対策というふうなお話も出たのでありますが、これはこれとして割当の問題とはまた別に考えなければならぬことであろう、こういうふうに存じております。
  48. 中村時雄

    中村(時)委員 それではお尋ねします。来年度もこの実績でやりますか。そこまで行かれるならば、はっきり言っておっていただきたい。あなたも良心的な人でしょう。このままの実績でやられますか。やられるとすれば、大きな精糖会社が黒糖なりそういうものを買い占めております。実績でやるとすれば、今度は小さいところは全部参ってしまいます。はるかに精糖の方が大きく出て参ります。どうなんですか、大臣の腹にあるでしょう。
  49. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは合後の推移を見なければ何とも申し上げかねますが、当面はこれで参る予定でございます。
  50. 中村時雄

    中村(時)委員 当面はということは、一年間あるんですよ、割当量は。一年間の中からどこからどこまでの基準を言っているんですか。
  51. 井出一太郎

    井出国務大臣 この一年間の推移を冷静に見守る予定でございます。
  52. 中村時雄

    中村(時)委員 ということは、あなた方はその基準において確固たるものが一つもないということです。そのつどそのつどいつも変るからというので、業者間では猛烈な競争をしておる。実際食品課へ行ってごらんなさい。ほとんど毎日のように砂糖業者は詰めかけておる。それはどういうところにあるかといえば、このように基準がはっきりしていないから、そのつどそのつど運動をすれば、どうにでもなるということなんです。いくら砂糖が甘いからといって人まで甘くとられたら大へんですよ。特にあなたはもっと辛くなってもらわなければ困る。それだけにはっきりしておってもらわないと実際困る。これは冗談は抜きにして、三億ドルからの外貨を使っておるんですよ。もっと真剣に考えてもらいたい。もしも実績通りやっていくならば、今言ったように金持が国内の黒糖なりテンサイ糖を買い占めて、今度は実績がふえてきまずから、再製糖のものはぺしゃんこになってしまいますよ。そこでたとえば再製糖の方は、今申しましたように、均等割をやっております。ところが小さい中小企業の方は均等割をやっていない、はずされている。大企業は大樹の陰に隠れて助かって、片一方の小さい中小企業者は助からない。そこでそれに伴って私は次の機会にはこの小さいところは全部均等割にする。再製糖は今やっておりますよ。この小さい精糖もやれるだけの御意思があるかどうかを最後に一点お聞きしたい。
  53. 井出一太郎

    井出国務大臣 中村委員の言われます均等割という言葉の意味がちょっと私には明確でないのでありますが、この今回の基準にのっとってそれぞれの団体に御依頼して参りましたものが、団体の自主的な配分にまかせられるということは一応やむを得ないことじゃないかと考えております。今回の基準決定についは、私はこの考え方も確かに十分根拠があるもの、こういうふうに存じて裁断をいたしたわけでございますが、従来とも固定した一つ考え方変化する条件のもとにずっと固守することが果して妥当かどうかという点も問題でございましょうから、本年はその考え方を採用したわけでありまするが、自余の問題は行政の推移を見まして善処したいと考えております。
  54. 中村時雄

    中村(時)委員 私の言っているのは、本年度は百歩譲って、そのことを言っているのじゃないのです。大きなワクになってきたら、中小企業は、再製糖がそこまで上ったら上ったでけっこうなのです。何も悪いというのじゃない。その基準率に不純な点があるから追及したことが一点と、もう一点は今度は横にとった場合、斎藤さんの言ったように、精糖は精糖だけにしていきたい、再製糖は再製糖だけにしていきたい、こういう御者心見があるにかかわらず、再製糖が二つに割れていった。割れていったのは、今言ったように余分の配分を受けるために二つに割れていったのです。事実それはパーセンテージになって現われてきた。ここまではおわかりだと思う。そこで中小企業としてこれは考えるべきじゃないかという考え方になる。なると、再製糖の方は均等割となる、こう言っている。私の質問の均等割がわからぬと言うのは、あなたが勉強していないからだ。均等割ということは、たとえば一〇%なら一〇彩はその安定のために先に均等的に配分してやるのです。それから残りを、能力を六なら六にとる、実績を四なら四にとる、しかし最低線だけは維持してやる、こういうことを言っているのです。そのくらいなことができぬならば、いつもそのつど行政になってしまいますよ。幸いにして再製糖の方はそういうふうにしてうまくいきかけておる。そこでもう一歩広がして、今言った精糖協会どもそのワク内で、今言った均等割の点まで持ってきて、上げてどうするかということをお尋ねしているのです。これだけ懇切丁寧に説明すればおわかりだと思うのです。
  55. 井出一太郎

    井出国務大臣 各団体の内部で、それぞれこちらからおろしていったものを再割当する方式は異なっておるようでございます。従ってそこまで役所の立場で規制をすることがいいかどうか、この辺には問題はあろうかと思います。
  56. 中村時雄

    中村(時)委員 おかしいことをおっしゃいますね。団体の方ではそうしてもらいたいということを前々から言っているのです。あなたは今初めて聞いて、初めてそこで打ち合せしておるからわからないだけなのです。それはだれしもそうなのですよ。自分の経済の安定ということを考えたい、特に、長官がいないけれども、安定帯価格を作ろうというのもそれなのですが、大きなところは問題がないのです。今言ったように小さいところはわずか一〇%しかもらっていない。片一方大きなところは九十点何パーセントだ。だからその根拠というものは非常に希薄だ。ことしはどこからどう動いて、どういうふうになられたのか私は知りませんけれども、幸いに再製糖の方がはるかに上へ出てきたわけだ。だから喜んでおりますが、今度これが、大きなところをてこ入れをすれば一ぺんでひっくりかえりますよ。うっかりすれば大臣の更迭すらできる実力を持っていると称されている。この間も食品課長が大阪製糖のために首をくくって死んだでしょう。そのくらいやりかねない連中です。そこで小さいところは数外く持っていると思いますけれども、基本町に最低線だけを維持することをお考えになりませんか、わずか一〇%のところが、協会にしてみたら再製糖もあれば精糖もあるから、割当をめぐって中でけんかをやらなければならぬ。そういうような状態をなくす。そうして縦割にするならするために、すっきりした線を出さなければならぬ。出すためには、一応の最低の線だけは守ってやらなければならない。そういうお考えを持っているのか持っていないのかということをお聞きしているのです。
  57. 井出一太郎

    井出国務大臣 原則的には中村委員の言われることも十分わかるつもりでございます。従いまして今回の割当を下へおろしまして、そういうような方向に――役所が団体の自主性をそこなうというふうなことではいけないと考えますので、中村委員のお説は一つ十分に行政上の参考にいたして参るつもりであります。
  58. 中村時雄

    中村(時)委員 どうしても私はわからないのです。行政上に云々とおっしゃいますけれども、今の再製糖と精糖がこうあって、具体的に言えばこの二つが一つになって精糖協会というものを作った。ところが再製糖の分だけは今言った割当方式の――インチキとは申しますまい、一応百歩譲って黙っておりましょう、そこでそういうふうにして余分にもらった、それ二つにして精糖にしようというのだ。それをさしたのは農林省なんです。農林省がこういくべきではないかといって、指導方針を立てられてやった。やった以上は、今言ったような安定する線を考えてみたらどうかと言っているのです。今の割当を言っているのではない。割当がいいか悪いかは知らぬけれども、あなた方の言ったように黙っておる。黙っておるけれども将来、この連中が困ってくることは目に見えておる事実なんです。そのことをあなた方はほったらかすのかということを聞いているのだ。その他に方法がないといえば、こういう方法が幾らでもあるじゃないかと言っておる。それをあなた方は現実的にはわからないものだから、耳打ちして聞いてやっているものだからポイントがはずれてしまう。だから何でもかんでも部長から聞くのだということであれば、部長から答弁してもらってもけっこうです。
  59. 斎藤誠

    斎藤説明員 今中村先生の御質問に対して大臣の御答弁がありました。私も同じことを申し上げるわけでございますが、小さな企業におきまして一〇%ぐらいの均等割を確保して、そうして最低限度の保障をとることが望ましいではないか、これは確かにそういう御意見に対しては、われわれも納得する部面もあるわけでございます。現にまた製糖会再製糖部門におきましてはそういうこともありまして、均等割というものがあるわけであります。お話しになりましたのは結局精糖協会の方におきましても同じような方法をとることについてどうであるか、こういう御質問であろうと思います。基本的には、先ほど大臣から答弁がありましたように、協会の意向を十分いれまして、もしそのようなことが協会としても望ましいのであるということでありますならば、われわれとしてもそういう線に沿って十分考えていきたい、かように考えております。
  60. 芳賀貢

    ○芳賀委員 関連。ただいま中村委員質問が行われているわけですが、どうも私たちとしても了解に苦しむ点がある。この点は大臣にお尋ねしますが、先ほど中村委員質問によると再製糖部門が二つに現在分れたそうでありますが、分れる以前に配分方法としては、再製糖部門に一万トンぐらいは特別な理由を発見して与えるというようなことが事前に方針としてきめられておった。それによって再製糖の工業会と製糖会に分れたそうでありますが、その分れた一派がその一万トンを獲得するような受け入れ態勢を作るために、新しいそういう製糖会というものを作って、大臣の言われる一万トンがそこへ流れたのではないかということを中村委員は聞いているように私は感ずるわけです。そうすると最初から、なれ合いでそういうふうになったというふうにも受け取られるわけですが、その点はいかがですか。もう少し端的に、全体の委員がわかるような答弁をしてもらわぬといかないと思うのです。
  61. 井出一太郎

    井出国務大臣 そういうことは、先ほど来申し上げましたように全然ございません。その一万トン云々なんということは私の全く関知しないところでございます。この割当基準については、先ほど来申し上げておるように、粗糖製品とを半々に見たわけでございまして、これに関する限りは合理性を持ったものである、私はこう考えておるのでありまして、たまたまあるいはそれを割り当てましたところ、今ここで出たような数字が現われたということでございまして、あらかじめその作為があったとか、意識をしたとかいうふうな問題では全然ありません。
  62. 中村時雄

    中村(時)委員 芳賀さんのお尋ねしているのは、具体的に言いますれば、二つに分れていった一つが今まで六%であったのが、分れたものだけが三・二六%とって、分れない、残った数多くのものがそれよりも低く三・一五%になっている。そうするとあなた方が分れさせたくないといって指導方針を立てながら、分れていったものの方が余分の砂糖の配給を受ける。それには一体だれが指導しただろうかという疑義が生まれてくる。事実指導したものがおるかもしれない。おそらく大臣が知らぬだけかもしれない。知っておっても言わないだけかもしれない。それもわからない。そういう意味のことを質問している。そこでお尋ねしておきたいのは、そういう疑義は別として、中小企業全体のワク、それを芳賀委員から、また御質問かあるだろうと思いますが、今申したようにあなた方自身が業者に会って、非常に困難な状態でいろいろな問題が起ってきておるということは身をもって休しただろうと思う。そこでこれをもう一歩進めていけば、こういうことをやめようと思えばでざる。たとえばAA制にするなり食管制度にするなり、割当制という一つの力を持っている場合には、必ずそれのもう一歩の統制の力がなかったらできないわけです。でないとこういうふうに各個ばらばらになってしまう。そこで食管制度に持っていくなりAA制にするなり、そういうことをすればこういう複雑な状態は起ってこないと私は思う。それに対してこの前あなたに御質問をし、すでに年月もかなりたっております。そこであなたのほんとうのお考え方ができておるかどうか、まだできていないか、それをお聞きしたい。
  63. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいま検討をいたしております。
  64. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたが検討しておるうちに大臣をやめてしまったらどういう検討になる。それでは見当違いになる。そんな見当違いの答弁じゃ困る。部長自身は農林省の事務当局としてどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
  65. 斎藤誠

    斎藤説明員 先ほど冒頭におきまして農林大臣の御答弁がありました通りでございます。
  66. 中村時雄

    中村(時)委員 その検討は一体いつごろできる見当なのですか。あなたの在職中にできると思っていらっしゃるのですか。おそらくこんなむずかしい問題や、こんなわずらわしい関心はまあまあやめた方がいいじゃないか。たとえばここにあなた方のエキスパートの松野委員がいらっしゃる。いろいろの御意見も聞いておると思う。だから十分検討するということは、今までやったことはございませんか。
  67. 井出一太郎

    井出国務大臣 先般も中村委員から砂糖のあり方について根本的な点にお触れになっての御質問を承わりました。これは私きょうも冒頭に申し上げましたように、国際的なつながりをも持つわけでございまして、これを一挙にAA制に持っていくことが可か、あるいはもっと食管制度の中に入れる直接統制的なものがいいか、こういうあたりはよほど検討しなければならない点でありまして、なかなか軽々しく踏み切るわけには参らないかと思っております。
  68. 中村時雄

    中村(時)委員 軽々しく言うわけにはいかないとおっしゃいますけれども、この問題は河野農林大臣の以前くらいからずっと問題になって尾を引いている。その一つの実例を言ってあげましようか。去る月曜日、工業会は総会を開き、そこへ斎藤部長は呼ばれているはずです。そのあとで役員会を開き、普通ならば八万トンの溶糖をしておるのを六万数千トンに減糖しようじゃないか。なぜならばこの前、次官通牒ではなくて、長官通達で溶糖制限の通達を出していらっしゃる。この原文を出せといっても、あなた方は出さないでしょう。それをたてにしてまたやろうと言う。この間は価格の安いものを入れてきて、暴騰して、そこで数十億の金を砂糖業者はもうけた。私が先ほど言った目的の第二点に相反するような動き方をしておる。どうやって金を隠そうかと一生懸命になっておる。そこで今度は外国より百五十ドルの粗糖が入ってくるだろうと推察していて、砂糖業者は少しは自粛するだろうと思ったら、外貨が少くなりました。そこで砂糖輸入が減りますから、砂糖の溶糖を少し制限しましょう。国内価格は八十五円以上に維持できましょう、こうなる。そのために迷惑をこうむるのは消費者ですよ。あなた知っておりますか。三日にはそういう相談までしておるはずです。それほど大きいのです。だからあなた方の不見識な者になると、もうけたのだから、少し金をよこせ。ひっぱるじゃないか。こういうことになる。━━━━━━━━━━━━━━━━。そういうことになるのですよ。だからもう少し慎重に正しくやってもらいたいと思う。それはあなたが良心がある人物だから私は訴えておるのです。それだけにしっかりしてもらいたい。第一点の中小企業の育成に対するところの基本方針だけは打ち出されたから、私はこれ以上この問題は追究することをやめて、事実あなた方が今後どう処置されていくかということを見きわめていきたいと田思う。それと同時に、あなたの大臣の間に、せめて自分の良心に訴えて、業界の基準というものなり、目的達成のためにしっかりとした機構を作るという観点に立っての御調査も――もう調査なんか必要ないのです。やることはきまっておるのです。あなたが調査々々と言っておるだけです。ほかでは、大体こういうふうにすればよいじやないかという消費者としての世論はでき上っておる。だからそういうこともよく御勘案願って早急におきめ願いたい。
  69. 井出一太郎

    井出国務大臣 私は私の立場においてさらに十分なるデータを集めてその上で考え方をまとめるつもりでおります。
  70. 中村時雄

    中村(時)委員 それで食管の方は一応終ることにして、次に時間の関係上北海道のテンサイ糖に関してお尋ねをしたいと思う。  まず改良局長にお尋ねしたいのは、昭和二十七年農林省において臨時てん菜糖振興法案というものを作られた。そのときに道庁では大塩部長が作付別工場立地の作成をせられた。そのときの基本的なテンサイ糖の農地並びに工場に対する配分の状況、そういうものはどうであったかということをお聞かせ願いたい。
  71. 大坪藤市

    ○大坪説明員 てん菜糖振興法が国会におきまして成立いたしました際に、北海道においては北海道の農業振興という観点からして、テンサイの増産はどうしてもこれを遂行せなければならぬというようなことからいろいろ検討して試案を作ったのでございますが、そのときの資料を農林省の方も受けたのでございますが、これはいろいろ検討の結果、なおいろいろ研究する余地があるということで、政府といたしましては公式にこれを決定したというようなことには相なっていないが、参考的な資料であるのでございます。その場合の問題としては、これは図面で説明をしなければならぬと思いまするが、ただいま私は持っておらないのでありまするが、地域を区分いたしまして、それによりまして工場を建設する、こういうような大体格好に相なっております。
  72. 中村時雄

    中村(時)委員 地域は具体的に言ったってわかりますよ。あなたはわからないのですか。わからなければ言いましょうか、その地域は釧路のところに一工場、それから網走に一工場、帯広に一工場、それから士別に一工場、そして伊達に一工場、空知に一工場、こういうふうになっております。これがほんとうの二十七年度からの農林省の原案なのです。三十一年度にはどういうふうに変更になりましたか。
  73. 大坪藤市

    ○大坪説明員 昭和二十七年当時に北海道庁から出されました原案につきましてはいろいろ検討されたようでありますが、主として交通等を考えて工場を予定したというような事情であるのでございまして、その後いろいろな農業事情の変化というような点からそういう構想のもとに工場を建てるということは必ずしも合理的じゃないのでなかろうかということで、その北海道の原案は農林省の案としては成立しなかったという格好に相なっておるわけでございます。
  74. 中村時雄

    中村(時)委員 だから聞いておるのです。三十一年度はどういうふうに配分したか聞いておる。何も以前のことを聞いておるのではない。
  75. 大坪藤市

    ○大坪説明員 三十一年度におきましては、実はこれは三十年度の当初のころからと思いますが、まず台湾製糖の方から伊達の方、北海道の南部地帯に一工場建設したいというような申請があったのでございます。それから引き続きまして芝浦精糖から北見、時を同じくいたしまして北連から北見の方に一工場、同時に日甜からも北見の方に一工場、こういう四つの企業体から工場建設の申請が参ったのでございまして、その申請をいろいろと検討いたした結果、まず北見の方に芝浦精糖の工場を建設するということに決定をいたしたのであります。
  76. 中村時雄

    中村(時)委員 私の聞いておるのは三十一年度を聞いておるので、ごまかしつこなしにはっきり言っていただきたい。三十一年度のあなたが局長になる前は、農林省内部において士別、帯広、磯分内こういうふうに分れまして、それによるところの耕地の配分あるいは貨車の積み込みの問題、そういうものを検討してそういうふうに決定しておったはずです。続いて三十二年度におきましては、あなたがおっしゃったような今の問題が二年度分として起ってきたわけです。そこで当初農林省におきましては、地域的に北見を中心にしてこの地域に三工場作ることは非常に不可能であるという強硬な考え方を持っていらっしゃった。この考え方には二つあるわけです。一つは今までの地上作物を地下作物に転換するという北海道農業としての大きな問題を含んだその上に立って自由競争をして、勝手に倒れるものは倒れてもよろしいという考え方一つあります。もう一つは、統制的に本年度はこういうふうにしてみよう、来年度はこうしてみよう、その次はこうしてみようという、その実績に基いた計画的な工場設立の方向もございます。その二つのど・ちらをとられたかといいますと、私は後者をとったと思う。そこでその一地域地域検討に入った、入ってみますと、当初農林省は一地域に限定しようとしておったものが、政治の力か何の力か知りませんけれども、三地域にこれを確定をしてきたわけなんであります。そこでその三地域に確定をしていった原因を私はお尋ねしたいのです。
  77. 大坪藤市

    ○大坪説明員 御承知のように北海道におきましては、テンサイの増産というものは北海道の立地条件からいたしまして、あるいは畜産の振興というような立場から、どうしても強力に推進していかなければならない重要な課題であります。同時に非常な勢いをもちましてこれは生産の増強を来たしておるのであります。昭和二十九年度ぐらいから大体におきましてそろそろ一工場ぐらいは新設せなければならないというような状態になって参りまして、昭和三十年度になりました場合にはもうほどんど既設の三工場がフル操業以上の操業にならざるを得なかったというような事態に相なって参りましたので、一工場の新設というものは非常な緊要な問題となって参ったのでございます。そこで当初は台湾製糖の方から南部の方に申請があったのでございますが、鋼材の値上りその他会社の内部事情によりまして、中止ということになりましたので、もう一方の芝海精糖にこれを許可する、三十二年度、本年度の秋から操業せしめる、こういうことに相なったのでございます。そうこうしておる間にテンサイの増産は、昨年度におきましても約一年間に四千町歩ほどの増加面積に相なっておるのでございまして、なお本年度は昨年の暮れの見込みによりますと、大体六千町歩ぐらいの増加面積を予定しておりましたが、現実には、四月ここの情勢は一挙に八千町歩という情勢に相なって参ったのでございます。そういうような情勢を勘案いたしまして、なお申請いたしております日甜並びに北連の工場を、両方の会社から同時に許可してほしいというような話がありましたが、同時に許可をいたしますことは、これはどうしても増産とマッチしない危険がございますので、一年間ずらすという方針のもとに、まず北連に三十三年度操業開始を目途に許可をする、口甜には三十四年度操業開始を目標に操業を許可する、こういうようなことに決定をいたした次第であります。
  78. 中村時雄

    中村(時)委員 私の聞いているのはこういうことなんです。もっと具体的に言ってあげましょう。三十一年度におきましては帯広に工場をやる、それから磯分内、士別こういうふうに言ったわけであります。そのときの実際の作付面積あるいは生産量は一体どういうふうに踏まれましたか。
  79. 大坪藤市

    ○大坪説明員 三十二年度の作付面積を二万七、千七百六十四町歩、三十三年度の作付面積を三万五百九十町歩、三十四年の作付面積を三万四千二百二十町歩、こういうふうに想定をいたしたのでございます。
  80. 中村時雄

    中村(時)委員 私の聞いているのは三十一年度で、三十一年度のときをもっと具体的に言いましょう。総体的に見るといかにもふえていって増産ができました、だからこれでよろしいというごまかしになりそうです。そこで三十一年度は帯広の方が六千百五十四町歩、それから磯分内の方が七千八百六十七町歩、士別の方が六千八十九町歩、すなわちこのことは何を意味するかというと、一工場で作るテンサイ糖の生産高、それと作付面積とを加味してみると、大体六千町歩内外のものが必要であるという考え方にほかならなかったのであります。あなたも当初局長になられた当時はそういうお考え方であったろうと思うが、現在の工場の見当から見て、一体、一工場どのくらいの作付面積を必要とされておるか。
  81. 大坪藤市

    ○大坪説明員 これは地方によって多少違いますが、平均反収面積を四千斤といたしますと、千トン工場が百二十日間、つまり四カ月間――十月の終りごろから二月一ぱい操業することが、糖分の含有量その他からみて大体理想的とされておりますが、そういうことにいたしますと、一工場当りの需要量が二億万斤ということになるわけであります。一反歩当りの生産量を四千斤といたしますと、大体五千町歩ということに相なるのでございます。五千町歩ありますれば一応の操業はできる。現在におきましては、千トン工場と称せられておりまするが、実際には千八十トンくらいの能力がございます。しかもそれが百四十五日くらい操業しなければならぬというような事情に相なっておるのでございまして、現在は非常に過剰という格好になっております。理想的に申しますれば、四千斤の生産がある地帯であれば、最低は五千町歩でよろしい、こういう格好になっております。
  82. 小枝一雄

    小枝委員長 中村委員に申し上げますが、大臣が参議院の委員会にしばしば出席を要求されておって、時間もきておりますのでなるべく一つ……。
  83. 中村時雄

    中村(時)委員 わかりました。今おっしゃったように、百二十日間にすれば五千町歩になるのですが、実際の能力というものはあなたのおっしゃる通りの百四十日以上持っておるのです。そうすると、六千町歩内外なんです。しかし百歩譲ってあなたの言うように五千町歩内外としてこの三工場の検討をしてみると、この問題のそもそもの発端はこういうことだったと思う。当時農林省は、北海道の北見に工場を作りたいという意見を持って日甜の方と話し合いをした。日甜は当時独占事業をもってこれを行っておったのです。ところが、たまたま日甜の方がそういうことであぐらをかいておったので、河野農林大臣がこれを見て、あの方のことですから、けしからぬじゃないかということになった。そのとき、ちょうど幸い芝浦からの申請があったのでそれに切りかえた。日甜の方はあわを食ったが、競合になって、いろいろ繁雑な問題を起しておる。その日甜に昨年私ども調査に行ったとき――ここにおられる笹山先生も団長として御一緒でしたが、日甜が費用を持ってわれわれを招聘したということが新聞記事に出て問題になったことがあった。日甜に行って、一体生産をしていってどうなんですか、もうかるのですか、損するのですかと端的に聞いてみましたら、決してもうからない、赤字なんだ、そこで自分の工場を下関の方に建てて、それでやっとバランスをとっているということなんです。それでは一項目一項目について御質問しますからということで突き詰めて参りましたら、実際は二割からもうかっております。もうかるはずですよ。テンサイというものは、高いときには自由にもうけなさい、安いときには政府が買いましょうというのですから、損するはずがないのです。独占的に、道庁の一部官僚を掌握して――あるいは代議士もあるかもしれませんが、そういう状態のもとで、絶対自分ができるという自信を持っておった。ところが河野農林大臣は、ああいう性格ですからすぱっとやってしまった。やった結果についてはとやかく申しません。私は一工場が正しかったと思っておった。ところがそういう結果になった。続いて三十三年度に日甜の方の農地の問題が出てきた。農地の問題に対して申請をしておったわけなんですが、その申請にいろいろな疑義がある。すでに手付金を打って買収しているような状態にある。それに農地法の問題もからんでいろんな疑義が出てきたと私は配慮しているが、その処置をどうとっておるか、農地局長にお尋ねしておきたい。
  84. 安田善一郎

    ○安田説明員 工場ができます場合に、田畑に関係がありますから、農地法の農地の転用許可、所有権移転許可の問題が当然出てきます。お尋ねの点、北見の芝浦精糖の許可申請はすでにいたしましたし、北通が斜里に工場を新設したいということについての農地の許可はすでにいたしました。美幌について日甜が工場用に農地を転用したいという所有権移転の申請もつとに出ておりますが、まだ処理をいたしておらない状況であります。
  85. 中村時雄

    中村(時)委員 そういたしますと、大体どのくらいな期日があったら一工場ができますか。今まで宇美それをやっているのだからおわかりでしょう。これは振興局長に伺いたい。
  86. 大坪藤市

    ○大坪説明員 大体一年半かかります。
  87. 中村時雄

    中村(時)委員 芝浦は一体何カ月で許可されましたか。
  88. 大坪藤市

    ○大坪説明員 八月十五日でございますから。大体一年と四カ月半くらいかかりました。
  89. 中村時雄

    中村(時)委員 一年四カ月、あなたの記憶はそれで正しいのですか。農地転用をさしてから工場建設まで一年四ヵ月かかっていますか。
  90. 大坪藤市

    ○大坪説明員 一年二ヶ月半です。
  91. 中村時雄

    中村(時)委員 大体一年前後でできるものなんです。工場というものはやろうと思えば幾らでもでざる。ただし、その時期によりますよ。その時期というものをよく考えて答弁してもらいたい。そこで、今言つたように、北連が三十三年度、日計が四年度、こういうことになってきた。それならそれでよろしいと思う。北連に対して、三十三年度にへれば三十二年度に農地転用許可をする、そういう考え方で進められておって、その結果が北連の農地の転用になって現われた。日甜が三十四年度にやるとすれば、三十三年度に農地転用許可が間に合うと思いますか、思いませんか。
  92. 大坪藤市

    ○大坪説明員 切り詰めて工事を施行しますればもちろん間に合うと思います。一応許可すると言いますか、言葉が非常に工合が悪いのでございますが、これは実は法律上の許可事項、でありませんが、砂糖の買い上げ等の関係がありまして、政府との関係におきましては実質的に許可と同様になりますので便宜許可という言葉を使いたいと思いますが、そういう点から見ますれば、一応方針としてきめました以上、農地に関する要件がそろいますれば許可をしていただくということで差しつかえない、かように考えております。
  93. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、農地局長にお尋ねします。許可したら、今作付をやっております作物はどうなりますか。農地の転用許可をやったらもう農地ではない。そうすると、時間的な問題上を長くとりますと、この農地か延ばさなければならぬということになってくる。これに対して農地局長はどうお考えになりますか。
  94. 安田善一郎

    ○安田説明員 テンサイ糖のことは振興局の所管で農林省としての方針はございますが、テンサイ糖工場の敷地転用許可のことにつきましては、農地法の趣旨を止かすこともまた当然でございまして、農地が他の用途に転用されます場合には、できる限り農地としての利用をするのが結果的にも必要である。農地法もそのように運用するのが効率的である、こういう精神があると思います。その趣旨において許可すべきものと思っております。過去においてもそのようにいたしました。ただその場合、農地局も農林省の一部でございますから、農林省の方針等のいろいろな面から見ましたものには即応するがごとくやりながら、その目的を達することも必要と思っております。簡明に言いかえますと、許可をする場合、今申し上げましたような目的を達すれば、許可の日付等については多少の異同があって、中村先生のおっしゃるような一年ちょっとの期日、その前後でなければならぬということはないと思います。かりにしかしそうでない場合がありましても、ことしで申し上げますと、すでに農地には作付がされ、特にビートも作付され、作付されたものを許可の期日のために収穫まで利用でぎない、こういうことは目的に反しますから、必ず収穫後でなければ、実質的転用をし、工場建設に着工してはいけないというようなことなど付することが必要だと思います。
  95. 中村時雄

    中村(時)委員 付することが必要だということになると、転用はいたしましょう、しかしそこには矛盾があります。作物だけは収穫しなければなりません。そんなむずかしいことせぬでも、作物とってからちゃんと農地転用させたらいいじゃないですか。これは常識ですよ。
  96. 安田善一郎

    ○安田説明員 それはどちらでもいいと思います。
  97. 中村時雄

    中村(時)委員 大臣、これで一点おわかりになったと思います。作物を収催してからでも間に合う。しかもその期日は一年と数ヵ月たっている。だから十分工場の立地条件は整う。今そこで大坪局長なんかからいろいろ御指示を受けられるかもしれないけれども、当然そういうような一つ考え方が出てくると思う。そういう意識的な感情的なものは抜きにして、すべて正常な立場であなたの全うしていく姿を見ていきたいと私たちは思っている。その大臣が、事務当局の言うことをわけムわからぬで、せよということになったら大へんなことになってしまう。そういう点十分の御配慮を願いたい、これが第一点。  次に大坪局長にお尋ねする。少くとも今、あなたは五千町歩とおっしゃった。その五千町歩に今、日甜の考えていらっしゃる士別あるいは磯分内、あるいは北見、帯広、こういうふうに分れてきたわけですが、そのうちで士別の方の耕作面積、作付面積というものは、一体どのくらいにお考えになっていらっしゃいますか。
  98. 大坪藤市

    ○大坪説明員 現在におきましては、士別の工場には北児方面とそれから士別周辺、並びに南の方は函館方面からも集荷いたしております。今後三工場が新設されました場合における士別の集荷地域は、北見方面がそれぞれ芝浦並びに美幌の工場の方に左で参りますので、それを除きました現在の集荷地域がそのまま士別の集荷地域になる、かような格好になっております。
  99. 中村時雄

    中村(時)委員 そうしますと、今、日甜が申請されておりますところの美幌地区を中心として、大体耕作面積は幾らと踏んでいらっしゃいますか。
  100. 大坪藤市

    ○大坪説明員 美幌の集荷区域といたしましては、大体五千五百町歩、こんな見当になるものと想察いたします。
  101. 中村時雄

    中村(時)委員 一体どこからそんな割り出しが出るのですか一具体的に言って下さい。
  102. 大坪藤市

    ○大坪説明員 美幌の工場の集荷区域は美幌町、士別町、陸別町、足寿町、つまり網走郡の美幌町と士別の両村とそれから現在帯広に集荷いたしておりまする地域の約三分の一ぐらいが美幌の工場の集荷地域になっておる、かようなことになっております。
  103. 中村時雄

    中村(時)委員 ごまかしなしにはっきり言ってあげましょう。その中心になるところは石狩です。空知も含んでくるでしょう。続いて上川の一部、十勝の一部、網走の一部、そういうふうになってくるでしょう。あなたの御回答からすると……。
  104. 大坪藤市

    ○大坪説明員 そういうふうな格好にはなりません。
  105. 中村時雄

    中村(時)委員 じゃどうなります。
  106. 大坪藤市

    ○大坪説明員 申し上げますと、士別の工場の地域は、支庁管内といたしますと、九支庁管内になるのでございます。これは大体現在の集荷地域と同じでございます。美幌の集荷地域は網走郡の美幌町と津別西それから十勝の北部ということになります。
  107. 中村時雄

    中村(時)委員 今お話になりました士別にも工場があります。帯広にもある。帯広の地域から十勝の方の一部にひっかかるわけですよ。そうすると帯広の地域の作付面積からいって、あるいは北見の工場ができて、北見の作付面積からいって、斜里の工場ができて、斜里の工場の作付面積からいって、残ってくる作付面積というものは、私はどんなに見積ったっておそらく四千町歩以上は出ないと見ておる。そうするとこの問題ははるか西の方に伸びて今申しました上川や空知やそういうところから持ってこなければならぬという結果が私は出てくると思う。数量通りにやろうと思えば当然そういうところが出てくる。あなたの言うように百二十一日間という期日にしても……。それをあなたは一体どう思われます。
  108. 大坪藤市

    ○大坪説明員 現在士別の工場の集荷区域は、三工場ができましてもその集荷地域にはほとんど変更ございません。変更がありまするのは主として帯広の工場でございます。帯広の工場は十勝のほとんど全部をその集荷区域にしておりまするが、そのうち半分を美幌の工場と磯分内の工場に分けるということになります。従ってその足りない分を現在士別の工場に運んでおりまする空知地方から帯広の工場に持ってくる、こういうような格好になって参るわけでございます。
  109. 中村時雄

    中村(時)委員 空知の地区といったら、あなた地図をごらんになっているでしょう。大臣その地図をよく見て下さい。空知の地区というのは帯広を越えてまだ西の方です。西の方に一つあって、帯広があって、それから磯分内がある。その三角形の項点のところに美幌があるわけです。その美幌に工場を作って、そのすぐ横に今度は北見があり、東の方に斜里があるわけです。そこで実際には帯広地域で十勝の全体をやっておったものを半分ぶつ切らなければならぬ。しかもぶつ切っても足らぬから、はるか西に伸びていって空知の方までとってこなければならぬ。こういう不便な状況になってくる。そうなってきました場合に、その輸送費なんか大へんなものになると思う。一体これはどうお考えになりますか。しかも先ほどいった畜産の問題とからみ合せまして、これからだんだん酪農という問題が出てくるわけなんですが、その畜産の問題とからみ合せまして、そのような遠距離間の輸送を当然いいことだと思われるか、悪いことだと思われるか、あるいはまだほかに方針があるかないか、そういう点を農林大臣にお聞きしたい。
  110. 井出一太郎

    井出国務大臣 客観的に見ますと、ビート生産地域というものが将来においては再配分をされて、そうして工場の立地条件とにらみ合せてコンバインすべきだと私は思うのであります。過渡的には今御指摘のございますような輸送面における遠距離輸送、交錯輸送というふうなものも避けられないかもしれませんが、しかし一方非常に増産意欲は盛り上っておりますから、そういうふな点で少しく時間をかせばこういう問題は適宜に按配され得る可能性があろうと思っております。
  111. 中村時雄

    中村(時)委員 時間が立てばなお困るから言っておるんです。時間がたってこれが助かるものなら言うことはない。私は将来に禍根を残すから言うのです。地図が各委員におわたりになっていないからおわかりにくいと思うのですが、わりに今伊達のところに作られるならば、その輸送経路というものはうんと変ってくる。その輸送経路あるいは輸送運賃というものは、たとえば現在三十一年度の農林省の原案でいきますと四百十七円かかります。ところが今言ったような方法の配分を伊達の方にして集荷区域を分けていきますと、二百九十六円です。それだけ違いがあるのです。にもかかわらず、そういうところに固執するという姿、私はそこに非常に疑義を持ってくる。だからそういうことでなくして、ほんとうな正常な立場からそういう御指導を願う。あるいは農地の問題にいたしましても、もう済んだことは済んだことです。だから三工場を認めるのもけっこうです。競合させるのもいいでしょう。私は無理だろうと思うのですけれども、行政上あるいは政治的ないろいろな観点から、そういうような結論を得たなら得たでけっこうでありますから、少くともあなたの良心に基いて、今の作付の終るあとであるから、三十四年度にやるならば三十三年度で間に合うから、そういうふうな御勘案を願うとか、あるいはまたもう一歩進んでいけば、根本的な一つの方針の打ち立て方を――まあ幸いにして振興局長もなかなか頭もいいようですから、十分な御検討を願えればそういう判断も打ち立てられるだろうと思う。そういうふうなお考え方を今十分御勘案願いたいが、これでおわかりだろうと思うのです。あなたが無理に政治的な立場に屈するのでなくて、正常な立場でいいのです。私は今は三工場なら三工場でいいと思う。そのかわりに期日がある。三十二年度のものは三十一年度、三十三年度に許可するものは三十二年度、三十四年度に許可するものは三十三年度、そういうふうにしてきっちりとお考えを願って、そうして風波の起らないようにするのが最も御賢明ではないのですか、いかがでしょうか。
  112. 井出一太郎

    井出国務大臣 北海道におけるテンサイの増産態勢は非常な勢いで進んでおりますので、これに対して工場の適正配置をしなければならぬ、こういう基本的な考え方の上に立ちますときに、あるいはただいまの構想が北の方に集中しておる、こういう御指摘でございましょうが、将来私は南も当然考えなければならぬ、そうして再配分をしなければならぬと思いますが、私の承知しておるところでは、北が立地条件上すぐれてもおり、同時に非常な勢いで増産熱が高まっておりますから、今回の計画でも年次別に勘案をいたしますと、まず適当ではなかろうか。こう存じておりますので、今御指摘の点等を十分考量しつつ、行政的に適当な措置を講じたい、こう存じております。
  113. 中村時雄

    中村(時)委員 今言ったように一年間でやれるし、今は作付をやっているのだし、その結果において御勘案願えるかどうか。工場許可の問題です。
  114. 井出一太郎

    井出国務大臣 それらは行政上の問題でございまして、いろいろな条件等を勘案して適切に配分いたしたいと考えます。
  115. 中村時雄

    中村(時)委員 私は一応信じてもいいのですけれども、くどいようですが申し上げておきます。適切にといってもはっきりわかっているのです。農地局長もはっきりおっしゃっている。あなたがいろいろ力に屈するようなことのないようにという注意を喚起しているのです。そういうことはないと思いますが、しかしある面では農林大臣がという線もあるかもしれぬ。ところが今の実情がおわかりだろうと思う。実情がわかったら、できる範囲内でやっていただく。なぜならば、以前日甜以外にはテンサイ糖というものはなかった。だから農林省の係官なんかもほとんど日甜以外のことはわからない。わからないからひもがついてしまう。ひもがっくと親類関係になるということが全購連にも現われましたけれども、そういうようなものが出てくるのです。そこでそういうふうな状態がついにはいろいろな問題を起していくのじゃないかという疑義を持つ。あなたほどの良心的な方がそういう中に巻き込まれないように、御注意を喚起しているだけです。それだけに今のところははっきりしておいていただきたい。たとえば事務当局は、今言ったような工場があるのだから、おそらく一つのひもがついてきている。そこですぐにでもやりたいという動き方が活発になってくるに違いない。それをあなたが自分が率先して、これをやりなさいというようなことはおそらくないと思いますが、しつこいようだけれどもお聞きしておきたい。
  116. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいまるる御指摘のありましたような線を考量しつつ、その点はおまかせをいただきたいと思います。
  117. 川俣清音

    川俣委員 関連して大臣一つお尋ねしたいのです。日本のテンサイ糖、特に北海道のテンサイ糖はかなり歴史も古いのであります。十勝の清水に明治製糖が単物を持ちまして、当時ドイツ人五家族を連れて参りまして、テンサイの栽培を試みたのであります。当時から今日でも一番問題になりますのは、一体テンサイ糖の本質からいいまして、大体四ヵ月ないし五ヵ月の操業度なんです。そこで四ヵ月ないし五ヵ月の操業度の工場というものは採算上成立しないわけです。四ヵ月ないし五ヵ月月として操業度を見ますと、これは採算が成り立つのですが、固定資産をかけまする工場としては、四ヵ月とかせいせい五ヵ月の操業では経営が成り立たないというところに、歴史が古くしてなお発展しなかった理由があると私どもは見ておる。そこで一体どうしてこれほど盛んになったかといいますると、おそらく製糖工場がビートにたよらないで、他の原糖をも用いましてテンサイ糖以外の操業をするというところから工場が起ってきたと思うのです。そのことは原糖が割当にならなければテンサイ糖だけではなかなか工場の進出が試みられなかったのではないかと思う。そういう点を頭に入れながら問題を見ますと、私はこういう考え方を実は持っておる。テンサイ糖自体で操業のできるようにしてやることが北海道のテンサイ糖工業を発展させるゆえんだが、テンサイ糖に便乗しながら、原糖の輸入を仰いでテンサイ糖をやるというのは、最後には邪道になるのではないか。そこでむしろ工場を少くして、分工場と申しますか、あるいは簡易工場等を持ちまして、簡易工場から上ってくるものを親工場が生産をするということによりまして、操業日数がふえてくる。こういう方向をとるべきではないか、こういうのでありますけれども、今の糖業界はこれをがえんじない。何かというと輸入原糖にたよる方が簡易であると同時に採算が合うというような考え方で、テンサイ糖だけでやっていこうというよりも、それだけよりも、むしろテンサイ糖に便乗いて尿糖の割当を受けるという考え方の方が強いのじゃないか。もしもこれが一工場であり、この一工場というのは日甜の一工場という意味じゃないのですが、工場数が少くて、それに付属の簡易工場を持ちまして糖分の低下をそこでささえながら――輸送もまた御承知通りなま身のテンサイ糖は輸送費が非常にかかるのであります。北海道自体が交通網が十分なものでございませんので、これらの交通網の整備の充実しておりません地帯に、テンサイ糖の栽培が行われるのでありますから、将来の交通網の整備、こういうものとかみ合せていかなければならない点から考えましても、分工場と申しますか、簡易工場を幾つか持ちまして、そこで成分が保護されて、しかも転身になりまして本工場に輸送されるということが輸送の険路を打開するゆえんでありますると同時に、年間操業度が高まっていくということでないか、こういうふうに考えて、当時農林省へ進言したのでありますけれども、それに対しましては業界が、そういうことではやれないということで幾つかの工場を設置することになりましたが、この点について私はもう一度検討してみる必要があるのではないか。すでに工場を許可したのだからして、もうおそい、こう言われるかもしれませんが、これは日本の将来の割当原糖というものについて、なお今後とも永久にこの原糖の割当の利益というものが果して持続できるかどうかということもこれは考えなければならない。そこで私はなおこの点を提起しておきたいのですが、大臣いかがでしょう。
  118. 井出一太郎

    井出国務大臣 今、川俣さんの申されたテンサイ糖に対する基本的な考え方というものについては、私も非常に同感の点が少くございません。九五%も国外から輸入をしておるというこの砂糖のあり方については、やはり国内において自給をするという方向を強く考えなければならぬと思うのであります。その場合、工場配置というふうな点について、ただいま一つ提案を伺ったわけでありますが、言うなれば一つの中間工場的な御構想のようでございますが、私の承知しておる範囲におきましては、テンサイ糖工業の一つの特質から申しまして、やはり一つの一貫作業のできまする大きな施設を必要とするというふうに私は承知をしておるのでありますが、これは北海道のみならず、将来私は内地においてもテンサイ糖問題が起ると思うのであります。そういう場合、やはり一つ考え方としては研究問題だと思いますが、ただいまは私が今申し上げたように考えております。
  119. 川俣清音

    川俣委員 もう一点だけ。それは一貫作業ということは一番能率が上ることなんです。しかし一年のうちの四ヵ月か五ヵ月ですね。一貫作業が一年続けられるならこれは理想的である、その通りですが、それが四ヵ月か五ヵ月なんです。それでは一貫作業が一番能率的であるというようなことは言えない。四ヵ月、五ヵ月のその期間においては確かに能率的であるかもしれませんが、一年を通算いたしますると必ずしも能率的だとは言えない。むしろ簡易工場を持ちまして、糖分を保有して、乾燥していくというような簡易工場を持つことの方がより大きな本工場としての能率的な運営ではないか。今のところは原糖にたよって、むしろその余剰というよりも、原糖の割当を受けて、他の操業時間をそちらに向け得られるという希望があればこそ、それは一貫作業だ、こういう主張ではないかと私は思う。これは農業政策から考えてみますると、今後栽培地域が一部に偏在をしてきつつありまするのを、広範な地域にしていくということになれば、それに付帯して工場が生まれていくということよりも、むしろ地方地方に分工場と申しますか、簡易工場、中間工場ができていくということの方が農業政策的には私は好ましいのじゃないか。私はむしろ農業政策的に見て本工場のあり方を改善したい。むしろ利権的な本工場の運動に農林省が足を踏み込まれることよりも、やはり農業政策の面からこれを見ていく、指導していくという立場をとるべきじゃないか、こういう意味で申し上げたのです。
  120. 井出一太郎

    井出国務大臣 一つのサゼスチョンとして十分傾聴いたしておきます。
  121. 小枝一雄

    小枝委員長 先ほどの中村委員の御発言中不穏当な点がありましたら、委員長において適当に処置いたしたいと思います。
  122. 中村時雄

    中村(時)委員 ちょっと待って下さい。不穏当という言葉を使われるのだったら異議を申し込みます。私は不穏当なしと認めます。不穏当という言葉を使われるなら私はどこまでもやりますよ。その点ははっきりしておいて下さい。
  123. 小枝一雄

    小枝委員長 適当でない表現がありましたら、委員長において速記録を取り調べまして善処いたしたいと思いますから、さよう御了承願います。
  124. 中村時雄

    中村(時)委員 それから最後に食糧の関係で一点注意しておきたいことがあります。それは再製精々々々と言ってあなた方はそれに肩を持ってこういうばかげた割当をやりましたが、これは一つ衛生的に見た場合の再製糖ということをよく考えてもらいたい。これは食品の検査も通らない工場がたくさんあると私は思います。そういうことを知っておりながら、あえてこういう割当をしたところに問題があるとも言いたいのでありますが、一応これくらいできようはとどめておきますが、その点は一つ今後十分に注意してもらいたい。できれば食品検査をしてもらいたい、このことは衛生上非常にたくさん問題があるということが一点。  第二点は、あなた方には今澱粉の問題、いろいろな問題に関連して、結晶のブドウ糖を作ろうというような考え方もある。これはげっこうですが、しかしその前にやるべき事柄がある。たとえば衛生上から見た場合の、ズルチンというようなものは、当然禁止ができる。諸外国でも作っておるところなんかありはしない。それだけても十万トン浮いてくる。十万トン浮けば中小企業者は喜んでくれるのです。そういう問題もあるということに対してあなた自身のお考え方一つ聞いておきたい。
  125. 斎藤誠

    斎藤説明員 ただいま再製糖問題につきまして、その製品についての衛生上の御指摘がございましたが、今お話になりましたような点は今後も十分注意していかなければならぬし、われわれとしても厚生省方面と連絡をとりまして十分注意して参りたいと思います。
  126. 中村時雄

    中村(時)委員 だからそれを聞いただけでも、意識のある者だったら、再製糖をそんな危ないところに持ってきて余分に水増しができるというようなことはおかしいじゃないかというところにすぐくるんですよ。今後は注意してもらいたい。  それからもう一つ最後に、実需者割当の問題でありますが、あなたは賢明でありますし人柄もよい方でありますが、まだ十分な調査ができておらない。おそらく実需者というものは、ある意味で言ったら、大半の者は実績でほんとうに粗糖砂糖として自分のところで使っておるのではない。もう一斤幾らということでもうかるから腹庁肥やしておる者がある。その一つの例として、この前資料の要求をいたしましたが、実需者割当について全部出してくれと言ったときに、あなた方は必死になって食いとめた。そのときの害当は一万トンであったが、今公表しておるものは幾らかというと一万五千トンである。その間に農林省へはどなり込んでくる者がある。いろいろな者がやってきた。これはあなたは経験しておるはずです。そういうようなことはすっきりしておいてもらいたい。それがなぜ一万五千トンになって公表したかと申しますと、外国からの砂糖が百五十ドルで高い。そこで業者に持っていっても製糖しようとしない。しないから実際はどうかというと、半分くらいしか今のところは請け負っておらない。半分は宙に浮いておる。だから私は言うのです。ここで精糖工業会のような財界がばっと買い占めたら実績になってしまう。そうすると次に実績で打たれた場合には、ばたばたと参ってしまう。そこで均等割のことを言ったのですから、この辺はよくお含みを願いたい、このように考えておりますから、その御答弁で私の質問は終ります。
  127. 斎藤誠

    斎藤説明員 今の実需者問題につきましては、われわれといたしましても、その運用につきましていろいろ困難な問題がありますし、また検討すべき点もございますので、運用につきましては十分検討を加えねばならないと考えておりますが、その問題と今の中小企業との問題でございますが、それはそれとして別問題といたしまして、やはり中小企業中小企業の問題としても十分考えて参りたいと思っております。
  128. 川俣清音

    川俣委員 関連して一点だけ。先ほど大臣意見を述べながら答弁を求めたのでございますが、これに関連して局長から御答弁を願いたい。なお斎藤部長からもあわせて一つお願いします。
  129. 大坪藤市

    ○大坪説明員 大体糖分の最も含有量の高い期間に製糖するという建前からいきますと、先生のお話のように、四ヵ月あるいは四ヵ月半ということになるわけであります。従ってあとの大部分の期間工場は製糖を中止するということになりますので、それがコスト高になる。これを解消する方法といたしまして、中間的な工場をその配下に置いて、そうしてそれで中間加工をやって、それを原料として年間操業をする、こういう御意見はまことにごもっともかと思うのでございます。そのどちらをとった方がいいかという問題は、今後は一つ十分に研究を要する問題だと思います。ただ現実的な問題といたしまして、現在までは一応原料がそのまま精製糖に至るまで一貫作業をやった方がいいという格好に相なっておるようでありますが、これを検討するということにいたしまして、具体的には今後そういう問題が技術的に起きてくるかと思うのであります。と申しますのは、これは数カ年を要すると思いますが、実は今東北六県の方で試験研究をやっておりますが、その試験研究の結果、大体各農家がおおむね一万二、三千円の収穫が、平常の農家であればテンサイで生産し得るという試験の見通しがっきますれば、東北の方にもこれを実際的に実行いたして指導いたして参りたいと思っておるのでございますが、その場合に一挙に、先ほど申し上げましたように、五千町歩の面積を確保するということは困難かと思います。二十何億も要るような工場、しかも一ぺんに五千町歩の面積は確保できませんから、そういう場合には百町歩あるいは二百町歩を対象といたしました中間工場というものが現実の問題として起きてくるのではないか、かように考えておるのでございます。その点は十分に今後研究いたしていきたい、かように考えております。
  130. 斎藤誠

    斎藤説明員 私の所管でございませんが、これは振興局長の申された通りでございます。
  131. 川俣清音

    川俣委員 今の局長の答弁は製糖屋の答弁なんです。農林省としてはむしろ農業政策の面から検討していくという、一貫作業が成り立つか成り立たないか、それが利益であるか利益でないかということよりも、これは大正年間に北海道に工場ができた、栽培が始まったときから北海道に本工場を作るという考え方でないのです。中間工場を作って、-今日のような発展ができるとは予想しなかった。中間工場を作り、従って本工場よりもむしろ中間工場の研究の歴史の方が古いのです。ての点からいって、北海道に急にあんな大きな工場を三つ作るとかいうことよりも、本来は農林省としては、一体栽培面積、栽培地帯からいって、初めから何千町歩というような地帯ができるわけがないのであります。やはり百町歩、二百町歩、こういうものが各地に育成されていく、こういう指導をしていかなければならない、これが農業指導だと思う。従ってその面からいって、それらのものを消化できることを先に考えていくというこでなければ、これは農業政策でないのです。どうも局長のやつは逆なんです。別にこれ以上申し上げませんから、逆だということだけ考えて、農業政策の上からいかにあるべきかということを一つ検討してほしいと思います。
  132. 小枝一雄

    小枝委員長 この際暫時休憩いたします。午後は二時半から再開いたします。    午後一時五十七分休憩      ――――◇―――――    午後三時一分開議
  133. 小枝一雄

    小枝委員長 午前に引き続き会議を開きます。  水産に関する問題について調査を進めます。質疑通告がありますのでこれを許します。赤路友藏君。
  134. 赤路友藏

    赤路委員 外務省の方は、外務大臣も政務次官も御不在のようでありますので、欧亜局長のお出席を求めましたが、欧亜局長は、何か非常に時間をお急ぎのようでありますので、まず外務省関係についてお尋ねをいたします。  第一点は日韓問題でありますが、御承知通り昨日、私の方の淺沼、松岡両氏が岸総理にお会いして、この日韓問題についての話し合いをしたが、岸総理は、総理が訪米する前までに解決をつけたい、こういうようなお話である。このことは、日韓問題についてもまずその前提である抑留者の送還問題、これはほぼ最終的な点にきたものであると理解するわけなんです。そういう段階でありますので、これの経過などについては今ここでお聞きしようとは思いません。ただ、外務大臣も政務次官もおられませんので、欧亜局長はぜひ当委員会における考え方、この点を一つ伝言しておいていただきたい。一応外務省当局の今日までの努力を信頼いたします。そうして岸総理が言われた、岸総理が訪米するまでに解決をつけるということにわれわれは非常に大きな期待をかける。御承知通り、昨年の暮れ石橋総理は、年内に必ず帰るようにするということを言明されておる。にもかかわらず、今日まで六ヵ月の間帰ってこられなかった。再び留守家族の諸君に対して落胆せしめるようなことがあってはならぬ、こう考える。一切をかけて、この際岸総理が訪米する前に本問題の解決をつけるということ、このことを強く委員会は要望しておったということを御伝言願いたいのであります。これについては答弁を求めません。  次に御質問申し上げたいのは、昭和二十九年十一月二十二日、東シナ海において山田丸が撃沈されたのでありますが、この山田丸が撃沈された後における台湾政府との交渉の経過を簡単に御説明願いたい。
  135. 金山政英

    ○金山説明員 本日はアジア局長が参れませんで、ここにアジア局課長が来ておりますので、課長に代理にお答えをいたさせたいと思います。
  136. 菅沼潔

    ○菅沼説明員 ただいま御質問がございました山田丸の撃沈の問題でありますが、主管がアジア局の第二課長の主管になっておりまして、私はこの点につきまして、はなはだ申しわけございませんけれどもお答えできる立場にありませんので、主管の課長の方に連絡いたしたいと思います。
  137. 赤路友藏

    赤路委員 どうも連絡が悪かったのかこれも主管課長でないとおわかりにならないようで、それではこの問題についてはこれ以上申し上げてみたところで納得のいくような御答弁がないと思います。ただ、それでは外務省の方へ申し上げておきますから主管課の方へ言っておいていただきたいのですが、昭和二十九年にこの撃沈問題が起ってから今日まで私の調査によりますと、外務省当局の方も相当台湾政府の方と交渉をされておるようであります。ただしいまだに解決が見出されていない。解決が見出されないままで放置しておるというわけじゃないでしょうが、非常に長引いておるということ、なぜこれを申し上げるかといいますと、この山田丸では撃沈されて二名の者が死んでおるわけです。そうすると、このなくなった人に対する措置というものが当然私はなされなければならぬと思う。これは台湾が撃沈したものであることはほぼ確実だと私たちは考える。当時の新聞情報でも台湾政府みずからが、二隻の船を撃沈したということを発表しておる。今になってとやかく言うべき筋合いのものではないと私は思う。そうしますと、この二名の遺家族の諸君に対する補償なりあるいはまた船を沈められた船主に対する補償なりということが当然のものとして生まれてくる。二十九年以来今日まで解決がつかぬからというのでこれらの処置がとられていないということになれば、これは一体どうなるのかということです。政府は、交渉しております、しかし向うの方ではとやかく言って一向解決がつきませんと、これはまあいいとします。なお交渉を続けるでしょう。しかし撃沈された船主の人たちなりあるいはこの遺家族の諸君が生活にも困っておるという状態を、それをそのまま放置しておくという手はないと思う。この点は一つ外務省の係の方へよく言っておいていただいて、直ちにこれに対する対策を立てていただきたいと思う。  そこで、水産庁の方へお尋ねいたしますが、これに対して何か国内的な措置をとっておられますか。
  138. 岡井正男

    ○岡井説明員 国内措置といえば予算関係でありましょうが、この経緯については生産部長の方からお答えさせた方が的確だと思いますから……。
  139. 坂村吉正

    ○坂村説明員 わたしからかわりまして答え申し上げます。いろいろ外務省と国府当局との話し合いの関係もございまして、そういう点がはっきりしないのでございますが、とりあえずそのなくなった方に対しましては、一応政府といたしましては三十年十二月に一人当り七万五千円の内払金を予備費に組みまして内払いとしてやっております。一応政府として打ちました手はこれだけでございまして、あとはその後の交渉を待ってというふうに考えております。そのほか今のところの調査では、船員保険の関係で、葬祭料の支給、それから遺族の年金は船員保険の方の手続で出ております。そういうわけでございます。
  140. 赤路友藏

    赤路委員 今の御答弁によりますと、とりあえず内払いとして昨年死亡者に対しては一人当り七万五千円、他は船員保険の方でそれぞれ処置しておる、船員保険の方では、死亡された場合は法によりますと三十六ヵ月分、それから葬祭料が二ヵ月分、あとは遺族の年金ということになりましょうが、これはおよそこの程度のもので、たくさんな家族を持っておるところではやっていけないと思うのであります。困窮の状態にあることは事実なんです。交渉が進まないのだから仕方がないのだというのは、あまりにも温情がなさ過ぎると私は考える。だから七万五千円内払しておるのだから、あとは船員保険の方でやっておるのだからこれでいいんだというような考え方で放置されては困る。これは普通のケースのものじゃない。  それだけに外務省とよく御相談願って、これらの人については万全の策をとっていただきたい、このことを希望いたしておきます。それから次に外務省にお尋ねいたしますが、三十年の七月二十二日高知の室戸の第三繁栄丸がインドネシアで抑留されておる、これはおわかりになりますか。
  141. 菅沼潔

    ○菅沼説明員 これはアジア三課長の主管でございまして、きょうは出席しておりません。
  142. 赤路友藏

    赤路委員 それでは、これも一つ局長に、伝言ばかりになってどうも困るのだが、このケースは第三繁栄丸がインドネシアの沖を航行しておるときに、インドネシアの遭難があった、これはインドネシア人が七名のようで、男が六名、女が一名、これを救助した。救助してすぐその旨を高知漁港の無電を通じて海上保安庁の方に連絡をした、海上保安庁の方から外務省にこれが連絡されておる。救助したときに、このインドネシアの遭難した諸君は体力が非常に弱っておる、できるだけ早くもよりの港へ着けなければいけないということで、海上保安庁を通じて連絡をしたわけなんです。そうして港へ着いて、そのまま救助した諸君をインドネシアの方へ渡したところが七月二十四日に武裁警官が七名、軍人が二名、これだけの人が来て、そうして第三繁栄丸を調べてそのまま抑留しておる。かりにも遭難しておるインドネシアの人を救助して、わざわざインドネシアのもよりの港へ着けて、そうして抑留されておるというに至っては、もう話にならない、言語道断な措置だと思う。これはあなたは係でないというからわからないが、実際べらぼうな話だ。しかも私の言いたいことは、外務省は現地のどこへ一体連絡したのか、だれに連絡したのか、ずっと調べてみたのです。二十四日引き渡したあとに武裁警官等がやってきてどうも出港できない模様である、渡してしまえば用事はないのですからすぐ帰りたいのにそれを出港せしめない、こういう連絡があった。だからその連絡は海上保安庁から外務省に行っておるわけなのです。依然として七月の二十四日以降抑留したままで放置しておる。外務省の方では八月十八日に初めてジャカルタの領事が現地に交渉に行っておるのです。この間、七月二十四日から八月十八日まで二十六日間、外務省は一体何をしていたか、怠慢もはなはだしい。しかも普通のケースじゃない、領海侵犯をしたとかあるいは密猟をやったとかいうことじゃないのです。インドネシアの人民が遭難しておるのを救って連れていって、それで抑留されておるなんてばかなことを二十六日間もほっておくなんというのは、外務省は一体何をしておるのか。しかもこの問題については全然あと何もない、これはこのままほっておけない。水産庁長官もおわかりだと思う。国内的な措置一つもとっていないはずなのです。これは一体どこの責任になるか私は知らぬ。おそらく外務省の方ではこの問題については、それはけしからぬ、それはインドネシアの方の責任だからインドネシアから補償させなければいかぬとおっしゃるだろう、それも山田丸と同じですよ。相当な時日を要する。この間業者の受けた損失、船員の受けた損失というものを一体どうする。普通のケースじゃない、人道上に立ってやったものがこういう不当な取扱いを受けているのです。国としては相当考えてもらわなければならない。水産庁当局も、かりにも漁業行政をとっていく上においては、これらの者に対する措置は考えなければならない。何も言うてこないのだからほっておくというようなことであってはならぬ。特にきょう大蔵省の大村さんに来ていただいたのも、こういうケースがあるということなのです。これは政府としては当然何らかの措置をとってやる必要がある。これはもう答弁求めたって答弁にならぬから、答弁は求めません。言いっぱなしです。  それで次にお尋ねいたしますが、先般沿海州で操業しておった日本の漁船が退去命令を受けた。その後この問題についての交渉の経過、これを簡単に御説明願いたい。
  143. 金山政英

    ○金山説明員 この御質問にお答えいたします。沿海州の試験操業中の漁船がソ連の哨戒艇によって追い帰されたという事件が起りましたので、さっそく門脇大使に訓令いたしまして厳重ソ連政府に抗議をいたしました。それに対するソ連側の回答が来ているわけであります。その回答の内容は、要するに、追い帰した事実はないんだ。自分の方ではあそこに機雷があるということを知っているので、漁船のために危険であるから帰るように勧告したのだということを申しております。それに対して門脇大使は、戦後十一年にもなって機雷が存在していること自身が非常に違法なことである、それでそこに機雷があることに籍口してわが公海における漁業を妨害するごときことは絶対に容認できないということを強く申し一おります。それで、それにつけ加えまして門脇大使は、そういうわけであるので、将来わが方が出漁するような場合にはそういう妨害は絶対にせぬようにということを強く申し入れてあります。現在の状況はその程度であります。
  144. 赤路友藏

    赤路委員 そうすると、機雷がなお残存しておるから危険であるので、操業をやめて引き返せ、こういうふうに言った、これが向うの言い分でしょう。一応よくわかりました。そこで問題は、そうなって参りますと、機雷があるかないかということが一つ問題だろうと思いますが、機雷の掃海についてはソ連側に交渉したことはありますか。
  145. 金山政英

    ○金山説明員 機雷があるということについては、ソ連製の機雷がときどき流れてくるものですから、そういう事実は一応わかっておりましたが、そういうところに機雷があるということをソ連が知りながら掃海をしないでいるということは、初めてわかった次第であります。ですから、当方においても、それでは機雷をこっちでもって一緒に掃海してやろうかというようなことも1民間からはそういう陳情も来ております。しかしそういうことを果して日本側がやるべきものかどうかはまだ考慮を要しますので、何ら政府としては決定しておりません。
  146. 赤路友藏

    赤路委員 わかりました。問題はやはり機雷の掃海だと思う。これは何も日本側がやる必要はないと思う。当然ソ連側においてやるべきだと思う。特に日ソ間の長い間の懸案であった国交が回復された、しかも今日こういうような問題が起るということは、せっかく国交回復されたのにまた変な感情やしこりが残ることはおもしろくないと思う。外務省の方でも、この点については直ちに機雷掃海をやるということ、そうして公海における航海はやはり確保していくという点で強く御交渉を願いたいと思う。この点特に希望いたしておきます。  次に樺太における刺し網漁船の拿捕事件ですが、これはどういうふうになっておるか。
  147. 金山政英

    ○金山説明員 亜庭湾においてわが方の漁船が大量にソ連側によって拿捕されまして、その一部は帰されましたが、当方の調べによりますと、漁船の十五隻と乗組員の十五人が先方に抑留されたという事実が水産庁の調査によって明らかになりましたので、さっそく門脇大使に訓令いたしまして、厳重に抗議を申し入れました。特にこの問題はたび重ななるソ連側のわが方漁船の拿捕でありますので、門脇大使は問題を非常に重視して、特にグロムイコ外務大臣に面接談判するためにグロムイコの帰りを待っておりましたために、六月の三日に申し入れております。これに対してはまだ何の返事もございません。しかしグロムイコは門脇大使の抗議に対して、理由のないものを拿捕するはずがないというようなことを簡単に答えております。現状はそうでございます。
  148. 岡井正男

    ○岡井説明員 おそらくニシンの刺し網漁船がソ連の国内法に照らしてソ連の領海侵犯に当るというようなことで拿捕したのではないか、こういうふうに推察はできますが、しかしあくまでも推察でありますので、外務省を通じて、ただいま局長からお答えしたように、門脇大使から厳重抗議してもらうように手配した次第であります。
  149. 赤路友藏

    赤路委員 今局長の方の御説明によりますと、ソ連側の方では理由がないのに拿捕しないから何か理由があるのだろう、こういうことでソ連の方もまだ明確でないようですが、今後やはりそれに対する折衝は十分継続していただけると思う。  そこで水産庁の長官の今のお話ですが、なかなか厄介なケースだと思う。亜庭湾という湾内における操業――領海に対する考え方は今それぞれの国で違っております。この沿岸における領海線の引き方というものは、湾内であった場合はどうなるかということは、これはそれぞれ見解があると思う。湾内操業の場合はよほど注意しなければいけない。水産庁の方でも十分これらの点を考えて、出漁漁船に対しては注意を喚起するようにしておいていただきたい。外務省の方としては、これに対しては強硬にソ連側の方と交渉を続けていただきたい。  次にお尋ねするのは、これは前々から非常に問題になって常に陳情等もあるわけなんですが、例の南千島、特に歯舞、色丹における近海漁業の点ですが、これについて何か外務省はソ連と交渉したようなあれはありますか。
  150. 金山政英

    ○金山説明員 歯舞、色丹並びに南千島の近海漁業は北海道の漁民の生活問題でありますので、従来もたびたび陳情が来ております。政府といたしましてはもっともな要求であると思いますので、これも去る六月三日の門脇大使のグロムイコとの会見において申し入れてございます。この問題は、領土問題とも関連して非常な機微な問題であるとは思いますが、でき得る限り漁民の要望を達成するように努力いたしたいと思っております。
  151. 赤路友藏

    赤路委員 今局長の御答弁のように、領土問題と関連してくるので、非常に微妙だと思います。ただ本問題については局長もおっしゃる通り、北海道のあの沿岸の零細な漁民の生活のやはり根源をなしておるものだといっても過言ではないので、それだけに非常に微妙ではあるが、今の段階では領土問題と一応切り離して御交渉を願いたいと思う。相手のあることですから、なかなかこちらの思うようにはいかないだろうと思いますが、これは相当ねばり強く、強硬にお話し合いを願いたいと思います。これを御要望申し上げておきます。  それから次に小笠原諸島における米軍による日本漁船の拿捕事件でありますが、これはおわかりになりますか。その前に水産庁へちょっとお尋ねいたします。今日まで小笠原諸島で米軍に拿捕された船の総数、それからその罪省の主たるもの、罰金刑はどの程度になっているのか、簡単に御説明願いたいと思います。
  152. 坂村吉正

    ○坂村説明員 昭和二十八年以降でございますが、合計で十三隻、そのうちカツオ・マグロ漁船が十隻でございます。罰金刑、罪名は一々申し上げましょうか。一々じゃなくて、大体どういうものだという……。
  153. 赤路友藏

    赤路委員 それでけっこうです。
  154. 坂村吉正

    ○坂村説明員 大体被疑は領海侵犯、それから不法漁撈というものが大部分でございまして、このほかに不法上陸あるいは密貿易、それからスパイというようなものが一件ございますが、大体そういうような罪名でございまして、罰金は最高四千ドルから最低百七十ドルになっております。大部分が千ドル、二千ドル程度のものでございます。
  155. 赤路友藏

    赤路委員 そこでこの問題は外務省の方へお尋ねしたいと思います。今水産庁から御説明のあったように、昭和二十八年以降十三隻に及んでおるわけです。しかも罰金の最高が四千ドル、これは相当多額なものだ。もちろん小笠原諸列島は平和条約第三条による信託統治であるということは、これは認めざるを得ない。しかし信託統治ということは、日本の主権が失われたものではないと思う。この点に対する御見解はどうでしょうか。
  156. 金山政英

    ○金山説明員 小笠原の問題は主管がアジア局長でありまして、私はつまびらかにしないのであります。それから信託統治の法的解釈、これも常識論で申し上げてはいけないと思いますので、条約局長からお答えするようにいたします。きょうは来ておりませんので、あらためてお願いいたします。
  157. 赤路友藏

    赤路委員 それでは条約局長に聞かざるを得ないのですが、では私の見解たけ言いっぱなしにしておきます。法第三条によりましても、米国が施政権者として行政、立法、司法上の権力行使をしているということはこれは事実、しかし私は今までも再々政府当局にもいろいろ言っておりますように、主権は失われていない。平和条約のどの条文を見ましても、小笠原諸列島の日本の主権は失われたんだということは記載されていない。従ってこれはあくまでも信託統治であるということであり、信託行為だと私たちは考えておる。今日までこういうような船に対する取扱い方は、かりに行政と立法と司法権を信託統治として、施政権者としてアメリカに渡しておるというのだから、領海であるとか何とかいう――領域全体に対しては、一応の権利はあると思います。しかしながらあくまでもこれは信託統治なんだ。主権はやはり日本にあるのだ。その主権を持った日本の船があそこをたまに航行する、それが領海侵犯だとしてやられるということは、これは実際上の問題として、どうにも割り切れないものが残るのです。これは法律的解釈でいけばすべてのものを信任しているのだから、信任された施政権者が自由に扱うのはそれはその通りなんだ、こうも見える。ただ、しかしながらやはり常にアメリカ側に対して、日本の方は小笠原諸列島の返還等について交渉したらどうか。常に交渉をするがごときことをほのめかしておることは事実なんですね。だからこのやられた漁民は、何か心の中で割り切れないものを持つ。硫黄島近くで、そんなことでやられるなんということはおかしいじゃないか、心に割り切れないものがある。しかしながら罰金を納めている。この割り切れないという気持、泣き寝入りになっている気持は単に漁民だけでなしに、日本国民すべてが割り切れないと私は思う。今度、一番最近にあったのが第六協栄丸で、これは燃料が不足したために帰港するのに不安を感じて、最短距離を通っているわけです。その最短距離を通るときに、たまたま硫黄島の一・六マイルか七マイルの点まで近接したということだけで、これが領海侵犯でやられておるということではどうしても割り切れません。こういうことに対して――これは最も具体的な問題です。アメリカがこの小笠原諸列島を返すか返さぬか、信任統治を解くか解かぬか、これは別問題だ。だとしても、私は少くともそういうような事態のときにここを通るくらいのことは、主権国として当然なものではないか。そういうことは離しても、この程度のことをつかまえて、わざわざサイパンまで持っていって裁判をやって罰金を払わなければ返さないなんてあまりにもやり方が酷だ。これは私は黙っておる手はないと思う。今度岸さんがアメリカに行かれる具体的な問題の一つとして、こういうことは当然何らかの形で解決をつけてもらいたい。もしこういうことが今後もたび重なって繰り返されていくと、それでなくてさえも各地でいろいろな問題が起る。軍事基地を中心にして問題が起されておる。反米感情というものはますます上っていく。これは日米両国のためにとるべき方途ではないと思う。せっかく総理が行かれるのだから、これは具体的な問題の一つとして、ぜひ何らかの形においてこれを前進せしめるような、もっと安心して操業できるような方向に持っていってもらいたい。このことを要望しておきます。これは答弁は求めません。非常にお忙しいようでございますので、これで質問を終ります。
  158. 小枝一雄

    小枝委員長 中村英男君。
  159. 中村英男

    中村(英)委員 それでは私おもに日韓問題について御質問申し上げます。日韓問題、ことに抑留者の釈放の問題は、長い懸案であり、抑留されておる家族の方はもちろん非常に早く釈放されるように待望しておったのですが、新聞報道によると、ようやく日韓交渉も最近妥結の方向に近づいて、抑留者の相互釈放ということがようやく実現する見通しだ。昨日もわが党の代表が岸総理に会いましたら、渡米するまでにこの問題は実現したい。ただ些細な点について十分話し合いがつくところまできてない。陪席した石田長官も、十六日に渡米するまでに釈放の問題だけは話をつけねばならぬ、こういうことを言っておるようです。これは私ども非常に喜んでおりまするし、ことにこの問題は、御承知のように自由党も社会党も日韓対策委員会を作って、一日も早く相互釈放をすべきだということをかねがね主張いたしてきたのです。ことに私ども野党としてこの問題を取り扱う上に非常に困難を今日まで感じております。ことに相手側の国の立場もございまするし、私どもの釈放運動が相互釈放あるいは日韓会談の問題に悪い影響を及ぼしてはいかぬという立場から、抑留されておる家族の方も実はかねがね毎日でも東京へ来て陳情したいということも御了解を求め、私ども野党としては実は追究したい点がたくさんあるのです。それをも今日まで忍び耐えてきたことは、やはりこういう人道問題は、一日も早く釈放さるべきだ、相互釈放をすべきだ、こういろ見地に立ってやってきた。そこで私どもももちろん家族の人たちも、今度こそはできる、こういうふうに期待しておるのですが、この前の石橋さんは、暮れにはやるのだ、正月は越させないのだ、私どもそのときに非常に期待しておったのです。しかし今度はこれが実現するということは、あなた自身の立場からも相当自信を持って言えるかどうか、非常にむずかしい点だと思うけれども覚悟のほどを伺いたい。
  160. 岡井正男

    ○岡井説明員 先生方特に御承知のように、われわれとしては過去不幸にして罪とがもない漁師が拿捕されて以来、常に一日も早く日本に帰ってもらうようにという外交的な交渉を強く外務当局に要望し続けてきたのでございますが、いろいろ相手の出方の関係もあって今日まで遷延したのであります。ようやくにして両者の、ほんのわずかの点のみの意見の食い違いを残すだけで、大体にできるというようにわれわれも確信を持つように相なりました。なお、だめ押しの意味で、外務当局に対しては、事務当局を通じて上層部にこの際に最後のスイッチを切ってくれということを強く要望しておりますが、私らの話し合いの中では、今度こそ大丈夫である、再び前のように、ああは言うたが、またおくれましたというようなことはないというように私は思っております。
  161. 中村英男

    中村(英)委員 そこでお伺いしたいのですが、双方の話し合いが済みまして、相互釈放をするということに了解かつきますと、今日まで抑留されておる船員の方々の救護の措置の問題なのです。これはいろいろ水産庁でも政府でも、社会党も自由党も非常に心配して、不満足ながら今日までやってきておるのです。やってきておりますが、これが相互釈放になりますと、私どもは全部の船員の諸君が帰ってもらいたいことをもちろん希望しておりますが、話をいろいろ伺ってみますと、この四年間に抑留されておる漁船の乗組員の死亡者の方が三人ですか、そのうち一つの遺骨が先般一人の付添人がついて帰られたそうです。おそらくこの付添人は向うでは衰弱しない、いわば健康な人をつけてきたはずです。その健康と思われる人でさえ、こちらへ帰ってきたら非常に衰弱されて、いわば栄養失調で衰弱されておる。こういうことからいろいろ類推してみると、九百三十二名抑留されておるうちの八十名か九十名、一割程度の人たちは非一常に衰弱しておいでになるということが想像されるのです。そういうことから家族の方々も心配されておると私どもも実は伺っておる。長官もお聞き及びのことと思うのです。そこで今度釈放される場合に、これを迎えに行く人の手当をいろいろ考えなければならぬ。おそらくこれが送還されるとすれば、神戸かどこかだろうと思いますが、そこまでいく宿泊料、旅費あるいは食費、こういうこまかな点までも配慮していただかなければならぬと思っておるのです。それらの一切について水産当局は大蔵省当局と交渉なさっていただいておると思いまするが、具体的にそういうようなことが今日発表できる段階にきておりますかどうか。
  162. 岡井正男

    ○岡井説明員 ただいまのところ大部分の問題については、大蔵当局とも大体において交渉がスムーズにいっておりますが、まだ全部だめ押しをいたしておりませんので、具体的にケースをあげて御答弁するまでには運んでおりません。
  163. 中村英男

    中村(英)委員 大蔵省から大村さんが来ておられますから申し上げておきますが、水産庁の長官はもちろんよくお話を伺っておると思いますが、大蔵省の方々は、水産庁ほどはこまかく御承知ないと思うのです。そういう意味合いでこの機会に申し述べたいと思うのですが、御承知のように以西底びきあるいは刺し網その他拿捕されている方々は、大洋漁業のように大きなところもございまするが、大体零細な弱小資本で経営している、そういう船員の拿捕者もたくさんあるのです。ですから長い間病気されてからだが悪いからというので、こちらの方で薬を買って金を送っても一回も着いていない。それも大きなところでしたら船主がいろいろ措置をしてくれまするけれどもそういうこともできない、船主自体も実は参っておる。つぶれておるのだ、こういうケースもあるのです。そこでそういう人たちも金を借りて今日までやっておいでになるし、そういう工合ですから、抑留されている家族の人たちはその日の生活にも困っておいでになる方がたくさんあるのです。おととしあたりでもすでに困っているのです。頼母子のようなもので船だけは支度をしたというその船がとられた場合には、ほとんど生活ができないような状態で、いろいろなことをして全くその日をしのいでおる方もたくさん見受けられるわけです。そういう事情から先ほど言いましたように、迎えにおいでになる場合に会社かどこかがいろいろ手当をしなければならぬ。大蔵省もソ連の抑留者の例があるのですから、その例に準じてそれと同様の措置をぜひ講じてもらいたいと思うのです。こまかに数字ははじいておいでにならぬようですが、すでに前例もありますから、そういう旅費、食費、宿泊料その他一つ万全の措置を講じてもらいたいこれはもう近いことですから、そういう点をぜひこの機会に重ねて、くどいようですが大蔵省にお願いしておきます。  それからもう一点は、昭和三十一年の十二月までは救済措置が講ぜられておったものですが、一月以降は救済措置はそのままになっておると思うのです。これらの点について水産庁はどう考えておられますか、その点をお伺いしたいと思います。
  164. 坂村吉正

    ○坂村説明員 三十二年の一月以降の救済措置につきましては、今度全体の帰還が実現できる可能性が非常に強いのじゃないかというような考え方もありまするので、全体の帰還の場合の手当あるいはその他の援護措置等をからめまして、一緒に部内で検討しておるわけでございます。全体の問題が先ほど長官から御答弁のようにはっきりしておりませんので、それらの点はまだ具体的にはきまっておりません。今検討中でございます。
  165. 中村英男

    中村(英)委員 検討中とのことですが、これは相互釈放の問題の話がつけば、あなたの方ではそのときにすでにそれらの問題も一緒にして数字はもうきっちりはじけるような事情になっておりますか。
  166. 坂村吉正

    ○坂村説明員 そうです。
  167. 赤路友藏

    赤路委員 今中村委員からいろいろ御質問があったのですが、非常におとなしい質問でありまして、私はどうも納得がいかぬ。御承知通り二十六国会のこの予算の審議の過程で、本委員会におきまして質問をしたときに、井出農林大臣に対して、今度は陳情を受けない前にお出しなさい、私ははっきり申し上げた。同じ出すものなら陳情を受けて上京をしてきてから出すのと前に出すのとでは金の行き方が違ってくる。井出農林大臣はそういたします、その通りでございますこ言っておる。大臣が言ったからといったって大蔵省は聞かない、水産庁は聞かないといえばそれまでですが、かりに行政の担当の最高峯の人がそうはっきり言っておる。今までこの問題が進展しないということがおかしい。先払いするのじゃない。あとで六ヵ月ずつ渡しておる。もちろん私は事情はわかりますよ。昨年と同様のケースでいけばこれは問題ないでしょう。新しいケースが出てきておる。この新しいケースの出てきたものがいろいろと大蔵省との折衝でこれが一つの難点になっておる。そのことがわかるわけです。それはあなたたちが大蔵省と水産庁と寄って議論してもらうのはけっこうですよ。なんぼ議論されてもいい。納得のいくまで議論してもらっていい。留守家族の本人は一体どうするか、これをどうして考えてもらえないか。議論することに日が過ぎて、本人たちが再度上京してこなければ出せないというようなぶざまな話がありますか。あれだけ私は何回にもわたってこの点については一言っておる。どうしてこれができないのですか。当面でき得るだけでもさっとやれそうなものだ、これはどうも私は納得がいかぬ。今生産部長の御答弁は、全体の帰還も可能だと思う、そういう色が濃いから、それとからみ合せて一緒に云々と言っておる、そんなことがほんとうに当てになりますか。私はこの前も委員会で申し上げた。かりに一国の総理大臣である石橋さんが年内に必ず返します。こう言った。これはよほど自信があり、よほどの裏づけがなければ、かりにも総理大臣がそんなばかなことを言うはずがない。それだけよほどの自信の上に立ったとして、言ったことがくずれてしまっている。私が先ほど申し上げたように、きのう淺沼氏と岸さんとが会ったときに、石橋さんのようにはっきり言っていないのです。帰しますとは言っていない。訪米前までには努力いたしますということなんです。言葉の面では一歩後退しているのです。よほど慎重になったのだろうと思う。もっと率直に言わしてもらうならば、岸さんが、ほんとうにこの問題は何としてでも解決をつけなければならぬということであるなれば、東南アジアへ行くのを十日や二十日おくらしたってどうということはないはずなんです。真剣になってこの問題と取っ組んでくれていいはずなんです。それだけに私は一まつの不安を持たざるを得ない。そうしてくると、今生産部長のおっしゃった一緒にからましてということも、ちょっと考えが甘過ぎやせぬかと私は考える。そこでいよいよ相互釈放をする、帰ってくるということになれば、それに対する処置は処置として別に考え、当面出すべきものを出すということなんです。この点考えてもらわなければならぬ。それから大村さんの、言いなり放題出しておったのでは日本の財政がつぶれてしまいますというのはよくわかります。ただ、今度のこの日韓問題に関しては、政府に責任があるということを考えてもらいたい。これはもちろん李ラインがどうのこうのというのではない。今日まで、この長い期間帰ってこられない原因は一体どこにあるかということなんです。これは普通のケースじゃないのですから。御承知のように、今日までこれがひっかかってきたのは何かというと、大村の抑留者との相互交換の問題なんです。このことは、政府の責任のために向うへ引っ張られているということなんですから、当然政府の責任なんです。李承晩ラインへ行くのには保険をかけろとか何とかありますが、そうしたことを除いても、今日かくも長くなるということは、何といっても政府の責任なんだ。その政府の責任だけは、いかなることがあっても果してもらいたいと思う。あとでいろんな形で影響を及ぼすような、わけのわからぬ金は出せないと思います。これを出せということは、実際上の問題として無理だと思う。しかしそうでなくて、政府に責任があるという一点に立っていただくなれば、ある程度親心をもって、この問題は一つ真剣に解決してもらいたいと思う。もう六月の八日なんです。私は、この前帰るときも、二十四日の昼の汽車に乗るのに、出かけていって、農林大臣に、今月一ぱいに片づけてくれよと特に頼んでおいたのに、いまだに解決がつかない。もう一部は上京してきますよ。十日の日にまた上京してくるという。私はこれをやらせたくなかった。留守家族が困っておる中からわざわざ金を使って何のためにここまで出てこなければならないか、この点ぜひ考えていただきたい。速急に片をつけていただきたいと思う。そうして帰還の場合と、でない場合とはっきり区分して、出すべきものは早く出して下さい。死者、病者に対してもその通りである。船員保険法の適用を受けているものはいろいろなあれがありましょう。ところが、小さいのは船員保険法の適用を受けない。船員保険に加入していないのが多いのです。失業保険だってその通り。それは健保がある、それに入っておくのが当然だ、こう言われればそれまでである。しかしながら、そうしたことすらわかっていながらできないような零細な業者であるということ、この点も一つ考慮の中に入れてやってもらいたいと思う。今日現実に困っておるのだから。家族の人たちは、もちろん抑留されておる夫なりあるいは父なりを早く帰してもらいたいということが第一の念願ではあるが、それとともに、日常の生活をどうしてやっていくかということ――夫はとられ、生活には困る。この長くなっている責任が政府にあるとするなれば、政府は当然のこととして真剣になってこの問題と取り組んでもらいたいと思います。この政府にお願いしておきます。これはもう答弁も何も要りません。わかっておることだからお願いだけしておく。してくれなんだらまたあらためてやり直しますから。
  168. 中村英男

    中村(英)委員 大体赤路委員が申し述べましたが、この抑留漁船に三つのケースがある。釈放されて元気で帰られる場合と、非常に衰弱されている場合と、すでに死亡されている場合とあるのですが、この三つのケースはそれぞれ区分してお考えになるでしょうか。たとえば撃沈された漁船の船員一人当り七万五千円ですか、そういう開帳決定があるようですが、こういうことでは私ども納得できぬのです。この点も大蔵省は十分考えていただきたい。もう一つ、衰弱されて帰られた方は、帰っても当分仕事ができないのです。ですから、そういう前提に立って援護措置を十分考えていただかなければならぬ。もちろん健康で帰られた方も、床の上に寝なくても相当の期間静養しないと重労働ですから大へんなものです。そういう点実情に十分合うよう御検討を願って万全の措置を講じてもらいたい。これも赤路君が言いましたように、相互釈放されたがそういう措置が十分講ぜられていないということになると、私どもも機会を見てやはりその点追及せざるを得断せんから、私どもが追及しなくても政府があたたかい措置を講ぜられんことを希望しまして、私の質問を終ります。
  169. 小枝一雄

    小枝委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  170. 小枝一雄

    小枝委員長 速記を始めて。芳菅貫君。
  171. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この際私は昭和三十二年産米の生産者米価に対する決議を行うための動議を提出したいと思います。お諮りを願います。
  172. 小枝一雄

    小枝委員長 ただいま芳賀君より昭和三十二年度産米の生産者米価に関する件について動議を提出したいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認めまして、これを許します。芳賀貢君。
  174. 芳賀貢

    ○芳賀委員 動議に関する案文をまず朗読いたします。    昭和三十二年産米の生産者価格等に関する件   最近における農業生産資材等の値上り傾向は顕著であつて農業と他産業との所得の不均衡は益々拡大しつつあり、生産農民は、本年産米価決定に対し深い関心と多大の期待とをよせておる。   政府は、昭和三十二年産米についても引続き予約売渡制の実施を決定しているが、この制度の実効を納めるためには、その買入条件のいかんが重大な要素となり、三十二年度予算米価算定方式がこの観点から不適当であることは明らかである。   よつて政府は、昭和三十二年産米価決定に当つて左記事項の実現に万遺憾なきを期し、もつて国民食糧の確保とわが国経済の自立と発展に貢献する生産農民の要望に応えるべきである。     記  一、価格    価格は次の通りとし、早急にこれを決定公表すること。  (1)基本米価の算定方式については、数回にわたって米価審議会の答申があった事実に基き、生産費及び所得補償方式によること。  (2)予約申込加算    予約申込加卸額は百円以上とし、基本米価に加算すること。  (3)歩留加算    歩留加算額は石当り五十円とすること。  (4)時期別加算    時期別加算額は、十月五日までを第一期とする四期別とし、平均二百十円とすること。  (5)陸稲価格差    陸稲に対し差別価格を設けないこと。  (6)もち米加算    もち米には昨年同様の加算を行うこと。  二、予約申込の開始時期と期間    予約申込時期は六月から開始し、その期間は二カ月とすること。  三、減免税措置    予約売渡米に対する減免税措置は前年通り実施すること。  四、概算金    概算金は前年通り石当り二〇円とすること。  五、三十一年度産米に対する追加払パリティ指数の上昇分に応じて追加払を行うこと。  右決議する。   昭和三十二年六月八日      衆議院農林水産委員会
  175. 小枝一雄

    小枝委員長 ただいま芳賀貢君より提出せられました動議の案件につきましては、来たる十日、本委員会を開きまして審議を進めることといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会