○
赤路委員 今
中村委員からいろいろ御
質問があったのですが、非常におとなしい
質問でありまして、私はどうも納得がいかぬ。御
承知の
通り二十六国会のこの予算の審議の過程で、本
委員会におきまして
質問をしたときに、井出
農林大臣に対して、今度は陳情を受けない前にお出しなさい、私ははっきり申し上げた。同じ出すものなら陳情を受けて上京をしてきてから出すのと前に出すのとでは金の行き方が違ってくる。井出
農林大臣はそういたします、その
通りでございますこ言っておる。
大臣が言ったからといったって大蔵省は聞かない、水産庁は聞かないといえばそれまでですが、かりに行政の担当の最高峯の人がそうはっきり言っておる。今までこの問題が進展しないということがおかしい。先払いするのじゃない。あとで六ヵ月ずつ渡しておる。もちろん私は事情はわかりますよ。昨年と同様のケースでいけばこれは問題ないでしょう。新しいケースが出てきておる。この新しいケースの出てきたものがいろいろと大蔵省との折衝でこれが
一つの難点になっておる。そのことがわかるわけです。それはあなたたちが大蔵省と水産庁と寄って議論してもらうのはけっこうですよ。なんぼ議論されてもいい。納得のいくまで議論してもらっていい。留守家族の本人は一体どうするか、これをどうして考えてもらえないか。議論することに日が過ぎて、本人たちが再度上京してこなければ出せないというようなぶざまな話がありますか。あれだけ私は何回にもわたってこの点については一言っておる。どうしてこれができないのですか。当面でき得るだけでもさっとやれそうなものだ、これはどうも私は納得がいかぬ。今生産部長の御答弁は、全体の帰還も可能だと思う、そういう色が濃いから、それとからみ合せて一緒に云々と言っておる、そんなことがほんとうに当てになりますか。私はこの前も
委員会で申し上げた。かりに一国の総理
大臣である石橋さんが年内に必ず返します。こう言った。これはよほど自信があり、よほどの裏づけがなければ、かりにも総理
大臣がそんなばかなことを言うはずがない。それだけよほどの自信の上に立ったとして、言ったことがくずれてしまっている。私が先ほど申し上げたように、きのう淺沼氏と岸さんとが会ったときに、石橋さんのようにはっきり言っていないのです。帰しますとは言っていない。訪米前までには努力いたしますということなんです。言葉の面では一歩後退しているのです。よほど慎重になったのだろうと思う。もっと率直に言わしてもらうならば、岸さんが、ほんとうにこの問題は何としてでも解決をつけなければならぬということであるなれば、東南アジアへ行くのを十日や二十日おくらしたってどうということはないはずなんです。真剣になってこの問題と取っ組んでくれていいはずなんです。それだけに私は一まつの不安を持たざるを得ない。そうしてくると、今生産部長のおっしゃった一緒にからましてということも、ちょっと考えが甘過ぎやせぬかと私は考える。そこでいよいよ相互釈放をする、帰ってくるということになれば、それに対する処置は処置として別に考え、当面出すべきものを出すということなんです。この点考えてもらわなければならぬ。それから大村さんの、言いなり放題出しておったのでは日本の財政がつぶれてしまいますというのはよくわかります。ただ、今度のこの日韓問題に関しては、
政府に責任があるということを考えてもらいたい。これはもちろん李ラインがどうのこうのというのではない。今日まで、この長い期間帰ってこられない原因は一体どこにあるかということなんです。これは普通のケースじゃないのですから。御
承知のように、今日までこれがひっかかってきたのは何かというと、大村の抑留者との相互交換の問題なんです。このことは、
政府の責任のために向うへ引っ張られているということなんですから、当然
政府の責任なんです。李承晩ラインへ行くのには保険をかけろとか何とかありますが、そうしたことを除いても、今日かくも長くなるということは、何といっても
政府の責任なんだ。その
政府の責任だけは、いかなることがあっても果してもらいたいと思う。あとでいろんな形で
影響を及ぼすような、わけのわからぬ金は出せないと思います。これを出せということは、実際上の問題として無理だと思う。しかしそうでなくて、
政府に責任があるという一点に立っていただくなれば、ある
程度親心をもって、この問題は
一つ真剣に解決してもらいたいと思う。もう六月の八日なんです。私は、この前帰るときも、二十四日の昼の汽車に乗るのに、出かけていって、
農林大臣に、今月一ぱいに片づけてくれよと特に頼んでおいたのに、いまだに解決がつかない。もう一部は上京してきますよ。十日の日にまた上京してくるという。私はこれをやらせたくなかった。留守家族が困っておる中からわざわざ金を使って何のためにここまで出てこなければならないか、この点ぜひ考えていただきたい。速急に片をつけていただきたいと思う。そうして帰還の場合と、でない場合とはっきり区分して、出すべきものは早く出して下さい。死者、病者に対してもその
通りである。船員保険法の適用を受けているものはいろいろなあれがありましょう。ところが、小さいのは船員保険法の適用を受けない。船員保険に加入していないのが多いのです。失業保険だってその
通り。それは健保がある、それに入っておくのが当然だ、こう言われればそれまでである。しかしながら、そうしたことすらわかっていながらできないような零細な業者であるということ、この点も
一つ考慮の中に入れてやってもらいたいと思う。今日
現実に困っておるのだから。家族の人たちは、もちろん抑留されておる夫なりあるいは父なりを早く帰してもらいたいということが第一の念願ではあるが、それとともに、日常の生活をどうしてやっていくかということ――夫はとられ、生活には困る。この長くなっている責任が
政府にあるとするなれば、
政府は当然のこととして真剣になってこの問題と取り組んでもらいたいと思います。この
政府にお願いしておきます。これはもう答弁も何も要りません。わかっておることだからお願いだけしておく。してくれなんだらまたあらためてやり直しますから。