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1957-06-07 第26回国会 衆議院 農林水産委員会 第49号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年六月七日(金曜日)    午前十一時七分開議  出席委員    委員長 小枝 一雄君    理事 吉川 久衛君 理事 白浜 仁吉君    理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君    理事 芳賀  貢君 理事 五十嵐吉藏君       中馬 辰猪君    二階堂 進君       原  捨思君    松野 頼三君       村松 久義君    赤路 友藏君      茜ケ久保重光君    足鹿  覺君       伊瀬幸太郎君    石田 宥全君       石山 權作君    川俣 清音君       神田 大作君    中村 英男君       成田 知巳君    日野 吉夫君       細田 綱吉君    山田 長司君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  尾村 偉久君         厚 生 技 官 恩田  博君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         農林事務官         (畜産局長)  谷垣 専一君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   中西 一郎君         農林事務官         (食糧庁業務         第二部長)   斎藤  誠君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 六月七日  委員安藤覺君、神田大作君及び楯兼次郎君辞任  につき、その補欠として二階堂進君、茜ケ久保  重光君及び伊瀬幸太郎君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員二階堂進辞任につき、その補欠として安  藤覺君が議長指名委員に選任された。 本日の会議に付した案件  不良乳製品澱粉、菜種及び練乳に関する件  澱粉の価格安定に関する件  大罐練粉乳用砂糖消費税免除措置に関する件     —————————————
  2. 小枝一雄

    ○小枝委員長 これより会議を開きます。  不良乳製品の問題について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 前回委員会でお尋ねした問題ですが、不良乳製品に対する厚生省がやった調査の結果についてでありますが、前回委員会において不良乳製品に関する検査の結果の資料を要求したのですが、それが一応出ておるようです。もう一つは、不良乳製品回収状況に対してどのような措置が行われたかという点に対しても資料の要求をしてあったのですが、これがまだ提出されておらない。それでまず回収状態ですね、それを環境衛生部長が出席しておるようですから、御説明願います。
  4. 尾村偉久

    ○尾村説明員 六月三日にこの委員会に前に出ておりました楠本君のあとを引き受けまして環境衛生部長に任ぜられました尾村でございます。よろしくお願いいたします。  ただいま芳賀委員から御質問のありましたうちの検査の結果は、表にいたしまして国会の方に提出済みでございます。  それから第二の回収状況のその後の模様でございますが、これは私の方から東京都の方に所要の事項をあげて調査依頼いたしまして、ただいまのところまだその結果の報告を受けておりませんので、きょうも来る前に東京都の方に督促いたしまして連絡したところ、まだまとまらぬからと、こういう状況でございますので、まことに申しわけございませんが、まだ回収状況の御報告ができませんことを遺憾に存じております。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 前回委員会において恩田技官説明によると、不良品はすでに回収したというような説明があった。ですから回収したとすれば、いつごろの製品であって、それがどのくらいの範囲において徹底した不良品回収が行われたかという実情に対しては、当委員会資料をもって報告してもらいたいということになっておるので、これは厚生省としても、回収状態等は、その当時の説明によっても回収したというような説明がすでにあったのですが、その具体的な実情説明してもらいたい。
  6. 尾村偉久

    ○尾村説明員 当時の不良品回収しておるという報告に基いて前に御答弁申し上げたのでございますが、実際の不良品回収となりますと、ただ一件とか二件ということではいけませんので、果してそれ以上総括的にどの程度まで回収したかというのをまとめまして御報告申し上げたいと思いまして、今督促中でございますので、御了承願いたいと思います。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 この問題は委員会でも特に慎重を期して私ども質疑をしたいのですが、この実態というものは単なる不良品とか製品カビがはえたという程度でなく、私ども承知しておる範囲においては、有毒製品が当時市販されたということが明らかになって、それを会社が速急に回収したというふうにわれわれは承知しておるのです。だから単なる不良品程度のものではないわけなのですから、こういう点に対してはかっての森永徳島工場における粉乳事件という事例もあるのだから、厚生省としては、もう少し積極的に責任のある行動が必要だったと思うのです。部長就任早々だというお話ですが、この点に対しては、その後の経過等に対してもう少し具体的な説明をお願いしたい。
  8. 尾村偉久

    ○尾村説明員 非常に猛毒のものがまざっておったという理由による不良品回収をしたということは、ただいままでのところ全然報告を受けておりませんので、広い意味の不良品回収といいますか、収去して検査するということで、それぞれの会社がどの程度まで実際に回収したというのはまだつまびらかにしておりません。今までのところは具体的に回収したということは数字的にもまだ明らかになっておりません。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 この検査の結果についての資料によると、これは森永乳業福島工場製造にかかるチーズその他ということになっておるのですから、東京都内において不良製品として市販されたものは、厚生省がお出しになったこの検査結果による資料に基くと、森永乳業福島工場製造にかかるチーズというふうに理解して差しつかえないですか。
  10. 尾村偉久

    ○尾村説明員 この検査結果の成績が二ヵ所になっておりまして、最初の方が福島県下においてやりましたもので、あとの方が東京都下におきまして東京都内のものをやった資料なのであります。都内の方のをごらん願いますとMじるし、Hじるし、Fじるし、Kじるしというふうになっておりまして、都内の市販はそれぞれ広く収去をいたした成績になっております。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 結局問題は森永乳業福島工場で作ったいわゆるチーズ東京都内で市販されておって、その中に不良品とかあるいは有毒製品があったということじゃないですか。その点は明らかにされてもいいと思うのです。そうでないと回収したといっても、どの会社の何日ごろの製品が不良品であって、それを回収したかということが全然わからないと思うのです。ただ全国の乳業会社が作った一切の乳製品回収したということじゃないと思うのです。
  12. 尾村偉久

    ○尾村説明員 東京都内検査でございますが、福島県の方でも今のいわゆる猛毒のものという形が出ておりませんので、広い意味の不良品があるかないかということでございます。東京都内の方は、この一、二は森永、三以下はそこに各メーカーの名前が明らかにしてあります通りでありますが、たとえばカビとか広い意味食品衛生法による不良という見込みのものは、これはその後の保存その他にも起り得るわけでありまして、これもあわせまして調査したわけであります。なおこれはお許しを願えれば、その間におきまして直接タッチいたしました恩田技官が同行しておりますので、私が間違えるといけませんから、詳細述べさせていただきたいと思います。
  13. 恩田博

    恩田説明員 今の部長説明に補足いたしまして申し上げます。  芳賀先生の方から承わりまして資料をお出ししたのでございますが、この福島県の資料は過日申し上げました新聞の方の方から連絡がちょっと入りましたので、直ちに福島県にそのおるところで連絡をとりまして、工場にあるもの全部、これは資料として一個ずつとってあるわけでございます。それとそれにまぜます添加物を全部収去を頼みまして、そして直ちにこの成績を作っていただいたのであります。ですから当時報道関係の人が来ましたときには、添加物成績だけしかまだ発見されておらなかったのでございます。最近この報告がまとまりましたので、まとまり次第お手元にお届けしたものでございます。ですからただそういった心配がございましたので、私の方から電話でこの資料検査を行うようにお願いをし、かつ県の方の立場としましても、非常に心配だということでおやりになったものであるわけであります。  それから東京都の方は、先ほど部長が申されました通り、この前先生から私の方へ報告を出すように申されましたことにつきまして、電話連絡等では非常に数あるいは製造年月日等も聞き落しがあると困りますので、私の方から正式に書類にしまして都に対しまして報告を求めておるわけでございます。その報告がまとまりましたならば直ちに御報告申し上げたい、こういうふうに段取りしておるのでございますが、先ほど部長が申されました通り、まだ報告がまとまりませんので、実は今日も数だけでも早く教えてくれ、こう言っておるのでございますが、あるいは端数が変りましたりなんかしておりますので、はっきりした数ができましたならば、それの製造年月日もおそらくわかると思いますのでそれについて御報告できる、こういうふうに考えております。東京都としましては、部長が申されました通りカビがはえておった、それはどこからもそういう話を聞いておらぬがというようなことで、検査結果の資料としても非常に少いものであるわけでありますが、一応そういうことになっておりますので、東京都の資料が参りましたならば、それを整理してお届けしたい、こういうように考えております。
  14. 芳賀貢

    芳賀委員 福島における検査データが出ておりますが、これはいろいろな記号で表われておるので、私たちとしては何月何日の製品ということがはっきりわからぬのですが、大よそいつごろの製品試験に供せられたか、この資料に基いてちょっと説明を願いたいと思うわけです。
  15. 恩田博

    恩田説明員 この一番初めの福島県の研究所の分でございますが、MNというのが——MFというのが前に徳島工場でありましたが、MNというのが福島工場記号になっております。その次の七というのは、五七年の七になっておるわけでありまして、次の二というのは二月、二一と申しますのが二十一日、それからAというのは、一回、二回、三回と分けて作ります場合の一回目の製品、こういうことでございます。それで八のところで六Z二五Aとございますが、六は五六年の六でございまして、Zは、XYZとして、Xが十、Yが十一、Zが十二ということにしておりますので、五六年の十二月二十五日の第一回目の分、こういうふうになるわけでございます。十七番目の六Y〇三Bと申しますのは、五六年の十一月三日の二回目の製品、こういう略号でございます。次のポケットチーズにしましても、練乳にしましても、全粉乳にしましても、記号は同じでございますが、全粉の場合は製造年月日でとってあったそうでございますので、これを入れたわけでございますが、この場合は、福島工場で作っておりますものにつきまして、チーズポケットチーズ練乳、全粉乳、生クリームとやっておりますために、それらについて全部やってみたわけであります。別にチーズであろうと——そういう場合はチーズであろうかという程度でございましたので、作っているものはみんな検査しよう、こういうことになったわけであります。  それからその次に第二燐酸ソーダとか、塩化カルシウムとか、クエン酸ナトリウムとかございますが、これらもちょうど工場にございましたので、全部持ってきまして、これが先に検査が始まったわけであります。これに重金属がありますと、それが混ぜた方にも入るわけでございますから、一応第二燐酸ソーダ塩化カルシウムクエン酸ナトリウム検査しまして、これは心配ないということを確認しましてから、今度製品の方へ移ったわけであります。そのために製品の方の成績が幾らかおくれたということになっております。以上でございます。
  16. 芳賀貢

    芳賀委員 そこでお尋ねしますが、乳製品重金属砒素が混入されるという場合は、製造過程においてどういう原料を使用すればそういうものができるか、その点……。
  17. 恩田博

    恩田説明員 砒素そのものは微量には普通存在しておるのでございまして、人体のつめを作りますとか、あるいは髪の毛を作りますものには、砒素が絶対に不可欠の要素になっているそうでございますが、その量が、有毒でない場合にどのくらいどこへどういうふうに沈着するということにつきましては、私どもまだ承知しておりません。しかしながら国際的にも砒素有毒であるという一つ限界点があるわけでございまして、私よく存じませんが、その範囲内よりは相当少い、自然中に存在する砒素量程度であろう、こういうふうな見解で、学者の意見も実は承わったわけでございます。その許される最大限の容量、許容量と申しますか、それにつきましてはまだ私どもよく承知しておりません、大体の見当でございますので、この点はよくお伺いしまして御報告申し上げたいと思いますが、もしお許し下さるならば書類で後刻差し上げたい、こういうふうに考えております。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 私の知っておる限りは、今恩田技官の言われた砒素許容量の問題でありますが、乳製品製造過程において第二燐酸ソーダを使用するわけでしょう。その場合、本来から言うと局方の第二燐酸ソーダを使うのが当然なんですが、工業用燐酸ソーダを使うというのもあるわけなんですかね、どうなんです。
  19. 恩田博

    恩田説明員 この中に入れます第二燐酸ソーダとか、塩化カルシウム、あるいはクエン酸ナトリウムというのが入りますが、この場合第二燐酸ソーダは、二に無糖練乳というのがございますが、それに使ったものでございまして、塩化カルシウムクエン酸ナトリウムチーズの方に使われたというふうに承わっております。もちろんいずれの薬にしましても砒素が許される範囲以上入っておりますことは危険でございますが、これについては購入に際しましても厳重な検査をしておるはずでございます。これは当時の購入しました状況等を、各社の状況を聞きましても、大体本社で検査して購入して、それを各工場に送ってやっておる、こういう段取りでございまして、この前の事件以来非常に検査施設を拡充しましたので、おそらくここに出ましたような心配のない成績が出ておるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 それでお聞きした点は、乳製品製造の場合、工業用の第二燐酸ソーダ等を使用しても差しつかえないものであるかどうか、その点は部長どうですか。
  21. 尾村偉久

    ○尾村説明員 この前の事件もございまして、工業用のを使う場合には、実際にこれを使って衛生上差しつかえないという点の認定を受けるために県の許可を受けないといかぬことになっております。取り締っております。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 工業用の第二燐酸ソーダ等を使う場合には県の認可が要るのですか、県知事認可ですか。
  23. 尾村偉久

    ○尾村説明員 県知事を通じまして、厚生大臣認可が要るわけでございます。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 県知事を通じて厚生大臣認可ということになると、その書類は当然あなた方のところに来るわけですね。
  25. 尾村偉久

    ○尾村説明員 さようでございます。厚生大臣承認を得るために知事から副申をつけて承認願が参るわけでございます。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうような正規の手続をしないでこのような原料を用いたということが判明した場合には、これは故意にことさらに有毒製品製造するためにこういう原料を使ったということにもなるわけですか。
  27. 尾村偉久

    ○尾村説明員 故意有毒製品製造したかどうか、これは意思の問題になると思いますが、要するに承認を受くべしときまっておるものをしない場合には、これはいけないことになります。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、これは前回そこまで質問する余裕がなかったのですが、実は東京都内において有毒製品があるということが大よそ判明した根拠はこれは十二月二十二日ごろの製品なんですが、東京都民がこれを購入して非常に異常な影響を受けたので、東京都の衛生研究所分析依頼をしたわけですね。都庁には衛生局というのがあるでしょう。その分析の結果はおそらく判明していると思うのですが、東京都の分析の結果についての資料には、十二月二十二日前後の製品に対する分析の結果が出ておらないように見受けられるわけです。それで厚生省にもまだ十分な連絡をしてないとすれば、三月四日ごろにそういう製品分析依頼が行われたという事実と、十二月二十二日の製品だと思いますが、その依頼された製品に対する分析結果というものはどういうことになっているか、そういう点はすでにわかっておると思うのですが、おわかりでないとすれば、厚生省として、東京都の衛生局を通じてこれらの点を明らかにして、その結果を報告してもらいたいと思うのです。こういうような事実については全然お知りになっておらぬですか。
  29. 尾村偉久

    ○尾村説明員 ちょうど東京都の番号の2というのが昨年の十二月二十五日、今のは二十二日で、三日間のずれがございますが、ナンバー2、MN6Z25Aというのが一番近似でございます。今お話しの二十二日のものをどうしたかということは今のところまだつまびらかにしておりません、報告もございませんので、あらためまして、ちょうどこの日に当るものが収去できたかどうか、なおそれの分析をしたならば、その結果の報告を至急求めますので、御了承を願いたいと思います。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員 その結果は委員長資料として御報告願いたいと思います。  最後にお尋ねしたいのは回収実態で、これは恩田技官にお尋ねします。前回委員会においては、回収が行われたということを答弁されたのですが、それはどの会社のいつごろの製品が不良品と認められて回収が行われたか、その程度のことは御存じでしょう。どの程度の規模で回収したかということは、まだ正式な報告がきてないとしても、今私が尋ねた程度内容については説明ができると思うのですが、この機会に御説明を願います。
  31. 恩田博

    恩田説明員 東京都のはカビがはえておったということでございます。その製造業者担当者を呼びまして、こういうものではどうだろうか、もちろんチーズは若干カビがはえるたちのものではございますが、ちょっと多過ぎはせぬかということで、自発的に集めさせた。その集める方法がどうだったかはよくわかりませんが、数ははっきり若干のずれがございますので、実は報告を差し上げられないのでございます。実は東京都が集めるようにしたらどうかという程度のことらしいのでございますが、これは東京都に出しました書類の中にそういうのもうたってございまして、こういうことで有毒成分がはっきりされたという風評があるが、そういう事実があるかどうか、あるいはあるとすればどういう回収をされたということであるか、どの程度回収されたか等、いろいろ具体的にこまかく分けまして実は報告を求めているわけでございます。ただ電話あるいは口頭による連絡でございますので、私どもとしましては、それから一歩も進んでおりません。書類がもうそろそろ参るころでございますので、実は期待しておりますが、その上で書類をもって報告申し上げたい、こういうふうに考えております。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員 私の聞いているのは、数量等を詳しくここで説明せよとは言っていないのです。それはあと報告してもらえばいい、ただどの会社製品で、その不良製品と認められたものはおよそ何月何日ごろに作られたものが回収されたかというその程度のことはわかっているでしょう。
  33. 恩田博

    恩田説明員 会社は実は二ヵ所ございます。一ヵ所の方は大したことはなかろうという話であったのでございます。その場合の回収方法と申しますのは、都道府県検査の結果を待ちまして——成果を見きわめるために私の方から直接に集めたらどうかというふうなことはいたしません、衛生検査をしました府県におきましてそれを実施するということでございますので、私どもとしましては、その報告等によらなければ、数ももちろんでございますが、内容等もよくわからない、ただその集め方につきましてもこういうふうにやった、こういうふうにやったというだけでありまして、聞くところによりますと、会社自体回収したということに承わっております。以上でございます。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員 私の聞いておりますのは、どの会社製品であるかということを聞いているのです。これは人命にも影響する。不良品が市販されていることは、環境衛生立場から見ても、厚生省としては当然そういうものは厳重に調査をして、いささかでも人体影響のあるような製品は市販さすべきではないのですからね。そういうところに慎重を期することは非常にいいわけですが、ただ慎重を期するの余りそういうものが黙過されていることはいけないと思うのです。だから前会においては、私どもはそういうことがただ虚構の上に立った事実であるという場合においては、それらの会社等に対しても相当経済的な影響を及ぼす場合もあるというので、ことさらわれわれは慎重を期して取り扱っているわけですが、ただ単に厚生省当局がいうように、たまたまカビのはえている製品であるならば、会社名前等を明らかにしても差しつかえないじゃないですか。その程度のことを率直に言われたらどうですか。
  35. 恩田博

    恩田説明員 いささかでも人体影響のあるものは慎重にやれということでございますので、まことにありがたいことでございますが、慎重にやっております。カビのはえているのは、大体ちょっと日がたちますとはえるたちでございます。カビをはえさしたチーズもあるくらいでございますので、カビがはえたから、そのものがいい、悪いという極端な言い方は成り立たないと思うのであります。チーズの場合はそういうことが若干あると思うのでございます。  それからいつごろの製品かということでございますが、私どもが聞いている範囲では、昨年の十月ごろであるとか、あるいはことしの一月ごろであるとか、あるいは二月ごろであるとか、いろいろ私の方へあっちこっちから連絡が入って参りますが、大体昨年の十月ごろからことしの二月ごろまで、あるいは違うかもしれませんが、大体そういうふうなことが言われております。私ども試験成績がよくわかりませんとはっきりした結果が出ませんので、われわれとしましては努めてデータをつかむことに努力をいたしておるわけでございます。ですから、この前ちょっと申し上げました通り、なるべく早い機会に国内の製品につきましても、販売されておるものにつきましても検査をいたしまして、その結果によりまして、心配があるとか、あるいは心配ないということをやらなければいかぬというふうに覚悟しておるわけでございますが、ただ現在までのところは、都であるとか県でありますとかの結果によりまして、非常に有毒のものがあるという成績は実はないのでございます。いささかでもそういう心配があるような報告がございましたならば、何とかいたさなければならぬのでございますが、全然都道府県衛生担当者からの話外でございますので、実は手を下し得ないでおる状態でございます。各府県も、おそらくこの前の事情等からいたしまして、若干注意をいたしておると思いますので、あるいはこちらからお願いします前に成績が出てくるかと思いますが、もちろん県としましても、県の衛生検査によりまして、いささかでも人体に危害を生ずるような結果がございましたならば、厚生省の指示を待つまでもなく、当然措置をとるべきものでございますので、今のところは、芳賀先生のおっしゃることにつきましてのデータの確認に努力をいたしておる、こういう状況でございます。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 環境衛生部長にお尋ねしますが、今の恩田技官の答弁は、私の質問と非常に隔たりがあるのです。何もむずかしいことを聞いておるんじゃないのですよ。当初、部長説明によっても、回収状態等についての具体的内容は、けさ都庁の方へ電話連絡をしたけれども、まだ十分の資料が集まっておらぬためか、到着しておらぬということをあなたは言っておったでしょう。それは後刻その資料が来てからでもやむを得ないわけですが、カビがはえておる不良製品についても回収されたという事実があるし、そのことは前回の当委員会において恩田技官は発表しておるのです。不良品回収されたという事実がすでにあるのですから、その製品というものはどの会社製品であって、いつごろ製造された製品であるか、その程度のことは当委員会において明らかにされたらどうかということを私は言っておるわけです。
  37. 尾村偉久

    ○尾村説明員 結局、この乳製品の問題でございますが、まずその前提として申し上げておきたいと思いますが、根本的に工場における製造過程で入ったようなものが原因となってのいろいろな不良品ということになりますと、これはある場所で一個発見したといたしましても、同様な過程が行われておるというものには広くびまんしておるという不良の容疑が濃厚になりますので、これは当該会社回収はおろか、場合によっては収去の問題になるわけでございます。従いまして、不良品がどこかであったといううわさでも聞きますと、それの方をまず一番おそれるのでございます。これは非常に影響が広範囲になるものでございますから、それをまず検査する。そういたしますと、今度の検査結果に基きましても、厚生省で判断できる程度では、最初の製造過程で入った、すなわち猛毒等のものが混入したという試験結果は全然出ておらぬ。そうなりますと、もう一つの不良品というものは、あとでの保存の問題とか取扱いの問題とかいうことでこれはしばしば起る。これはやはり製造の同時の過程、全部の過程に行き当る問題もある。むしろ同じような保存方法をしたとか取扱い方をしたというところに今度は行き当る問題である。私どもは今までの試験結果の両県の報告によりますと、後者の方の疑いが深い。それからうわさに聞きましたところも、いわゆるカビの問題で、そこから付着するカビがはえるということでございますので、東京都あたりは、同じ状況で、たとえば途中の運搬ルートとか、あるいは保存方法によりまして、同一の店で二種類、三種類、いろいろな工場のものを扱っておりますから、同じことが起り得る。たとえば冷却して保存すべきものを、非常に暖かいようなところに保存の注意を怠ってやっておれば、ある会社のみならず、全部起る可能性があるというようなことももちまして、これは東京都の当局もそういう常識で広範囲にやったのだろうと思いますが、さようなことでございますので、ただいままでのところ、どこの不良品があって、それと類似の同一日の同一製品を全部回収したということは全然聞いておらないのでございまして、ただ、今までのところ、あるところでカビを中心とする不良品があったので、そういうものは評判にかかわるから売らないようにというふうな勧告が出ている、これまたうわさでございますが、さような程度までのことが、回収をしたということでわれわれの方で事実を認定したことでございまして、今のような製造過程の根本から何らかの容疑が試験の結果起って、それの類似のものが危険であるから回収したということは、今までのところまだ全然耳にしておりません。さよう御了承願います。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 それはあなたが前回委員会に来ておらぬから、今まで環境衛生部長をやっておらなかったから、そういうことになる。参考までに申し上げますが、これは五月十八日の当委員会の速記録です。恩田技官はこういう答弁をしておる。「そういった製品が市販されておりましたものを集めたかということでございますが、これがこの事件の始まりであろうと私は考えておりますけれども、事の始まりは、ある会社製品のものについてカビがはえておった。カビがはえておりますことは、場合によりましては別に有毒ではないのでございますが、商品的の価値としては非常によろしくないというようなことから、東京都がその会社に対しまして、カビがはえておったのがあるようだがということの指示をしたそうでございます。その会社といたしましては、カビがはえては商品価値的には非常に落ちるからということでそれを回収したということは、東京都から連絡がきております。そのことで砒素が入っておった」云々というような、こういう答弁なんです。そうすると、すでに東京都からの連絡があって、不良製品が市販されておるということを都は会社に注意して指示を与えた、それに基いて会社はその不良製品回収したという連絡厚生省にあったということを、恩田技官はこの委員会において答弁を行なっているのです。そういう答弁があったからして、ではその回収内容等に対しては、資料を整えて当委員会に提出してもらいたいということを前会要求しておいたのです。それがまだ提出されておりませんので、そのことは本日はやむを得ませんが、こういうふうな不良製品が市販されて回収されたという事実は厳存しているのであるから、その不良製品ができた、いわゆる製造した会社名前と、いつごろの製品がこういう不良製品であったかということは、これは当然ここで発表しても差しつかえないんじゃないですか。そういうことが言えないんですか。
  39. 尾村偉久

    ○尾村説明員 今の前の委員会のときの内容につきましてのお話でございますので、恩田説明員からお許しを願いたいと思います。
  40. 恩田博

    恩田説明員 お答えいたしますが、カビがはえておりましたことの事実は、その会社で、十月か九月か忘れましたが、昨年でございますが、すず箔を使っておったそうでございます。すず箔が重なりまして、輸送中に押えますと、ひびが入る。ひびが入ったそこに空気が入ってカビがはえるということで、その日をはっきり忘れましたが、とにかく九月か八月かのころに、包み紙の方の形を全部変えたそうでございます。あとの方はいいそうでございますが、前の方が空気が入って、カビがはえるということで、実はその前の方を全部集めた、こういうふうに承わっておるわけであります。(「会社名は」と呼ぶ者あり)これは森永の製口でありまして、容器、包装を変えます前の古い製品回収した、こういうことでございます。
  41. 芳賀貢

    芳賀委員 この機会畜産局長にお尋ねしますが、こういうような事実が昨年来あったわけですね。こういう点に対しては、農林省としても、これは厚生省の所管だといって全く無関心でおったわけではないと思うのですよ。特に畜産局としては、最も優良な製品が農民の犠牲において廉価で販売されているのだから、そういうふうな問題等に対しては今までどのような関心を持っておられたか、あるいはこういうような事実についてはどのような態度で臨まれたか、この点について御答弁願います。
  42. 谷垣専一

    ○谷垣説明員 ただいまお話のような問題につきまして、実はうわさを聞いたことはございます。従いまして担当の者に連絡をさせまして、今問題になっておりますような会社の方々と私もお会いいたしましたときに、それがどのようなことであるかということをお尋ねいたしたようなことはございます。それは、カビの問題その他のことで、厚生省の方にそれに対する検査の結果をお聞きした、こういうことになっております。ただいまお話がありました通り砒素が入っているか入っていないかという点につきましては、厚生省の方から、そういうものは検出されなかったという報告を受けておるわけであります。
  43. 芳賀貢

    芳賀委員 本日はこの程度にしておきますが、先ほど要求した資料は速急にお出しになるように環境衛生部長に要求しておきます。
  44. 川俣清音

    ○川俣委員 関連して、ちょっと環境衛生部長にお尋ねしておきますが、ただいま芳賀委員に対する答弁で、製造過程における不良ではなくて、保管または貯蔵上起きてきた不良品であるように思うという御答弁があったわけです。ところが、技官の今の答弁によりますと、包装状態は販売者の責任ではなくて、メーカーの責任に属するものであるということです。そうすると、技官と部長の答弁は違っておるじゃないですか。
  45. 尾村偉久

    ○尾村説明員 包装の規格につきましては、食品衛生法に容器、包装の規格がございまして、防湿あるいは防カピということも含めて最低基準をきめておるわけであります。これに不適格の場合には当初からいけないのでありますが、ただ、この基準以上であっても、取扱いによってはカビのはえにくいものとカビのはえるものができる、この差はどうしてもあるわけであります。非常にがっちりした包装に関する狭い基準でございますと上下ないわけでございますが、そういうことは不可能であります。たとえば非常に湿気を通すような包装では、これは基準に入りません。そこの上の方の問題であろうかと思いますので、先刻私が申し上げたような工合で、ますますよくする、保存状況か若干は完全でなくても——完全というのは、基準以上であっても、比較して完全でなくても、全くいろいろな変敗その他が起らぬようなのが望ましいので、当然そういうふうに改良さるべきことを期待するわけでありますが、先ほど申しましたように、一番もとの包装規格が衛生法に命ずる基準以下でありますと、もうそのままメーカーの責任とこういうことで申し上げたわけでございまして、ただいまのような一定数のところに、カビがその後のものよりもはえやすかったということにつきましては、先ほど申し上げた通りではないか、こう存じております。
  46. 川俣清音

    ○川俣委員 あなたの答弁と技官の答弁と食い違いがある、それをこの際訂正しておいたらどうか、こういう質問なんです。あなたは、メーカーの責任における不良ではなさそうだと言われるし、技官は古い包装の方はカビがはえたからこれを回収したと言われる。結局包装状態ですが、包装にも二色あります。あなたの言われるような包装資材自体の不良か不良でないかということ、それから包装の仕方によるということ、この二色あるわけであります。技官はどちらのことを言われたか知りませんが、おそらく古い包装は、銀紙と申しますか、包み紙がずれてそこに湿気を呼ぶような状態が起ったために、古い包装はこれを回収したのだ、こういうことです。あなたはしろうとかどうかわかりませんが、あなたの説明によりますと、いやメーカーの責任ではなかったようだ、保管の間に起ってきた状態だ、こういう答弁です。同じ省内における答弁にこういう食い違いがあるわけです。ここは委員会ですから食い違いのままで放任することはできないから、この点を明らかにされてはどうですか。私は決して責めておるのではないのです。
  47. 尾村偉久

    ○尾村説明員 今仰せの通りで、実際にはこの点私しろうとに近いので、私の方がおそらく誤まっておるかと思いますので、おわび申し上げますが、ただ先ほどのメーカーの責任云々ということでございますので、これを明らかにしておきたいと思いますが、そうでなくて、原因の探究をいたしますのに、びまん性である、いわゆる製造過程における方かどうかということまで責任問題はどちらかということははっきり申し上げておらぬのであります。いずれにいたしましても、その後の包装のやり方ならずれも起らぬが、前の包装ですと、やはりその後の保存のやり方等でずれが起りやすいということも前提になっておりますので、責任問題は別といたしまして、これにも非常に関係がある、そう存じておりますので、恩田技官の言いました方が一番正鵠を得ております。訂正いたします。
  48. 小枝一雄

    ○小枝委員長 この際暫時休憩いたします。    午前十一時五十八分休憩      ————◇—————    午後零時九分開議
  49. 小枝一雄

    ○小枝委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  澱粉及び菜種の買い上げの問題について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。田口長治郎君。
  50. 田口長治郎

    ○田口委員 私は三十一年度の澱粉の市況及びこれに基く全国のイモ作農家が、非常にイモ作について不安を呼び起しておる。この原因を探求いたしまして、そしてその対策についてこの際研究をいたしたいと思うのであります。三十一年度の澱粉の市況は、当初からきわめて軟弱でございまして、そうして好転する機会がほとんどなしに、ことに最近になりまして最悪の状態になっております。これは農林省あるいは大蔵省も御承知と思いますが、最近十貫の澱粉で、政府の買上価格に比べますと、約二百円以上値段が下っておる。この市況について、食糧庁といたしましては御存じでございますかどうか。その点をまずお伺いいたしたいと思うのであります。
  51. 斎藤誠

    ○斎藤説明員 今年度の澱粉の市況について今御質問がございましたが、今年の澱粉の市況は、今お話がございましたように、当初から比較的軟調を示して参ったのであります。それにはいろいろの原因があると思いますけれども一つには前年度に引き続いてこれを上回るカンショの生産、バレイショの生産、同時に澱粉の生産があったということと、前年度から引き続いて政府の手持ちも約三千万貫に相当する手持ちを持ってきた、こういうようなことが原因となって、当初から澱粉の市況が軟調を示してきたと思われるのであります。しかしながら、軟調と申しましても大体政府の意図する支持価格の前後をこの二月ごろまでは維持して参っておったのであります。しかしその後需要期に至るに対しては、比較的市況は上りぎみを示していない。のみならず、だんだん下って参っていくというような傾向が見えて参りまして、大体三月におきます市況を見ますと、東京におきましてはカン澱が千六百円台を前後いたしておったのであります。バレイショの方につきましても、大体はバレイショは甘澱に比べれば若干有利な市況を示しておりまして、二千二百八、九十円台を前後いたしておったのであります。このような状況に立ち至っておりましたので、三月におきまして甘澱並びに馬澱の政府買い入れを行なったのであります。その後その買い上げの効果が若干市況にも反映いたしたのでありますか、甘澱につきましては、千六百円を上回る千六百二、三十円という市況を示して参りました。馬澱につきましても、二千三百円前後を示して参ったのであります。しかし、どうもそれも一時的な現象のようでありまして、五月に入りましてから市況はまた下向きの傾向を示すようになって参りまして、最近におきましては、大体甘澱でありますと、東京の市況で千六百円を下回る。馬澱でありますと、二千二百円前後を示しておるというふうな状況になって参ったのであります。政府のそれぞれの地域における買い入れ価格と比較してみますと、甘澱につきましては約百円前後下回っておる。馬澱につきましては五十円から百円くらいの間を下回っておる、このような傾向が出ておるように考えます。
  52. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいまの斎藤部長の市況についての資料は非常に古いと思うのでございますが、六月五日の市況によっていろいろ研究してみますと、甘澱におきまして福岡で千五百円を出しておるのでございまして、政府の支持価格が千七百五円といたしますと、十貫目で二百五円下っておる。また馬澱にいたしましても、小樽の同日の現物が二千百五十円である。政府の支持価格は御承知の通り二千三百四十一円でございまして、これも大へんな隔たりがある、こういうような状態でございます。澱粉業者にいたしましても、あるいはあめ製造業者にいたしましても、農林省が厳重なる検査をして業者に売り渡したものについては、非常に検査も厳重である、従って歩どまりも非常にいい、こういうようなことで喜んでいるのですが、その喜んでいる金額はわずかに十五円か二十円の問題です。その程度ででも、非常にきわどい経営をしているこの仕事に、十貫目について二百円あるいは二百五円、こんな差が出るということは重大な問題でございまして、ひいては百姓がイモを作るということに対して非常な不安をこの相場によって呼び起しておる、こういうような状態でございますから、どうかこのいわゆる価格問題につきましては、新しい資料でもう一度研究してみてもらいたいのでございます。こういうように市況が軟調である、この原因をはっきり突きとめなければならないのでございますが、それには大体におきまして今年の馬澱あるいは甘澱の需給関係を数字的に検討してみなければならないと思うのでございますけれども、私ども資料といたしましては、甘澱につきましては大体今年の生産量は一億六百万貫程度と見当をつけておる。需要見込みが大体九千百万貫程度でございまして、今日まで政府が二回にわたりまして買い上げられた数量が九百万貫である。この数字を差し引きますと、結局今年におきまして過剰澱粉と称するものが、甘澱におきましては六百万貫程度出るだろう、こういうことを予想しておるのでございます。さらに馬澱につきましては、供給量が二千七百二十万貫でございます。需要見込みが大体二千二百六十万貫程度でないか。政府買い上げが二回で百七十万貫できております。それから次年度に百八万貫繰り込むといたしましても、どうしても百八十万貫程度が残ってくる。こういうような計算になっておるのでございますが、この数字が大体におきまして食糧庁で調査しておられる数字と合致しますかどうかという点をお伺いいたしたいと思うのであります。
  53. 斎藤誠

    ○斎藤説明員 先ほど澱粉の市況の見方について甘いではないか、こういう御指摘がございましたが、私の申し上げましたのは東京について申し上げたのでございまして、今御指摘になりましたような福岡について申し上げれば、御指摘の通り六月五日現在で千五百円程度になっております。ただ私たちの買い入れ価格につきまして、今お話になりました価格でございますけれども、一応買い入れ価格として現在公示しておりますのは、福岡が千六百五十二円でございますので、約百五十円の差が生じておる、こういうことになっておるわけでございます。  次に、澱粉の需給状況についての御見解が述べられたのであります。数字的な、大数的なものの見方以外に、今後の具体的な消費について正確な測定はできかねるわけでございますけれども、大体のところは同じような考え方をとっておりますが、私たちの推算しておるところを一応申し上げてみたいと思います。  カンショにつきましては一ことしの生産量が、カンショ澱粉は一億一千百万貫という出回りと押えております。そうしますと、消費量において——消費量につきましては水あめが大部分でございますけれども、水あめその他の消費量を大体九千七百三十万貫と押えておるわけでございます。そうしますと千三百八十万貫というものが次年度に繰り越される——あるいは今後の消費がどうなっていくかということによって変動するわけでございますが、一応の見込みとしましては、そういう推算をいたしておる次第でございます。  バレイショにつきましては、これもいろいろの見方はございますけれども、生産量は、今田口委員のお話になりましたような数量になりますが、そのうち農家の保有がありますので、出回り量としては二千四百五十万貫程度と押えまして、そのうち消費量をどう見るかということでございますが、道内消費あるいは道外への消費、あるいは政府の買い上げ等を見まして、二千二百万貫と押えておるわけでございます。そうしますと、二百五十万貫程度というものが翌年度に繰り越されることになるのではなかろうか、かように考えております。
  54. 田口長治郎

    ○田口委員 今の食糧庁の需給の数字でございますが、大体において私らの考えておることと大同小異の程度と思うのでございますが、こういう数字は、昨年の澱粉の生産及び需要の関係から、私どもが大体予想をしておったのでございます。従って、この予想のもとに、本年の市況を低落させないようにということにつきましては、再三農政研究会その他を通じまして、買い上げの時期及び数量について、食糧庁に対して申し入れをしたのでございます。その申し入れのある部分は実行されたのでございますが、ほとんど実行されないことが非常に多かった。数量の問題につきましても、時期の問題についても、同様なことが言えると思うのであります。御承知の通り、昨年の十二月から一月ぐらいまでは、業者が自主的の調整の意味で値段をくずさないような方法を講じておったのでございますが、いよいよ農産物価格安定法発動のできる二月以降になりまして、政府に買い上げてくれということを強く主張しておりましたが、そういう政府の動きがないから、三月の五日に農政研究会といたしましては、甘澱を二百万貫、馬澱が百万貫、これを下らない数字を一つ買い入れてもらいたい、こういうような申し入れをいたしたのでございますが、これによりまして、第一次の買い上げが、甘澱が五百万貫、馬澱が百万貫、これが三月の下旬になって初めて実現をされた。これだけの買い上げがありましたけれども、市況はさっぱり常態に復しない。こういうような関係からいたしまして、四月十九日の日にはさらに農政研究会として、甘澱を七百万貫、馬澱を二百万貫、これをぜひ買ってもらいたい、こういうことを申し入れますし、さらに四月十八日には、全国農協の澱粉生産業者の大会が開かれまして、大会の決議によりまして、この買い上げ数量を政府に要請をしておる。なぜこの四月、五月にできるだけよけいに買ってもらわなければならないかということは、結局、この時期が澱粉の需要期で、このときにテコ入れをしてもらいますと、効果が非常に著しい。こういう意味におきまして強く要請をいたしました。昨年の買い上げは幸いにして、私らの考えておりますように、買い上げを五回にわたって実行されまして、三月、四月に約千四百七十万貫程度買われておる。こういうような関係からいたしまして、昨年の澱粉市況というものは割合いに順調にいった。こういうようなことがあるにかかわらず、本年は、数量はわずかに九百万貫、この九百万貫の内容をさぐってみますと、第二次のものは五月の下旬になって買い上げるということを決定された。しかも、現物の受け渡しは六月一日以降にやってもらいたいという注文がついておるようである。これは食糧庁といたしましては、倉敷料あるいは金利の関係で六月一日以降にやってもらいたい、こういうような御意向で、きわめてまじめに考えておられると思うのでございますけれども、この農産物価格安定法の価格に対する発動時期は二月から六月でございまして、このために、六月一日以降に取引するということは、結局もう政府の買い上げはないものだというような印象を各方面に与えておりまして、今日この相場の出る主要なる原因になっておる。どうも昨年は非常に順調にやられた、本年は予算はあるにかかわらず、食糧庁が時期において誤まり、数量を少くしている。こういうことは、農民の生活を預かっておられる農林省のやり方としては、私らはどうも納得がいかない。ここに大村主計官においで願ったのは、こういう農産物価格安定法の適正なる運用について、予算の範囲内であるにかかわらず、大蔵省が何か食糧庁を押えているのじゃないか、そんなふうな解釈をするよりほかにこういう今年の誤まった適切でない買い上げはないというように私は考えるのでございますが、こういう買い上げの場合、食糧庁と大蔵省といかなる折衝をされるのか、また予算の範囲内において食糧庁がやられるのに折衝をされる必要があるのか、実際は折衝をされるのかどうか、その点を一つ食糧庁と大蔵省から御答弁を願いたいと思うのであります。
  55. 斎藤誠

    ○斎藤説明員 ただいま本年度の買上数量並びに時期について適切を欠いたために、澱粉の市況が思わしくない一つの原因となっておるじゃないか、こういう御指摘があったわけでございます。われわれも市況の維持、安定ということについてはせっかく安定法の運用よろしきを得て実現したいという努力は常にいたしておる次第でございます。この点についてはわれわれも全く先生のお話の通りの考えでおるわけでございますけれども、昨年度と本年度は異なりまして、本年度は御承知のように砂糖の市況も比較的高い、澱粉の市況としては比較的有利な時期であるという好条件がある反面におきまして、本年度は前年度から引き続きました三千万貫程度澱粉を持っておるということが、いかにしても一つの押えになっておる。従って今後の市況を考えます場合におきましては、やはりストックが増加し、それが今後の市況の重荷になるということは、心理的にもまた現実問題としてもできるだけ避けるべきである、かような考え方もございまして、一面政府は必要なものは適時、適量買うという考えを持ちます反面におきまして、価格調整をやる段階におきましても、このような好条件にある際に、できるだけ販売に努力していただして、ストックがふえることによって結果的には将来に値下げの重荷になるということがないようにという配慮で、実はこのような今年度の買い上げの経過をたどったわけでございます。しかしながらわれわれは予算もあることでございますので、市況が下向きになるような場合、これをささえる必要がある場合におきましては、もちろんこれでやめるという考えは毛頭ないのでございまして、必要の時期において必要な数量を買い上げるということについては十分検討いたしておる次第であります。  この点につきまして、買上数量の問題について農林、大蔵とどのような折衝をしておるのか、あるいはどうすることになっておるのか、こういうお尋ねでございますが、予算の運用の面もありますし、食管全体の会計の問題もありますので、市況をにらみながらわれわれで必要な計画量を立てて事実上の協議を大蔵省といたしてやっておるというのが従来の慣例でございます。
  56. 大村筆雄

    ○大村説明員 お答え申し上げます。澱粉の問題としましては、ただいま業務部長より御答弁申し上げました通り、現在約三千万貫以上のストックがあるわけでございます。御承知の通り食管の赤字の問題等で食糧管理調査会もできまして、食糧管理特別会計の健全化をはかるにはどうしたらよいかということを、実は調査会と、あわせて政府部内においてずっと検討して参っておるわけでありますが、その場合に農産物価格安定制度による損失というものが、相当に大きな金額になっておりまして、これをどうするかということも重要な問題になっております。そこで政府の決定以来今日まで運用のあとなどを検討いたしておりますけれども、なかなか制度自体にも問題があるようでありまして、今後制度の運営ないし制度の改善をどうしたらよいのかということは、実は内々農林省とも御相談しておるのであります。そういう場合に関連していろいろ議論が出たのでございますけれども、予算の運用としましては、すでに予算もきまっておるのでありますから、運用そのものとしては大蔵省としては特に間違っておればともかく、間違っていない限りは食糧庁の運用におまかせしておる次第でございます。
  57. 田口長治郎

    ○田口委員 今斎藤部長及び大村主計官の答弁によりまして、予算の執行については大蔵省と相談しておる。ただし予算の範囲内におきましては大体において食糧庁にまかせておる、こういうようなお話でございますが、この点はごもっともだと思うのでございます。今年のこの甘澱の予算は九百三十一万貫で九百万買っておりますが、五百万だけは前年の予算でありますから、本年の予算では四百万貫買っておる。従ってあと五百三十一万貫分だけ残っておる。馬澱は三百八十五万貫の予算でございますが、今百万貫の予算を使っておりますから二百八十五万貫の予算が残っておる、こういうようなことになっておりますが、こういうほんとうに零細農家の、しかも代替作物がないイモ作地帯の農民でございまして、米作帯で米によって生活しておるのと同等に、イモ作帯においてはイモによって生活しておる、こういう農民でございますから、予算のある限り一つ救済方法といたしまして、本年度こういうような市況を挽回するということにつきましては、政府で特別の考えをしていただきたいと思うのであります。大蔵省にいたしましても、食糧庁にいたしましても、澱粉、イモの話が出ますとすぐ滞貨三千万貫の話が出るところでございますが、この問題はこれと別に考えていただきたいのでございます。私らは昨年、一昨年以来、この三千万貫の澱粉の消費ということについては考えておりますが、これは結局ブドウ糖工業を育成することによって、完全にこういうものは消費ができる。今の澱粉の生産からいいまして、年々の澱粉を消費をして、なおこの三千万貫の滞貨の分まであわせて年々多少ずつ消化していくということは非常にむずかしい。ですからどうしても新用途を開いて、それによってこの三千万貫の滞貨及び年々生産していく澱粉の消化の問題を考えていかなければならぬ。こういうふうに考えるのでございまして、幸いにして結晶ブドウ糖の技術は非常に進んできた。私らの計算によりますと、結晶ブドウ糖一貫目が三百四十四円五十銭程度でできる、こうなりますと結局砂糖と同じ甘さに計算いたしましても、六十七円から八円程度で一斤の結晶ブドウ糖ができる、こういうところまで技術が進んで参ったのでございますから、この点を大蔵省も食糧庁も一つよくお考えになって、そうして結晶ブドウ糖の工業を育成してもらいたい。こういうことで滞貨の三千万貫は消費をいたしたい、こう考えておるのでございます。従って私どもは、この年々供給される澱粉とこの三千万貫というものは、どうしても切り離して考えていただきたい、こう考えて、いつも主張をしておるのでございます。幸いにして食糧庁といたしましても、この結晶ブドウ糖の問題については、真剣に研究し始めておられるようでございます。またわれわれといたしましても、来たる国会におきましては、政府が提案しなければ、議員提案として、この結晶ブドウ糖工業の育成法案というものを提出したい、こういうことも考えておるのでございますから、この二千万貫の問題はしばらく別に切り離しまして、本年のいわゆる余剰澱粉となっておりますところの、先ほどの計算からいたしますと六百万貫−この六百万貫のうちには、自主調整の数量は甘澱で四百三十万賞程度と思います。馬澱で百八十万貫程度と思いますが、この自主調整で現に政府の指定倉庫に入っておる澱粉につきましては、甘澱も馬澱も、当然予算の範囲内でございますから、至急政府で買い上げて、そうして今の惨状を急いで回復する、こういうことが必要であると思うのでございますが、この点について政府の方ではいかがお考えでございますか。一応御意見をお伺いいたしたいと思います。
  58. 斎藤誠

    ○斎藤説明員 お答えいたします。三月と六月一日と二回にわたって政府買い上げを行なったわけでありますが、先ほど田口先生からもお話がありましたように、現在の市況は必ずしも好調であるというわけには参らないのであります。これが市況の回復に役立つという意味におきましては、今後とも必要量を買い上げて参りたい、かように考えております。
  59. 細田綱吉

    ○細田委員 関連して。先ほど斎藤部長の田口先生への答弁を聞いていますと、糖価だけを中心に考えておられる。農産物価格の安定法の提出された当時の速記録を拝見しますと、これはカンショ、バレイショ価格の安定もあなたの方としては一つのウエートを置いておられるわけです。ところがきょうの説明を聞いてみると、糖価だけしかあなたは考えていない。去年なんかのカンショなんかの価格は、あなたも御存じだろうが、農村では十二円か十三円です。実際こんなばかなことはないですよ。十二円や十三円では農家は立っていきませんよ。そうして今度はあなたの方の買いが出てくると、ぱっと上ってくる。しかし農家はそんなものはみな手放しています。日本の農家は、そんなゆうちょうな経済余力のある農家は少い。せっかくあなたの方が買い上げるのに、これでは完全なる澱粉業者救済策です。保管のむずかしい出回り期には百姓に保管させて、そして値段をうんと暴落させて、そして保管がもう一応片づいた、順繰りに方法がつくようになって、そういう価格で澱粉業者が材料を買って、そしてあなたのおっしゃるように、澱粉価格はそれによってある程度まで維持されるかもしれないが、十二円や十三円で売っておったのでは、百姓はたまったものではない。その考慮がちっとも払われてない。これはどうなんでしょう。
  60. 斎藤誠

    ○斎藤説明員 お答えいたします。お話の通り澱粉を買い上げるということは澱粉企業の救済という趣旨では毛頭ないのでありまして、本来イモ価格の安定ということにねらいがあるわけでございます。イモ価格については、繰り返し申し上げても同じだと思いますし、先刻御承知だと思いますけれども、イモの直接価格支持をやり、それに基いてイモを買い上げるということをすれば、一番手っとり早い方法でありますけれども、イモ自身を買い上げるということにつきましては、保管技術等の点につきましていろいろ困難がある。従ってその支持する手段、方法として、澱粉を買い上げることによってイモの価格を支持する、これが安定法の建前になっているわけであります。従ってわれわれといたしましては、澱粉を買い上げますけれども、しかしイモの支持価格については当然澱粉業者から支払うべきものである、また買い上げに当りましても、そういう考慮を払って買い上げる必要があるということを、末端の食糧事務所等においても指示いたしている次第であります。従ってお話のような出回り期においてそういう事態がありますけれども、これは一つには澱粉、イモの価格を早く示すということ、第二には澱粉生産者団体にその支持価格を尊重して農家にしわ寄せしないようにしてもらう。それによって初めて澱粉が買い上げられるのだというその建前を堅持してもらい、またわれわれもそのような指導をやって参るということによって、イモ価格の安定をはかるということに努力いたしている次第でございます。
  61. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたのおっしゃる通りだったら、私が今例をあげたようにイモの価格、カンショの価格が十二円だ、十三円だ、十五円だということはありっこない。あなたの方の価格の支持と買いの出動がもっと早かったら、農家の方も安心感を持って売り急ぎもしないだろし、業者も買いたたきもしない。現実に去年はそういう価格で農家を苦しめたのです。あなたの方の行政措置としてどういうところに原因があるとあなたはお考えになりますか。
  62. 斎藤誠

    ○斎藤説明員 御指摘のように、出回り期におきましてはかような、つまり産地における出回りの不円滑、農家でいえば売り急ぎというようなことで、そのような事態が起ったことがあることも承知いたしておりますけれども、大体はわれわれとしまして農協を通じて大部分価格を調整するということが望ましいと考えているわけであります。従って結果的には澱粉が二月以降——二月から六月の間に買われるということになりましても、最後には結局澱粉価格がイモの支持価格に応ずる価格で市況が支持される、あるいは政府が買い上げるということになれば、清算払いを行うことによりまして最終的には農民に支持価格が維持できるようになる、かように考えている次第であります。
  63. 細田綱吉

    ○細田委員 あなたの望ましい話は、望ましいことはけっこうなんですけれども、私が今伺ったのは、あなたの方が二月に買いに出るということが時期を失していられる。私の茨城県はほとんどそうですからよそもおそらくそうだろうと思うが、実際十五円だ、十三円だという値段をしているのは一部じゃない。だからあなたの方の操作にどっか欠点があるのではないか、もうすでに予算措置はついているのだから、もっと早くやって差しつかえないわけだと私は思うのですが、現実に二十四円五十銭という半額のような値段で買いたたかれているという原因は、あなたの側から見てどこに原因があるか、それを一つ望ましいという話じゃなくて、去年の実績にかんがみてあなたはどう考えているか、これをお聞かせ願いたい。
  64. 斎藤誠

    ○斎藤説明員 ただいま申し上げましたように、農家から見れば、出回り期に現金を必要とするというようなことで、安い価格でもある程度売り急ぐというような事態があったと思うのでありますが、しかしこれは今申し上げましたように、澱粉の買い上げ時期をどうするかということによって必ずしも調整はできないのではなかろうか。つまり現在の農産物価格安定法に基く支持制度におきましては、生産者団体について生産者からいきなり澱粉を政府が買い上げることによって価格を支持するという建前をとらないで、まず農業団体、生産者団体において自主的に調整をやってもらう、その間において当然支持価格も示されておるわけでありますから、それに基いてできるだけ自主的な販売方法をとって、自由市場をその面においては十分に活用してもらう、そしてその自主調整の結果に基いて、どうしても市販に売ることができないといったものを最終的に政府が買っていく、こういうことで運用いたしておるわけであります。従って一時的に出回り期からすでに澱粉を買い上げるということになりますと、農業団体の自主調整というものと政府の買い上げというものが競合することにもなりまして、かえってそのことによっては必ずしもイモの支持面格を維持するという手段にはならないのではなかろうかというように思うのであります。問題は要するに業者が買う場合が問題であろうと思います。生産者団体に売りつなぐ場合におきましては、その当時においてはかりに支持価格以下の概算払いが行われましても、将来においては精算払いで返ってくるわけでありますから、問題は業者に売る場合が問題だと思うのであります。しかし農民の方から見れば、生産者団体に売りつなぐ場合におきましては、いずれ支持価格が戻ってくる、こういうことになるわけでありますので、そういう場合におきまして農民に支持価格の徹底をはかるということと同時に、われわれとしては、そういう買いたたきをしたものについて得た原料でできた澱粉は、できるだけ将来において買わないということを徹底させる以外には方法はないのではなかろうかというように考えております。
  65. 赤路友藏

    赤路委員 ちょっと関連して。今斎藤部長から支持価格の点について、できるだけ早く示すというように御答弁があった。この前井出大臣に対しましても申し上げましたが、イモ価格が暴落した一つの原因としては、政府の支持価格の発表が非常におそいのじゃないか。法律上は確かに十月の三十一日になっておるわけでありますが、今までの経過を見てみますと、十月の二十六、七日ごろに発表されておるようです。昨年の暴落の経過から見てみましても、その間半月ほどの間に非常に暴落をしている、こういういきさつがあるので、支持価格の発表時期をもう少し早く発表することはできないかどうか。この点を十分検討してもらいたい。大体支持価格を発表する基礎は十月一日現在の調査によっております。十月一日現在の調査を二十五日までに取りまとめて発表しておられるようですが、これをもう少し技術的に、せめて十日、できるなれば十五日と言いたいが、せめて十日程度まで支持価格を早く発表することができぬかどうか、この点御検討になりましたか。
  66. 斎藤誠

    ○斎藤説明員 支持価格の発表時期をできるだけ早めろという御議論は前々から承知いたしておりますので、食糧庁内部におきましても検討を進めておるわけでありますが、今御指摘ありましたように、十月一日の作況を見てきめるというふうな価格の建前になっておりますので、この点について統計調査部と、何とかもう少し技術的に早く取りまとめる方法はなかろうかということをせっかく折衝いたしておるのであります。われわれもそういう方向でできるだけ早くきめるように努力したいと思います。     —————————————
  67. 田口長治郎

    ○田口委員 私は私の質問は打ち切りまして、この際動議を提出したいと思うのであります。それは澱粉の価格安定に関する決議を本委員会でやっていただきたいのでございます。内容を読み上げます。    澱粉の価格安定に関する件   政府は、農産物価格安定法に基き、昭和三十一年産澱粉について過去二回にわたり買入を実施してきたのであるが、その時期、数量において適切を欠き、市況は引続き低落を示し、農協等の経営に重圧を加えている。   よって政府は、左記により、このさいすみやかに第三次買入を行い、市況の回復に努めるとともに、さらに抜本的に、澱粉の新用途による消費を促進し、もっていも作農家の経営安定に万いかんなきを期すべきである。     記   直ちに甘藷澱粉四三〇万貫及び馬鈴薯澱粉一八〇万貫を買入れること。  何とぞおわかり下さいまして、決議していただくように要請いたします。
  68. 小枝一雄

    ○小枝委員長 ただいま田口長治郎君より澱粉の価格安定に関する決議をいたしたいとの動議が提出されまして、その案文につきましてはただいま田口君よりお述べになったところであります。田口君の動議すなわち澱粉の価格安定に関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 小枝一雄

    ○小枝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。なお本決議の政府への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 小枝一雄

    ○小枝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  71. 赤路友藏

    赤路委員 ちょっと食糧庁がお見えになっていますので、一点だけお尋ねしたいと思います。菜種の問題でありますが、もうすでに菜種等については資料その他が食糧庁の方へも寄っておると思いますが、鹿児島県だけの実情を申し上げますと、三十二年産の菜種は、ちょうど開花期の四月が非常な雨天続きでありまして、不良天候のために、大体減収の見込みが約六〇%をこえると現在では予想されておるのであります。そこで一例をとって申しますと、菜種の鹿児島県における主産地の川辺郡の知覧町では、五月の一日に食糧事務所、県及び県の農業会議の三者が立ち会いの上で出荷の検査を行なったのでありますが、八十八俵のうちで四等が三十八俵、規格外が三十八俵、再調が十二俵、こういうような状態であって、現行の農産物価格安定法のもとで買い上げられるものは一俵もないというようなひどい状態に追い込まれておる。現在では現地におきましては、規格外の最低の価格と申しますか千五百円以下に買いたたきが始まっておるというような実情にございます。できるだけ速急にこれに対する政府の対策をお立て願わなければならぬと思う。できますればこういう買いたたき現状を阻止する上からも、四等と規格外の中にもう一つ特別に等外なり何なり名目をつけていただいて規格外上のものを買い上げていただく。そこで支持価格を出していただくということによって買いたたきが防げるのじゃないか。それも早い機会にやっていただかなければならぬと思う。法律によりますと六月三十一日までに菜種の価格支持はすることになっておりますが、できますならば一日でも早い方がいいと考えるわけです。食糧庁の方で何かお考えがありましたらこの際お示し願うと非常にけっこうだと思います。
  72. 斎藤誠

    ○斎藤説明員 本年度の菜種の作況並びにそれに伴う従来の等級等から見ますと、今御指摘になりましたように、最近われわれの方で調査したところによりますと、鹿児島県等におきましては相当四等以下の下級品が出ておるということも承知いたしておるわけでございます。大体従来の出回り量から見ますと、鹿児島におきまして六五%以上が三等以上になったというふうに統計上出ております。最近食糧事務所で調べたところによりますと、逆に四等、規格外が八割ということで本年度は非常に作況が悪い上に下級品がふえたということを承知いたしておるわけであります。そこで今後このような四等並びに規格外をどうするかということでございますけれども、まだ鹿児島県だけしかわれわれの方に資料があがってきておりませんものですから、全体の菜種価格支持という見地から今後の結果も調査した上でわかりましたならば十分それに対する処置を考えて参りたいと思います。
  73. 赤路友藏

    赤路委員 ちょうど大村主計官もお見えになっておりますので、この際一つ言っておきたいと思います。統計調査資料なんですが、これはもちろん統計調査部の方では十分現地の状況を把握されてやっておられると思う。これは単に菜種だけではないのでありまして、麦にいたしましても米にいたしましてもその通りなんです。基準反収が非常に低いわけです。基準反収が低いため実際上統計調査資料として現われてきておるものは実情からはやはりかけ離れたものが出てくる。本来ならば非常に減収しておるんだが、基準反収が低いためにどうしても数字上はその減収の実態よりも非常にいい姿のものが出てきておる。この点一つ十分お考えおきを願いたいと思う。先般当委員会で農業共済の改正の場合におきましても附帯決議で出ております通り、過去においていろいろないきさつがあったとしましても、今日の段階では基準反収をもう是正する段階にきておるのじゃないか。特に米麦のような食糧の点を考えました場合、全体の国の食糧政策を立てる上においても、今日のまま放置しておけばこれは不適正だと思う。この点は御答弁は求めません。大蔵省の方でも食糧庁の方でも十分考慮の中へ入れておいていただきたい、この点だけを希望としてお願いしておきます。
  74. 小枝一雄

    ○小枝委員長 それではこの際暫時休憩いたします。    午後一時七分休憩      ————◇—————    午後三時十一分開議
  75. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  練乳の問題について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。芳賀貢君。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員 この際、乳製品原料砂糖消費税の免税特例の問題に対して原主税局長にお尋ねしますが、特に乳製品においても練乳に対して免税措置が今日まで行われてきたのでありますが、聞くところによりますと、大カン練乳に対しては課税すべき時期であるというような説も大蔵省の中にあるようでありますが、これらの実態に対して主税局長としてはどういうようなお考えを持っておるか一まずお伺いしたい。
  77. 原純夫

    ○原説明員 加糖練乳に対します砂糖消費税の課税につきましては、乳幼児用の分を免税するという意味で、昭和十五年以来、小さいカンに入りました分について免税をいたしておりましたが、だんだんカン用の資材が逼迫するというようなことで、実際上、大カンでなければ乳幼児のものも詰めて配れないということになったことにかんがみて、昭和二十一年に、大カンのものでありましても免税にするということになったのであります。その後、そういう資材関係の事情は、もうごらんの通り、すっかり平常になったということで、これをもとに戻したいという考えが根本でございます。大カンの練乳は現在ではどういう用途に使われますかというと、菓子用に使われると言ってよろしいと思います。砂糖消費税を公平に負担していただくという意味からいいまして、菓子に回る練乳に使われる砂糖、これについて正規の税を納めていただくというのが、税を公平に負担していただくという意味から当然ではないかという考えでございます。それで先般昭和三十年にその問題を、もうよかろうというので課税しようじゃないかという話が出まして、当時ちょうど輸入の事情が非常に悪かったということもあり、かつ長く続いたので、一度にすぽっとやられては困るというようなこともありまして、本年の六月末までということで政令を出したわけであります。その政令が六月で期限が切れますので、ここであらためて措置をとるというんじゃなくて、予定のところによって課税になるという成り行きになりつつあるわけでございます。
  78. 芳賀貢

    芳賀委員 経過については一応わかりましたが、ただ問題は、もし大カン練乳に消費税をかけるというような事態にかりになった場合、どういうような影響が現われるか、その点はいかがですか。主として菓子原料に使われているというような話でありましたが、単にこれは菓子製造のそういう大カン練乳の実需者の方面に影響が現われるか、またそれはいわゆる牛乳の生産者である農民の乳価の面に影響がくるとか——課税する場合はいろいろな影響がくると思うのです。そういう点に対してはどういうような判断を持っておられますか。
  79. 原純夫

    ○原説明員 その点につきましては、全般的に申しますれば、一昨年ただいまの政令をきめました際にそういうことが検討され、当時の牛乳の非常に困った事態も考えて延ばしたということもあるわけですが、その際、通常になればはずしてもよろしかろうという判断がまずあるわけであります。その点で現在でも非常に大きな動揺期だと考えねばならぬかと思いますが、そう異常に動揺しているという時期ではなかろうと概括的に判断しております。事柄は農林省が専門的に御判断になることですが、私どももしろうとでありますが、そういうお話のような影響があるであろうということからいろいろ研究はいたしてみました。しかし総体的に申しまして、きわめて異常であるから、こういうのを残すほどのことではなかろうと思います。免税いたしますことは、これはきわめて異常なことはおわかりいただけると思うのです。砂糖の消費の中でもおそらく一番奢侈的な用途ではないかと思いますので、よほどのことでなければこれをくつがえすべきではなかろうと考えておる次第でございます。
  80. 芳賀貢

    芳賀委員 私どもは、今大カン練乳等にも免税措置が講ぜられたということに対しては、これはやはり国の一つの政策を通じて、特に生産者に対する乳価安定等の一つ措置としてかかる税の減免の特例が講ぜられたのであろう、そういうふうに高度の立場から見て理解しておったわけですが、今の局長の御答弁によると、それほどまでの配慮はなかったということですか。
  81. 原純夫

    ○原説明員 先ほど申し上げましたように、昭和十五年以来、乳幼児の飲む練乳に入る分は免税しようじゃないかということでやって参っておりますので、もちろん酪農に関係はありますけれども、それが主でやっているというふうには考えておらないのでございます。
  82. 芳賀貢

    芳賀委員 とにかく一年に三百万石くらいは、加糖練乳原料乳が用いられておるわけですね。ですから、大カン練乳の部面が課税されるということになると、当然課税分だけは現在よりも市販価格が高くなるということは予想されるわけですね。それが、単に練乳の価格がその分だけ上って、そしてそのまま需要面においても何ら異ならぬような需要が継続されていくものであるか、あるいは逆に、大カン練乳の課税によって製品高になったということが理由になって、その分だけが生産者のいわゆる乳価の引き下げということにしわ寄せがされるとすれば、これはゆゆしい問題であると考えられるわけです。ですから、この点に対する的確な判断を行なって、これに対して対処すべきだというふうに考えて先ほどの質問をしたわけですが、もう少し具体的に、原局長の明確な判断のほどを聞かせてもらいたい。
  83. 原純夫

    ○原説明員 課税になりました場合に、それがどういう影響になるかというのを、練乳の価格の面と原乳の価格の面とにどういうふうに振り分けて考えるかということにつきましては、経済原論じみて大へん恐縮でありますが、やはり両面に影響があるだろうと思います。大きく言いますれば、長く調整の過程を経て、最終的には消費者に転嫁されるものだというふうに思いますが、過渡的にはそうばかりにもいかない面がある。その成り行きは練乳の販売価格が上らない、そして原乳も動かないとしますれば、練乳製造業者、販売業者は非常な苦痛を訴えるというか、今までよりも利潤が減りますから、利潤率平均の原則といいますか、そういうようなことではやれないということで、練乳の供給を減らすというようなことになってくる筋合いであろうと思いますが、それじゃ困るからというので、買う方はもっと高い値で買うというのが出てきて、やはり練乳は上るだろうと思います。同時に、一方で、すぐにはそういう調整が完全には行われないということから、原乳を安く買おうということも出てくると思います。練乳の値が高くなれば、それだけそれに応じて練乳の消費が若干は減ってくるというふうなことも、理論上はあろうかと思います。従って練乳の方に影響がいくということもあろうと思います。  そこで原乳を吸収いたします場合には、牛乳は生乳あるいは原料用乳として使われる、その場合大カンの加糖練乳に使われる原乳の量は、私どもの教わりましたところでは、総体の供給量の一割弱だということでありますから、その一割弱のものが値切られるという傾向は出てくると思います。ただ砂糖消費税がかかるだけ、全部練乳に供給する原乳の値段が値切られるということにはならぬ。片方では最終製品の方にもそれが転嫁されていく。また練乳にいきます分も、練乳に売るのがそんなに安いなら、ほかの用途で今できておる価格で売るという方に回っていくということになると思います。これは地域的な関係もありますから、原乳供給百パーセント全部にこれが平均に及ぶということもできないかと思いますが、その辺は他の部門もかなりに吸収するという意味で、広く言えば原乳全般でその影響を受けるということになると思います。  まあ以上はきわめて当りまえの理屈を申しただけでございますが、これは一昨年砂糖消費税法を改正して政令で走めるものというふうに限って、政令でいくよう指定いたしましたときに、そういう筋合いは当然われわれも、また主管の農林省も考えたわけでございます。その影響があるからこれをやらぬということでなくて、もうそれは踏み切ってやる、ただ何分長くやってきたことだから若干の猶予を置く。その当時特に牛乳の市場が混乱といいますか、非常によろしくない状況であったということを考えましたので、何がしかの影響があるということはもちろん否定いたしませんが、通常の状態においては、それを理由にして砂糖消費税の課税公、平の見地からぜひ上げなければどうもバランスがとれないという要求と比べて、そこが若干のバランスがとれない。それは踏み切っていくというかまえできておりますので、現在としては、私どもはそれは踏み切るべきではないかというふうに考えます。
  84. 芳賀貢

    芳賀委員 この問題は、理論的に検討すれば、いつまでも長期的に加糖練乳に対する免税措置が将来とも長く継続さるべきであるというふうな説は、なかなか成り立たないのですが、この段階においてすぐ課税するというような事態になれば、先ほど言ったような、そういう需要供給面に対する影響というものは好ましい形では出てこないわけです。そこで畜産局長にお尋ねしますが、この問題に対しては、畜産局としても、必ず早晩こういうような時期がくるということは予見されておったと思うのです。もしこれが課税される場合においては、大体十一億ぐらい国の税収面においては増加することになるのですからして、一方においてはやはり今後の酪農振興あるいは乳価安定の施策というものに、このことによって狂いがくるような場合においては、やはり施策の切りかえというものを同時的にやれるような、そういうタイムリーなものが必要になってくると思うのですが、そういう点に対するお考えというものはどのように進められておったのかお尋ねします。
  85. 谷垣専一

    ○谷垣説明員 大カン練乳の免税の措置が打ち切られる問題につきましては、これは前から二年間ということでございましたので、想像はいたしておったわけであります。従いまして、それをやられる場合におきまする酪農に関しまするショック、それを受けこたえて十分にやっていけるかどうか、そういう見通しが一つ必要になってくるかと思います。その見通しいかんによりまして、そういう打ち切られた場合における対策が立てられておったかどうかということになろうかと思います。前段の果してことしの生産の見通しの状況はどうかという点をちょっとお話し申し上げたいと思いますが、これは見通しになりますので数字的に若干でこぼこがあるかと思いますが、ことしの生産は、昨年は六百十五万石程度の生産になっておりますが、これを今年度私たちが方々からの数字で計算いたしますと、大体七百四十万石程度の生産があるのではないか、かように考えております。これは昨年に比しまして約二割の増産ということになりますが、実はこれは非常に私たちの、わが国としまして経験いたしました酪農の状況から申しますと、今までにない非常な増産に相なっておるわけです。それで、この状況で今まで推移いたしました五月までの状況を、それぞれ各月に分けまして状況を見ておりますと、生産は大体この線に沿って出て参っております。当初私たちこれを考えました場合に、市乳の伸びが相当伸びるであろう。市乳は御存じの通りにこの数年来非常に伸びの激しかったものが対前年比からいうと逐次狭まってきております。絶対量は別であります。当初考えましたときに、昨年に比べまして、一割五分程度の市乳が伸びるだろう。こういうことを考え、またそういうふうに宣伝をし奨励して参ったわけでありますが、今までの状態を見ておりますと、残念ながらこの状況がその通りなっておりません。大体一割くらいの対前年比に比べまして増加しかしてない状況でございます。そういうことでございますので、昨年の二割増に相なっておりまする今後の見通しの生産量を考えますと、原料乳の方に持って参りますものが、相当多額のものを持って参らなければ相ならぬ。市乳と原料乳と大体半々ということになりますので、これを考えますと、二割五、六分程度の対前年比に対する増加を原料乳の方に持たさなければならぬということになって参るわけであります。これを各原料乳に対しまして、製品別にできるだけ正確に、私たち可能な程度にまとめて考えてみたわけでございます。それと平年のストック量その他のものと考えてみましたところが、当初計画いたしましたよりも、実は最近の市況が非常にだるくなっておりまして、かなり余剰の乳が出るのではないか、こういう実は危惧を持っております。これは三月以来業界その他の方面に、私たちの見解を数字的にも申し述べまして、それぞれの注意を実は促しておるわけであります。その後の状況も、依然として当時の状況よりも少しずつ消費の伸びが落ちておる、かようなことに相なっております。かようにいたしますると、全体の状況が、二十九年の暴落がきまして非常な乳価の抗争等が激しく起りましたあの事態に、今のところではやや似た状況がくるのではないかと、実は心配をいたしておるのであります。あのときの余剰乳は、おそらく三十万石程度のものが余剰になったかと思いますが、今年度の状況をこういう状況で考えますと、もしかしますと、その状況よりも倍近い余剰乳が生ずるように私たち数字的な見通しをして、実は心配をいたしておるわけであります。こういうような状況は、実は昨年の予算をいたしますようなときには、これほどではないという考え方を実は持っておったのでありますが、その後状況がこういうふうに悪くなっておるのであります。でありまするので、砂糖消費税の免税がこのまま続けられないといたしまするならば、やはり相当な対策というものを要求する、またしなければならない時期がくるのではないか。残念ながら、これは私たちの能力が不十分だったことに起因するかとも思いますが、今年度の乳価の対策あるいは需給対策というものが、御存じのように予算的に見ますと一千万円程度の消費増大の経費くらいで、あまり実は適確な対策になっていない結果に相なっております。でありますので、こういう事態がきておりますので、農民の方にも、またその生産あるいは消費の方にも相当厳しい影響が、こういう消費税の免税措置が切られますと起る危険が生じておるように考えるのであります。そういう点を実は心配いたしております。これにかわるべき、あるいはそういうものを十分にこなすべき状況が、平常のような状況で伸びておりまする場合には、あるいはあったかと思いますが、今年度は相当警戒を要する状態のように考えておりまして、実は憂慮をいたしておるような状況であります。
  86. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで主税局長にお尋ねしますが、今畜産局長の言われたようなことであれば、何ら受け入れ態勢は、大カン練乳に対する課税措置が行われるということに対応する態勢というのは全然できていないのですね。そういう中において、いきなり二ヵ年が過ぎたということであれば、その時期になったと思うのですが、やはり日本の今後の畜産の振興とか、農民に対する乳価安定というようなことを相当重要なものと考える場合においては、そういう面に対して悪影響が及ばないというような事前の配慮というものが先行して行われて、それから課税するということであれば、それほど悪い影響は出ないと思うのですが、結局このような形の中で課税が行われれば国の収入は十一億円ふえる。しかしその大部分が原料乳に対する圧迫というようなことになれば、これは結果的には農民の負担のもとに国の税収入がふえるということになってしまうような場合もあるわけであります。だから、ただ単に国の税収入をふやすということだけでなく、それらのものがさらに農業政策等の面に対しても有効適切にまた循環していくというような具体策はどうしても必要だと思う。特に原さんは、今日まで長年にわたって主税局次長として明快な腕をふるわれたのですから、今日の農村の置かれた経済事情というものはよくおわかりだと思う。だから国の税収がそれだけ膨脹するという場合においては、そのかわり農民に対する経済的な圧迫にはならぬというような措置を事前に十分検討される必要があると思うのですが、その点はいかがですか。
  87. 原純夫

    ○原説明員 まず先ほどの繰り返しになりますが、この免税は非常に不公平な免税である。数字でいいますれば、乳幼児の飲んでおります小さいカンのミルクは、一ポンド九十五円でございます。お菓子の中に練乳が入っている、それを食べる値段は七十円であります。これに税をかけましても七十九円程度で済むということであります。課税の見地からいってきわめて不公平ぎわまるものだというふうに思います。そこで乳幼児の免税の趣旨に返るといいます場合に、酪農市場が非常に困るという場合には考えなければならぬということは申し上げましたが、結論として、われわれしろうとがおこがましいですけれども、それほどの事態ではないのではないかと思います。なお二年間それに対する対応措置を農林省もやってこられたと思うのですが、私どもから申しますと、二年前われわれが課税の公平をしばらく犠牲にして延ばしましょうと申したときには、いろいろ御注文申し上げたわけです。その御注文を申し上げた事項について、ある程度おやりになったものもあると思いますが、まだ私どもから見て、その辺どうだったろうか。農林省は非常に事態を楽観しておられた。二年たってこれがはずれるということはもう十分御承知で、そういう経緯からいいますれば、当時われわれとしては一年を主張した、農林省は二年を主張され、いろいろ歩み寄りまして一年半にしましようかというのを、最後とにかく農林省のいう通りにしましょう、しかしこれに延ばしませんよ、よほどのことがあれば別です。そういうことでやっておるわけであります。しかもその際、三つばかりわれわれ資料として御要望したことがあります。それらを拝見しておって、完全にはできてない、もっとやるべき点がありはせぬかという感じもいたします。それは何も農林省を責めるわけではありませんが、それだけこの流通市場がずっと安定したといいますか、前よりもよくなったということがあると思います。現在それはいろいろ御心配はあるかもしれませんが、先ほど申しました非常に大きな課税上の不公平をなくすために法律を直していただき、そういう経緯を経てこの段取りをしておりますことを動かすほど、今市場が乱れておるというふうには私ども思いませんので、この際ぜひ一つ公平な課税が実現するようにいたしたいと思います。  なおこれによって十億余りの税収入がある、一方で酪農振興の手を尽さなければならぬじゃないかというお話については、私はこれによって入ります税は、要するに税を公平に負担していただくという意味で負担していただくわけでありますから、一方の酪農振興の予算についての態度は、私も去年まで主計局の次長をやって、こういう面も担当さしていただいたのですが、われわれとしては酪農については農林行政の中で最重点の一つとして考えたつもりであります。また今後日本の将来の食糧その他の関係からいいまして、酪農が非常に大事であるということはもう当然のことでありますから、今は私の持っておる仕事の外でありますが、そういう面での力は十分に尽されるのではないか、ただこれで十一億入るから酪農に出せというような御議論でなく、酪農自体の農林行政におけるウエートというような見地で、大蔵省はそれに対処するということではなかろうかというふうに考える次第でございます。
  88. 芳賀貢

    芳賀委員 最近地方を回ってみると、この加糖練乳に対する課税が行われるというような見通し等も流布されて、それが原料乳価引き下げの一つの口実になっておるのです。これは多分に乳業資本が、こういうどっちに回っても損をしないというような態度で、すでにそういう一つの伏線的な態度を用いておるというふうに考えられるのですが、全体の空気は、この課税をきっかけにして必ず乳価引き下げが前面に強く出てくると思うのです。だからそういうものはまず排除しなければいけないと思うのです。この免税措置によって、会社等がどの程度利潤を吸収しておるかわかりませんけれども、そういう企業の内部における練乳製造の過程において、どの程度会社が利潤を占めるか、あるいは不当と見えるような大きな利潤を占めておるかもしれませんが、しかし必ずしもそうでないと見られる点は、大乳業会社の場合においては、ぽつぽつ練乳製造のその企業部門を縮小するような動きが出てきておるわけであります。中にはむしろ買手に回っている会社もあるそうです。そうなると、結局課税によって中小の練乳製造企業が一番痛い目にあうというようなことも一応予想されるわけですから、今後安心できるような乳価の安定、酪農振興法等もありますけれども、これもまだ不十分な点が多々あるので、この際やはり原料乳価に対する支持制度、価格支持の安定政策というものが確立されて——おおよそ確立されるという時期にこういう措置が当然のこととして講ぜられることであれば、これはまた別でありますが、もう二年たったのだから、すぐやらなければいかぬということだけであれば、やはり先ほどから言っている影響は、必然的に原料乳価引き下げということに現われてくる。そうなれば、またせっかく今まで政府としても農政を通じて力を入れた酪農振興に対して、ある程度の後退を見るということになるので、こういう点に対しては、主税当局としても十分農林省等とも具体的な打ち合せをしたり、あるいは農林省に消極的な面があれば具体的なものを示したり何かして、積極的な対策を速急に立ててもらう必要があると思うのでありますが、そういう点に対してはどう考えておりますか。
  89. 原純夫

    ○原説明員 冒頭から申し上げましたように、この制度は酪農振興のための制度ではないと考えております。乳幼児に飲ますミルクに砂糖が入っている、それに砂糖消費税がかかる、それでは負けよう、こういう制度なんであります。それで戦後のカンがないときに、乳幼児以外のものは大カンでいくからそれも負けようじゃないか、こういうところからきておるわけですから、これは酪農振興を目的としたものではない。たまたま、その後菓子の需要がどんどんふえて、そして菓子に使われるというようになってきて、その面から、酪農関係がこれによって利益を得ておったということはありますが、これは酪農振興政策が確立しなければはずせないのだというふうに言われるのは、この制度本来の筋からいってどうも違うのではないか。ただ、そうは言っても、私どもも酪農市場が非常に不安定し、困っているという場合に、課税復活を強行するというのもいかがかと思う。しかし現在はそういう時期ではない。いろいろ御心配はあると思いますが、私ども農林省からいただいている加工用原乳の価格の足取りを見てみましても、昨年の一月四十一円でありましたのが、二円、三円、四円、五円、六円、七円と上ってきて、この四月に八円と、一度も下ったことのない、ずっといいカーブできております。夏に向いますときはそれがなお強いときだということは、私ども門外漢ですが、二年前にお約束したときに、最初私どもは一年半でどうか、それは十二月末になると悪いときだ、六月末なら一番いいときだというふうに言われたので、これから見まして、いろいろ御心配になるのはごもっともですけれども、微妙な課税の不公平をこの際公平にしたいというのに対しては、理屈が弱いのではないかというふうに考えておるわけでございます。一方で酪農振興対策を大いにやらなければならぬということは当然でありますが、この制度をそれとからめて、それができるまでというふうにおっしゃられると、だいぶ筋が私どもには納得できないような感じがするのでございます。
  90. 芳賀貢

    芳賀委員 表面から見れば、それはもちろん乳幼児用の練乳に対する免税ということで出発したことはわかるのですよ。しかし実態は、すでにこの措置が乳価安定とかそういう施策の面においてもささえをなしておるということは事実なんですね。それほどに今の畜産行政というものは貧困なんですよ。こういうささえがなければ乳価安定もくずれるということであれば、これは全く貧弱きわまるものなんです。しかし毎年のような農林予算の削減等を通じて、酪農振興をやるつたって全然予算も何もなくてやれぬというような実態に置かれておるということも、これは原さん十分承知の通りなんですよ。だからこれに課税すれば、十一億なら十一億税収がふえるということは明らかなんですから、そういう収入の面が明らかになるということになれば、やはりそれ以前に貧弱な酪農行政等の面に対して、もう少し根源を培養するという意味においても、力を入れるべきだと思うわけです。だから、そういうような見通しと対案というものが速急に確立されて、その時期にその方へ施策が移行されて、今度はもうこれは筋が通らぬから課税するのだということであれば、納得もできようし、また原料乳価に対する好ましくないしわ寄せという事態も防げるのではないかというふうに、私たちは考えておるわけなんです。だから、将来永久にこれは持続しなければならぬという免税処置でないというのは、これは何人も認めておるわけなんですけれども、二年超過したから今すぐにやらなければいかぬ、筋が立たぬからということだけでも十分な配慮に乏しいのではないかというように考えられるわけてすが、その点を繰り返して私はお尋ねします。
  91. 原純夫

    ○原説明員 結論としては同じことを申し上げることになりますが、酪農振興はもちろん必要だろうと思います。そして今度は増税で十一億余り入るというのと、酪農振興とからめておっしゃるようですが、私は酪農振興は、これで入るからどうというような問題ではなかろう、やはり農林行政の中でしっかりと柱を立てて、こういうものとは別にお考えになるべきことだろうと思います。私主計局におりましたときも、これで免税しているからちびるんだという気持は、毛頭持っておりませんでした。やはり一番大事な政策の一つだと考えておりました。従いまして、農林省の八百何十億という予算の中で優先順位を考えられて、そうして経理されるというべき筋合いのものだろうというように思います。この制度をそういうことが確立するまではと言われるのは、先ほど申したように、課税があまりに不公平になっているということと比べて、私は、言葉は強いかもしれませんが、非常に均衡のとれない御議論ではなかろうか。これはいつまでも続けるべきではないとおっしゃいますけれども、そういう見地でおっしゃれば、およそ酪農振興というものが確立されたという時期がいつになるか、こういうものは、ある意味では常に主管の農林省が配慮してやって、なおかついろいろむずかしい問題が起り得ると思うのです。ですから、こういうのを課税の公平のために撤廃が必要だろうということなら、しかるべき時期にこの免税をはずす。現在は、それが非常に市場が混乱しているということなら、私ども、もちろん考えますが、そういう時期ではない。たびたび重ねて恐縮ですが、私どもはそう考えております。
  92. 芳賀貢

    芳賀委員 課税の公平から言えば、芸者の花代というものは必ずしも公平の原則の上に立って是正したかどうかということは、これこそ主観の問題であり、また時の権力の判断の問題だと思うのですよ。だから、税制の場合においても、その税制自体の中において重点的な配慮というものが、それ以外の課税方式等を見ても、それは十分特別な配慮が講ぜられておると思うのです。この問題だけが、ことに加糖練乳の免税だけが筋が通らぬ、これだけ課税するということにすれば、わが国の税制全般が全く公平の原則の上に立ったりっぱなものになるということは、これは原さんだって思っておらぬと思うのですが、どうですか。
  93. 原純夫

    ○原説明員 花代や他の不公平を立てての御議論でありますが、私どもが仕事します場合に、こういう不公平な何があるからこれもいいだろうということでは、私どもはお役目が勤まらぬのじゃないか。やはり公平な課税の方向に持っていかなければいけないのじゃないかと思って、仕事しております。その辺せっかく御了察願いたいと思います。  なお、先ほどのお話でちょっと落しましたのは、大業者あたりが生産を縮小して、中小業者が多いんじゃないかという点でありますが、私ども、農林省からいただいて調べました資料で、は、大きな四社の製造割合が、三十一年でありますが、六三%になっております。協同乳業というのがそのほかにも大きいそうで、この割合品が農林省でも的確におわかりにならぬそうですが、これを入れますれば七〇%ぐらいは大業者の手で生産されるのではなかろうかというふうに、一応私ども数字を理解しております。つけ加えて申し上げます。
  94. 川俣清音

    ○川俣委員 関連してお尋ねしておきます。今原君から久し振りに名論卓説を聞きましたが、どうも納得がいかない。というのは、砂糖消費税の公平から言ってというのが根拠のようなのです。ところが乳幼児に税金をかけないということは、これはやはり根拠だと思う。納税力のない者、しかも国家がこれを養っていかなければならない義務を持っておるものでありますから、幼児を育てていくということは国全体、国民全体としての共同責任であります。そこで乳幼児に対して、あるいは幼児に対して、少年期にある者に対しては、できるだけ蛋白資源を供給して健全な国民を作り上げるという本来の建前からして、要は砂糖消費税の問題ではなくして、蛋白資源を供給して健全な国民を作り上げるというところに、私は問題の出発があると思う。従ってそれは単なる蛋白資源だけでは乳幼児及び幼児がこれを消化しきれないために、それに砂糖を加味して蛋白資源を補給してやるというところにあるのだと私は思う。要は砂糖消費税の問題ではなく、蛋白資源をどうして乳幼児に活用させるかという国民の責任が、砂糖消費税の免税になったのだと思うのです。そういうふうに御理解になりませんか。
  95. 原純夫

    ○原説明員 乳幼児が飲むミルクに使うのだから免税するということでありますが、それを蛋白資源論から参るか、いろいろ考えようがあると思います。乳幼児のものだから免税するということで私ども考えております。
  96. 川俣清音

    ○川俣委員 乳幼児とか幼児とか青年期にある者は担税能力のないことは明らかです。従ってなるべく担税能力のない者には課税しないというのが私は税の原則だと思う。担税能力のない者、一人前の国民となり得ない者をお互いが共同して育て上げるというのが国民全体の、また国としての共同責任であるというところから、ほかの者が税を負担するかわりに乳幼児にはできるだけ負担させないということから砂糖消費税の免税になって現われておる、こう理解しておるのです。今乳幼児という表現がございましたが、これは乳児も同じであります。幼児も同じであります。結局青年期に達するまでの間国が保護していかなければならないものであるという理解に立ちたい。そこで砂糖消費税が不公平だといいますけれども、今日乳菓品、——おもに牛乳が入っておるお菓子はおとなが消費しておるか、幼児が消費しておるかといえば、練乳等は乳幼児でありましょうが、乳菓品になりますると、これは乳幼児でなくて乳児です。りっぱなおとなはあまり乳菓品は手にいたしません。生菓子であるような砂糖は別であります。生菓子と乳菓品と砂糖に対する負担能力が違うのです。もちろん高級なものに入り得るでありましょうが、乳菓品という牛乳が入っておるものは、需用の対象になるものは青少年期以下のものなんです。広告を見てごらんなさい。乳菓品の広告を見てもおとな向きの広告など一つもございません。みな少年期以下の者を対象にした宣伝ばかりです。乳菓品というのは大体練乳から離れた幼児、または少年期に入る者を対象にしての製品であることは間違いない。ということは広告自体ごらんなさい、莫大な広告費を使っておりまして、対象になっておるのは少年期以下の年齢期にある者です。従って乳幼児の砂糖には課税しないが、幼児になると一四、五才になると課税するということは、必ずしも税の公平な分配とは言いかねると思う。乳菓品というものは幼年期ですよ。少年期に入るとだんだん離れていく。従って二才までは免税で、三才からは砂糖の消費税をとるというようなことにはどんなにしたってならないと思う。あなたがずいぶん名論卓説を吐きますけれども練乳を離れると砂糖消費税を納めるのが当然だという議論にはならないと思うがどうです。
  97. 原純夫

    ○原説明員 結論的には、私どもは菓子に使われる練乳に入る砂糖は、砂糖消費税を負担していただいていいのじゃないかと思います。乳幼児と幼を非常に広く解釈されると何でございますが、大体砂糖消費税法第十八条の一項一号に「れん乳及び粉乳」とあって、「うち、政令で定めるもの」となっておって、二号には「育児食」として乳児に供される物品というようなことになっております。ただいまお尋ねの角度でいえば、乳児でお母さんが乳が出ない、ミルクで補うというようなところ、これは担税力といいますか、それを考えて免税するということが、これをもう少し広げて、お菓子は子供がたくさん食べるからということでかけないという御議論には、考えようですけれども、そうはならぬのじゃないか、少くとも現在の法律上の建前はそうはなっておらないというふうに考えられます。   〔吉川(久)委員長代理退席、芳賀委   員長代理着席〕
  98. 川俣清音

    ○川俣委員 私は法律の建前を聞いておるのではない。あなたは筋を通さなければならない、公平な負担を求める、こういうことなんです。そういう趣旨でおっしゃるから、それについての質問を展開しておるのです。ですから二才までは免税にすべきだ、三才以上になるとおとな並みに砂糖消費税を払うべきだというのは公平な議論とはならない、おそらく負担の問題からいけば、満十八才以上が食うようなものは、これは担税能力はあるとして、砂糖消費税をかけるということはいいでしょう。おそらく今日の日本の法律の限界は、そういう公平な分配ということになると、法律上の成年期というもので区別されると思う。二才、三才の区別というものは日本の法律ではないです。公喜平な負担を求めるというからには、満十八才を区切って公平な負担能力を負わせるということなら別です。二才までは免税してやる、三才になれば免税しないというようなことは、日本のあらゆる法律を見ても出てこない。それで砂糖消費税の公平な負担を求めるのだ、こう言われることは根拠がないのではないか、こう言っておるだけです。むしろ公平ということになれば、日本の法律上の成年期であります十八才からどんなものに砂糖を消費するか、こういうことになると思う。これは先ほどからあなたに説明しているように、乳菓品は大体高等学校に入るようになればだんだん消費は薄らいでくる。むしろもっと砂糖直接のものを求める。蛋白質と脂肪と砂糖と三つを一緒にして体を造成して参るというか、組織作っていくという必要性から生まれてきている乳菓品というものは、成長の一番盛んな十四、五才までに多く消費されるものでありますことは、これは明らかであります。広告を見てごらんなさい。大人が食うような乳菓品の宣伝は一つもありませんよ。みな幼児の健康のためにこのお菓子を食え、こういう宣伝をしておる。これは子供が読めないから、親を刺激して、親の懐を略奪するためにか、あるいは親の懐に食い入るために、子供をよく育てるためにはこの乳菓品を食わせろというようなことを言う。カルケットであろうと、明治製菓であろうと、森永製菓であろうと全部そうです。青年期の子供のためにこの乳菓品を買えなんて、だれも宣伝しておりませんよ。これによって、これらの乳菓品はだれが対象になっているかということは、明らかなんです。それらのものと二才のものとを区別することが公平だ、こういう議論は私は成り立たないのじゃないかと思う。この点はどうですか。
  99. 原純夫

    ○原説明員 専門の大家であらせられる川俣委員にこういう問題で議論めいて申し上げるのは大へん恐縮でありますが、私しろうとでよくわかりませんですけれども、歩ける子供が食べる菓子の中に入っているミルクというのは、その菓子を食べさすというのは、動物蛋白をとらすために食べさすのか、甘いから、おいしいから食べるのかといえば、私はあとの方だと思います。キャラメルにしても、チョコレートにしても、その他の菓子になっているものにしても、要するにそれは甘くておいしいからであって、そういう意味からは、和菓子と別段選ぶところはないと思います。担税能力について、十八才までのものといいますと、砂糖消費税は全体で五百三十億をこえる税収でありますが、そのうち相当部分がこの十八才までの人で消化されていると思います。消費税というものは、そういう場合であっても、とにかく大原則としてとる。その中で乳児の哺乳用の分だけは、これは特別の事情があるからというので、きわめてわずかな例外として認めているということであって、お話のような子供一般が食べるものに使うというのは、そういう趣旨ではない。どうも子供に食べさすものはどういうのがいいのかという議論を申し上げるわけではないですが、これは税をどうしてもはずさなければならぬというようなものではないように思います。
  100. 川俣清音

    ○川俣委員 これ以上は議論しません。   〔芳賀委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、主として子供に使われるようなものは課税をしないということが税の原則だと思う。汽車にいたしましても、バスにいたしましても、床屋にいたしましても、どれだけ一体子供の頭が、子供の乗車賃が安くできるかといえば、これは理屈からいけば、子供だから半額にしてよろしい、四才以下だから乗車賃をとらないでよろしいということにはならないと思うのです。その理屈からいけば、四才であろうと、やはり一つのベースを占めることは間違いない。汽車においても電車においても、四才以下であるから、母と一緒におるから席を占める率は少いというようなことはないと思う。やはり四才未満のものについては、これはできるだけお互いが助け合おうという国民性と申しますか、人類性から私は出てきていると思う。十二才未満のものについて乗車賃を半額にするということも、これは別に一人前の席を占めないからだという理屈じゃないと思う。そういう意味からいって、五、六才のものが生菓子を食うか、乳菓品を食うか、あなたのお孫さんでも調べてごらんなさい。おそらく乳菓品に甘さを求めているのじゃないです。やはり自然に、知らず知らずの間に知っております。乳菓品というものについての母から受け継いだ当時の記憶を求めて乳製品に飛びつくものだ、これが一つです。これはこれ以上議論しません。  それからもう一つ、あなたは芳賀委員の質問に対して、酪農振興について非常に努力されたようなことを言われますけれども、今までは競馬の益金で畜産局が成り立っている。一般会計からなんかちっとも援助を受けていない。税金はとられていますけれども、畜産局は競馬の益金で成り立っているようなものです。一般会計から出ていると思っておられるならそれは錯覚ですよ。もし錯覚でなければ、今後改めていただければ非常にけっこうだと思います。ほんとですよ。税金から畜産振興に回されているのは非常に少いのですよ。ほとんど役所の人件費は競馬の益金です。大体競馬の益金と役所の予算とがパーになるくらいより認めない。それ以上一般会計から繰り入れられるようなことはなかなか大蔵省は今まで認めてこなかった歴史を見ればわかる。これは今後改められれば別問題であるが、従来は少くとも芳賀さんに対する説明のようなことではなかった。これはどうです。
  101. 原純夫

    ○原説明員 私の申し上げたのは、競馬の益金から出ているのであっても、それは国民が出した金の中から出しているのだから財政として出しているのと同じだ、こういうことを申しげたのです。よく競馬の益金は畜産に使え、ガソリン税は道路に使えという式の議論が多いようでありますけれども、それはある費目についての支出を確保したいということから、大体ただいま申しました二つの例両方とも、私ども財政をやっている立場においては、そういうふうにひもをつけられるのはよろしくない、全体一兆なら一兆あるうちで、どうしても必要な歳出ならば、それは政府の判断において、ガソリン税の倍になってもあるいは競馬の益金の何倍になってもやるべきだというふうに思う。そう一々ひもをつけられるのは、全体における判断に自信がないといいますか、——そういうようなことを前提としないと成り立たないわけで、おかしいということを申し上げているわけです。従いましてひもがついているということは承知しておりますが、ひもがついているからそれは国民一般が納めた金の中から出しているのではないというのではなくて、やはり一般が納めた金の中から出しているのだというつもりで申し上げているわけで、私今主計局を離れましたのでおこがましく言うのは何ですが、いろいろやっておりますと、応援するというと語弊がありますが、一緒になって力を入れてやっていこうじゃないかという項目はあるわけです。私は何もここのお話だから皆さんにへつらう意味で申しているのではありません。実際やっている間に、やはり大蔵省の財政担当の向きで、やはり畜産は大事だということはほんとうにそういう気持でやっているのでありまして、額が小さいということは、大きくいえば全体の予算総額の問題であり、また農林省としては農林省の予算のワクの中におけるいろいろな振り合いの問題であるので、その点は十分満足いただける額にはいっていないかもしれませんが、そういう気持は間違いなく持っているわけで、これは一朝一夕に変るものでもなく、日本の将来の長い酪農のことを考えまして、これが非常に大きなウエートを持つということは私も疑わぬところでありますから、その点は予算が貧弱だからと言うだけでなしに、むしろ御鞭撻いただく。また大蔵省としても、そういう線をなお勉強し、進んで考えるということにすべきじゃないか。これはただいま所管外のことでありますから、主計局もおそらくそういう気持でおると思います。ただその場合に、これで十億余り入るから、あれで出せというようなことはおっしゃらずに、それなら農林省よ何百億の予算があるのだから、酪農は大事だから、これには幾ら充てろ、それで農林予算が足らなければ、大蔵省よ、農林は大事なんだから、八百億でなくて千億出せ、ほかを縮めても出せ、それが全体の判断になりますればそれでやっていく。やはり優先前後の関係はその年その年いろんな情勢によっても変りまするし、じっくり全部のこまを並べて考えたい。大へん教科書論じみて参りますが、その気持でおります。
  102. 川俣清音

    ○川俣委員 今局長がみずから前のことを言われたというわけでもないでしょうけれども説明し直されたから、それで了承いたさないわけでもありませんが、何か一般税金の中から畜産振興に向けているのだというような御意見があったから、そうじゃないということだけを提起しただけなんです。確かに競馬の益金もまた税と同じ性質のものだ、こういうふうに論じられる。そうではなく、一般税収入の部分から向けておるというような説明でありましたために、この際注意を喚起いたしただけでございます。  それからもう一つは、何と言いましても、日本の食糧のうちで一番経済的に価値のあるものを作り出すのは、ことに蛋白質においては、日本の将来性から考えて酪農に求めなければならぬ。おそらく将来も、生産が今過剰だといわれるほど過剰でありながら、これらのものを消費できないでおるということは、まことに残念なことであります。しかしながら実際から言って、このくらい動物性の蛋白質が日本の生産の中で割安に供給できる状態にまで至ったわけです。これがもしも一朝何らかの機会でつぶれますと、日本の農業、酪農というものはまだ地盤が浅いために、非常に大きな打撃を受ける。この打撃を受けて回復させるには、やはり一般会計だけでは回復させることはできないようなものであるほど底が浅いので、それだけにそのときに一般会計から大きな金をつぎ込んで突つかい棒をすることよりも、やはり常々これを支持していくというやり方の方が、国民経済の上から言っても、国家経済の上から言っても私は必要じゃないか、これが要点なんです。これは非常に底が浅いものなのです。まだ十分基礎ができているとは言いかねる。そこにちょっとしたいわゆる税金の問題等も、普通の経済状態であるならば、これによって大きな打撃を受けるようなばかな話はないとも言えるのです。だけど日本の酪農というものは、ことに最近の状態というものは、わずかなことにすら非常な大きな打撃を与えるような状態であることを芳賀委員がるる説明されたと私は思う。決して一年待て二年待てというのは気休めだとあなたは言われるかもしれませんけれども、農村におりまする者から見ますと、これは非常に危険だという感じが強いのです。もう少し何とかならないかという感じをいたすのは農村におる者の共通の見方だと思うんです。おそらく大蔵省から離れて、地方の財務局、税務署あたりに行かれますると、われわれと同じような感じを持たれるのではないか。税務署あたりは、直接税の対象になっておる農家でありまするから、どの程度の底があるかないかということはよくおわかりだと思う。牛を今放すか放さないか、売りに出すか出さないかということについては非常に敏感である。私は大蔵省が敏感でないとは思わない。あれだけの出先機関を持っておられるのだから、農家経済については非常な敏感性を持っておられなければ、今日の国税を完全に税法通り取り集めることの困難なことは、税務署自体が一番よく知っておられる。それほど酪農家というものは不安定な状態にあるわけですから、この際もう一度考慮してもらえないかということになるのですが、原さんどうですか、ここまで話をしたら、もう一ぺん考慮してもらいたい。
  103. 原純夫

    ○原説明員 どうもせっかくいろいろおっしゃられるのにかたくななようなお答えになって恐縮でありますが、私やっぱりもちろん影響がないとは申しませんけれども、何せい菓子に行く分の砂糖を免税しておかねばならぬというのは、どうも理屈が通らないのじゃないかということで、もうその点については、先般二年前に法律を御改正願ったときに御承認願っているわけです。ただそれはすぐじゃいけないということと、当時二年前は非常に市況が悪かったということから、御相談して二年となっており、そうなれば、大体普通の市況であれば思い切ってやっていただくということに当然なっているのではなかろうかと思いますので、酪農振興についていろいろ御心配があり、それについて努力せねばならぬということはあると思いますが、先ほど来るる申し上げておりますように、私どもしろうとながらにいろいろ伺い、調べてみて、なるほど御心配は尽きせずあるだろうと思うのですが、まあ全体として判断いたしますれば、ここでやはり一昨年御改正願った法律の趣旨を実現するということにしていただいてよろしいのではないだろうかというふうに思いますので、大へん恐縮なお答えでありますが御了承願います。
  104. 川俣清音

    ○川俣委員 お菓子お菓子と言われますけれども、乳菓品となま菓子とは違う。なま菓子の方は大体糖分の量も多い。乳菓品というのは糖分の量はわずかしか入っていない。それにしてもなお膨大に消費されておりまするのは、それだけ需要がもちろん多いからである。需要からいってなま菓子よりは多いかもしれない。しかし一個のお菓子の重量から言うならば、なま菓子の方が何十倍と大きい砂糖が入っている。乳菓品の方はごくわずかなんです。何匁当りの砂糖の量というものは少いのです。私きょう持ってきていませんが、ちゃんと調べて持っています。なま菓子百匁に対する砂糖の投入量に比して、乳菓品百匁に対する砂糖の投入量は非常に少い。わずかであるけれども乳菓品の方が比較的お菓子としても砂糖の量が多いということは、いわゆる乳菓品なるものの需要が非常に多いということである。なぜこんなに需要が多いかといえば、親はあえて子供のためにこれに対して家計費をさいて使っておる。そうすると子供については他に免税措置があるから、このくらいのことは親が負担すべきではないか  ということでありますが、これはかなり大きな負担なのです。先ほども十二才未満の児童の運賃の話をしたように、他に根拠があれば別ですが、それが唯一の根拠であるとしますならば、決して不公平ということにはならないと思う。お菓子といいましてもなま菓子と乳菓品とは本質的に違うということを考えて公平に——原さんから公平という考え方を取ってしまえば原さんの値打ちは全然ないと思う。あなたの信念としての公平性を主張されておることについては異議がない。しかし公平性を言いながら実際は乳菓品となま菓子と同じく取り扱うというのが公平だと言われるその公平さには賛成しがたいということなのですから、今答弁は求めませんが、原さんの聰明さをもってもう一ぺん御研究になって処置されんことを望みます。
  105. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 先ほど芳賀委員からの質疑や御意見やらで大体尽きていますが、私もこれは全く同感です。従って重複するようなことになるかもしれませんが、一言お尋ねしたいと思います。原さんは農村の事情や酪農方面の事情はよく御承知になっておるのですが、免税措置がもちろんあなたの言われるように酪農振興のためではない、これはその通りです。しかし現実においては結果としては酪農振興に相当大きな役割を果しておるのです。だから今これを復活しようということが伝わりますと、御承知のように全国の酪農民がほんとうにこの問題を心配して、一齊に立って、再び課税にならぬようにということをやっておるわけです。そこで酪農という問題ですが、酪農振興ということについては、先ほどのあなたの話を聞いても十分御理解がある。この点については私もあなたと同じ考え方だけれども、その見方がもう少し私は深く考えているつもりなのです。今日本の農業が曲りかどにきておるといわれておりますが、酪農振興という問題は、単に農家経営を安定させ、向上させるということだけじゃないと思うのです。これは農村政策ではないと思うのです。食糧の問題やあるいは国民体位の向上の問題、こういうものをあわせて考えると、まさに酪農振興という問題は日本としては大きな一つの国策じゃないかと思うのです。ところが今あなたのおっしゃるように、これに一つ税金をかけようということになると、酪農振興で一番大きな問題は乳価の問題だと思うのです。そのほかに飼料の問題であるとかあるいは牛を導入する資金の問題であるとかいろいろありますが、今現実にやっておる酪農民の一番大きな問題は乳価の問題です。この乳価の問題にどの程度影響があるかということは別といたしまして、とにもかくにも少からざる影響がくることは、だれが考えても当然考えられるのです。ですから課税の公平論が今あなたと川俣委員との間にだいぶかわされましたが、なるほどその限りにおいては私もあなたの言うことはわかる。しかし乳を入れた菓子というものは特定の階級、特定人が食べるのではなくて、国民全部が食べるのですから、課税そのものからいけば一応あなたのような理屈は立つと思いますけれども、消費の面からいえば、菓子というものは当然あまねく国民が食べておる。そういう点からいって、やはり川俣委員と同じように課税が不公平だということだけでこの措置を廃止しようということはどうしても私には納得ができない。せっかくあなたも酪農振興というものを十分お考えになっておるし、今国としては酪農振興法を作って大いに酪農を振興していこうとしておる。今日本の農政を考えると、酪農というものを農政の中心の柱にしてこれからはやっていかなければ農家経済の立て直しはなかなかできないと思う。国際関係の情勢を見てもその通りです。私も先ほどの委員の意見と同じように、これを永久にこのまま続けろ、こういうのじゃない。それは認識の相違ですが、原さんは、もう諸般の情勢をながめてこの際免税措置をなくしてもいい、こういう認識のようですが、先ほどの畜産局長からの話を聞いても、一割五分を見込んだ市乳というものが思う通り伸びない、わずか一割しか伸びてない、そういうことになると原料乳への依存度というものが非常に高くなって参る。そのやさきこういうことをやったらその及ぼす影響はまことに容易ならぬと思う。元来こういう特例をさらに続けてほしいなんということは非常に好ましくないことなんで、われわれも原さんの考えるように即座にこういうことはやめていきたい。しかしそれほど健全な酪農経営になっておるかというと、わずかなこの特例を廃止するということは大きな響きを与える。だから全国の酪農民がどうしても困るということで今陳情運動を盛んにやっておるわけですが、この点は何といっても一つお考え願いたいと思うのです。私は今これを課税するということは絶対に時期が悪いと思っておる。しかも先ほどの畜産局長説明にもあったように、ちょうどこの秋からは二十九年の一番最悪のあの大暴落を来たしたあの年の様相に似てきつつあるやさきですから、何も三年も五年も十年も待てという話じゃない。これは一つほんとうに原さんにお考え願って、今わずかなことで——酪農振興々々で乳牛の導入も相当にいきまして生産もふえて参った。この方面は非常に順調なんです。こういうわずかなことでその芽をつむというようなことは、酪農振興の上においてこれは少からざる悪影響があるということは、だれが見てもそうだと思うのです。ですからこれは単に十億の税金あるいはその課税の不公平、公平、二、れもありましょうけれども、もっと大きな見地に立って、日本の農政というものをどうするか、また一つの国策としての酪農振興の上に少からざる支障になることは明らかですから、これはぜひ延期をしなければならぬと強く考える。それは理屈はどういうふうにでも立つでしょうけれども、現実はそういうわけなんです。せっかくこれまで順調に伸びてきた酪農というものに少からざる障害がいくことだけは間違いない。ですからこの際こういう点をぜひ十分に大蔵省の方もお考え願って、そうして適当な時期までこれを待つということにやってもらいたいと思うのです。あなたのお考えは大体先ほどからのお話でわかってはおりますが、そういう方向にどうしてもお考えを変えていただきたい。もう一度くどいようですが一つ御意見を承わりたい。
  106. 原純夫

    ○原説明員 先ほどお答え申し上げましたように、私といたしましては非常に異常であるから延長して、この際免税をはずすことをやめるべきだというふうには思いません。こういう不公平な課税はやはり公平にすることに持つていかなければならぬ。今はもう問題にならぬというような時期ではないと思います。  なお先ほどのお話の中で乳菓、乳製品といいますか、練乳を使ったお菓子はみんなが食べるのだから免税しても公平だというお話がありましたが、これは税をやっておる身ですと、そんならお菓子にいく練乳よりも、一般に料理に使う砂糖の方は、いなかだと塩でやるというような話を聞いたことがありますが、近ごろはもう料理の砂糖というのは、それこそお菓子以上にみんなが食べる、それを負けてしまうかというようなお話になりますと、そういうのに比べますと、練乳の砂糖というのはやはりそういう系統の消費の中では、むしろ税の対象としてはより適当じゃないかというふうに考えますので、その辺ちょっと私どもの考えをつけ加えて申し上げさしていただきます。くれぐれも酪農振興の必要なことは私どもも十分わかっておりますけれども、何分これだけの大きな不公平を直そうということでありますから、情勢を大きく御達観いただいて、まあまあという時ならば踏み切っていただく時ではなかろうかというふうに考えますので、重ねて申し上げにくいなんでありますが、お願いいたします。
  107. 五十嵐吉藏

    ○五十嵐委員 みんなが食うのだから免税しても公平だ、私はそうは言わない、決してそうは考えておりません。確かにあなたの話はよくわかるし、それを否定するものではない。しかしこれは別に特定の人あるいは特定の階級の人だけが食べるものじゃないからということを申し上げたんで、それが公平だとは言わないわけです。  そこでどうもやっぱり考え方に相当開きがあるようですが、結論は時期の問題なんでして、あなたは不公平だ、不公平だ、不公平の課税、これが論拠らしいのですが、その点も決して否定はいたしません。ただ問題は、現在今直ちに課税するということはいかにも影響が大きいということなんです。あなたは、もう少し大きな目で見て、大局を見た方がいいというお話なんですが、それは私の方からお願いしたい筋なんです。あなたに一つ大局的に見てもらって、わずかな税金で、農民大衆に、しかも酪農振興の上に影響がある。だからさっきからほかの委員も言っておるように、大局的に見て、そうしてこの点は一つ延ばしてもらいたい、また延ばすべきである、こう言っておるのです。それは私の方から御注文申し上げることです。これは幾度繰り返しても同じですが、しかしこれは原さんもう一段とお考えを願って、ほんとうに酪農振興というものがいかに大事であるか、そこを一つぜひ——これはほんとうに容易ならぬことだと思うのです。だから全国の酪農民がこれだけ騒ぎをやっておるのです。これでは何としても大きな政策としては一まるっきりちっぽけなわずかに十億くらいの税金で、これが不公平だ、不公平だ、だからこうするんだということは、私はどうかと思う。ぜひそういうことにお考えを変えていただきたいということを強く要望して質問を終ります。
  108. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 主税局長、私はあまりものを言わぬことにしているのですが、この問題については野党の諸君だけが熱心にやっておることじゃない。あなたのただいままでの御答弁を伺っておりますと、合理主義を貫かれておる、非常によくわかる。ところが日本の農業というものが、ことに新興の酪農業というようなものが合理主義の上に立っているのか、合理主義で貫かれているのかということになりますと、これは非常に問題があるのです。そこで野党だけじゃない、与党も、超党派でこの問題は熱心に継続すべしということになっておりますので、もし合理主義の上からいってあやまちであるとするならば、けがの功名ということもある、結果が国民のためになればそれでよろしい。それが国全体のためになればそれでよろしいのでありますから、われわれはそういう見地に立っておりますから、十分一つ高所大所からもう一ぺんお考えおきを願いたいということをあえて申し上げておきます。
  109. 小枝一雄

    ○小枝委員長 それではこの際暫時休憩いたします。    午後四時四十六分休憩      ————◇—————    午後五時三十一分開議
  110. 小枝一雄

    ○小枝委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  調査いたしております大カン練粉乳用砂糖消費税の免除措置に関する件について、自民、社会共同で決議をいたしたい旨の申し出があります。これを許します。芳賀貢君。
  111. 芳賀貢

    芳賀委員 この際自民党並びに社会党共同をもちまして、大カン練粉乳用砂糖消費税の免除措置に関する決議を行いたいと思います。まず案文を朗読いたします。   大罐練粉乳用砂糖の消費税は、乳製品の需要増進による国民食生活の改善と酪農の振興を図るための重要施策として、政令により昭和三十二年六月三十日まで課税延期の暫定措置が講ぜられているのであるが、乳製品に対する有効な需給調整機構の確立をみない今日、不用意に右の措置を廃止する場合においては、一面、原料乳の買い叩きが行われるとともに、他面、乳製品価格の高騰を招来して需要の増進を阻み、その結果、発展途上にある酪農業の基礎を危くし、農業経営の安定に重大なる支障となるおそれがある。   よって、政府は、直ちに砂糖消費税法の規定に基いて制定する政令を改正し、乳製品需給調整機構の確立をみるまでの間、大罐練粉乳に対する免税措置を継続すべきである。
  112. 小枝一雄

    ○小枝委員長 ただいま芳賀君より提案されました自民党、社会党共同提案による大カン練粉乳用砂糖消費税の免除措置に関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 小枝一雄

    ○小枝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお本決議の政府への参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 小枝一雄

    ○小枝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
  115. 谷垣専一

    ○谷垣説明員 大蔵省の政府委員がおりませんけれども、大蔵省の方と連絡をいたしまして、決議の趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
  116. 小枝一雄

    ○小枝委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十四分散会