○五十嵐
委員 先ほど
芳賀委員からの
質疑や御意見やらで大体尽きていますが、私もこれは全く同感です。従って重複するようなことになるかもしれませんが、一言お尋ねしたいと思います。原さんは農村の事情や酪農方面の事情はよく御承知になっておるのですが、免税
措置がもちろんあなたの言われるように酪農振興のためではない、これはその
通りです。しかし現実においては結果としては酪農振興に相当大きな役割を果しておるのです。だから今これを復活しようということが伝わりますと、御承知のように全国の酪農民がほんとうにこの問題を
心配して、一齊に立って、再び課税にならぬようにということをやっておるわけです。そこで酪農という問題ですが、酪農振興ということについては、先ほどのあなたの話を聞いても十分御理解がある。この点については私もあなたと同じ考え方だけれ
ども、その見方がもう少し私は深く考えているつもりなのです。今日本の農業が曲りかどにきておるといわれておりますが、酪農振興という問題は、単に農家経営を安定させ、向上させるということだけじゃないと思うのです。これは農村政策ではないと思うのです。食糧の問題やあるいは国民体位の向上の問題、こういうものをあわせて考えると、まさに酪農振興という問題は日本としては大きな
一つの国策じゃないかと思うのです。ところが今あなたのおっしゃるように、これに
一つ税金をかけようということになると、酪農振興で一番大きな問題は乳価の問題だと思うのです。そのほかに飼料の問題であるとかあるいは牛を導入する資金の問題であるとかいろいろありますが、今現実にやっておる酪農民の一番大きな問題は乳価の問題です。この乳価の問題にどの
程度の
影響があるかということは別といたしまして、とにもかくにも少からざる
影響がくることは、だれが考えても当然考えられるのです。ですから課税の公平論が今あなたと川俣
委員との間にだいぶかわされましたが、なるほどその限りにおいては私もあなたの言うことはわかる。しかし乳を入れた菓子というものは特定の階級、特定人が食べるのではなくて、国民全部が食べるのですから、課税
そのものからいけば一応あなたのような理屈は立つと思いますけれ
ども、消費の面からいえば、菓子というものは当然あまねく国民が食べておる。そういう点からいって、やはり川俣
委員と同じように課税が不公平だということだけでこの
措置を廃止しようということはどうしても私には納得ができない。せっかくあなたも酪農振興というものを十分お考えになっておるし、今国としては酪農振興法を作って大いに酪農を振興していこうとしておる。今日本の農政を考えると、酪農というものを農政の中心の柱にしてこれからはやっていかなければ農家経済の立て直しはなかなかできないと思う。国際関係の情勢を見てもその
通りです。私も先ほどの
委員の意見と同じように、これを永久にこのまま続けろ、こういうのじゃない。それは認識の相違ですが、原さんは、もう諸般の情勢をながめてこの際免税
措置をなくしてもいい、こういう認識のようですが、先ほどの
畜産局長からの話を聞いても、一割五分を見込んだ市乳というものが思う
通り伸びない、わずか一割しか伸びてない、そういうことになると
原料乳への依存度というものが非常に高くなって参る。そのやさきこういうことをやったらその及ぼす
影響はまことに容易ならぬと思う。元来こういう特例をさらに続けてほしいなんということは非常に好ましくないことなんで、われわれも原さんの考えるように即座にこういうことはやめていきたい。しかしそれほど健全な酪農経営になっておるかというと、わずかなこの特例を廃止するということは大きな響きを与える。だから全国の酪農民がどうしても困るということで今陳情運動を盛んにやっておるわけですが、この点は何といっても
一つお考え願いたいと思うのです。私は今これを課税するということは絶対に時期が悪いと思っておる。しかも先ほどの
畜産局長の
説明にもあったように、ちょうどこの秋からは二十九年の一番最悪のあの大暴落を来たしたあの年の様相に似てきつつあるやさきですから、何も三年も五年も十年も待てという話じゃない。これは
一つほんとうに原さんにお考え願って、今わずかなことで
——酪農振興々々で乳牛の導入も相当にいきまして生産もふえて参った。この方面は非常に順調なんです。こういうわずかなことでその芽をつむというようなことは、酪農振興の上においてこれは少からざる悪
影響があるということは、だれが見てもそうだと思うのです。ですからこれは単に十億の税金あるいはその課税の不公平、公平、二、れもありましょうけれ
ども、もっと大きな見地に立って、日本の農政というものをどうするか、また
一つの国策としての酪農振興の上に少からざる支障になることは明らかですから、これはぜひ延期をしなければならぬと強く考える。それは理屈はどういうふうにでも立つでしょうけれ
ども、現実はそういうわけなんです。せっかくこれまで順調に伸びてきた酪農というものに少からざる障害がいくことだけは間違いない。ですからこの際こういう点をぜひ十分に大蔵省の方もお考え願って、そうして適当な時期までこれを待つということにやってもらいたいと思うのです。あなたのお考えは大体先ほどからのお話でわかってはおりますが、そういう方向にどうしてもお考えを変えていただきたい。もう一度くどいようですが
一つ御意見を承わりたい。