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足鹿委員 私は、小さな面積なら問題でないと思うのです。
幹線水路だけでも五百五十町歩といえばこれはとても大きなものです。受益面積に比べまして、パーセントはわずかであります。が、その及ぼす影響はきわめて大きいのであります。
大臣にはそういうこまかいことはおわかりないでしょうが、
先ほど述べましたような趣旨において
農林省としては善処せられんことを、私はこの機会に強く要望しておきます。
それから
基本計画の改訂は、今までの
質疑応答の線を通じてみると、現在やむなき状態に立ち至っておるようでございます。そうしますと、
実施計画もおのずから変更を加えられることはこれまた当然だろうと思うのであります。そこで
実施計画の
内容についてでありますが、私がただいま
指摘いたしましたように、
技術顧問団がおいでになった、これは
日本の農業
技術あるいは土木
技術が果して
愛知用水の
工事を
担当する能力があるかないかということにも私は通じると思うのです。何とならば、私どもが先年あそこを視察したときには、もう現に
現地においては丁張りの準備も行われて大体そのめどがついておったように思います。ああいうことが
日本の農業
技術や土木
技術陣でできないはずはない、私はこういうふうに思っておりまして、
日本農業
技術に対する一種の侮辱だと思うのです。このものに何億の膨大な顧問団の経費が充てられる、またただいま私が
指摘いたしましたように、ロックフィル工法に基くものだと言われるが、このロックフィル工法に基く
ダムの構築については、
農林省の
技術者は数次にわたって
アメリカへ行きまして、そして
調査研究をして、私どもに
現地でその所信のほどを明らかにされておるはずであります。でありますから、
日本の農業
技術の面からいって、あるいは土木
技術の面からいいましても能力があるし、また新しいロックフィル工法に基く
ダムの構築
技術にしてみても、多額の経費をかけて権威ある人を
現地に派遣をして研究をして、なおどうして
技術顧問団の必要があるのですか。私はその点は納得できません。これは
農民の
負担、あるいは工業用水あるいはその他この
愛知用水によって生まれる恩恵に浴する人たち、この
受益者負担に著しい影響をもたらすと思いますので、今さらこれを持ち出すことは時期的にもどうかというふうにも
考えますが、この点は当初法案の審議に当ったときにも、私どもが繰り返し繰り返し主張した点でありますので、今後といえども
実施計画の上において、ただいま
大臣は地方自治体や
受益者にはそう全部かけぬということはなかなか無理だかもしれぬというようなことをおっしゃいましたが、私は了承いたしませんが、もし百歩を譲って、かりに
大臣の言うようなことになったとしても、その
実施計画の面において軽減する余地は、ただ単に事務費のみならず
——事務費にしても二十億近い軽減が当初よりなされるように承わっておりますが、そうすると当初の
計画というものはずさんきわまるものだったとも一応言えると思うのです。十数億、二十億に近い事務経費が節約できるなんということは私どもは実にあ然としております。とするならば、事務費においてしかり、実際の
工事を進めていく上におきましても、今私が
指摘したような点を今後十分に取り入れて
考えられることにおいて、ある程度工費の軽減をはかるということは、私は何人も肯定できることではないかと思うのです。たとえば私が今
指摘いたしましたスプリンクラーの使用でありますが、これはガーデン農法みたいなやつです。
アメリカではほとんど芝生の散水とか、いろいろなことに使っておりまして、
日本でも最近私も若干知っておりますが、これはほんとうの大農に適用できるかどうかということについては疑問があるのです。これをどの程度まで
公団当局は入れようとしておられるのか私どもわかりませんが、こういうものには
アメリカのものすごい特許料がくっついておる。
日本で作れば三分の一以下でもできるものが、べらぼうな特許料を含めて、結局それが
農民の
負担になってくる。一々
指摘いたしますとまだ幾らでもありますよ。そういった点をやはり
実施計画の面において考慮される余地があるのではないかと私は思うのです。いたずらに六月十五日に
世銀に
交渉に行かなければならぬというようなことを巷間伝えて、そのために部分的な
実施計画でもいいというような
判断を一時
公団当局は持たれたようでありますが、それは私は大きな誤まりだろうと思うのです。私どもにもいろいろ
意見はありますが、今後
世銀の
資金が入り、
日本の農地の造成やあるいは農地の改良やいろいろな面においてそうしたことが起き得ることは私は否定できないと思うのです。従ってこのたびの
愛知用水の問題につきましては、
一つの手本を
あとへ残すものにもなろうと私は思うのです。従って
実施計画が今日まで延び延びになっておる責任の追及は同僚議員からいたされましたから私はこれ以上申し上げませんが、ある程度話を伺っておりますと、
計画の根本的な改訂を必要とするような面もあるように私は思います。
基本計画の改訂が行われれば
実施計画も当然改訂されるのでありまするから、その改訂に当って、今私が
指摘いたしましたような観点に立って、
受益者負担が著しく増高しない、しかも
技術的にも間違いのないやり方をこの際
政府としても
公団とよく連絡をとられておやりになることが必要ではないかと思うのです。これは
幹線水路や
支線水路等もありますが、まだその先になりますと、土地改良区を今度は作らなければなりますまい。その土地改良区の経費等、いろいろなものをまとめますとこれは大へんな
農民負担になりますよ。最近各地でこの
農民負担の点から
政府の補助金の返還が起きるような遺憾な事態がちょいちょいあるようでありますが、私はここで急いで下手な
実施計画の改訂をして、これを結局においては
農民に押しつけるようなことをしないで、ほんとうにここまできたものならば、お互いが心機を一転して、私が今まで
指摘したような点についてある程度反省し、少くとも前途に暗影を残さないような万全の措置をおとりになることが私は好ましいと思いますが、その点について最終的に
農林大臣の御所信を承わりたいと思います。