運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-04-27 第26回国会 衆議院 農林水産委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十七日(土曜日)     午前十一時三十分開議  出席委員    委員長 小枝 一雄君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 稲富 稜人君       赤澤 正道君    安藤  覺君       石坂  繁君    椎名  隆君       中馬 辰猪君    永山 忠則君       原  捨思君    本名  武君       松浦 東介君    松野 頼三君       村松 久義君    阿部 五郎君       赤路 友藏君    足鹿  覺君       細田 綱吉君  出席政府委員         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         業保険課長)  丹羽雅次郎君         農林事務官         (農林経済局農         業協同組合部調         査官)     立川  基君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  藤巻 吉生君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 四月二十七日  委員植村武一君辞任につき、その補欠として大  野市郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三一号)  農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案  (内閣提出第一三二号)  農業災害補償法第百七条第四項の共済掛金標準  率の改訂臨時特例に閲する法律案内閣提出  第一三三号)     —————————————
  2. 小枝一雄

    ○小枝委員長 これより会議を開きます。  農業災害補償法の一部を改正する法律案農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案及び農業災害補償法第百七条第四項の共済掛金標準率改訂臨時特例に関する法律案、以上三案を一括議題となし審査を進めます。質疑を続行いたします。足鹿覺君。
  3. 足鹿覺

    足鹿委員 先日資料を要求したわけでありますが、非常にまじめに勉強去れて全部の資料を御提出願ったことは非常にけっこうだと思います。その際一つ落しておりましたので、これは来月になってからでもよろしゅうございますが、一つお願いしたい。危険階級設定要領資料、これを御提示願いたいと思います。  そこで本日いただきました資料の点についてまず若干のお尋ねを申し上げたいのであります。解散議決又は事業休止状態に入った組合等調、これに上りますと、農林省に届いておる休止状態あるいは解散議決をした組合は四十三組合にわたっておりますが、これに対して農林省はどういうふうな態度で臨んでおりますか。たとえば休止組合に対しては積極的な指導を行なってその事業休止をやめさせて健全な再出奔をするような指導をしておるのか、あるいは解散議決をした場合に対して、認可はしないが解散議決のあったことは知っておる、そういうことに対して農林省としてはこれだけの資料を持っておるが、どういうふうに対処し今後も対処しようとしておるのか、この点をこの資料に基いて御答弁を願いたい。あわせておもなる解散または休止原因は何かということも御答弁願いたい。
  4. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ただいまのお尋ねでありますが、まず第一点のいかたる処置をとっておるか、こういう点であります。もちろん私の方では、従平の方針といたしましては解散認可をしないという建前をとっておるわけでありますから、その裏は各組合事業運営ができるような積極的な指導を行なってきておるのであります。この中に出ておる組合の中でも、事業運営に立ち返っている組合もあるのであります。しかし第二の問題に関連しますが、理由はいろいろありますが、たとえば組合理事者が悪いとかあるいは神奈川県の横須賀とか戸塚というようなところでは、蔬菜地帯であっていわゆる米麦はそう重きを置いていたい、にもかかわらず現在の法の建前からいえば、耕地一反歩以上あれば当然組合員になる、しかも強制加入にたる、そういうような点がある。従って法の改正を待たなければどうやっても運営がうまくいかない、こういうふうなところもあるのであります。そういう点を考えまして、今回の改正では、小規模の農家任意加入とかあるいけこの中にもどう説得してもにっちもさっちもいかない、こういうふうなものがありますが、そういうのは今回は一ぺん解散なら解散をしてもらって、あらためてまた農家共済制度に対する必要性なり事業の内容を新しく説き進めまして、そして作るなら作るというふうなところにいくようなことにしたい、法律改正に伴いまして新しい方針をきめたい、こういうふうに考えております。
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 この点についてはあまり深くを申しませんが、とにかく四十三組合にわたって公けにこれだけのものが明らかになっておる。いわんやこれと同じような状態あるいはそれ以上の状態のものであっても、表面化していないという組合がたくさんある。従って農経局が昨年発表した原案の事業休止一つ方針を打ち出しておったということは私はうなずけると思う。それが与党との折衝、その間にいろいろな一つ立場を主張する者があって、そしてこういう政府提案のような事態になったものだと私は思う。従って私どもの言っておることは決して無理なことを言っていないし、また架空なことは言っていない。一つの実際の姿を言っておるということがこの資料によってよく裏づけられると思う。今の指導の問題についても、今度本法案が通過した場合には、来年の四月まで期間があるわけですから大いに指導なさると思うのですが、これは容易なことではなかなか再建がむずかしい。従って修正に対してもあるいはその他の意見についてもほんとうによく反省をされないと、こういう事態はなかなか解決できぬということだけを私は申し上げておきます。  次にもらいました資料昭和三十年水稲についての反当農家負担掛金賦課金、この資料でありますが、私が先日指摘したように、掛金農家負担金は四十三億五千七百五十三万八千五百六円になっておる。これに対しまして賦課金は二十一億九千八百六十八万二百四十三円、その半ば以上に達しておるわけでありますが、さて賦課金については先日も申しましたように七、五、三、二の割合になれば、その選ぶ人によって違いますが、負担率はうんと軽減されていく。しかし賦課金についてはそういう道は開かれていない。負担金が減ればこれと相見合って賦課金が減るというふうにはなっていない。従って負担金よりも賦課金の方が多いような事態が必ず出てくる。これに対する対策いかんということを私は先日お尋ねを申し上げておったわけですが、その点についてどういうふうな対策を用意しておられるか。たとえば事務費国庫負担増額の問題、いろいろな対策があると思う。すぐに予算関係のあることはどうも困難だ、そういうことでは問題は片づかぬです。これだけの資料がちゃんとはっきり出ている以上は、やはり負担が、一方の農家負担は減る、賦課金は逆にそれよりも頭を越すというようなことでは困るのであります。でありますから、たとえば私は選挙区の鳥取県を例にとってみると、平均反当掛金額が六十九円、平均反当賦課金が五十三円だ。先日私がいただいた資料によりますと、平均反当掛金が三十円前後に落ちるだろう、こういうことになっている。そうすると、平均反当賦課金は五十三円というと賦課金の方が高くなる。この矛盾に対して何らかの施策を講じなければならぬ、こういうことを言っておるつもりなんです。何かこれについて御説明なり御意見があれば、一つお話を願って私の言っている点について納得させてもらいたい。
  6. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 お話の点で、まず第一点は平均反当掛金農家負担の分でありまして、全国平均でいうと農家負担を四にして国庫負担分が六・一〇のうち四の分がここに出てきておるわけであります。賦課金の方にいたしましても、一組合当り三・八八人の職員の三分の二の俸給補助金その他事務費の一部を国庫補助して、その残りがここに出ております。全国平均でいうと反当八十円、こういうことに相なっておるのであります。その結果県別に見ると、お話のように、掛金賦課金割合が非常に接近している。この表を見ますと、新潟は逆に掛金の方が賦課金より少い。今度三十一年度で通常掛金部分国庫負担率法律改正に基いて二分の一にいたしますと、あるいはもっと掛金賦課金との開きが少くなってくる県が出てくるのじゃないかと思います。しかし最初に申し上げましたように、掛金に対する国庫負担割合が非常に大きいわけでありますから、賦課金に比べて御指摘のような両者の関係が出ることもある程度やむを得ないのじゃないかと思います。しかし賦課金が反当非常によけいかかるという部面は、結局事業分量に対して事務費がよけいかかり過ぎるということを一方では現わすのでありますから、そういう点も考慮してこのたび市町村事業移譲するというような点も考えておるのであります。なおそのほか賦課金部面を軽減する方途については、将来もっと考えなければならないと考えております。
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 今の局長説明答弁にならぬ。将来でなしに、現実がこういう矛盾した姿にあるから、現在われわれはいろいろこの点について議論をし、検討しているのです。あなた方の言われるのは、とにかく掛金を軽減すれば賦課金の方は今のところ手がつけられぬ、将来においてやる、こういうことですが、受ける立場になれば、掛金は減った、賦課金だけはおそろしく高いじゃないかというので、またそこに一つ問題が実際面に出てくるんです。だからこの掛金の二分の一国庫負担の点とあわせて賦課金の問題を少くとも併行してやられるべきであったと思う。近き将来ということでなく、賦課金については何か方法があると思う。どの程度出せばどの程度軽減になるかというようなことについてでも検討してみたことがありますか。
  8. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは先ほど申し上げましたように、組合職員が大体総数で二万六、七千人ある中で、補助対象になっておるのは二万二、三千人あると思います。その分については俸給の三分の二を国が持っておるわけであります。それから一部事務費も国が持っておりますから、これ以上事務費のものについて国が持たなければならないということになれば、そもそも組合制度がいいのかどうか、こういう問題にまで発展するのであります。ずいぶん議論したわけであります。ですからこれは正式の議論でありませんけれども、二分の一の国庫負担を今度きめるについて大蔵省協議いたした際に、むしろこの協議の過程で、いっそのこと全部国営してしまったらいいじゃないか、こういう議論大蔵省から出るくらいに、ほかの制度に比べて国庫補助が厚くなっておるのであります。その限界まできておるのでありますから、将来の問題としてこの問題は解決したい、こう申し上げておるのであります。私の方であらゆる部面からその点を議論しておるのであります。ただ多少問題の残っておるのは、たとえば昇給率補助対象の場合にはあまり見ておりませんから、だんだん俸給が上ってくると、その上った分については地元の負担になっている部分相当出ているのではないかと思います。ですから昇給率をある程度見て、これは一般的に補助職員については全部昇給率を先に見ておらないわけであります。この分だけは、そういうことを申しても通用しなかったわけでありますから、そういう問題は残っております。それ以上の問題になりますと、先ほど申し上げますように、その制度の立て方自身の根本まで触れる問題に発展するのではないか、こう考えております。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 聞くところによると、賦課金を上げようというような地区も出ておるようでありますが、賦課金についてはその組合のあるいはその連合会の決定によって、何ら農林省とは無関係にその賦課を上げたり下げたりすることができるのでありますか。あなた方は少くとも現状よりも賦課金を少くしていこうという線に向って主張をすべきだと思う。私らから言ってもそうです。ところが逆に上げようという場合にはどうなるのですか。
  10. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは御承知だと思いますが、町村合併によりまして、たとえば協同組合等事務所を借りてやっておった場合、協同組合合併できないで共済組合合併したときには、必ず経費が不足だ、こういう結果が出ております。これは合併の利益が経過的に出てこないという間には起り得るのじゃないかと思います。その際にはやはり賦課金の値上げの問題が出てきております。おそらく各県と示そういう問題が出てきているのではないかと思います。そこでやはり市町村移譲というような問題が県によっては非常に強い勢いで出てきておるのではないかと思います。しかし私の方としましては、お話のように合併して賦課命がふえるというようなことは変なことでありまして、経過的には一時やむを得ない場合もあるかもしれませんけれども、それは合併によって事務を能率化していけば当然減るのが本筋でありますから、そういう点については十分な指導をしていく方針であります。賦課金はやはり承認制指導していくつもりであります。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 農林大臣がですか。
  12. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 単位組合農林大臣というわけにいきませんから、県知事になります。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 今局長が言われておるように、私の地方でも八カ町村くらい合併した。これは適正規模でなくちょっと過大な組合ですが、今までよりも双過をうんと切り詰めてやっておる。だけれどもやはり組合が大きくなると、職員ではドングリの背比べだからやはり常務役員を置かなければならぬ。常務役員を置くとすると、これははした金では置けない。何ぼいなかでも少くとも二万円前後のものは出さなければならね。結局そういう点で経費がかさんで、市役所から一応六十万円くらい補助金をもらってようやくまかなっている。こういうことらしい。私が前に組合適正規模問題を言ったときに、ずいぶん協会市町村主義を唱えて、市町村でやらなければ賦課金も集まらないし、掛金も集まらぬからというので、協会は私の適正規模論に反対をして市町村主義を主張した。というのも、いよいよ足りないことになると市町村から助け船が出るという一つの想定もあったのではないかとも思われる。そういうところにも今度の市町村移譲——これは議論ではなくして、実際上やむを得ない段階に来ておる。その限りにおいては、これだったらもう純然たる公営にしたらいいじゃないかという大蔵省の言い分は正しいのじゃないかと思う。とにかく掛金は減少し、賦課金はだんだん多くなるという傾向については、今のところ処置なしというわけなのですね。少くとも現状以上に上げちゃいかぬという一つの線は引きべきではないかと思います。
  14. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ですから経過的のときには、たとえば埼玉でも合併をしまして、町村から寄付をもらって事務所を作り、帳簿を整えるというように、合併の経過のときだけは町村から補助金をもらっておるような例も見ておりますが、そのときは場合によってやむを得ないことが出てくると思います。しかし合併してその後はとにかく節約あるいは合理化して、従来よりも賦課金がよけいになるというようなことが出てくれば、これはこの制度の根本的な従来の運営方法に問題があると思うのです。これは明らかだと思う。要するに六割なり七割が協同組合一緒で、総会協同組合総会一緒にやる、机も協同組合のを使う、紙も協同組合のを使う、そういうのが相当あったのではないかと思いますが、それがそういうふうに行われておって、従来うまくいっているのであれば、金がよけいかかるのにその実態をなぜ独立に改めなければならないかという問題に触れてくるのではないかと思います。そうしますと、今の独立組合で経営すること自体に対して問題が起ってくるのではないかと思います。そういう点、一部は今度の町村移譲で解決できますが、それだけでは解決できないで、やはり問題が将来に残ってくるのではないかというふうに考えます。
  15. 足鹿覺

    足鹿委員 あまりしつつこく言ってもいけませんが、とにかく掛金合理化方向へ行く、賦課金増高増額の線に行くということは、これは明らかに矛盾ですよ。これに対する何らかの措置をおとりなさいということを私は言っているのですが、市町村の場合の承認はだれが承認するのですか。
  16. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 今お配りした表にありますが、備考の二に書いてございます。市町村の場合は都道府県知事です。
  17. 足鹿覺

    足鹿委員 そうした場合には、もとの農会みたいなように、一種の経費団体的な面が出てくる。現在協同組合でも生産指導面賦課を取った場合は、別経理にせよという形が出て、やはり県知事認可を必要とするようになっている。そうすると、この場合は事業計画全体を知事提出して、知事がそれを認可するということなんですが、掛金の場合だけをこういうふうにしたいからというだけで指導的にいくのですか。
  18. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 災害補償法施行令の第二条の三によりまして、賦課金の必要がある場合には都道府県知事承認を受けるようにすることができるということにしているわけでありますから、その場合にはやはり事業運営合理化という点を中心にして、府県知事の方で審査するということになるわけであります。
  19. 足鹿覺

    足鹿委員 とにかく賦課金増高傾向に対しては、適当な措置をとられるように御検討願いたいということです。これはまた審議の最終段階において何らかの形で出すべき点であろうと思いますから、現在これ以上は申し上げません。  それから次に、きょういただいた農業共済組合における防除事業、私はこういう資料を要求した覚えがないのに出ているのだが、これはどういうことですか、ちょっと説明をして下さい。
  20. 丹羽雅次郎

    丹羽説明員 先日資料要求で、共済組合損害防除活動について、何らかの資料があるかということでございました。それで実は率直に申しまして、完全な資料としてお出しできますに当るかどうか考えたのでございますが、三十年四月三十日現在におきます調査がございましたので、これを整理をいたしました。この資料といたしましては、御承知の通り、農林次官通達防除活動関係団体協議会を作ってやれという通達が出ているわけでございましてその協議会構成の中で共済組合がどの程度のウェートを占めているかということを一覧にいたして御提出したのでございます。
  21. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、この資料を見ると、大体防除協議会構成中心は、現在市町村に多いということですね。だから今度市町村移譲した場合でも大きな矛盾はない、こういうふうに解していいですね。     〔委員長退席助川委員長代理着席
  22. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 大体市町村中心になりまして、関係団体を督励してやっているのが本筋であります。
  23. 足鹿覺

    足鹿委員 今後の共済団体防除活動の基本的な構想についてでありますが、それはこの農災法の中にうたうべきか、それとも現在ある植物防疫法中心にもっとこの機構を整備していくべきか、一つの基本的な線として二つの点が考えられるのですが、これは振興局長もおいでにならぬと、経済局長だけではちょっと法的なことはわかりませんが、農林省自体としてはどういった方向へ進むお考えであるか、一応御意見があればこの際承わっておきたい。
  24. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは農災法改正議題になりまして、協議会等でいろいろ問題が出ておりますので、病虫害防除事業をどうするかということについては、中でいろいろ相談をしておるのであります。そして現在の協議会構成でどこが悪いか、それから一部共済団体の方から共済組合中心にやらせる、こういう意見が出ておりますから、それを進めまして共済組合へやった場合に果して完全にできるのか。こういうのをいろいろ調査しておるのでありますが、結局御承知のように共済組合事業団体でない、職員も完備しておらないわけでありますから、これが中心になって防除活動をやるということは無理があるのじゃないか、大体そういう結論で、しからば現在の協議会の組織をどういうふうにするか、それに伴って植物防疫法をどういうふうに直すかということを検討しておるのでありますが、まだ結論は得ておりません。私自身といたしましては、これは村によって長年の経験で共済組合相当活動をし、相当の地位を占めているところがあると思います。そういうところは、おのずから協議会を作りましても共済組合主導権を持つことがあると思いますけれども、建前は、やはり相当の県におきましては、植物防疫に対しては市町村市町村予算防除活動費用あるいは農薬費用等を計上いたしてやっておりますから、市町村中心になって農薬法については協同組合、あるいは実際の防除活動計画なりあるいは指揮、連絡については共済組合、そういうふうなやり方でやるのがいいのじゃないか。しかしまだ最終的に、現在やっているのをどう直すかという結論は得ておりません。
  25. 足鹿覺

    足鹿委員 大体それで当局の方針が一応明らかにされましたので、これ以上申し上げませんが、ただ一言私が申し上げておくことは、先刻経済局長がおっしゃった制度改正協議会なり、昭和二十八年からできた当農林委員会の小委員会決議等が、防災事業の一元化の点について触れたのは、それは前提がある。建物等任意共済についてはこれを農協へ一元化する場合に片手落ちであってはいかぬから、むしろ共済団体は本来の使命に立脚して防除活動に専念せしめる、そのためには共済団体植物防疫法補助金とかいろいろなものをやって、そうして本来の使命を達成すべきであるという前提に基いてこれはなされたことだ、それが制度改正協議会にも反映しておるのでありまして、この点については、今の方針で私も了といたしましたが、十分に慎重な態度でこの植物防疫法との関係改良普及員との関係共済団体との関係、これが市町村へ移ったときの事態、そういったような点について十分検討をお願いいたしたい。これだけ要望申し上げて、この資料についての質問を終ります。  次に水稲災害種類別支払い共済金原因別災害資料をいただきました。これは初めて私はこういう資料をいただいたのです。今まではばく然としておったわけですが、やはり災害の王座を行っているのは水稲風水害旱害です。風水害が三十年度においては二億五千五百五十二万八千四百二十円、旱害が二億七千五百万円というふうになっておりますが、これに次いで大きいのは病害相当大きいですね。私は災害補償対象から病虫害を落したらどうかという議論を先日いたしましたが、私の考えでは、農薬進歩あるいはその他の農業技術進歩によって病害、虫害といったような、努力をすれば少くなるという災害については、ある程度形を変えてもいいのじゃないかというので一応資料をとってみたわけでありますが、これを見るとなかなかそう簡単にいかないようですね。病虫害といっても、やはり気候その他自然災害原因として病虫害が起きてくる場合がやはり多いだろうと思うのですが、この点専門であります統計調査部長の専門的な見解、病虫害の大体の発生傾向等についてはどういうふうにお考えになるでしょうか。私もこういう原因別共済金支払いの内訳を見たのは初めてなんですが、これは非常に大きな問題だと思うのです。
  26. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 この分け方というのは非常にむずかしいのであります。その年その年によってたとえば風水害病害と重なる、冷害病虫害が重なる、こういうのが大体通例でありまして、そのときに一番大きい原因といいますか、災害で仕分けしておるわけであります。従ってこの病虫害が、原因が単純に病虫害だけで出たというようなことはなかなかないのでありますが、たとえば旱害冷害——去年の青森などは早書冷害病虫害一緒に重なっているわけですね。そのときに病虫害が非常に大きければ病虫害であげる、こういうふうになっておるのであります。従ってたとえば風水害の中にある病虫害もあるのでありますが、風水害に掲げられたその年の分は、風水害病虫害一緒にこうむった場合は風水害でくくっております。ですからそういうほかの原因風水害、干害というふうな原因なしに、そういう原因がまた重なり合っておるというような場合に病虫害が非常にひどく出れば病虫害の方でくくっております。しかし中にはそういう風水害なり旱害冷害等と関係なしに病虫害だけで出てきている場合もあります。それと今の原因がつかめない病虫害がこっちに計上されておるのであります。
  27. 足鹿覺

    足鹿委員 今のは三十年の例ですが、きょういただいた資料ですからよく検討していないのですが、たとえば二十八年を見ますと、二十八年は冷害は百四億一千八百九十六万六千八百九十八円という大きな冷害が出ている。この場合は病虫害も大きいですね。病害は六十六億ですか、これはまた大きいですね。こういうふうになると、今局長が言われたようになかなか区別がつきかねるようですが、これは将来の問題なんですけれども、やはり病害、虫害というものは半ば不可抗力に発するものだ、こういうふうに解釈すべきものですが、これは私わからぬですが、これは人間の努力、農民の努力によっては未然に防止される、大体病虫害による減収が年間四百万石といわれておる。われわれが、植物防疫法を作ったときには、この四百万石を、国が援助することによってどれだけ軽減ができるか、大きな国益を生み出すという立場から植物防疫法の制定がなされたわけです。にもかかわらずこんなに病虫害が多いということは、これは農業技術進歩が一面においてあったからこの程度にとどまっておるという考え方もできるかもしれませんが、最近農薬が非常に進歩をして、人命にまで大きな影響を与えておるような飛躍的な進歩の時代がきておるにもかかわらず、こんな大きな病虫害が出るということになると、これは現在の防除組織なり機構なりその他に何か欠陥があるのじゃないか、そういう感じも持つわけなんです。これは別に御答弁は要りません。私こういう資料を初めていただいてみて、びっくりした感じなんです。何か農林省自体としてもお考えにならなければならない問題がこの資料によって示唆されておるのじゃないか、こういうふうに思うのです。これは御答弁がなくてもいいですが、御意見があれば伺いたい。
  28. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 先生は二十八年を今の状況で判断されているからそういうことを言えるのです。今は三十二年でありまして、この五カ年間の農薬進歩というものは、これはもう驚くべきものがあるわけなんです。たとえば極端な例をいいますと、硫酸銅がいもちでなくなりまして二十八年のときには電信局の電池の硫酸銅までかっぱらったくらい足らなかったのが、今は硫酸銅にかわるセレサン——水銀剤ですが、そういったものが出ているわけです。ですから病虫害の害というものは今後ますます減ってくると思います。二十八年はまだそれほど進歩してない。農薬の種類は出てきたけれども、その手当が間に合わなかったという問題が一つある。それから二十八年としては非常に程度がひどかった。ですからそういう状況になっております。それからもう一つ病虫害としてやっぱり一〇〇%は防止できないと思うのです。それは発生予察に限界がありますから、たとえばうんかにしてもいもちにしてもあるいは麦の赤さびにしても、まだ原因がわからないものがあるわけですね。いつ発生してそれがどういうコンディションで何カ月くらいたったら出てくるか、というのがまだわからぬものがあるわけです。従ってそういうものがわかってから防除して間に合う場合と、それではもう間に合わない場合がまだ残っておりますから、一〇〇%はできませんが、数年前に比べますればうんと減らなければおかしい。これはどこかに怠慢があるということになると思うのであります。また実際問題としてそういうふうに病虫害の発生は減ってきている。防除されている、こういうふうに考えております。
  29. 足鹿覺

    足鹿委員 いただいた資料でもう一つ損害評価の準則の骨子というのがありますが、これは従来とどういう点が異なっていますか。
  30. 丹羽雅次郎

    丹羽説明員 骨子について若干説明させていただきます。第一番の部落段階におきます損害評価を行うことにつきましては、これは最初のスタートとして必要であるという意味において、在来と特段に変ってはおりません。ただ(ニ)に先般来局長から御説明いたしております通り統計調査部と最末端における技術交流を積極的に行いたいという意味で、坪刈りの方法、推定減収尺度の適用その他損害評価の技術に関し、その指導を要請することができるという形のものを入れまして、最末端での被害を見る目、統計と部落の損害評価委員との目をなるべくそろえて参りたいという考え方が入っております点が、在来とは大きく違っているわけであります。  それから(ホ)の関係で、統計調査部との連絡は、在来の損害評価では特に触れていないわけでございますが、今後は責任者をきめまして、その者が責任をもって統計調査部の出張所の方に連絡をとるということ、同時に統計調査部の出先機関は、その者の連絡を有効に使っていただくという、この(ニ)と(ホ)の点が在来とは大いに変る点でございます。  それから組合段階におきましてのやり方といたしましては、部落がやりましたものを組合の損害評価委員が部落間の調整をするという意味で実地調査を行うという考え方は在来と変っておりません。この場合におきましても、さらに組合段階におきまする統計調査部との技術交流の点は在来と変えた点でございます。  それから大きく違います点は(チ)のいわゆる一律削減の問題等であります。ちょっとここでミスプリントがございます。「(チ)組合等は、(ホ)」は(へ)のミスプリントでございますので御訂正を願いたいと思います。  大きく申しまして以上の点であります。
  31. 足鹿覺

    足鹿委員 大体この間から御答弁になっておったことを文書にして拝見したということになるのですが、この点についてはわれわれの中心主張であって、先日も同僚委員がやかましく言っておりますし、私もるる申し上げておりますので、議論にわたるような点は避けたいと思いますが、今の(ニ)の「統計調査部の職員は、損害評価会の会議ある場合には、当該損害評価会の会議に出席し、当該組合等の損害評価に関し、必要な勧告又は助言を与えることができるものとする。」これは実際上非常にうまく運営されればいいわけですが、別にこれは強制規定でもないし、従来から今までの経過を見ますと、統計調査部がタッチするようになってからどうも被害が少くなってしまったというような印象をみんな受けておるので、この間が相当うまく調整が新しくつくかどうか、それから損害評価会というものは諮問機関的なもので、決定について何ら最終決定権がないということで、どうも私これでは不徹底だと先日来申し上げておるわけであります。問題になるのはこの点でしょうが、これについては小委員会でいろいろ検討しておる点等もありますから、またあとで申し上げますが、全体を通じてあまり変りばえがない、これで果して危殆に瀕した本制度の改革について農民が信頼をし、安んじてついてくるかどうかということが非常に疑わしいと思われますが、この点についてはこれ以上申し上げません。  最後に、先日の会議の結果——委員会は別に正式に速記録をとって運営されておりませんので、先日設けられた小委員会で問題になって、目下意見の出ておる点について、先刻局長にもその案文をお示ししておきましたが、今後の審議の上にも相当問題がありますので、事務局とはいろいろお話をしておるかもしれませんが、成文化して一応これを記録の上において明確にしておきたいと思います。そこで以下朗読的にいきますから、簡潔に当局の考え方を述べていただきたい。  農災法改正案に関する自民、社会両党折衝の問題点、今後これをどうしぼってくるかは別の問題でありますが、問題点一、「農業共済の必須事業組合から市町村移譲する場合には、組合総会の特別議決によって議決しなければならないことになっているが、これを総代会の議決事項にするかどうか」、これは先日来言っておりますし、一昨日の私の質問によってこれは考えなければならぬということを局長は言っておりますが、この点について別に経費も要りませんが、どうですか。
  32. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これはこの前お答え申し上げた通りであります。むしろ事務的な問題というよりも、何といいますか、組織が現在の民主制度にどう関連するか、こういう問題でありますからして、むしろ委員会の方で十分御検討願って、それに従った方が私の方はいいのではないか、こう考えております。
  33. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると、一口に言えば別に原案を固執しないというわけですね。  それでは、次に二の「事業主体変更についての発議権は組合側にのみ与えられているが、市町村側も発議できるようにするかどうか、」この問題はどうですか。
  34. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは法律建前論になってくるので、形式論的にいえば一方交通はおかしいじゃないか、こう言えますが、やはり現在の法律共済組合が主体になっておるわけでありまして、むしろ共済組合の都合で市町村に頼む、こういう立て方にしておるわけでありますから、これはやはり人がやっておるものを全然他人がおれのところへよこせということは、法律建前として無理がある、こういうように考えます。
  35. 足鹿覺

    足鹿委員 次に三ですが、「単位当り共済金額は、共済目的の種類毎に当該共済目的に係る収穫物の単位当り価格の百分の七十に担当する額を標準として主務大臣が定める最高額と最低額の範囲内において省令の定めるところにより、組合等が定款等で定める金額であるとしており、省令をもってその金額の幅を七、五、三、二、と定めるもののようであるが、補償限度を引上げるためにこれを(イ)八、五、三、二、又は(ロ)八、七、五、三、二の幅とするかどうか、」という点について一応試算がなされておるわけでありますが、イの場合では、国の負担増四億円、農家負担増二億五千万円、ロの場合は国の負担増が十二億円、農家負担増が六億五千万円、こういうことになっておるのであります。先日来芳賀委員がこの七、五、三、二の上に八をつけた場合どうなるかという問題で、イの場合七を八にする場合、従来からの話を聞いておると十一億円も十二億円も要るんだということでありましたが、むしろ七を八にした場合の方が低いんじゃないですか。七の上に八の段階をつけると国の負担が十二億円になるし、七を八に直してあとは五、三、二でいった場合には国の負担が四億円で済む、こういうようにわれわれの方の試算はなっておるのですが、何かこれについてあなた方の方で検討された結果がありますか。従来とはどうも違うんです。
  36. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 結局七千円ときめましたのは、従来の法律共済金額の農作物については収穫高の二分の一程度を補償する、こういう方針を踏襲して七千円ということを出しておるのであります。従来反当平均二石余りでありますので、二万円余り、従ってその半分であるから一万円、こういうことになる、それを石当に直しますと七千円程度、こういうことになるのであります。従ってその建前を変えるという問題は、農災法で何を補償するか、こういう考え方の根本に触れますので、私の方としましては、それは将来の問題に残して、今回は、お話がありますように、予算関係、財政負担関係もありますので、従来の方針でやらせていただきたい、こういうふうに考えております。
  37. 足鹿覺

    足鹿委員 私の言っておるのは、この法律の適用は昭和三十三年度です。だから、今から予算々々と二口目には政府も与党の人たちも心配されるが、この法律は来年度に実施するのであって、七を八に直した場合四億円で事足りるものが、七に押えなければならぬということを固執されることはおかしいと思うのです。これは大臣の所見を聞くべき筋合いのものでしょうが、昭和三十三年にはそういった趣旨に向ってうんと努力する、こういうことにならなければこの裏づけにならないのです、この法改正の。ことしから実施するならことしの予算関係がありますけれども、来年度のことでありますから、これはもう少し与党の人にも私はよく聞いておいていただきたい。何か今すぐに金が要るというようにとりがちでありますが、来年度のことでありますから、予算の折衝の過程において四億、五億の点については、与野党が一本になったならば通らぬはずはない、こういうふうに私どもは考えているのです。局長の今の御答弁は、本年今にも実施するのに金ができぬ、だからだめだ、こういうふうに言っているが、来年度実施を想定して努力をしなければならぬということは認めますか。
  38. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 この法改正案を作ります場合に、私の方でいろいろな案を検討したのであります。その際にそういう問題が出ておるのであります。もちろん三十三年度以降の予算関係することでありますけれども、この法律改正に伴って財政負担の増すようなことはやらないでいこうというふうに、法改正案を作成する際に関係各省で協議した場合になっておるのでありまして、そういう意味で改正案を実施して、それでどうしても工合が悪いというときには法律実施の実情に応じて、必要ならまた措置を講じていくようにいたしたい、こういうふうに考えておるのであります。
  39. 足鹿覺

    足鹿委員 それではこれは最後の総括のときに大臣にお尋ねすることにしましょう。これ以上局長に追及してもいい御答弁もなさそうですから。  次に四「必要措置命令及び監督命令の違反者に対して、行政罰又は司法罰を課することとするかどうか」「また農業共済団体理事の忠実義務違反に対して罰則を置くかどうか」という点ですが、現在のこの法律の欠陥は、罰するという点についても手ぬるいが、特にいいものを奨励して、これを賞するということが一面において著しく欠けているということが指摘できると思うのです。これは別に予算を要しないのですが、考え方としてどうですか。
  40. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 この点は同感の点もあるのでありますが、これも私の方でどうこうというよりも、むしろ先生方の方で現在の法律制度とのバランスをお考えの上御決定を願った方がいいのじゃないか、こういうふうに考えます。私の方で事務的にそういう点を考えたこともないわけではないのでありますが、十分御検討いただいた方がいいと思います。
  41. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると、大体においては国会の意思に従う、こういうことのようですね。五「組合解散認可を自由裁量認可としているのであるが、その条件を明確化し拘束裁量認可とするかどうか」これは先日来問題になっておりますが、今度は解散を認めるという態度でもなし、一面から見ると、従来の解散を決議しても認可しないという態度は少し緩和されたようにもとれるし、何かその点は非常にあいまいになっているのです。これは先日来の質疑応答で明らかですが、一応問題を提出しておきたいのですが、何か御答弁がありますか。
  42. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これはお話の通り、私の方では非常にデリケートに考えておるのであります。私の方といたしましては、本制度は各村に行われて、各農家が本制度の恩恵に均霑する必要があると思います。従いまして解散認可を軽々にしてはならないと思います。そうかといって今までとっておりましたように解散は絶対に認可しない、こういう方針はとらないつもりであります。従いましてこれは法律の中で解散認可を法規裁量認可とするということは、立法論としてはまずいのでありまして、そういうことは行政方針で慎重にやっていって、従来の方針とは僕は変えたいと思っておりますが、それを法規裁量とすることによって、先ほど来お話がありますように、解散を奨励する結果になっては志と違いますから、これは法律には書かない方がいいのじゃないか、こういうように考えております。
  43. 足鹿覺

    足鹿委員 事実上農経局の原案には、事業停止または事業休止という条項があったのです。それを一応頭の中に入れて考えればよろしい、こういうことですな。——わかりました。  それでは次の六と七ですが、六「農林省及び都道府県に保険監督官を新に設置することとするかどうか。七農林省の保険行政機構において監督と業務とを分離することとするかどうか。」これは非常に重大な問題ですね。これはまた予算が伴うといわれるが、六の場合には確かに予算が伴うが、現在でも都道府県には、大きいところでは課があるし、小さいところでも係があって相当職員がおるわけです。これは現在のものを改正して、これをもっとその権限を正規の監督官としていくということでも一応足りると思うのです。そういった意味をも含めて考えられる余地がありはしないか。七は、これはこの間も意見が出ておりましたが、事業と監督を一緒に、農林省の保険課という局にもまさるような大きな課があってやる。そこから先般の多久島事件というような、あまり課の機構がでか過ぎるから、課長の目が届かないでああいうような失態が起きると思うのです。だから原則としてやはり監督と業務は別にすべきだということは、一般の意見が一致しておる点なんです。たとえば農林省の官房の中に監督関係を移して、保険課は業務一点張り、あるいはそれに基金を吸収するとか、そういったふうにして今後多久島事件のごときことの起らないようにもし、さらに農林省の本省自体の問題よりも、末端に正常な運営ができるように指導監督していく、この機構を強化していくということは、評価の問題と並んで大きな問題だと思いますが、その点について御所見はどうですか。
  44. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 六は保険監督官という名称を新たに作るかどうか、こういう問題であるとすれば、私の方でもそういうことをやりたいということを考えたことはあるわけであります。しかしその権限の問題は、法律に規定があるわけでありますから、権限の問題だけならば法律を変える必要はない。保険監督官という名称を特に置くということになれば、私の方としては、原案作成にそういう議論をずいぶんしておるのであります。むしろあった方がいいのじゃないかという気もいたさないでもないと思います。  それから行政機構の中において業務の指導と監督あるいは検査とを別にしたらいいじゃないか、こういう議論も長年繰り返された議論でありまして、一時そういうことをやろうということが数年前にありましたが、それがだめになりまして、現在官房に考査室というのを置いているわけです。そうして考査官というものを置きまして現局のそういう監督行政の監督と考査をやっておるわけであります。それをもっと、たとえば今の協同組合検査官なるものを、その考査室を拡大してそこへ全部持っていって、ほかの同種の事業も持っていって、検査機構を独立したらいいじゃないか、そういう考えは僕はあると思うのであります。ただ問題は、行政管理庁あり、会計検査院あり、また各省にそういう検査機構を作ることが一体必要なのかどうか、またそういうことをなぜやらなければならぬか、こういう根本問題が出てくるのじゃないかと思います。農林省の行政からいえば、市町村なり農業団体に大部分の仕事をお願いしておるのであります。それを事業指導する官庁の中に、別にまたそういう機構を作ることはどういうものであろうか、こういう感じを持つのであります。しかしこれは先般来お話がありましたので、私も持って帰りまして、さらに再検討を願うように官房の方にお願いしておりますが、問題はそういう問題があると思います。過渡的段階としては、今の行政管理庁なり会計検査院のほかに、農林省の中にそういう検査機構を置いても、現在の農林行政の、何といいますか不適正を直すためには、そういう機構が必要であるだろうという認定の問題になりますから、考え方としてはあると思いますが、よく研究したいと思います。
  45. 足鹿覺

    足鹿委員 非常に長くなって恐縮ですが、もう少しですからお願いしたい。  次に、八「組合員十分の一以上から請求があり、行政庁が監査の結果、事業の実施に著しい不正、不当の事実を発見し、もしくは事業のたて直しが著しく困難と認めた場合には、行政庁は組合解散又は事業市町村移譲を勧告することができるようにするかどうか。」これは先日来私がしつこくまた他の委員からも執拗に追及されておる点なんですが、少しは研究しましたか。市町村移譲への特例の問題で、このたびの改正の骨子をなす点です。  続いて同じような意味のものでありますが、九を申し上げますと、「農業共済組合市町村に対して事業移譲を申出ることができる場合は、その組合事業規模が主務大臣の定める基準に達しない場合、その他政令で定める特別の場合であるとせられており、政令で定める特別の場合とは、(イ)事業運営又は業務の執行が著しく円滑を欠いている場合、(ロ)事業実施主体の変更により、事業運営又は業務の執行が効率的に行われ当該組合組合員負担が軽減されることが明らかである場合、とする予定のようであるが、このような制限規定を置かず、当該組合総会又は総代会の議決があった場合には事業主体変更を申出ることでがきるようにするかどうか。」この点については私どもも十分研究をいたしております。また部内においても、この点についてはいろいろな経緯のあることも知っておりますが、この方につきましては手続上の問題であって、何ら予算も要しない。先日来私の大臣への質問、また局長への質問、他の同僚委員からもこの点については熱心に主張されております。それをあなた方が阻止されるという何らのわれわれを納得せしめる理由はありません。これをかりに道を開いたからといって、ずるずるっと全部が行くというような錯覚を持つべきではない。別にそういう心配はないと思うのですが、その点について何かこの機会に承わっておくことがありますか。今後検討を要するという態度で臨まれますか。この点についてどうでありますか。
  46. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 八と九とは私の方では多少ケースが違うように受け取っておるのであります。八の方は、監督命令あるいは検査に基く行政措置でできることで、法律に書かなくていいのじゃないかと思います。当局の腹一つじゃないかと思います。九の方は、先般来申し上げましたように、現在組合建前で、組合で都合の悪い場合に市町村にやる、こういうことにしておるので、こういう条件をつけておるのであります。その点は経過に照らしてやむを得ない、こういうふうに考えておるのであります。
  47. 足鹿覺

    足鹿委員 これは先ほど、市町村の方から組合に向って市町村移譲なさったらどうかという勧告ができるようにしたらどうかということを最初に申し上げた点と関連をするのでありますが、今の八の問題は、あなた方の腹で、別に法律に規定する必要はないということですが、その通りでありますか。勧告をすることができることになっておるが、さて九の場合において二重の制約が加えられておるということなんです。大臣が定める基準、またその他政令で定める場合、二つに分れておるのですが、この場合、一つ解釈を伺っておきますと、二七%、大体千幾らということでありますが、それはこの法が通ると、主務大臣の定める基準に達しないそれらの組合は、まず第一段階としてずっと移行していく、こういうことですか。
  48. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 申し出をする能力といいますか資格ですね。その組合はやりたければやれる、こういうことであります。
  49. 足鹿覺

    足鹿委員 そうすると、九の場合、大臣の定める基準と政令との問題はダブっていませんね。私は何か大臣の基準で定め、政令でまた定めて、二重にからんでおるというふうに今まで解釈しておったのですが、そうじゃないですね。
  50. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 違います。
  51. 足鹿覺

    足鹿委員 それではその点はそういうことにしておきます。  十「農業共済基金はこの制度の内部金融機関として、共済連の不足金について融資の業務を行っているが、この制度の運用に当るべき機構の複雑化を避けるため、これを廃止して、国からの利子補給、農林漁業金融公庫からの貸付、再保険特別会計での取扱、又は共済協会との合体、その他の方法により業務を引き継いで行わせるよう再検討するかどうか。」これは機構全般の問題でありまして先日もやり方は別として大いに検討するということでありますから、これはその通りですね。  十一「農作物共済の基準収量の低すぎること又は実収量との差が大きすぎることが、この制度の円滑な運営を阻碍する最大の原因となっていると認められるのでこのさい衆智をあつめ実態に合致するよう基準収量設定要領についてその改訂に努めることとするかどうか。」これは先ほど私が要求しておっただけの資料をいただけなかったので、次の機会に大いに検討をしたい。その場合に、財政との関係が出てくるということでありましたが、実際そんなに大きな響きがあるのですか。
  52. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 基準数量が低過ぎるということは、共済組合員の各人で、自分は自分のたんぼからどれだけとりたい、こういう希望数量がみなあるわけでありますから、それを基準数量であるということにすれば、現在の基準数量とは相当開きが出てくるわけであります。しかしそれは客観的に制度として取り上げるような数字になりませんので、客観的に、あるいは個人的な私意を入れないできめられるような基準数量を、もっと大きくしたいということについては、私は合理性があるのじゃないか、こういうふうに考えます。もしそういたしますと、被害率が上る、被害率が上れば掛金が上る、掛金が上れば国庫負担も上る、こういうふうに自動的に数字が変ってくると思います。従ってそれについて財政負担がふえてくる、こういうことはあり得るのであります。現在までのところ、さっき申し上げました客観的な基準で、現在の基準数量を変える方法を、まだ私の方としてよう見つけ得ないのであります。これは制度相当重要な部分を占めるのでありますから、今後引き続いて研究するようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  53. 足鹿覺

    足鹿委員 これはあらためて資料をいただいた上で、また後日いたしますが、これはこの制度運営上一番大きな問題でありまして、十分に今後検討しなければならぬと思っておりますが、本日は、重複しますからこれ以上申し上げません。  十二、「開拓地又は干拓地の農作物、蚕繭についても総て共済の引受を行うことが建前であるが、損害評価の基礎となる基準反収の設定が困難であるという理由で、第百四条及び施行規則第二十七条に基いて引受を行はないことができるため、共済加入を希望する場合にも、これを排除する傾向が見受けられるので、今後、これらの引受について積極的に指導することとするかどうか。」これは私が当初の質問の際にも申し上げて今後はこういう方針を改める、こういうことでありましたが、施行規則第二十七条に基く運営を、今後どう是正されますか。これは開拓地、干拓地といっても、常習災害地や低位生産地帯よりもいい開拓地や干拓地が何ぼでもあります。それが開拓地、干拓地であるという理由のもとに除外されておる。実際はこの人々を救ってやらなければならぬのでありますが、その点については先般も、改めると言われましたが、その後研究もし、大いに熱意をもってこの点を解決する御意思であるか、この点明らかにしてもらいたい。
  54. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 御趣旨に沿ってやりたいと思います。ただ、たとえば干拓地等の場合経験した例では、市町村に編入されてないが、干拓してから相当の年数たっている、こういう場合もあったように思うのでございますが、私の方ではこの際開拓地、干拓地についての御趣意の点は、積極的に改善するように指導したい、こう思っております。
  55. 足鹿覺

    足鹿委員 十三、「損害の評価については、国の統計調査機構と組合の損害評価機構との協力組織により市町村別に一定の標準偏差をもつた収穫数量及び被害数量の調査を行い、これを基準として都道府県及び国の被害額を決定するような方式の実施に必要な措置をとることとするかどうか。また、これがため損害評価会の責任範囲を拡張し併せてその権限を強化するとともに、市町村段階の損害評価に対する異議申立の途を拓くこととするかどうか。」これはさっきと重複しますが、何か御意見がありますか。
  56. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 現在までの私どもの考えでは、先ほどお配りしました  損害評価の準則にお示しいたしました方針でやっていきたい、こういうふう  に考えております。
  57. 足鹿覺

    足鹿委員 この点は今後私どもももう少し検討してみたいと思っておりますし、これは小委員会での論議の中心一つになろうと思いますので、きょうはこれ以上申し上げません。一応問題点を提出しておくだけにします。  十四、「共済金を早期に支払うため九割以上の被害及び植付又は掃立の不能の場合には概算払いを行っているのであるが、七割程度以上の被害の場合には概算払いができるよう措置することとするかどうか。」概算払いの問題です。早期支払いの問題ですね。
  58. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ただいま私の方でも、七割程度以上はぜひ概算払いをしたい、こういうふうに考えて検討を加えております。
  59. 足鹿覺

    足鹿委員 趣旨に沿うべく検討中というわけですね。了承しました。  十五、「基準共済掛金率を定めるための基礎となる危険階級区分は危険度の実情に即して分類することとし、その分類標準を概ね旧市町村について四階級程度に置くこととするかどうか。(第百七条)」これはこの間私がしつこく言っていた点なんですが、この間の小委員会でもずいぶん議論しました。議論はしましたが、どうもこの点については、当局は今の考え方を非常に固執しておられるようでありまして、われわれの認識が違うのか、あなた方がやろうとしているのが不当なのか、その点もっとこれは時間をかけて私は大いに検討してみたいと思っております。だからあまりあなた方の考え方にこだわらないで、七—五—三—二、八—七—五—三—二というふうに四ないし五階級に選択の範囲の段階が分れる以上、旧町村でこれを選択する立場が二つしかない。一町村四ないし五しかないというようなことは、これは総体的な面から見て無理があると思う。私はどう思ってもあなた方の考え方に納得がいかぬのです。この点はさらに十分ひざを突き合せても、納得のいく検討を加えたいと思うので、ぜひそれに応じてもらいたいということだけを申し上げておきますが、御検討願いたいと思います。  それから十六、「大豆及びなたね等について国の再保険措置の途を拓くよう準備を進めることとするかどうか。」これは根本改正の問題に含まってくるわけです。先日私は大臣にもお尋ねしましたが、この点は、もしこの措置がとれれば、今度は麦を重要農産物として任意に持ってきて、そうしていけば、麦をあまり主作にしないようなところは零細農に対する特別措置というような、ああいうややこしいことをしなくても実際上は片づく、国の掛金も、麦の問題が一応主産地に限定されていきますと、大体この大豆を入れ、菜種を入れても、ある程度負担増高しないで問題の解決がつく、こういうふうに見ているのです。これは衆議院の小委員会の決議にも入っているのです。九州の福岡県の事例を、私どもまたこのたびも陳情を聞きましたが、実際気の毒です。ほんとうに農民のためになろうと思って、まじめに連合会長がやる、そうすると再保険がなくて、大きなやつがくるとそれっきり、それが二十八、二十九、三十、三十一、三十二年と五年かかってもいまだに未解決だということは、欠陥がある証拠です。こういうものを放置しておくということは、実際気の毒に思う。また法の欠陥が明らかになっているにかかわらず、それを放置するということになるので、これは現在そう大きな問題を含んでおりませんが、もう一歩を進めるという決意で今後検討してもらいたい。またこうなった場合には、その任意共済にこれを入れて再保険措置を講じた場合、どの程度経費がかかりどの府県がどういうふうな動きになっていくかというような検討資料もいただいて、十分今後検討してみたいと思いますが、局長はこの問題については異論はないでしょうか。
  60. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私も同感でありまして、ただ少しひまをいただきたいと思います。どうしても片づけなければいかぬ問題だと思いますから、根本的にやってみたいと思います。
  61. 足鹿覺

    足鹿委員 十七「今後は共済掛金のみならず、事務費賦課金についても強制徴収を認めることとなるが、賦課金の増嵩を防止するため、承認制を強化し農家負担の軽減に努めることとするかどうか。」今後は地方税に基く強制徴収の道が開かれてきたわけなんでして今までのように市町村に移った場合はなかなかいいかげんなことはできません。やれば市町村は直ちに赤字の結果になりますし、今まで組合がルーズな運営をしておったようなわけには参らぬ。従ってこういった若干の温情のある面も考えておかなければならぬというのが趣旨ですが、何かお考えありますか。
  62. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは御趣旨に沿って措置していきたい、こういうふうに思っております。
  63. 足鹿覺

    足鹿委員 先ほども賦課金の問題で資料をいただいたときに十分申し上げましたから、この点は十分御検討願いたいと思います。  十八「共済の完全引受、掛金の完全徴収等により成績優良な組合に対しては奨励金を交付し、これを無事戻制度の財源とするよう措置することとするかどうか。」先ほども言いましたように、信賞必罰ということが言われておるにもかかわらず、まじめな組合がこの制度においては損をしておる。大体社会通例ですが、先日私があなたの郷里の愛媛県の事例を申し上げた。五十五万円かけて百八十五万円もらえると思っておった、ところがきた保険金は十一万円になっておるのです。それはあなた方の基準反収の線の引き方が悪いのだといって私は一応なだめておきましたが、掛金賦課金もきちんと集めてまじめに運営をしておる、こうい組合がばかを見ておる。これをほったらかしておけばこれはもうグレシャムの法則でだんだん悪貨が良貨を駆逐してしまう。だからこの際制度改正を機会に、いわゆる優良組合に何か奨励措置を講ずる、それはまじめにやっておる場合においては、たとえば無事戻しの財源に認めるとか何かそこに防除対策の基金に繰り入れるようなことにするとか、いろいろ方法はあるでしょう。もう少し信賞の方を制度の上において明らかにすべきではないか、こういうことなんです。その点はどうですか、これは重要な問題ですよ。
  64. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは御趣旨は非常によろしいと思うのでありますが、具体的の方法としては、単純に政府から金を補助金として交付する、これだけではあまり芸のない話で、大蔵省と相談してもとてもお話にならぬと思います。方法として今までの検討の結果ではいい案が浮ばないのであります。ここに書いておりますように、無事戻しの財源にするというだけの奨励金ということならば、成績優良な組合の認定というものがまた非常な問題になってくるのではないかと思います。最近どの方面でもあるように、いわゆる優秀組合を表彰する、そういう程度考え方ではいかないのでありましてここの趣旨の、無事戻し制度の財源とするという例をあげておりますが、そういう効果を現わすような奨励金の交付の方法だと、私どもとしてはこれはうんと研究をしないと今すぐお答えができないのであります。
  65. 足鹿覺

    足鹿委員 趣旨には賛成であるが直ちに答えが出ない、検訂する、こういうふうに了承いたしました。  最後に十九、局長に上げたのはミス・プリントがあるのです。「組合共済金額の決定後」とありますが、これは「組合の損害評価決定後遅滞なく組合員別支払額、三割以上被害面積等を公示することとし、その内容に不服のあるものは組合に対し異議の申立をすることができるようにするかどうか。」これは市町村である程度もちをつき上げてしまう。今の制度では並行審査という格好になっておるからこのことは意味ないのです。今の制度であれば共済金額がきまっておるからこれを公示すればいい。ところがわれわれが考えておるように、市町村においてもう最終に近いところまで練り上げてしまうということになれば、共済金額の決定公示の必要はないのです。むしろその評価が最終的なものに近い権威を持つことになります。そういった損害評価のやり方についての関連の上においてこの問題が出ておるのでありましてこれは先ほどいただいた損害評価の基準案については、後ほどよく検討をしてわれわれとしても意見をまとめていきたいというのと関連がありますので別に答弁を求めません。  大へん長時間でありましたが、私の質疑は終ります。
  66. 助川良平

    助川委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後一時八分散会