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大坪政府委員 豪雪対策の件につきまして、ただいま
委員長より御
指名がありましたので、私より
中間報告をいたしたいと思います。ただ、
本件は
閣議決定を経ておりませんので、いわゆる中間的な
報告であるということで御
了承を願いたいと思うのでございます。
豪雪の問題につきましては、ことしは
昭和九年及び二十年に匹敵する
豪雪でございます。かつ、三月の下旬から四月の初旬にかけて雪がたくさん降ったというような
関係で、消雪の時期がおくれておる、こういうような
事情がございまして、当
委員会並びに参議院の
委員の
方々も
現地視察並びに
指導をお願いいたしたのでございます。私
どもといたしましても、
技術官に二回にわたりまして
現地を踏査させ、かつ
指導をいたしたのでございます。それらの結果、
農林省といたしまして
大蔵省に対しまして
一定の
予備金の
支出を要求して参ったのでございますが、
特例でございますので、なかなか
大蔵省との
折衝に手間取ったのでございますが、幸い
現地視察をお願いいたしました諸
先生方の御
指導と両政務次官の会合の結果、一応こういうものを
補助しようということで大体の
了解点に達しておるのでございまして、大体
了解点に達しましたものを基礎といたしまして、あさっての金曜日の
定例閣議で正式に決定していただきたい、かように考えておるのでございます。
まず
了解点に達しました第一点は、消雪を促進することが何よりも必要でございますので、
町村あるいは
協同組合等が
土取り場を
設置いたしました場合に——それは
土取り場を
設置いたしますと、
農家の人がその
土取り場の土をとりまして、自分の
本田並びに苗しろの
予定地に土をまくわけでございますが、
豪雪のためにどこからでも自由に土がとれるというような
事情ではないのでございますので、特に市
町村あるいは
協同組合等が
農民のために
土取り場を
設置いたしました場合に、その
設置いたしました
費用について、つまり
土取り場の
補償費を
支出いたします場合に、その
補償の
費用を
補助の
対象にするということが第一点でございます。これは、
補助金の
助成の率は二分の一と、かように考えておるわけでございます。
第二点は、苗しろ並びに
本田に
農家の
方々が土をまく、つまり散土いたします場合に、その散土に
労力を用いた場合、その
労力を
雇用労力の形によりまして
現金支出を必要といたしました場合には、その
現金支出に対しまして大体
半額を
助成する、こういうことに一応私
ども大蔵省の方では意見が一致いたしたのでございます。
次にこの際できるだけ早く苗しろの
造成をやる必要がある。一面において散土いたしまして、苗しろの整地を促進しますと同時に、あの
山間地帯でありますので、
新潟県におきましても、いわゆる
改良苗しろと申しますか、保温折衷苗しろの
普及がまだおくれている
地帯でございますが、どうしてもこの際
健苗を育成する必要がある。こういう
関係からいたしまして、
健苗を育成するための保温折衷苗しろの
温床費に対しまして
助成をする。これは実は
改良資金の方でまかなうということになっておるのでございますが、特に
新潟県の
豪雪地帯は、そういうような
改良苗しろの
普及が非常におくれておる
地帯でございますので、
特別措置といたしまして、
改良費から、その
地帯だけは
特例として
助成の
対象にする。これは大体三割
見当、一坪当り十八円
見当と考えているのでございます。
次に
本田に移植します場合に、苗しろの
設置がだんだんとおくれて参るということが
想定されまするし、その物合におきましては、どうしても密植をしなければならないというような
事情がございますので、こういうような
豪雪の場合には、おおむねよけいに苗しろの仕立てをするということが必要になって参るのでございます。予備苗しろと申しますか、
農家自身が、あるいは
協同組合なり
町村等におきまして、予備的に苗しろをよけいに増設しました場合、これはもちろん
当該地方でやります場合、あるいは
平坦地等に
委託経営の
形式で、予備苗しろを経営せしめるという二つの場合があると思いますが、そのいずれの場合におきましても予備苗しろの
設置をやらせました場合には、それに対しまして大体
半額程度のものを
助成をする、かようなことになったのでございます。
次に
水口被害を防止する。これは
ビニール板を
畦畔に巻きまして、その小さい穴から水を出しまして、いわゆる水温を上昇させまして、
本田の成育を増進する施設でございますが、これも大体は
一般対策といたしまして
改良資金でやることになっておりますが、
特別措置といたしまして、これも
助成の
対象にする。大体これも三割
見当を
助成の
補助率といたしたい、かように考えているのでございます。
次に今回のような
豪雪、それに引き続きます冷涼なる気候ということが
想定されますので、こういうような場合には必ず夏におきまして
いもちの
発生が
想定されるのでありますが、これに対しましてまず懸及び国有の
防除機具を一応
動員態勢をとっていく。しかしながら
当該地方におきましては
防除機具の
普及率もきわめて少いのでございますから、
町村が来たるべき
病虫害の
対策といたしまして
防除機具を
設置いたしまする場合には、これも
一つの
補助の
対象にする、大体四分の一の
補助、かように考えているのであります。なお私
どもといたしましては、当初、大体
いもちの
発生が、非常に確実に予想されまするし、少くとも一回ぐらいは平年よりもよけい
農薬の
防除作業をやらなければならないということが
想定されますので、その場合に対処しまするために一回分の
農薬剤の
補助金を
大蔵省に要求いたしたのでございまするが、実はこの点につきましては、
現実に
病虫害が
発生した場合に考慮いたしたならばいいのじゃないか、今からそれを
想定しておく必要もないのじゃないかということでありまして、その点につきまして私
どもの方も
大蔵省の意向を
了承いたしまして、今回は
農薬の
補助については見合わしたのでございます。これは桑の場合も同様でございます。なお
病虫害の
予防対策といたしましての
動力噴霧機等の
防除機具の
対象につきましては、当然桑の場合も
想定いたしましての
対策、かような
格好になって参るのでございます。
次に、現に府県は
相当現地指導をやっております。なお国の
地域農業試験場の方も、
相当現地に参って
指導督励をいたしておりますから、国並びに
都道府県等の
現地指導に要しまする
事務費でございまするが、
旅費等を若干計上いたしたい、かように考えておるのでございます。
さらに今後の
豪雪対策につきまして、
豪雪をどういうふうにしたら早く解消できるか、それから
豪雪と
農作物との
関係をどういうふうに調合するかというような点を根本的に試験研究いたしまするために、大体これは県の
試験場でございまするが、これに対しまして必要な経費を計上いたしたいと考えておるわけでございます。
これらの問題につきましては大体金曜日に
閣議にかけまして、同時に細目を
大蔵大臣と打ち合せいたしまして、その日に県に通牒を出します。県におきましてもすでに
指導をしておりまするし、
農民の方におきましても消雪を現にやっておる、あるいは苗しろの
造成を急いでおるのでございますから、それを県の方で取りまとめまして、その結果を県の予算化いたしまして、それを
農林省の方に
報告していく。
報告が来ましたならば
大蔵省と打ち合せいた肥しまして、その場合初めて、ただいま申し上げましたような
基本原則にのっとりまして
金額を策定して
予備費を計上する、かように考えておるのでございます。本問題につきましては、
一つ非常な
特例の
豪雪の年であるということと、もう
一つは、これは
先生方がお見えになりまして異口同音におっしゃることでございますが、
当該の
地方が
新潟県等におきましても特に
農業方面では非常な
後進性の
地帯であって、こういう際に特別の施策を施しまして、
豪雪対策と同時に、今後の
農業の
改良にちょうどエポツクをなすような時期でございますので、私
どもといたしましても、
地域の
試験場、県の
試験場並びに
普及事業の
総動員態勢をとって特別の
指導をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
簡単でございますが、一応
中間報告として申し上げます。