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1957-04-02 第26回国会 衆議院 農林水産委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二日(火曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 小枝 一雄君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 稲富 稜人君    理事 芳賀  貢君       赤澤 正道君    安藤  覺君       石坂  繁君    川村善八郎君       木村 文男君    草野一郎平君       椎名  隆君    鈴木 善幸君       中馬 辰猪君    永山 忠則君       八田 貞義君    原  捨思君       松浦 東介君    村松 久義君       阿部 五郎君    赤路 友藏君       井手 以誠君    石田 宥全君       石山 權作君    小川 豊明君       川俣 清音君    久保田 豊君       楯 兼次郎君    中村 英男君       細田 綱吉君    山田 長司君  出席政府委員         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         管理課長)   石田  朗君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         参  考  人         (東京大学助教         授)      加藤 一郎君         参  考  人         (弁護士)   野間 海造君         参  考  人         (全国土地改良         協会事務局長) 安部 義正君         参  考  人         (千葉県土地改         良協会常務理事         兼事務局長)  大曾根嘉夫君         参  考  人         (新潟県亀田郷         土地改良理事         長)      佐野藤三郎君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 四月二日  委員足鹿覺君辞任につき、その補欠として阿部  五郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月一日  農産物の価格安定に関する請願小坂善太郎君  紹介)(第二五五〇号)  自作農維持創設資金制度拡充強化に関する請  願(小坂善太郎紹介)(第二五五一号)  新農山漁村建設総合対策に関する請願小坂善  太郎紹介)(第二五五二号)  農地転用基準確立強化に関する請願小坂善  太郎紹介)(第二五五三号)  同(吉川久衛紹介)(第二五五四号)  木崎地区代行干拓事業促進に関する請願(伊東  岩男君紹介)(第二六三五号)  解放農地補償に関する請願原健三郎紹介)  (第二六六〇号)  供出制度改正等に関する請願原健三郎君紹  介)(第二六六一号)  農地所有権及び地上権確立に関する請願(原  健三郎紹介)(第二六六二号)  甘しよ切干価格維持対策に関する請願馬場元  治君紹介)(第二六六三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  土地改良法の一部を改正する法律案内閣提出  第八四号)について、参考人より意見聴取     —————————————
  2. 小枝一雄

    小枝委員長 これより会議開きます。  土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたし審査を進めます。本日はまず参考人の方々より意見を承わりたいと存じます。  参考人各位には、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席下さいまして厚くお礼を申し上げます。  それでは参考人各位より意見を承わることにいたしますが、主として公有水面埋め立てによる造成農地についての所有関係、特に農地法との関係並びに土地改良事業を行う者の共同組織としての土地改良事業団体連合会新設の問題に重点を置きまして意見を承わりたいと存じます。ではまず東京大学助教授加藤一郎君にお願いいたします。
  3. 加藤一郎

    加藤参考人 私は東京大学民法を研究しております加藤でございます。専門は民法でございますが、同時に農地法についても研究をいたしておりますので、きょうは国営の公有水面埋め立て事業農地法との関係、それから特にその場合における所有権取得関係について意見を述べたいと思います。  従来は、御承知のように公有水面埋立法によりまして、国が造成しました土地未墾地一緒にいたしまして農地法によって農民に売り渡すということになっておりました。それを今回農地法体系からはずしまして、土地改良法の方に取り入れたというのが第一の問題点だと思われます。それと同時に改正案の九十四条の八の第四項におきまして、入植者がその干拓地所有権原始取得するという法律構成をとっております。それが適当であるかどうかというのが第二の問題だと思われますが、それについて意見を述べさせていただきます。  この農地法体系から干拓地を除いたということは、法律形成はともかくといたしまして、実質的には農地価格、これは買収売り渡しの場合の価格でありますが、農地価格干拓地価格というか、干拓地農民に与える場合の価格との切断というものをはかったものと思われます。法律構成といたしましては、この土地改良法におきまして、土地売り渡しという形はとっておりませんで、農民土地原始取得する、それに対しまして別個に負担金を納めるという関係になっております。負担金の方は九十条の三項に出ております。そういうふうに法律構成として土地価格ということではなくて干拓事業に対する負担金を納める、それに対して別個に所有権は無償で原始取得するという形をとっているのであります。この負担金というものもある意味では一種の土地価格であるということも言えないわけではないのでありまして、これを負担金と同額で売り渡すという法律構成も同時にとれるわけでありますけれども、そういたしますことは結局農地売り渡し価格買収価格というものに影響を及ぼす、そういう考慮からこの法律におきましてはいわば農地法からそれを抜き出しまして、別個に農地価格関係のないような形でそれと切断したような形で農民の手に入るように考慮されているのであります。このように技術的に農地価格と遮断することがいいかどうかということが結局問題だろうと思われます。この点実質的に考えてみますと、現在の干拓費というものは相当高くなっている、それを普通の農地法による売り渡し価格で売り渡すことは相当困難である、財政的に見まして現在ございます農地価格標準反一万二千円ぐらいといたしますと、少くとも一万二千円より安い価格で売り渡すということになりますが、それがいろいろな国家の予算とかそういうような関係から安く売り渡すことが困難である、どうしても少し高くとらなければならないという要請が一方にあるわけであります。他方におきまして干拓地売り渡し価格が相当安過ぎるということが非難されている点があるわけでありまして、ほかの一般農地の自由な売買価格に比べますと相当安い、そういう干拓地に入植するということは一つの大きな特権になるという傾きも持っているのであります。その両方の点からいたしまして干拓地価格といいますか、干拓地に入る場合の価格を今のまま据え置くことが適当でないという考慮から、これをいわば引き上げる、干拓地農地造成価格の二割あるいは二割プラス・アルファというものを負担金として徴収するという形にしているわけであります。このような実質的な関係からいたしますと、干拓地価格を引き上げるということ自体については、やはりこの法案のように考えざるを得ないのではないか。干拓地価格を引き上げるということは実質的に見て妥当である。問題はそれをどこの線あたりに落ちつけるかという政策的な問題でありまして、その価格を上げるということ自体はやむを得ないところではないかと思うのであります。そうだとしますと、それを今度は農地法価格影響を及ぼすような形でとることは工合が悪い、そこで現在のような法律構成をとって農地価格の道を遮断したわけでありまして、その点でははなはだ技術的には巧みな立法であると言えるわけであります。しかし、そういうふうに法形式におきまして農地価格との遮断をしたところで、一体実際にその影響を遮断することができるかどうかということはまた別個に考えてみなければならない、農地価格との比較におきまして今度とるべく予定されている負担金というものが果して合理性を持つものかどうかという点を次に考えてみたいと思います。  理論的に申しますと干拓地は既設の農地ではなくていわば新設農地でありまして、その造成費というものは農地価格とは別個の体系に属するといってもいいわけであります。ですから造成費のうちたとえば二割を負担させる、そういうことは農地価格とは一応理論的に切り離して考えられるところだと思われます。その点で農地価格と切り離すことは理論的に見て差しつかえないと思うのであります。ただ実際問題といたしまして、果してこれだけの負担金を徴収して農業経営が成り立つかどうかということは政策的に検討してみる必要があるわけであります。たとえば現在の小作料の算定の基準になっております農地価格というものは大体反当一万二千円くらいというのが標準になっている。それとたとえば今度負担金を徴収するといたしますと、安いところで反当二十万円くらいの造成費がかかっておりますから、その二割といたしましても反当四万円になる。高いところでは六万円以上にもなるというようなことでは、農地価格あるいは小作料との均衡がとれないではないか。かりに現在の農地価格小作料農業経営の安定ということを目標にして作られているとするならば、今度の負担金というものはそこの入植者農業経営の安定を害しはしないかということが検討されなければならぬ。これは理論的な問題ではなくて実際的な問題として検討されなければならないと思うのであります。しかし他方におきまして自由売買の場合の農地価格は反当十万円をオーバーしている現状でありまして、十万円をオーバーする自由価格、それから今回の五万円見当負担金、それから一万二千円見当農地価格、この三つあるいはそれに固定資産評価の場合の三万円というくらいの価格、そういう幾つかの複数の価格が出ている。それを経済的にどう理解するかということを考えてみなければならないのであります。この点は私は法律を勉強しているのでありまして、経済的な問題はよくわかりませんけれども、この点を十分御検討願いたいと思うのであります。それは結局農地価格をどこまで認めれば、あるいは負担金をどこまで認めれば農業経営が成り立つかということであります。現在の干拓地負担金予定額というのを見ますと、場所によって非常にむらがあります。安いところもあれば相当高いところもある。これは造成費がそれだけかかったといってしまえばそれまでの話でありますが、そこに入植する農民経済負担というものを考えますと、これは第一にはある程度平均化する必要があるのではないか。つまりあるところでは二万円くらいで入れる、あるところでは六万円払わなければ入れないということはどうしても不合理でありまして、それは全国的にその造成費というものから計算する負担金をプールして平均化する方法が考えられないだろうか。それはどういう負担金をとるかということは、農業経営の成立という上からある程度逆算しまして可能なものをとるということでなければならない。第二は将来の干拓計画を立てる場合におきましても、たとえば二割の負担金を徴収して果して経済的にその干拓地が成り立つかどうかということを考えてみなければならぬ。そういう意味におきましても、一体どれだけの負担金をとったならば農業経営が一応成り立つものかどうかということを、やはり科学的に計算をして、適正な負担金の額を出すということが必要であろうと思われるのであります。このように新設地であるから農地法体系と一応別個でも差しつかえない。ただしその負担金の額は別個に政策的に、あるいは経済的に検討してみる必要があるというのが私の意見であります。  それからなお法律的に見ますと、干拓地はいわばさら地でありまして、小作権のない完全な所有権を取得するという関係になります。現在きめられております農地価格というものは、いわば小作地価格である。一万二千円というのは、小作権価格幾らになるかこれは非常な問題でありますけれども、一応小作権を差し引いた農地価格であります。そういう意味におきまして、一般小作地価格ともいうべき現在の農地価格よりも負担金が上回るということは、これはある程度合理的なことでもあるのであります。しかし他方におきまして、干拓地を取得いたしましても、それを完全な農地とするためには、別に若干の労力あるいは農地にするための費用というものがかかるわけでありまして、それはまた別に差し引いて考えなければならぬ、そういうふうにして合理的な価格計算してみる必要があると思われます。  それからもう一つの問題、この所有権原始取得という関係でございますが、これは現在の公有水面埋立法においては、個人が埋め立ての免許をもらって土地造成する場合には、地方長官竣工認可を得た日に所有権を取得するということになっております。国が埋め立てた場合には、それに準じて国から地方長官竣工の通知をしたときに、おそらく国が所有権を取得することになるのだと思うのでありますが、今度の法律では九十四条の八の四項におきまして、竣工したときに、その土地改良事業が完了した期日において農民が直接原始的に所有権を取得する形になっております。これは公有水面埋立法考え方と矛盾することはなく、むしろその考え方に合致しているのではないか、実際に所有権を取得すべき者はそこの入植者でありまして、国が一応所有権を取得してそれを売り渡すということでなくて、入植者が直接所有権原始取得するという建前は、これでけっこうなのではないかと考えております。  大体以上でございます。
  4. 小枝一雄

    小枝委員長 参考人として御出席をいただいた野間さん、それから佐野さんに申し上げますが、きょうは御多用のところ、ありがとうございました。ただいま土地改良法改正につきまして、主として公有水面埋め立てによる造成農地についての所有関係、特に農地法関係並びに土地改良事業を行う者の共同組織としての土地改良事業団体連合会新設の問題に重点を置いて、御意見を承わっておるわけでございます。続いて弁護士野間海造君にお願いいたします。
  5. 野間海造

    野間参考人 昨晩電話で連絡がありましたのは夕刻でありますが、資料を拝見したのは八時過ぎでありまして、大事な御用でありますから、すべてはしょってごく要点だけ拝見したわけです。われわれ根が学究でありますから、ゆっくり研究さしていただくと何か少しまとまった意見を書いて差し上げられると思うのでありますが、非常に急でありまして、最近そういう仕事から少し遠ざかっておりますので、意見ということよりもむしろ質問がしたいくらいに思っておるのでありますが、質問の余地もないようでありますので、ざっと拝見して私が長年この土地改良水関係の問題を勉強しておりますので、そういうことから一つの見通しといいますか、問題点といいますか、そんなことを出してみようと思います。  法案としては土地改良法の一部改正法案と、それから特定土地改良工事特別会計法案、二つが審議に乗っておると思いますが、それと農地法との関連というようなことを電話でちょっと承わりました。学問的に申しますと、農地法体系系列とそれから土地改良法体系系列とは全く違う。どこかで関連がありますけれども、その関連の時期はどの辺からかというようなことが問題になると思うのであります。従って全く違うから農地という考え方も違うということは、まず大前提として考えなければならぬと思うのであります。御承知のように現在土地改良法でいう土地改良というのは、昔は耕地整理法でいう耕地整理で、まずその耕地整理法の沿革を申しますと、明治二十二年の地租条例改正から地価据え置き年限を許可してもらったというようなこと——これは交換分合整理をしたときに地価据え置き年限を許可してもらったというのが最初でありまして、それから明治三十年の土地区画改良にかかる地価の件という法律がありまして、増歩地が免税になったというようなこともある。それから御承知明治三十二年でしたか耕地整理法ができて、この耕地整理法は大体区画整理交換分合というようなことに力点を置いていたのでありますが、それでは成果があがらぬ、増産の実もあがらぬというので明治四十二年の根本改正で、同じ耕地整理法という名前でありますが、実体が非常に変った法律になった。そしてそれをまた補うために大正八年の開墾助成法、それからまた大正十年の公有水面埋立法というものができた。こういういきさつで土地改良の法の体系はずっとあるわけであります。ただこの土地改良という言葉が出てきたのは昭和二十四年の法律で、その前には朝鮮土地改良令というのでありまして、私は昭和の初めに「耕地整理の本質及びその公共性」という論文を書きまして、それが多分朝鮮土地改良影響したと思うのでありますが、名称がそれで出てきた。それから戦後二十四年に、土地改良法ですっきりする体系を整えたものが出てきたのが、土地改良法体系系列だと私は見ております。それから農地法の方は、これまた御承知のように戦前は小作立法が非常にやかましくて、それと自作農創設と並び立法されたり、予算措置がとられたりした。それが戦後例の農地改革自作農創設特別措置法ができた、これは二十一年です。それが改正になりまして、昭和二十七年の農地法というふうになっておるわけであります。従って発展過程から見まして、全く法律体系が違う。その違った体系から土地田畑というものを見ると、農地法では既成田畑——熟田熟畑といかぬまでも、既成田畑を対象とする、それから土地改良関係では、その既成田畑区画整理交換分合地目変換などもしましょうが、ともかく耕地集団化だとか、それからため池を作ったり、用排水幹線、支線、分水、その他今度総合開発関係とかということでいくのでありますが、要するに、農地法で言うのは、農地改革によって、今加藤先生がお話しになったような、主として小作地自作地に出世したというのであって、従ってその土地評価は、長い間の耕作をし、ときに深耕をし、堆肥、厩肥をやり、あるいは土壌の酸性を中和したりするというような土地改良はもちろん入っておりますが、それが経営耕作に付帯されたものとしてずっとなされておって、もし土地評価に減価償却的なものを考えると、かなり元も取っている。それでも需給関係から市場価格というものは相当高くて、地目変換でもすればえらい高いものが出る。農地改革では坪当り数円もしたと思うものが、現在は地目変換をすれば地目変換後は一万円にもはね上るというようなのが農地及びその地目変換後の価格変動であります。土地改良の場合の土地、特に開拓それから干拓というような場合は造成に非常に工事費がかかる。反当十万で上ることがあるかもしれぬが、二十万かかることがあるかもしれぬ、もっとかかることがあるかもしれぬ。あるいは総合開発で、多目的ダム一緒仕事をやれば、負担金収益性考慮して安くするから、何とか採算は合うかもしれぬが、同時に田畑造成をやりますととてもお金がかかる。かりに二十万円かかり、金利等計算しますと坪七百円かかる。それから今の農地改革買い上げ値段が一万二千円ということでありますが、坪は四十円くらいです。だからまるで値段が違うということがわかるのであります。要するに、新しく造成される田畑は、素地価格土地改良資本というものが二十万なら二十万かかる。素地価格はかりに五、六千円から一万足らずであっても、土地改良資本というものをうんとぶち込まなければならぬ。たまたま土地改良資本の大部分を国が背負ったり、地方公共団体が背負ったりしたということで地元負担が軽くなる。この法案のどこかを見ておりますと、三十一年度までのとそれから三十二年度からのと別途に考えておるようでありますが、とにかく三十一年度までの仕事地元負担が反当一万円ですか、それから三十二年度からのやつは反当二割で、二十万かかるとして四万、そういうふうな計算を立てておるようであります。それとそれから農地買収売り渡し価格とに非常な開きがあるわけです。しかし片方の同じ土地田畑になったとしても、もとが違う、性格が違うということがはっきり言えると思います。まだあと参考人の御意見もあるようでありますから、一々こまかく要綱を一一私は要綱はちょっと拝見しただけでありますが、その要綱についてもここで一々申す間がないと思うので、電話で承わった、つまり農地法土地改良法との関連という問題と、それから干拓の場合に今の二割の負担で四万円というようなものが土地所有権取得価格だとすると、農地法値段と大へん開きがあるというのが問題だというようなことを承わりましたので、なるほどそれはそれに違いない、それはものが違うからということはまず大前提として考えなければならぬ、ただ結果におきましては農民負担能力の問題であります。農民負担能力としましては、政策的には現在いわゆる次三男問題、これはやはり農村に実在する問題で、幾ら相続法改正になりまして分割相続といっても、結局実際問題としましては、分割すれば農村がつぶれるので、単独相続であるということになるので、それで主として長男があと継ぎになるから次三男問題はやはり大きな問題であります。現在の相続法改正にかかわらず、依然として現実には重大な問題であるということ、その行き先生計の立て方ということはどうしても考えなければならず、食糧増産も、それで自給ができるということは不可能であるとしましても、つぶれ地もどんどんふえることだしするから、やはり田畑造成をして、食糧増産はできないまでも、生産力維持というこの最低線だけは農林当局としてできるだけ努力しなければならぬ。そうなりますと、やはり開墾干拓というような開拓事業は大事であります。御承知のように、林野開発山林開放といいましても、農地法未墾地買収したり売り渡ししたりするというようなこともうたってありますから、それもしなければならぬが、どちらかというと、つまり未墾地買収売り渡しはこれは農地法でもかまわぬけれども、しかし未墾地開墾して田畑にするということは、これは土地改良事業であります。そうしてその土地改良事業には非常に金がかかります。昔の例でいうと、国が五割負担、地方庁が三割負担地元負担が二割で、おそらくこれもそんなふうになっておるんじゃないかと思いますが、そんなふうにいくと一応の基準になります。そうして土地改良をした田畑価格はどう押えるかというと、投下資本から言うと、素地価格プラス土地改良資本でありますが、農民に売り渡す場合にはそれを入れては大へんだから、従って助成金は差し引く、かりに八割の助成金を差し引くと二割の地元負担金が全部購入資金に切りかわり、負担金二割で土地が買えることになる、熟していないまでも新しい土地を買うにはそれが理屈から言えば相当だ、決して高くないということは言えるのでありますが、かりに今の反当四万円という値段が出ると、これはもう一つひっくり返して言うと、農民負担力はどうか。負担力という問題になりますと、これははなはだむずかしい問題でありまして、かりに反当十万円の工事費で上ったところが生産力は少くて、二十万円かければその倍だけ生産力があるというならばまた別でありますが、十万円かけたところが案外反当三石も取れたり、二十万円かけて一石か一石何ぼしか取れぬということはあり得る。だから今の審議過程では無理な注文かもしれませんが、どっかでプールして、そうして農民負担力も考えたり、賦課金といいますか、負担金所有権取得の代償にするというようなことが考えられていい。しかしコストと生産力が必ずしも一致しないから、それを平均化するためにあちこちの午拓事業等をプール計算して、生産力に応じた平均値を負担金にして買収単価としたらいい。これは私学究でありますから至って理屈的に考えて言うのでありますが、そこまでこの法案に御用意がないようであります。しかしどこかで、いつかは修正なり、そういう機構でも立ててなさるといいと思う。ともかくかりに反当四万円の負担金所有権取得の代償になるとしましても、これは農民にとってはなかなか痛い。反当り三石近くも取れたとして、粗収入が四万円になるかならぬかじゃないですか。私ちょっと計算がまごつくかもしれませんが、とにかく粗収入が低い、いわんや収益率が低い。租税の恩典は相当期間あるでありましょうが、とにかくそれに労力をぶち込み、肥料をぶち込む。当分は肥料が要らぬということもありましょうが、とにかく労力をぶち込む。その労力を均衡理論で考えていこうものなら、経営は赤字が出ると思うのであります。そういった点も、またしかし大蔵当局の財政上のやりくりもありましょうし、御当局としてはなかなか御苦心のところだろうと思います。思いますが、今のプール計算で少しくずして平均値を出すとかやる。あるいはもう一つは利子補給の制度でも立てたらよほど負担力相応という点が出るのじゃないか。というのは、農地法売り渡し価格より高いとして、それが農民負担能力をオーバーするようではたまらない。そうすると、この建設費は国費で相当部分出して、それから地元と地方団体の負担金を借入金でやるんだとなると、その利息がつくわけですが、その利息がもし高いものであるとなかなか容易でないと思うのです。これは皆さんのお力で何か知恵が実際出て大蔵当局とも話し合いがつくといいなと、私は外部から見てそう思うのであります。できる、できぬは私どもにはわかりませんが。利子補給は何でも占領政策後非常にきらわれておるということでありますが、戦前は利子補給をやって、たとえば耕地整理なんかでは支払い期間が六十年四十年くらいがあります。三十年くらいは珍しくない。そして金利はたしか三分以下だったと思う。そういう問題がありますから、この際利子補給を相当に考えないといけないのじゃないか。つまり相当な延滞を食うんじゃないか。要するにもう体系系列農地法土地改良法では違う。それはいつ結ぶかというと、その点がこの法案要綱などを拝見しているとわからないのであります。公有水面埋め立てる場合に、竣工認可か通知というのか、あるいは工事が完了して所有権をかりに条件付で譲渡して、あとまだまだ——干拓の場合は交換分合はあまり要らぬし、金銭清算等いわゆる耕地整理のようなめんどうくささはないから、事業の終了は割合早いかもしれませんが、それにしても工事完了をした事業が、そういう計算がつくまで、あるいはその負担金の完済がなされる間は仮の権利というか仮の所有権が与えられるんだ、それも原始的に与えられると考えるか、あるいはやはり公有が私所有権に変るから移転的に移るんだというような見方でもいいのでありますが、とにかく工事完了でもし所有権収得が打ち出されたとして、それですぐ今度は農地法の適用だ——それは権利の制限とか調整とか、もし小作に付したならその場合の小作料の統制とか、そういうことはあるいは農地法の適用が重なってもいいかもしれませんが、土地評価とか負担とかいうような面では、長い目で土地改良法の恩典が乗っかって続いておるような仕組みの方がいいんじゃないか。つまり過渡的には農地法土地改良法が重なる。かりに工事完了で負担金負担する予定者が所有権をはっきりもらった、もらったら今度は農地法の適用があるんだ、それでもいいかもしれませんが、あるいはそれとも条件付にして、一部適用があるが一部は土地改良法が残っておるのだ、完済されるまで残っておるのだという行き方でもいいのじゃないか、そうすると、農林省としてもいろいろな手の打ち方があるのではないか、要するに、人口増加、二、三男問題それから食糧増産ないし生産の維持ということは絶対必須の宿命的な課題でありますから、何とか開墾をし、埋立干拓をしなければならぬ。埋立干拓の方が割方成功率はよいと私思うのでありまして、八郎潟にしても児島湾にしても有明海なんかもまだずいぶんできるし、それから東京湾の埋立干拓をやったらまだまだずいぶんできます。千葉方面の干拓なんかまだまだかなりできると思う。干拓地は相当土壌が肥えておりますので、生産力は高い。それから抜根等のああいう作業がないので、工事費はかかるかもしれませんが、入植及び生産を上げるという点のスピードは早いというような点があるので、できるだけ国家の要請としては、少し問題の残った法律でもできた方がいいという結論だけは申し上げられると思います。ただ私も研究不足でありますから、今のぞいた程度では別系列だから別な考え方でおることが第一だという前提と、それから、それがどこかで結びつくその時期をいつにするか、あるいはその調整をいつにすべきかという問題が残る。それから土地改良資本マイナス助成費すなわち負担金だけを土地改良法による田畑価格とみなしてもなおかつ農民負担力は相当大きいというので、この点の考慮がどの程度になされておるか、あるいは調整がどんな方式であるかということについて、私今わかりませんが、私の考えとしては、プール計算みたいなことやら利子補給みたいなことやら、何か出てくるといいなと思うので、それができておるかどうかは存じません。従って、仮定の議論に立っておるのでありまして、できればどこかでゆっくり質問でもした上でと思っておったのでありますが、入るなりの御審議でありますので、はなはだ雑でありますけれども、全体としては、国家的要請としては好ましい立法である、それから農民負担力は十分考えていただきたいということで、結論としてはそういうことであります。
  6. 小枝一雄

  7. 安部義正

    ○安部参考人 私全国土地改良協会の事務局長の安部でございます。おもに土地改良事業団体連合会問題に触れさせていただきますが、ただいま特別会計に関連いたしました特定土地改良事業の問題につきまして今まで参考人のお話のありました点をちょっと補足させていただきたいと存じます。  それは、先ほど来干拓資金が反当大体二十万円か何かかかる、それに対しまして、利子を除いて約五万円の負担になるという問題と、なおかつ干拓地にはそれ以外に御承知のように付帯工事と整地工事が、合計いたしまして約一万五千円かかりますので、この五万円に対しましてなおかつ一万五千円、合計いたしまして六万五千円かかりますので、そういう点等を一つ考慮いただきまして、現在の入植者が営農できるような線に十分お考えをいただきたい、これだけ申し上げておきます。  次に土地改良事業団体連合会の問題でございますが、御承知のように、土地改良事業すなわち農業の基盤は土地と水でございます。これをしようするのに、大部分が土地改良区を設立してやっている。従ってこの土地改良区にはだ政区画というものはございませんで、水系に応じて土地改良事業というものが成り立っている、こういう姿が土地改良事業でございます。ところがこの土地改良自体がこういう法人でできておって、これらを結んでいる団体は今日までございませんでした。今までこれらの団体の仕事を結ばせておるのは耕地協会あるいは土地改良協会という名前のもとにそれぞれできておったのでございますが、これらの機関の約半分は民法上の法人になっておりますが、残りの半分は任意団体になっている。従って過去においては相当長い経歴を持っておりますけれども、その間においていろいろの非難もあったのであります。今回法の改正に一指を加えられて、事業団体という名称をつけたことについては、法的にできておる土地改良区の上に立った特殊法人としての連合会ができたということは、非常に土地改良事業の躍進上好ましいことと私どもは考えておるのであります。すなわち土地改良事業は、戦前においては地主が中心になり、戦後においては耕作者が中心になっておりますが、ようやくこの耕作者が土地改良事業の効果について認識を深めてきたというときに当って、やはり共同的の利益を増進するためには、何といっても特殊法人なり団体を作ることが私は当然必要ではないかと思います。  そこで実際問題といろいろ比べてみますと、現在各県においては、特に団体営の事業につきましては、先般の国会において補助金等の適正化の法律が出た関係から、この団体営の仕事のめんどうというものが、今まで手を伸ばしていた点に全然手が伸ばせない。これはほとんど地方庁の職員そのものが、国の補助の職員が大部分を占めておりました関係から、なかなかそれ主で団体の仕事に手が伸びてない。しかるに一方においては法律のいろいろの制約がございますし、また検査、監査がますますきびしくなって参りまする関係から、各土地改良区がそれぞれの職員を置くよりも、お互いが多少協力して技術者を置くなりして仕事の計画を立てるとか、あるいは今回の法律ではこれまで改正が及んでおりませんけれども、現在ある維持管理をしなければならない施設に対しましては、もっと維持管理をまじめにやっていく、そういうものを指導する機関もやはり必要ではなかろうか。これはたとえばため池の問題で申しますと、現在五町歩以上の受益地を持っておるため池は全国で約四万九千カ所ございます。五町歩以下のため池は二十二万八千カ所ございます。これがいずれも現在老朽化しておりまして、これらを完全なものにするためには相当の費用がかかるのであります。ところがたびたびの農地災害の原因の約三割がこのため池に及んでおる。従ってこういうため池の灌漑期間中に維持管理をもう少しうまくやっていけば、ため池をより以上有効にでき、かつ災害を未然に防げるのではなかろうか。こういう問題。また排水、用水等を機械でやっておりまする箇所は、全国で、総馬力数で申し上げますと、約三十三万馬力ほど、箇所数にして、約二万カ所、受益地は七十一万町歩に及んでおる。こういう機関場の維持管理についても、十分にこれらのめんどうを見るには連合会の組織によってやっていく必要があるのではなかろうか、こういうような問題。あるいは、この一、二年災害がげございませんが、災害が起きましたときに、今までは県の職員が測量をいたしておったのでありますが、最近においてはこれらが全然できなくなりましたので、これらに対する処置をどういうふうにしたらよかろうか。これもやはり救済するにはお互いが細い柱を持ち寄って技術的に援助する必要があると思う。こういうような問題を持って参りまして、連合会を今回御提案していただきました点について、私どもこれによって土地改良事業の団体営の運行が非常によくなるのではなかろうか、こういうふうに考えておるのであります。  以上きわめて簡単でございますが、終ります。
  8. 小枝一雄

    小枝委員長 次に千葉県土地改良協会常務理事事務局長大曽根嘉夫君にお願いいたします。
  9. 大曾根嘉夫

    ○大曾根参考人 私実際には相当長い年限土地改良事業に打ち込んでおりまするけれども、この法律の動きのこまかい点につきましては了解いたしておりません。この土地改良法改正のおもな点は、特別会計による事業態勢をどうするかと、いうことでございますが、これは干拓にいたしましても、国営の事業といたしましても、地元といたしましては一日も早く事業を遂行していただきたいという所存でございます。  ただその際に、先ほど来いろいろ専門的な御意見を承わったのでございますが、どうか適正なる価格を打ち立てていただきたい。なお一般といいますか、土地改良法の中でぜひこういうことを改正していただきたいというおもな点を申し上げれば、総代会の人数を減らしていただきたい、そういうような点も地元農民の実際やっておることを御懸念下さいまして相当改正せられておるようでございます。この点について総代会といたしましては、ひとり経費の問題ではなく、すでに土地改良事業を遂行いたします際におきましては、三分の二という同意の考え方もございますが、ほとんど全員同意ということでなければ仕事を始めないというところまで私のところではめんどうを見、または了解をいたすように勧誘といいますか、お話をつけておるのであります。そういう観点から、私はごくかいつまんだ点でございますけれども、そういうことを非常にくんでいただいたように考えます。  なお次の第四章土地改良事業団体連合でございますが、この点につきましては、ただいま安部さんからお話のありました補助金等の適正化が出ない前からいろいろと論議をせられまして——と申しますのは、団体営の土地改良事業をどういうふうにして実際的にやっていくか。一口に申し上げれば、なるほど建設工事そのものはできますけれども、あとの事務的な始末とかいろいろな問題については、地元のほんとうの手なれた方だけが入っているというようなことで、この団体営の工事を始めますには、まず外郭の調査計画から、さらにはその事業の綿密なる説明やら、あるいはまたその工事が終ったときにおきましては登記事務とか、一口に申し上げれば簡単なようでございますが、地元にいたしますればいろいろなこまかい特殊法律的なといいますか、めんどうな制約も受けるし、いろいろな法律関係が出てくるので、半年やそこらではとうてい技術的にも事務的にも土地改良区で円滑なる推進ができない。しかし事業はどんどん進んでいく。千葉県におきましても、今百三十ほどの土地改良区がございますけれども、これにかかっておる職員はせいぜい九十人くらいしかないのでございます。しからば県の方でめんどうを見ていただけるかといいますれば、なかなか県の方でも県営の仕事なりあるいはその他のいろいろな関係がありまして、現在の千葉県の職員は二百数十人ございますけれども、これではとうていできないので、五年前ほどから県の土地改良協会で——これは社団法人でございますが、四十名ほどの職員を置き、測量から区画整理後の換地の登記までもいたしておるのでございますが、これは社団法人でありますから、農林大臣の認可を受けるということでございますが、これはめんどうでありまして、やはり土地改良区等の直結の点において非常に欠けておるのでございまして、でき得ることならばこれを土地改良区の屋上屋でなく、真実にその個々の土地改良区にとけ込んだ事業態勢をめんどうをみる、といいますのは、職員の機動的配置によって経費の軽減もはかれますし、あるいはまたいろいろ二県の方で行き届かない点などもめんどうを見ていく。それで土地改良の方は先ほど申し上げましたような、建設工事で終るという気持でございますけれども、そうではなくて、最後の跡地の増産対策までも御指導をする、技術的援助もし、また事務的援助もする格好に持っていったならば、私はせっかく補助を受けて、その補助等を立てられた政策が末端までも実を結ぶのではないか、こう思うのでございます。一面考えますれば、県の指導態勢なり、またこういうような連合会ができますことは屋上屋というような考え方も浮びますけれども、実際的に入ってみますれば、そういう欠点だけが団体営事業の姿ではないかと思うのでございます。そういう意味から考えますれば、生まれてから成長しまた実を結ぶまでの過程を、こういうような専門的なあるいは事務的な技術的な方々を配置して、そして仕事をしていったならば、国家も非常に得をするのではないかと考えております。  ただ思い当ることのみを雑駁に申し上げてまことに申しわけありませんが、以上のような態勢で、土地改良区の連合会等については、今問題にしたのではなくて、過去、終戦直後から農民の要求でありましたことを私の簡単な意見として申し上げたいと思います。
  10. 小枝一雄

    小枝委員長 次に新潟県亀田郷土地改良理事佐野藤三郎君にお願いいたします。
  11. 佐野藤三郎

    佐野参考人 私は亀田郷佐野でございます。実は昨晩連絡を受けて急遽飛び出してきたような実情でございまして、法的に詳しくまだ検討しておりませんので、意見が抽象的になるかもしれませんが、この点前もって御了承願いたいと思います。ただ私が現場で仕事をしておる立場から、干拓の問題、それから連合会の問題について、私としての要望事項を申し上げたいと思います。  まず第一に干拓事業の問題については、おかげさまで本年度から特別会計の対象としてある程度大幅な事業施行ができるようになったことを厚くお礼申し上げる次第でございます。     〔委員長退席、吉川(久)委員長代理着席〕 基本的に申し上げまして、農村におけるところの潜在失業者の問題、あるいは次三男の問題、あわせて食糧増産という点から考えて、ぜひとも今後こうした干拓事業を継続的に、しかも計画的に推進させていただきたいということを第一点としてお願いいたします。  それから次に、単に干拓だけでございませんが、一般土地改良をもいたしまして、工事着手はいたしましたけれどもその後の事業の推進がはかどらないというような現在の実情からいたしまして、その最終的な目的であるべきところの効果というものが、容易に期待することができないような現状になっておりますので、これはぜひとも計画的に、しかもでき得る限り短期間に、その最終成果が期待できるようにしていただきたい。それからこの干拓地の処分の問題につきましては、先ほどからいろいろ意見が出ておりますが、特に農地法によるところの売り渡し価格と、それからこの干拓地干拓に要するところの費用負担という面からいたしましては、いろいろ問題点はあろうと思います。しかしこの点につきましては、せっかくそうした干拓地に対しまして入植をさせていただきましても、その目的であるべきところの農業に精進することができないような状態の入植者でありましては、結果的におきまして、むしろ逆効果を招くことになりますので、そうした価格における矛盾というものはございましょうけれども、政策的な考慮の上に適正な価格を算定していただきたいという点を第二点としてお願いする次第でございます  それから、なお一たん干拓いたしまして入植いたしましても、当然その後に起る問題といたしまして、ここにはいろいろ施設の維持管理という問題が発生してくるわけでございますし、また入植者におきましては当然そこに入植し、将来の営農計画を打ち立てていかなければならない大きな問題があわせてあるわけでございます。従いましてそうしたその後の施設におけるところの管理の問題、それから入植によるところの営農計画樹立の問題こういう点をも含めて、経済的な圧迫のもとに農業に精進することができないというような状態にならないような御考慮をお願いいたしたいということが第三点でございます。従いまして先ほど野間さんの方からお話がございましたように、そうした負担金の問題につきましては、ぜひとも長期の融資制度をお願いいたしたい、あるいは利息補給の制度もお願いいたしたい。これは財政的な面でいろいろ問題点はあろうかと思います。しかしながら現在の実情からいたしまして、ぜひともこの干拓地に入植し、そうして農業に精進するということになりますれば、それだけの措置をぜひともお願いいたしたい、こう考えておるものでございます。  次に連合会の問題でありますが、いろいろ県の再建団体の問題あるいはそれに伴うところの財政上の点からいたしまして、最近のこの土地改良事業施行並びに維持管理の面におきましても、幾多の問題が山積しておるような実態でございます。従いましてそうした困難な問題がたくさん山積しておる中におきましては、ぜひともそうした同業者が寄り寄り相集まって、十分そういう問題解決の協議をする、そういう基盤を法制化するということに対しましては賛成するものでございます。ぜひともこの連合組織が単に看板の肩がわりというだけの組織でなくいたしまして、ほんとうに指導性のある、しかも積極的な行動のできるような組織としてこの連合会の運営が続けられるような御配慮をお願いいたしたい、このように考えておる次第でございます。  以上簡単でございますが、要点だけ要望事項を申し上げた次第でございます。
  12. 吉川久衛

    吉川委員長代理 これにて参考人よりの意見聴取を終ります。  次に参考人に対する質疑を行います。芳賀貢君。
  13. 芳賀貢

    ○芳賀委員 最初に加藤先生にお尋ねします。私のお尋ねしたい点は、先ほど加藤参考人が主として述べられた公有水面埋立法に基いて、国が土地改良法事業目的である国営の土地改良を行なって新たに農地造成した、そのものの権利の帰属ですね、この点が従来は農地法の規定によってこれが売り渡しという形で処理されておったんですが、今回の場合には、土地改良法改正によって農地の処分ができるというふうになっておる、しかもこの場合の権利の取得の形態というものは、原始取得という新しい取得形態によってこれを処理するというところに、この法案の審議上の問題があるわけです。それでこの点についてもう少し詳しくお尋ねしたいと思うのでありますが、現在まで国営土地改良事業において行なった干拓、埋立地の処分の問題は、段階を追っていきますとまず農地法の五十六条の一項の規定では、国が農地造成あるいは農家の経営安定を目的として公有水面埋め立て等をやる場合においては、まず公有水面関係のある権利の取得をして、たとえば漁業権であるとか入漁権等の権利を滅消させる努力をまず国がやってその権利を取得して、それからこれらの権利というものは農林大臣が管理して、そうして公有水面埋立法に基くところの埋め立てを、農地造成を目的としたいわゆる土地改良法に基く規定によって行うわけでありますから、これは先ほど言われました公有水面埋め立てを行ういわゆる免許権者ですね、これが国の場合はやはり国が国営の土地改良事業を行う、しかも国が工事の負担を全面的に行なって埋め立てを行うのでありますから、この事業竣工した場合は、公有水面埋立法では、工事が竣工した場合には地方長官竣工の認可の通知を行うことによって、免許権者は所有権を取得することになるわけですね。ですから一般の通例の免許権者というのは、これは国以外の場合にはその免許権者が埋め立てを行うのですから、実施して完成した場合においては取得権がそこに生ずるわけですが、国が国の意思によって国の責任で工事を竣工した場合は、農地造成されたという場合の権利の帰属というものはやはり国に帰するのじゃないかというふうにわれわれは考えておる。先ほど加藤先生のお話によると、今度の土地改良法改正によって、埋立地が竣工した日に農家に原始取得の形で所有権が設定されることになっておるのは、公有水面埋立法法律の趣旨に準じた取扱いとしてこれは妥当性があるというようなことを言われましたが、しかし国が公有水面における埋め立てをやる権利をあらかじめ取得しておいて、そうして国の負担において埋め立てをやった場合、完成された農地というものは、これはやはり国有財産法から見ても国の負担によって造成したそういう農地、いわゆる物件の取得はやはり国に帰属するのは当然だと思うわけですが、その点はいかがですか。
  14. 加藤一郎

    加藤参考人 ただいまの公有水面埋立法との関係でございますが、今おっしゃいましたのは、個人が公有水面埋立権を持って埋め立てた場合に、やはり長官の工事竣工の認可によって埋立権者が所有権を取得するという形になっておる、その点を御指摘になったわけでございますが、国が埋め立てをする場合の所有権関係は、実は公有水面埋立法にはっきり規定がないのでございます。(「農地法にある」と呼ぶ者あり)しかし所有権取得関係は国がみずから国営で埋立工事をやった場合に、国がいかにして所有権を取得するかということは直接には規定がないわけでございます。国は、私人がやる場合の公有水面埋立権というものを一応取得して、それに基いて埋め立てをするという形ではなくて、埋め立てをしようという国の官庁が、地方長官の承認を得て工事をする、そうしてでき上ったときには竣工の通知を地方長官に対してするということが埋立法の四十二条に規定してあるのであります。ただその場合に、所有権取得について、私人の所有権取得を規定しました埋立法の二十四条の準用がないわけでありまして、国はいつ所有権を取得するのかという問題が起るのであります。これはその性質から考えていかなければならないわけですが、準用がないけれども、普通の場合のいわば地方長官竣工の認可に当るような形になるわけでありまして、その竣工の通知を地方長官にしたときに国が所有権を取得するというように埋立法では解釈されるのではないかと思われます。ところで今度の土地改良法改正案におきましては、そのいわば竣工の通知をしたときに、国が取得するのではなくて、直接に入植者所有権を取得するという建前にしておるようであります。このことはその以前に国が所有権を取得するということではなくて、竣工通知の日に所有権を取得するということが公有水面埋立法の建前だとすれば、その日に国が取得せずに、いきなり農民原始取得させるということは埋立法の建前には反しないと思われるのであります。もう一つ、私人が埋立権を持って埋め立てた場合とのつり合いを考えてみますと、地方長官竣工認可があれば、埋立権を持った私人が所有権を直接に取得をするということになっております。それとのつり合いを考えますと、実質的に干拓地を利用しますのは入植者でありますから、私人が埋立権を持ってやったのと同じように、竣工をしたときに入植者所有権を取得するということは、私人が埋立権をやって埋め立てる場合とのつり合いを考えれば、むしろそれでいいのではないか、そういうふうに考えているわけでございます。
  15. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこに問題があると思う。私人が埋め立ての免許を得て、そうして埋め立て権者となって埋め立て工事を施行するわけですね。みずからの努力によって埋め立てを行うわけですね。私人の行う埋め立てというのは、この土地改良法改正による入植者原始取得するというその前提をなす埋め立てに対する努力というものは全然払われていないのです。この場合は埋め立てを行うという事業に対して参加するとか努力というものは入植者の場合には全く行なっていない、ただ単に埋め立てが完成した、農地造成されたということだけで、特定の入植者原始取得するということは、これはやはり私人が埋め立てをやって完成の日に権利を取得するという場合には全くこれは違うと思う。前提が全くないのですから、前からのつながりがなくて権利を取得するのは原始取得の形なんですから、この点は大体類似のものであるということにはならぬと私は思うのですよ。やはり埋め立て工事が完成したということは、いわゆる土地改良法の目的によって行う埋め立てというものは、農地造成にあるのですから、農地造成した埋め立て権利者とか、埋め立てに対する費用を負担してみずから努力したものは国なんですから、国の努力と負担によって埋め立てが完成したのですから、その場合の所有権の帰属は当然国であるということは論ずるまでもないと思うのですが、いかがですか。
  16. 加藤一郎

    加藤参考人 その点は国が一応取得をしてそれを売り渡すということも考えられますが、そこは法律構成の問題として、どちらの方法もとれる、可能であると思うのであります。ですから、この法案のように、国が直接所有権を取得しないで、いきなり農民が取得をするという形にすることも法律的に見で可能であると思うわけであります。私人が埋め立てた場合とは全然努力していないんだから違うというお話でありますが、それは確かにそうでありますけれども、その努力をするかわりに、別に負担金負担するという形をとっているわけで、それが労力にかわるわけでありますから、負担金を払うことによって所有権を直接に取得をするという法律構成をとっても別に差しつかえないと私は考えております。
  17. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはちょっと違うのではないですか。入植者土地所有権を取得するということは、もうその埋め立てが終った後なんです。完成したということが認められた後に所有権を取得するのですから、埋め立てという一つの目的の期間中は、入植者というものは全然これはタッチしていないのですよ。新たに新地ができたということによって、初めてその入植者に取得権が設定されるのですから、埋め立てをやっているという過程においては、何ら入植者というものは関係がないのですよ。全然別個のものであるというふうに考えられるわけです。それからまた私のお尋ねしておる点は、公有水面埋立法によって埋め立てを行なった場合、それによって土地造成されるという場合の所有権の帰属は、私人の場合には申された通り埋め立て権者に所有権が帰属するのですが、国とか公共団体が行なった場合も、やはりそれと同じだと思うのですよ、その点はいかがですか。
  18. 加藤一郎

    加藤参考人 その点は国が一応所有権を取得しなくても、問題は実質的にいかにして入植者を入れ、いかに入植者に対価を払わせるかという実質的な問題だと思うのでありまして、形式的には全然関係のないものがいきなり所有権を取得するのはおかしいと言われるかもしれませんが、いわば国がその新しくできた干拓地には、所有権ではありませんけれども、一種の処分権を持っておりまして、そこに適当だと思う入植者を入れる、それから負担金をとるという形でありまして、国がせっかく金を出したものがいきなり何も関係のないところにとられてしまうというのはおかしいということは別にないと思います。そういう意味での一種の国の処分権と申しますか、そういうものはあるわけでありますから、そういう点は法律の建前からいっておかしくないと私は思います。
  19. 芳賀貢

    ○芳賀委員 加藤先生は、この土地改良法改正の問題を頭に入れて御答弁になるからそういう意見が出ると思う。そういうものを頭に置かないで、公有水面埋立法という範疇においてまずものを判断してもらって、公有水面埋立法土地改良法改正の問題はつながりがあるようであるけれども、これは別個のものなんです。ですから、公有水面埋立法に基いて土地造成された場合の所有権の帰属の形態がどうであるかということを、それだけに区切って御説明願えばはっきりすると思います。
  20. 加藤一郎

    加藤参考人 この法律を頭に置いてとおっしゃいましたが、公有水面埋立法が、公有水面埋め立てについて何かほかの法律に優先する効力を持っているわけではなくて、公有水面埋立法の建前も、立法政策的に見てほかの法律でより適当であると思うものがあれば、ほかの法律公有水面埋立法と違う建前をとることもできると思うのです。ただそれを公有水面埋立法の方に規定する方がいいか、ほかの法律に規定するのがいいかという技術的な問題だけで、実質的には公有水面埋立法の建前が絶対的なものであるとは思われない。今のこの法律の行き方は、そういう点からいって別に法的に不当な、おかしなことをしているわけではない。それからまた公有水面埋立法の建前にもそんなに反するわけではなくして、むしろその考え方に沿っているのじゃないかと私は思っておりますので、先ほどからそう申しているわけでございます。
  21. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう少し簡単に問題をしぼってお尋ねしますが、公有水面埋立法に基いて土地造成する場合の所有権の帰属、私人の場合には繰り返して言われた通りはっきりしている。私人にあらざる国とか、あるいは公共団体が埋め立てを行なった場合農地がそこに生まれるのですから、その場合の所有権はどこになりますかということをお尋ねしているわけです。
  22. 加藤一郎

    加藤参考人 つまりその所有権を認めるか認めないかということも一つ立法政策の問題だと思うのですが、今の場合一応形の上で土地ができましても、それは竣工の通知といいますか、完成したという法的な手続をとらなければ実際の土地にはならないわけで、形の上では土地のようなものがありましても、それは一種の、海と同じように、竣工が完全にできたというまでは無主物といいますか、そういうものだと思うのです。それをだれに所有権を与えるかということは、その法律によって適当にきめてよい問題であると思うわけであります。
  23. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう少し具体的にお尋ねしますが、農地法の五十六条の一項によると、国が公有水面埋め立てをする場合に、権利の買収をしなければならぬということがあるが、この権利というものは、たとえば漁業権とか入漁権等が公有水面の上に支配されている一つの権利なんです。これらの権利をまず買収、消滅させて、そして、これを農林大臣の管理のもとに置いて、それから土地改良法の規定に基いた国営の土地改良事業を国が実施するわけです。そして事業が完成した場合にはもちろん埋立地というものが生まれるわけです。農業目的に供することのできる土地造成されるわけです。それをまた農地法の六十一条の規定に従って国が  売り渡し処分ができるということになっているのです。ですからこの一連のつながりのうち、国が農地を作る目的のもとに公有水面関連して設定されている権利を消滅させて、そして農地造成するのですから、農地造成竣工した場合に、それはやはり物権として国の財産に私は帰属するのが当然だと思うわけです。それを今度は農地法に基いて処分する、売り渡しを行う、そういう形式を今日までとってきているわけですから、公有水面埋め立てした場合の、でき上った土地の物権としての所有の帰属は、私人の場合と、あるいは国とか地方公共団体の場合もありますけれども、やはりそれぞれのものに所有権あるいは財産権があるというふうにこれは理解すべきだと思うのですが、間違いですか。
  24. 加藤一郎

    加藤参考人 そういうことも可能でありますし、そうでなくて、いきなり入植者所有権を与えることも可能であって、いきなり入植者に権利を与えるのが法律的に不能である、不当であるとかいうことはないと思うのです。これは不当であるかどうかは、だれに所有権を与える、いかなる対価において所有権を与えるかという実質が問題なんで、法の形式の上でそれが不当だということはないと思うのであります。  ほかの例をあげますれば、適切かどうかわかりませんが、たとえば家屋を建築する場合に、請負人、土建会社に頼んで家屋を建ててもらいますが、でき上った家屋の所有権はいきなり注文者に帰属させることもできるわけであります。あるいは一応請負人が家屋の所有権を取得して、それを注文者に移転をするということも考えられます。それは若干性質が違うかもしれませんが、でき上ったものをいきなりだれかに与える、処分権さえちゃんとあれば、それで一向差しつかえはないと私は思うのであります。
  25. 芳賀貢

    ○芳賀委員 どうも私の聞いておることと少し違うのですね。私は入植者にその土地を与えるとか、原始取得させるという問題に対しては、まだ全然質問をしていないのです。それを加藤先生は、そこまで先に飛躍というわけじゃないのですけれども、先の方まであなたはいっておられて、そうしていろいろ問題を説明されるから、そこにズレが出てくるのじゃないかと思うのです。ですから今まで埋立農地農地法に基いて処理してきたのですが、ここに何らの手違いとか、問題とか、疑義というものは法律上から見てもないのですね、明らかに。それを今度は土地改良法に基いて、当初に加藤さんがお述べになったように、農地法に基くところの土地の対価あるいは処分と遮断して、切断して、そうして新しい形の上に立って国が造成した農地を処分しようというところに今度の土地改良法の一部改正の問題があるのです。現在の農地法に規定された土地の対価の限度の範囲内においては売ることができないということから、一つの便法——立法技術上加藤さんの言われる巧みな立法技術を用いて、そうしてこういうような一つの法の根拠を設けて、農地の対価以上に造成した農地を処分しようというところに土地改良法改正の目的があることは、もう何人も指摘できることです。ですからそういうような一つの法の技術の上から見て、擬装したような形の立法措置というものは、やはりすなおに承服できない点が多々あるわけです。ですからそういう点を法律専門家の見地から十分解明していただきたいというのがわれわれの期待なんです。どうも今までのお説を聞いておると、こうやるのがいかにも妥当であって、前進したような形であるというような御意見になるようでありますけれども、そういうことでなく、もう少し本質的に、立法的に考えた場合、やはり問題はあると思うのです。その点を一つ率直にお述べ願えればけっこうなんです。
  26. 加藤一郎

    加藤参考人 私は初めから率直に述べておるつもりなんですが、あるいは御質問の趣旨と少し違っていたかもしれませんけれども、この改正案がないとして、今の公有水面埋立法の建前でいった場合には、国が工事竣工のときにおいて、その干拓地所有権を取得するということになると思うのです。それと違うことを今度の改正案でやろうとしておるわけで、今の御質問は、公有水面埋立法の建前ではどうかという御質問ならば、これは国が一応所有権を取得するという形になっておりますが、それをこういう改正案のような形にしても法律的にはおかしいことはないということをさっきから申し上げていたわけであります。それではなぜ公有水面法の建前を少し変えて、改正案のような、直接に農民が取得するという形にしたかと申しますと、これは今もお話がありましたように、また私が初めに申しましたように、農地価格との切断という点からの要請だと思うんで、そういう意味で技術的に非常に巧みなやり方だと申したわけであります。それが建前としてどうかということは、結局干拓地の性質になるわけでありまして、これも前に申しましたように、干拓地はやはり普通の農地とは性質が相当に違う。そこで干拓地は新しい農地を全然今までなかったところに作り出すものでありますから、そういう意味において農地法体系と違った扱いをしておかしいことはないし、あるいは違った建前をした方がいいのかもしれぬ。問題はその場合の負担金というようなものが農地価格と非常に飛び離れていいかどうかというそっちの実質的な問題だと思うのであります。法律的に立法政策の幅というものは私は相当広いものだと思うんで、法技術の上でこれは絶対にいけないというところはよほどひどいところへいかないと出てこない。むしろ法律的にはいろいろな道が可能でありまして、その中でどういう道をとるかということは実質によって決定されるべきである、しかも負担金の額とかそういう経済的な内容、実質によって決定さるべきだと思うのでありまして、こういうことを申すのは僭越かもしれませんが、国会の方としましては、法律の形式ももちろん重要でありますけれども、その実質の方をできるだけ御審議願いたい、そういうふうに希望するのであります。
  27. 芳賀貢

    ○芳賀委員 国は国有の農地を高くさえ売ればいいというそういう考えの上に立てばこういういろいろな立法技術を用いる必要があるのですが、やはりこれは営利会社でないのですから、国が埋め立てをやる場合には、営利を目的としてやる場合には国が負担分を多くしてはならぬとか、あるいはそこから損失を生じてはならぬという前提があって埋め立てをやるのですが、これは農地造成をするという場合には、国自身としてはその事業自身の中から利益等は絶対に生まれないのが当然なのですよ。造成された農地の場合においても、その干拓の場所の条件によって、たとえば八郎潟の場合にはあるいは反当十万でできる、有明海の場合には四十万円以上もかかるということで、干拓埋め立てをやる場合においてもコストの差というものは非常に相違がある。しかしでき上った農地土地生産力というものにはそんなに何倍も開くというものはないのですよ。ですから営利的な採算の事業としてこれをやるというところには目的は全然置かれていないのですね。ですからこのでき上った農地の処分というものはやはりすなおに既存の現行の農地法の規定に基いて土地の処分あるいは管理等は  一貫してやるというふうにすることがわが国の農地一つの制度を守る、農地法に基いて農地制度を維持することになると思う。今度の土地改良法改正がかくのごとく行われた場合においては、一部分ではあるけれども農地の処分に関する事項というものは農地法土地改良法の二元的なことになる。たといわずかであっても埋立地の処分は土地改良法に基いてやるということになると、やはり農地の処分と管理がこの法律改正によって二元化するというおそれが多分にあるのですね。これらはやはり問題点でないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  28. 加藤一郎

    加藤参考人 問題はやはりその点だろうと思うのでございまして、今まで  一元的に農地法で管理をしていた農地が、まあ干拓地の性質は一応別個のものとは考えられますけれども、農地法のワクの外に抜け出して土地改良法に規定をされる、やはりその点に一番問題はあると思うのであります。     〔吉川(久)委員長代理退席、委員長着席〕 ただ先ほど申しましたように、干拓地の性質というものは一般農地とは相当違う点がある。ですから実質的にそれと違う取り扱いをすることは妥当であろうと思うのであります。そういう意味において農地法と違う取扱いをする、あるいは農地価格と別個の価格を設定する、価格といいますか負担金といいますか、そういうものをとるということは、それ自体としては差しつかえないと思うのでありますが、しかし政策的に考えてみなければならないことは、一応農地価格を遮断したといいましても、農地の方に実際上のはね返りがないかという点でありまして、その点は私も非常に心配する点でございます。現在の農地価格あるいは小作料価格を算定した基礎からすれば、このような価格をとってはおそらく経営が成り立たないということになると思うのです。逆にこれだけの負担金をとって経営が成り立つならば、農地価格小作料価格をもっと上げたらいいじゃないかという議論がまた他方に当然出てくるような気がするわけであります。その点の影響はいかに巧みに遮断をいたしましても実際にははね返りというものがある。あるいはそれは理論的に干拓地は別個のものであるからはね返りを考えるのはおかしいといえばそれまでですけれども、実際上の考慮といたしましては当然このはね返りが予想されるような気がいたします。そこで、初め申しましたように、採算のとれる農地価格というものをどこに置くかということを実際によく御検討願うことが必要だと思うのです。現在の一方二千円というような農地価格あるいはそこからきた小作料というものと非常に離れた負担金経営が成り立つ、あるいは十万円以上の価格を払ってもそれを取得しようとする者がある、経営が一応成り立つというのは、結局労賃部分をそれだけ切り下げているということではないかと思うのです。農地価格計算の場合——政府の買収売り渡し価格計算の場合には、都市の労賃を一応基準にして、農民も都市の労働者並みの労賃がとれるという建前で計算しているようでありますが、それが実際には自分の労賃部分を切り下げて経営を成り立たせているということになっていくのじゃないかと思うのです。結局、経済的に見れば労賃部分をいかに算定するかという点で幾つかの価格がおそらく可能となって出てくるのじゃなかろうか、そういう意味において、適正な労賃部分をどう考えるか、適正な農民負担可能額をどう考えるかということをやはり将来の大きな問題として考えていただかなければならないことではないかと思うわけでございます。
  29. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、現在までは農地法に基きまして、たとえば埋立地あるいは未墾地とかそれらは同列の立場において国が売り渡しを行なっておったのですが、今度の場合に埋立地だけは農地法から切り離してしまうということになりますと、国の財産であるところの未墾地売り渡し等をいたした場合においては、これはやはり今の形式は未墾地をまず売り渡して、それから入植者開墾をしてそれに対して国が相当補助金等を与えて一定の年限の間に開墾を了して検査をして、そして竣工した場合において完全に土地としての所有権確立せられるという方式をとっておったのですが、今度の場合はそういう国が売り渡しを行う農地というものは、そういうふうに二つに分れてしまう。一方未墾地等の場合においては、将来とも農地法の規制を受けていろいろな制限とか、それからそれに忠実でなければならぬというような義務条件がずっと付随していくことは御承知の通りであります。埋立地の方は原始取得という形で所有権が設定される関係があって、農地法からの直接のそういうつながりとか規制というものは何もないのです、ですから、私が言うまでもありませんけれども、原始取得は、既往の権利とかそういうものとは何らつながりはないし、取得した場合における負担金のごときも、原始取得に付随する債務行為でも何でもない。そういうことを考えた場合に、原始取得の形で国が農地入植者に与えるということは、今後いろんな面に影響を及ぼしてくると思うわけなんです。そういう点に対する判断はいかがですか。これは野間参考人からも、御意見があれば聞かせていただきたいと思います。
  30. 野間海造

    野間参考人 従来農地法に基いて干拓地の売渡しがなされていたので、その価格は安かった。ところが今度は土地改良法でそれをはずす。つまりこれは特別法でありますから、こういう立法をすれば、土地改良法の一部改正の方が土地改良部門については農地法に優先して強くなる。従って、別途の価格ができて所有権移転の方式、時期というものが変ってくるわけでありまして、問題はそれのよしあしだろうと思うのです。それから今のはね返りの問題等ありますが、非常に長期、低利で採算も合うような方式ならば、農民として、農地価格よりも若干上回っても、喜んでそこに入植して負担金に応ずるだろうと思うのです。しかもそれが取得価格になるんだというならば、収益さえ合えばいやがるはずはないと思うのです。どの程度高いかちょっと今計算がつきませんが……。そうしてむしろ今度の土地改良法改正で、土地改良それ自体が伸びていく。従来の継続事業が終戦後の占領政策で切られたのが、非常に固まって、安定した土地改良事業が展開する。この方が国民経済的なウエートが高いとなれば、この法律改正の存在理由は多分に出ると思うのです。今の、たくさんかけたからたくさんとれるとか、安いから収益が少いということに限りませんので、その間の調整はむしろ公平の理論から望ましいのではないか。ただ農地法で従来やっていたよりも高くなるからいかぬというのでは、せっかくの土地改良の促進をはばむことになるので、要望されておるならば若干の価格差が出てもいいのじゃないだろうか。ただ所有権移転の時期と方式でありますが、こうやって原始取得になってくるとむしろ無主的なものだったという見解に立たれるのでありましょうが、その点は私にはよくわかりません。ただ負担金の完済されるまでなるべく土地改良法で使用させた方がより有利だということになれば、取得の時期は——今は原始取得で工事完了の時期という御見解のようですが、負担金完済のとき、そこまで条件付にかりに所有権を渡すという方式でもいいのじゃないか。国が所有権を取得して、それを農地法による価格農民に売り渡すということでは、安くなればその方が利益だけれどもそれが事業の展開をはばむというのならば、結果的にはかえって好ましくないのではないか。そうなれば、ストレートに、原資取得であるとか一種の移転的なものをやるにしても、もっと早く自分のものだという認識を与えた方が増産の意欲も起るわけでありますから——所有権の取得を原始取得にしたかどうか私はわかりませんが、なるべく農民自身におれのものだという認識を強くさせた方がよりいいと思う。
  31. 加藤一郎

    加藤参考人 先ほどの検査の点でございますが、これは農地法の六十一条のところから今度国営の干拓地が技げたものですから、それ以下の規定がずっとはずれることになりました。たとえば七十二条の検査してみたところがちゃんと開墾していないと三年間は国が買い戻すという規定が形の上ではずれることになるわけでありまして、その点のつり合いは問題のあるところだと思うのであります。考え方といたしましては、入植者を入れるときに、やはり入植の条件として、そこはもう開墾地で、農地にするということをおそらく約束するかあるいは暗黙のうちに約束されていると思うので、農地として開墾しないで、所有権の取得をしてそれをよそへ売り飛ばしてしまうということは実際問題としてないだろうと思います。その移転が問題のあるところであります。それを開墾して農地にしてしまえば農地法三条の移動統制を当然かぶるわけでありますが、農地にするまでの間は一体どういうふうになるのかということが気になる点でございます。九十四条の八の六項、七項あたりにおきまして、所有権を取得する前に無償でそこに入植さして使用させるということがあるわけで、それと所有権取得の日時等の関係がどういうふうになるか、この点は法案の文面からはよくわかりませんけれども、実際問題としては、入植して農地化したところへ四項を発動するというようなこと考えられるわけであります。ただ権利を取得してよそへ売り飛ばすということを防ぐためには、それを入植の条件として何か明確にするか、あるいは今の九十四条の八の四項、六項、七項の関係で、農地になったところへ四項を発動するとか、何かそこのつながりをつけませんと——そういうことはめったにないと思いますけれども、所有権を取得しておいて、農地にしないでよそへ高く売るということをされては困るわけであります。
  32. 芳賀貢

    ○芳賀委員 問題点はそこなんです。農地法によりますと、そういうことを予見できる事態を考慮に入れて規制を加えておる。そういうことをやってもなおかつ土地自由売買とか転用ということが常に行われていることは御承知の通りなんです。それ々農地改良法からはずしてしまって今度の土地改良法改正だけで土地改良法以上の成果を期待することはできないと思うのです。しかも原始取得をして所有権が設定された場合には、何らの規制とか条件というものが付随していないのですから、もう所有権を獲得してあすの日にそれ々他に合法的に売ってもこれを阻止することができないでしょう。あすの日に合法的に農地の転用をやるというようなことを行なった場合があっても、それが適当な行為と認められればこれは承認しなければならぬことになると思うのです。ですから目的は農地にして国の食糧増産とか、農家経営の安定をはかるためにわざわざ多額の国費を投じて干拓事業をやった、しかし入植者所有権が設定されたとたんにそれが本人の意思によって、法の許す範囲内においてどうでもやればやれる。それに対しては何らの制限規定とか制裁規定とかいうものはついておらぬというところに重大な問題があると思う。ですからこういうようなことをやられるならば、農地法の混乱といいますか、農地法を非常に弱体化させたり、農地制度というものを弱めるというような大きな事態をここから巻き起すようなことが非常に心配されるわけです。ですからこういう点に対しては、特に法律の権威の上から明確な御意見を聞かせてもらえばわれわれとしても非常に参考にするところが多いのじゃないかと考えるわけです。この点が非常に私どもは問題点であるというふうに考えておる。ただ農地法の規定以上に造成農地を高く売ることが国の負担分を軽減させることになるから、それを技術的にやればいいのじゃないかということだけでは相済まぬ問題だと考えるわけですが……。
  33. 加藤一郎

    加藤参考人 その点は確かに問題なんでございますが、それを防ぐのにどういう方法があるか。一つ農地法体系のままで置けば当然農地法の規定がかぶるということも考えられますが、そういたしますと負担金を高く取るかどうかということが結局問題なんでございまして、それをある程度高く取ることが将来の干拓計画を促進させるということに撮りまして、どうしても価格を上げたいということであるならば、これはやはり農地について二重価格を生ずるという形をとるのは非常にうまくない。さっきのはね返りの点で非常にうまくないと思うのであります。問題は、その高く取った方がいいか悪いかの問題ですが、高く取るものとすれば、これは農地価格とは性質の違うものですから、別個に土地改良法体系に入れて負担金の形で取るという形が技術的には好ましいと思うのであります。問題は、それでは土地改良法の形に移した場合に、そこにすぐ売り飛ばされるという心配はないかという点でございまして、それは入植条件である程度規定はできるだろう。さらに先ほど申しました九十四条の八の六項、七項の規定をうまく使えばここで防ぐことも実際的にできると思うのです。四項と六項、七項の発動の関係について農林省の方でどうお考えになっているかよく知りませんが、そこでうまく防げればいいと思うのですが、なおかつそこで心配があるならば、やはり何か処分の制限のような、農地になる前の、まだ農地として農地法体系による移動統制の適用を受ける以前の態勢について何か法律の中に規定を置くということか、つまり入植条件かあるいは四項と六項、七項の関係か、あるいは別個に何か法律に規定しておいて防ぐか、そういうような方法で不当な事態の生ずるのを防がなければならないと思うわけでございます。
  34. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、原始取得の形で所有権入植者が取得したわけですが、その所有権の取得と負担金関係、これは法律的に見るとどういうような相関関係があるか。この点をお尋ねいたします。農地法による農地売り渡しの場合においては、たとえば農地の対価として三カ年据置の三十年償還といろいろな利子とか条件があって年賦払い込みの形で行われますが、この負担金の場合は、実質的には土地代金に相当するものということは言えるのですが、法律上から見ると、これが土地の対価として支払われるべき代金であるというようなことは、かりそめにも言えないわけです。それで法律上から見た場合、所有権負担金関係をどういうように御理解になっておるか。
  35. 加藤一郎

    加藤参考人 その点は経済的に言えば農地の対価ということになるのかもしれませんが、この法律では、それを法律的には切り離して規定しておるわけでありまして、たとえば法律上の売買というような双務契約、片方が対価としての代金を支払い、それとの関連において所有権を取得するという形はとっていないのでありまして、法律的には所有権の取得と、負担金の支払いは一応別個のものとされておる。しかしその負担金をだれが払うかと言えば、やはり所有権を取得したものが負担金を払うということが、この規定の上でも結びつけられておるわけでありまして、法律的には双務契約というような関連性はないけれども、実質的に見れば対価に近い。しかしその計算方法も、対価としての代償としての計算方法ではなくて、干拓地造成費の一部負担という形をとっておりまして、一部負担でも広い意味での対価になるかとは思いますが、所有権の取得とは一応切り離した形をとっておるわけでございます。そういうこともあまり融通無碍だと言われるかもしれませんけれども、法律的に見ればそういう構成をとることも可能であるというふうに思うのであります。
  36. 芳賀貢

    ○芳賀委員 原始取得の場合、権利の承継というものは全然行われていないわけですね。ですから完全に所有権が設定されて、それから負担金を十カ年なら十カ年継続して支払うということになるのですが、負担金を支払わないとかいう一つの約束不履行によって所有に対する影響とか侵害というものは何も起きないと思うのですが、負担金所有権に対抗するというような何らの関連性はないというようにしかこの法律では解釈できない、関連がないものとしか認められないのですが、その点いかがですか。
  37. 加藤一郎

    加藤参考人 その点は確かにそうでございまして、売買契約ならば、代金を支払わなければ契約を解除して、また所有権をこちらに返してもらうということはあるわけですが、対価関係がない、双務契約でないということになりますと、契約解除の問題が起らないのですから、所有権を与えてしまえば所有権は完全な所有権として成立するわけで、対価を払わなければ、あとで強制徴収なりそういう方面で対価を取り立てるという形になるわけでありまして、おっしゃる通り契約解除とかそういう問題は起らないわけでございます。
  38. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですからこの点もやはり一つ問題点だと思うのですね。農地法による売り渡しの場合においては売り渡し代金を年賦償還させる。しかもその間厳格な制限規定を設けたり、あるいは抵当権の設定をさせるとか、そういう厳格な規制のもとに行われておるが、今度は所有権だけは完全に独立して別個なものになって、あとそれに随伴するところの負担金のごときは、法律上から見ると、何らこれと双務関係もないし、対抗できないということになると、これは重大な点だと思うわけなのです。こういう点は野間先生どうですか。
  39. 野間海造

    野間参考人 ちょっとこちらで話をしておりましたので、聞き落したかもしれませんが、私は立法技術なり立法政策としては、現実的にどうなっておるか、条文を実は見ておりません。ですから加藤先生のおっしゃるように原始的取得ということになっておるかどうか知りません。私が先ほど申したのは、そういう立法も可能だが、一応公有が私所有権に変るのだから、移転的取得というふうに考えてもいいが、完全所得権をその場ですぐ与えることはどうかと思うということをその際申したのでありまして、それが土地改良の工事が終って入植して配分を受けて耕作をするという段階になったら、それは農地ですから、従って農地となった面におきまして農地価格は別だが、権利の制限とか競売の制限だとか、そういう点は農地法が競合して適用される、そう解釈していいのではないかというふうに考えております。
  40. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その点は農地法との競合を運用上考えるということはできないと思うのです。  それで加藤先生にお尋ねをいたしますが、こういう土地処分の一つの形の中において、原始取得という形をいきなりここへ持ってきてはめ込むということは、今まで参考人各位の御意見を聞いてもずいぶん無理があると思うのです。こういうことでわざわざ権利の取得形態をこういう原始取得という形をここへいきなり持ってくるところに問題があると思うのですが、これは無理がないでしょうか。
  41. 加藤一郎

    加藤参考人 原始取得というと何か少し大げさなようですが、直接農民所有権を与えるということは別にそれほどおかしなことでもないし、非常に唐突なことでもないと思うのでありまして、実質はむしろ農民がその土地所有権をとるので、その場合になるべく簡単にいろいろめんどうな手続のないようにできればいいわけでありまして、その点では直接の所有権取得ということは別におかしくないと思うのであります。またそうした場合に他の面でいろいろ不都合なことが起るおそれがある、たとえば所有権を取得して、それをよそに売り飛ばしてしまうというようなおそれがあるならば、別にそれを防ぐ方法を何らかの形で考えればよいわけで、所有権を直接取得することが、それだから悪いということにはならないと思うのであります。
  42. 芳賀貢

    ○芳賀委員 午前中の私の質問はこの程度にして、あと午後にまた継続したいと思います。
  43. 小枝一雄

    小枝委員長 それでは暫時休憩いたします。午後は一時三十分から委員会を開いて続行いたします。     午後零時四十三分休憩      —————・—————     午後一時四十六分開議
  44. 小枝一雄

    小枝委員長 休憩前に引き続き会議開きます。  土地改良法の一部を改正する法律案について参考人に対する質疑を続行いたします。  なお参考人加藤さん、野間さんは午後ほかに予定がございましてお急ぎでございますので、お二人に対する質疑を先にやっていただくようにお願いします。川俣清音君。
  45. 川俣清音

    ○川俣委員 主として加藤さんにお尋ねいたしたいのですが、農地法との関係を遮断したということですが、一体本法の制定の目的からいって遮断が適当であるとお考えになるかどうか。その理由は、本法は、農業経営を合理化し農業生産力を発展させるという目的で、しかも土地改良を行う事業というものは法律に掲げられている事業だ、こういうことになるわけです。従ってそれを、この根本の法律の建前を変化させると申しますか変更する、しかも基本法である農地法の基本観念まで否定するような改正というものが行き過ぎであるとお考えにならないかどうか、この点です。
  46. 加藤一郎

    加藤参考人 その点は、干拓地の性質というのが普通の農地とやはり相当違うものだと考えます。(川俣委員干拓ばかり聞いているのではないのですよ」と呼ぶ)ああそうですか。——土地改良法の中にそういう農地関係の規定を入れることが適当かどうかという問題でございますが、結局土地改良造成された干拓地について、その後のそこの入植者にどういうふうに所有権を与えるかというような問題は、いわばその土地改良事業の継続的なものといってもいいと思われます。ですからここに農地と若干性質の違うものを別に抜き出しましてこちらに持ってくるということは別に不当ではないと思うのであります。問題は、結局農地価格より相当離れた負担金を取るのがいいか悪いかというその点の実質問題だと思うのでありまして、その点をどう考えるかによってきまってくる。農地価格とあまり離れた負担金を取るのは不当だ、農地価格で払い下げればいいのだということならば、何もこれを作る必要はないわけで、そこをどう考えるかであります。ただ農地価格と同じ価格で売り渡すということは、たとえば現在農地価格がいわば小作地所有権価格である。これはいわば完全な耕作権を含めた自作地価格でありますから、普通の農地価格よりその点高くなってもいいのじゃないか。それから土地改良事業の促進ということで相当の負担金をとるということが必要だということならば、結局負担金農地価格より少し高く取るということが妥当だということになるのじゃないか。そうなりますと農地法体系からはむしろ抜け出してこちらに規定した方が、性質も違うものでありますし、また農地価格へのはね返りという点から見ましても、別にした方がいいのではなかろうかというように考えております。
  47. 川俣清音

    ○川俣委員 私の尋ねておるのはそういう意味ではなく、普通の通念からいいますと、自分の支払った労働量が適当に評価されていくということが農業経営の合理化だ、こう通念されておるわけです。従いましてその目的を達成するために行う事業だと理解しなければならない。幾ら経費がかかってもかまわないといって行う事業ではないはずであります。土地改良事業というものが単なるコスト主義によるところの埋め立て等とは本質的に異なる目的をもって本法が生まれておると理解すべきではないかとお尋ねするのです。
  48. 加藤一郎

    加藤参考人 そういたしますと干拓事業がこの中に入ってくるのはおかしいということになるのですか、そういう意味の御質問ですか。
  49. 川俣清音

    ○川俣委員 干拓が入るのではなくて、農業経営を合理化する対象になるものは干拓といえどもこの対象になり得る。それが非常に経費がかかるようなものは本法の対象外だ、こう理解すべきではないか、私が申し上げたのは干拓そのものではないのです。土地造成のために非常に経費のかかるようなものは本法の適用外だ、もしも適用するとすれば、本法の目的のように処分されなければならない。処分するならば経費がかかったならばかかったなりに負担金を取るとすれば、本法の適用の事業範囲を逸脱したものと私は理解するが、そう思いませんか、こういうお尋ねをするわけです。
  50. 加藤一郎

    加藤参考人 御質問の趣旨はわかりました。それで問題は結局負担金の額が適正かどうかということだろうと思います。
  51. 川俣清音

    ○川俣委員 負担金ではなくて、総工事費が本法の行う事業の対象になるかならないか。ここに「この法律において「土地改良事業」とは、この法律により行う左に掲げる事業をいう。」ということで、「農地に関する権利並びにその農地の利用上必要な土地に関する権利、農業用施設に関する権利及び水の使用に関する権利の交換分合」、それから「その他農地の改良又は保全のため必要な事業」ということで、宅地とする場合と農地とする場合との開きが当然本法になければならないはずだ、こういうことなのです。そういう目的外の逸脱したような事業は、本法の対象になるような埋め立てまたは干拓ではなかろう、こういうことです。
  52. 加藤一郎

    加藤参考人 私の考えでは、一応二条二項には埋め立てまたは干拓というものは入っておりますが、それは一応入ってくるので、ただそれが今言ったように非常に費用がかかるというならば、そのうちのどれだけを農民負担にするかというそこをどうきめるかということが問題だろうと思うのであります。その点ではやはり負担金の額が農業経営が成り立つ程度のものであるかどうかということを実質的に検討してみたければならぬ。そのためには農民がどれだけの金額を負担して農業経営がやっていけるかという点は、どうも利の専門外で幾らが適正かはよくわかりませんが、その点をお考えいただいて負担金さえ適正ならば干拓もこの法律の中にみな入ってきて差しつかえないというように考えております。
  53. 川俣清音

    ○川俣委員 質問する前にお断わりというか前提を置かなければならぬと思う。きのう急に参考人として御依頼申し上げて、十分御勉強の機会を与えないで質問申し上げるわけですが、それだけにはなはだお気の毒の点もありますけれども、あなたはその道の研究者であるという前提に立って、勉強されておるものとの理解の上に立って私はお尋ねしますから、失礼な言葉がありましてもその点は一つあしからず御了承願いたい。  そこで先ほど遮断するということがありましたが、あなたの今までの遮断というのはできたもののところからの遮断だという御解釈のようであります。ところが御承知のように農地法土地買収する場合、干拓土地がないといいましてもそんなことはない。土地改良法に基きまして自作干拓の権利を取ったものは農地とみなすわけでありますから、従ってそれらの買収農地法によるときの買収あるいは農地法によるところの原始取得の対象になっております。鉱業権の施設または公益事業法に基く施設は、原始取得農地法でも認めているわけであります。土地改良法は必ずしもそうではない。従ってなるべく安く造成されるために農地法を適用して農地法の持っている特質を土地改良法は期待をしているわけであります。普通の埋め立てになりますと、権利義務の承継は、土地改良法では保護を受けておりませんために、農地法の特権を活用いたしましてなるべく安くでき上るようにということでできているわけです。従ってその趣旨は、農業経営の合理化という面からいって農地法をうしろだてにして事業を執行する。しかしながら現実に農地法土地買収と違いまして、土地改良事業は利益を生むものであるからして適当な時価による処分買収もしなければならぬという建前をとっておりますけれども、それでもなお農地法を背景にいたしまして土地改良事業ができるだけ安価に、しかも国営の場合はできるだけ安価にできるようにということで、土地改良事業法には幾多の恩典を農地法から持ってきている。遮断するということになりますと、義務の遮断ばかりではなく権利の遮断も出てくる。そうではないですか。この点はどうですか、
  54. 加藤一郎

    加藤参考人 義務の遮断といいますと、どういうことですか。今最後におっしゃったことがよくわからない。
  55. 川俣清音

    ○川俣委員 義務の遮断ばかりではなく、農地法を背景にした権利も当然遮断されてくるということにはなりはしませんか。
  56. 加藤一郎

    加藤参考人 その場合の権利といいますのは具体的にどういうことですか。
  57. 川俣清音

    ○川俣委員 たとえば農地法の特権であります埋め立てについて、農地法によりますと、農地法の適用は自作農を作って農家の生活の安定をはかる目的で行うものでありますので、権地買収についても農地法の規定による権利買収ということになるのじゃないか。漁業権にいたしましても入漁権にいたしまして本……。農地法による買収価格と普通の埋め立てによる買収価格とは異なっておりますことは御承知の通り。そうじゃないですか。特権はあるのですね。
  58. 加藤一郎

    加藤参考人 ちょっと御質問の趣旨がよくわからないのですが、農地法と遮断するということになりますと、直接には価格の面の遮断が目的だと思うのですが、それ以外に農地法の適用がないことからいろいろな問題が出てくるかとも思います。先ほど申しました検査とか買い戻しとかそういうようなことの問題もあるわけでありますか……。
  59. 川俣清音

    ○川俣委員 いや、そうじゃないのです。農地法によりますと五十六条によりまして漁業権の消滅の規定があります。これらの消滅の規定は農地法の消滅の規定であるわけです。ところが、普通の公有水面埋立法にはこれらの恩恵がないわけです。農地法によるところの漁業権の消滅はこれは農地法の持っておる特質から生まれてくる安い買受けと申しますか、できたものが高くならないようにということで安く消滅させるという建前をとっているわけであります。農地買収も同様であります。遮断するということになると、そういう特権を失うということになるわけですね。そうじゃないですか。
  60. 加藤一郎

    加藤参考人 今の五十六条の規定の問題といたしますと、これは急に見たのでよくわかりませんが、今度の改正案によっては五十六条は別に触れられていないように思うのです。ですから五十六条の規定は今まで通り働いていくのじゃないかと思います。
  61. 川俣清音

    ○川俣委員 今度は農地法「第五十六条第一項の規定により買収した公有水面埋立に関する権利に基いて造成した埋立地」を「公有水面埋立法により農林大臣が造成した埋立地」に変えるわけですから、従って埋め立てに関する漁業権の消滅の特権も失うわけです。また公益事業等によって施設された権利の取得についても同様な特権を失うわけです。または土地改良法第四条において、公有水面埋立法によって埋め立ての免許を受けた者は土地の所有者と見なすということになる。これらも農地法による買収の対象になるわけです。公有水面でも、すでに土地にならないでもこれらの買収規定というものはあるわけですね。この四条の、「公有水面埋立法により埋立の免許を受けた者は、土地の所有者とみなす。」これはどういうことか御存じないかもしれぬですが、おもに湖面でありまして、海面でもそうですが、出先埋め立ての許可をとっているのが相当あります。自分の所有地の出先の部分についてだけ公有水面埋め立て——これは自然埋め立てもあります、人工埋め立てもありますけれども、許可をとっておる。これはまだ陸地になりませんでも、農地法または土地改良法では土地の所有者とみなすわけです。これらの者の権利が消滅しなければ埋め立てができないわけです。その持っている権利ですからね。しかも埋め立てする権利は、土地の所有とみなしているのですから、所有権なんです、土地なんです。従ってそういう土地買収並びに公有水面の上に立っている電柱がありますね、電柱は、海からあるいは湖水から出ている部分もありますが、出ない部分もあります。湖水からわざわざ出しておる部分と湖水の中に基礎工事をしまして出てない面がありますが、これらの権利の対象になっておるものは、やはり買収しなければならないわけです。それから湖面につきましても漁業者の施設がございます。これらの施設も買収しなければならないのですが、これら農地法の対象となって買収される場合と、ただ公有水面埋立法によって買収される場合では非常に評価額が違うわけです。従って、こういう権利を喪失するから高くつくのであるから分担金を出せ、こういう考え方になるのか、それともそういう権利を得られないために高くつくという考え方をするのか、一体……。まあその程度で一つお尋ねしておきます。
  62. 加藤一郎

    加藤参考人 ちょっとよく読んでいないのであるいは間違えるかもしれませんが、五十六条の方は変っていない。従って、五十六条で買収したり入漁権や漁業権を消滅したりさせる権利は依然としてあるわけですね。ただ七十八条の方で除きましたこれは、今度の改正法の附則十二項で六十一条の五号の埋立地の中から土地改良法の方にいく国営の埋立地は除いているわけですね。その「以下同様とする。」というのがこの七十八条の改正の方にもかぶってくるわけでありまして、結局土地改良法の適用と土地改良法八十七条の二でいく分については、七十八条の管理から抜けている。結局管理の方は土地改良法でやるから農地法の七十八条から除いたという関係になると思うのです。従って、五十六条の方で比較的安く買収なり消滅させることができるという権利があるといたしますと、その権利は今度の改正では別に変りを来さないものではないかと理解しております。
  63. 川俣清音

    ○川俣委員 それは違うのです。これは断ち切られる。あなたのように、負担金をとるためには安く権利を収得することが問題になってくる。と同時に、農地法に基いて取得したものについては、これは六十五条の規定も結局農地法の適用を妨げないで農地法の通用を受けるわけですから、従って、農地法改正をあえて提案された、分離するためにあえて「五十六条一項の規定により買収した公有水面埋立に関する権利に基いて造成した埋立地」せっかく持っておる特権をここで失って「公有水面埋立法により農林大臣が造成した埋立地」に改めるということです。特権を辞退しておる。これを辞退しないと、当然農地法に基いて農林大臣が取得したものでありますから、これは売り渡ししなければならないということになる。そこで売り渡したくないという考え方からか、分離するために特権を放棄した形が出てきておる。ちょっと速記をとめて下さい。
  64. 小枝一雄

    小枝委員長 速記をとめて下さい。     〔速記中止〕
  65. 小枝一雄

    小枝委員長 速記を始めて下さい。
  66. 加藤一郎

    加藤参考人 どうも急に読んだんであるいは間違っていたらあとで直していただいてけっこうなんですが、私の理解したのでは、別に七十八条で五十六条の特権を捨てたようには理解していなかったのであります。
  67. 川俣清音

    ○川俣委員 一番最後を見て下さい。農地法改正要綱のところです。
  68. 加藤一郎

    加藤参考人 附則の十二項でざいますね。五十六条の規定で買収した場合でも、「公有水面埋立法により農林大臣が造成した埋立地」に入るんじゃないか、つまり五十六条で他人の持っている埋立権を買収しまして、それに基いて農林大臣が作れば、やはり「公有水面埋立法により農林大臣が造成した埋立地」の中に入るんじゃないかと思って読んでおりましたが、それはどういうふうなつもりで立法されたか、政府委員の方にむしろお聞き願いたいと思う。私はそう理解しておったのですが、もし間違っておればまた訂正いたします。
  69. 川俣清音

    ○川俣委員 農林省はあなたにいろいろ教えを受けたでしょうけれども、農林省の都合の悪いところはあなたの教えを受けていないわけです。そこで問題がこういうところにあるわけなんです。結局農地法を背景にして土地改良事業を行うのか、全く農地法から離脱して、分離して土地改良事業を行うのかという分れ目にきているわけです。農地法から離脱して、分離して土地改良事業を行うということになりますると、これは大へん土地改良事業にならざるを得ないのです。農地法を背景にして土地改良事業を行うというところに土地改良事業が比較的有利な態勢で行われるという建前をとっているわけなんです。それをみずからあとの配分のことを考えて分離するということになりますると、配分以前に事業着手にかかる経費というものは恩恵を受けないということになるのではないか。あとで分離するためにわざわざ——「第五十六条第一項の規定により買収した公有水面埋立地に関する権利に基いて造成した埋立地」、これは安くでき上る。権利の取得ために安くできたものを農林大臣は農地法に基いて売らなければならない。安く売るために安く取得するという特権を与えておるわけです。ところがそれを公有水面埋立法によって農林大臣が造成するということは、建設大臣が公有水面埋立法によって造成した埋立地と実際は何ら変らない。農林大臣だから農地法の適用があるのじゃないのです。農林大臣が五十六条一項の規定によって買収できるという法律上の根拠に基いて安くできるのです。それをはずして「公有水面埋立法により農林大臣が造成した埋立地」ということにすると、これは建設大臣がやった場合と異ならないのです。従って今度は農地法から除外して宅地であるとか工場の敷地であるとかと同じ建前をとろう、こういうことなんです。そうすると農地造成も宅地造成も工場敷地の造成も同じだ、こういうことになる。農地造成の場合は農地法に基く恩恵がある。農地法から遮断されますると処分の場合は便宜かもしれませんけれども、土地造成する力というものは、農地法を離れますると建設大臣も他の府県庁も同じ待遇になる。これはみずから同じ待遇を求めておる。それは処分の便宜のために農地法から脱却したわけです。そうすると最初申し上げたような土地改良事業法の目的でありますところの農業経営の合理化という面は没却されてくる。建設大臣も都庁も個人も同じ待遇を受ける。農林大臣がせっかく持っております農地法に基く特権で土地造成する力を放棄するということになる。そうするとほんとうは一体農地造成なのか土地造成なのかという問題が出てくる。土地造成は農林大臣がやろうとも本法の適用外である。本法の適用外の行為を農林大臣がやるということになるのじゃないか、その点はどうですか。
  70. 加藤一郎

    加藤参考人 どうもその点おっしゃることが必ずしも私にはよくわからないのです。初め農林省とどうとかいう話がありましたが、そういうことは全然私の存じないことでありますから御了承願いたいのです。  ちょっとこの条文見ただけで私よくわかりませんけれども、私の考えではどうも五十六条は別にはずれていないのです。五十六条で漁業権を消滅させたり公有水面埋立権を買収したりすることは、この法律は変ってもできるのじゃないかと思うのです。そういうふうに考えておりますが、もし私の考えが間違っておりまして、かりに五十六条が今度は適用からはずれるということになれば、それが不当ならば今度は土地改良法の方に必要な規定を入れるとかなんとかすればいいので、それほど大した問題ではないように私は考えております。
  71. 川俣清音

    ○川俣委員 私は、五十六条一項の規定が生きておる、有効に働くとすれば、その上に立って農林大臣が造成した土地農地法の対象になって売り渡しをしなければならない、こう解釈します。売り渡す前提としての規定であります。従ってこれによって造成した埋立地というものは農地法売り渡しの対象になる、こういう書き方です。これが生きておるとすれば、当然農地法に基いた売り渡しの規定の適用を受けなければならない。売り渡しの規定の適用を受けたくないということでこういうことになるかもしれませんが、あなたの言われる通り、これらの五十六条の規定がそのまま生きておるとすれば、これは売り渡すための一つの前提手段としての農林大臣の権利の取得でありますから、従ってこの権利の上に立って取得したものは売り渡さなければならない規定であることは明らかである、そうじゃないのですか。
  72. 加藤一郎

    加藤参考人 私は必ずしもそうも思わないので、五十六条でかりに消滅させ、権利を買収しても、それからあと土地改良法の方の体系に繰り入れてそこで売り渡しする、できたものは土地改良法に基いて処分するということでも一向差しつかえないと思うのです。かりに私のように五十六条の適用があると解釈をいたしましても、別にあと二つに分れていってもそう不都合はないというふうに考えております。
  73. 川俣清音

    ○川俣委員 農地法というものは農地の権利義務、移動取得についての基本的な法律です。このことはお認めでしょうね。農地といっても農地及び農地等こう見るべきでしょうが、農地等の移動、転用、小作の契約、解約等農地の所有及び利用に関する基本の法律であるということで提案説明がなされております。従って土地所有権の取得その他は農地法の適用を受けるということです。従いまして、農地法による土地その他漁業権の買収等は農地法の規定によって、かなり漁業権等の消滅に対しては特権を持っておる。特権を持って工事をやるのかやらないのか、こういうことなんです。ところが土地改良法というものは、大体土地買収にしても、土地価格が上るのであるというような考えから、当然土地価格が上るようなものは安く、買収するには及ばない、時価でもって買収するということが土地改良法の大体の考え方です。土地造成でもそういう農地法に基く土地造成をするのか、あるいは単なる改良事業として土地造成をするかによっては、根本的に埋め立てについての権利の取得について相違をするということは明らかです。そうじゃないのですか。
  74. 加藤一郎

    加藤参考人 農地法農地についての基本的な法律だということはそれでいいと思うのですが、かりに私のように五十六条の適用があるという解釈をして、農地法によって権利を消滅をさせたり買収をさせたりしても、それは埋め立てを容易にするためのことにすぎないのでありますから、埋め立てた上は、あとは土地改良法体系に組み入れていったって一向差しつかえない。それが農地法の基本法たることに反することにはならないというふうに考えております。
  75. 川俣清音

    ○川俣委員 土地改良法には漁業権とか入漁権の消滅の規定は別にないのです。消滅の規定があるのは農地法の特権になっている。この点はお認めですか。
  76. 加藤一郎

    加藤参考人 それはそうですね。
  77. 川俣清音

    ○川俣委員 そうすると、農地法の特権に基いて取得したものは農地法によって処分しなければならぬ。取得は農地法によって取得するけれども、処分は違うということになると、これは農地法の対象外です。対象外のものは、法律の建前として、農地法によって保護されないことは当りまえです。農地法の保護によって造成された土地、改良された土地農地法の対象になること、これまた当然です。そこであなたは農地法による漁業権の消滅及び入漁権の消滅は農地法の適用される対象に対して適用されるのであって、農地法以外のものに適用するべきものじゃない。公有水面埋立法でも農地法の適用は受けていない。農地法の目的達成のためにする埋め立て農地法の特権を受ける。そうじゃないのですか。
  78. 加藤一郎

    加藤参考人 私は農地法買収した場合に必ず農地法で売り渡さなければならぬという原則は必ずしもないと思うので、農地法で買っても、それをよその方に組み入れていくことは一向差しつかえないと思うのであります。もしかりに私の解釈が間違っておって、よくわかりませんが、五十六条の適用がない、従ってそれが不当であるならば、今度の土地改良法改正の中に五十六条に当るような規定を取り入れればいいので、そこはどちらでもいいですが、妥当と思うように取り扱われればいいので、その点そうこまかく議論することもないような気がするわけです。
  79. 川俣清音

    ○川俣委員 もう一点でそれについてはやめます。土地改良事業というのは、普通の観念からいいますると、土地買収については農地買収の対象になるものとならないものがあるわけです。特になるとしますれば、農業経営を安定させる意味において農地法の適用を持ってきておるわけです。従って普通の観念からいいますると、土地改良法土地買収その他の権利の買収は、農地法によらない場合は相当の価格、時価で買い取り、農地法の場合だけが特権を受ける。なぜ特権を受けるかというと、売り渡し自作農創設農地を安価に提供するということが目的でありまするから、その目的達成のためには、権利の取得等に多額の金をかけておることを阻止する意味においてできておる法律であることは明らかであります。それは土地改良法にすぐそのままに適用されるものでないということは土地改良法の中に明確に示されておる。だから権利の取得については農地法を適用する、それから売り渡すときには農地法の適用を受けないということになりますると、これは農地法の対象でない土地を作ることになると、農地であるかどうかということは疑問になるんです。農林大臣がやったからといって必ずしも農地だということにはならない。たまたま土地改良法事業を行うということで、その対象は農地だということになります、それだけです。従って五十六条の一項の規定をわざわざ排除し、いるのは負担の問題、おそらく農林大臣が売り渡しという規定からのがれたいために、分離する一つの方法としてこの恩恵を排除したものと思う。こう見なければならぬ。恩恵を受けておるならば、農地法に基く処分をしなければならない。農地法に基く処分をするためには恩恵がある。これが農地法の建前です。この条文をどういうふうにお読みになるかわかりませんが、少くとも自作農創設臨時措置法及び農地調整法等この農地法の基本になりました歴史的な経緯からいたしましても、また農地法の提案説明から見ましても、この点は明らかになることだと思います。もしも法律がそのようにできていないという学者間の定説でもあれば別ですが、私どもはそういう異説のあることはいまだ耳にいたしておりません。従って農地法の対象になる物件を取得するための保護規定であります。農地法の対象にならないものの保護規定ではないと見るべきものだと思う。全く農地法から離れて土地造成するということになりますると、その土地というものは原価主義をとってやられることはちっとも差しつかえないと思いますが、それは農地法の適用外であるということになる。適用外だということになれば、負担金をとることもできる。しかしあなたのお説のように、負担金をとって、それが農業経営に非常に大きな支障を来たすということになれば、土地改良事業の対象にならないだろう、こういうふうになると思います。  そこで土地改良事業の対象になるならないの問題はありますけれども、農地法から離れて農地法の恩恵なしに公有水面埋め立てもできるわけです。現に個人の会社でも、宇部興産なんか先年海を干拓して埋め立てをいたしました。埋め立ての敷地を利用して、これは敷地ですから水田の用にならない。これが一体農地なのか宅地なのかあるいは何かいまだに解決つかない問題があります。目的は工業用敷地造成で作ったのだけれども、常に海面より低いものですから、排水いたしましても、なお水がたまるから、そこを水田に利用することができて、現在水田に使っているわけです。これは農地であるのか、いわゆる埋立法によって作ったのか。埋立法によって作ったとすれば、かかった費用は農地の対象外である。こういうことでまだ問題を残しているのです。国はまだ農地買収もできない。埋立法の許可を受けて埋め立てしたのであるから農地法の適用になるかならないか、いまだに問題が解決つかない。問題を起してから五年くらいになるが、まだ未解決のままです。ですから簡単に分離することが非常にうまくのがれたといっても、それは一部でのがれても、経過規定から見てなかなかのがれることができないのじゃないか。芳賀君が言うように、農地法の対象として土地の権利取得をするのか、単に埋立法として権利取得をするのか、これは基本になるわけです。農地法として権利を取得する。埋め立ての権利を取得する。それに付随している土地の権利の買収を行う。農地法では原始取得というのはたった一つより認めていない。それは先ほど申し上げたような鉱業権、しかも土地調整委員会の決定を待った鉱業権の設定が原始取得の対象になる施設、並びに電気事業法に基く施設、これだけが公有水面埋立法でなくて、埋め立てする場合に、農地法に基く埋め立てをした場合に原始取得の例外規定として認められておる。そのほか農地法では原始取得を認めてない。特権を持って人の権利を買収したものであるから原始取得を認めていないのです。私はそう理解しているのですが、この点私の理解は間違いですか。
  80. 加藤一郎

    加藤参考人 五十六条の問題は、あるいは意見の違う点が残るのかとも思いますが、そのくらいにいたしまして、根本的にいいまして、土地改良法農地法から抜け出して干拓地について規定を置くと申しましても、それは一つ農地造成の方法なんでありまして、広い意味での農地に関する問題であり、また同時に自作農創設の問題にもつながるわけでありまして、そういう意味においてでき上ったものはやはり農地になるわけですし、農地法体系からはずれるといいましても、私のように五十六条の適用があるということは決して不合理ではないのではないかと思っております。
  81. 野間海造

    野間参考人 今農地法の五十六条の問題で大へんむずかしい議論のようですが、法律的にそんなに土地改良法農地法が遮断されて、全然別というようなもので、共通な基盤は全くあり得ないのだというお考えのようですが、立法のときに何から何まで網羅的に書く必要はなくて、つまり農地法で適用できる部分は適用し、こういう土地改良などの特別の事態に対しては特別法で適用していく。だから土地改良法干拓事業をスタートするのに今の農地法の五十六条を適用し、権利の消滅等をはかって、国が施行主体となって土地改良を行なってでき上った、つまり造成された農地土地改良法に基いた価格で配分して、しかも、そのでき上って配分された農地について、今度権利移転や小作料の統制や競売に対する制限というようなものは農地法でいく。そういうふうに考えていけば、重畳規定が要らなくて、しかも必要な規定は基本法たる農地法を使い、必要な特別規定はまた特別法でいく。そういうふうに解釈、適用していくのが法律の常道ではないかと私は思うのであります。
  82. 川俣清音

    ○川俣委員 大へんな違いだと私は思います。政府が遮断をしたいという考え方からこの法律改正をやっておるわけです。従って農地法に基いて売り渡すべき土地等というのは六十一条に掲げておるわけです。この適用除外を求めて改正をしようとするわけです。農地法の六十一条の除外規定を求めたのです。除外規定ということよりも、六十一条から分離させようとした。ところがこの六十一条は、六十一条に至るまでの土地取得というか、その土地造成等の結果生じた、買収したような土地をさらに売り渡すのであって、買収した土地をさらに売り渡す、造成した土地を売り渡すという規定が、農地法に基いて買収し、造成した土地を売り渡すという規定なのです。六十一条は「一 第四十四条第一項の規定により買収した土地等、二 第五十八条第一項の規定に基く請求により買収した土地又は施設、三 第七十二条の規定により買収した土地等、四 所管換又は所属替を受けて第七十八条第一項の規定により農林大臣が管理する土地等、五 公有水面埋立法により農林大臣が造成した埋立地」というのは先ほど申しました五十六条によって農林大臣が取得したもの、これは解釈できる。従ってそれらによって取得したものは、売り渡すべき土地等によって農地法では明らかに規定しておるわけです。これから分離したい、こういう考え方です。ところが農地法に基いて土地買収したというのは、農地法の適用範囲内においてこの法律を効果あらしめるための目的で土地買収をするわけであります。他の用途ではない、土地改良法のためにやるのではない。農地法の本来の建前を遂行するために土地買収ができるという建前をとっておる。それから土地改良法土地改良を行うための買収規定でありまして、農地法買収規定とは違うわけです。だから、農地法に基いて買収されたものが売り渡すべき土地等によって、六十一条によって明らかに規定されておる。これらの規定があるから、土地買収についての特権を持っておる。こうみなすべきだろうということなのです。私は、分離するのではない、これらのものを背景にして土地改良事業を行うということの方が目的達成のためにいいのではないかという考え方土地改良法が運行されることが望ましい——希望的観測ももちろんありますけれども、農地法から離れて、純然たる土地改良法というものは存在しないと思っておる。このことについての御意見一つ伺いたい。
  83. 加藤一郎

    加藤参考人 どうも意見が違うようでありまして、御意見はわかりますけれども、私は必ずしもそういうふうに考えておりませんから、その点幾ら議論しても食い違うようで、これ以上申し上げることもないような気がします。
  84. 川俣清音

    ○川俣委員 それから今漁業権の消滅の場合、入漁権の消滅の場合を話しました。他の土地または工作物使用の場合です。農地法によれば、「国は、自作農の創設又はその経営の安定を目的とする農地造成のための建設工事をする場合において、事務所、作業所、飯場、軌道等の用地として使用することが必要な土地又は井戸、えん堤等の施設で他の土地又は施設をもって代えることが著しく困難なものがその附近にあるときは、これを使用することができる。」とある場合で、農地法の対象になる土地造成については農地法で便宜を与えておる。自作農の創設または経営の安定を目的とする農地造成のための建設工事をする場合においては、国がやる場合で、あろうと業者がやる場合であろうと、事務所、作業所、飯場、軌道等の用地、これらも農地法の対象となって使用する権利を取得することができるわけです。これが五十七条です。実際こういうものを農地法の対象にしないで、土地改良法だけではなかなか事業はできるものじゃありません。これは土地改良協会の人がおられますけれども、農地法を背景にしないで、時価でまたはかえ地を出してとかということで事業の進行などはできるものではありません。農地造成の場合です。これは宅地であるとか工業用敷地であるとかいうことで、コスト主義によってやれるものであれば別問題です。経費としてかかった分だけ、補償した分だけ、時価または時価以上で買収した分、それらをみんな負担にかけ得る、対象にかけ得る、代価として獲得できるというものであればこれは別問題ですが、土地改良のように、農地自体が一体営業として成り立つか成り立たないか、むしろ国の食糧増産のために成り立たないでも農業をさせるという建前のものと、営利の対象になって埋め立てるものとは、本質的に違うという点で特別な恩恵、恩恵といいますか、規定を農地法の中に設けておるわけです。分離するということになると、これらのものから分離したものは確かに経費のかかるところの、単価のかかるものになるであろう、だからして負担金を取るという考え方もできないわけじゃない。しかしながらそれは農地の対象ではないという、幾ら経費がかかっても干拓をやるのだ、買収には糸目をつけないたとえば建設省のダム建設のごとき、あるいは電源開発のダム建設のような場合のごとき、農地法の適用を受けないでも当然採算上やるというものであればこれは別問題ですが、農地造成は、そういうふうに幾らかかってもいいというために農地造成するのではない。そういうものはむしろ農地造成から取り除かれているという建前をとっている。従って自作農を創設するために必要な土地買収であるからということで、そこに恩恵といいますか、特別な規定、普通の所有権をあえて制限するような規定が農地法の中にあるわけなのです。農地法を守るために、農地は安価に提供させるという規定が農地法の中にあるわけです。これは相互利用の上から、必要だということでできているわけです。それは幾らでも対価物を取れるのだ、負担金を取れるのだということになりますと、農地を安価に提供させる、あるいはかえ地の権利を安価に提供させることが困難になってくることは、これは当然なことなのです。この点について御見解をお伺いいたします。
  85. 加藤一郎

    加藤参考人 私は五十七条の点も五十六条と同じように、これが土地改良干拓をする場合に適用があってもおかしくないと思うのですが、かりにそれが適用がないとしても、なぜその五十六条や五十七条だと安価でいいのかという点が——これはほんとうに安価になっているのか存じませんが、安価だとしたらそれがどういうわけだろうという点がちょっと気になるわけであります。つまり農地を作るためになるべく費用が安ければいいということは当然でありますけれども、しかしまた漁業権あるいは公有水面埋立地の所有者とかあるいは事務所、作業所の所有者というものは正当な補償を国からもらう権利があるわけでありまして、幾ら農地が安くてもいいということはちょっと理解しかねるのでありますが、かりに農地法で安く取れることになっておるとすれば、そしてその方がいいということになればこの五十六条、五十七条を適用していくべきであるし、また五十六条、五十七条の適用を解釈上認められるのではないかと思っておりますが、その点はさっきからどうも意見が違っておりますので、このことだけ申し上げておきます。
  86. 川俣清音

    ○川俣委員 土地改良協会の人に聞きますが、国営灌漑排水の場合に農地法を適用した場合は、非常に安く土地買収していることは皆さん御存じの通りだと思います。それから単なる土地改良事業でやる場合は、時価でも容易に土地取得ができないという例は幾多御存じだと思いますが、その点はどうですか。
  87. 安部義正

    ○安部参考人 ちょっと今実例を持って参っておりませんので、はっきりお答えできません。
  88. 川俣清音

    ○川俣委員 たとえば田沢の国営開墾ですね、あれは農地法の適用を受けて安く買収する、それから農地法の適用外の施設についてはなかなか農地法の適用を受けかねる、非常に高く土地を求められたということがありますが、土地改良事業いわゆる国営干拓の場合は——農地法に基いて未墾地買収する国営灌漑排水の場合、いわゆる未墾地買収あるいは地主の土地買収の場合に、農地法を適用する場合には時価主義をとっていない。ところが土地改良事業においては時価主義をとられている。そうじゃないのですか。
  89. 安部義正

    ○安部参考人 田沢の場合、私はちょうど農地法の出ます前に現地におりましたので国営でやりました。上流の幹線工事は、これはその当時の、今日で申しますれば土地改良法と申しますか、普通の用地買収と同じような方法で上流を買収して工事をいたしました。下流の方の開墾地につきましての買収費は、その当時私はもうほかへ転任しておりましたものですから、はっきりお答えできません。
  90. 川俣清音

    ○川俣委員 御承知の通り農地法というのは一つ未墾地に対して強権を発動するのでありますから、時価主義によらないのは明らかであります。時価主義によるのでしたら、自作農創設のための農地造成なんかはとてもできない。未墾地買収です。従って今参考人が言われたように土地改良事業の場合は、団体営の場合は農地法の適用はなかなか受けにくいので、時価買収をしているわけです。それから国営開墾の場合は、農地法を適用いたしまして買収しているわけです。すなわち農地法を適用した場合の買収と時価買収との間においては開きがあることはお認めですね。この点はどうですか。
  91. 安部義正

    ○安部参考人 それはおっしゃる通りでございます。
  92. 川俣清音

    ○川俣委員 従って、今申し上げたように、公有水面買収でも農地法の対象にして農地造成をする場合のあれと、普通の権利を取得するという人の持っている権利の消滅——これは消滅じゃないのですね。権利の買収です。公有水面は消滅ではない、補償買収です。農地法だけが消滅買収です。それから公有水面の方は消滅買収ではない、補償買収です。そこに違いがある。片っ方は法律上消滅するんです。片っ方は補償買収なんです。農地法は消滅買収なんです。そこに基本的な違いがあるわけです。従ってこれは見解の相違になるからこの程度でやめておきますが、農地法の適用をのがれようとして分離すれば農地法の恩恵を受けられない、いわゆる消滅買収の恩恵を受けられないことを意識いたしまして農地法改正を政府は意図しているわけです。附則の十二において単なる「公有水面埋立法により農林大臣が造成した埋立地」というわけで、適用をはずしておるわけです。農地法の適用をはずして、直接「公有水面埋立法により農林大臣が造成した埋立地」というわけで、いわゆる五十六条の買収と申しますか、これは消滅買収ですが、公有水面の方は消滅買収じゃないのです。補償買収です。消滅買収から補償買収に変えていったということは、すなわち消滅買収でありますると六十一条の規定に基いて土地売り渡ししなければならないからして、その除外規定を求めるためにこれができたということが政府の大体の答弁だろうと思うのです。従ってそこで初めて負担金という問題が出てくると私は思うのですが、そういうふうにして負担金が出た場合に、建設大臣が負担金を取ったのと農林大臣が負担金を取った場合と法律上は同じ効果でなければならぬ。私は差別はないと思う。公有水面埋立法によって農林大臣が取得しようとあるいは建設大臣が取得しようと変りがない。また農林大臣が取得したものでも全部負担金かというと、これは負担金でいかない場合もある。負担金というものは、あなたは均一性を望んでおられましたが、負担金の観念には均一性はない。かかった経費の負担金ということです。よその工事にかかった経費の負担金ということにはならない。負担金というからにはその工事にかかった経費の負担金で、よその工事にかかった負担金は均等負担をするという概念には入らない。買収価格だというと、これはそういう負担金の観念を離れて、土地取得に要する買価、対価ということになりますと均等対価というものは出てくるかもしれませんが、負担金という概念は、対価と違うというところがあるとしますれば、また対価ではないということになりますと、できたものの価値ではなくして、負担金でありまするから、かかった経費に対する負担金だと思うのです。ここは安くできたんだけれども、よそのは高いから負担金が増すんだという概念は負担金の概念ではないと思います。もしも負担金で取得したということになりますると、これは一つ負担の概念というものから参りまして、農地にしようと何にしようと、土地造成負担金だということになると思うのです。それで取得してから初めて農地にするかしないかという問題が起ってくる。なぜかというと、たとえば八郎潟のような場合でも児島湾の埋め立てでも七分から一割は農地以外の目的に使用されております。八郎潟の場合もおそらく七分から一割くらいは農地以外の目的に使用されるものがあろうと思うのです。一万三千町歩の農地ということになりますと、商業地や工業地が当然生まれてくる。児島湾も初めは農地処分をしましたけれども、あとからあとから商業地、工業地が出てくるということになり、農地が宅地になり、工場敷地になって参ります。農地負担金で取り、工業用敷地その他商業用敷地は負担金でなくて、対価、土地価格で取る、こうなりますと、これもおかしいのです。農地負担金だ、その他の工業用地や宅地あるいは商業用地は対価で取る、あるいはその付近の地価で取る、こういうことになりますると、これもまたおかしい。農地だけがなぜ負担金で取らなければならぬか。商業用地や工業用地は負担金でなくて、対価で取る。これはおそらく農地の十倍から二十倍の価格で売り渡すであろうと思われます。そうすると、これは負担金じゃない。負担金の概念から離れていきます。宅地だから、工業用地だから負担金が多いということにはならない。建設費用、施設費用の負担金の分担をする、こういうことになる。一坪なら一坪の造成土地に対する負担金ということになると、宅地だから、工業用地だから、あるいは商業用地だから高く取るというわけにはいかない。対価とすれば、宅地に対する対価、工業用地に対する対価として対価は当然取れるわけでありますけれども、負担金という概念でいくと、農地と工業用地、商業用地との区別をどうするか。この問題はどうでしょうか、お聞きしたいと思います。
  93. 加藤一郎

    加藤参考人 最初に、負担金ということが均等負担ということの概念と矛盾するとおっしゃいましたが、私は必ずしもそうは思わないので、負担金でありましてもそれを全国的にプールして一部を負担するということも可能であるし、負担金でありますから、ほかのものを負担してはおかしいということにも必ずしもならないと思うのであります  それから今の工業用地その他宅地などとの関連でありますが、それはほかの方とどういうふうに折合いをつけるかよくわかりませんけれども、ほかの方をこちらと同じように扱うことも可能であるし、また片方は負担金で、特に全体の造成費の二割とかその一部を負担させる、他のところは完全な売買価格で、造成費で売るというふうにすることもできますし、その点はこの法律を作る上の特別の障害にはならないじゃないかというふうに考えております。
  94. 川俣清音

    ○川俣委員 もう一点だけにします。多目的ダムのときはその処分を明らかにしておるのです。なぜ明らかにしたかというと、処分が違うのであるから負担行為を区分しておることが明瞭だということなんです。法律の一方の建前として区分することが必要だというと、この場合は区分する必要がないということは法律の体裁からいっておかしいじゃないかということが議論の一つ、それからこの土地改良法負担の概念は、御承知のように工事執行後の負担という概念はありますけれども、そのほかには負担の概念はない、均一でいいという負担概念はありません。土地改良区ごとの負担の問題はありますけれども、この負担の概念というものは従来からの土地改良法にはない概念である。従ってこの土地改良法というのは、土地改良区の規定であるのでありまして、処分規定は本来はないのが従来からの耕地整理法から発展して参りました土地改良法の概念であると思う。従いまして、土地改良区の活動と申しますか、改良事業に対する行為を規定しておるもの、ただし土地改良区でない場合のいわゆる申請によらない場合は自作農創設の目的をもってやる。農地法の規定をもって土地改良事業をやる場合だけが申請によらない土地改良事業なのだ。天然資源開発の目的と自作農創設の目的を達成するために国が積極的にやるところの土地改良事業、すなわち未墾地買収等による土地改良工事等を目的として法律ができておる。今度の改正で従来とって参りましたものから逸脱いたすばかりでなくして、基本法を制限弱体化するような事業法ができていいものかどうか。特例であれば別ですが、特例じゃないのです。二号の規定といい、特例ではなくて基本法の制限規定ということができて参りますと、むしろ本来立法技術からいえば、基本法の場合は特別法に優先するのでありますけれども、基本法の制約制限を受けるような場合は、むしろ基本法を改めるのが立法技術である、こういうふうにいわれておるのですが、この点に対する御見解を承わりたい。
  95. 加藤一郎

    加藤参考人 第一の負担金の点でありますが、この法律でも負担金はプールということは考えておりませんで、それぞれの干拓地造成費の二割というような負担を考えているようであります。普通負担というとそういうことになるそうでありますが、私は同じ負担といいましてもできるならばプール計算をする、あるいは農業経営がいかにして成り立つかということを考慮して、その負担金の額を農業経営が安定するような形できめる、あるいは最高限を設けるとか、ほかにいろいろ地区によって違いがありましょうから、適当な方法で負担金を適切にきめるというふうにしていただきたいと希望しておるわけであります。  それから基本法との関係でございますが、初めに遮断といったのは、非常にわかりやすいと思ってそういう比喩的な言葉を使ったのですが、それがいろいろ波紋を投げているようでありますが、特に遮断したいのは売り渡し価格の点の遮断でありまして、それ以外にどれだけの農地法の規定をここに適用するかということは個々的に考えて、もし適用するのに適当なものがあるならこっちに取り入れてくるということを考えていいと思います。それから農地法の特例というのではなくて、別に抜き出すようにも見えますけれども、実質的にいえば農地法一つの特例でありまして、それを農業経営の基本法たる農地法の中に規定しなければならないというわけのものでもないと思う。そこはやはり農地法の中に入れますと農地価格等の点がどうもいやな点でありまして、一応切り離しておいた方が——少しずるいやり方かもしれませんけれども、今のところではこの程度で農地価格への波及を防ぐということが適切なのではないかと私は考えております。
  96. 小枝一雄

    小枝委員長 ほかに他の参考人に対する御質疑はありませんか。
  97. 芳賀貢

    ○芳賀委員 土地改良関係参考人各位にお尋ねいたします。今度の法律改正によって、土地改良事業団体連合会なるものが中央と地区に作られることになるわけです。土地改良自体は、土地改良法に基いて土地改良事業を行う組織なんです。ところが全国の連合会は必ずしもそういう事業を目的としたものではなく、土地改良事業を目的としない連合会ということになるので、ここにちょっと奇異の感を持たざるを得ない。構成員は土地改良事業を行う実施体であって、連合会は土地改良事業そのものは行わないというようなところに問題があると思いますが、こういうような形の連合会が、しかも事業団体連合会として一つの目的をもってわざわざ連合会を作る必要があるかどうかという点にも関係があると思いますので、その点を参考人の皆さんからそれぞれ御意見を述べていただきたい。
  98. 安部義正

    ○安部参考人 全国連合会を作る必要があるかどうかという御質問と思いますが、法律の中に一応書いてございます都道府県連合会の連絡機関、それから土地改良事業等に関する教育及び情報の提供というような問題、それからこれ以外に私として考えられます問題は、先ほどもちょっと触れましたが、たとえば東北に大きな水害があったという際に、農林省からは時間を限り災害被害額を全部持ってきてそれに対する復興計画を出せという際に、一応の簡単な計画はすぐできますけれども、今度それを具体的に計画書にいたします際に、とうてい付近の技術屋では計画が立てられません。従ってそういう際には中央の連合会に連絡いたしまして、地方連合会にはそれぞれ土地改良区も技術屋も持っておりますのを動員いたしまして、機動的にそれを配置するというようなことも考えられるのでありまして、一応情報の提供、あるいは場合によりますれば技術事務の講習会をやるとか、そういうようなことから全国連合会は必要ではなかろうかと考えております。  それから地方の問題は、土地改良区は昨年三月合計で一万ちょっとこしております。それに市町村あるいは協同組合等の土地改良事業をやっております団体は相当数ございますので、県によりましてそれぞれ数は違いますが、数の多い県では四百あるいは五百くらいの事業団体と由しますものがあると思います。これは強制加入ではございませんが、これらの地方団体が、今申し上げました県の中で自分のところで土地改良事業をやるのに技術員もないということで、土地改良区には技術員がいるからそれを借りてきて監督なり計画を立てるということも一つの方法であります。また地方連合会は多少の職員を持っておりまして、この職員が計画を立てるとか、あるいは技術管理をするとかいうことも地方連合会としてはやるべき業務ではないかと考えられます。
  99. 佐野藤三郎

    佐野参考人 先ほども申し上げましたように、土地改良事業を推進する過程におきましては非常に困難な問題が山積しておるのが実態でございます。従いましてそうした問題の協議解決ということに対しては、やはり同業者が相集まって十分協議をする、そしてこの問題解決の方針を見出して、一体となってこの問題に対処していくという観点からいたしましては、そうした組織体を法的化するということに対しては賛成しておるわけであります。ただ地方の方の組織でございますが、これにつきましては、私ども新潟県内でも五百からの単位改良区を持っておるわけでございます。しかも現在のような状態からいたしますと、同業状態でありながら横の間の連絡の徹底を欠いているという点もございます。それから問題の根本的な点を取り上げていろいろ討議をするという機会も欠けております。それから技術面の指導というような点につきましては、これは主といたしまして小規模な土地改良事業体におきましては、これに対していろいろ有利な点が現在も見出されておるというような実態でございますが、中央地方を通じて今までのこの協会というものがそのまま看板だけ変えてしまったということであっては、大きな効果は期待し得ないのではないか。だからさっきも申し上げましたように十分指導性を持った、しかも行動性のあるところの機関としてこの連合会の運営が成り立つように御配慮を願いたい、こういうように考えているわけでございます。
  100. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこでこの地方の連合会の場合、会員資格を持ったのは土地改良区それから改良事業を行う農業協同組合あるいは土地改良事業を行う地方公共団体。それでその構成員の備えている資格とか要件もまた違うのですね。土地改良区のようにもう土地改良事業だけを主目的としてやっている団体もあるが、農協であるとか市町村という場合においては、必ずしもそれが主たる目的でないわけであって、それらの団体や機関が連合会の会員になるというわけです。しかも行う事業が技術的な援助とか教育、情報であるとか調査、研究とかこういう一つの促進的な面における役割等が目的としてうたわれておるのですが、今までの土地改良協会等の最も重点を置いてやった行動を見ると、やはり土地改良事業をやるためのそういう事業の融資といいますか補助金獲得といいますか、大体そういうようなところに運動の主体は置かれておったように見えるわけですね。こういうような公法人化されたしかも政府の監督を受けるような連合体になった場合においては、むしろある面においては今までの土地改良協会よりも、運動団体としての面から見ると今までよりも動きが制約されて緩漫になるようなおそれもあると思うのです。それでお尋ねしたい点は、もし法律が制定されて連合会を作るというようなことになる場合には、果して地方や全国的な土地改良協会はこれに吸収されるような形で協会というものは実質的になくなってしまうものであるかどうか。そういう点は、直接その協会の仕事をやっておられる参考人各位ですからよくおわかりになると思いますが、その点を参考までにお聞きしたいと思います。
  101. 大曾根嘉夫

    ○大曾根参考人 今度新たにできますものは事業者援護で、ある事業を主体といたします、すなわち末端まで、手の届かない点まで手をとるという事業主体の事業を目的とするというふうに私は記憶しております。従いまして、ただいまの協会をどうするかという問題は、これは予算獲得等のいろいろな面等につきましては、あるいはこれは申し合せ的なもので別個に作るかどうかということは、今研究、というよりも県の方でもどうしたらいいかということでありますが、基本的にはこれは土地改良事業の推進をはかるということで進んでおります。
  102. 安部義正

    ○安部参考人 中央の場合でございますと、地方の連合会ができませんければ全国連合会というものは成立いたしません。それからただいまの御質問の点でございますが、過去の土地改良協会あるいは耕地協会はいろいろ批判もあったということを承わっております。これは先ほども申し上げましたように、民法上の法人になっておりますものも、現在ではその約半分は任意団体である、そういう点からそれぞれいろいろと信用を受けなかったという建前から私どもは正しく土地改良事業をやっていくという線から、当然ある時間が参りますれば連合会の方に移っていく、もっと土地改良事業の推進なりあるいは維持管理の面もまじめに打ち出していける状態までになっていく、こういうふうに考えております。
  103. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この連合会の規定のある法文等を見ると、農業協同組合に例をとってみると、農業協同組合の中央会のやっておる仕事と大体似たようなことなんですね。指導的な、あるいは情報宣伝的な、そういう役割は農協法の中においては中央会がそういう使命を持っておるようなわけですね。ですから、それと比較した場合においては、この事業団体連合会の性格というものが、非常に農協の中央会と類似している点が多いわけですね。ですからそう いう場合には、わざわざといってはちょっと変でありますがこの程度の内容を盛った目的だけのために果して全国連合会、地方連合会というものを土地改良法の中で規定して設置しなければならぬかどうかというところにも問題があるのですが、これは全国的な趨勢としては、土地改良区あるいは関係事業団体の意向は、やはりこういうような全国並びに地方連合会のごときものを設置して、一貫した体制の中で強力に土地改良事業を推進させるようにしたいというような意欲が相当高まっておるかどうか、そういう点は一ついかがですか。
  104. 安部義正

    ○安部参考人 農協中央会の中にもこういう業務をたくさん掲げられておるという問題につきまして、先ほども私初めて御説明申し上げ、意見を申し上げる際に、御承知のように土地改良区は大きいのは一万町歩以上のかたまりが約十八ございます。それから二県にまたがった改良区も五つくらいあると思います。それから国営級の三千町歩以上の土地改良区も百以上ございます。従いまして農協中央会なりあるいは農業会議所という一つの機関もあります。これはいずれも行政区画を中心にできておりますのと、また土地改良事業との区域が必ずしも一致しておりません関係から、いろいろと末端の指導等につきまして満足な結果が出ておりません。しかも改良区の数も先ほど申し上げましたように非常に大きな数になっている。最初に触れましたように、私は日本の農業の基本は土地と水にあるという問題から、あくまでこの土地改良事業が基本になって農業の施策というものはやっていかなければならぬという信念から、やはりこういう同じ仕事をやっているかたまりを連合体することは、それぞれの共同の利益を推進するために必要であるのではないか、こういうふうに考えております。
  105. 佐野藤三郎

    佐野参考人 この連合体を法制化することによりまして、土地改良事業の精神に対する根本的な問題の解決に運動ができなくなるということに相なりますとこれは重大問題だと思っております。私が先ほどから申し上げておりますように、なるほど今までの協会というものは予算あるいは融資の獲得という点についての運動を続けて参ってきたのは事実でございましたが、しかし現在の段階におきましては、すでに補助予算の獲得とかあるいは融資の獲得ということだけで土地改良の根本的な問題は解決されないと思います。従いまして、そうした現在各改良区が当面しておりますところの問題点、これはもちろん基本的な問題でございますが、そういう問題をどう解決しなければならぬかということ、それからいま一点は、土地改良とその後の農家経営というものをどう結びつけていかなければならぬかという点についての対策というものも、取り上げたところの連合組織ということでなければいかぬのじゃないかというふうに考えるわけでございます。もちろん技術的な面、それから経済的な面の指導というものは必要ではございますが、単にそれだけでなくて、もっと基本的な、今仕事を施行しようとしても行き詰まっておる、こういうような問題をもっと根本的に探求、分析していきまして、それを解決するための連合組織というふうにあってほしい、こう考えるわけでございます。
  106. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いや、私の申し上げておるのは、単位組織であるいわゆる土地改良区に例をとってみると、それは土地改良事業そのものを目的として事業を行なっておるのですから、それに付随する農家の経済安定とか諸般の農業経営全体の施策等の具体化という点に対しては、これはそれぞれの分野があって、たとえば協同組合とかあるいは農業委員会とかあるいは地方公共団体の産業行政とかそういう面で受け持つということになっておるのです。会員の資格を持っておるものは完全なる土地改良事業を行う団体が会員になるんだから、それ以上のいわゆる上部団体の連合会が非常に幅を広げて、農業経営とかそういう安定施策の点までやるということになると非常に焦点がぼけてくるのじゃないか。やはり一つの分野とか目的とか使命というものを明らかにして連合会も動いていかなければならぬと思うのですが、その場合、何といっても国の農業政策の中において土地改良事業に対して相当力こぶを入れておるということが実証されない限り、個人の意欲とか負担だけの限界の中においては、十分な土地改良事業というものはなかなかできないと思う。ところが最近の政府の農政に対する方向というものはどんどん後退して、特に土地改良事業等の面においても非常に遺憾にたえないような実情があらゆる方面に生まれておる。特にこの法律は直接関係ありませんけれども、たとえば積寒法であるとか湿田単作の法案であるとか、海岸砂地であるとかあるいは急傾斜とかそういう農業の条件を改良するための特殊立法が五つもありますけれども、これらも国家予算をつけないからもうほとんど空文に終っておるわけです。ですからそういうような現実の上に立って土地改良事業を推進するためには、今日まで土地改良協会等のそういう農政面に対する一つの積極的な働きかけというものも、不本意ではあってはもやはりやらなければならぬ仕事一つであったと考えられるわけです。ところが今度こういうふうな連合会というものが法律の規定に基いてできた場合においては、たとえば農政面における活動は土地改良協会が今までやったよりも連合会になった方が強力にやれるということにはなかなかいかないのではないかとわれわれは考えざるを得ないのです。ところがそうかといって連合会もできたし、また協会もそのまま置いておくということになると、これもまた変なことになると思うのです。ですから連合会に対する全国的な期待が強いとすれば、やはり今までの協会というものは自然に解消されて、そして連合会の方へ移行するというような方向を必然的にたどるという見通しがなければならぬと思いますし、そういうことになった場合、農政面における働きかけというものをこの連合会がどの程度強力にやれるかやれぬかという見通しも持たなければいけないと思うのです。そういう点に対する皆さんの方の見解とか御意見を一応聞かしてもらいたい。
  107. 安部義正

    ○安部参考人 先ほどの御質問で私お答えが一つ抜けておりましたが、全国の改良区が強く要望しておるかいなかという問題につきましては、これは全国の場合ですと、年に大体二回ないし三回総会を開いております。この団体の法制化の問題につきましては、過去約三カ年間総会ごとに決議されまして、最近は昨年の十二月十三日に土地改良法改正に関する特別決議というものをいたしまして、四つの柱を決議したわけでありますが、その中に団体土地改良事業に対する技術的援助機関を設置してくれ、これが今の連合会の姿になって現われてきたものと私は思っております。と申しますのは、国営工事に対しましては国があくまで責任を持ってやりますし、県営の工事に対しましては県が責任を持ってやる、団体営の工事につきましては現在の段階では県の援助機関というものもきわめて薄くなっておりますので、やはり団体営の仕事に対してはお互いに細い柱を立てて、どうか技術的援助に対してもう少し手を伸ばしてくれというのがこの全国大会のときの決議になって現われたわけであります。  それからただいまの御質問の農政の面の活動はどうかという問題につきましては、現在でも私ども各新聞社なりあるいは農業団体の方々その他のところへ参りまして、正しい土地改良事業の宣伝は皆さんのお力もおかりいたしましてそれぞれやっております。今お話のように、協会から連合会への移り変る時期というものは、相当時間があると思いますが、遠からず連合会に移るべきものと思っております。その際の農政活動につきましては、やはり正しい農政、土地改良を中心とした農政運動は今以上に推進できるものと思っております。
  108. 小枝一雄

    小枝委員長 久保田委員
  109. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 私はこの機会に二、三実態に触れた問題について参考人の皆さんから御意見をお伺いいたしたいと思います。お聞きの通り、今度の改正法の九十四条をめぐる法律構想の問題その他が非常に大きな問題になっておるわけであります。しかしこれの出てきた根本は、政府としては国営干拓地については従来のいわゆる農地法に基く農地としてやったのでは、御承知の通り最高一万二千円くらいしかとれない。それでは二十六万円も、場合によっては四十万円も一反歩についてかかるような土地改良事業、こういう事業は、ざっくばらんにいうと、非常に経済的採算が合わない。そこでこれに何らかのもう少し合理的な負担をさせようと大蔵省的には考えて、その方法としてこういう特異な法律構想をとってきた、こう思うわけです。農民の立場から見る場合は、法律構想の問題も非常に大事な問題でありますが、何といっても実際に国営干拓地へ入植する者が農業経営がやっていけるような負担でなくてはならぬということが一番根本であろうかと思うのであります。そこで今までは、御承知の通り、一万二千円程度である。それにさっきもお話のあった通り、付帯工事が相当かかる。のみならず単なるいわゆる団体営的な付帯工事ではなくして、農民個人の負担に属すべきものも相当ある。そのほかに営農者でありまするから、入植者が定着するまで相当に借金その他の関係考慮しなければならぬ、こういうことになる。国営なら国営という面から見て国が採算が合えばいいということでしょうが、農民から見ると、全体の負担ができるかどうかという問題になる。今度の案によると、政府の計画では非常に負担が増すわけです。従来は干拓地についても一万二千円限度というのが土地代です。ところが今度は二〇%、それに建設期間中大体政府の方では七カ年と見ておりますけれども、その間の建設利息が六分もついてくる。そしてさらに三年据え置きをして、一年間でやるとしても、その間また六分の利息がついてくる。そのほかにいわゆる付帯工事の経費が相当にかかってくる。なお開拓者として営農の確立までには少くとも現在でも三十万ないし三十五万の負担があろうと思う。所によって工事費の非常に安いところ、高いところがありますけれども、それらを勘案してみると、土地に関する入植開拓者の負担が一反歩少くとも五万円ないし六万円になろうと思います。従ってこれを十年間に返していくということになると、ここに資料があるが、どうしても四千円ないしは五千円近くを一反歩当り土地関係だけで返していかなければならぬ。そのほかに開拓者としての営農確立の融資に対するものをおそらく現在でも一年に一戸あたり低い水準でも三万円くらい返していかなければならぬことになるわけです。しかも増反する場合は一反が五万円でも七万円でもやっていける。ところが入植者の場合。はかりに一町五反割当を得てそれだけ手に入れるとすれば、一町五反全部がそういうことになる。従ってどうしても年に七万円ないし十万円の返済をしていかなければやれない。そのほかに干拓地がいずれにしても低い土地でありますから、維持管理特に排水費に非常に金がかかるのは御承知の通り。こういうのでやっていけるかどうかというのが私どもの一番中心の問題になろうかと思う。この干拓地に関する考え方で今問題になっておるのは、従来の農地法に基きますと、入りました農家の経済が安定をし、農業生産力が増大をする、これを一番基本の考えにしておるわけです。今度出された政府の特別会計案なりこの改正案はそうではない。金を出す方の側、つまり政府の側から見て、どの程度ペイするかということが根本問題である。こういうところからこういう問題が派生してきたように思う。そういうことに対して皆さんの、特に安部さんと大曽根さんの御経験から、入植者がやっていきます場合の考え方と、政府側がペイするという考え方のこの二つの考え方のいずれが今後の干拓地における基本の観念にならなければならぬか、もっと大きな国家、国民経済的な見地からまた別の観点がございますから、農民としてはこの二つの立場をはっきりすることが一番問題でありますので、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  110. 安部義正

    ○安部参考人 私の考えをお答えいたします。ただいま先生のおっしゃるような線は私どもよくわかります。現在干拓地のそれぞれの地区において一反当りの費用それぞれいろいろ金額が出ております。安い金額はさておきまして、平均以上の金額等についてけただいまの先生のおっしゃる点に同感でございます。  そこで先ほどもその点に触れましたが、入植者が実際に営農ができるまでの負担金であるべきが原則ではないかと思います。これは先ほどの参考人の方もその点に触れておりました。地区別に申し上げますと、たとえば単作地帯の干拓ということで、しかも反当りの負担が高いところは当然調整しなければいけないのではないか。それから裏作で相当収入の上っており、しかも表作よりも大きな収入を上げておるところも干拓地にはございます。そういうところでは、相当荷が重くても返済できると思います。それからもう一つは、政府当局できめられました一応の線は、先生がおっしゃるように私も考えております。要は、干拓地の近傍地が十万円も二十万円もする、だから干拓そのものに少し負担がかかってもいいのではないか、こういう考え方も出ておるのでございます。しかしこれは、干拓地を売った場合にはそういう問題が起きてくると思いますが、売らない場合には、いくら高かろうと、やはり農業経営ができなければ意味をなさないわけであります。従って入植の選考のときあるいは法律でできますれば入植の際に何かそこに売り渡しをするときの条件等をつけまして、その干拓地を売るからには、そのあとの農業経営をやる人、それからそれが宅地その他に変っていった場合、そういうような場合には何かそこに制裁を加えていけば、別に高い負担金をとるほどのものでない。そういう点何か条件をつけていけば、そこに安定した農業経営ができるのではないか、こういうふうに考えます。
  111. 大曾根嘉夫

    ○大曾根参考人 この問題につきましては、私千葉の例だけで申し上げますが、干拓地が相当ございまして、ただいま農林省でもこれは政令あるいは省令というものをやって検討する半面に、大体五万円というようなお話も出ておりまして、そうなりますれば新たなる入植でございますし、いろいろな新しい農耕に要する経費も加算されますので、従ってこれは単作作業では今のところでは非常にむずかしい。従ってよほど条件もよく、また裏作なりそういったようなものまでも考えた施策でなければ、今の価格は相当困難だという向きでございます。これは既耕地といいますか、国家買収されましても簡単に農地になし得るところもありますし、地理的条件で相当悪いところもあります。そこらの点をいろいろ寄り寄り協議をしておりますが、ただいま申し上げたような次第で、工事が終ってすぐ入植——しかしすぐからこれにかかると相当な過重だということでございます。
  112. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 お二人の御意見は、なるほど非常に安く上るところもある。しかしそれは過去の継続分をやった場合にそうなるのであって、今後は大体において相当に調整費がかかる。従って大体五万円とか、それに建設費その他で相当高いものにつく。それで現在の開拓政策なり何なりを中心にして、そこで一般の場合にやっていけるとお考えになるかいけないとお考えになるか。この政府的な考えでいけば、二〇%くらいのものは持たせても全体の経費から見ていいではないかという考えだろうと思いますけれども、農家の方から見た場合にやっていけるかいけないか。この点の真剣な検討が農家の側からいえば必要だと思う。この点についてもう少しはっきり、何とか裏作をうまくやればやっていけるだろうという、簡単に考えていいものかどうかという点を一つ。  もう一つさっきから問題が出ました通り、特に継続分に対しては、農民負担が高いものについては十三万円くらいかかる。安いものについては三千円見当負担になる。非常にアンバランスがある。大ざっぱな勘定で、平均して大体五万円見当だろう。こういうアンバランスは今度の法案なり今の政府で考え、いるところではまだ調整の方法がないわけです。これらの調整について何か具体的なお考えがありますか。この二点をもう一度繰り返してお尋ねします。
  113. 安部義正

    ○安部参考人 なかなか具体的な問題で、私の答えて御満足できるかどうかわかりませんが、三千円の地区なり十三万円の地区ということも聞いておりますが、これはやはり地区々々の問題に相なって参りまして、十三万円にいたしましても、先ほどお話しいたしましたように、付帯工事それから整地費も入りますし、それ以外に移住家屋の問題、営農のいろいろ施設がございますの、そういう極端な負担のかかりますところはとうてい無理ではないかということははっきりわかります。また安いところは安定できる。従ってこれは地区々々の問題として、その地区も、気候的条件のいい地区でも相当工事費の高いところもあれば、条件が悪くても工事費の安いところもございますので、そういうところを地区ごとに検討していかなければ、これは私はなかなかむずかしい問題だろうと考えております。
  114. 大曾根嘉夫

    ○大曾根参考人 私の方もそれと同じ意味で千差万別で、地区がみな変っております。また地区内におきましても相当変っておりますし、これらをどうして調整していくかということで、まだ具体的な考え方はまとまってはおりませんが、これは十分検討いたしまして、その地区的な関係一つ考慮を払いたい、こういうように考えております。
  115. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 国営干拓についてなおいろいろ聞きたいのですが、時間がありませんから、一般の国営の灌漑排水について二、三重要な点をお尋ねいたしたいと思います。そこで今度の新しい法律改正によってやるところについても、あるいは今度の改正法が適用のできない従来の継続分についても、国営の灌漑排水分についてもいろいろな問題があるわけですね。その中で特に農民の立場から見て問題になりますのは、国営灌漑排水をやるような地区は、国営灌漑排水をやっただけで問題が解決しないのであります。必ずこれに相当の県営部分がくっつく、さらに団体営部分がくっつく、こういうことになるわけです。農民の側から見ますと、これらに対する全体の負担をどうするかということが一番根本の問題になるわけです。そういう点で現在の制度でも、ただ単に予算をとる、事業実施の中に繰り入れてもらう、あるいは借入金をもらう、こういうことだけでは、さっき御指摘もありました通りに問題が解決できないような段階が今日もうすでに、大体国営をやる部分は大規模なのでありますが、農民負担という点から見て、きておるように思う。今度の改正案ではむしろ負担はよけいになる。多少工事の期間が繰り上って短期にできるかもしれませんが、これとてもはっきりした保証はないわけであります。七年間という保証はただ単に農林省の考えておる希望的という程度でありまして、法律的保証もない。そういう点から見て、多少これによって資金的に促進はされましょうけれども、必ずしもうまくいくとは考えられない。そこで全般的なそういう問題から見て、今の全体の負担という点から見て、国営の部分は、あるいは県営あるいは団体営、これを含めて、どういう点の改正を皆さんは特に農民の側から望んでおるかという点であります。  もう一点は、大きな点は、かりに国営分が七カ年かかるといたしましても、今の技術水準ではその七カ年ででき上った場合に、災害によっていろいろな被害をこうむってそれの復旧もやらなければならぬ。これも同じような方式でやるのだ。災害以外に、要するに設計もしくは工事の不備からくるいろいろな手直しとでもいいましょうか、問題がたくさん出ておるようであります。その負担が非常に膨大な額になるようであります。ところがそういう間違った設計や間違った施工による手直し分、こういうものについては国が責任を負うのか、県営については県が責任を負うのか、団体営についてはもちろん一般農民が負うわけですが、こういう点についてきわめて不明瞭であると私は考える。この問題も解決いたしませんと、国営事業を行うような大きな地区の土地改良全体とても、農民負担に耐えられないようなものになってきつつあるのが今日の実情のように私どもは思う。こういう点について特に亀田は御承知の通り千八百町歩もの大きな地域をやって、現に国営の部分、県営の部分、団体営の部分、今申しました災害でない、つまり工事の設計の間違い、あるいは施工が不備なためにくる大きな負担の問題が今残っておるようであります。阿部さん並びに特に佐野さんに、そういう点の実態と合せた御意見を伺いたいと思います。
  116. 安部義正

    ○安部参考人 ただいまの問題は土地改良事業を施行いたすためには、非常に大きな問題でございます。これはこの土地改良法法律の目的と申しますか、要は一つの川を中心にいたしまして、それぞれ団地を固めてくれば土地改良事業はできるという、そういう考えがこの土地改良法でございます。従いましてただいま御質問のような国営が始まっても、それに伴う県営、団体営というものが計画に上ってこない。これは土地改良法の一番の欠点じゃないかと思っております。従いまして今回の法律改正には上っておりませんが、私は当然農地の整備の、水系に従った基本計画というものを第一番に立てることが根本ではなかろうか、そういう問題を解決いたしませんと、今の問題が解決しないのじゃないかと思います。従いまして国営はほとんど完成している、しかるにそれに伴うた県営は全然新規地区に取り扱われていまだに着手に至らない、またその上団体の方についてもそうである。そうしますとダム工事にたとえまして、上流にダムができて用水が来てもそれが末端まで恩恵を受けないということになると、一体国営工事に対してどうして負担金を払うのか、こういう問題が起きてくると思うのです。従いまして一つの川に伴うた、少し大きい言葉でいえば農民の夢というものを、一応基本計画として立てるように法律を今後において改正する必要があるのではなかろうか、そういうふうにいたさなければなかなか解決いたさない、こういうふうに思っております。  それから後段の問題でございますか、工事中に災害を受けたというような場合は非常に農民負担が多くなる。この災害は、天災でございますれば当然国の援助もございますけれども、しかし場合によれば農民負担もそういうふうにプラスする。それから人工災の場合には、事業主体がそれを持つ場合が多いわけでありますけれども、なかなか災害の場合には、多くの場合には天災という線が多く打ち出されまして、従って農民負担が多くなってくる。そういう問題につきましては、これはやはり何と申しますか、なかなか大きな問題で、一つの例をあげますれば二十八年度の九州の大災害のごときは、これは補助率を非常に上げてそれで一応解決をつけておった。それからそれに関連いたしまして、今後の法律改正の中に昨年、一昨年のような豊作の年には、やはり農民の方も多少の積立金を据えて土地改良区を育てていくという点も、法律の中に今後入れていく必要があるのではなかろうか。そういうことによって、時間もかかりますけれども解決するのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  117. 佐野藤三郎

    佐野参考人 亀田郷の現在の実情を織り合せまして、ただいまの御質問に対しまして意見を申し述べたいと思います。御承知のように亀田郷は、全体事業費で約四十億の事業計画を立てて、二十三年から実施しておるわけであります。今の段階では、大体二十億程度の事業が終っております。これは国営関係とそれから団体営の区画整理関係がほとんど完了しているという状態でございまして、県営関係は三億八千万の県営事業の計画でございますが、まだ二億二千万ほどの残事業が残っている、こういうような状態でございます。従いまして区画整理は終っておる。しかし幹線用排水施設がまだ不完備の状態に置かれているということで、いろいろ臨時的な施設とか暫定措置を講じて、灌漑排水をまかなっているような実情でございます。なお最近、新潟県が御承知のように再建整備の対象県でございますので、地財法の適用を受けまして、国営、県営とも必然的に事業の制約を受けているわけでございます。昨年度におきましては国営は二千四百万の事業予算をもらったのでございますが、再建整備の対象によりまして、千二百万の返還を命ぜられているような実情でございます。なお県営におきましては二億二千万も残っている残事業に対しまして、わずか一千八百万の予算しか、もらっておらないというような状態でございます。私からあらためて申し上げるまでもないと思うのでありますが、この土地改良事業というものは、やはり計画性を持って一応一貫したところの継続事業でなければ、その用排水の機能も十分発揮できませんし、また生産効果を期待するわけにいかないのでございます。そういたしますと、数億残っている残事業に対して千万か千五百万の事業予算しかもらえないということであっては、勢い用水が中断される、あるいは排水ができないというような結果を招来しておりますので、立てかえ工事でも、一応の水だけ通すだけの措置をとらなければならないというような実情に立っておるのでございます。従ってそうしたところの立てかえ工事として、中金の自己資金を借りておるものだけでも三十一年度では二億数千万を借りておる。これをもって立てかえ工事をせざるを得ない実情に追い詰められているような実情でございます。従いましてこれが立てかえられる場合におきましては、御承知のように当然中金の高い金利を支払っていかなければならないような結果に追い込まれているわけでございます。従ってそうしたものが全部累積して参りまして、この国営、県営関係がまだ残されているために、みすみす臨時的な費用、年間消耗的な費用負担として大体三千万から四千万の負担をせざるを得ないというような実情でございます。農林漁業資金におきましてもすでに十一億以上の借り入れを終っておるような状態でございまして、一昨年ごろからすでに元金償還に入っております。そういうような状態からいたしまして、それだけでも相当の経済負担になっているわけなんでございますが、それ以外に、今ほど申し上げましたようにそうした年間消耗的な臨時的な施設のために、よけいな負担というものをここに追加して組合員が負わなければならないような実態でございます。これは関係事業予算が、ある程度容認された場合におきましては一挙に解消する問題でございますが、遺憾ながら現在の段階では、そんな予算を期待できない状態にあるということでございます。なお今後、去年から暗渠排水の工事をやることになっております。暗渠排水につきましては、全面積の六千町歩を全部やろうという計画で昨年からかかって参っておりますが、これも当初積寒対策事業として暗渠排水をお願いしようということでいろいろ申請し、手続をとって参ったのでございます。しかしながら昨年度は暗渠排水関係予算が全国で一億七千三百四十万円だったと記憶しておりますが、そういうような状態でありまして、新潟県の場合におきましては申請額に対して認承決定額はわずか七分しか認承になっておらない。さらに本年度の暗渠排水予算は昨年に比較いたしましてわずか七万四千円の増額にしかなっておらないという実態でございます。暗渠排水の要望は年々増大して参っておりますが、その中にあって全体予算がふえておらないということからいたしますと、本年度の場合におきましても申請に対して五分程度の認承しか得られないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。そういたしますと、またこの暗渠排水自体やはり借り入れ資金によって工事を施行しなければならないという結果になるのでございます。そういうようなことを考えますと、組合負担というものは非常に過重になって参りますので、これに対しての一般組合員それから私の要望といたしましては、ぜひともこの制度を変えていただきまして、長期な資金貸付の制度を徹底していただきたい。  それから午前中にも申し上げましたように利子補給の点を御配慮願いたい。なお国営で作っていただきましたところの揚排水機の問題につきましても、揚水排水の大きなのだけで年間千四、五百万円の維持費を費しておるような実情でございますので、そうした大規模な施設に対しましては、特別会計の対象といたしまして国の方でこの維持、管理についてめんどうをみていただきたいという点をお願いする次第でございます。  なお亀田郷は御承知のように以前沼地でございましたので、泥炭層が非常に深いのでございます。それで砂の安定した盤まで掘り下るには、六メートルないし七メートルの泥炭をくぐらなければならないという実態でございます。こういうような状態の地帯でございますので、当初国で計画されましたこの用排水体系というものが全部適用できなくなっておるという状態でございます。これは乾田化されることによりまして、自然的に発生したところの土地の変化に原因することなのでございまして、不可抗力的な現象といわざるを得ないとも考えておりますが、水をしぼったのでありますから泥炭が圧縮されまして水路の断面あるいは水路の高低というものが全然くずれ去ってしまったというような状態でございますし、なおそういった土地条件からいたしまして、当初の第一期工事におきましては国営、県営とも恒久的な施設を設置することができなかったという実情でございます。従いまして国県営、団体営で架設いたしました橋梁というものは全部木造構造物となっておるわけなのでございまして、その数が全郷で七百四十二橋でございます。その橋架におきましても、現在の段階ではすでに耐用限界をこえておりまして、方々で車を落したとか人が落ちたというような状態になっておるわけなのでございますが、国営も県営も今の段階はまだ事業継続中でございます。従いましてそうした問題につきましても国県の責任においてそうしたものを改良してほしい。当然その維持、管理的なものにつきましてはわれわれ改良区におきまして機械を購入して、積極的な維持、管理の態勢はとっておりますけれども、そういう構造物、護岸というような点につきましては、今までは土地の条件からいたしまして仮工事という程度の仕事しかでき得なかったというのが実情でございます。従いまして、そういう問題については国県の責任において改良していただきたいというのが亀田郷の実情でございます。  以上お答えいたします。
  118. 石田宥全

    石田(宥)委員 関連して安部参考人に伺いたいのですが、最近、特に土地改良事業の不当支出等の問題が非常にたくさん指摘されておりまして、二十六年には二百七十四件、二十七年には八百九十四件、二十八年には九百七十四件、二十九年には八百十一件、こういうふうに非常にたくさん不当支出が指摘されております。これは地方において最近さらにまた一そうその摘発が激しくなっております。土地改良事業が特に会計検査院から指摘を受ける件数がほかの事業に比して多いということは、一体どういうところに原因があるか。それからもう一つは、最近補助金等適正化に関する法律が実施されるに至りまして、法務省は特別な担当検事を各地に配属をいたしまして、それが摘発に専念しておるというようなことについての見解をまず承わりたいと思います。
  119. 安部義正

    ○安部参考人 非常に件数の多い原因は何かという御質問でございますが、御承知のように団体が仕事をやっております数は土地改良事業が一番多いと思います。なおかつ農民がこういう仕事をやっておりますので、経理事務その他に対してはきわめてふなれであるという点もございます。従って会計検査院がこれだけの件数を指摘しておりますものの、もし完全に悪いことをしておれば、これは当然検察庁へ持っていく性格のものじゃないかと思います。しかし件数は相当あげておりますけれども、ほとんど検察庁にはいっていないのではないかと思います。従いまして、こういう問題につきましては、やはり現在の検査監査が十重二十重にきびしくなっている割合に末端に対する指導はきわめて手薄じゃないかというふうに考えます。それの一つの例を申し上げますと、補助金の適正化の法律を出します際に、その当時の民主党の政調に私も呼ばれましてその善悪を問われたのでありますが、土地改良事業の場合でございますと、大体その当時の県の技術の職員一人に対しまして一般土地改良事業が約六百万円、災害がやはり一人の割当が六百万円程度の事業費を受け持っておりました。なおまた土地改良事業をやりますのは時期的に期間がきわめて短いという関係から、しかも土地改良事業におきましては一地区が——ちょっとはっきりいたしませんが大体金高百万円か二百万円かの平均金額になっております。災害の場合でございますと一地区が四十九万円の金額になっておったかと思いますが、その一人の受け持ち金額と数から行きまして、なかなかそこまで指導するという手が及ばなかった。そこへ持って参りまして、賦役負担でやっておるというような地区もございますし、経理事務にきわめてふなれな農民仕事をやっておる関係から、いろいろこういう手違いが出てきて、やはりこういうものの指導面というものをもう少しめんどうを見てやれば、こういう点は是正できて、もっとまじめな仕事に変ってくるのではないか、こう考えております。それから適正化の問題につきまして、専門の検事を配属している点はよくわからないのでありますが、適正化の問題につきましては、御承知のように昨年の国会におきましてこれが通ったわけでありますが、この適正化の中には災害等に対します仕越し工事は一応黙認しておりますけれども、一般土地改良事業に対します仕越しというものは認めてない。この内容は区画整理に伴う仕越しとか、あるいは水路等のつけかえの仕越しというものが当然認められることによってまじめな仕事になり、ただそういう点がもう少し仕事本位の法律に変えることによって別に問題は起きてこないだろう、こういうふうに考えます。
  120. 佐野藤三郎

    佐野参考人 適正化法の問題について要望がございますので、申し上げたいと思います。この適正化法が制定されました際に、われわれ事業体の関係者はこれに対して相当強い関心を寄せたのであります。その後いろいろお願いして参ったのでございますが、そのあとで先生方並びに法務省、大蔵省の方々がお集まりになって、そう正直にこの法を解釈しなくてもいいのじゃないか、だからまあこれを少し適用させてみてくれというような話で、この仕越しの問題については法的に取扱いの上で考慮していくというような話し合いがついたということで、一部改正の点につきましては、その後見送って参ったのでございますが、昨年になりまして新潟県の中之島におきましてこの仕越しの問題がやはり適正化法の適用を受けまして、現在起訴されているような状態でございます。これはもちろん補助金を水増ししてとったとか、あるいはだれが見てもはっきりしておるような不正をやったということにおきましては、法の裁きを受けることは当然だと思いますけれども、国も県も予算が少い、しかもそれに対して現地の実態はどうしても仕事をせないことには用、排水もかからない、また排水ができないという状態からいたしまして、いま一つは特に積雪地帯におきましては、やはり事情やむなくこの仕越しというものをせなければ土地改良の成果をできるだけ維持していくこと自体が困難なのでございます。そういう観点からいたしまして、われわれといたしましては、どうしてもこの仕越しというものに対しまして適正化法の一部を改正していただき、明文化していただきたいということをお願いするものでございます。しかも現在亀田郷、新潟県の場合におきましては、まだ雪が相当たくさん積っておって、コンクリート工事自体ができないような地区もたくさんあるわけでございます。そういう中におきまして、この仕越しの面が全然できないということで、現在の適正化法の制約を受けていくということになりますと、一切の仕事が何もできないという結果になってしまうのでございます。しかもこの適正化法の適用を受けまして、県内各地に問題が続出しております。このために県庁の職員は萎縮し切ってしまいまして、ほとんど事務自体がとれないという実態でございます。なお事務をとりましても、それに対して職員が判をつくことによって責任を問われる、まじめに仕事をしておって責任を問われるというようなことで、書類が整備しておりましても、判をつけないというような実情に立ち至っておるのでございます。そういうような状態からいたしまして、私どもの事業施行の面におきましては、いろいろ事務処理がおくれる、あるいは融資の決定を受けておりましても、県の方の出来高が一カ月も一カ月半もできないというようなことで、せっかく資金の貸付を認証してもらっておりましても、工事代金の引き出し、支払いができないというような苦しい立場に追い詰められておるのでございます。従いまして、そうした問題があわせて解消するように、しかも県の職員もまじめにしかも安心して仕事ができるように、ぜひとも適正化法の一部改正をやっていただきたいということをお願いする次第でございます。
  121. 石田宥全

    石田(宥)委員 今安部参考人のお話で、大体ほかの事業と比較して、一人当りの事業分量が比較にならないほど多過ぎるという点もっともだと思うのでありますが、私は根本的には希望地区が非常に多いにもかかわらず、予算規模が少な過ぎてそれがために予算獲得等に必要以上な競争をしなければならないというようなところにも一つの原因があるんじゃないかと思うのです。よくわかりましたが、なおこの土地改良事業についての最近の会計検査院の検査の仕方が、あたかも犯罪捜査のような取扱いをやっておるということをよく聞かされるのでありますが、そういう点についての実情を、果して必要以上な犯罪捜査的な検査をやっておるかどうか、これは一つ大所高所から見て承わりたいと思うんです。
  122. 大曾根嘉夫

    ○大曾根参考人 開墾建設でございますが、これをしましたときに、実は会計検査院は大へんほめまして、といいますのは設計がやはりよかったことと、工事中に検査を厳正にしたことであります。それからさらに事務的な点について、やはり手を込んでしたということで、これは会計検査院からは実はほめられました。それで一般土地改良事業でございますが、これにつきましては、やはり時期以前に工事を開始したということで指摘せられまして、実際のところは農家の土地改良仕事をする場合におきましての隘路となりましたのは、農民の諸君が自分で金を出してした、それを帳面をくくらないで出したというのでありまして、実質的には相当の労力を使っているにかかわらず、それが具体的にどこにも上らないというような例で、一般的には相当突っ込まれまして実績が上らなかったということでございまして、一方は現場でございますが、現場につきましては、材料にいたしましてもどこからどこへ入ったというルートをずっとせんさくされまして、そういうのでそこがわずかでも足りなければ、これは手持ちであっても、その手持ちのありかというものを証明しなければならないというようなこまかい指摘でございまして、それらが私の方の県といたしますればなかなか納得、説明のいかない点でございます。こういうことで、現地そのものではなくして、そういうようなところまで調べられましたこはちょっと行き過ぎではないかとも考えました。そんなところでございます。
  123. 佐野藤三郎

    佐野参考人 それでは簡単に私の方の問題を申し上げたいと思います。新潟県の場合、これは直接うちの改良区の問題ではございませんが、県の部課長といろいろ話し合いをいたします過程に出ておった問題を御参考までに申し上げておきたいと思います。もちろん私どもといたしましても、この工事が適正に行われておるかどうかという点については厳格な調査検査をしていただきたい、こう思うわけでございますが、ただその検査をする過程におきまして、調査する相手方をあたかも罪人扱いのような調査の仕方をしているということで、県の部課長が会計検査というと全く参るということで相当苦しんでおられましたので、その点、もしそういう事実があるとしましたならば、その取調べの過程での応対する態度を改めていただきたいと思うわけでございます。なおちょっとした話ではございましたが、ことしから先生方が一名ずつ検査員について現地に出られるというお話が出ておるので、そうなれば非常に助かるというような話も県でしておられましたので参考までに申し上げておく次第でございます。
  124. 細田綱吉

    ○細田委員 大曽根さんに伺うのですが、あなたの県で土地改良区の配分をめぐって大きな問題が三つも最近われわれのところへ持ち込まれた。あすはわれわれの方であなたの方の柏の花野井という干拓の現場へおじやまして、関係各官公庁へ伺う予定になっておりますが、それは別です。それは別ですが、そういうふうにたくさん問題が起るというのは、地元の有力者の恣意何といいますか、意見土地改良区に強く反映するという現状にあるんじゃないか。これはもちろん千葉県だけじゃない。私は茨城県ですが、茨城のたとえば鵠戸沼あるいはまた霞ケ浦沿岸の干拓も全くその通りです。ただあなたのところの方がむしろ民主的であって、耕作農民の反発する力が強く、茨城県の方がもっと弱いものだから一にらみでつぶされてしまうということで、あなたの県だけじゃないのですが、とにかくあなたの県として干拓の配分が大きな問題になって、私のところえ三つも持ち込まれているということは、今申し上げたように、地元の有力者といいますか、悪い言葉で言えばボスの言う意見が少し強く浸透するような制度になっておるんじゃないかと思うのですが、これはどうでございましょう。
  125. 大曾根嘉夫

    ○大曾根参考人 ただいまのは非常にむずかしい問題で、私の方では、御承知の通り土地改良事業にいたしましても、干拓事業にいたしましても、また開墾事業にいたしましても、事業分量が非常に各種多様にわたってほうはいとして出ておるのであります。従いまして、農地等の配分、あるいは工事の施行というようなものにつきまして各人が相当目ざめた考えを当今は非常に持って参りました。それと同時に、いろいろと県の施策あるいはまた事業の方面におきましても相当デリケートな線を持ってきたように承わっております。また私もそういうふうに見ております。ただ今申されましたボスがどうこうという問題でございますが、これは私何とも申し上げかねるのですが、それも何といいますか、仕事を推進する意味ではやはりそういう方に持っていった方がいいじゃないかと考えます。
  126. 細田綱吉

    ○細田委員 そういう土地改良の結果の、特に干拓なんかの場合の結果の配分が民主的に行われていないことだけは事実でしょう。たくさんそういう問題がある。しかも県庁の案をけっ飛ばして、そうして県庁の修正した案による入植者に対して仮処分申請をして入れぬというんじゃ、これはまさに県庁と五分々々にけんかするだけの強い力を持っておるので、それだけの力は耕作農民にはちょっと持てません。そこでその裏にはやはりボスの非常に強い力が動いておるという結論だけは言えませんか。
  127. 大曾根嘉夫

    ○大曾根参考人 私といたしますれば、まあその言葉は保留さしていただきたいと思っております。
  128. 細田綱吉

    ○細田委員 安部さんに伺うんですが、あなたの目から見て、私の表現に従えば、全国的に、民主的にきわめて明朗に行われておる土地改良区の数よりも、ボスの独裁下に置かれておるような改良区の方が事実上多いように思うのですが、その点いかがですか。
  129. 安部義正

    ○安部参考人 直接土地改良区と私関係しておりませんで、地方の県単位の協会と私どもそれぞれ接触しておりますので、今の問題についてはっきりお答えができません。
  130. 細田綱吉

    ○細田委員 もちろん土地改良区のスタートしたときはそんな形じゃなく、すっきりした形でスタートしたが、途中でいろいろ形が変ったり、設立維持のための仕事を探したりして、土建業者のために土地改良をするのやら、土地改良をするために土建業者を使うのやらわからないようなことをあなたの方で見聞した事実が相当ありはしませんか。
  131. 安部義正

    ○安部参考人 ただいまのようなお話をときたま聞いたことはございます。従いまして、多くの場合団体営の仕事でございますが、もう少し明朗にやる道はなかろうかという御質問をいただいたこともございます。そういう点につきましては、今日各般の仕事にわたりまして直営工事というのはきわめて少くて、それぞれ国営の仕事でも県営の仕事でも請負工事が非常に多いのであります。これは私こういうところへ参りましても——私はどっちかと申しますと現場監督を長いことやった人間で、しかも直営工事ばかりや。ておりましたので、先ほどもちょっと触れましたけれども、連合体としては、材料には金を出しても、労力はあくまで賦役でやるという精神でこの土地改良事業はやっていくべきじゃないかという点を頭に描いてああいう構想を出しているわけであります。
  132. 細田綱吉

    ○細田委員 従って、土地改良区の運営というものは、現在は御承知のように理事の任期は二年、総代は現状のごとく選任しておられる、これをなおかつ総代は少くして理事の任期を多くすることは、結局先ほど千葉の回答を保留したような例があるのですが、むしろそういう理事の独裁ということ——農民というのは御承知のように非常に民主的な運営を好むけれども、なれない現状においてはなおかつそういうことは尚早ではないのでしょうか、この点一つ
  133. 安部義正

    ○安部参考人 これはいろいろ意見の相違もあると思いますが、戦後土地改良法ができまして、あのできました当時の土地改良区はこれは過渡期でございまして、戦前の地主の土地改良事業をやったときとは非常に性格が変っております。その後二十八年に一回改正いたしまして、今日の段階ではその当時よりも土地改良事業は逐次安定してきている、なおかついろいろボスの問題等の御質問がございましたけれども、全般的には安定しているということと、もう一つは、先ほど石田先生からお話しの通り、予算が非常に少くて、たとえば県営事業のごときでも平均十三年かかる、こういう団体営の仕事にいたしましても、わずかな仕事が相当長期間かかっている、そういう観点から見ましても、逐次安定している土地改良区におきましては、一応今度の改正案では四年以内というふうに定款で定めると書いてございますので、安定しているところに対しましてはやはり理事の期間というものは最大限延ばして差しつかえないのじゃないか、ただ法律では四年以内と書いてございますので、これは当然定款で定めらるべき性格のものでございますから、必ずしも四年ときまっているわけではございませんので、そういう観点から私は差しつかえないのじゃないかと考えております。
  134. 細田綱吉

    ○細田委員 最後に佐野さんに伺いますが、あなたの感じた結論だけ言って下さい。先ほど土地改良法の一部改正法律案は、日本の農家の耕作権並びに所有権のあり方の大本をきめてある、これに対する重大な例外で、農地法に対して強い圧迫を加えていく傾向が含まれているというようなことを芳賀委員や川俣委員やその他先輩の各位から言われておったのですが、その問題は先ほどいろいろおわかりだったと思いますが、なおこの法案を一覧して、団体に非常にウエートを置き過ぎて、これに参加している農民の発言の機会というか、利害というものが、ややもするとその影に隠れてしまうという感じを、あなたの感じだけでいいです、法案を一覧されてそういうお感じをお持ちになりませんかどうか、その点を一つ……。
  135. 佐野藤三郎

    佐野参考人 私先ほどから繰り返して申し上げておりますように、非常にいろいろな困難な問題がたくさん山積しておりますので、そうした段階に入れば入りますほどに、やはりこの実情をよく組合員の末端にまで周知徹底をはからなければならないというふうに考えているわけでございます。そういう観点から考えました場合、先ほど御指摘になりました役員の任期の問題、それから総代の定数を減員するという問題、これについては私は、この改正案を見ましてちょっと全面的な賛成はできないという考え方を持っております。私どもの土地改良区におきましては、今まで定例総代会、臨時総代会を大体年二回もしくは三回持ってやってきたのでございます。しかしながら当然民主的な運営をはかるべきものがともすると独裁面に陥りやすい。だからそういうものを是正し、正しく組合員の代表として執行運営の任に当ろうとする場合、やはりできるだけ大ぜいの人に集まってもらい、十分討議してもらってこそ、その正しい方針が堅持できるというふうに考えております。従って亀田郷の場合におきましては、月平均一回以上ということで総代会もしくは総代協議会を開催しております。正式な議案、議決事項がなかった場合におきましては総代協議会といたしまして、情勢の報告、事業の進捗度合いというような点まで発表し、討議を願っているような実情でございます。なおそれだけではまだわれわれ執行者並びに総代があまりにも、一方的に自分の主観にのみよって運営を続けるきらいがあるというので、総代、役員の班編成を組みまして、郷内の末端部落までおりていって、部落民、組合員と懇談をやって周知徹底をはかりながら、この難局を打開しようということで現在努力中であります。そういう観点からこの法案を見まして全面的にちょっとどうかと思う点があります。
  136. 小枝一雄

    小枝委員長 他に質疑はありませんか。——なければこれにて参考人に対する質疑を終了いたします。  参考人各位には御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席下さって、種々貴重な御意見をお述べ下さいまして、厚くお礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十九分散会