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1957-03-29 第26回国会 衆議院 農林水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十九日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 小枝 一雄君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 芳賀  貢君       五十嵐吉藏君    石坂  繁君       大石 武一君    川村善八郎君       木村 文男君    草野一郎平君       椎名  隆君    鈴木 善幸君       中馬 辰猪君    永山 忠則君       原  捨思君    松浦 東介君       赤路 友藏君    石山 權作君       小川 豊明君    川俣 清音君       久保田 豊君    楯 兼次郎君       中村 英男君    細田 綱吉君       山田 長司君  出席政府委員         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         長)      立川 宗保君         農林事務官         (農地局管理部         管理課長)   石田  朗君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月二十九日  委員中村時雄君及び山田長司君辞任につき、そ  の補欠として川俣清音君及び風見章君が議長の  指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  開拓融資保証法の一部を改正する法律案内閣  提出第七号)  土地改良法の一部を改正する法律案内閣提出  第八四号)     —————————————
  2. 小枝一雄

    小枝委員長 これより会議を開きます。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案議題といたし審査を進めます。他に質疑はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小枝一雄

    小枝委員長 なければ、これにて質疑は終了いたしました。  次に討論に入ります。討論はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小枝一雄

    小枝委員長 なければ、採決いたします。本案賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立
  5. 小枝一雄

    小枝委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  なお本案委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
  7. 小枝一雄

    小枝委員長 次に土地改良法の一部を改正する法律案議題といたし審査を進めます。質疑を続行いたします。細田綱吉君。
  8. 細田綱吉

    細田委員 きのう説明員の方から、非受益者土地改良区から利益を何らこうむっていない人たちが強制加入させられた場合、たとえて言うなら、さらに長期にわたるとか二重に加入を強制されたような場合に、何か脱退の規則が六十何条かにあるような御説明をいただきましたが、何条でしょうか。
  9. 石田朗

    石田説明員 六十六条の第二項でございます。
  10. 細田綱吉

    細田委員 それから二十九条、これが一番重要な点であると思われるが、たとえば会計帳簿出納簿、言いかえれば会計の内容を組合員に知らせる文書をなぜ二十九条の備付文書の中に入れないか、これは非常に危険だと思う。なお総代を減らして任期をかりに倍にしたとするなら、なおさら私はこういうものを落しちゃならぬと思うが、これを規定してない理由はどこにあるのでしょうか。
  11. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 会計年度内に逐次変更を見るものでございますので、その年度の締めくくりました予算決算についてば、当然備え付けるべきものでありまして、総会または総代会を毎年一回招集しなければなりませんときに審査を受けるのが適当だと思います。
  12. 細田綱吉

    細田委員 備え付けなければならないという規定はどこにあるのでしょうか。
  13. 石田朗

    石田説明員 今の御質問でございますが、収支予算決算等は重要なものでございますので、これは確かにお話のように組合員にできるだけはかるようにいたさなければならぬということになると思います。それにつきましては総会総代会の議を経ることは当然であります。関係帳簿につきましては、これは基本的な帳簿備付規定しておるわけでございます。ただいまの予算決算等につきましては総会等議事録の中に入って参ると思います。また証拠書類等事業に関する書類の中に入っております。
  14. 細田綱吉

    細田委員 事業に関する書類ですが、事業に関せざる支出も、範囲を広く解釈すれば全部入るかもしれませんが、厳密にいうとこれに関係せざる支出が相当あると思う。なるほど年次総会には当然会計報告はあるわけですが、しかし法律に詳しい人たちばかりが職務執行者になるわけじゃない。従ってそういうことを注意的にも掲げ、なお組合員は随時行って組合関係帳簿書類等閲覧することができ得るという機会を与えることの方がきわめて親切な扱い方だと思うのですが、この点どうでしょう。
  15. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 二十五条によります「毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。」ことと、三十条の規定によりまして「経費の収支予算」「予算をもって定めたものを除く外、土地改良区の負担となるべき契約」「賦課金及び夫役現品賦課徴収方法」「事業報告書収支決算書及び財産目録の承認」ということを総会議決事項といたしておりますので、総会で適否を判断して議決していただいたものは備付は当然すべきものでありまして、法の規定をもって備え付けるということではありませんが、先生の御意見のように、その後も一般に縦覧に供するという方法もありますが、総会議決を経ましたならば、備え付けておいてはっきりするということで、総会の機能によりまして目的を達するからいいではないかと考えまして現行法規を踏襲しておるわけであります。
  16. 細田綱吉

    細田委員 あなたも株主総会なんかに出られた御経験から見ても当然ですが、総会でこまかい計算を示されても、直ちにイエス・ノーということは言えるものじゃない。従ってわからないとつい賛成の方へ起立するイエス・マンになる。これは人情の当然なんです。従ってあなたの提案説明の中にありましたような民主主義的な考えを織り込むとするならば、当然ふだん会計帳簿というものを閲覧に供しておく。三月以前のものとか半年以前のものという条件をつけて当然やるべきものじゃないかと思う。あなたの今おっしゃるところでは、これは総会における一つ議決事項だけれども、総会効力というものはある程度限度がある。これはふだん予備審査をして出た人ならばこれは当然できますが、大体そういう人はない。またこれがないと予備審査という方法もまた与えられないわけです。なお、これは小さいといえば小さいかもしれぬが、場合によってはでかいかもしれないが、あなたの御説明にもあるように、関係団体要望がありましたということは確かに改正法案を通じて強く出ておると思う。しかし農民要望ということが少しもあなたの言葉からも出てこなかったが、農民要望というものがきわめて押えられておる、こういうふうに思うのです。  なお第三十九条第七項、これは言いかえれば村税よりも強い力を賦課金徴収に持たせて時効効力中断させておるわけです。かりにこの法律は、この条項が有効なりや無効なりやという裁判を裁判所に出された場合に、特効の効力からいって本人のところに請求しないのに第三者のところに請求したからといって中断効力があるということは相当疑問の余地を残すのではないかと私は考えるが、それは別問題として、あなたの方で村税よりもこれだけなお強くする必要がどこにあるか。かりにあなたの方でこの規則がねらった村長あるいは知事賦課金徴収を依頼した場合、あるいは村長知事はもうせざることが適当だと思う場合もあるかもしれないが、それをやっておけ、は時効中断してしまって、さらにまた五年先に伸びる。村税ですら御承知のように五年でしょう。国税ですら五年です。それをこの手続さえしておけば、いつまででも延長する。言いかえてみると、村税よりも強い力を持っておるのが土地改良区の賦課金の性格です。なぜこういう法律までして団体を擁護するのか。農民が納められないという場合は、よほどの理由があると思う。皆さんの方で想像するように、ずぼらな農民だけではない。この弱い農民だけをしかく押えつけて団体利益だけをどうしてこうお考えになるのか。この規定を通じて一つ説明願いたいと思います。
  17. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 第一点は、前の質問の補足になりますが、お許しを得て申し上げたいと思います。第二十九条の関係書籍備付で先ほど私が申し上げましたように、定款、規約、事業に関する書類を備え付けておかなければならぬ。その中の第四項で、組合員その他土地改良区の事業利害関係のある者から書簿閲覧請求があった場合には、正当な事由がある場合のほかは、これを拒んではならない、ということで目的を達すると思いましたのが第一点であります。  第三十九条について、土地改良区の賦課金について督促等規定を設けましたのは、強制徴収をする場合は市町村税の例によることになっておりますので、それ以上に強化するつもりではございませんでしたので、今の村税と同様に考えたのであります。
  18. 細田綱吉

    細田委員 村税と同様に考えれば、第六項の「市町村税の例による。」で十分なわけです。さらに七項を加えて時効中断効力団体に与えて、なおいつまでも消滅しない。かりに徴収を委託された村長村長立場から、市政の立場から、あるいは知事が大きい立場からこれを徴収せざるがよいということがあっても、なおかつ団体権利は消滅しない。そして違約金だ、過怠金だ、利息だということでこれを取れるようにしておく。よほどの強い力を村税以上に持たしておるのは、私が今さら繰り返さなくてもおわかりだと思う。従って市町村税の例にならったとするならば七項は削除してしかるべきで、今度の改正法案で新たにこの七項を加えているわけですが、この理由が私にはわからないので、御説明を願いたいと思います。
  19. 石田朗

    石田説明員 お答え申し上げます。ただいま局長より御説明いたしましたように、これは市町村税とおおむね同様の取扱いをいたす、こういう趣旨改正をいたしておるのでございます。しかしながら市町村税の場合は、納入告知によって時効中断効力を生ずるというふうに相なっておりますが、本法においては督促がそれにかわることになっておりますので、市町村税の例によるというだけでは法文上読み切れないということで、この七項を挿入したわけなのであります。
  20. 細田綱吉

    細田委員 読み切れないということはどういう御趣旨か知りませんけれども、賦課金請求、当然これは市町村告知書の送達と同じような効力があると思う。それになおかつ時効をさらに延長して、どこまでもくっつかしていくという御趣旨は、今の御説明では納得しかねるのですが、頭が悪いせいかどうも了解できないので、もう一度御説明願います。
  21. 石田朗

    石田説明員 今の御質問、私たちにいささか了解しかねる点もあるのでございますが、この督促は、従来の法制によっても市町村徴収請求いたします前には、当然督促いたすのが筋でのったと思います。しかしながらそれ川法制上明確でございませんでしたので、今回はこれを事前に督促をした上でなければ、市町村請求できないという規定に実はいたしたわけでございます。従いましてこの督促、これは本人に対して督促いたすわけでございますが、この督促というのは一つの時期を画しまして、それを市町村税の場合の時効中断と同じような意義を持たしめる、こういうことでございます。それ以上の手続は、市町村税の例によって一切処理されることに相なるわけでございます。
  22. 細田綱吉

    細田委員 あなたのおっしゃる市町村税時効中断はわかるのです。市町村賦課徴収を委託するのですから、さらにそれによって五年の延長というようなことは、最も著しく団体立場をとったので、かりに一年とか二年とかいうのなら、まだこれは若干わかると思う。さらにここに単なる中断として五年を延長するということが著しく団体利益に偏して、公平の原則というか、農民利益をお考えになっていない点があるのじゃないのですか。
  23. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 ちょっと解釈上の意見に違う点があるように思いますが、先ほどの御質問で漏れましたことをあわせて申し上げますと、七項の督促組合員個人に参りますのでございます。かつまたこの六項だけでは、先取得権の順位は市町村税を含むのでこれに準ずるものとは思いますが、市町村税よりもむしろ下位にあるものでございます。その時効については市町村税によるということでございますが、徴収手続等において市町村税の例によりまするけれども、時効中断効力を有するかいなか、またその時期がいつであるかについて、管理課長は読み切れないと申しましたが明確さを欠きますので、市町村税においては納入告知書でその効力を持つものを、督促という手続組合員に対してとらなければならないということにいたしましてその時期を明確にするとともに、その時効中断効力を有する性質を明確にした気持だけでございまして、ほかの意味はございません。すなわち土地改良区は土地改良事業組合員のために行うものでございますので、その賦課金等はその事業を完遂するために必要なものでございまして、組合員が納入すべき義務を持つものでございますから、団体立場だけを考えまして農民といいますか、組合員立場考えるのでなし土地改良事業に支障を来たさないように、賦課金等が納入されて初めて組合員のための土地改良事業ができますので、団体目的及び事業を完遂するためには必要である、それは同時に組合員である農民のためであるというふうに、両者考えておるのでございます。
  24. 細田綱吉

    細田委員 この規則からこういう場合が出はしませんか。かりに土地改良区の職務執行者村長ときわめて仲がいいということで、こんなことは申し上げるまでもなく、権利の上にあぐらをかいて知らぬ顔をしていた者は法律は保護しないというのが御承知時効制度です。ところがたまたま土地改良区の理事村長あるいは市長等が仲がいい、ちょっとこれは忘れたけれどもと言って、その前のまだ時効範囲内の間に書類を半年でも、一年でもさかのぼって督促一つ頼むとか、賦課金徴収を頼むというような文書をやると、これがいつまでたっても消滅しないだけでなくして、また不当に権利の上にあぐらをかいた者に、なおかつ実際においては利益を享受させることになるのじゃないですか。こういう場合がこの七項の規定で出はしませんか。要するに私はこう了解しているのです。第三十九条一項による市長村に取り立ての委任をした場合にもこの七項の督促、「第一項又は第二項の督促」、これに該当するわけでしょう。該当しませんか、しなければいい。そうすると今言ったように、不当に権利の上にあぐらをかいて、知らぬ顔をしておった者が、文書の上ではつじつまが合っていましょうけれども、実際の面においては過当に保護されるということになり、それがひいては農民の方に過当の負担をかけることになると思うのですが、この点はいかがですか。
  25. 石田朗

    石田説明員 この条文市町村への徴収請求の前に督促がなければならないということになっております。それから督促本人に対して行われる行為でございますから、督促あとになってつじつまを合せるということはできないかと存じます。
  26. 細田綱吉

    細田委員 了解しました。私の質問は本日はこの程度で打ち切っておきます。
  27. 小枝一雄

  28. 川俣清音

    川俣委員 午前中の時間があまりございませんので、要点だけ二、三お尋ねいたしたいと思います。  本法改正せられまする提案説明によりますと、画期的な土地改良を増進するために必要な特別会計を置くための関係規定の整備、もう一つは従来やって参りました土地改良事業の不備な点を補うというところにあるようでございますが、第一にお尋ねいたしたいのは、部分からでございますが、干拓事業につきましては、干拓地の処分に関する規定を補足いたすことにいたしたのでございます、こう説明されておりますが、どのように補足せられたのか、この点について説明を願いたいし、なぜ補足する必要があるのか、ないのかという理由もあわせて御説明願いたいと思います。
  29. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 今回土地改良法改正いたします要点は三点ございまして、ただいま川俣先生のおっしゃいましたことのほかに、もう一点土地改良事業団体連合会を組織し得る規定を設けてあります。そのうちの干拓の例示をなされましたが、国営灌漑排水事業を、本法では国が行いまする灌漑排水施設新設変更事業と表現しております。それをも含めまして埋め立て及び干拓事業、なお灌漑排水施設災害復旧事業、これだけの工事につきまして第八十八条の二、九十四条の八にわたりまして規定を追加し、明確化したのでございます。第一は、国は灌漑排水施設新設変更事業で、政令で定めるもの、これに関連する災害復旧事業、または埋め立て、もしくは干拓事業工事を行う場合におきまして、「その工事完了を促進するため特に必要があるときは、別に法律で定めるところにより、」—その法律と申しますのは、特定土地改良工事特別会計法案で、別途この国会に御提案を申し上げて知るものでございますが、その法律で定めるところによりまして、工事費の一部を借入金をもって充てることができるようにしたい、そういう趣旨でございます。灌漑排水事業干拓事業につきましては、その工事を施行いたしまする工事費は従来国費においてこれを行なって参りまして、灌漑排水事業におきましては、六十、四十の割合をもちまして、その四十に当りますものを都道府県を含む受益者農民工事費負担をしまして、負担金工事完了後納入することになっておるのであります。その負担割合は、数府県を除きましては都道府県受益者農民とが折半をいたしておるのが現状でございますが、そのうち都道府県は、建設期間中でも当該年度の半額について、三年据え置き十年年賦の現金または交付公債によりまして負担をいたしております。ところが一般会計予算によります工事費支弁だけでは、目下の国力に応じましては工事の促進が期しがたい点がありますので、地元負担に当りますものは、特別会計を設けまして、そこで経理をいたすのでありますが、先に預金部資金等から借入金をもって工事をしてしまってそうして地元負担をもって償還して参る、こういう制度をとりたい、こう思っておるのであります。これは毎年工事費に使います資金がよりたくさん確保できるようにという目的でございます。その結果としまして、工事完了を促進することになるのでございます。  第二点は、農林大臣国営干拓事業により生じました土地及び国営土地改良事業のために取得した土地等管理及び処分することができるようにしましたのが第九十四条でございます。これは土地改良事業として現行法におきましても干拓事業は指定になっておるのでございまするが、この土地改良事業である干拓事業は、進める手続と、でき上りましたあと管理と、その施設—でき上りました施設と申しますのは堤防等でございますが、それらの管理干拓予定地と申しますか、それをいかに処分して参るかを土地改良事業の他の事業と同様に規定をしたい、こういうことでございます。ところが現行法によりましては、農地法によりまして公有水面埋め立て法によります事業国営で行いました場合に、その事業完了しました際のでき上がりました土地配分計画をいたしましたり売り渡しいたしましたりする規定を設けておりますが、今回の借入金制度によりまして、特別会計において事業経理をいたして参ります場合に、その土地配分その他所有権関係、一時貸付の制度等につきましては、農地法によりまするよりは土地改良法によりまして規定する方が適当であると考えました次第でございます。  第三点は、農林大臣日常干拓事業によって造成される土地埋め立て予定地といっておりますが、それにつきまして、第二点で申し上げましたように土地配分計画を定めまして、配分申込書提出した者のうちから自作農として農業に精進する見込みのある者を選定いたしまして、その者に配分通知書交付することによりまして所有権の処理をいたしたい、こういう考えによりましてその旨を規定したのでございます。これに伴いまして配分通知書交付を受けました者は、当該土地改良事業完了の期日に、配分通知書に記載された埋め立て予定地所有権を取得するという制度を設けることが、農地制度及び土地改良制度両者を通じまして、弊害もなく適切な措置と思った次第でございます。  なお配分通知書交付を受けた者に対しましても、まだ土地としてはできておりませんが、あり姿は海面から出ました陸地のもので、権利の対象としてはまだ海面でございますが、そのものについて、入植者につきまして早くから使用させることが適当だと思いまするので、無償で使用させる規定を設けたいと思いまして規定をした次第でございます。
  30. 川俣清音

    川俣委員 今の答弁についてもう一度質問し直さなければならぬ点が出て参りましたが、その前に、きょうお配りをいただいた土地改良法改正案新旧対照、これはこれでいいのですか。これを基礎にして説明を求めようとしたところが、ミス・プリントといいますか、説明の足りないところがたくさんあるのじゃないですか。このプリントによりますと、上段は、一部を改め、または加えた部分であり、下段は削った部分であるが、削られてないところが出てきたり、だいぶ混淆しているのですが、ちょっと説明願えませんか。
  31. 石田朗

    石田説明員 ここにございますように、凡例といたしまして最初に書いてございますが、今回土地改良法の一部改正案提出いたしましたために、改正案によりまして改正されました条文を上に改正案として掲げ、下段改正前の土地改良法を掲げておるわけでございます。つまり改正前が下でございまして、改正しました後にあるべき姿が上段に掲げておるわけでございます。従いましてこの改正点を明らかにいたしますために、これを黒い太線をもちまして、上段改正後のものにつきましては改正点、または追加点、これらを傍線をもって表わし、下段におきましては改正点削除点傍線をもって表わしました次第でございます。なお全条文を改めましたものは、条文の章条の回りを黒線をもって囲ってございます。ただお断わりいたしたいのは、第四章土地改良事業団体連合会、これは全章を新たに追加いたしておりますので、本来ならば全章について黒線で囲み、傍線を必要といたしますが、煩瑣でございますので、これだけは省略してございます。厳密に照合いたしてあるつもりでございますから誤まりはないと存じますが、もし誤まりあるいは御疑問の点がございましたら、十分取り調べましてお答え申し上げます。
  32. 川俣清音

    川俣委員 あなたの説明がわからない。下段は削った部分である、—下原文だ、こういう意味ですか。そういう点がわからないのです。
  33. 石田朗

    石田説明員 これは凡例のところに傍線説明がございます。さよう御了承願います。
  34. 川俣清音

    川俣委員 もう一度お伺いしたいのですが、下の部分—傍線を引いた部分は削った部分でございますね。原文だという意味ではないのですね。下が原文だというふうに説明されたが……。
  35. 石田朗

    石田説明員 従来の条文で、今回改正された部分傍線を置いたものであります。その改正前の姿を表わしたわけです。
  36. 川俣清音

    川俣委員 下に傍線を引いたのは……。
  37. 石田朗

    石田説明員 下段にありまして俸線があるものが今回改正いたしました部分改正前の部分でございます。
  38. 川俣清音

    川俣委員 下段は現法だ、こういうことですね。
  39. 石田朗

    石田説明員 そういうことです。
  40. 川俣清音

    川俣委員 それではお尋ねいたしますが、今の御答弁によりますと、先般の予算委員会のときとだいぶ食い違ってきているのです。農地法に抵触するようなことはないという答弁であったのですが、ただいまの答弁で、農地法を修正するよりも本法に修正を加えた方が適切である、こういうことで改正を行なったということになると、農地法に無関係だということにならないのではないかと思います。ただいまの説明の中に、農地法改正するよりも本法による方がよりよろしいということで改正を加えたということがあった。そうすると当然農地法改正と関連するのでありますから、農地法に関係ないという先般の分科会における説明と今日の説明とは違ってきたのではないかと思います。この点はどうですか。
  41. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 先般衆議院の予算分科会で川俣先生の御質問に対しまして答えましたことに即しての御質問かと思いますが、農地法の各条文一つも関係がない、そういう意味で申し上げたつもりではなかったのでございます。農地法によって行なっております精神、趣旨、たとえば自作農として精進し得る方々、また耕作者の方々に農地法の第一条に掲げてありますように土地を取得せしめまして、またこの耕作権を保護しまして、土地の利用関係を調整する。そこで農地の移動あるいは改廃、そういうものを許可制度にする。小作料の統制を行いまして、ある場合に政府が売り買いいたします未墾地につきまして買収及び売り渡しをする、干拓地について売り渡しをするということを通じますその趣旨には抵触しないように、干拓につきまして事業の早期完成をねらいまして、新制度を設けるがゆえに農地法の他で行なっておりますことに抵触したり、影響を及ぼさないという趣旨で申し上げたのでございます。若干条文の整理につきましては私の申し上げましたことが適切でなかった点があると思いますが、その後研究をいたしまして、土地改良法改正と必要な農地法改正をこの改正案の付則で行いますことによりますことが申し上げましたこととは違って、法律改正案を出したのじゃないかという意味にそのときの私の答弁が聞えましたならば、研究過程の時期でございましたので、御了承願いたいと思います。
  42. 川俣清音

    川俣委員 前の答弁は研究過程であったからということであれば、必ずしも了承しないわけではないのであります。今度の重要な問題は、農地法は耕作者の地位の安定ということを主眼にしておりますために、農地処分に当りましても、小作料等の制限からいいまして、当然土地価格というものに対しての制限というものがこの法律の要旨であると私ども見るわけです。小作料を押えられておるということは、すなわち土地価格を押えるという趣旨のものでありまして、間接的に農地の価格の高騰を押えるという意味であろうと思いまするし、また法律自体、耕作者の地位の安定をはかることが農地法趣旨でありますから、従って農地価格というものはやはり採算の合う農地価格という建前をとっておるものと見なければならないと思うのであります。農地価格の高騰に対する直接制限はないにいたしましても、農地法趣旨というものは小作料の安定並びに耕作者の地位の安定ということから見まして、土地価格に対して一定の規制を加えておる、こう見るべきだと思うのです。ところが今度の改正要点を見ますと、無償で配付するかわり負担金でこれを補うというのでありましょうか、持っておる土地の改良ではなくしてやはり新たに取得でありますから、従って負担金といいながら実質上は社会通念からいえば、これは入植に対する買取価格、こういうことになる。結局それだけの負担金を払わなければ入植できないということです。入植が先にきまって価格があとにきまるのではない。それだけの負担金が出せない者は入植できないということになるのではないのですか。これは根本的な違いだ。農地法によりますと、負担金が出せない者には入植させないという建前はどこでもとってない。入植者に適切な価格で売り渡すという建前をとっておるのでありますが、あなたの今の説明によりますとそうではなくて、今度はこれだけの負担金を出せない者は入植させないという結果になるのではないですか。この点の説明をもう一度願います。
  43. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 この法案によりますと、干拓地に入植していただく方は負担金を持っていただくことになるわけでございますから、負担金を持つのに同意して下さらない方には入植をしていただかないことになります。ただ従来の干拓地土地を売り渡します場合は、土地の対価としていただいておりますが、入植をしていただく方の選考ということと今回のように負担を持っていただくことは別個のことでございまして、その資格選定は入植の選考でやりたいと思っております。
  44. 川俣清音

    川俣委員 従来適当な農業経営としての対価を支払えない者は入植できないとなっておりましたのは、対価という意味からですが、今度は無償ですからだれでも入れるということになる。入ろうと思うと対価と同じような負担金をかけるというから、無償だということには通念上ならないと思う。対価であれば初めてこういう土地を取得するための対価を払えということが普通の経済通念として言えると思う。しかもそれが農業経営をする上に適切な価格であるということがもちろん前提でありましょうが、これらの前提を置きまして食糧増産のためにこれらの人々にやってもらうということと、もう一つは農業生産力の増進をはかる目的で選ぶということ、もう一つは自分の所有として耕作者の地位を安定せしめるという目的で入植が決定せられ、しかも土地の造成が行われるわけでありまして、個人企業が一つ土地を作って、そうして今度は負担金を出せということでやるということになると、—たとえば個人企業でだいぶ土地を造成しているところもございます。山口県の宇部あたりでもやっておりますが、これが従来一番問題であったのは、負担金と申しますか対価物を要求しておりまして、御承知のように農地局から注意を受けたことがあります。そういう埋立地に経費がかかったからといって、農地にする場合にそれらの負担金を取るのは農地法の違反だということで、あなたの方で注意しておる。そこで宅地でなければならない。ところが低過ぎて宅地にならないということで農地にしようと思うと、そんなべらぼうな農地はないじゃないかという注意を受けておる。そうすると今まで注意したことを、今度はみずから犯すことになるのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  45. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 この法案を作成しております趣旨はそういう趣旨ではございませんで、どのお方が干拓地に入植せられる、あるいは地元増反地域を持つ、こういうことの選考は別個のことでございまして、その負担金を持っていただくことによりましても、自作農として安定した経営で営農を続けていける、また小作地について小作料の統制をいたしておりますことに影響かない、こういうふうにしたいと思っておりますので、先生のおっしゃるような趣旨を持っておりません。
  46. 川俣清音

    川俣委員 そこで問題は二つあります。一つは、それでは農業経営をなし得るような、あるいは今まで農地処分をされたような価格の負担金である。普通無償というと有償よりも低い感じを受けるのですが、無償ではあるけれども負担金は取るのだ、この負担金は有償よりも安価であるというふうに理解をしてよろしかどうか従来農地いうことが言明できるのかどうかということが一点。  さらにもう一つは、もしもそれ以上の負担だとしますれば、今後その価格に基いて、負担金を払ったのでありまするから、土地の移動のような場合あるいは小作地を提供するような場合は、その負担金に見合う小作料を請求することができるのかどうか、この二点について伺いしたい。
  47. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 本法案によりまするというと、まだ入植者土地所有権を与える前に、干拓予定地の貸付を無償で行うことを規定してあります。所有権取得は公有水面の埋立事業完了した日の日付けによりまして、配分申込書に応じまして配分通知書交付した方について、この法律に基いて所有権を取得をさせるということでございまして、有償、無償という概念をとらない法律構成にいたしたい。これははっきり申しまして、小作料統制をいたしておりますことに影響を与えて、小作料統制を、それがために変更をすることになるといけませんので、そういうふうにしたいと思っているのであります。地元負担を対価と同様に見るか見ないかにつきましては、純粋経済的な概念では、相共通する分が全くないとは申し上げませんが、農地の売買価格というものの概念をとらないようにしたいと思っているので、このような法案にしました。入植者の方々に、買い受けの価格でありましても、入植に当りまして工事費負担をいたしていただくことにつきましても、ひとしく経済的な負担であるという観点においては同じでありまして、そういう意味から見ますと、今回の土地改良特別会計を設置いたしまして事業を促進して参りたい。しかもこの方法は、地元負担を予定しまして、それに見合う借入金を建設工事期間中に投入いたしまして、それと一般会計からの繰り入れの国費と合せまして工事費に充てたいという制度を設けたいと思っておりますので、その際には、予算のときにも御審議をいただきましたように、特別会計において取り扱うようになった以降の事業につきましては、工事費の二割及び借入金の利息を負担していただこうと思っておりますので、その両者をそのまま比較すれば、無償だから有償より安いということでございませんで、無償、有償ということでなしに、入植者の経済的負担はどうかという点におきましては、安価であるのではございません。売り渡す場合に、従来は一反歩、代表的な価格でありますが、約一万二千円くらいでございます。その一万二千円が出るもとは、その付近の類地の下田の相当値段を見ておりますが、それは平均的に申しますと、工事費の約五%くらいに当ります。各地区、各工区によって違いますけれども、現在着工しておりますものの平均的なものでいえば五%くらいでございますので、二割と五%との差及び借入金の建設利息の負担、こう見ますと、安価である取り扱いを、するつもりではございません。  第二点は、入植者負担がふえるということによりまして、小作料を統制いたしまして、すでによく御承知の、小作料統制の方針は、耕作者と申しますか、自作収益方式ということできめておりますが、このきめ方及び額に影響があるようにはいたさないつもりでございます。そうして農地として取り扱ってもいいような段階にあります干拓予定地につきましては、所有権入植者に与えてしまうのでございますから、それ以降につきましては、農地法における一般の例と同じく、土地所有権を持ちました自作農、その自作地、これの移動については、農地法に基く許可を要することは、農地法上同様に扱います。またその移動が行われる場合においての価格の問題でございますが、現在は農地法におきましても農地価格の統制はいたしておりませんので、原則としては自由価格でございますので、その点においても変更を持たないという解釈でございます。また干拓予定地を取得しました人が農地になりましたものを他人に譲渡する場合には、もともと国営事業として干拓事業を行いまして、自作農に精進するお方に取得せしめるのでありますから、その趣旨から申しましても、簡単に移動の許可をしないつもりでございます。いわんやその土地を小作地にして、小作人を求めて小作契約を結ぶ、賃貸借契約を結ぶ、そういうことは許可をいたさないつもりでございます。
  48. 川俣清音

    川俣委員 あなたの答弁は少し粗雑ですよ。決して丁寧じゃないのです。ここで私は問題を提起しておきますから次の委員会までに答弁を用意されて御回答願いたい。おそらくこれは農地処分という形で処分するのではないという意味で有償、無償じゃないということですが、入植者にとりましてはやはり取得価格であることには間違いない。入植するためにそれらの条件を満たさなければならない、それらのものを支払わなければ入植できないのでありますからやはり取得価格である。法律上の用語は別にいたしましても取得価格である。この取得価格を払って農地になりましたものが、農地法規定に従って転売または国に買い戻しを願う、または小作地に出すこともあり得るのです。ないと規定はできない。農地法だってこれはあるのです。その場合に、普遍の小作料の場合一は、地主、所有者が何らかの条件のために一時的に小作地として出す場合におきましては、やはり農地法に基く小作料の計算でやらなければならないことになる。ただ土地改良を加えた場合においては等級が上って小作料が幾らか上り得るのでありましょうが、今度は自分の土地になって土地改良を加えたのじゃなくして、初めからそれらの取得価格をもって払った場合に、一部小作地として出す場合において、必ず農地法と抵触することが考えられるのです。考えないでもいいという根拠が出てこないのですか、出てくるとすればどこから出てくるかということを次の委員会までに一つお示し願わなければならないと思うのです。  それから負担金についてはまだきまっていないと思うのです。そこで質問の問題を提起いたしますが、最高価格、最低価格を設けようという気もあるようですが、その前に最高価格、最低価格をきめるということが一体どこから出てくるか、その根拠をお示し願わなければならぬと思います。  もう一つは、この根拠になりまするものは、従来継続されておりまする土地改良事業、これらも五年計画であるとか七年計画であるとかいうことで進められておる。この計画を遅延さしておるのは一体農民であるかあるいは地方の県営団体、専業団体土地改良組合であるのかといえば、そうではなくしてむしろ国が予算を年々削減しているために事業がおくれておる。特に国営事業になりますと、もちろん国の予算が年々削減されましたために事業がおくれておる。このおくれておる責任は政府にあるのであって土地改良組合にあるわけではない。あるいは県営団体におきましても同様であります。予算の総ワクを国が削減するために事業がおくれておるのであります。ほんとうは優先的にこれらのおくれておる事業に着手してこれを完成するということが私は国の重大な義務でなければならぬと思う。ところがおくれておるのは当りまえで、それよりも早くやってやるから負担金を多くせいとようなことは、これは成り立たないと思う。おくれておるよりも早くやることが利益じゃないかと言うけれども、どんな事業でも五年計画あるいは七年計画で始められておる。それ以上の長期の事業などは初めから補助の対象ともならないし、助成の対象にもなっていない。干拓にしても灌漑排水にいたしましても、もうとうに完成しなければならないのにまだ十数年要するというようなことは、これは怠慢です。怠慢が当りまえであってそれよりも早くやってやるのであるから十分な負担をせい、七年計画でやるのであるからこれらの利子も大したことはないじゃないか、利益が多いんだからと言うけれども、これもまた従来と同じように延び延びになりまして、もし十年、十五年になりますと、これは前と変りはない。負担だけは増されたけれども、実際の竣工は従来と変らないということになりました場合には、この利子の負担分をかぶせられるということは大へんな迷惑です。国のことであるから信用してもいいだろうとあなたはおっしゃいますけれども、従来の例から見ましても、おそらくこれは七年で完成できまいと思う。あるいは五年計画も五年で完成できまいと思う。遅延のために生ずる利子負担は国で負担をするということをここに修正することに同意願えるかどうか、この点はどうなんですか。
  49. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 この次までによく考えて答える分とその他の部分とございますが、負担金は継続事業におきまする場合、新規事業におきまする場合と、三十一年度までの国富工事のやり方、法制などのあり方ということからいたしまして、差を設けたいと思っております。継続事業につきましては、三十一年度までに支出をいたしました事業費を事業として採択してあります工事地区につきまして見まして、三十一年度までに支出をいたしました事業費の五%と、今後特別会計に入れまして事業支出いたしていきまする場合のその事業費について二〇%、この両者を合算しましてその干拓地域の面積との関係で負担額をきめたいと思っておるわけであります。三十二年度以降において特別会計において行われます干拓事業については、その事業費の二割にしていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございますが、なおここ数年来干拓地は、水面埋立事業が完成しましたものについても売りどめをしてあるのが現状でありまして、その間におきまして、すでに入植された方々、土地配分計画を立てて売り渡し通知書が出ている場合がある。その場合は、従来の価格で売却することにいたしたいと思っております。最高最低価格を設ける時期でございますが、一つは従来、かりにこれを一万二千円の売り渡し価格として表現させていただきたいと思いますが、売り渡しによりまして、その対価を一万二千円によってやっておりましたが、これは工事費がいかにかかるかということとは関係なしに売り渡しを行なって、その価格をきめてきた次第でございますけれども、干拓事業につきましては、土地改良事業の中でも単位面積当りにつきまして最も工事費が高くかかる事業でもございますので、国の財政事情も考えまして、入植者負担に耐え得る程度において負担金を持っていただく。しかし、工事費について二割、あるいは三十一年度までに支出した事業には五%、その後は二〇%として平均しました負担額は、工事費を基準として負担金の額が出ますので、非常に高いところの工事費がかかる地区につきましては、農民負担に耐えない、入植した人の今後の営農及び生活に支障を来たすほど適当でない地域もございますので、この負担率で負担金を計算しましてもあまり高くかかるところは抑制すべきなのが、国営事業からくる性質でもありますし、自作農創設をする趣旨からも適当であるというので、最高負担額も設け得るというふうにしておるのであります。他方、もう一つ理由は、土地改良特別会計によって事業をやって参りますので、特別会計の性質に応じまして、最高を切りますと、実際かかりました事業費の二割と予定したものよりマイナスが出るわけでございますのが、最低価格を設けまして、バランスをとる、特別会計の性質から考えるのであります。これは反当り五万五千から反当り二万円の間におきまして、最高最低価格を設けたいと思っておるのであります。  工事が遅延をいたしておるかどうかということと、その責任がどこにあるか、また国の責任ではないかということにつきましては、これは日本の国力、財政力の現状という観点に立ちまして、責任論については、どこの責任ともよう申し上げないのであります。極力事業を促進すべきものだ、農家の経営は成り立つようにやっていくべきものだというのが趣旨でございます。現在の状況では、おくれておるから負担金は国で持つべきではないかということにつきましては、従ってそういう気持と理論を持っておりません。七年、五年によって完成はできないじゃないかということでございますが、これは財政当局とも話しまして、負担金の設定ということともにらみ合せまして、七年を基準として実行いたしたいと思っておるのであります。
  50. 川俣清音

    川俣委員 昼の時間になりまして、ちょっと差しつかえますので、午前中の質問はこの程度にいたします。
  51. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今審議している法律と、明日合同審査をする予定の特定土地改良工事特別会計の法案審議に関係して資料の要求をいたしますが、第一は、今回の法律改正並びに土地改良特別会計の関係も法律に付随する政令が必要になってくると思うのです。その政令案を示してもらいたいのと、特に特定土地改良工事の場合に付随する負担率と利子率の区分と現行との比較、これが一つ。  それからもう一つ土地改良の連合会ができるような案になっておりますが、現在までの土地改良関係団体の現状、地方的全国的の土地改良関係団体の現況なるものがわかれば、それを資料として出してもらいたいと思うのです。  その次は、現在においても会員三百人以上の土地改良区は総代制を設置することができるので、その総代制を置く場合、会員数とその総代の比率ですね、たとえば会員何名に対して総代一名のようなことになっているかという、そういう参考になるような資料があればお願いしたい。  その次は、土地改良区の賦課金等の滞納金等の現況がどうなっているかという資料と、それから土地改良区の、区債と借入金のそういうものと区分して、現況がわかればそれらを資料として、なるだけ早く御提出願いたいと思います。それだけです。
  52. 小枝一雄

    小枝委員長 ただいま芳賀委員の要求の資料については、すみやかに提出されるよう要求しておきます。
  53. 川俣清音

    川俣委員 資料要求一つ……。従来国営事業でやっております灌漑、排水並びに干拓事業の進行状況の資料、それから新しく土地改良特別会計を設けて事業をやられます対象の年数、金額—総工事費ですが、これらの資料を提出していただきたい。
  54. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 お二人の委員が御要望になりました資料は、すみやかに提出いたしますが、芳賀先生の御要求になりました分の、土地改良区の賦課金の滞納状況、区債借入金の点につきましては、少し資料が整いかねる部分もあるかと思いますが、意味がわかるようなものを出したいと思います。
  55. 小枝一雄

    小枝委員長 石山權作君。
  56. 石山權作

    ○石山委員 きのう一般的に御答弁をいただきまして、大へんにいいような印象を受けたわけですが、ゆうべ少しくこまかいところを見ていきますと、皆さんの方で非常にいいとして集約されて、大体のものを一本化するというような気持は、法文上ではよく通っていると思うのです。その半面に、局長が民主的に運用していきたいという土地改良組合は、むしろ非常に制肘を受ける面が著しく出始めたということ、こういう点は、たとえば総代の選び方とか、そういうものを人数を制限する、あるいは理事の年限などもきめる、こういうふうな点からしてもそろそろかた苦しいような印象を受けている。特に私ども地方に帰ってものごとを運営いたしてみますと、画一的な人数の査定ということは、これは場合によっては非常にいかぬ点が生まれてくるわけなんです。私は理事は多くたってかまわない場合もあるだろうし、総代の選び方も何も何名以上はなんぼの総代でなければならぬというふうなことはないと思う。少くても運営できる場合もあるでしょうし、これは派閥の場合でもないけれども、多人数いなければ運営できないような部落や土地の慣習もある。こういうのを抜きにして机上プラン的な制限を求めた理由が、はなはだ理解に苦しむわけなんです。非常に実情がわかっていながら、いざとなるとそういうふうな制約を設けた、こういう点は私納得がいかないのですが、いかがですか。
  57. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 総代の定数は今回減少をいたしましたが、本法改正をいたしますその定数はそれ以上において土地改良区において定めていただきたい、そういう意味であります。それから理事の任期につきましては最高が四年で、それ以内において土地改良区は定款で定めていただきたい。その総代の定数も理事の任期も何名何年と一本できめる案ではございません。改正しました趣旨は昨日も申し上げましたが、その役員の人数と総代の定数の両者を通じまして改正案のねらっておりますところは、土地改良区の経費負担の軽減もねらいますと同時に、役員の任期につきましては、役員を選ぶ総代の任期が四年になっておりますので、それに合せますとともに土地改良区を設けまして土地改良事業手続の開始をいたしまして、事業の採択決定なり、その工事の施行がございますが、おおむね事業を始めましてから事業遂行が軌道に乗りますためには一定した役員がめんどうを見られることが適切ではないか、しかしあまり長くなっては弊害もできますから年限は切りたい、そして土地改良区が任期の最高限度をきめました範囲内におきまして自主的にきめていただきたい、こういう趣旨でございます。総代会の定数を減少することは、二十八年の土地改良法改正でも行われましたのですが、地方の実情を参考にいたしまして、なお減少しても総代意味をなす、すなわち総会にかわるべく総代意味をなすであろうと思いますし、総代会の招集を容易ならしめよう、こういう趣旨でございます。
  58. 石山權作

    ○石山委員 こういう点は私理屈から言うと、なるほど熟練された理事が長く就任するということは、確かに事業遂行のためには欠くべからざる要素だと思うのです。しかしその反面批難事項をたくさん受けている農林事業に対して批難事項をいかにわれわれが僅少に押えるかということも、これまた当面重大な問題なのではないか、特に専門員室からもらった批難事項の件数を見ますと、二十五年度は少い、二十六年度からもう大へんふえております。二十七年度になりますと八百九十四、二十八年度は九百七十四、二十九年度が八百十一、三十年度に六百十というふうに大へん批難事項が多いことを考えますと、これは今の官庁ではどこでもこういうことをやっておると思うのですが、たとえば農業会の理事の減員を求める、これは労働組合関係でも労働金庫の場合には理事の定数を何名くらいにせよとか、お役人のやり方は農業関係であろうが労働関係であろうが大がい同じようなものの考え方でやっていられるようです。経済的に人数を少くすればよろしい、年限を長くすれば熟練工を求めることができる、こういうふうなことだと思うのですが、批難事項の数の多いのを見ますと、やはり理事の数というふうなものは少し多い方がいいだろうし、年限もあまり長くない方が目下の場合はむしろ適切なのではないか。逆に二倍に延長されたのは、ただいたずらに熟練された理事に組合を運行さす方が利益だろうという観念と、そこから派生するいろんな障害とを両方考えてみない考え方ではないか。むしろ現行法の二年、そして優秀な人であれば皆さんの信用を得るのだからまた二年というふうに留任されるのは当然だ、現在の障害をむしろ見ないような格好で二倍にふやしたというのは、私は当を得ないやり方であると思っておりますがいかがでございましょうか。
  59. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 昨日も出ました御質問と同様でございますが、土地改良事業の施行に関しまして、会計検査院の批難事項あるいは一部刑事件が相当数に上りますことはまことに申しわけないと思っておる次第でございますが、設計過大、見積り過大、工事不足あるいは経理支出の当を得ないこと等を通じまして、たくさんの批難事項が出ております。最近は特に留意いたしまして補助金の適正化法の実施、監査の強化、指導の強化、技術の研修、発見されました場合には手直し工事、あるいは補助金の返還等、極力これを未然に防止し、また事後是正をいたしておるのであります。ただいまお読み上げになりました件数は土地改良区関係のことばかりでございませんで、農地関係の批難事項の総体の件数かと思いますが、これはまず第一には土地改良区の組合員である農民の方々の自主的な監視、または土地改良区の理事者の自覚した運営にまちたいと思います。補助金関係事項は特に災害復旧事業について地元負担との関係とか災害の性質等からしまして、数多くのものが出ておりますものは災害の程度の事前査定を最近はとりまして、大半のものはこの査定をまってから補助金を交付することにいたしております。また今回は土地改良区の連合会を全国に設ける道も開きたいと思っておりますが、これによりまして土地改良区が役員の方も技術員の方も、事務の執行ぶり及び事業の設計実施の仕方について十分でないところを、系統的なる団体で共同して改善に向っていただくようにお願いしたいと思っております。役員の任期を四年以内にすることと、総代会の定数を減少することは、むしろかえって運営がよくいくことをねらっておるつもりでございます。
  60. 石山權作

    ○石山委員 どうもあなたの説明と私の考え方は違うと思うのですが、これはあなたの方ではどうしてもいいと思うのだし、私の方はむしろ弊害がある、その弊害を防ぐには連続二年重任するように理事が努力すればいいのでありまして、成績さえ上げればだれもけなすわけはないから、自然的にあなたの考えられるような方向に向いていくものだと思う。その努力をむしろ消してしまって、のうのうと四年間居すわりすることができるとなると努力の影が薄くなるし、障害の面が出てくるということが予想されるから、私の方では二、三回しつこく申し上げなければならぬ要素がそこにあるのだろうと思うのです。これはなぜかと申しますと、最も先鋭的であってきれいな運動をしているという労働組合の役員は、労働省の意見によって一年でございます。何をもととして一年にしたか。ここにいろいろな問題があるから一年とするというふうに言っておる。もちろん共産党の問題もありますけれども、私たち考えてみますと、これは事業でございますから、そんなに毎年々々やってはかなわぬ。落ちついていろいろな問題を考えさせるためには、やはり二年くらいのことは必要だろうと思うけれども、特に飛び越えて四年にしなければならないという理由は、あなたの言う熟練度とか事業遂行上のいろいろな問題を勘案しましても、これは賛成できない数字になるのではないかと私は思います。しかしこれは答弁をいただかなくてけっこうです。  それから組織の問題でございますが、事業遂行の関係の申請人が十五人以上の選出で、参会者の三分の二の賛成を得て事業を行う、三分の二は利益を十分に理解して賛成するわけでございますが、あとの三分の一は利害関係者が納得ができないために不賛成があるいは保留という立場をとるであろうと思います。これに対する、つまり真に利益を得る土地あるいは非常に利益を得るかどうかわからないというふうな不安定な場合の土地に対する賦課金のものの考え方でございますが、これには差があるのでございますか。
  61. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 昨日細田先生から御意見をいただきましたことと同じでございますが、土地改良事業は公共性の強い事業でございますし、つながった地域においてその土地の改良事業を行うわけでございますので、一定の土地改良事業を行いますにはそれに関係のある面積関係があり—一般的には受益があるという意味で受益地域と申し上げたいのですが、その受益地域が一緒になって土地改良区を使ってその意思をきめる場合に、特に重要な事項は三分の二の議決を経るのが今の日本のもののきめ方、特に公共性の強い事業に関しまして意思決定をする一般のやり方になっておる、そのようなことに御了承願いたいと思います。  また本日、先ほど御質問もあり御答弁も申し上げましたように、利益がいかにも少いという地区は土地改良区から除くという道も全くないわけではございません。地区を除けばその除かれた土地の耕作権を持っておったり、所有権を持っておったりするお方々は、土地改良区から除かれるわけでございます。また区域の中に入っておる土地または組合員であるお方々に対しましては、やはり受益の度合に応じましてその土地改良区の組合員総体にかかる賦課金等負担の度合を変えるのがいいと思います。現在までは一定の方針を、特に行政方針としまして一土地改良区の組合員間において賦課金に差をつけるということは、中央からは基準をおろしていないのでございますが、土地改良事業がだんだん広範囲になりましたり、新しい技術の進歩がございまして、土地改良工事種類がいろいろふえて参ります。今後は土地改良区の組合員内部において、あるいはその土地の受益度合に応じまして、賦課金に差をつけて分担し合うということが適当かと思います。それはいろいろ研究しておりますので、強制力は持たすべきではないと思いますが、よく研究した上で農林省としても基準を設けたいという気もあります。
  62. 石山權作

    ○石山委員 賦課金が単に数字算定の上からだけ出る賦課金で、普通いう工業的あるいは商行為のような賦課金ならば、案外数字がはっきりしてみんな平等な関係を持っておると思いますが、何と申しましても面積を持っているわけですから、広大な面積の場合、その土地その土地によりまして、おそらく相当に差が出てくるだろうということは予想されるわけでございます。先ほどの資料の中でも、賦課金滞納の問題の資料を要求されているようでございますが、受益度によって賦課金の滞納などもあるいは相当比例的に現われておるのではないかという印象を受けます。しかしこれを調べることは短時日ではほとんど不可能でございましょうから、知るよしもないと思いますが、おそらく受益度の薄いところに賦課金の滞納が割合に多いだろうという予想を持っております。ですから賦課金制度がだいぶ強く皆さんの方で按分されているように思います。そうした場合においては、やはり受益度に準じたものの考え方というものをそろそろ定めなければ、賦課金の問題は画一的な方法で処理するわけでしょう。今度は強制負担は画一的に処理するわけなんですから私はどうしてもそういう前提に立たないと賦課金の回収方法が強くなればなるほど前提をきちんときめておいて賦課をする。そうしないと私は賦課金の強制制度は、いたずらに不公平なやり方に終るだろうと思います。  次に連合会をお作りになるようですが、この連合会は郡とか県とかというふうな単位を目ざされておられるわけですか。
  63. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 特に答弁せよということでもなかったようでございますが、第三十六条の二項には「賦課に当っては、当該事業によって当該土地が受ける利益を勘案しなければならない。」ということが現在ございまして、これの運用が適切にいっていないということでありますから、だんだん土地改良事業が大規模に、種類も増して行われる際でございますから、基準などは、一つの準則か参考にすべき基準として作成しまして先生の御意見に即するように運営をしやすからしめるようにしたいと思います。  第二点の連合会は郡段階を予想しておりませんで、県と全国に設けていただく道を開きたい、こういうふうに思っております。一個か二個かということにつきましては、自由設立、加入脱退自由の組合でございますので、県ごと及び全国に一個の方が望ましいと思いますが、またおのずからそうなると思いますが、法的には一個でなければならないとしてはありません。
  64. 石山權作

    ○石山委員 学問的な研究とか、技術の援助とか、教育及び情報の提供、土地改良事業の調査研究とかいろいろここに並べているようでございます。ただ私たち心配するのは、いろいろな外郭団体みたいなもの、補助機関のようなものができますと、そこに在来縁故のあるお役人の方が来ましてそこをどっかりすわって牛耳る、そして本省からルートをつけて補助金をもらうのだ、こういうことを繰り返されるおそれがあるようでございますから、特に土地の問題でございますから、画一的研究されるにしても、努めてこれは任意団体のようなかっこうで、そしてそれこそ下から徐々に育成していって、組合員の自分のものだというかっこうになって—私は全県一本、あるいは全国一本になるのは何らはばむものではないのでございますけれども、最初から一つの法的根拠を与えまして、そこに補助金を出すというような制度を打ち出しますと、りっぱなものにならないというような心配をしているわけですが、皆さんの方で意図されている点はどういうところにあるのですか。
  65. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 土地改良区は土地に即しまして改良事業ごとに設立されるわけでございますが、その行います事業は原則として団体営の小規模な事業でございまして、着工後完了する期間が比較的短かいものでございます。ところが今は土地改良百区とその連合だけを法的に認めておりまして、土地改良区またはその連合に技術員がおることがございますが、みずから設計を適切にいたしましたり、工事施行上いい技術の能力を持ちまして適切にやることの経済的な困難性があるわけでございます。そこで連合会組織を作りますと、そこに技術員がおりますと、土地改良区またはその連合ごとに技術員を置くよりも効率的と申しますか、少数の人及び経費をもちまして技術指導ができるわけでございますので、また設計もできるわけでございますので、上部団体が連合会組織としてあるのは望ましいと思うのであります。国の補助として大金を交付する意図はございません。いわんや官庁におります者を退職後そういう団体に入れることを意図などはしておりません。土地改良区の土地改良事業に関する技術援助のほかに、教育とか情報提供、調査研究は広区域な活動をするほど経費も安く、また適切な成果を得られると思いますので、その連合会組織ができた方がいいかと思うのであります。
  66. 石山權作

    ○石山委員 あなたの方で新しい法律を作って一生懸命やろうというときに、私ただ昔のことを心配して要らぬことを考えているわけじゃないのです。むしろいいところを生かしていきたいと思いますけれども、ただ過去に事例があるものですから、やはりこういうような話し合いの場合に出るわけなんでありまして、皆さんがそういうような意図のものでやっていただければ私はまことにけっこうなことだと思っております。  次に国営干拓の問題でございますが、これは私の方のそばの八郎潟などが今度干拓される事情になったようでございますが、少しく親切に教えていただきたい、こう思います。この国営干拓の問題と、皆さんの方でこれを管理し処分をなさる場合と、農地法の関係が、この法案の一つの中心になることはここにもあるだろうと思います。つまり法の精神というものと経済的な本人負担分がすぐ現われてくる。こういうふうなものに対しましては、在来の行き方からしましてだいぶ違っております。もちろん説明の中には経済的な効率の問題等が国の負担のみで行われるものではない—私は先ほど局長川俣委員への答弁の中で聞いたのですが、ちょっとふに落ちない点は、ある場合の最高限度というような言葉もありました。最高限度を定められましてもそれをちょっと—これは数字上の問題だから果してそういう結果が出るかどうかわかりませんけれども、一応最高限度をきめた。しかしそれよりも少しかければまた効果が生まれるというような現象が起きてくる場合がたくさんあるだろうと思う。しかし一たんきめた以上はそれは振り向かぬということでしょう。しかし国が事業を起すということは利害打算のみではないのではないか。特に農地をば造成するという難事業の場合、特に残されたやせ土地をば新しく起す、困難を踏み越えて起すという条件が今の場合あるわけです。そうした場合に、どうも国が経済効率のみを前提としてやるとするならば、普通いわれておる国策とかいうもの、あるいは政治性というものが非常に泣くのではないかというような印象を受けたのです。こういう点では何か農地局長があまりにも経済効率のみを念頭に置かれて物事を見られるとするならば、萎縮してしまうのではないか。そうして困難なものは、それに踏み込んでいくという努力をなくして、間に合う個所を探してみる。ですから農地改良、干拓工事でも開墾でも、何でももうちっちゃいことになりかねやしないではない。来年度になったらもっと予算なんか減っていくというような印象も、その点から見まして受け取らざるを得ない、こういうのでございますが、いかがでございましょう。
  67. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 御質問は、農地法との関係と、最高限度に関する干拓事業の将来は、むしろ経済効果を中心にすると衰微するじゃないかということと二点だと思います。  従来、公有水面埋立法によりまして干拓は一部の補助干拓を除いて農林省は国営事業として行いましてこれを農地として使用するように、入植者は農家が創設せられるようなことを原則にしまして行なっておるわけでございますが、農地法が意図しております耕作者に土地の取得を安からしめて耕作者の地位の安定保護を行います、農地の移動、改廃の許可制度、また不在地主の生じました場合の農地の買収、未墾地の買収、小作料の統制、その統制の仕方及び額、こういうものに影響がないように行いたいと思っております。またそういうために本法提案申し上げたのであります。  第二点の最高限度は、工事費地元負担とは、負担率で地元負担をきめるようにいたしたい、予算もそういうふうに編成しておりますと申し上げましたので、相関関係はございますが、地元負担は入植せられる方が農家として営農されて負担にたえる限度でなければなりませんので、地元負担においては最高限度を設けた方がいいんじゃないかということを思っておるのでございまして、大部分は最高限度、最低限度の負担額に関係はなく工事費の二割、継続事業は先ほど申し上げました五%、二〇%によるもので済むと思っております。しかし関係という意味におきましては工事費負担額とは関係がありますが、総工事費の、言いかえますと事業費の最高限度を置く意味ではございませんので、適当な海面あるいは湖面におきましては国営事業として採択をして干拓事業の早期完成並びに事業量の拡大をしたいと思っておるわけでございます。先生の御指摘になりました点に即して申し上げますと、干拓事業は、大規模なことをやりますと、工費の大部分は提防にありますからむしろ安く済むのであります。そこで今後は資金の効率化もねらいまして事業の拡大をむしろ目途として事業の早期完成をねらいまして、積極的に事業をしていくことを目的として特別会計を設け、土地改良を完成したい、こう思っておるのでございまして、逆でございます。
  68. 石山權作

    ○石山委員 私、この特別会計を設けた趣旨はやや了解ができると思っております。私の方の川俣委員みたいに、すべてが何か国家の責任だというふうには思い詰めてはおりません。しかし私、この法案を作ったのは、結局農地法ではお金がとれないから、どうも農地法でなくしてお金をとる工夫としてこの改良案を出したという印象が残念ながらすぐ飛び込んで参ります。しかし私、経済的な効率を考えた場合には、特別会計考え方を一がいに否定してはいかぬと思うのですが、ただ農民負担する能力の点でございます。普通能力というか限度というか、これを、三十一年度以前を五%と押えてみたり、二年から二〇%として押えてみたのは相当根拠がおありなのかどうか、それとも、逆算をしまして金利から押えてきたのか。つまり、投資に対する利子とかその他を考えた逆算で二〇%になったり五%になったのか、実際の農家経済をば詳細にお調べになって、そしてこれが実情から生まれたのか。よくあることなんですが、投資の面から逆算をしていろいろな数字を設定される場合が往々あります。そうしますと、そうでなくても開拓の問題、賦課金の問題などでは大きな禍根を残すと思う、せっかくの早期完成、農家経済の安定というモットーが逆になるような気持もします。この数字設定に当っての皆さんの考え方を一つお聞かせ願いたいと思います。
  69. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 農地法でやれないから地元負担をたくさんとるために土地改良法改正したというだけ御指摘になりますと、私どもの気持を十分に御了解願ってないといわざるを得ないのであります。改正法案によらない現行の土地改良法でも埋立干拓地土地改良事業と指定してありまして、かつまた府県を通じ受益の限度において入植者負担をかける規定現行法で実はあるのでございます。政令でその額を指定いたしませんで、現に農地法、によって売り渡しをする、売り渡しの前に土地配分計画を立てまして、売り渡し予約をして入植をしていただく、対価を払っていただく、こういうことでございますが、それを、土地改良法ですでに現行法でも予定してありますものを活用しまして、農地法で意図しておる精神に抵触しないようにしまして、灌排事業等の土地改良事業と同様に工事の開始の手続から完了後の管理処分のことまでを一貫して、土地改良法土地改良の基本法規であるように、干拓事業においても行いたいと思うのがその趣旨でございます。負担率の点におきましては、入植農家の営農上負担し得る穏当な限度ということを考えて二割を設定したのでありますが、継続事業につきましては、陸地に近いものが、法律上は海面でありますけれども、埋立事業完了しました際に、三十一年度までは農地法土地改良法、両方通じましてとにかくその制度があるわけでございます。どの方が入植されるかはきまっておりませんでも、国に制度があるのでございますから、その制度に即して三十一年度までの事業費の支出分についてはそれを適用するのが一番妥当である、制度が変って以降のやつは新しい負担率で地元負担をしていただくのが正当である、こういうふうに思ったわけであります。五%と申し上げましたのは、先ほど反当一万二千円と申し上げましたものを平均の率で考えますと五%になる、こういうことでございます。
  70. 石山權作

    ○石山委員 私、この造成費とあるいは農家の負担する金額の比率、この二〇%というのは、ある点では妥当かもしれません。しかし百姓は田地を売買するのではないのです。売買すれば百姓じゃない。ですからよそから見れば安いように見えましても、実際からすると売買をしないものですから、高い安いの価値判定はつけられないわけです。そうすると現実的な農家経済の実態というものが大へん私は尊重されなければならぬだろう。秋田あたりだってどこだって、上田であれば、反当り二十万から三十万で飛ぶように売れるわけでありますけれども、先ほど申したように売買できないもの、しないものなんです。ですからなかなか現実的には、たとえば八郎潟の場合は十二万でできるとすると二万何ぼ、それから自己負担で耕地整理その他をやると四万何がしという金額が生まれてくるわけです。そうして入植は反別どのくらいに皆さんで算定されるかわかりませんけれども、二町以上とすると、八十万から百万の金が必要だ。こういうふうになりますと、これは農家にとっては大へんな大金なるのではないか。それから先ごろ皆さん方で作成された八郎潟の工事概要書ですか、それを見ましたら、初年度予算が十何億、十六億でしたか、それが今度六億くらいになっちゃっているから、特別会計を幾ら見ましても、七年のもので押えられるのか、八年になるのか。愛知用水なんか何も仕事をしていないのを見ますと、なかなかそれが予定通り進まない。特に大面積になればなるほど予定通り進まないという危惧があります。その年限を越えた場合のいわゆる利子補給の問題、計画年限を越えた場合の工事費に対する利子、こういうふうなものは補給という形を考えていられるかどうか。
  71. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 特別会計におきましては、新規事業も継続事業も、原則として七年で完成をすることを建前としておるのでございまして、これは政府としましては、非常な物価の変動とか、天災等が起きた場合とか、客観的にやむを得ない事情以外は、それで完遂をいたすことを前提といたしておりますので、それをぜひやるということにしたいと思います。従いまして、客観的にまことにやむを得ない事情の場合だけしか工事期間が伸びませんので、目下利子補給というようなことは考えておらないのであります。非常にそごを来たした場合については考究すべきことが将来出てくるかもしれませんが、目下のところはそれを予定いたしておりません。三十一年度干拓予算は二十五億円であったと思いますが、その二十五億の一般会計予算だけで工事を進めて参りましたが、本年度は三十億を計上しまして、さらに借入金を入れて工事ができる予定といたしまして、預金部資金七億五千万円を追加して、昨年よりは五割以上増し、三十三年以降においては、七年という繰り入れ等をいたしまして、また負担率から見まする割合においても、その額に匹敵する借入金をまた投入いたしまして施工するつもりでございます。
  72. 石山權作

    ○石山委員 委員長から時間がないように言われておりますので、ほんとうからいうとまだ大へん質問申し上げたいし、議論もしたい点がたくさんございますが、しかし時間がないと言いますから、一つだけお聞きしておきたい点は、干拓された場合、いわゆる補償の問題が出ます。と同時に入植者の問題が出てきます。しかし入植と補償というふうな問題は、実際現場に立った場合は、これはアベックのような形で現われてくるだろう。こうした場合に国営干拓事業というものと地元の町村あるいは知事の権限というふうなもの、これと本省との関係は今どういうふうにお考えになっていられるか。
  73. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 入植者の選定及びその基礎にもなりまする土地配分計画は、従来知事に委任してありまして、知事がこれを行うことになっておりましたが、この法案では、国営事業について土地の造成をいたす事業に関しましてのことでありますし、その結果できまする干拓地でございまするから、国において土地配分計画を立て、入植者の選考をするようにいたしたいと思っております。代行干拓地ないしは地方事業によります場合は、法案にもありますように、農林大臣の権限を知事に委任してやる道も開いております。干拓事業に当りましては、漁業権等の補償が出て参りますが、これは今後は工事費において敏速に払う話し合いをつけ合い、弾力性を持って解決し得るということとして、行いたいと思っております。その補償に関連しまして、たとえば漁業者のお方が半農半漁であったり、家族世帯員数が多くて干拓地に入植したい、こういう事情のお方については十分にこれを考慮しまして、入植者の選考上便宜をはかりたいと思っております。
  74. 小枝一雄

    小枝委員長 午後は本会議終了後、再開いたします。  暫時休憩いたします。     午後一時休憩      ————◇—————