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蘆野説明員 いろいろ
農業組合の実際の運営について御教示いただきまして得るところがすこぶる多かった次第でございます。今
農民の生産物を
農業協同組合を通じて販売するいろいろな方式についてお話がございましていかにもそうであろうと存ずるのでありますが、これは生産物の種類によってもずいぶん違うことであろうと思うのであります。季節的に出回るもの、それから相場の上り下りが時期的に変化の激しいもの、あるいは品質がいろいろ等級のあるもの、いろいろ場合によって
農協がどういうふうな販売
方法を用いることが、一番利益であるかということがきまってくるわけなんだろうと存じます。牛乳は御
承知の
通り大体品質は一応斉一なものでありまして、従って建値というものもその期間においては
一定しておる。それからまた雑穀等と違いまして、毎日少しずつ出てくる。また同時にこれは
集乳というような
一定の
設備が要るといったような性質のものでありまして、雑穀辺とはだいぶ違う面があるかと思うのであります。しかしながら根本的にわけは同じで、要するに
組合が相手の出荷先に対して、どうすれば共同的に最大の利益をもって売ることができるかという点においては根本のわけは同じであると思いますが、現われ方は商品の性質が違うためにおのずから違ってくるのだろうと思います。ここに談話として申しましたのは、まさにこの牛乳のことだけでございまして、
先ほど申し上げました
通りに、何でもかんでも相手に
競争を常にさせろ、しなければならぬという趣意では毛頭ございませんで、そういう機会がある場合に、また出荷先がいろいろありましても、
一つの
組合員こぞって
一つの出荷先で満足しておるということならば最もけっこうであります。しかしながらまたそこに
意見の違いがありまして、ある者は甲よりも乙を選ぶ、他の者は乙よりも甲に出荷することを利益とするといった場合には、そのくらいに分れても
農民の団結による利益は決してそこなわれないで、最も有利に行われ、
協同組合の利益はこのために必ずしも阻害されないと思うというのがこの趣意でございます。そんな場合はちょっと牛乳については
考えられませんが、
組合員が個々別々、てんでんばらばらに、甲乙丙丁とおのおの勝手次第な出荷先を指定して、そこへやるというようなことは、これは第一
法律上できる、できないというようなことでなしに、
農民が
協同組合という形で共同するという利益がないのでありますから、こういうことはもう明らかに不利益でありまして、
法律上いいとか悪いという問題ではなしに、
協同組合の本来の
趣旨自体に反することでありまして、こういう
態度に出ることはいわば
協同組合運動の自殺でありまして、そういったような非現実的なことを私どもはねらっているのでも何でもありません。ごく実際的に
考えまして、この場合におけるような、ある
地域において二つの出荷先があって、これがお互いにサービスを競い、乳価を競って
農民に満足を与えるようなサービスをしているというような場合には、おのおの
組合員の心に従って二つくらいの出荷先に出荷するということにしても、決して
協同組合の本来の
趣旨に反するものではない、またそういう場合にはそうした方がむしろ利益の場合もあるだろう、こういうくらいな
考えでございます。
それから、先日来しきりに何か
公取が
協同組合の精神をよく理解しないで、
協同組合の発達を妨げるようなことをとかくするというお話でございますが、けさほども
委員長がちょっと触れましたが、われわれは決して
協同組合自身を独占であるとかなんとかいうことで取り締ったという例はないのでありまして、いずれもむしろ大きな
資本家がいろいろ
協同組合を束縛したり
利用したりして、独占的な行為をし、その利益をはかる、こういう場合を追及しているのでありまして、決して
協同組合自身を相手に
——最近ちょっと違った例がありますが、今までやってきたことは主としてそういうことでありまして、決してわれわれが
協同組合に対する理解が十分であるというような自負をもって申し上げることもできませんけれども、
協同組合の精神というものは、これは別にほかの
委員まで代表してあれこれ申し上げる権限はありませんが、日常接触しておりまして、決してそういうことは各
委員ともない。
委員長がそういうことのないことは、みずから今朝も申し上げた
通りでありまして、その点は御心配いただかなくてもいいのじゃないかと存じております。