○
渡部(伍)
政府委員 まず第一点の
組合の
損害評価委員の
損害評価と
統計調査部の
調査、これとのからみ合いをどうするか、こういうことであります。これは現在
統計職員を
共済組合の
損害評価委員にする
考えはありません。なぜかと申しますと、この
統計職員は
一つは歴史的に米の供出という制度で非常に痛めつけられているわけであります。従って今すぐその
職員を
組合の
嘱託なら
嘱託でやらす、あるいは
損害評価委員を置かないで、
損害評価は
統計調査の
職員だけでやる、こういう
考え方もありますが、それも行き過ぎではないか。従って現在は、先ほど申しましたように、
共済組合の
損害評価委員に法的の
基礎を与えると同時に、その
損害評価の
調査について、
統計調査部で
坪刈りなり粒数
計算なりあるいは見回りなり、そういう
評価方法についての
現場の
指導はやっていく。それからまた
統計調査部としては、やはり米の収量全体を
考えなければなりませんからやりますが、それが
調査をやる場合には、やはり
町村の
損害評価委員に
現場で立ち会ってもらって、実際に
統計調査の
職員がやっておるのを見てもらう、そういうことをいたしますれば、すぐはなかなかむずかしいと思いますが、おのずからこの
組合の
損害評価と、
統計調査部職員の
損害評価の開きがおいおい出てこなくなるのではないか。しかし何と申しましても
組合の
職員が
評価する場合には、判定する場合に、どうしても身びいきと申しますか、判断が自己に有利になる。これは人情としてある
程度やむを得ないことだと思いますが、そこのところの調整もやればいい。今のように極端な例を申し上げますと、三十一年の
災害損失の
評価で、ある県などは
統計調査部の
調査に相当アローアンスを加えたものの五倍にもなる開きがある。大多数の県が倍くらいになっておる。
統計調査部の
損害評価とほとんど近い県が七、八県、そういうふうになっております。それはどうしてそういうことができるかということは今再検討をしておりますが、やはりこの自己
評価の弊害、それから
評価方法の不正確さから出ておる点が非常に大きいと思いますので、先ほど申し上げましたような線で調整を加えていきたい、こういうふうに
考えております。
それから第二は、低
被害農家あるいは低
被害地の処分をどうするか、こういう問題であります。現行法は
町村では農業
共済組合というものはお互いに助け合うという
趣旨でありまして、
保険にはなっていないわけです。
共済組合が
共済金を支払うとその支払額に対して連合会が
保険する。
共済組合から上の段階が
保険になっておるのでありますが、
組合の段階ではお互いに
農家が助け合う、こういう
趣旨で出ておりますので、その
趣旨が
農家に得心いただかなければ運営はなかなかうまくいかないのであります。これが私どもも一番頭を悩ましておるところであります。この制度を作ったときに理想的に
考えまして、お互いに
災害のある
農家を
災害のない
農家が助けるのは農村の隣保共助の精神のいいところじゃないかということでやってきておりますが、
法律施行後十年たっております。十年間の無
被害農家あるいは無
被害地、これははっきりしておりますから、そこでそういう人はこういう制度は何にも恩恵がないじゃないか、やめたらいいじゃないか、こういう説が相当出ております。この制度そのものが先ほど申し上げましたように、お互いに助け合うという制度できておりますから、その点はやはり従来の制度でいく以外に仕方がないのじゃないか、こういうふうに
考えます。
それから第三の
共済金の支払いを早くやれ、こういう
お話でありますが、これはまた私どもの最も苦心しておるところであります。実収高がきのう申し上げましたように、十二月の年末じゃないとできませんから、それをもとにして
計算しますと、どうしても早くても翌年の一月ころになります。だからその実収高の
調査をもっと繰り上げる。
統計調査部に督励いたしまして、ただいま私どもの
結論を出しておりますのは、いわゆる東北に近い早場地帯は実収高の
調査をもう半月なり一カ月くらい繰り上げることができるじゃないか、そうすれば年内に払えるじゃないか、西の方はどうしても収穫がおそくなりますから、これは従来通り旧正月を目途として出すということはやむを得ぬじゃないか、こういうことで研究いたしております。
なお紛議があった場合に支払いがおくれているケースが、ただいま高知等であります。それは私の方ではこれだけは払うといっておるのでありますが、不満だからというので
保険審査会に提訴する、提訴中は受け取らない、こういうことで私の方が払わぬというよりも、戦術的と申しますか、交渉のかけ引き上受け取らないのが残っておるのでありまして私の方としては、
お話のようにとにかく違った
結論が出れば、それによって払うのだからとっておいたらどうだ、こういうことを言っておるのでありますが、そうでないケースが一、二あるように承知しております。