○楯
委員 詳細にわたって
農林大臣どう
考えておるかと聞くことは、私の方が無理だと思いますが、今どちらを選ぶかという段階に立っております。きょうも社会党の交通
委員会で、あくまでも参議院で修正をした原案をそのまま通さなくてはいけない、こういうふうにわが党は決定をしたわけでありますが、ごく概略に申し上げますると、
日本の自動車が戦前の最高の二十倍ぐらいに増大をして参りました。従って、建設省の方で
考えておりますのは、いわゆる交通緩和、ただ自動車その他の車両の交通、輸送の緩和をするために東海道がよろしいであろう、こういうことです。われわれは莫大な費用を投入いたしまする道路でありますから、国土開発という条件が伴わなければいけない、そのためには、既耕地の壊廃、つぶすような東海道ではいけないし、東海道では交通緩和のみには役立つであろうけれ
ども、将来国土開発特に農耕地の拡充という面からいって趣旨に沿わない、こういって反対をいたして参りました。ところが、先年アメリカからワトキンス調査団が参りまして、東海道も必要であろう、あるいは中央道も必要である、こういう不見識な答申を残して帰ったわけであります。
日本の国が財政的に非常に裕福なアメリカのような国でありますれば、このワトキンス調査団の意見も採択をすることができるのでありますが、片方を作るだけで精一ぱいだと思います。従って、こういうワトキンス調査団の結論を信奉して事を進めるということは
日本の
実情に合っておらない、こういうふうに私
ども考えまして、どうしてもこの自動車道は未開発地を通る道路でなくてはいけない、こう
考えております。
それで
農林大臣にお願いをしたいと思いますのは、きのうきょうさらにコースを変更いたしまして、政令できめる、建設省が、中央道は一応やかましいから調査をしよう、しかし、その調査の結果に基いて政令でこのコースをきめていく。このことは何を
意味しているかといいますと、参議院で修正をいたしましたのは、衆議院で建設省の意向が強く反映をされまして、今コース予定地を
法律にうたうことはいけない、一応調査をしてみてさらに妥当であるかどうかということをもう一回
国会にかけて最後的にこのコースをきめよう、こういうことに、まあわれわれの意向が強いので、あなたもそうでありますが国民の意向が強いので、それまで
譲歩したわけです。参議院でそのように修正いたしましたが、今度はさらに今
国会で建設省などの修正案を見ますると、これは政令できめる、こういうことをいっておるわけです。時間の
関係上中間を省略いたしますが、その意図は何かと申しますと、いわゆる東海道に作るということはこの法案の精神からいってできない、また各全議員が賛成をしているから、これを変更するということはできない。しからば調査をした結果、これは理屈はつくと思います。
工事が困難だ、
経済効果がない、こういう理屈がつくと思いますが、調査をしてそのあとにさらに
国会にかけて決定をするということに修正した。しかしそれでもまだ安心ができないから、政令によってこのコースをきめる、こういう修正案を今日出してきておるわけであります。
表面上は大した影響はないようでありますが、われわれのように当初からこの法案の
説明者になっておりまする者は、ねらうところは何か。これはあくまでも東海道案である、こういうことに思われますので、閣議等においてはぜひ、あなたも提案者の一人でありまするから、参議院修正の原案を通すように
一つ御尽力を願いたい、こういうことを
大臣に特にお願いを申し上げたいのであります。私はいろいろ資料もありまするけれ
ども、こんなことは多く言う必要はないと思います。今中央道にこの道路が決定になりましたならば、専門家でないからわれわれ何とも言えないのでありますが、東海道案の場合には田が七百四十二町武もつぶれるのです。それから畑が三百八十六町歩もつぶれます。中央道の場合は比較的肥沃な田畑というものが少いので、これの三分の一くらいで済む。その犠牲が少く済んで、得るところは――これは金も莫大に要るでしょう。あるいは日にちが
相当かかるわけでありまするが、
相当大きないわゆる農耕可能地が
努力いかんによってはここに形成されてくる、こういうふうなことになっております。森林等の問題につきましても、大体東京―名古屋間は生長率がわれわれは四百万石、こういうふうに踏んでおります。御承知のように赤石山脈あたりの山中では、もうとれないから、みんな腐ってしまうということを聞いております。口元をどんどん切るから、治山治水の対策に非常な額が要る。いわゆる悪循環を繰り返しておるわけです。そこへ一本大きな道路を作ることにおいて、それに枝線ができて自然な森林資源の確保というようなものが私
どもはできるんじゃないか、こういうふうに
考えておりまするし、それから農耕可能地が中央道の場合には八万町歩作ることができる。これはわれわれの方の頒布資料の
考え方でありますから、当を得ないかもしれませんが、かように
考えておるわけです。従って当面は東海道にできるといたしましても、中央道にできるといたしましても、いわゆる交通緩和が対象でありまするから、そう大きな反響はないと思いまするけれ
ども、今後五年、十年たちましたならば、いわゆる
日本農政の上から、東海道にできました場合には大きな損失をこうむる、こういうことになると思いますので、ぜひこの問題を
一つ御研究になって、今どちらにするか、これを
改正するか、この法案を修正するかどうするかということで、
関係者い
相当論議をはたしておりまするから、ぜひ
一つ参議院の修正原案で
国会を通過できますように御尽力を願いたいと思います。特に
井出農林大臣の出身県であります長野県は、中央道に対して県知事以下もう非常な熱の入れ方でありますので、こういう点も勘案をされまして、ぜひ御尽力を願いたい。
一つ努力をされるというお言葉をいただいて、私の
質問を終りたいと思います。