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1957-02-20 第26回国会 衆議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月二十日(水曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 小枝 一雄君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君    理事 芳賀  貢君       赤澤 正道君    安藤  覺君       五十嵐吉藏君    大石 武一君       大野 市郎君    川村善八郎君       木村 文男君    椎名  隆君       鈴木 善幸君    中馬 辰猪君       綱島 正興君    永山 忠則君       原  捨思君    松田 鐵藏君       松野 頼三君    村松 久義君       阿部 五郎君    赤路 友藏君       伊瀬幸太郎君    井手 以誠君       石田 宥全君    石山 權作君       稲富 稜人君    楯 兼次郎君       中村 英男君    日野 吉夫君       山田 長司君    久保田 豊君  出席国務大臣         農 林 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房長) 永野 正二君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)     昌谷  孝君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         農林事務官         (振興局長)  大坪 藤市君         農林事務官         (畜産局長)  谷垣 專一君         食糧庁長官   小倉 武一君         農林事務官         (水産庁次長) 奧原日出男君  委員外出席者         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 二月二十日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として井  手以誠君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業基本施策に関する件     ―――――――――――――
  2. 小枝一雄

    ○小枝委員長 これより会議を開きます。  農林水産業基本政策について大臣に対する質疑を続行いたします。石田宥全君
  3. 石田宥全

    石田(宥)委員 昨日の私の発言中に新潟県の中之島土地改良区の補助金等適正化に関する法律違反事件に関しまして、すでに起訴されたように申し上げておりましたが、行政報告の間違いでありまして、けさほど現地から代表の方が見えまして実情を聴取いたしましたところ、まだ起訴の手続はとっておらない、こういう状況であります。そこで適正化法適用について全国で最初ケースに当るということで、最高検の方でも非常な慎重を期しておる、農林大臣に対しても一応意見を求められるのではないか、こういう状況であります。従って、昨日申し上げましたように、適正化法土地改良事業適用をされるかされないかという重大な段階であり、この点については昨日申しましたような実情を十分御承知の上で善処されるように希望を申し上げておきます。  同時に、適正化法はこれも昨日申し上げましたように、積雪寒冷地帯等におきましては仕越し工事または繰り越し工事というものはある程度やむを得ざるものがあるのでありますから、これについては今後自民党の皆さんとも御協議を申し上げて、できれば今国会適正化法の一部改正法律案を提案したいと考えております。なおこの点については、昨年は大蔵省法規課長がかなり強硬にこれの提案を阻止するような動きをいたしました例もありますから、大臣として、関係方面――法務省並び大蔵省の方に対して土地改良事業に対する適正化法適用の問題についてはやはり特別な考慮をするように、また法律改正も当然であるというふうに、それぞれしかるべき配慮をいただきたいと思いますがいかがでございましょうか。
  4. 井出一太郎

    井出国務大臣 石田委員からお述べになりました御趣旨をよく体しまして政府部内の調整その他に当りまして万遺憾なきを期したい、こう考えます。
  5. 石田宥全

    石田(宥)委員 次に特定土地改良工事特別会計、これは新しい費目でございますが、これは予算説明の中にもございますように、一般会計よりの受入金だけでなしに若干の融資を入れることによって事業分量相当にふくらますことができる、こういう建前でこの特別会計が設置されることになったわけでありますが、従来の国営干拓、これについては全額国庫負担をしておったのであります。しかるに今後はこの特別会計が新設されまして、二〇%を受益者負担をさせる、こういうことになるようでありますが、干拓事業のように非常に膨大な工費を要する――多いところには反当二十万円以上もかかっておる、幸いにして八郎潟は十万円内外でありますけれども、二十万円以上もかかる場合に、農民に二〇%の負担を課せる、こういうことになりますると、今後の干拓事業に対して大きな障害を及ぼすのではないか、こう考えるのでありますが、従来通りにやはり全額国庫負担建前でこれをやるようになさる用意があるかどうか。これは地元からは非常な反対があると思うのでありますが、どうでしょうか。
  6. 井出一太郎

    井出国務大臣 御指摘のように、従来は干拓に関します限りは全額国庫負担でなされておったのでありますが、しかし地元負担と申しましょうか、最終的にはある一定価格で売り渡すという形でございました。それに比べると二割というものは、あるいはそれを上回って地元へ大きな負担が及ぶ、こういうことではありましょうが、これも程度の問題でございまして、一方この仕組みによって工事スピード・アップされ、そこから考えられまする受益者の利益といいますか、そういう点を考えまするならば、この程度のことはごしんぼうを願い得るのではないか、こういう考え方に立っておるわけであります。
  7. 石田宥全

    石田(宥)委員 二〇%の受益者負担は大したことはないというお話であり、またある程度のという表現でありまするけれども、やはり二〇%の受益者負担ということがはっきりしてしまいますれば、たとえば反当二十万円かかるといたしますれば四万円の受益者負担ということになり、事実上干拓工事というものはできなくなる。悪意に解すれば、そういう要望を押えるための措置のように受け取れるのであります。今の大臣答弁でありますと、ある程度考慮を払う、こう言うのですが、非常に受益者負担が高額に上る場合においては、その比率を変えることができるということですか。
  8. 井出一太郎

    井出国務大臣 いやそういう意味ではございませんで、二〇%という規定のもとに、工事費がそれぞれ異なりますから、負担の数字はケース・バイ・ケースで違って参ると思います。     〔委員長退席笹山委員長代理着席〕 しかし御案内のように干拓地帯というものは大かたはそのまますぐ熟田になると申しましょうか、開拓地等に比べますと生産力もはるかに高いのでありまして、早期に解決がつきますればすぐそれを営農の手段に供し得るのでございますから、その面から農民もその程度負担には耐えていけるであろう、こういう見通しを持っております。
  9. 石田宥全

    石田(宥)委員 これははなはだ認識不足だと思うのですよ。今申し上げたように二十万円かかれば四万円だけ従来よりは別に負担します。そうすると反当四万円も従来全然かからなかった負担をかけて、なおかつ干拓工事が進むなどと考えられたらこれは大間違いだと思うのです。そんなふうに考えておられるのですか。これはとんでもない認識不足だと私は思う。同時にもう一つ伺いたいのですが、従来は国営干拓をやった場合における売り渡しの価格は、大体一万円程度ということに制限されておった。この点はやはりその通りに行われるのか。そうして一万円としておきますが、その一万円の上にさらに受益者負担二〇%こういうことになると非常に大きな額になると思うのですが、従来の制限額の約一万円というものをどうお考えになっておるのか。さらにその上に二〇%の受益者負担があってもなおかつ干拓事業というものは進められる、こうお考えになっておるのか、どうなんです。
  10. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 従来干拓地の達成を国でいたしまして、これを入植者譲渡いたします一万円のことでありますが、特定土地改良工事特別会計の発足に当りまして一万円というものはとりませんで、工事受益者負担としての二割をとるようにしたらいかがかという案でございます。一方はとらず二割の地元負担をとるということであります。
  11. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういたしますと、たとえば八郎潟の場合に約十万円でありますが、十万円の場合においてはその二〇%の受益者負担の二万円程度譲渡をする、こういうことになるのでありますか。
  12. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 八郎潟の今の設計によりますと、平均十三万円くらいが反当事業費になっております。その二割の二万六千円、それから地元負担を見返りにしまして運用部資金から特別会計が借り入れます金利が加わるということであります。
  13. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういたしますと、今度は特別会計ができたために、従来ならば一万円程度で譲り渡しを受けられたものが二万六千円程度でなければ手には入らない、こういうことになるわけですね。
  14. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 そういうわけでございますが、なお地元負担に見合う運用部資金特別会計が借り入れて工事を促進せしめて約七年で完成をする。完成地元負担に当るものを徴収いたしたい。その際に二割と、六分でありますが、運用部資金金利がつくわけであります。償還は三カ年据え置き――熟田化を待つ意味でありますが、三カ年据え置き、十七年で払ってもらったらいかがと思っております。
  15. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういたしますと、二万六千円程度譲渡価格のほかに、二割に該当する分の融資償還と、並びそれに対する利息というものが全部農民負担になる、こういうことになるようでありますが、工事完了後十カ年間の償還利息を加えた償還は大よそ反当どれぐらいの金額になりますか。
  16. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 反当十三万円と見まして、二割で二万六千円でございまして、それに四千数百円かかりまして三万を少し上回る程度でございます。それから、十年とおっしゃいましたが、三年据え置き、十七年均等償還でございますから、二十年の償還でございます。
  17. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこで大臣にお伺いいたしますが、予算説明によりますと、従前制度による場合と特別会計の場合というふうにして、従前制度による場合は三十一億五千九百万円、特別会計を設けた場合には三十九億八千八百万円というふうに、事業分量が非常にふくらむ、こういう御説明で、表面から見たところ、まことにりっぱでありますけれども、この事業分量のふくらむ部分というものは、これは全部農民負担です。のみならず、譲渡価格が従来の二倍半になる。さらにその上に融資に対する利息まで負担しなければならない。こうなりますと、特別会計が設定されたことによる農民負担というものは三倍以上ということになる。それほど農民負担を過重にするということになれば、私が最初に申し上げたように、将来干拓事業というものに対する魅力を失わしめて、干拓事業というものをだんだん後退させるという結果になると思いますが、どうですか。
  18. 井出一太郎

    井出国務大臣 御案内のように、この方式で参りますときには、工事進捗度が非常にスピード・アップされます。そういう関係から、従来十何年もかかりましたものが七年ということになりますと、農民の側から申しましても非常に見通しもつきやすい。しかも干拓は、先ほども申し上げましたように、据え置き期間の三年もたちますと、直ちに熟田化するわけでありますから、そこから生ずる収益というものを勘案いたしますと、今局長から申し上げました年次返済をいたすのに十分耐え得るでございましょうし、私どもはこれで魅力を失うというようなことは決してなかろうと考えております。
  19. 石田宥全

    石田(宥)委員 そこでもう一つ伺いますが、昨日も申し上げましたように、新規の国営事業が着工になって、その後に今大臣の御説明だと、たとえば十五年もかかるところが十年ぐらいに行われ、十年でいくところが七年ぐらいに完成するということになれば、経済効果というものはずっと高くなってくるのではないか、そこに一つ魅力もあるじゃないか、なるほどそういうことも考えられる。ところが従来の土地改良事業というものは、何年間計画というふうに一つ年次計画は立てられますけれども、その年次計画の中における年々の予算というものが、やはり財政支出や投融資一つワクによって規制を受けますから、従ってその年次計画通り予算が、今日までのところでは少くともついておらないということなんです。しかも増額するようなことは万々ないのであって、その年次計画よりも減額されるのが常だ。こういうふうに考えてきますと、今後、今大臣の御説明のようなふうにいくには、年次計画というものを確立して、そうしてその年次計画だけは絶対に動かさないという法的な基礎か何かがあって、そうおっしゃるのですか。なくて、そうしたいという希望的観察なんですか。どっちなんです。
  20. 井出一太郎

    井出国務大臣 昨日の御質問の際にもございましたように、土地改良事業というものが非常に範囲が広くなって、締めくくりができぬのではないかという御指摘でございます。そこで石田委員の御構想も承わったわけでございますが、全般的に申しますと、従来非常におくれがきておりまして、それぞれそのおくれを取り戻すということが困難な事態になっておりますことは、御指摘通りでございます。これはもちろん年次計画を立てればよろしいのでございますけれども予算上その他の制約を受けておりまして、一応の目安は私どもは持っておりますが、従来の日本の国力といいますか、財政力といいますか、これが伴わずして遅延いたしておりますことは、まことに残念な次第でございます。そこで今回の特定土地改良工事特別会計という構想のもとに、せめてその分だけでも一歩前進せしめたい、こういう意図から発しておる点を一つお認めいただきたい。
  21. 石田宥全

    石田(宥)委員 そうしますと特別会計が設定されて農民負担が過重になって、しかしながら農民負担が過重になった分だけ事業分量が多くなって、年限が短縮される。表面から見ておるとまことにけっこうなようでありますけれども、今の御答弁によりますと、依然としてその年その年の財政事情融資ワクに束縛を受けて、やはり従来通りに行われるというふうにとらざるを得ないわけであります。今の希望的な観察などというものは、大臣か変ってしまえばそれっきりの話で、また農林大臣がどう考えておられても、大蔵当局あたりがこの土地改良については内部でかなりいろいろなしんしゃくをしておるようです。大蔵省大蔵省考えしんしゃくをするということになりますと、あなたが今お考えになっておられるようなことは、もう単なる希望的観察に過ぎない。こういう結果になるのですね。そうすると従来より農民負担が重くなるということだけが残ってしまう。私はきのうも申し上げたように、土地改良費全額国庫負担ということを理想としてお互いに今日まで農民の啓蒙に当ってきたわけです。しかるに農民負担がだんだん重くなる。特別会計が設定されて、これで事業分量が大きくなった、年限は短縮される、まことにけっこうな話だけれども年限も短縮されないで、事実はやはり相当長年月を要して、ただ農民負担が重くなるということだけが残るのではないか。そういうふうになるとすれば、特別会計というものを設定することは農民負担を重くするだけに終る。そういう特別会計ならば私は設定すべきでないと思うのであります。何かその他に利点があり、工事の進行中において特別な事情があれば別でありますけれども、そうでなければこの特別会計などは設定すべきでないと思いますが、いかがですか。
  22. 井出一太郎

    井出国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、この会計を特に設置いたしました長所というものは、一つ事業量の拡大でございまするし、もう一つ工事スピード・アップいたしまして短年月の間にこれを完成する、こういうことなのでございます。石田委員表面の二割負担と従来の一万円何がしかというものとだけを御比較になって議論をお進めでございますが、私どもはこの年限の短縮によるところの増産の効果を少し長期に、年次別見通しまする場合にはやはりこの会計を特に設ける値打ちが十分にあるだけの効果がそこから発揮し得る、こういうふうに考えておるわけであります。
  23. 石田宥全

    石田(宥)委員 どうも私には納得がいかないのです。ことに国営土地改良事業の方は、従来は国庫負担が六〇%であったものを今度は五八%に減額をされておるのです。これはどういう理由に基くのですか。
  24. 井出一太郎

    井出国務大臣 灌排の関係におきましても、大体干拓の場合に申し上げましたような同じ事情でございまして、早期工事を完了するというところにその長所を持っておると思うのであります。それでこれはまあわずか二〇%ということでございますが、一方特定ダム工事特別会計というものとの間の関連もございまして、これらと見合って二〇%ならば何と申しましょうか建設のための雑費のようなものになると思いますが、こういうものを負担をしていただく、そのかわりにさっき申し上げましたように、これは非常にスピード化されるのでありまするから、その点もごしんぼういただくことに相なる、こういうふうに御了承願います。
  25. 石田宥全

    石田(宥)委員 まあ事務雑費のようなもので二〇%だけなら私はがまんして、それだけで大いに事業進捗ができるということなら納得がいかないわけじゃないのですけれども先ほどから議論いたしておりますように、融資をやって融資に対する利息負担もある、その上にさらに二〇%の負担増ということになりますと、これはなかなか軽からざる負担なのでございます。こういうことになりますと、どういうことで国庫負担を二〇%減らされたのかということが問題なのです。だんだんと土地改良費に対する国の負担を減らしていく、ここにその足がかりのようなものができて――私はおそらくこれは農林省みずからそんなことを考えたのではなかろうと思う、もし農林省の役人があるいは農林大臣がそんなことを考えたとするならば、これはもうとんでもない話である。おそらくこれは大蔵省側から財政支出を圧縮するために強硬に押しつけられたのじゃないかと推測するわけでありますが、そういうことであると、二〇%の農民負担増というものが及ぼすところの影響は非常に大きいのであって、特別会計を設定するために二〇%の地元負担受益者負担の増強をし、融資に対する利子までも負担しなければならないということ――先ほどから繰り返し申し上げまするけれども事業分量がふえた分は全部これは農民負担に期する。もしこの勢いでいくならば来年はさらにもう八%減額しよう、次にはもっと国庫支出を減らそうと大蔵省は出てくるに相違ないのです。私はこの特別会計法を設定するためにそのような農林省譲歩をするということは、今申しましたような理由から許しがたい問題であると思う。もしそのような譲歩をしてまでもこの特別会計を設定するということは、私は日本農民はおそらく了承しないであろうと思う。これはもう一度いろいろと勘案されまして再検討されることを私は要求いたします。この要求をいたしまして、いろいろ時間の都合もあるそうでありますから私の質問は留保いたしまして、この程度にしておきます。
  26. 笹山茂太郎

  27. 吉川久衛

    吉川(久)委員 私は農林大臣の本委員会における施政方針を伺いまして、それに対して簡単に数項目についてお尋ねをいたしたいと思います。  井出農林大臣は、私ども農林委員会仲間から出られまして、農林行政責任者となられたのでございまして、私どもは非常な期待を持っておると同時に、私ども仲間の者の非常に喜びといたしているわけでございます。あなたは就任なさってから間もなく三十二年度の予算の問題に逢着をされまして非常に御苦労なさったことと思いますが、与党、野党を問わずあなたの人となりに共鳴している多くの諸君が非常な協力を惜しまず、また農林省諸君事務当局諸君も非常な努力をされまして、当初大斧鉞を加えられました農林省予算案に対して不十分ながらも相当の復活を見たことは、大臣の御労苦を多とするものでございます。あなたの多くの人から信頼されておりまするこの事情を十分お考えいただきまして、一つ勇敢に今後農政を推進していただくことをまず冒頭にお願いいたしておきます。  大臣の御説明の中に、第一番に農林水産行政基本的目標農林水産業生産力を高めること、食糧の総合自給力の向上と申しますか、発展をはかることということを冒頭にうたっておられます。この二つの方針を明らかにされましたことは私ども全く同感でございます。ただこの方針に対して今も申し上げました通り十分な予算が計上されているとは申されませんが、運用の妙を発揮されまするならば相当程度の成果が期待できるものと信じております。農林大臣は三十二年度農林予算に対して、昨日本委員会において石田委員に答えられておりますように、この予算運用については最善を尽されると同時に、今後の予算増額にも格段の努力を払われるべきものと私は期待をいたしております。ただ本委員会大臣委員長の当時から、むしろ党派を超越してわが国農政のために非常な熱意を持っておる特殊な委員会でございますので、本委員会内においては、おそらく農林大臣に対して圧倒的な御協力を惜しまない態勢であろうと、私は確信をいたしております。むしろ党内において、日本国開闢以来の大政党でございますので、そういうところでいろいろとお骨折りをなさる面が多くあるのではなかろうかと私は杞憂いたしております。どうか一つ委員会は、そういう圧倒的な協力態勢でありますので、本委員会に臨まれる態度はえらい御心配なさらずに、それだけの精力はあげてわが国農政推進のために傾けられたいと思います。あなたが農林大臣に御就任になられて、農政に対するこのお経は拝見をいたしたのでございますけれども、あらためてあなたの農政に対する御信念をまず伺っておきたいと思います。
  28. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいま吉川委員から、まことに御懇篤な激励をちょうだいをいたして恐縮に存じておるわけでございます。私、従来農林委員会の一メンバーでございまして、長いこと皆様の非常にごじっこんなおつき合いをちょうだいして参ったのでありますが、もとよりその御厚情に甘えるということだけではいけません。この点は深く自覚をいたしまして、本来の農林行政と取り組み、かたがた御鞭撻を受け、御示教を仰ぎ、あやまちなきを期したいと考えておるわけであります。  ただいま吉川委員から農政の基本的な方針ないしは信念を明らかにせよ、こういう御要請でございますが、先般当委員会において大体あらましを申し上げたことをもって御了承をいただきたいと思います。ただ吉川委員指摘のように、これは単なる文章であってはならない。これに盛られたものを裏づけするための努力を強く御要望に相なったことと思いますので、その点は十分に御意思を体して事に当りたい。このように存ずる次第であります。
  29. 吉川久衛

    吉川(久)委員 農林水産業生産力を高めることは農山漁村民の福祉の増進となるのであるということは申すまでもございません。そのためには農作物の増収の基礎を確立しなければならない、営農形態近代化をはからなければならない。その具体的な方法としては土地改良事業とか、治山治水事業とか水産増殖事業等施策を推進するのである、こういうことを申されております。まことにごもっともな言葉でございますが、これらの施策を伺っておりまして、あまり画期的な新構想というようなものが見られません。もっとも御就任になって日も浅いことでございます、御就任になって間もなく国会に臨まれるというような事情でもございますし、そうしてまた農政というものには、あまり飛躍した施策が飛び出すわけでもありません、この農政の性格からも、私はさようなとっぴなものが出ようはずがないと思います。しかも、わが国の今の事情考えますと、ちょうど農政は、今までの戦時戦後の惰性で参りました農政に一大反省をしなければならない転換期に直面しているとも申されるような事情であるだけに、私はこれから落ちついて構想を練られて、画期的なものが生まれるとすれば生まれてくるのではないかと思います。しかしながらその間におきましても、特定土地改良工事特別会計などは、余剰農産物見返り円資金にかわって相当効果があげられると思います。もちろんこの内容等については、石田委員指摘されましたように、いろいろなお掘り下げて検討を要する点はあろうと思いますけれども、方向としては非常にすばらしい構想であるように考えるのでございます。土地改良にいたしましても、治山治水にいたしましても、災害復旧等にいたしましても、今までやってきたような総花式は改めていただきたいと思います。やりかけた事業を重点的に完成していくというような方針を堅持されなければ、国民の血税をいたずらにむだ使いするような結果に陥りはしないかと思っておりますが、これに対する農相の御所見を伺います。
  30. 井出一太郎

    井出国務大臣 就任早々のことでございまして、特に新政策というようなものが乏しいではないか、こういう御指摘でございますが、私は農業のような、自然を相手といたし、テンポのおそい産業にありましては、急に方向を転換するとか、あるいは新奇をてらうというようなことがなかなか困難のように見受けるのでございますけれども、御指摘のように、日本農業は大きな転換期に直面している。国際農業の圧力がひしひしと日本農業にも及んできている。あるいは国内の態勢をながめてみましても、一般産業においては、これは非常にいんしんをきわめておりまして、大へん日当りがよろしいようであるけれども、農業というものがそれとバランスを果してとり得ているであろうかどうかというようなあたりは、非常に大きな問題であろうと思うのでございます。従いまして、十分国の内外の情勢にも思いをいたしまして、このおくれております農山漁村をいかに引き上げて参るか、いかに生産基盤を拡充し、そうしてその生活の安定をはかるか、こういうところに重点を置きまして、今おっしゃるように、決して総花主義でなく、限られた予算ではございますが、これを重点的に用いることによりまして、より効率を発揮いたしたいと思う次第でございます。
  31. 吉川久衛

    吉川(久)委員 大臣は食糧の総合自給率の向上をはかることは国民経済の安定と発展に役立つと申されております。私もその通りだと考えておりますが、終戦後今日まで二千億以上もの国家資金が投ぜられて食糧の増産に努力をされてきたのでありますが、天候の影響もあったのでありますが、農業技術の進歩、経営の合理化等、朝野の努力の結果が三十年、三十一年のような成果を得たと言えると思います。戦前六千七百万石が平年作と言われていたのでありますが、私は今日では七千万石が平年作と言えるのではないかと思っております。平年作に対する旧来の観念は改められるべきであると思うのですが、これが改められないといろいろの問題に影響をいたして参りますので、大臣はこの点についてはどういうようにお考えでございますか。
  32. 井出一太郎

    井出国務大臣 幸いにいたしまして、昭和三十年、三十一年引き続いて豊作でございました。これは単に天候のしからしめたものであるばかりでなくして、むしろ農民諸君の非常な熱意と努力が傾けられた。また戦後長い間にわたって生産基盤培養の国の施策がようやく表面に出て参った。それは技術の面においてもしかり、あるいは土地条件の整備等においてもしかり、こういうふうに吉川委員はごらんになっていらっしゃるようでありますが、この点は私も同感でございます。ただこの豊作が二年、三年となかなか続いたためしというものは少い。こういうことは中央気象台あたりの発表に徴しても従来の例はそういうことであったようでございます。従いまして、昭和三十二年こそはいわば三度目の年でございますので、これに直面いたしまして本年度の成果が一体どういうふうに持ち来たされるであろうか、われわれといたしましては万遺憾なき配慮をいたしまして、そうして一つ三年続きの豊作をここに実現をいたしたい、こういう考え方でおるのでございます。そうして初めて今吉川委員の言われる七千万石こそが米について平年作である、こういう実績をここに高らかに掲げたい、こういう念願でおるわけであります。
  33. 吉川久衛

    吉川(久)委員 食糧の増産が国民経済の発展向上に役立つということについていろいろ考えてみますと、今日神武以来の好景気と言われておりますが、その原因の一つは、私は食糧の増産の施策が成功を見たと言っても過言ではないと思います。外国に対する依存度が減って参りまして、輸入が減少し、外貨事情に好影響を与えましたこと、あるいはまた米の二重価格によって消費者価格が昭和二十九年の一月以来据え置かれまして、諸物価は安定をし、健全財政とともに経済自立の基礎が確立をされてきた。そこで今後も食糧の増産施策は大いに推進していかなければならないと思いますが、具体的にわが国の農業経営の個々の実態について見ますると非常にむずかしい問題がございます。米価の問題についてだけ見ましても、今はなくなりましたけれども、超過供出奨励金とか、あるいは時期的価格差、すなわち早場米の奨励金とかいうものについても、また政府に売り渡した予約米に対して千四百円の免税措置を講じておりますが、これらのものを一つ一つ取り上げてみましても、また土地改良等について見ても広い土地に対して行われて参りました。そういう平坦地の広い土地を耕作をしている人々は非常に――非常にといっては言い過ぎかもしれませんが、比較的恵まれていたと思います。それよりも山間僻陬の地域の狭い、小さなたんぼを持っている人々の生活と比較するならば、確かに私は平坦地が恵まれていたと思うのです。そういうところには国の施策として土地改良みたようなものに助成の措置がとられて参りましたけれども、小団地の土地改良というようなことについては、われわれ長いこと主張してきたのにもかかわらず、ここ一両年前からどうやら格好だけはわずかつけられるようになって参りましたが、また本年からこれについて大蔵省はきわめて冷淡なる措置をとっているような状態でございます。しかしその土地改良にしても、どうしても富農重点の政策がとられてきている。すべて今日までとられた日本農政というものはあげて三割農政という言葉に尽されるように、結果から見れば富農政策になっておるのでございます。これはまことに残念なことでございますが、日本の国の農業の立地条件がそういう状態にあるといってしまえばそれまででございますけれども、これはこのまま見のがすわけには参らないと思います。日本農民は大ざっぱに言いまして、米を出せる農家が三割、三割余りが保有農家と申しますか、自分で食べるものを自分で作る、残りの三割が転落農家というか、米を自家生産だけでは足りないので買って食べるという消費農家であります。日本農政の非常にむずかしいところはここにあるのではないかと思う。従って米価を上げれば三割の富農は恵まれるのですが、あとの七割近くのものは喜ばないのみか、消費農家は不利益な状態になるというような実情考えますと、これらは要するに農業人口が多過ぎて適正規模の農業というものが考えられない。戦前は私ども適正規模農業というようなことをよう聞かされたのでございますが、戦後はかような言葉はあとを断ってしまっておるような状態にあるのでございます。零細のために不適正規模の経営農家は転落は必至である。この転落の危機にある農家に対して農林大臣は今後どのような対策を持っておいでになるのか、その辺の所見を伺っておきます。
  34. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいま吉川委員の御発言は、主として中小農家と申しましょうか、転落を余儀なくされる、ないしは転業をせざるを得ない、こういうふうな農家に対する対策をどうするかというお話でございました。これは確かに御指摘のような欠陥は従来とも私ども感じつつ参った点でございまして、今回の予算の中においてもできるだけそういう配慮をいたしたつもりでございます。たとえば小団地の問題等もこれをおろそかにしないという処置を講じてございまするし、あるいは中小農家に対して、家畜の貸付制度というものを考えましたのもその辺に出ておるわけでございます。かような新農村建設計画等につきましても、やはりそういうところに問題の所在を求める、そして若い青年諸君の意欲を盛り上げることによりまして、そういう問題の解決にも当って参る、このように考えておるわけであります。
  35. 吉川久衛

    吉川(久)委員 大臣施政方針を伺いまして、冷害地に対して特別の対策を考えられている、これはまことにごもっともなことで、けっこうなことでございます。冷害地、開拓地あるいは畑作地帯は中小農家が非常に多いところでございます。北海道、東北地方のような冷害の非常に多い地方に対して格別の配慮をされている点については、私は敬服をするのでございますが、私は昨年北海道の冷害地を視察いたしまして、つぶさにあの悲惨な地帯を視察いたしましての私の感じでございますが、何となく計画性とか指導性というものが欠けているように考えるのでございます。あの名寄から北の美幌と申しますか、あのあたりはおそらく米作の限界点であろうと思いますが、この冷害の常習地帯である北海道において、ほとんどが稲作をやっておる。しかもそれがなかてを大部分作っております。こういう地方に対しては、少くとも三分の一はごくわせを作らせ、三分の一はわせを作らせ、残りはなかてを作らせるというような指導をすべきものではなかろうかと思いますが、例外なしになかてを作りております。昨年は非常に大当りであったから、本年もまた当るであろうというような、柳の下にはいっでもどじょうがいるというような農業をやっているという感じがしてなりません。     〔笹山委員長代理退席、委員長着席〕 見渡す限り一本棒になって、結実しているものは一粒もないというようなたんぼのほとりの丘陵地帯に、たまたま青々として誇らしげに栄えているものはビートでございます。私は北海道の農業というものについて、もう少し計画性とか指導性というようなものを持っていく必要があるのではないかと思いますけれども、この点についてはまことに冷害対策の貧困に驚かざるを得なかったのでございます。農林大臣は北海道の事情、東北の事情も詳しいはずでございます。その他の冷害地方に対しても相当深い御視察もされ、深い体験を持っておられるだろうと思いますので、こういう方面についての特別の施策を講じているということを伺いまして、私は意を強うするものでございます。特に北海道のこれらの問題については、北海道の開発庁長官にまかせ切りではないと思いますが、この点についても大臣は今後どういうふうなお考えで対処なさいますか、その辺も伺ってみたいと思います。
  36. 井出一太郎

    井出国務大臣 昨年の北海道等の冷害によりまして、局地的には非常に影響をこうむったわけでございますが、今御指摘の稲作に偏重しておる、あるいは稲作農家が危険分散をしないで、単に増収一点張りにその品種の選定などをいたしておる、こういう点は確かに御指摘のようなことがあったかと思うのであります。そこで今回は農林省の中に一つの調査室とでも申すべきものを作り、これによって十分その問題の所在の究明をいたし、一方農林水産技術会議等を通してその指針を与えるという努力をいたしたいと思っているわけでございます。今回の予算に関しましても、公共事業費の特にその面に投入すべき増額分もあります。あるいはまたどうしても有畜農業というものと関連を持たせなければなりません。今のビートのお話にいたしましても、やはり畜産との関連がなければならぬのでありますから、さような意味におきまして国有家畜の貸付制度というものをもあわせ設けまして、地方の培養、維持に当りたい。詳しく申し上げればいろいろございますが、大よそそんなことを考えているわけでございます。
  37. 吉川久衛

    吉川(久)委員 家畜の貸与制度等は中小農対策として非常にけっこうな施策であると思いますので、これはぜひ一つ研究をしていただきたい。  それから中小農家の転落を救う道の一つは、自作農創設維持資金の拡充にあると思っております。来年度は一躍五十億に増額をされたことはまことに適宜の措置であると考えております。本年度はこの維持資金が二十五億でございましたが、この乏しい維持資金のうち十六億を配分いたし、九億を農林省は手元に抱いていたのでございます。そうして北海道の冷害、その他の水害等が起きましてからその内容が明らかにされたのでございますが、このスズメの涙ほどのまことにわずかな資金の中で、またそれを九億も保留して府県に割り当てたというようなやり方は、まことに不見識なやり方だと思うのですが、これには何か深い理由があるのではないかと思いますから、この理由一つ明らかにしていただきたい。同時に三十二年度の配分に対する所見を一つこれは大臣から伺って、おきたいと思います。また非常に煩瑣な手続で、これは世界じゅうどこの国に行って見ましても、また私の行かぬ国の実情等をいろいろ資料で見ておりますが、こういう資金の貸付に日本くらいわずらわしい手続をする国はございません。貸し出しに非常に時間のかかるのもまた驚き入ったものでございます。もう少しタイムリーな措置がとれなくては資金の効果が上らないと思いますので、何らかもっと簡便な方法が考えられないものかどうか、これもあわせてお答えを願いたいと思います。
  38. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 吉川先生の自作農資金に対します御質問は、私どもも現在ではその通りに思っている次第でございます。第一点は、経過を述べるごとになりますが、三十一年度の二十五億の公庫資金のうちの自作農資金を十六億を九億に分けて九億抱いていたのではないか、そういうのはよくないのではないかということであろうと思いますが、実はちょうどそのころ災害も起きまして、私も赴任をいたしたのです。従いましてその取扱いを聞いたわけでございますが、別段公庫に保留をしておったわけではございませんで、手続もかかることでもあり、制度創設以来年に二回に分けてやっておって、二回に半分ずつではなしに、どうせなるべく早く融資すべきものであるから前半をより多く出そう、こういうことでやっておったことであるように聞いております。いささか管理のマンネリズムであったかと思うのであります。ことしも全国の各都道府県に少い資金――相当ふえましたけれども、なお少い資金の公平なる融資ということを考えまして、五十億の資金を一度に府県別にワクをおろしたり、申請に応じて早く融資するに当りましても、一部はやはり第二回目に譲ることが必要かと思います。三月末までに予算で公庫資金の御審議が済んで成立いたしますれば、それまでに準備を整えまして、年度初めにはもっと従来よりはうんと多くこれを配分いたしたい。第二回は、まさに各都道府県間の調整という性質でおろせばいいんじゃないかと思っておるのでございます。また手続の簡素化につきましては、かねて当委員会からの御意見も、ございましたことに応じまして、昨年十一月ごろでございましたか、従来の申請書類、すなわち経営安定計画に関しまする書類につきましても、農家の方々でも自分で書けるように非常にわかりやすく、融資上必要な事項として、またこれに伴って農家のためになるような経営上の若干のことを添えますように、五分の一くらいに簡素化いたしました。これは本年に入りましてからの融資に対しましては、すでに実行をいたしておる次第であります。また昨年は二十五億のワクで出発いたしましたが、災害によって零細農が転落をするのを防ぐために、この資金を活用することが相当行われました。総計は四十二億になったわけでございますが、本年もすでに零細農に対しまして、自作農維持のためにするこの五十億をどんどん使いまして、災害等が起りましたような場合はまた年度間の運用で、昨年のような手続でより多く融資するように努力するつもりでございます。
  39. 吉川久衛

    吉川(久)委員 今農地局長からお答えがございましたが、おっしゃる通りにぜひやっていただきたいと思います。非常におくれる原因の一つには、各府県に対して農家の再建計画といいますか、計画をさせるために相当の期間を食っているようでございます。この再建計画というのは、これは指導金融でございますから、将来計画的に返せるような、無理のない指導をするための計画でございまして、返せるか返せないかを見定め、返せないから貸してやらない、返せそうだから貸してやるという、富農政策の上に立つところの金融制度ではございませんから、再建計画等についての県の指導は、平素からこれはよく徹底さしておいて、事務的にはきわめて簡単にできるような措置をとるお考えがあるかないか。それからついでに、私は昔の農工銀行、勧業銀行のような特殊銀行へ持っていく必要があるのじゃないかと思う。農林漁業金融公庫あたりで片手間にやっているようなことで、この階級分化の激しくなってきた今の農村の実態から考えますと、もっと私は手厚いところの、独立の機関が必要じゃないかということさえも考えておりますが、これは一つ農林省においても今後御検討を願いたいと思います。質問の点は局長でけっこうでございますが、再建計画について手直しをする必要があるかどうかをお伺いしておきます。
  40. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 自作農創設維持資金融通法に従いまして、この融資をいたします場合には、経営安定計画を対象農家に対して作成せしめることが書いてありまして、振興局が指導いたしまして、これを付して、それを見定めた上に融資することになっているのでありますが、そこは運用と解釈の問題でもございますので、かねてより、またただいま吉川委員から仰せになりましたように、零細農融資を本旨といたしまして、実績は約七割は零細農であるという成績をおさめておりますが、昨年末改訂いたしましたことは、必要書類については融資を本位にいたしまして、冒頭融資に関する必要な事項を記載して、残りは、これを償還するその農家の融資対象の経営の計画を簡単に書かせることにとどめて、ごく簡単にいたしてあるのでありまして、これを実行するに当りましては、農業改良普及員、県庁ともに、簡素にして敏速であることを旨として指導をすることに、すでに決定して実行中でございます。
  41. 吉川久衛

    吉川(久)委員 この自作農創設維持資金というものは、中小農対策としての性格のあることを、特に関係官庁では留意されるべきものと考えます。農林省においても十分その点はおわかりのことでございますから、その趣旨を体して、一つ今後御措置を願いたいと存じます。  次に農来資産相続の問題についてお伺いをいたします。家督相続が廃止されまして、今新憲法によりまして均分相続、分割相続の制度になったのでございます。これでは日本の農業の弱点でありますところの零細経営は、文字通りの分割相続が行われますと、さらに細分化に拍車をかけることになります。数年前に、第何国会でありましたかちょっと失念をいたしましたが、私どもはこの対策といたしまして、農業資産相続の特例法案を本委員会で審議をしたことがございます。衆議院は通過をいたしましたが、参議院で憲法違反のおそれがあるということで、ついに握りつぶされてしまった案件でございますけれども、分割相続に伴う経営の零細化または農地細分化を、どうやって防いでいく方針であるか、この対策について政府の所見を伺っておきたいと思います。さきに自作農創設維持資金の制度が設けられたことは、今お伺いした通りでございますが、分割相続による零細化を防ぐため、すなわち他の相続分を買い取る場合の資金をこの制度によって解決する趣旨が判然としておると思うのですが、この趣旨のための資金の運用の現状はどういうふうになっておりますか。なお資金の性質上、金利償還年限についてさらに改善を要するとはお考えになりませんかどうか。もう一つついでに、海外移住などの場合においてその人の財産処分を必要とする場合、すなわち生前処分等の場合においてもこの自作農資金が活用されてしかるべきものと思うのですが、現行法でこれが可能であるかどうか、この点についてお答えを願います。
  42. 井出一太郎

    井出国務大臣 それでは私から概括的に申しまして、こまかな点は政府委員からお答えをいたさせます。吉川委員がかねがね御趣旨のような線から農地の零細化を防ぐという意味において農業資産相続の特例法に対して御尽力になったことはよく承知をしております。これはドイツにおける家産法の例などもございますが、現状におきましてはただいまの憲法との問題などもございまして、われわれといたしましてはなお一つ十分に研究をさせていただきたいと思うのであります。そこで、当面は今おっしゃる自作農創設維持資金をフルに活用するというような方法もあるわけでございます。これについての現状はどのようになっておるか、あるいは運用のあり方、改善をするとすればどうかというような点については政府委員から申し上げさせます。
  43. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 昨日は石田委員から、またただいまは吉川委員からお話がございましたがまだ農林省として特にきめる段階ではございません。国として、現在の情勢に照らして自作農をいかなる方策で維持していくか、また転落を防止していくかということについては、事務的に準備を整えて、来年あたりはりっぱな構想を持つようにいたしたいと思っております。ただいま大臣もおっしゃいましたように、農家の単子相続と申しますか、農地と農家人口との関係については非常にむずかしい問題もございまして、特に単子相続問題は農林省においても学者を入れて研究したところ、直ちに端的なその目的の特別法を、憲法、民法の特例法として出すことはいまだに自信がございません。ただし、自作農創設維持資金がこれをねらったものであることはお話の通りでございます。この資金の運用状況は、ただいま詳細に数字を持ち合せておりませんが、対象の融資条件等々を考えますと一割前後ではないかと思っております。この際、運用につきましては従来より一歩進めまして、農林省には府県に民事調停、農事調停をやる補助職員が相当置いてあります。そこで、農家の親と子供ないしは兄弟というような相続問題に当りましては、必要に応じまして農事調停にいく前のあっせんから始めまして、農地が経営単位として維持されて、相続を均分にして、もらうはずである方は特に農地でない方の財産、またはこれを補うべき融資で片づけようという考えも持っておるわけです。農家から自主的にきます場合と、紛争があった場合のほかに、積極的に行政指導で民事調停等の手続の前段階の措置でいいと思いますが、そこで話し合いをしまして、そういう相続のあり方を御指摘のような単子相続制度に持っていく、そしてこれに対しまして優先自作農維持資金を活用したらどうかと考えておるのであります。また海外移民等も、一種の分家または生前相続のような考えを持ちますと、農林省令を改正いたしますればある程度のことはできるではないかと思うのです。それは海外に移住される方の農地その他農業用の不利な売買条件のもとに残された資産を、農協またはその兄とか親というような同一世帯の農家の方に預けまして、簡単に申しますと譲渡しまして、分割されるのを防ぐという立場に立ちますと、制限的ではございますが、その運用が可能かと思って研究をいたしておる次第でございます。来年度の五十億の資金については、ある程度押えてそういうことが行われるようになればこれを回してもよいのではないかと研究中でございます。
  44. 吉川久衛

    吉川(久)委員 大臣の施政の中に海外移住の問題が数字並べでございます。ただいま局長も移民の話に触れられましたが、今のそういう条件の中にある日本農業の適正規模というものはなかなか考えられないと思います。どうしても人口問題を解決しなければ。その矛盾からくる階級分化、貧富の懸隔がはなはだしく、これは将来ゆゆしき問題になるのではないかと思います。それを取り除く一つの方法として移民問題を大きく取り上げる必要があるのではないかと思う。移民だけで人口問題を解決した例は世界の歴史のどこにもございませんけれども、私は数年前南米を歩いて参りましたが、ブラジルに今日日系が四十万おります。アマゾン流域においてピメンタやジュートを作ることを創造し、日本の農業移民がかの国へ行って新たな産業を起しております。そのことが土民に現金収入の道を与え、彼らの生活程度を非常に高め、購買力を与えております。これがやがて日本の物資がそれらの国へ流れていく、すなわち貿易が発展するもとになるのではないかと思う。貿易が発展をすれば日本の企業は振興する。農村の次三男はこれに吸収されて、総体的に見て人口問題が解決されていくというように考えますと、この際移民の問題を国策として相当ウエートを置いていいじゃないかと思うのでございますが、大臣の施政の説明の中には、わずかに「海外移住等青年自立方策の援助促進に十分配意いたしたいと存ずるのであります。」と言っているだけでございます。また予算面を見ましても問題になっておりません。こういう問題について、大臣は今後移民問題についてどういうようにお考えでございますか。私の見て参りましたところでは、ブラジルでもアルゼンチンでもパラグアイでもあるいはボリビアでも――ことにボリビアのサンタクルスヘは、私が帰って参りまして国会で報告をいたしましたら、参議院の職員が、若い奥さんを連れて、親戚の子供を二人養子にして、四人で一家族を編成してボリビアへ移りました。私の報告が動機となって、ボリビア行きを決意し、また農業をやったことはございませんが、栃木県の農家の息子さんで農業ができるのだということで私は推薦をした。そういう関係でボリビアのサンタクルスへ行かれて、その成否いかんということは、私には非常な責任がございますので見守って参りましたところ、まる一年後を経過した今日では、すばらしい経営をやり、その報告が参りまして、二、三の新聞に私はこれを発表したような次第でございますが、これらの諸国は今農産物を海外にほとんど期待しておるような状況にございますので、日本移民の入植を非常に期待いたしております。今にして移民を送らなければ、やがてはまたカリフォルニアの二の舞のようになって門戸を閉鎖する日がくるのではないかとさえ私は憂慮するのですが、一体農業移民といえば農林省が最も力こぶを入れなければならないのでありますが、こういう点についてどういうようにお考えでございますか。ボリビアのサンタクルスからの報告によりますと、外務官僚の連中が現地に視察に来て、町場でもって楽しんでお帰りになりまして、ちっともその植民地の現地まで足を踏み込まないそうでございます。そうして一方的な考え方で、営農とか農業技術とかいうことを全然知らない人々が入り込んで、現地を調査した調査したといって本省に報告をしておるようでございますが、もう少し私は農業ということを身につけた技術者あるいはまたそういう経験のある視野の広い指導的な人々が入り込んで、現地についてつぶさに検討して、その結果を持ち帰って施策の上に反映させるというような努力をさるべきであろうと思うのでございますが、農林省はこの点についてどういうようこお考えでございますか。農林大臣は、外務省と今後この点を話し合って、もう少し農林省にウエートを置くような移民の施策を私は推進してもらいたいと思います。この点について農林大臣の御所見を伺います。
  45. 井出一太郎

    井出国務大臣 だんだん御熱心にお述べになりました農業移民の問題につきましては、全く吉川委員と同感でございます。この点につきましては、岸外務大臣とも実は寄り寄り話をしておるのでございまして、従来移民外交の窓口が幾つもあったりいたしましたようなことも解消いたしまして、少くとも農業移民に関します限りは、われわれとしてはさらにこれに対する努力を大きく払って参りたいと思うのであります。せんだっての私の所見の中には、移民問題に関して言及するところ少いという御指摘でございましたが、これは決してそうではなくして、氷山の一角が出ておるというふうに御了承を願いたいのであります。この点につきましては、青年活動の促進強化というための費用なども用意がございますので、まずそういうあたりから大いに移民に対する情熱をふるい起さしめる、こういうような配慮をいたし、かたがたカリフォルニアに対する季節労務者なども、これは一つのパイオニアの意味をなすわけでございまして、これらをもあわせ活用し、吉川委員すでに十分御踏査になりました南米の諸地域、これらをも対象といたしまして、あるいは開拓農協、拓植農協、こういうような線などとも十分連絡をとって配慮いたして参りたいと考えます。
  46. 吉川久衛

    吉川(久)委員 大臣は外務大臣の岸さんと話をされておるようでございますが、岸さんはボリビア協会の会長をしておいでになる。昨年ボリビアの前大統領エステンソロが参りましたときに、一緒にレセプションなどをやりまして、向うの事情は、行ってごらんにならないそうですが、いろいろ聞いておられて、この問題にも関心を持っておるはずでありますから、一つ十分お話を進めてもらいたい。今、一人に渡航費を十二万円ほど貸し付けて「おりますけれども、神戸で船に乗った瞬間から利息を取るというむちゃくちゃなことをやっております。収入も何もないのに利息を取る。何のための渡航費なのかわかりません。海外へ渡航する者については、私は少くとも据置期間を置かなければならないと思っておる。それよりも、もっと積極的に政府が船を持って、無料で向うへ送って、そして渡航費くらいのものは営農資金として貸し付けるべきではないかと思う。私の小学校時分の友達で向うへ参りまして、日本の金で数億の資産家になっておる友達が数名ございますが、こういう有望な地域があるにもかかわらず、これを日本の青年が知らないということは、政府がいかにこの問題に今日まで不熱心であったかという一証左であろうかと思いますので、どうか一つ格別の御配慮をお願いいたしておきます。  時間がございませんから、あと簡単にいたしますが、日本の農業は今や反省をしなければならない時期に到達をしておる。そこで日本農政は転換をしなければならない。米麦中心の農業から一歩を進めなければならない。こういうことで河野農相によって提唱された新農村建設計画、これを井出農林大臣はもっと拡充し推進していこうという御配慮は、先日の御説明でよく拝承いたしました。まことに適切なことであると思っております。御案内通り町村合併促進法ができまして、村会議員が市に参加すれば一躍市会議員になれるというような気分があったかどうかは知りませんが、むちゃくちゃな市ができまして、一郡の一、二の村を除いてあとは全部市に合併されてしまったというところが全国に数カ所ございます。これは極端な例ではございますが、そのほかにもこれに類似するものがございまして、それらはいずれもクマの出るような市が生まれているのでございます。こういう状態で参りますと、どうしても大都市膨張、農村撲滅策になる。そこでその市政というものはどうしても町部中心になって、在部と村落地帯が立ちおくれを来たす。村の中に階級分化が行われるように、市の中にも階級分化が行われ、村と村との間にも階級分化が行われる。こういう経済の浅い日本の農村の経済の実情から見まして、どうしてもここに立ちおくれつつあるところのものに、政府があたたかい手を差し伸べて追いついていかれるようにするためにも、新しい一つの方向が明示されなければならない。それがすなわち新農村建設事業であろうと思います。これについて非常に大臣が熱意を傾けておられますことに私は共感を覚えますが、ここでお伺いをいたしておきたい問題は、今後全国の町村にまんべんなく行き渡らせるものであると考えますが、法的根拠を持たないでスタートいたしましたこの事業について、大臣はどういうようにお考えでございますか。  それからお見受けするところによりますと、有線放送というような、きわめて高度の文化的な施設が盛んに取り上げられて、新農村運動は有線放送なりという言葉さえ今日行われております。まことにけっこうなことではございますが、そんなに一足飛びに文化的な高度な方面に進んでいくことが、果して健全なる農村の発展のために役立つかどうかということについては、もっと順序を追って先にやるべきものがあるのじゃないかということを痛感するのでございます。この点については農相はどういうようにお考えでございますか、承わっておきたいのであります。
  47. 井出一太郎

    井出国務大臣 新農村建設計画は第一年度を経過いたし、二年目になっておるわけでございまして、本年度はその計画樹立地域を新規に九百、事業実施地域を、継続、新規を合せて一千五百、こういうことに設定をいたしまして、そのための予算相当大幅に計上をしたわけでございます。これはおおよそ五年の計画をもって実施をせられるわけでございますが、吉川委員はただいま法的基礎を持つべきであろう、こういう御指摘でございます。これは私どもの方といたしましては、行政措置ででき得るものと考えておるのでありまするが、なおよく研究をさせていただきたいと存じます。  なおその計画内容について御批判がございました。いたずらに有線放送ばかり実施されておるではないか、こういうことでございますが、なるほどそういう面も一部にはございましょうけれども、決してそれがこの計画の大部分の実態であるというほどのことはございません。そこで御指摘もありまするので、よくその間の調整をいたしまして、従来は下から盛り上るものを期待しておる。これはもちろんそうでなければならぬと思いますが、同時に中央の立場からも、一つの総合調整といいますか、指導というものをかみ合せて、所期の目的を達するようにいたしたいと考えております。
  48. 吉川久衛

    吉川(久)委員 私は法的措置を要すると申し上げているのではございません。指定を受けない町村に、法的措置がないから途中で打ち切られてしまうのではないかというような不安が起り得る可能性がありますから、その点を申し上げているのでございます。法的措置については私にも疑義がございますので、これは今後の問題といたしましょう。  それから有線放送みたいなことはけっこうですが、どうも戦後の日本の状態――戦前もそうであったかもしれませんが、たとえて言えば、これは学校の関係になりますが、日本は今大学の数は世界一なのだ。英国が十八、フランスが十六、アメリカが世界で一番多いといわれて九十ほどございます。日本は何と四百九十九でございます。ユニヴァーシティといいますか、総合大学だけでも二百七十三あるというような、こういう世界全部の合計よりも二つ多いとかいわれておるが、何でもいいことならばというわけで、ちょうど財行政不一致のために赤字を出している実態があるようにどうもむちゃくちゃです。私はあたたかい指導をするということは必ずしも民主主義には反しないと思いますので、一つこの内容については、民主主義に反せざる限りにおいてのあたたかい指導をやってもらいたいと思う。いろいろ行き過ぎがあって、戦争に負けて文化国家になりましたねなんというような、私は少し皮肉な言葉ではないかと思いますが、そういう皮肉が世間に行われていることを反省してみる必要があるのではないかと思っております。  時間がございませんからもう一つだけにいたしますが、大臣就任になりましてから問題になりました消費者米価の問題でございます。日本が今日よく神武以来の好景気だと言われておりますが、こういう景気の生まれてきた根本は、先ほどもちょっと申し上げましたように、食糧が増産されたということもございます。けれども私は二重価格制度というものは非常に日本経済の自立に役立っておると思う。昭和二十九年以来生産者米価は上げたけれども消費者米価を据え置いた。今日でも一万七十円、それから当時昭和二十九年一月の九千二百円の生産者米価を差し引きますと八百七十円かの赤字がその間に出てくる、それを二千三百五十万石集めようというところを、三千万石内外を集めるというような結果になりましたので、いよいよ赤字が累増をしてくる。この赤字を解消しておかなければ、食管法第三条の二項でございますが、パリティ指数が上昇すれば生産者米価を上げなければならない、そのときに生産者米価を上げるためには、大きな赤字がブレーキの作用をなしはしないか、そこで赤字を埋めておかなければ米の生産者には何か不安の念を与えはしないかということが、農林大臣の頭の中にあったのではないかと思います。それからもう一つは、農林大臣は米の統制は続けたい、統制撤廃はしたくない、こういう御議論は平素伺っておりますけれども、そういうお考えが前提となって、大蔵大臣の合理主義に御共鳴なさったのではないかと思う筋がある。と申しますのは米の統制撤廃論には大きく分けて二通りございます。もう一つ俗論としてございますが、第一番には法治国である日本が、食管法はほとんど守られていない。法律が守られていない。それを守らせるようにすることもできない。国民の順法精神はだんだんと薄らいで、法治国の基礎がくずれる。これではいけないから統制なんか撤廃しようじゃないか、食管法なんか廃止しようじゃないか、こういう議論が行われることも一応うなずけるのでございます。それからまた食糧管理は金がかかり過ぎる、生産量の四割内外のものを確保するのに尨大な金がかかり過ぎるじゃないか。従って統制は廃止せよ。それから生産者価格と消費者価格の間に相当の差があるにかかわらず、生産者も消費者も喜んでくれるであろうと思っていたら、生産者は安過ぎるというし、消費者は高過ぎるというから、それじゃ両方から恨まれるような責任を政府は持つ必要はないじゃないか、だから統制は撤廃したらよいじゃないかというような俗論までも行われております。そこで金がかかり過ぎるから統制を撤廃せよという論者に口実を与えてはならない、こういうようなお考え方が農林大臣にはあって、まあ消費者価格で埋めておこうというようなお気持になられたと思います。私はここではっきりこの過程を振り返ってみますると、農林大臣が米の統制は撤廃したくないのだというお考え方は、依然としてかたいもののあることを私は感ずるのでございますが、その私の感じ方は誤りであるかないかをただしておきたいと思います。それからいろいろのいきさつがございました。大臣就任早々でございましたので、調査会を作ってそれに聞くとか、党の意見を聞くとか、農林委員会の意見を聞くとか、あるいは米価審議会にも諮問をして、その答申を尊重して初めてこういった問題を取り扱うのだとかいうような手続をするいとまがなかったことであったろうと思います。その後大臣は勇敢にもこの考え方を取り消されて、そうして特別の調査会へ持っていかれて、そしてその答申の結論を尊重して善処をしよう、こうなられた。この勇敢なる大臣の御答弁には私は敬意を表するものでございます。私はこの過程を通じまして、予約制度は続けるのだ、米の統制は続けるのだ、そのことは消費者にも生産者にも安定を与えて、そうしてそのことが日本の経済自立に役立つのだというお考えを持っておいでであろうと思います。この点についての大臣のお考え方を伺っておきます。
  49. 井出一太郎

    井出国務大臣 吉川委員から米の消費者価格の問題に関連をいたしまして、まあ私の考え方をいろいろと御推測をいただいての御発言がありました。これにはいろいろ紆余曲折もございましたが、要はあくまで慎重に事を処理いたしたい。こういうことで内閣に設けられまする臨時食糧管理調査会という機構でさらに御検討をいただくということに相なっておる次第でございます。私といたしましては、食管会計というものに従来ともいろいろ批判がございましたので、かような機会に一つ虚心たんかいに御検討をいただいた上にいたしたい、かように存じております。そこでこれと関連されまして、食糧の統制をどうするのかというお話がございましたが、これは今日の管理制度というものが、さきに申しましたように、いろいろ批判は受けておりますものの、消費者にも生産者にも大きな安心感を与えておるということは事実でございまして、これを根底からゆるがすというふうなことは私のとらないところでございます。従いまして、もちろんこれに改善を加えるべき余地があるとすれば、これは改善をしなければなりますまいが、基本においてはこれを動かす考えはない、このように御了承をいただきたいと思います。
  50. 吉川久衛

    吉川(久)委員 米の統制を撤廃いたしますと、私は生産者は、しかも零細な生産者は出来秋にたたかれ、消費者は業者の間に行われるところのスペキュレーションその他で高いものを買わされる。生産者も消費者も非常に不利益な状態に追い込まれて、私は日本経済の発展に支障を来たすおそれがあると思いますので、これはどうぞ一つ大臣の御所信の通り貫いていただきたいと思います。調査会の問題については一刻も早くこの調査会を作っていただきたい。これはぜひ一つ急いでいただきたいと思います。しかしながらその内容を調査するに当りましては、十分慎重にやっていただきたい。えらいお急ぎになる必要はないと思います。できるだけ慎重に、ことに食管の特別会計を見ますると、国の予算が一兆ちょっとでございますが、食管特別会計ば八千六百四十三億二千百九十四万三千円といわれております。こういう国の予算に匹敵するような膨大な食管会計でございますので、今までこれにライトを当てたこともなく、メスを加えたこともない。こういう膨大なものはしろうとにはとてもわかりません。これを見るだけでも私は容易じゃないと思います。その他のこの複雑な問題を調査するには、そう簡単に結論が出るべきものでもないと思いますので、またその結果が重大な影響をもたらすことも考えられますので、調査は慎重にやっていただきたいが、調査会だけはもう一刻も早く作っていただきたいということを要望いたしておきます。私たちの委員会はふしぎに、あなたが委員長になられたときも、その次の村松委員長も、今の委員長も、この委員会では党派を越えて信頼をしていた。皆さんのお人柄ともいうべきものでございましょう。特に井出農相については全面的に信頼をいたしておりますので、どうか一つ日本の農業はあなたのこの施政の御説明にもありましたように、保護助長の政策を捨てては成り立たないところの含みを持ったものでございます。これがしかも日本の国民の約半数に近いものを持っている。しかもそれが日本経済の根幹をなしているというようなことを考えますと、これはきわめて重大な使命を持っておりますので、どうか大臣は御自愛をなさって、そうして一つ懸命の努力農政伸展のためにささげられんことを望んでやまない次第でございます。  どうも与党の質問というのは時間が限られておりますので、この程度で私の質問を終ることにいたします。
  51. 石田宥全

    石田(宥)委員 ちょっと資料について、きのう食管会計についての資料要求をいたしておきましたが、まだ要求した資料がそろっておらないようであります。いろいろむずかしい点もあると思いますけれども、食管会計を編成するに当っては当然なければならない資料の要求なのでありますが、長官お見えでございますが、追って資料の御提出を願えるものかどうか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  52. 小倉武一

    ○小倉政府委員 あとで内容と申しますか、項目について打ち合せた上で提出したいと思います。
  53. 山田長司

    ○山田(長)委員 資料の提出を私からもお願いしたい。それは農林省に現在外郭団体がどのくらいあるのか、それからその外郭団体にどのくらいな程度の援助をされておるのか、この点一つ資料の提出を願いたいと思います。
  54. 小枝一雄

    ○小枝委員長 それでは一つ当局にさよう取り計らわれるよう要望いたします。  それでは午前中の質疑はこの程度にとどめまして、しばらく休憩いたします。午後二時から再開いたします。     午後一時一分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十一分開議
  55. 小枝一雄

    ○小枝委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  大臣に対する質疑を続行いたします。午前中の吉川委員の質疑に関連して質問いたしたいとの楯委員からの申し出があります。これを許します。楯委員
  56. 楯兼次郎

    ○楯委員 私は農林大臣質問というより一つ骨折っていただきたい、援助をしていただきたい問題がございますので、関連をしてお伺いかたがたお願いしたいと思います。  妙なことを言うようでありますが、二十二国会井出農林大臣も提案者の一人でありまする国土開発縦貫自動車道法案が提案をされておりますことは、これは提案者でありますから御承知だと思うのです。ところが、今日に至るもこの法案が通過をいたしません。従って、今国会においてはどうしてもこの法案を通過させたいとわれわれ努力をいたしておるわけであります。  なぜ農林委員会において私がこの法案を持ち出したかといいますと、昨日来日本農政についていわゆる基本的な問題が論議をされました。当面いろいろな問題があると思いますが、やはり日本の零細な農耕地を拡大をしていくということ以外に私は根本的な対策はないと思います。ところが、御承知だと思いますが、建設省はわれわれの提案をいたしました国土開発縦貫自動車道、特に当初手をつけたいと考えております東京・名古屋間、いわゆる中央道と言われておりますが、この中央道に反対をいたしまして、あくまでも東海道を固執をする、こういう建設省の意見であったのです。もし東海道に自動車道というものが設置をされました場合には、あとで述べたいと思いますが、日本農政にとって重大な影響があると私は考えます。提案者であられます井出農林大臣は、われわれの提案をいたしました開発自動車道法案がどのように日本の農林関係に影響を持つものであるかという点をお考えになったことがあるかどうか、こういう点をまず第一番にお伺いをいたしたいと思います。
  57. 井出一太郎

    井出国務大臣 国土開発縦貫道路について第二十二国会においてお前も提案者の一人であった、こういう御指摘でございますが、少し時間が経過しておりますので、私も突然の御発言でございますので、記憶を新たにいたしておるわけであります。  そこで、これは田中プランというふうなものが基礎になっておりまして、私も田中氏から当時いろいろと説明を聞いたことがございます。これによりますと、主として山林原野というような地帯を縦貫することでございまして、既耕地を特によけいにつぶすというふうなことも避けられるというように伺っておるわけでございます。年々良田良畑が非常に壊廃されるという現状にかんがみますと、一方道路の必要性もこれまた否定をすべからざることでございまして、彼此勘案をいたしますと、こういうプランはけっこうではないか、私こういう考え方でおるわけであります。
  58. 楯兼次郎

    ○楯委員 詳細にわたって農林大臣どう考えておるかと聞くことは、私の方が無理だと思いますが、今どちらを選ぶかという段階に立っております。きょうも社会党の交通委員会で、あくまでも参議院で修正をした原案をそのまま通さなくてはいけない、こういうふうにわが党は決定をしたわけでありますが、ごく概略に申し上げますると、日本の自動車が戦前の最高の二十倍ぐらいに増大をして参りました。従って、建設省の方で考えておりますのは、いわゆる交通緩和、ただ自動車その他の車両の交通、輸送の緩和をするために東海道がよろしいであろう、こういうことです。われわれは莫大な費用を投入いたしまする道路でありますから、国土開発という条件が伴わなければいけない、そのためには、既耕地の壊廃、つぶすような東海道ではいけないし、東海道では交通緩和のみには役立つであろうけれども、将来国土開発特に農耕地の拡充という面からいって趣旨に沿わない、こういって反対をいたして参りました。ところが、先年アメリカからワトキンス調査団が参りまして、東海道も必要であろう、あるいは中央道も必要である、こういう不見識な答申を残して帰ったわけであります。日本の国が財政的に非常に裕福なアメリカのような国でありますれば、このワトキンス調査団の意見も採択をすることができるのでありますが、片方を作るだけで精一ぱいだと思います。従って、こういうワトキンス調査団の結論を信奉して事を進めるということは日本実情に合っておらない、こういうふうに私ども考えまして、どうしてもこの自動車道は未開発地を通る道路でなくてはいけない、こう考えております。  それで農林大臣にお願いをしたいと思いますのは、きのうきょうさらにコースを変更いたしまして、政令できめる、建設省が、中央道は一応やかましいから調査をしよう、しかし、その調査の結果に基いて政令でこのコースをきめていく。このことは何を意味しているかといいますと、参議院で修正をいたしましたのは、衆議院で建設省の意向が強く反映をされまして、今コース予定地を法律にうたうことはいけない、一応調査をしてみてさらに妥当であるかどうかということをもう一回国会にかけて最後的にこのコースをきめよう、こういうことに、まあわれわれの意向が強いので、あなたもそうでありますが国民の意向が強いので、それまで譲歩したわけです。参議院でそのように修正いたしましたが、今度はさらに今国会で建設省などの修正案を見ますると、これは政令できめる、こういうことをいっておるわけです。時間の関係上中間を省略いたしますが、その意図は何かと申しますと、いわゆる東海道に作るということはこの法案の精神からいってできない、また各全議員が賛成をしているから、これを変更するということはできない。しからば調査をした結果、これは理屈はつくと思います。工事が困難だ、経済効果がない、こういう理屈がつくと思いますが、調査をしてそのあとにさらに国会にかけて決定をするということに修正した。しかしそれでもまだ安心ができないから、政令によってこのコースをきめる、こういう修正案を今日出してきておるわけであります。表面上は大した影響はないようでありますが、われわれのように当初からこの法案の説明者になっておりまする者は、ねらうところは何か。これはあくまでも東海道案である、こういうことに思われますので、閣議等においてはぜひ、あなたも提案者の一人でありまするから、参議院修正の原案を通すように一つ御尽力を願いたい、こういうことを大臣に特にお願いを申し上げたいのであります。私はいろいろ資料もありまするけれども、こんなことは多く言う必要はないと思います。今中央道にこの道路が決定になりましたならば、専門家でないからわれわれ何とも言えないのでありますが、東海道案の場合には田が七百四十二町武もつぶれるのです。それから畑が三百八十六町歩もつぶれます。中央道の場合は比較的肥沃な田畑というものが少いので、これの三分の一くらいで済む。その犠牲が少く済んで、得るところは――これは金も莫大に要るでしょう。あるいは日にちが相当かかるわけでありまするが、相当大きないわゆる農耕可能地が努力いかんによってはここに形成されてくる、こういうふうなことになっております。森林等の問題につきましても、大体東京―名古屋間は生長率がわれわれは四百万石、こういうふうに踏んでおります。御承知のように赤石山脈あたりの山中では、もうとれないから、みんな腐ってしまうということを聞いております。口元をどんどん切るから、治山治水の対策に非常な額が要る。いわゆる悪循環を繰り返しておるわけです。そこへ一本大きな道路を作ることにおいて、それに枝線ができて自然な森林資源の確保というようなものが私どもはできるんじゃないか、こういうふうに考えておりまするし、それから農耕可能地が中央道の場合には八万町歩作ることができる。これはわれわれの方の頒布資料の考え方でありますから、当を得ないかもしれませんが、かように考えておるわけです。従って当面は東海道にできるといたしましても、中央道にできるといたしましても、いわゆる交通緩和が対象でありまするから、そう大きな反響はないと思いまするけれども、今後五年、十年たちましたならば、いわゆる日本農政の上から、東海道にできました場合には大きな損失をこうむる、こういうことになると思いますので、ぜひこの問題を一つ御研究になって、今どちらにするか、これを改正するか、この法案を修正するかどうするかということで、関係者い相当論議をはたしておりまするから、ぜひ一つ参議院の修正原案で国会を通過できますように御尽力を願いたいと思います。特に井出農林大臣の出身県であります長野県は、中央道に対して県知事以下もう非常な熱の入れ方でありますので、こういう点も勘案をされまして、ぜひ御尽力を願いたい。一つ努力をされるというお言葉をいただいて、私の質問を終りたいと思います。
  59. 井出一太郎

    井出国務大臣 実は私これは直接の所管事項でもございませんし、今唐突に御発言に相なられましたので、少しく研究をいたす時間的余裕をお与え願いたいと思います。技術的な問題等いろいろございましょうが、十分研究の上で善処いたしたいと思います。
  60. 楯兼次郎

    ○楯委員 もう一言。大臣は研究されると言いますが、私は繰り返すようでありますけれども、今この法案を原案で通すかどうかという段階に来ておるわけです。もし修正をされますと、これは二年、三年たっていよいよ着工というときには、われわれこの法案に携わってきた者の勘でわかるのでありますが、中央道が抹殺をされるというおそれがあるわけです。そうなってはこれはおしまいでありまするから、ぜひ原案で通していただく。コースだけは法律ではっきりきめておいて、そうしてあとの問題はあとで考えていく。だから今大臣が研究をされて、その成案を得られた持分には法案が修正をされてしまうと思うのです。だから時期的な問題がありますので、特に私は代表質問の方にお願いをして時間をいただいたわけでありまするから、一つ無修正でこの法案が通るようにしていただきたいと思います。それは東海道の場合でもいろいろいい点はございます。たとえば東海道は今非常に自動車が多い。相当な資金をぶち込むのには、中央道より東海道の方がすぐペイされるわけです。いわゆるもうかりまするから、大半の人が中央道より東海道の方がよろしいと言うのじゃないか。しかしこれは目前の緩和策にはなりまするけれども、遠い将来の基礎を確立することにはならない、こういうふうに思うわけです。しかもこれができ上るかでき上らないかは、先ほど申し上げましたように森林の関係あるいは農耕地の拡大に非常に影響がある。農林事務当局もこの問題を御研究になって、どうせできるのであるから、できるとするならば、将来この未開発地を開発するような方向を選んでいただきたい。時期の問題がありまするから、あなたも提案者ですから、もう考えることは必要ないと思いますので、ぜひ原案で通過するように、くどいようでありますが最後にお願いをしたいと思います。
  61. 井出一太郎

    井出国務大臣 御要望の点はよく承わりまして、先ほど申し上げたように一つ善処させていただきます。
  62. 中村時雄

    中村(時)委員 昨日石田委員から資料要求として、昭和三十二年度の食管会計の部門別損益とコストの明細及び経費の部門別割り振り、それを会計年度別にやってもらいたい、こういう資料要求をしておったのですが、本日こちらに資料要求の国内米コストの内訳が出ておるわけです。これはよく聞いておってもらいたいのです。あなた方の出されるものは表面的なものだけで、こういうものを蓄積されていったのではほんとのコストが出てこない。そこでわれわれはわれわれとして資料要求をしているわけです。私の言っていることは特に細別を言っているわけです。だからこの農林省から出された資料の中で、もう一歩私が突っ込んでおきたいのは、特に国内米コストの内訳に当って、集荷手数料、運賃、保管料、これはこれといたしまして、特にその中で事務費、金利、この問題はもっと深く私は要求しているはずなんです。事務費のうちでは、百五十四円となっておりますが、それを米麦に分けまして、米の方は外米、それから内地米、外米の方は準内地米、普通外米に分けてはっきりと出していただきたい。それから米麦以外の農産物等に対しまして、菜種、澱粉、切りぼしの資料、これをはっきりと打ち出しておいていただきたい。それから先般私の方からお願いいたしました砂糖に対するところの資料提出がいまだはっきりとしていませんので、その点もあわせて含んでおいていただきたい。  もう一つそれに追加いたしまして、基本の配給、希望配給の計画量並びに配給辞退数量、これを三十年四月以降最近までの実績を月別、府県別に一覧表として明示してもらいたい。それから保管料について、その、実情及び今年度の計画、特に営業倉庫と産地別の倉庫との割合、これを出していただきたい。それから食管会計の人件費と一般会計の人件費の区分、及びその内訳の明細、それから政府の所要経費の年度別推移を二十五年度以降において示していただきたい。これは中間経費のふくらみの問題がありますから……。それに付帯いたしまして集荷手数料、運送費、保管料、金利、ロス、これを政府の経費としてはっきり出しておいてもらいたい。それから販売経費の問題で、販売のマージン、続いてそれに対するロス、同時に政府の売り渡した後にくる販売マージンの明細を示していただきたい。  以上、つけ加えまして資料の提出を要求した次第です。  それから今の問題で、よくあなた方は、細微にわたって非常にむずかしいので困るのですという言いわけをされるのですが、細微にわたって困るのだったら米価の決定なんかできやしない。その点、お含みの上で出していただきたい。これをあわせて御要望申し上げておきます。
  63. 永野正二

    ○永野政府委員 今、食糧庁長官が参っておりませんのでよくお伝えいたしまして、できるだけ早く可能な限り提出いたしたいと思います。
  64. 中村時雄

    中村(時)委員 火曜日までには食管の赤字の問題も出てくるだろうと思うのです。それを見通していくためには、どうしてもそういう線からいろいろ勘案しなければならぬと考えられるわけです。だからそれまでに間に合うようにしていただかぬと、提出されてその場で見て質問することはできないわけです。そのことを十分配慮されて、それに間に合うように提出方を依頼したいと思うのです。
  65. 永野正二

    ○永野政府委員 可能な限り取り急いで提出いたします。
  66. 小枝一雄

    ○小枝委員長 赤路友藏君。
  67. 赤路友藏

    赤路委員 大臣の施政演説を中心にして御質問してみたいと思います。井出さんが大臣におなりになりました直後、農業とは本来泥くさいものであるというようなお言葉があったように思うのです。これは日本農業の現状を的確に把握されておる言葉であると私は賛意を表するものであります。それだけに井出農林大臣に対する期待は非常に大きなものがあるわけです。昨日来同僚委員質問にお答えになっておった点等を勘案いたしてみますと、井出さん個人の考え方としては日本農業の将来を非常に御心配になり、しかも日本農業の安定と近代化をはかっていく意欲と熱情のあることは十分認められるのでありますが、残念ながらそのお考えを来年度予算面との食い違いというものは否定するわけにいかぬ。石田君も昨日その点に触れましたが、農林予算が後退しておることは大臣も率直に認めなければいかぬと思う。昨日の石田君の質問に対する答弁の中に、農林漁業金融公庫の融資ワクのふくらまっておるということがありました。これは非常にけっこうなことでございます。ただ、ここで考えなければならぬのは、これはあくまでも貸付であるということである。従って、返さなければならない金であり、また利子を付さなければならない金である。金を貸す方の立場からこれを考えてみますと、やはり貸す限りにおいては償還の可能という前提に立つことは金融機関として当然であると思います。そうなって参りますと、井出農林大臣がおっしゃっておるように、悪条件を非常にたくさんかかえた日本の農家、先ほど吉川委員の御質問に御答弁になっておったように、一般産業は景気上昇で日当りがよいが、農業の方は日が当っていない。こうしたアンバランスを是正していくのだ、大臣自身が言われるように、農村は一般に考えられておるような良好な状態ではない。それだけに、融資という形では、ある村においてこれを考えました場合においても、中農以上といいますか、上層の農家は融資の対象になりましょう。しかしながら、ほとんど大半を占める中以下の農家はこの融資の対象にならない。こういうところに私は非常に問題点があると思う。今度の予算でも一番問題の点はこういうところだと思います。もっと率直に申しますと、融資に切りかえていくということは、農林経費の方から言えばこれは安上りでございましょう。しかし、農業政策としては非常に問題点があると思う。この点に対する大臣の率直なお考えをお聞かせ願いたい。
  68. 井出一太郎

    井出国務大臣 日本の農村のただいまのあり方についてるるお述べになりました点、これは私が昨日来いろいろ申し上げております点と大体一致した認識の上にお立ちになっておると思うのであります。従いまして、本年度の農林予算につきまして、私もこれをもって決して満足をしておるものではございません。それは率直にこのほど来、このワクの中であとう限りのあんばいをいたしまして欠陥を補いたいというふうに申し上げたわけであります。  それから融資はどうしても富農層に厚く行き渡って中小農家というものがその均霑を受けないではないか、こういうお話でございます。この点は、農業自体金融を十分にこなし得るような基礎条件を作り上げなければならない、こういう考え方を持って当っておるのでございまして、当面は御指摘のような状況もあろうかと思いますが、私の意図するところは、その条件等はできるだけゆるやかなものにいたして中小層まで均霑する努力をいたしますと同時に、もう一方においては、このほど来申し上げる農政全般の問題として、この金融を受け得るような基礎条件を作り上げる努力をいたしたい、こう存じております。
  69. 赤路友藏

    赤路委員 こまかい点につきましてはまた後ほど事務当局とよく質疑をしてみたいと思います。ただいま大臣が言われましたように、そういうような零細な農家が金融をこなし得るような諸条件を作り上げていく。非常にお苦しい立場にあったろうと思いますが、しかしながら十七億二千万予算面でふえておるということは、決して昨年度からは実質的にはふえたことにならない。これはきのうも石田君が指摘いたしましたように、物価の上昇指数を見て参りましても、そのことははっきり言えると思うのです。その限られた少い中で操作をやっていかなければならぬ、こういうむずかしさがあると思います。大臣の意図はよくわかりますので、十分その点の御調整をおとり願いたいと思います。  次に私は新農山漁村建設運動についてお尋ねいたしたい。先ほど吉川委員からも触れられたのでございますが、特に大臣は、この施政演説の中に、「第一に実施して参りたいと考えておりますことは、農林水産業の生産基盤を強化し、資源の有効利用を促進するための諸対策を強力かつ効率的に実施することであります。」ということを言われておる。これは私たちも大賛成でありますが、そういう意味においても、この新農山漁村建設運動というものは進められなければならぬと思う。先ほど吉川委員が触れましたように、昨年度のこの進展の状況を見てみますと、確かに有線放送というものが相当大きなウエートを占めております。大臣は有線放送だけが大部分の実態ではない、こういうふうにおっしゃっておるので、それは大部分といってもいろいろあると思いますが、事実昨年つけられた予算の三分の一をこす金額がこの有線放送に向けられておる。この数字は後ほどまたお調べ願ってもいいと思います。件数にいたしますならば必ずしも大きなものではございませんが、そういう形になっておる。本年度この運動を推進していく場合は、先ほどの御答弁のようにそれらの面も十分御調整は願えると思いますが、この点については御留意を願いたいと思います。  第一点としてお聞きいたしたいことは、この新農山漁村建設の実施に当る事業量が一事業体当り一千万円が大体の単位になっておる。この一千万円という単位では、今大臣がおっしゃっておられるような生産基盤を強化するというのにはいささか事業単位としては額が小さ過ぎるのじゃないか、こういうことを考えるのですが、この点に対して大臣はどういうふうにお考えになっておるか。  第二点は、現在の事業遂行に当っての補助の問題でありますが、四割補助になっておる。ことしからは、昨年と違って新しい形で補助の五〇%を二年間でお出しになるようでございますが、問題は、御承知の通り、今日の地方財政の枯渇といいますか、非常に地方が財政的に困難な状態になってきておる。そういうような段階の中でこの事業を遂行する場合、かなり余裕のあるようなところが事業をやっている。やりたくとも非常に負担が大きくなるために事業がやり得ない、こういうようなアンバランスが生じてくる。今日のような状態の補助率のままでは、このアンバランスがますます広がってくるということになりはせぬか。それは当初の意図とやや方向の違った方にいくやに思われますが、この点について大臣はどうお考えになるか。この二点をお伺いします。
  70. 井出一太郎

    井出国務大臣 先ほどの有線放送の問題をちょっと申し上げますが、大体昨年度事業費として十四億円余りでございましたが、そのうち二五%程度の数字を占めておるようでございます。今そういう報告に接しましたから申し上げておきます。  そこで御質問の第一点は、この新農山漁村振興計画が一千万円という規模では小さ過ぎはしないか、こういう御指摘でございます。これはもとより多々ますます弁ずることには違いございませんけれども、まあ当面のところは一千万という、いわば少しくまとまった金でございますので、これを最も有効適切に、その地域の立地条件に合った方向に使用いたしますならば、所期の目的の大よそは達せられるのではないか、こういうふうに考えておるのであります。  それから地方財政が枯渇しておる現状は御指摘通りでございますが、非常に裕福な地帯としからざる地帯との間にアンバランスがあるだろう、確かに現実の形態はそういう状況も出るかもしれませんが、まあともかく昨年手をつけまして、まだ経験、日も浅いという点もございますので、そのあたりは、これから第二年目にとりかかるそういう際に、御指摘のようなことをも十分心得まして臨んでいきたいと考えております。
  71. 赤路友藏

    赤路委員 次にお尋ねいたしたいことは、先般政府は麦の払い下げ価格を引き下げた案を発表されております。今日食管会計の赤字補てんが問題となって、しかもそれが解決をつけることなくそのままほおかむりの状態で調査会の結論を待つ、こういうふうに逃げた態度になっておるわけであります。この点には触れませんが、この麦の払い下げ価格を下げたことも、農民の方ではそれに刺激されまして生産者の麦価格が引き下げられるのではないか、こういうようなことを非常に心配しております。また二割程度下げるのだというような風説まで飛ぶようでありますが、万一そういうような事態が起るといたしますと、これは麦作農家にとっては大問題であります。また麦作にかわるべき転換作物があるかというと、なかなかこれもむずかしい。生産費割れを自認しながらやっていかなければならぬというような事態に追い込まれる可能性があるわけです。非常に農民の心配している点でございますので、大臣の麦価に対するお考え方というようなものをこの際率直に伺っておきたい。
  72. 井出一太郎

    井出国務大臣 お答えいたします。先般麦の売り渡し価格の改訂をいたしましたのは、ごく期間を限りまして、二月にこれを引き下げるものの、八月にはまたこれを戻すという条件があるわけであります。これは御承知のように精麦業界方面において、麦の逆ざやというような関係からいたしまして非常に苦境に陥っておって、工場の休止するもの、倒産するもの数知れないという状態でございます。そこで一つは、麦の価格を下げます分を蓄積をいたしまして、業界自体の共助金ともあわせて企業整備の方向を指導いたしたい、こういうことでございますので、これは生産者の価格をどうこうするという基本の問題とは関係のないことを御了承いただきたいと思います。そして麦については、これはさっき逆ざやと申し上げましたが、日本の生産の条件が、特に小麦の場合は国際商品でありまする海外の麦と比べまして苦境に追いやられておることは赤路委員もよく御承知だと思います。しかしながら本年の麦はすでに作付け、生育途上で、ございまして、これに影響を与えるというふうなことは万避けなければならない問題でございまして、当面その御懸念はない、このように御了承願います。
  73. 赤路友藏

    赤路委員 次に農産物価格安定法の運用についてお尋ねをいたしたいと存じます。大臣も御承知と思いますが、特にその中でカンショの問題でございます。三十一年度は、生産地においては政府の支持価格二十四円五十銭にもかかわらず、これが十六円六十銭あるいは十七円というような大暴落をやったために、農民は非常に困った事態に追い込まれたことがあるわけです。これはもうすでに御承知だと思う。そこでこのカンショ対策をどうするかということは、特にイモ作農家にとりましては重大な問題なのであります。今日政府の手持ち澱粉をちょっと調べてみますと、大体二千九百八十九万貫と三千万貫近いものを政府が手持ちしておる。業者の手持ちの方は推定で大体一億三千万貫、こういうふうに言われております。そうなって参りますと、双方合せまして手持ちが約一億六千万にも達する。これの消化をどうするかということが一点非常に問題になろうかと思うのです。そこでこのカンショ価格を安定するということに対する何か御構想がありますかどうか、この点をお尋ねしておきたいと思います。
  74. 井出一太郎

    井出国務大臣 昨年政府の支持価格をはるかに下回った形で現地において取引をされ、そのためにイモ作農家が大へん苦境に陥ったということは承知しております。なかなかこれ名案と申しましても、農産物価格安定法による買い上げを続行し、あるいはそのワクを広げるというようなことが当面の対策ではございましょうが、基本的にはこの用途について新しい発見をするという努力をしなければならぬと思うのであります。たとえば結晶ブドウ糖というような方面に、これは技術的な関係もございましょうけれども、新しい方途を発見する。こういうことにつきましては、農林省としても鋭意努力をしておる現状でございます。
  75. 赤路友藏

    赤路委員 ただいまの大臣の御答弁をそのまま私は受け入れていいと思います。ただ恒久的な方法としてどうするかということはよく研究しなければ、すぐ出てくる問題ではないと思います。いろいろな案があるようでございますが、それぞれやはりひっかかりがある。当面の対策としては、やはり買い上げを続行するということと、それからこのワクを拡大するということ、これ以外にはないと思いますが、もう一点、昨年の経過から見まして、これの下落を始めましてから最低までの期間は十日もしくは十五日、その間にがたがたと落ちてきておる。これを考えていきますと、政府の出します支持価格、これが歴年出されますような十月の末でなしに、これよりも少くとも十日もしくは十二、三日早く支持価格が決定されますと、この点は十分といかぬまでも補いはつけられる。すでに支持価格が出たからというので、商人の買いたたきを排除するという手が出てくるわけであります。ところがいつも指示価格が出ますのは、これは十月の二十六、七日ごろです。昨三十一年度もそうであったと思います。農産物価格安定法によりますと、十月末日までに出せばよい、こういうことであります。従って何もそれは法に対して間違ったやり方ではないのだが、現実にはやはり支持価格を早めに出すということが、かなり有効な措置になる、こういうふうに昨三十一年度の経験から感じるわけでありますが、それが技術的に一体できるのかどうか。これは少し食糧庁の方と統計調査の方で検討していただきますならば、十日間程度は早められるのではないか、こう考えるわけです。大体支持価格を出しております基本は、これは十月一日現在の調査によって、最終的な発表は十月二十五日というところに押えておる。この間を十日くらい縮めるということは、私はいろいろ現地の統計の諸君とも話し合ってみましたが、できる、こういうふうに考えられるわけです。この点につきましては直ちに大臣に御答弁を得ようとも思いません。こういう方法もあるのだということで十分御研究をお願いしたい。  それからタバコ耕作のことであります。在来ともタバコということになりますと、これは大蔵省の管轄であって、何か農林省の管轄でないような形で放置されておった。もっと率直に申しますと、農林省の方はこれらの耕作者に対してはやや軽視したきらいがあるのじゃないか、今まで大蔵当局とどういうような折衝をしたか、あるいは耕作者の内容は一体どうであるのか、こういうところまでは深く掘り下げておやりになっていなかったのじゃないかというふうに考えられるわけです。大臣も御承知の通り政府の歴年の予算を見てみますと、専売益金として政府が専売公社から納付させておりますのは、千二百億円程度毎年組まれておるわけなのでありますが、その中の大半はたばこ益金なのです。そういうような一千億前後の厖大なたばこ益場金を政府が納入させておる。にもかかわらずそのタバコを耕作する耕作農民のほとんどが生産費を割っておるという、この現実は見のがしてはならぬと思う。少しこまかい数字になりますが私の現地で調査した、しかもこの調査は、専売公社がタバコ耕作組合を通じて出した方式に基いてやったものなのです。三十一年度の耕作の実例を申し上げます。反当ですが種苗代が三十円、肥料代が一万三千百二十一円、乾燥燃料費が四千七百五十円、諸材料が四千百二十一円、防除費が千三百十円、農具費が二千七百三十三円、建物費が一千七百二十六円、労働費が三万二百二十五円、畜力費が七百五十円、賃料料金五十三円、包装材料が千円、輸送費が七百八十五円、地代が百二十円、利子が五千九百二十二円、耕作衣料が七百二十八円、租税が八百七十九円、公課が七百七十八円、諸負担が四千九百九十円、その他六十円、こうなって支出総額が反当り七万四千八十一円になっておる。これに対する収納が、私の調査したこの収納代金では八万二千八百四十円、そうしますと差し引き利益が反当八千七百五十九円出ておる。ところがこれをその部落全体のタバコ耕作者から調べてみますと、九十七人のタバコ耕作者に対して、こういうようにわずかでも利益を出しておるのは五人しかありません。あとはすべて大小の差はあるが生産費を割っておるのです。しかもこの内容から見て参りますと問題点が三点あるのです。  まず第一は労働費なのです。労働費は男子で一日八時間に換算して三百十円、女子は二百六十円。三百十円というのはこれは失対事業をやる人たちの賃金なんです。現に米価を算定いたしますときの一時間当りの労賃は六十一円六十七銭でやっておる。米においてそうなんです。同じ農民でありながら、しかも政府が千二百億からの専売益金をとるタバコ耕作者に対して、三百十円で押えるということは妥当かどうか。ここに一点の問題点がある。  第二点の問題点は畜力費で、畜力費は七百五十円、これはどういう計算をしておるのか、計算基準を聞いてみますと、農家が自分の住宅から農地に出ていく、そのとき住宅から現場の農地までの往復の時間だけを畜力費に充てている。だから向うまで道具を積んでいく、そうして農業をやる、その農業をやっておる間は畜力費は全然見ない。だから反当り七百五十円なんです。これが妥当かどうか。  しかも諸負担というのがある。これはタバコ耕作組合の組合費なんです。四千九百九十円、反当収納代金の五分を納めておる。これでは救いようがない。かりに今米の生産費を計算するときに使いまする六十一円六十七銭――これは約五百円です。五百円で二十五日間の稼働としていきますと、それで一万二千五百円、この計算でいきましても公務員ベース、その他から見てこれはぐっと低い。しかしそういう計算をしますと、八千七百五十九円のものが逆に四千五百三十三円の赤字になります。こうなってきますと耕作者は――農民はですよ。働いておってもよくなりようがないのですよ。米のこと、麦のこと、いろいろ御心配は願っておりますが、タバコ耕作については今までやや軽視してきたきらいがありはせぬか。これらに対して何か対策はお考えになれないものか、大臣に御意見がありましたらお聞かせ願いたい。
  76. 井出一太郎

    井出国務大臣 私そのタバコ地帯の出身でないものですから、あまりよくタバコの原価計算等は存じないのですが、今非常に周密な数字をお示しいただきましたので、大へん参考に相なりました。従来タバコの問題はどちらかというと大蔵省にまかせたような感じが、御指摘のようにあったかもしれません。しかし今日のタバコの持っておりますウエイトというものは、これは農家の経済の上に相当なものであろうかと思うのであります。従いましてこれからは振興局でありますとか、あるいは技術会議等の問題として取り上げる値打ちがあるだろうと思うのであります。あるいはまた今の経済調査等は統計調査等でもおそらく手をつけておると思います。そういう面で一つ十分に今後は注意をしてやって参りたいと思います。
  77. 赤路友藏

    赤路委員 この問題は突然のことでありますので、その程度のことでけっこうと思いしますから、十分善処されんことをお願いいたします。  次に大臣は施政演説の中で、国民食糧消費構造の高度化に照応し、畜産物、野菜、果実、水産物等を含めた総合的食糧供給力の増強をはかり云々ということをおっしゃっておられる。非常にけっこうなことでありますが、このことのために増強をするというだけであってはならないと思うわけなのです。消費構造に対応する対策というものが、当然考えられてこなければならぬのではなかろうか。農作物、果実、それぞれ非常に腐敗、変質のしやすいものである。特に水産物に至りましては、これは農作物等にも増して腐敗の度合いというものはひどいものです。最近のデータによりましても、豊漁のとき等では四〇%から五〇%が食用不適というような状態にもなっておる。こういう現状が、生産者よりは安く買って、消費者の方へ高く売らなければならぬという中間マージンが非常に膨張してくる原因ではなかろうか、こういうふうに考えられるわけです。生産者の価格を安定せしめていくということ、あるいはまた消費者に安い新鮮な栄養価のある食糧を供給するということ、このことは、これは生産者の立場からも真剣になって考えてみなければならぬのじゃないかと思う。大臣の計っておられますように、食糧消費構造の高度化に対応するのは、単に供給力をふやすというだけでなしに、生産とともに貯蔵、加工、利用、こうしたものの総合対策というものが真剣に考えなければならぬのじゃないか。これは農林大臣に申し上げるのは、食糧のそういう利用は管轄外かとも思いますが、少くとも大臣は生産者の生産費を安定せしめるという形の上からも、これは一つ真剣にお考え願わなければならない点じゃないかと思う。遺憾ながらはこうした日本の重要な食糧に対する総合研究機関のあることも聞かない。一例をとってみますと、御承知の通り、今日あの牛乳の容器、テトラと申しますか、あれもだいぶ問題になると思う。非常に莫大な権利金を出しておわけです。しかもあのわずかの紙か日本でできないために、これを輸入しておるという、そうしたことがコスト高を来たしておる。これは一個十三円ですが、こういうことは私はやはり民間の営業者にまかせ切りにまかしておくべきではないと思う。やはり国が大きく力を入れて、真剣になってこれに取り組んでいかなければらぬのではなかろうか。こういう点について何か御感想があれば、御意見があれば承わりたいと思います。
  78. 井出一太郎

    井出国務大臣 赤路さんから、食糧消費構造の高度化という私の構想に対して御賛意をいただいたことは、まことにありがたいのでありますが、同時にそれだけでは事は足らぬぞ、当然これに対しては貯蔵とか、輸送とか、あるいは加工、利用の面においてあわせ考えるところがなければならぬ、これは全く同感でございます。そこでそういう面への考慮も払いまして、たとえば貯蔵施設というような面に当ります場合には、金融の措置なども昨年に増したワクも設定しているつもりでございます。それでこういった生鮮食料品は確かに腐敗性のひどいものが多いのでありまして、地域的に非常に偏在的な増産が行われます場合は、市価の低落を招いて、かえって所得の減を招くような面もあるわけであります。ですからそういう面は総合的に勘案いたしまして、ある程度計画性を持たせるというようなことを、指導の面に特に取り入れて参りたい。そのように存じているわけであります。
  79. 赤路友藏

    赤路委員 それではこれから水産問題について、大臣の御所見を承わっておきたいと思います。ただいますでに日ソの漁業についての合同委員会が開かれております。この会議の焦点は、漁獲量をどうするということがまず焦点になろうと思う。せっかくただいま委員の人たちが非常な御苦労を願って折衝を続けておられますので、今しばらくはこの会議の経過というものを十分見て参りたいと思います。ただこの際大臣に申し上げておきたいことは、たしか前国会の当時であったかと思いますが、河野前農林大臣が、何か漁獲量の面で、八万トンとか十万トンというようなことをおっしゃったようでございます。しかしこれは私は了承すべき筋合いのものにあらずと考えております。これは公式の文書でも何でもない。だからまあ非公式に茶飲み話に出た程度であると私は考えております。河野さんの、日ソ漁業の問題をここまで持ってこられた功績は買うといたしましても、少くともこれは、問題になされようといたしておりますが、われわれは了承すべき筋合いでない、かように考える。その点をよく腹の中に大臣は入れておいていただきたい。もう一つは、今日御承知の通り、北洋鮭鱒だけをとってみましても、独航船、四十八度以南の流し網、これは両方で一千四十隻になっております。これに関連産業を入れますと、このことによって生活をしていく者が約三十万人といわれております。従ってこの動向のいかんということは、これらの人たちの死活の問題なんです。それだけにこれに関係をする業者、漁民の要望というものは、これはほんとうに切実なものがあるわけであります。この点を一つ十分腹に入れておいていただきたい。およそいかなる線が出るか知りませんが、これらを整理するなどということは断じて行うべきではない。この点を大臣一つ十分腹に入れておいていただかなければなりません。それからもう一つ会議が進行中でありますからあまり触れたくはないのでありますが、この会議に至りまする前、もっと率直に申しますと、ソ連代表がモスクワを立ちます前にモスクワ放送がなされております。やはり依然として日本は沖合いにおいて鮭鱒を乱獲しておるということであります。しかもその内容を見て参りますと、魚族の維持、増強のために、産卵、孵化、放流ということをソ連側はどんどんやっておるのだ、こういうようなことを言っておるわけなんです。これを日本側の立場から申しますと、乱獲するというようなことはこれはみずからの自殺的行為なんです。そんなばかなことは、何ぼ業者がばかであってもやりはいたしません。そういうことはあり得ない。またこの資源の保持、あるいは増大、これはソ連側よりも日本の方が歴史的にも経験的にもずっと上なんです。ソ連さんに言われるまでもなく、日本はみずからのものとして歴年相当大きな経費をかけてやってきておることでありますので、これらの点は十分ソ連側の代表の諸君に理解してもらうような努力を重ねていただかなければならないと思う。もちろんこの鮭鱒の沖合いにおける操業というものは、これは日本だけに限られた操業であるかもしれません。しかし日本の現状というものは、沖合いにおけるそうした操業をやらなければならないという現状にあることをも知悉せしめる必要がある。  それから第二点は資料の面でありますが、これは残念ながら、日本側の資料ももっと整備しなければいかぬと思います。ただしかしながら、ソ連側は、何か言うとすぐ沖合いで乱獲しておる、こう言っておりますが、それらのことはすべてサケの習性――産卵する場合に川に上っていく、この川へ遡上するものが少くなった点を押えて言っているわけです。その中に、ソ連自体が今日五カ年計画、五カ年計画の連続で奥地開発をやっておる。この奥地開発による河川の荒廃ということがそれより以上に大きな影響を及ぼしておると私たちは考える。それだけにこれらは双方ともに学者なり、技術者なり、それぞれ経験者が共同調査をしなければならぬ問題の点だ、私はこういうふうに解釈いたしております。もう一点ソ連側で全然触れていないのは、オットセイによるサケの蚕食です。今度オットセイ会議では百六十万頭ぐらいというふうな線が出たようでありますが、少くとも私がそれぞれの経験者から、あるいはその他のデータから調査してもそんな数字はない。おそらくオットセイの増大するのはもうピークにきておるのではないか。三百万頭近いものになっているのではないかと思う。このオットセイ及びこれと同じようなラッコとかアザラシとか、こうした海獣の沖合いにおけるサケの蚕食量というものは実に膨大なものだと私は考える。この点に対しては一点も触れておりません。うっかりすると私は日本の沖合いでとる漁獲量よりも、オットセイなり海獣によって蚕食されるものが上回るのではないか、普通のものではつきませんが、サケの頭をやるとオットセイはくっついてくる、最も好物なんです。こういうような条件から見て参りましても、ソ連側の出したデータというものは必ずしも私は正確であるとは思いません。どうかそういう面も十分腹の中に入れられて、今度のこの日ソの合同委員会の席上においては十分主張するところを主張してもらいたい。この点に対して別段異議はおありではないと思います。ただ決意のほどをお聞きいたしておきます。
  80. 井出一太郎

    井出国務大臣 赤路さんから専門的なお立場でるる御意見を聞かせていただきました。これは一つにはただいま展開中の日ソ漁業委員会におきましては、私も責任者という立場に相なっておりまするので、赤路委員から激励のお言葉をいただいたと了解をいたします。また非常に問題の重大性をおもんぱかられまして、御発言も非常に御親切と申しますか、十分周密な御配慮をなされての御発言に傾聴をいたしたわけでございます。この沖取り漁業につきましての日本側の従来の経験あるいはそのデータ、こういうものも十分取りそろえておりまするし、またオットセイその他についての御見解もよく承わりました。よってきょうの御発言等は目下交渉に当っておりまする当事者にもよく伝えまするとともに、十分腹を据えて決意を持って当る所存でございます。
  81. 赤路友藏

    赤路委員 これに関連いたしまして、これは大臣の御答弁はどうかと思いますが、次長がおられますから次長でけっこうです。予算面を見てみまして不満な点はありますが、北洋鮭鱒等の生物資源調査に対しては本年度大学練習船が一船増しておるようです。これはまずいいといたしまして、今度の委員会で問題になる魚種なんですが、にしんの調査は全然考えておられないのかどうか、カニは新しく調査は出ておりますが、ニシンは新しく調査が出ておりません。これが一点。それからはえなわ漁業の本年度の操業を一体どうするか、これは昨年これが問題になりましたときに、私はるる御注意を申し上げておいたはずであります。これをへたにやると必ず漁場が混乱する、問題をかもす、現に違反船が出て流し網を切ったとか、いろいろな紛争が起ったことは当局の方としてはおわかりだと思う。そういう事態があるだけに、本年の延べなわに対する方向というものは私は明確にしておいていただかなければならぬと思います。これに対して当局はどのように指導調整をはかろうとしておるのか、この点御答弁を願いたい。
  82. 奧原日出男

    ○奧原政府委員 まず第一は北洋の資源調査におきまして、明年度は鮭鱒のほかにカニの調査をも行うことに相なり、若干の拡充がある反面、ニシンの調査について何の手配もないじゃないか、こういう御質問でございますが、ニシンに関しましてはニシンの漁場の沖刺し網によりまする探索をいたしたい、かように考えて、予算の要求もいたしたのでございますが、底びきの漁場の調査等の関連におきまして、残念ながらこの予算は具体化することができなかったのでございます。しかしニシン自身の資源あるいは生物学的な調査に関しましては、試験場の持っておりまする標準予算の中におきまして引き続きこれを継続実行をいたして参りたい、かように考えておるのでございます。  また延べなわ漁業の本年度の操業をどうするか方向を明確にされたい、こういう御質問に対しましては、ただいまその具体的な問題につきましていろいろ検討し、また部外とも話を取り進めておりまする最中でございます。ただ方角だけははっきりと申し上げたいと思うのでございますが、方角は、延べなわ漁業が流し網漁業と競合をして昨年もいろいろ紛糾を招いた、ただ延べなわ漁業は沿岸の零細な漁業者に漁獲収入の機会を与える、そういう意味においてこれを存続させる、こういう立場をできる限り貫徹いたして参りたい、かように考えておるのであります。
  83. 赤路友藏

    赤路委員 ただいま御説明のありましたニシンの方はそれぞれ試験場の方でやっておるという、これについてはまた後ほど別途あれいたしましょう。  それから延べなわについては、これはただいま具体的に検討中であるということなんです。それはもうそれでいいでしょう。いいでしょうが、少くとも零細な沿岸漁民の生活を混乱せしめるような措置はとってもらいたくない、これだけは強く念を押しておきます。十分御留意を願いたい。特に昨年は四十トン以上の船が相当数出ておる。これは一年間に限る調査船でありますから、もしこれが実績ということになるのだったらあとにも問題が起りますよ。この問題だけではないことをあなたは覚悟しておかなければならない、カツオ、マグロにまでも及んでくることを御覚悟願わなければならぬと私は思う。この点は一つ十分腹に据えてやっておいていただきたいと思います。答弁は求めません。  それから次は韓国の抑留者の問題についてお尋ねをいたしたい。韓国抑留船員の召還問題でありますが、昨年の暮れに抑留者の留守家族の代表の人たちが来て、石橋総理に会って話をしたときに、これは年内に必ず帰しますということを総理は言っておられる。ところが年内に帰ってきていない。帰れない。どういうような根拠でおっしゃったのかわかりません。しかしかりにも一国の総理たる人がそう軽々しい発言をするということは困ると思う。単にその場のがれの言葉を軽々しく言っていただきますと困ります。あまりにも軽率にすぎると私は思う。この点井出農林大臣から、首相が出てこられたら十分御注意をしておいていただきたい。この留守家族の中には、すでにお聞き及びかとも思いますが、自殺をした人がある、あるいは発狂した人もあると聞いております。もちろんそれぞれ家庭内における事情のあることかとは思う。しかしながらこれらのことは人道上の問題である。真剣にその対策を考えていただかなければならぬと思います。大臣は何かこの問題についてどうやるというような御対策をお持ちになっておりますか。その点をお聞きいたしたい。
  84. 井出一太郎

    井出国務大臣 石橋総理が抑留漁夫の家族の代表の諸君に対しまて言明を与えられた、このことにつきましては、ただいま御要望のありましたごとく、いずれ総理全快の暁は私からもよく申し上げまして善処いたしたいと存じます。  この韓国を相手の漁業問題につきましては、まことに厄介な相手と言うのもいかがかと思いますが、御承知のように大村抑留所に収容中の韓国人の問題とからみまして、こちらが一歩を譲りますとさらに二歩強い要求を突きつけるというような形で、行き悩んでおりますことは御承知の通りでございます。この点に関しましては、岸外務大臣とも寄り寄り話し合いをしておりまして、一刻も早く日韓関係を軌道に乗せる、そういった大きな外交交渉の一環として問題の解決をはかる以外にはない、かように存じている次第でございまして、ただいまの御要望に沿って日韓打解の問題に相努めたい、このように存ずるのであります。
  85. 赤路友藏

    赤路委員 非常に厄介な相手であることは事実であります。また真剣に政府当局がこれに対処しておる、取り組んでおる、このことは私も見とめます。ただ問題は、大臣もお聞き取りになったと思いますが、いつも留守家族に対する対策というものは後手々々になっております。そこでこれから日韓会談を再開するということになるのでありましょうが、再開の前提は抑留船員の召還、それから大村収容所にある韓国人の釈放、これが根幹となって、その上に日韓会談が再開されると思うのでありますが、今までの経過からいきますと、これとてもいつということは政府当局でもおよそ御答弁はできなかろうと思う。かりにも総理が年内にと言ったが、すでにこれだけおくれておる。総理が年内にと言うことは、よほど自信のある裏づけがあったればこそ言ったのだと私は思う。これがこうくずれてきておる。この現実の状態から考えた場合に、この留守家族に対する何らかの処置はとらなければならぬ。今までのように、上京されて要求されるなら出すのだ、それでなければほうかむりしていくのだという形であっては、私は困ると思う。他の問題と違いまして、韓国の問題に関する限りにおいては、私はやはり政府は責任があると思う。いかなる今までの経過を見て参りましても、問題の焦点は、大村収容所にある韓国人をどうするかということが焦点だ。この解決がつかない。それは相手が悪かったのだといえばそれまでだ。しかしそれだけでほうりっぱなしにしておくわけにはいかないと思う。一応正規の日韓会談なりなんなりは別といたしまして、それは御努力を願っておることは十分承知いたしておりますが、留守家族に対する対策を早急に打ち立てなければならぬと思います。言われて出すのでなしに、言われる前に出してやるという親心をやはり示すべきだと思う。この点を大臣どう考えますか。
  86. 井出一太郎

    井出国務大臣 この間も長崎県のある一漁村の代表者から切々たる手紙を受け取りました。非常に打たれるものがあったのであります。確かにお説のように催促されて出すのではその値打ちが半減いたしましょう。従いまして急速に留守家族に対する援護措置あるいは戦犯抑留者に対する差し入れ措置その他可能な限りにおける手配をいたすことにいたしたいと思います。
  87. 赤路友藏

    赤路委員 次に私は日中漁業の問題について御質問いたしたいと思います。御承知の通り第二次日中間における民間の漁業協定も本年の六月をもってこれが切れるということになっております。政府はこれに対してどういうふうに対処しようとするか、御意見があったら承わりたいと思います。
  88. 井出一太郎

    井出国務大臣 御案内のように、日中関係に対しましては、貿易問題その他も同様でありましょうが、政府間の協定で事を運ぶというのは、現状においてはまだなかなか困難のようでございます。従いまして民間ベースにおける話し合いということを基礎にして問題の好転をはかりたいと考えております。
  89. 赤路友藏

    赤路委員 大臣はまことにあっさりと御答弁なされますが、私率直に申し上げますと、今までの政府のやり方を見て参りますと、民間協定ができたその上にあぐらをかいて居眠っている姿だと解釈しておる。従って本気になってこの協定を政府間の協定にする熱意も誠意も欠けておったと考える。悪くすると、そんなばかなことはないでしょうが、協定前の状態に帰ることこそ望ましいと思うやに私には考えられる。今度は第三次ということになりますが、万一協定前の状態に帰るというようなことに事態がなった場合は大へんなことになるので、このことだけは絶対に避けなければならぬ。これに対しては、業者はもちろんであるが、政府はよほど腹をきめてかかっていただかなければならぬと思う。今日日本の置かれている国際的な条件が非常に悪くてむずかしいということもわかるのですけれども、そのむずかしい中で一歩でも二歩でも前進させていくということを考えなければならぬと思う。現在民間協定ができておるから、それでいいんだという形で放置すべきではありません。私は単に政府当局だけを責めるのではありません。今日第一次民間協定ができ、第二次民間協定ができたら、業者自身があぐらをかいてしまっておって、たちまち自分の生活の根底をくつがえされるような事態の起ることも予期しない。これは業者に対しても十分私は反省を加えたいと思いますが、政府もよほどこれは腹を据えてやっていただかなければならぬ点であると思う。今のままで停滞させておいていいということはない。どうして前進せしめるかということを真剣になって考えてもらいたい。  そこで次に一点申し上げたいのでありますが、海難協定は付属書第三条の中にあるわけです。しかしこれは非常に迂遠なんです。すぐに台風がくる、暴風雨がくる、エンジンに故障が起る、乗組員が急病にかかる、こういうことがシナ海に出ておって起ったらどうしますか。直ちに避難をしなければならぬ。病人があればもよりのところへ寄港して病人の命を救わなければならぬ。これらは漁業はもちろんでありますが、その他の船舶にいたしましても、これは国と国とが国交があるとかないとかという問題ではない。人道上の問題だ。この人道上の問題としてのものを、これは国交があるなしにかかわらず、国と国とが話し合いをするということは私は当然だと思う。これすらもできぬということになれば、政府はこれに対しては全然誠意がない、死のうところがろうとどうしようと、おれたちの知ったことではないということになる。私はこの程度のことは政府はできる、こういうふうに考えるが、大臣はどのようにお考えになりますか。
  90. 井出一太郎

    井出国務大臣 だんだんのお説でございまして、十二分に傾聴をいたしました。私は、中共側におきましても現在のところは非常に友好的な態度というふうに承知をしておりまするので、無協定になるというふうなことは万あるまいと存じますが、ただいま来承わる御趣旨のような線は、これは事は外交の問題にもわたりまするので、十分承わりました次第でございます。
  91. 赤路友藏

    赤路委員 中国は非常に好意的であることは事実であります。先般漁業代表が参りましたときにおいても、非常に好意的でございます。ところがその好意に甘え過ぎてあぐらをかかぬように、一つ誠意を持って対処していただきたい、この点だけを申し上げておきます。  それからこれは少し専門的に入りますので、次長でけっこうだと思います。東海黄海における生物の調査費でありますが、今度予算面に出ております。非常にけっこうなことだと思う。そこでこの東海黄海における資源調査というものを中国との関連なしにやった場合、私はその効果は半減すると考えますが、この点はそれで十分だと水産当局はお考えになりますか、その点ちょっとお聞きいたしたい。
  92. 奧原日出男

    ○奧原政府委員 ただいま御指摘がございましたように、東海黄海に対しまして、目下南米に参っておりまする東光丸が帰りましたら、これを派遣いたしまして資源調査をやらせるということを考えておるのでございます。  過般中共の使節団が参りました場合におきましても、日本の資源調査というようなものを中共においても十分承知し、相互に提携していきたい、こういうふうな希望があったのでございますが、まだ両者の間におきましてしっかりとした共同調査という段階にまでは話が熟して参っておらないのでございます。しかしただいま御指摘のように相互によく連絡をとってやるということは、私の方の東光丸の調査におきましても必要である、かように考えるのでありまして、御趣旨よく承わっておきたいと存じます。
  93. 赤路友藏

    赤路委員 共同調査という段階にまでは至らないが、今後十分連絡をとって万遺漏なきを期していきたいということだと思う。すでに御承知のことでありますが、昨年の六月、ソ連と北鮮と中国、ヴェトナムの四国漁業協定が結ばれた。しかもその四国の漁業協定に基いて資源調査をやるということで、すでにそれが発足しておるわけなんです。もちろん海洋に出ての共同調査ではないようであります。まだ学術的な面からする話し合いの段階のようであります。ここで私が心配いたしますことは、御承知の通り国連の国際法委員会で一九四九年から一九五六年まで八年間にわたって公海漁業制度についてあるいはその他について検討をいたしております。そうして海洋法典案というものの成案を得ておるわけなんです。この中には「資源保護の措置に関して利害関係諸国の間にいまだ協定のない場合、その沿岸国が資源保護の目的をもって交渉を行なっても、相当な期間内合意に達することができなかったときは、もしその沿岸国が自国の沿岸に隣接する公海資源の生産力に特別の利害を持つならば、適当と思われるいかなる保護措置をも講ずることができる」こういうふうになっております。もちろん日本側はこれに対しては賛意を表しておりません、反対の意思表示をいたしております。しかしながら、こうしたものが八年間の検討の上に立ってすでに成案を得ておるということ、これは無視するわけにはいかぬと私は思う。もちろん中国側は非常に好意的でありますから、おそらく話し合いによりましては資源調査も共同調査ということでいくかと思います。しかし今のままではその場合も国はやれないでしょう。民間がやるより仕方がないですね。もしも四国協定に基いて、この四国の人たちだけが寄って、今申し上げたような線を打ち出されたときに、一体どうなるかということを考えてみなければならぬ。いや、そんなばかな非常識なことはないでしょうということだけでは、これは放置しておけない重要な問題なんです。それだけにこの問題についても資源調査――しかも今度東光丸を出してやっていただくということ、これ自体はけっこうです。けっこうではありますが、将来を勘案しながら、これに対しては十分対策を立てなければならぬ。いいかげんな考え方ではだめですよ。率直に申し上げる。中国は大国だからいつまでもいいだろうなんというのんびりしたことをいっておると大へんな事態が来ることも考えなければならぬ。この点答弁は求めません。一つ十分誠意を持って対処していただきたい。  次に、私は沿岸漁業の点でお尋ねいたしたいと思います。今度の予算を見て参りますと、沿岸における水産増殖施設が拡充されておるようであります。まことにけっこうなことであります。今までの水産行政を見て参りました場合、これは戦後いろいろと事情があって無理からぬことではあると思いますが、それにいたしましても沿岸対策がやや軽視されておったということはいなめない事実であろうと思うのであります。熱意のほどは非常によくわかるわけでありますが、予算でややこうふくれたというだけであって、その熱意がいささかぼけておるというような感じを私は持つのでありますが、何か沿岸対策に対する年次計画がございますか。あったらそれをお示し願いたい。
  94. 井出一太郎

    井出国務大臣 年次計画というようなものをお示しいたす階段ではございませんが、本年はその面において、少し内容はぼけておると赤路委員はおっしゃるが、鋭意努力を払ったつもりでございます。たとえば、水産増殖事業といたしましては、浅海内水面における種苗の増産、あるいは漁場の造成に対する補助、その他で、これは前年度よりも約五〇%程度予算はふえておるはずでございます。それから漁港の拡充でございますが、これは漁港整備計画と必ずしもマッチはいたしませんが、従来のおくれを取り戻すという意味において、本年は前年比七億円増、三十一億円という予算を計上いたしたわけでございます。その他沿岸漁村振興対策といたしましては、新農山漁村建設計画の一環としてこれまた相当数の漁業施設に対しての補助を行うというように、それぞれ、十分とはいかないまでも、従来の予算に比べますと本年は漁業面には留意をいたしたつもりでございます。
  95. 赤路友藏

    赤路委員 ただいま、従来に比してはいささかいいはずだというお話、その点は認めましょう。ただ年次計画を示す段階には至っていないということなんですが、大臣にここで申し上げておきます。水産庁の一番の欠陥はこれなんです。そのつど行政。問題の起ってきたものに取っ組んでおる。計画がない。これは一つ今後お考え願っておきたい。私は単に沿岸だけを取り上げたのでありますが、おそらく漁礁とかその他いろいろと年次計画があると思います。ただ私が言いたいことは、全般の日本の水産行政として漁業を一体どうするのかという年次計画がない。年次計画がないから常に行ったり来たりしているわけです。この点は一つ十分に反省していただいて、農林省には相当優秀な諸君もおられることであります。これは私が今ここで口で言っているような簡単なものじゃございません。相当な日時をかけてそしてやられなければならぬことであるが、少くともこれは行政の基本だと思う。ぜひこれだけは大臣も腹の中に入れておいていただいて、そういう方向に、正常な軌道に乗っていくように、一つ大臣の方から十分御指導をお願いいたしたい。答弁は求めません。  次に、私は水質汚濁の件をお聞きいたしたいと思いますが、水質汚濁による漁業の被害は年々増加の一途をたどっております。しかも特にこの被害を受けるのは零細な沿岸の漁民でございまして、これは社会問題化しておる、こういうふうにまでも考えておるわけです。沿岸漁業にとりましてはこれは重大な問題なのであります。施政演説をすみからすみまで見てみましたが、とんとこの点については触れておられません。予算の面にも現われておりません。一つこれに対する対策なり考え方なりをお示し願いたい。
  96. 井出一太郎

    井出国務大臣 近時鉱工業の発展あるいは都市の膨脹の関係の下水というような問題、これらからいたしまして水質が汚濁され、しかもこれが漁業に大きな影響を与えておることは御指摘通りでございます。現在これに対する有効な法的措置はまだできておりませんが、その必要性は十分に痛感しておるところでございまして、関係各省、たとえばこれは厚生省もありましょう、建設省もありましょう、それらと十分協議をいたしまして、当面の問題にこたえて参りたいと思っております。
  97. 赤路友藏

    赤路委員 いずれこの問題は小委員会の方で十分当局と話し合いをしていきたい、大臣の今の御答弁でまず了承いたしておきます。  次に魚価対策。施政演説にはこれも全然ございません。予算の中にも全然ございません。農作物に対しましては農産物価格安定法がある。この魚価対策は欠くべからざる行政の一つの措置として取り上げていかなければならぬ。生産量が拡大され、また強化され参るということはもちろん必要なことではありますが、それとともにどうして魚価を安定せしめていくかということ、この点はやはり真剣に考えていただかなければならない。魚価対策について何か御意見がございましたらお出し願いたい。
  98. 井出一太郎

    井出国務大臣 魚価対策の必要なことは御指摘通りでございますが、さて実際問題となりまするとなかなか容易でない点もございます。ちょうど先ほどの消費構造の問題に関連して、生鮮食料品についてお答えを申し上げたような同じ条件下にあると思います。そこで、これは一つは輸送対策あるいは貯蔵対策ないしは新しい加工の方途、魚かす、ミールとこういうような方向への指導も考えなければならぬと思うのでありますが、当面冷蔵庫などの施設に対する金融措置、これらは十分に用意をしてあるつもりでございまして、いろいろまた赤路委員の御意見等も伺いまして善処したいと考えます。
  99. 赤路友藏

    赤路委員 その場合、もう一つ考えていただかなければならぬことは、市場の開拓というかマーケットを広めていく、これは国内的にも海外的にも双方ともあわせ考えていかなければならぬ。特に農村においては蛋白資源を十分に農民がとっていない。それだけにこれは農林省として考えなければならぬ。農民に新鮮な蛋白源を供給するまあ一つの方法として、これは思いつきになるかもしれませんが、農協あたりを中心にした小さい冷蔵設備でもやらせてみる、こういう形で一つ国内における市場の開拓を考えていただきたい。それから海外市場の開拓でありますが、これは輸出振興ということになります。で、今度の予算説明書の中に、前年度通産省に計上されておった農林水産物の輸出振興費が、一億円の中で七千五百万円残っておる。これは一体どうしたことです。一億円も予算を組んで、三十一年度で二千五百万円しか使っていない。七千五百万円は繰り越します……。これは一体何ですか。
  100. 奧原日出男

    ○奧原政府委員 河野前農林大臣が一昨年アメリカに行かれました際に、アメリカのマグロカン詰業者との間に、日米共同でマグロの消費宣伝をアメリカ市場でやろう、こういうことで、国の助成費といたしまして七千五百万円、全体の経費で一億五千万円の団体を作り、アメリカ市場において消費宣伝をするということを、今年度の予算の上において具体化いたしたのでございます。ところがアメリカの市場におきましては日本のマグロ、ことに冷凍マグロの進出に対しまして、いろんな問題が昨年の秋以来起っておることは御承知の通りであります。一たんそういう話ができておったのでありますが、アメリカ側におきまして、共同で日本とマグロの消費宣伝をするという機運が、昨年の秋の例のマグロの冷凍物のダンピング問題等にからみまして途絶をいたしておるのであります。アメリカ側の一つの言い分は、日本は、アメリカのマグロ業者が苦心をして開拓した国内市場に対して、安いものをどんどんよこすじゃないか、こういう非常な不満があるのでございます。日本といたしましては、アメリカの協力を待たずに日本だけの力で、アメリカの国内におけるマグロの消費宣伝をやろうということに決意をいたしまして、今年三月からいよいよその仕事に取りかかることにいたしたのでございます。この三月に約六分の一の国の助成費、同額の民間経費を計上しまして、約二千五百万円ばかりの金で消費宣伝をやろうということを考えております。明年度も予算の上におきましては引き続きその額で、ただいまお話のありました消費宣伝費は通産省予算の上に計上されておるのでありまして、海外市場宣伝を継続して実行していきたい、かように考えております。
  101. 赤路友藏

    赤路委員 ただいま次長の方から、マグロカンの問題でいろいろ説明を受けたのであります。もちろん日本のマグロカン、冷凍マグロのほとんどがアメリカ向けでありまして、アメリカが唯一のマーケットでそれに依存をいたしております。これによってすべてが支配されているということであります。そこで考えなければならぬことは、これはやはりアメリカの市場というものをより拡大していく。向うはこれを阻止しようとしておる。しかしながらそれに対決しながらも、より拡大していくということは、もちろんやらなければならぬと思いますが、その他にもやはり市場を開拓するということを私は考えてもらいたいと思うのです。これはまるでケースが違うわけでありますが、御承知の通り昨年の十二月十八日でしたか、日昌丸が、日本の機械を日本船でというので、インドから東南アジアの方へ出ておりますが、これに対して通産省は七千万円の補助を出して、これが相当な成績をおさめている。もちろんこれは機械類を重点にしてやっておりますので、農水産物とはおよそその金額の点においても、規模の点においても違いがあると思います。しかしながらやはり販路を開拓していくということ、これは生産を高めるということとともに表裏一体のものでなければならぬ。私は、マグロにしてもまだ生産を増強さそうというなら、ここで船を建造し、そのための融資を与えるとか、その持って行き方によっては、生産はもっともっと高められると思う。問題は販路の問題です。これは表裏一体のものです。だから単にアメリカが、アメリカがといって、アメリカだけに依存するだけではいけないじゃないか。もっとやはり、こんなところに売れるだろうか、こんなところに販路ができるだろうかと思われる面でも、努力して販路を拡大していく、新しく開拓していくということを、やはり考慮の中に入れていただかなければならぬ、こう考えるわけであります。その点今後十分留意しておやり願いたいと思います。  だいぶ長くなりましたが、最後に私は大臣にお尋ねいたしたいのであります。それは英国のクリスマス島における水爆実験であります。これに対しましては、再三政府の方から中止の要請をいたしております。しかしながらこれは常に拒否されてきている。政府は一月の十五日に、イギリス政府に対して申し入れた申入書の発表をいたしたようであります。その申し入れ内容に対しましては、これは一応私どもも了解をいたすものであります。ただ問題は、これをしも英国によって拒否され、いよいよ三月から八月にかけてやられようとしている。これはちょうど赤道の付近であったと思いますが、南緯二十度までは、これはもう唯一の漁場であります。三十一年度のマグロ試験のときに、最もよい漁場としてこれが現われてきている。それだけに、もしもここで三月からやられるといたしますなれば、相当大きな被害を受ける、こういうことは当然考えなければならぬと思います。二、三日前の新聞によりますと、すでに一般船舶に対しましては、迂回線をとって早急に帰港せよというようなことを、それぞれ運輸省あたりでも通牒を出しているようであります。十五日の政府の発表によるその決意はわかるが、ただ私の言いたいことは、これが国内的なゼスチュアのみに終るということであってはならぬと思う。相手は大国イギリス、これを対象にしてかからなければならない問題でありますから、よほどの決意を固めてもらわなければならぬ。またこれによって再びかってあったようなビキニの降灰のような問題が出てくることをも覚悟しなければならぬ。これに対する対策はもうすでに立っていなければならぬ。立てられなければならぬ。ただ単に国内で業者が、国民がわあわあ言うからだというような弱い形では困る。一歩も二歩も前進しなければならぬ。断固イギリスに対決をするんだという強いほんとの腹の底からの心がまえがなければならぬと私は思います。これに対して大臣は何か御意見なり御所見があったらお聞きしておきたいと思います。
  102. 井出一太郎

    井出国務大臣 クリスマス島において英国が計画をいたしておりまする原水爆の実験に関しまして、赤路委員の国民的熱情とでも申しますか、その観点からの御批判はまことにごもっともでございます。政府といたしましては御承知のように、決してこれをゼスチュアとかなんとかいうふうなものでなく、本腰を入れて岸外務大臣から再々申し入れをしたことは御承知の通りであります。現内閣が国内政治と外交とは一体である、そして自主外交を強調しておりますゆえんのものもそこにあるわけでありまして、われわれは国会における決議もあり、国際世論を背景といたしまして、たとい相手が大国であろうとも、この志を曲げずに善処いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  103. 井手以誠

    ○井手委員 関連して一言大臣にお伺いいたしたいと存じます。大臣赤路委員質問に対して、沿岸漁業については浅海増殖を初めとして十分力を注ぐつもりであるという御答弁をなさいましたが、その浅海漁業のうちの問題でございますが、有明海の農薬被害、これは浅海漁業にとって非常に重要な問題でございますが、予算をずっとめくって参りましても、昨年は若干ございましたが、今度は全然載っていないようであります。農林大臣もすでに御承知であろうと存じておりますが、昨年の予算委員会第三分科会、二月二十三日でございますが、私の質問に対して河野農林大臣は、次のように答弁をなさっておるのであります。当時の農林大臣、個人ではありません。農林大臣が次のように御答弁をなさっております。「引き続いて被害がありますならば、これが対策について当然続いてやっていくべきものであって、被害の有無を考えずに予算を今年限りで打ち切るということはあり得べきものではない。続いて被害がある以上は続いてやる。」こういうことを明確に言明なさっております。ただいま次長からこそこそお話があっておりますから、多分被害があっておるという御報告があると私は思っております。確かに昭和三十一年度も前年に引き続いて有明沿岸四県関係で十億近くの被害があっておるのであります。従って農林大臣の言明によりますれば、当然三十二年度も農薬被害に対する対策が講ぜられなければならぬと私は考えておりますが、どのように大臣はお考えになっておりますか、お伺いいたします。
  104. 井出一太郎

    井出国務大臣 有明海の沿岸漁業に対して農薬の被害がきわめて甚大であり、昭和三十一年度においてはそれ相応の対策がとられましたことは、ただいま御指摘通りでございます。ただいまのところといたしましては、三十一年度の対策をもってある程度の転換ができていくのではないか、こういうように存じておる次第でございますが、今後ともにその実の上りまするように指導して参りますとともに、三十二年度におきましては、一般水産増殖事業費の運営上、有明海の実情を十分に考慮いたしまして安定をはかって参りたいと、このように存ずる次第であります。
  105. 井手以誠

    ○井手委員 私が承わっておりますのは、一国の農林大臣が、被害がある限りは引き続いて対策を講ずるという言明があっておりますので、四県の関係者はこれをたよりに、また三十二年度もお世話になるものだという確信を持っておるのであります。期待を持っておるのであります。なるほど三十一年度には少いながら四千八百万円、ただこの四千八百万円は全部いただいたわけではないようであります。二十八年度災害で全額もらっておったはずのものが、ブルトーザか何か知りませんが、千二百万円か差し引かれたようにも聞いております。この点はなお別途にお尋ねをいたしますが、引き続き被害があっておるのにその対策が講ぜられていないということは、これは農林大臣としての二枚舌である。そういうことは一国の責任者としてなすべきことではないと私は思っております。なるほど大臣はただいま十分研究してやろう、こういうことでもございますが、今計上されておりまする浅海漁業の増殖については、被害対策ではございません。補助金も違うのでございます。そこでどういうふうに昨年同様の対策を講じていただけますのか、その点を一つはっきりおっしゃっていただきたいのであります。そうせぬと、私のみならず関係者は帰れません。陳情に上っております者も帰れぬはずであります。私は別にここで陳情してどうということではありません。私は言明されたことについてはやはり実行してもらわなくちゃならぬという立場からお尋ねしておるわけであります。
  106. 井出一太郎

    井出国務大臣 農薬の被害という問題をただいま究明をいたしておるわけでございまして、前大臣が今おっしゃるような言明をされておるといたしますならば、その辺の事情等も十分勘案いたしまして善処申し上げることにいたします。
  107. 井手以誠

    ○井手委員 言明されておるといたしますならばというお言葉でありましたが、これははっきり記録にありますから、一つお読み願いたいと思います。これは次長もよく御存じであります。私は公開の席上以外で申されたことは申し上げませんが、井出農林大臣は必ず昨年に引き続いて、予算には載っていないけれども、何らかの方法によって、たとえば今回は自然増収のものを来年使う、あるいは再来年使う、大企業への投資のために産業投資特別会計へも三百億円という金を出しておるような政府でございますから、便法は十分お持ちになる御用意があると私は考えます。私はきょうはこれ以上申し上げませんけれども、しかし今国会においては必ず結末がつきますように期待をいたしております。大臣の誠意と水産庁当局の努力期待いたしまして、私はきょうはこれで質問を打ち切ります。
  108. 小枝一雄

    ○小枝委員長 残余の質疑は後日に譲りまして、本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十一分散会