○辻
委員 ところで専門家が検閲をした結果を私ちょっと聞いたのですが、一万フィートほしいというのです。あなたは九千フィートと言われるが、そこにそれだけの差が出てくるのです。学問的にいえば九千フィートでいいのだが、未熟な者が離着陸しますとどうしても滑走路に一割の余裕がほしいがそれができていない。もう
一つはできますならば浜松あたりには不測の場合を
考えていわゆる滑走路と同じ
ような長きを持った誘導路がほしいが、これもできておらない。もう
一つは舗装がまずい。芝生がないためにプロペラにほこりがつきまして、エンジンに入りまして、これが命数を短縮すると同時に事故を起す原因になっておる。そこであの滑走路の舗装をよくしろ、芝年を植えろ、そうして延長を十分とって安心をして飛べる
ようにしてくれということを私は昨年からくどく言っておりますが、それが少しも予算面に現われておらない
ように思いますから、どうぞことしの予算では新長官はその点に特に重点を置いてもらいたい。
その次にやや具体的になってなんですが、予算編成の前に言うておかぬと出てからでは何にもなりませんので、御
参考までに申し上げておきますが、航空加俸、あの苦しみ、一番きたない話ですが、一度乗ってくると尿が血の
ように赤くなる。そうして三時間たって、あそこのジョンソン基地におりて参りますと、腰がふらふらになってすわりたくなる。そのくらい強度の疲労を隊員に課しておるのです。私のからだではとても連続やれません。ところがそれに対して航空加俸はどうだ。現、在は本俸の五〇%となっておりますが、それに税金がかけられて四〇%
程度になっておる。これはどうか。それから航空団司令、同副司令、
防衛部長、こういう者にはほとんどない。四十をこした指揮官が先頭で飛んでおる。そうして若い者の士気を維持しなければならぬのに、その指揮官には航空加俸というものは――これは日雇いの
ようにたしか日額で割り当てられておる
ようであります。こういうことはどうだ。それから航空加食はどうだ。私が昨年飛んだときには一日百二十円ですよ。百二十円で三食、津島さん食ってごらんなきい、どんなものが食えるか。そうしてあれだけの激動をやるのです。そこでどうしてもいかぬというので、
ようやく二百七円に上げてもらったが、これで事足れりとしてはいけません。少くともこれらの人に三千五百カロリーくらいのものをやるためには最小限どう見ても二百五十円くらい要る。これはぜいたくではありません。石炭をたかぬで汽車を走らせることはできません。そういうことも本気になって
防衛庁の内局においては
大蔵省と折衝なきらなければどうしてもいけない。
それから死んだ場合の遺族補償というものを
考えてごらんなきい。これは死んだ者はだれでも同じじゃないかと言われるかもしれませんが、ジェット機の操縦というものは、万全を期してしかも事故の起る
仕事で、ほかの
仕事にはないのです。これを
考えてみますと、恩給年限に達してなくても、恩給といいますか扶助料というものをもらえる
ような措置をとることは、遺族に対しての長官としての心づかいではないかと思います。昔はどうかといいますと、少尉の月給が八十円のときになくなった者に対しては一万円です。今の
ベースでいうと大体四、五百万円であります。階級の差にかかわらずこれだけのものがやられておったが、現在ではなくなると千日分の日当が遺族にやられておるだけなんであります。こういうことも階級を区別しないで、階級を超越して航空事故で殉職した者に対しては少くとも昔に劣らぬあたたかい気持で
一つ手当を
考えてもらいたい。
それから基地の中に居住しておる者が現在は一人当り二坪という宿舎であります。極端にいいますと築城のあの居住設備なんというものは捕虜収容所みたいなものです。寝台がぎっしり詰まつておって、そうしてトタンのバラックに住んでおる。夏は百度を越すが扇風機
一つない。冬は寒いが石炭あるいは木炭の
支給が足りない。ふろへもろくに入れない。こういうことであの激動をやらされておる。あの実情を私は見てきたから言うのですが、こういうことを根本的にやらないで、ただ口先だけで士気を上げる、上げろと言ってもやれる道理はない。あなたは経済人です。あれだけ苦労している者に対して、どうか長官はほんとうに自分のむすこをジェット機に乗せている
ような気持で、あの
人たちのめんどうを見、遺族のめんどうを見、また若い者を疲らせぬ
ように親心を持っていただきたい。これだけは今度は
一つ文句を言わせぬ
ように徹底的に予算をおとりになることをお願いしておきます。
それから営外者に対する
改善にしましても、これはひどい。朝早く出て夜おそく帰るのに、自転車に乗って、くたくたになって操縦士が一里、二里離れたところに通っておる。あれに対して一台の専用バスを出すことができないか、それさえ講じられていない。官舎はどうか、官舎は果して優先的に当てがわれておるかどうか。旅費はどうだ、旅費は家内を連れて転任することができない。一回だけはできても二回目はできない。そこで少い給料のうちから自腹を切って女房子供を連れていって、六畳の民家を借りておる。その家族が毎朝外へ出て、お父さんが乗っているジェット機を見ながら拝んでおる。こういう状況でどうしてあなた命がけで重労働をやれるとお
考えになるか。そういうことが幾多あるにかかわらず実行し
ようとしない。この前の長官にもやかましく言ったが、実行されておりません。私は津島長官はその点については最も有力な閣僚だと思います。どうかあなたのむすこをあの自衛隊に入れておるのだというお気持でやっていただきたい。彼らは
給与のことは一言も言いません。私が回ったときも増してくれということは一言も言っていない。ただ私がこの目で見てきてかわいそうだから増してくれと言っておる。これを真剣に取り上げなかったら、
幾ら千三百機増したところでろくなものができる道理がない。窓口を広げるよりも奥行を広げなさい。飛行機の機数は練習するに足る機数でたくさんなんです。人間を作ることが航空自衛隊の充実の根本原因です。その点を
一つ画期的に責任を持って解決していただかなければならぬと思いますが、いかがですか。