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纐纈委員 これは今読み上げましたように、御
承知のように
欧米各国の方は、
日本と違いまして、しょっちゅう戦争をやったりいろいろしておりまして、国がごたごたしている。そうして最近の
国家というものは新しく出てきたのでありますが、
日本は
皇統連綿としてずっと伝わってきまして、ほかの国に行われた
革命というようなものはなかったのであります。そういう
意味において
日本はその古い
歴史を尊びたい、こういうような
考え方から、しかも御
承知のように、
日本の正史であります
日本書紀にはっきりとその年が出ておりますので、それを採択したわけでございまして、これは
日本は独自のものでございますから、必ずしもほかのところに古い日を
お祭にしたことがないということでもって、これをやることが誤まりだというふうに私どもはとっておらぬのであります。
先ほどもちょっと御
質問のときにございましたが、今日は少くとも
明治時代の
考え方と時世が違っておりまして、
天皇はすでに
憲法において国の象徴とされておりますし、さらに
民主主義というものは非常に進んできたのでございます。この前
稻村先生は、
神武天皇が東征して征伐されたということをおっしゃっておりましたが、
即位をされる二年前にみこと
のりを出されまして、その詔勅を見ましても、
自分たちが西からやってきて、ここに落ちついて六年になった、そこでようやく世の中も治まってきたので、ここで
一つ都を立てて国のまつりごとをよくやりたい、神の教えにならって、少くとも人民の利益を守ってまつりごとを行いたい、こういうことでございます。この紹勅を見ましても、あの当時としては実に
民主主義的また平和主義的な
考えのもとに行われたことでありまして、これが八紘一宇であるとかなんとか戦争中にいろいろあったのでありますが、この紹勅を見ましても絶対に軍国主義的なものはない。平和主義的であり、そして
民主主義的な精神のもとにこれからまつりごとをやろう、こういう、当時からいたしましてほんとうに進んだものであって、その
神武天皇の
即位の気持をわれわれが
考えて、ほんとうにここで民主
国家となったのでありますから、その昔を思い出すということは非常に意義のあることであります。
なお
紀元というものは、私が申すまでもないのでありますが、時というものは初めから終りまでつながっておりまして、けじめをつけるわけにいかないのであります。そこで
一つの
歴史を研究する場合、どこにそのけじめを置くか、こういうことで、西暦もありますし、どこの国でも
歴史というものを解く場合、
一つの区切りをつけなければならぬ。そこで
日本はどこのときに区切りをつけたらいいか、こういう
意味において
紀元というものが作られたのであります。それが
日本の
歴史で育てられてきておるのでありますから、
日本の国の初めが、そういう
意味において室町
時代——もっと以前からも
神武天皇が
即位されたという日は相当
歴史家等にも言われておるのでありますから、そういう
意味合いにおいて、この
紀元、国の初めというものを祝おうということは、
日本の民族主義を高揚してますます
発展せしめるという
意味において、これを
お祭として当時の何としては採用された、こう私は信じているわけであります。従って、そういう
意味からいたしますと、
紀元節は軍国主義につながっておるとか、あるいは
天皇制につながっておる、関係があるというようなお話がちょいちょい出ますけれども、
紀元節それ自体の
意味というものは軍国主義につながっておらない。いわんや、ただいま申し上げましたように、
神武天皇がそういう平和主義、
民主主義のもとに国を立てられたのでありますから、
日本の
紀元が昔から唱えられており、そこに
一つの
歴史のエポックというものを作るという
意味合いにおいて、また、
日本の国というものは非常に古い
歴史があるから、これをいつまでも民族意識として高揚していくという
意味合いにおいて、この
紀元節ということが非常に重要な問題である、国の
発展には民族意識を高揚しなければならぬ、こういうことであります。
日本が初めて負けて、戦後はいささか虚脱状態に陥っておったのでありますが、ようやくにして今日だんだん盛んになってきた。そうしてしかも、先ほども
小川先生からおっしゃられたように、
紀元節を復活してくれろという民の声が非常に高いのでありますから、この民族意識というものを高揚せしめ、また、民の多数の声を聞いて、ここに二月十一日というものを
紀元として祝うという
意味合いにおいて、先ほど私が申し上げましたような
意味において
紀元を祝い、そうして、民主
政治の本領をますます発揮せしめる
意味において
国民の士気を涵養していきたい、こういう趣旨のもとに私どもは二月十一日を
建国の日としたい、こういう
考えであるわけであります。