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1957-04-24 第26回国会 衆議院 内閣委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十四日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 相川 勝六君    理事 大平 正芳君 理事 床次 徳二君    理事 保科善四郎君 理事 山本 正一君    理事 石橋 政嗣君 理事 受田 新吉君       宇都宮徳馬君    江崎 真澄君       大村 清一君    北 れい吉君       纐纈 彌三君    辻  政信君       眞崎 勝次君    淡谷 悠藏君       稻村 隆一君    木原津與志君       西村 力弥君  出席国務大臣        国 務 大 臣 大久保留次郎君  出席政府委員         行政管理政務次         官       楠美 省吾君         総理府事務官         (行政管理庁管         理部長)    岡部 史郎君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 四月二十四日  委員田中龍夫辞任につき、その補欠として纐  纈彌三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員纐纈彌三君辞任につき、その補欠として田  中龍夫君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣  提出第二十四回国会閣法第一五六号)  内閣法等の一部を改正する法律案内閣提出、  第二十四回国会閣法第一六一号)  国家行政組織法の一部を改正する法律案に対す  る修正案宇都宮徳馬君外四名提出)  内閣法等の一部を改正する法律案に対する修正  案(宇都宮徳馬君外四名提出)  国家公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出、第二十四回国会閣法第一六二号)     ―――――――――――――
  2. 相川勝六

    相川委員長 これより会議を開きます。  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣法等の一部を改正する法律案、及び両法案に対する宇都宮徳馬君外四名提出にかかる両修正案、並びに国家公務員法の一部を改正する法律案一括議題とし、質疑を続行いたします。石橋政嗣君
  3. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 この間もお尋ねいたしたわけでございますが、この行政機構改革の諸法案提案されました昨年、政府から提案理由がいろいろと述べられております。それは結局、一つには、議院内閣制のもとにおける行政責任体制確立するということであり、一つには、行政事務管理強化し、かつ、その能率を向上させるとともに、行政実情に即応する国家行政組織を定めるために所要の改正を加えるものである、要約すればこういうふうな御説明であったと思うわけです。このたび自民党の方から修正が出ておりますが、その修正理由説明の際には、政府が当初提案いたしました改正原案眼目とするところといささかも相反するものではなく、むしろ行政現実に一そう即応するものであると考えておりますということが述べられております。私はどうもこの点が納得いかないわけです。  御承知通り鳩山内閣の当時に、非常に大幅な行政機構改革が計画されました。しかし、これも大きな後退を余儀なくされて、結局この間私が読み上げましたような六つの点に焦点を置いた形のものにひとまず後退して原案を作成したが、これは何ら実を結ばず、今日まで国会におきましては継続審査という形がとられてきたわけであります。さらに今度自民党修正という形で大幅な後退をいたして、行政機構改革という名をつけるにはもったいないようなものになってきておるんじゃないか、このように私は思うのですが、自民党の方では、いささかも政府原案当初の眼目と反するものじゃない、むしろ行政現実に一そう即応するものだというふうなことを言われるのはふに落ちないわけでございますが、やはりこのようにお考えになっておるといたしますと、その理由をもう少し御説明願いたいと思うわけです。
  4. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 お答え申し上げます。おっしゃいました通りに、鳩山内閣時代に構想いたした行政機構改革案は、その後党内でいろいろ審議しているうちに、最初の構想とはよほど異なったものになったことは事実でございます。そうして六つの点にしぼられまして、法案として現在国会継続審議中でございますが、その法案につきましても党内で意見がございまして、修正案提出いたしました。その国家行政組織法に関する改正修正案と、内閣法また総理府設置法改正修正案とをただいま提案しておるわけでございます。これは政務次官定数を三人に制限するとか、内閣官房長官を一名増員いたすことをやめるとかいうふうに、数においては確かに減っておるわけでございますが、しかしながら、内閣責任を明確にするために、内閣行政府との結合を強化するとかあるいは行政府に対する内閣管理強化するとか、そういう根本的な意味合いにおいては一貫した思想に基いてやっておるのだということを申し上げておるわけでございます。でありますから、そういう根本原則、根本的な考え方におきましては、決して変っているのではないのであります。そしてどの点が行政現実に一そう即応しておるかという点になりますと、これは行政及び議会政治現実からいたしましていろいろ論議があったのでございますが、原案にありますように、特に必要と認められるところに政務次官を二名置くことができるというふうにするよりも、むしろ特に必要と認めるところをあらかじめ限定しておいた方がよかろうというような点でありますとか、また国家行政組織法の中について申し上げますれば、各省の事務統轄者は一応事務次官という名前になっておりますが、国務大臣長官とする庁においては次長というような名前になっておりますが、これもやはり事務次官とした方が実際上仕事の内容において変りがない、そういう点が現在の行政実情に即応しておるという点であると考えておる次第であります。
  5. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 今も宇都宮さんから次長事務次官というふうに名前を変えたのだというようなお話がございましたが、これを名前を変えようとも、私は権限その他に移動があるとは考えないわけであります。先日予算委員会において私大臣にお尋ねいたしたとき、政務次官をふやすのも金がかからないからいいじゃないかというようなお答えでしたが、今の宇都宮さんの御答弁もやはりこの大臣の先日の答弁とつながったものを持っておる。先ほども委員会が始まる前に、私、結局金がかからないことだけをやったのではないかというような皮肉なことを言っておりましたが、機構改革というふうなものではなしに、金がかからないで、しかもちょっと名前くらい変えてみたいというふうな程度のものじゃなかろうかという感じが非常に強いわけであります。たとえば、先ほど申し上げましたように、議院内閣制のもとにおける行政責任体制確立、そういうふうな問題序二つ取り上げてみましても、また当初の鳩山内閣当時の案を見ましても、その片りんをうかがうことはできるわけであります。トップマネージメント機構強化という名前のもとにいわゆる総務長官を設ける、この総務長官国務大臣をもって充てる、この関係から官房長官国務大臣に昇格させる、あるいは政務次官をたくさんこしらえる、事務次官補を新設する、こういうふうな人の面でも一応トップマネージメント強化になるかどうかはいざ知らず、とにかくやろうという気配だけは見せておったわけであります。機構の面で申し上げましても、当初の予算局の案などというものは、もう大幅に後退してしまいましたけれども、とにかく後退はしたけれども、予算閣僚会議というものを作る。できるできないはともかくとして、やろうという意欲だけは少しでも残っておるわけであります。しかしそれも完全に取っ払ってしまって何もない、一体これが行政機構改革だろうか。私は行革関係法案という名前をつけるのももったいないと思う。実際に何ら実のあるものではないというふうな感じがするわけであります。  そこでそういった観点の上に立って一つずつお尋ね脅していきたいと思うわけでございますが、まず内閣法等の一部改正法、これの政府改正案目的は、内閣官房及び総理府機構改正を行うというところにある。そうして内閣官房長官内閣官房長官の数に改正を加える。これは強化される。一つ強化される形の中で、官房長官国務大臣にするということが打ち出されておったわけです。それから総務長官及び、今度は総務長官になっておりますが、当初の次長というものを設ける、この総務長官国務大臣をもって充てるんだ、こういうふうなことがいわれておったわけでございますが、なぜこれを国務大臣をもって充てるという線を消してしまったのか、やめてしまったのか。定数があるからだとおっしやいますけれども、この国務大臣定数たるや、これは内閣法の第二条で規定されておるのでございまして、必要とあらばどんどん増員していただいてけっこうなんです。私は、政務次官をふやすというふうなことが必要ならば、一歩先に進めて、国務大臣をふやした方がより目的達成のためになるんじゃないかと思うわけでございますが、定数が定められておるから国務大臣にするのはやめましたというような、こういう理屈にならぬ理屈を並べて、国務大臣をもって充てることができるというふうにごまかしてしまったというのには、何かはんとうの理由があるんじゃないかと思うのですが、この点あくまでもこの定数が定められておるので工合が悪いから、こういうことだけなんですか。
  6. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 確かにこの内閣責任体制強化し、行政に対する政党内閣のマネージを強化するということの見地から申しますると、内閣法第二条を改正いたしまして、兼任大臣のごときものは置かないような原則を立てる方、が私はいいと思っております。しかしながら御承知通り、この政党人、が行政府に入るということに対しては非常な抵抗がある。現在の案に対しましても、石橋さんはそういうふうにもっとはっきり大臣等の数をふやし、内閣法を変えたらいいじゃないかとおっしやいますが、そういう思想に対しては、まだ遺憾ながら日本現実におきましては相当抵抗があるのは御承知通りであります。でありまするから原案におきましても、内閣法をいじって大臣定数をふやすという考え方はとらなかったわけであります。そうしてなぜ一体原案においては内閣官房長官及び総理府総務長官国務大臣をもって充てるとしてあるのを、充てることができるというふうに直したかと申しますると、これは原案におきましては、御承知通り、現在も継続審議中になっておりまするが、国家行政組織法改正あるいは総理府設置法内閣法等改正と同時に内政省ができ上るということを予想しておったのです。それで内政省ができ上りますると、自治庁建設省一緒になるわけでありまするから、現在の大臣定数におきましても、一人大臣の数が浮くということが予想せられていたのです。でありまするから、この内閣法の第二条を変えまして、国務大臣定数をふやさないでも、無理なく官房長官国務大臣をもって充てることもでき得ます。それから総理府総務長官国務大臣をもって充て得る、こういう観点から原案ができていたのでありますが、内政省が同時にできるという見込みが現在ないもんでございますから、官房長官及び総理府総務長官をともに国務大臣をもって充てることができるという、融通性のある規定にいたしたわけでございます。
  7. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 原案において、国務大臣花もって充てるとしてあったのを、発てることができるというふうにした。しかもその後退させた理由というのは、現行法上の定数というものに重きを置いたからだという御説明であるならば、勢い国務大臣をもって充てること、ができるとしてみたところで国務大臣を充てないだろうと思うのですよ。充てようと思えば何も後退させる必要はない。定数の問題を引き出してくる必要はないと私は思うわけなんですが、これは総理にお尋ねしなければならぬのかもしれませんけれども、担当大臣として大久保大臣にお伺いするわけでございますが、国務大臣をもって充てるというふうなことにしておいても、私が今言ったようなことで実際には充てられないことになるのではないですか。そうしますと、これはあってもなくても同じようなものだ。いわゆる名だけは与えられて、実はどこかの抵抗によって骨抜きになったのではないか、こういう感じがいたしますが、大臣いかがですか。
  8. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 その問題は、総理大臣考え次第で、兼務官房長官ないし総務長官を置き得る、やはり資格国務大臣という資格の人を充てたい、こういう余地がありますから、これを全然国務大臣でなくするのと、この条文にしておくのとは意味がだいぶ違うと思います。その裁量は一に総理大臣考えにまかせよう、こういう趣旨であります。
  9. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それはわかっておるのです。国務大臣を動かすのは総理ですから、それはわかっておるのです。いずれ総理には御出席願うといたしまして、担当大臣といたしまして、当初国務大臣を充てたいという意欲をもって原案をお作りになった。そしてまたそれを現大臣としても支持するということがこの間述べられておるわけなのです。ところが自民党さんの方でそれは工合悪いというので、国務大臣をもって充てることができるというふうに後退しようという要求が今出ているのです。そうしますと、これは実際にそういう規定にしても、国務大臣をもって充てることはできないということになりはせぬですか。現にこの修正案提案理由の中に、「国務大臣の数は現行法総数が限られており、現在国務大臣をもって充てることとされている行政機関に対してさえ兼任国務大臣が出ている状況から、内閣官房長官国務大臣をもって充てることといたしておる原案を削ることといたしております。」これは総務長官についても同じようなことがいわれておるのです。現在国務大臣をもって充てることとされている行政機関に対してさえ兼任国務大臣が出ておる状況だ、この点はお認めになりますでしょう、担当大臣。そうすると、総務長官とか官房長官というものを国務大臣をもって充てるということが規定されなくても、今でさえ足らないのだということをあなたはお認めになりますか。自由党さんが言っておられるこの部分について大臣はいかがですか。
  10. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 その点はその通りでありますけれども、さきに話した通り兼務の制度によって国務大臣にし得ると思います。元来の趣旨は、今宇都宮君の言われた通り国務大臣定員は増すまいという原則に立って機構考えている。そこでまず総務長官官房長官をどうするかということですが、宇都宮君の言われました通り内政省を設置して一名国務大臣定員を浮かそう、この浮いた一名の定員官房長官なり総務長官を入れようとかかったのですが、これが調整がつかないで、大へんむずかしくなりました。勢いこれをこういう工合に緩和の規定に直ささるを得なくなったのです。しかしさきに申しました通り総理大臣考え次第です。国務大臣をもって兼務として充てることができる、あるいは専務として充てることができる、こう思います。
  11. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 あなたも行政管理庁担当大臣といたしまして、行政機構改革をやろうとお考えになるならば、なぜ突っ込んでそこまでお考えにならないわけですか。兼任していくのだ――私は少しおかしいと思うのです。現行においてさえ国務大臣定数が定められておるために兼任せざるを得ないのだ。なぜ兼任しないで済むように強力に、大臣がその所管の問題だけに念専できるような形にしようという意欲をお示しにならないのか、これはそこまで担当大臣として考えられたことはないわけですか。
  12. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 さきに申しました通り国務大臣定員は増すまいという原則に立って考えました。これは世間の風潮といいますか、世間の大勢といいますか、国務大臣をそうたくさんふやすのは、批判がなかなか強いのじゃないかという考えがありましたので、国務大臣は増すまい、現在の定員の範囲内においてやり繰りしていこう、こういう原則をくずさぬでこの機構案を作りましたから、こういう窮屈な案になったのです。しかしこの案によっても、国務大臣は置き得るのです。兼務でなく、本務でも大臣は置き得ます。あるいはよその方を兼務にして、こちらを本務にすることもできる。これはいずれも総理大臣のお考え次第だろうと思います。だからして、この法文を作っても、これをもって国務大臣を充てることはできぬということはない、できると思います。
  13. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 世論気がねをするというのでありましたならば、私は政務次官をふやすのも同じだと思うのです。政務次官をふやすのと国務大臣をふやすのと、若干ウエートは違いましょうとも、どう違いますか。あなたが気がねしておる世論というのは、結局政党人が、代議士がよけいポストをこしらえているのだというふうに言う、こういうことだろうと思う。それに対する気がねだろうと思うのです。しかし少くともいわゆる責任体制確立をするという面からいっても、政務次官をふやさねばならぬのだとおっしやるあなたの口から、そういう気がねの仕方が出てくるというのは、ちょっと私はおかしいと思うのですが、必要なものならば、堂々と説明をし、納得してもらって、ふやしていってこそ、まかされた責任を果す道じゃないでしょうか。   〔委員長退席保科委員長代理着席国務大臣をふやすのは気がねして、政務次官をふやすのは気がねしないのは、どういうわけですか。私はそこのところが一貫しておらないような感じ場がいたしますが、政務次官なら気がねせぬでもいいわけですか、いかがですか。
  14. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 気がねするしないという話になりますけれども、大臣をふやすのと、政務次官をふやすにおいては、世間の見方も違うと思います。まず、さきに申しました通り原則としてはふやすまいという原則に立ってやったのです。政務次官をふやしても国務大臣をふやしたよりも、私は世間感じが違うと思う。また政務次官はふやしてもよろしいだけの根拠があってやっているのですから、これはもし御質問がありましたら説明いたしますけれども根拠があると思いますから、これは正しいと信じてやったわけです。
  15. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 しからば、国務大臣をふやす根拠はありませんか。いわゆる世論気がねをして国務大臣をふやさないと先ほどおっしゃいましたが、その気がねとは逆に、国民を納得させるほどの必要性は、国務大臣をふやすという面ではございませんか。私はあると思う。そんなことで妙な気がねをする必要はないと思うのです。われわれは必要な大臣はどんどんふやしてもいいと思う。特にあなたは、政府提案原案をごらんになればわかりますように、総務長官国務大臣をもって充てる、官房長官国務大臣をもって充てる。しかも内政省を作って大臣をふやすというようなことが当初の案なんですよ。この案が完全に実行される段階になっても、なお内閣法第二条は改正する必要がないとお考えになっておったわけですか。こんなものを幾ら作っても、大臣をふやしても、それは全部兼任で充てる、こういうお考えの上に立って原案を支持しておられたわけですか。その点いかがですか。
  16. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 さきに申しました通り、私どもは、国務大臣一人増加するということは、なかなか容易じゃない、世論考えておるのです。ふやすまいという原則のもとに立案したのですから、決して世論をおそれたとかなんとかいうことでなしに、世論を尊重して、こういう結論のもとに機構改革を進めたのであります。国家生きものであります。政治生きものでありますから、あるいは場合によっては、どういう事件が起るかもしれません。起った場合には、あるいは国務大臣をもっとふやすという空気ができるかもしれませんが、現在の情勢におきましは、やはりふやさないでやっていくのが常識じゃないだろうか、こう思って、こういう案を作りました。
  17. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それで私お伺いしているのは、当初政府が作ったこの案によりますと、新設される総務長官国務大臣官房長官国務大臣を充てる、内政省を作って、これも内政省大臣ができるわけです。そうすると、これは定数を増さないで、兼任の形でやろうと当初お考えになっておったのですか。こういうお尋ねをしておるわけです。
  18. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 修正案提案者として御説明申し上げますが、なぜ一体最初に、そういう総務長官国務大臣をもって充てるとしたのを、充てることができるとしたかと申しますと、内政省ができます場合は、大臣がふえるのじゃなくて、実は減るのです。建設省自治庁一緒になりますから、それで大臣定数をふやさぬ、という原則の上空立案したのですが、内政省ができますと、大臣定数が一人あくものですから、それで総理府総務長官及び官房長官国務大臣をもって充てるという規定を作ったわけです。今度、充てることができるという規定にいたしましたのは、どうしても一人大臣定数が浮かないから、そういうふうにしたのです。しかしながら、内閣総理大臣考え方によりましては、特に総理府総務長官は非常に重要である、その政治的な情勢とか行政情勢から、内閣総理大臣あるいは内閣がそういう結論に達した場合には、専任国務大臣総理府総務長官にしまして他に兼任大臣を作ってもいいわけです。たとえば北海道開発庁長官という国務大臣労働大臣を兼摂させるということも、必要な場合には、できるわけです。そうして専任国務大臣総理府総務長官を必要な場合に置くということもできる、そういう意味で、国務大臣をもって充て得るというふうにしたわけです。
  19. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 結局当初原案を作ったときも、大臣定数をふやすということは考えておらなかった、こういうことなんですね。
  20. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 最初原案を作ります際に、大臣定数をふやさないでいわゆるトップマネージメントをこれからしょうというふうに考えてやったわけです。少し原則的な話になりますか、責任内閣制をとっている国では、相当に政党人大臣政務官その他の形で行政府に入っていることが非常に多いのです。イギリスなんか、その典型的な例です。三十何人かの大臣がいまして、その大臣にも閣内大臣閣外大臣がありまして、閣内大臣は大体二十人ぐらい総理大臣の意図によってキャビネットを構成しておるというようなことをやっているのですが、日本では政党内閣建前からいうと、閣僚の数が少し少いと思います。しかしながら、今までの行政の実際から申しましても、それから内閣法の第二条というものは、やはり相当重要な規定ですから、これを改むるには十分条件が熟さなければいけません。ですから、今度の行政改革案におきましては、内閣法第二条をいじらないという建前で始めたわけであります。
  21. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そこのところが、あくまでも政党内閣として責任体制確立しようと思えば、定数に縛られて遠慮するというのじゃなしに、定数をなぜ突き破るような努力をされないのか、そうして初めて責任体制確立できるのじゃないか。国務大臣の数は、現行法総数が限られておるからというふうな絶対的なものかのごとく規定してしまってそうして後退するという形で責任体制確立などということを言うのはおこがましいのではないですかという私の質問なのです。その点いかがですか。
  22. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 別に後退したわけではなくて、政党内閣責任体制確立するという見地から申しますると、やはり私は原案修正案も一歩前進だと思うのです。しかしながら内閣法第二条の規定をいじりまして、国務大臣定数をふやすということは、これはきわめて重要な変革でありますから、今次の法案においてはそういう国務大臣定数現行通りという原則でやったわけでありまして決して後退いたしているわけではなくて、一歩内閣責任体制確立するという意味では前進いたしておるつもりであります。もちろん機運が十分熟し、その必要も非常に痛感せられれば、当然その際には、内閣法第二条というものは、決して憲法の規定のように変更しにくいものではないのですから、これを変更していいと思いますが、現在においてはそこまでやらなくてもいいのではないかと存じまして原案及び修正案が作られておるわけであります。
  23. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 大臣にお尋ねいたしますが、内閣法の第二条、これは非常におかしな文章だと私は思うのですが、そうお考えになりませんか。なぜ十六人なら十六人というふうに書かないで、わざわざこういうややこしい表現を使っておるのか、この点機会を見て明確な文章に改めたらどうかと思うのですが、そういう意思はございませんか。
  24. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 この文句は、定数は何名と書いてありません。ありませんが、よく読んでみれば、現在の定数、その当時の定数、こういうことになっておるのですから、定数はおのずからきまっております。しかし法文の書き方としては、あなたの言う通りはっきりするのも一つの策であります。一つの方法であります。けれどもこういうように書くのも一つの方法であります。普通に見ると、この文章では国務大臣定数は何名あるかわからないのです。わからないところに私はこの法文の妙味がある、こう思っております。これを何名何名と書いたら、もう一つおまけに一人増せ、ついでに顧た増せ、――ちょうどあなたのように増したらどうかという議論があって、国務大臣がふえてしょうがないと思うのです。こうしておけば、よほど考えなければ、同名だかわからないのです。だから私はこういう消極的の効果がある、これは実に名文だと思って考えておるのです。けれどもあなたの言われる通り、必要があったならばこれは私は増すのにやぶさかではないのですけれども、今の平和な時代にそうむちゃに国務大臣を増すということは要らないのではないか、必要があったらいつでも増す考えを持っております。
  25. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 名答弁をいただいて参ってしまったのですが、この文章でわからぬところがいいのだとおっしゃいますが、法律がわからんでいいという解釈は初めてお伺いしたわけです。法律はあくまでわかるようにというのが前提でなければならぬと私は思う。しかしなかなか微に入り細にわたって表現しようと思ったら、ときにはわからないような表現を使わなければならぬ場合もあるかもしれません。しかし前提はあくまでもわかりやすくというのが、新憲法制定以来の立法上の常識ではないかと思うのですが、そこのところはちょっとおかしいと思うのですけれども、「従来の」というこの「従来」というのは、しからばどういうことなのですか。もう少し根拠を示していただきたいと思います。
  26. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 私からお答え申し上げますが、今大臣から言われて、わかりにくいというのは、心理的な効果をねらったわけでありまして世間一般にたとえば国務大臣の数は総理大臣を含めて十七人とするといたしますと、それでは行政の必要に応じてそれを十八人にしたらいいじゃないかというような改正意見が一方には起りやすい、そういう心理的な意味においてこの表現は幾らか総数を抑制するという意味において効果があるのではなかろうかというのが大臣のお考えでございます。  それから「従来の」ということでございますが、この内閣法は新憲法の施行と同時に効力を発生しなければならぬ法律でございますので、新憲法の施行のすなわち昭和二十二年五月三日の前日、すなわち五月二日現在において、ある省の数とその当時のいわゆる無任所国務大臣の数、それをさして「従来の」とこういっております。
  27. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それで前半の、総理大臣を含めて十七人とあれば、世間が十八人にしろ、十九人にしろ、そういうふうな声が出てくるおそれがあるという、そういう意味ならおかしいですよ。先ほど大久保大臣世間気がねする。世間というものはふやすということは絶対反対だという前提の上に立った御答弁をなさっておる。今あなたが補足した大臣答弁によると、世間がふやせふやせというと困るからという。そうしますとあとでいう世間というのは、これは代議士のことですか。それで代議士にわからぬように書いておると、こういうことですか。
  28. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 その点につきましては、、行政部門が多くなるにつれまして、各分立した行政部門の長官を、国務大臣をもって充てたいという、行政部門が多くなるにつれまして、国務大臣をふやしたいという要請が理論的に出て参るわけであります。決して代議士側から出るということでございません。それからもう一つ内閣の運営につきましては、なるべく国務大臣の数が少い方がいいということも、これも理論的にいわれておることでございまして、国務大臣の数をなるべく内閣自体の運営の面からいえばふやさない方がいい。それから行政部門を各部門ごとに伸ばす意味においては、各部門の長を国務大臣をもって充てたらいいというふやす方の要請と、両方の要請の調和が、国務大臣の数についての焦点だろうと思う。その二つの要求のどちらに重きを置いて見るかということで、ふやせという要求、ふやすなという要求とがあろうかと思うのでございます。そういう意味でございます。理論的な意味でございます。決してどの部門がどうとかいうことではございません。
  29. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 少い方がいいとおっしやいますが、それでは一つ外国の例を、英米ソあたりを例にあげて、どれくらいの各省の長官、こちらの大臣に当るようなものがおるか、ちょっと説明して下さい。
  30. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 現在議院内閣制をとっておりますイギリスにおきましては、先ほど宇都宮委員から申された通り三十数名の国務大臣がおるわけでありますが、内閣制度を運営する上におきましては、現在のマクミラン内閣におきましては、総理を含めて十八名をもって閣内大臣を構成しております。それ以外の大臣閣外大臣といたしております。すなわち十八名というものが現在のイギリスにおきましては内閣を構成する数でございますが、これについてはイギリスの学界におきましては従来から、閣内大臣の数をもっと減らすべきである。二十人をこえては内閣というものの運営が困難になるということが、いろいろないわゆる委員会、審議会の報吉に出ておることは御承知通りであります。アメリカにおきましては、これはまたイギリスと内閣制度の趣旨が違いますが、現在アメリカにおきましては、十三人をもって内閣を大統領のもとにおいて構成しておりますが、この内閣は必ずしも大臣ばかりではございませんで、予算局長であるとかあるいは人事委員会委員長というのが出席しております。それから西ドイツにおきましては、たしか十五、六人を、もって構成しております。ソ連におきましてはもっと多くの――これはまた内閣制度が違いますから、ここで特別申し上げるまでもないと思いますが、そんな状態でございます。
  31. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 岡部さんはお役人ですから、ふえない方がいいだろうと思う。担当大臣どうですか、この大臣の数が現行法規定されておるからといって、内閣法第二条を絶対的なようなものとする考え方に、私どうも納得できないのですが、特に条文がこういったふうにわかりにくい、そのわかりにくいのは、先ほどの岡部さんの説明によると、新憲法制定と同時に発足させなければならない事情があったと言う。今そういう事情がないのだから、もう少しすっきりしたものにするという意味をも含めて、当初考えておったような総務長官とか官房長官というようなものを国務大臣にするために、どうしてもこのワクがじゃまになるということなら、このワクを突破するというようなこととも関連させて改正することを研究してみたらどうかと思うのですが、大臣いかがですか。
  32. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 ただいま申し上げました通り、外国の例を見れば多いところが多いのです。多い国はたくさんあります。けれども日本の国の現状から見て、また日本の国力から見て、やはり十七名くらいの大臣が適当じゃなかろうか、これを増すという理由が新たに発生すれば別です。ですけれども、現在の情勢におきましては、今直ちに国務大臣を増さなくてはならぬ理由を発見するに苦しむのです。そこでまず現状維持でいこうという頭を描いて今度の機構を作ったわけであります。  それでこの文章の問題であります。これはその当時はこういう工合に書きましたが、私はこれが一番いい文章であるとは決して思っていないのです。やはりあなたの言われる通り、法律の文は平易にしておいた方がいい、わかりやすくするのが、これは原則、たろうと思いますから、いずれこういう問題も検討の上で、また皆さんに御審議を仰ぐ機会が来るじゃなかろうかと思っております。
  33. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは宇都宮さんにお尋ねいたしますが、自民党といたしましてやはり政党内閣という面から、いろいろ行政機構についてもお考えになっておると思うのですが、国務大臣をもつて充てることをやめた理由に、国務大臣の数は現行法総数が限られておるからというようなことを掲げて得々としておるのは、政党人として恥ずべき態度ではないかと思うのですが、この点いかがですか。
  34. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 別に恥ずべき態度とも思っていませんが、最初原則が、内閣法第二条をいじらぬという建前から出発したものですから、そういうふうになったのであります。しかしながら現在の憲法上、行政権は内閣に属すという規定がはっきりあるわけですから、そういう規定をほんとうに実際化するという意味で、いわゆるトップマネージメント強化する、内閣責任体制をはっきりさせるという点から申しまして、今度の改正原案及び修正案は、ともに一歩前進である、かように私は思っております。でありまするから、こういう程度の案きえ通らないような議会の空気ならば、これは大いに恥ずべきであるというふうに考えておる次第であります。
  35. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それからやはりこれに関連して先ほど大臣は、定数をふやさなくても兼任でいくんだ、兼任でいくんだと何度もおっしゃっておるが、ここにもやはり私は危惧を持つわけなんです。と申しますのは、かりにあなたがおっしゃるように、総理の意向で総務長官官房長官、それぞれ国務大臣を充てることができるとなっておるのだから、国務大臣を充てる、そのかわり兼任だということになった場合に、総務長官官房長官兼任の形で国務大臣を充てるというようなことになりはしませんか、そういう心配はございませんか。
  36. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 それは総理大臣の権限で、二人置いた方がいいか、あるいは一人置いた方がいいか、これは全く総理大臣考え次第であると思います。二人置く方が好都合ならば二人置けます。一人にした方がいいと思えば一人置けます。
  37. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そういたしますと、従来官房長官がやっている仕事の中から権限を分離して総務長官を新設するという意義がほとんどなくなってくるのではないかと私は思うのですが、それでもやはり分離して総務長官を新設した方がようございますか。
  38. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 分離したほんとうの趣旨からいえば、やはり別の人を充てるのが原則であろうと思います。しかし例外として、あるいはまた万一、一人をもつて兼ねさせるという場合が起ってこないとも限りません。これは全く総理考え次第と思います。
  39. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そういたしますと、兼務しても、今のような一本の形にしておるよりもやはりプラスになるというお考えだと思うのですがやはりそういった場合でもプラスになるという面を一つ教えていただきたいと思います。
  40. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 その場合には総務長官の下に総務長官というのがあります。これが事務の中心です。ほんとうをいえば、この法文を見ますと、「総務長官は、」「政務を処理し、」と書いてあります。これは事務ばかりでなく、政務にも関与できる。ところが総務長官というものは、政務という文字を使っていない。総務長官を助けるとしか書いてない。これが事務の中心になって、内閣総理府事務を統制しますから非常にはっきりしてくる、こう私は思います。
  41. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 その総務長官は特別職でございますか、一般職でございますか。
  42. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 それは一般職です。
  43. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 従来は官房長官という考がおって、官房長官を補佐しております。御承知通りこの官房長官は特別職でございます。この特別職の官房長官がやっておった仕事を一般職の総務長官がやるようになる。その点はおわかり、だろうと思うのですが、それでもやはりようございますか。
  44. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 総務長官は一般職ではないのです。特別職です。総務長官、これは一般職です。
  45. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 だから今までは特別職の官房長官官房長官、というものが見ておった仕事のうち、ある部分を新設の総務長官が見る、新設の総務長官が補住することになるというわけだ。だから官房長官総務長官というものを一応抜きにして、補佐する側を見た場合に、実際の事務の最高責任者といいますか、この人たちのレベルでものを見た場合に、従来特別職の官房長官が見ておった分を、一般職の総務長官が見るということになると、この面からいっても、いわゆる政党内閣責任体制確立という面からいけば、後退という印象がどうしても私は強いのですが、心配要らぬ、かえってよくなるという理屈がどうもわからないのですけれども……。
  46. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 官房長官も特別職でありますし、またそれと並ぶ総務長官も特別職でありますからして一向そこは差しつかえない、ちっとも後退しないと思います。
  47. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 もし別々の人が任命されておっても、それを補佐する者が、従来は特別職の官房長官が補佐しておったのに、今度は一般職の総務長官が補佐するということになると、これは非常に違ってきますよ。しかもあなたがおっしやるように、兼任だということになった場合には、大違いです。従来は完全な特別職の者が官房長官、副長官として握っておったものを、一般職の総務長官が握るということになる。私は別に対峙させたくもないけれども、少くとも内閣責任体制確立ということが行政機構改革の主たる目標であるならば、非常にささいな面に見えるようで、これは大切な問題だと思うのですよ。なぜその副長官をそれでは一般職にするのですか。これを特別職にしておけば、まだ心配は少い。
  48. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 今回総理府総務長官の監督下に入ります局の性質を考えてみますと、たとえば恩給局あるいは統計局、賞勲部というように、比較的事務のものが多いのです。だから官房長官の主宰するのと全然違う。官房長官は主として政務に専念する。従ってその下に配する副長宮もやはり特別職でいいと思います。これに反して総務長官の支配下は、今お話した通り事務的な部分が多いのですから、やはり下の副長官というものは一般職にしても差しつかえない、こう思っております。
  49. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは政党内閣責任体制確立じゃないじゃありませんか。政務官はつまらぬということですよ、あなたの表現は。官僚の方がやはりいいということになりますよ。今までは官房長官にやらしておったが、どうも具合が悪い、だからお役人さんにやらせよう、これが政党内閣責任体制確立とどういうふうに結びつくのですか。そういう意味で私は後退だと言っておるのです。官房長官が、よう見きらぬから、だから一般職の総務長官を作るのだ、こういうことになるのじゃありませんか。あなたがお題目として掲げております行政機構改革の目標からは、はすれてくるじゃないか。私はそういう印象を強くするが、いかがですか。宇都宮さんからでもけっこうです。
  50. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 石橋さんの御心配は、私もまことにごもっともと思います。しかしながら、今度の行政機構改革一つの目標といたしまして、総理府という役所は、内局といたしましても、あるいは外局といたしましても、非常に多種多様のものを含んでおります。それが内閣総理大臣のもとにあるわけですけれども、しかしながら一応官房長官を通じて下にある形になっております。ところが内閣官房長官は御承知通り非常に多忙です。内閣のいわば番頭としてのいろんな政務がありますし、また副長官も非常に多忙です。従って総理府の内局を管理すると申しますか、めんどうを見ると帯しますか、そういうものがないわけです。ですから総理府総務長官を設けまして、これを大臣をもって充て得る特別職のものといたしまして、その下に事務のたんのうな一般職の副長官を置くということにいたしたわけでありまして、それによって総理府内に何か十分に内閣管理が行き嘱かない状態は、これは私は直ると思います。   〔保科委員長代理退席、委員長着席〕 しかし副長官を一般職にしたために、今まで特別職の内閣官房長官でやっていたことを一般職の総理府長官がやるから、やり方が官僚的になって、政党内閣本来の行政趣旨から離れるではないかという御心配かと思いますが、それは総理府総務長官と副長官とは、私は密接不可分な関係にあると思います。総務長官が十分にその副長官を指揮すれば、これは十分解決する問題であって御心配はないと思います。とにかく総理府内の内局とかあるいは外局とかの、内閣総理大臣に直属した形でいながら、十分にそれを受けていないというような形を改めるには、新たにどうしても今度のような改革をしなければならない、こういうふうに思っておる次第であります。
  51. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 正面に申し上げて、わかったようなわからぬようなところでございます。結局、単に一般職にするか特別職にするか、その表現、だけの問題じゃないと思うんですよ。やはり政党内閣責任体制確立ということをほんとうに機構の面で生かしていくためには、どういう形でなくちゃならぬかという問題とつながっておると思う。かつて、これは三十二年の二月十日ですが、日本経済新聞に、「行革案修正に大久保構想」というのが載ったことがあります。これを一口でいいますと、今の問題と関連のある部分を抜き出してみますと、食糧庁、水産庁などの長官政務官とするという構想、これが盛られておった。この問題とも関係があるんですよ。大久保大臣、あなたがこの二月にお漏らしになった食糧庁、水産庁長官政務官にするというこの考え方と、今総務長官を一般職でもいいという考え方とは、非常に矛盾しておるということにお気づきだろうと思う。私は少くともこの食糧庁、水産庁の長官政務官にしようなどという構想をお持ちになる担当大臣が、総務長官は一般職でもいいのだというようなことをおっしゃるとするならば、何か一貫しておらない、行政機構というものについて一貫した信念というもの、そういうものを持っておらないのじゃないかという疑惑を抱くわけでごさいますが、一体本心はどうなんですか。実際は、やはりできれば総務長官を今度新設する、その新設する際にきれいに特別職にしておこうというのがあなたのほんとうの意図だというようにおっしゃるならば私は理解できますが、そうでないとするならば、非常に信念に乏しい。行政機構というものに対する一つ考え方というものをお持ちにならないのじゃないかというふうな私の疑惑を解消することはできない思いますが、いかがですか。
  52. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 内閣官房長官の主宰する事務、これはほとんど政務が多いのです。従って、その下につきますものも、特別職たる官房長官を置くのがいいと思います。けれども、さきに申しました通り総務長官の主宰する事務はほんとうの事務が多い、政務より事務が多いのです。さっき例示しました統計局の事務、恩給の事務とか、これは政務というより事務が多いのですから、その上の総務長官が一人特別職であれば、その下まで全部が特別職にしなくてもいいのじゃないかと思って、こういう案を作りました。決して特別職がどうの、一般職がどうのと区別して考えたわけじゃないのですけれども、事務の性質上から見て、その方が妥当じゃないか、こういう考えで副長官というものは一般職にした次第であります。
  53. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私、その事務という言葉がどういう意味で使われているのか、ちょっとわからないわけです。たとえば事務次官事務次長、こういう人たちがやっておられる仕事も、いわゆるあなたが今使った、事務をやっておるのですか。今あなたは事務という言葉を盛んにおっしゃった。今度総務長官というものができる、ここで扱っておる仕事は非常に事務が多い、事務が多いから一般職の者がいいのだ、こういうお言葉でございましたが、そういう今大臣がお使いになった事務という言葉ですね、これは一つの例をあげて申し上げますと、各省の事務次官、この人たちがやっておる仕事は、今あなたがおっしゃっておるいわゆる事務をやっておる、それ以上のものはやっておらぬというお考えと結びつくか、いう質問です。
  54. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 各省の事務官、これは必ずしも事務でない。ある程度はまた政務も入るかもしれませんが、政務の方は組織上政務次官が主としてやるのが原則です。ですから、どれまでが事務であるか、どれまでが放蕩であるか、なかなかその区別が困難なことがあるかもしれぬが、常識で判断して、たとえば統計局の事務あたりは、これを政務という人はない。事務という人が多いだろう。常識の判断です。これ以上、どこが事務だか、どこ一が政務だか、はっきり区別することはなかなかむずかしいと思う。これは常識で判断する以外にない。統計はどうしても事務ですよ。恩給も、計算して支給する、これも私は事務だろうと思う。政務とは言いがたい。こういう仕事がたくさんあるんだから、やはり総務長官の下に一人ぐらい一般職の人を置いても差しつかえないじゃないか、あまり一般職の人を排撃されてもどうかと思う。
  55. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私は、統計事務や恩給の計算が事務じゃないと言っておるわけじゃない。総務長官が、何もそんなことをするわけじゃないですよ。それは統計局長なり、恩給局長以下のお役人さんがやりましょう。しかし、新設される総務長官が、そういうものを見ていくために、いわゆるあなたのおっしゃるような、あなたの言葉でいう事務屋でなくちやならぬということは、ちょっとおかしいと思う。しかも従来は、官房長官という特別職の人が見てきておる。これは政党人でない人もおります。代議士じゃない人もおります。そういう人たちが見てきておるものを、あなたのおっしゃるいわゆる事務屋の人でなくちゃならぬ、私の言うお役人、官僚、この人たちでなくちゃならぬという理屈は、どう考えても、機構改革目的として掲げられておるものからいえば、後退意味する。私は、どっちかといえば、政務次官にしても何にしても、どんどん政務官が入っていくというよりも、官僚機構の中に、行政機構の中に入っていくというよりも、事務次官とか、私がさっき読み上げたような長官とかいうような人たちを、政務官にするという方に持っていった方がいいというくらいに思っておる。下手に政務次官をふやして、こっちから入れていくというより、現在一般職になっておるポストを、政務官に切りかえていくというふうにした方が、目的達成のために、よりプラスになるじゃないかという考えすら持っておる。そこでどうも納得いかぬわけですが、休憩にしてくれという話ですから、またあとで伺います。
  56. 相川勝六

    相川委員長 午後一時より再開することとし、これにて休憩いたします。    午前十一時四十三分休憩      ――――◇―――――    午後三時一分開議
  57. 相川勝六

    相川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣法等の一部を改正する法律案、及び両法律案に対する宇都宮徳馬君外四名提出にかかる両修正案、並びに国家公務員法の一部を改正する法律案一括議題とし、質疑を続行いたします。石橋政嗣君
  58. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 さつき総務長官の問題までで終ったと思うのですが、私の考えといたしましては、結局従来特別職の官房長官がやっておった仕事のうちの相当部分を新設の総務長官がやることになる。その総務長官が一般職であるということは、明らかに今回提案されておる行政機構改革目的からいって後退しておる、これには納得できないということを申し上げたわけでごさいますが、この点はまた今後とも主張し続けていきたいと思うわけですけれども、一応質問はとどめておきたいと思います。   〔委員長退席、床次委員長代理着席〕  私お伺いしておきたいことは、官房長官、特に今度できます総務長官は、国務大臣をもって充てることができる、できれは国務大臣を充てたいのだというお話でございますが、これを兼任するというようなことになります。と、せっかく分離した意義というものが失われる、そういうふうな感じが非常に強いわけです。その点、扱い方として担当大臣はこれの兼任ということには何ら矛盾をお感じにならないか、もう一度お伺いして、それから質問を進めていきたいと思います。
  59. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 その点は午前中にもちょっと触れたかと思いますが、せっかく官房総務長官と二つに分かれたのですからして、分れたということがすでに二つの長を置くべきだという基礎に立っているのですから、原則としてはどうしても二人別々の人を任命するのが原則だろうと思います。ですから、おそらく総理になった人がどういう感じを持つかわかりませんけれども、私はやはりどういう人が来ても、原則としては二人置くだろうと思います。ただ、万々人繰りの都合上、兼務がだいぶ多いのですから、あるいは一人とするやむを得ない事情があるかもしれませんが、これはほんとうの例外で、原則としてはやはり別々に置くというのが常識であろう、こういう考えを持っております。
  60. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 総務長官総理府の政務と事務を見るということになるわけでございますが、先ほど大臣のお話もございましたように、この総務長官の所管に入るお役所といいますか、そういうものは、統計局とか恩給局とかいうようなものになるのだ、いわゆる事務的なものが多いのだというお話でございました。この国務大臣をもつて充てることのできる総務長官の主管する総理府には、政務次官を置く必要がない。一般職の副長官を置いてもなお政務次官はいらぬというふうにお考えになっておるとするならば、その理由一つ説明願いたい。
  61. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 総理大臣を助けるのにちょうど総務長官政務次官のような役目をするじゃないかと思います。従ってその上にまた政務次官を置くということは少し複雑過ぎるというので、総理府には政務次官を置く必要はない、だろう、こう感じまして、政務次官を置くという規則は設けませんでした。総理大臣が長でありますから、その長を助けるのには、一方は官房長官、一方は総務長官という、どっちも特別職の政務を取り行うことができる人を配置しておけば、その上にまた政務次官は必要ないじゃないか、こう思いまして、規則の上では政務次官を置かぬということになっております。
  62. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 その論法でいくと、各省全部そういうことになりませんでしょうか。総理国務大臣政務次官以下の関係総理府だけに限定されてほかの省と全然違った形のものにお考えになるのはおかしいのじゃないかと思いますが、どうですか。各省大臣総務長官しいうものと、今度は同じような形のものになるわけじゃないですか。官房長官は、これはやや違った形のものになるかと思いますけれども、総務長官は、大臣がおっしゃるように、恩給局とか統計局とか、いわゆるそういう事務的な仕事が主なんだとおっしゃっておるとするならば、各省と変らないのですよ。だから総理大臣国務大臣政務次官という関係は、今度総理府の易合は各省とほとんど変らないことになる。だからこそ分離したわけじゃないのですか。そこのところがちょっと私納得いきません。
  63. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 各省には御承知通り各省大臣があって、その下に政務次官が一人しかない。一方には事務次官事務を補助して執行して、事務を助けておるという形になっておる。内閣においても総理大臣がちょうど各省大臣のような立場に置かれておる。それを助けるのには、一方は官房長官、一方は総務長官という両翼で助ければ、その上にまたしつこくも政務次官を置く必要はないじゃないか、こう考えたのです。
  64. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 この内閣官房長官総務長官というものと二つ分けて設ける必要性が出てきたということは、結局内閣官房長官内閣制度の運営について、その政務と事務を見る。新しくできる総務長官総理府の政務と事務を見る、こういうことであったと思うのです。そうしますと私はこの総理府総務長官というのは、ちょうど各省の大臣と同じようなものになってくるのじゃないか、こういうような理解をしておるわけなんです。そういう意味であるならば、ああ総務長官を作らねはいかぬかなという感じがしているのですよ。それを、総務長官国務大臣をもって充てても、それは各省の場合でいえば政務次官だということになりますと、いわゆる大政務次官だということになりますと、ちょっと私今までの理解が間違っておったのかなという感じがいたしますが、その点いかがですか。
  65. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 ちょっと修正案提案者として御説明申し上げますが、内閣総理大臣内閣議長としての性格と、それから総理府長官としての性格と二つ持っておるわけなんです。それで総理府においてはあくまでも内閣総理大臣長官で、また内閣においてはその議長と申しますか、その首長は、あくまでも内閣総理大臣であります。それを次官的な立場で助けるのが、一方においては内閣官房長官であり、一方においては総務長官であるというふうにわれわれは理解しておるのです。それでありますから、総理府政務次官を置けという議論もあったのですが、置かないことにいたした次第であります。総理府長官総理大臣総務長官という名前ですけれども、これは官房長官と同じような意味長官という名前がついているのであって、やはり総理府長官としての総理大臣を助ける立場にあるわけでございます。
  66. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ一応その点はおいて次に移りますが、内閣法の話が出たついででありますので、この点で疑問の点がありますから、ちょっとお尋ねいたしておきたいと思いますが、先日、朝日新聞に出ておったかと思うのですけれども、内閣法の四条、「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。閣議は、内閣総理大臣がこれを主宰する。」という規定があるにもかかわらず、これを何ら具体的に、閣議がどういう形で運営されるのかというようなことがきまっておらないのはおかしいじゃないかというふうな論議があるやに聞いておる。この点はどういうことになっておるわけですか。今は閣議の運営はいかなる法令、規則に基いてなされておるわけですか。
  67. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 閣議は、調べた範囲では、別に規則はありませんようです。従来の慣例によってやっておるようであります。
  68. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 慣例で事足りると大臣はお考えになっていますか。
  69. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 閣議の規則というものは別にございませんようです。
  70. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ないことは今お伺いしました。慣例でやっているということなんです。この最高の閣議が何らの根拠も持たずに、ただ慣例でやっていくということに対して矛盾をお感じにならないか、あるいは不便をお感じにならないかというお尋ねをしておるわけです。たとえば一つの例が、いわゆる持ち回り閣議なんというものがありますけれども、吉田さんがばかやろう解散をやったときなんかは、大臣で判を押してない人もあったという話もある。こういう権威のないことが行われて、しかも閣議決定という形をとったかのごとく装われて実施に移されていくということについて、矛盾をお感じにならないかと、大臣にお尋ねしているわけです。
  71. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 吉田さんの解散のとき、有効か無効かという議論はだいぶありました。これは全部の閣僚がサインするのが本則です。しかしあのときは全部やらなかったように聞いております。それが有効か無効かという議論はあったのですけれども、結局うやむやになって、わからなくなってしまった。従ってそういう慣例もあるし、大体従来の慣例通りやってこれまでは支障はないのです。おそらく今後も、常識的に運用して、まずなかろうと思っております。持ち回り閣議というのは、時間が間に今わないとき特別にやるので、一カ所に集まってやるのが普通ですけれども、急を要するような場合、たとえば死んだ人の叙位叙勲など、あしたが葬式だから早くやってくれというようなときは、急ぐから臨時に持ち回りをやりますけれども、これは普通の場合の例外であって、従来の慣例で常識的にやって今日の運営においては大体差しつかえないと思っております。
  72. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私はそれじゃ納得いきません。少くとも行政の最高機関である内閣は、閣議によってその職権を行うものだという規定がある。その閣議が、今おっしゃるように、全く慣例という名のもとに、極端に言えばふしだらな運営をされておって、それで国の政治が左右されたのでは、私はかなわぬと思う。そういう形で行政が行われていくことに対して、私は責任感じてもらいたいと思う。不便を感じないというのはどういうわけですか。しかも解散などということが、一部の閣僚の賛成の署名もなされないままに行われるというようなことについて、何ら疑問、矛盾をお感じになりませんか。私はちょっとその言葉は不見識だと思うのですが、お取り消しになりませんか。
  73. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 別に取り消す必要もないと思うのです。もし慣例を尊重した常識的の運用において差しつかえがあるようになったならば、これは何か標準を作ってもいいかと思いますが、今日の運用の上においてはそういう問題は起きておりません。まあこれでやれるんじゃないかと思っております。
  74. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 吉田さんが全閣僚の署名なしで解散をやったのも、あなたのおっしゃるその慣例でいけば、一つの慣例ですよ。岸さんが、大久保大臣はどうも解散に反対しそうだといって、あなたの署名をとらないで解散しても、あなたは矛盾を感じませんか。いかがですか。慣例に従って、吉田茂がやったんだから、おれができないわけはなかろうということを岸総理がおっしゃって、どうも大久保大臣は解散に賛成しそうにない、あいつのところには回さないでいいからといって、突如として大久保大臣の署名のないままに解散をやっても、あなたは矛盾をお感じになりませんか。慣例に従ってやったの、だということになりますが、それでもいいとあなたはおっしやいますか、いかがですか。
  75. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 もしそういうことがたびたび起るような場合においては、あるいは閣議について細則を作るということが必要かもしれません。たまたまそういう一つの例はあるかもしれませんが、原則的にはほとんど問題ないのです。閣僚くらいの人間をそんなにこまかく縛らなくても、けっこう常識でやっていけるんじゃないか。あまり縛り過ぎると、人間を超越した、何か一種異なった動物のようになってしまうんじゃないか。やはりある程度人格を尊重していけば、それほどこまかい規則も要らないんじゃないかと思います。
  76. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 大臣は、慣例でやるのだ――すでに慣例があるんですよ。吉田さんがやったという慣例がある。慣例でやるというんだったら、現に起きるかもしれないというような問題でなく、現にあった。それをならって岸さんがやらないという保証はないんじゃないですか。もし岸さんがそういうことをやっても、あなたは閣僚の一人として矛盾を感じないか。自分は解散に反対しておったときに、自分の署名がないままに総理大臣が解散をやったというようなことに対しも、あなたは矛盾をお感じにならないか。もし矛盾をお感じになるとするならば、そういうことがやれないようにきちっと規定づけておく、そういう方向に動かれる方が正しいんじゃないかと思うのですが、ほんとうに矛盾も不便もお感じになりませんか。
  77. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 慣例といいましても、慣例というのは広い意味一つの法規です。ことにイギリスあたりの政治を見ると、慣例でやっている。それでりっぱに国政の運用はできている。やはり慣例を尊重していって差しつかえないんじゃないか。もし吉田さんのようなことがたびたび起きて問題になればこれは別ですけれども、おそらくそういう問題は常識的に起きてこない。起きてきてどうしても不平が起れば、争ってやめるよりしかたがない。これがとるべき道だろうと思う。
  78. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 イギリスの場合と日本の場合とは国情が違います。御承知通り、イギリスは憲法自体が成文化されておらないのです。そういう国の例を持ってきて、日本でも慣例は法律の一種だ、そういう飛躍した立論をされることに私は納得いきません。しばしば行われればそのときやればいい、これもちょっとおかしいと思う。吉田さんが特異な人で、ああいう性格破綻的な行動はほかの者はやらぬというふうにあなたはお考えになっておるかもしれませんけれども、しかしそれも保証はないわけなんです。よろしくないことならばできないようにしておけばいいんです。何もそうできないわけはないんですからね。なせそういうふうにあなたが固執されるのかちょっと私わからないわけなんです。持ち回り閣議なんというまことにおかしな慣例はやめるべきです。それも完全に全閣僚の署名が取れれば別ですけれども、取らないままに解散などという重大な国事を総理大臣がやるなんてことはもってのほかですよ。これは便利ですから総理大臣になったときについやってみたくなるかもしれません。過去にそういう慣例があれば、私はぜひそういうことはやらないようにきちんとしておいてしかるべきだと思う。  それからもう一つ「閣議は、内閣総理大臣がこれを主宰する。」、明らかな規定があるにもかかわらず、総理が欠席のまま閣議が開かれるということがある。内閣総理大臣が主宰しなかった閣議でなされた決定は果して効力があるかどうか、こういう論一議もなされておると思うのですが、大臣この点についてはどうお考えですか。
  79. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 総理大臣がおりませんで閣議を開く場合はあります。そういう場合は総理の委任があるか、しかるべき方法によって差しつかえないようになっておると思います。それは形式上の委任というわけではなく、あるいは口頭なりあるいはそのほかの方法によって適当な処置をとっておると思います。
  80. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それはいわゆる副総理百と言われておる臨時首相代理ですね。これがおるときならあなたのおっしやることは筋が通るかもしれません。しかし第九条には「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。」と規定しておるのです。ところがあなたの属しております岸内閣にはこの第九条で指定された国務大臣というのはおらないじゃありませんか。内閣総理大臣に事故のあるときは、このあらかじめ指定された国務大臣が閣議でも主宰しなければならぬはずなんです。しかし残念ながら岸内閣にはそういうものはおらない。こういう規定があるにもかかわらず、あらかじめ指定する国務大臣も設けないで、そのつど口頭できょうは大久保君、君やっとってくれなんというので閣議が主宰されていいものとちょっと私思わないのですが、その点どうですか。
  81. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 今の内閣は実際あなたの言う通り総理というものはおりません。だから総理の代理を勤める人は正式にはきまっていないのですが、さっき話しました通りきょうは行かれないからしてくれということで、おそらく口頭なり電話なりそのほかの方法によって伝わっておると思います。もう一つはかりに総理大臣がいなくても総理大臣の決裁は仰いでいます。サインは取っています。これによって私は法律的の効力を発生するものとこう思っております。
  82. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうしますと「閣議は、内閣総理大臣がこれを主宰する。」というのは必ずしも形式的に主宰しなくても事後承認してでもいいのだ。こういう法律解釈がなされておる、こういうふうに理解していいですか。
  83. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 それは程度問題です。たとえば一月も二月も病気で寝ておるとか、あるいは外国に出張したとか、そういう不可能の場合は別として、常識的に短期の期間ちょとした差しつかえのために、あるいは人を出迎えに行くからちょっとやってくれ、あるいはあしたこうだからちょっとやってくれというような短期間の問題はその必要なかろうと思う。長い期間になりますとこれは正式の代理を置くのがほんとうだろうと思います。
  84. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃちょっと法律的な問題になりますから、岡部さんでもけっこうです。「閣議は、内閣総理大臣がこれを主宰する。」主宰するというのは、われわれ少くとも議長としておって、そして議事を取り計ろう、そして決定を下す、裁決をするということであろうかと思うのですが、そうでなくでも、あとでどういう結論が出ましたというので、それを事後承認の形をとってもいいのだという解釈がどこかでなされておるわけですか。
  85. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 第四条の解釈につきましては、もちろん適当な解釈があるわけであり、よすが、閣議の運営というものが、先ほど大臣からもお答えがありました通り実情に適するように長い間の慣例で運営にされてしるというのが実情であるわけでありまして、その場合において内閣総理大臣がこれを主宰するといいましても、程度の問題でございます。事実上主宰するのと同じ結果になる、事前にまたは事後において口頭または電話で指示を仰ぐとか、決裁をとるとかいうようなことでやっている分におきましては、それがはなはだしくならない場合におきましては、主宰するというように解釈しても差しつかえなかろうと思っております。また事実そのようにやっていることと存じております。
  86. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 法に明文がない場合には、あるいは便宜的にそういった慣例に従うということもあるかもしれません。私が聞いているのは、明文のある「主宰する」という表現についてお伺いしておるわけです。あなたが今おっしゃったようなことも「主まする」中に入るのかという質問です。
  87. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 普道の場合におきましては、会議を主ますると申しますと、会議に出席してみずから議事を指導するというのが主宰の文字通りの意義だろうと存じますが、実際の慣例として、それが一そう拡張して運営されるという場合もあり得る、現にある、こう存じます。
  88. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 法一般についてそういうふうにわれわれ理解してようございますか。
  89. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 それは慣習の問題でございまして、社会一般の意識においてそういうことが是認される範囲においてはあり得ることだろうと思います。
  90. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは現在岸さんがお休みになったときに、閣議は一体どなたが主宰しておるわけですか。
  91. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 近ごろほとんどきめないで、官房長官が実際やつていますが、官房長官総理との間は連絡をとって、運用においてはもう総理がそこにおったと同じような運営をやっています。そういう心配までいかないですよ。
  92. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 官房長官国務大臣でごさいますか。(大久保国務大臣「いや、事務連絡です」と呼ぶ)私がどなたが主宰しているかと言ったら、官房長官が主宰しておる、こうおっしゃいましたが、官房長官国務大臣じゃないと私思うのですが、閣議というのは、国務大臣じゃない官房長官が主宰するというほど権威がないとするならば、もう何やか言わんやで、こういう行政機構改革なんというものはおやめになった方がいいと思う。いかですか。
  93. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 これは今管理部長もいいました通り、広い意味の主宰というのと厳格な意味の主宰というのと二つあるだろうと思う。あなたの言うのは厳格な意味の主宰ですよ。もう少し広い意味に解釈していい通念があると思う、社会に通用する通念があると思う。たとえばさっきちょっと話した外国の人を迎えに行くからその間君ちよっとやってくれ、そういうことまでいかぬと解釈されるのは少し極端ではないかと思う。そこは程度問題だろうと思う。一週間も十日も留守にしてやるというのは別だけれども、ちょっと席をはずした場合、やってくれと頼んでいけば私は差しつかえないと思う。こういう場合に必ずしも人をきめなくてもいいじゃないだろうか、こう思っております。
  94. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私は一歩譲ってお伺いしておるわけなんですよ。総理大臣がおらないときに開かれた閣議というものの決定についても意義を持っておるのです。私は一歩譲りましょう、そういう慣例でございますならば、それは慣例としてそういうことが行われておるのだという現実確認という意味で了解します。しかし国務大臣でない官房長官が主宰するということは、私は絶対承服できませんよ。
  95. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 官房長官は連絡の意味で言ったのです。それが主宰と私は申しません。連絡です。
  96. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ口頭で自分かおらないからだれかやれというようなことで大ていやっているということをあなたは先ほどおっしゃいましたか、総理にかわって閣議を主宰する人はないわけですか。
  97. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 その場合はきめない場合があるんです。だれが主宰するという主宰者をきめないで、全部話し合いの上サインをします。そうしてその後に主宰者の判をとります。それによって私は意思を決定されるものと思います。
  98. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 さっぱりわかりません。「閣議は、内閣総理大臣がこれを主宰する。」という規定を設けているのはどういう意義を持っているのか、一つ理部長から説明して下さい。
  99. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 内閣総理大臣が閣議を主宰すると申しますことは、閣議にかけられた案件について閣僚の意見を取りまとめ、そのまとまったところで閣議の意思を決定するというのが一つのやり方だろうと思うのでありまして、ただいま大臣石橋委員との間でお取りかわしになっております議論のうち、官房長官が主宰するとかしないという問題は、総理が出ない場合におきまして、官房長官が議案を説明したり何かいたしますのは、総理の補佐者として閣議の取りまとめに当る場合であります。その場合におきまして、総理がたまたまその席におられなくとも、その場合の閣議の主宰者は総理であると考えます。
  100. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは、総理がおらないとき総理にかわって主宰する人は別におらない、それが慣例だと理解していいのですか。
  101. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 総理がいないということは、いないことの程度問題ですよ。さっき話した通り、ちょっと便所へ行ったとかどこへ行ったとかということのためにいない、そんなものまでを言うのは私は無理じゃないかと思う。やっぱり程度問題で、一週間も十日も実際にいない場合はいかぬと思うのですが、少しくらいの場合はやはりおって主宰をしたもの、社会が許せばそう解釈をした方がいいのじゃないかと思うのです。
  102. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私はいずれまた総理に来ていただいてお伺いしたと思いますが、とにかく最高の権威を持った閣議が、慣例の名のもとに今のようなルーズな形で運営されていることはもってのほかです。そんな心がまえで内閣責任体制を擁立するなどというお題目をお唱えになるのは、おやめになった方がよろしい。私はそれだけを申し上げておきます。  次に移ります。トップマネージメント機構強化という名のもとに政務次官の増員が今度出されてきているわけですが、当初の政府案によりますと、特に必要な省には政務次官を二人置くことができるというふうにして、別に員数も規定しておらなかったようですし、相当大量の増員を意図されておったのじゃないかと思うのです。これが今度の自民党修正案によって三省に限られておる。この面からいっても最初原案を出したときの言い分が正しかったとするならば、私は大幅な後退だと思う。急に必要がなくなったわけではございますまい。一方官僚陣の方を見ましても、事務次官補を設ける、これもトップマネージメント機構強化といううたい文句が掲げられておったわけでごさいますが、全面的にゼロ。この面でも大幅な後退ということになつているかと思うのです。これも1年間に情勢が変化したのでございますか。必要がなくなったというふうには私はどうも理解できない。必要がなくなったのじゃなしに、何かいろいろ政治的な事情が出てきたんだという御説明でございますと納得できるわけでございますが、これを大幅に後退させた理由一つ説明願いたいと思います。
  103. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 政務次官の数の問題ですが、特に必要と認められる省には政務次官二人を置くことができるという規定であったわけですが、それを限定いたしまして、別表によって大蔵、農林、通産三省に置くことにいたしたわけであります。最初に特に必要があるという一般的な言葉で表現いたしました場合には、われわれももう少し特に必要な省があるだろうと思ってやったわけでありますが、しかしながらいろいろ実情を調べてみますと、これはやはり機構の膨張になることでありまして、必要最小限がいいのでありますから、現在の必要から見まして大蔵省、農林省、通商産業省の三省に限ることにいたしたわけであります。  それから事務次官補の問題でありますが、これも党との意見調整の途中において反対意見がありまして、取りやめたのでありますが、その反対意見の主たる理由は、やはり役所の機構は一本にすっきりしなければいかぬ。そして事務次官のほかに事務次官補というようなものがありますと、権限があいまいになって、かえって事務次官が仕事がしにくくなるのではないかというような反対意見がありまし、それによって修正いたしたわけでございます。しかしながらわれわれといたしましては、現在の行政府全体をながめて見ますと、特に国会の会期中は行政府の人たちは議案の説明その他に立法府の方へ参りまして、行政府がおろそかになるような状態から、いろいろな弊害も起っているわけでありますから、これは国会の議案審議のマナーともちろん関係いたしますけれども、必要不可欠なところには政務次官等を増員いたしまして、行政府国会中にその機能が停止とまではいきませんでも、非常に乱れることを防ぐ必要があると考えているのであります。
  104. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 政務次官の増員の問題ですが当初考えておったものから大幅に後退してきている。そういうふうに信念のないところに、いわゆる完全雇用政策の一環だとかいったような批判が出てくるのであります。必要なものならばあくまでも主張を貫いていくという態度があって初めて説得力を持つと思うのですよ。十人ふやすことができないならば三人でもいいのですというような態度で臨むところに、ポストをふやすことにねらいがあるのだろうというような批判が出てくると私は思う。その政策、企画におきましても、また処理すべき政務におきましても、政務次官一人で行うことがなかなか大へんでありますと言われるが、この三省だけがなかなか大へんだという理由が私にはよくのみ込めないのであります。一体ほかの省と違ってこの三省に限って政務次官の仕事の量が具体的にどういうふうに多いのか、宇都宮さんも政務次官の経歴を持っておられますし、お隣にすわっておられる現政務次官でもけっこうです、自分たちの政務次官の仕事の量が三省に比べてどれだけ少いかという説明一つしていただきたいと思います。
  105. 楠美省吾

    楠美政府委員 今非常に忙しいという大蔵、農林、通商産業省が持っている局をちょっと言ってみましても、大蔵省は主計局、主税局、理財局、管財局、銀行局、為替局、国税庁、造幣局、印刷局、こういうたくさんの庁と局を持っておりまして、また農林省は、農林経済局、農地局、振興局、畜産局、蚕糸局、食糧庁、水産庁、林野庁、こうしたたくさんの庁と局を持っております。それから通産省は、通商局と企業局、重工業局、軽工業局、繊維局、鉱山局、石炭局、鉱山保安局、公益事業局、特許庁、中小企業庁、工業技術院、こういうたくさんの庁と院を持っておりまして、やはり一つの同じ省といいましても、こうしたたくさんの大きな仕事を抱えている省と、そうでない省とはおのずとそこに差があると私は考えております。石橋議員は非常にこれは後退したんじゃないか、こうおっしゃいますけれども、私らは何も全部の省に政務次官を置こうとしているのじゃないのでございまして、あるいはこうした三省にふやしてみて、その実績が上ったような場合には、またいろいろと考える余地もあると思いますが、私らのやっている行政管理庁あたりは、現在のところ私の経験から見ましても、二人の政務次官は要らないように考えております。同じ省でも、やはり局や庁の数を比べてみましても、職員の数等を比べてみましても、そこに差違があると考えております。
  106. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そういうお答えでしたら、この三省の政務次官を呼んで、あなたたち一人でまかない切れませんか、もう一人要りますかということを、それぞれ聞いてみなければいかぬと思うのです。果して大蔵省の政務次官なり、農林省の政務次官なりが、私一人じゃどうも能力も至りませんし、カバーできませんから、もう一人ぜひほしいとおっしゃるかどうか、いずれこの点も委員長から呼んでいただいてお尋ねをいたしたいと思います。  後退しておらぬというようなお話しでございますが、しからば、この事務次官補の――政務次官の方じゃなかなかごまかしもきくかもしれないけれども、事務次官補の設置の問題はどうですか、事務次官補をふやす、これは相当大幅な増員を企画しておられたわけです。外務、大蔵、厚生、農林、通産、運輸、郵政、労働、八省ですか。八名にわたって事務次官補をふやそうとお考えになっておった。政務次官は三省でいいと今おっしゃっておる。最初からそんなにたくさんふやそうと思っておったのじゃないのだ、こういう楠美政務次官のお話しでございますが、同じ仕事が忙しいなら、事務次官補を渇こうとしたくらいのところには政務次官を置くつもりじゃなかったのですか。
  107. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 最初の案では、大体あなたのおっしゃる通り事務次官補が必要なほど忙しい省には政務次官を置こうという考えであったわけです。ところがトップのマネージャーがふえることですけれども、これは機構膨張には違いないのですから、現在の行政の必要に応じて最小限にとどめようという考えから減らしたわけでございまして、原則的には、どうしても現在の行政実情からいって、やはり上部のマネージする人々をふやさなければいかぬという原則には変っていないのです。しかしながら、行政実情から見まして、また国民感情から見まして、必要最小限度置こうしいうことにいたしたわけです。事務次官補の方もそういう観点からこの設置を取りやめることにいたしたような次第であります。
  108. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 宇都宮さんの御説明ならわかるのです。それなりに。先ほどの政務次官のお話しじゃどうも納得できない。一つごまかしなしに答弁をお願いいたしたい。ところで事務次官補の設置をやめたという問題でございますが、そうすると当初事務次官補を置かなくちゃならないというのでいろいろと述べられておった事情というものは、現在もなお解消はされておらぬ、できれば置きたい、こういうことですか。
  109. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 私は、やはり事務次官補のような比較的自由な立場で次官を補佐するというような高級官職が、各省にあった方がいいと考えております。しかしながら機構膨張にもわたることですから、行政実情考えて、機構膨張はもちろんできる限り少い方がいいのですから、そういう意味で取りやめたわけであります。
  110. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 管理部長は引き続いてその任にあるわけですから御説明願いたいのですが、この事務次官補を設けようとしておったときに、こういう理由だから作らにゃいかぬのだといろいろな事情を述べておられました。ところがその事情は私今なお変っておらないと思うのでございますけれども、なくなったって一向困りませんか。
  111. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 事務次官補というような高級の官職は、行政トップレベルにおいて責任を負うというような体制の場合において必要になってくる官職でありますから、普通の行政事務におきましては、次官の監督のもとに各局課係というような系統で処理される事務におきましては、大体そういうような官職でまかなっているのが普通でありますが、トップレベルにおきまして、非常に高い地位で、最高のクラスで政策の決定に参与するというような地位の官職というものが、世界の各国におきましても認められてくる。わが国におきましても、あるいは外務省で申しますならば、経済外交を推進するため経済局長というものがおりますが、その上に立って経済外交を推進するしいうような、身軽るに、機動的に活動する官職が必要なんではなかろうか。これは外国に例があるわけでありまして、アメリカあたりにおきましても、各省の次官の下の次官補というような官職が現にあるわけでありますが、そういうような構想が現在の行政の段階において必要ではなかろうかというのが、行政審議会における行政の合理化、管理強化一つのアイデアとして採用され、答申されたわけであります。政府側におきましても、その趣旨にのっとりまして事務次官補の官制を作ろうとしたわけでありまして、この官職がなければ今直ちに現実事務の処理に困るかどうかということとは別問題といたしまして、ある省における行政処理のあり方として、そういうような官職というものは望ましいのではなかろうか、こういうように考えております。
  112. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 詰めて言えば、あるにこしたことはないが、なくても済む、こういう意味ですか。
  113. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 行政の合理化という問題は程度の問題でございまして、ある行政をミニマムにやるか、これを一そうベターにするかという問題でございますので、各省とも現在事務次官補の官職がないから、現在の事務の処理が絶対にそのミニマムを果し得ないということは、どこも申しておりませんし、私どももそう考えておりません。これを一そうよりよくやる、合理化するためには、こういうような官職が望ましい、こう考えておるわけであります。
  114. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それは結局事務次官補を作れはベターになるんであって、作らなければベターの域までもいかぬのだ、こういうことなのですか。
  115. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 行政の実態というものは、だんだん変化して参りますから、その変化に応ずるために、現在の機構でも、これに対応するように現在の機構を動かしてやるべきでありますが、ある限度に達しますと、現在の機構を変えた方がよくなるわけであります。しかし現在の機構でも、必要な事態の変化に応じましてこれを処理し得る弾力性はありますから、その弾力性の限度におきまして、現在でももちろんやれる範囲が大きい、こう考えております。
  116. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ具体的に私お尋ねいたしましょう。今ちょっと例を上げてもおられたようですが、まず外務省に事務次官補を置く理由として、「近時対外経済関係が進展しかつ政府の直接これに関与する面が多くなるとともに本省在外公館を通じて経済関係事務の占める比重が著しく大きくなって参っておりますのに対し、対外経済関係事務は経済局のほか各局においてこれを分担処理しているような現状にもありますので、わが国対外経済の全般的見地から統一的に調整し推進するため、対外経済担当の事務次官補を置かんとするものであります。」こういう理由説明がございます。ところが不幸にしてこの事務次官補を新設することができないとするならば、現在の機構の中でこれを生かさなければならぬというあなたの御説明通りになると思うのですが、この問題はしから、はどういう形で解消されていくのか、ベターの形に持っていかれるのか、一つそこを御説明願いましよう。
  117. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 外務省に事務次官補を置く趣旨は、ただいま石橋委員がお述べになりました通り趣旨でありまして、事務次官補を置かない限りにおきましては、事務次官を補佐いたしまして、経済局長がこれに当る、それで現在はがまんしなければならぬ、こういう状態でございます。
  118. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは対外経済関係事務は、経済局のほかに各局においてもこれを分担処理しておる、これを統轄するものがほしいのだという意味事務次官補の新設の理由だったのですが、ちょっとできないわけですね。経済局がやる、こうおっしゃいますが……。
  119. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 それは、外務省におきましては事務次官補の新設が望ましい、こう考えて、そういうように提案理由趣旨に書かれておる次第でございまして、事務次官補ができない以上は、現在の体制のもとにおきまして、すなわち経済局長を中心にしまして各原局がその処理に当るということでございます。
  120. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それじゃ宇都宮さんにお尋ねいたしますが、私あまり一般職の方をふやすのは好きじゃないのです。しかし一度出たものが簡単に引っ込められていく、いかにも作らなければ困るかのごとくお題目を並べて国会提案しておきながら、手のひらを返すがごとく、なくても済むかのごとき御説明をなさる、こういうところに行政機構改革がいつまでたっても実を結ばない原因があるということを私は言いたいわけなんです。あまりにも権威がなさ過ぎるじゃありませんか。一たび要るという説明をしたものを、今度は大してなくたってかまわぬというふうな説明をしてみたり、そういうようなことを繰り返しておるから、やれトップマネージメント機構強化だなんてむずかしいことを言っているけれども、実際は上の方の役人やあるいは代議士どもがよけいにポストを作って、おすそ分けがふえればいい、こういうふうに考えているのだろうというふうな批判を国民がするのです。新聞の社説を見ても論説を見ても、こういう議案に対して賛成してくれるものは一つもない。きんさんと言っていいような批判をするのもあなた方に責任があると思うのです。あまりにも無責任提案をし、あまりにも無責任に撤回し修正し、そういうことを繰り返しているから国民の支持、世論の支持を得ることができないのだと私は言いたいわけだ。自民党はこの次官補を必要ないと現在お考えになっていると思うのですが、そういうようなことでありますと、当初この事務次官補というものを出してきたのも、政務次官をふやすためにお役人の方にもこれだけのえさをやる、おれたちにもこれだけのえさをよこせといったような取引があったんじゃないか、その妥協の産物じゃないか、こういうような見方も出てくるわけです。そうじゃないという御説明ができますか。(「ひどいことを言いなさんな」呼ぶ者あり)
  121. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 大へんおしかりを受けたのですが、私も最初からこの案に関係した者として責任はもちろん感じております。しかし決して取引なんかの産物じゃありません。やはり現在の行政全体をながめますときに、どうもトップマネージメントといわれるような最高の管理機構が非常に弱いということは、行政審議会の結論であったわけであります。そして行政審議会におきまして政務次官をふやすというようなこと、それから事務次官補を新設するというようなこと、また総務長官を置くこと、これはある意味ではやはりトップ・マネジメントの強化でありますが、そういうことを行政審議会において決定いたしたわけであります。当時の政府はそれを受けまして、現在ここに継続審議になっております原案を作ったわけでありますが、その当時は行政審議会の意見を十分検討いたしまして、もちろんこれは正しいと信じてやったわけでございます。ところが行政改革というものはなかなか抵抗が多いものでございまして、一つは政党政治全体に対する日本国民の不信があるのじゃないだろうかと私は思う。これはわれわれ共通の責任だろうと思いますが、政党政治全体に対する不信がある。であるからむしろ行政に対して政治家が関与するというようなことは無用なことだ、現在の行政官にまかしておけばいいのだというような感情も非常に国民の中にある。そういうものからも反撃があるということを、われわれは議会政治家の一人として知っておかなければならぬと思うのです。しかしその問題は別といたしまして、事務次官補の問題でございますが、その後いろいろ検討いたしました結果、必要性は十分認められますが、行政のマネージに対する考え方の問題も一つあるのです。日本行政機構はどうもピラミッド式にできていて、機動的に動く高級職員を必要としないというような動かし方もあるのです。しかし近代的な行政機構というものは、やはり機動的に動く高級職員を相当必要とすると思うのですけれども、そういうことに対する反対意見等もありまして、そうして事務次官補というようなことを取りやめたわけでございます。
  122. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 政務次官の増員、事務次官補の新設といったようなものも、結局するところ当初の線からは大幅に後退して、ほとんどその意義を失ったということになると私は思うのです。行政機構改革というものをほんとうにやろうとしたのだったならば、ほとんど意義を失ったということになるかと私は思うのです。実際この政務次官をふやすことによって、いわゆる官僚政治の弊が是正されるということならば、私たちもこれに賛成し協力するに何らやぶさかではありません。読売新聞の社説、これは非常にその点をついておりますのでちょっと読んでみますが「政務次官をふやすことによって、実際に官僚政治の弊が是正されるとか、行政能率の向上が期待出来るとかいう効果が期待出来るものなら、決してこれに反対するものではない。」ところがそのあとがよろしくない。これが主たる批判だろうと思う。「大体いまの政務次官がどの程度に行政事務を掌握して、大臣を助けて省内を統御し国会や政党との連絡に実効をあげているか。少数の例外を除いては、大部分が浮上った存在になっている。人数をふやす前にまずやるべきことはこういう状態を改めることである。それがためには何といっても人選に慎重を期し、適材適所主義を貫くことである。党内の派閥が唯一の選考標準で、次々にまるで利権か何かのように、古参順に人選しているような実情では、能力のある政務次官など得られるはずがない。最近の自民党など政務次官どころか、大臣でさえ同じような事情のもとに人選されるので、省内の役人たちから軽んぜられている実情ではないか。この弊が改められない限り、政務次官をいくらふやしてみても、政党内閣が政策実施上効果の上る体制など期待できるものではない。結局は各省に余分の部屋が一つと、自動車が一台と秘書がふえるだけの話である。」  まことにこれはりっぱな論説です。これを読み上げれば、あとは言うことがないと思うくらいです。宇都宮さんも今自己批判をされておりました。私もこの意見に全く同感です。われわれも政党人の一人といたしましてまことに恥かしい。ここをまずやらないで、行政把握能力を高めるんだとか、内閣責任制の確立をはかるんだとかいうお題目を並べて、幾らトップマネージメントなどというかたかなを掲げてみたところで人は信用しない。結局自民党の完全雇用政策の一端だという批判を反駁することはできないわけなんです。私は同じ党人として――よその党ではございますが、自民党の皆さん方もまずここから始めていただきたい。そうしなければ、このポストふやしだという批判を反駁するだけの力は絶対に出てこない。世論を納得させるだけの力は出てこないということを私は申し上げたい。ほんとうに内閣責任制を確立するんだというならば、この役をふやすことよりも、まず予算編成の権限を内閣がほんとうに掌握することにどうしてもっと力を入れないのか。  最初予算局を作るんだという意気込みを示しておった。それが骨抜きになって、予算閣僚会議を作るというようになった。今は完全にパーです。何もない。政党が政策浸透をはかろうとするならば、その根幹は予算編成です。自民党の諸君が修正されるなら、こちらの方にもっとウエートを置いて、情熱をたぎらして、体当りでいくべきだと思う。こっちの方を生かして、ポストふやしなどというような批判を受けそうな面を遠慮するというのならばわかるのですけれども、そうじゃない。この予算閣僚会議必要性がなくなったというのは一体どういうわけですか。ここのところを一つ説明願いたい。
  123. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 最初に、ただいまの御批判にお答えしますが、すべての機構というものはやはり人事と関係するのですから、どんなにいい機構でも人事が悪ければしょうがないのです。今度の機構にいたしましても、これは自民党だけが利用するのじゃない。社会党が政権をとりました場合に、あなたが政策を浸透させるとか、行政を把握するとかいうときにも有効なんであるということをお考え願いたいと思います。人事の問題と機構の問題は、一応別に考えていただきたいと思います。  それから今の予算閣僚会議の問題ですが、これはおっしゃる通りに、最初予算局というような構想がありましたが、予算閣僚会議はやはり行政審議会の結論をとって作った案でございます。御承知通り、現在の予算は非常に事務的に作られており、内閣の予算編成方針も非常に抽象的であって、実際に各省が概算要求を作るときの方針に閣議の決定が影響していない。これでは内閣が自分自身の政策を十分に盛り込んだ予算ができないじゃないか。そういうようなことから予算閣僚会議という案が出てきたわけでございます。しかしながら、これはなお財政法の一部改正案になっておりますが、現在継続審議をいたしておるのです。でありますから、先ほど内政省がやはり継続審議なっておりますが、内政省が直ちにできないという見込みでありますから、総理府総務長官国務大臣をもって充てるという規定を、国務大臣をもつて充てることができるという規定に変えたのと同様な意味におきまして、内閣法における予算閣僚会議を扱う官房長官を一人ふやすという規定を削って、修正いたしておるわけでありますが、私といたしましては、今国会ははなはだ時間もないわけでありますから、こういう予算閣僚会議関係法案は審議できませんけれども、しかしこういう根本的な考え方は、今後も財政法の一部改正案の審議を通じて生かしていくべきものである、かように考えておる次第であります。
  124. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 時間もありませんからこれでやめますが、結局行政機構改革というものをやるためには、しっかりしたいわゆる背骨をもって強力な力を発揮しなければ、宇都宮さんが再三おっしゃっておるような抵抗を受けてなかなかむずかしいだろうと思う。その力を養うためにも、われわれ政党人が政党の真価を高めるために努力せねばならぬのですが、現在与党の立場にある自民党の皆さんが、少くとも先ほど読み上げたような人事によって、派閥人事、しかも派閥の中のたらい回し人事というようなことを繰り返しておる限り、もうすでに行政機構改革などを試みる資格喪失しておるのだ、私はそう言いたいわけであります。ほんとうに内閣責任体制確立しよう、行政把握能力を高めよう、その意味での行政機構改革をやろう――機構いじりではない、ポスト増しではない。そういう意味でしっかりした行政機構改革をやろうと思うならば、まずそれだけ党としてきぜんたるものにして、信頼を受けるような形のものにするということに全力をあげてもらいたいということを申し上げて、きょうのところは私質問を終ります。
  125. 床次徳二

    ○床次委員長代理 受田委員
  126. 受田新吉

    ○受田委員 きょう私は質問を申し上げることを明日に繰り延べきせていただきまして、一応明日お尋ね申し上げることに関連する資料の要求及びその資料を要求するに関連する質問あしたいのです。  今回行政機構改革に関しまして総合的な立場からの修正案をお出しになっておられるのでございますが、石橋委員からお尋ねがあったように、修正の骨子になったものがわれわれにはどうも納得できない点がある。ぐらぐらして、終始一貫した信念が貫かれていない、そのときどきの情勢で適当にこれが手直しされておるというようなことでは、せっかく三百名の絶対多数を擁する自民党政府としては、心もとない存在であると思わせるものがあると思うのです。幸いきょうは政府側の委員の方々及び修正案をお出しになられた与党の議員さんもおそろいでいらっしゃいますので、明日お尋ねするための一つの資料としてお願い申し上げたいことは、現在自民党の議員さんの中で大臣の経験者が何人おられるか、政務次官の経験者が何人おられるか、それをまず数字をあげてお示しいただきたいと思います。これが資料要求の第一。  その次は、国会議員をもつて当て得る特別職の数をだんだんふやしていこうという御計画のようでございますが、これは自民党の内部の、何と言いますか派閥に対する恩恵的な措置として人的資源救済のおぼしめしがあると思うのですが、この特別職の数をふやすことによって責任政治目的を達成し得るというお考えのように一応了解をするのでございますけれども、その責任政治を全うするということは、特別職をふやすということよりはむしろ少数の精鋭をすぐって実効の上る施策を行われる方が効果的である、これは多くの国民が期待しておることであります。そうした意味で、外国の行政府における特別職の職種及び政府のこれに対する人員配置の一覧表のようなものを主要国に関するものについてお示し願いたいと思います。  第三の資料は、政府総理府の附属機関を整理される御意図を持っておられるのでごさいますが、その付属機関の中には、当然廃止してもいいようなものもあればまた新たに設けるべきものもあると思うのでございますが、そうした各種の付属機関の一覧表、これはこれに添付していただいておるものもあるかもしれませんけれども、それをお願いして、それに関して政府が今まで行なった施策に対するおもな実績をそれにあげてもらいたい。ただ一覧表だけでは意味をなきないので、どういう、実績があったかということをお願いしたい。  以上三つの資料を、明日ごく簡単でけっこうですからお示しいただいてお尋ねをさしていただきます。  これに関連してお尋ねしたいことは、政務次官という特別職があるわけでございますが、この政務次官というものは、ここに御経験の宇都宮さんもおられるし、また現に政務次官の地位にあって御努力いただいておる楠美さんもおいでになるのですが、このお二人は御経験者であられる。そこで、政務次官というものは実際において各省の人事を握りまた政治的に部内を統制する立場に十分置かれておるかどうか、これにおいて一つ御体験をお漏らし願えたら幸甚だと思います。お二人の方に政務次官の地位、その政務次官の地位は部内において大臣を補佐して十分統制し得る立場に立っておるかどうか、そういう点についての御感懐をお漏らし願います。
  127. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 すべての役職というものはまずその人の能力によると思うのであります。私なんか至って能力のない方ですから、全く行政府から浮いた存在と申すほかはないのでありますが、しかしながらその人の能力によっては十分大臣を補佐して、またその政党の政策の行政府に対する浸透その他に役に立つ人がいるということを私は実際に見ておる次第です。現に楠美政務次官なんか、そういう意味で有能だということを申し上げなければならない方であります。
  128. 楠美省吾

    楠美政府委員 先ほどは石橋委員からだいぶ痛烈な政務次官の問題がありましたが、私などはごくぼんやりした方でございまして、どれだけお助けしておるかわからぬのでございますが、しかし一旦政務次官に就任した以上は、その役所の人事はどうしても握らなければならぬ、大臣を助けて正しい人事をやるのが政務次官の使命だと考えております。非常に至らない者ではございますが、しかし今度の政務官をふやす問題でも、党内にもまた社会党にも政務次官の不要論みたいなものが相当出てきておりますが、よけいなことではございますかもしれませんが、しかし私は政党政治というものをほんとうに育てる意味においては、私のようなつまらぬ者もなってはおり、ますが、しかし大きな立場でやはり政務次官というものを忙しい省にはどんどんふやしていく、そして議院内閣制と申しますか、こういうものをどんどん育てていくべきものだ、就任した以上は至らぬ者でもやはり大臣の下におって何でも一切やるべきものだと考えております。
  129. 受田新吉

    ○受田委員 私は各省の役人からよく聞くのですが、政務次官はその御存在が浮き上っておるのだだから事務的には大臣事務次官事務的系統をつないでいく組織があるのでございますが、しかし政務次官というものは、政務全般の立場から大臣の補佐役としてはっきりと法規の上にもその任務が書いてあるのでございますから、その任務を遂行する上においてあまりにもきびしい御存在であるとするならば、これはその職をむなしうする曠職のそしりを免れないと私は思うのです。従って政務次官を非常に重要な地位だと考えられる人もあって、名刺などにも何何省副大臣というような名刺を刷られた方もあるやに漏れ承わっております。また前何々省副大臣という肩書きをお振り回しあそばされる方もあるやに承わっておるのでありますがそれほど魅力ある地位であるならば、副大臣たるの職権を十分行使し得る立場にあらなければならないと思うのです。しかるところ各皆における政務次目の地位は、先ほど宇都宮先生が申されたように、御自身の体験からもはなはだ不満足の意思を表明されておる通りで、これが一つ各省を握って優に副大臣たるの実績をあげ得るとなればこれは大したものだと私は思うのですが、そういう形に政務次官というものが現実において置かれるように各省の間に配慮されているかどうか、また国務大臣事務次官を尊重するという各省の役人に対する気がねから、政務次官をおろそかにするというおそれがあるのではないか。この問題については大久保国務大臣はそうした行政長官としての国務大臣でいらっしやるので、政務次官の存在をいかようにお取扱いをされるか、お答えを願いたいのです。
  130. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 御承知通り大臣政務次官も特別職でありまして、政策を実行する上においては各省として必要欠くべからさるものであります。そういう意味から考えましても、政務次官の任務は重要であると思います。私は全く一つのからだのつもりになって、政務次官と共同に仕事をしていきたいという気持をもって進んでおります。今日政務次官は、なるほど多少非難される人もあります。けれどもこれはやむを得ない、大臣だって非難される、どこの人だって非難されるのですから、多少の非難は仕方がない。代議士だって役人だって、みんな多少の非難はあるのですから、これをとって非難するのは少し無理じゃないか、もっと広い見地に立って、人を助ける、人を育成するという意味から考えたならば、今日の政務次官はりっぱなものじゃないか、これをどこまでも育成していくのがお互いの任務じゃないか、こういう感じを持っております。
  131. 受田新吉

    ○受田委員 私がお尋ね申し上げておることは、政務次官をして仕事をいかになさしめるかという配慮を大臣はいかに心得ておられるかということをお尋ねしておるわけでして、政務次官に多少の欠陥のある方もあるという、そういうことを申し上げておるわけじゃないのです。今おられるお二人の方は、私たち十目の見るところ、ごりっぱな方であることは、私は保証し得ると思うのでありますけれども、政務次官は、その地位をむなしゅうさせるような形にならないように、行政機構上における厳重な存在価値を一つ閣僚の間において十分確立させる御用意はないか、たとえば人事権を、大臣の補佐役として常に政務次官と協議の上これを決定する、こういうようなことを実施するというような問題もある。これはいつか鳩山内閣の成立当初、そういうことを閣議できめられたとか聞いておるのでございますが、今楠美さんのお話ではまだ人事についても確かなる実権が握られていないんじゃないかと不安を感じているのです。(「きめてやっておる」と呼ぶ者あり)やっておりますか――それはあなたに聞いておるんじゃなくて、こちらに聞いておるのです。(笑声)
  132. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 非常な御心配をいただきまして感謝にたえません。私どもの楠美君は徹頭徹尾やっておりますから、人事にも干渉――干渉といっては語弊がありますが、(笑声)干渉でなく、正しい意味においての御協力を願っております。
  133. 受田新吉

    ○受田委員 十二級職以上の国家公務員の任免に当っては、これは人事院が承認する規定になっていると思います。同時に閣議できめられる人事、これは局長以上の人事を閣議できめる、すなわち十三級職ないし十四級職以上は閣議できめる、こういうことになっているんじゃないかと思いますけれども、これらの高級人事の取扱いは、閣僚として大久保さん、私の申し上げたような点についてはどういう形で行われますか、はっきりしたところをお示し願いたい。
  134. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 その問題は閣議の問題になっておりますが、大体の取扱いは各省にまたがって人事の更迭の行われる場合は、大体予備交渉があるのが普通でありまして、予備交渉が成立しますれば、それから正式の手続に入って閣議の決定をもってきめる、こういう順序になっております。ですから最後は閣議において、さっき申した通り閣僚ともサインをして、これに賛意を表したという証拠にするわけであります。
  135. 受田新吉

    ○受田委員 その最後の閣議における処分決定の前に、人事院のなす法律行為はどういうものがありますか。
  136. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 それは大体各省においてやっておるのが普通であります。各省において所管事項として人事院との間で交渉しましてやっております。それを内閣において手続をするようなことはないようであります。内閣自身の人事ではなくて、各省の人事はそういう手続になっております。
  137. 受田新吉

    ○受田委員 人事院の存在が、そうした各省の高級人事などを行う場合に非常に目の上のこぶになるのだという意味で、今回の法案改正の意図もあると承わっておりまするが、その目の上のこぶになる根拠一つお教え願いたいのです。
  138. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 私どもはこぶとは思っておりません。またこぶという字はどこを探してもありません。そういう言葉を私言ったためしもない。私どもの一番必要を痛感しておるのは、今日の憲法の解釈の上から見て、総理大臣というものは、もっと人事行政について責任を負い得るような体制にしたい、責任を負い得るような体制を作りたいというのが一番主眼点であります。今日の内閣機構を見ましても、人事行政をつかさどる機関は一つもない。私は給与担当の大臣として各労働組合から大分攻撃を食ったけれども、給与担当といっても私の手下は一人もいない、事務官は一人もいない。それで給与担当やれといったってやりようがない。ただ労働争議でもあったときに、仲裁の苦情を聞くぐらいの程度です。今日でも内閣において全部の人事行政を統轄する機関は一つもないんです。だから人事院がかりに勧告をしてもだれがこれを受け継いで処理するか、その人がないのです。これははなはだ遺憾だから、どうしても人事院の勧告があったならばこれを受けて実現するように努力する機関が内閣になければいかぬ。そうして初めて憲法の希望しておる責任体制ができるだろう、これが私どもの希望する一番必要な肝心な点であります。こういう意味において今度の人事院の改正を私ども考えております。他意はございません。どうかこの点は御了承願います。
  139. 受田新吉

    ○受田委員 あなたの今の人事局設置に関する切実な御要望の御説明は一応うなずけるのでございますが、しかし現在人事院が持っておる人事権、こういうものが責任政治の立場に立つ政府を拘束しているということは、これは一方においては給与の適正と人事の公平を期するところに、人事院の存在意義があるということを考えたならば、これはあなた方の今お考えになっておられるようなものを乗り越えた一つの厳格な規格がある方がむしろ公平である、こうも言えると思うのです。しかしあなたが今月の上のこぶにも何もなつていない、大したもんじゃないというお言葉もあったわけですが、人事院の存在が人事の交流等において非常に横道にそれた存在として渋滞を来たすような原因にもなっているというような御心配がございますか、これを一つ説明願いたい。
  140. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 人事院の存在価値は、主として勧告権にあると思います。人事行政が公平にできまするように、また給与を保護する意味においても公務員の給与が増加いたしまするように、この二つの点を中心として活動しておるということはありがたい存在であります。公務員にとってもまことに有益な存在であろうと思います。そこでこれはせっかく勧告がありましても、さきに申した通り、受け継いでこれを行政の上に表わす機関がないのだから、この機関を作って人事院の勧告を完全に実現するようにしたいというのが今度の主眼であります。従来は人事院だけがやっておったような傾きにありますけれども、今度は内閣においてもやはり総理大臣が口を出して、人事院の勧告に輪をかけて、もっと日本の公務員の待遇をよくし得る機会ができるのじゃないか。つまり人事院と人事局と相携えて公務員の人事行政をよくし得るような機構になるのじゃないだろうか。積極的によくなるのじゃないだろうか、こういう期待を持っておるのです。
  141. 受田新吉

    ○受田委員 これは根本的な問題になりますので、質問をまた明日具体的に掘り下げていたしたいと思いますが、今あなたが自信を持ってお答えになられたことで、一つの大きな問題点がひそんでおると思うのです。すなわち政府部内には人事院が勧告してもそれを処理する機関がない。しかしながら今まで大蔵省という台所があり、また公務員制度調査室という給与担当国務大臣の所管のポストもある。こういうことでその間の調整はできておる。従って政府部内に人事局を置いて、自分の、すなわち政府の意図する人事を敢然と行いたいというような御意図のようでございますけれども、事実はそういうことになりますと、そこに非常な独善的な人事、そのときの政府に阿付党同ずる役人は常に重く用いられ、きぜんとして正義を貫こうとする公務員は、常に左翼に回されるというおそれが多分に出てくる。そういう問題点はいかように解決するか。そうするとあなたは、やはり国家人事委員会というのがあって、そこで人事の公平を期する機関はあるのだ、そういうなまぬるいお答えをされるおそれがあるかもしれませんが、そういうものとは変った一つの大きな不安があるということを、大臣考えでありますか。
  142. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 大蔵省があります云々ということでありますが、大蔵省がありますのは、今日の人事行政があまり振わない点じゃないか。せっかく勧吉がありましても、受け継ぐ機関がない。ないものだから、結局最後は大蔵省に回ってしまう。大蔵省は、人事行政というよりも、自分の財布がいい子だからというので、自分の財布の方にばかり頭を優っておるのです。従って思い切ってべース・アップはできないだろうと思う。だから、大蔵省の手を離れて人事局というものを作って、これを中心に解決したならば、もう少しよくなるのじゃないかと私は考えます。それから今の人の配置という問題ですが、これはやはり改正になりましても、人事行政の中心は各省においては各省の大臣です。各省大臣が次官以下の人間を任命する権限を持っておりますから、これは決して独善になるような心配はなかろうと思います。
  143. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは、大蔵省が今まで独善的にやっているので勧告も実施してないのだという御説でありました。大蔵省というのは政府の内部にある問題じゃありませんか。よその方の対岸の国じゃないのですよ。それを政府自身が逃避的な考えを持って、よそごとのように考えておるが、これはとんでもないことです。これこそ責任政治の最も逃避的な御発言だと私は思うのです。責任政治は、大蔵省を自由に動かして、そうして人事院勧告を完全実施するという態度を持って臨むならば、大蔵省などは簡単じゃないのですか。そういう意味から、先ほど石橋委員が指摘されたような予算局のようなものさえ今日依然として握っておられないというような実情であるのであって、大蔵省を動かすほどの政治力のないことで責任政治ということが言えますか、御答弁願いたい。
  144. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 大蔵省の悪口を言ったのではないですよ。力の入れ方が違う。大蔵省はやはりどうしても歳入だけに頭を置くから、従って歳出をしぼる。従ってべース・アップのときはなるべく金が出ないようにやる、これはやむを得ないです。それを調和していくのは、やはり人事局のような機関があって、あるいは総理なりあるいは今度できます総務長官なり、それが率先してその交渉に当れば、従来よりよくなる、私はこう思っております。
  145. 受田新吉

    ○受田委員 そういう問題はますます屋上屋を重ねて、複雑多岐に人事行政や公務員の給与行政を分岐させる結果になると思います。人事院の独立性というものに対する政府考え方がはなはだ甘い、軽視されておる。人事院が今日きぜんとした態度を持ってきたがゆえに、人事の公平も期せられておるのです。だから、各省で勝手に首を切ろうとすることに対しても、人事院がブレーキをかけておる。そこに不公平な人事の横行を防止している一つの機関があるわけなんです。そういうところをごく軽く考えられて、何もかもみな政府が握っていって、人事も予算もみな政府の意図するままで、責任政治の立場からこれを完遂したいというお考えのようでございますけれども、独立機関としての人事院の果した役割というものをもっと深く掘り下げて考えられていくならば、あなたのお説のような人事局を置いたくらいで、あるいは予算関係の副長官を一人くらい置いたくらいで、問題はなまやさしく片づくものではありません。私はそういう広範な立場から、あなた方の今意図されている行政機構改革について非常な疑念があるわけです。大久保大臣は人間的には非常に円満でいらっしゃつて、われわれとしても鋭く御追及申し上げるのに笑顔をもってお答えになる場合には困る。   〔床次委員長代理退席、委員長着席〕 困るけれども、祖国の運命をかけるこの大事な問題のときには、絶対にわれわれとしても筋を通して質疑応答をして、政府の企図するところはこれをただし、正しき見解であるならば、少数党の意見を十分破り入れて改める、こういう形でやらなければならぬのです。そこで、今あなたの仰せられた人事の公平が、人事院を廃止することによって依然として持続し得られるという場合と、人事院が今日ある場合とどちらが効果的かということをお答え願います。
  146. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 私どもは、人事院ができましてから日本の人事行政の上に、ことに公務員の待遇の上に尽した功績は偉大なものがあると思います。今でもそう認めております。今回の改正に当りましても、この点は一番苦労いたしました。よって従来の公平になる行政ができまするようにということを念願しているのです。特に法律の明文をもって独立の機関として独立の権限を与え、総理大臣といえどもこの権限は冒すことのできないという権限を与えて、どこまでも勧告その他の問題は尊重していきたいというのでございまして、この点から考えてみますと、現在の人事院と全く同格でございます。
  147. 受田新吉

    ○受田委員 人事院同格という問題をお答えになったようでございまするが、私は、現在独立機関として功績を上げつつある人事院、この人事院がなしつつある人事権の行使、これをあなたに今比較検討してお答え願いたいと言うたのです。新しく作る、あなたの方で用意されている国家の人事委員会という機構と、現在ある人事院という機構と比較して、どちらが、公平な人事行政が行われるかをお尋ねしたのです。全く同格という意味は、人事院の機構が同格という形で初めて果されると私は思うのでございますが、人事院の持っている人事権というものが、人事局に移った場合に、どういう形で今までと同じような公平が期せられますか。
  148. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 従来人事院のつかさどっておりました公平なる原則と、それから給与の保護という二つの点については、今申しました通り全く同じであります。法律の明文によって今度の人事委員会に与えられておりますことは同じであります。しからばどこが違うかという点は、二、三の小さな点において違った点はあります。たとえば従来の勧告は、内閣に出すと同時に議会に向って通告を出しておる。これを直接人事委員会から議会に向ってやるのは行政の経路としてどうだろうという議論がありまして、やはり一応総理大臣に出して、総理大臣から七日以内に国会の方へ移す、そういうふうになっておるわけであります。そういう点、それから従来の人事院には二重予算制度がありました。予算を提出すると同時にその写しを出すという二重の予算の制度がありました。この二重予算制度というのは名ばかりで、どこにもこれを実行した例がないのです。ですからそういう点は要らないじゃないかということで省いております。
  149. 受田新吉

    ○受田委員 人事に関することです。
  150. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 人事に関することで今の人事官の身分の保障と今度できます人事委員会の人事委員の身分の保障ということは同じことです。ただ少し、二、三の点において違うという点は、たとえば従来の人事院におりました人事官はやめた後に一年以内はどこへもいけなかったというような制限があったが、それじゃかわいそうじゃないかというので、そういうのをとってやろうじゃないかという小さい点において差異がありますが、身分を保護する、自分の意思に反して退職はできない、弾劾裁判所の決定以外はできないという保障は全く同じです。身分の保障においても同で勧告権においても同じですから、私は公務員を保護する点においては同じである、こういうふうに考えております。
  151. 受田新吉

    ○受田委員 私がお尋ねしておるのはそのことでなくて、人事の公平を期する上において、従来は最終的に人事院の承認によって各省の交流人事等も決定されておったのです。ところがあなた方の方では人事院の承認はめくら判だ、めくら判を押すような機関は要らぬじゃないかということだったのです。しかし独立機関である人事院が人事の統制をとっていたところに人事の公平を期する妙味があったのです。それを奪い去ろうとしておるのではないかということを私はお尋ねしておるのです。
  152. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 それは今度できます国家人事委員会におきましてもりっぱな権限を持っております。たとえばもし不公平な人事をやっておりましたならば、今度の人事委員会総理大臣に向って質問ができますばかりでなく、各省大臣あるいは長官その他に向って質問する権限が与えられております。これによって私は統制していけると思います。それは前の通りであります。前もできました、今度もできます。
  153. 受田新吉

    ○受田委員 そういうことではないのです。つまり各省人事の最終決定をする段階において人事院が承認をしておったわけです。その承認の手続が今度要らなくなるのです。あなた方の今度出されたのはそうじゃございませんか。
  154. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 人事院と人事委員会との相違の点を求めますと、原則論としては変っておりませんが、ただ人事の実施面において人事局が受け持つ。原則は人事委員会が作るが、その実施は人事局がする、こういうことになっておりますけれども、さきに話した通りそういう不公平は起り得ないと思います。なぜならば、申した通り、もし不公平があったならば監督権を持っておるのだからして、私はそんな不公平なことはできないし、またやらせない、こう思っております。
  155. 受田新吉

    ○受田委員 やらせない。できないという議論じゃないのです。そういう簡単なことにならないのです。それは各省の大臣と今度の人事局とが話し合いをすればどのような人事もできる。今まではそれに対して人事院が厳として控えておりまして、各省間の人事の公平を期するために常に最終決定に際しての承認権があったわけなんです。それを今度の実施面において奪い去っておるのです。そこを私は申し上げたい。従ってその大事なかぎをもぎ取られて、人事院の今後の存在意義というものは、あとからいかに不公平な人事があったからといって文句が出て、それを処理する機関になっているからなどという理屈ではとても解決できない重大な問題がひそんでおる。これを私はお尋ねしておるわけです。いかがですか。
  156. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 便宜私からお答えを申し上げますが、受田委員も公務員法制定以来よく御存じの通り、職員の採用及び昇任は原則として競争試験であります。特に必要があります場合におきまして、すなわち競争試験によることを適当としない場合におきまして選考によるということになっておるわけです。現在昇任試験というものは行われませんで、選考によってやっておるわけでございますが、今度の改正案におきましては、競争試験及び選考ということは、すべて人事委員会の権限に属することになっておりまして、従来と変りございません。すなわち公務員法の第三十六条採用の方法、第三十七条昇任の方法におきましては、人事院の権限はすべて国家人事委員会の権限にかえられておるわけでございます。
  157. 受田新吉

    ○受田委員 人事院の従来持っていたその選考権というものをそのまま残してある。従って各省の人事に当っても新たにできる国家人事委員会において承認しなければ必ず人事の実施ができないということになりますか。
  158. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 公務員法の改正案の三十六条を見ますと、「職員の採用は、競争試験によるものとする。但し、国家人事委員会規則の定める官職について、国家人事委員会の承認があった場合は選考の方法によることを妨げない。前項但書の選考は、国家人事委員会の定める基準により、国家人事委員会又はその定める選考機関が、これを行う。」ということになりまして、従来と変りはございません。
  159. 受田新吉

    ○受田委員 従来十二級職以上の職員の交流人事というような場合に、人事院がこれにタッチしていた。この制度はどういう工合になりますか。
  160. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 この十二級以上の職員の資格の選考ということは、これは当然選考の範囲に入るものでありますならば、今申し上げました三十六条あるいは三十七条の規定によりまして国家人事委員会が所掌するものと考えております。
  161. 受田新吉

    ○受田委員 その国家人事委員会に全面的なその人事権がそのまま残されておるという形でなくて、承認を得ることによって人事局にこれが移管されるという形のものができやしませんか。
  162. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 御承知通り十二級以上の職員の選考に当りましては、その者が人事院規則の定める資格に該当するかどうかの選考を人事院に受けるわけです。これがこの条文の選考に該当するものとして実施しておるわけでございますので、元来その選考について人事院の承認を得ました以上は、各省大臣が任命権者でありますから、みずからの名前においてこれを発令する、こういうことになります。
  163. 受田新吉

    ○受田委員 その従来の人事院の承認と、新しい国家人事委員会の承認の権限の差異、そこはどういうふうにあなたは解釈されますか。
  164. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 それは同じでございます。
  165. 受田新吉

    ○受田委員 実際上の取扱いにおいて人事院が従来とり来たった各省間の人事の統制をそのまま新しい国家人事委員会がそれを受け継いでおるという解釈でいいのですね。はっきり承わりたい。
  166. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 任用につきましてこの法律に書いてあります範囲における基準、すなわち試験を実施するとか、選考をするとかということは国家人事委員会に残るわけであります。その点におきましては変りはございません。
  167. 受田新吉

    ○受田委員 人事の実施面においていかように変ってきますか。
  168. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 人事の実施面と申すことでございますが、原則といたしまして、任用に関しまして試験及び選考は国家人事委員会がこれを行います。それに基きましてその資格のある者を各省大臣がこれを任命する。そういう任命をするものにつきまして、あるいはその級別定数をどう定めるか――どう定めるかということは、各省にどの程度の級別定数をあてはめるかということは、これは実施面になりますので、その範囲において実施面は人事院から人事局に移ります。
  169. 受田新吉

    ○受田委員 そこが問題になるわけです。そこが新しい国家人事委員会が骨抜きにされた一つの問題なんです。従ってこの問題は、新しい人事局と新しい国家人事委員会とが両方がそれぞれ政府の新しい機関としてでき上ってそして従来の人事院が持ったと同じような形で人事行政の面に貢献するという形にあなた方は説明をされようとする、私はそうだと思うのでございますが、しかし今ここで問題になるのは、従来の人事院というものは、これは先ほど人事問題などの御説明がありましたけれど、これは少くとも政府内閣のもとにはあっても、政府の機関のほかにあった独立的な立場で行動できた機関であります。それが今度政府の内部的な機関として転換されてきた場合に、そこにわれわれが心配している今申し上げたようないろいろな問題点が、包蔵されているということを私は指摘しているわけなんです。だから簡単に人事の公平が期せられると御説明になりましても、政府の内局としての人事局が握っている人事行政の実施面をとらえたときに、従来人事院が任じてきた人事行政と比較して、明らかに政府の自由意思によって人事が壟断されるというおそれがあることは、これは岡部さんも御承知でありますね。
  170. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 その点が大へん考えの違うところでございまして、先ほど大臣からも申されております通り、人事院というものは独立機関といたしまして、勧告をいたしましたり、政府に意見の申し出をして、これを実施したいと申して、それがたとえば法律によりましてその政令がまとまりますと、これをまたみずから実施をする。実施の面におきましては政府みずからの責任においてやらなければならぬ部分でございますが、それが独立機関で実施をやるというのは筋が違うじゃないかということで、実施部面は行政機関に属する人事局に所掌きせる方が適当である、すなわち勧告であるとか、公平の裁定であるとか、苦情の処理であるとか、独立機関としてふさわしい権能は人事委員会に残す、本来の行政機関の行うべきいわゆる行政事務は内局である人事局に移す、こういう構想であります。
  171. 受田新吉

    ○受田委員 そこに問題があるわけです。これはまたあとの質問に譲ることにして、明日午前中ゆっくり論議したいと思うのでごさいますが、最後に自民党の方からお出しになられたこの修正案について、修正を出さざるを得なかった事由、これを前の国会にお出しになられたときに、そのままこれが承認されておったならば、この修正は出し得なかったであろうと私は思うのでございまするが、時の情勢でこういう重要な機構改革が左右されているということに対する御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  172. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 同じ政党の内部でありますから、本来継続審議法案はそのままの形で審議するのが当然と存じますけれども、この法案鳩山内閣が大きく行政機構改革を掲げて、前々国会提案いたしたものでございます。ところがその後同じ党とはいいましても、内閣が二度かわっておる。それから相当月日がたっております。それで内閣と党とが協議いたしまして、継続審議法案の取扱いを相談したわけであります。その際に党側からも意見が出ましてそうしてその審議する当事者もかわったものですから、やはり多数決の原則に従いまして、変更が加えられたということであります。でありますから、月日がたったこと、それから事情が変った、内閣と党側が審議した際の人もかわったというようなことから、変更が行われたわけであります。しかしながら先ほどから申し上げております通り最初行政機構改革案を立てましたときの方針というものは、これは根本的にはいきさかも変っていない。でありますから、私も賛成いたしたような次第であります。
  173. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、月日がたつに従って党側の意見がいろいろ違ってくるということになれば、そういうある程度融通性のある法案とするならば、もう少しゆっくり時間をかけて、さらに修正していただくような問題も起りは上ないかと思うのでございます。長期にわたって継続審議になっておる法案でありますがゆえに、月日がたてば適当に修正しなければならないという情勢が、法案提出されてまだ通過しない過程においてさえ起るものでございましたら、もっと慎重を期するという性質の法案ではないかと思うのでございますが、いかがでごさいますか。
  174. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 いろいろ審議いたしまして本国会にこれだけは至急成立させた方がいいという結論に現在到達しておるわけでございます。それで御審議願っておるような次第でございます。
  175. 受田新吉

    ○受田委員 これで私質問を終りますが、いろいろ討議して、この部分だけは本国会で急いでやってもらいたいという結論に達したので、修正案をお出しになったということでありますと、これは情勢の変化でいかようにも変転無碍の性格を有する法案であるということになると私は思う。これはよほど時間をかけて検討する性格を帯びた法案であることを、今のあなたのお答えで一そう強く認識したのでございます。だからきょうはこれで質問を終らしていただきまして、また明日あらためてお尋ねすることにいたします。
  176. 相川勝六

    相川委員長 次会は明二十五日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会