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1957-03-26 第26回国会 衆議院 内閣委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十六日(火曜日)     午前十時二十五分開議  出席委員    委員長 相川 勝六君    理事 大平 正芳君 理事 福井 順一君    理事 保科善四郎君 理事 石橋 政嗣君    理事 受田 新吉君       大坪 保雄君    北 れい吉君       薄田 美朝君    田中 龍夫君       田村  元君    辻  政信君       藤枝 泉介君    粟山  博君       山本 粂吉君   茜ケ久保重光君       飛鳥田一雄君    木原津與志君       下川儀太郎君    中村 高一君       西村 力弥君    横路 節雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 松浦周太郎君  出席政府委員         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     瀧本 忠男君          人事院事務官         (事務総局給与         局次長)    慶徳 庄意君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   大山  正君         大蔵事務次官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君  委員外出席者         防衛庁人事局調         査官      山本莊一郎君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 三月二十六日  委員稻村隆一君辞任につき、その補欠として横  路節雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第八五号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第八八号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第九一号)     —————————————
  2. 相川勝六

    相川委員長 これより会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の三法律案一括議題とし、質疑を続行いたします。大平正芳君。
  3. 大平正芳

    大平委員 この間質問が中断されたのでございますが、この間の質疑応答を通じまして、今度の六・二の給与改善の目安をお立てになる場合に、人事院当局としては、まず法律趣旨に沿って民間給与との比較を人事院が手なれた方法でデータを駆使されて当ったところ、一一%の差が出てきた。しかし一般職との構成が違うので、それの実質的なバランスを見てみると六%あたり改善で大体実質的なバランスがとれる、こういうようなお話がありました。五現業公社については、人事院立場といたしましては的確な具体的なことは言えないが、しかし今度の給与改善一般職についてやりましても、人事院の見通しによるところでは、この三公社現業の一部の例外を除きましては格差を縮める程度であって、この給与改善をやることによって三公社現業の方の給与改善がこれに便乗するという根拠はないのだ、というような観点から六%程度改善勧告した、こういうお話がございましたが、そのように了解してようございますか。
  4. 淺井清

    ○淺井政府委員 お説の通りでございます。
  5. 大平正芳

    大平委員 本日はこまかに技術的な問題は小委員会に譲りまして、この間の質問で触れなかった体系の問題を中心に若干の疑点をただしておきたいと思うわけでございます。この勧告を拝見いたしますと、人事院報告の中には今度の勧告をやる理由といたしまして、まず民間給与より低位にあり、三公社工現業地方公務員等とも不均衡を生じているということの理由と、もう一つ同時に「現行一般職公務員給与制度には、これが運営実績等に照し、前記の如き幾多の不均衡・不合理の点がみられるので、給与制度特に俸給制度の全般につき根本的な改正を図る必要がある」これがこの勧告をやる場合の重要な柱になっているわけでございますが、ここで若干私はたださなければならぬ問題があると思うのでございます。と申しますのは、「幾多の不均衡・不合理がみられる」、これは人事院がお出しになりました資料の中にも、水準差の問題とかあるいは頭打ちの問題とかワク外給与の問題とかいろいろ克明に打ち出されているわけでございまして、その点はよくわかるのでございますが、一体こういう不均衡、不合理がなぜでき上ったかという原因についての検討は、もちろんされたのだと思いますけれども、勧告を拝見いたしますと、どうも十分触れられていない。この勧告からすぐ受け取れるのは、こういう不合理、不均衡があるからおれたちはこういう勧告をするのだということで、その間の橋をかける作業がちっとも行われていないような感じがするのです。言いかえれば、一体こういう不均衡、不合理が生じたのはどこに原因があったのか。今の俸給制度そのもの欠陥があるのか、あるいは各省庁別人件費予算の配分に厚薄があるのか、あるいは人事行政担当者の主観というか傾向というか、そういう担当者の手心、そういった点に原因があるのか、あるいは背後の繊細の勢力の差に原因があるのか、そこらあたり究明が、人事院としておそらくやられたことであろうと思うのでございますけれども、この勧告でははっきりうたわれていない。もちろん人事院としては、昇給については非常に精密な、もろもろの基準を設けられた、あるいは級別のクラシフィケーションについてもいろいろ基準が設けられて、各省庁を監督されておるようでございますが、それにもかかわらずこういう不均衡、不合理が出てきたということについて、その原因究明が若干弱いような気がするのです。だから俸給制度改正に移る前に、そういう原因検討究明が必要じゃないかと思うのです。その点について総裁の御意見を伺っておきたい。
  6. 淺井清

    ○淺井政府委員 まことにごもっともなお尋ねでございますが、結局これは一口に申しますれば、現在の十五等級を持っておる俸給表自体と、同時に、この適用を受けます職員構成にあると思いますが、この点は技術的な問題にわたりますので、給与局長から御説明を申し上げさせたいと思います。
  7. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま総裁の申されました通りでございます。およそ俸給表運営に当りましては、俸給表の形と昇給制度初任給の問題、こういうものが三者一体になりまして運営されなければ、適当な運営ができないのじゃなかろうかと思うのであります。ところが、これは何回も申し上げておりますように、現在の給与法の、十五段階の各級の俸給表の幅というものは、司令部がおりました当時にできたものでございまして、形の上では非常に職階的な俸給表の形をとっておるのでございます。ところがその後、こういうものは運営がむずかしいというので、事実上においては相当、表面に掲げておりますところと違った運営がされておるというようなことで、昇給の実情と俸給表がよくマッチしておらない、こういうところにあろうかと思うのであります。なお、先ほど総裁が申されましたように、現在の人員構成が戦後採用の者がおおむね八〇%もおるということが、この問題とからんでおる。その辺に一番の原因があるように思います。
  8. 大平正芳

    大平委員 私が先ほど申しましたように、人事院では、いろいろな基準を指示してそれを順法するように、各省庁に示しているのでしょう。だから、あなたの方の給与法運営基準なるものが適実であればうまくいくはずじゃないですか。今の俸給制度でいろいろな不合理なことが出てきていることは、今のあなたの御説明でよくわかりますけれども、それなら、たとえば水準差にいたしましても、頭打ちにいたしましても、各俸給表、各級別に均等に出てくるはずなんです。ところがこれを見てみると、実態は非常に乱雑な格好になっているのです。一体その原因は何かという点がわれわれにはよくわからない。だから根本趣旨は、一体俸給表を直せばこういう不均衡、不合理がたちどころに解消するのか、それとも、俸給制度以外に、人事行政の面でもっと深刻に考えなければいかぬ問題があるのかどうか、そういう点についての御見解を重ねてお伺いいたします。
  9. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 御指摘のように、人事院級別資格基準表というものを示しまして、運営をいたしております。しかし、この級別資格基準表運営するということには限度がある問題でございまして、各級を、たとえば一般係員を無制限に、八級まで、九級まで、十級までというようにやることは、これは現在の法律のもとにおきましてはできがたいことでございます。従いましておよそ資格基準表運営には限度のある問題でございまして、その限界で現在までやってきたのでございますけれども、これはもうすでに行き詰っておる。このことは、すでに御報告等においても十分述べておるところでございます。各俸給表別にそれぞれ頭打ちなりワク外の状況が違うじゃないか。御指摘通りでございます。この問題につきましては、およそ水準差の問題でございますとか、あるいは現に与えてありますところの級別定数の問題でありますとか、こういう問題と関係してこようかと思うのであります。また一般俸給表の範囲をごらんいただきましても、たとえば七級でありますとか十一級でありますとかいうところに極端な頭打ちが出ておるのでございますが、これはやはりわれわれが運営しております実態から、この資格基準表運営限界というようなものがすでにそういうところに現れておる。たとえばその間に一般職の級をくくっておりますが、そういう間では比較的円滑な運営が行われておる。いろいろな原因があろうかと思うのでありますが、主要な点はただいま申し上げた通りでございます。
  10. 大平正芳

    大平委員 よくわからぬのですが、つまり、なんですか、あなたの方の基準適実でないのか、基準はりっぱにできておるんだけれども、各省庁が守らないのか、そのあたりはどうなんですか。
  11. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 基準が適切でないかどうかということでありますが、これは現行給与法のもとにおける基準でございます。従いまして、やはりこの基準限界がございますので、極端に申しますれば、破綻に近いようなものが諸々方々に出ておるということでございます。現在各省給与法運営実態でございますが、これは各省庁給与法運営相当部分が委任されておりますために、各省庁のそれぞれの御意見なり何なりによって運営されておるのでありますけれども、この点は、現在、各省庁運営というものはよほど近づいておるようにわれわれは考えております。
  12. 大平正芳

    大平委員 そうすると、どうも制度的な欠陥が主なんだということですね。人事行政上の欠陥がないとは言えぬけれども、根本はそこなんだ、そういう御答弁のように承わっておきますが、それでは、今度の俸給制度改正を拝見しますと、この俸給制度をとられたときから今日まで、何回か給与改訂があったんだが、俸給制度根本的にいじるのは今回が初めてなのであります。それで、現行制度運営してきたが、どうもこの器に入れ切れなくなった、あふれ水が多くなった、どうしてもこの器を変えなければならないことになったというような感じが、御答弁から受け取れるわけでございます。そこで、問題は二つに分れてくるわけです。現在の俸給表にもっと弾力性を与える、何か改善する方法があるのかないのかという検討がまず最初になされなければならない。ところが、今度の改訂を見てみますと、これは俗に職階制強化というか、だいぶ前進したあとが見られるわけでございますが、これは一体人事院いつの目にか職階制を前進させたいというわけで、過去長い間機が熟するのを待っておられて、ちょうど機が熟したから今度取り上げるのだ、ほんとうのところ職階制に移行していこうという強い既定方針人事院におありなのかどうか。それとも今度俸給制度欠階があまり乱雑になってきたので、こういう格好で取りまとめた結果が、たまたま職階制強化みたいなことになったのか。そのあたり人事院のお考えは、一体不均衡是正という点に重点を置いたのか、いつの日にか日本の給与制度は、徐々であるけれども職階制の方に移行していくのだという既定方針によって今度の勧告のようにうたわれたのか、その辺の事情を一つ承わりたい。
  13. 淺井清

    ○淺井政府委員 お尋ねにお答えいたしますが、国家公務員法建前からいうと、これは職階制をもってやることになっております。また国会で御制定になりました職階制も現在存在しておるわけでございます。ただいまの時点におきましては、それに至るまでの過程でございますが、人事院といたしま・しては、すでにかつて職階制に基く給与法勧告したこともございます。しかしそれは実現をいたしておらないのでございます。職階制によるということになりますと、これは法律給与準則によってやるということになるのでございまするが、今回提出されておりまするもの、また人事院が昨年勧告いたしたものは職階制ではございません。これはあくまでも現行給与法改正である。将来人事院がどう考えておるかということはむずかしい問題でございますが、公務員法建前そのものを申しますれば、これは職階制をとるということになっておりまするが、これには根本的な立て直しを要するものでございまするから、昨年勧告いたしました際は、ともかくも現行の行き詰まった給与法を適当に改正するということでございまするから、職階制という立場から見ますれば実は根本的な改正ではないのでございます。現在の給与法の行き詰まりを打開して適切なものにする、こういう建前から出した勧告であり、出された政府案であると考えます。
  14. 大平正芳

    大平委員 そうすると私の質問しました最初の点は、現在の俸給制度の線に沿って若干直したにすぎないんだ、こういうことなんですね。——そういたしますと、現在の俸給制度欠陥是正した限界を一応見てそれを制度化した、特に人事院がこの際特別な意欲を持って職階制の導入を面したものではない、つまり人事院が前から既定意欲があって今度こういう格好のものに前進していこうというのではなくて、現在の俸給制度の不均衡をどうして是正しようかといってその限界を見ておったら、こういうところに線を引けば今の不均衡是正される、ごく自然の成長であって、既定意欲を持って職階制に移行したものではない、このように了解してよろしゅうございますか。
  15. 淺井清

    ○淺井政府委員 大体お説の通りでございますが、ただ国家公務員法建前の終局の形は職階制になっておることは確かでございますし、また職階法という法律が現存しておることも確かでございます。でございまするから、法律の中にもただいまの給与法職階法による給与準則制定に至るまでの形ということは、これは立法の上においてすでに現われておるのであります。しかし今の時点をとって申しますれば、今回の政府案並び人事院勧告職階制に基づく給与準則でないことは確かでございます。
  16. 大平正芳

    大平委員 そうだとすれば人事院人事行政上、給与行政上今まで行政的なものさしをたくさん作られて各省に指示されておるのですが、そういうものをもっと適切にすればいいわけではないのですか。どうしてもそれが現在の俸給表と抵触し、衝突しまして伸びないというところの説明をもう少し詳しく伺いたい。
  17. 淺井清

    ○淺井政府委員 さいぜん給与局長からも申し上げましたように、現在ではいろいろ運用方法をとりまして、なるべくいろいろな欠陥が出ないように考えてはおります。また考えて参りましたけれども、どのように運用方法をとりましても、現在の給与法に縛られたもとにおいてのみしかそういう方法がとれないということは事実でございます。ところがさいぜん申しましたように、現在の給与法は行き詰まっておる、だからこれをある程度変えませんことには望ましい運営がとれない、これが根本的な考えでございます。
  18. 大平正芳

    大平委員 そうすると要するにこの勧告の前文にあるように、不均衡是正を大いにやる、その是正のためにこういう制度をとったのだ、こういうことなんですね。——それではその点はその点で一応とどめまして、次に昇給の問題でちょっと伺っておきたいと思います。この昇給の幅と期間検討してみますと、何も従来と変ったことはないのではないか。六カ月が十二カ月となり、九カ月が十二カ月ないし十八カ月になりましても、昇給の幅がそれだけ大きくなっておるにすぎないのであって、実際上昇給原資というものをこの勧告は特に多く要求していないのではないか。ただ昇給期間を延ばすことによって昇給の頻度が少くなる。従って人事行政から申しますと手間がかからなくなる、あるいはもっと悪くいえば、半年を一年に延ばしますと、半年間だけ昇給が延びますから、その間の財政支出が助かるということだけのように受け取れるわけですが、これは昇給の幅を大きくし、期間を長くするという以外に何か人事院考えられた理由があるのですか、その点を一つ……。
  19. 淺井清

    ○淺井政府委員 この昇給の問題に関しましては、人事院案政府案との間には制度上の違いはございますが、実質においてはあまり違いはないのでありまして、この点は給与局長から御説明申し上げます。
  20. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院の案におきましては六カ月、九カ月ということを現行制度と同じように踏襲いたしておるのであります。政府案におきましては、これは一年を原則として基準にするということをやっておられます。しかし政府案におきましてはいろいろな配慮を設けられまして、一年にしたためにかえって昇給の点において損をする、年間手取りにおいて損をするということがないように設計されておるようにわれわれ見受けております。それからまた人事院勧告について申しまするならば、これは現行の平均的な昇給速度を維持する、すなわち悪くしないということを目途にやっておりますので、将来に向って昇給が平均的に落ちるのではなかろうかというようなことは制度上はないのであります。
  21. 大平正芳

    大平委員 それではちょっと私の質問と違うのですが、期間を長くし幅を広げるということが人事行政上の手間がかからなくなる、つまり将来の期待権をこれで剥奪したわけではない、同じようなことだとおっしゃるのであれば、わざわざこういうことをやったのは手間を省くだけですか。ほかに何か特に積極的な理由があるのですか。
  22. 淺井清

    ○淺井政府委員 これは政府の方から……。
  23. 大山正

    大山政府委員 ただいまの、昇給期間が六カ月、九カ月、一年という現行法を、大体一年を標準とする昇給期間に変更いたしましたのは、人事院勧告にはありませんでしたが、政府案においてとったところでございます。その理由は、かねて公務員制度調査会答申にも、現在の国家公務員昇給制度が非常に短かい期間に小刻みであるので、むしろこれを多少延長しても大幅な昇給金額にして昇給制度合理化すべきであるという答申がございましたし、また事務簡素化の点からいいましても、六カ月、九カ月、百円、二百円というような昇給金額よりは、一年に一回ということにしました方がはるかに事務簡素化にもなりますので、この機会にそういう点を改正した方がよろしい、かように考えたのであります。ただ、延伸したために非常な不利を職員に与えるようではまずいわけでございますが、そのような点のないように俸給金額あるいは昇給金額調整を加えたような次第でございます。
  24. 大平正芳

    大平委員 要するに、理由簡素化だということですね。  その次に初任給ですね。これは政府の方に伺った方がいいかもしれませんが、初任給は今度の勧告で全然変えないのですか、変えるのですか。
  25. 大山正

    大山政府委員 昨年の人事院勧告におきましては、初任給を変えない建前勧告になっておりますので、政府案におきましても、原則として初任給を変えないという建前をとっております。ただ問題は、ただいま御指摘のありました昇給期間を延伸した関係俸給金額を変更した点がございます。たとえば現在新制高校卒業者初任給は、試験を受けずに入った場合には五千七百円、試験を受けて入りました者は五千八百円ないし五千九百円ということになっておりますが、この五千七百円をそのままに据え置きまして一年に延ばしますと手取りにおいて損になりますので、その意味合いにおきまして五千七百円を五千八百円に引き上げております。それから五千九百円の場合にも、これをそのまま十二カ月に延伸いたしますと、手取りで損をいたしますので六千円に直しております。この点が一つ変更になった点でございます。もう一点は、昨年の暮れの国会で成立いたしました教員学歴差是正法律、あの法律趣旨にかんがみまして、新制高校卒業基準といたしまして、短大あるいは新大等資格免許関係のある学歴につきましては、大体学歴一に対して給与上一・五ということを基準にいたしまして初任給を変えるということを想定して今度の俸給表を立案しております。具体的に申し上げますと、現存新制大学初任給は八千七百円でございまして、新制高校卒業に対しまして五年半の給与差になっておりますが、昨年の教員学歴差是正の一・五という観点に立ちまして、六年の差にいたしまして、八千七百円を九千円に一号上げる。その九千円を、先ほどお話しました昇給期間延伸関係で九千二百円に引き直すという関係で、新制大学卒業初任給は九千二百円というものを前提にいたしまして俸給表を立案した次第であります。ただ、具体的に初任給をいずれにきめるかということは、最終的には人事院があの俸給表についてきめろということになるわけでございますが、一応俸給表の立案に当りましては右のような考え方から立案しております。
  26. 大平正芳

    大平委員 それはわかりますが、初任給をきめる場合には今後人事院規則できめるのでしょうが、その場合、たとえば四級職を例にとりますと、五千九百円である。これは試験を受けた人ですが、これが現行では六カ月、六カ月で昇給になりますね。そうすると、一年後は六千二百円になってしまう。ところが今度の切りかえで一号さらに直近上位にいくのではないですか。直近上位にいった六千二百円が今度の号俸では六千三百円になっているが、六千三百円を基準に六千円ときめたのですか。六千二百円を基準に六千円ときめたのですか、政府見解を伺いたい。つまり、三月三十一日で一ぺん一斉昇給しますね、しかしその人はもう二回目の昇給期間がきているわけです。だから、その二段階を経て到達した俸給額と今度新しくきめる昇給額とのバランスをとるわけなんですか、どうなんですか。その点は切りかえとの関係でちょっとややこしいですがね。
  27. 大山正

    大山政府委員 今回の改正におきましては、人事院勧告俸給制度改正を主眼といたしまして、いわゆる一律ベース・アップではないわけでございますので、初任給原則として動かさないという建前をとっているわけでございます。ただ、現に在職する者が新制度に移り変ります場合に、お話のありました一号昇給、それから三カ月の昇給期間短縮等を行いまして、実質約六・二%の改善を行うということでございますので、ただいまお話のありましたように、現に在職する者の切りかえと今後の初任給というものとは一応関係がないという建前で立案しております。
  28. 大平正芳

    大平委員 労働大臣がお見えになりましたので、大臣に伺いますが、政府案人事院勧告とを比較すると、若干違った点があるわけでございます。こまかい点はまた小委員会でよく承わることにいたしますが、俸給表十二表を十六表にしているわけですね。この中には理由があるのもございましょうが、単に俸給調整額のようなものがあるから厄介だから別の俸給表にするのだというのですか。これは従来もありましたけれども、もっと簡素化せずに逆に四表もふやしたということについて一つ考え方を伺っておきたいと思います。
  29. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 従来五種類であったやつを八種類にせいということは、人事院勧告によりまして三種類ふやしたのであります。俸給表のお問いの点もそれに準じまして考慮したのでありますが、こまかい点については大山君から答弁いたします。
  30. 大山正

    大山政府委員 俸給表種類につきまして、五種類を八種類にいたしましたことは、ただいま大臣からお答え申し上げました通り勧告に従ったものでございます。ただ、勧告は八種額の十三表でございましたが、今回の改正案におきましてこれを十六表にいたしまして、三表ふやしておるのでございます。ふやしましたのは、行政職俸給表が、勧告では一表でありましたのを、二つに分けております。これは行政職の俸給表を中央の各省庁の組織段階に合せるための表と、地方の職務段階に既応ずるものの表というものを別立にした方がより適当であると考えまして、二つに分けたのでございます。次に公安職の俸給表を、やはり勧告は一表でありましたのを、二表にいたしております。これは一般の警察官等のような階級制度をとっておりますところの俸給表と、それから海上保安庁等の、むしろ行政組織に応じた俸給表というものの二本立にする方がより適当である、かように考えまして、二つに分けたのでございます。  もう一点は、医療職の俸給表勧告では二表であったのでありますが、今回の改正案におきましてはこれを三表にいたしまして、一表つけ加えております。これは薬剤師でありますとか栄養士等のために、別の俸給表を作る方が適当である、かように考えたのでございます。  以上の三点が、勧告と違いまして八種類の十三表の勧告に対しまして、十六表ということになっております。
  31. 大平正芳

    大平委員 現在の俸給制度運用してみて、実態的に不便があるからするというのですか。行政機構がそのように分れておるから、わかりやすいからしたということですか。実態的な理由があるのですか。
  32. 大山正

    大山政府委員 勧告が五種類を八種類にいたしました点は、現在一般の俸給表の中にいろいろ違った性質のものが含まれておって、適当でないという点から八種類にすることを勧告したものと考えられるのでありますが、さらにこれを三表つけ加えましたのは、今度の俸給表考え方が、それぞれの職務の段階に応じまして、これに適当した俸給制度を作るという観点でありますので、行政職あるいは公安職につきましては、そういう職務段階が違うものが含まれているので、二つに分けた方がよろしいという考え方で分けたわけでございます。  医療職につきましては、薬剤師、栄養士等が他の医師及び看護婦等と従来の俸給制度が異なっておりますので、違った俸給表にする方が適当である、かように考えたわけであります。
  33. 大平正芳

    大平委員 それから俸給表勧告政府案と見てみますと、だいぶ金額の刻み方が違うのですね。上限を相当上げておるところも出ておりますが、一体六・二という給与改訂原資からいって、ある程度調整いたしましても心配ないのですか。
  34. 大山正

    大山政府委員 俸給表の幅を延ばしておりますのは、現在いろいろワク外頭打ちになっておる点を緩和いたしまして、俸給表の上限を延ばしておるわけでございますが、これによって直ちに昇給原資に非常な不足を来たすというふうには考えておりません。
  35. 大平正芳

    大平委員 私は昇給原資を言うておるのではない。給与原資全体が心配ないのですか。
  36. 大山正

    大山政府委員 心配ないと考えております。
  37. 大平正芳

    大平委員 その点こまかいことはまた次の委員会に譲りまして、私の質問は一応これで終ります。
  38. 相川勝六

  39. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 先日給与法に関しては予算委員会におきましていろいろとお尋ねをいたしたわけでございますが、その際、ほとんど結論を出しておらない、いわば意見を述べ、政府のお答えを願ったというだけにとどまっておりますので、一つ一つの問題について片づけていきたい、このように考えております。  まず最初に、これも予算委員会で懸案になっておる問題でありますが、人事院総裁お尋ねいたしたいのでございます。今度の政府案は、大体人事院勧告の線に沿って行われておるようだ、大体満足すべきものだというようなお答えがあったわけでございますけれども、若干相違点もあるようでございますので、まず最初人事院勧告政府案との相違点、こういう点についてお示しを願いたいと思います。
  40. 淺井清

    ○淺井政府委員 人事院が昨年勧告をいたしました中でおよそわれわれが原則とも考えておりますものがいろいろございまするが、その中で一番おもなものは特別俸給表の問題であって、その特別俸給表につけ加わっておりまする部分を全部調整額に改めてしまう、こういう考えでやったのでございまするが、政府案におきましてはそれは採用せられておらない。これが人事院勧告原則的なものから見まして、一番大きな差であろうかと思っております。その他の点につきましては、また後にいろいろ御論議もあろうかと思いまするが、まず一番おもなものはその点でございます。
  41. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 その点につきまして、政府案でやられましても人事院としては別に不満はないということなんですか。
  42. 淺井清

    ○淺井政府委員 これは理論的なものの見方でございまするから、不満はないと考えております。
  43. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それではその点について、政府側で人事院勧告を採用しなかった理由をお示し願いたいと思います。
  44. 大山正

    大山政府委員 人事院勧告は、現在の特別俸給表に含まれております水準差を分離いたしまして、これを俸給に対する何%という調整額にするという勧告があったのでございまして、この点につきましていろいろ事務的、技術的に検討いたしたのでございますが、現在おる職員が果してどれだけの水準差を持っているかということがなかなか把握いたしかねますので、技術的にこれを分離することがきわめて困難である、場合によっては職員に対して非常に不利を来たすおそれもある、かように考えましたので、水準差を分離することを取りやめまして、特別俸給表の中に現在のような形で織り込んだままの俸給表にするというように考えて立案した次第でございます。
  45. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 人事院におきまして勧告する際に、その数は当然把握されておったんじゃないかと思うのですが、その点人事院では把握されておらなかったのですか。
  46. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 水準差のある職員の数はもちろん把握しております。
  47. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 室長が今それは把握できておらないとおっしゃったのは……。
  48. 大山正

    大山政府委員 各職員について幾ら水準差を持っておるかというその額がなかなか把握できない、こういうことでございます。
  49. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 その点人事院いかがですか。
  50. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 この水準差の問題というのは非常にむずかしい問題でございまして、何をもって水準差というかというのは非常にむずかしいのであります。と申しますのは、初任給のときにある程度の格差がございましても、その後の昇給なり昇格なりによりまして、それが初任給と同程度の格差が維持されておるか、あるいはそれが開いておるか、あるいは縮まっておるかというような問題はむずかしいのであります。たとえばワク外に出たりいたしまして、昇給期間が延伸されるというようなことになりますと、この格差が縮まるというような問題がございます。本質的には非常にこれはむずかしい問題だと思っておりますが、人事院勧告いたしましたときには、おおむね初任給差というところに目をつけまして、そこでこの格差だというふうに考えまして、そうして水準差をはずす、こういう観点に立ったのであります。
  51. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 人事院では一応その初任給時点における水準差というものに基いて、先ほどのような勧告をした。ところが政府側ではそれがどうも納得できなかったというふうに食い違いがあるように思うわけなんです。そこのところの食い違いをもう少しはっきり、室長でもどちらでもけっこうですから説明していただきたいと思うのです。
  52. 慶徳庄意

    ○慶徳政府委員 ただいまの問題は抽象的な話になって参りますが、人事院勧告としましては、意見の申し出等において詳細な具体的資料を差し上げてございますので、ごらんになるとおわかりになると思いますが、一応先ほどのお話水準差俸給から取りはずしまして、俸給表はあらゆる俸給表を通じまして、俗にいうはだかの俸給表にする。それからその俸給表よりも相当高い給与のものは、すべて俸給調整額に一元化するという考え方に立ったわけです。従いましてただいま御質問のございました特別俸給表から取りはずしました水準差は、そのまま大体そっくりの形におきまして俸給調整額という形のものに姿を変えていこうということにいたしたわけであります。従いましてこの俸給調整額とはだかにしました俸給額とをあわせて比較いたしますと、政府側から提出されております込みのものと合せますと、実質的にそれほど大きな食い違いはない、こういうような考え方であります。
  53. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 最初総裁から言われた点で、本質的な問題としてその点作業されてなかったことが一番問題だというお話であったので、私お尋ねしておるわけなんですが、今のお答えでありますと、これまたそうでもないようなことなんでありますが、それはどちらなんですか。
  54. 淺井清

    ○淺井政府委員 私の申しましたことと給与局次長から申しましたことは違いがないように思っております。まず私どもといたしましては、勧告をいたします際におよそおもなる点を、原則として考えたのでございます。その一つがただいまの調整額の問題であった。つまり人事院といたしましては、現在の調整額的なものが、あるいは調整額あるいは調整号俸、あるいは特別俸給表といろいろ散在いたしておりますので、これを全部一つ調整額にまとめた方が簡素化されるのじゃないか。しかもその結果においては職員に不利益を与えないのではないかという考えから、これを原則一つとして取り上げたわけでございます。つまりいわば人事院考え方が少し理論的なところであって、理想的な考え方をとったわけでございますが、政府としてはこれをそこまで踏み切らずに、現実に即していこう、こういうことになったのではないかと考えております。
  55. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それで一応わかりました。それでは具体的に食い違いの出ておる問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、まず第一は昇給期間の問題です。先ほど大平委員からも指摘されておりましたが、人事院勧告は大体現行昇給の方式を踏襲しておったと思うのです。六カ月、九カ月、十二カ月が大体原則になっておったと思うのですが、これを政府において大体原則は十二カ月だというふうに変えております。これは事務簡素化ということに理由づけをいたしておるようでございますが、公務員の側ではこれも非常に問題にいたしておるわけであります。なぜ一年に伸ばすのだ、われわれは現行通り六カ月あるいは九カ月、十二カ月というふうな昇給方法を望んでおるのだ、人事院もまたこの公務員の希望に沿った勧告をしておる、公務員の気持に沿ったものとしては非常に少いのですが、そのうちの一つがこの昇給期間の問題になっておるわけです。これをただ事務簡素化ということだけで一年に統一してしまうというのは問題だと思う。公務員の能率の向上という問題と、事務簡素化という問題と並べた場合に、私は能率の問題を無視しても事務簡素化をはからなくちゃならぬということにはならないと思う。公務員の喜ぶ形の方を採用してやった方が、より能率は向上してよかったのじゃないかと思うのですが、これをせっかく人事院勧告しておるのをあえて一年にしたというからには、単に事務簡素化ということだけでは納得できないのでございますけれども、この点もう少し御説明を願いたいと思います。
  56. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 この点先ほど大山君からしばしば答弁いたしました通りでありますが、この人事院勧告はもちろん尊重いたしましてこれを中心にいたしましたけれども、公務員制度調査会の方の答申もやはり考えました。公務員制度調査会の方は、一年ということをいってきております。しかしながら一年にすることによって一年間の収益に影響があるようではいけませんから、最初において三ヵ月縮めていく、そしてまたその給与も六ヵ月前に調整していく、それによって大体一年間にしましても損失がないように考えたのでありますが、詳細につきましては大山君から御答弁いたさせます。
  57. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 この間の予算委員会でも私しばしば指摘したのでございますが、人事院勧告を尊重した、尊重したと、都合のいいときは政府はおっしゃるわけなんです。ところが何か人事院勧告と食い違いが出てくると、公務員制度調査会答申の方をひっぱり出したりする、両刀使いに過ぎるじゃないかということを私再三申し上げておる。そこのところは、人事院勧告と違うことになると公務員制度調査会答申の方に逃げ込むというような態度じゃなしに、もう少し真正面から私の質問に取り組んでいただきたいと思うのです。私は公務員制度調査会答申に「現行昇給制度は、短期で、小きざみになっているが、この期間を延長し、昇給の額を大きくする等、合理的な昇給制度を確立すること。」ということが述べられておることはわかっておるのです。しかしあなたは人事院勧告を大体尊重したのだと再三おっしゃっておる。ところがこの給与の問題については人事院勧告を尊重しないで、調査会の答申を尊重したという。どうも納得いかない。人事院勧告を尊重するなら尊重するという一貫した建前をとっていただきたいと思うのです。  しかしその点はとにかくとして、先ほど大平さんの質問に答えて大山室長は、やはり事務簡素化ということに重点を置いておられる。しかし公務員自体は、一年たって金額が倍上ることよりも、今のまま半年ごとに上った方がいいと言っておる。私は人事院勧告もこの外紙に関しては公務員の気持に即してなされておるのじゃないかと、好意的に考えるわけです。この点に関して、公務員の気持と人事院勧告とが不思議に一致しておる面に関してはこれを無視してしまって、公務員制度調査会答申というふうに逃げ込んでしまうというのはおかしいのじゃないか。能率を向上させるということがあなたたちのいつも考えておられる主眼点であるとするならば、なおさら事務簡素化はある程度犠牲にしても、公務員の望むところの昇給制度をなぜ採用しなかったのか。事務簡素化ということだけならば、私は公務員のこの要求、気持というものを無視するにはちょっと不十分じゃなかろうかと思うが、その点御説明願いたいと申し上げているわけです。
  58. 大山正

    大山政府委員 お話の点でございますが、公務員に昇給期間を延伸したために非常な不利を来たすということでありますれば、確かに問題でございますが、私ども立案いたしましたときには、一年にいたしましても不利にならないようにという考え方をいたしました。たとえば先ほど例で申し上げましたが、九千円の号俸はその次に六カ月で九千三百円になるわけでございます。従いまして、九千円の俸給金額は、九千百五十円に直しまして十二カ月にいたしますれば、年間の手取りは同じであるということになるわけでありますが、端数を切り上げまして九千二百円というような形をとっておるのでございます。端数の関係で若干切り上げ、あるいは切り下げたところがございますが、全体といたしまして延伸したために不利にならないということを建前にいたしまして、俸給金額考えた次第でございます。
  59. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 金額の面では、今室長がおっしゃっているように、全般的に絶対不利にならないように考慮を払ってありますか。昇給の面だけに関してですよ。
  60. 大山正

    大山政府委員 昇給期間を延伸したために不利になるということはないというように考えております。
  61. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私はさっきからお尋ねしているように、半年小きざみに昇給するということになりますと、事務は確かに輻湊するかもしれません。しかしやはり楽しみという面ですか、半年したらたとえ百円でも上るということに現在の段階では楽しみを覚えておるんじゃないかと思うのです。それを一年間待ちぼうけさせられるということに対する不満というものが相当あると思うのですよ。この点そういう精神的な面についての御考慮はなぜお払いにならなかったのか。ただゼニ金の問題で、金さえ損しなければいいじゃないか、こういうことであったのかということです。
  62. 大山正

    大山政府委員 確かに御指摘のような点もあろうかと存ずるのでございますが、私どもといたしましては、やはり現在の六ヵ月、九ヵ月というのがあまりにも短期に過ぎる。やはり一般的に考えまして一年一回というのが一応の原則である、かように考えた次第でございます。
  63. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは人事院の方にお尋ねいたしますが、人事院としては、やはり現行昇給期間というものが大体妥当だというふうにお認めになって勧告なさったんじゃないかと思うのです。一年というふうに政府案がなっておるのですが、これと現行の比較的短期の昇給期間というものと比較した場合、いわゆる公務員の能率の問題、あらゆるそういった影響というものが勘案されて、当然これを引き延ばす必要はないというふうにお感じになったのではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  64. 淺井清

    ○淺井政府委員 それはその通りでございまして、それで比較的下級の者は昇給期間現行通りになっておるのでございます。ただこれは政府側から述べられましたように、昇給期間を延ばしたと申しましても、実質的に不利益にはなってない、またその方が人事行政上も簡略でございましょう。それは人事院も認めます。ただ人事院といたしましては、下級の者は上るのも少いのでございます。だから昇給期間も短縮して、六カ月、九カ月、十二カ月という線でやったことは事実でございます。
  65. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 大臣、今総裁がおっしゃった通りなんです。もともと給与の低額の人たちは金額は確かに少いんです。百円くらい上っても楽しみが少いかもしれない。あなた方はそういうふうにお考えになるから、一年待ってもらって二百円上った方がいいじゃないか、そういうふうな割り切り方をされるかもしれませんが、もともと給与自体が少いのですから、百円、二百円でもそれが数多く上るということに、やはり一種の喜び、楽しみというものを持っておると思うのです。大臣は給料をもらった経験を持っておられるので、そういう気持はおわかりだと思うのです。ただゼニ金の勘定、損得だけでなしに、やはり昇給に対する楽しみというものが、半年を一年に延ばされてしまったような格好になっている。そこに非常に大きな不満が集中しているような感じがするのですが、あなたは人事院勧告も尊重されているようでありますので、再度この点についても考慮される余地がありはしないかと思うのですが、いかがですか。
  66. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 御指摘になりましたように、働く方がその俸給の早く昇給することを楽しみにしておられることは当然であり、また使用者もそれに心すべきものであると思います。しかし今度の改正に対しまして、今大山室長からるる申し上げましたように、一年間ではあるが、最初に手かげんをしておりますから、六カ月のときよりも一年のときの方が最初からもう値上りしているんです。それで調整がとれるというようになっております。ただ一年延ばした後に上げるというのではなくて、ある程度のものは最初の出発のときに調整がされておりますから、その点で一つお話の精神的な面は解決をつけたいと思っております。なお今、人事院総裁からお述べになりましたように、技能職の面におきましては六カ月、九カ月、十二カ月にいたしておりますけれども、一般行政職の面につきましては御指摘通り、一年になっておりますが、最初に一年調整して出発いたしますから不利ではない、こういうように思っております。
  67. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 また違うのですね。金ずくの問題ならもうわかったわけです。損得なしということでは、最初調整しているから云々という大臣のお言葉は当るかもしれませんが、私はそこにウェートを置いて話をしていないわけです。少額所得者は、それだけに金額がかりに少くても、数多く昇給するということに生きがい、働きがいというものを感じてやっているんです。その喜びというようなものを奪ってしまうということは少し酷じゃないか。せっかくその公務員の切実な気持をくんで人事院勧告されておるのだから、実施面においても人事院勧告一つおのみになる意思はないか、もう少し考慮していただく考えはないか。単なる欲得の問題じゃない、金高の問題じゃないということを申し上げているというような点から一つ答弁を願いたい。
  68. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 御指摘の点でありますが、精神的な面に影響があります点については同様に考えております。しかしながら半面において、官公労以外の一般民間給与その他は、大体一カ年の方が多いのであります。それでまたそういう精神的な面に対して報いることができない面が半面ありますけれども、事務及び異動というような方面に対する事務的な面も、行政的にやはり考えなければならぬ問題がございますから、その両者を考えてかようにいたしたのでございます。
  69. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 民間においても一カ年が多いというのはどういう統計でございますか。
  70. 大山正

    大山政府委員 私どもの方で調べました統計では、民間諸会社におきましては昇給期は一年一回にしているのが七〇%以上であったように記憶しております。
  71. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 その点人事院でもお認めになりますか。
  72. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 統計的には、公務員制度調査会が言われました数字の通りかどうかは知りませんが、民間の諸会社におきましては、昇給というものはおおむね一年一回が多いように存じております。
  73. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 人事院でも御容認になりました。人事院は非常に民間給与とのアンバランスその他民間給与の趨勢といったようなものに非常に関心を払ってその面からこの勧告をなさったようなんです。たとえばベース・アップ方式をとらないで、今度こういう勧告をしたということも、民間の動きというものを勘案されておるようですが、昇給期間に関しては大体民間の七〇%ぐらいが政府側が言っておる一年間一回の昇給をやっておるということを人事院でお認めになっておりながら、なおそれを乗り越えて現行昇給期間というものを採用されておりますからにはそれ相当の、何といいますか、私が先ほどから申しておるような理由をも勘案されてやったのじゃないか。民間では確かにそういう方向にあるかもしれないけれども、この際そういうことをある程度無視しても現行昇給期間を採用した方がいいというようにお考えになったのかどうか、その点一つ説明願いたい。
  74. 淺井清

    ○淺井政府委員 人事院といたしましてはさいぜん申し述べましたように、現に行われておる昇給期間制度、これを変える必要はないと思ってやったのでございます。その理由はすでに述べました。
  75. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 人事院も民間の趨勢は知っておりながら、なお公務員には現行昇給期間を採用した方がいいという判断を下しておられる。政府はこういった親心を示しておる人事院勧告をなぜこの面に関しては無視するのか、私はどうしても承服できないのでございます。さらにこの昇給期間の問題についても今後一つ検討していきたい、このように考えておりますので十分考慮していただきたいと思います。
  76. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 ただいまのお話でございますが、先ほど前段に申し上げましたように、公務員制度調査会の方も一つの機関でございますから、やはりこれの調査に基いた答申をわれわれは全然無視するということもできないわけなんです。でありますから、両者の特徴をとってかようにしたのでございまして政府はすべてのものを全然無視してやったわけではないのです。つまり公務員制度調査会の方では、やはり今まで大山室長が述べましたような内容をもって一年にした方がいいという答申をしておるものですから、これに基いてやったのでございまして、この点は一つ御了承願いたいと思います。
  77. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 了承できないのですよ。人事院勧告を作成するに当りましても、大体職員団体の意向なんというものは無視しているのです。しかし人事院には、おのずから法に定められた任務というものがあるし、設立された本来の趣旨というものがあるから、ある程度職員団体の利益擁護ということを念頭に置く部面が相当多いと思う。しかしこの公務員制度調査会がどれだけ公務員諸君あるいは職員団体の意見を反映させることについての努力をいたしておりますか。全く政府の御用機関じゃありませんか。役人出身の今井さんがどういうことを書いておりますか、ちょっと参考までに読んでみましょう。「内閣に調査室までつくられているが、この調査室が全くふざけた成行なのである。メンバーは、高級官僚と、政府お気に入りの少数学者、官僚出身者で構成し、一切のジャーナリズムを締め出して、秘密のうちに審議を終えているのである。したがって、政府や高級官僚の扱いやすい公務員制度をねらったものといっても、弁解できないほどである。公務員が国民のためのものであるならば、メンバーも、その趣旨にそって選び、ひろく国民の声をきき、公開で討議を重ねるべきであろう。」お役人出身の今井さんもこういうことを言っています。公務員制度調査会は、政府にとってはりっぱな審議機関かもしれませんけれども、公務員諸君にとってはこんなものは何も尊重するに値しないのです。あなたは再三人事院勧告を尊重したとおっしゃる。尊重されるなら一貫して尊重したらいいじゃありませんか。人事院勧告を全般的には公務員の諸君も望んでおりません。批判しております。しかしその中で支持しておる数少い中の一つがこの昇給期間現行維持なんです。公務員の喜んでおる部面については人事院勧告も尊重しないじゃありませんか。そうして政府の御用機関の調査会の答申だけを尊重する、こういう行き方が所々方々に出ておるからこういう問題が出てくるのです。私はそういう言い方じゃなしに、もう少し真摯に公務員諸君の望むところも聞くという態度で答弁もしていただきたいし、こういう給与問題は論議し決定していただきたい、そう思ってお尋ねをしておるわけです。どうです、公務員制度調査会というものが公務員諸君の声はもちろんのこと、国民一般の支持を得るような構成に基いて作られておるとあなたお考えになりますか。おそらくあなたとしても、それだけのことを公言できるほど心臓はお強くないと思う。そこでまだまだこれから審議を続けるわけですから、この昇給期間についても公務員諸君の意のあるところを十分にくむ、そういう意味で検討することに御同意願いたいと申し上げておるわけなんです。いかがですか。
  78. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 公務員制度調査会に対する御批判がいろいろありましたが、われわれやはり政府の機関としては、これの意見もくみ入れることは考えなければならない。しかし審議の過程において今後いろいろ変化のあることはやむを得ないと思いますが、私やはり提案者として原案を支持しなければならぬと思っております。
  79. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それならようございます。また与党の諸君ともゆっくりお話し合いをいたしたいと思います。  次に、人事院勧告で示されました俸給表の最低額、最高額が政府案によって引き上げられております。その最低額が引き上げられたのは昇給期間の延伸に伴う措置だという御説明がございましたが、最高額の引き上げもやはりこれに関連を持ってきて上ったわけですか。
  80. 大山正

    大山政府委員 最高額が上りましたのは特に昇給期間の延伸というものとは直接の関係はないのでありまして、おおむね人事院勧告に準拠はいたしましたが、さらに現在のワク外昇給を緩和するような意味におきまして、最高額を多少引き上げておるのでございます。
  81. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 人事院お尋ねいたしますが、行政職の最高額を六万七千円に落したその趣旨は、どういうことからだったのですか。
  82. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 現在の給与法におきましては形式上七万二千円になっております。もっとも七万二千円までは、これは人事院に委任されておりまする人事院規則の範囲内で運用し得る限度でございまするが、人事院におきましては、たとえば現在の次官の俸給というものを一応基準に置きましてこの限度にいたすのが適当であろうか、このように考えまして一等級の三号を六万七千円にいたした次第であります。
  83. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私大山室長の答弁がよく納得できないわけですが、上の方では、大体人事院勧告は一等級の三号で六万七千円、それを政府案では七号俸まで伸ばして七万二千円にしておるわけですね。ここのところをなぜこう引き上げる必要があったのかということをもう少し説明してもらいたい。
  84. 大山正

    大山政府委員 先ほどの私のお答えが、各等級の最高号俸と実は誤解しましたので大へん失礼をいたしました。ただいま御質問の点は、一等級の最高号俸が上っているという点でございます。この点は御指摘のように人事院勧告は行政職におきまして六万一千円、六万四千円、六万七千円でとめておるのでございますが、私ども立案に当りまして七万二千円まで残しましたのは、現行法が行政職、それから一般の俸給表の適用を受けております医療職、研究職におきまして七万二千円までの俸給金額がございますので、その最高限を残しておいた方が適当である、かように考えたのでございます。ただ、どの金額にまで次官なり、あるいは研究所長なり、病院長を指定するかという問題は、人事院の権限になるわけでございますが、私どもといたしましては、最高限はやはり現行法のままに残しておいた方がよかろう、かように考えた次第でございます。
  85. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは人事院がそういう職務の格づけの権限を持っておるわけですね。ところが行政職におきましては三号俸、六万七千円を限度俸給表にすることで足れりとお考えになったものと思うわけです。それを乗り越えてさらに号俸をふやし、金額限度を高めるということには、より積極的な理由がないといけないと思うのです。ただこの俸給表だけながめますと、政府はいかにも上の方の給与の高い人のことばかり考える、この人たちの心配をすることには非常に急だというふうな印象を受けるわけです。そこで人事院がそれで足りるとお考えになったのを乗り越えて、なお、こういう高い限度まで引き上げた理由は、一体何かというお尋ねをしているわけです。
  86. 大山正

    大山政府委員 最高限につきましては、先ほど申し上げましたように、現行法一般俸給表の最高限をそのまま持ってきておくということが適当であろうと考えて、七万二千円まで置いたということでございます。
  87. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 先ほど何か病院長とかなんとかいろいろおっしゃいましたが、そういうのは今度俸給表を分離されておりますので、行政職の俸給表には関係ないのじゃないですか。
  88. 大山正

    大山政府委員 医療職俸給表、研究職俸給表の最高限につきまして同様の措置をとりましたので、あわせて御説明いたした次第でございます。
  89. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは一応行政職俸給表に限ってお尋ねいたしますが、行政職俸給表において、上の方を人事院勧告よりも高くしたという積極的な理由をお示し願いたいと言っているわけです。
  90. 大山正

    大山政府委員 現行法におきまして、七万二千円までの範囲内で人事院が指定することになっておりますので、やはり七万二千円までの範囲内で人事院の指定する権限を残す方がより適当である、かように考えた次第であります。
  91. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 先ほど申し上げましたように、私もこれはそう重大に扱っておるわけではございません。しかし、見た目では、確かに政府給与の高い人のことばかり心配しているような印象を与えるわけです。人事院においては、俸給表には三号俸の六万七千円で足りるというふうに考えておるわけなんでしょう。それを政府でわざわざ御心配に及ぶのは、一体どういうことかというのが疑問なんです。
  92. 大山正

    大山政府委員 繰り返して同じ答弁を申し上げるようで、はなはだ恐縮でございますが、現行法の七万二千円の最高額を、そのまま動かさずに持ってきたというのが理由でございます。
  93. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは人事院では、権限は持っておりますけれども、俸給表から落してしまったのは、どういうわけですか。
  94. 淺井清

    ○淺井政府委員 これはざっくばらんに申し上げますと、お尋ねの背後には、要するに政府案においては高級官僚のことばかりよくしておるのじゃないかというようなお含みがあったように思うのであります。人事院政府案から受け取りました感じでは、そうではないのであります。これは単なる技術的な問題だろうとわれわれは思っておるのでありますが、人事院といたしましては、現給分布で号俸をきめましたから、かようになっておるのでございます。それを、ただいま大山室長が申し述べましたような理由で言っているのでありまして、おそらく政府において特に高級官僚のことばかり考えてやっている、そういう問題はないように思っております。
  95. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私もこれを強く重大だということじゃない。しかし俸給表を比べてみたときに、確かにそういう印象を受ける、こういう言い方をしておるわけなんです。それで人事院が六万七千円現給の線で足れりとしておるものを、わざわざ引き伸ばすからには、何か特別の事情でもあるのかという疑問を持ってお尋ねをしたわけです。  それでは俸給表の細分化の問題についてお尋ねをいたします。これは予算委員会でも、私、若干お尋ねをいたしたわけでございますが、十分に納得をいたしておりません。と申しますのは、人事院は、これまた行政職に帰りますが、行政職の俸給表は一本で足れりとしておるわけであります。この点については十分なる確信を持っておられると思う。特に今度の勧告の第一のねらいが俸給表にあるわけですから、よほどの確信をもって行政職は一本になさったものと思うのですが、行政職は一本の方がいいという信念を持たれた理由をわかりやすく人事院の方から御説明願いたい。
  96. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今回人事院勧告いたしました俸給表というものは、先ほどからも職階制論議が出ておりますけれども、これはほんとうの意味の職階制ではないのでありまして、この給与というものを職務と責任に応じてやるのがよろしいということが給与法自体に書いてあるのでございますが、その限度で整理したというふうにお考え願いたいわけであります。ところで、そのようなわけでございますから、職務と責任の段階ということで見るならば、あるいは地方の末端機関におきましては、この等級を分割する。一つの等級でまとめてみたが、一つの職務と責任の段階でまとめてみるということが困難な場合も起きて参ります。しかしそれは上下等級に分類するというような便宜の方法によってこれは処理し得る、このように考えておるわけでございまして、二本立ということは考えなかった次第でございます。
  97. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 一本にした信念のほどを私お尋ねしたのですが、大して信念があるようなお答えでもございません。そういうあいまいなことだから、政府に勝手に二分割なんかされるわけです。私はもう少し積極的な意義を、一本にしたというところに認めたいと思うのですが、ほんとうにそれだけですか。一本でも二本でもいいという程度のものなんですか。そこのところをもう一度お尋ねいたします。
  98. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 重ねて申し上げますが、現在の中央におきます、たとえば係長あるいは課長補佐の段階というものの職務と責任の段階と、一般的に、標準的な地方末端機関におきます係長、課長補佐の職務と責任の段階が違うということは認めざるを得ないのであります。ただ、われわれといたしましては、そのような場合におきましても、地方の出先機関を上の等級と下の等級にまたげて考えるというようなことで問題は処理し得る、このように考えまして、あえて二本立の俸給表勧告いたさなかったのでございます。
  99. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 人事院が一本にした理由は、今瀧本局長がおっしゃった通りだそうでございますが、私といたしましては、もう少し積極的な意義を実は認めたいわけであります。しかし別にお述べにならないようでございますので、政府側にお尋ねいたしますが、この行政職の俸給表人事院では一本にしておるのにわざわざ二本にしたということによって、これまた公務員の職員が非常な不満を持っておる。一番大きな不満は何かというと、これは中央官庁優位だ、これを給与の面でもはっきり打ち出してきたのです。これが一番大きな不満である。職務と責任に応じて給与を払う、お題目はりっぱでございます。しかし現在まだ職階制も確立されておらぬ、緒にもついておらぬ、そういう段階において職務と責任ということをいっても非常に私抽象的に聞えるわけなんです。従ってこの行政職の俸給表を二つに分けたということは、単に中央官庁優位のいわゆる大原則を打ち立てんがための一つの橋頭堡をここに築いたのではないか、こういう疑惑を公務員の諸君が持っているわけなんです。これはそうではないのだということをあなたは自信を持って御説明できますか。一つそこのところを説明していただきたい。
  100. 大山正

    大山政府委員 行政職俸給表を二分いたしました根本理由は、行政職俸給表の(一)が、結局勧告のありました七段階の区分が中央の各本省庁の次官、局長、課長、課長補佐、係長、係員という段階にはちょうど適応していると考えるのでございますが、地方の機関にこれを当てはめて考えました場合に必ずしもそのままで行うよりは若干変えた方が適当ではないか、かように考えて二分する案を立案したのでございますが、ごらんいただきますように、七等級と六等級の係員は全く中央、地方同様でございます。それから行政職(一)の四等級と行政(二)の三等級、これもまた全く同様でございます。違いますのは、行政(一)の五等級を二つに分けまして(二)の四等級、五等級にしました点と、それから行政(一)の三等級を二分いたしまして行政(二)の一等級、二等級を作ったという点が違うのでございます。  なぜそのように分けたかと申しますと、標準的に申しまして、地方の第一線機関の所長は従来任用上あるいは給与上中央本省の課長補佐と大体同じように考えられているのでございまして、この点行政(一)の四等級と(二)の三等級が全く同じ構成をとっているわけでございます。ただ地方の機関におきまして、その所長の下に課長、係長という段階がある場合が非常に多いのでございます。これを行政(一)の俸給表でまかないますならば、結局そういう課長と係長が同じ五等級に入るかあるいは課長だけが五等級に入りまして、係長が六等級に入るというような形になるのでございまして、この点はやはり二段に分けた方が職務の段階からいって適当ではないかというように考えまして、中央の係長の五等級のところを二つに分けまして(二)の四と五を作ったような次第でございます。また行政(二)の一等級、二等級を二つに分けましたのも、地方の機関の、特に大きな機関の所長は大体本省の課長と任用上給与上同じように考えられておるのでありますが、その中間におきまして本省の課長と課長補佐と中間の程度の所長という職務段階考えられますので、これを二つに分けた方が適当する。あるいは所長、副所長というような段階を持っておる組織もございますし、いろいろな組み合せもございますので、地方の機関におきましては中央と違った組織段階を設けた方がより適当である、かように考えた次第でございます。
  101. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 その程度の事情は人事院でも十分に把握されておったと思う。それはこの一本の俸給表で十分にカバーできるという信念を持っておったと私は思う。今大山さんから御説明ございましたが、そういうふうに実情を合せるために二分割した、そのことをもって人事院でもこの人事院案よりも改善されたというふうにお考えになりますか。
  102. 淺井清

    ○淺井政府委員 はっきり申し上げますけれども、この行政職の俸給表を一本にするか二本にするか、これは人事院勧告を出す場合も相当実は議論になったのであります。それはただいま室長から申し上げましたような、中央官庁と地方官庁との組織のちょっと違うところがある。しかしながら人事院はやはりこれは一本の方がいいのじゃないかという結論で一本になりましたのでありますが、適用範囲をきあますときは若干の調整をすればいいのじゃないか。問題はこれを二本に分けましたときの心理的影響が大きいという点が問題になろうかと考えております。技術的に見ますれば、これは一本でも二本でも同じじゃないかという議論も立つわけでございます。
  103. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 ようやく人事院の本領を発揮しておる答弁を願えたわけです。確かなのです。先ほどから申し上げているように。公務員の諸君が一生懸命仕事に取り組むためには、この心理的影響ということを無視してはならぬと私は思う。人事院がそこまで配慮されて、せっかく俸給表を一本にしておるものを、むざんにも政府側が二分割してしまった、全くこの配慮を無視してしまっておられるわけなのです。働くからには私はおもしろく、希望を持って喜んで働くようにしてやるということが管理者側にとっては絶対に必要な要件だと思う。人事院がせっかく配慮をめぐらしておるにもかかわらず、こういうようにすっぱりと二つに割って、形の上で中央官庁優位の形を打ち出してしまうということは非常にまずいと思う。しかも税務職の俸給表は中央地方あるにもかかわらずこれは一本にしておる。あなたがおっしゃるような理屈でいくならば、当然に税務職あたりも二本にしてしかるべきなのです。しかしそういうことはやっておらない。首尾一貫いたしておりません。そこで私はこの俸給表の分割の面につきましてもさらに一つ与党の諸君とも話し合いをいたしたい、このように考えておりますので、その点をお含みを願いたいと思います。  それからこれは人事院勧告にも出ておるわけでございますが、技能労務職というものを新設したということの意義です。この点についてはせっかくの人事院さんもその心理的影響を御配慮にならなかった。技能労務職を切り離すということ、これに対しても大きな不安を公務員の諸君は持っておるわけです。その根源は何かといいますと、これまた松浦大臣が非常に尊重いたしますところの調査会の答申です。この中に片鱗が現われておる。そこでこれまたこの調査会の答申の方向に向っていく布石ではなかろうかというところから、非常な心配が出てきておる。それは今度この技能労務職の俸給表の適用を受けるような人たちが国家公務員法のワクからはずされていって特別な扱いを受けるのではなかろうか、いわゆる帝国憲法下の官僚機構のもとにおいて区分されておったような形の、雇用人制度というものが再び芽を出してくるのではなかろうか、こういう疑問と結びついてきておるわけです。決してそういう心配はない、単に技術的なものであって、身分的な影響を今後与えるための布石ではないというような断言が大臣はおできになりますか。
  104. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 今御指摘になりました点は私も同感であります。今後この表ができたことによって、国家公務員の身分から技能労務者が切り離されていくというようなことは考えておりません。結局俸給表を作った場合は、公正な考え方の上に立って作って、これは運用の面においていろいろの問題が起ってくることを防止しなければならぬと思うのです。でありますから、運用の方が俸給表の問題よりも私は重大であって、今後運用の任に当る者は御指摘になりましたようなことを意図いたしまして、心理的影響を与えず、ますます奮励努力するようにしむけていかなければならぬものであると思っております。俸給表そのものが今の御指摘になりましたような方向にいくのではないかという御心配でありますが、われわれはそういうことを絶対に考えておりません。
  105. 淺井清

    ○淺井政府委員 私の方からもお答えを申し上げますが、人事院といたしましては、勧告をいたす場合に、公務員制度調査会答申には拘束されておりません。これは、一般職の行政職の俸給表の中にありました雑多なものをいろいろ職種によって整理した場合には、当然こういうものが考えられる、これが合理的であると考えてやったのでございまして、いわんや将来こういう公務員が公務員のワクからはずされるというようなことは決して人事院といたしましては予想はいたしておりません。
  106. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 なお人事院がその技能職俸給表を作りましたことの技術的な観点お話し申し上げたいと思います。すでにわれわれは報告においても申し述べておりますように、現在俸給表ワク外者というものが非常に多いのであります。現在の一般職俸給表について見ましても、おおむね二二%程度のものが俸給表ワク外に出ておる。これは昇給期間が延伸されておる組であります。その一般職俸給表の適用を受けておりまする者の中で、また技能関係職員がこれまた頭打ちワク外が非常に多いのであります。そういう観点から見てみますると、現在の級別資格基準表等の運営というものが、実態に即してやっておるのでありまするけれども、俸給表の中を適用していくという形が本則であるにもかかわらず、それが相当大多数がワク外に出てしまっておるというような状況は、決して俸給表適用上好ましい現象でない、このように考えまして、こういう技能労務関係の方々の減給分等も十分研究いたしまして、これが頭打ちワク外というようなことにならないように、やはり本来的な俸給の中で異動、昇給なりしていくことができるように配慮いたしまして、この俸給表を分けまして技能労務職俸給表というものを作った次第であるのでございます。
  107. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 大臣が明快にお答え願ったので、その点は安心していいかと思うのでありますが、あなたが再三引用になられる調査会の答申の中には、明らかにそういう方向を打ち出しておるわけなんです。ちょっと参考までに読みますと、「現行法国家公務員とされているもののうち、単純な労務に従事する者(以下「国家労務職員」という。)は、国家公務員に属しないものとすること。これらの者の範囲は、法令上明確に規定するとともに、これらの者は、私法上の雇傭関係に立つものとし、」云々と、先ほど申し上げたように、昔は純然たるお役人とそれから私法上の雇用人というものとの身分上の明確な差があった、その形を再現しようとすることをこの調査会ははっきり答申の中に打ち出しておる。そういう方向が打ち出されておるので、あなたは再三調査会の答申を尊重してという言葉を使うので、公務員の諸君も、その前ぶれじゃなかろうか、布石じゃなかろうかという疑問を持ってくるのは当然だと思う。その点は御答弁を願ったので、さらに追及はいたしませんが、同様にこの調査会の答申は全く公務員制度の逆コースをたどっておるわけなんです。今の例なんかがそうですが、もう一つ問題があります。  これは幸いにも明確に政府案の中に織り込まれていないし、人事院勧告の中にも出ておらないからいいようなものの、再び芽を出さないという保証はない。従って、私は明確にお尋ねしておきたいと思うのですが、管理職群の制度、これなども、いわゆる昔でいう高文官吏、特権官僚、そういうものの再現を意図したものというふうに私どもは理解しております。この公務員制度調査会答申の中に盛られているような管理職群の新設といったような、一部公務員に特権的な権限を与え、あるいは将来にわたっての昇進の特権性を与えるというようなことについても、全然考慮を払っておらないか、この点大臣からお答え願いたい。
  108. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 今御指摘になりました高文制度というようなことは考えておりません。現在の試験制度の五級、六級制度でいくつもりであって、別に高文制度なんということをこれからやるという考えは持っておりません。
  109. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 高文制度という名前は使ってないのです。いわゆる近代的な装いだけをちゃんと示しておるわけであります。ちょっとこれを参考までに読んでおきますと、「管理的な行政事務を遂行する素質と能力のある者の選別及び養成の重要性に鑑み、管理職群に属する官職への任用については、左の方法によること。」といたしまして、「職群、職種、学歴、経歴の如何を問わず、一定の等級(例えば現行の六級職程度)以上の官職に四年程度の年限以上勤務し、その成績が良好で、将来、管理職群の職員となるために必要な素質及び能力を有するものと認められる者のうちから、各府省等の公正な推薦委員会の推薦(この推薦の公正を期するため、試験その他適当な選考方法を考慮するものとする。)に基き、中央人事行政機関の選考を経て、研修機関に入所せしめ、約一年間の研修を受けしめること。」 「右の研修を良好な成績をもって終了し、かつ、最終試験に合格した者は、管理職群の職員となる資格を有するものとすること。」こういう形で、明らかにこの選考の過程においては民主的な手段をとるかのごとく装いながら、実は一部の者に特権的な昇進の道を与えるという意図をもって管理職群の新設を答申は打ち出しておるわけです。こういうことはお考えにならないかどうかということをお尋ねしておるわけです。
  110. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 先ほど申しましたように、高文ということを申しましたが、今御指摘の管理職ということでございますが、そういう試験制度をもって特権階級を作るというような考えは持っておりません。
  111. 相川勝六

    相川委員長 午後一時より再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時八分休憩      ————◇—————    午後三時十四分開議
  112. 相川勝六

    相川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の三案を一括議題とし質疑を続行いたします。石橋政嗣君
  113. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 午前中に引き続いて質問いたしたいと思います。  今回ベース・アップ方式はとらなかったというものの、実際的に若干の俸給月額の上昇を見ることは事実のわけであります。長い三年という間据え置きを食っておった公務員諸君が、幾らかでも金額が上るということに喜びを感じなくちゃならないはずにもかかわらず、実際は喜んでおらないということの原因が、実はこの給与体系の変革にあるということは、予算委員会におきましても私指摘いたしたところであります。なぜその給与体系の変革を喜ばないのか。一番端的に表現できることは、職務給的な色彩が非常に強く出ておるということ、あわせて能率給的な性格もこれまた強化されておる、ここに原因があろうと思う。その一つの現われが、従来の十五級区分を七等級区分に圧縮した、ここにあるといわれておりますように、一等級以下七等級まで各職務と給与とを結合させる形が出てきておるわけでございますが、この点について先日私の質問に答えて大臣は、職務給ではあるが職階制ではないという答弁をなさっておりますけれども、これがどうも私十分に納得できないわけなんであります。これはどういう意味か、もう少しわかりやすく御説明を願いたいと思います。
  114. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 十五等級を七等級にいたしましたのは、この間もお答えいたしましたように、現在の日本の官庁の職務が七つに分れております。従来の十五等級でありましても、七つに分れて職務をやっておりますから、非常に複雑になっているのであります。でございますからこれを簡素化した、職務の数だけの等級にしたということが言えるのであります。私どもは職務給であって、さらにそれに生活給与というものを調整をした、こういうことがわれわれの考えであります。職階という問題に対しましては、午前中も人事院総裁から御答弁があったようでありますが、職階制とはいかなるものかという今のお話でありますが、これは職階制とは官職を職務の特質によって精密に分類し、任用、給与その他人事行政に役立てようとする制度であるということがうたわれておるのでありますが、私どもは現在やっておるのは、現在の職務給は全然職階ではないとはいえないけれども、完全な職階制ではない。従来やって参りましたいわゆる職務給である、かように存じております。十五階級を七階級にいたしましたのは、七階級の職務に対しまして十五に分れておりますから、たとえば局長が十二級から十三級、十四級までに及ぶというような複雑性を持っております。でありますから、そういうことのないように簡単にいたしたのであります。  しこうしてその次にお問いになると思いますから申し上げておきますが、今の職務につかなければ給与が上らぬのではないか、こういうような問題が常に議論されておりますが、これは特に技術者あるいは重要な任務につかれておる者、あるいは係長、課長と同様な仕事につかれておるような方々は同じ給与にするつもりであります。  それからもう一点は号俸の問題でありますが、生活給が頭打ちになるじゃないかということになると思いますが、その生活給が頭打ちにならないように、相当各等級ともワク外を認めておるのでございまして、これは従来よりもその点はよくなっておると思っております。
  115. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 せっかく先回りされたのですから、それに合せてそっちの方から先に片づけたいと思いますが、昇格しなければ昇給しないんじゃなかろうか。上の等級にいかない限り給与が上らぬじゃなかろうかという疑問を持っておるのだが、そういうことはないのだというお話をされたと思います。その点が確かに一番大きな疑問点なんです。さっきから七等級ということが問題になっておりますように、一等級は次官だ、二等級は局長、三等級は課長、四等級は課長補佐、五等級は係長、六等級は上級係員で七等級が下級係員だ、ちょうど七つ持ってきたところにその疑問を起させる、不安感を起させる原因があるわけなんですよ。結局あまりにもみごとにそういう七等級というものを結合させてしまった、現在の官庁における地位と給与というものを結合させたところに不安というものが出てくるのは私当然だと思う。ところが大臣は決してそういうふうな、係長にならなければ五等級になれぬということはないのだ、こういうお話でございますが、そういう格づけにつきましては人事院が相当権限を持ってやられると思うのですけれども、人事院といたしましてはその点は御確認願えるわけですか。
  116. 淺井清

    ○淺井政府委員 等級が上らなければ上にいかないんだというようにはなっていないのであります。つまり俸給が相当深くオーバー・アップさせてございますし、その上になおワク外昇給が認められておる。だから等級が上へいかなければ俸給が上らないということはないように工夫したつもりでおります。
  117. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 ところが政府案を見ればおわかりになります通り、現在ワク外昇給になるべきものをそのまま表の中には入れておりますけれども、昇給期間が違ってきているわけですね。従って七等級から六等級にいきさえすれば一年間で昇給できるものが、昇格しない限りその等級の号を追って高額のものにいきますと十五カ月、十八カ月、二十一カ月、二十四カ月、そしてまた大臣がおっしゃるようにこれのさらにワク外も認めるんだ、そうなると今度は三十六カ月というふうに、非常に長い期間待たなければ給与は上らないんです。ここのところの問題から非常に不満と不安を持ってきているわけなんです。大臣が言っているのは私そういうことじゃないと思うのですね。たとえば七等級で九千八百円までいった、ここまでざっと八年かかると思います。この人たちは六等級の九千八百円あるいはその次の一万六百円というふうに一年間で上る道もあるんだ、それを横すべりという言葉で大臣は表現しておるんじゃなかろうか。そこのところをもう少しそれじゃ大臣の方から明確に一つ伺っておきたいと思います。
  118. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 これは詳細な技術的の問題でありますから、室長の方から一つ……。
  119. 大山正

    大山政府委員 私から先ほどの大臣のお答えを補足して申し上げたいと思います。各等級に分かれておりまして、私どもの方でその代表的な官職の例という形で次官、局長、課長、課長補佐、係長というような例を申し上げておる品わけでございますが、これはあくまでも代表的な官職の例でございまして、この俸給表を作るについて、どういうものを標準に考えたかという例でございます。従いまして五等級になるのは必ず係長という形式的な職名、官職でないとなれないということは決してない。大臣が先ほど説明されたのはその御趣旨だと思うのでございまして、必ずしも係長あるいは課長という形式的な官職名を持ちませんでも、それと同じような職務の複雑さ、困難さあるいは責任というものがあれば、五等級に格づけされ、四等級に格づけされるであろうという考え方でございます。もちろん御指摘ありましたように、その具体的な格づけの基準人事院がおやりになるわけでございますが、私ども立案しましたときの考え方といたしましてもさような考え方でございまして、決して形式的な職名にとらわれるものではない。先ほどお話のありました九千二百円、九千八百円から次に移れるのかということでございますが、一応標準的な形といたしましては、大体金額が重なっているところが一つの目安として上に上るような標準になるのではあるまいか。ただそれから若干おくれるものがありましても、やはり二、三年はオーバー・アップがございまして、大体同じようにいける、しかしそれ以上また何らかの関係でおくれるものがあれば、等級の上にいったものと下に残ったもので若干昇給速度が異なるのはやむを得ない、こういう考え方でございます。
  120. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そこのところが問題なわけです。まず最初にそれでは大臣ワク外昇給を認めるのだということを言っておられますその限度というものを、速記録によりますと三万円と言いあるいは三万二千円と言っておられるようでございます。それはどちらがほんとうですか。
  121. 大山正

    大山政府委員 私からお答え申し上げますが、今回の改正案におきましては、ワク外昇給には別段制限は設けておりません。大臣が従来三万円あるいはそこらの金額を言われましたのは、たとえば六等級でワク外に出ても、数年目には大体三万円くらいまではなれるはずだ、こういう御趣旨考えております。
  122. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 先ほどの室長のお話でありますけれども、片一方では通し号俸制というものが廃止されたわけです。そしてまた一方では、いわゆる一応の目安とはいうものの、一等級は次官、長官、二等級は局長といったこういうものも発表されておる。そこでやはりいつまでも自分は七等級に据え置かれるのではなかろうか、六等級にそのままおって、ずっとたどっていってそのワク外とやらにほうり込まれていくのではなかろうかという疑問を持つのは私当然だと思うのです。そうじやないというのなら、そうじゃないというだけの安心感を与えるような、もっと説明が必要だと思う。あなたおっしゃいますように、人事院にその権限があるわけなのです。人事院の方からまだ明確な安心のいくような説明が今もございません。そこのところを人事院から、今室長が言うようなことを確認して運営していくおつもりなのかどうかまずお伺いしましょう。
  123. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院といたしましては、この法律通りましたならば、この法律の提案の際にいろいろお考えになったこと、並びに法案にありますことはもちろんでございますが、この法案の審議を通じましていろいろ出ました御意見等は十分尊重いたしましてこの運営をやっていくつもりでございます。
  124. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうすると、政府の方で権限外の、人事院の権限に属することまで答弁しておるかのごとき印象を受けるのですが、そこのところは差しつかえございませんか。
  125. 大山正

    大山政府委員 私どもが俸給表を作りますときに、この金額を作りますのに大体一応のやはり目安を置きませんと、次に何等級になる標準的な年数と申しますか、そういうものを一応念頭に置きまして立案いたしましたもので、別に私どもの方で人事院の権限を侵してきめるという性質のものではないという点を御了承いただきたいと思います。
  126. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それで室長の言うことはいいのですよ。ところが人事院の方では御確認を願えないわけですね。参考にはすると言っているけれども……。それでは安心しようがないのじゃないかと思うのです。大体政府で、今提案者の側で言っているようなことは、人事院も即座に確認するというのであればまた安心してもいい部面があるかもしれませんけれども、そうでない限りは、その場限りの言いのがれだと思う。あとになって人事院が、私たちこう思っておったのですけれども、一向なさらないものでございますから、なんて言われたんでは、全くもって安心ならぬわけで、そこのところをお尋ねしているわけです。総裁なり大臣なり、そこのところの関連性、どういうところから安心できるのか、この権限が分れている面について、そこのところをまず伺いましょう。
  127. 淺井清

    ○淺井政府委員 さいぜん大山室長から申しましたのは、一体、だれが俸給表を作りましても、およそこの俸給表運営した場合にどのような結果が起るかという見通しは必要だと思います。ですからその見通しを申し上げたのでありまして、人事院といたしましても同様でございますが、人事院といたしましては、この法律案が成立いたしましたならば、大体支障なく運営できると思います。この点については、給与局長から具体的にもう少し補足させたいと思います。
  128. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 政府俸給表人事院勧告いたしましたものと、形の上では変っておるのでございますが、基本的な考え方というものは変っていないのではなかろうかというふうに思うのであります。従いまして、人事院勧告につきまして御説明申し上げますと、大体政府案についても共通のことが相当程度言えるのではなかろうかと思います。この政府案を見ておりますと、俸給表の幅が各等級において相当伸びております。この点は人事院勧告より多少伸びておるのであります。その人事院勧告の伸び方と政府の伸び方との優劣は一がいには言えないのでございますけれども、政府案におきましては、大体原則として十二カ月期間というものを、現在たとえば下級職員ならば許されております職務の級、これは職務の級のくくりということで、現在その中では自由に一定数のくくりの合計の範囲内において各省庁において運営できるということをやっておるのでありますが、それよりさらに例外級というものが現在あるのであります。この例外級というのは、一般職員でありますれば、たとえば八級というものは、上級の一般職員につきましては、その人が特に専門的な仕事に従事しているかどうかというようなことを判定いたしまして、人事院の承認のもとに許される級でございまするが、その例外級までも含めまして、大体十二カ月期間にやってあるということでございますので、この各等級の中だけ見ましても、現在の運営よりはよほど幅が伸びておるのではなかろうか、このようにわれわれ考えております。それからさらに上の等級に進んで参ります際には、これはやはり一応職務と責任によりまして、この役所の業務が運営されますためには、やはり組織段階があるわけでございますから、その組織段階に従って上の等級に進んでいくわけでございますけれども、たとえば非常に専門的な仕事をしておる、部下の数は非常に少いのであるけれども、この職務内容が大体係長と同程度に判定してよろしいというようなものにつきましては、上の等級に進めるということは当然人事院でも考えているところでございます。また上の方に行くおよその目安としまして、先ほど大山室長からオーバー・ラップであるというところを言われたのでありまするが、これは人事院がもしこの俸給表を現実に運営いたしますときにも、その辺が一応の目安になるのではなかろうかと、このように考えております。
  129. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 結局その職務の責任、あるいはその内容、そういうものが問題になってくると思うのです。だれがそれを認めるのか。結局役づきという形の者だけがその職務の責任の度合いというものが高いということは言えないと思うのです。だから高度の仕事をしておる者、専門的な仕事をしておる者、まじめに仕事をしておる者、そういう者は横すべりできるのだという表現を使っておるのじゃないかと思うのですけれども、しかし普通一般はやはり役づきにならない限り昇格できないということに帰するわけじゃないのですか。そこのところを……。
  130. 大山正

    大山政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、いわゆる形式的な職名に必ずしもとらわれるものではない。やはり実質的にその職務内容に応じてきめるべきものだ、かように考えております。
  131. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そういたしますと、職階制というものと切り離して職務給というものが一体実施できるのでございましょうか。それだけの職務の内容についての分析というものは現在なされておらないと私は思う。ただ形式的な役というものは確かにはっきりしております。しかし個々の職務の内容にわたって明確な分析は現在できていないと私は思うのですが、いかがですか。
  132. 淺井清

    ○淺井政府委員 その点、私から一言申し上げさせていただきたいのですが、一体現在の俸給表は、官民を問わず、すべて職務給的になっておるように思っております。これは日本のみならず、世界各国どこでもおよそ職務給的なものを離れて給与体系というものは現在はできていないように思います。しかしながらまた一方給与というものが、これを受ける勤労者の労働の対価であるという点から見まして、生活給的なものを全然切り離しては成り立たないように思っております。職務給的と申しましても、職階制と申しましても、結局はどの程度まで職務給的なものを強め、あるいはどの程度まで生活給的なものを調和するかということに帰するのだろうと思っております。そこでただいま提案されておりまする政府案におきましても、人事院勧告案におきましても、職務給的になっておるということは否定できないのでございます、しかしその職務給的なものの最も完全なるものは職階制でありますが、その段階には至っていないというのが、われわれもまた政府側からの説明であろうと思っております。でございますから、職務給的なものである限り、職務分析はなされておるのでございます。しかしながらこれがいわゆる職階制による職級明細書のごとき程度に至っていないということもこれは事実でございまするから、現在の制度におきましては、職務給的なものであるが、職階給的までは行っていない。従ってもとより職務給的な分類はされておる。これは現在の十五級の職務の級におきましても、一応の職務分析はなされておるのでございます。でございまするから、職務分析をしたからすべて職階制である、職務分析をしなければこれは純然たる生活給的なものである、そういう厳格な区別はないように思っております。
  133. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私は納得できません。もともとこの職階制というものと給与体系というものは別個のものだということは一応わかるのです。これは切り離すことはできないのじゃないかと私は思うのです。特に職務給というものを打ち出してくるからには、生活給とのからみ合せがあろうとなかろうと、職務給的な色彩を持たせようとするからには、私は職階制というものが確立されてこなければ、職務給といえないのじゃないかという感じがするわけなんです。単なる身分給といったようなものにすぎないのじゃないか、そういう気がするので、職務給ではあるけれども、職階制では全然ないのだという大臣答弁は私どうしても納得できない。今室長がおっしゃっておるような職務の内容というものは、必ずしも形式的な、現在の地位というものだけをいうのじゃないとおっしゃいますけれども、明確に職務の分析がなされて、ある程度職階制が確立されておらなければ、勢い形式的な職務だけがこの給与の基礎になってくるのじゃないかと思う。現にこの七等級というものをきめた根源というものは、その職務の分析をなして、その結果七つになったのじゃないと大臣もさっきおっしゃっておる。七つ今ある。次官とか、局長とか、課長とか、課長補佐とか、七つあるから、七つに切ったのだ、こういうお話じゃありませんか。職務分析の結果大体七つに分けるだけのものだというものとは、私はあの答弁からは理解できないのでございますが、大臣、そこのところはどういう意味なんですか。
  134. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 現在やっておる十五級のものはいろいろに分れているのです。しかし七つなのです。十五であるけれども、七つの職務に分れております。それで非常に複雑なのは、一番しまいの方の三級から五級まで、三、四、五が今の七級になっております。それから六、七、八、これは六級になっております。また八の一部から十一の一部まで入れたものが五になっております。それから十から十二になるものが四階級になっております。それから十二、十三が三階級になっております。十四、十五が二であり、それから一等級が十五であるというように、非常に複雑になっておるのです。現在でも十五級が七つに見合ってやられておるのです。それで今いろいろ御指摘になりますが、今までの頭打ちの行き方は、八級以上には初任級の人は上れないようになっているのです。ところが今度のようにいけば、これはもっとその人の能力の範囲内において上っていけるということになるのですから、私は今の方が、頭打ちの問題も、ワク外の方も助かるし、実際の職務に合った等級であるというふうに考えられる。それから職務の生活給につきましても、各等級ともワク外を認めるのですから、それは昇給年限が長いけれども、石橋さん、こういうことも考えてもらいたいのです。かりに第一の行政職です。七級等が五千八百円ですね。これは新制高等学校から入ったんです。それで試験を受けて入る。その次の六は大学ですね。大学及び新制高校を出て、それで入ってからも勉強するでありましょうし、この七級から全然動かれないような成績の人であれば、これはやはり実際それだけの価値しかないと思うのです。あなた方は、この人間の価値のいかんにかかわらず、幾らでも無限に上れるというようにお考えになるのですけれども、やはり一つの人間の価値の——それは試験制度もあり、日々の勤めもあって、それはやはり考えなければならないのじゃないかと思うのです。だから、その能力によって横にもいかれるし、年限もワク外に伸びていくというのですから、前よりも改善されておる、簡素化されておるということが、私は特長だと思っております。
  135. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 大臣の言うことは言うことなりに私にはわかるのです。ところが、ほかの方の言うことと食い違っておりはせぬかということなんです。それでは現在も十五級だけれども七つなんだ、盛んに七つなんだとおっしゃるけれども、その七つは一体何ですか。カラスの子ですか。
  136. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 そうおっしゃるならば申し上げます。今の七つは、第一は次官です。第二は局長、第三は課長、第四は課長補佐、第五は係長、それから初任給と係であります。その七つが今も同じなんです。それを十五で七つを割り振っているのです。その方がかえって複雑だと言っているのです。
  137. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 その七つというのは、あくまでもいわゆる官庁の中における形式的な身分、そうですね。
  138. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 そうです。
  139. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それじゃ私が言っているように、そういうのは職務給でなくて、身分給じゃないかということを申しているんですよ。形式的な職務、それだけで七つあるから、七つにしたのだ、これは私たちの理解では職務給とは言えないと思う。どちらかといえば身分給的な性格が強いんだ、このようにしかとれない。室長は、そうじゃないと言う。そういう一応のワクづけはしたけれども、実際はそれだけにこだわるんじゃない。職務の内容、責任の度合い、いろいろそういうものから基準にしてあるだけで、必ずしもそういう地位には拘束されぬのだ、こういうことをおっしゃっているので、食い違っていると思う。どうなんですか。
  140. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 それは食い違っておらないと思うんです。形式的の、今申しました七つある。しかしまたその人たちと同じような能力を持っておる者は、係長にならなくとも、係長と同様のものを支給するということを室長は言っているわけです。私もそれは同感です。
  141. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私はやはりニュアンスが違うと思う。室長の場合は、あくまでも——人事院のお方もそうですが、職務の内容、責任の度合い、そういった職務分析というものに重点を置かれた区分だろうと思う。あなたの場合は、あくまでもこれは地位ですよ。そうして上に上らぬ者は無能だという言い方なんだ。その言い分では、今度は能率給的な色彩を非常に強く出しているわけです。働け、働け、精出せ、成績を上げろ、そうしたらお前は六級に上げてやるのだ、たまには五級にいくかもしれない。これはだいぶ違いますよ。どうですか総裁、あなた方のおっしゃっていることと、大臣のおっしゃることが同じですか。同じなら同じのように私は話を進めますけれども……。
  142. 淺井清

    ○淺井政府委員 表現が違うんじゃないかと思うんです。次官といいましても局長といいましても、やはりそれは職務と責任を基礎にしなければできないことでありますから、大臣があまり率直に次官、局長と申されるから、そういうことになるんだろうと思う。  それから十五と七ということを大臣が簡単に言われますが、大臣のおっしゃる趣旨は、現在は十五の階段に分れているのだ、しかし実際の運用を見ると、これは大体七つぐらいに運用せられているんじゃないだろうか、つまり、くくってやっているんじゃないか、こういうことだろうと思います。
  143. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 言葉の違いぐらいじゃない。だいぶ認識の違いがあるわけです。それで大臣答弁でありますと、どうしても私は納得いかないわけです。だからさらにお尋ねせなければならぬ。実際にあなたのような考えでいきますならば、何しろ成績を上げろ、試験を受けるかもしれない、そういうことが大前提、そうして任命権者がそれを認めたときには上に上げてやるのだ、こういうことでありますと、あなたは、生活給と職務給とが調和されたものだなどとおっしゃるけれども、生活給的な要素というものは非常に弱くなります。全然ないと言えば極言かもしれませんけれども、あなたがおっしゃっていることとはずいぶん中身が違ってくると思うのですが、その点言葉が足りないのであって、実際は総裁や室長が言う通りだというのなら、私はまたそれなりに理解しますが、どうですか。
  144. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 大体室長や総裁の言う通りでありますけれども、今いろいろおっしゃるのですが、私はやはり一つの役所を運営するなり、行政を担当する者は、それに対する能力をやはり持たなければいかぬと思う。それ自体が非常に悪いことのように言われるのですが、私はそうでないと思う。そうすると、やはり能力を持つことが必要であると思う。
  145. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それじゃ明らかに同じじゃありません。それじゃ室長の場合も、絶対に能力を持って、それは試験という形をとられるのですか、あるいは上級の役につくという形をとられるのですか、何しろそういう形式的なものが伴わなければ、いわゆる昇格ということはあり得ないという、上級の等級にいくことはあり得ないという大臣答弁のように考えますと、あなたが言っておることと違うようですが、どうですか。
  146. 大山正

    大山政府委員 下の等級から上の等級へ参ります、いわゆる従来の昇格、今度はどういう言葉になりますか、昇等とでも申しますか、その基準は結局人事院が定めることになると思うのであります。私が先ほど申し上げましたのは、五等級というのは必ずしも係長という形式的な職名にとらわれる必要はないのではあるまいか。係長と同じ程度の複雑な仕事、あるいは責任のある仕事につく場合には、これは五等級と格づけしてもいいのではあるまいか。その場合大臣が言われますのは、五等級につく場合、能力ある者でなければつかないだろうから、結局能力ある者がそういう職務を行う場合五等級になる、格づけされることがあるというように考えるのでありまして、その場合に五等級が必ず係長という形式的な職名である必要はない、かように考える次第であります。
  147. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 人事院の方も、大体今室長が言ったような形で運用していくということですか。
  148. 淺井清

    ○淺井政府委員 大体そうでありますけれども、人事院といたしまして、これは研究職のような場合をとってみれば一番よくわかるのであります。研究所には所長もあり部長もありましょうし、また単なる研究員で非常にえらい人もある。そういう人は部長にならなくても、所長にならなくても、それは上の等級に格づけして、それに対応する給与をあげる、こういう考え運用するように準備はいたしております。
  149. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうしますと、大臣お尋ねしますが、私は今お二人がお答えになったようなことも了解したいと思うのですけれども、もちろんこの級別定数、今度は等級別定数ですか、そういうものが定められると思うのです。しかし意識的にこの定数の面で制約を大きく加えていくというようなことはやらない。十五級区分のときも、今度の七等級区分に当っても、運用面ではほとんど変らないのだということは確認していいわけですか。
  150. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 今ここで審議しております表ができましたら、この運用はやはり運用の責任者である人事院がおやりになりますし、また人事院と行政面との間には、いろいろ実態に対する話し合いはされるだろうと思いますけれども、最後的な決定は人事院運用にまかせるべきものであろうと思います。
  151. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 もちろんそれはわかるのです。しかし政府側の考え方として、あなたがおっしゃっておることが事実ならば、必ずしも形式的な地位、身分、そういうものにはこだわらないのだということであるならば、依然として係長が五級職の者も、四級職の者も、ある場合口には三級職の者もいるという形が出てくると思うのです。そういうことじゃないですか。
  152. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 今の問題は技術的な問題ですから、室長から……。
  153. 大山正

    大山政府委員 法律の六条の三項に「職員の職務は、その複雑、困難及び責任の度に基きこれを俸給表に定める職務の等級に分数するものとし、その分類の基準となるべき標準的な職務の内容は、人事院が定める。」ということになっておりますので、その標準的な職務内容というものは人事院が定める。その場合に、すでに意見の申し出で人事院が提示しておられます案といたしましては、やはりいろいろこれらに準ずる職務というような表現をもちまして、かなり幅の広いきめ方をしておられると思いますので、私といたしましては、単に形式的な職名によらずに、いろいろ実質的に職務の内容を判断されるのではあるまいかと、かように考えております。
  154. 横路節雄

    ○横路委員 関連して。今のお話をお聞きしておりまして、等級の格づけは人事院がやる、それから形式的な職名にとらわれないで実質的な職務に基いて格づけをやる、こういうことで、法律を見ると、こうなっておりますね。「職員の職務の等級は、前項の職員の職務の等級ごとの定数の範囲内で、」これはまさか人事院がやられるのじゃないでしょうね。この定数の範囲、その範囲内で人事院の定める基準に従って決定する、その職員の職務の等級ごとに定める定数というのは、何を基準にしてやるのですか。それは人事院がやる、人事院がやるんだが、それは形式的な職名にとらわれない。しかし形式的な職名にはとらわれないが、一定の定数がある。これが私は非常に問題だと思う。この問題を、やはりここで一等級から七等級までの論議をしているこの根底は、このことがあいまいであっては、私はやはり十五級の格づけから七等級に格づけをしたその趣旨が明確にならなければだめだと思う。これは一体、その定数の範囲は予算の措置でしょう。まさか人事院が予算を考えないで勝手に定数をきめるわけにはいかぬ。各省ごとに定数は予算できめる。しかし準則は人事院の定める基準ではあるけれども、それは違ってくるのじゃないか、その場合に必ずしも人事院通りにもならない点もあるでしょう。そうすると一体形式的な職名にとらわれないというが、一体どこでそれを算定するか、その算定は、結局人事院では一応の基準ではあるだろうが、各省でやるわけでしょう。そうじゃないですか。だから一番の問題は、たとえば七等級、六等級、五等級という問題に、この前労働大臣は石橋君の質問に対して予算委員会で、七日の日ですか、七等級から六等級に、六等級から五等級に、自動的に動けるような話をしている。定数のワクがあるからそんなことはできないのでしょう。それはどうなんです。大山さんでいいのです。
  155. 大山正

    大山政府委員 ただいまの等級別定数は、人事院が定めることになるわけでございまして、その等級別定数の範囲内で、また人事院がきめる基準に従って各省において具体的にきめるということになると解するのでございます。大臣が従前、上の等級に上り得るということを答弁されましたのは、自動的にいくというわけではもちろんないと考えるのでありまして、ただいま申しましたような等級別定数の範囲内で、かつ人事院がきめる基準に従って上の等級にいき得るというように考えております。
  156. 淺井清

    ○淺井政府委員 私から補足いたしますが、この等級ごとの定数は、これは人事院が定めることになっております。おそらく人事院指令で定めるのじゃないかと思っておりますが、現在でもこれは人事院で定めておる。つまり十五の各級に級別定数というものがございまして、これは人事院で定めることになっております。ただし、これは予算との見合いがあることはもちろんでございまするから、人事院が大蔵省と折衝いたしましてやっておるのでございますが、従来は交渉は円滑にいっておると考えております。
  157. 横路節雄

    ○横路委員 もう一つ、私も自分の順番でやりますが、そうすると七等級から六等級に移る、六等級から五等級に移るということは、定数の範囲があるのじゃないか、それで欠けてこなければ七等級から六等級には移れない。従って、それは先ほどお話の七等級なら七等級のワク外の昇級ということになるのであって、一生懸命努力しても、その定数のワクが一ぱいになっていれば、七等から六等に移れない、六等から五等には移れない。やはりワク外の昇級しかできないということになって、横に七等から六等、六等から五等に動けるという根拠はどういうところにあるのですか。
  158. 大山正

    大山政府委員 各等級の等級別定数が非常に不合理なと申しますか、実情に合わない形になっておりますれば、お話のようなことになろうかと思いますが、やはり実際に各省の実情を見まして、人事院で定められることになると思いますので、たとえば七等級の係員が相当熟練いたしまして六等級程度の仕事をするようになるということでありますれば、やはり定数の方を若干また動かすという運用も必要になるのではあるまいか、かように考えます。
  159. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると今のお話で、定数の範囲というものは、そういう意味では毎年動くわけですね。たとえばことしは、ある省の六等級はかりに千人いた、それが翌年は千二百になる、あるいは千三百になる、こういうふうに働けるということの意味ですか。そう動いてこなければ、これはやはり等級の格づけですから、もとの言葉でいえば昇格ということになる。そういう工合に定数が動くのですね。今のお話では、今年は千人であったが、来年は千二百になる、また翌年は千三百になる、だから上っていける。それが今年も千人だ、来年も千人だ、さ来年も千人だ、こういうことになっていれば、これはなかなか動けないわけですね。毎年定数は動く、そう了解していいのですね。
  160. 大山正

    大山政府委員 等級別定数は、結局人事院できめることになるわけでございますが、その場合に、各般の実情を見まして、ある程度の改定ということは当然考えられると思いますが、ただ機械的に人数がふえたから動くというわけのものではないと思うのでありますが、やはり一定の基準に従いまして、人事院では改定する余地がある、かように考えております。
  161. 横路節雄

    ○横路委員 もう一つだけ関連して伺います。先ほど大臣は、ワク外昇給を認めているというのですが、このワク外昇給の場合には無制限ではないのでしょう。この前何か三年ぐらいたてば、ワク外昇給は認める。最高限にいった場合、ワク外昇給は制限があるのですかないのですか。年数がくれば自動的に上るのですか。その点はどうです。
  162. 大山正

    大山政府委員 ワク外昇給は三年、三十六カ月ということにいたしておりますが、これは普通の定期昇給と同じ考え方でございまして三十六カ月以上を良好な成績で勤務すれば、上げ得るということでございまして、さらにそれを何回までよろしいかという制限は別にございません。
  163. 横路節雄

    ○横路委員 今のお話の上げ得るということは、上げることができるということですな。三年たてば上るということではないですね。
  164. 大山正

    大山政府委員 定期昇給は、すべて上げることができるということになっておりまして、十二カ月なら十二カ月がくれば、必ず上るというものではございません。
  165. 横路節雄

    ○横路委員 しかし、一般の職員昇給期間は、そういうようになっていましても、普通は特別に長期にわたって病欠だとか、特殊な事情がなければ、勤務状態が普通の状態であれば、それはみんな上るわけですが、そのワク外昇給の場合には、一般の昇給限度とは、どこか違いがあるのですか、同じなんですか。
  166. 大山正

    大山政府委員 法律建前といたしましては、一応ワク内の場合と若干違う表現になっておりますが、実際の運用におきましては、大体同じように運用されていると思いますし、今後も同じ運用ではあるまいかと、かように考えております。
  167. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 七等級の区分の問題について、必ずしも形式的な身分、地位にこだわるものじゃないと、こうおっしゃるわけです。一応職務の等級別代表官職一覧表にも出ておるこういう役つきであれば、比較的わかりがいいわけなんですが、確かに一般論として、高級の役の方が、責任の度合あるいは仕事の複雑、困難さという面で、高度のものであるということはいえると思いますが、必ずしもそうではないわけですね。それは職務分析というものが明確になされておらなければならないのであって、あなたは、そういう役には必ずしもこだわらないのだとおっしゃるけれども、しからば、こだわらないで従来の昇格というものが行われるためには、何らかの形のものが行われなくちゃならぬ。職務分析がきれいにできておれば、そういう仕事をしておる者には昇格の道があるということがいえますけれども、現在職階制も行われておらない、職務の分析というものも完全になされておらないという段階では、だれかの個人的な判断によってこれが左右されるということになってきませんか。客観的に、だれが見ても、この職務は複雑困難な作業だ、責任の度合も相当重いというふうに、納得のいくものができておらないのですから、だれかの主観によって左右されるということになって参りませんか。
  168. 大山正

    大山政府委員 人事院が定めます標準的な職務内容によりまして、結局、任命権者と申しますか、人事権者が、それを定めるということになると思います。
  169. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは人事院お尋ねする以外ないわけですけれども、人事院では、当初公務員法制定されたときにも、職務記述書というものを出して、各公務員に書かせたのでございますけれども、その結果は、必ずしも科学的なものとはいえなかったというふうに私は理解しておる。というのは、現在の日本の公務員が行なっておる仕事というものは、そんなにきれいに割り切れるものじゃないということですね。だから職階制の確立もおくれておるんだと、私どもは考えておるわけなんです。一体自分の仕事というものがどういうものなのか、この職務記述書を書くときにも、実際に自分がやっておる仕事を書いた者もおるし、法令その他で自分の仕事として命じられておるもの、与えられておるものを書いた者もおる。こういう話だったと思う。なお、当時の国立世論調査所でやった人事行政に関する世論調査というものを見ましても、どうしてもこの複雑さが言葉で書き表わせぬというような回答をした者が二九%ある。技術的な細部が書けぬという回答をした者が二二%、責任の大きさが書けぬという者が一三%、職務内容が常に変る、こういう答をした者が九%ある。こういう統計が出ております。これは対象人員は大体千五百七十四名、回収されたものが千五百六十名、ほとんど九九%の回収率ですけれども、この統計によっても、日本のいわゆる公務員諸君がやっておる職務の内容というのは、どうしても言葉では書き表わせぬ複雑さを持っておるようです。この合理的な分類ができないところに、いつまでたっても職階制の確立しない原因もあると思う。そういう状勢下にあって、職務給だ職務給だと言ったとて、ほんとうに仕事の内容、いわゆる複雑困難さ、責任の度合いというものによって上にいくのだとか、そのままおるんだとか言ってみたところで、万人が納得いくような科学的な分析ができておらないのですから、どうしたって特定の人物の主観によってそれが左右されてくる。そういうふうにしか私どもは理解できない。その点、人事院は自信を持って、今室長が言われたような形で運用できるという自信がございますか。
  170. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま石橋委員の御指摘になりましたように、いわゆるほんとうの意味の職階制なるものは、終戦後導入されたものでございまして、このことにつきましては、それをやっていこうといたしまする人事院といたしましても、未熟な点があったでありましょうし、また、この職務記述書の記入に当ります職員側におきましても、いろいろなれない問題等もあったと思います。従いまして、この職階制の確立ということは、非常に困難な作業を伴ったわけでございます。当初人事院考えましたように職種を非常に細分する、職級を細分するというような作業をやりましたときには、先ほどお示しになりました国立世論調査所の世論調査というものがいつごろのものでありますか、おそらくこれは初期のものであろうと思うのでありますが、やはり細部にわたって職務の規律ということは困難であろうというような面はあったでありましょう。しかしながらその後におきまして人事院は何回かこの職階分類につきまして検討をいたしまして、これをあまりに細部に分けることは日本の現状にも適応いたしませんし、またその記述等も困難でございまするのでこれを統合いたしまして、現在の段階におきましては非常に簡素なものにいたしておるのであります。しかしながら簡素なものとはいいながらやはり職務と責任の観点からこれを考察いたしまして分類をやるということはいたしております。しかしここで申し上げておかなければならぬことは、その職階制を現在人事院が試案としては持っておりますけれども、これを直ちに発動させようということをいたしておるのではないのであります。ただわれわれが現行給与法運営におきましても、これはやはり上五の職務の級ということが基本になっておりまして、あくまでねらいは職務給的でございます。従いましてこの給与法運営に当りましては、やはりそういう人事院がいろいろ研究いたしておりますることを十分なる参考としてこれを運営しておるという実情はございます。先ほど大山室長が言われました形式的な職務にはとらわれないということでございますが、これを非常に広い幅でお読みになって、お受け取りになると、これは多少問題があろうかと思うのでありますが、われわれは現在の研究の結果におきましてそれは各省でそれぞれ係長とかという名称を使って相当幅の違うことをやっておりまするけれども、これは現に人事院現行十五の職務の分類におきまして職務の級におきまして、級別定数というものを設定いたしておりまするが、その際にはやはり係長といっておろうがおるまいが、ほんとうにその仕事に適応するというようなところを見当をつけまして、そうしてこの係長と申しまするか、それに相当いたしまする定数を与えるということをやっておるのであります。現在の運営におきましてもそのようなことをやっておるのでありましてこの制度改正されまして七つの段階になって参りますると、やはり現行級別定数のきめ方とほぼ同様のことをやっていくことになる。これは厳格な意味の職階制ではございません。現行給与法における級別定数のきめ方と大体同様の考え方で等級別定数ということをきめていくことになる。その際には係長の定数と係長の現実にある数というもの以外に、その省庁あるいは部局におきまして現に部下の統率の数は少いのであるけれども、その職務内容等が係長に相当する職務と責任であるというふうに人事院が認めまするものにつきましては、これを認めていくというやり方を今後もとることになると思うのであります。従いましてその意味におきまして、先ほど大山室長の言われましたことは、大体人事院としてもそのようにやるつもりであります。
  171. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そういうことになりますと、だいぶん当初われわれが考えていたものとは違ってくるわけですが、果して運用面でそういうことができるものだろうかという不安というものはまだ完全に解消をされておりません。というのは職務分析がそこまで人事院で把握されているのだろうかという疑問なんです。たとえばAという人が現在やっている仕事、その仕事の責任の度合い、あるいは複雑さ、困難さというものは当然に係長という職についているものと同様であるという格づけが現在はっきりなされておる。それでたとえばこのAという人が正規の係長に昇格してなった。そのあとBがAの職を襲ったという場合に、しからば自動的に係長、五等級の格づけを受けることになる、はっきりそれが断言できますか。
  172. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 現在の給与法運営におきましても級別定数の範囲内でやっておるのでございます。従いまして今後の運営におきましても、それと大同小異のことが行われるのでありまして、今御指摘になりました例のごときは現行給与法におきましてもやっておらないことでございますので、私が先ほど申し上げましたのは、現在の給与法運営におけると大同小異のことになるだろう、このようなことを申し上げたのであります。
  173. 横路節雄

    ○横路委員 今のは非常に私重大だと思って聞いておったのです。それはどうしてかというと、今あなたは十五級の場合の級の格づけと、たとえば係長を例にとられて大同小異だろうとおっしゃった。係長については人事院基準でやっても大体大同小異だろう、これは私も今委員部の方に、大蔵省、文部省、労働省で一級から十五級までの昭和三十二年の推定級別定数は一体どういうようにしているか、資料を出してもらうことにしましたが、それを出してもらえば、たとえば大蔵省の何々課では実際には係長はきまっている。私ら行ってみても係長と係長でないものはきまっている、別なのですが、しかしあなたの今のお話のような、係長でなくても、ある一定の責任を持ってやっているものは係長というように考えている。そういうように十五級に分けたときの係長の職務及びそれに準ずるものと、この七等級に分けた場合と大体同じだということになれば、何で十五を七つに分けるのですか。同じじゃないのですか。そうすれば課長についても同じ考えでいくのでしょう。課長補佐についても同じ考えでいく。どこが違ってくるのですか。今あなたが係長を言ったから私は係長だけを聞くのですがね。大体前と同じだということになれば、どこが違っているのですか。
  174. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 たびたび申し上げておるのでありますが、現在の級別定数というものは御指摘のように各職務の級によってきまっておるわけでございます。ところが、これはすでに申し上げておりますけれども、級のくくりという運営を現在やっております。級のくくりという運営は、たとえばある職務につきまして、五級が何人、六級が何人、七級が何人というような級別定数が与えてあります場合、その合計の範囲内におきまして、たとえば六級のそのままの定数は足りなくても六級にするというようなことはやっておるのであります。そういう意味におきまして、現在におきましても係長なりあるいは課長補佐ということで一まとめにいたしまして級のくくりということをやっておるのであります。そのほかにまた例外級というようなものも認めておるのであります。そういうふうになって参りますと、同じ職務をやっておりましても、たとえばごく級が低くて係長になっておる人と、それから相当年次がたった人とを比較いたしてみました場合に、あとの方の場合が非常に昇給金額が大きいというようなことになる、このようなことがあるわけでございます。それで今回の人事院勧告におきましては、同じ職務をやっておる間は大体昇給金額というものを平均化したらどうであるか、むしろ各国の俸給表の例に見ましてもそういう例が多いのでありますが、しり上りに一つの同じ職務をやっておる間に差が大きくなるということよりも、同じ職務をやっておる間は大体平均化する。それで現在の級号別の分布というものがございますが、それをカバーし得る程度俸給表を作っていく、さらに余裕を持って多少昇給金額の落ちる幅を作っていくというようなことによりまして、やる方がより合理的である、このことは人事院報告並びに勧告の際に報告書に十分に書いておるところでございます。
  175. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると十五級の級別のときと七等級の場合とは、職務の内容についての基準というものは前とは変りがないということですね。そのことだけは確認しておいていいですね。職務の内容についての、たとえば係長なら係長という実際の名称も与えられていないが、しかし係長と呼ばれる職務の内容というものは、従来十五級の級の格づけのときにやったその係長という職務の内容と、七等級というものに分けた場合でも同じだ、あなたは今そう言ったから、そういうふうに確認しておいていいですか。
  176. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまのお話の中で係長という言葉を特におっしゃったのでありますが、各省で用いておる名称と、われわれの方で係長ということで紋別定数を与えますものには若干の差等があるわけでございます。われわれの方で現在係長として定数を与えておる範囲については、現地の制度においても新制度においてもあまり違いはないだろうと考えます。
  177. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 先ほどの私の質問に対して、現在でもそういうことは行われていないから、今後もやらないという局長お話でございますが、そうすると、何をもって職務給と言っているのか、これは職務給じゃないじゃないかと言いたくなるわけなんです。五等級になれば係長になるということははっきりしている。しかし係長というのは私が言う職務給よりも、どちらかといえば形式的な地位にすぎない。その他特別のワクとして高度な、あるいは複雑困難な仕事、責任の度合いの高い仕事をする者は、係長にならなくても五等級にするとおっしゃるけれども、その五等級に相当する、いわゆる係長に相当する職務というものがあるのじゃなくて、結局ある人が、人が三時間働くところを五時間働いた、たまたまむずかしい仕事もすることがあるから、あれは見どころがあるとかそういうことで五等級にいくのであって、五等級に相当する職務というものがあって、そこに人間がいったら自動的に五等級になるというのではない、厳格な意味での職務給じゃないのじゃないですか。
  178. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまのお話でございますが、先ほども申し上げたように、人事院においては現在発動はいたしておりませんけれども、職階の研究はいたしておるのであります。これを直ちに今回やろうというわけではございませんけれども、現在の給与法運営においてもそうでありますが、また改正給与法がもし通りますならば、その暁においてもやはりそれを十分参考にしてやるのであります。その際に等級別定数を設定するということが最初になります。そして給与法全体が予算の範囲内において行われるのでありますから、この等級別定数が予算の制約を受けることは当りまえであります。しかしながらこれはわれわれは大蔵省と十分話し合いをいたしまして、現実にそれだけの定数を確保する努力を従来もやってき、今後もやっていくつもりでありますが、その定数にあきがありますときに上の等級に昇進する、これは原則であります。ただ等級別定数の範囲をきめます際には、その組織上のポジションということだけにとらわれませんで、やはり職務と責任の段階でそれ相当の者はこれを定数の中に見ておくということをいたすのであります。そういう意味においてやはり上り得ると考えております。
  179. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 私が言っているのは、先ほど例をあげたように、Aという職務、これは係長という役はついておらぬけれども、当然五等級に入るべき職務内容を持っているということが客観的に科学的に裏づけられておって、このAという仕事をする限り、そこにいった人は機械的に五等級に入るということで、初めて職務給と言えるのじゃないかという疑問を提出しているわけなんです。係長じゃなくてもその仕事の内容が明確に五等級に相当する職務内容を持っているということがはっきり出されておって、そこにいけばだれでも五等級になるというのが職務給じゃないか、こう言っているのですが、いかがですか。
  180. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 それに近いことを私も申し上げているわけであります。
  181. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そうしますと、そういう内容というものは全部人事院では把握できている。だから級別定数もその上に立って定められているというふうに理解していいわけですか。
  182. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 完全な職階制でありますれば、たとえば職級明細書というようなものでその点を明確にいたすのでございます。しかしながら現在は完全な職階制をやる予定になっておりません。従いまして等級別定数というようなものをきめます際には、個々に人事院が判別いたすということになる場合があろうと思います。
  183. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 非常に明快になって参りました。そうなんです。結局職階制が確立されて職務給というものが完全に実現できるのだという意味で私は言っているわけなんです。現在職階制というものは確立されていない、それなのに職務給々々々というところに非常に矛盾がある。こういう考えの上に立って私は今御質問申し上げておったが、やはりそういう結論になったと思う。だからそういう場合はもちろん職務給的な色彩は持っています。しかし純然たる職務給ということは言えないのではないか、どちらかといえば、職務給というよりも、身分給あるいは人に対する給与という色彩が加わってくる場合の方が多いのではないかという懸念があるわけです。それで大臣が、職階制ではないけれども、職務給だと言い切るところに私は疑問を持っている。ほんとうの職務給というものはあくまでも職階制が確立された場合に初めてできるのだ、しかし残念ながら——残念ながらか幸いか知りませんが、日本の場合には、公務員制度の中に職階制というものが完全に確立されておらない。そこへ持ってきて職務給職務給といって力んでみたところで、非常に矛盾したものしか出てこないという結論に持っていくためにいろいろお尋ねしておったわけです。この点は今後も十分話をしていきたいと思うので、何もあわてて七等級に縮める必要もないと考えているわけです。  それに関連してお尋ねするのですが、たとえば税務職の場合、勧告では六等級になっておったと思うのですが、政府案ではこれを七等級にいたしております。この食い違いは一体どこから出てきているのか、どちらからでもよろしゅうございますが、お答え願いたい。
  184. 大山正

    大山政府委員 税務職俸給表に一等級を加えましたのは、税務に関する首席監督官、あるいは首席監察官という方々が、現存一般俸給表の適用を受けるということに相なっているのでありますが、やはり税務の指導監督その他で密接な関係がございますので、むしろ税務職俸給表の適用を受けることが適当である、かように考えて一等級を新設いたしたのであります。
  185. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 その点人事院考え方を伺いたい。
  186. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院はすべて水準差のありまする俸給表を俗に裸にいたしまして、水準差だけ別に調整額として取り扱うという考え方に立ったのでありますが、政府側はその考え方をおとりにならないで、水準差はやはり込めて俸給表考えていくという考え方に立っておられます。それからもう一つは、俸給表適用範囲を人事院と変えておられるのであります。ただいま室長からお話がございましたように、首席監督官、首席監察官というようなものを、この税務職俸給表の適用範囲に入れるということをされているのであります。なぜ人事院はこれをしなかったかと申しますると、これは従来一般俸給表の適用を受けておったのでございますから、あらためてそこまで入れるということはいかがなものであろうかというのでしなかった、ただ政府側はそれを入れてお作りになるということで違いが起きて参ったわけでございます。しかし実際の運営におきましては、両者それほど径庭のある運営にはならないであろうというふうに思っております。
  187. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そのほかにも等級別区分には相当人事院勧告と食い違いが出てきている面もございますが、これは別の機会にお尋ねすることにいたします。  それでは大臣お急ぎのようでございますから、中心になる問題から先にお尋ねをしたいと思うのですが、先日から三公社現業職員の諸君と一般職の公務員の諸君の給与との関連性というものについて盛んに質問がなされておりますが、この点お答えが非常に不明確のような気がするわけです。人事院総裁お尋ねいたしたいわけでございますけれども、三公社現業職員の諸君というものは、かつて一般職職員給与に関する法律の適用を受けておった、それだけに非常に関連性が深いのだということを言われるかと思うと、片一方では、しかしながらこれらの諸君の給与というものとの均衡をはかるというよりも、どちらかというと民間の給与というものを、この一般職職員給与を定める場合によけい勘案しなければならないような御発言が、再々行われておるようでございますが、一体そのウエートはどちらに、よけいかかるのでございましょうか。
  188. 淺井清

    ○淺井政府委員 それは公務員法の規定から申しましても、やはり民間給与ということが主になって参ろうかと思っております。それは公務員法の規定によりまして人事院給与の決定、つまり勧告等をいたしまする場合には、第一に法文の上にあげられておるものは民間賃金でございます。第二が生計費、それから三公社現業等は公務員法に直接現われておりませんで、その他の要素というようなことになっておりますので、人事院としてはどうしても民間の給与を第一にせざるを得ないのでございますけれども、しかしそれかといってまた逆に国鉄法の二十八条その他から見て、給与のある程度均衡ということは問題にしなければならぬと思っております。
  189. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 法文上の羅列の順序からいけばそういうことも言えるかと思いますけれども、しかし実際に、かつて同じ給与を受けておった仲間であるということからいえば、私は三公社現業職員の諸君の給与というものはやはり最も大きく影響を持ってきてしかるべきじゃないかと思うのです。現に人事院勧告でも、特別手当の支給については、これは五現業職員及び三公社職員との給与均衡をはかるためと書いてある。別に民間のことは御指摘になっておりません。特に三公社現業職員との給与均衡をはかるために〇・一五の年度末手当を新設しようという勧告をなさっておる面からいっても、私はこれに相当の重きを置いておると考えるわけですが、この面との関連性はどうですか。
  190. 淺井清

    ○淺井政府委員 それはお説の通りでありましてその〇・一五についてはお説の通り理由によって勧告いたしました。しかしここのところは、結局議論の分れるところになると思うのでありますけれども、人事院といたしましては、第一には民間の賃金のことを考えておる、しかしそれがために三公社現業給与との均衡を決して忘れてはいない、こういうことでございます。
  191. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そういたしますと、御承知の通り、今回この現業の諸君には調停案が明示されまして大体千三百円、まあ専売あたり千百円となっておりますが、調停が示されておる。これは仲裁にかかりまして仲裁も同様な線が出てくるのじゃないかと私は思いますが、その結果については政府もまた大いに尊重するということを、総理以下担当大臣も述べておられる。当然これが実現される時期が早晩来るのじゃないかと思うわけでございますが、その際一体どうしたらいいのか。私は現在そういう立場にある政府が、今度の改正に当って十分に考慮しなくちゃならないと思うのでございますけれども、人事院立場としてはどういうことになるわけですか。
  192. 淺井清

    ○淺井政府委員 今回の調停案が仲裁案としてかりに実現をいたしたとしました場合に、三公社現業の間にどのような不均衡が生ずるか、あるいは不均衡が生じていないのかということは、これはむずかしい比較の問題だろうと思いますが 人事院といたしましてはそれは十分研究いたしたいと思います。
  193. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 明らかに現在も人事院勧告に認めておる通り——この勧告がなされた当時は、三公社現業の諸君の方がはるかに一般職の公務員よりも上回った給与をもらっておった。そこへ持ってきてさらにこの千二百円というものが出て参りますと、また開きというものは大きくなってくると思う。片一方民間給与のこの一年間の推移というものも相当上昇しておるということを、総裁も前の私の質問に対してお認めになっておられましたが、この面の大体の数字というものが出ておればお知らせ願いたいと思います。予算委員会で、あとで調べて責任のあるお答えをしたいというお話でございましたので、その点も御説明を願いたいと思います。
  194. 淺井清

    ○淺井政府委員 最後の方からお答えいたしますが、それはまだ出ていないのでございます。これはやがて七月十六日に人事院給与勧告をいたしますときに明確に示したい、かように考えております。というのは、人事院といたしましては、人事院独自の方式で民間給与を研究いたしております。すでにその手続もいたしておりますので、今日これがどんな結果になって現われるかはわからないのであります。  それから最初の問題になりますが、その点は今日この席上で何とも申し上げかねますが、人事院といたしましては、すでに予算委員会以来この席上においてもお答えいたしましたように、三公社現業一般職公務員給与との間にはある程度均衡は必要だという考えには変りございません。
  195. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 大臣もお聞きになったと思いますが、そういう関係にある三公社現業職員の諸君が、さらに一般職職員との間に不均衡を拡大するような措置が行われるかもしれないわけです。それについて人事院は当然措置をとることと思いますが、その際は十分にまたそれに従う意思があるか。今度はえらく人事院勧告を尊重したと再三おっしゃっておられましたが、今後においても確実に尊重される考えか、その点大臣からお答え願いたいと思います。
  196. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 三公社現業と官公労との間の給与の差については、人事院勧告人事院がお示しになりましたように、多少上回っておるということははっきりいたしておりますが、それでは幾ら違うかということの見当については、現在紛争中でありまして、これが仲裁裁定が発表されない前にここにいろいろ憶測を申し上げることは差し控えたいのでありますが、私どもは三公社現業の方々に声明いたしましたように、仲裁裁定が行われましたならば誠意を持ってこれを尊重するという建前政府はとっておりますので、どういう数字が現われますか知りませんけれども、これは誠意を持って尊重する。その場合にさらに従来よりも格差のはなはだしくなったというような場合、あるいは民間給与との間において官公労の方が低くなったというような場合には、将来とも人事院がさらにいろいろと御調査の上に政府勧告されることと思いますから、それは尊重いたしたいと思っております。
  197. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 大臣は何かお急ぎのようですから、私も急いで質問いたします。内閣委員会人事院勧告を尊重して給与改善の措置をはかるべきだという決議をしておるのでございますが、にもかかわらず四月一日、来年度を実施の期日としておる。この点で私は予算委員会で不満を申し上げたら、大臣は新らしい給与体系にするためには新年度からやった方が都合がいいのだ、こういう答えをなさっておられるのでございますが、これではちょっと納得するわけに参りません。何も新しい給与体系をやるからといって、四月一日でなくちゃならぬという理由にはならぬわけです。それこそ一月一日からでも条件は全く同じです。一日も早く不均衡是正してやろうという誠意さえ政府にあれば、何も新しい給与体系だから四月でなくちゃならぬという理由はないと思うのですが、そこのところをもう少し公務員の諸君にも納得のいくようにお話しはできぬものでしょうか。
  198. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 人事院勧告されまして直ちに行うことがほんとうでありますが、年末の〇・一五はそのときの給与を出すものでありまして——今度の改訂は先ほど来いろいろ議論がありますように、根本的な改正でありますから、これを新年度からやることが最も適当だと考えたのであります。またこれをさかのぼって実施するということになりますれば、非常に複雑なことになりまして、人事異動その他に対しましてもいろいろな関係が生じて参りますから、政府といたしましては四月一日からこれを実施することが適当であると思っている次第でございます。
  199. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 四月一日からもし実施することになってもさかのぼらなければならぬのかもしれぬのですよ。何もさかのぼらなくて実施できるという保証は今のところないわけで、これからの審議いかんにかかっているわけです。それも私は大した理由にはならないと思うのです。四月一日より実施するということを定めた根拠はそれ以外にはないわけですか。あくまで政府の便宜主義ですか。さかのぼると事務上どうのこうのとか、新しい給与体系だから四月の方がよさそうだというような政府の一方的な便宜主義に基いて公務員諸君が不利益をこうむることになるわけですか。
  200. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 先ほど答弁いたしましたように、やはり根本的の改正でありますから、私どもは四月一日からやることが適当であるということで、予算にもそのように計上いたしておる次第であります。
  201. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 どうも納得できません。しかし時間がないということでしたら、しようがありませんからさらに次の質問をいたします。  これもこの間私がお尋ねしたが明確な答弁がない。今年度に比して明年度は六・二%結果的に上昇するということはわかるのですが、四月一日に切りかえられたときに、一体公務員の諸君は平均幾ら上るのか、そこのところの明確な御答弁をいただきたいと思います。
  202. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 それは数字的な問題ですから、大山さんから御答弁いたします。
  203. 横路節雄

    ○横路委員 大臣お急ぎのようですからその前に伺っておきますが、それは地方公務員の関係なんです。これはもちろん国家公務員に関する俸給表ですが、あとで自治庁ではこれに準拠するわけですから、一般行政職のどちらを地方公務員は使うんですか。二つあるんだがどちらを使うのか、これは非常に大事な問題だから、大臣から……。
  204. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 今の地方というのは、知事その他地方自治体の問題ですね。
  205. 横路節雄

    ○横路委員 そうです。
  206. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 それはその自治体の意向によってきめるものであるから、その自治体にまかすべきものであると思いますが、大体下の方の表でしょうね。しかし地方がきめることでありますから、もちろんこれによっていくのだろうと思うのですが、地方の意思によるものであると思います。
  207. 横路節雄

    ○横路委員 これは実は非常に大事なんです。大臣からはどちらでもいいような話だ、そうだろうと思う。しかしどちらでもいいということになると、あるところでは別表一のイの方を使い、あるところではロを使うことになって、これでは人事交流ができないんです。今だって部長、課長は各県やっているんですよ。人事院総裁はどういうふうに考えていますか。
  208. 淺井清

    ○淺井政府委員 人事院はその点については考えがないのであります。人事院は二分しておりません、一本でありますので、そういう御質問には……。
  209. 横路節雄

    ○横路委員 それじゃ大山さん、国家公務員俸給が一般行政職については二つに分けられておりますが、地方公務員についてはどちらを採用してもいいのですか。これはもちろん地方公共団体の条例で定めるのですが、どちらでやってもいいのですか。
  210. 大山正

    大山政府委員 さように考えております。
  211. 横路節雄

    ○横路委員 その次に大臣お尋ねしたいのですが、そうするとこれには研究職があります、医療職もあるし、技能職もある。実際町役場になると百人か二百人しかいない、それを行政職、技能職、医療職と分けたら、人事の交流ができないわけですね。特別な職務のものは別ですが、人事の交流をしなければならないところもあります。今の論でいくと国家公務員はこういうように分けたが、地方公務員についてはその実態からいって別に分けないで、これまた一般行政職一本でいってもいい、それは地方公共団体の独自の立場でいいのですね。
  212. 大山正

    大山政府委員 それは地方できめることで、私どものところでどちらがいいとか悪いとかいう問題ではないように考えております。
  213. 横路節雄

    ○横路委員 これは非常に大事な問題です。大臣、いいですね、地方公共団体が一本でやらうと何でやろうといいですね。
  214. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 今御指摘になったのは非常に重要な問題ですが、その自治体なりが条例を作るときに、やはり合理的に考えられることが適当じゃないかと思うのです。どれを使うというようなことは今考えていないものですから、条例を作られるときに合理的に考えられることが私は適当ではないかと思うのです。
  215. 横路節雄

    ○横路委員 あなたの方で全くその通りであればいい。あなたの方で、これは全く地方公共団体の独自の立場で、条例でやればいいのだ、こうなってればいいのですよ。しかしあとで、ちょっと横からどうもそいつはうまくないじゃないかとこう押されれば地方公共団体は困るのです。市役所あたりでは千か二千しかいない。そうするとこうこまかく細分をされたら人事交流はできないから、これは全く別に——もちろん人事院としては介入しないでしょうし、労働大臣としては別に関与しませんね、これはいいですね。
  216. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 地方自治体の条例に対してくちばしをいれることは適当でないと思いますから、自治体の自由意思によって決定してもらうことになると思うのです。
  217. 横路節雄

    ○横路委員 人事院総裁も、地方自治体でおやりになることについてはもちろんああだこうだと意見はないでしょうが、何かのときに同じ自治庁から意見を求められると思う。今これはなかなか問題なんです。地方公共団体が分けてやるのか一本でやるのか、しかもイをとるのかロをとるのか、こういうことは、やがては自治庁では一つの準則を出しますよ。必ず出します。自治庁がほっておくわけではないのですから、必ず人事院基準に関して準則が出てくる——別にそういうことはしませんね。
  218. 淺井清

    ○淺井政府委員 人事院としてはもちうんお説の通りそういうことはするはずはございません。
  219. 横路節雄

    ○横路委員 私が総裁に聞いているのは、自治庁からそういう意見を求められたときに、あなたの方では、もちろんそういうことについては自治庁自体がこうきめても——地方公共団体がきめることなんですが、そういう場合にあなたの方としてはそれに対して地方自治体が全く独自の立場でやるんだから、その点はわれわれとしてはもちろん関与しないということは貫くわけですね。
  220. 淺井清

    ○淺井政府委員 お説の通りであります。
  221. 横路節雄

    ○横路委員 大山さん、どうですか。
  222. 大山正

    大山政府委員 私も全くその通りであります。
  223. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは先ほどのお答えを願います。
  224. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今回の新制度への移行に当りましては、四月一日に直ちに一斉に上るということではございませんで、四月一日に全員一号上に上げますが、さらに三カ月の昇給期間の短縮あるいは切りかえ時期の短縮その他を行いまして全体として六・二%という考え方でございますので、四月一日に幾ら上るかという御質問でございますが、これは六・二%四月一日に上るわけではございません。若干下まわることになるかと思いますが、計算は別に精密にいたしておるわけではございません。
  225. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 この間もお話ししたように、いかにも四月一日の切りかえと同時に平均六・二%上るような印象を受けておる面が相当あるのですよ。私は決してそうじゃないと思うのです。大体の目安はつきませんか。非常にこれが影響を受ける部面があるのです。端的にどこだといってもかまいませんけれども、たとえば駐留軍の労務者、これは国が雇い主なのです。だから法律上雇用主といえば日本国政府、しかし実際は形式的には米軍そのものが雇い主になっておるわけですね。それで国が法律上の雇用主である以上、国家公務員にベース改訂が行われれば、当然駐留軍労務者についても何らかの給与改訂の措置を講じなければならぬ。しかし今度の場合ベース・アップ方式をとっていない。だから一体米軍に対して幾ら駐留軍労務者に払ってくれ、原資をくれと言ったらいいのかということで非常に問題になっているのですよ。その面でも大体六・二%だというので、米軍も六二%分の原資をさっと回して、六・二%スライドしてくれれば問題ないのですが、なかなかそこのところは明確にはいかない。そういう面で同じ国が雇っておる人たちに非常に迷惑をかける部面があるのではっきりしてもらわなければ困るわけです。大体どのくらいかわかりませんか。
  226. 大山正

    大山政府委員 四月一日直ちに上る率ということは明確に申し上げかねるかと思いますが、六・二%やや下回る程度じゃないか、こういうふうに考えております。
  227. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 実質的にはそう差はないというふうに了解してよろしゅうございますか。
  228. 相川勝六

    相川委員長 この次答弁するそうです。
  229. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それならそのようにしていただきましょう。それからこれも問題になっておるわけですが、今度のいわゆるベース・アップ方式をとらない、どちらかといえば昇給という制度にすりかえられた給与改善の措置によって、不利をこうむる者はおるかおらぬかという論議がこの間予算委員会でかわされました。この点で、現行俸給表に基いて、たとえば六カ月、九カ月いわゆるスムーズに昇給をしていくということを仮定し、それと今度の改訂に伴って政府案で一年ごとに昇給していくということと比較した場合に悪くなりやせぬかという懸念があるようなのですが、この面におきまして政府案でことし幾らになるか、来年幾らになるか、再来年幾らになるかというように、五年くらいの収入のトータルを出す。それから現行のままで各年度の収入を出していく、これを比較していった場合には、あるいは政府側が言うように不利になるものはないかもしれません。しかしある時点をつかまえて、たとえば二年目から二年三カ月目、この間だけは現行俸給表によって、そして現行昇給期間をたどっていった方が、絶対額、が有利だという時点が私はあると思うのですが、そういうことも断言できますか。
  230. 大山正

    大山政府委員 今回の俸給制度改正は、現行制度を基礎にして作っておりますので、現行制度より俸給表として悪くなるということはないと確信しております。ただ基本的な改正でありますので、現にいる職員が切りかわります場合に、若干の利、不利という点は生ずるということはやむを得ないと考えております。その点を調整するために、一号昇給並びに三カ月の短縮というような調整措置を講ずるのでございます。この調整措置を講じて、なお現行でいくのよりも不利になるということはおおむねないというように考えております。ただ極端に例外の場合を想定すればあり得るかもしれませんが、大体ないというふうに考えております。  ただいま御指摘の、ある時点においての高い、低いという問題、具体的な例がございますればまた調べてみたいと思いますが、私といたしましては、少くとも一定の年間を通じて、今より不利になるということはない、かように考えております。
  231. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 具体的な例を出す前に、私人事院に確認しておきたいのですが、絶対に不利が起きないように運用面でカバーしていくということの保証はできるものでございますか。
  232. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 政府でお作りになったものでありまして、われわれもいろいろ政府案において検討しております。だがおおむね、これはほとんどといってもいいくらいにないように存じておりますが、例外的にこの切りかえによって、不利な取り扱いを受けるというものにつきましては、人事院といたしまして調整する所存でおります。
  233. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 というのは不利にならないということですね。
  234. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 不利にならないという意味ですが、将来のある時点だけとってみれば、現在より悪くなるというようなのは含まれないと思うのです。私が申し上げておりますのは、やはり切りかえの当初におきまして不利になる、あるいはほんの近い将来を考えてみまして不利になる、このようなものは調整いたす所存でおります。
  235. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 切りかえのときだけ幾ら保証してもらっても、先にいって悪くなったのでは話しにならないのです。現に格づけのいかんによっては、将来明らかに不利になる面が出てきますよ。不利になるという考え方に二つあると私は申し上げておるのです。というのは毎年度のいわゆる所得を総計していった場合に、果して政府案よりも現行の方が有利かということになると、私もあまり確信ありません。しかし格づけのいかんによっては、そういうこともあり得るのじゃないかという懸念があるわけです。だからそういう各年度の収入をトータルしてみた場合に、明らかに不利になるというようなことは絶対にカバーしてもらわなければいかぬ。ただ後者のある時点をとらえて、絶対額が悪くなるというような場合においてはこれから論議しますから、その方についての保証だけは一つお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  236. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 将来その人が昇格していくかどうかというようなところは、これは将来の問題に属するのでございますので、先ほど私が申し上げましたように、おおむね現行俸給表でいくならば、たとえば現在七級におるという人でありますならば、七級の最高号俸までは、支障のない限りずっといくわけでございますね。そういうふうな場合を想定いたしまして減ることのないように、もし減る場合があるといたしますならばこれは人事院調整するということでございます。
  237. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 たとえば大学の事務長というような人がおります。この人が現在相当高い給与をもらっているとする。現に私調べたのですが、今持ってきておりません。そういう人が今度の場合、行政職の一表の適用を受けるということになりますとそういうことはないと思うが、しかし二表の適用を受けるということになると、すぐ頭打ちのところにいってしまって、将来不利になるというようなことが出てくると思うのです。私やってみたら、そういう計算が出てくるわけです。そういった場合はどういうことでカバーするわけですか。
  238. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまのが具体例と申しますか、想定された一つの例ということになりまするので、そういう具体的な個々の問題につきましては、十分われわれの方で検討いたしまして善処いたしたいと思います。
  239. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは、絶対にそういう意味での不利なことはないようにやるということで了承いたしますが、ただある時点をつかまえて論ずれば不利になるということは相当あるのじゃないかと思うのです。これは国税広報というお役所で出している新聞ですね、PRだろうと思うのですが……。この国税広報に一つそういう例があるわけです。これはその後手直しされておるかどうかは知りませんが、少くともこの新聞に出ておるのから申しますと、四等級の場合ですが、三十二年三月三十一日現在で税務職七級六号の人——この人は六カ月経過者だそうです。この人が政府案でもらっていきますと、二年三カ月目から二年六カ月目、この三カ月間というものは、現行の方が本俸の絶対額が高いというグラフが出ているわけです。こういう例はほかにもあるのじゃないかというような気がするわけでございます。そうしますと、総トータルにおいては不利にならなくても、ある時点だけでも今のままの方が月給が高いというようなことも、これはちょっと妙なことだと思いますが、こういうこともないという自信はございますか。
  240. 大山正

    大山政府委員 ただいまあげられました具体的な例につきまして、さらに検討いたしたいと思います。
  241. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それじゃ、これもさらに検討ですから、次に移ります。  時間もだいぶおそくなりましたので、一点だけにしたいと思うのですが、それは初任給の問題。今度給与改善の措置が講ぜられることになる、しかも、その改善しなくちゃならないという理由が、民間の給与あるいは三公社現業給与、あるいは生計費その他を勘案してと理由づけられておりながら、初任級の方が据え置きになったという点で、どうも納得がいかないわけです。なぜ初任級を据え置きにしていいというふうにお考えになったのか、人事院から一つ説明願いたいと思います。
  242. 淺井清

    ○淺井政府委員 これは根本理由は、人事院の今回の給与改善がベース・アップ方式をとらなかったことからきておるのでございます。初任級を上げますれば全部一律に上げる必要がある、こういうところところからきておりますので、もし人事院がベース・アップ方式をとれば当然に上ったと思いますが、ベース・アップ方式をとらなかったからそういうことになってきたのでございます。
  243. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 全く便宜的な話なんです。大体趨勢は初任級を引き上げなければならぬ時期にありながら、ベース・アップ方式をとらなかったから初任級の引き上げは見送りになったということでは、われわれ承認できません。そこで政府側に要求したいのでございますが、初任級は、今人事院も申しておるように、実際に引き上げなければならぬ段階にきておると私は思う。この面に若干の予算の増額を伴うことになりましょうとも、私は当然手を入れるべきだというふうに考えておりますが、いかがですか。特に比較されております現業のうちの郵政職員などは、初任級は六千四百円と承っております。あまりにも開きがあるようでございますが、この点も一つ与党の諸君と十分に話し合いたいと思っておりますけれども、政府といたしましては、なぜこの初任級に御考慮を願えなかったか、ただ昇級期間の延伸に伴う手直し程度にとどめておいたというのは、非常に不合理だと思うのですが、いかがですか。
  244. 大山正

    大山政府委員 初任級につきましては人事院が定めるということになっておるわけでございますが、今回の勧告におきまして、人事院は変更しないという建前をとっておりますので、今回の政府で提出しました改正案におきましても、原則としてはこれを変更しないという建前をとった次第であります。ただ、御指摘のありましたように、昇級期間の延伸、学歴差是正、この点は考えたのでございますが、一般的には初任級については今回は変更しない、こういう考え方で立案した次第であります。
  245. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは先ほど申し上げたように、人事院としてもベース・アップ方式をとらなかったということのためにのみこの点が据え置かれたというふうなお話でございますので、さらに話し合いを進めるということにいたしまして、本日は非常におそくなりましたので、一応私の質問を終らしていただきたいと思います。
  246. 相川勝六

    相川委員長 次会は、明後二十八日木曜日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会