○
石橋(政)
委員 総理にお伺いしたいと思うのでありますが、まず最初に、いわゆる死の行軍問題に関連してお尋ねしてみたいと思います。この事件は非常に世論の注視を受けたわけでございますが、
内容といたしましても重大な
意義を持っておったわけであります。特にこの当事者の
処分というようなものをどのようにするかということによって、今後の
自衛隊の指針をも定める、そういう意味合いも私は含んでおったように
考えております。
防衛庁がこの
調査を非常に急ぎまして、約一ヵ月間で
処分を発表したことは妥当だ、このように私どもは存じますが、その
処分の
内容を検討いたしますときに、必ずしも妥当だとは言えない面があるような気がするわけであります。当初三月九日でしたか、読売新聞が、どういう経緯を経て出したのか知りませんけれども、
処分の案を発表した。それを見ましたときには大体首肯できたのでございますが、その後正式の決定を見たときに、この線からはずれて、何かゆがめられたものが出てきたような感じを私は受けてるのであります。この点についてぜひ
総理に、この
処分を妥当と思うか、こういう
処分で今後の
自衛隊があなた方のお望みになるようにすくすくと成長すると見るかどうか、自信があるかということをお伺いいたしたいと思うのであります。
新聞その他では、この
処分をめぐりまして、旧
軍人出身者と文官出身者の対立という形で扱っております。私はそういう扱い方をすれば、建設的な批判が出てこないかと思いますので、一応避けます。しかしこの
処分をめぐりまして、
一つは、軍隊の特殊性を強調することよって、激しい訓練ということも必要なんだ、この際
処分を行うということになると、幹部が自信を失う、影響するところ非常に甚大であるから、責任の当事者を
処分するというようなことに重点を置くのではなくして、
処分を行うとするならば、訓練計画の立案者に重点を置いた
処分をすべきであるという意見が、一方にはあったかのように聞いております。これに対するに片方では、もちろん訓練計画の立案者に責任がないとは言わないけれども、しかし青竹を振ったり、ロープで縛ったりするような事件、これはそれとは直接に
関係がない。
派生的に起きた事件である。しかもこの行軍に関してのみ起きたとは
考えられない面もある。過去においてそういうことが行われたかもしれない。そういうことを
考えた場合に、やはり当面の実施部隊の責任者というものに対する処罰が重点でなくてはならないというような意見もあったかと思うのであります。とにかく最初表に出ました
処分案というようなものは、けんか両成敗というような形ではありますまいけれども、とにかく計画の立案者の最高責任者である総監、それから実施部隊の責任者である大隊長二人が免官になる、その他関連する者は停職といったような
処分案が出ておったようでございますが、最後には総監の方は免官にならないで転勤で済んだ。ここに私どうも納得いかないものがあるわけです。特に先ほど申し上げたように、片方において実施部隊の責任者に過重な
処分を行えば、今後規律維持の面、訓練強化の面等で非常に
支障を来たすというような意見をなす者も相当あるようでございます。そういう中で現在
防衛庁がとられたような
処分によって、果して今後誤
まりなく進み得るものかどうか、確信のほどを、
防衛庁長官を指揮監督する立場にある
総理の見解としてお述べ願いたいと思います。