○
飛鳥田委員 防衛庁の方は当然もうイギリスの
国防白書などというものはお読みになっていらっしゃると思います。イギリスとソ連とは国交を断絶しているという
関係ではありません。だがしかし、イギリスの
国防白書を見ますと、至るところにソ連の
侵略に抵抗するための能力を備えるに当ってわれわれにとって不可欠な要素はというような言い方をして、明らかにソ連あるいは共産諸国が攻めてきた場合はこういうふうにということを明確に言っているわけです。そのことがいいか悪いかは別といたしまして、ともかく
防衛の目標、
侵略の
形態に対してどのように戦うかということを明確に示しているわけであります。これなくしては
国民は
軍隊というものの存在価値を疑わざるを得ないわけであります。何だかわからぬ、火星からあるいは攻めてくるかもしれないからそれも防ぐのだ、そういう準備をしておるというような目標の定まらない
軍隊というものをあなた方はここで極力
説明しようとする。私はこれはあなた方御自身にとっても損じゃないか、こう思うのです。今の
お話で沿岸警備と外洋確保、警備といいますか、そういう両方を目標にしている、こういう
お話であります。それでは外洋というのは一体どの範囲を言われるのですか。少くとも今外洋といえば
日本から
アメリカの大陸へ行くか、中国の大陸へ行くか、あるいは南部のマリアナ諸島へ行くか、アラスカへ行くか、この程度しか私
たちは
考えられないわけであります。しかし今のあなた方のお持ちになっている軍艦で
アメリカ大陸まで船団を護送していく能力などというものは、これは常識的にありません。またそれじゃ
日本から船に乗っけて中国本土やシベリヤへ船団護送をするのか。これは今まで保守党内閣の諸公の再々の御
説明によって、海外派兵をいたしません。ですから、やらないでしょう。私はその
通りすなおに受け取ります。そういたしますと、あなた方の
海上自衛隊の確保する外洋の範囲というものは、おのずからきまってくる。マリアナ諸島かアラスカか。アラスカなどというものにあなた方が
連絡をなさる必要は多分ありますまい。私は戦術家ではありませんから、正確には言えませんが、常識としてはありません。そうすると、あなた方の
海上自衛隊というものはマリアナ諸島、せめてサイパンくらいまでは何とか船団護送をしていきたい、そしてその程度の
任務をみずからに課しているとしか、常識的には
考えられないわけです。もしそうだとするならば、P2Vの対潜哨戒機をあなた方がほしがる
理由が初めて読めてきます。今の
海上自衛隊の艦艇勢力では、せめてサイパンまででも護送というものは、非常に困難である。そこで足の長い対潜哨戒機を使うことによって、軍艦をふやさずにその能力を補充できる、こういうとかうに私
たちは
考えられてくるわけです。そう
考えて参りますと、今の
海上自衛隊というものが何を
任務にしているかということは、あなた方の側からもう積極的に明確になさる必要があるのじゃないか。そうすることによって、
国民もまたある程度、なるほどそういうことをあなた方が
考えているのか、それならばもっと予算を出そうとか、もっと予算を削っていいとか、
国民の批判というものは的を持ってくるわけですね。あなた方は今なるべく的を持たせないで、もやもやとした中で何となく作ってしまおうとなさる。そんなことでできた
軍隊というものが、一体役に立ちますか。そういう
意味で、今回の
自衛隊の練習隊群をお作りになるのを契機に、
日本の
海上自衛隊は何を目途にしているのかということを、
一つ小滝長官から御
説明をいただきたいと思います。せめてサイパンまででも船団護送をしたいのだ、こういうなら、それでけっこうです。