運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-03-22 第26回国会 衆議院 内閣委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十二日(金曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 相川 勝六君    理事 大平 正芳君 理事 床次 徳二君    理事 保科善四郎君 理事 山本 正一君    理事 石橋 政嗣君       大村 清一君    北 れい吉君       薄田 美朝君    田中 龍夫君       辻  政信君    藤枝 泉介君       眞崎 勝次君    粟山  博君      茜ケ久保重光君    飛鳥田一雄君       下川儀太郎君    西村 力弥君  出席国務大臣         国 務 大 臣 小滝  彬君  出席政府委員         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  林  一夫君         防衛庁参事官         (経理局長)  北島 武雄君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 三月二十日  委員小金義照君及び林唯義君辞任につき、その  補欠として町村金五君及び藤枝泉介君が議長の  指名で委員選任された。     ————————————— 三月二十日  恩給額調整に関する請願荒舩清十郎紹介)  (第二二八八号)  同(石山權作君紹介)(第二二八九号)  同(薩摩雄次紹介)(第二二九〇号)  同(濱野清吾紹介)(第二二九一号)  同(原健三郎紹介)(第二二九二号)  同(有田喜一紹介)(第二三四二号)  同(今澄勇紹介)(第二三四三号)  同(岡崎英城紹介)(第二三四四号)  同(神近市子紹介)(第二三四五号)  同(清瀬一郎紹介)(第二三四六号)  同外二件(佐藤榮作紹介)(第二三四七号)  同(山花秀雄紹介)(第二三四八号)  同(小林信一君外四名紹介)(第二三九二号)  同(植木庚子郎君紹介)(第二三九三号)  同(黒金泰美紹介)(第二三九四号)  同(須磨彌吉郎君紹介)(第二三九五号)  同(西村力弥紹介)(第二三九六号)  同(松岡駒吉紹介)(第二三九七号)  恩給増額改訂に関する請願永井勝次郎紹介  )(第二二九三号)  同(正木清紹介)(第二二九四号)  同(小平忠紹介)(第二三四九号)  同(薄田美朝君紹介)(第二三五〇号)  同(芳賀貢紹介)(第二三五一号)  肇国節制定に関する請願池田清志紹介)(  第二二九五号)  旧軍人関係恩給加算制復元に関する請願外二  件(池田清志紹介)(第二二九六号)  同(中馬辰猪紹介)(第二二九七号)  同(二階堂進紹介)(第二二九八号)  同外一件(小泉純也君紹介)(第二三五二号)  同外五件(床次徳二紹介)(第二三五三号)  同(中曽根康弘紹介)(第二三五四号)  同(永山忠則紹介)(第二三五五号)  同(野田武夫紹介)(第二三五六号)  同外六件(山本正一紹介)(第二三五七号)  同(米田吉盛紹介)(第二三五八号)  同(灘尾弘吉紹介)(第二三九八号)  同(松山義雄紹介)(第二三九九号)  旧海軍特務士官及び准士官恩給是正に関する  請願小澤佐重喜紹介)(第二二九九号)  同(竹尾弌君紹介)(第二三六〇号)  金鵄勲章年金復活に関する請願薩摩雄次君紹  介)(第二三〇〇号)  元満州国等日本人公務員恩給法適用に関す  る請願松浦東介紹介)(第二三〇一号)  傷病恩給受給者家族加給に関する請願(小金  義照紹介)(第二三五九号)  看護職に対する人事院勧告俸給表是正に関す  る請願清瀬一郎紹介)(第二三六一号)  同(柳田秀一紹介)(第二三六二号)  昭和二十三年六月三十日以前に給与事由の生じ  た恩給特別措置に関する法律第三項廃止に関  する請願佐竹新市紹介)(第二四〇〇号)  川西市の地域給引上げ請願山口丈太郎君紹  介)(第二四〇一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二六号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  二七号)     —————————————
  2. 相川勝六

    相川委員長 これより会議を開きます。  小委員会設置の件についてお諮りいたします。当委員会において審査中の給与法改正案に関し御検討を願うため、小委員八人よりなる、給与に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 相川勝六

    相川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  引き続き小委員及び小委員長選任をいたしたいと存じますが、その方法は、先例によりまして委員長より御指名いたすに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 相川勝六

    相川委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長におきましては、小委員に    大平 正芳君  床次 徳二君    藤枝 泉介君  保科善四郎君    山本 正一君  飛鳥田一雄君    石橋 政嗣君  受田 新吉君の八名を指名いたします。また小委員長には大平正芳君を指名いたします。  なおこの際あわせてお諮りいたしておきますが、委員異動等に伴いまして小委員及び小委員長に欠員が生じました際の補欠選任につきましては、委員長より適宜御指名いたすことに御一任を願っておきたいと存じますが、これに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 相川勝六

    相川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。     —————————————
  6. 相川勝六

    相川委員長 次に、防衛庁設置法の一部を改正する法律案、及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑を続行いたします。飛鳥田一雄君。
  7. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 いろいろなことを伺いたいと思いますが、忘れるといけませんので、こまかいことを一番最初に一つ伺っておきます。と申しますのは、先般防衛庁長官週刊読売対談近藤日出造さんとお話し合いをなさいましたときに、その記事を拝見いたしますと、再軍備の問題について、この問題については、社会党祖国共産国でも再軍備をやっているんだというようなことが、防衛庁長官お答えとして載っているわけであります。週刊読売御存じのように部数もたくさん印刷せられますし、影響するところも重大であります。現にわが党の地力の党員諸公からもいろいろこの点について問い合せが参っております。事実小滝長官は、社会党祖国共産国あるいはソ連であるというふうにお考えになってお述べになったのかどうか。これは児戲に類することだと思いますが、一応お答えをいただきたいと思います。
  8. 小滝彬

    小滝国務大臣 正確な言葉は記憶しておりませんが、私は、社会党政府を持っている国でも、国防というものには力を尽している、共産党政府を持っておる国も、国防というものはゆるがせにしておらないという趣旨を申したのであります。
  9. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 おそらく御自分対談をなさったのでありましょうから、それが記事になりますれば当然お読みになったことだと思います。ところがその記事の中に、社会党祖国共産国というようなことが書いてあるとすれば、あなたとしては当然「週刊読売」の方に訂正申し入れをなされなければならない義務があると思います。少くともあなたは一政党の大臣として、自分の言ったことと違ったことが記事になり、しかもそれが相手方政党を不当に傷つけるような記事であるならば、取り消しをお求めになるべき政治的な、道義的な責任がある、こう私は思いますが、そういう取り消しの請求をなすったかどうか。
  10. 小滝彬

    小滝国務大臣 私は読んでおりませんが、そういう取り消しの申し込みはいたしておりません。私は共産党政府のところでも国防をやっているという趣旨は間違っていないと思いますが、ただ祖国とか何とかいう言葉があったとすれば、それはさっそく調べまして取り消します。
  11. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 訂正をお申し入れになりますか。
  12. 小滝彬

    小滝国務大臣 あなたがおっしゃるのだから間違いないと思いますが、祖国という字については取り消すように申し入れをいたします。
  13. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 それでは今回の防衛法案についてお伺いをいたしたいと思いますが、まず第一に、私のお伺いをしたいと思いますことは、今度の航空群海上群についての改正を拝見いたして参りますと、やや防衛庁のお考えが明らかになってきたように思われるわけであります。何について明らかになってきたかと申しますと、日本に対してもし侵略の事態が起り得るとするならば、それはいかなる形で侵略が行われるだろうかということを防衛庁がどのように想定しているかということがうかがわれてきたような気がするわけであります。そこでこの際、もし日本侵略が行われるとすれば、どのような形態で行われるであろうか、これを一つ明確に防衛庁としてお答えをいただきたいと思います。
  14. 小滝彬

    小滝国務大臣 実際の作戦と申しますか、そういう点についてはそれぞれの係の方で研究しておると思いまするが、私の考えを申しまするならば、それはそのときに紛争がどういう形によって起るかによってきまるものと思いますので、必ずこういう形で侵略とか不法侵入というものがあるというふうには断定し得ないというふうに考えます。
  15. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 それではもっと具体的に伺いましょう。防衛庁の今度の改正によりますと、第一航空団浜松に、第二航空団千歳に、第三と題四を宮城県に置く、こういうふうになすっておられるわけであります。そしてしかもその集団司令部東京に置く、こういうふうになすっていらっしゃるわけですが、これを見ますると、第一が浜松、第二が千歳、あとの二つ宮城県、こうなりますと、日本航空団はすべて日本本州のまん中から北にある、こういう形になって参ります。これをもって考えてみましても、日本に対する侵略形態というものがどのようなものであるかということをあなた方がすでに想定なすっているということがうかがわれるわけであります。この場合航空団をこうした配置をするということ自身、シベリアあるいは北方よりする空軍侵略という形態想像なすっていらっしゃると考える以外に方法がないと思いますが、この点についてどうお考えでしょうか。あるいはまた、もし私の想像が誤まっておるならば、なぜこのように北にだけ配置をなさるのか、この御説明をいただきたい。
  16. 小滝彬

    小滝国務大臣 御承知のように、だんだん航空自衛隊の方も訓練段階を経て、そうした防空的な任務を待たせられるという段階に逃しましたので、ただいま御審議を願っておるような法案を出したのでございますが、それは決してどこから侵略があるから北の方に狩っていったとか、あるいは宮城県の力に持っていったというのではなしに、一に飛行場滑走路の長さとか、あるいは収容能力というものを考えてやったものでございます。浜松の方は非常にいろいろな部隊が入っておりまして、狭くなりましたので、そこをもう少しゆとりを打たせるようにしなければならぬというような、主として飛行場関係から必然的にこういうような配置になったというだけのものでございます。
  17. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 飛行場関係だとおっしゃるのならば、南の方には鹿屋飛行場があります。鹿屋飛行場はたしか一千六百メートルの滑走路を持っておると思う。ところがそれ以上に長い滑走路を持っておるところは、現に置かれておるところでも千歳を除いてはないと思います。飛行場の点というだけならば何も北にだけ片寄らせる理由は出てこない、こう私は考えるわけであります。しかも千歳ははるか以前からある程度日本側の使用を許されておるはずです。今になって浜松から千歳に持っていくという必要はないのじゃないか。そういう意味で今回の航空集団配置考えますと、ことさらに北にだけ片寄らせたそこに何かがあるということを感ぜざるを得ないわけであります。そういう点から考えてみますと、御存じのようにアメリカ軍日本を三分割して、三沢ジョンソン板付、こういうふうに分割をしてやっておるわけですが、この板付にはF100があり、あるいはジョンソンにもじきにF100が来る、こういうことが報道せられております。そうしますと、残ってくるのは三沢だけであります。このような意味で、日本は特に北からする侵略に対して三沢基地を補完するという形の任務を振り当てられておるのではないかというふうに感ずるわけであります。御存じのように先般のドラゴンフライ作戦ですか、あの共同演習についても、日本自衛隊飛行機はどこに配置されておったかと申しますと、三沢に行っておる。そうしてT33が仮装敵機となって北方から侵入する、それを三沢のADDCが捕えて要撃をするという形でそれに参加しております。南方には日本部隊は決し参加しておりません。こういうドラゴンフライ作戦形態、そうして今また航空団配置形態、こういうものを考えて参りますと、私は今申し上げたようなことが決して単なる想像ではなくて、事実としてあなた方もお考えになっておるのではないかということを考ざるを得ないわけです。よけいなことですが、予算の相当部分を使って作り上げている自衛隊でありますので、国民はいろいろな意味でフェアーに、しかもその内容がはっきりすることを望んでいるわけです。一体軍隊というものがある以上、その軍隊は、いかなる形態侵略が行われ、その侵略に対してどうこれを守るかということを考えない軍隊はないわけです。これを考えない軍隊なら軍隊じゃないでしょう。そうだとするならば、やはり今回のこの改正案に際して、その点は明白に防衛庁長官の方から国民に向って説明をしておいていただいた方が国民もまた納得するだろう。何となくもやもやした雲がかかっているというような形では納得できないわけです。すなわち今申し上げたように、要約するならば、アメリカ日本を三分割したときに板付F100が来、ジョンソンにはF104が来、そのために三沢における北方防御日本軍が補完する、こういう形をあなた方が想像しておられるのではないかということをはっきりとお答えいただきたいと思います。あなたにこんなことを申し上げるのは釈迦に説法かもしれませんが、やはりこの三分割したアメリカ基地は、板付は主として朝鮮あるいは南支那海、こういうところの支配を目ざし、三沢ジョンソンシベリア支配を目ざしておると私たち考えております。さらにそれを拡大して考えて参りますると、アラスカと沖繩とグァムという形でアメリカはアジアの支配体制を確立しておる、こういうふうに私たち考えているわけです。その中において日本に割り当てられた任務としての形態が、はしなくも今度の改正案の中にはっきりと現われてきたというふうに私たち考えておるわけですが、どうもこういう考え方国民の中に相当あるわけです。これについてぼやかさずに、明確にお答えをいただきたい、こう考えます。
  18. 小滝彬

    小滝国務大臣 はっきりお答え申し上げたいことは、先ほど申しました点でございます。たとえばこの前の演習千歳中心になって行われたとおっしゃいますが、これは当時ちょうど千歳において訓練を受けたので、そこで演習を行なったというだけでありまするし、また今度の配置も偶然的な結果として、あるいは中央から東に寄ったかもしれませんけれども、それはさっき申しました通り、南の方にかっこうなものがない、鹿屋は御承知のように海上の方の飛行機が発港するところでありまして、そこで錯綜した体系で新しく航空団をそこに持っていくというわけにもいかないし、また築城の方はすでに操縦学校もあるというような関係で、自然結果的には少し北の方に寄ったことになったかもしれませんが、決して特に北の方を受け持つとかいうようなことはないのであります。また航空自衛隊も年々訓練を積みまして、また皆様の力を得ましてだんだん増強せられてはおりまするが、そういうことの一翼をになうというような実力はまだ持っておらないことでございますし、少くとも今回の配置というものは、使い得る飛行場を適当にあんばいしてこれを活用するという趣旨から来たものでありまして、今おっしゃったような趣旨によるものではございません。
  19. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 それではもう少し具体的に伺いましょう。航空集団司令部は今度は東京にお置きになることに法案ではなっておりますが、しかしその審議の適程において防衛庁の中で名古屋に置くという御議論が非常にあったように伺っております。名古屋航空集団司令部を置くというのを東京に変更なすった理由は何ですか。
  20. 小滝彬

    小滝国務大臣 詳細は係の者から説明さしてよろしいかと思いますが、何といたしましても、司令部としてはいろいろ通信とか交通の点も考えなければならない。ところが東京日本の首都であって、いろいろそうした点にも便宜があり、特に通信関係から見ましてこちらに置いた方が好都合であるという見地からいたしたものでございます。
  21. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 名古屋に初め置くという御意見があった理由は何でしょうか。
  22. 林一夫

    ○林(一)政府委員 航空集団司会部東京に設置するということになったのは、ただいま長官から御説明があった通りであります。東京通信連絡等のためには中心であり、いろいろの点で都合がいいということで東京に設置することになった。名古屋の方については、航空集団というのは御承知のように全国的な統括をするところであります。そういうような意味名古屋方面というようなことも一応意見には出たのでありますが、やはり各種の点から考えまして東京がいいということになりまして、東京を予定したのでございます。
  23. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 もうすこしどうですか、お互いにフランクにお話ができないものでしょうか。と申しますのは、名古屋におきめになろうとしたのは、米第五空軍司今一部が名古屋にあるからここに持って行こうとした。だか、しかし、第五空軍司令部が最近府中に移転するから、移転するところへ持って行ってもしょうがない、そこで東京にきめたのだ、こういうようにお話いただけないものでしょうか。東京通信中心だ、名古屋は不適当だ、そんなことは初めからわかっておりますよ。そういうふうにわかり切ったことを聞く僕も悪いかもしれませんが、しかし国民は隠そうとなさるあなた方に対して不信を持つのは当然だと思います。私の考え方は違っておりましょうか。
  24. 林一夫

    ○林(一)政府委員 航空集団司令部というのは御存じのように、ただいま申しましたように、全国的な統括司令部ということになっております。従来はこれはOJTと申しまして、アメリカのその方の訓練を受けておった。その訓練を受けておる段階においては、いろいろの点から考えて、あるいは名古屋方面に置くのがいいという場合もあります。しかれども全般的に考えまして、やはり東京方面に置いた方が今後各地の航空団統括する上において、あるいは通信連絡の上において非常に都合がいいというようなことで、まずそういうような大きな理由でもって東京に決定したのであります。お話のような第五空軍の位置がどうのこうのということはもちろん多少ありましょうが、主としてただいま申しましたような理由東京に設置することになったのであります。それが真実のところでございます。
  25. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 それじゃもう一つ伺いますが、一体航空団あるいは航空集団というものは、全国に張りめぐらされておるレーダー網あるいはレーダー網の外の海にあるアーリー・ウォーニングと申しますか、こういうものと離れて存在できるのですか。
  26. 林一夫

    ○林(一)政府委員 航空集団を置きました理由は、先ほど長官から少し説明があったのでございますが、やはり航空自衛隊もだいぶ訓練が進んで参りましたもので、この際航空防衛力を増強するという意味におきまして、二つ航空団を基幹としまして、それに訓練航空警戒隊というものがございますが、こういうものを加えまして航空集団を作ったのでございます。もちろんこれは将来レーダーサイトがわが方に移管されていきますれば、当然この航空集団指令下に入るということになるのであります。現状においてもレーダーサイト訓練を受けておる訓練航空警戒隊がそこに派遣されておるのであります。そのようなものは、もちろん派遣された形においてその統轄下に入ることになるのであります。
  27. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 私の伺っていることと、ちっともぶつかってこないのですが、航空団航空集団司令部などというものは、レーダー綱あるいはそのレーダー網のもっと前にあるアーリー・ウォーニングというようなものと無関係に存在できるのですかということを伺っているわけです。
  28. 林一夫

    ○林(一)政府委員 おっしゃる通りでございまして、アーリー・ウォーニングと、このようなレーダーサイトレーダー組織というものが当方にはなくて、こういうものが航集団なり航空集団の中に入って、そこで統一的な指揮連絡関係に立って実動してくるというようなことになれば、本来の任務も達成することができるのでありますが、御承知のようにレーダーサイトというものは徐々に移管される段階にあるのでありまして、十分に航空団の本来の任務を達することはできないということは申し上げることができると思います。
  29. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますと、今はレーダーサイトあるいはアーリー・ウォーニング等との結びつきが十分にないから、今の日本航空自衛隊はめくらの自衛隊じゃ、こういうわけですか。今だって、少くともある程度の役目は、私はできるのだろうと思うのです。またしているだろうと思うのです。もしある程度の役割をしようと思い、そしてまた現にするとするならば、日本に二十四カ所配置されているレーダー基地、あるいはその外のアーリー・ウォーニング等との連絡をあなた方はしていらっしゃるはずです。そういうものを抜きにして航空集団司令部などというものを定められるかどうか。こういうことを私はさっきから伺っているわけです。今の局長お話ですと、かたわで、まだ使いものになりませんということを率直にお述べになっているように思うのですが、その通りに受け取ってよろしいのですか。
  30. 林一夫

    ○林(一)政府委員 かたわというようなお話でございますが、そうおっしゃればかたわと申し上げることができると思います。レーダーサイトというものが全部わが方に移管されて航空団とそれとの関係がはっきりつくようになれば、完全なものになるのであります。御承知のように、レーダーサイトというものは今後徐々に移管されて参る。移管されるに従って航空集団というものの本来の使命というものも達することができるような状況になるわけであります。それまではやはり航空隻団としましても、このF86の乗員の航空訓練とか射撃の訓練とか、あるいは編隊の訓練というようなものをやるという段階にある。徐々に移管を受けてそれとの連絡がついて、だんだんと内容が充実してくるというような状態でございます。
  31. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今のお説で、だんだんからんでいっちゃうことになるのですが、レーダー基地が徐々に移管されるとおっしゃられたけれども、一体いつ、何年ごろまでにこれが完成するのですか。そういうことのめどはあなた方はお持ちになっていらっしゃるはずです。現に防衛六カ年計画ということを私たちがどんなに伺ったってお話しにならない。その中に本来ならばレーダー基地の完備ということも含まれているはずです。ところがお話しにならないのです。議会にお話しになれないようなものはないはずです。こういうふうに伺っているわけです。  それともう一つは、もしレーダーサイトが整ったときには、本来の使命を果すことができる。その本来の使命というものをさっきから聞いているのですよ。ところがあなた方は本来の使命と言うだけで、その本来の使命内容一つお話しにならなかったじゃないですか。こういうことではますますわからなくなってしまう、それでは一つきっかりと、何年までに日本レーダー網は完成し、何年までに海の中に浮かべておくような——日本ではどうしても海の中に軍艦として出す以外に方法はありますまいが、アーリー・ウォーニング綱を完成するのかということが一つ。本来の使命とは何ぞやということが一つ
  32. 林一夫

    ○林(一)政府委員 レーダーサイトの移管につきましては、現在米国と事務的に折衝しておる段階でありまして、何年までにどこがどれくらいわが方に移管されるということは、まだはっきりきまっておらないのであります。けれども、これはさきに申し上げたと思いまするが、本年度に二カ所、来年度に四カ所、これだけの返還を受けるということは大体予想しておるのであります。ただその時期等についてはまだはっきりきまっていないので、この点についてまだ事務的な折衝の段階にあるのであります。本年度二カ所、来年度四カ所、その程度の移管を受けるということは大体話し合いがつきまして、事務的な折衝をやっておる段階でございます。  次に、航空団任務と申しましようか、御承知のように、航空団には二つありまして、訓練航空団と実際の実用航空団二つある。第一航空団と第三航空団はもっぱら訓練を目的とする航空団でございまして、T33ジェット練習機の訓練を受けた者について86の航法訓練をやっておるのです。第二航空団と第四航空団任務とするところは、御承知のように、国籍不明機が侵入してきた場合、これを早くレーダー網でキャッチして、その連絡によってここから飛び立っていって、国籍不明機かどうかということをはっきり確認して、これが国籍不明機であったならば、国外に退去を命ずるとかあるいは着陸を命ずるというような実力行為に出るというようなことが本来の任務になるのであります。防空、要撃ということが本来の任務になるのでありますが、御承知のように現在のところまだレーダーサイトの移管を受けていないので、この侵入を当方においてキャッチすることはできない、また飛行場からこのような飛行機が飛び立つ場合も、このときには誘導する必要があるのでありまするが、その誘導するレーダーもまだ移管を受けていないので、そういうような関係で本来の任務をまた十分に果し得ない状態にあるのであります。現在におきましては、先ほども申し上げましたように、訓練航空団で86の訓練を受けた者に対して、さらに高度の航空訓練あるいは編隊訓練あるいは射撃訓練というようなものをこの航空団で行なっておるのであります。そのようなわけであります。
  33. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 どうもお話を伺っているとますます混乱してしまうわけです。そうでしょう。御説明になっているあなたがほんとうのことをおっしゃろうとしないから混乱してしまうのですよ。私が先ほど一番最初に、航空団を北部にだけ、浜松から北にだけ配置しているということは、侵略形態を何か物語っているのではないかということを申し上げたら、いやそうではない、飛行場都合によるのだ、北にしかないからだ、こうおっしゃる。ところが今の御説明で本来の使命というお話を聞いておりますと、第一と第三は訓練部隊だ、よろしゅうございます。そういたしますと、実戦部隊というのは第二と第四になってしまうわけです。第二は千歳にあります。第四は宮城県にあります。そうすれば国籍不明機が入ってくる頻度は北の方が多いということを御自分が認められたと同じじゃないでしょうか。そのことをはっきりおっしゃった方がいい。  それからもう一つは、今のお話は、最初はレーダーサイトあるいはアーリー・ウォーニング、その二つ航空集団の位置というものとは関係がないような御説明をなすっておられた。だがしかし、これはレーダーサイトあるいはアーリー・ウォーニング航空団というものとは密着したもので、離すことのできないものですよ。それを関係ないような御説明をなすっていらっしゃりながら、最後にくるとそれがなければ活動ができないから、かたわだ、こういうふうな御説明をなさる。もう御説明それ自身が非常に支離滅裂になっているんではないか。今、辻さんも関連質問なさりたいということでありますから、あまりこのことにこだわるのはどうかと思いますから、差し控えますが、御説明の筋が通るように答弁をして下さい。
  34. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいまの御質問の第一番でございますが、航空団が本来そういうような使命を持っているんなら、北方にこのようなものを置いたのは、何か特別な意味があるんじゃないかというようなお話でございました。北の方に今度航空団を設置するということになったのは、先ほど長官からお話のありましたように、現在第一航空団と第二航空団浜松にあります。このうち第一航空団の方を今度少し拡充しましたが、第二航空団と第一航空団をこの浜松に同居させるということは、非常に狭くて不便であります。ところが幸いに千歳の米軍の基地の共用ができるような段階に至ったので、この第二航空団を新年度において千歳に移したい、こういうふうに考えておるのであります。  次に、第三航空団と第四航空団を松島に置くことにしましたのは、現在ジェットの飛行場として使用できまするのは、松島だけなんであります。一応他に適地がないので、松島に第三航空団と第四航空団を設置することにしたのであります。もちろん松島にそのままずっと置くというわけではないのであります。南の方にまた適当なところがありますならば、その一団を南の方に移すという考えを持っております。別に松島、千歳に置いたのは、特に北方侵略が予想され、あるいは心配であるというようなことではないのであります。そういうような点があるとしましても、今度そのように配置しましたのは、以上申し上げましたような理由から設置したのでございます。  次にその航空集団レーダーとの関係でございますが、もちろんこの航空集団というものは、レーダー網が全部これに統括されれば全く理想的な形態になるのでありますが、現在のところはレーダーサイトというものは徐々に移管されるという段階にあるので、先ほど申し上げましたように、まだ片ちんばの状況にある、こういうふうに申し上げるよりほかないと思います。
  35. 辻政信

    ○辻委員 飛鳥田君の質問に関連してちょっと伺いますが、もし公開でできないなら非公開にしてもけっこうです。  昨年の夏でありましたか、アメリカが極東の戦略体制を根本的に変えておるはずであります。極東空軍司令部を交代し、極東軍司令部を朝鮮に出す、市ケ谷を今年の七月にあける、こういうことをたしかアメリカの当局が発表したように記憶しておりますが、それは事実どうなっておるか、もし公開でできないなら非公開で示してもらいたい。
  36. 林一夫

    ○林(一)政府委員 昨年の米軍の発表によりますと、極東軍司令部を解消するということはその通りでございます。これは七月一日からそうなるというような発表でございまして、おそらくそのようなことで準備されておると思います。
  37. 辻政信

    ○辻委員 それに関連して、東京の堀ばたにあった米極東空軍司令部が交代しておるはずであります。この東京にあったアメリカ空軍司令部というものは、極東全域の防衛を担任しておった中枢機関でありまして、極東全体、フィリピンあたりもすべて含んでおる。これの指揮機関系統が東京に集まっておる。その実行機関の第五空軍司令部名古屋にあった。これが当然どこかに移るとすれば、日本全体の指揮連絡名古屋に移行される。極東全体が私は東京にあったと考えますが、そう考えて、差しつかえありませんか。
  38. 林一夫

    ○林(一)政府委員 極東空軍司令部統括区域が極東全般にあったということは私どもも存じております。その後どうなるかということにつきましては、先日発表になったところによりますと、陸海空軍統括司令部としまして、在日駐留軍司令部ができるということが発表された。この在日駐留軍司令部によって在日の陸海空軍統括をするということになると思うのであります。
  39. 辻政信

    ○辻委員 そうしますと、名古屋の第五空軍司令部というものは、日本全体の防空をやるのに一番都合のいいように、あそこを中心としてレーダーその他の通信網が施設されておったのではないか、それがどこか交代するならば、その施設をそのままもらって、航空司令部名古屋に入れた方がいいような気がする。なぜならば航空集団司令部というものは、中央計画機関ではない、実行部隊を指揮する司令部であります。中央の空幕機関は東京にあるからそれでできる。東京に空幕機関がある限り、日本全体の航空指揮連絡を握っておった方が自然のように思われますが、最初あなたの御説明では、名古屋集団司令部を置くと言うから私は非常に喜んでおったが、出されたものは東京になっておる。その辺がはっきりしないじゃないかということが一つ。  いま一つ、これは長官にお伺いしますが、一体市ケ谷の戦犯をさばいた台上に、戦後十年たって、当時敵国であった、現在友邦国であるが、アメリカの極東軍司令部東京をへいげいするようにあるということは、これは日米関係からいって決していいことではない。それを下げるという時期に、あの市ケ谷の司令部の跡を、あなたの方から積極的に言われて防衛庁に引き継がれるということが、自主防衛の根本ではないかと私は思うが、その点はどうですか。
  40. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいまの御質問中、前段の方についてお答えいたします。航空集団司令部東京に設けましたのは、先ほどから申し上げておるように、中央でやる通信連絡その他の点において非常に有利であるという私どもの判断に基いてきめたのであります。(辻委員「計画指導機関か、実行部隊かというのです」と呼ぶ)もちろん性格は、司令部でありますと同時に、実動指令をやる司令部であります。航空幕僚監部に接近しておると思います。やはり実動指令の中心航空集団司令部、これは東京に置く方が、通信連絡その他の点に都合がいいということで、東京に決定したのであります。
  41. 小滝彬

    小滝国務大臣 従来から私どもは、米軍関係のものはなるべく東京の中央外に置く、しかしそれにつきましては、原則的には、一つは、なるべく中心から離れて、もう一つは民有地にお願いするというようなことになりますと、いろいろ問題もありますので、なるべく国有財産をこれに充てる、こういう原則で進んできたのであります。その原則によりまして、だいぶんそこらの海上ビルとか、そこらのところを明け渡させたのでありますが、今御指摘の司令部につきましても、あるいは当方の自衛体関係のものとの連絡は、こちらに近い方がかえって便利であるという点もありますけれども、御指摘のような見地からすれば、この際ちょうど変る際であるから、よそに持っていくというようなことは確かに一つ考え方であろうと思います。たしか米軍側でもまだ決定していないのでありますけれども、実際問題として考えなければならないのは、ほんとうにそれだけの施設を、また新しくものを作るというようなことになれば、国民にも御迷惑をかける、なるべくそういうことなしにやりたい。その際、今回はただ単に空軍のみならず、海陸も一緒でありますので、そのスタッフが果して府中に移り得るか、こういう点も検討しなければなりませんから、その辺も果してうまくいくかどうかわかりませんけれども、御趣旨はよくわかるところでございますので、今後アメリカ側とも話し合いをいたしたいと考えております。
  42. 辻政信

    ○辻委員 これは、アメリカは実にばかなんですね。あの戦犯を裁いた歴史的な所に占領軍司令部を置いて、独立してもそれを動かさないということは、アメリカ人は頭が悪い。日本国民にいかなる感じを与えるか、政治的配慮に欠けておる。小滝長官は外交界の権威でもあり、その辺の微妙なところは御存じなんです。あなたが防衛庁長官になったら、せめてあれ一つくらいは、あなたの在任中にどこかへやって、日本人に占領的な感じを与えないようにされることが非常にいいのではないか。遠慮する必要はありませんよ。堂々とアメリカに述べられて、これはアメリカの利益にもなり、日本の利益にもなるのですから、ぜひあなたの在任中に、あの市ケ谷の目ざわりなものをどこかへやってもらいたい。私は反米主義者ではない。あれによって日米関係が、いかに国民感情の上に悪い影響を及ぼしておるか、それをお考えになっていただきたい。ちょうどいいチャンスでございますから、そういう申し入れが国会において与党議員から出たということを強く出してもらいたい。
  43. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今の辻さんの問題にからみますけれども、名古屋から東京に移した、こういう事実と即応するように、今七月一日に移るというお話ですか、すでに名古屋の第五空軍の一部の先遣部隊はもう府中に移っておるはずです。だから、あなた方は名古屋から航空集団司令部東京に移したというふうにしか私たちは解釈できないのですが、どうなんですか。名古屋に初め置くことにして、与党の辻さんなどにも御説明申し上げておいて、今、法案として出してくると東京である。調べしみますと、名古屋の第五空軍の先発部隊はすでに府中に移っておる。ちゃんと着いておるじゃないですか。だかり、もう少しはっきりおっしゃることか必要だと思うのです。今私の申し上げたことと絶対無関係ですか、名古屋から東京にかえたことは無関係ですか。
  44. 林一夫

    ○林(一)政府委員 東京に決定しましたおもなる理由は先ほど申し上げました通りでございまして、中央に設置するのが通信連絡その他の点において好都合である、米軍との連絡関係ももちろん東京中心でございますから都合がいい、いろいろな点を考えまして設置したのでございまして 第五空軍司全部が七月一日に東京に移るというようなことはまだはっきりしていなかった。東京に設置したのはそのような理由に基くものであります。
  45. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 関連して。先ほども説明があったのですが、第一航空団司令部と第二航空団司令部は従来浜松にあったわけです。それが第一航空団司令部の力が整備されて、拡充されてきたので、今度分離して片一方を千歳に持っていった、こういうお話でございます。これは当然第三、第四の関係においてもあるわけで、第三航空団司令部が拡充してくると、一緒に同居はできない、南に適当なところがあれば南に移るんだというようなお話でございますが、当然次の整備されて、拡充されてきたときのことまで考えておられたろうと思う。南というような言葉を使っておられましたが、次に第四をどこかへ持っていくというめどがあるのか、それとも、そのときアメリカの方で明け渡してくれなければ、勝手にわれわれが計画してもそうはいかないというような、そういう程度のものなのか、防衛庁が自主的にここが適当だというように選定をしていくとするならば、一応計画というようなものがあると思うのでございますが、その点一つ説明を願いたいと思います。
  46. 林一夫

    ○林(一)政府委員 第三航空団、第四航空団が松島に設置されるようになったのでございますが、もちろん今後この航空団というものが充実されていきますと、浜松の場合におけると何様に、そこに同居できなくなるというようなことになります。私が先ほど申しましたのは、一つ千歳に参り、二つは松島に設置されると、いかにも北方に固まっておる。だから何か北方にこの際特に戦略的な重要性が移ったのではないかというような御質問かありましたものですから、いや、そういうわけではない、たまたま千歳は共同使用ができる状態になったのでありますから、この方面に共同使用をしてもらう、松島に二航空団を置きましたのは、現在の規模では松島に同居できるのであります。ただ現在のところ、ほかにジェット基地として使用できるところの基地がないのでありまして、さしあたり松島に二航空団を設置したのであります。将来浜松の現状と同様に、二航空団が同居できないというような状態になれば、これはさらにほかのところに土地を求めなければならぬというような計画でおるのであります。南の方と先ほど申しましたのは、あまり北方に片寄っておるではないかというような御趣旨の御質問であったので、そのほかの適当な土地というような意味で、北方ばかりに片寄らず、さらにほかのところに適地があれば、その方に移すようになるであろうということを申し上げたのであります。
  47. 小滝彬

    小滝国務大臣 今のは回答がちょっと直接的でなかったから、私から補足して申し上げます。石橋さんのお尋ねの点の、将来どこに置くかということ、これは土地の獲得と申しまするか、適当な飛行場の獲得が可能であるかどうかによりまするけれども、私どもが今考えておりますのは、茨城県の百里原の方をなるべく話し合いをつけて、あすこに持っていく以外には、ほかに適地はないじゃないかという一応の計画でおります。
  48. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 もう時間もありませんので、あまり一つところにこだわっているわけにいきませんが、次に法案の中に出て参ります軍艦の編成でありますが、練習隊群というものを置かれる。一体、今まで自衛艦隊と警備隊、こういうふうに分けておられたものの中に、新しいそういう特殊任務を帯びたものを創設するということの意味をもう少し詳しく御説明いただけませんか。
  49. 林一夫

    ○林(一)政府委員 練習隊群を今度新しく設置することになりました理由は、今まで一般の幹部候補生、これは御承知のように、一般大学を卒業しまして、試験を受けまして幹部候補生学校に入るというものでありまするが、その一般から募集しました幹部候補生とか、あるいは防衛大学校とか術科学校がありまするが、さようなところにおりまする学生、あるいは教育隊から卒業してきまするところの新任の海士、こういう君たちに対するところの上官の実習訓練でありまするが、この実習訓練というものは今まで自衛艦隊所属の警戒隊群その他もよりの地方隊の護衛隊等においてやっておったのでありまするが、このような部隊は本来の訓練を必要としておるのであります。そのような本来の訓練とこのような学生に対するところの実習訓練というものを同時にやるということは訓練の本来の目的を達することができないというようなことで、従来このような実習訓練をやっておった艦艇を集めましてこの練習隊群というものを設置したのでございます。従来も各隊でやっておった。ところがそれが本来の訓練と同時に行われておったので、両方とも訓練の目的を達することができないというわけで、そのような艦艇を集めて練習隊群というものを作って、もっぱらこのような卒業生に対して実習上官訓練をやるという目的でこのような部隊を作ったのであります。
  50. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今航空軍について伺ったときも同様な感じですが、一体海上自衛隊はどのような任務考えておられるのですか、すなわちコースト・ガードであるのかスモール・ネーヴィーを目ざしておるのか。すべての侵略に対して抵抗するのであるとおっしゃるならばこれはもうおしまいです。今現有勢力の中ででき得るもの、そしてこれだけはしなければならぬもの、こういうふうにあなた方がお考えになっているものはあるはづです。その主要任務としては何をお考えになっているのか。
  51. 林一夫

    ○林(一)政府委員 海上自衛隊の目標とするところの任務は、御承知通り海上交通路の確保、これは護衛というようなこと、あるいは掃海、あるいは港湾とか大事な水道の防備哨戒というような点が海上自衛隊のおもなる任務ということになるわけであります。もちろん現状は訓練の時代でありまして、これらの任務をどの程度やるかということになりますると、これだけできるというようなことはこれははっきり申し上げることはできないと思いますが、そのような目標のもとに整備並びに訓練を行なっておるのであります。
  52. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますると航空自衛隊訓練段階で、訓練の程度であり、海上自衛隊訓練の程度である、実戦の役に立たぬということを盛んにきょうは強調なさるわけですが、一体訓練の程度の海上自衛隊でP2V対潜哨戒機などという足の長い、しかも実戦に役立てるものをなぜ必要とするのですか、これが一つ。それからもう一つ海上交通路の確保とおっしゃいましたが、一体どこからどこに通ずる通路の交通の確保なんですか。
  53. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいまの御質問の中にどうも実戦に間に合わないものばかり作っておるのではないか、現在においては実戦に全然間に合わないのかという御趣旨の御質問があったと思いまするが、私が申し上げましたのは、現在の艦艇をもって、もしそのような任務を与えた場合においてはもちろんある程度の力を発揮することかできるのであります。全然訓練の時代であって、そのような実力を発揮することができないと申し上げたのではないのであります。ただいま申し上げましたような目標に向って現在訓練を主としてやっておるわけでありまして、現在の装備でもって実力を全然発揮できないというようなことは言えないのであります。もちろんある程度の力は持っておるのであります。これに関連してP2Vというような実用機をなぜ訓練の時代に装備するかというようなお話でございましたが、現在装備しつつある艦艇、たとえば駆逐艦あるいは駆潜艇、魚雷艇など、あるいは掃海艇、これらはいずれも訓練のための艦艇ではないわけであります。駆逐艦は駆逐艦の任務があり、掃海艇は掃海艇の任務があり、有事の際にはもちろんこのような任務の力を発揮するというために装備をしておるのであります。P2Vも御承知のようにこれは対潜哨戒機でありまして、これは足の長い哨戒機で、護衛をするというような場合においてはどうしてもこのような足の長い哨戒機が必要であるということで、現在これを国産にするかどうかということについて検討をやっておるのであります。まだ決定はいたしていないのでございまして、検討をやっておるのであります。  もう一つ、護衛の範囲といおうか、距離というようなことのお尋ねがあったのであります。これはやはり内航護衛、外航護衛ということになると思います。日本の沿岸の護衛あるいは少し長い距離の護衛、そういうような護衛ということが一つ任務になっておるのであります。どこまでかと、こういうふうにおっしゃられると、まだこれははっきり申し上げられないのであります。いずれにしても有事の際に戦需物資あるいは民需物資を輸送する商船を護衛するということが、海上自衛隊一つ任務になっております。このような目標のもとに現在整備をし、あるいは訓練をしつつあるのであります。
  54. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 防衛庁の方は当然もうイギリスの国防白書などというものはお読みになっていらっしゃると思います。イギリスとソ連とは国交を断絶しているという関係ではありません。だがしかし、イギリスの国防白書を見ますと、至るところにソ連の侵略に抵抗するための能力を備えるに当ってわれわれにとって不可欠な要素はというような言い方をして、明らかにソ連あるいは共産諸国が攻めてきた場合はこういうふうにということを明確に言っているわけです。そのことがいいか悪いかは別といたしまして、ともかく防衛の目標、侵略形態に対してどのように戦うかということを明確に示しているわけであります。これなくしては国民軍隊というものの存在価値を疑わざるを得ないわけであります。何だかわからぬ、火星からあるいは攻めてくるかもしれないからそれも防ぐのだ、そういう準備をしておるというような目標の定まらない軍隊というものをあなた方はここで極力説明しようとする。私はこれはあなた方御自身にとっても損じゃないか、こう思うのです。今のお話で沿岸警備と外洋確保、警備といいますか、そういう両方を目標にしている、こういうお話であります。それでは外洋というのは一体どの範囲を言われるのですか。少くとも今外洋といえば日本からアメリカの大陸へ行くか、中国の大陸へ行くか、あるいは南部のマリアナ諸島へ行くか、アラスカへ行くか、この程度しか私たち考えられないわけであります。しかし今のあなた方のお持ちになっている軍艦でアメリカ大陸まで船団を護送していく能力などというものは、これは常識的にありません。またそれじゃ日本から船に乗っけて中国本土やシベリヤへ船団護送をするのか。これは今まで保守党内閣の諸公の再々の御説明によって、海外派兵をいたしません。ですから、やらないでしょう。私はその通りすなおに受け取ります。そういたしますと、あなた方の海上自衛隊の確保する外洋の範囲というものは、おのずからきまってくる。マリアナ諸島かアラスカか。アラスカなどというものにあなた方が連絡をなさる必要は多分ありますまい。私は戦術家ではありませんから、正確には言えませんが、常識としてはありません。そうすると、あなた方の海上自衛隊というものはマリアナ諸島、せめてサイパンくらいまでは何とか船団護送をしていきたい、そしてその程度の任務をみずからに課しているとしか、常識的には考えられないわけです。もしそうだとするならば、P2Vの対潜哨戒機をあなた方がほしがる理由が初めて読めてきます。今の海上自衛隊の艦艇勢力では、せめてサイパンまででも護送というものは、非常に困難である。そこで足の長い対潜哨戒機を使うことによって、軍艦をふやさずにその能力を補充できる、こういうとかうに私たち考えられてくるわけです。そう考えて参りますと、今の海上自衛隊というものが何を任務にしているかということは、あなた方の側からもう積極的に明確になさる必要があるのじゃないか。そうすることによって、国民もまたある程度、なるほどそういうことをあなた方が考えているのか、それならばもっと予算を出そうとか、もっと予算を削っていいとか、国民の批判というものは的を持ってくるわけですね。あなた方は今なるべく的を持たせないで、もやもやとした中で何となく作ってしまおうとなさる。そんなことでできた軍隊というものが、一体役に立ちますか。そういう意味で、今回の自衛隊の練習隊群をお作りになるのを契機に、日本海上自衛隊は何を目途にしているのかということを、一つ小滝長官から御説明をいただきたいと思います。せめてサイパンまででも船団護送をしたいのだ、こういうなら、それでけっこうです。
  55. 小滝彬

    小滝国務大臣 今飛鳥田さんのおっしゃる点は、大体私も了解し得るところであります。抽象的にはもうすでに防衛局長から申し上げておりますが、海上から来る侵略あるいは妨害というものに対処するために、最小限度の海上自衛力を持とうというのが、私どものねらっておるところでありまして、もちろん港湾であるとかあるいは海峡の防衛ということも必要でありますが、同時に、この日本のように、世界から原料を買わなければならぬ、食糧も買わなければならないところにおきましては、有事の際に商船の護衛ということは必要になってくる。そこで今の私どもの考えております海上自衛力では、主として内航を護衛するという限度でありますけれども、しかしそれでは私どもの目的は達成し得ませんから、外航についても、日本の実力である程度までは商船の護衛をするという任務を果さなければならぬ。御指摘のように、サイパンの程度までは行きたいものでありますが、今の勢力ではなかなかそこまでも行き得ない。しかし、できるだけこの日本の必要を満たすだけの物資の出入を確保したい。その目的のために相当距離まで哨戒して任務が果し得るようなものを持ちたい、こういうのが私どもの考え方であります。
  56. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 大体わかりました。私の申し上げた大体の構想は首肯できる、こういうお話でありますので、ほかの問題に移ります。  そこで、今度は、海軍と空軍の両方か飛行機を持っておるわけですが、その操縦者はどう教育しておられるか。すなわち、航空幕僚監部一本にまとめてやっているのか、各自衛隊に分離し置いておられるのか、この問題を一つ伺いたいと思います。すなわち、昭和二十八年十月に、極東軍司令部のワイランド大将から木村長官に向って、各部隊航空部隊はすべて第三幕僚監部に統合すべきだ、こういう意見が述べられた。ところが二十八年の十二月に、極東軍司令官ハル大将が吉田総理大臣に向って、書簡で、陸海それぞれに航空部門を保有すべきだ、こういう意見を述べてこられた。すなわち意見が違うわけだ。ワイランド大将とハル大将との意見は全然ま反対。これについて、一体自衛隊はどうなさっておられるのかということをずっと見て参りますと、今は別々に持っていらっしゃるようです。ところが、たしか昭和三十年十二月に、砂田長官は統合教育の方針をきめて、強引にこれを実施したというお話伺いました。一個の見識として私は敬意を表します。ところが、がぜんアメリカ海軍側が大むくれにむくれて、それを具体化することができない、こういう状態にあると聞いております。一体あなた方は具体的な解決策を講じておられるのでありましょうか。ワイランド大将、ハル大将、そしてまた砂田防衛庁長官、そうして米国海軍側の意見、この四つの意見の中にはさまって、あっちへふらふら、こっちへふらふらなさっていらっしゃるのではないかということを私は感ずるのでありますが、具体的な解決法がすでになされておりますならば、お聞かせを願いたいし、具体的に解決なされていないならば、小滝防衛長官のこの点についての明確なる御意見を伺わしていただきたい。
  57. 林一夫

    ○林(一)政府委員 お話のように、この問題についてはいろいろの意見があったのであります。防衛庁といたしましては、防衛庁独自の考えからして統合教育が必要であるという認識のもとに、その方向で方針を立てて現在やっておるのであります。具体的に申し上げますれば、第一操縦学校というのが築城にあり、分校が防府にあるのでございますが、ここにおいてはT34メンターという飛行機、練習機でありますが、これによって航空自衛隊海上自衛隊の要員に初級の教育をいたします。次に、第二操縦学校というのが現在松島にあり、分校が矢ノ目にあるのでありますが、ここにおきまして、この初級の第一操縦学校を出た者にさらに中級の教育をやり、訓練をやっておるのであります。この第一操縦学校と第二操縦学校において、大体初級、中級の基礎的な訓練はできるのでありますが、ここを卒業した者について、空におきましては、築城におきまして第三操縦学校——現在は臨時築城派遣隊と申しておりますが、ここにおいてT33ジェット練習機の教育をやり、海上自衛隊につきましては、鹿屋におきまして、SNBという飛行機を使って訓練をやるということになっております。でありますから、初級、中級の基礎的な訓練は統合してやっておるのであります。もちろん訓練内容につきましては、海の方の方式と空の方式がいささか違っておるのでありますから、内容において違った点はあるのでありますが、いずれにしましても、第一操縦学校、第二操縦学校におきまして、航空自衛隊のパイロット、海上自衛隊のパイロット要員、これを両方合せて統合訓練いたしております。将来もこの方針で進むことになっております。
  58. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そうしますと、ワイランド大将あるいは砂田前防衛庁長官の統合教育の方針は実施せられておる、こういうことですね。
  59. 林一夫

    ○林(一)政府委員 さようでございます。
  60. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 それでは違う問題を、時間もありませんので、大急ぎで伺いますが、今度、米軍と防衛庁と交渉をなすって、域外調達の形で駆逐艦二隻を供与されることを約束してこられた、こういうことであり、しかもそれに基いて法案を今国会に提案なさる、こういうお話でありますが、一体どのような内容を含む法案なんでしょうか。
  61. 小滝彬

    小滝国務大臣 前からこの話がございまして、馳逐艦二隻を日本へ供与する、そうして日本海上自衛隊が使えるようにするということの話、これは私はけっこうなことであると思います。これについては防衛庁としても便宜を供与してしかるべきであろうと考えます。今交渉中でありまして、はっきりどういう法案ということは申しかねますけれども、防衛庁がそういう取り計らいをすることについて、防衛庁組織法の方にはそういう任務も明記してないので、そういう点とか、あるいはまた向うの出す金を下請業者に渡すという点についても、あるいは向うが直接払うか、防衛庁が直接払うか。防衛庁の方で介在するとすれば、いろいろ会計法上の関係もあって、特別な規定を要するのじゃないか、こういうような点を目下検討中でございます。
  62. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますと、調達業務を行うという項目を防衛庁設置法に加えることと、あるいは検査、あるいは原価計算、こういうこまかい交渉について、ある程度の明確になるような法案を出したい、こういうふうに伺いましたが、一体これはMSAでもらうのか、すなわちMDAPでいくのか、あるいは別個の艦船貸与協定のようなものでいくのか、MWDPのようなものでいくのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  63. 小滝彬

    小滝国務大臣 これについては、あくまでもNDAPによる供与でありますから、それについて便宜を供与するものであって、別個の協定というものではなく、MDAPによるものであると解しておりますし、先方もその気持で進んでおります。
  64. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしまと、MDAPで供与を受けるということになりますと、秘密保護の規定などを含んだ法案は必要がなくなりますか。
  65. 小滝彬

    小滝国務大臣 この問題は、今度の駆逐艦二隻の内容にかかわるものでありまして、もしそれが特にそういう法律による秘密保護というものが必要であれば、御指摘のように、法的措置が必要になるかもしれない。その点は私はそういうことの必要はないではないかと思っておりますが、まだ交渉中でありますので、今申し上げましたことは、私の持っておる知識なり考え方を申し上げたものと御了解願います。
  66. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 必要はなかろうと思われるというお話ですが、そのことを私は望みます。ところがMDAPに関するいわゆるMSAの秘密保護法、これによりますと、アメリカ軍から日本軍に供与された装備品ということになっております。供与された、すなわち占有権なり管理権がこちらに移ってからの以後に初めて秘密保護の規定が役立ってくるということであります。ところが今回の域外調達のやり方を新聞等で拝見いたしますと、まず日本が調達業務を受け負って、これを日本政府が引き受けて日本の業者に艦船建造を注文する。発注の手続としては、日本政府がまず国内の造船所にこれらの駆逐艦を発注して、でき上ったものを一たん米側に引き渡し、米側でこれを防衛庁にくれることになる模様だということであります。そうなるかならないかはわかりませんが、とにかく船は日本の造船所で作るわけです。そしてその船にはアメリカからいろいろな武器を持ってきてこれに装備をする。しかしこれは建造中は、日本に占有権を引き渡された、あるいは日本に管理権があるとは言えないものです。アメリカのものですけれども、秘密保護法の日本軍に供与された装備品ということには当らない。ところが日本の造船所あたりでどんどん作ります。持ってきていろいろな武器をつけます。この間の秘密保護をどうなさるのですか。妙に拡張解釈をして、この間に造船所あたりにどんどんへんてこなスパイなどを入れられたり、また造船所に勤めております労働者たちを一々検問したりするようなことがありますと、これは大へんなことになると思います。ひいては造船所関係の労働組合の組合活動まで制限してしまうおそれがある、こう私は考えるのでありますが、この点について防衛庁長官としてはどうお考えになっておるか。
  67. 小滝彬

    小滝国務大臣 私は先ほどお答えしたところでおわかり下さるだろうと思います。飛鳥田さんは法律家だし、どうせそういう点を指摘されると思って、回りくどい表現でございますけれども、そういう必要はないと思う、ということは、何もあの秘密保護法を建造中のものに適用しようとするのではないので、向うとの話し合いにもよるけれども、大体新しい立法なんかは必要としないのじゃないかということは、そういう保護を必要とするようなものを建造さすのではなしに、普通の取り計らいで十分やり得るという趣旨を申し上げたのでありますが、今御指摘のような点はごもっともでありまして、その点は全然無視しておるわけではございません。しかしそういう必要はないだろう。装備なんかについて、あるいはできてからもらうということもできるでありましょうが、私の考え方は大体そういうところであるということを御承知願いたいと思います。
  68. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今までMDAPでもらったものは全部返還義務がない、こういうようにお考えになっていたようであります。ところが、艦船貸与協定によってこちらに渡されたものは、処分、改造は一切アメリカの承諾を要する、こういうことになっておりましたので、返還するときは原状に回復する義務がある、損害賠憤義務も場合によれば日本にあるということでありますす。今回MDAPでというお話になりますと、この供与される二隻の駆逐艦はもう返す必要がないものなのか、使い捨ててしまっていいのですか、それとも返還の義務があるのですか。もし返還の義務があるとすれば、原状回復の義務あるいは損害賠償の義務があるのですか、その点を明白にしておいていただきますと、次に出るところの法案審査が楽になると思います。
  69. 小滝彬

    小滝国務大臣 次にお願いします法案につきましては、出ましてから御審議を願いたいと思いますが、防衛の必要がなくなった際には、これを原則としては返還する、しかしその際には協議してやるというのが考え方でありまして、その際に協議せらるべきことでありますから、従来の経験からいたしましても、私はそういう御心配になるような問題は起らないだろうというように信じております。
  70. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今返還の話が出ましたから、ついでに関連してでありますが、MDAP以前に、何の根拠かわからないようですが、日本自衛隊に引き渡されたアメリカの諸兵器、すなわち車両とかタンクとか、そういうものを今回アメリカは全部防衛庁から引き揚げて、再修理をして、これを東南アジアに出す。たしか九千台とか伺いましたが、別に日本には、日本で域外調達をしてこれを自衛隊に渡すというような計画があると聞いておりますが、これは事実でしょうか。
  71. 小滝彬

    小滝国務大臣 そういう話し合いが進んでおります。
  72. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますと、そういう業務はやはり防衛庁でなさるわけですか。
  73. 小滝彬

    小滝国務大臣 これは私どもが介在しないで、直接米軍の方で取り計らうということになるという話し合いでございます。
  74. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 一体今ある九千両の車両を、アメリカが返還を要求してくる本質的な根拠は何ですか。すでにもらっちゃったんじゃないですか。
  75. 北島武雄

    ○北島政府委員 御質問の点につきましてはまだ細目がきまっておらないのでありますが、従来まで米軍から自衛隊にMDAPで供与された車両のうち、相当部分を返還いたしまして、そのかわりに新車をまたMDAPで日本に供与する、こういう考え方でございます。
  76. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 この問題ももっとたくさん伺いたいのですが、もう皆さんも御迷惑でしょうからまた次の機会に譲らせていただきますけれども、一つどうしてもこまかい問題ですが納得できない。それは委託訓練費、これが全然予算に計上されておらないで相当使われているということを聞くのですが、これはどうなっておりましょうか。
  77. 北島武雄

    ○北島政府委員 御質問の趣旨がちょっと私わかりかねますが、今まで委託を受けまして訓練したことはございません。ただし今回の法案に関連いたしまして、主としてジェットのテスト・パイロットの訓練自衛隊において引き受けることができるように改正の御承認を願う、その関係かと思います。
  78. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 ちょっと関連して。同じく事務的な問題ですが、大したことないといえば大したことないのですけれども、提案理由説明法案が違っているような部分があるようなんですが、それは防衛庁設置法改正の第二に掲げられておる、技術研究所が部外からの委託を受ける場合、これに提案理由説明では、技術的調査研究、考案と「考案」が入っているわけですけれども、改正法の中には「考案」は抜けている。実際考えてみた場合に「考案」はのけられた方が妥当のような気もするわけですが、一体どちらがほんとうなのか、そこのところから一つ説明願いたい。
  79. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 技術研究所に関しまして今度特にお願いした趣旨は、設備、技術等に、他にないものがあるので、部外から技術的な調査、研究、設計及び試験を委託したいという申し出があった場合に、業務に支障のない限りそういうことをやり得るということをお願い申し上げた次第であります。
  80. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 提案理由説明の際には「考案」というのが入っておるわけです。これは速記録にも残っておりますから、間違いなら正式に取り消しておいて下さい。
  81. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 今大臣から御説明になりました提案理由説明の中にございます「考案」というのは、この調査研究という中に入り得ると解釈いたしておるわけであります。
  82. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 提案理由がほんとうだというわけですか。
  83. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 さようでございます。
  84. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは法案が違いますよ。違う法案審議できません。
  85. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 法律的に申し上げますと、今申し上げました「考案」というのは調査研究の中に入り得ると解釈いたしておるわけであります。
  86. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは第三十四条、現在の条文の中には、「技術研究所は、自衛隊の装備品等についての技術的調査研究、考案、設計、試作及び試験並びに」云々と、「考案」を入れておいて、第二項に挿入する今度の新設の法文では、技術的調査研究の中に入るのだから抜かすのだというのは筋が通らないと思うのですが……。
  87. 門叶宗雄

    ○門叶政府委員 今の点につきましては後刻御説明申し上げたいと思います。
  88. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 これの提案されたのは二月の二十日なのです。一ヵ月問われわれはこれを付託されて審議しているのです。法案の字句について後刻ということはないと思うのです。
  89. 相川勝六

    相川委員長 すみやかに防衛庁意見をきめて下さい。
  90. 小滝彬

    小滝国務大臣 午後までによく意見をとりまとめまして御報告をいたします。
  91. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 ジェット機の生産協定が第一次、第二次、第三次とでき上ったわけです。第三次は三月十五日ころという話ですが、第四次としてF104を考えていらっしゃるということですが、もし考えていらっしゃるとすればその理由を、伺いたいと思います。
  92. 林一夫

    ○林(一)政府委員 F104の国産の問題でございますが、F104という飛行機につきましては、これが経済的、技術的に果してわが方の国産に適するかどうかというようなことはわかっておらないのであります。わかっておりまするのは、現在アメリカにおいてこれが試作研究されておる結果によりますると、非常に速度の早い、実用上昇能力の強い優秀なものであるということはわかっておるのでありますが、先ほど申しましたような点について、まだ不明の点が非常に多いのであります。これを国産に移すかどうかということについては、まだはっきりきめていないのであります。今後検討すべき問題であるかと存じます。
  93. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 まだおきめになっていらっしゃらないなら仕方がありません。第一次協定の資金は見返り資金から出ておったと思いますが、第三次協定の資金はどこから出るのですか。
  94. 北島武雄

    ○北島政府委員 第一次の資金は見返り資金から出ておったとおっしゃいましたが、それは第一次の製作に着手するに当って設備資金の融通を小麦資金から行なったわけであります。その設備資金ができますと、あとは防衛庁の予算によりまして毎期ずつ買い上げるということになるわけであります。
  95. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 わかりました。それでは聞きたいことがうんとあるのですが、時間もおそいのですから、最後に、先ほどちょっと申し上げましたけれども、イギリスなどを見ますと、国防白書といって、国民も読んでみれば、かりにその立場に反対するにしても、一応筋の通った、納得のできる非常に堂々たるものが出ておるわけです。小滝長官は就任をせられての最初のお仕事として、国防白書のようなものを作って国民に向ってお示しになるお気持があるかどうか。少くとも防衛庁国民に向って自衛隊を理解してはしい、理解してほしいと始終おっしゃっていらっしゃるのですから、お出しになるお気持もあるかと考えておったのですが、今までどの長官国防白書をお出しになっていらっしゃいません。今度はどうでしょうか。
  96. 小滝彬

    小滝国務大臣 皆さんによく理解していただくということは絶対に必要なことでありますので、これまでも部分的には自衛隊の実情あるいはその任務というようなものを、いろいろなものを通じて皆さんにわかってもらう努力をしてきたのでありまするが、でき得れば、そうしたもっと包括的にわれわれの考え方を示すようなものができることは望ましいことと存じます。ただこれまでも御説明申し上げましたように、より長期的な計画も国防会議で御審議願ってこれを決定したいと思いまするので、その際にはそれに付帯するところの啓発と申しますか、いわゆるPRについても、何らかの形でそれを具体化していきたいということを私は考えておる次第でございます。
  97. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 きょうの朝日新聞を拝見いたしますと、米上院特別委員会の軍事援助報告というのが載っております。この軍事援助報告の中で「武器援助を受けている日本についてふれ、日本の陸海空軍三軍は、この二年の中に十分な防衛の役割を果すようになるとし、その間は駐留米軍が防衛責任を分担する、」こういうふうに述べておられるようであります。二年のうちに十分な防衛の役割を果すようになる、こういうふうにアメリカの報告で報告をされておるということでありますが、一体こういうような報告の材料をアメリカ軍に対して防衛庁はお出しになったのかどうか。
  98. 小滝彬

    小滝国務大臣 始終相互に連絡はありまするけれども、そういう今後のことというものは、予算とも関係のあることであり、国会の承認を得なければできないことでありまするし、またさっき申しましたように、国防計画というものがはっきりできておらないという次第もございまするので、おそらく先方は大体日本側の努力を見てこういうことを想像して、その想像に基く声明をいたしたものではなかろうか、こういうふうに考えられるのでございます。
  99. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そうですか、私はアメリカでも議会で報告するのですから、そんな想像で報告すると考えたくはありませんし、長官のお言葉でそんなにアメリカの議会を侮辱するなどということは思い及ばなかったわけです。想像でただ述べるなんということをあなた本気になっておっしゃって、あとの外交交渉にお差しつかえありませんか。
  100. 小滝彬

    小滝国務大臣 われわれの方で書きものを出したわけでもないし、私も横文字の原文を持っておりませんのでわかりませんけれども、私の想像するところでは、そういう従来の努力の跡にかんがみ、そういうことを期待するという意味ではないかと思いますが、それはさらに原文でも調査の上でなければ結論的なことは申し上げかねます。しかし私がけさちょっと見ました感じでは、今申したような感じを受けたのであります。
  101. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういたしますと、あなた方は、この二年の間に十分な防衛の役割を果すように陸海室三軍はなれると考えていらっしゃいますか。
  102. 小滝彬

    小滝国務大臣 十分な防衛ということが一体何を意味するか、これはその定義にもよることと思いますが、私は二年間に日本が独力で一応の防衛を全うし得るようになるということは、非常にむずかしいのではないかと考えております。
  103. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 関連して。さっき飛鳥田委員が触れたところの自衛隊法改正案の第三点の、自衛隊任務遂行に支障を生じない限度で一定の技術者の養成または教育訓練の委託を受けるようにしようということでございますが、どういう技術者かは政令で定めることになっておるのでありますが、大体どういうものを考えておるのかということが、質問の第一点であります。  それから一体だれでも委託することができるのか、そういうことに限界があるのかどうか。それから今後自衛隊以外で養成または教育訓練を始めたといったような場合には、自然消滅でその部分についての養成は自衛隊でやらないということになるのかどうか、その辺を少し説明していただきたい。
  104. 北島武雄

    ○北島政府委員 御質問の改正趣旨は、ただいまねらっておりますのは、主としてジェットのテスト・パイロットについてでございます。と申しますのは、従来F86、T33につきましては、御承知通りに、新三菱重工業あるいは川崎航空機工業に製作させておりました。会社としては防衛庁に納める前にテスト・パイットはどうしても必要でございますから、そのテスト・パイロットを従来は米国人を雇っておったのであります。彼らが帰国いたしまして、今後においては日本人を自分のところで養成してテスト・パイロットを作りたいという希望がありましたので、防衛庁としても、自衛隊任務遂行に支障を生じない限度において委託訓練を行うことが必要であると考えまして、このような改正案を提出したわけでございます。
  105. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それに関連いたしますが、長官にお尋ねしたいのでございますけれども、こういう制度も必要かと思います。ところがそこまで高度な技術者を養成訓練するためには、やはりその城に一ぺんに達するわけじゃないわけです。たとえば民間でグライダーの訓練などを盛んにやっておりますが、経済的にも非常に苦しい立場にあるようでございます。こういう搭乗者の訓練というものに関係のあるグライダーの訓練に携わっているものに、国で何らかの援助をしてやるというようなお考えはないものかどうか、お尋ねいたしたい。
  106. 北島武雄

    ○北島政府委員 今回御提案申し上げております法案は「政令で定める技術者で他に養成又は教育訓練を行う施設がないと認めるもの」というようなことになっております。ジェットの操縦者の場合は、他にその施設がありませんので、自衛隊としては自衛隊任務遂行に支障のない限度においてこれをやる方がよかろうというわけでありますが、ただいまのグライダーの訓練などにつきましては、自衛隊もグライダーの訓練はいたしておりませんし、他に養成または教育訓練を行う施設がある場合には、もちろんこれを自衛隊で引き受けるということはございません。
  107. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それはさっき私が質問したことに局長は答えていない。民間で独自の立場で教育訓練、養成を始めたいというような場合には、この自衛隊の規定はおのずから自然消滅するのかと私尋ねておったのですが、それでは今の返事は、そういう場合にはもう自然やらなくなるのだということですね。
  108. 北島武雄

    ○北島政府委員 さようでございます。
  109. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それではそれとは関係なく、昔、日本軍隊はなやかなりしころも盛んに学校その他でグライダー訓練というものをやったわけなんです。今後の航空時代というものに備えて、特に自衛隊もこのグライダーというものに関心を持つ必要がありはせぬか。そういう意味から、私先ほど何らか国家的な援助というようなものを考える時期にきておりはせぬか、何か考えたことはないかとお尋ねしたわけです。
  110. 小滝彬

    小滝国務大臣 民間の航空技術が向上するということはまことはけっこうなことでありまして、私どもの歓迎するところでありますが、今そうした面は直接考慮いたしておる次第ではございません。
  111. 西村力弥

    西村(力)委員 先ほど飛鳥田委員の質問に対して、すなわち駆逐艦の日本における建造の場合には秘密保護法の適用ということを考える必要はないだろう、こういう御答弁でございましたが、それは駆逐艦の装備の中に全然秘密保護法を適用されるようなものが存在しないということか、またそれは存在しても、建造過程において、そういうことを適用しない方法によってこれを装備する、こういう意味でありますか。  それから同じ問題でありますが、朝日新聞のきょうの記事によりますと、P2V−7の国内生産をはかるということが書いてある。これを見ると、相当部分アメリカの方から供与になるというのですが、このP2V−7の部品というものは、向うでは相当にぎって放さない大事なものだろうと存じますが、それはどういうものであろうか、それを一つ示してもらいたい。
  112. 林一夫

    ○林(一)政府委員 初めの駆逐艦の中に防衛秘密があるかどうかという点につきましては、まだはっきりとわかっていないのであります。どんなものがあるかということはまだはっきりわかっておりません。  P2V−7のことでありますが、このP2V−7を国産に移すかどうかは現在検討中でございまして、まだ決定したわけではございません。このP2V−7と防御秘密の関係でありますが、現在P2V−7は向うから供与を受けて六機来ております。この中には防衛秘密に該当するものはないと考えますが、またあとで正確な点は調査してお答えいたします。
  113. 西村力弥

    西村(力)委員 大臣は、この秘密保護法の適用は建造過程において必要なし、こういう工合に考える、こう言われましたが、今の林局長お話では、まだ不明だ、どんなものが装備されておるのか不明だ、こういう二つの答弁を考えると、どうもそこが一致しないように私には思われるのです。その点こて……。
  114. 小滝彬

    小滝国務大臣 これは速記録を見ていただきますとわかると思いますが、交渉中であるということを申し上げたはすであります。ただ私は、今秘密保護法の範囲を拡張してこうやるというような意向は狩っていないということでありまして、今防衛局長が言ったのはまだきまっていない、全くその通りであります。ただ私の大臣として答えます際に、私の考え方は、この駆逐艦二隻を日本で建造するからということで新しい秘密保護法をそのために作るという考えは、私としては持っておらぬという趣旨を申し上げたのであります。
  115. 相川勝六

    相川委員長 それでは午後三時より再開することとし、これで休憩いたします。    午後零時四十六分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかった〕