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1957-03-19 第26回国会 衆議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月十九日(火曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 相川 勝六君    理事 大平 正芳君 理事 床次 徳二君    理事 福井 順一君 理事 保科善四郎君    理事 石橋 政嗣君       大坪 保雄君    大村 清一君       小金 義照君    北 れい吉君       薄田 美朝君    田村  元君       眞崎 勝次君    粟山  博君      茜ケ久保重光君    飛鳥田一雄君       淡谷 悠藏君    稻村 隆一君       木原津與志君    下川儀太郎君       西村 力弥君  出席国務大臣        国 務 大 臣 大久保留次郎君  出席政府委員         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   大山  正君         総理府事務官         (行政管理庁管         理部長)    岡部 史郎君         防衛庁参事官         (人事局長)  加藤 陽三君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 三月十八日  委員川俣清音辞任につき、その補欠として淡  谷悠藏君が議長の指名で委員に選任された。 同月十九日  理事山本粂吉辞任につき、その補欠として床  次徳二君が理事に当選した。     ――――――――――――― 三月十八日  紀元節復活に関する請願外八十六件(纐纈彌三  君紹介)(第二一八六号)  同外四十五件(纐纈彌三君紹介)(第二二二二  号)  同(纐纈彌三君紹介)(第二二五八号)  元樺太特定郵便局長恩給法適用請願(内藤  友明君紹介)(第二一八七号)  下郷町の寒冷地手当引上げ請願鈴木周次郎  君紹介)(第二一八八号)  看護職に対する人事院勧告俸給表是正に関す  る請願森島守人紹介)(第二一八九号)  恩給額調整に関する請願河本敏夫紹介)(  第二二一七号)  同(倉石忠雄紹介)(第二二一八号)  同(齋藤憲三紹介)(第二一一九号)  同外七件(遠藤三郎紹介)(第二二二〇号)  同外一件(畠山鶴吉紹介)(第二二二一号)  同(原彪紹介)(第二二四一号)  同(有田喜一紹介)(第二二五四号)  同(小澤佐重喜紹介)(第二二五五号)  同(笹山茂太郎紹介)(第二二五六号)  同(花村四郎紹介)(第二二五七号)  旧軍人関係恩給加算制復元に関する請願(池  田清志君外一君紹介)(第二二〇一号)  同(床次徳二紹介)(第二二二三号)  同(福井順一紹介)(第二二五九号)  同(藤枝泉介紹介)(第二二六〇号)  同(荒舩清十郎紹介)(第二二六一号)  恩給増額改訂に関する請願伊藤郷一君紹介)  (第二二五二号)  同(椎熊三郎紹介)(第二二五三号) の審査を本委員会に付託された。 同月十五日  金鵄勲章年金復活に関する陳情書外一件  (第四四五号)  紀元節復活に関する陳情書外十五件  (  第四四六号)  首都圏整備法における緑地帯反対に関する陳情  書  (第四七四号)  同(第五五  五号)  旧海軍特務士官及び准士官処遇改善に関する  陳情書外一件  (第四七七号)  同(第五三  三号)  旧軍人関係恩給加算制復元に関する陳情書  (第四七八号)  傷病恩給増額に関する陳情書  (第四七九号)  美保基地ジェット機配置反対に関する陳情書  (第四八一号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件 理事の互選  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三二号)  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第八五号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第八八号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第九一号)     ―――――――――――――
  2. 相川勝六

    相川委員長 これより会議を開きます。  この際理事辞任についてお諮りいたします。理事であります山本粂吉君より理事辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 相川勝六

    相川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。  引き続き、理事補欠選任についてお諮りいたします。その方法は、先例によりまして委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 相川勝六

    相川委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長におきまして、床次徳次君を理事に指名いたします。     —————————————
  5. 相川勝六

    相川委員長 次に行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を続行いたします。飛鳥田一雄君。
  6. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 定員法の問題についてお尋ねをいたしますが、そのうち特に郵政省の分について本日は伺いたいと思います。配付いただきました資料によりますと、特定郵便局増置に伴う増五十、郵便取扱い業務増加に伴う増六百九十六、こういうふうになっておりますが、果してこれらの六百九十六程度定員増によって非常に増加をいたしつつあります郵政事務をまかない得るものかどうか、はなはだ私たちとしては疑問に思っておるところであります。たとえば、東京の板橋郵便局においては、区内人口が約一万人も増加をいたしておりまして、郵便物数の取扱い等非常に激増いたしております。そのためには、少くとも常識的に考えて、外勤十七名くらい、内勤六名くらいを増加しなければとうていさばき切れないという状況であるにもかかわらず、今回もまたこの点についての御配慮がないように思われます。従って、平均四千通からの郵便物をやむなく処理できないというような状況になっておるそうであります。  これは一例を申し上げただけでありますが、ふえていく郵便物業務量、こういうものに六百九十六程度で追いついていけるものかどうか、この点からまず伺わしていただきたいと思います。
  7. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 ただいま郵政省定員の問題についてお尋ねがありました。郵政省定員増が少な過ぎるというお話がありましたので、一応私どもの方において検討してみました総数から申しますると、郵政省関係のただいまの定員は二十五万九千四十人であります。それが本年度はどうなっておりますか、すなわちことしの予算によってこれを何人増してあるかといいますと、二十六万一千一人で、純粋に増加しましたものが千九百六十一人であります。そのうちでただいまおっしゃった通り郵便関係においては六百九十六人、そのほか電話関係等において千七百三十二人、こういう工合に総計においては千九百六十一人。ところが一つ考えを願いたいことは、本年度定員増加は、主として現業員重きを置いた、つまり郵政省その他そういう現業関係重きを置いてあるので、総計増加が二千九百人です。これはこの前御説明申し上げたと思いますが、二千九百人の全部の職員増加に対して、郵政省だけで千九百六十一人、つまり三分の二だけは郵政省がとっておるわけです。ですからこういう点から考えてみますると、一つこのくらいの範囲において何とかがまんして、やってもらいたい、こういう感じを持っております。
  8. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 私はその全体が少な過ぎはせぬかということを申し上げておるのでありまして、今の大臣お話ですと、全体のワクがきまっておって、そのうちの半分を郵政省がとっておるのだからがまんせい、こういうお話のように伺いますが、それでは一体何のために定員増加をなさるのか、定員増加というのは、少くとも定員をふやしていかなければ業務を執行できないということに基くものだろうと思うのです。ところが現実郵政省が、なるほど御説の通り千九百六十一人ふえるとしても、それだけではとうてい今たまっている郵政仕事を処理していけないのじゃないかということを私はお伺いしているわけです。現実従業員年次有給休暇をとらない状況を調べてみますと、大体一人平均男で五十四・五日、女性で四十五・三日、最高は百五十日も有給休暇をとらない方がおるわけです。だれだって休みたい。だがしかし自分有給休暇をとると、周囲の人に迷惑をかけてしまう。同僚労働強化になる。そのために心ならずもとれない。あるいはまた怒濤のように押し寄せてくる郵便物をさばくために、これを自分が休んでさばかないと、一般の方々に迷惑をかける、こういうことで心ならずも休めない状況であります。今回の春闘の問題についても、政府その他は盛んに国民に迷惑をかけるなどということを言っておりましたが、現実国民に迷惑をかけておるのはむしろ政府じゃないか、こういうふうにさえ思わないわけにいかないのです。少くともだれでも休みたい最中に最高百五十日、平均して五十四・五日間も有給休暇をためておるこの現実、この現実を解決することが、この千九百六十一人でできるものかどうか。これを一つ大臣にお答えいただきたい。解決できるかできないか、それでけっこうです。
  9. 岡部史郎

    岡部政府委員 私から大臣の答弁に補足して申し上げますが……、(飛鳥田委員補足というのは、前にあってから補足になるのですが」と呼ぶ)それでは申し上げますが、大臣が総括的にお答えされましたので、私数字に基きましてお答え申し上げます。飛鳥田委員がお述べになりました通り郵便関係業務激増しております。これをさばくために適正な定員を算定していかなければならないことも当然なことであります。ただその郵便関係につきましては、その事務の性質からいいまして、最も合理的に定員を算定しやすいという長所もあります。そういう見地から、われわれといたしましては、腰だめではなしに、業務量に基いて——郵便局員業務量につきまして、一つ基準を設けて計算してやっております。たとえて申しますると、大体郵便局員は一日平均いたしまして、場所によりますが、ノルマといたしましては、郵便物約二千八百通、すなわち約八貫目の物量のものを一日四里歩くというようなのが一人のノルマだというふうに大体考えておりますが、そんな業務上の計算に基きまして、それが全国的に毎年大体三%以上四%くらい業務量がふえるというような見当をつけまして、この六百九十六人というのをはじき出した次第でございます。ますます郵便業務が、ことに大都市に集中いたしますので、郵便業務サービスが低下して国民に迷惑のかからないようにそれを適正に運営し得るような適正な定員配置考えなければならないということで、そういうような年々の傾向にかんがみまして、しんぼうできる限りにおける適正な定員というものの増加考えて、毎年御審議をいただいておる次第であります。
  10. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 本年度はわかりませんが、二十九年度に比べて三十一年度においては業務取扱い量は四十六億六千九百十三万七千通ふえているはずなんですが、四十六億六千九百十三万七千通を、今のお話のように一人の取扱い量一日二千八百通として六百九十六人でさばけるのでしょうか。
  11. 岡部史郎

    岡部政府委員 これはいろいろ計算基礎がございますので、単純に割るわけにはいかないわけであります。ことにこのごろの郵便物量というのは大都市に集中して参りますので、大都市におきましては処理能力がふえる。しかし地方におきまして、民家が散在しているような場合におきましてはその業務消化量もぐっと減って参ります。それをいろいろな計算をいたしまして処理しておるのでありますが、ノルマは一応合理的な基準を立ててそれをこなし得るような、そしてそれをがまんできるような計算をやっていっております。
  12. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 一応科学的な計算を立てておやりになっているとおっしゃって、今まで何べんも定員法改正のたびに伺ったように思うのですが、現実現場で働いている郵政職員諸公労働強化段階というものは、ますます進んでいってしまうという現実が、これの明確な答えになっておるのであります。一体これによって先ほど伺いましたように、年次有給休暇を今後もとっていけるのか、今までのように五十五・五日もためてしまうというようなことが今後も続いていくのかどうか、とうてい今回の、取扱い業務に関する六百九十六人程度増加では、年次有給休暇をとっていくなどということは不可能だ、こう私たち考えるのでありますが、これはとっていけるものかどうか、この点を伺いたいと思います。
  13. 岡部史郎

    岡部政府委員 公務員全般が年二十日の年次有給休暇をみんなとっているかどうかということは別問題でありますが、私どもといたしましては少くとも現業関係職員諸君におきましては二十日の年次休暇はむしろ権利としてこれをとるべきであるし、それをとらせるような人事管理職務割当でなければならないと、こう根本的には考えております。過去におきましては飛鳥田さんのお話通り、無理な点も現業関係においてはあったということは事実でありますが、ここ数年来毎年定員法について御審議いただいております通り定員増加の大部かというものは、これは郵政関係に集中しているような状態でありますので、他の現業と比較いたしましても郵政関係割合改善していっていると思っております。過去のたまった有給休暇をなかなか一気につぶすわけにはいきませんが、現在においては今後はそういう点が割合合理的にとれるようになるものと考えております。
  14. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 他の官庁の方の年次有給休暇のたまっておる日数を正確に今資料を持っておりせんから比較して申し上げられませんが、少くとも郵政は他の官庁に比べて、この年次有給休暇のたまっている数が多いはずです。今のお話ですと、郵政には特に優遇して定員増加のたびに郵政に振り当てているというお話ですが、しかし現実には年次有給休暇をとらないでたまっている数は、郵政の方が他の官庁より多いという事実を考えて参りますと、今のお説と現実とは違うのじゃないか、こういう感じがいたしますし、第二には二十日ずつ年次休暇はとれるはずで、これをとらせなければならない、そうしてそれは権利であるというお話でありましたが、現実にはとらせないような仕組みになっていはしないか、先ほども申し上げましたように、自分が休めば同僚労働強化になる、自分が休めば市民に対するサービスの低下になるというような職業的な良心に基いて、現実としてとりたくてもとれない、日曜まで出てこいといわれれば出ていって働いているという現実、こういう現実考えてみると、今のお説のような通り一ぺんのお話では、問題は解決しないのじゃないか、少くとも安心して有給休暇のとれる段階が今回の定員法によって確保されているのかどうかということをもう一度伺わせていただきましょう。
  15. 岡部史郎

    岡部政府委員 いろいろな見方があると思いますけれども公務員が多過ぎるとか遊んでいるとかいうような御意見十分世間にもあるのでありますが、私ども見ます範囲におきましては、今飛鳥田さんのおっしゃった通り年次有給休暇をなかなかとりにくい、あるいは超勤を余儀なくされるというような事情のところもきわめて多いのであります。そういう点を公務員全般について考えていかなければならないと思っております。お示しの郵政関係職員二十五万人、今度二十六万人を突破いたしますが、これは郵便事務の近年の激増及び電話事務激増によりましてきわめて業務量が過重になりつつある、これを年々合理的な配置によりましてあるいは合理的な定員を算定していきまして、適正な勤務条件をやり得るように、従って年次有給休暇もやれるようにしなければならぬと考えておりますし、そのような方向に次第に向きつつあるということを申し上げることができると思っております。
  16. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今の岡部さんのお話でほぼわかって参りましたが、年次有給休暇もちゃんととれるように、また残業も強制されないでやっていけるように、そういう方向に向って漸次進みたいというお話であります。そうしてその方向に向って進むための第一歩として、今回の定員法があるというように私は受け取れたわけでありますが、そこで大臣に伺いたいのでありますが、この郵政仕事というものは国民全般にわたる問題であります。従ってここでそのような労働強化があり、そのような無理が行われておりますと、ひいては結局国民全般にそのしわ寄せがやって参るわけであります。先ほど申し上げましたように、板橋郵便局平均四千通も処理し切れないで残っているというようなことは、結局国民のところにしわ寄せがきておる一つの証左である、そこで思い切ってこの郵政定員についてそういうふうに市民国民しわ寄せがいかないように大幅に定員改正する、そういう修正をこれについてなさる御意思があるかどうか、これを伺いたいのであります。これでは二階から目薬と申しますかあるいは砂地に水をこぼすようなもので目立った効果は現われないということは大臣も御認識のことと思います。どうせ定員改正なさるのならば、今までやって参りましたあやまちをここではっきり一挙に是正する、こういう方向をおとりになる意思があるかどうか、たとえば今までの定員法状態をみて参りますと、こうした無理の出て参りました第一の原因は、事業の実体を無視して数次にわたる行政整理による天引き定員削減が行われたことに一つ原因がありますし、そうした天引き定員削減が一方に行われる反面、非常に新規事業の拡張あるいは国民人口増加に伴う取扱い数量増加というような面が出てきております。今までの政策と現実との非常な鋏状差と申しますか、ズレが出てきておるわけであります。この際そのズレを是正するために大勇断をふるわれる意思があるかどうか伺いたいと思います。
  17. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 ただいま郵政省関係定員を思い切って増加したらどうかというお話でありますが、調べてみますると郵便関係定員増加は昨年度においてもやはり六百何ぼ増加しておる、今年度におきましても六百何ぼ増加しておる、ことに総数から見ますると割合に思い切って増加しておる方であります。といってあなたの言われる通り職員休暇も与えない、あるいは郵便配達がおくれるために国民に迷惑をかける、これはできない話でありますが、しかしそこは両方の点をよく考えまして、一応今年度はこの定員増加でやってみていきたいと思います。どうしてもあなたの言われる通り休みもとれない、あるいは配達も不可能というようなことが出ましたならば、事務当局と相談してしかるべき措置をとりたい、こう考えます。
  18. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 その事務当局と相談してしかるべき措置をとるというのは、具体的にはどういうことですか。
  19. 大久保留次郎

  20. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 しかるべき措置というのは……。
  21. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 それは、その弊害をなくするような道を研究したいと思います。
  22. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 どうもコンニャク問答みたいですが、しかるべき措置はやはり思い切って必要なところに定員をふやすということ以外にはないわけですが、何かそれ以外におありでしたら教えていただきたい。
  23. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 もしその必要があったならば、その必要の方向に進みます。
  24. 岡部史郎

    岡部政府委員 私から追加して申し上げますが、郵政省定員につきましては本年度、すなわち三十一年度におきましては御承知の通り三千五百八十一名を増加しております。その前の三十年度におきましても三千三百四十八名を増加しておる。昭和二十八年度におきましては五千五百六十一名を増加しておる。二十七年度においても三千六十四名を増加しておる。各省の定員を極力がまんしても、この郵政省郵便物量激増ということにつきましては必要最小限度定員をつける努力はしております。また毎日の生活におきましても、この郵便物量のふえるということは当然のことでございますので、今後におきましても郵政関係定員増加は避けられないことと思っておりますが、同時に定員増加だけではなしに、この激増する郵便物量を消化するためのあらゆる機械化その他の合理化の手段もあわせて講じていく、そういう物的施設改善人的改善と両方相並んで適切な措置をとりたいというのが大臣の御意向でありますので、つけ加えて申し上げます。
  25. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 このお話はこれ以上進めていってもきっと水かけ論でしょう。ですから、この点で打ち切りますが、全逓信従業員組合計算によりますと、郵便業務量増加に伴うもの、これを適正に処理していくためには少くとも三千七十名を必要とするだろう、こういう見解が出ております。私たちがちょっとしろうと目考えてみましても、この計算はそう誤まりでないように思っております。ところが現場現実仕事に携わっている人が三千七十名要るというのに、これを約七百名近くで片づけていこうとする。あなた方はこの三千七十名という見解に対してどういうふうにお考えになるか、これは過大なものであるか、このくらいは正常な運営方式考えるならば当然だとお考えになるのか、伺わせていただきたいと思います。
  26. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 定員増加の請求をします各役所の状態を見ますと、これはあまりいい話じゃないが、実をいえば三倍、四倍くらい増加して持ってくるのです。これは郵政省が悪いというわけではない、一般にそういう傾向があります。これは大蔵省に予算を請求するときでもそうです。二倍、三倍と、万一とれたらいいということで請求する傾向があります。ですからその言ってきたことを、その通り直ちに実行することはなかなかむずかしいと思うのであります。これは、一つ意見として十分尊重していきたいと思います。
  27. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今のお話官庁お話でしょう。官庁ならば、あるいはあなた方の指揮下にある官庁はそのような不届きな要求をなされるかもしれない。(笑声)しかし私の申し上げたのは、全逓信従業員組合現実に働いている人たち要求です。もしそれならば、一つこの算定の基礎一つ一つ突き合せてお話をいたしましょうか。
  28. 岡部史郎

    岡部政府委員 郵便物激増に伴いまして、これをどう処理するかということは、いろいろ計算基礎があるのでありまして、計算のやり方によりましては三千名ではなしに、六千名必要だという計算も出ます。また千名でいいだろう、五百名でいいだろうといういろいろな考え方が出るわけでございますが、これはいろいろな要素をかみ合せてみなければならぬわけであります。どこまで機械化するか、従来の自転車をスクーターにどれだけかえるか、あるいはオートバイにどれだけかえるか、あるいは案配施設をどうするか、あるいは都市の郵便激増といなかにおける郵便物の、非常に採算のとれない少いところをどうするかというような、これはもう無限の材料を照らし合せて、その中からいろいろな要素を勘案して計算しなければならなぬことでありますので、今飛鳥田さんのおっしゃった三千名というのか一つ計算基礎として成り立たないということは、私は申しません。決して大げさな数字だとも考えておりません。これはいろいろな要素を照らし合せていろいろな考え方があるということで、私の方の六百九十六名ということも、ここ数年来の全般的な郵便物の大数計算及び事務処理改善方法等をいろいろ考えまして、このような数字を出したのだということも御了承いただきたい、こう思っております。
  29. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そういう事務処理改善方法あるいは機械を導入するという方法、こういう幾つかの方法と照らし合せて六百九十六名を考えたのだというお話ですが、現実にはそのような新しい試みというものがなされていない。ただここだけの議論としてはなるほどその通りだと思いますが、現実郵政仕事の中にそういう機械を導入してやっていくという方法は、なかなかむずかしいのではないか、こういうふうに私たち考えておるわけです。従って現実の上にのっとって問題を考えていただかなければならない。そこで問題を少し具体化して、今都市と農村では郵便物の繁閑が非常に異なっている、都市に集中している、こういうお話であります。そのために郵政省の方でも六大都市中心地の集配度数を増加しておるという事実があります。六大都市中心の通常郵便物配達区六百九十区、これだけの六百九十区の集配度数が増加されておる——増回というのですか、増加されておるわけであります。こういうものに対して一体今回の六百九十六人の中からどれだけの人員が回されておるのか、これを伺いたいと思います。
  30. 岡部史郎

    岡部政府委員 今の飛鳥田さんのお尋ねの点も、郵政サービス一つの眼目であります。戦後におきましては、これだけ交通通信機関が発達いたしましたのに対しまして、まだ配達回数が戦前よりはるかに劣っているので、現在の状態に応じ切れないのではないか。すなわち大都市の中心地だけでも、今・の二回を三回に少くともしなければならぬというように郵政省も努力いたしますし、私どももそれを考えておりまして、それを実施するための措置ということも相当努力して考えているわけであります。今お示しの大都市の中心区には三回制を何とか実施したい。それに伴う措置も含めて、これをますます拡充するように年々の計画を考えている次第であります。
  31. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今具体的に伺ったわけですが、通常郵便配達区の六百九十区のうちで増配区数は二百六十三区になっておる、こういうお話でありますが、この二百六十三区を今お話のように、三回制にするということになりますと、これに対して六百九十六人のうちの何者を配置しておるのか、それを伺いたかったわけです。
  32. 岡部史郎

    岡部政府委員 現在三回に増配しております大都市の中心地におきまして、現在どれだけ人を増しているかということは、今手元に数字がございませんが、そういうことが可能なように手配して、全体として増員の措置考えておるというように御了承いただきたいと思います。郵便は今後ますます激増いたしますので、これを増加量に伴う人だけでまかない得るか、この集配制度をどう改善するかということもあわせて真剣に考えていただかなければならぬ状態になっておる、こう思って私ども努力しておる次第であります。この点も御了承いただきたいと思います。
  33. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 もし詳細な数字をお持ちでないのでありましたら、次回に一つお教えいただきたいと思いますが、大都市配達夫と申しますか、配達をされる方々の状況を見ておりますと、中郵なんかそうですが、朝七時に出勤をして、大体本来あるならば四時かそこらには上ってこなければならぬわけです。ところが実際には五時ごろ上ってきている。それから残務整理を自分でして一番よいときで局を出られるのが六時、十一時間労働をやっているわけです。しかも机の前にすわって十一時間労働をやっているのではなしに、歩いたり、あるいは自転車に乗ったり、振動の激しいスクーターに乗って働いているわけです。従ってこの十一時間労働はあなた方がお考えになるより以上につらいのです。しかもそのつらさが、せっかく与えられている年二十日の有給休暇もとれないということで疲労が累積していきます。従ってこれもお調べになっていらっしゃるだろうと思いますが、最近郵便配達をなさっている方々が、路上において自動車事故あるいは交通事故等で被害を受ける率が今までよりもふえているはずです。これはすなわち疲労がそれだけ累積しているということになります。こういう事実を全然ごらんにならないで、あるいは見てもそ知らぬ顔をして、わずかな定員増だけで問題を片づけていく。それは政府の大所高所に立った考え方はそうだ、こういうふうに大久保さんはおっしゃるかもしれませんが、現実にはそういう事実を見ていただかなければならないはずであります。そういう意味で、都市における配達回数を増すということは、現場労働者にとっては実に大きな影響を受けるわけです。一方においては確かに増加していく郵便物と、文明の度合いに従って回数をふやすことは望ましい、いいことです。だがそれがいつでも政府のこういう場所におけるのらりくらりとした答弁で、実はそのしわ寄せはみんな現場の労働者にいってしまうということは、あまりにも悲惨ではないかということを私は考えまして、先ほど申し上げた六大都市の中の、回数を増した二百六十三区についてどれくらいの定員配置していただけるのか伺ったわけです。どうかそれは次回に一つお教えいただきたいと思います。  それでは次に、鉄道郵便局、鉄郵と申しますか、この事務員の関係でありますが、これは国鉄のダイヤが変りまして、日本の大動脈である国鉄ダイヤの変更によって、生産性向上の土性骨を日本全国に入れたわけです。この土性骨に従って、入ってくる汽車の数に従って働いておる鉄郵の事務員の諸君は、コマネズミのように働かなければならぬ。それだけ労働が、強化されておるわけであります。それに対して今回の定員増についてどのような措置をとっておられるのか、伺いたいと思います。
  34. 岡部史郎

    岡部政府委員 お答えいたしますが、鉄郵というのはきわめて特殊の勤務条件がある職員でございます。従いまして特別の手当も出しておるはずであります。その勤務条件につきましても特に考えなければなりませんので、私も現に東京駅から鉄郵車に乗りまして鉄郵の職員の作業状態を数時間一緒に車の中で参観させていただいたことがありますので、その苦労もよくわかっておりますが、これはダイヤによって影響いたしますので、特別に勤務時間制をしいております。従って今後のダイヤの改正によりましてその勤務時間がどう変るかということによりまして定員配置及び特別な手当ということも変ってくるはずでありますので、それは郵政当局において目下検討中であります。私から詳しく申し上げるのはちょっと遠慮させていただきますが、十分考慮しておる問題であります。
  35. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 現実に六百九十六人あるいは千九百六十一人でどうやらまかない得るというお話でありましたが、これは鉄郵の問題になるとまだ考慮中ということになるのですか、これはやはりこういう点を考慮せられた上で千九百六十一人でやれるというお話だと思っておったのでありますが、そういたしますと、この千九百六十一人というのは概算だということですか。
  36. 岡部史郎

    岡部政府委員 この鉄郵関係は、特別な勤務体系、給与材系をとっております。それは鉄道ダイヤによって影響されることでございますので 現在大体三千九百人ばかりの定員がいるはずでありますが、昼夜汽車に乗って翌日は泊ってまた帰ってくるという形をとっておりますので、従って大体ダイヤに基く勤務時間の延長による勤務手当の増加ということによってこれをまかない得るという見当で計算しております。
  37. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今ダイヤが変るかもしれないというお話ですが、この間ダイヤが変って当分は動かないはずです。そうするとダイヤが変ってから今までに相当時間がたっておりますのにそれが計算されていないということは私はおかしいと思います。結局こういう非常に労働密度の高いところに案外手抜きがあるのじゃないか。そうしてその手抜きが現場の労働者の負担において解決されておるという形が私は現状だろうと思うのでありますが、わからないとおっしゃらずに、もうすでにダイヤが改正になってから今までに相当の時間がたっておりますから、この間に計算ができていないなどということははなはだ無責任じゃないかという感じがいたします。
  38. 岡部史郎

    岡部政府委員 計算ができていないのではなくて、勤務が特別の体系になっておりますから、ダイヤの変更によりまして勤務時間が変りますと、その分だけの手当の計算は正確にふやすわけであります。そういう意味におきまして勤務体制が特別なだけに、割合に正確に給与面、勤務時間面が計算できるわけで、この点は割合に御心配ないのじゃないかと考えております。
  39. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 それでは伺いますが、今まで昭和二十三年の五月から、鉄郵乗務員の乗務時間計算方式というのは年間通算形式をとっておりましたけれども、たしか昭和二十八年の一月に労働基準法がこれに適用されるということになったはずであります。もしそうだといたしますと、年間通算制を廃止して、この規定に基いて四週間打ち切りの制度を実施しなければならぬはずだと思うのですが、法律を守っていらっしゃるかどうか伺いたいと思います。
  40. 岡部史郎

    岡部政府委員 この点につきましては、私たち労働基準法の適用がありますので、その労働基準法の精神にのっとってそういうように切りかえてやるべきもの、こう存じておるわけでありますが、いろいろの事情がありまして、そのやり方は私詳しく存じませんが、大体勤務時間の基礎に基きまして手当の計算は正確にやっているように承知しております。
  41. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 結局労働基準法を正確に適用していないというふうに伺ってよろしいわけですか。
  42. 岡部史郎

    岡部政府委員 郵政省全体の職員勤務条件につきまして、極力労働基準法の精神にのっとって、これが順守をはかるように政府全体としては努めております。
  43. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 今お聞きのように、この鉄郵関係では昭和二十八年の一月に労働基準法が適用になりまして、当然年間通算方式を改めて四週制打ち切りの制度を実施しなければならぬ、これは法律の命じているところです。もしそういう制度をとれば、これに伴って当然定員増加をしなければならぬということも明らかです。これは岡部さん自身が今言外に認めざるを得なかったところでありますが、こういうふうに政府みずからが法律を守っていない、そしてその守れないために、またまた鉄郵の乗務員諸公の上にしわ寄せされていっている、こういう事実を大臣はどうお考えになるか。法律を守らなくてよろしいとおっしゃるのかどうか。一つこれを伺わしていただきたいと思います。
  44. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 法律を守らなくていいという根拠はないので、お互い法律ができました以上は尊重してもらわなければならぬし、今の鉄郵の問題でありますが、これも私実際問題として守っているかどうかはよく存じませんが、根本の精神としては当然守らなくちゃならぬと思います。
  45. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 どうも私の商売を出して恐縮ですが、私辯護士ですが、法廷へいって被告人が、法律の精神は尊重する、だけど私は現実には守らぬ、こう言って通るでしょうか。私は少くとも法律を守るべき責任は政府にある、そして先頭を切ってこれを守らなければならないと思うのです。ところが現実に労働政策になってくると、労働者に対する問題になってくると尊重するとおっしゃる、一体政府の最近使っておられる尊重というのはどういう意味ですか。これから伺わしていただきたいと思います。
  46. 岡部史郎

    岡部政府委員 ただいま大臣からお答えいたしました通り政府といたしましても法律を尊重するのは当然でありますが、これを実施するに当りましてはいろいろな手続が要るわけであります。たとえば職員組合との間の話し合いあるいは現業の関係におきましては団体交渉というようなこともございましょうし、いろいろな手続に時間がかかるということも御了承いただきたいと思うのです。要は政府側といたしましても、どこまでも法律を尊重して完全な実施をはかるのは当然だという建前において努力いたしたい、こう存じておるわけでありますので、この点は御了承いただきたいと思います。
  47. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 御了承いただきたいとおっしゃるのですが、なるほどそう四角四面なことを言っても仕方がないでしょう。実施についての幾らかの時間も必要でしょうし、手続も必要でしょう。だけど一体ことしは何年でしょうか。たしか昭和三十二年だと思うのですが……。労働基準法適用がきまりましたのは昭和二十八年です。四年間も尊重するために準備が要るのでしょうか。とても皮肉っぽい言い方をして恐縮ですが、この間実は私は自分の商売である法廷に出ました。そうしましたら被告人ははっきり言うのです。法律を守らないのは政府が一番守らないじゃないか、政府が守らぬのにおれたちに守れということを要求するのですか。これはずいぶんおもしろいことを言う男だと実は感心をいたしましたが、こういうふうに開き直られて一体今の政府の要路者の方々は、それはお前が違っているのだ、こういうふうにはっきりと言い切り得る方がいるだろうかどうかということを、私はそのときの考えとして思い浮べたわけであります。きっと法廷で今のあなたと私の間の問答が引用されるに違いありません。一生懸命法を尊重してやりたい、しかしそれには時間も手続も要る、非常にきれいなお答えです。けれども四年間もなぜそんなことをしなければならぬのですか。四年間かかった理由を一つとっくりと聞かしていただきましょう。
  48. 岡部史郎

    岡部政府委員 どこまでも法律を尊重する建前で努力をいたしておるわけであります。それには相当時間もかかるじゃないかと仰せの通り時間もかかっておりますが、これは局部的な問題ではなしに、やはり郵政省職員全体の勤務時間あるいはその待遇、あるいは定員についてもどういうようにやるかという具体的な問題でございますので、それは交渉にも時間がかかっているわけなんでございまして、これは政府が一方的になかなかきめられないというような事情もあるようでございますので、これは具体的率直に申し上げますれば、郵政省当局と全逓組合とで、長い間の努力を重ねている問題でもございますので、この点で一つ御了承いただきたい、こう思っております。
  49. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 それは御了承いただきたいと言われればここの問答では了承せざるを得ないわけです。ですがそんなばかな話はないわけです。と申しますのは、お互いに話し合いをする場合には譲歩したりされたりすることがあるわけです。ところがこれは法律を守るか守らないかということなんです。法律を守るか守らないかということに譲歩もへったくれもないはずです。人を殺しちゃいかぬ、こういう法律を守るか守らないかに一体譲歩というものがあるでありましょうか。話し合いというものがあるでありましょうか。やっぱり政府がみずからおきめになりました労働基準法というものがある以上は、これに従うべき義務があるはずです。これを尊重なさるという、さっきの話に戻って少し恐縮ですが、再々今回の国会では尊重という言葉が出ますから、尊重という言葉の定義を聞かしていただきたいと思います。これは大臣にお願いします。
  50. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 尊重は守ることで、あります。(笑声)それ以上むずかしいことを言っても議論倒れになります。
  51. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 守るということは実行するということでなければならぬはずです。守ってばかりいて実行なさらないということがありませんようにお願いしたいと思います。
  52. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 よくわかりました。
  53. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 それじゃ続いて、郵政事業の中で保険関係の仕事は最近非常に増大いたして参りました。保険料払い込みの契約件数は二十九年度において三千五百四十六万五千件、三十年度において三千五百五十五万七千件、三十一年度において、これは見込でありますが、三千六百四十八万三千件、三十二年度において三千七百七十六万五千件ぐらいに増加しているというふうに私たちは伺っておるのですが、この問題について、今回の定員法に基いて、どのように定員配置しておられるか、これを伺わしていただきましょう。
  54. 岡部史郎

    岡部政府委員 二十六万すなわち二十五万九千のうち、保険関係に従事しているのは四万四千でございます。この四万四千人の人間をどこまで増員すれば現在の簡易保険業務がどれだけふえるかということは、これは興味ある問題でございますので、私もかねてから研究したことがございます。それが簡易保険の勧誘員をどう増かすれば、あるいは民間の保険関係からどういう苦情が出るかというような問題も 突き詰めていえばあるのでございますが、現在におきましてまだ簡易保険の増加の趨勢もありますし、これを増加するために人手も必要とするという考え方もございますので、昨年におきましては二百人増加いたしました、それで、ことしもさらに増加すべきであるかどうかということもいろいろ意見がございますが、極力全般的な定員を押えていきたいという気持ちもございますので、今年度は、昨年二百人ふやしたところだからがまんして一つ大いに努力してもらおうじゃないかというのが打ちあけた話でございまして、三十二年度は三十一年度通りの人員で一つ成績を上げてもらおうというような考え方でおります。
  55. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 その成績を上げるという言葉が非常に私は危険だと思うのです。現実に私たちが行って見ておりますと、この郵便局は何億円、この郵便局は何億円というふうに、本省の方らか契約取付高の割当がくるわけです。それを消化いたしますために各郵便局ごとの競争をするわけです。そしてその保険契約をたくさんとった郵便局は優勝と称して優勝旗か何かもらうわけです。優勝旗をもらうかもらわないかが郵便局長さんの出世に非常に影響がある。そのために郵便局長さんは、自分が出世したいから部下のしりをものすごくひっぱたいてやる。自衛隊の死の行進に匹敵したものが現実にはある。外務員たちは、足を棒のようにして歩き回ってそれでもだめなんで、自分の親類を全部入れてしまう。自分の親類を全部入れただけでも及ばないので、しまいにはありもしない架空のものを作って契約を取りつけたということまでいたしております。こんなにまでして業務の成績を上げていくわけです。そうしますと、これは成績を上げるという言葉のもとにものすごい労働強化が行われて、今にこの人たちはみんなつぶれてしまうのではないかという感じがするわけであります。この点について、今回は定員をふやさずに成績を上げていくという言葉は、私たち幾らか実情を知っている者から見ますと、身ぶるいの出るほどおそろしい言葉でありますが、一体この点について、どんなふうにお考えになっておるのでしょうか。
  56. 岡部史郎

    岡部政府委員 簡易保険関係の外務員諸君が非常に涙ぐましい努力をしておられるということも、私実際に郵便局について拝見して承知しております。しかし非常に士気旺盛で働いておられることも承知しております。ただこれは、職員の個人的な能力、努力によりまして非常に成績の上る職種であります。従いまして、保険関係の職員郵政事務におきまして昇進の率がいいというようなことも聞いております。これは非常に苦労して仕事をしておられるので、非常に能力がふえてくるのだというようなことも聞いております。ただ、現在の四万四千余の定員に対してある程度の目標を設定して、その目標に対して努力する、しかしそれが、いろいろ経済界の事情等もからみ合せまして、その目標の到達に難易というような状態もいろいろあろうかと思うのでございます。とにかくこれが大きな保険事業でありますだけに、保険事業としての合理化をはかると同町に、この外務員というものの人数もどの程度まで抑え、どの程度まで数を認めるのが適正かというようないろいろな要素を勘案して考えなければならぬのであります。現在の四万四千余は、終局的にこれがいいと考えているわけではございませんので、今後もやはり研究はしていきたいと思っております。
  57. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 現場に行ってごらんになっていらっしゃるのならば非常に都合がいいわけであります。行けばすぐにお気づきになると思いますが、必ず部屋にはグラフが書いてある。まるで競馬馬の進行表のような形で書かれております。出勤してもそれを見る、帰ってきてもそれを見る、年がら年じゅう競争々々でしりをひっぱたかれており、人間だか競馬馬だかわからないというのが現場職員諸公の異同同音に言う言葉であります。成績を上げるという名前のもとに、そうして局長さんが栄転していく便宜のためにこんなことをずっと続けてやっているわけであります。郵政省は、一体こんな人間だか競馬馬だかわからないようなしりのひっぱたき方をして仕事仕事へとかり立てていくやり方を今後もおとりになるのか、あるいはこれをやめて人間としてのお取扱いをなさるのか、少し途中でありますが、これを伺っておきたい。
  58. 岡部史郎

    岡部政府委員 先ほど申し上げました通り、目標額の達成ということは、いろいろな国全般の経済事情から考えて適正にこれをきめるべきものでありまして、私は、目標が適正ならばそのような馬車馬的なことにはなるまいと思っておりますが、ただ仕事の性質上、グラフを書いたりして、成績を調べるのに一覧表でわかるようにやるというのも自然の勢いであろうと思います。ああいうように郵便局にグラフが張ってあるということは、そう一がいにとがめだてするというわけにもいかないのではないかと感じております。
  59. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 そこに問題があるわけです。今、国全体の立場に立ってこれくらいの数量も必要だというようにきめられるというお話でありましたが、一体その契約高を定める場合に、現実に契約をとっている労働者たち意見を聞いてみたことがあるのですか。現実にとっているのは労働者諸君です。この人たちが、おれはもうこれ以上はとれないというのに、国の必要じゃといって上からがんと数字が下りてきて、そうしてそれがその郵便局の責任数量になってくる。現実の人間の肉体的な条件など全然無視して、これを達成せよと頭から下ってくるわけです。そうして、ノーマルな状態では達成できないから、競馬馬のように競争心をやたらにあおらして優勝旗などを授与するというような形でこれを消化させる。労働強化になるのはそこだけじゃないでしょうが、国の都合によるならば、現場で働いている労働者などはどんなに働いてもいいのだ、どんなに疲れ切ってぶっ倒れてしまってもかまわないのだというお考えがそこにひそんでおるのではないかと思う。契約高を定めるには保険契約に関係している労働者諸君の意見を十分聞いて定めるべきじゃないかと思うのですが、お話は逆になっておりませんか。
  60. 岡部史郎

    岡部政府委員 飛鳥田さんの御意見ごもっともな点もあるのでありまして、もちろん職員の能力を超過したような目標額をきめるべきではありません。またこれを民主的な運営の形で下部に割り当てます場合におきましては、下部の職員の意向も適正なる筋を通してよく聞いて、そしてそれにふさわしい定員範囲内において、また適正な勤務時間の範囲内において達成し得る限度の目標にとどめるべきことは当然で、郵政省当局もそのように努力しておられると私は了承しておるのです。
  61. 飛鳥田一雄

    飛鳥田委員 まだ郵政関係でも伺いたいと思いますことはたくさんありますが、ちゃうどお昼になりましたので、次に続けさせていただくということで、一応午前中は打ち切りたいと思います。     —————————————
  62. 相川勝六

    相川委員長 次に一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の三法律案を一括議題といたします。  これら三法律案につきましては、すでに提案理由の説明が終了いたしておりますが、この際政府委員より補足説明を求めます。大山公務員制度調査室長
  63. 大山正

    ○大山政府委員 一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の逐条につきまして御説明申し上げます。  法律の第二条第四号の職務の級とありますのを等級に改めましたのは、今回現行の十五級の職務の級別を七等級区分にいたしましたので、職務の級という文字を等級に変えておるのでございます。  五条の一項の前段を削除いたしましたのは、六条の規定改正に伴って特に必要がなくなりましたので削ったのでございます。  六条は俸給表の種類を書きましたものでごいまして、現在の俸給表にかえまして、そこに書いてございますような八種類、十六表の俸給表を置くということにいたした次第でございます。  なおこの俸給表の適用の範囲は、二項にございますように、二十二条と附則第三項に規定する職員以外のすべての職員に適用するということになっておりまして、非常勤職長及び附則第三項の未帰還の職員以外はすべて適用するということになっておるのでございます。  三項は職務の等級の分類に関する規定でございまして、従前の十五級にかえまして七等級の職務分類の基準というものを人事院が定めるということになっておるのでございます。  次に第六条の二を改めておりますのは、従来十五級の指定官職の規定でございましたのを、今一行政機俸級表の(一)、教育職俸級表の(一)、研究職俸給表及び医療職俸給表(一)の一等級の官職というように改めておるのでございます。  なお後段におきまして、その最高の号俸を受けるに至ったときから長期間を経過したときには、最高五俸をこえる俸級月額を定めることができるという規定を設けております。現在東京、京都の両大学の学長がこの最高の俸給月額を受けておるわけでございますが、長期間経過したような場合にさらにそれをこえることができるという規定を設けておるのでございます。  第八条は初任級と昇格の規定でありますが、第一に、紋別定数に関する現在の二項、三項を整理いたしまして、等級別定数という規定にいたしました。等級別定数は六条三項の職務の分類の基準に適合することを必要とするというように改めております。  次に、現在の第一項の新規採用及び昇格に関する規定を改めまして、異なる等級に異動する場合の号俸の決定、すなわち従来考えられておりました昇格等あるいま初任級基準を異にする官職へ移りましたような場合には、すべて人事院の定めるところに従ってその号俸を定めるということにいたしております。  八条の第二項でございますが、「職員の職務の等級は、前項の職員の職務の等級ごとの定数の範囲内で、且つ、人事院規則で定める基準に従い決定する。」すなわち各職員につきまして何等級に格づけするかということは、等級別定数の範囲内で人事院の定める基準で定める、かようなことになるのでございます。  なお六項は、昇給に関する規定でございまして、各俸給表に書いております期間を良好な成績で勤務した場合に昇給させることができるという規定でございます。  十条は調整額の規定でございますが、今回の改正に当りまして、同じ等級に属する他の官職に比べまして著しく特殊な官職について適当でない場合には調整額表を設け得るという規定を作りました。  以下俸給表がございまして、次に附則がございますので、法律案の二十ページの附則につきまして簡単に御説明申し上げます。  第一項は施行日でざざいまして四月一日、第二項は切りかえの仕方でございまして、原則といたしましては三月三十一日現在の俸給額の一号上位の俸給額、つまり俗に申しますならば一号昇給させまして切りかえるということを原則にいたしておるのでございます。  第三項、四項は今回の切りかえに際しまして、切り上げ金額が非常に多い者につきまして均衡をはかるために切りかえの時期をおくらせまして、七月一日あるいは十月一日に切りかえる場合があり得るということを書いておるのでございます。  第五項は、この切りかえまたは切りかえ後の昇期間につきまして、各職員について三ヵ月の期間短縮を行う、今回の切りかえ措置に当りまして一号上げることと三カ月の期間短縮を行うという規定でございます。  なお次に……。
  64. 相川勝六

    相川委員長 ちょっと政府委員に御注意申し上げますが、なるべく要点だけの説明を二つ……。
  65. 大山正

    ○大山政府委員 もう簡単に終ります。  四月一日以後におきまして直ちに切りかえができない場合には、三月三十一日現在に一号上げました金額を内払いとして当分の間支給するという規定を設けてございます。  その他附則十四項に、この切りかえに伴いましていろいろ各条文に書いております以外のことで必要なことは人事院規則で定めるという規定をいたしております。  その他旅費法の改正及び恩給法の改正その他関係法規の改正がございます。これは関係当局から御説明申し上げます。
  66. 岸本晋

    ○岸本説明員 特別職職員給与法律の一部改正法律案でございます。  内容至って簡単でございまして、特に御説明申し上げるほどのこともないと思います。ただ一般職の力の給与改訂はベース改訂という意味はなく、俸給制度の合理化という意味でございますので、特別職につきましてもこれは一官職一俸給でございますから、その金額を今回変えるのはやはりバランス上好ましくないのであろう、こういう観点からいたしまして、原則として金額の改訂はしない。ただ一般職とのバランス上どうしても措置しておかなければならない部分だけを若干手を入れたということでございます。
  67. 加藤陽三

    ○加藤(陽)政府委員 先般大臣から法律案の提案理由並びにその内容の概要につきまして御説明がありましたので、若干補足して申し上げます。  まず今回の改正法律案の中心であります防衛庁職員の俸給制度の改正につきましては、実質的に一般職員の俸給制度の改正内容と均衡をとり、俸給表の建前は、おおむね現行の通りといたしております。すなわち、俸給表は、別表第一の次長、議長及び参事官等俸給表、別表第二の自衛官俸給表の外、事務官等につきましては今回改正されます一般職員の給与に関する法律別表第一から別表第八までの俸給表によることとし、原則として三本建といたしております。次長及び議長の俸給月額は据え置きであります。参事官等については三等級の俸給表を設け、自衛官については従前と同様各階紋別に、それぞれにつき一般職の対応する号俸を基礎にして従前通りの算定方式で作成をいたしました。  次に改正案文につきまして順を追って御説明いたします。  第四条の改正規定は、別表番号の変更に応ずるもの及び事務官等については一般職職員の俸給表によることを規定したものであります。  なお同条第三項に加えましたただし書きの規定は、幹部自衛官の候補者として採用した者は、原則として一等陸曹、一等海曹または一等空曹の階級に任命いたしますが、それらの任用基準は学歴等において必ずしも同一でありませんので、候補者である間の俸給は、任用基準に応じて政令で定める額といたしたのであります。  第四条の二の規定は職務の等級に関するものでありまして、参事官等及び事務官等にのみ適用されるのであります。一般職職員について今回従前の級を職務の等級に改めましたので、これに対応して参事官等及び事務官等にも、原則として均衡をとった職務の等級を設け、その分類基準、等級ごとの定数等に関しては、すべて一般職職員について人事院が定める内容に準じて政令で定めることといたしたのであります。  第五条の改正規定は、職員として採用された者の初任給の決定基準及び職員相互間の異動等に際しての俸給額の決定基準並びに昇給基準一般職職員のそれが人事院規則をもつて定めることとなっておりますので、防衛庁職員についてもこれを政令で定めることとしたものであります。  第六条から第九条までの規定を削除いたしましたのは、従前それらの規定が初任給、昇給、昇任、降任、職員相互間の異動に際しての俸給額の決定基準を規定しておりましたが、ただいま申し上げましたごとく、第五条の改正規定により政令でその内容を定めることといたしましたので、削除することとした次第であります。  第十条の改正規定は、参事官等、事務官等及び自衛官の三者の相互間の異動の際に、前職を辞して他職に変る場合の俸給の計算の取扱いについて必要な規定をしたものであります。  第十一条の二の改正規定は、俸給の調整額についてのものでありまして、これに関する一般職職員給与に関する法律第十条の規定が全文改正されたことにより、これにあわせての表現を改めたものであります。  第十六条第三項の改正規定は、第十八条の二第二項の改正規定と関連するものであります。すなわち従前航空手当、乗り組み手当及び落下傘隊員手当は、期末手当及び勤勉手当の額算定の基礎に含めておったのでありますが、自衛官の人事異動を円滑にするため、今回第十八条の二の改正規定をもってこれらの手当を期末手当及び勤勉手当の額算定の基礎から除くこととするとともに、他面第十六条第三項を改めて航空手当等の額を引き上げて現行水準を維持することとしたものであります。  第二十七条の改正規定は、自衛官の公務災害者に対する補償金額の算定根拠となる平均給与額の算定方式につきまして、給与期商を単位として行うこととし、実務を簡素化したものであります。  第二十八条から第二十八条の三までの改正規定は、従前第二十八条及び第二十八条の二において定めていた任用期間の定めのある隊員に対する特例の退職手当、自衛官に対する国家公務員等退職手当暫定措置法の規定の適用の特例及び訓練招集中公務上の障害を受け、または死亡した予備自衛官に対する退職手当についてその条項を整備するとともに、任用期間の定めのある隊員で特例の退職手当を受けた者が国家公務員等退職手当暫定措置法第九条及び第十条に規定する解雇予告手当及び失業者の退職手当を受ける場合の規定の整備をはかったものであります。  別表第三から別表第七まで削除いたしましたのは従前別表第三をもって規定していた自衛官の俸給表は別表第二となり、従前別表第四をもって規定していた昇給期間は新たな俸給表に規定されることとなり、従前別表第五から別表第七までに掲げていたいわゆる通し号俸表は今回廃止いたしましたので、いずれも不要となったからであります。  附則第一項の規定は、この法律の施行期日を規定したもので、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の施行期日と同様に、昭和三十二年四月一日といたしました。  附則第二項から附則第十五項までの規定は、俸給表の改正に伴う新旧俸給額の切りかえ及び切りかえに伴う措置に関するもので、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案の附則第二項から附則第十四項までの規定の例によったものであります。  附則第十六項の規定は、今回の給与改訂により、通し号俸表が廃止されたことに伴い、従前通し号俸について恩給額算定の基準となるべき金額を規定していた恩給法第五十九条の三の規定を改正したものであります。  附則第十七項の規定は、事務官等の職務の級が職務の等級に変えられたことによる自衛隊法中の字句の改正であります。  以上をもちまして補足説明を終ります。
  68. 相川勝六

    相川委員長 午後一時三十分から再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時十八分休憩      ————◇—————    午後一時四十六分開議
  69. 相川勝六

    相川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の三法律案を一括議題とし質疑に入ります。大平正芳君。
  70. 大平正芳

    ○大平委員 今度の給与法の改正問題はいろいろな問題を含んでおりますが、第一は水準の問題、第二番目は体系の問題、これがやはり非常に問題点が多いと思います。それからまた今度の切りかえに伴う切りかえ措置の問題、いろいろございますが、とりあえず最初に水準をどう組定したか、どういう根拠で今度六・二%の水準が妥当なりと御勧告されたか、人事院総裁に伺いたいのでありますが、勧告を拝見いたしますと、五現業三公社の給与状況、それから地方公務員状況、民間給与との比較に触れられておるのでございますけれども、どうもこの勧告を拝見しただけからの感じでは十分確信が持てないのでございますが、そのあたり、もう少し突っ込んでの御説明を願いたいと思うのでございます。  まず第一に五現業、三公社から伺いたいのでございますけれども、これはもとより人事院総裁の責任ではないわけでございますが、今度の勧告をされるについて五現業、三公社の給与をメンションされた事情は、勧告の理由書の一番最後のところに、あなたは「五現業・三公社の職員および地方公務員給与とも不均衡を生じている現状に鑑み、」とこのようにメンションされております。どのように不均衡なのかということをこの勧告の文面だけからはよく読み取れないのでございます。二十九年度、三十年度にわたってこの五現業におきましても、三公社におきましても団体交渉の結果給与改善がどういう段取りで行われてきて、この勧告をなされた七月十六日までにどういう状態であったか、それからその後今日まで五現業、三公社について給与改善がどのような姿で行われ、また行われようとしておるのか、そのあたりの事情は、私ども一般職給与基準考える場合に、まず最初に確認しておかなければならぬと存じますので、その点を具体的に御説明を願いたいと思います。
  71. 淺井清

    ○淺井政府委員 まことにごもっともなお尋ねだと思っております。公務員法の規定によりますれば、一般職公務員給与は第一に基準になるものは、民間給与、それから生計費その他の要素となっておりまするが、ただいま御指摘のように、三公社五現業や地方公務員のことも考慮したことは事実でございまして、これは勧告の中に申しておる通りでございます。地方公務員につきましては、これは総理府の指定統計として三十一年一月一日をもっての統計が出ております。それによって断定したわけでございます。この資料はお手元にもあると思います。ところが三公社五現業につきましては、人事院の所管外でございまするので、的確な実態調査をなす権限を持ちませんのでございます。それでその勧告の中におきましても、地方公務員についてははっきりとこれだけ高いということを断言いたしましたが、これは自治庁の資料によったものでございます。三公社五現業につきましては、これは断定をいたしませんで、相当上回っておるものと思われるという表現になっている次でございます。この点は昨日の当院の予算委員会においても種々御質疑がございましたけれども、人事院といたしましては、どれだけ三公社五現業給与が上回っておるかということは、これはわれわれの方からは言えないのでございまして、政府側、ことに大蔵省から申し上げるべき筋合いのものだろうと思っております。  それからお尋ねのこれまでの経過については、給与局長からちょっと補足説明をさせていただきたいと思います。
  72. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 御存じのように、人事院が一般職公務員給与考えまする際は、公務員法にも明記してございまするように、民間給与、生計費その他人事院が適当と考える事情ということを基本にいたしまして、この俸給表を考えたということになるのでございます。従いまして人事院といたしましては、民間給与が主体でございまするが、しかし公務員法ができました当時の状況考えてみますると、三公社五現業というものは一般職というものは一般職であったわけでございます。公務員法ができました後におきまして公社ができ、また五現業に団体交渉が許されるというような状況に相成ったのでございまして、そのような事情を考えますると、一般職公務員給与考えまずる大体主体は、民間給与を中心に考えるのでありますけれども、やはりもともと一般職であったもの、現に政府職員である職員給与というものは、これは度外視して考えるわけにはいかない、そういう関係になるのでございまして、昨年の報告及び勧告におきましても、人事院といたしましては、人事院が断定をいたしまする際の一番有力な根拠は、何と申しましても民間給与ということに相なっておるのでございます。三公社五現業につきましても、ただいま総裁から答弁がございましたように、人事院は一般職だけしか所管いたしておりませんので、こういう資料を求めることができないわけであります。しかし昭和三十年一月現在で、大蔵省は三公社五現業並びに一般職員につきまして実態調査をやっておられます。これはもう個人別の調査でございます。時を同じくいたしまして、自治庁でも地方公務員の調査をなされたわけであります。われわれは便宜その資料を拝見さしていただいたのでございます。その資料からいろいろの事実を知ったわけでございまして、公務員給与というものは、これは三公社五現業の中でも郵政というようなものに比べますると、相当下回っておる。それでは幾ら下回るということがバランスがとれておるかという問題になるのでございますけれども、その点はよほど下回っておるのでありますから、六%ぐらいな程度、すなわちこれは民間と合せたわけでありますが、その程度やりましても、格差が縮まるということはありましても、これでバランスがとれておるかどうかというと、まだ問題が残ろうか、このように考えておるわけでございます。われわれ三公社五現業のことは所管外でございますので、十分な団体交渉の内容等についても知り得ないのであります。この点がもし人事院が三公社五現業一般職給与を比較する場合に比較研究しろと言われても、できない分野があるわけでございます。しかし一般に流布されております団体交渉の結果というようなものを一応見てみますと、やはり三公社五現業におきましては、そのおもなるものにおいては、たとえば一昨年はいわゆるゼロ調停というものがあったのでございますけれども、その内容におきまして、団体交渉によってきめるというような問題もあったことは御承知の通りでございますが、その結果確定闘争というような問題を通じまして、やはり給与の上昇があったのではなかろうかというふうに考えられますし、それからまたわれわは三十年一月現在でものを言っておるのでありますけれども、その後におきましてやはり体系是正とかいろいろな名目によりまして、給与が減少しておるよりは、やはり上昇しておる要因の方が大きいのではなかろうかというようなことを、いろいろ考えておるわけでございます。そういうことを考えてみますと、三十年一月現在から昨年の三十一年三月現在までの間におきまして、公務員の上昇度合いと三公社、郵政あたりの上昇度合いとを比較いたしてみますと、一般職の上昇度合いより三公社五現業の方が少くとも低くはないであろう、これはきめ手はないのでありますけれども、そういう感じがいたしたのでございます。それから三十年一月現在におきましてはかりの程度低いということでございますので、昨年の勧告におきましては、ただいま御指摘になりましたような言葉で申し述べた次第でございます。  今ここでもう一つつけ加えて申し上げなければならないことは、たとえばある時点におきまして、国鉄なら国鉄、あるいは郵政なら郵政のいわゆる平均給与というものだけを問題にいたしますならば、人事院が申しておるような立論の根拠とは違うのでございます。あるいは郵政、国鉄、あるいは一般職公務員におきましては、それぞれ学歴構成も違いますし、また勤続年数の構成も違いますし、また男女構成も違うというふうに、今申し上げましたような事柄は給与に非常に関係の深い要因でございますので、比較いたします際には、やはり学歴を標準に両者合せてみるとか、あるいは勤続年数の違いがあればそれを直してみるとか、あるいは男女構成が違えばそれを直してみるとか、標準化して比較してみれば的確な比較はできないとわれわれは考えるのでございます。人事院はそういう観点から比較をいたしたのでございますから、単にある一時点の三公社五現業一般職給与平均ということだけを問題にしたものでないということをつけ加えておきます。
  73. 大平正芳

    ○大平委員 今御説明を聞いておって、人事院の立場に対する弁疏が多いのですが、一体、三公社五現業は、一般職給与水準を考える場合に、過去において一般職公務員であったという歴史的な関連があるから、一応さわってみようかというだけの意味なんですか、何かこれとのバランスを実質的にはとっていかなければならぬという基本的な考え方をお持ちなのか。また人事院としては将来三公社五現業一般職をセバーしてしまって、こちらの方は生計費と民間給与との実質的なバランスを見ていけばいいのであって、この勧告では、過去の因縁上、一応さわってみたにすぎない。そうすると格差が若干縮まる程度で、今度公務員を六・二%の水準を上げましても、三公社五現業がそのためにこれを発条として給与改訂というような動きは起らないだろうという意味で今度の措置をされたのか、一体一般公務員と三公社五現業との関連をどう考えるかということについての基本的な考え方を教えていただきたい。それが一点。  それから今給与局長からお答えがございましたいろいろな構成の違いはございますけれども、三公社五現業一般職の間にバランスがとれるような構成にしまして、定期的な給与の水準は一般職と比べてどういう工合になっておるか、特別手当、業績手当等、一般職に見られない給与がございますが、それを捨象してしまってもけっこうですから、俸給とか家族給とか、地域給とかいうように、共通な給与のアイテムで構成をバランスのとれるような姿に見て、水準はどうなっておるのか、その二点を伺います。
  74. 淺井清

    ○淺井政府委員 第一点は私からお答え申し上げ、第二点は給与局長からお答え申し上げたいと思いますが、第一点は非常な根本的な問題だろうと思っております。つまり、一般職の国家公務員と三公社五現業との給与というものは、同じ水準であることが必要なのか、それともバランスを一定度に保つことが必要なのか、それともそういうことを考慮しなくてもいいのかという問題に帰する。これは最も根本的な問題でございますが、これについて私ども考えを申し上げれば、それは国の制度として一体どう考えられておるかということに帰着すると思うのですが、それはたとえば国鉄法二十八条を見ますと、給与のきめ方の場合に、国家公務員給与を考慮しということが書いてあるのでございます。この考慮しということは、決して同一水準ということは意味いたしませんけれども、そこにある程度のバランスが必要であるということを前提としているんじゃないか。他の現業に関する給与の特例法についても同じような文句があるものと記憶しております。それがやはり一般の基本的な考えではないか。また地方公務員につきましても、国家公務員給与を考慮するということは書かれてございますから、国の基本的な考えといたしましては、この三つの間には、もとより同一水準であることは必要といたしませんけれども、やはりある程度のバランスは考慮せられてしかるべきものではなかろうかということを私ども考えております。
  75. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 三公社五現業一般職との比較におきまして、標準化した場合の割合といいますか、一般職より三公社五現業あたりがどのような割合で高くなり、あるいは低いものもあるかというお話でございますが、これは昨年の報告書にも述べましたように、あの限度しか人事院はものが言えなかったのでございますので、この機会におきましても、われわれは自分の方の資料でないものでございますから、その数字につきましてはっきり申し上げることができないのでございます。ただ概略のことを申し上げますならば、三公社及び郵政につきましては、おおむね一〇%前後、あるいはそれより高いものもある。これは一般職を一〇〇といたしまして、それからまたそのほかの四現業は、これは大体一般職と同程度あるいは多少低いものもあるという程度のことでございます。その辺でごかんべんを願います。
  76. 大平正芳

    ○大平委員 その点はそれじゃ後ほど大蔵省から具体的に御説明を願うことにいたしまして、地方公務員でございますが、これは三十年の一月でしたか、実態調査をされたそうでございますが、その実態調査の結果がどうなっているのか、あるいは資料の御配付をいただいたのかもしれませんけれども、私拝見していないのでございますが、この機会に国家公務員一般職職員と比べまして、地方公務員給与の実態は、実態調査の結果どのように出てきたか、これを政府の方からどなたか……。
  77. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまの問題は自治庁所管でございますので、詳しくは自治庁の関係からお聞きとりを願いたいのであります。ただ私から大略を申し上げますならば、地方は国と違いましてそれぞれ別個の団体でございます。従いまして、ある特定県と特定県とを平均してみましても、それがどれだけの意味を持つか、これは国の場合とは違いますので、そういう問題は依然として残ろうかと思うのであります。ただ人事院が自治庁の資料を拝見いたしまして、これを参考に見ました場合におきましては、そういうことでは比較になりませんから、一応各府県の平均、その平均をさらに平均いたすという方法によってやってみたのであります。富裕県が高いことは御存じの通りでございますが、そのようにいたしまして、かりに平均平均を出してみますならば、これはやはり四、五%前後地方の方が高い。ただし今申し上げましたように、これは平均をとっても意味のないことであるかもしれませんが、やはり財政の豊かでない県等におきましては、国家公務員より低い水準のものもあることはあるわけでございます。しかし詳細につきましては自治庁の方からお聞きとりを願いたいと思います。
  78. 大平正芳

    ○大平委員 今の平均平均というのはどういう意味ですか。
  79. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 地方は、兵庫県なら兵庫県、大阪府なら大阪府というように、それぞれ違った団体でございます。それぞれの団体が、やはりその給与準則なり、あるいは国の例によるというようなことで給与の支給が行われております。従いまして、ある特定府県の給与水準が国と比べて高いか低いかということは、これは現実に問題とする価値があるのですが、ただ全国のすべての府県の平均でございます——兵庫県なら兵庫県の給与水準がどれだけか、あるいは冨山県なら富山県の給与水準がどれだけか、そういう数字が自治庁の方から出ております。その数字をさらに全部の都道府県の平均を出すという意味で、平均平均と申し上げたわけであります。
  80. 大平正芳

    ○大平委員 市町村についてもそういう数字があるのですか。
  81. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれが知り得ますのは都道府県だけでございます。市町村はわからないのであります。
  82. 大平正芳

    ○大平委員 市町村の方の実態調査はやらなかったのですか。
  83. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまの御質問でございますが、詳細にわたりますことは、やはりこれは一応自治庁からお聞き願いたいと思うのでありますが、やはり市町村もやったそうであります。五大市等は高いのでありますが、市町村は低い、こういうことだそうです。詳細は自治庁からお聞き願います。
  84. 大平正芳

    ○大平委員 三公社五現業の地方公務員関係は、人事院としてはお立場上なかなか御説明しにくいところもありますから、これはまた後ほど政府の方にお伺いすることにして、民間給与のことを二、三お伺いしたいと思います。  この勧告を拝見いたしますと、民間給与と書いてありますが、民間給与は一体どういうとり方をしたのか。勧告全体を通じて同じとり方をしておられるのか、何人以上の事業場をとったか、ここに民間給与という以上は共通のベースをとっておられるのか、その点が一つ。それから上昇率は大体国家公務員の方と似たようなものだが、水準そのものは一一%民間の方が高いという結論になっておるようですが、今回の勧告をされる場合の根拠として今私が申し上げたようなところで踏み切ってやられておるのはどういうわけなのか。つまり水準について依然として一一%程度の差があるように読めるのですけれども、もし私が間違っておったら教えてもらいたいのです。
  85. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院がやります民間給与調査は、例年同じことをやっておりますが、調査対象の事業場の規模は五十人以上の事業場でございます。ただ五十人以上ということがこの際どれだけの意味を持つかということをつけ加えて御説明申し上げますと、人事院の職種別民間給与調査というのは、いわゆるキー・ポジションの比較をやっております。たとえば経理係の職員でありまするならば、それの職務の内容と責任の程度は、国における係員の場合はどの程度であり、また係長ならばどの程度であるということをいろいろ分析いたしまして、職務内容を限定いたし、そうして民間において五十人以上の事業場で経理職員がおりますならば、それを調べてみて、たとえば係長の段階に相当するか、あるいは係員の段階に相当するかを対比して、比較することが適当であるというものを比較するという方法であります。そういう方法によってやると、どういうことになるかと申しますと、経理職員であるとか、人事係、人事課長、総務課長、こういった職種は公務員も民間も同様でありますので、これは調査が可能なわけであります。ところで公務員においては、経理あるいは人事係の職員はそのほかの職員給与上非常に違っておるかといえば、そういうことはないのであります。民間においてもやはり一つの体系の中にはバランスがあるわけでありますから、そういうものを手がかりとして民間と公務員を比較する、こういうやり方が従来の人事院のやり方でございます。昨年も同様のことをやっておるわけであります。そのようにして比較いたしますならば、キー・ポジションの比較においては、係長であろうと、課長補佐の段階であろうと、課長以上の段階であろうと、おおむね一一%違う、こういうことを申しておるのであります。従前はこういう調査だけを基礎にして人事院が民間と給与を比較する際の判断にいたしたのでありますが、昨年はいろいろの統計資料を利用することができましたので、またほかの方法もやってみたのであります。先ほど申しましたように大蔵省で三公社五現業及び一般職の実態調査が昭和三十年一月現在で行われております。これは各個人別あるいは学歴別、勤続年数別、あるいは年令別というようなことで詳細な資料がとり得るような調査が行われております。多少その経験年数、あるいは学歴、年令の区分段階は違いますが、やはり労働省におきまして民間の職種別給与調査を行なっておられます。われわれは別にただいま申し上げました人事院独自の調査のほかに、大蔵省の一般職職員の実態調査、それから労働省の民間職種別調査、この二つから先ほど三公社五現業のところで触れましたように、いわゆる公務員と民間とを標準化するというやり方で公務の中の一般行政職、すなわち俸給表土特殊の優遇措置を受けていない部分、特別俸給表の適用を受けていない、または調整額の適用を受けていないというグループをとりまして、同様の比較をやってみますと、民間と公務員とは一一%違うということが出て参ったのであります。一一%ということはそういう意味で申したのでございます。しかしながら公務員の中におきましては、たとえば警察職員、税務職員、あるいは教育職員、そのほか海事関係職員というような方々は、いわゆる特別俸給表の適用を受けておりますが、一般俸給表の適用を受けている職員よりも高い水準の給与を受けているのであります。今かりにこのような高い処遇の給与を受けておりまする職員平均給与額というものを、同様な方法によりまして一般職と比べてみますると、相当程度高いのであります。従いまして一般行政職は民間に比べまして一一%低いのでありますけれども公務員の中におきまして三十六万のうち約四割に当ります高い処遇を受けている職員がいるわけでございますから、そういう職員との総平均を見てみますと、公務員全体の平均というものは民間に比べまして六%程度低いのではなかろうか、このような結論に達したわけであります。六%公務員の水準を上げまするならば、全体としましては公務員と民間とのバランスがとれる、このように考えたわけであります。問題は行政職の個々のものを見て参りますると、民間と比べまして、やはり格差が残るではないかという問題がございます。しかし公務員の中においては待遇の問題で高い職員もおりますから、そういった問題は今後じっくりと公務員の中の再配分の問題として考える余地が残るのではなかろうか。いろいろ民間と比較する方法はございましょうが、全体として平均がとれるということは一応の考え方ではなかろうか、このような考え方によりまして昨年の判断はいたしているわけであります。  上昇率について申し上げますならば、公務員におきましては新しく入ってくる者が五%前後、退職していく者が五%前後ということになっております。従いましていわゆるターン・オーバーは非常に幅が狭いのであります。しかるに民間の総平均について見ますると、離職していきます者も、新しく入って参ります者も、おおむね二〇%の動きがある。この新しく入ってくる者というのはおおむね給与の低い人々でありますが、そういう人々が多く入って参りますと、全体の平均ベースというものは下るのであります。また給与の高い人が退職する傾向が多いのでございますが、やはり給与の高い人が抜けていけば、それだけ給与水準は下るということでありまして毎月勤労統計あたりのいわゆる総平均いうものだけを見まして、これを公務員の総平均と比較してみましても、なかなか的確な比較になっておらないのであります。従いましてそういうことは単なる参考程度にしか見られないのでありますが、この公務員の場合に、年度間に五彩前後の転退職並びに新規採用もございますが、そういうことをいろいろ織りまぜておおむね五%前後の水準の上昇があるわけでございます。民間におきましても二〇%前後のものが出たり入ったりいたしますので、長期でどれくらい上っておるかということはそういう要素を取り去ってみなければわからない。すなわち水準の上昇だけでは単に両者がどれだけ上ったかということはなかなかわからない、このように考えております。
  86. 大平正芳

    ○大平委員 そういう御苦心はよくわかるのですが、一体五十人以上の事業場でキー・ポジションを比較すると、大体大数的な正確さを期するため何人くらいをあなたの方でお調べになっておりますか。これは対民間とのバランスを見る上において非常に重要です。
  87. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院の民間給与調査というのは、いわゆるサンプリング・メソッドを用いておるわけであります。これは御存じのように、悉皆調査、五十人以上の事業場全部を調査いたしましたものと同じような効果がある方式であります。ただサンプリングでございますから多少誤差はあるということはございますけれども、これは悉皆調査と同じでございます。しかし現実にどれくらいの事業場を調べておるかということになりますと、詳細なことにつきましてはあとで詳しく御報告申し上げます。
  88. 大平正芳

    ○大平委員 大体五十人以上の事業場をサンプリング・メソッドで当った、こういう御説明が今あったのですが、そういたしますと職種別、学歴別、勤続年数別の比較も参考のために当ってみたらほぼ同じような結果が出たから信憑性が高まったという意味で、つまり今まであなた方がやっている比較の方法を、その正確性をほかの方法でも当ってみたら、たまたま同じような傾向になっておった、だからこれで大丈夫だという判断に立ったわけですか。と申しますのは、学歴別なんかのものは大体三十人以上ということになっておるし、勧告によりますと、とらえ方が全然違った方式によっています。従ってこの方は参考までに一応ここに書いてみたというだけですか。
  89. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 その基礎調査は、おっしゃるように労働省におきましては、三十人以上ということでございますけれども、われわれはその調査の結果を判断いたします場合に、やはり五十人の線で比較できるように修正いたしまして比較をいたしております。人事院の調査とほかの調査と比較してみて信憑性を確めたかというご指摘でございますが、何回も重ねております調査でありますし、従来の人事院の調査は信頼度が非常に高いものであるということは、また別のいろいろな方法によりまして確かめておるわけであります。人事院の調査自体につきましてはわれわれは確信を持っておるのであります。
  90. 大平正芳

    ○大平委員 それでは今度は生計費の問題について勧告でうたってあるところで若干御質問を申し上げたいのですが、単的に申し上げまして、人事院勧告で去年の三月の独身青年男子の東京における標準生計費というのをやってみたら六千八百七十円であった。それからそのあと、昨年の一年前に比べて四・一%の増加に当る、それに相当する十八歳の職員給与月額の東京換算額を三十年一月の給与実態から求めると、男女及び職種によってかなりの差異があるが、六千九百四十六円から七千六百六十九円になるということで、今度の給与改訂が行われますと、この標準生計費はともかくサティスファイするのだ、こういうような判断がうたわれておるようであります。そこで私の伺いたいのは、ここにいう標準生計費という概念はどういうことであるかということです。それからもう一つは、これには独身青年男子とありますが、標準家族、夫婦、子供三人という家族持ちの生計費をどの程度満足させておるのか、今度の改訂によってどういう満足状況になるのか、この二点を伺いたい。
  91. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 この標準生計費と申しますのは、いわゆる公務員法第六十四条の、俸給表を作ります際に人事院が考慮いたすべき要素と申しますか、民間給与、生計費その他人事院の決定する適当な事情という中の生計費というところで人事院が考えておることであります。六十四条から申しますならば、生計費のことを考えるということは、何もいわゆる人事院が従来用いましたような標準生計費でなくともよく、非常に幅のある問題だと思います。非常に高い生計費を考える場合もありましょうし、また人事院が考えておるよりも低い水準で考えるということもありましょう、しかしながら人事院が従来考えて参りました方式は、いわゆる標準生計費ということで考えて参ったのであります。しかもそれは独身男子十八歳の標準生計費ということで考えて参っておるのであります。この独身男子の標準生計費というものはどういうふうにして算定されておるかということでございますが、これはいわゆる理論生計費というものではないのであります。まず生計費の中におきまして、飲食費とか、住居光熱費とか、被服費、その他いろいろなものがあるわけでございます。その中の飲食費につきましては、大体国民一般がとっておりますところのカロリーというものは、厚生省の方でも統計がございますし、また消費者物価調査によっても知り得るのでありますが、その方面から国民一般のとっておりますカロリーの平均基準にしておるわけであります。それから摂取いたしますいろいろな食事の内容、これは副食の内容ということになりましょうが、そのようなものにつきましては、これまたやはり総理府統計局で出しております消費者物価調査によりまして、現実に家庭が消費しております状況を調べて、その平均的な価格及び種類ということをとるということで、いわゆるマーケット・バスケットというものを作っておるのであります。マーケット・バスケットの作り方におきましても、いわゆる理論的な作り方というものもあろうかと思いますけれども、人事院がやっております方式は、あくまで民間の平均的な摂取状況ということを一応参考にいたしまして、非常に数量の少いもの等で、そういうものを算定いたしますと計算がめんどうなようなものもございまするし、そういうものは省きますけれども、そういうふうにいたしまして、カロリーと、それから種類をきめまして値段をきめていく、そういうやり方をやっております。それで食料費以外の住居、光熱費、被服費、その他のものにつきましては、総理府統計局のCPS、すなわち消費者物価調査で一般世帯の平均的に住居費としておるものはどのくらいであるかというようなことを調べるのであります。もっとも、そういうことを消費者物価調査から調べますると、これは平均家族が四人ないし五人というところでありますから、これを一人に換算いたしまするために、われわれは換算常数というものを用います。これは非常に技術的な問題でありまするが、そのようにいたしまして、一人の場合にこれがどういう数字になるかということを調べるのであります。以上のようにして出す標準生計費でございまるから、これはあくまで平均的な一般の消費事情を反映しておるもの、このように考えていただいていいのではなかろうかと思うのであります。
  92. 相川勝六

    相川委員長 本会議が開かれましたので、当委員会は、本会議散会後再開することといたしまして、暫時休憩いたします。    午後二時三十二分休憩      ————◇—————  〔休憩後は開会に至らなかった〕