○粟山
委員 私は関連して
一つ伺っておきたいと思います。今、井本局長さんからのお答えに、見のがすという言葉をお使いになりましたが、アメリカの兵隊から見のがしてもらえば犯罪にならぬ。見のがさないということになれば犯罪になるというような事態がある。いろいろな制約があるでありましょうけれども、いずれにしても、日本の国内においてそういうような事態がなお存するということは、私は非常に不安だと思います。考えようによっては、事それ自体はきわめて価値の低いものであり、効用の高からざるものであります。そういう品物についてのできごとである。けれども、これをいろいろの意味から考えますと、その取扱い方において非常に重大な問題が起きるものであって、また起きたのである。相馬ヶ原の
事件といい、
御殿場の
事件といい、新聞で見て、ラジオで聞いて、これくらい最近において胸を痛めるものはなかったと思うのでございます。この事態を見ますれば、人によっては
薬莢くらいのものじゃないかという。けれども、
薬莢を拾うことにおいてそれが個人の生活に重大な影響があるのだということになれば、くずものは女中に小づかい銭にやれというような余裕のある家庭の人が新聞を見た場合と、それは実質において非常に違うのであります。けれども、少くともわれわれはサンフランシスコ条約といい、あるいは最近国際連合に加入した日本だということの今日の日本国民の感情からいえば、なおここにかような不安が残っておるという事態は、非常に遺憾だと思います。それでありますから、端的に申し上げますれば、ささいなものであるけれども、アメリカの
指揮官の取扱い方、その解釈の仕方によってきまるというような事態に置くことは避けなければならぬ、あくまでもこれは取り去らなければならぬと思います。こういう点において、この問題はむろんのこと、この問題に似通うようなことがたくさんあるでありましょうから、どうかはっきりさしてもらいたいと思います。
それから事の起りを考えますと、
防衛庁の方々に特に考えてもらいたいことは、私は数年間内閣
委員をしておるのでありますが、私どもはいろいろここで国際的、国内的なめんどうな問題が起きておるが、われわれは誇りある日本国民であり、民族であるということの自党を、みずからの行為において現わすことを考えるほどに努力しておるとすれば、ここにお互いよほど考えなければならぬことは、あの
欧州大戦のような大きなできごとで負けた、その負けたときに、歴史にもない、国際法にもかって経験のない無条件降伏の調印をしたのである。何とされてもいたし方がない、生命財産の与奪は彼らにまかさざるを得ない、国土はむろんのことである。しかるに幸いなるかなこの程度に済んでおる。日本がサンフランシスコ条約ないしは最近の国際連合に加入したというような現実から考えますと、よく早くここまで復活したものだと思わざるを得ませんけれども、この敗戦当時において、勝った者の誇り、負けた者の敗戦感というものは、非常に私は両方に深刻なものがあると思うのです。それがだんだん年とともに薄らいできてあるいは国際的にいろいろな
事件が起きたり国際的ないろいろなサンプルを見せられたりして、今日に及んでの日本というものは、
世界が大きく動いていきますように、日本の環境も大きく影響を受けておるのです。そこでほんとうにこの議場においても聞くがごとくに、独立した形におけるわれわれが、この議場におけ主張を唱えんとするならば、われわれ自体がほんとうに敗戦感、劣等感、これは払拭しなければならぬ。いろいろうこまかな点にまでわたって、私はあらゆる面においてこれを徹底させることを努めなければならぬと思う。同時にかりそめにも戦争に勝った国が、なおかつ戦争に勝った当時のおごりというものの余韻が残っているならば、これは正々堂々として、あくまでも大小を問わずこれに向って反省を与え、抗議をいたし、そしてこれを払拭せしむべき決心と覚悟が私は必要であろうと思うのであります。私はこの議事堂というものは非常に神聖なもので、そして尊い権威あるものということを信じますがゆえに、ここにおいでになって答弁せられるところの官吏の方々、また質問されるところの議員の方々の真剣なる姿にかんがみまして、大なり小なり国民は誇るべき国民としての権威と歴史と伝統の上に、新たなる歴史、新たなる伝統を作るというだけの信念のもとに、いささかなりとも疑惑があり、そこに何らかの解釈と判断を必要とする点がありますならば、徹底的にこれを洗って、真に根本的な
解決をしてもらいたい。その
一つとして、人によってはきわめて軽いような価値の低いもののように思われましても、人によっては非常に重大な生活問題に属するというような、こういう相馬ヶ原
事件ができたことは、災いを転じて福となす意味において、十分私はその御考慮を願いたい、いわんや
長官が申されるように、
防衛庁は新世帯であります。新世帯でありますから、いろいろな点において困難があるということよく知っておる。私もこの席には、数年間浮気もせずに続けて来ておるので、そういう経験からいたしまして、いろいろな
事件のあったことも聞きましたし、またいろいろ私は根本的に矯正しなければならぬことがたくさんあると思う。
警察予備隊、保安隊、
自衛隊と続けて参った増原次長のごときは、最もよくこの真相を知って、最も多くの考慮も尽され、従ってまた責任も感ぜられるところのお一人であろうと思いますから、特にあなたの経験にかんがみまして、十分私は疑惑のないような
自衛隊、信頼される
自衛隊の建設のために御努力あらんことを希望いたしまして、はなはだ失礼でございましたが、この時間を借用いたした次第でございます。