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1957-02-12 第26回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十二日(火曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 相川 勝六君    理事 大平 正芳君 理事 保科善四郎君    理事 山本 粂吉君 理事 山本 正一君    理事 石橋 政嗣君 理事 受田 新吉君       大坪 保雄君    大村 清一君       北 れい吉君    田村  元君       床次 徳二君    船田  中君       眞崎 勝次君    粟山  博君       横井 太郎君   茜ケ久保重光君       飛鳥田一雄君    淡谷 悠藏君       稻村 隆一君    木原津與志君       下川儀太郎君    中村 高一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 小滝  彬君  出席政府委員         防衛政務次官  高橋  等君         防衛庁次長   増原 惠吉君         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  林  一夫君         防衛庁参事官         (教育局長事務         取扱)     都村新次郎君         防衛庁参事官         (人事局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (経理局長)  北島 武雄君         防衛庁参事官         (装備局長)  小山 雄二君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 二月八日  傷病恩給増額に関する請願伊東岩男紹介)  (第四三一号)  同(大高康紹介)(第四三二号)  同(川崎五郎紹介)(第四三三号)  同(北澤直吉紹介)(第四三四号)  同(小島徹三紹介)(第四三五号)  同(永田亮一紹介)(第四三六号)  傷病恩給受給者家族加給に関する請願伊東  岩男紹介)(第四三七号)  同(川崎五郎紹介)(第四三八号)  同(小島徹三紹介)(第四三九号)  同(永田亮一紹介)(第四四〇号)  元満州国等日本人公務員恩給法適用に関す  る請願加藤鐐五郎紹介)(第四四一号)  同(塚原俊郎紹介)(第四四二号)  同(吉田重延紹介)(第四四三号)  明治、大正年代における殊勲者特権復活に関す  る請願久野忠治紹介)(第四四四号)  建国記念日制定に関する請願山中貞則君紹  介)(第四七二号) 同月九日  下郷町の寒冷地下引上げ請願八田貞義君  紹介)(第五一六号)  看護職に対する人事院勧告新作給表是正に関す  る請願今松治郎紹介)(第五一七号)  旧海軍特務士官及び准士官恩給是正に関する  請願大橋武夫紹介)(第五一八号)  旧軍人関係恩給加算制復元に関する請願(徳  田與吉郎紹介)(第五一九号)  元外地鉄道職員に関する恩給法等特例制定に  関する請願山本猛夫紹介)(第五二〇号)  元満州国等日本人公務員恩給法適用に関す  る請願北澤直吉紹介)(第五二一号)  傷病恩給増額に関する請願赤城宗徳紹介)  (第五二二号)  同(小澤佐喜紹介)(第五二三号)  同(加藤常太郎紹介)(第五二四号)  同(川野芳滿紹介)(第五二五号)  同(菊池義郎紹介)(第五二六号)  同(高瀬傳紹介)(第五二七号)  同(徳田與吉郎紹介)(第五二八号)  同(山本猛夫紹介)(第五二九号)  傷病恩給受給者家族加給に関する請願小澤  佐重喜紹介)(第五三〇号)  同(加藤鐐五郎紹介)(第五三一号)  同(川野芳滿紹介)(第五三二号)  同(菊池義郎紹介)(第五三三号)  同(徳田與吉郎紹介)(第五三四号)  同(山本猛夫紹介)(第五三五号)  紀元節復活に関する請願外十六件(纐纈彌三君  紹介)(第五四三号) 同月十一日  福島県下の寒冷地手当引上げ等に関する請願(  田中利勝紹介)(第五九八号)  金鵄勲章年金復活に関する請願有田喜一君紹  介)(第五九九号)  同(松永東紹介)(第六〇〇号)  同(櫻内義雄紹介)(第六〇一号)  元満鉄社員恩給法適用等に関する請願外一件  (池田清志紹介)(第六〇二号)  旧海軍特務士官及び准士官恩給是正に関する  請願高村坂彦君紹介)(第六〇三号)  旧軍人関係恩給加算制復元に関する請願(橋  本龍伍紹介)(第六〇四号)  元満州国等日本人公務員恩給法適用に関す  る請願古井喜實紹介)(第六〇五号)  熱海町の寒冷地手当引上げ請願粟山博君紹  介)(第六〇七号)  傷病恩給増額に関する請願井谷正吉紹介)  (第六〇八号)  同(今松治郎紹介)(第六〇九号)  同(越智茂紹介)(第六一〇号)  同(岡崎英城紹介)(第六一一号)  同(木村俊夫紹介)(第六一二号)  同(坂田道太紹介)(第六一三号)  同(杉浦武雄紹介)(第六一四号)  同(砂田重政紹介)(第六一五号)  同(細迫兼光紹介)(第六一六号)  同(田中武夫紹介)(第六一七号)  同(八木一郎紹介)(第六一八号)  同外一件(山本正一紹介)(第六一九号)  傷病恩給受給者家族加給に関する請願(今松  治郎君紹介)(第六二一号)  同(木村俊夫紹介)(第六二二号)  同(砂田重政紹介)(第六二三号)  同(田中武夫紹介)(第六二四号)  同(越智茂紹介)(第六二五号)  同(細迫兼光紹介)(第六二六号)  同外二件(野田武夫紹介)(第六二七号)  紀元節復活に関する請願外十五件(纐纈彌三君  紹介)(第三六号)  の審査を本委員会に付託された。 二月十一日  人事院勧告による給与の改訂に関する陳情書  (第一〇五号)  地域給制度撤廃に関する陳情書  (第一〇六号)  金鵄勲章年金復活に関する陳情書  (第一六四号)  美保航空基地拡張反対に関する陳情書外一件  (第一六五号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件(誘導兵器問題)     ―――――――――――――
  2. 相川勝六

    相川委員長 これより会議を開きます。  この際、高橋防衛政務次官より、就任あいさつのため発言を求められております。これを許します。高橋防衛政務次官
  3. 高橋等

    高橋(等)政府委員 私、このたび防衛庁政務次官就任をいたしました。当委員会皆様方とは、長い間いろいろとお世話になって参っておるのでございまするが、どうぞ今後とも従前以上の御懇情をいただきまするよう、この機会にお願い申し上げる次第でございます。
  4. 相川勝六

    相川委員長 これより、国の防衛に関する件のうち、誘導兵器の問題について質疑の通告があります。これを許します。山本粂吉君。
  5. 山本粂吉

    山本(粂)委員 私はこの際、新聞その他世論にかんがみて、誘導兵器の問題について御説明を願いたい。最近の誘導兵器というものが、何か原子力兵器につながりを持っておるような感じをしておりますので、従って誘導兵器に関連して、アメリカ原子力機動部隊等日本へ駐留するのではないだろうかというようないろいろの憶測が行われておるので、この際誘導兵器についての真相を確かめておきたい、かように存じまして、二、三質問をいたす次第でございます。  まず第一に、現在の国防上、誘導兵器というものはなぜ必要なのか。どういう理由で、どの程度に自衛隊においてはこれを研究され、またどの程度に進捗しておるのか、まず誘導兵器必要性について、一応御説明を願いたい。
  6. 小滝彬

    小滝国務大臣 お答えいたします。詳細については係の局長から説明させたいと存じますが、最近、兵器の発達が著しくて従来よりも速度の早い飛行機を用いるようになり、またその性能のすぐれたものが用いられるようになりました関係上、たとえば防空につきましては、今までのような高射砲だけでは届く距離も短かいし、また早いスピードのものに対して対抗することができない、こういうような点からいたしまして、ほんとうに有効的な防衛をいたしますためには、やはり防衛のためにも新しい兵器を用いる必要がある、こうした観点から誘導兵器あるいはロケットというようなものの研究が必要になってきた次第でございます。  昭和二十九年以来この点につままして研究を始めることにいたして、予算は十分はございませんけれども、それ以後研究を続けておるのであります。そのために昭和三十年の十一月にもアメリカ側へ、こういう近代武器研究開発のために一つ見本的な意味で、たとえばオネスト・ジョンであるとかあるいはファルコンであるとかいうようなものを提供してもらうことはできないだろうかという申し出をいたしたのでありまするが、さらに昨年の七月には、この前予算委員会でも申し述べました七つの新しい兵器を提供してくれるように申し出をしたような次第でございます。これについてはもちろん日本側だけでも研究はできないわけでもございませんが、そうするとさらに長く時間がかかる、今までせっかく米国で検討されてでき上ったものを、それを種にしてやるということになれば、より経費が少く、より効果的に、よりすみやかに研究を進めることができるであろうという立場からこれまでも折衝いたしたのでありまするが、まだ具体的にはどういう兵器を提供してやろうということは、正式に申して参っておらないという状態でございます。なお詳細な点は装備局長から説明させていただきたいと思います。
  7. 小山雄二

    小山政府委員 ただいま大臣からお答えがございましたが、なぜ誘導兵器が必要かということを、事務的と申しますか、われわれの研究をしております考え方を申し上げますと、爆撃機性能が、今申されましたように、速度が非常に早く、高度が非常に高くなっております。私どもは今四十ミリ、九十ミリという高射砲を持っておりますが、四十ミリの方はせいぜい五、六千メーター、九十ミリの方がせいぜい九千メーターくらいの有効高度でございます。それから要撃戦闘機といたしましてF86Fというものを持っておりますが、これの有効高度は二万二千メーター程度でございます。その上に対しましては、有効適切な防空の手段が現在のところはないわけでございまして、そういう点に関しまして、各国ともその上は誘導兵器で防御しよう、こういうことになっておりますので、地対空誘導兵器といたしましては、そういう考え方をいたしております。それから一方爆撃機防弾能力といいますか、あるいは防御火器等も相当進歩しておりまして、要撃戦闘機が参りましても、従来の塔載機関砲機関銃等では、これに対処できないということになっておりまして、各国とも空対空ロケット弾とか誘導弾を装備しまして、要撃力を強化しようとしておるような状態であります。空対空誘導弾についてもそういう意味研究をやって参りたい、こう考えておるわけであります。私ども研究をいたそうという種類のものは、今申しました地対空並びに空対空誘導弾でございまして、今大臣の申されました、研究見本アメリカ供与を頼みましたものも、そういう種類のものでございます。
  8. 山本粂吉

    山本(粂)委員 アメリカの方へ研究資料として供与を仰いだ誘導兵器種類も承わっておきたいが、それはあくまでも研究資料としての供与を要請しておるのか、それとも供与を受けた誘導兵器を、そのまま国防川に使用するために誘導兵器供与を要請しておるのか、この点をまずはっきりさしておきたい。
  9. 小山雄二

    小山政府委員 米国に対しまして供与を要請しました誘導弾を申し上げますと、ナイキ、これは地対空誘導弾でございます。それからテリヤ、これも地対空誘導弾でございます。それからファルコン、これは空対空のものでございます。スパロー、これも空対空のものでございます。それからタロス、これは地対空のものでございますが、地と申しましても艦船から撃つものでございます。ボマーク、これも地対空のものでございます。そのほかに例のオネスト・ジョン、これは正確には誘導弾とは申せません。無誘導ロケットでございますが、これを合せまして七種類のものを要求したわけでございます。もっともこれらは研究のために見本としてもらうのでございまして、すべてセット一そろえ、それからたまは数発、最高十発程度のものを要求しておるのでありまして私どもとしましては、それをもちろん装備するというようなことは今のところは考えてないわけでございまして、これとかつて予算を御承認願いまして搬入することに決定いたしましたスイスのエリコン誘導弾、そういうものをすべて土台にいたしまして、数年先には日本式の一番能率のいいといいますかあるいは経費のかからないそういう日本型のものを研究してみたいという考えでおるわけであります。
  10. 山本粂吉

    山本(粂)委員 ただいまの説明で問題になっておる誘導兵器供与を要請した理由は、全く研究用であって、将来日本防空防衛等関係必要限度においてそれら誘導兵器日本流のものを作って、そうして国防上の完璧を期したい、こういう理由研究資料として必要限度だけを供与を要請している、こういうことになるようでありますが、そこで問題になるのは、その誘導兵器のどの種類のもの、すなわち空対空のものか地対空のものかは存じませんが、それらの誘導兵器誘導弾といいますか、それに原子兵器が備えつけられる、こういうことが問題になっておるようでございますけれども、さような誘導兵器日本へ持ち込まれるような危険はあるのかないのか、この点等についても詳細な御説明を承わっておきたいと存じます。
  11. 小滝彬

    小滝国務大臣 原子弾頭をつけますのは大陸間の非常な長距離誘導兵器の場合、たとえばその中間に位するようなしかも相当な遠い距離のものにつけられることがあるようでありますが、今装備局長説明いたしましたような種類のものは、きわめて短距離の三十キロとかあるいは一番多くて八十キロ程度しか行かないものでありまして、これにはそういうかりに必要がありましてもつける必要はない、またつける装置も今申しましたものの中では、やればやれるというのはオネスト・ジョンだけであって、ほかのものはそういう工合にできておらないようでございます。しかもすでに岸臨時首相代理も申しましたように、原水爆とか原子弾頭は向うから話があっても絶対に日本には持ち込ませないという態度を堅持いたしておるのでありまして、われわれといたしましては原子弾頭でなしに、普通の強度爆薬を使って、そうして兵器を利用するという考え方で進んでおるものでありまして、またこれができるといたしましても、一番早くて昭和二十五年ぐらいに空対空のものができ得ればけっこうだ、それをターゲットにして研究を進めていきたいという希望を持っておるのでありまして原子弾頭をつけるというようなことは考えてもおりませんし、また要求しているものはそれをつけるような装置になっていないものと承知いたしております。
  12. 山本粂吉

    山本(粂)委員 そうすると今研究資料として供与を要請しておるという七種類ほどの誘導兵器の中には、大体原子弾頭をつけるようなものはない、全く強度爆薬を装備したもので、短距離川のものである、オネスト・ジョンは場合によっては原子弾頭をつけられるものだ、こういうような御説明のようだか、そうすると今のオネスト・ジョン供与を受ける場合に、今日まで問題になっておる原子兵器日本への持ち込みは、アメリカ当局日本外務当局との間に申し合せができて、絶対に日本の承認なしには持ち込まないということが申し合わされておることは、何回も声明を聞いておるので、そうであろうことは間違いないと思うけれども、しかし今のオネスト・ジョンの問題にからんで、原子兵器弾頭をつけたオネスト・ジョン日本へ持ち込まれる、いつの間にかそれが蓄積されて日本原子兵器が持ち込まれるような危険があるのではないだろうかということが問題になるようでありますが、この点についての当局の見解をただしておきたい。
  13. 小滝彬

    小滝国務大臣 今御指摘になりましたように、アメリカ側と事前に必ず協議をするということになっており、日本政府態度は先ほど申し上げましたようなものでありまする以上、知らないうちにそれが持ってこられて蓄積されるというようなことは絶対にないものと考えております。  なお私の説明が不十分であったかもしれませんが、この要求したもののうち、無理につけようとすれば、オネスト・ジョンにはつける可能性があるということを言ったのでありまして、これはそういう弾頭を用いることなしに利用したいということで、私どもアメリカ側へこのワン・セットを提供してもらいたいということを要求したわけであります。なおこれにつけ加えて申しますならば、これはわが方の研究資料という立場から申し入れをしたものでありまして、アメリカ側立場から申しますと、日本に果して十分な受け入れ態勢があるかどうか、またそれに対して十分な計画を持っておるかどうか、そしてこの兵器の中で秘密を要するような部分日本において十分保護し得るかどうかというような点を、はっきりさせたい希望を持っておりますので、要求はいたしましても、果してどの種類をどの程度いつ日本側へ渡すかということは、今後さらにわが方の準備態勢のでき上り工合いかんにもよりますので、ただ要求したというだけでありまして、それがすぐ来るものであるというような一般の印象は、これは事実に即していないものであるというように御了承願います。
  14. 山本粂吉

    山本(粂)委員 大体了承いたしましたが、そうすると今当局説明されたような、誘導兵器研究のために供与を要請したが、来るのか来ないのか、いつ来るのか、それもまだ明白でないのだ、かりに要請した種類のうちで幾種類かのものが供与を受けられて研究材料になったとしても、それらのものに基いて研究の結果、日本国防最低限度必要な誘導兵器が作られるようになるのは数年後である。こういうことがはっきりしたようでございますが、それはそれでよろしいのだが、そこでそれらの誘導兵器供与を受け、研究調査を進められて、国防最低限度必要なものができ上ると仮定して、いかなる事態においても、原子兵器弾頭につけるというようなことは、防衛庁としてはさような研究をされるのかされないのか、必要があればやるというのか、原子兵器の問題については絶対にさようなことはしないというのか、それらの点をもっとはっきりさしておいていただきたいと思います。
  15. 小滝彬

    小滝国務大臣 ただいま申し上げました通り政府といたしましては、もちろん遠い将来においてかわった内閣においてどうなるかということは別といたしまして、現在そういう原子兵器——日本原水爆を持ってきてそれを研究するというようなことはいたさない方針でございます。ただここで御注意申し上げておきますのは、原水爆の禁止というようなものが実際上まだ国際約定になっておらない、その希望日本においては特に非常に強いものがありまするので、日本側は主張しておりまするけれども、不幸にして強国間にそういう協定ができ上っておらない。しかりとすれば、いつ何どきそういうものを使用する場合が起ってこないとも限らない関係もございまするので、私どもはその被害をいかにして防止すべきか、あるいは毒ガスにいたしましても、なるほどヘーグの協約はございまするけれども、あるいはこういうものを使われる場合があるかもしれないので、それに対処するための被害の防止という意味においては、化学学校の方で研究させるということはいたしまするが、こっちで使用するというような意味においての研究をするのではございません。
  16. 山本粂吉

    山本(粂)委員 最後に承わっておきたいのは、今アメリカに要請したというその誘導兵器のすべてがくるかどうかは別として、そのうち幾種類かが供与される、そこで研究する、こういう段階にもしなったとして、それらの研究のために供与を受けるので、そうなると何か秘密保護法の必要などが起ってくるのではないか。そこにまず秘密保護法などを作って、国民の知らぬ間に、どう考えてもわれわれが納得のいかないような火器が作られるというような心配がないとはいえない、そういう意味でお尋ねをするのだが、今の秘密保護法等を特に制定してやらなければ、今言うたような最低限度誘導兵器供与も受けられない、研究資料としても受けられないというようなことなのか、それとも、それは全然さようなことの必要はないのか、それの見通しはいかがでありましょうか、承わっておきたい。
  17. 小滝彬

    小滝国務大臣 先ほど申し述べましたような兵器については、相当秘密を保持する必要のある部分がございますので、これはその兵器にもよりまするが、これらのものを日本へ提供し、これを日本研究開発するという場合に、果してこれまでアメリカ機密として取り扱っておったものが漏洩しないで済むかどうか、現在のあのMSA協定に伴うところの秘密保護法で十分であるかどうかという点については、率直に申しますると、アメリカの方もいささか疑問を持っているようであります。あの法律は、ただ単に供与された装備品またそれに関する情報というものが保護されるのでありまするが、それが日本で開発せられましてできたもの、日本製であるけれども、しかしそのもとは向うの秘密を含んだものであるというような場合に、果して現在の秘密保護法だけで十分であるかどうかという点は検討しなければならないところだろうと考えます。ただ、しかしながらこれがまだはっきりとどれだけのものがもらえるということがわかっておりませんし、またこういう問題が起りますと、えてして必要以上の疑いを持つような人が国民の一部に出てくるという心配もございまするので、私といたしましては、この点は慎重に考慮いたしまして、必要な限りにおいては、あるいは今後皆様に御審議を願いまして、そうした最小限度保護をする措置をとらなければならないのではなかろうかと思います。ただまだ具体的にその案もできておりませんし、さらにもっと検討を要する点もございますので、現在のところは今直ちにこれに即応する秘密保護法といったようなものを作ろうとはしておりませんが、しかし必要があるであろう、ことに防衛庁立場といたしましては、今後どうしてもそういう措置をとらざるを得ない、必要最小限度のものは持たなければならないということを痛感いたしているのであります。
  18. 保科善四郎

    保科委員 関連して……。今最新の兵器に対しての秘密保護に関する防衛庁長官の所信を承わったので若干意を得たのでありますが、過般来こういう最高兵器日本に導入するために、機密保持法なんか要らないのだというようなことが、新聞に出ておりましたので、私はすこぶる遺憾に考えておったのでありますが、何といいましても最近の国防力ほんとうに向上さして、そして日本の平和を維持するためには、私はやっぱり最高の技術を導入することが必要だと思う。従って何年もかかって、そうして多大の費用をかけてやったものをすぐ今日導入して、すぐ晩にどっかへ飛んでいってしまうというようなことでは、これはとうてい日本に導入することはできないのです。むしろ国民に対して十分の了解を求めて、そうしてわれわれは最少の費用において日本国防を全うするんだ、防衛を全うするんだというような意味合いにおいて、必要なるものはこれは国民了解を得てやるという態度を堅持される方が賢明である、何も消極的に事なかれ主義のような発言だけをされることが国民に対して忠実な礼儀じゃないと私は考えておるのですが、もっとその辺に対するはっきりした長官態度を伺いたい。
  19. 小滝彬

    小滝国務大臣 先ほど申し上げました通りでございまして、私はよりよくこの機密性を保持する必要があるということを痛感し、その具体的な措置をとらなければならないということを感じておるものでございます。またその方向に努力しようとしておるものでございます。私はこの意味におきましても、くさいものに手を伏せたようなかっこうでなしに、誘導兵器についてもはっきり説明をしたらよろしかろうというので、率先いたしまして予算委員会においても、兵器種類もいろいろ新聞なんかで伝えられておりまして、かえっていろいろな疑惑を生じますから、その辺を正確に申し上げるという態度でおりますから、そういう点も国民皆様に相当心構えを作っていただいて、そうして国民の理解のもとにおいてこうした新しい必要な法制ができるようにというその努力の一端といたしまして、目下こうした方向に考え方を進めておる次第でございます。
  20. 相川勝六

  21. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 予算委員会におきましても一応質問がありましたし、ただいま山本委員からもお尋ねがあったわけでございますが、十分に意を尽してない部分が相当あるので、引き続いて誘導弾に関する問題をお尋ねいたしたいと思います。  アイゼンハワー大統領が議会に発表いたしました教書の中に、いわゆる第二次ニュー・ルック政策というものが盛られておることは御承知の通りでございますが、これに関連いたしまして、原子機動力部隊の配置の問題、あるいはまた今度の誘導弾の問題というようなものが出てきたと私は考えるわけです。日本人は、御承知の通り原子兵器原水爆というものに対しては非常に大きな関心を持っておる、これは当然のことでございまして、戦争も最終的には広島、長崎に原子爆弾が落されて莫大な被害を受けることによって終っておるのでございますし、戦後においても久保山事件というようなものもございまして、非常な関心、結局極度の恐怖感をこういったものに持つのは、私は当然だと思うわけなんです。従いまして政府といたしまして、少くとも原水爆あるいはこれと密接な関連を持つ誘導兵器については、何らの不安を持たないように、親切に国民説明をする義務があると私は思う。ところが今までの質疑応答の内容から私は十分に国民が安心感を持つことはできないような気がしてならないわけであります。  まず第一に、この誘導兵器というものを日本に持ってきたいということを言い出しておるのは日本政府自体、防衛庁の側にあったのだ、結局防衛庁の方からくれないかという要請をしたんだということを明確に言っておられる。これに対しまして、一体何のためにそれでは日本に持ってこようとしたのかという点で、私まず納得がいかないわけです。今の長官の答弁と装備局長の答弁の中にも私は食い違いがあるような気がいたします。そこでまず最初に、いついかなる目的でこの誘導兵器供与アメリカにお願いしたのか、一つ明確に長官からお答えを願います。
  22. 小滝彬

    小滝国務大臣 先ほど申しあげましたように、研究開始をしたのは二十九年であるけれども——もちろん小規模のものでございますが、二十九年に開始したのでありますけれども、三十年の十一月に至って、アメリカ側からサンプルをもらったらより都合がいいという考えで、まあ試験的に申し出をしたという程度でございまして、これに対するアメリカの反響というものはほとんどなかったと申しますか、他にいろいろ日米相互防衛援助協定に基く供与品もございますので、これは大して取り上げられなかった。そこでさらに昨年の七月末に、さっき申し上げましたような誘導兵器供与方、しかもその目的はこれを研究開発するための目的をもって申し出をいたしたのでございます。
  23. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 研究開発とか実験用とかいうことを盛んにおっしゃいますが、ただもらってきて分解してみて、ああどんなになっているのだというようなことをしようというわけではございますまい。おそらく日本防衛のためにはこの程度兵器は必要なのだ、こういうようなお考えを持たれて、できればアメリカからもらいたいし、もっとうまくいけば、日本でも独自の立場で作るようにもしたい、そして日本防衛体制を強化しよう、そういう目的があったのじゃないか、このように私は考えて今お尋ねしているわけです。先ほど山本委員へのお答えの中にも防衛のためということもちょっとあったかのように思いましたので、再度お尋ねするのであります。
  24. 小滝彬

    小滝国務大臣 研究開発しようといっているのは、もちろん目的があってやることでありますから、これは近代の兵器の発達の現状にかんがみまして、防衛上これがより有効である。数だけふやすのが能ではないのであって、ほんとうに新鋭な兵器があれば、犠牲少くしてより多くの効果を上げる。それにはこうした兵器研究しなければならないというので、基本的には防衛の必要があるということは申し上げるまでもないところでございます。
  25. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そこが非常に大切なのだ。長官は明らかに防衛のためにこういうものを取り入れなければならぬのだ、そのための調査研究だということを申しております。装備局長は先ほど、これで装備するというようなことは全然考えていないのだというようなことを答弁しておって、私は明らかにあなたと事務当局との間に答弁に食い違いがあると思うのですよ。
  26. 小滝彬

    小滝国務大臣 私は少しも食い違いがないと存じます。と申しますのは、私も今山本さんにお答え申し上げましたように、かりに非常な努力をして作りましても、昭和三十五年度程度にやっとその研究が一応の完了を見るのではないかということを、これは速記にも出ておると思いますが、申し上げたのでありますから、装備局長が今直ちにこれを装備しようといたしましても装備できないわけであります。また向うから提供を受けますものは、それぞれワン・セット、ただ一組みだけでありますから、それでもって直ちにそれが装備に供与されるというものでもないのであって、その意味で、あるいは言葉が足りなかったかもしれませんが、思想に不統一があるというようにもしおとりになりましたならば、その点はあらためてはっきり申し上げておく次第でございます。
  27. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それは日本政府防衛庁研究して、行く行く国内で生産しよう、自作主義でいくならば、そういうこともいえるかもしれません。しかしアメリカの方で、あなたが御希望になったようなものを実験用だけでなしに、もっと大量に差し上げましょう。あるいは今オネスト・ジョンなんかも相当来ておるわけでありますが、こういうものも引き揚げていくときに自衛隊にそっくり置いていこうというような場合に、いいえおれの方に独自の研究で作りますから、そういうものを向うからくれるといってもそういうものは要りませんと、はっきり言うわけですか。
  28. 小滝彬

    小滝国務大臣 従来防衛庁は、こちらの方から自主的にこちらの立場からいろいろ要求することによって、日米間の協定に基く装備品供与を受けておるのでありまして、向から押しつけられてもらうというようなことはないのであります。従いまして私どもの要求したのは、先ほど申し上げまするように、大いに研究して日本で作る基礎的な研究をしようじゃないかということでありますから、今おっしゃるような危険はないと考えます。
  29. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 もし向うが、先ほど申し上げるように希望ならあげてもいいという態勢ができたときに、絶対に自衛隊の力では要らぬ、おれたちの方で作るからおれたちができるまではそんな兵器は要らない、アメリカでくれるといっても要りません、こちらは要求しません、そういう態度を今後も持していくと考えておるわけですか。
  30. 小滝彬

    小滝国務大臣 これは申し上げるまでもなく、国際情勢とかいろいろな面から検討いたしまして、そのときに考えなければならない問題でありますから、今どうするということを言明する限りではなかろうかと考えます。
  31. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 おかしいと思います。将来日本の自衛隊がこういう兵器を持たなければ完全に防衛体制はとれないのだと考えるから、そのために今から研究していくのだ、こう言っておる。自衛隊が防衛体制強化のために必要だということが目的だといっておる。ところがこれで国内で生産していごうと思えば、三十五年までかかるかもしれない。あるいはもっとかかるかもしれない。もっと手っ取り早い方法で、完全に供与の形でこの体制がとれるということになれば、この方がより望ましいように思うのですが、無理にももらわない、くれるといっても要らぬというようなことを言うはずはないと思うのですが、なぜそこのところにこだわってそのときにならなければというようなことをおっしゃるのか、私にはわからないわけなんです。
  32. 小滝彬

    小滝国務大臣 私が申し上げましたのは、現実に即して答弁申し上げたのでありまして、現実の問題としては、今のところ向うがそういうものをただ日本の自衛隊の使用のためにくれるという気配もないし、そしてそういう高度のものをくれるという可能性が非常に少いので、もしそういう事態にでもなればそのときに考える。そしてそのときに必要であればもらうというやり方をしようというのでありまして、何も必ずしもそれを否定するとか、あるいは一刻も早く今可能性の少いものをぜひよこせというような交渉をしておるのじゃないという趣旨のことを申し上げたつもりでございます。
  33. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それではくれることになれば何も拒否はしないということに理解してもいいのですか。
  34. 小滝彬

    小滝国務大臣 くれるということになれば、もちろんそのときの話し合いの結果にもよりますけれども研究、開発にも利用できるだろうし、あるいはそれを防禦用にも使い得るわけでありますから、くれるということになれば、特にこれを拒絶する必要はない、むしろ日本防衛の強化のために役立つであろうというように考えております。
  35. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それでは先ほどのお答えの中でまだきまっていないのだ、要請はしたけれども、くるともこないともまだわからないということをおっしゃっておりますが、今度はすでに各新聞の報道では、ワシントン発の各紙の報道としてやるのだということが言われておる。二月七日の読売新聞では、防衛庁でも認めた。「同庁筋は、秘密保護体制の整備を条件として供与してもよいとの通告はすでに非公式にあったことを認めている。」という記事にもなっておるわけです。ワシントンの方では上げてもいいということを言っておる。日本政府は要求は七種類したけれども、まだくれるともくれないともわからないのだというお答えでございますが、この新聞報道にも出ておるように、非公式にでも何らかの形の回答があったのかどうか、この点を一つ明確にしていただきたい。
  36. 小滝彬

    小滝国務大臣 もちろん米軍側とは折衝もありまするし、その際にこの問題が出たこともあった。先ほどから申し上げまするように、日本受け入れ態勢ができるようになれば、このうちのいずれかは供与し得るであろうという趣旨の非公式な向うの見解の表明はございますが、しかし、それじゃ具体的にすぐもらえるかというと、先ほどからも質問のありました秘密保護法をいかにするか、あるいは受け入れ態勢、これは相当準備も要することでありまして、それぞれの種類に応じてそれぞれ相当なる準備をしなければならぬ。そして場合によっては民間企業に頼まなければならないというような場合もありまするから、その前提条件が満たされない限り、今直ちに受け入れるという段階にはきておらないという趣旨でありまして、私は基本的に大きな矛盾があるとは考えておりません。
  37. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そういたしますと、最終的には供与は決定しておらないんだということになるかと思いますが、受け入れ態勢も何もないままに要請したということ自体にも私は矛盾があるんじゃないかと思います。まず予算的に言っても受け入れの準備はない。それから人的な面から言っても、どうもこれを処理できるような技師も一人もおらぬ。いろいろ欠陥が今露呈されておるようなのでございますが、申請はしたが、くれれば一体どうしようと思っておったのか、少くともこの点が明確にされなくちゃならないのが一つ。それからもしくれるようなことになった場合には、すでに日本の内地に米軍が持って来ておるものを譲渡するというような形がとられるものであるかどうか、この二点についてお答えを願います。
  38. 小滝彬

    小滝国務大臣 受け入れ態勢は、なるほど全般的な問題もありまするけれども、個々の兵器種類によってそれぞれ違う点もあるし、はっきりとしたアメリカの意向を確かめるということのためには、わが方から申し入れして、そうしてそれに応じていろいろ必要な対策も立てなきゃならぬ。そこでわれわれの方で受け入れたいという希望を表明したわけで、個々の問題になるとさらに具体的に入らなければならぬ。具体的なことがきまらない以上予算面にはこれを計上することができないという関係があるわけであります。現にエリコンのごときは、話し合いによりますと、見本をもらって研究することになっておりますが、このように向うと話し合いがつけば、それに応じた予算措置もとれるわけであります。ただ仮定のもとに予算をとるというわけにも参りませんので、そうした場合の予算は出ていないということは御指摘の通りでございます。なお日本にあるものを供与を受けたらいいじゃないかというような御趣旨でありましたが、先ほどから再三申し上げておりまするように、秘密保護する関係受け入れ態勢というような関係がありまするので、そういう意向はまだ表明せられておりません。
  39. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 まず第一番目の問題ですが常に密接に米軍側と連絡をとっておると、かねがねおっしゃったし、今も申しておる。ところがこちらの受け入れ態勢も何もできぬのに、向うは一方的にぽっと声明を出して無用な混乱も起しているというふうに聞きとれるわけなんです。一体そういうふうに申請をし、向うが大体それはよかろうという内示があった。従って予算措置をやってもらいたいというふうなことが全然なされていないような気がするわけなんです。ある報道によると、先ほども申し上げたように、今もらっても置く場所すらないんだというようなことを言っておる向きもあるわけです。こういう点はもっと確実な連絡がなされなければならぬのじゃないかという気がするわけであります。しかし時間がありませんので先を急ぎます。  それではこの七種数の要請をやったというが、ほかにも誘導弾誘導兵器というものはたくさんございますが、いかなる基準に基いてこの七種数を選択なさったのか、その選択の基準をまずお示し願いたい。
  40. 小滝彬

    小滝国務大臣 しさいにつきましては係の局長から説明させたいと存じますが、原則的に申しますならば、日本は決して攻撃的な兵器を持つのじゃない。とにかく日本防空日本防衛を全うするのだという立場から研究しようとするのでありますから、比較的射程の短かい、そうして防衛最小限度の必要を満たす程度のものとしてこれを選んだものと考えます。これはまだ私が就任してない前のことでありますが、原則的に言えば、今申しましたような趣旨において、このような種類が選はれたものと私は了解いたしております。
  41. 小山雄二

    小山政府委員 供与の要請をいたしましたものを選んだ基準は、地対空のものと、空対空のものと、そして大臣が言われましたように、比較的射程の短かいようなものでございますが、その中に、たとえば誘導装置に技術的にいろいろな型がございます。それからホーミング——装置といいますか、追随装置にもいろいろな型がございますので、その型の組み合せを考えましていろいろな型のものを要望する、そういう標準でこういうものを選んだわけでございます。
  42. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 比較的射程の短かい、いわゆる防御兵器に類するものにさしあたって一番大きな基準を設けておられるようでありますが、防衛体制を強化するという面からいきまして、こういった射程距離の短かいものよりも、射程距離の長いものの方がより有効だというふうにお考えになるかどうか。
  43. 小山雄二

    小山政府委員 空対空誘導弾は、これはそう大した射程は要らないのでありまして、大体ここで要求しておりますスパロー等は八千メートル程度のものでございます。それから地対空のものも、われわれの予想しておりますのは、敵の爆撃機が来た場合に要地防空的にこれを要撃するためのものでございますので、要撃戦闘機の能力以上のもの、たとえば要撃戦闘機も今後進むといたしまして、百タイプのもの、いわゆるセンチュリー・シリーズのものは、大体高度一万五千メートルくらいのもの、であります。それ以上の空域、すなわち三万あるいは四万くらいになると、ボマーク等でも八万メートルくらいのものでありますが、その程度の限度をもって十分目的が達せられるのではないか、こういうふうに考えます。
  44. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 長官にお尋ねいたしますが、先ほど射程距離の比較的短かい防衛用のものを選んで申請したんだ、そういうふうにおっしゃっておられましたが、防御するという面からいった場合に考えても、射程距離の短かいものよりも射程距離の長いものをもって、早く遠い距離で敵の襲撃を食いとめることの方が効果的だというように当然考えられると思うのです。ところがまずこの射程距離の短かい防衛用のものを選んだというのは、研究の一段階として選んだのであって、この研究が完了し、あるいはその製作が見通しがついたら、次は射程距離の長いもの、より有効的な誘導兵器研究もし、あるいは供与も申請するということを防衛庁としては当然考えておられると思うのですが、その点はどうか、こういうお尋ねをしておるわけです。
  45. 小滝彬

    小滝国務大臣 私は、日本防衛というものは、基本的に考えまして日本だけで全うし得るものではないというように考えております。ソ連といえども米国といえども、やはり集団安全保障的な考え方をしておればこそ、主義主張をともにする国と共同防衛措置をとる。でありますから、日本といたしましては、日本の国力も考えなければならない、国情も考えなければならない、いろいろな点から考えます場合に、そうした非常に高価な、また場合によっては攻撃的な役をするようなものを日本で作る、日本で備えるということは日本立場としておもしろくないことであって、そういう非常な重大な危険に対しましては、現在のところでは米国との共同防衛措置によって対処しなければならないし、行く行くは、こいねがわくは国連の集団安全保障の機構というものが完備いたしまして、それにたよれるようにならなければならないと思います。私は日本での武器というものは、第一次的な防衛と申しますか、防衛についてのプライマリーのリクッイアメントを満たすもの、第一次的な必要を満たす程度にとどむべきであるというように考えまして、あくまで日本は最終的な集団安全保障というものを期待し、またそれが一日も早く完成できるように外交上の努力をしなければならぬ、こういうように考えております。
  46. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 焦点がちょっとそれておるような気がするわけですが、たとえば日本の現行憲法の制約といったようなものから、そこまで望み得ないということをおっしゃろうとしておるのか。それともアメリカその他と集団安全保障をやっていくのだから、もうこの程度のものでいいのだというふうにお考えになっておっしゃっておるのか。そこのところをはっきりしていただきたい。
  47. 小滝彬

    小滝国務大臣 私はもちろん憲法の第九条も承知しておるつもりでありますが、自衛の最小限度の備えをするということは、当然現有憲法下においてもなし得ると思うのでありまして、もしその一時的な防衛のためにそういうものがどうしても必要だということになれば、そういうこともでき得るだろうと考えます。しかしながら先ほど申し上げましたように、私は、日本の実情にかんがみましてそういうところまでは進むべきでない、日本の政策といたしまして、今申しましたような国際平和の維持のための外交上の努力をすると同時に、またこの防衛につきましては、最終的には集団安全保障の機構にたよらざるを得ないものという考えを持って進みたいと存じます。
  48. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 お急ぎのようでございますけれども、一応の結論だけはつけたいと思います。今の長官の答弁でも私どうも納得がいかないわけであります。しからば一体日本の現行憲法第九条の規定は、兵器の面では何らの制限がないというふうにあなたはお考えになっておるのかどうか。どんな武器を持ってもそれが防衛のためということであるならば差しつかえないというようにお考えになっておるのであるか。私はそこを聞いておるわけです。もうすでに御承知と思いますが、第二次大戦以降原子爆弾、水素爆弾等、破壊力の非常に大きなものの研究がどんどん進んでいきまして、それと同時に今度はこれらの破壊力の大きなものをいかにして早く敵陣地に持っていくかという研究が進められ、その究極に達したところのものが誘導兵器であろうと思う。最終兵器といわれておるのが大陸間誘導兵器であることはもう御承知の通り、その手前に中距離誘導兵器があり、もう一つ手前に今あなたが日本でも手に入れようとしておるような各種の誘導兵器があるわけであります。こういう破壊力の大きな原子爆弾、水素爆弾あるいはこれらのたまを一刻も早く敵地に運んでいき、敵をやっつける、そういう研究の結果達成された兵器であろう、いわば兵器としては最も近代的な最新の兵器であろうと私は思う。一体こういうものをすでにもう研究し、日本の自衛隊独自のものにもしようとあなたはなさっておるけれども、現行憲法のもとにおいて、そういうような近代的な兵器であろうと何であろうと防衛の目的のためということであるならばどんどん持っていいというふうにお考えになっているのかどうか、ここに焦点があるわけですから、一つそこにしぼってお答え願いたいと思います。
  49. 小滝彬

    小滝国務大臣 先ほど申し上げましたように、防御上の一時的な必要を満たす限度の武器は持ってもよろしいものと解釈しておるということでございます。従いまして今おっしゃいますような大陸間の誘導弾のような攻撃的なもの、またそれに使いやすいようなものを持とうというのではなくして、あくまで現在の武器の発達にもかんがみて最小限度防衛を全うする程度の武器を持とうというのが私の申し上げた趣旨でございまして、それではその間どこのところが境かということになりますと、その当時における武器の発達状況にもよりまするから、はっきりと具体的に、何マイルまでが攻撃用で、どこまでが防御用といえないでしょうが、抽象的にいいますならば、少くとも一時的な防衛の役目を果すものは持っても差しつかえないという見解でございます。
  50. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 今の点もう一点だけ。長官も言っておるわけですが、結局防御兵器だとか攻撃用の兵器だとかいってこの分数はできないと思う。一番小さな武器であるピストルにしたって、護身用であるかあるいはものとりのために、おどかしのために使うものであるかということは、ピストルそのものを見たってわからないわけで、使用した結果これが防御的に使われたかあるいは攻撃的にあるいは脅迫的に使われたかということを判断することができるかもしれませんけれども、少くともその武器そのものによって判断するなんということは私はナンセンスだと思う。少くとも極度に科学の発達した結果、結集されて作られた誘導兵器なんかについては、これは防御兵器でございます、これは攻撃用のものでございますなんということは、これはおかしいと思う。現にあなた方が申請されておる七つの中にボマークというものがありますが、これなども航続距離は四百キロも持っておるじゃございませんか。発射されてから射程距離は確かに八十キロ、こういうふうに聞いておりますけれども、実際は四百キロの航続距離を持っておる。飛行機の形をしたものであって、飛び立ってファルコンを発射する、こういうふうな説明防衛年鑑の中にははっきり出てきておる。第二次大戦中にロンドンを襲ったV二号、これでも航続距離はたしか三百キロ程度だったと思う。この得度のものであれば確かに防御兵器だといわれないことはないかもしれないが、しかし攻撃用に転じて使おうと思えば優に使えるものであると私どもは思うわけだ。従って今度の場合でも盛んに防御用のものだということをおっしゃっておる、あるいは原子弾頭を使わなければいいのだというようなことをおっしゃっておりますが、実際にそういった分類をしていくことは不可能だと思う。私は少くとも新憲法下においてそういうような威力を持った武器を持つことは、どうしても許されておるというようには理解できないわけだ。そういった角度に立っていろいろ御質問したいわけでございますけれども、先ほどから催促でございますので、一応質問を打ち切ります。しかしもう一度、新憲法下において兵器の面において全然制約がないとお考えになるのかどうか、明確に一つお答えを願います。
  51. 小滝彬

    小滝国務大臣 同じことを繰り返すようですが、防衛のために必要最小限度の一時的な必要を満たす程度の武器を持つということは、憲法上差しつかえないというように解釈いたしております。
  52. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 制約があるのかないのか。
  53. 小滝彬

    小滝国務大臣 制約ということを抽象的に申しまするならば、攻撃的な用途に供するためのそういう武器は持ってはならないという制約はあることを承知いたしております。
  54. 相川勝六

    相川委員長 それではこの際暫時休憩いたします。    午前十一時四十六分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかった〕