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1957-09-12 第26回国会 衆議院 逓信委員会閉会中審査小委員会 第3号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和三十二年九月十二日(木曜日)     午前十時四十五分開議  出席小委員    小委員長 松井 政吉君       上林山榮吉君    椎熊 三郎君      橋本登美三郎君    原   茂君       松前 重義君    森本  靖君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 田中 角榮君  小委員外出席者         郵政政務次官  最上 英子君         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵政事業に関する件  郵政監察に関する件  電気通信に関する件  電波監理及び放送に関する件     —————————————
  2. 松井小委員長(松井政吉)

    松井委員長 これより逓信委員会閉会審査小委員会を開会いたします。  郵政事業に関する件、郵政監察に関する件、電気通信に関する件、電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。発言の申し出がありますので、これを許します。松前重義君。
  3. 松前小委員(松前重義)

    松前委員 大臣に伺いますが、行政機構改革をいろいろお考えになっておられるらしいのですが、どういうふうな行政機構改革をやろうとしておられるか、その方向精神とを伺いたいと思います。
  4. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 先日の省議で郵政省設置法の一部を改正いたしたいということを決定いたしまして、次の国会に同法の一部改正を提案をする予定でございます。なお改正方向といたしましては、終戦直後いわゆる三省分離がありましたが、昭和二十七年に電電公社の創立とともに、電信電話に関する監督業務が現郵政省所管事項として移され、なお電波監理委員会であったものが郵政省内局になっておりますのと、郵政省設置法制定当時と業務内容が非常に変っておりまして、その一つの大きなものは電波行政であり、また非常にテンポの速いいろいろな行政事項が付加されておりますので、そういう意味名実とも行政庁としての機構整備いたしたいということが改正案目標であります。  改正の具体的な問題といたしましては、省名逓信省に変えたいということが第一点であります。第二点は、現在国有鉄道に対して運輸省が持っておる機構等と比べまして非常に弱体であります電気通信監理官制度を、行政機構平仄を合せる意味におきまして電気通信監理局に改めたいというのが第二点であります。第三点は、現在の各省庁の中で官房長制度をとっておらないのは、たしか郵政省と文部省だけだと思うのでありますが、当然のこととして官房長制度を設けたいということが第三点であります。第四点は、電波監理局機構整備でありまして、これを外局として整備すべきか、もう一つ内局として部制をしく等のことによって整備をすべきか、最終的結論には至っておりませんが、いずれにしても電波監理機構は可及的すみやかに整備をしなければならないというのが、おもなる改正点であります。これは国鉄運輸省との機構のごとく、現業者としての機構整備上、当然そうなければならないというようないろいろな条件のもとに、設置法改正を企図いたしておるわけでございます。
  5. 松前小委員(松前重義)

    松前委員 大体電気通信行政関心を持っての改正のようでありますが、あなたが電気通信行政相当関心を持たれることに対しては相当な敬意を表します。ただし重点は、ただいまの御説明によって一応想像してみますと、何だか官僚ポストを得んがための改正のような感じがするのであります。同時にまた現在一番大事な電波監理の問題、これに対しては外局にすることを遠慮しておられるようであります。だれが考えても常識的に考えて、この電波監理の問題に関してもう少し積極的な、しかも強力な行政機構整備することは、もう当然のことであると私ども考えております。ところが今の大体の方向は、おそらく大臣の意図がある程度ひん曲げられたのではないかと思うのでありますが、電電公社がいかなる不始末をしておるのか、どのような国内電気通信の発達に対して不手ぎわをやっておるのか、その点は知りませんけれども、この監督官庁であるところを強化してそれで——電電公社が不活発であるかどうか知りませんが、とにかくこれをうんと監督するというような方向に向うことは、これは公社法精神に反する。やはり公社を作った以上は、公社自身をもっと自主的に活動を旺盛ならしめて、事業発展を企図するという意味において、あの公社を作ったことは私は成功だったろうと思うのです。ところがこれをまた役所からうんとワクをはめて監督するという考えは、私はちょっと方向が違っておるのじゃないかと思う。やはり官僚ポストを得んがための改正一つ方向である。この点は一つ大臣として特にお考えになる必要があるのじゃないかと思います。同時にまた何ゆえに電波監理局外局なり何なりにして機構拡大をはからないのか、この問題であります。まあいろいろ省内における意見はありましょうけれども、常識的に見てこれは少くとも外局にして大臣の統率のもとにこれをやっていく、こういうふうな考え方が最も妥当ではないかと私ども思うのでありますが、その点につきまして意見がましいことを申し上げたのですけれども、まだ完成した案ではないようでありますから、一応大臣の意向を伺いたいと思います。
  6. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 電波監理機構整備をしなければならないということは私もつとに考え、これが実施に移そうと努力しておるわけでございます。私はただこの機構整備官僚のためのポストを得るためにというふうにも一面とられると承知はいたしておりましたが、この機構事務組織から出てきた機構整備ではなく、私が就任後五十日間あらゆる面を研究した結果、他省設置法との振り合い上、その他将来の郵政省行政あり方というものを十分見きわめた上で、最小限度この程度の機構改正は第一段にやらなければならないというふうに考えたわけであります。特に電波監理局外局、すなわち電波監理庁というようなものにしたいという意見は私ども持っておるわけでありますが、特に松前さんも御承知のように科学技術庁設置等に対しては私も非常に積極論者でありましたから、当然電波監理庁のごとき外局設置し、将来当然これが電波省発展をしなければならないということは考えておるわけであります。御承知通り内閣では行政機構簡素化という大きな命題を掲げておりますし、特に外局というものが形式的には非常にりっぱな組織でありますが、閣議にも発言する場合、また政府責任を持つ場合にどうも責任の所在が不明確だというふうな議論も、一般世論として聞かれるわけであります。そういう意味外局にするか、内局整備するかという問題は、内閣自体としての基本的な問題としてまだ懸案中でありますので、私といたしましては現在の段階においては少くとも技術官制度整備したり、当面どうしてもやらなければならないものだけでも片づけるためにも、電波監理局内局としておいても整備をしていかなければならないということでありまして、国会意思外局として科学技術庁と並立するような電波庁を置いていただけるということであれば、私も一向反対ではなく賛成であります。現在の郵政大臣としての立場から考えまして、最小やむを得ざる機構整備という立場で、内局のまま整備をするという一案を立てておるのであります。  それから電気通信監理局の問題が、公社制度に対して民営に移すような状態をとることの監督権強化ということを言われましたが、そういうことは毛頭考えておりません。ただ現在の法律の中で国有鉄道に対する運輸大臣監督というものと、電電公社に対する郵政大臣監督というものを比べますと、確かに原案は同じだったそうでありますが、現行法郵政大臣権限が非常に弱められております。電電公社では十人の理事総裁が直ちに指名ができることになっておりますが、国有鉄道の場合は運輸大臣承認を必要としております。もちろん私も、運輸大臣承認をしなければ国鉄理事ができないのだから、郵政省電電公社に対して理事の任命については大臣承認を得なければならないということに、直ちにそういうふうにふん切っておるわけではありませんが、どちらかに一つ——同じ状態にあるものでありますから、運輸省設置法日本国有鉄道法改正するか、どっちかやはり平仄を合わす必要があるだろうということしか考えておらぬわけであります。だから電気通信監理局というふうに機構整備することは、電電公社自主性や現在の態度をチェックするという面で機構整備を行いたいというのではないということだけは、一つ前提としてお考えいただきたいと思います。去る国会有線放送法が成立を見ております。それで現在非常に多くの届出を受け付けておるわけでありますが、こういう問題を一つどこでやるのかという問題、それからこれからいろいろな問題として出てきておりまして、今直ちに具体化されるというわけではありませんが、昔警察単独通信網を持った。警察鉄道自衛隊等単独にマイクロウエーブを設置したいというような問題、その他いろいろな問題があるのでありまして、電気通信監理局そのもの電電公社監督をやっておるという観念から改めまして、電波監理局電気通信監理局業務技術の面で表裏一体になる、こういう立場から電気通信監理局制度を新たに設けたいということでありますので、諸般の事情をもう少し平たくお考えになっていただいて、現行法律は全部私が今改正をいたしたいというふうにまとまっておるのでありまして、郵政省設置法だけが二十三年から四年の三省分離、特に二十七年のまたもとへ戻った状態衆参両院逓信委員会名称をさっとお変えになっているにかかわらず、名称さえも変っておらないというところに、幾らか整備をしなければならない面があるのでありまして、そういうものを第一段階において整備をいたしたい、こういうものであります。
  7. 松前小委員(松前重義)

    松前委員 詳しく承わりましたが、今お話がありました省の名前の問題、これは逓信省に変えるとおっしゃる、こういうことは私どもとしては十分うなずけます。けっこうだと思います。ただ現在の郵政省の非常に大きな弱点はどこにあるかということは、この前も私申し上げたように、電気通信に関する総合的な基本方針を決定するところがないということで、それは電気通信監理局ができても私はできないと思います。問題は、たとえば現在私ども非常に残念に思っておるのは、すでに日ソ間の国交は回復しております。回復しておって、しかも北海道と樺太との間には海底ケーブル電話ケーブルがちゃんとあるのです。日韓交渉がうまくいったといたしまして、すでに韓国との間には満州につながっておりまする非常に有力な海底電話ケーブルがある。上海との間には電信ケーブルがあります。とにかくこういうふうな状態にあり、しかも日ソ交渉はもう妥結して国交は回復しておるにもかかわらず、あのケーブルの存在を知っている人は郵政省には非常に少いだろうと思う。そういうわけでこの前国会でこれは問題にしましたから、知っておる人は多少出てきておるだろうと思いますけれども、とにかくこれを一体どうなさるか。これは国際電信電話株式会社がやるのかどうか。あの会社は無線だけのことをやっておるので、有線のことに対しては大体無能力、こういうことになっておって、全然そういう政策的なことをお考えになる使命は持っていない。だからしてあそこにやらせるわけにもいかぬ。電電公社公社法によってやれない。それをどうなさるかという問題、こういう問題につきまして、総合的に通信政策をそこでまとめ上げて、そうして国策遂行をやるというようなところがないのです。だから審議会のようなものを作って、民間意見学識経験者意見も総合しまして、そうして大臣はこれらの一番大事な、世界通信網につらなる日本通信網あり方というものに対して具体的な政策を樹立すべきだ、こういうふうなこと、これは国際通信だけについて私は申し上げたけれども、まだいろいろあります。これらの問題を一体どこが取り扱うか、こういう問題が非常に重要でありまして、ポストをふやすとか監督強化するとかいうような考え方でだんだん下にばかり下っていく、毛細管の先っちょばかりいじっているような情勢によって国は動脈硬化になると思う。やはり先の方をどんどんトラクターによって切り開いていく、問題を提供してやるというようなところが現在ない。大臣は非常に有能な大臣ですから、そういうことは初めからおわかりかもしれぬけれども、しかしやはり御就任当初は、専門的なことがあるものだからなかなかわかりかねる向きもあると思います。そういう意味において、私は大臣諮問機関としてこういうものが設置されることが一番大事だと思う。この前あなたの方の次官が私の質問答弁されたその内容に、私は非常な不満を言っておいた。そういう行政機構というポストの問題ではない。問題は衆知を集めた総合化した政策の立案というわけではないが、それを提供するところは一体どこか、そうして大臣はそれを参考にしてしかるべき国策遂行に当る、こういうところに非常に大きな欠陥があるのではないか。ただすみっこをいじくって、毛細管の先っちょをやって、国を動脈硬化にするような監督だけが行政機構改革の目的ではない、こういうふうに私は思うものですから、この点について一つ大臣の御意見を承わりたい。
  8. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 電波関係に対しましては全くお説と同じ考えを持っております。私もかって科学技術に対して理化学研究所のような国立組織を作りたいということを考えておったと同じように、電波の将来及び現在の状況を考えますと、ただ単に電気通信監理局を設け電波監理局整備することによって足るものではないということは、もう十分承知をいたしておるわけでございます。将来は電波に関しては単独省を作るべきだ。しかも五年、十年後の電波国民経済及び教育その他に及ぼす影響というものを考えると、これは非常に大きなものでありまして、一郵政省局等が片づけられる問題ではありません。特に私が就任六十日で非常に感じましたのは、現在でも電波監理局には四千名弱の優秀な職員がおるわけでありますが、非常にテンポの速い技術でありますので、この職員機構をもって万全を期せられるような状態ではないことも私は承知をいたしておるわけでございます。特に民間と省の内部との技術水準というような問題、いろいろな平仄の合わないちぐはぐなものも看取されますので、何らかの行政機構でこれを集約し、より高い立場電波政策の基本的なものを立案し、また行政の実態にも行き過ぎのないように万全を期さなければならないということは、全く御説の通り考えておるわけでございます。私が電波監理局機構整備し、特に電気通信監理局を設けたいというのは、今までは電波監理局一局であり、電気通信監理官公社監督だけに任じておったということでございます。ただいま申されたように国際的なもの、また設置法会社法によって法律ワク内で公社国際電電会社はやっておるわけでありますが、それらの法律ワク外の問題がいろいろだくさんあるわけであります。こういうものを、どこで一体統計をとり、どこで調整し、誤りなく調査を行うかというと、どうしてもそういう機関が必要であります。それで将来は電波省もしくは電波監理庁ができるということを目標としておりますが、まず第一番の段階において電気通信監理局を設けて行政機構整備をする、最小限やむを得ず一つ整備をしたい、こういうのでありまして、これだけをもって満足するものではありませんし、しかもこの電気通信監理局を設けることによって、現行国際電電会社電電公社監督強化しようなどというようなことは毛頭考えておらないということは、冒頭申し上げた通りでありまして、電波関係最小限やむを得ずどうしても調整を必要とする機関として、電波監理局整備及び電気通信監理局設置ということを全く行政的に、最小限設置法改正だけでも一つお願いいたしたい、こういう考えでございます。
  9. 松前小委員(松前重義)

    松前委員 ちょっと私の質問に対して見当違いの御答弁のように私は承わる。私が今質問しましたのは、監督強化に関する問題はその前の御答弁で、了承はいたしておりませんが承わりました。ただ私が今申し上げたのは、委員会のようなものを作る、たとえば電気通信政策審議会のようなものを作って、そこに民間やその他の有識者を集めて、そしてその御意見を十分そしゃくして、それで大臣通信政策の勇敢な実行に移られたらどうか、それが一番大事であって、その監督機構強化とか——監督はせぬとおっしゃるけれども、それは当然やりますよ。やるのが商売なんだからやります。そしてだんだん動脈硬化へ持っていきます。私どもはそう見ておるし、いずれそういう結論を証明されるときが私はあると思う。しかし、私の質問の要旨は、その監督の問題は一応承わったといたしまして、総合的な通信政策に対する官民有識者意見を聞く委員会のようなものを作って、あなたの在任中に大いにたくましい通信政策をここに実行に移されたらどうか、こういうことなんであります。知ったかぶりをするわけではありませんが、すでにもうアメリカヨーロッパとの間には大西洋横断電話ケーブルができております。しかもアメリカ大陸とヨーロッパ大陸との間には、電話ケーブルを引っぱって即時通話をやっております。これは有線ではちょっと消化しかねます。だから電話ケーブルでやっておる。このようにしてアメリカはまたハワイまで電話ケーブルを引っぱろうとしている。こういうふうにして、アジアに対してしからば日本はどうすればいいか。昔はわれわれは考えておった。そして着々着手しておりました。戦争に負けてから、じっとなって小さく縮こまってしまったのでありますけれども、とにかくアジアにおける日本通信立場から見た地位とか、あるいはアジアの文化的な経済的な一つ神経系統としての役割を果す通信網整備とか、あるいはアジア全体に対する放送網整備とか、こういう問題を一体どうして解決なさろうとしておるのか、それがないじゃないかというのです。それが一番大事なことで、電電公社監督がどうのこうの、有線放送がどうのこうの、そんなつまらぬことに大臣はあまり気を配らぬ方が私はいいと思う。その点に対して大臣から御答弁願います。
  10. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 一番重要なところの答弁が抜けておりまして、まことに申しわけないと存じます。私は行政機構整備と、もう一つ今あなたが言われるように、民間とそれから官庁と全部ひっくるめて、日本電波政策をどうするかというようなことを審議する重要な機関は必要であるということは、私も常々そういうことを申し上げておるわけであります。  内部的なものといたしましては、先ほど申しましたように両局の整備ということと、その上に電波官というものを置くか置かないかということを今考えておるわまでありますが、これは内部の問題であります。外部の問題は、これはどういうふうにして——単行法を作って審議会制度を作るのか、それから今の相当強い権限を持つ電波監理審議会がありますが、これは委員が五名ででありますので。これだけで万全な対策ができるとは考えられません。郵政審議会という非常に強固な、また有能な委員の皆さんをお願いしておる総ぜい三十名近い審議会もありますが、これはただお年玉はがきをどうするかというようなことだけやっておりますので、こういう審議会の運営に対しても、こういう優秀な審議会を少しでもそういう国策的な大きな問題に御協力願えないかということさえも私から申し入れてあるわけであります。いずれにしても民間政府部内との調整さえもとる機関が現在ないわけでありまして、テンポの速い電波でありますので、特に国際的な関連を持つものでありますから、こういうものに対しては何らかの手段を講じて電波に対する審議会にいたしますか、総理大臣諮問機関にするか、郵政大臣調査諮問機関にするか、アイデアとしてはいろいろな考え方があるわけでありますが、そういうものは機構整備表裏一体になって、当然早急に整備しなければならないという考えを持っております。
  11. 松前小委員(松前重義)

    松前委員 電波行政機構に対する拡大強化についての大臣の御意見は承わりました。これは内局的なものか外局かまだきまっていないが、どうも内局にする傾向があるというお話でありますが、私ども外局にして強力に大臣行政能力強化する必要があると思う。しかしただいま私が申し上げたのは電波だけの問題ではないのでありまして、有線通信一切のものを包容した問題であります。ですからこの点を電波々々とすべておっしゃるのですけれども、そうではないのでありまして、その点は一つ御訂正を願いたいと思います。  それからそれに関連いたしまして、先般NHKがアジア放送に関する会議をやりました。私はあれは非常に成功だと思っております。ああいうのはひんぱんにやりまして、いろいろな意味において日本の実力を見せ、あるいはまた日本の貿易の促進をはかるのも一つでありましょうし、日本と外国との文化的な連携をはかるというのも非常に大きな効果があるだろうと思う。まあ各般の問題もありましょうが、とにかく非常に有効な企てであったと思います。電気通信というのは一国だけでは成立するものではない。そしてまた文化の興隆にしても経済発展にいたしましても、まずその通信政策が先行しなければならない。まず意思の疎通をはかることが第一でありますから、そういうことは申すまでもありません。従って放送に関するあのような国際会議を開いたと同じように、これはアメリカがたいぶやきもちをやいてにらむかもしれませんけれども、その辺は少しアメリカ一辺倒でなく、大いに独立国家としてやっていただくとして、アジアにおける電気通信国際会議アジア各国と話し合ってどこかで開く、こういうような気がまえを持って、何らかの挙に出られんことを私は希望しておりまするが、その辺について大臣はどういう所見を持っておられるか伺いたいと思います。
  12. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 電波及び電気通信が国際的なものであり、国際会議日本としての地位も上げつつ緊密な連絡をとらなければならぬということは当然でありまして、明年度のカラー・テレビのモスクワ会議にも当然日本政府の代表を派遣する予定でありますし、特に今三十三年度の予算要求考えておりますのは、アジア地域電波会議をできれば東京で開きたい、その予算等も要求いたしておるわけでありまして、国際的なこの種の問題に対しては、今よりもより積極的な緊密な連携をとって、日本技術向上をはかって参らなければならないという考えであります。
  13. 松前小委員(松前重義)

    松前委員 それは非常に当を得、しかも時宜に適した御方針だろうと思って、私は非常に喜びにたえません。ただしできるなら一つそれを電気通信全体に、電波と一緒にひっくるめて拡張していただくように、そして日本対外輸出その他の促進に対しても相当効果があると思いますので、その辺は一つ大いに御留意の上促進あらんことを希望いたします。  そこで私は電波に関する問題をもう一つ質問したいのでありますが、電気通信、ことに電波技術の進歩は非常に著しいものであります。でありますから、かつては長波から中波になり、中波放送に使われ、今度は短波になり、これが国際通信に使われる。それから超短波になり、それから極超短波——マイクロウェーブになる、こういうことにだんだん進んで参りました。そのほかに最近これはまだ技術的には非常に不確定であると私どもは一応専門的な立場から見ておるものに、スキャッタード・ウェーブという方式が考えられつつあります。わけてもアメリカの国防省の研究として考えられておりますが、このスキャッタード・ウェーブ技術的信頼度について、一つ電波監理局長から所信を承わりたいと思います。
  14. 濱田説明員(濱田成徳)

    ○濱田説明員 スキャッタード・ウェーブ通信あるいはテレビジョンの中継等にどの程度に使えるかということは、世界の関心事であります。アメリカにおきましては一番研究が盛んであります。テレビジョンの中継についての実験も、ある程度成果が上げられていると聞いております。しかしながらわが国におきましては、電電公社国際電信電話株式会社あるいは電波研究所等におきまして、基礎的な研究調査を開始しておりますが、まだこれが通信そのものないしテレビジョンの中継用として信頼してよろしいという確信に値するデータは出ていないように思います。
  15. 松前小委員(松前重義)

    松前委員 もしもスキャッタード・ウェーブが実用に供せられる範囲にまで進んでおると仮定いたしますときに、スキャッタード・ウェーブの特性として、どうせこれは一種の反射波でありましょうが、これはぶっつけたものが粉みじんになって方々に散っていくような、電波を粉みじんにする方法であろうと思うのです。そういうことになると、一つある方向に向ってこれを発射いたしますれば、これがぶつかって他方面に反射していく。でありますから非常に方々にその電波の影響を及ぼすところが広いだろうと思うのです。いわゆるスキャッタード・ウェーブ通信に対する実用がもしできるといたしまして、こういう特性を持ったものが他の通信方式に相当な妨害を与えるおそれがあると私は思うのです。しかも非常に広範囲に妨害を与える。戦争かなんかで何でもかんでもぶちこわしてかまわぬときは別問題でありますが、いわゆる平和なときの通信、ことに、商業用の通信等に対してこれが利用できるかどうか、その辺の見解を承わりたいと思います。
  16. 濱田説明員(濱田成徳)

    ○濱田説明員 スキャッタード・ウェーブの特性は、今お話のように強力な電波を空にぶっつけまして、それが散乱するわけでありますから、一種の放送みたいになるわけであります。従いまして、他の目的に使っている電波と混信するおそれがあるのは当然でありまして、その周波数の選定に非常に考慮しております。でありますから、どういう周波数が最も雑音が少くて目的を達し得るかという問題のもとに、既設の電波施設への影響問題について、非常に注意深く検討を続けておりまして、軽率にこれに対して結論を与えることはきわめて困難である、そう考えております。
  17. 松前小委員(松前重義)

    松前委員 大体わかりました。そこで最後にテレビの問題を伺いたいと思います。先般郵政省は前大臣のときでありましたか、チャンネル・プランを発表されました。そのチャンネル・プランを発表されたいろいろな手続その他は詳しくは存じませんけれども、その発表されたチャンネル・プランがこの間新大臣におかわりになってから、何か変更されたというふうに聞くのでありますが、これは事実であるかどうか伺いたいと思います。
  18. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 チャンネル・プランの一部変更というふうに報ぜられておりますが、私は変更でも修正でもよいと考えておりますが、とにかく一部の修正につきまして電波監理審議会に諮問をいたしました。その内容は、北海道の一波増波でありますし、もう一つは、前の審議会でチャンネル・プランの最終案を決定いたすときに相当議論があった姫路のチャンネルを大阪に持って参りたい、こういう二つの案件をそろえて審議会に答申を求めているわけであります。
  19. 松前小委員(松前重義)

    松前委員 答申はありましたか。そうしてお変えになったのですか。
  20. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 この十七日に答申をしていただきたいという申し入れをしてありまして、十七日の午前に公聴会を開くという段階であります。
  21. 松前小委員(松前重義)

    松前委員 私はその内容がどうこうということを申し上げておるのではありません。これは同じ岸内閣においてそういうことが行われるというところに問題があると思います。大臣がかわれば片っ端からチャンネル・プランが変るのか、それならばチャンネル・プランというものは発表しない方がよろしい。そうして、いかにも表面はそれが民主的であるかのごとく電波監理審議会に諮問したり公聴会をやったりしている。そういうようなことは単なるお芝居にすぎないのであって、結論はやはり、当該大臣がかわれば同じ内閣のもとにおいて、一カ月そこそこの間にどんどんプランが変っていくということである。これはまことに国民の信頼性を失うことだと思います。この点について大臣は政治家としてどうお考えになるかということを私は伺いたいと思います。
  22. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 大臣がかわるたびに技術的なチャンネル・プランが変更せられるのかという考えは、これは間違いだと思います。またそうあるべきではないと考えます。特にこういう技術的なものは、相当長期の計画のもとに決定をさるべきであると考えております。私は就任いたしましてから一カ月半にわたって電波の申請その他技術的な諸問題に対して事情を聴取して、政府方針の決定に向って参ったわけでありますが、このたび審議会に対して答申を求めた一波の修正に対しましては、現在使用されておりますVHFの波に対して相当長期間の日本のテレビの方針を決定いたしまして、ここで免許をいたした場合には相当長い期間、これが建設、運用に対して力を注ぐべきであって、UHFの波の割当はほとんど最終的に近い長い将来を見通しての方針を立てなければならないというので、今までのものをずっとチェックして参ったわけであります。最終的な段階において北海道に対して可及的すみやかに大きな一つ政府の施策として、北海道開発を行いたいという方針を決定いたしまして、すでにその実施の段階に入っているわけでありますので、そういう政策的な一環から、ただ単にテレビは娯楽用の放送機関であるという観念よりも、通信網拡大整備であるという観点から再検討いたしました結果、最小やむを得ざる限度において一波の増波、一波の修正の答申を求めておるわけでございます。前に決定いたしましたのは石橋内閣成立の直前だと思います。これは昭和三十一年十二月ごろ諮問をされておるわけであります。その答申が本年六月あったわけでありますが、その間において修正をすべきものは修正すべきであったと思いますが、三十一年末の諮問案通りに六月チャンネル・プランが決定をいたしまして、一部が免許を与えられたわけでありますが、私は全国的な波の状態、将来等を十分検討いたした結果、万全の処置を行いたいという意味で、一波の増波と一波の修正の答申を求めておるわけであります。
  23. 松前小委員(松前重義)

    松前委員 いろいろ御答弁ありますが、これはどうも納得いきません。どうせ水かけ論でそういう御答弁を繰り返されるだろうと思いますけれども、大体民間の運動がありますとお変えになりますか。簡単に申しますればどうもそうらしい。
  24. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 民間の運動等があっても変更する意思はありません。
  25. 松前小委員(松前重義)

    松前委員 民間の運動でお変えになったと一般は見ております。私もそう見ます。それでこの点につきましては正直な話疑問を持っているのであります。チャンネル・プランのごときは一ぺんきめるまでに半年以上の長い間の年月を費して、そうして念には念を入れて、少くとも当時の大臣は発表したはずであります。総理大臣は岸さんだったろうと私は思う。そういうものが数カ月を出ずしてここに変えなくちゃならないというようなことは、これは私は、総理大臣電波なんかに対しては責任は負わぬと言うのではまことに無責任だと思うのであって、やはりこれは大きな問題だと思います。少くとも一年、二年たってから行政が変ったというなら話はわかるけれども、出願の工合を見、運動の姿によってこれがひん曲げられるようなことがあるということは、これは行政上のあり得べからざる現象であると私は思うのです。これ以上私はあなたに答弁を要求いたしませんが、まことにこの問題は遺憾だと思います。
  26. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 一言だけ重要な問題でありますので繰り返して御答弁申し上げておきます。申請者のいかんによってプランの変更をなすものではないという原則は、私も堅持をいたしておるわけであります。なお今次の一波増波及び一波修正に対しては、そういう外部的な事情によるものでは絶対にないということだけを率直に申し上げておきます。この理由とするところを簡単に申し上げますと、全く政策的な理由に基くものであります。ただいま松前さんがせめて一年間くらいということを言われましたが、常識的にそうであります。私もそれはうなずけるわけでありますが、電波の状況で北海道が現在二波の割当でありますが、現在の四百万の北海道開発という超党派的な院の決議によって、これから十年間に五百万も人口をふやそうということを考えておるときに、電波は今日免許を与えても一年や半年で波が出るものではないのであります。そういう意味では一年や二年後に増波を考えるものであったら、私は今日勇気をもって増波を行うべきであるという結論に達して、一波増波を考えておるわけであります。  大阪に対する問題は、松前先生の方が御専門でありますから、私が申すとつけ焼刃で釈迦に説法でありますが、姫路になぜ十五キロ、百ワットですか、五百ワットでありますか、こういうものを置いたかということを考えていただけばすぐわかると思います。特に現在の状態から参りますと、十年たつと東京は一千二百万をこすのではないかという都市集中の状態でありますが、人口の再分布も戦後十二年たったのでありますから、経済拠点の再編成を考えなければならぬということは、政治的に当然考え、また考えなければならぬ問題であります。そういう意味で東京は六波の割当でありますが、なぜ大阪を四波にしたか。そうして宇都宮や日立、京浜の波を東京に持ってきて六波にやっておりながら、最終的に大阪は姫路のような、将来物議をかもしやすいところにわずか十五キロ半径の小さなものを置いて大阪を四波にしたかということは、審議の過程において審議会でも議論のあったところであります。これは御承知通りであります。私は先ほど申しましたように、相当長期な目標をつけて免許を総体的に与えたいという方針をとっておりますので、一年、二年後に当然変更せらるべき運命にあるものは、現在勇敢に修正を行うべきは行なって、そうして将来の方針にのっとって免許を与うべきであるという考えに立脚して、一波増波及び一波修正の答申を求めておるわけでありまして、外部の方々、申請者が多いのでさばけないために、政治的に考慮をして増波をやったのではないかというような批判を受けることは全く悲しいのであります。
  27. 松前小委員(松前重義)

    松前委員 いわゆる御説明がありましたが、私は政策内容の批判をしておるのではありません。ただあれほど念を入れて一ぺんおきめになったものが、大臣がかわって——しかも最近は大臣が非常にひんぱんにおかわりになるから、そのかわったとたんにすぐまたそのプランそのものが一部であろうとも変更されるようなことは、やはり政策の問題もありましょうけれども、同じ内閣なんでありますから、総理大臣は同じなんだからそう変えるべき問題ではない。それを勇敢にとおっしゃるけれども、それはやはり一つの面子にかけても変えるべき問題ではないと私は思うので申し上げておるのであります。姫路の云々というようなことは、そんな一々の問題を申し上げておるのではない。ただいまのような政策論を言うならまだたくさんあります。たとえば大阪だけに四つも何も集める必要はないと思う。あまねく国民に、いなかの農山漁村にもこれを見せるようにしなければならぬ。そんなものはほったらかして、どんどん都市に集めるということはもってのほかだと思う。政策の根本問題だとおっしゃるけれども、そういう政策ならよろしい、都市偏重の政策をおとりになるならよろしいが、私はその点を論議しようというのではない。なぜお変えになったか。それでは権威がないじゃないか。一ペんきめたものは多少間違いがあっても、大局的に見て間違いがないならば、一応それを踏襲して、変る時期がくるまではそれをやっていくというのが——完璧というものは世の中にないのです。あなたのおっしゃるのが完璧であるかどうかも、私どもは今のようなことで疑問だと思っておる。でありますからここに私は内容は知りませんけれども、外の運動に動かされるような行き方はおもしろくないと思うのです。私はそういうふうに一応見ております。世間もまたそう見ておるようです。いろいろ御答弁はあるようでありますが、そのように見ておるようですから、その点については一つチャンネル・プランの将来においても、またあそこのところは工合が悪いからまた勇敢に変えるのだ、こういうこともまた想像されるのでありまして、ちょうどオオカミに追われた子供みたいなもので、二度も三度もになると信用しなくなります。でありますから行政はやはり信頼の中に立たなければならぬと思うので私はその点を申し上げるので、個々の政策論だとか、あれが悪い、これが悪いというのではなくて、むしろそういう無理をやらなくちゃならぬくらいであるならば、外の力に利用されるのではないか、運動に動かされてやったのではないか、そうとしか想像がつかない。私はその点を申し上げておる。その点を質問して一応承わったわけでありまして、もう御答弁は求めません。
  28. 原(茂)小委員(原茂)

    ○原(茂)小委員 関連して。基本的な政策という立場から松前委員から質問したわけでありますが、少し具体的な問題を二、三とらえて質問いたしたいと思います。  まず今度のテレビの予備免許に関して、大臣就任早々新潟に行かれたときか何か、多分相当早い時期にこの予備免許は与える予定だ、こういったような発表を、時期はいつだったか忘れましたが、なさった。その後つい先ごろになりましてから、九月の十日か十五日ごろから二十日ごろまでの間には予備免許を全部与える予定だ、こういった印象を受けた新聞をたしか見たのです。これは間違いありませんか。
  29. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 大体その通りであります。
  30. 原(茂)小委員(原茂)

    ○原(茂)小委員 私の考えからいうなら、今全国に相当真剣にこの免許を受けようという申請者の神経のとがった運動といいますか、動きがある。こういうときに、何回かにわたっていつごろ免許をするつもりだというようなことをちょいちょい大臣責任ある立場からおっしゃると、何かその底に政治的な意図があるというような、思わなくてもいいようなことを申請者自身が思うようになる。大臣の意図の取り方によっては、非常にややこしい考えを業者あるいは申請者がせんさくして持つという心配があるのですが、何か政治的な意図があって、二回、三回にわたってちょいちょい、いつになったら免許するつもりだということを言っているのではないか、こう邪推もできるわけですが、そういう点どうですか。
  31. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 私は就任と同時に、電波内容は全然わからない状態において、こういう非常にむずかしい、また社会的にも大へんな問題はなるべく早急に片づけることが混乱を排除することだという常識論に立って、まず第一声を上げたわけであります。これは全く常識的なものでありまして、官庁の一部では、陳情の多い、競願の多いものは次期に次期に次期にと引き継がれまして、大臣が五代もかまわないでおく。こういうことは行政の渋滞であり、しかも国民の不信を招くことでもありますし、国民経済の混乱を招くことであって、行政責任地位にある者はとるべきことではない、こういうことで私はできるならば早急にこれはさばきたいということを端的に申し上げたわけであります。  それから次の段階に申し上げたのは、郵政事業では金利の引き上げとか簡易保険の制限額の撤廃とか、機構改正とか、いろいろのものがあるのですが、やはり報道陣ははでなテレビの問題はどうだどうだと聞かれますので、まあ十回も聞かれるとつい十回目には何かしゃべらなければいかぬということで、常識的な第二の質問に答えておるというだけでありまして、これはいついっかまでにやろうという政治的な意図によるものでは全然ありませんが、十一月に臨時国会が開かれる、社会党さんは十月に開け、こういう御要求もあったようでありまして、当然大臣としては臨時国会の用意をしなければなりませんが、テレビだけではなく懸案事項が山積をしておりますし、これに対して立案をしなければいかぬし、予算省議も開かなければいかぬ、三十三年度の予算の折衝も行わなければいかぬ、そうしますとこういう行政的な、前大臣からの引継ぎであり、しかも方針のすでにきまっておるようなものに対しては、早急にこれをさばくことによって、その後に来る郵政行政全般に対して影響が及ばないように考えることは、これも当然であります。私はそういう意味で九月一ぱいに何らかの処置がとれれば、十月の初めから十一月にかけては臨時国会及び通常国会の諸般の準備ができるという考えで、まあできるだけ早くさばきたいということであります。  もう一つ、政治的な考えがあるかと言われれば、またあったとすれば、それは戦後は非常に行政が渋滞しまして、民間が申請をして三十以内にその可否の通告のない場合は、許可を得たるものとみなすということをしてまで、行政簡素化、迅速化をはかったのでありますが、もうすでに早いのは三十一年から出しておるわけであります。そうして一年、一年半、長いのは二年も審議をしておる。事務当局の審議の結果も大体出そろう段階になっておりますから、八月末及び九月十日までには大体みな出そろいます。こういうことでありますので、九月一ぱいぐらいには与えられるならば予備免許を与えたい、こういう政治的見通しといいますか、常識的な配慮があったということだけであります。
  32. 原(茂)小委員(原茂)

    ○原(茂)小委員 最近の新聞に出た感じから言うと非常に強く、何か二十日までには予備免許を与えるのだ、こういう印象を一般は受けていると思うのです。今大臣答弁によると、できるだけ九月一ぱい、まあうっかりすると臨時国会の開会前までには、こういうニュアンスであると思うのです。ですから大臣立場で政治的な意図が別にないなら——あっても言わないでしょうが、ないならあまり二十日までにはやってしまうのだとかなんとかいうことはおっしゃらない方が、こういう問題に関してはいいのではないか、これは私の見解ですが、そういうふうに思うのです。何か別に政治的な意図があるなら別なんです。あればお聞かせ願えれば、それならなるほどもっともだということになるのですが、そうでなくて今の答弁の範囲だったら、あまり時期を切って——申請の側あるいは国民の側からいっても、天下の公器である電波に対してはもっと慎重にやっていただきたい。慎重であるからといってじんぜん日が延びてしまうことも確かに行政上いけないでしょう。しかし慎重であることは望ましい、慎重にやっているからといって、発表した時期が次々におくれていくことも望ましくないという立場からいうと、大臣という責任ある地位からいうならば、別途に強い政治的な意図があるのでなければ、日にちなどは軽々に口にしないということの方が妥当じゃないか、なるべく早くやりたいということが妥当じゃないか。  それから続いて答弁がなされたいそうですから一つ一緒に聞きたいのですが、何か予備免許を与える前にその前の免許といいますか、内示ですか、それをやるということを前ちょっと発表されたことがあるのですが、すると二十日までにやるのだというその御意思の前段において、予備免許が二十日とすると、内示というものはすでに行われているのですか。それを一つお伺いしたい。
  33. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 時期の問題を明示をしたわけではないのです。新聞社がそういうふうにおとりになったのでしょう。皆さんもよく新聞社の方々と会われたときはそうなるのでありまして、大体地方局の報告はできる状態だ、一体いつできるのだ、八月二十日と九月の十日だ、それならば九月二十日ごろからは免許はやれますな、まあそういうことになるかなということが九月一ぱいにはほぼ完了の見込み、こういうふうに表現されるわけであります。しかしより高い立場から、政治的にそういう期日等を明示されやすいような行為はうまくないではないかといえば、一考いたしてみましょう。  内示の問題はこういうことなんです。今の免許は電波法によって免許を与えるわけでありますが、この電波法には電波を与えなければならないと書いてあるのです。これは与えることができるではなく、公けの波は申請があったときは当然与えなければならないというふうに、非常に強い規定がございます。申請者の長いのは二年にも及んでおるわけですから、電波法の精神通り当局は免許を与えておらぬじゃないか、ぐずぐず引っぱっておると要らない競願者が干渉して、ますます混乱紛糾に導いておるのは、当局の責任ではないかというようなことがあるわけであります。だからもちろん一年も一年半もして競願者のないような場合、ずるずると延ばすことによって競願者を作るようなことは、行政上好ましいことではないと私も考えておるわけであります。その内示という問題は、電波法によって与えなければならない。免許申請者はいわゆる周波数とか運用許容時間とか、放送事項等を申請書に明記をしなければならない、そうしてその申請者が適格者である場合には、郵政大臣はその事項を免許状にまた新たに明記をして免許をしなければならない、こういうふうになっております。その免許の前には慎重を期するために予備免許を交付する。予備免許は普通の法律による免許であります。ただそれにはいろいろな条件がついておりますから、技術的にも、またいろいろな問題に対して免許条件が満たされて、放送塔も作られ、また送信設備もでき、人員も機構も資本構成も完全にできたときに自動的に免許が行われる。これはもう免許状の交付という儀式をやるだけだというのが電波法の規定であります。今までは、七月の七日か八日に与えられた免許は、直ちにこの法律通りに予備免許を与えております。予備免許を与えることを法律は要求しておるのでありますから、法律通りにやればいいのですが、行政処置は法律の規定を順奉せしむるために、また法律命令の規定を明らかに具現させるためには、適宜予備的な行政措置をとることもあり得るのであります。これは外貨の割当でも、農林省や通産省関係では慎重を期するために、開設条件をつけた内示を行なっております。この外貨の使用に対してはこのような条件を付して、これが満たされたときにこれを使用してよろしいのだ、こういうことになっておるわけであります。その条件が満たされない場合には、外貨の割当を行わないというような、行政的に非常に慎重な態度をとっているわけであります。そうでないと、法律的にぽうんと与えますと、混乱があるのです。これは今までの免許の中にもその例がないとは言えないのであります。予備免許を与えてしまったが、さて会社が創立できないというのがあるのです。これはその二者択一で、十社のうち一社だけ選んで九社を却下するということも方針でありますし、私も二者択一論を明らかにしておるのでありますが、どうしてもある場合には既存のものにプラス・アルファという、いわゆる窓口を広くすることとか、新しく二つか三つのものが寄り集まることによって、マス・コミの独占を排除できるというようなこともありますので、実際の行政手段としては、内容をこうした方がよろしいというような指示もあり、また申請者同士の話し合いも行われておるわけであります。これが予備免許を与えられますと、わしがもらったので、入りたくなかったら入らぬでいいと、われわれ当局が考えることと全く別な状態が起きることもあり得るのであります。その場合免許を取り消させるかどうかといったら、これは取り消さないという見解をとっておるわけであります。予備免許でありますので、予備免許を与えるときに厳重な条件書をつけて、その条件が守られなかった場合は、当然免許を取り消してもよろしいのだという見解を私はとっておりますが、これは少し乱暴だという議論も世の一部にあるようでありますので、まあ行政的には法律の解釈をやることによって独断的行為が行われないように万全を期すために、いわゆる予備免許と同じように、法律の命ずるところによって、予備免許を前提とする内示を電波監理審議会に諮問をしております。電波監理審議会では、予備免許として答申に応ずるわけであります。そうしますと、私たちは直ちに予備免許を与えるべきでありますが、予備免許の前提として行う内示としては、予備免許の条件はこういうものである。この条件が満たされた場合には、十日でも五日でも私の方はけっこうでありますから、予備免許を与えます。ごたごたする場合には、三十日、四十五日、六十日という場合もあり得ると思うのです。三カ月ぐらいたってまとまらない場合には予備免許を与えないという方針をとれば、今よりもより慎重であり、より合理的に行政が行われるという意味で、予備免許の内示を行うというのでありますので、今までやっておりました予備免許の前提として内示期間を設けるということであります。
  34. 原(茂)小委員(原茂)

    ○原(茂)小委員 今お話を聞いていると、電波監理審議会に関連した法制上はっきり何か内示ということがあるような説明を、後段でちょっとなさったのですが、その他の法律に照らしても、予備免許の前に内示をするということが法律の建前では出てこないのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  35. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 法律の規定では予備免許を与えなければならないと書いてあります。と同時に、予備免許を与えるまでには、郵政大臣は申請者を呼んで意見を聞くことができると書いてあるわけであります。だから、郵政大臣がその予備免許を与えるまでに、呼んでいろいろな事情を聴取して、それでよろしいと思うときに予備免許を与えればいいのでありますが、往々にして、予備免許を与えますと、出した条件さえも、中にはあれはもう取り消しますと、こういう例もあるのであります。これでは円満な行政が行われないので、どうせ予備免許を与えるのですから、審議会は予備免許として答申を求めておるわけであります。実際予備免許状を交付する前に、万全の措置をとるために内示という方式でもって申請者に通告をして、その条件が満たされる場合には自動的に予備免許が交付される、こういう方式をとっておるわけであります。
  36. 原(茂)小委員(原茂)

    ○原(茂)小委員 実は私、先を急ぐものだから、時間がないのでそれだけにこだわっていられないのですが、結論的に私の見解を申し上げると、予備免許の内示を与えるということは違法だと思うのです。少くとも免許を与えるという前段のいろいろな条件が具備されない場合に対する措置を十分に考慮したから、予備免許というものが条章の中に入ってくる。その予備免許に対してまた大臣が内示というものを行おうという考え方それ自体は、すでに行き過ぎだというふうに私は思うのです。この点に関しては見解の相違だといえば別問題ですが、とにかく現実の問題としては、今大臣の説明によると、予備免許を与える一週間前にある程度内示を与える。与えたときから一週間たったが、申請してあった条件がどうも具備されそうもないというときには、自動的に予備免許を与えないことにするのだ、ちゃんと条件が申請通りに具備されれば、そこで自動的に予備免許が与えられるのだ、こういうふうな説明があった。私はそういうことになればなるほど、内示というものが法制化されてこなければいかぬと思う。そういうことになるなら、内示というものを先に行なって、それがスタートで、申請条件がある程度満たされたら自動的に予備免許を与える。もしそのスタートから七日なり十日なりの間に申請通りの条件が満たされないと大臣が判定をしたときには、自動的に予備免許を与えないことになるのだということになると、これは法律的な解釈からいっても、内示ということがゆゆしい重大問題になってくるだろう、これが第一点。それから、現実の問題として、今予備免許の前に内示を行なっているのかどうか。十五日とか十日に予備免許を与えるのだと新聞などでは——記者が勝手にとったのだといえばとったのですが、放送をした。しかも大臣の今の答弁でいうと、とにかく九月うちには何とかして免許を与えたいという気持に変りはない。そうすると、すでに月中になっておるのですから、一体内示を行なったところがあるのか、なければおかしいと思う。ほんとうに今月うちに予備免許を与えようというなら、もうおそくとも半月ぐらい前には内示を与えなければ、申請条件が具備されそうであるかどうかということを大臣として判定する期間に事を欠く。だから当然内示が行われているのだと思うのですが、その点が第二点。それから第三点としては、これはまた具体的な問題ですが、予備免許を与えようというのに、その前にさかのぼって内示をしよう——内示をすることがもしほんとうなら、その内示の方法が今大臣の説明したような、申請競願者の両方を呼んで——具体的な内示の内容とは何かということをお聞きする前に答弁があったのですが、その答弁によると、たとえば競願のある場合、一社だけに内示を与えてしまうと、競願者同士が話し合いができる余地があるにもかかわらず、話し合いをしないで、自分だけが免許をもらったのだ、こういうことをする場合がある。とすると、大臣の説明の内示というのは、競願のある場合には両者を呼んで話し合いをさせるということにもとれる。もしそうだとするなら、内示という言葉は当っていない、行政を担当する主管者としては、いたずらな社会的混乱が起きないように事前にある種のアドヴァイスをしたり、あるいは指導していくことは必要なのだから、そういう面のことをやるのが行政官庁の仕事であって、その話し合いをさせることが内示という御説明なら、これは全然当っていない。内示という言葉を使うことが第一おかしいと思うのですが、この三つについて簡潔にお答えしていただきたい。
  37. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 内示を行なっておるかという質問でありますが、内示は行なっておりません。九月一ぱいくらいまでに予備免許を与えたいということでありましたが、慎重にやっておりますので、現在九月一ぱいに全部法律的な予備免許が与えられる段階ではありません。また与えられるとしても時間的には一ぱいだろうという考えであります。  もう一つ、内示が法律的な規定がなければおかしいじゃないかというのですが、私はそうは考えていないのであります。これは一般の各行政庁で行なっておる慣行をずっと見ますと、法律に予備免許ということを書いてありますが、予備免許を与えることによって混乱が起きるというような場合には、予備免許の前に指導をやっております。この指導というか内示というか、これは行政措置の方法の一つでありますが、法律上の内示をすぐやりますと、いろいろな混乱が起きるのであります。これは電波法そのものの制約規定があります。独占してはならないとか、電波法、放送法によってテレビ放送業者というものは公共的な放送をやらなければならぬために、資本、人的構成、機構というものに相当制約があるのです。だから、そういう法律上の制約規定を満たすためには、一つ例を申し上げますと、ラジオに兼業としての免許を与えるということを仮定してみますと、民法上、商法上の規定がたくさんあるわけであります。そうしますと、免許を得るときには、この株は全部公開いたします。役員も全部更新いたします。電波法、放送法の制約通り機構整備いたしますという一札が入るのですが、免許をもらうと見解が非常に変ってきまして、これでもう独占じゃないのだというような、なかなかむずかしい問題があるのです。もう一つは、新聞等が関係をする場合に、今までのラジオは新聞社の人が全部ラジオをやっているのですが、その場合には、新聞が総資本、総重役陣の何を越してはならないというような制限を電波法によっていたしますと、なかなかその人たちがうまく分散しないというような問題でごたごたがあるのです。そういうものを全部法律的に電波法に適合するような方法をとらせるということになりますと、これは株主総会を開き、当然民法及び商法との競合事項がたくさん出てくるわけであります。そうしますと、免許は自動的にいくのだということを前提にしないと、商法、民法上のいろいろなものの制約ができないのであります。だから予備免許という方法をとっているわけですが、今の一般的な考え方からいいますと、予備免許を与えられると、本免許と同じなのだ、問題になるところは送信設備とか、機械設備とか、電波の問題だとか、こまかい技術的な問題だけが免許を与えるとか与えないとかいう条件になるのであって、訓示規定式に書いてある電波法第一条、それから放送法第一条というようなものは見解の相違で、免許取り消しの基準にはならないのだという考えが非常に民間に多いのです。だから実際に予備免許を与えますと、もう自分がもらったものだから、われわれはこういう見解をとるのであって、取り消せるものではないから、資本構成等を変えないという問題が起りますので、予備免許という前に慎重を期するために内示期間を置こう、内示をしますと、こういう条件が満たされる場合には当然予備免許は与えられるのだからといえば、登記までは行なわなくても、取締役会の議決をつけるとか、現重役の辞任をするとか、株をこういうところに分けますとかいう問題ができますので、予備免許も行政的に慎重を期したということだけであって、内示という表現そのものがどうもえらく法律的な定義を持つのではないかというふうには考えていないわけであります。
  38. 原(茂)小委員(原茂)

    ○原(茂)小委員 私は今の御説明があっても、内示という言葉は妥当ではなく、やはり指導なら指導でけっこう、内示という言葉をあえてお使いになったことに疑義を持つので、使うべきではないという見解を持っているわけであります。というのは、本来この法律の予備免許というものが常識でいう内示なんです。内示というのは省なら省にきまった意向を示すので、いろいろな案を出して、その中で話し合いをするように指導していくというようなものではないのですから、内示というものは本来の常識でいう予備免許にひとしいものというふうに考えるので、内示という言葉を使うのが不穏当という見解を私は持っておりますから、どうしても内示という言葉を使うようになれば、後刻あらためて問題にしてみたいと思います。  なお内示と予備免許との間における時間的なもの、実際におやりになるとして、もうすでにできているのかとお聞きしたら、まだ内示はやっていないとおっしゃる。そうすると、もし内示をするとすれば、九月一ぱいに免許などということはちょっとできないのではないか。ですから、前段の質問に返るのですが、あまり日にちなどははっきりおっしゃらない方がいいのではないか、大臣は今後はそういう点は気をつけるとおっしゃるから、そうしていただければいいと思います。  それから大臣も先ほど例の中に出された新聞の問題ですが、今日テレビを申請している新聞の経営者とは言いませんが、新聞の強い影響力下にあるところのテレビの申請をする、それから今日新聞の影響下でラジオの放送をやっているところがテレビの申請をするというようなところに対するものと、新聞などに全然関係のないといいますか、今日新聞を資本的には絶対に関与させていない、ないしは今ラジオをやっているところでも、新聞の経営をやっていないというようなところ、こういうようなところと新聞のやっているところに何か同じ免許を与えるのにも、今の方針で多少でも差がつくことがあり得るかどうか、これは新聞をやっているところは天下の公器を扱っているから、あまり自民党の悪口を言われては困るので、新聞をやっているところにはできるだけ許可をする。これは大臣も率直におっしゃるので私も率直に伺うのですが、そんな考えがあるなら大体の方向がわかりますので、はっきり言っていただいていいのですが、全然ないならないとおっしゃっていただいて、またあとのことをはっきり聞きたいと思います。
  39. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 新聞に対して特に排除しようという気持はありません。新聞があるために次の選挙を有利にするというようなお話がありましたが、そういうことは行政官庁として毛頭考えておりません。ただ電波法及び放送法の精神から見まして、マス・コミの独占はできるだけ避けなければいかぬ、しかもマス・コミの独占というものはいわゆる新聞、ラジオ、テレビというものが一体になるということも一つでありますが、やはりある財力をもって全部の会社の株の株数をとってしまうということも、相当な大きな問題だと思うのです。もう一つは映画界というものが、四、五年後、十年後にはテレビと非常に大きく競合してくるわけであります。今世論の中にぼつぼつそういう批判があるわけでありますが、映画が強大な資本力をもってラジオ会社、テレビ会社の株を買い占めるということがあるとすれば、これも非常に大きな問題だと思うのです。もう一つは政党がこういうものを支配するという問題も大へんな問題だと思うのです。だから政党、新聞、映画会社、財閥というようなものを平均して考えまして、いわゆる電波法及び放送法の根本に触れては絶対にいかぬという観念は堅持をいたしておるわけでございます。電波監理局等が現在までラジオ、テレビ等に免許を与えた原則は、新聞社が持ち得る株というもは総株の一割をこしてはならないということを原則としているようでありますので、私もこういうものは当然堅持をしなければならないという考えでありまして、利用度が高いものを、高いから新聞の関係しているものには特に免許をしようなどという考えは毛頭ないことを一つ御認識を願います。
  40. 原(茂)小委員(原茂)

    ○原(茂)小委員 そういう建前で真に受けてお伺いしたいのですが、実際には新聞の資本が一割以上入ってはいけないとか、今例をあげられましたが、言論の独占を避けるというためには、どのようなことをある程度大臣としてはお考えになっているのか、何か条件といいますか、それを避けるための基準になる考え方というものがあるのではないかと思うのです。厳密に言って、この対策はあまりないと思うのです。たとえば今の政党がラジオを支配してはいけない、望ましくない、これはその通りでしょうが、やろうと思えば私なら私が五億なり十億なりの金を持って、全然違った他人を集めて、知らないような顔をして七、八人に一千万円ずつ渡しておいてそれを投資していれば、陰で幾らでも支配できるわけです。やろうと思えば。現に行われているかもしれません。私は金がないからできないけれども、とにかくやればできるでしょうが、そういったことまで排除することは不可能でしょう。しかし少くとも表面にいろいろ出てくるものである程度そういった基準を作れば、大体常識的にいっても、もうこれなら世論も納得するだろうという、やはり言論の独占を排除するような基準というものが大臣のもとにないと、ただ言論の独占は排除すべきである、こういう方針で天下の公器をこれから扱っていかれると、再三言っておられることが単なる口頭禅に終るおそれがあるので、参考までに大臣考えている具体的な、これなら世論もなるほどと納得するだろうという、言論の独占を排除するところのテレビ、ラジオの免許の基準に際して、特にこういうことを私の胸づもりで考えているのだということを一つお聞かせ願いたい。
  41. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 現行法規下におきますと、あなたの今言われたように、また私の考えていることがなかなかむずかしいのであります。またもう一つここで明らかにしておきたいのは、現行法規、すなわち、電波法というものを基準にして免許を与える場合には、いわゆる免許を与えられたならばこういう組織を作りますというものを対象にしておらないのです。私もここに疑義があるのでいろいろなことを考えたのですが、やはり法律は実態を把握して免許しなければならないというので、免許を得ようとする人は免許が与えられたならば会社を作ればいいのだという考えよりも、現在あるものの資本構成、現在あるものの機構、公共放送にたえ得る条件を具備しておるかどうかという現実問題を対象にして、その法規は先行しているようであります。しかしそうしますと、もう新聞が過半数ラジオを持っておっても、そのラジオに免許しなければいかぬじゃないかという原則は自動的にできるのであって、私はそう解釈すべきではない、こういう見解をとっております。それは憲法に背反するところの法律はその効力を失うのと同じことで、電波法及び放送法というものが基本であって、その基本観念に背反するような規定というものは、それはそう厳密に解釈すべきではない、もっとこの法律がほんとうに法律通りに適用される実態法規として考えなければいかぬじゃないか、こういうので新らしいものに免許を与えるという場合は、この法律にこういう条項をつけて、この条項が満たされる形態ができたときに免許を与える、こういう解釈をとっておりまして、現在ある実態だけが優先先行するものでないという考えを私は保持しておるわけであります。ただどういうふうにやるかというと、今の法規でこまかく規定することはむずかしいので、将来電波法を改正しようというのがそれであります。これは一割以上保有してはならないとか、今の電波法には第三国人には放送会社の三〇%以上保有してはならないと書いてあるのです。新聞社や政党や、日本人といえども一〇%以上やってはいかぬ。だから買い占め独占を禁止するという思想を貫いておるにもかかわらず、第三国人は三〇%まで持っていいということなのです。三〇%ずつ持って、表面三〇%、裏三〇%、六〇%になるのであって、これは非常に危険な法規でありますので、私はそういう面も含めて実態を規制できるような法解釈を将来行いたいということを今考えておるわけであります。これはしかしあまり規制条文だけをよけい作りますと、言論統制だと端的にいわれるおそれもありますので、これは世論を聞いて慎重な態度を保持しておるわけであります。これはまた当委員会考えも伺いたいと思います。現在においてはやはり法律改正せられるということを前提にしまして、そういうものを付帯条件として非常に強く要求をするつもりであります。こういうふうにしたら法律改正になっても、すでに免許を与えたものには遡及できないのじゃないかという法律の原則もありますが、これは電波法には非常にうまい規定があるのです。これは三カ年ごとに免許を必ず更新しなければならぬといってありますので、法律改正すればじたばたしても三カ年目にはぴしっとやれるのだ、刑法に比敵するくらいの条文がありますし、特に違法行為があった場合にはその放送を停止し、停止した場合にはその放送局だけでなく、その放送局の免許業者の持つ他の放送局の業務を停止することができる、こんな強い条文が書いてある法律電波法や刑法以外にはないと思うのです。このくらい強くありますので、予備免許を与えるときに相当強く制約をすればこういう問題を排除できるのではないか、また排除できるように努力してもらわなければならぬと思います。
  42. 原(茂)小委員(原茂)

    ○原(茂)小委員 時間もないし、あとの委員の質員にこの問題は特に譲りたいと思うのです。電波法の改正に関しては私ども改正すべき点というものも持っておりますし、これは後刻の問題にしておきたいと思います。  最後にお伺いしたいのは、たとえば言論独占といいましても、特に目に見えて独占というものが大衆に映るのは、たとえば地方における新聞、それと同資本あるいは同一人的な構成によるラジオ、これにまたプラス、テレビ、こうなったときには地方の人たちがだれが見ても目に入っておる独占というものが形の上では映ってくる、こういうことが一番小さい末端における独占というものの対象になってくると思うのですが、そこで大臣は競願の場合には競願者にする程度の指導をなさるという場合もあるのだというお話でしたが、その指導の中の条件といいますか考え方一つを、これは御答弁を要求しませんが、申し上げておきたいのは、やはりそういった印象を与えないためにも、私は既設のラジオというもの、このラジオに全然関係のないとろにテレビの免許を与えるということは、今までラジオの普及に関し努力をし、非常な苦労をしてきたものに対して、将来経営困難を来たすおそれがあるから、ラジオの将来を考えたときには、テレビの免許をラジオ経営者に与えていきたいという気持を、多少でも親心としてはお持ちになるかもしれない。ところが実際には今言った言論の独占、これが地方大衆に強く映ってしまって、せっかくのマス・コミの公共性というものに対してゆがめた感じを大衆に与えてしまっては、これも非常に問題になるという点からいくならば、もしそのような競願者があり、話し合いを指導しようというときには、私はその競願者同士が一つのテレビの会社を作ることがあれば、その新しいテレビ会社において既設のラジオ会社を吸収するという方法をとっていけば、中間策といいますか、ある程度そういう点はなくなるのじゃないかと思う。これは重要なことだと考えておりますので、この点は指導——大臣は内示というけれども、指導の面における将来実際問題として起きてくる問題ですから、一つ考慮をしていただきたい。このことはぜひ必要だと思いますので、あえて私の意見として申し上げます。
  43. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 これは重要な問題でありますし、もう一週間後くらいにはくる問題でありますから、私の考えておることを率直に申し上げましょう。  これは事務的に考えますと、郵政大臣はラジオの免許権者でありますし、また免許をしておるわけであります。すでに長い苦労期を脱して、ようやく全国のラジオが水準を維持できるような状態になりつつあるわけです。三分の一は大体黒字決算を行える状態にようやくなってきた。ここでテレビを別の業者に免許するという場合には、一体ラジオはどうしてくれるのだという問題が当然起きて参ります。先ほど申し上げた通り現行電波法は実態のあるものを対象にしておるようにだけ読みますと、もう相手方は免許の資格がないのだというふうに読みやすいので、結論的にはラジオがもう当然免許がもらえるのだということを考えやすいのであります。しかし私は必ずしもそうは考えておりません。もちろん電波法及び放送法、そのほかになお独占禁止法もありますので、そういう意味からいって、より高い立場で、よりいい方法があれば、それを採用しなければならぬとさえ私は幅を広く考えておるわけであります。そういう意味で、予備免許というものを既存概念だけでぱんぱんやってしまうことは非常に危険である。これは十日や十五日待つよりも、将来十年たったらえらい問題になるということで、非常に慎重にかまえておりますから、ラジオに免許を与えるという場合は、今までの独占をどういうふうにして排除するか、マス・コミの独占ということは絶対にいわれないような具体的処置を講じなければなりません。これは法律的に現行法では不可能な場合には、波が出るまでには一年ないし一年半ありますから、これは当然次の国会法律改正すれば間に合うわけでありますから、そういうことを前提として強力な指導方針をとって参らなければなりません。また別にそうだといっても、実際は六割しか表に出ておらないが、あのラジオ会社の九割は数人の人が持っておるのだ、またそれは全部新聞の大株主なんだというような問題がある場合、しかも増資を当然要求いたしますから、今までの株の独占性の排除を求めるとともに、増資を要求して、増資の一般公募をする、その場合に、指導によって、こういう熱心な人があるのだから、公募の面をこういう人たちでやったらどうか、競願者の間で分けたらどうだと、今よりもいい段階を作ろうと勧奨、指導するわけでありますから、そういうふうにしてラジオ会社でやれる場合と、テレビは二年も三年も損するのだ、まかり間違えば十年も損するけれども、ラジオは黒字が出ておるのだから、われわれはラジオを守ってテレビに入らないといってくれれば、簡単に結論が出ますが、ラジオも入りたくないけれども、ラジオにはかまわないでおいて、黒字が出るまでは両方でもって会社を作ろうという案もあります。その場合に当然ラジオが黒字が出てから入るというのであったら、新しい会社にラジオ会社が吸収合併することを前提として免許を与えることもある。だから一律にはいかないということを私は申し上げているのですが、いずれにしても片寄った方針はとらないで、その個々のケースによって民法上また商法上の権益をどうしても譲らないという人もありますので、なるべく円満に、特に電波法及び放送法の公共放送と同じような立場でテレビの放送をしなければならぬのだということができるような、具体的条件を整備したいという考えであります。
  44. 原(茂)小委員(原茂)

    ○原(茂)小委員 今の御答弁である程度いいのですが、とにかく今のマス・コミに対して国民がもし信頼を失ったら、これは重大な問題になると思う。そうでなくても相当大きな疑心暗鬼を持っている今日ですから、大臣の賢明な措置で、この際こういう天下の公器に関しては、少くとも一、二社だけの独占的な意欲とか指導というものは入り得ないのだということを名実ともに、非常に低い大衆が見てもそういう感じを得るようなことにするのが、私は非常に必要だと思う。こういう観点からあえてさっき申し上げたように、もう一度申し上げておきたいのは、いろいろな例があるでしょうが、その一つの例としては、競願のある場合には、新しい競願者が妥当な条件を両方とも持っているようなときには、これに新しいテレビ会社を作らせて、引き続いて、あるいは少し時期をおいてもいいから、今の既設のラジオを吸収するのだ、こういう形の方が両方とも満足できる方法ではないかというふうに考えます。この点は参考までに言っておくわけですから……。
  45. 松前小委員(松前重義)

    松前委員 ただいまの問題に対して、大臣の御答弁は、いろいろな点から免許をする配慮についてお話がありましたが、問題は既設のラジオ会社に対して電波監理局の事務当局の動向を見ると、非常にこれに同情的であり、これを育てるということに非常に意を用いておられる。そういう観点からいろいろな指導なり何なりがなされているのではなかろうかと思われる節がある。これはいろいろ人情的に、育てようという気持から今日までやってきたのであるから、ただいまのお話のように一応あり得ることであると思います。けれども、先ほど来の言論の独占という立場、わけても新聞との関連性、この点は新聞というものが非常に言論的に強いものですから、ことに政治家にしても実業家にいたしましても、新聞に対しては一応頭を下げる傾向がある。言いかえると、新聞そのものが一つの非常に大きな暴力といいますか、そういうものをもって臨んでいるかのごとく、われわれの心理的な作用で感げるわけですね。そういう状態の中において 新聞の影響というものがラジオやテレビに非常に大きな影響を及ぼす。それで新聞がある府県において、ある地方において一社しかない、一つの新聞が地方紙として存在している、そういうときに、これがやはり今までラジオを経営している。またこれがテレビを経営する。ここに言論の民主化に対して非常に大きな欠陥がある。言論の自由が保たれない、はけ口がないというところに、私は大きな政治的の将来の危険性がはらむと思う。そういうわけで、言論の民主化という立場から、私どもは経営その他の面は一応別問題にして、日本の歴史の将来を考えてただいま原委員は非常に心配して質問されたと思うのです。どうぞその点を十分考えられまして、言論の大きな力を持っている新聞に対して、先ほど勇敢にという言葉を二、三回言われましたが、この際は一つ勇敢に日本歴史の創造のために戦ってもらいたいと私は思うのであります。これは私の希望です。  その次に簡単に一つ答弁願いたいと思うのは、UHFのチャンネル・プランを御決定になる必要がある、またこれがあれば相当に混乱は防げる可能性もある。またFMのチャネル・プラン、これも早急に御決定になるというお話も聞いておりますが、この間の消息を簡単に一つ御説明願いたいと思います。
  46. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 放送法にも明記してありますように、あまねく放送しなければならない、この条文を守るためには、現行のUHFではむずかしい段階に至っていることは御承知通りであります。UHFという問題につきましては、先ほど申し上げましたように来年のモスクワにおけるカラー・テレビの基準を決定する会議にも政府の代表を出すということを契機にいたしましてもちろんこういう極超短波に対しましては、十分研究にピッチを上げて、できるだけ早くUHFのチャンネル・プランの決定まで持って参りたいという考えでございます。FMに対しては、各府県で学校その他特殊なものが放送に使っておるわけでありますし 特にNHKは今年から産業教育といいますか、医学とかその他いろいろな教育教養等を含めたFM放送網の充実化を実施しつつあります。この問題は早急に取ち上げて実用化に進めて参りたいという考えでございます。特にUHFに対しましては、いわゆる公共放送、それから教育放送、特に産業技術教育というような、全国にあまねくやらなければならないというような放送に対しては、このUHF帯を十分活用しなければならないという大きな理想のもとに、万全を期して参りたいという考えでございます。
  47. 松前小委員(松前重義)

    松前委員 またFM放送は、地方では教育放送にやっておるという話でありますが、これは放送ではありません。これは別に大した問題じゃないのですが……。ただ問題はUHF帯とFM放送のチャンネル・プランの決定は、これはだいぶチャンネルも多いものですから、今までみたいに奪い合いは起らぬと思う。そういう意味から割合チャンネル・プランも作りやすいのではないかと思います。そういう点で、一つ早急に御解決願って、そうしてそれぞれ早く教育放送その他がこれらを通じて行われるように、あなたの御在任中にやっていただきたい。これをお願いいたしておきます。
  48. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 これは特に私の方から申し上げたいのでありまして、VHFの最終的な免許を与えたら、できるだけ早急に、UHF帯に対しまして混乱が起きないうちに、相当長期な将来を見通してのチャンネル・プランを決定いたしたいという考えでございます。
  49. 松前小委員(松前重義)

    松前委員 私は原委員との御質問と合せて、いろいろな質問をいたしましたけれども、総合的に質問の締めくくりをしてみますと、大体電波を含めた電気通信全体の政策というものの立案——立案だけでなく、それらの大臣諮問機関というようなものを通じて、民間学識経験者意見をうんと吸い上げて、たくましい一つ電気通信政策の実現をはかっていただくというようなことについて御質問いたしましたが、これについては、大臣は考慮するということでございました。  それから第二の問題は、この政策の一部分といたしまして、アジア通信会議みたいなものを招集する。これは電波に関しては幸いにして御準備があったので、非常に敬意を表しますが、しかし通信全体についてこれらのことを一つ御準備願いたいと思うのであります。それから第三の問題は、スキャッタード・ウェーブのごときは、非常に大きな散乱現象を来たし、通信網に対してちょうど磁気あらしのような大きな混乱を来たすおそれも多分にあるものであり、これらが明確にならないというような現状でありますので、これらに対しては慎重な態度をもって臨んでいただきたい。いろいろしろうとはこれらに対して食いつこうといたしますから、その点については専門家の意見を十分尊重していただきたいと思うのであります。  それから電電公社に関する問題、わけても電電公社監督に関する問題ですが、これは監督強化する、わけても地方に監督局を作るがごときことをしたらいよいよだめであります。そういう毛細管の先の方をいじくり回して、動脈硬化を来たすようなことのないように、行政機構改革については特に配意していただきたい。わけても電波行政強化に関しては、思い切って具体的な案をお作り願って、実現を期していただきたいと思うのであります。  いろいろテレビの免許に関しましては討論がありましたが、いわゆる言論の民主化のために特に配意をしていただきたい。これだけの希望を申し上げて私の質問を終ります。
  50. 森本小委員(森本靖)

    ○森本小委員 ただいま原委員から質問がありました事項について、私も非常に意見がありますし、その点質問をしたい事項も相当ありますけれども、きょうは時間があまりないようでありますので、次の機会に電波放送の問題は譲りたいと思いますが、ただ一点だけ大臣答弁でちょっと気にかかった点がありますので、簡単にお答えを願いたいと思います。  姫路のチャンネルを大阪に持って行くことを承認したということですが、その場合に大阪におけるところの、教育テレビの問題についてはどうなっておりますか。
  51. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 大阪にチャンネル十番が残っておるわけでありますが、これを教育に予定するということであります。しかし私が申し上げておりますのは、民間に教育テレビを免許するかどうかという問題に対しては、慎重に考慮いたしたいということを当委員会でも冒頭に申し上げておるわけであります。私は教育テレビというものはできるだけNHKのような機構を持って、公共的な立場で行うべきだという考えを持っておりますが、いずれにしても娯楽放送を無制限に免許して参りたいという考えでは絶対にありません。すでに免許を受けておる現存の放送局さえも、レベル・アップをしていただきたいという考えを持っておるのでありまして、免許を与える場合には、今までの観念で九〇%教育教養をやるものが教育テレビというのか、私も定義はさだかにしていませんが、いずれにしても現在の状況では、強い教育教養、産業技術放送の方面を非常に大きくしていただくという意味で、全般的なレベル・アップを行う予定でありますので、教育方面は一般に現行のものよりも成果を上げ得るという考えを持っておるわけでございます。   〔小委員長退席、松前委員長代理着席〕
  52. 森本小委員(森本靖)

    ○森本小委員 私が聞いておるのは、姫路のチャンネルをそのまま大阪へ持ってくる、これだけの技術的な問題だけであって、文章その他についての訂正を今度の場合出すかどうか、このことだけです。
  53. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 大阪の一波増波及び姫路の波を大阪に持ってくる一部修正以外に諮問をしておりません。
  54. 森本小委員(森本靖)

    ○森本小委員 その問題についてはさらに突っ込んでいろいろ質問をしたいと思いますが、きょうは時間がないので次に譲りまして、さっそく質問をしたいと思いますが、その前にちょっと子供じみた質問でありますが、子供じみたようなことを大臣がやっておるのでこういう質問になるのです。ちょっと大臣に注意をしておきたいと思いますが、これは全国的に何か今まで——何々郵便局という看板を掲げておるわけでありますが、その付近かどうか知りませんけれども、全逓が長年全逓という組合の看板を掲げておるわけでありますが、それを何か大臣の特別な命令によって全部はずしてしまえということで、管理者が行って一つ一つはずしているようでありますが、これは非常に子供じみたことでありまして、そういうようなことまで一々大臣が指示するということは要らぬじゃないか、こういうふうに考えますが、その点は大臣としてもあまり子供じみた考えに基いてやらぬようにお願いしておきたいと思います。それは答弁は要りません。  それで特定郵便局制度調査会の問題についてちょっと私はお聞きしておきたいと思いますが、この間の委員会において特定郵便局制度調査会については非常に重要な問題であるので、十月ごろには答申案を出したい、こういう御答弁でございましたが、現在のこの会議の進行状態というものを簡単に説明願いたいと思います。
  55. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 お答えいたします。一番目の看板の問題でありますが、これはここで御質問受けるとは思わなかったのであります。これは私は何ら他意がないのであります。あなたは子供のような仕事だと言われるかもしれませんが、やはり郵政省設置法に基く大臣の仕事としては、秩序を正したいということであります。お互いの行き過ぎがあったならば、お互いが常道に戻って郵政事業の円満な発展に資したいという考えであります。私もこの看板という問題は非常に大きく取り上げておるわけではないのでありますが、各省庁を回ってみまして、玄関に労働組合と郵政省というような、官庁の看板と一緒に並んでおるのは悲しいかな私の省だけでありましたので、これはほかの省にならっただけでありまして、これは子供っぽいというほどのことでもない、まあさらと一つ流していただきたいと思います。(「それでいいのだ」と呼ぶ者あり)  第二の問題、特定局制度調査会の問題に対しては、委員の皆さんが各地の特定局を相当長い期間にわたって、四班か五班を作られて非常に厳密な調査を行われておりました。調査も大体終りまして現在は一週間に一回ぐらいでありますか、もっとひんぱんでありますか、調査会を開いておられますし、事務当局からの今までの諮問案に対する説明とか事情の具申は大体終っておると思いますので、大体十月、十一月というまでには何とか御結論を出していただけるのではないか、私も通常国会にはどうしてもこの問題に対して結論を出して、しかるべく法制化等の処置をすることによって、少くともいろいろな問題のひっかかりになっておる特定局制度の議論に対しては、一応の終止符を打ちたいという気持は変えておらないわけであります。
  56. 森本小委員(森本靖)

    ○森本小委員 最初の看板の問題については、与党の委員の方々はそれでよろしいというふうに言っておられますが、これは十何年間というものは慣行としてやっておることであります。別にどうこうという問題ではないわけであって、いまさらこれを大臣が取り上げてどうこうというのはおかしい問題でありますので、この問題についてはまた私は答弁が要らないとはっきり申し上げてある通り、これは大臣一つ十分に考慮して、そういう点で要らぬ摩擦を起さぬように十分考えてやってもらいたい、こういうことであります。  そこで特定郵便局制度調査会の問題でありますが、これについては十月までにやるということでありますが、今まで会議を何回開いて、これから先どういうふうにこれを運営していくかということの運営の方法です。それを一つ説明願いたいと思います。
  57. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 事務的な問題に対しては係官から説明をさせますが、今まで開いたのは三回であります。三回でありますが、その前に各班に分れまして全国の実情調査にお回りになっておりましたので、現在までは正規に開きましたのが三回であります。これからは省としての質問事項も大体御説明申し上げましたので、独自な方針をおとりになって私がお願いをしております十月の末、十一月の上旬までには、どうしても一つ結論を何とかお出し願いたいという考えであります。ただ時間的に言いまして特定郵便局制度のいわゆる存廃問題までに及ぶと、時間が幾らか足らぬのではないかというふうなお考えもあるようでありますが、存廃問題も当然審議の過程には出てくるのでありますので、そういうものも含めて可及的すみやかに結論をお出し願いたいというふうに申し上げておるのでありまして、省としてこの調査会に対して強い希望を申し上げたり、行政的にそうお願いするようなこともなるべく避けて、自主的に調査会としての審議の結論をお出し願いたいという方針を堅持しておるわけであります。
  58. 森本小委員(森本靖)

    ○森本小委員 それできょうは時間もないようでありますので、基本的な問題をお聞きするわけでありますが、大臣の名前で八月二十四日に調査会の会長あてに諮問書が出ております。この諮問書の内容を詳細に見てみますと、郵政大臣がこの特定郵便局制度調査会に対して基本的にどういうことを聞いておるのかということが、非常に全般的に書いてありますので非常にわかりにくいわけであります。そこで私は基本的な問題をお聞きしたいと思いますが、この中にありますところの特定郵便局に関する問題で、特定郵便局の範囲について、あるいは運営についてなどと書いてありますけれども、そういうものを全般的に審査をして協議をして、かりに特定郵便局というものは廃止をして、そうして普通郵便局と同じようなことにすればよろしい、こういう結論が出た場合には、その結論でもよろしい、こういう考え方なのか。それともこの特定郵便局制度調査会に対する諮問書を見ても、特定郵便局というものを一つの固定した考え方に立って、その中でどことどこを改革をしていくべきであるか、こういう諮問書に考えられるわけであります。そこでそういうふうにどことどこを改革をした場合に、今日残っておる問題は単に局長の任用の問題とそれから局舎の問題、この二つだけであります。特に局舎の問題はこれは賃貸契約で全部解決がついておりますので、残っておるものは局長自由任用という問題だけであります。これがのきさえすれば、これは普通局と何ら変りがないわけであります。そういう場合にあなたの諮問書の基本的な考え方というものが、特定郵便局の運営、機構、人事、そういうものを全般的に検討をして、そうしてこういうものを普通郵便局と同じようにすればよろしいという結論が出た場合にはその結論でもいい、そういう考え方に立った諮問書であるかどうか。その点が非常にぼやけた考え方になっておりますので、聞いておきたい。
  59. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 お答えいたします。特定郵便局制度に対しては私の個人意見はございます。しかしそういう問題を調査会に申し述べるべきではないのであります。特にこの調査会の発足に当りましては、森本委員からも厳重な御発言がありまして、こういうものが審議をしなくても結論は出るのだということでは非常にまずいので、自主的に特定郵便局制度のプラス点、マイナス点及び議論の多いところを列挙しまして、虚心たんかいに実情だけを訴えて、判断は自由な立場にまかしておるわけであります。そういう意味で一切の拘束をしたり、こういうふうにしてもらいたいというような先入意識は、絶対にこちらから委員さんには入れないという慎重な態度をとっておるわけであります。ただ審議の過程において存廃問題等、またプラスマイナスの点に対して大臣はどう考えておるのだということを質問せられる場合には、今度は逆に私に質問せられる場合には私は自分の意見を申したいと思いますが、いずれにしても議論の多いものでありまして、初めからは非常に慎重な態度をとるのが常識であり、またそうあるべきだという線を今まで堅持をしております。特にその調査委員会委員の方々に対しては、先入観とか私たちの省の考え等を強力に吹き込むようなことは、断じてしてはならないという考えであります。諮問書に対して答申が出た場合には、この答申を尊重するということはこれは当然の帰結であります。なお諮問書及び政府との間の意見調整する場合には、答申書が出てからよく批判を仰ぎつつ調整をすべきものだと考えております。
  60. 森本小委員(森本靖)

    ○森本小委員 この諮問書の内容等についても、私は非常にこまかい質問をしてみたいと思いますが、きょうは時間がありませんので、今の大臣の御答弁というものは、要するにこの諮問書においては、あらゆる角度から郵政省がいろいろ問題点を出してきておるけれども、かりに制度調査会なら制度調査会がこの存廃問題の基本的な問題から討論を起していって、そうしてそういう方向結論がついたという場合においては、やはりそれはそれとしても、郵政大臣はその方向において尊重しなければならぬ、こういうことになるわけですね。
  61. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 内閣が閣議をもって設置した調査会でありますから、調査会の結論を当然尊重することは当りまえであります。ただ政府意見がある場合には、この調整は、後段において、いわゆる諮問書が出れば世論も非常に注視をするわけでありますから、その注視の中で調和点を見出していくことが常識的である、私もそういう処置をとりたいということを申し上げておきます。
  62. 森本小委員(森本靖)

    ○森本小委員 大体大臣のあらましはわかりましたが、非常に詳しい説明でありますので、私が聞いておるのは、特定郵便局制度調査会というもののこの諮問書の内容からいたしましても、あらゆる観点から特定郵便局の制度というものを検討するという諮問書の内容になっておりますけれども、しかしこれの存廃問題というものについても、これは調査会が検討して、そうしてそういう方向において結論を出すということについても、それは一つ方向であって、何もそれを郵政大臣が諮問をしてどうのこうのというわけではない、そういうものを含めてすべてを諮問しておるのだ、こう解釈をしてよろしいのかどうか、こういうことです。
  63. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 特定郵便局制度全般に対して諮問をしておるわけであります。
  64. 森本小委員(森本靖)

    ○森本小委員 そうするとこの問題については、くどいようでありますけれども、特定郵便局制度全般について諮問をしておるので、むろん存廃問題についてもやはり調査会においては検討しても差しつかえない、こういうことですね。
  65. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 もちろんその通りであります。
  66. 森本小委員(森本靖)

    ○森本小委員 それではこの問題については、きょうは時間がありませんので、また日を改めてお聞きをすることにいたしまして、ただ一点だけ私はちょっと聞いておきたいことがあります。これはこまかい問題でありますが、こういう問題にも関連がありますので、聞いておきたいと思います。これは「逓信新報」という新聞でありますが、昭和三十二年九月一日号の百五十九号にこういう記事が載っております。「局長不在はブラス? 話題投ぐ四軒町局」というので、この内容を読んでみますと、愛媛県の西条市四軒町郵便局の局長がずっと不在局長であった。そこでその不在局長ということではいけないということで、監察局の方がこれを調査をした。そうすると、この人は元市会議員をやっておって——これはずっと昔のことでありますが、そうして特定郵便局長だけになっても、市役所の方へいろいろの用事で行っておった。ところがその市役所へ行った関係で、市税の督促のものを郵便に切りかえさせた、あるいはまた保険、貯金業務にも貢献したことがわかったので、この不在局長であるということに対しての処罰、その他については不問に付した。こういうことが載っておるわけであります。それにおまけにつけ加えて、当面の監察局長でありますところの笠井松山郵政監察局長談として、こういうふうな局長がおるということについては、この局長が局を留守にしていたために重大な過失が生じたわけでなく、かえってプラスになっておると考えたので、不門に付した、こういう談話が載っておるわけであります。こういうケースを大臣はどうお考えですか。
  67. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 今その新聞をお読みになったので、私は全然その新聞を承知いたしておりません。特定郵便局制度に対しては、調査会の結論を待って、なるべく組合側も当局側も刺激的なことをやらずに一つ、ということでありますので、私もそういうものに対しては非常に注意をしながら、お互いが調査会の結論を待っていようじゃないかという慎重な態度をとっておるのですが、そういう個々の例があれば、私もその新聞を省に帰りましてから見まして、実情に対しては調査をいたしてみましょう。
  68. 森本小委員(森本靖)

    ○森本小委員 実際の調査をせられてから答弁せられてけっこうですが、ただ私は事務的な問題を事務当局に問いておきたいと思いますが、無集配特定郵便局長がそういうふうに郵便物の増収その他についてやる、あるいはまた保険の勧誘、貯金の勧誘というものを市役所まで出ていってやらなければならぬ義務があるのか。あるいはまた無集配特定郵便局長はそういうところの権限があまりないように私は考えておるわけであります。かりにこれが集配の特定郵便局長なら、ある程度納得のいく点もあるわけでありますけれども、無集配の特定郵便局長が集配の普通郵便局の仕事まで取り上げて、そうして市役所と交渉しなければならぬという点については、どうも非常におかしい点があるわけでありますが、こういう点はどうですか。
  69. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 事務当局に御質問でございますが、私がただいま申し上げましたように、あなたも新聞を根拠として発言をせられておるのでありますし、私は正式な機関を通して調査をした上、委員会で御報告を申し上げるというのでありますので、きょうのところは答弁を延期をさせていただきます。
  70. 森本小委員(森本靖)

    ○森本小委員 大臣が事務当局を非常にかばうというのはまことにけっこうなことでありまして、その点は私も大臣としては当然だろうと思いますが、ただ今言った事務的な問題は、これは調査をしなくても今直ちに回答ができる問題であります。これは郵政省業務上の問題についてのことを聞いておるわけでありますので、そのことがどうとかこうとかいうことでなしに、郵政省における集配特定局長の任務、無集配特定局長の業務内容ということを聞いておるのであって、これは今直ちに回答ができる問題でありますけれども、特に大臣がそう言われますので、本日は私はこの問題に深入りをいたしませんけれども、よく慎重に調査をして、次の委員会には回答ができるようにお願いしたい、かように考えます。
  71. 松前小委員長代理(松前重義)

    松前委員長代理 委員長席から質問しては悪いのでありますが、一言、電話加入権の担保の問題につきまして、この次の委員会においては正確な御答弁を願いたいと思います。これはいろいろ新聞記事等もありまして、税務署員がどうのこうのと出ております。この委員会でも前から懸案にしておりますから、この点は郵政省内でおまとめいただきたいと思います。中小企業に非常に重要な問題でありますから、お願いいたします。
  72. 田中国務大臣(田中角榮)

    田中国務大臣 わかりました。
  73. 松前小委員長代理(松前重義)

    松前委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて本委員会を散会いたします。    午後零時五十七分散会