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田中国務大臣 時期の問題を明示をしたわけではないのです。新聞社がそういうふうにおとりになったのでしょう。皆さんもよく新聞社の方々と会われたときはそうなるのでありまして、大体地方局の報告はできる
状態だ、一体いつできるのだ、八月二十日と九月の十日だ、それならば九月二十日ごろからは免許はやれますな、まあそういうことになるかなということが九月一ぱいにはほぼ完了の見込み、こういうふうに表現されるわけであります。しかしより高い
立場から、政治的にそういう期日等を明示されやすいような行為はうまくないではないかといえば、一考いたしてみましょう。
内示の問題はこういうことなんです。今の免許は
電波法によって免許を与えるわけでありますが、この
電波法には
電波を与えなければならないと書いてあるのです。これは与えることができるではなく、公けの波は申請があったときは当然与えなければならないというふうに、非常に強い規定がございます。申請者の長いのは二年にも及んでおるわけですから、
電波法の
精神通り当局は免許を与えておらぬじゃないか、ぐずぐず引っぱっておると要らない競願者が干渉して、ますます混乱紛糾に導いておるのは、当局の
責任ではないかというようなことがあるわけであります。だからもちろん一年も一年半もして競願者のないような場合、ずるずると延ばすことによって競願者を作るようなことは、
行政上好ましいことではないと私も
考えておるわけであります。その内示という問題は、
電波法によって与えなければならない。免許申請者はいわゆる周波数とか運用許容時間とか、
放送事項等を申請書に明記をしなければならない、そうしてその申請者が適格者である場合には、
郵政大臣はその事項を免許状にまた新たに明記をして免許をしなければならない、こういうふうになっております。その免許の前には慎重を期するために予備免許を交付する。予備免許は普通の
法律による免許であります。ただそれにはいろいろな条件がついておりますから、
技術的にも、またいろいろな問題に対して免許条件が満たされて、
放送塔も作られ、また送信設備もでき、人員も
機構も資本構成も完全にできたときに自動的に免許が行われる。これはもう免許状の交付という儀式をやるだけだというのが
電波法の規定であります。今までは、七月の七日か八日に与えられた免許は、直ちにこの
法律通りに予備免許を与えております。予備免許を与えることを
法律は要求しておるのでありますから、
法律通りにやればいいのですが、
行政処置は
法律の規定を順奉せしむるために、また
法律命令の規定を明らかに具現させるためには、適宜予備的な
行政措置をとることもあり得るのであります。これは外貨の割当でも、農林省や通産省関係では慎重を期するために、開設条件をつけた内示を行なっております。この外貨の使用に対してはこのような条件を付して、これが満たされたときにこれを使用してよろしいのだ、こういうことになっておるわけであります。その条件が満たされない場合には、外貨の割当を行わないというような、
行政的に非常に慎重な態度をとっているわけであります。そうでないと、
法律的にぽうんと与えますと、混乱があるのです。これは今までの免許の中にもその例がないとは言えないのであります。予備免許を与えてしまったが、さて
会社が創立できないというのがあるのです。これはその二者択一で、十社のうち一社だけ選んで九社を却下するということも
方針でありますし、私も二者択一論を明らかにしておるのでありますが、どうしてもある場合には既存のものにプラス・アルファという、いわゆる窓口を広くすることとか、新しく二つか三つのものが寄り集まることによって、マス・コミの独占を排除できるというようなこともありますので、実際の
行政手段としては、
内容をこうした方がよろしいというような指示もあり、また申請者同士の話し合いも行われておるわけであります。これが予備免許を与えられますと、わしがもらったので、入りたくなかったら入らぬでいいと、われわれ当局が
考えることと全く別な
状態が起きることもあり得るのであります。その場合免許を取り消させるかどうかといったら、これは取り消さないという見解をとっておるわけであります。予備免許でありますので、予備免許を与えるときに厳重な条件書をつけて、その条件が守られなかった場合は、当然免許を取り消してもよろしいのだという見解を私はとっておりますが、これは少し乱暴だという議論も世の一部にあるようでありますので、まあ
行政的には
法律の解釈をやることによって独断的行為が行われないように万全を期すために、いわゆる予備免許と同じように、
法律の命ずるところによって、予備免許を前提とする内示を
電波監理審議会に諮問をしております。
電波監理審議会では、予備免許として答申に応ずるわけであります。そうしますと、私たちは直ちに予備免許を与えるべきでありますが、予備免許の前提として行う内示としては、予備免許の条件はこういうものである。この条件が満たされた場合には、十日でも五日でも私の方はけっこうでありますから、予備免許を与えます。ごたごたする場合には、三十日、四十五日、六十日という場合もあり得ると思うのです。三カ月ぐらいたってまとまらない場合には予備免許を与えないという
方針をとれば、今よりもより慎重であり、より合理的に
行政が行われるという
意味で、予備免許の内示を行うというのでありますので、今までやっておりました予備免許の前提として内示期間を設けるということであります。