○金子
参考人 近来新聞その他で御
承知の
通りに、
電波の問題が
国民の関心を非常に集めておる際でございまして、私ども一般
放送事業者の
放送事業に関する
意見をいろいろお聞き下さることは、まことによい
機会であると存じ、厚くお礼を申し上げる次第でございます。私はこれから
日本民間放送連盟の
理事として
意見を申し上げるわけでございますが、
NHKさんと違いまして、
民間放送連盟と申しますのは会員四十一社が集まって作っておる団体でございます。従って私の申し上げることの中に、会員全部が納得しておるものばかりとも言いがたいものがあるかもわかりませんが、それは私個人の責任において申し上げたこととして御了察をお願い申し上げたいと存じます。先般私ども拝見さしていただきました
テレビジョンの
チャンネル・
プランは、大体におきまして私どもがかねて希望しておりましたような
割当案でございまして、
当局の御苦心につきましては敬意を表する次第でございます。またそれに付随いたしまして、一部修正されました基本
方針につきまして、われわれの
意見も先般
電波審議会の懇議会におきまして連盟
会長の足立さんから申し述べられたのでありますが、かような点につきまして、ここで貴重な時間をさいていただいて同じことを繰り返しますことはどうかと存じますので、もし必要でございましたならばあとで資料として提出することにして、本日は省かしていただきたいと存じます。ただこの
チャンネル・
プランも、全面的にこれがわれわれにとって都合のよいものばかりとも言いがたいのでございます。
全国あまねく
テレビジョン放送が行き渡るためには、
NHKの優先的な配慮が相当強く現われており、六年間の民放業者といたしましていささか不満を感じないわけにいかないのでございます。その基本
方針中の特定勢力の排除ということにつきましては、私どもも深く考えるわけでございますが、そういった点につきましては、またあとで御質問がございましたら
意見を述べさしていただきたいと思います。しかし大体におきまして
チャンネル・
プランの
割当なるものは、大へんけっこうなものでございます。どうかこれに基きまして一日も早く
チャンネル・
プランを御決定になり、全
国民がほんとうに待ちこがれております免許を一日も早くお与え下さいますよう、切に御
当局にお願いいたしたいと考えているわけでございます。この免許につきまして、
日本民間放送連盟といたしましては、六カ年一般
放送事業者として
ラジオをやっているものを優先的に御
審議願いたいと先般来強く
要望しており、また
ラジオと
テレビの兼営をやることが最も望ましいということをいろいろな材料から申し上げていわるけでありますが、この点につきまして少しばかり時間をいただいて申し述べさしていただきたいと考えるわけであります。
その前に申し上げておきますが、
日本民間放送連盟の会員は、大体におきましてその地域
社会を代表するものでございます。われわれ一般
事業者というものは、特定の株式会社でございますけれども、この株式会社はとにかくその地域
社会をあらゆる層において代表しておるもので、一株式会社の
利益のためでなく、ある意味におきましてその地域
社会を代表してお願い申し上げているのであります。われわれは特定の勢力あるいは大きな財力、あるいは他の専門の業を持っておる方が、かたわらの
事業あるいはその本業をより多角的に経営する意図において、
公共の
福祉に奉仕しなければならない
放送事業をやろうとされることを一番おそれているのであります。われわれはその地域
社会のあらゆる方々を糾合して、大体行政区画に従って生まれているものでありますから、さような意味において
ラジオ、
テレビの兼営業者にこの
割当の優先的な配慮を願っているわけで、決してでき上っております株式会社の
利益のためにのみお願いしておるのではなくて、その背後には、そういうような大きな地域
社会の構成があるということをお考え願いたいと思うわけであります。
その兼営の理由でありますが、るると申しますと時間も大へんかかりますので、きわめて抽象的に申し上げさせていただきますが、要するに
テレビジョンというものは、もちろん
ラジオとは違うものでありますけれども、これは大体
電波という同じ根から育ったところの同種のマス・
メディアである。従って
放送というものから見まするならばこれは一体のものである。この
考え方をもとといたしまして、われわれは何度も申し上げておりますように、
民間放送事業者に
テレビの周波数の優先的な
割当をお願いしておるというわけでございます。その理由は、
テレビジョンは今申しました
通り、
ラジオが
発達した必然的な形態でございます。従ってわれわれは当初から、
ラジオをいたしました六年前から、どうせわれわれは
テレビジョンをやるべきだということを予想していろいろ考えておったということもその理由であります。またわれわれのその後の約六年間にわたります経験、及び
放送事業というものが、先ほど千葉先生からお話がありましたように、
公共の
福祉に適合する
事業であるということにつきまして、いろいろ実際は悩みその他を持っておるわけでございますけれども、その
放送の
公共性についての認識とその実際的な経験を私どもは持っておるがゆえに、これが
テレビジョンをやるということが最もふさわしいのではないかというふうに考えておるわけでございます。つまりこういう意味においてわれわれは経営者として適格性を持っているのではないか。また兼営によって企業が合理的に経営されるのでございます。これは
ラジオ東京においても、先般郵政省その他に出されました兼営の実際的なレポートがございますが、これをお読み下されば、よくその実際的なレポートとして御
参考になるかと存ずる次第でありますが、合理的な経営がなされまして、それはひいては結局一般の
聴視者の
利益になっておるのでございます。また
大都市において複数の
テレビ局がこの
チャンネル・
プランによってもしできるといたしますならば、いろいろできるわけでございますけれども、そのような場合においても、各局がそれぞれ特色のある
番組を
編成して、
聴視者各層の
要望にこたえる強い決意を持っておるのみならず、
日本民間放送連盟といたしましても、総力をあげてこの限られた
チャンネルを最も効率的に活用したいという考えを持っておるわけでございます。また資金の効率的な運用という意味におきましても、
日本の経済の実情からかんがみまして、兼営が最も経済的な
やり方ではないかというふうにわれわれは信じております。さらに一般
放送会社は、
テレビ兼営なくしてはその存立を危うくするようなおそれもあるのでございまして、これはあとでもし御質問でもございましたならば、
ラジオ会社が
テレビを持たない場合にはどういうようなことになるであろうかというようなことについては、また申し上げるだけの資料を持って参りましたのでお答え申し上げたいと思います。要するに
民間放送というものは、六年前に
当局の御英断によって
日本に生まれたわけでありますが、その
放送の性格の一貫性を固持して、有終の美をなしていただくことは、民放がその線に健全に正しく育つということでございまして、こういったような点におきまして、われわれの
ラジオ及び
テレビの兼営ということが、いかにわれわれの会社の運命を支配するのみならず、ひいてはそのうしろにある地域
社会及び一般
聴視者の
利益につながっておるかということを十分お考えを願いまして、そして
ラジオ、
テレビ兼営のわれわれの悲願をお認め願いたいものと存じておるわけでございます。
さて、その兼営をお願い申し上げておりますところのわれわれ一般
放送事業者の問題といたしまして、最近の
審議会において
教育放送の問題がクローズ・アップされて参ったような次第であります。私どもはこの点について非常な関心を持たざるを得ないわけでございます。結論から先に申し上げますならば、
教育放送のようなものは、今直ちに
全国に
教育放送局を作ることは、
電波の不足しておる今日においては時期尚早であるけれども、
教育放送の
番組を
NHKさんとわれわれ一般
放送業者とを問わず、これを作り上げることについては全面的に賛成である。そういう点でわれわれはこの
教育放送の問題について、一昨日来各
方面に
意見左申し上げておるようなわけでございますので、その点をここで申し上げさせていただきます。このたび
当局の策定された
テレビジョン放送用周波数
割当の基本
方針におきまして、総合的
番組の
放送のほかに、もっぱら
教育的効果を
目的とする
番組の
放送局を設置する
構想を明らかにされましたが、その趣旨は、
テレビジョンに
教育的効果を期待し、今後
教育番組の
充実をはかるものであると考えられ、まことに時宜を得た
方針として、われわれのひとしく賛意を表するところでございます。その基本
方針につきまして、先般の
電波監理審議会におかれましては、
審議の重点を
教育放送に向けられまして、これをめぐっていろいろの慎重な御研究が行われておるようでございますが、われわれはこの
教育放送に関する基本
方針につきましては、今申し上げました
通り非常に関心を持っておりますがゆえに、この際われわれの総意をここで申し上げてみたい、こう考えて
意見書を提出したようなわけであります。すなわち、
当局が基本
方針において意図せられますところの
教育放送を今後大いに
実施する必要性については、全く同感である。各
民間放送局においても
放送の
公共性に関するきびしい反省と、
教育放送の重要性に関する深い認識のもとに、今後一そう
教養番組の
充実、
拡充に率先して努力をするかたい決意を持っております。また、この方法におきまして、
チャンネルの不足しておる現在におきまして、最も実現可能であり、かつまた効果的な具体的な
方針といたしましては、
民間放送各社が自局においてそれぞれの地域に適合する
教育、
教養番組をあとう限り多く
編成、製作して、総合
番組の重要な一部として
放送することである。また
東京においては、やや周波数の余裕もあるやに見受けられますので、その
チャンネルの一部をもって民営の
教育テレビ局を一局設置して、専門局としての
機能を十分発揮せしめることがよいのではないかと思います。この
東京に
民間の
教育放送局を一局作ることは、
番組編成に必要であるところの人的、物的諸条件に
東京は恵まれておるのでございまして、よい
番組を作ることができるのでございます。またそういう特殊の
教育放送局の経営を可能とするところの経済的、
社会的諸条件が整っておるのもまず
東京でございますので、そのような意味において、
東京に民営の
教育放送局が一局できることは、われわれ地方のものにとりましては非常に都合がよろしいのみならず、この会社がりっぱにやっていけるのではないかという考えを持っております。と申しますのは、地方の
民間放送各社では、この
教育放送に協力をいたしまして、これを一種の
番組製作
機関としてその
役割を果させることにいたしますならば、ここにおいて相当の収入を得ることもできるし、また地方各社は
教育番組を
充実する意味において、その
目的を達成することができる、このように考えておるわけでございます。このような方法におきまして、
当局の意図せられましたところの諸種の
目的も十分に達せられるとともに、
国民の期待にこたえるものと考えておるのであります。従って各地の特殊
事情、また
教育番組製作上の不便等にかんがみましても、
東京以外の地域に
テレビ教育専門局を設置する必要はないのではないかと考えております。将来の恒久的な方策につきましては、こういう
方面のわれわれが今申しましたような効果的な運営をはかりながら、今後の実績を
検討いたしまして、将来はいずれUHF
実施可能の時期もございましょうから、これによりまして
全国に拡張することが、慎重にしてかつ最善の措置であるというふうに申したわけであります。
日本放送協会におかれましては、ただいま
小松さんからるる御説明がございましたように、その存立形態と本来の使命にかんがみまして、
教育放送には特に重点を置かれるようでございますので、これを現在の
放送の中で早急かつ大幅に
実施されますならば、そしてそれを
全国中継されますならば、現在朝のうちあるいは午後はあいておるわけでございますが、こういうあき時間をフルにお使いになりますならば、これによってまた大いに
教育効果というものは上るのではないか、このように考えられるのでございます。もしこの際民営というものは非常に危ないというようなお考えがありまして、ここにNKKでもなくかつまた民営でもないような組織による
教育放送局というものをお考えになりますならば、これは相当の資金を要することになるわけでございまして、そういったようなものは結局国家がこれを負担しなければならぬというようなことになるのではないかと思うのであります。現在の
日本の
教育の実情から見ますならば、さような貴重な
予算というものはもっともっと急を要するところの二部
教育の廃止であるとか、教科書の無料配付であるというような面に使うべきでございまして、こういったような第三の組織を持つということは、そういう金を集めることもまことに困難でありましょうし、
政府が補助されるならば、今申しましたようなことに
教育にはもっと優先すべき問題もございますし、私は適当ではないのではないか、このように考えております。要するに
教育放送の面におきましては
NHKとわれわれ一般
放送事業者とが相協力をいたしまして、おのおのその使命とするところの
分野を明確にしながら、両々相待って
番組内容をよくするということによって、
教育効果というものは発揮できるのじゃないか、このように存じておるような次第であります。
さらにFMの問題でございますが、これはすでに
民間放送からもたくさんの申請を出しておるわけでございますが、その理由といたしますところは、ただいま申し上げましたことにも関連をいたしておりますが、私どもはやはり
公共の
福祉というものの絶対条件のワクの中におきまして、商業主義に立脚せざるを得ないのでございます。また健全にして正しい商業主義というものは、
日本の経済及び
文化の
発展に寄与するところまことに大きいと思うのであります。
広告を出す、
広告というものは一面の弊害があるかもしれませんけれども、
広告そのものが
広告を出す者と同時に、見る人に対していかに大きな
利益、知識というものを啓発しているか、はかり知れないものがあるのでございます。従いましてわれわれは正しい商業主義、健全な商業主義の上に立脚しながら、しかも
公共の
福祉を増進するという大きなワクの中において日夜努力しておるわけでございますが、この点につきましては実際上の問題といたしまして、いろいろと困難な問題がわれわれにあるのでございます。過去六年間におけるところの私どもの苦労というものは、この
公共の
福祉と健全なる商業主義というものをいかに調整し、いかに克服するかということが、われわれの努力の結晶であったと申しても差しつかえがないのでありますが、しかしもし
FM放送というものをすぐ
当局において基本
方針をお示し下さいまして、おやりになるというようになりますならば、ぜひともこれを許していただきまして、私どもは
NHKのような第二
放送を持っておりません。従いましてこのFMによりまして、これは申請書の中にもそのことが各局ともうたって為るようでございますが、FMによりまして
社会教養の面に非常に意を用いて、そうして足らざるところを補っていきたい。そしてFMによって要るいろいろの費用は、中波の
放送事業を正しく伸ばすことによりまして、この費用をカバーしていく、このように考えまして
FM放送のすみやかな実現を希望するわけであります。また今申しましたこの
教育放送問題等もFM――これは見ることはできないかもわかりませんけれども、FMをもっと有効に使いますことによりまして、現在の周波数の下足しておる
テレビジョンによらずとも、
教育効果を上げる方法というものはいろいろあるのではないかと思うのでございます。受像機の少い現在の段階において、いわゆる
教育放送を
実施するとすれば、まずFMこそその最も適当な方法ではないか、このように考えておるわけであります。
次に
カラー・
テレビジョンの問題でございますが、これは
NHKさんにおいてはすでに
実験放送をやっておりますが、
商業放送、一般
放送事業者といたしましてスポンサーを相手に持っておる状態のものといたしましては、
カラーこそわれわれの最も望むところの形でございます。色がつきますことによりまして、
広告媒体の価値は数段と飛躍するのでありますから、私どもは万難を排して
カラーの基本
方針が示されましたならば、
カラーに移って参りたいと考えておるようなわけでありますので、できる限りすみやかに
カラーに対するところの基本
方針を、
当局においてもお示し下さることを私どもは申しておるような次第であります。
いろいろ多岐にわたりまして申し上げましたが、後ほどまた御質問によりましてお答え申し上げたいと存ずるわけでございますが、要するにわれわれといたしましては
教育放送の
番組というものにつきましては、現在のわれわれは一生懸命努力をし、かつまた
NHKさんにもその
番組をうんと盛ってもらえば、現段階においては一応これで満足といえるのではないだろうか。ただしこのためには人的かつ物的に恵まれておるところの
東京にやや周波数の余裕があるやに見えるので、ここにおいて専門的な
教育番組の製作をするところの民営のものが生まれる。その民営のものはできるならば先ほど由しましたように
ラジオと
テレビの兼営局にするということが最も望ましいのではないか。と申しまする理由は、先ほどるる申しました
通りでございますが、ことに
教育テレビ局のごときは先ほども御指摘になりましたように、そうたくさんのスポンサーがっくとも考えられない面がございますので、兼営局でございますならば、その間の経営の合理的な方法によりまして、困難なる
教育放送局の採算が可能であるのではないかと思いますのがその理由の
一つでございます。かような意味で何とぞ今度の
チャンネル・
プランはなるべく早く御決定下さいまして、一日も早く現在非常な関心を持っておりますところの免許を早くいただきますようにお願いを申し上げたい、このように思うわけでございます。これが長引きますことは、いろいろな意味におきまして
利益よりも弊害の方が多いのではないかと思いますので、何とぞできる限り御
当局におかれても
割当を早く済ませていただきたい、かように切望する次第であります。