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松井政府委員 御
指摘のごとく、郵便物というものを信頼して出された場合に、それがなくなるあるいは棄損されるというようなことで損害を受けられるということは、これはまことに申しわけないことでございますので、郵便の信用上もそうしたことは極力なくしなければならぬ、かように
考えておりますが、御承知のように何さま郵便物というのは、非常に多数の膨大なものを取り扱っておりますので、その間におけるそうした事故というものが絶対になくなるということは、世界じゅうどの郵政庁といえ
どもこれは不可能だとまで言えるくらいだろうと思います。ただその事故率というのは、私
どもあらゆる
方法をとりまして、極力これは少くしておりますが、そういった
関係でなくなるものを絶無にするということはできない。そこでしからばなくなった場合にどうするかという場合には、二つの
考え方があろうと思います。
一つは、なくなった場合に無
条件に全額賠償していくというのも
一つの行き方だろうと思います。しかしそういう行き方をしますと、必然的に郵便物のコストというものを高くしていかなければならぬ。そこで結局なくならぬ人たちにも
一般的にそれだけのものを料金的にかぶっていただくという行き方が
一つと、そうではなくて、郵便物が取り扱われているうちで、パーセンテージで言いますと九割までのものはそうした有価物でない、ごくわずかの一割のものだというふうになりますれば、その一割の方に特になくなった場合の賠償を確保するという
意味合いの保険料的なものを負担していただく。やり方としてはこの二つしかない。今日世界各国の郵便制度はどのような行き方をとっているかということを申し上げれば、全額無
条件に賠償しているという行き方をとっている郵政庁は、私の知っている限りありません。やはりごく一部の人が高いものを送る以上は、その人に
一般料金よりも若干高いものを保険料として納めていただいて、そのかわり万一なくなったときにはこれを賠償するというのがいいのではないかというので、私
どもの現在の郵便制度はそういうやり方をとっているわけであります。
それから内容の確認の問題でございますが、これは非常に事務的な潔癖感から申し上げれば、五万円とおっしゃったが果して五万円あるかないかということを窓口でもって確認をして、そうして取り扱うというのも
一つの行き方だろうと思います。ただこういう場合には、いろいろと信書の内容をどうするかというような問題とからみやすい問題が
一つあります。それから利用者の
方々にとっては、多くの場合、そういう現金その他をお送りになる場合においても、手紙その他もどうせ封入されますから、そういうときに封もせずに内容を
郵便局で確認するということは、やはり利用者の側としてどうもいい感じは持てないという点、それから私
どもこれは多数のものを取り扱っておりますのと、利用者の
方々のうちの九九%までは私
ども信頼して、善意にやっていると確信しております。一々内容を見なくても、自分が一万円しか入れてないのに三万円入っているというようなことを言って意識的に犯罪をなさろうという方は、これは絶無ではないかもしれませんが、きわめて例外で、その例外の方をおそれるがために善意の九十九人の
方々に御迷惑をかけるということは、多数を取り扱っている郵便
事業としてはとるべきじゃないというふうに私
ども割り切っているわけであります。