運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-02-27 第26回国会 衆議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月二十七日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 松井 政吉君    理事 小泉 純也君 理事 竹内 俊吉君   理事 橋本登美三郎君 理事 廣瀬 正雄君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 森本  靖君       上林山榮吉君    齋藤 憲三君       椎熊 三郎君    濱地 文平君       粟山  博君    佐々木更三君       志村 茂治君    杉山元治郎君       原   茂君  出席政府委員         郵政政務次官  伊東 岩男君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      成松  馨君         郵政事務官         (経理局長)  八藤 東禧君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     大塚  茂君         郵政事務官         (大臣官房資材         部長)     荒巻伊勢雄君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         日本電信電話公         社理事     米沢  滋君         (施設局長)         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 二月二十六日  串間市内の無電話部落公衆電話設置請願  (伊東岩男紹介)(第一三九三号)  串間市に電報電話局設置等に関する請願伊東  岩男紹介)(第一三九四号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵政事業に関する件  郵政監察に関する件  電気通信に関する件  電波監理及び放送に関する件     —————————————
  2. 松井政吉

    松井委員長 これより会議を開きます。  郵政事業に関する件、郵政監察に関する件、電気通信に関する件、電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。  去る十二日本委員会において郵政省所管事項及び日本電信電話公社事業概況について郵政大臣及び公社当局よりそれぞれ説明を聴取いたしましたが、本件について発言の申し出がありますのでこれを許します。橋本登美三郎君。
  3. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 郵政事業に関して二、三質問したいと思います。一つ予算問題に直接関係はしておりませんが、数年前に郵政省内部でも問題になったことであります。郵政事業公企業体として経営するという問題についての論議があったようであります。私もかねてからこの問題については深い関心と興味を持っておるのですが、その後この問題に関する何らかの部分的な協議でもあったかどうか、お尋ね申し上げます。
  4. 伊東岩男

    伊東政府委員 御意見の点についてはまだ省においては研究いたしておりませんので、今後そういったようなことが研究され、また検討されなければならぬことと思っております。
  5. 上林山榮吉

    上林委員 議事進行について。ただいま橋本委員から郵政当局に根本的な問題について御質疑があるようでございますが、ちょっとお伺いいたしたいのは、その他の重要案件もあるので、できるだけ大臣も御出席になる必要があるかと思うのですが、聞くところによると御病気であるということでありますが、いつごろになったら大体全快される見通しであるか、その点を公式に一応伺っておきたい、こう考えます。
  6. 伊東岩男

    伊東政府委員 最初この問題については御了解を得るつもりでございましたが、お話のように郵政大臣ただいま病気でございます。しかし、非常に快方に向っておりまするので、大体来週は出席するものと思います。久しく大臣病気だし、また政務次官もふなれでございますので満足なお答えはできませんが、ことに根本方針については大臣出席の上で御答弁申し上げることと思います。その他の件については堪能なる局部長がおりますので、十分誠意をもって答弁させるつもりでございます。
  7. 上林山榮吉

    上林委員 来週大臣が大体出てこられるという見通しであれば、それはそれとして承知をいたしますが、私は政務次官前歴がある者として申し上げることは、これは遠慮した方がいいようにも思いますけれども、いい意味において一言申し上げたい。大臣が御病気の場合は、政務次官がよく御相談になってから当委員会に出てこられて、根本的な問題についてはできるだけ政務次官お答えになる方が、国会運営上もいいのじゃないかと思います。これは決して悪意で申し上げるわけではありませんが、そういう意味で善処下さることを望みたいと思います。こまかい事務的なことは事務当局が御答弁になることもけっこうですが、打ち合せも十分にされるのが適正であると考えます。この点もあわせて申し上げておきたいと思います。
  8. 椎熊三郎

    椎熊委員 関連して。政務次官は非常に練達堪能先輩ではありますけれども、最近御就任になったばかりであるし、また逓信事業関係のことは非常に広範にわたっておるのですから、一週間や十日ではなかなかのみ込めないのではないか。今これから質疑しようという問題は、郵政行政の基本的な問題に関連しておることでもあるし、そういうことをこの委員会でお伺いするに際して、不幸にして大臣は御病気、あなたは就任したばかりである。だから委員長とわれわれの間でよく相談でもして、来週から出られるものなら今週は一つ待ってもらいたい。そうでなければせめて郵政省首脳部は全部顔をそろえるべきなのに、少数の方々しか見えていない。全部が顔をそろえて、われわれは多年にわたって郵政行政をやっておるのだから、大臣がおらなくても基本的なことは何なりとお答えできるというようにしてから委員会を開いてもらわなければ、きのうきょう就任の人を相手では、橋本君が今聞こうとしておるような大きな問題についての満足な審議はなかなかできないのです。ですから、そういう場合はわれわれとの交渉の上で今週は休んで——会期は五月十八日まであるのです。どんな法案を出してくるかわからぬけれども、そう急ぐことはないと思います。委員会を軽視したような形に見えない方がよろしいと思います。今上林山君は、政務次官前歴があるにもかかわらずあえてこれを言うと言われましたが、私は前歴などを言っているのではない。私も古くは政務次官をやったこともあるのですが、とうてい一週間や二週間では、こういう練達の士の追及に政務次官が答えられるわけはないのです。いわんや大臣病気の際に、あなたが一人出てきて、さあ来いと言っても無理なんです。ですからきょうはこのまま休憩か散会をして、来週からやってもらったらいいと思います。
  9. 伊東岩男

    伊東政府委員 両委員の御注意、御忠告まことにありがたく存じます。お話のように、根本問題は郵政大臣みずから登院の上で答えるべきものでございますが、私は率直に申し上げますと、日本の議会の委員会運営はどうもおかしなものだと思っております。今お話のように、大臣が出られなければ根本方針お答えはできません。それを無理に政務次官に答えさせようといっても、今御忠告通りでございますので、そういうところに無理がある。かりにふなれの政務次官が借りものの答えをしても、これは権威がございません。椎熊委員から、打ち合せてからというお話でございますけれども、やはり部課長堪能の士でございますので、それから大体お答えして、御承諾のできぬところは大臣で答える、この程度委員会を進めてもらう方がいいのじゃありませんか。私もできるだけ誠心誠意お答えを申し上げます。
  10. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今同僚両委員が心配しての御質問、かつまた御注意のようであります。私は社会党に所属しているのではありませんから、政府をとっちめるために聞いているのではないので、両先輩とも御心配ないように。ただこういう問題は将来与野党を通じて論議せられると思いますから一応申し上げているのであって、今ここで伊東政務次官を最後まで追及し、あるいは政府根本方針の白黒を明らかにする、そういう建前質問しているのではないのであります。なぜこういうことを質問するかというと、現在審議されている予算においても、たとえば局舎改築につきまして本年度二十三億の金が出ております。これらは簡保からの借入金をもって行なっているのであります。あるいはまた簡保事業性格から考えて、民間生命保険とはもちろん目的が違って一応限界があるようでありますけれども、必ずしも本質的な限界はないではなかろうか。たとえば民間保険におきましても、必ずしも高額保険のみとるというのではなく、広く保険契約を求め番という建前でありますから、簡保事業としても、低額保険者だけを求めず、ある程度高額保険を求めなくてはならぬ実情になってきている。今政府では最高金額を引き上げていきたい、こういうような考え方のもとに、いわゆる簡保事業独立採算性ということを基本的に考えて立案されているようでありますが、将来簡保最高金額をきめる場合、どこに目安を置いて民間生命保険とのつり合いをとっていくか、こういう問題が一つあろうと思います。従来は、一応国会において最高金額をきめて、その範囲内において保険契約を行う、こういう建前になっておりましたが、世の中の経済情勢変動は必ずしも一年一回とは限らない。あるいは年に二回も三回も変動のある場合がある。かつてのインフレ時代はそうであった。そういうことから考えると、一応民間生命保険及び簡易保険との二本立の建前が必要であったにしても、その間において何か民保契約高の平均というものにスライドする方法考えるとか、そういうような自動的なある程度考え方が必要ではなかろうか。そういう点からいうと、今のように一般会計一つとして行われておる郵政事業というものがそこに一つの不便がありはしないか、こういろ点も考えられる。  あるいはまた従業員給与ースの問題ですが、これなども普通の国家公務員とは性格を異にしている。三公社現業といっておりますが、しかもその五現業のうちの郵政事業というものは、その人数から考えても、その仕事性質から考えても、いわゆる国家公務員としての給与ースで縛るべき性質のものではないように思う。こういうようなこと。  それから第三には、最近における日本郵政事業というものが、なるほど国家会計上からいえば、それが赤字になった場合においては一般会計から繰り入れる、こういうような考え方のもとにできております。しかしながら過去数年間の情勢考えると、一般会計から赤字を繰り入れるということは実際上はできておらない、またできない。従って郵政事業における赤字が出た場合においては、切手あるいははがき、いわゆる郵政事業の収入の増加によってこれを補ってきておる。こういう工合に、形式上においては郵政事業自体赤字になった場合は、これを一般会計から補てんをすることによって独立採算制を補っていくという建前ではありまするが、実質的には一般会計からの補てんというものは行われておらないし、また一般会計から郵政事業における赤字を埋めるような国家財政ではないのであります。従って実質的には名実ともにこれは独立採算制である。こういうような予算上の措置から考えても、この一般会計のもとにおいての郵政事業というものはもう一つ考える余地がありはしないか。  第四点には、郵政事業国家事業として行われておる大きな理由は、個人通信機密を保持するという建前から、国家事業としてこれを行なってきておる。しかし最近の電信電話事業から考えても——これも一種通信ですが、これらは今日においては公社組織になってきておる。かつまたその他の封書の場合におきましても、原則はもちろん秘密は保たれておるわけではありまするけれども、これをしも現在の近代科学からするならば、必ずしも厳密に機密が保たれておるとはいえない。であるからそういうようないろいろな点から考えて、一般会計による国家事業としてやっていくか、あるいは準国家事業としてやっていくか、こういう問題についてはいろいろ議論があるだろうと思う。こういうような諸点から政府としても従来研究をせられておるか、あるいは今後研究をせられるお考えがあるかどうか、こういう点をお聞きいたしたいのであります。
  11. 伊東岩男

    伊東政府委員 ただいま橋本委員からの御質問はまことに重要な点のみでございまして、ことに郵政予算中心にして、今後郵政業務振興方針をどういう工合に推進するかというような点に触れて、ごもっともの御質問だと考えております。今お話の中で、簡保事業のごときは郵政行政の中の大きな仕事でございまして、だいぶ省内においても、簡易保険金額限度引き上げ法律改正を提出したいという意味で、いろいろ話も進んで、まとまりつつございます。これについてはむろん委員会等意見もしんしゃくし、あるいは一般情勢にマッチするようにしていかなければならないと考えております。その他の問題についてもそれぞれ研究中でございまして、法律として提案すべきものもございますれば、あるいは予算として新しく出ているものもございまするし、今後委員会の推移に伴って大臣あるいはその他の者からそれぞれお答えする機会があろうかと存じます。
  12. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 この問題は、先ほど申し上げましたように、一応問題点を提起するにとどめて、これ以上の質問機会をあらためて申し上げたいと思いますので、以上私の質問の要点について御研究を願いたいと思います。  それから予算関連してですが、本年度予算において二十三億の局舎改築費が出されております。その内容ですが、最近特定局改築が相当に、金額的にも伸びつつあるようでありますが、特定局普通局への昇格、すなわち建築ばかりではありませんけれども建築が直営になれば、それが一つの段階であろうと思いますが、いわゆる特定局普通局昇格基準といいますか、予算関係もありますが、そういう問題に対する郵政当局の今後の見通し並びに建築費増額の中で特定局分野にどれくらいの金額がさかれることになっておるか。  第三には、最近地方で、これは津でも行われておることでありますが、一種民間の有力なる堅実な団体と共同建築形式をとっております。これは郵便局が町の中心地に置かれる必要がある関係上、そうした共同建築によって町の繁栄にも協力する、そういう建前では、私個人見解は、そうした合同建築には心から賛成であります。これは現実には津の郵便局がやっておるようでありますが、これらの方針について御説明を願いたい。
  13. 伊東岩男

    伊東政府委員 特定郵便局普通郵便局昇格する、あるいはこれに伴っての局舎改築促進等でございますが、これは今までの議事録を見ますると、そういったような問題が相当論議されておるようでございます。そこで昇格させる条件等についてもただいま研究中でございますが、無集配局特定郵便局にするとか、あるいは簡易局との問題等もございまするので、すべてこれらの関連を一まとめにいたしまして、省内特定郵便局制度に関する調査会みたいなものを作ろうという大体の内輪の話ができておるのでございます。むろんこういうような問題は、委員会意見中心にして、なお一般意見も取り上げてきめるべきものだ、こういう見地から、今考えておることはまだ発表いたしませんけれども特定郵便局制度調査会というものをこしらえる予定でございます。それによって大体具体的の問題を研究推進したい、こう考えております。
  14. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 最初の一、二点は大体それでよろしいと思うのですが、第三番目の合同局舎の問題です。たとえば津でもって津交通ですか、そこと共同して大きなビルディングを建てて、一応の美観を添え、かつまた繁栄を来たしておる。ああいうような考え方は、すでに一つ実行したのでありますから、政府としての基本的な方針はその原則には賛成建前で行われておると思います。私個人もあの方針については賛成でありますが、これは単なる特例として行われたのか、あるいはその都市においてそういう必要がある場合には合同局舎といいますか、そういうものもあえて特別の事情であればこれを推進していく、こういう考えであるか、これを伺いたい。
  15. 伊東岩男

    伊東政府委員 ただいまの御意見については私しごく賛成でございますが、詳しいことについては担任局長から御答弁申し上げます。
  16. 大塚茂

    大塚説明員 政務次官の御答弁を補足いたしますが、特定局普通局への改訂につきましては、特定局ですでに分課のあるもののうち、必要と認むるものについては普通局改訂をしていきたいというふうな考えを持っております。それから建設計画の中で合同局舎の問題でございますが、条件がわれわれの方で考えるようなよい条件のものであるならば、合同庁舎といいますか、そういう建物を作っていきたいというふうに考えております。
  17. 森本靖

    森本委員 今人事部長が補足したので、大体それでもいいように聞きますが、ただ政務次官とちょっと食い違ったように見えると因るので繰り返しておきますが、政務次官がこの特定局の問題についていおゆる制度審議会というようなものを、作るかどうかわからぬが、作って、それによって案ができ上って、考えるべきだ、こういう答弁のようでありましたが、それは前の国会においても、普通局昇格の問題については、すでに三年間とまっておる。しかし三十二年度からは、このとまっておる問題についても、比較的大局については普通局昇格をさせていくということについては考えていきますという答弁も、前の大臣が行なっておるわけです。そこでそういうものについては昇格をさせていくけれども特定局全般の小局の運営その他制度そのものの問題については、今言った調査会なり審議会を作って、そこで審議をしてもらいたい、こういうことであろうと思いますので、その二つの考え方に立ってやっておられるかどうか。政務次官の先ほどの答弁では、その一切をその調査会にゆだねる、こういうように聞えたのでありますが、私はそうではないと考えておりますので、その点を一つ明らかにしておいてもらいたいと思います。
  18. 伊東岩男

    伊東政府委員 特定郵便局の問題については、大きな問題でございますので、森本委員からもお話があるように、これは相当深く研究したいと思っております。たださしあたりの問題として、特定郵便局普通郵便局昇格させみ基準というものがまだはっきりいたしておりませんけれども、局の方では大体これぐらいのものは昇格したらというような気持で、何でもその幾つかを選んで昇格するようなものもあるかとも思いますが、はっきりここでどれどれという具体的な問題は申し上げられません。
  19. 森本靖

    森本委員 関連ですからあとに譲りますが、その方法について、先ほどの政務次官答弁では、そういうものも含めて一つ制度審議会なり調査会によって検討する、こういうようにとれましたので、そうではなくして、その基準がどのくらいの基準になるかは別として、ある大局については、ある程度のものは上げていくということは、これは三十二年度から始めていくのだ、しかし特定郵便局制度運営そのものについては、これは相当問題が大きいので、これはやはり調査会なりあるいは審議会といいますか、適当な機関といいますか、そういうもので十分検討して、各方面の意見も十分に聞いた上において成案を得て、これをやりたい、こういうことではないかということをお聞きしておるわけです。
  20. 伊東岩男

    伊東政府委員 その通りであります。
  21. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 合同局舎の問題については、政府も、有利な条件であるならばということで、その意向は、原則としてその方針でいくことが明らかになったようであります。実は私、津の郵便局合同局舎について調べたのですが、その地方においてはこの建築ができたために非常に繁栄を来たしておる、こういうことで、郵政省としては非常にいい仕事をやったというように、地方からも賞賛されている。最近茨城県の水戸市においても郵便局局舎改築の問題がありまして、しかも場所は市の中央であって、現状のまま、あるいは現状のままにおいて建築がせられると、これは市の発展を阻害する結果になるような地域であります。これを最近水戸郵便局長あるいは有志の方々が寄り寄り相談して考えておられるような合同局舎を建てることによって、町の繁栄を来たす、こういうような見解を持っておられるようであって、私も個人的には賛成であります。そこで先ほどの有利であればという条件は、民間並びに郵便局といいますか、郵政事業、これら両者ともに有利なものであるならば、こう解釈してよろしいかどうか。いわゆる郵政省側だげが有利であって、それをまず優先的に有利に考える、こういう考え方か、それとも両者がともに共存の建前でお互いに有利となる、そうして地方発展に資するのであるならば、合同局舎については十分なる対策を講ずる、こういう考えなのか、その点一つ明らかにしていただきたい。
  22. 大塚茂

    大塚説明員 有利であればということは、私どもの方からいたしますと、郵政省の有利ということを優先的に考えるわけございますが、しかし両方に有利であればそれに越したことはないわけでございまして、そういう条件がそろうならばますますけっこうということになると思います。
  23. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 次の問題は、今年度簡保契約高というものは、予算編成途上において、郵政省当局考えたよりも金額が多少高まっております。それに対する手数料、雑費といいますか、これらは郵政省考えました金額に伴った金額が計上されて予算が提出せられております。それを表面的に見ますと、あたかも一つ一つに対する手数料が減るのじゃないかというふうにも考えられますが、必ずしもそういう意味じゃないと思いますけれども、この目標金額がある程度上げられたにかかわらず、その手数料原案といいましょうか、郵政省考え手数料程度にとどまっておるのですが、その間におけるところの運用上あるいは募集上の不便あるいは不足、こういうものがあるかないか、この点についての御所信を承わりたい。——簡保関係政府委員が見えておらぬようでありますから、この答弁は後日に保留してもらってけっこうであります。  続いて、時間がございませんから電信電話事業の方に移ります。今回の予算途上電信電話事業に関する公社予算に関しましても、政府当局原案国会に上程せられました原案では多少の相違が出ております。その中で、たとえばマイクロウエーブ等は、公社いわゆる政府が要求した金額よりも、予算案として提出せられた金額増加をしておる。たとえばマイクロウエーブに対しては二十二億の要求であつたものが、約五割増しで三十四億円になっております。こうした面から考えて、政府当局並びに電信電話公社当局においては、資材の収集あるいは技術者の過不足という問題については、公社考えたより以上の予算が出ているわけでありますから、これらについて今後の進行上に支障がないかどうか、その点について御答弁をいただきたい。
  24. 靱勉

    靱説明員 ただいま御指摘通り公社といたしましては予算を作って郵政省に出す。政府としまして予算案を調整して政府予算として出すという格好になっております。私どもの当初出した案というものが、政府当局の調整によりまして変更されたわけで、御指摘マイクロウエーブについては、当初公社としては二十二億円程度、これは必ずしも満足したわけではないのでありますが、公社としてはそういう案を作りましたところ、終局においては三十四億円という予算になりましたので、それによって計画追加、三十二年度着工の分のものの繰り上げというようなことによって、大体当初においては十区間考えておりましたのを五区間増して十五区間のように工程増加した次第であります。ただいま御質問の、これに対する技術者等について支障はないかということでございますが、この程度工程追加によって人員、資材等において不足を来たすということはございません。
  25. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 マイクロウエーブを全国に一日も早く普及したいという考えから、政府公社案に対して調整をとったと思うが、その政府の調整をとった約五割という増額を行うことによって、マイクロウエーブは全国的にどういう形でそれが施設せられるか、その内容についての御説明を願いたい。
  26. 靱勉

    靱説明員 マイクロウエーブの今後の設備計画につきましては、当委員会の資料要求がありましたので、すでにお手元に達しておるかと存じます。現在三十一年度末においては札幌−仙台−東京−名古屋−大阪−広島−福岡を結ぶ幹線ルートが完成しております。なお現在計画予定しておりますのは東京−甲府、東京−新潟、大阪−金沢、名古屋−高山、大阪、徳島−高知、福岡−長崎、福岡−熊本−鹿児島、これ以上は三十二年度に完成いたしますが、さらにまた札幌−旭川−帯広−釧路、仙台−山形−酒田−秋田、盛岡−釜石、新潟−富山、金沢−富山、広島−浜田−松江、福岡−大分等がありまして、これらはおおむぬ三十三年度末ごろまでに完成する予定でございます。さらにこれに続いて大阪−福知山−鳥取、大分−宮崎、徳島−松山等を計画する予定でありますので、これらが完成する三十四年度末ごろまでには全国にマイクロウエーブ基礎設備網が大体整備されるという形になるわけでございます。
  27. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今の御説明で大体了承しました。三十二年度で当初考えられた計画を約五割増しというのは、三十三年度で行うべき計画の約五割を三十二年度において施工する。こういうことによって一応三十三年度あるいは三十四年までにかかりますけれども、全国マイクロウエーブの幹線は完成する。従ってこの目的は、全国をテレビジョン文化に浴せしめたいということが一つと、なお一つは、北陸方面においては電話の輻湊状態が相当激しいところがある。それをできるだけ最短期間に解決したいということから、公社考え計画を上回ったことを政府自体が調整して、これを急速に行わしめるようにした、こういうように解釈してよろしいか、当局の御説明を願いたい。
  28. 松田英一

    ○松田政府委員 ただいま橋本委員からの御説の通りども考えました結果、調整を行なったわけであります。
  29. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 時間がありませんから、あと一、二点お尋ねしてやめたいと思います。今回の予算において、町村合併に伴う電話施設の調整、この費用は、公社が要求された金額よりもなお五億円査定されております。また無電話部落予算については、公社の希望した金額よりもなお五億円政府によって査定を受けております。町村合併による電話の整備は、地方においてはこれを急速に調整してもらいたい、こういう要望が非常に強いのであります。従ってわれわれの考え方からいけば、公社自体が出した要求でも少い、なお相当の金額を加えるべきであると考えたにかかわらず、政府調整においては、なお五億円が査定せられておる。また一方、無電話部落についても二十億内の要求であったものが十五億に査定をせられております。しかも無電話部落は全国になお一万数千部落あるが、これを解決することは焦眉の急ではなかろうか。公社の従来の計画によりますと、年間二十億円の事業費を計上しても、この一万数千の無電話部落に公衆電話を設置するためには、なお六カ年間を要する、こういう考え方であるわけであります。それが五億円減額をせられたわけでありますから、その金額でいけば、なお七年、八年と長期にわたるわけであります。こういうような無電話部落地帯を長期に放置することは重大問題でないかと思う。従って一応予算の上においてはそういう工合に査定をせられたが、もし三十二年度において増収が行われた場合に、まず優先的に、いわゆる町村合併における電話整備の費用の追加、並びに無電話部落の工事費の追加等をいたすべきであると考えますが、その点についての当局の御説明を承わります。
  30. 松田英一

    ○松田政府委員 ただいま橋本委員から仰せられましたように、私どもも町村合併あるいは無電話部落、農山漁村の電話についてはどんどんふやしていかなければならないということは重々考えておりまして、このたびの予算をまとめます際にも、その点については政府としても極力努力したわけでございますが、何分にも全体の投融資計画の幅も限られておりますし、また公社としても、一方最近の経済情勢の非常な好転化に伴いまして、従来やって参りました五カ年計画そのものも最終年度に当りまして、この方についても、何とか現在のよい経済情勢に即応するように、それにもまだ不満足かとも思いますけれども、その方にも大いにやらなければならないというふうな情勢全体を勘案して、全体としての建設予算の幅は六百三十三億という従来にない大幅なものを一応認められたわけでございまして、その中身をどういうふうに調整するかということにつきましては、先ほどお話が出ましたマイクロの問題もございますし、いろいろと考えました結果、どうしても全体として調整をすれば、ただいまの結果にありますように、やむを得ずそれぞれ五億程度ずつ、町村合併と農山漁村の稀少電話の部落に対する対策としての部門というものを減らさざるを得ないような状況になりましたので、その点私どもといたしましてはなお今後三十二年度において余裕資金が出ました場合には、予算の弾力条項によりまして、できればさらにこれに対する追加としての計画というものを認めていきたいというふうに考えております。その場合にもちろん町村合併なり、あるいは稀少電話の部落に対する電話というものについては、重点的に考えていきたいと思っておりますが、さらに全般的な経済情勢の点から考えまして、またその方面についての要望というものが非常に強く出ました場合には、やはりその方とも考えあわせなければならないだろうというふうに考えておる次第でございます。
  31. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 一応政府考えとしてはああした調整をとったことが、バランスをとったものであるという御解釈のようですが、一応私たちこの予算の面から考えると、マイクロウエーブ関係が少くとも五割の増加になっておる、しかるに町村統合の整備に要する工事費というものは逆に減っておるということでは、公社考えておったバランスとは少しバランスが狂っておるのではなかろうか、しかしながらこれについては基本的な工事でありますから直ちにこれが修繕できませんから、あるいは収入の点をにらみ合せて言えば、バランスは必ずしもくずれておらないと思いますけれども、しかし今国内で大きな問題になっておるのは有線放送の問題です。有線放送がなぜ問題になったかといえば、もちろん他の理由もありますけれでも、一里、二里離れても電話一つない、こういうところから有線放送が最近は非常に盛んになって、しかもその有線放送が単なる放送じゃなくして、電話を中心とするような有線放送に変りつつある、こういう現象から見ても、無電話部落の解消というものは非常に急速に行うべきものであると思うのであります。しかるに公社当局ですらも六カ年計画、ところが予算の上においてはおそらく八カ年計画になるでしょうが、そういうじんぜんたる期間を置いて解消すべきではなくて、できれば当委員会でこの前質問したように少くとも三カ年以内に解消すべきである、こういうようにわれわれは強い意見を持っております。従って三十二年度における増収分が相当にあった場合は、まず第一に町村統合に関する電話の整備費に振り向ける、また無電話部落の解消のためにその予算を優先的に振り向ける、こういうような基本的考えを明らかにしてもらいたいと考えるのでありまするが、政務次官お答えを願いたい。
  32. 伊東岩男

    伊東政府委員 町村統合に伴いまする電話改善施設の問題については、できる限り急速に推進したいと考え、特に後段の電話のない部落に電話をかげるということについては、私は平素から農村対策といたしましても主張した一員でございまするので、皆さんたちの各段の御協力も得たいと思いまするが、予算がもし増収等によって許されるならば、よくこの点を皆様たちと研究いたしまして、ぜひこの目的の達成をいたしたいと考えております。  なお有線放送の問題についても、これは不便であるから、農村では有線放送を今盛んに推進している。ことに農林省が積極的にこれを新農村建設計画一つとして推進いたしておるのでございます。この点は多少公社考え方あるいは公社の電話と矛盾する点もございましょうけれども、農村自体からいえば必要に迫られて有線放送をやろうということなんです。しかしここにまた問題点がだんだんありますので、これらの点を解消するために、有線放送に関する法律案も近く出す段取りになると考えておりまするので、これらをにらみ合せて、今橋本委員の御意見ごもっともでございまするので、十分努力いたしたい、こう考えます。
  33. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 私は有線放送については反対の態度をとっておるのではなくして、何か合理的にこれが育成をしたいとは考えております。ただ有線放送ができましても、その中にいわゆる公社の電話が入っておりませんというと、その地区だけは一応連絡ができる。けれどもそれから離れた他の地区には連絡ができない、こういう不便もありますからして、やはり有線放送の発達に伴って無電話部落の解消というものを急速にやらないと、今度は有線放送自体をつなげないという問題が出てくるわけであります。これはもちろん当局においても御研究でありましょうが、なお強力にこれが推進方を希望いたします。  それから最後に質問いたしますが、これは少し問題が根本的な事柄に触れますので、きょうは総裁の御出席もありませんし、大臣も御出席がありませんから、一応私は質問としては申し上げておきまするが、御答弁についてはなお打ち合せて御答弁していただいてけっこうであります。というのは、三十一年度における電信電話事業のいわゆる電話収入というものの増収は七十数億円になっておるようであります。この七十数億円という増収は、もちろん三十一年における神武以来の数量好景気、こういう数量的な好景気を最大の原因として、そうした大幅の増収が見られたと思うのであります。けれども必ずしもそれだけではなくして、最近における第一・五カ年計画の進捗に伴い、電話の利用度数というものが増加しつつある。そういうことからして当時立案した料金制度というものが、そのある程度普及せられた——普及といいましょうか、利用せられたような状態に置かれた現在の状態においては、当時きめられた料金制度というものにやはり不適正な点があるのではなかろうか。たとえば即時通話区域においては、なるほどそれが料金においては普通通話料の八割増しという当時の見解のもとにおいて行われたのですが、その使用度数工合というものが、それに正比例するようなアンバランスな数字をもって非常に利用せられつつある。いわゆる即時通話区域というものが非常に増収を来たしておる大きな一つの原因のようであります。こういう点から考えて将来第一・五カ年計画が完了し、あるいは第二・五カ年計画がその緒についた場合において、この料金制度全体に対しての考え方というものを考え直す時期が迫りつつあるのではなかろうか。こういう点についてはもちろん今後の第二・五カ年計画の基本的な事業、工事をする上から考えても、軽々には論断すべき問題ではありません。けれどもすでに公社考えられた第一・五カ年計画は最終年度になりつつある。そうして第二・五カ年計画をきめる段階ではありますが、その第二・五カ年計画を進める段階においては、当然これらの料金制度を合理的に再調整する時期がきておるのではなかろうか。この点についてもちろん郵政当局においてもあるいは公社当局においても御研究と思いますけれども、これが根本的な方針については、なお政府並びに電電公社当局と打ち合せの上で、次の機会にある程度具体的な答弁をしていただきたい。一応以上をもって私の質疑を終ります。
  34. 伊東岩男

    伊東政府委員 ただいま橋本委員の御質問は、すべて根本問題に触れるのでございまして、この点については大臣及び公社等ともよく打ち合せをいたしまして、適当の時期にお答えすることにいたします。
  35. 森本靖

    森本委員 先ほど来の質疑応答によって、大事な問題は大臣が出てこられたときということになっておりますが、ただ一点だけ、これは大事な問題でありますので、大臣が出てこないと答えられないというかもしれませんが、しかし郵政省の態度ははっきりきまっておると思いますので、お聞きしておきます。この国鉄の運賃値上げの問題、さらに今の電話料金の問題とからんで、郵便料金の問題についても、とやかくのなにがありますが、これについては、今改訂をするという意思はありやなしやということをお伺いしたいのです。
  36. 伊東岩男

    伊東政府委員 非常に重大な問題でございますが、郵便料金を値上げする意思はただいまございません。ただし鉄道運賃の値上げに伴いまして、小荷物運賃に関連いたしまして、その点を多少調整せねばならないかとも考えられる点がございますので、その点はただいま検討中でございます。
  37. 森本靖

    森本委員 郵便料金の値上げはやらないということで、まことにけっこうでありますが、そこで国鉄の小荷物の運賃の値上げによって考慮しなければならぬということになると、それはどういう考え方に立ってやらなければならぬということですか。私も意見がありますが、まずそちらのどういう観点に立って小荷物の運賃が上った場合には郵便料金の方に関係してくるか。こういうことです。
  38. 伊東岩男

    伊東政府委員 具体的な問題については郵務局長からお答えいたします。
  39. 松井一郎

    松井政府委員 お答えいたします。国鉄の小荷物の運賃というものと、郵政省がやっております一般の小包郵便というものとは、サービスの態様、その他を考えてみますと、若干の相違はおのおの持っております。しかしまた両方がこれは共通するような部面も多分に持っております。向うは御承知のように重量制度、その重量制度の切り方も比較的大幅な切り方をしておる。そうして距離制をとっておる。こちらはこれを主として帯域といいますか、ある一定の増減で切っておるというふうな分け方があって、必ずしもこれは同じにというわけには参りません。しかしおのずから国がやっておる事業であり、また片や公共企業体の運営しておる事業の中の料金の面があまりにでこぼこが多すぎて、そこに妙な現象を起すということは、これは両方が協力し合って、こういう事業運営していく建前上必ずしも適当でない。従って向うが変動した部面で、特にこちらが調整を必要としないならば、それはもちろんほうっておけばいいのでありますが、ただその中でどうもこういうところは少しやはりバランスをとる必要があるのではないかというような点については、やはり調整を必要とするのではないか。従来もこういう考え方できておりますが、今度もやはりそういう面でもって収入とかなんとかということを考えずに、ただバランスをとっていくということを中心に、一つその是正方を考えてみたい、かようにして今検討しております。
  40. 森本靖

    森本委員 私の方は、むろん国鉄運賃の値上げについては反対でありますので、今国会には通らぬと思っておりますが、しかしかりに通ったとしたら、そういうふうに検討しなければならぬということでありますが、そこでこの間の予算委員会の分科会におきましても、私の方から質問をいたしまして、経理局長から、本年度の国鉄と郵政省との郵便車両の問題については、本年度予算については引き上げというものは考えておらぬという答弁、しかし実質的には、運輸省の方に私が質問してみると、そんなことを言われても、郵政省と交渉して、どうしても運賃の値上げをすると若干の値上げはしてもらわなければならぬということで、そこでそういう返答をしているがということで、予算委員会の分科会で聞いてみると、金額はたしか四億円程度であったと思いますが、そのくらいのことは値上げになるかわからぬ、こういう回答でありましたが、その場合国鉄との問題は別として、そうなって参りますと、一般の私鉄の運賃その他についても非常に影響してくるわけであります。そうすると、国鉄の車両の問題だけでなくして、今一般民間に請負わせて郵便物の逓送をやらしておりますが、これにも当然影響してくるのではないか、こういうことが考えられるのでありますが、そういう点についての検討をしているかどうか、その点を御質問したいと思います。
  41. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 森本先生の御質問は、郵便料金改訂の問題に関連して、国鉄運賃の値上げを中心とするいろいろな集配運送関係の値響きというものを検討したらどうか、こういうようなお尋ねのように伺いました。三十二年度予算を編成いたします途中におきまして、もとより国鉄運賃の値上げということが非常に問題ではあったわけでございます。これにつきましては、しかしながら明確にどういうふうに引き上げされるのか、その数字においても、あるいは運送対象物についても必ずしも明白でなかった。つきましては、先般森本先生から予算分科会において御質問があったときにも、三十二年度予算編成の過程においては国鉄運賃の値上げということは確定しておりません、もしもいわゆる平均率としていわれている一割云々の値上げがそのまま郵便関係の集配逓送料、運送料の方面に当てはめると仮定いたしますれば、大体において十八億から二十億前後の国鉄に対する郵政省からの支払い分について考えれば、大体二億か三億前後になるという趣きのお話が出ましたから、私も大体さようなことであろうと思いますと申し上げ、その際私は、もしもこれを具体的に郵便車あるいは郵便物を積み込む貨車等につきまして、国鉄の料金計画が確定しましたら、それに対応してこちらとしては成立予算の範囲内において国鉄と交渉したい、そういうように考えている次第でございますと申し上げたのでございます。しかしその際、それでは国鉄以外に私鉄とか、あるいはガソリン税の値上げとか、そういうものについてどうであろうかというような意味お話もあったのであります。それらを合せて成立予算の範囲内においてそれぞれの向きと交渉したい、こういう腹組みである、こう申し上げた次第でございます。
  42. 森本靖

    森本委員 郵政省の人の組む予算であるから、その予算のワク内において、そういうふうに、あらためて値上げをされても困らぬ程度のものを組んでおいて、成立予算のワク内においてやれるという自信があるなら、それはけっこうでありますけれども、私は少くともこの郵便の逓送料が、国鉄が上り、さらに私鉄が上りということになると、それだけの余裕が、まだ成立するかしないか知りませんが、とにかく今政府が提案しておりますところの郵政省予算のワク内においては、私はなかなか困難であるというふうに考えておるわけであります。そこでそういうことになった場合には、それではまた直ちに郵便料金の問題について手をつけるということにもなりかねない議論が出てくると思います。そこで政務次官に私は質問したいのでありますが、この前の国会以来私の方からも、与党の方からもこれは意見が出ております。ここにおられる竹内委員からもそういう意見が出ておりまして、今国会の冒頭においても、大蔵大臣はそれは十分検討していきたいということを答えておりますが、それは郵便料金を全然値上げをせずに、年間五億ないし七億程度郵政省が増収になる方法があるわけです。それは例のお年玉はがきであります。この四円のお年玉はがきをやめてしまって五円にすれば、七億円程度の収入は実際に出てくるのではないかということが考えられるわけであります。この問題については、日赤その他の社会事業団体との関係もあって、非常に複雑な関係でありますけれども、そういう問題については、そういう方向に検討いたしましょうということになっておりますが、それを依然として研究しておりますかどうか。その点は省内において検討しておるかどうかということでありますので、政務次官お答えができると思いますが……。
  43. 伊東岩男

    伊東政府委員 ただいまのお年玉はがきの問題でございますが、これはかねがねから問題になっておるようでございます。それは歳入面の関係から検討することが当然でございまするし、しかし一面またお年玉はがきは特色がございますので、それも生かしていかなければなりませんので、その両方をただいまも引き続き検討中でございます。
  44. 森本靖

    森本委員 満足な回答ではありませんけれども、大事な問題は大臣が出てきたときに全部やるという約束みたいな格好になっておりますので、この問題は一応おきまして、次の問題に移りたいと思います。  先ほどの保険関係の問題に入る前に、年金の問題でありますが、年金の今の状態については大体良好の成績でいっておるようであります。前の二十二国会以来私が言っておりますように、この年金というものと簡易生命保険というものとはおのずから性格が違うわけでありまして、簡易生命保険の昔の小額保険については、今日の物価に比例して考えてもらいたい、五十銭、一円とかけたものがもう無にひとしいような格好になっておる、こういうような論があると同時に、今日の在外資産の引き揚げなどに応じて、五円、十円の愛国債券を郵便局で買わされた、それについても考えてもらいたい、こういうようなもろもろの意見が、敗戦の処理の問題として、十一年もたってようやく国民の中から出てきておりますが、その中でわれわれが一番耳を傾けなければならないと思います点は、在外資産その他のもろもろの問題も非常に重要でありますけれども、私は特にこの年金の問題については非常に耳を傾けなければならぬ問題を含んでいるのではないかと思います。と申しますのは、この年金については、少くとも政府が老後の安全を保障する、それがためには、あなた方はこれだけの掛金をすれば将来死ぬるまでこれだけの年金が与えられて、そうしてやすやすと生活ができる、こういうふうに政府全体が宣伝をして金をかき集め、その金がやはり戦費として使われた、しかもそれは政府事業として行なったものである。ただし生命保険という場合は、これは死んだときにどうこうという問題がありますので、この保険と年金はおのずから違ってきますが、簡易保険の方はおくといたしましても、この年金の問題については、今日年金を受給されておる者が年に何十円かもらって、全く泣きの涙であるというような状態が非常に多いわけであります。ところが今この年金を受給されておる方々は、当時は物価に比例した莫大な金を一時にかけて老後の安全を願った、こういうのがこの年金のもとでありますが、この年金に戦前加入しておって、そうして今受給されておる者については、現在の物価に比倒するところの年金の増額というようなことについては、私は前々から言っておりますが、これをやるということになると一千億円もかかる、そこで全然できませんという回答でありますが、しかし一千億円全部やらぬにいたしましても、かりにそのうちの十分の一あるいは二十分の一を補てんしよう、こういうふうな気もないのか、そういう気があってこれをやろうとするならば、今後の郵政省の貯金事業と簡易生命保険事業の将来にも非常に影響がある。また政府の信用にも非常に影響がある。何とかこれは一つ考えてみる必要がありはせぬか、こういうふうに私は前からしつこく言っておるのでありますが、いまだに研究も何もしておらぬようであります。これは一体どういうふうになっておるか、明らかにしてもらいたいと思う。
  45. 成松馨

    ○成松政府委員 ただいまの問題は森本先生お話のように、年金加入者にとりますと、老後の生活安定ということから非常にお気の毒な状態だと思っておるのでありますが、お話もございましたように、現在の年金の建前が数理計算に基きましてはじき出されておること、それからその原資が地方財政投融資の対象として主として使われておりますために、額面額がそのままの形で結局郵政省側の債務として残っておる、従ってもし年金額をふやすということになれば、それ以外の方法をとらなければならぬ。しからばどういう方法をとるかということについて頭を悩まし、お気の毒と思い、何とかしなければならぬと思いながら、今のところとしてはまだよい案が結論的には出ていない次第でぐざいます。
  46. 森本靖

    森本委員 この問題は非常に重要な問題でもありますし、また金に関する問題でありますので、事務的なお答えはそのくらいしかできぬと思いますが、一つ政務次官に私はこの問題について最後の質問をしておきたいと思いますが、こういう問題は十分に事務当局においても何か一つよい成案があるのではないかと考えますので、あらゆるデータを集めて、十分に事務当局においてもこういう方向に向く検討をさすように、一つあなたの方で指示を与えてもらいたい、こういうふうに考えておるわけですが、どうですか。
  47. 伊東岩男

    伊東政府委員 年金の問題は簡易保険とはおのずから違うのでございまして、お話のようにこれは何としても考えなければならない、結局政府が老後の生活安定のためにという旗じるしを立てて集めた金でございます。ところで経済事情が非常に違って参りました今日においては、政府としても予算関係もございまするけれども、相当突っ込んで研究すべきものであって、できる限り早くこれはどうするかというようなことを具体的に示すべきものだ、そういう意味合いにおいて、一つ十分急速に検討を進めたい、こう考えます。
  48. 森本靖

    森本委員 それではこの問題はおきまして、次に簡易保険現状を解剖するという保険年金研究会というものから出されておる雑誌がありますが、まず最初にお聞きしておきたいのは、この保険年金研究会というのはどういう性格の会でありますか。
  49. 成松馨

    ○成松政府委員 保険年金研究会と申しますのは、主として簡易保険に関して在職した連中が相集まりまして、保険事業研究し、それによって保険関係を側面的に援助するという意味で雑誌を発行するのを主として目的とした会であります。
  50. 森本靖

    森本委員 そうすると、これは現在の郵政省の職員は一人も入っていないわけですね。
  51. 成松馨

    ○成松政府委員 さようでございます。
  52. 森本靖

    森本委員 これは郵政省が奨励をして作ったものですか。
  53. 成松馨

    ○成松政府委員 保険事業、年金事業を育成するために、そういう機関があってもよいではなかろうかというような考え方から、精神的な面において、たとえば原稿を投書するといったようなことについては援助をいたしております。
  54. 森本靖

    森本委員 一つこれはあとで資料として、この保険年金研究会の役員、それからメンバーをあとで御提出を願いたいと思います。それからこの保険年金研究会というのは郵政省簡易保険局内ということになっておりますが、簡易保険局の何課が所管をしておるわけですか。
  55. 成松馨

    ○成松政府委員 簡易保険局としての所管ということはないと思います。ただ事務室を規画課の内部に貸しておるというような話を聞いております。
  56. 森本靖

    森本委員 そうするとこの保険年金研究会に対しては、かなり郵政省が資料を与えておるわけですね。
  57. 成松馨

    ○成松政府委員 保険年金事業を側面的に援助しようということでございますので、その点から、保険事業の実態を知りたいというようなものがあれば、見せて差しつかえないものはある程度見せているのではないかと考えております。
  58. 森本靖

    森本委員 考えておりますというのは、あなたが主管の局長ですから、そうなっておるかどうかということなんですが、それは別として、そこでこれをやっておられるおもなメンバーというのは何人くらいおるわけですか。
  59. 成松馨

    ○成松政府委員 下働きまで入れて何人おるか存じませんが、中心となってやっておる者は二、三人ではなかろうかと考えております。
  60. 森本靖

    森本委員 その二、三人のうちの中心になる人はどなたですか。
  61. 成松馨

    ○成松政府委員 前に保険事業に長く従事しておりました長田君あるいは久永君等が雑誌の編集をやっているようでございます。
  62. 森本靖

    森本委員 長田君というのは——一つ名前をはっきりしてもらいたいのです。それからその前の、郵政省の中における役職を一つはっきりしてもらいたい。
  63. 成松馨

    ○成松政府委員 名前は今はっきりいたしておりませんが、経歴といたしましては、最後の経歴は東京地方保険局長ではなかったかと思っております。
  64. 森本靖

    森本委員 そうするとそういう人たちには、給料とか嘱託料とか、そういうものは出てないのですか。
  65. 成松馨

    ○成松政府委員 当然のこととして調べたことはございませんが、おそらく出してはいないと思っております。
  66. 森本靖

    森本委員 それではそういう人は俸給も収入も全然なくして、保険年金に大いに協力しようという、まことに奇特な人ですか。
  67. 成松馨

    ○成松政府委員 相当在職年数も多うございますので、恩給等もあるのではなかろうかと思っておりまするし、それから雑誌も発行しでおりますので、そこから上るマージンがどのくらいあるか存じませんが、多少は生活上収益をもたらしているのではなからうかとも考えております。
  68. 森本靖

    森本委員 そういう雑誌によるマージンはどれくらいあるのですか。
  69. 成松馨

    ○成松政府委員 調査したことはございませんので存じませんが……。
  70. 森本靖

    森本委員 私の言いたいのは、少くとも郵政省が大っぴらに後援をして、しかもその印刷物が各郵便局に全部回っていくのだから、それがどういうところで、どういう人によって発行され、その発行しておる人々はどういうところの収入によって生活をしておるということを明らかにした上で、一つそういうものについては監督をしてもらいたい。そうしないと、なるほど発行所には保険年金研究会という名目がうたってある。ところが下部の郵便局に行ってみると、郵便局長なり保険課長というものは全部郵政省の保険局長の出しておる出版物だといろふうに考えておる。保険年金研究会という篤志家が出しておるというふうに考えておる下部の局長はだれもおらぬ。すべてこれは郵政省の保険局長の意向である、こういう考え方によって下部では見ておる。ところが今ここで私が質問をして聞いてみると、郵政省簡易保険局長とは全然関係がない、これは明らかに簡易保険の保険年金の問題について好意的に研究をする会である、それについては収入もどのくらいあるか知らぬ、こういうことなんです。そういうことでは、下の方では非常に困る。この問題については一つ十分に研究をしてもらって、次には回答がはっきりできるようにしてもらいたいと思う。  なおこの内容については、確かにいいこともたくさん書いてありますが、また一方的な見方をした書き方をしておる面も多分にある。だからこういうものを発行する場合には、発行する責任者はだれであって運営はだれがやっている、そうして郵政省がこれを買い入れるときにはどこで検閲をしてどこで買い入れる、さらにまた下部に、これは民主的な団体の集まりであって、郵政省とは何ら関係のないものである、こういうことを徹底させておく必要がある。それがために私は聞いたわけですが、一つこの次にはこの内容については十分にお答えができるようにしてもらいたいと思うものであります。えてして保険事業とか貯金事業とかいうものは、こういう主体のわからぬ出版物が下部にまで流れるということが今までの傾向なんです。特に貯金とか保険とかいうのは奨励関係があるので非常にひどい。そういう点については今度からすべて出版物というものを各郵便局まで流す場合には、その発行責任者と、どういう意向によって出しているということを明らかにしておいてやってもらいたいということを要望しておきたいと思います。そこでこの内容についても私は非常に意見がありますけれども、これはまた次の機会に譲りまして、ここでは質問をいたしません。  ただそこで先ほど橋本委員質問をいたしました事項について、私の質問関連があるわけでありますので、ちょうど保険局長が来ておりますし、橋本委員も出ておりますので、先ほどの橋本委員質問に対してまず保険局長の方からお答え願っておきたいと思うのですが、橋本委員、どうですか。   [橋本(登)委員質問の意図は通じてあるかな」と呼ぶ]
  71. 松井政吉

    松井委員長 ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  72. 松井政吉

    松井委員長 書いて下さい。  橋本委員、もう一ぺん一つ具体的な質問内容をお願いいたします。
  73. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 本年度の郵政事務当局の作られた原案と最後に政府が調整してでき上った保険金額の見積額に相当開きがあるわけであります。しかしながらそれに対する、何というか、雑費その他保険募集手当等が、従来事務当局考えられた目標額に対する金額をそのまま増額された金額に合せて予算が出ているわけです。そうすると一件当りというか、あるいは一万円当りというか、その募集手当の金額形式上は減るということです。もちろん政府としては一件当りなりあるいは金額当りなりの手当を減らすという考え方でそういう予算を組んだものではないと思うが、その間において政府はどういう工合に従来通り手当を支給し、かつまた従来と運営上何ら差しつかえないような措置ができる考えをもってあの見積額の増加をしたか、こういう点がまず第一です。
  74. 成松馨

    ○成松政府委員 御承知のように保険業の経費その他につきましては、大体目標額に応じて経費を算出しているのでございますが、たとえば三十二年度の例によりますと、三十二年度におきましては新契約については月額保険料合計を十七億というふうに考えております。この十七億に基いていろいろ経費をもらって、予算的には大蔵省と話し合いがついたわけでございます。従って実際問題として配付する場合に、どういうふうな考え方で目標を配付していいかという方法論もございますが、従来の簡易保険局のやり方といたしましては、予算目標をそのまま直さないで、それより下回る目標を出して仕事をやってもらい、結果的には予算目標に近いものを出してもらおうというのがねらいであったわけであります。そこで御承知のように目標は実行上暦年度でやっておりますが、三十一暦年度におきましては実行目標を十三億以上、三十二暦年度におきましては十四億というふうに月額保険料合計におきましては一億ふやしておるわけであります。しかしながら予算目標十七億との間には開きがございますので、事実十七億近くやってもらいたいというのが私たちの意向でございますが、そういう関係で本年度におきましては手数料に対する考え方を変えずにやっていけるであろうと考えております。
  75. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今のお話で、政府というか事務当局考えたのは、三十二年度の見積額が十四億ですか、それが調整の結果十七億に引き上げられた、それに対する経費というものは十四億を基準にして上程せられて、見積額が十七億に上ったにかかわらず、その経費というものは上っておらない。その間において政府は、取らぬタヌキの皮算用で、これからどうなるかわかりませんが、十七億集めるという前提のもとに、いわゆる簡易保険の金を他にいろいろと割り当てておるだろうと思います。それだから最小限度政府としては十七億上げなければならぬ建前になっておるだろうと思うのですが、勢い十七億の金を集めるために、従来の十四億という計算の仕方で経費を計上した、その金額で差しつかえないものか、それとも従来とはやり方を異にした方針で、経費を節約してその場の金額を出すのか、この点をお聞きしたい。
  76. 成松馨

    ○成松政府委員 私の話し方が悪かったかと思いますが、経費その他は十七億を前提として予算上組まれておるわけでございまして、実際に目標を流す場合は十四億という目標を流しております。この十四億という目標は最小限これだけやってもらいたい、可能なるものはもっとどしどしやってもらいたいという流し方でございまして、結論的には十七億に近づくように努力してほしいということでございます。重ねて申し上げますと、予算面といたしましても、手当その他の経費は、新規の月額保険料その他十七億に基いて計算されたものが予算的には成立いたしております。
  77. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 私の承知しておる範囲では、経費の点については予算目標の引き上げに伴っておらないのじゃないか。私の考え違いかもしれませんが、私の聞いておる範囲内では、政府が調整しました見積額に従っての計算ではないというふうに考えておるのですが、その点は間違いなく政府がきめた見積額に応じて、現在の経費というものが計上せられておるわけですか。
  78. 成松馨

    ○成松政府委員 保険募集目標額と新規月額保険料十七億という問題は、実は三十年度からでございますが、三年間同じ額になっておりましてふえておりません。従ってそれに対する諸手当もほとんど同額になっておるわけでございます。
  79. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 きょうは資料を持ってきておりませんので、もう一度あらためてこの問題についてお聞きしますが、保険の年間見積高というものは、政府が意図しておった最高金額の引き上げというものに関連して当時計画をされたものかどうか、その点を一つお聞きしたい。
  80. 成松馨

    ○成松政府委員 予算を組み立てる当時は、ずっと前からの経過もございまして、何としても保険金の目標額を引き上げなければならないという意図を持っておったことは事実でございます。それを実現できるものとしての予算を組み立ててはいなかったと思います。
  81. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 もし近い将来保険金引き上げの法律改正が提出せられてこれが通った場合、当然相当の増加を来たすと思いますが、その増加された金額というものはどういうふうに処理せられる予定になっておりますか。
  82. 成松馨

    ○成松政府委員 保険金が引き上げられた場合にどういう影響を生ずるかという問題でございますが、私ども考えといたしましては、保険事業のために保険金引き上げを契機として保険募集をどしどしやってもらい、従って保険料収入をうんと上げてもらいたいというふうに考えるのでございますが、実際問題といたしましては、保険募集は郵便貯金等と違いまして、やはり外務員が出かけていって相手方の承諾を得るという問題もございますので、保険金が引き上げられた場合に保険募集が非常にやりやすくなり、また従来あまりに低いから入らないというような人が入るということは事実でございますが、それが量額的に著しくふえるということは、最初年度としては、過去の例から見ましてもあまり期待できなかったように考えられるのでございます。
  83. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 先ほどちょっと出た問題ですが、民保契約高の平均金額簡保の平均金額とには相当の差があります。毎年保険金額の引き上げを法律できめていくことは事業運営上めんどうな点がありはしないか。将来この問題について、たとえば民保契約高の平均が上っていった場合、下ってきた場合に自動的にいくような制度がいいのではないかと思いますが、こういう問題についての御研究は従来やっておりますか。
  84. 成松馨

    ○成松政府委員 簡易保険が独占時代においてはこういう問題は起きなかったわけでありますが、簡易保険法の独占規定がはずされまして、簡易保険の分野にも民保が入るようになってきた。そこでいろいろ競合の問題というようなむずかしい問題が出たわけでございますが、そういうことを離れまして、簡易保険は、たとい独占規定がはずれたといたしましても、独占規定を置かれたと同じような考え方から簡易保険運営すべきではなかろうかと考えております。しからばその具体的な最高限の金額をどの程度までに持っていっていいかということは、そのときの情勢々々によって判断すべきでありまして、その点と民保の現在平均契約額とを直ちに結びつけることは、理論的には多少問題点があるように思うのでございますけれども、実際問題といたしましては、簡保の引き上げについては、御承知のように民保の方でも非常に神経をとがらせているという点がありますので、ある程度民保の進展状況を考慮に入れなければいけないということは事実考えられるのであります。しかしながらこの問題につきましては、簡保の今後の進展状況、民保の今後の進展状況をよく洞察した上で、かりに何かできるとすればそのルールを考えるべきではないだろうか、従って、一がいに直ちにその両者の比例によって動くというところまでいくには、まだまだ十分研究を要すると考えております。
  85. 森本靖

    森本委員 今の予算の問題ですが、それはこういうことになるのじゃないですか。十七億ということで予算を組んでおる。ところが実際の目標は十四億である。そういうことになると、この保険金がかりに二十万円に引き上ったといたしましても、今の十七億ということもなかなか困難であるということは察しておる。そこで実際問題としてかりに二十万円以上になったにいたしましても、十七億くらいが大体でき上る妥当な線であろう、そうなってくると、これはとんとん大臣ではないけれども、いわゆるその予算とその保険募集手当の予算額はとんとんでいくであろう。ところが、そこでかりに二十万円に引き上った場合には、その保険金の最高額の手当が若干変ってくる。しかしそれは予算額上としては大した問題ではない。だからそれも現状維持でそのままやることができる、こういうふうに解釈をしておる、こういうことじゃないですか。
  86. 成松馨

    ○成松政府委員 御承知のように実際のことを申し上げますと、私の方は暦年度でやっておることは先ほど申し上げた通りでございますが、三十一暦年度におきましては、十七億目標に対しまして十四億五千万しかできなかったわけでございまして、その間相当開きがあるわけでございます。それで予算目標十七億に対しては、いろいろ事業上の見地から見ましても、どうしてもこれは多々ますます弁ずでやっていかなければならないと思いますので、結果においてそこまでいくのか、あるいは従業員諸君が非常に協力してくれてそれ以上にいくのかといったような問題は、もう少し実施後の状況を見なければわからない問題でございます。ただ手当の面からいきますと、いろいろ手当は保険募集の上に非常に重要な問題でございまするし、最終段階においては組合とも話し合って協定をしなければならない問題でありますし、また予算のワクというものもきまっておりますので、かりに先ほどお話に出ましたように二十万円にした場合に、いわゆる高額者手当なるものをどうするかといったようなことについては、やはり慎重に検討しなければいけないと考えております。
  87. 森本靖

    森本委員 そういう答弁をしておると、これは最高額の問題について私はなかなかむずかしくなると思います。だから私は今一番いい方法を言ったのであって、十七億以上になるということになると、かりに予算額がそのくらいにならないということになると、具体的に募集をしても手当がつかない。だから募集をせずに待っておれということにならざるを得ない。そういうことは昔もしばしばあった。そういうことになると、幾ら募集要綱をどうこうしようといって上の方からたたいても、できっこない。だから一応十七億といち目標にしておるけれども、実際の実行目標としては十四億ということで、あとの三億というものは今言ったたとえば五万円程度上るならばそれでいくだろう、そうすれば最高額の保険金の高額者手当の問題についても、問題がなくしてそのまま維持していくということになるのじゃないですか。そんなつじつまの合わぬことではだめですよ。それはかりに十七億以上になった場合にはそれ以上云々といったところで、予算上金がないから一つ待ってくれということになりかねない。だから今私が言ったような格好でいくと、これはもろもろの問題がスムーズにいく、こういうふうに言えるのじゃないですか。
  88. 成松馨

    ○成松政府委員 森本先生よく御存じの通りでございまして、かりに保険金を引き上げましても、十七億前後というところではなかろうかというように考えております。ただ高額者手当の問題ということになりますと、これもやはり手当のうちのワクができておりまして、二十万円になればなるほど高額者の部分というものはふえるという可能性もあるわけでございまして、その辺は予算との関係もにらみ合わさなければいけないという問題が出てくるのではなかろうか、このように考えております。
  89. 森本靖

    森本委員 意見がだいぶありますけれども、それはまたそれとして、法案が出てきたときに一つ質問をすることにいたしまして、あとほかの同僚委員質問をするようでありますので、私はまだたくさんありますが、一つ資材関係について、せっかく資材部長さんがお見えになっておりますので、若干聞いておきたいと思います。  大体郵政事業というものは、ほとんど機械がなくして、人力、労力をもってやる一つの特殊的な事業である。だから、この労働力にカバーするところの資材、物品というものが非常に重要になってくるわけであります。そこで各現場に流れておりますところの従業員の制服、くつ、雨がっぱ、それから外套、そういうものの耐用年数をちょっとここで明らかに願いたいと思います。
  90. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 お答え申し上げます。制服につきましては一着三年、外套につきましては五年、作業シャツ一年、雨具三年、窓口事務服は三年、一般事務服は二年、こういうふうになっております。
  91. 森本靖

    森本委員 そこで、その中の特に雨具三年という問題でありますが、これは全国一律に雨具三年ということになっておるわけでありますか。
  92. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 さようでございます。
  93. 森本靖

    森本委員 郵政省としては、この雨具全国一律に三年ということは、非常に不当であるというふうにお考えになっておりませんか。
  94. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 現在におきましては、寒冷地帯その他の地域によりまして、実際的には多少温度の差等によりまして、ゴムのいろいろの化学上の変化があるようでございまして、一律にそういうふうに扱っておるようでございますけれども、気候の変化で多少相違があるということは認めざるを得ないと思います。
  95. 森本靖

    森本委員 ずっと昔は、多雨地帯というのがございまして、半年間の降雨量の程度によって特殊地帯というものが全国的にたしか認められておったはずであります。それがこの十年ほど前でありますか、なくなって、雨具そのものの質をよくするから全国一律にするということで、全国一律の三年になったというふうに記憶しております。ところが昔多雨地帯を指定しておった当時と同じように、やはり雨の多く降るところと少いところとは、当然これは差が出てくるはずであります。だから非常に雨が多いところでは、雨具三年ということは無理がいきまして、場合によっては下までべっとりぬれてしまって、郵便物までぬれるというところがあるわけであります。だから、その他の外套、制服なんかは全国一律ということはけっこうでありますが、天候そのものに支配されるところのこの雨具という問題については、全国一律ということについては、全国三年ということは最低として、それ以下になるようなところが多々あると思いますが、そういうところについては、郵政当局としても一つ各地のそういう温暖、気候、あるいはまた実際の従業員の声をとって、十分研究をしてみる意思があるかどうか、一つお聞きしたいのです。
  96. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 現在の外套の生地につきましては、いろいろと材料を整えまして検討いたしております。実際問題としましては、各郵政局から、消耗度の強いところはそれぞれ更改の必要が生じておりまして、どうしても使用に耐えない状態のものにつきましては、それぞれの計画に従って更改をして実際問題は解決をしておる。今後につきましては、現在のゴム製品のみならず、新しい化学的な諸繊維、ビニール製品というものを加味されました優秀なるものをそれぞれ検討して、さらに改善を加えていきたい、これが現在のところであります。
  97. 森本靖

    森本委員 適当に各郵政局においては更改をしておるというけれども、その更改をしておるというのは、これは郵政局の一片の通牒であって、現実にこれは各郵便局においてその管理者が優秀なところはそれをやっておりますけれども、これは経理関係でも同じでございますが、ほんとうに報告通り来ないというような局については、そういう更改の事務というものも完全に行われておらぬ。それを完全に行わすためには相当の督励がいるわけであって、それよりか具体的に、今言ったような土地々々によってこれを選定するということが最も妥当な線である、こういうふうに私たちは考えておりますし、またビニール製によるところのものは、非常に品物が向上すると言いますけれども、そういうことになってくると、これまた体温の問題、湿度の問題とも関連してきて、非常に研究を要する問題でありますので、そういう天候に支配せられるものは、とにかく一ぺん全国的に統計をとってみて、たとえば年間三百六十五日の中で二百五十日は雨が降っておるところと、わずか六十日しか雨が降らないところがあるわけなのです。そういうところを同一に三年として取り扱うということは、どう考えてもこれは不合理きわまる。ですからそういう問題を、具体的に資材当局としては今後研究をし、考慮していったらどうか、こういうことなのです。
  98. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 森本先生の御指示もございまして、今後十分に実情に合うよう個別的に検討さしていただきたいと思います。
  99. 森本靖

    森本委員 それから次に自転車の問題でありますが、この自転車というものも、山間地と平坦地とそれから中間地帯というふうに、非常に違うわけであります。そこでこの自転車の耐用年数というものと、それからタイヤ、チューブの耐用年数というものも、これははっきりきまっておると思いますが、それについてもどうなっておるか、一つお聞かせを願いたいと思います。
  100. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 自転車につきましては、郵便事業、貯金事業、保険事業とそれぞれ使用の度合いが違いまして、更改の年次を異にいたしておりますが、現在のところ郵便につきましては五年目車、貯金、保険につきましては六年目車を更改することにいたしております。タイヤ、チューブにつきましては更改基準——これはちょっと数字がございませんので申し上げられませんが、消耗度の強いそれぞれの事業に応じまして、これを部品として購入いたしまして、郵政局を通じ配付をいたしております。
  101. 森本靖

    森本委員 郵便が五年、貯金が六年、保険が六年ということでありますが、この耐用年数はまずいいとして、そこでこれを具体的に実行に移す場合には、タイヤ、チューブになってくるわけでありますが、このタイヤ、チューブも郵便、貯金、保険の事業別と、それから各地域別に分れておるはずであります。そこで各地域別に分れておるものと、郵政局で調達をするものと、各現場において調達をするものとあるはずなのです。だからこういう問題については、今ここで詳しく質問をしておりましても、部長の方でも資料がないよちでありまして、私の質問に対するお答えにならぬと思いますので、この問題については次に譲りますから、ぜひ一つ十分にお調べ願ってお答えを願いたいと思います。そこで最後に、現在無集配郵便局で自転車のない局が何局ありますか。
  102. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 ちょっとその数字は現在持ち合せておりませんので、後刻調べましてお答えさしていただきます。
  103. 森本靖

    森本委員 そうすると無集配郵便局でも、自転車のある局とない局とがあるわけですね。
  104. 荒巻伊勢雄

    ○荒巻説明員 さようでございます。
  105. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、そのある局はどういろ理由であるし、ない局はどういち理由でないか、その基準、こういうことについても次の機会一つ質問をしたいので、お答えができるようにお願いをしておきたいと思います。  あとがつかえておりますので、私は他にたくさん質問がありますが後日に譲って、最後に電電公社の方にちょっと簡単なことをお聞きしたいと思います。過般マイクロ設備網計画についてという資料をいただきましたが、一番最後のマイクロ網計画図ですが、この計画図を見ますと、大阪−和歌山−徳島、高知というラインと、それから三十四年に徳島、松山というのが計画図に載っております。ところがこのラインを見ますと、高松から松山へいき、そうして松山から大分へ抜けるラインになっておりますが、これはどういう工合ですか。
  106. 米沢滋

    ○米沢説明員 大阪から徳島へいきまして高知に、さらに九州にいくルートにつきましては、具体的に山の状態とかあるいは電波その他を最終的に検討いたしてからきめたいと思っております。一応予定といたしましてはこういうふうに考えておりますけれども、高知から大分にいくルートにつきましては、まだ最終的に検討いたしておりません。
  107. 森本靖

    森本委員 これは大体ちょっと見たところ、机上計画ではなかろうかと私は思う。机上では、地図で見ると非常に近いし、平坦地ですからいいじゃないかということできめたのではないかというような気がいたしますが、実際問題としては、これは中継所が幾つできるということできめるべきだと私は思う。そうして、かりに高松へ延ばさなければならぬということになれば、これは徳島から支線を延ばしてもできるはずです。だからそういう問題については——これは三十四年度の問題でありますので、まだ確定した問題じゃありませんから、そういう問題については、一つ施設局長も次長も技術家でありますので、技術的見地から十分に検討して最終的な御決定を願いたい、こう考えるのですが、これはまだ確定じゃないでしょう。
  108. 米沢滋

    ○米沢説明員 三十三年度以降については、まだルートをはっきりきめておりませんので、図面でも三十三年度以降計画予定区間というふうに書いて別にいたしてありますから、それを御了承願います。
  109. 松井政吉

    松井委員長 原茂君。
  110. 原茂

    ○原(茂)委員 郵便物の問題で一点お伺いしますけれども、去年ですか郵便物を、書留などを含めて大量に紛失した事件がありました。あの跡始末はどうなっていますか。
  111. 松井一郎

    松井政府委員 お尋ねの点は、中央郵便局であった件だろうと思います。この件につきましては、その後監察局で特別に監察官を集めて、捜査本部的なものを作りまして、鋭意調査を続けているようでございますが、まだ犯人はしかとめどがつくという段階にはなっておらぬと、私はかように聞いております。
  112. 原茂

    ○原(茂)委員 損害補償に関して、何か手当をしているのですか。全然考慮していないのですか。
  113. 松井一郎

    松井政府委員 損害の補償と申しますと、それは郵便法にちゃんと明示してございますように、普通郵便の場合は補償しない、書留の場合については、その要償額の限度までは補償する、こういう建前になっておりますので、それ以上にわたっての補償ということは、これは郵便法上できないということになっております。
  114. 原茂

    ○原(茂)委員 書留なんかは、書留料金を払ったほかに、もしこれが紛失したときの損害を補償する料金を、また重ねて払うという制度がありますか。
  115. 松井一郎

    松井政府委員 現在の書留制度は、書留という手続のほかに、有価物に対する保険という考え方があるわけであります。それで自分で送る場合に、たとえば現金の場合につきましては、二千円について五円、あるいは現金以外の場合につきましては、二千円について一円というものを、そのときに保険料という意味においてよけい払っておいていただけば、その損害の起きた限度まで賠償する、かような建前になっております。
  116. 原茂

    ○原(茂)委員 その金額のあれは、申請の金額をそのまま認めるのですか。それとも中の金額を見ますか。
  117. 松井一郎

    松井政府委員 保険の建前上、実損額以上のものを弁償するわけにはいかないわけでありますが、これは通信の秘密その他ともいろいろ関連をいたしまして、一応私どもは、窓口にいらして、この内容として一万円なら一万円、二万円なら二万円というものを要償額としてほしいとおっしゃれば、一応それだけの料金を受け取りまして取り扱っておりますが、実際上の損害が一部分しかなかったというような場合には、やはりその限度しか支払えないわけでございます。これは保険の一般理論に従うわけでございます。
  118. 原茂

    ○原(茂)委員 いや、窓口で受け付ける保険の手続をするときに、持ってきたものの中身の金額を確認するかどうか、それを聞いているのです。
  119. 松井一郎

    松井政府委員 私どもは確認はしないという建前をとっております。
  120. 原茂

    ○原(茂)委員 この間郵便物が、しかも証券なんかの紛失事件が起きたわけですね。そういうことが中心になって、今までは書留だけで済んでいるものを、どうも郵便局を信頼できないということから、もう一ぺん書留の上に今言った保険——五十万円まで六十円ですか、何かをかけるというようなことで、非常に余分な料金を今かけておる。それが去年のあの事件を契機にして非常に多くなってきておる。こういうことは郵政省の重大な責任問題である。本来書留だけで済んでいたものを、その上に幾らまでは幾らというまたもう一ぺん保険をかける。前にはかけていなかったどころか、保険のあることを知らない人がずいぶんあった。私はもちろん知らなかったのだが、書留でその上に保険をかけるようになってきた。こういうことで、今のような持ってきたものの内容を確認していないのなら——枚の書面だけでも一千万円以上に値するような価値のあるものもある。書類を持っていって、これは十万円である、あるいは百万円だといっても、限度は知りませんが、そのまま確認していないのだとするなら、そのまま一体保険の責を負うのかどうか。それからこれは政務次官にお伺いしたいのですが、そういった従来書留だけで済ましていた国民が、とにかくあの事件があったことを契機にして、相当莫大な保険料をまたその上にかけているという現状、これは非常に国民生活に影響がある。特に有価証券業者はこのためにとんでもない予算を組むようになってきて、それがほかにもずっと敷衍されているのですが、こういったことを何かの機会に郵政として、今まで書留だけで済んでいるものには書留で大丈夫だというようなけじめを与えないといかぬ。これがずっと不安だ不安だというと、あらゆるものにみな保険をかけるようになる。中には保険の詐欺まで今言った松井さんの答弁では起きかねないというようなことも考えられるのですが、この点に対して郵政当局として、ああいう悪い不安感を与えたままのものにどこかでけじめをつけて、もう大丈夫だという安心感を与えるような努力を払う必要があると思うのですが、そういった措置を考慮されるかどうか。この点を一つ次官からお答えしていただいて、あと松井さんから、さっきの詐欺行為じゃありませんが、そういう心配もあるので、その点の答弁を伺いたい。
  121. 伊東岩男

    伊東政府委員 ただいま御質問のようなできごとが起ることは、まことに遺憾に存じます。そういったような不安を一掃することは、郵政省としての信用の上にも影響がございまするので、十分それらに対する対策を講ずべきものだと信じております。
  122. 松井一郎

    松井政府委員 御指摘のごとく、郵便物というものを信頼して出された場合に、それがなくなるあるいは棄損されるというようなことで損害を受けられるということは、これはまことに申しわけないことでございますので、郵便の信用上もそうしたことは極力なくしなければならぬ、かように考えておりますが、御承知のように何さま郵便物というのは、非常に多数の膨大なものを取り扱っておりますので、その間におけるそうした事故というものが絶対になくなるということは、世界じゅうどの郵政庁といえどもこれは不可能だとまで言えるくらいだろうと思います。ただその事故率というのは、私どもあらゆる方法をとりまして、極力これは少くしておりますが、そういった関係でなくなるものを絶無にするということはできない。そこでしからばなくなった場合にどうするかという場合には、二つの考え方があろうと思います。一つは、なくなった場合に無条件に全額賠償していくというのも一つの行き方だろうと思います。しかしそういう行き方をしますと、必然的に郵便物のコストというものを高くしていかなければならぬ。そこで結局なくならぬ人たちにも一般的にそれだけのものを料金的にかぶっていただくという行き方が一つと、そうではなくて、郵便物が取り扱われているうちで、パーセンテージで言いますと九割までのものはそうした有価物でない、ごくわずかの一割のものだというふうになりますれば、その一割の方に特になくなった場合の賠償を確保するという意味合いの保険料的なものを負担していただく。やり方としてはこの二つしかない。今日世界各国の郵便制度はどのような行き方をとっているかということを申し上げれば、全額無条件に賠償しているという行き方をとっている郵政庁は、私の知っている限りありません。やはりごく一部の人が高いものを送る以上は、その人に一般料金よりも若干高いものを保険料として納めていただいて、そのかわり万一なくなったときにはこれを賠償するというのがいいのではないかというので、私どもの現在の郵便制度はそういうやり方をとっているわけであります。  それから内容の確認の問題でございますが、これは非常に事務的な潔癖感から申し上げれば、五万円とおっしゃったが果して五万円あるかないかということを窓口でもって確認をして、そうして取り扱うというのも一つの行き方だろうと思います。ただこういう場合には、いろいろと信書の内容をどうするかというような問題とからみやすい問題が一つあります。それから利用者の方々にとっては、多くの場合、そういう現金その他をお送りになる場合においても、手紙その他もどうせ封入されますから、そういうときに封もせずに内容を郵便局で確認するということは、やはり利用者の側としてどうもいい感じは持てないという点、それから私どもこれは多数のものを取り扱っておりますのと、利用者の方々のうちの九九%までは私ども信頼して、善意にやっていると確信しております。一々内容を見なくても、自分が一万円しか入れてないのに三万円入っているというようなことを言って意識的に犯罪をなさろうという方は、これは絶無ではないかもしれませんが、きわめて例外で、その例外の方をおそれるがために善意の九十九人の方々に御迷惑をかけるということは、多数を取り扱っている郵便事業としてはとるべきじゃないというふうに私ども割り切っているわけであります。
  123. 原茂

    ○原(茂)委員 次官は善処しなければいけないというお考えがあるといいながら、実際には小一年たつのに善処してない。実際には国民に、そういった書留だけで済むものをその上にまた保険をかけさせるというようなことは、やはりその紛失事故のあった直後の措置が完全でないからで、まず第一の理由としては、あまりにおそ過ぎる。全然そのあとの措置がまだ適正に行われていない。やはり期間的にもうんと短かく、しかも適正な補償をすべきである。これをてきぱきとやらないから、そういった郵政に対する不安というものが増大されてくるというふうに考えるので、善処するでなく、もっと早くやるべきだ。去年のものがいまだにけりがついていないのですよ。一つこれは善処するということは口ばかりでなく、郵政の信頼を高めるためにも、もっとてきぱきやるべきだ。こういうふうに思います。  それから松井さんの実際に郵便物を持ってくる国民を信頼する態度は非常にりっぱだと思う。持ってくる者はとにかく一万円のものを五万円とは言うまい、ころいう信頼があるくせに、今度は損害が起きたときには、これだけの損害だったと言うと、その全額を補償しない。これは実に勝手に御都合主義的に答弁をしているだけで、もしほんとうに持ってくる人を信頼するのだったら、損害が起きたときに、その本人がこれだけ損害があったのだと言ったら、全額補償すべきである。こういう点、次官どうですか。
  124. 伊東岩男

    伊東政府委員 御指摘問題等についてはなるべく早く不安一掃、信用回復のためにやるべきだと思いますが、なるべく早く片づけるようにいたしたいと思います。
  125. 原茂

    ○原(茂)委員 時間がないそうですからこれでいいですが、なるべく早く片づける前に、今言った損害があったときにはそれらを信頼して、全額を申請通りに損害の補償の任に当るべきだ、こう思うのですが、これは一つ次会にいたします。
  126. 松井政吉

    松井委員長 次会は明後三月一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十一分散会