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1957-02-21 第26回国会 衆議院 逓信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月二十一日(木曜日)    午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 松井 政吉君    理事 小泉 純也君 理事 竹内 俊吉君 理事 橋本登美三郎君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 松前 重義君 理事 森本  靖君       川崎末五郎君    上林山榮吉君       椎熊 三郎君    平野 三郎君       粟山  博君    佐々木更三君       杉山元治郎君    原   茂君  出席政府委員         郵政政務次官  伊東 岩男君         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     永田  清君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小松  繁君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     溝上 けい君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     稲葉 駿作君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     池田 幸雄君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)     —————————————
  2. 松井政吉

    松井委員長 これより会議を開きます。  本日の日程に入る前に御報告申し上げます。本委員会委員でありました大麻唯男君は、昨二十日病のため逝去されました。まことに痛惜にたえません。ここにつつしんで哀悼の意を表したいと存じます。
  3. 松井政吉

    松井委員長 放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。質疑の通告がありますので、順次これを許します。原茂君。
  4. 原茂

    ○原(茂)委員 先日に引き続いて、ごく簡潔に三点お伺いしたいと思います。先日の委員会では、ソ連東ア向け放送に関して、特に中共に関する国際放送の問題についてお答えいただいたわけなんですが、今まですでに中共とはやっているから、中共の場合には今日これとは関連がない、国際放送を行うときには、国際的な波の割当を受けた範囲でやる場合においては、その他の手続協定等一切要らない、こういうお答えをいただきました。時間がないのでそのままになっておりましたが、私のお伺いたしたかったのは、著作権等の問題に関しては中共とやっておるとしますと、今日一体どういうふうになっているのか。少くともアメリカあるいはヨーロッパ諸国国際放送を行なっております場合には、著作権に関してはやはり特定会議を持つなり、話し合いを行なって後に実際の放送が行われているように考えておるわけであります。中共とはそういった面に関しても打ち合せがすでに済んでおるのか、あるいはソ連あるいは東ア向けといわれますが、こういった国際放送を行うときに、事前にこういった面の打ち合せを必要とするかどうか、この二点を先にお伺いしたいと思います。
  5. 伊東岩男

    伊東政府委員 ただいまの御質問、非常に重大な問題でありまして、従って担任の局長からお答えさせることにいたします。
  6. 濱田成徳

    濱田政府委員 本件につきましては、日本放送協会に答弁させていただきます。
  7. 永田清

    永田参考人 ただいまの御質問のことでございますが、中共向け放送につきましては、従来華南、華中、華北向け放送をやっておりますので、それをあらためて言葉の上で中共向けというふうにする必要があるかどうかについては、まだ考えをきめておりません。実際には国際放送は重要であるという段階において、どんどん進めておる次第でございます。  それから著作権の問題は、これは各国共通著作権法に基いて進めるわけでございますが、あるいは御質問外になるかもしれませんが、放送は従来の著作権そのもの規定の上に行いますが、放送そのものに一体どういう著作権に類する権利があるかということは、国際的に疑問になっております。ベルヌ条約がまだ確定的になっておりませんので、あらためてこの三月にモナコで国際会議が開かれますので、その専門家を出発させることにして、間もなく国際会議に出席することになります。具体的には所管の者からお答えさせることにいたします。
  8. 稲葉駿作

    稲葉参考人 ただいまの御質問の要旨は、国内放送したものを海外放送に出した場合の著作権をどうするかというふうに解釈してよろしゅうございますね。それでございますと、著作権の方に認められておりますように、同じ番組を出しました場合に、三割だけよけいに出しております。
  9. 原茂

    ○原(茂)委員 国内手続はそれでいいのですが、今日日本では国際放送をやる場合に、特定の国との間に著作権相互にどちらもペイしない、ノーペイでいこうという協定のできている国もあるのじゃないのですか。その点を一つ
  10. 稲葉駿作

    稲葉参考人 国際的著作権について会議がございまして、そこできまりましたことは、お互いにその会議に参加した国はその著作権を守ることにいたしております。詳しいことにつきましては、私ただいま資料を持っておりませんので、次回によく調べて持って参ることにいたします。
  11. 原茂

    ○原(茂)委員 資料をお持ちないのでしたら、この次お伺いしたいと思います。現在著作権相互に相殺をして、お互いノーペイでいこうという特定の国との約束のできているのが、何カ国かあると思います。それに準拠して、たとえば中共あるいはソ連と、これから放送が行われる場合に、この二つの国を相手にした場合に、著作権に関して一体どのような処置を講じようとするのか、何ら話し合いもしない、協定もしないで、とにかく国際放送の場合は、バンドの範囲内であればよろしいのだという建前でいこうとするのか、こういった面に関しても、他の中主主義国家とやっているような著作権協定をやっていくのか、共産圏諸国とはこういう面については全然何らの取りきめもしないで今後もやっていこうとするのかということを、ついでにあわせてお調べを願いたいと思います。  次にお伺いしたいのは、NHK当局説明を聞いておりますと、テレビジョンの第二放送という言葉が出てきます。政府意見書を見ますと、テレビジョンによる教育放送という言葉が出ているだけでありまして、テレビジョンの第二放送という言葉は出ていかいのです。これとFM放送カラーテレビという言葉が、協会の方からま出てくるし政府の方からも出てきますが、この政府意見書NHK説明をよく調べていきますと、カラーテレビによる新しい第二放送的なもの、あるいは教育放送的なものをやろうとするのか、そうでなくて、現在行われておるテレビカラーテレビにしようとする全然別個研究意図が別にあって、そのほかにテレビによる第一放送というものを考えておるのか。ましそうだとすれば、それと政府意見書にあるテレビによる教育放送というものは、一体カラーテレビをさすのか、協会が言うテレビによる第二放送をさしておるのか、この関係が非常にあいまいで、どう見てもよくわからないので、これを二つに分けて説明していただきたい。
  12. 永田清

    永田参考人 協会側立場といたしましては、きわめて単純に、かつまた公共放送としての職責をいかに果すかという立場から、今後のテレビ並びにFM放送について様々な計画を持っておる次第であります。それでテレビの第二放送ということにつきましては、協会としては教育——かなり専門的な専門的と申しますのは教育放送ということについての新しい概念規定並びにその内容、そしてそれは時代の進展に応じて今後そう重要になるだろうという考えのもとに計画中でございます。もちろんそれをやらせるかやらせないかということは、国家あるいは大衆決定するでしょうが、われわれは責任上どうしても社会の進展に応じてそういうことが非常に重要になるのだというふうに判断いたしますので、協会としてはその責任上いろいろなプランを当然持っていなければならぬということから、実は長らく研究しており、ことにテレビでは早くから——二十年前から学校放送教育放送の仕事をしているわけでございますが、テレビはだんだんそういうことになりはしないかという想定のもとに案を持っておるということでございます。そうしてそれは現在は白黒テレビ考えております。それからカラーテレビにつきましては、現在の白黒テレビ以外にカラーテレビがシステムとして実現するという意味ではございませんで、技術の発展に応じまして白黒がだんだんカラーテレビに変っていく傾向が見えておりますし、各国ともその研究を進めており、現にアメリカでは白黒カラーにほんの一部だけ変りつつある状況でございますが、これは非常に金がかかりますし、また実際に日本の場合には受像機がなかなかできませんので、協会としてはどんな場合でもやはり国産化が行われるということでないと値段が高くなりますし、また国の経済全体から見ても、それを目安にしていくというわれわれの行動が正しいのだと信じております。そうなりますとカラーテレビはまだほんの実験段階でございまして、また実際カラーテレビについてのいろいろな国際的取りきめも全然できておりませんので、明年あたり国際会議が開かれるであろうという想定のもとに、いろいろな実験データを集めているという状況でございます。従ってカラーテレビ技術的な問題で実験研究をやっている、国際的にもまだ何らきまっておらない、こういう状況でございます。将来はだんだん白黒の中にカラーが入っていくだろうという意味での技術研究にすぎない状況でございます。  それからFMにつきましては、これは新しい技術の展開が行われて、御承知のようにFMはいろいろな意味で利用されておる次第でございますが、日本では実際に受信機を持っている人は非常に少いと思います。まだこれからだと思いますが、これは非常に特質がございますので、これも当然実験して、もし大衆に利便を供するという形に展開していけば、それに応じて考えていかなければならないという意味での実験段階でございます。詳しい技術的のことは技術専門家からお答えすると思いますけれども、一応放送協会としては、そういう意味職責自分で果すべきものは一応やることになるだろうと思いますが、これをどう御決定になるかはほかの問題だと思っておる次第でございます。
  13. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、今協会でお考えになっているテレビによる第二放送、これが政府意見書にあるテレビ教育放送とイコールのもの、それからFMというのは第三放送のことを解っている、こういうふうに御説明があったと思うわけです。カラーテレビに関しては目下研究中で、テレビの第二ができるとすると、第一、第二ともに白黒考えている、カラーテレビ別個の問題として目下研究を進めている、こういう御説明ですね。  そこで二点お伺いしたいのですが、カラーテレビに関しては研究者研究の進む度合に応じて、これからいつやるかがきまっていくのか、一応はカラ・テレビというものをいつの目標で実現するのだ、そういった目標テーマを与えて技術者研究さしているのか。全然ノン・テーマで、少くとも時期に関しては目標を持たない、その技術者の気の向くままに、その技術研究の進むままにまかしておいて、時期というものに全然目安を置いていないという立場をとっておられるのか一応いつの年度から少くとも現在のテレビカラーにしたいといった目標を持っておられるのかどうかが一つ、もう一つFMの問題ですが、FMの第三が行われるということで一番重要な影響があるのは、今日の受信機を全部思い切って変えなければいけない、新しい受信機を買わなければいけないというようなことが常識上考えられるわけです。しかし今日の短波放送に使われているような、あのチューナーというのがありますが、ああいった三百円か二百円くらいのもので、それを一つ取りつけると簡単にFM受信できるのだといったようなものも、しろうとで私にはわかりませんが、研究すればできないことはないだろう、こういうふうに私は考えるわけです。これは技術の革命的なものかもしれませんが、少くとも第三放送が行われる、FMが行われると、その第三を聞くために別個のラジオを民間でわれわれが全部買わなければいけないのだということを考えると、今日協会技術的な方向としてはそういうことをさせないで、小さな、ごく低廉な安い部品を一つつければ、今の短波が聞けると同じようなチューナーにかわるようなものをやはりFM用として作る、技術者に一応そういうテーマを与えてそういった研究をさしていかなければ、第三放送を云々するときに一番重要な問題で大きな穴があいてくるのじゃないか、こう思うのですが、今の協会の持つ技術陣に対してそういったようなテーマを与えておられるのかどうか、それに対して全然テーマを与えずにやってきているのかどうか、この点一つお伺いしたいと思います。
  14. 永田清

    永田参考人 技術上の問題でだいぶ重要になって参りますので、副会長からお答えしていただきます。
  15. 小松繁

    小松参考人 第一の御質問カラーテレビジョン研究、それの時期等につきましては、御承知のように、現在NHKでは技術的な研究におきましては、ごく部分的な研究はすでに研究室研究が大体終ったと申し上げてもいい段階にございます。きわめて一部分部分品につきましてはまだ国産化の目透しが立っておらないところはございますが、ほとんど大部分研究が終った状況にございます。そうして現段階ではこれを実施に移すべき場合の総合的な資料の収集を目標にして、実験をいたしておる段階でございます。これの目標につきましては、具体的にただいま考えられますことは、来年モスクワで開かれます。カラーテレビジョン標準方式決定に関する国際会議までに、日本側——これはNHKと申し上げますよりも、日本政府側でも非常に重要な事項だと存じますので、われわれ協力いたしまして、そうしたものの研究結果を早く得たいと考えておるわけでございますが、その国際会議に提出できる日本側の案になります具体的な資料を得るための実験研究を、今進めておる次第でございます。実施可能性見通しに関しましては、技術的にはもうほぼ完成に近い第一段階に一応ございますが、今申し上げました次の目標は、国際会議に提出できるだけの、日本側の確固たる標準方式決定できるだけの資料を得るのを今目的として研究を進めておる段階でございます。  それから次のFM受信機に関しましては、今度提出いたしております昭和三十二年度事業計画にも載っておりますように、三十二年度早々におきまして実験放送を開始したいと考えております。技術的にはほとんど研究する余地がないまでに究明されておるというふうに考えております。たださしむき実験放送を始めます目的は、これが本放送に入りますまでには日本メーカー側におきまして、低廉な受信機需要者に提供できる段階には現在ございませんので、実験放送によりまして、それを利用されてメーカー側が低廉なる受信機一般需要者に提供できる時期をそれによりまして醸成したいという目標で、実験放送を始めるつもりでございます。そういう態勢が整いましたときに、日本の国としてFM放送を始める時期が醸成されましたときに、われわれは本放送を始めたいというふうに考えておるわけであります。
  16. 原茂

    ○原(茂)委員 小松さんのお答えの中で、今のFMの実際の放送が始まったときに一番困るのは、受信機を新しく買わなければならない状態にわれわれの側はなるわけです。そういうことをしないために、今短波チューナーをつけていますが、ああいった簡単な三百円くらいのものを一つつければ、現在の受信機FM受信ができることになるような研究をきせておるかどうか、またさせるべきじゃないかと思うのですが、そういった指示をしているかどうかをお伺いしたわけです。
  17. 小松繁

    小松参考人 今の方式の問題について、実はこの問題は技術的には一応検討してございます。残念ながらFMは現在の放送用受信機とは根本的に違った方式でございますので、これを変換する方法というのは技術的には相当困難な方法でございます。従いまして、この受信は割合に簡単な問題ではございますが、経費の点において必ずしもそう安くはないというような検討は実は加えてございます。これを実施に移す場合の経費の見込みとか、あるいはどのくらいの経費を要するか、これについては検討を加えてございますが、技術的には特に根本的に研究しなければならぬという要素は非常に少いと存じます。むしろメーカー側が、これを非常に量産的に、あるいは低廉なるものを生産する生産工程の方に研究が必要かと存じます。そういう意味で、実験放送を始めることによって、その問題はメーカー側において相当進捗できるのではないかというふうに見通しているわけでございます。それからもちろんその問題につきまして、当研究所もメーカー協力態勢をとりまして進めておりますし、また今後実験放送実施に移すにつきましては、もっとその程度は進められるというふうに考えております。
  18. 原茂

    ○原(茂)委員 その点小松さんも技術者だかうどうしてもかたいと思います。方式が全然違うのだから、ちょっと新しい受信機を作らざるを得ないという考え方に技術者の方はなる。私どもしろうとはそんなばかなことがあるかという考えになる。そういう考えにならないと新しい発明はできないと思うので、思い切って一つむちゃな注文でもつけておいてやらせる。そうすると、民間でもう七、八〇%までできそうなところまでいっている研究一つあります。私の友人がやっているのですが、そういったものも、ある程度真剣に協会なら協会の大きな力で業界にアドヴァイスしてみたり、御自分自身でもそうしたむちゃなテーマを持って研究すれば、受信者が助かると思いますので、これは研究を続行していただきたいと思います。これはあきらめないでしていただきたいと思います。  次に経理の問題で二点お伺いいたしますが、放送債券を五億、五億で十億今回発行するという計画があるようですが、今までの放送債券状況はよかったようですが、本年度他の公社、あるいはその他の債券等と勘案してみて、この合計十億の債券を発行することに、全然無理もなく順調に計画通りいく見通しなのか、その点一つ
  19. 池田幸雄

    池田参考人 お答え申し上げます。実は原委員から御指摘の通り、われわれも市場の人気と申しますか、放送債券消化について非常に懸念しておりまして現実に十二月に、承認を得ました三十一年度予算の中で三億放送債券を出しております。それが非常に早く消化されましたのでほっとしているのでございまして、三十一年度の最初に出しましたのは今申しましたように十二月でございますが、残りの放送債券はこの三月に三億五千万出さなければならぬ。その点につきまして非常に懸念いたしまして、今ほかの債券が多少売り悩んでおりますので、それを調べておりますが、今のところ大体消化見通しを早期に持っております。御指摘のように今まで私たちは銀行の方へ依存しておりましたが、やはり一般大衆にも依存度を深めていかなければならないのじゃないかという懸念はいたしておりますが、ただいままでのところは消化が非常にいいので安心しております。
  20. 原茂

    ○原(茂)委員 時間がないようですから、今の債券の問題でなるべく早く民間消化というものに大きく手を打つような考慮を払っていただきたいと思います。  それから最後にお伺いしたいのは、人件費の問題です。定期昇給分のほかに月額七百円の調整原資というのですか、これを見込んでおる。この調査原資という言葉は私は初めて見たように思うのですが、これはベースアップ意味しているのですか。
  21. 池田幸雄

    池田参考人 お答え申し上げます。三十二年度予算で認められております調整原資は、実は私たち職員勤務年数、学歴それから他社と比較してみますと全産業なりあるいは人事院の記録を調べてみましても、特に他産業に比べて低いところは、案外勤務年数の長いところが低いのでございます。大体二十年前後から二十五年くらいのところまでが、他産業に比べまして指数が低いのでございいます。そういう意味合いで調整原資をお認め願うことによって、そういったでこぼこをできるだけふさいでいきたいという考えで計上させていただいたわけであります。
  22. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、ウエートはでこぼこ調整に置いてあるのだけれども、結果的には定期昇給のほかにベースアップが平均七百円できるのだ、こういうことになりますね。
  23. 池田幸雄

    池田参考人 平均的に七百円一律に上げるという意味ではありません。定期昇給分のほかに、その調整原資をもって調整し得るというように考えております。
  24. 原茂

    ○原(茂)委員 同じように思いますが、まあけっこうです。それでこの七百円の調整原資というのは、でこぼこ調整にある。しかし結果的には私は  ベースアップになると思うのですが、七百円という調整原資を出されるのは、協会当局だけの意見なんでしょうか、それとも組合なら組合との話し合いといいますか、ある程度意向を打診する折衡を行うというようなことも行われた後に、この七百円というものが出てきたのかどうか、これは協会の側から一つ。それから政府の側にお伺いしたいと思うが、人件費予算の問題全部ひっくるめて、事業計画収支予算ですが、こういうものを協会一つ計画を持って作る。すると郵政省としては、これに対して認可を与えるとか、あるいは承認を与えるというようなことが必要なんでしょうか。そういうことは全然必要としないのかどうか先に協会から一つ
  25. 池田幸雄

    池田参考人 組合から出ております来年度給与についての要求は、今のお話しになりました七百円ではございません。簡単に申し上げますと、定期昇給のほか本給を一律に一五%引き上げること、それから住宅手当として毎月ある一定の金額を支給すること、それと地域給を低い方を上に上げること、大体そういう要求組合から出て参りました。もちろん御承知だと思いますが、十二月から最近まで何回かの団体交渉をして参りました。組合の言っております給与が他産業に比べて低い、できるだけ追いつけてほしいということは、私たちも一応もっともだと思っております。しかし私たちとしましては来年度の総収入を考えましたり、実績を見て、でき得る限度は先ほど私申し上げましたように、七百円の調整原資をいただいて、少くともまずでこぼこを調整していこう、そうして一歩でも近づけていこうというふうに考えます。これで十分だとは私たちも思っておりません。
  26. 濱田成徳

    濱田政府委員 郵政省NHK収支予算国会に提案します前に、NHK当局と原案につきましていろいろ事前に打ち合せ討論等をやりまして、大きな食い違いがないようにする。そうして国会郵政大臣意見を付して提案するということをやっております。
  27. 原茂

    ○原(茂)委員 そうすると、承認とか認可ということは必要としない、いろいろディスカッションを行うが、最後には意見を付して国会に提案する、それが郵政省立場だ、こういう御説明だったのですが、どうも仄聞するのに、こういう協会の側にも悪い慣例があるのじゃないかと思うのですが、ディスカッションをするというときに、もうすでに郵政省側の何かある意図というものを協会の側は押しつけられて、これ以上言っても郵政省でうんと言いそうもないというので、多少退嬰的な気持から、郵政省考え——郵政省はこうしろという言葉を使わないのでしょうが、何回折衝してもほかとの関連においてこれが妥当ではないかということでしつこくやられると、これ以上は無理だろうというので、協会側はどうしても郵政省意図の中で、こういう収支計画なり何なりを作ろうという気持にいつもなってきているのじゃないか、こう思うわけです。これはずいぶん抽象論になりますが、協会の側にもお尋ねしたいのですが、先ほどの池田さんのお答えでけっこうですけれども、まだこんなもので満足ではない、満足ではないが、現状やむを得ないからこうしているのだというので、この昇給原資の問題に関してはその御答弁でやむを得ないと思いますけれども、少くともどこかで一度協会郵政省が実際にこういう問題に関するあり方というものを断ち切らないと、いつまでたっても同じような惰性で、何か郵政省のごきげんをとりながら、あるいはその意中をくみ取りながら、その範囲自分でみずからだんだんワクを作っていくというようなことを今までずっとやってきているように思うわけですが、そういったことをまず協会の側から、少くとも今日そういうようなことをやっていないとか、やっているのだとか——やっていないとお答えになるだろうと思うのですが、もしそうならそういう意図はくんでいないと、はっきりどちらかに一つお答え願いたい。それから政府の側からもおそらくそういうことは全然ないというふうにお答えになるかもしれませんが、少くともこういうものができるまでには、過去の折衝の過程において、御自分たち郵政省考えている範疇からうんと飛び出したものが一つでも出てきているかどうか、そういった面を一つ政府の側からお伺いしたい。
  28. 永田清

    永田参考人 お答えいたします。協会財政につきましては、われわれ別に郵政省からいろいろ拘束を受けるということは実際にございません。ただ協会といたしましては、御承知のように給与も合理化しなければなりませんし、また老朽設備の改善も行わなければならないし、また新しい社会的任務が次々と時代の進展に応じて生まれて参りますし、それから技術の進歩もまた目ざましいものがあって、これに立ちおくれてはならないということもあるし、重ねて日本の国際関係も非常に重要になっているし、国際放送も拡充しなければならないということで、今重要な問題が山積しているのであります。これはどれ一つとってみましても、すべて手放しできないということで、経理的にははなはだ難渋いたしております。それだからこそ問題を重点的に合理的に、日本放送協会はどうあるべきかということで十分の研究をいたしておる次第でございますが、収支の面で、そういうことからはなはだ重要な研究を要する段階に入っていることは確かであります。協会としては以上申し上げておきます。
  29. 濱田成徳

    濱田政府委員 NHKは、収支予算の編成につきましては全く独自の判断でやっておりまして、政府は何らこれに干渉あるいは政府考えを押しつけるというようなことをやったことはありません。今後もそういうことをやるつもりはありません。
  30. 原茂

    ○原(茂)委員 今までもそういうような答弁をいただいているわけですが、今回もそういうことがはっきり確認されて、これは一つ協会にお願いしておきたいのですが、特に人件費の問題から私こういうことを申し上げるのですが、協会は独自の立場で、郵政省の意向を事前には全然聞かないで、人件費の問題に関しあるいは収支に関して独自の立場で思い切った案を出していく。そうしてそれに郵政省がどういう意見をつけるか、あまり前に意見調整をしないで——少くとも人件費については郵政省協会の間で相当意見調整ができておると思う。そうでないというお答えですが、独自の立場で思い切ってお出しになるというきぜんたる態度を——新しい会長も来られたここらでそろそろけじめをつけないと、いつまでも惰性が断ち切れないわけです。永田さんにはやっていただけるだろうと期待しておったのですが、今回もまた七百円というような金額を見ますと、やはり郵政省となれ合いがすでにあったと私は考える。そうではないそうですからやむを得ないのですが、もう少し独自の立場でお考えになって、郵政省が何と言うか、一つ思い切って郵政省意見をつけさしてみたらいいと思う。そういうことをおやりになるには、会長のかわられたことしが一番いいチャンスであると期待していたのですが、期待に反しております。しかし池田さんから、非常に不本意だ、この金額ではまだ不十分だというお答えがあったので、ことしはその辺でやむを得ないと思うのですが、なおもう少し一段と工夫をして、こういうアップに関する問題は、もっと従業員の身になって考えてもらいたい、こう思うわけです。  最後にお伺いしたいのは、これは協会の側に特に一点お尋ねをしたいのですが、新しく会長が前の古垣さんから永田さんにかわりましたが、協会の今の方針が昨年度と比べてどんなところが新しい特徴として変っていこうとしておるのか、新しい陣容ができましたから、この協会の新しい陣容で、新しい事業計画は大体ここに盛り込まれましたが、その他の問題に関して、協会運営について今までと違う、一つこういう新しいものを新しい意気込みでやるのだといういろいろな方途があると思う。そういうものを簡潔でけっこうですから一つお聞かせを願いたいと思います。
  31. 永田清

    永田参考人 大よその具体的な方向につきましては、一昨日申し上げたようなことで進めておる次第でございますが、基本的な方向は、私が会長になろうとなるまいと、放送協会自体は、世の中の進展に応じて自分職責を草していく義務がございますので、それに応ずべきだと思いますし、また実際最近の電波事業は、その内容においてまた技術の点において、さらに社会的影響においてきわめて重大化しつつあるとお互いに自覚しております。そういう方向に向って、内容もできるだけ健全娯楽と正確な報道と教育、教養に進んでおります。特に教養につきましてはこれを強化いたしまして、何か日本放送協会のやっておる仕事が、日々の仕事でありながら、そうして大衆的基盤に立ちながら、また日本全体の文化の向上並びに国民福祉に寄与できればという念願が基本的な方向でございます。重ねて重点を置いておりますのは、国際関係のことでございまして、皆さん御承知のように現在、日本は戦争を通じて被害を受けたわけでございますけれども、国際的関心ないしはその評価はきわめて高まっておりますので、今後は文化の交流その他を通じて日本の国際的地位がよく了解され、またそれによってその地位が高まっていくように努めて参りたいということで努力をいたしておる次第でございます。同時に協会自体も徹底的に内部合理化をやりまして、大衆的基盤に立っておる以上は、そういう意味で公けのものを預かっておる次第でございますから、十分内部的な合理化の線を強化して、それらの重要な仕事を、ただ普通の形でと申しますか、仕事が多くなったから仕事をやっていくということ、これは当然でございますけれども、何か協会内部からもどんな小さいことでも十分節約をして、今の仕事に寄与したいということで、全員結集いたしておる次第であります。
  32. 原茂

    ○原(茂)委員 最後にと言っておいてまた立ち上ってはおかしいのですが、時間がもう少しあるそうですから、もう一点政府にお伺いしておきたいと思います。先回の委員会で橋本委員質問に対して、次官からか濱田さんからかお答えがあったのですが、周波数の割当等を通じて、政府の側とすればある程度——統制という言葉は使いませんが、規制をしていくのだという御答弁があったわけです。周波数の割当を通じて規制をするというようなことが、実際に政府意図としてもしあるとすれば、少くとも放送事業というものに対する統制あるいは規制というものを、周波数の割当によってやろうとする、その範疇は非常に狭いものになってこないか。これがもし非常に広くなってくると、大きな語弊が私は出てくると思うのですが、この点はどういう意味で言われたのか。周波数の割当を通じて規制をしていくのだ、こういつたことに対する規制の範囲は、一体どういう点を規制しようとするのかその範囲というものを一つお伺いしておきたい。  それからもう一つは、そのお答えの中で最後に、やはり政府の意を体して——石橋アワーの問題ですが、政府の意を体して放送事業を行う必要があるということもお答えがあったわけですが、私はその政府の意を体するという言葉から、放送事業に対しての基本的な考えをお伺いしておきたいのです。一体放送というものを通じて広く国民に訴えていく、あるいは国民の世論を喚起するというようなことを行うときに、政府の意を体するということは、どういう手段で政府の意を体し得るのか、政府の意思というものを、国民にラジオを通じて周知せしめようというときに、その政府意図を一体どこでつかもうということになるのか、この二点を一つ……。
  33. 濱田成徳

    濱田政府委員 申すまでもなく電波は国民のものでございます。その電波を公平かつ能率的に配分する事務を政府がやっているわけであります。すなわち、だれが電波を使うかということをきめる役目をやっているのであります。その際に多くの人の意見を聞いてやるわけでありますが、そういうある関門を通す事務的な役割を政府がやっていることを、この前あるいは私が規制すると申し上げたかもしれませんけれども、そういう意味であります。その関門を通ったあとにおいては、全く言論は自由であります。何ら政府は監督する意思はないし、あってはならないというような考えであります。それが第一問に対するお答えでございます。第二問は……。
  34. 原茂

    ○原(茂)委員 政府の意を体するというのは、どうやって意を体するのか……。
  35. 濱田成徳

    濱田政府委員 ですから今申し上げましたように、NHK放送の内容につきましては、政府は何も意見を言う意思はありませんし、全く放送事業者の自由である、そう考えております。
  36. 松井政吉

    松井委員長 暫時休憩いたします。午後一時より再開いたします。  午後零時五分休憩      ————◇—————    午後一時四十九分開議
  37. 松井政吉

    松井委員長 これより逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題とし、質疑を続行いたします。竹内俊吉君。
  38. 竹内俊吉

    ○竹内委員 最初に国際放送についてお尋ねをしたいのであります。   〔委員長退席、森本委員長代理着   席〕  国際放送は、言うまでもなく非常に重要な放送でありますが、放送である限り、これは現地によく聞えなければ全くナンセンスなわけでありまして、それについて資料を求めたのでありますが、出てきておりませんので、その点をまず伺いたいと思うのであります。  会長説明、大臣の事業説明等によると国際放送は非常に効果を上げておるという意味のことをうたっております。私は一昨年から昨年にかけて主として放送事情を見るために世界を一回りしましたが、私の経験したところによると、日本国際放送は必ずしもそうよくは聞えていない。いわゆる難聴地域というべき個所が各所にあったわけでございます。それで昨年の委員会においてこの問題についてお尋ねをして資料をいただいてみますると、NHK側の資料によっても、十三方向のうちの約半分はあまり芳ばしい成績ではないという資料をちょうだいし、四分の一は優良可のうちのほとんど可に近いという成績であったわけであります。その後増力等をしてよくなったという事実がわかるような資料をほしいという要望をいたしたのであります。ところが出てきておりませんので、増力後の国際放送の良聴、難聴の成績はどうなっておるか。特に私が昨年当委員会政府に要望いたしましたことは、国がこの国際放送に支出しております経費は、今の国際放送の重要性からすれば決して十分な経費ではないけれども、国の財政としては相当な額である、これだけ国が支出をしておるのであるから、政府みずからが国際放送がどういう成績を上げておるかということの実績を調査されて、NHKの調査と政府の調査とをわれわれが照合して判断したいから、その調査をしてほしいという要望をいたしたのに対して、たしか濱田局長から、その方向に向いたいと思っておる、手配をしたいという御答弁があったはずであります。それが今日どうなっておりますか。政府みずからがこれを調査されておるかどうか、もし調査されたとするならば、その結果についての御説明を伺っておきたい、こう思うのであります。
  39. 濱田成徳

    濱田政府委員 御指摘のごとく国際放送受信感度の問題は、非常に重要な問題であります。私どもも常に関心を持っているところであります。それでこの前の委員会で、その手配をするようにしようというふうに申し上げましたが、郵政省には世界各地にまたがるところの調査をやる予算等がございません。それでその方面ではNHKにお願いしまして、ふだんもやっておられますけれども、さらに調査をし、的確な資料をつかむようにお願いしてありますので、最近の状況につきましてはNHKの方から御答弁を願いたいと思います。
  40. 永田清

    永田参考人 国際放送につきましてはお説の通りきわめて重要であり、かつまた実際に波を出しましてもこれをどう聞いているかということによって問題が決定するわけですから、私も昨年世界各地を回って国際放送状況を調査して参ったのであります。事実上NHKとしましても絶えず連絡機関を設け、また状況調査についての資料を整えておりますので、副会長よりお答えをいたさせます。
  41. 小松繁

    小松参考人 大体世界各地に向けて出しておりますきわめて概要を申し上げまして、もし詳細のものが御必要ということになりましたら、後ほど資料をお出ししたいと存じております。一応私の方で調査いたしております調査先でございますが、全世界の受信者——受信者と申しますのは一般に特にこの問題について報告を聞き、もらっておる一般の方でございますが、同時に在外公館、それから日本の商社の出先の方、在外邦人、それからNHKの海外派遣員等につきましてアンケートを出し、実際に調査をしております。昨年一年間について申し上げますと、一月から各月ごとに全部集計してございますが、現在放送しております大部分の地区につきましては、良以上の成績でございまして、可、いわゆる実用にはなっておるが聞え方が少し悪いというふうな成績のところもございます。そのうちで必ずしもよくない可に属するような地区は、大体ヨーロッパでございます。しかし大部分のところは、可ではあるが一応実用になっておるという成績になっております。近くのアジア方面ではほとんど全部良以上の成績になっております。なお昨年申し上げましたように、同じ地区でありましても、きわめて特定の地区または特定の時期につきましては、必ずしも聞えておるという状況でない特殊な場合も変則的には出て参っておりますが、ただいまのは総括的に申し上げました成績でございます。もし詳細御必要となりますと、ここで一々申し上げますだけの時間もないと思いますので、資料としてお出ししてもけっこうでございます。
  42. 竹内俊吉

    ○竹内委員 ただいまNHK側の御答弁によって大部分は良以上の成績だということで、大へんけっこうだと思いますが、その各地域別のものを資料としてあとでお出し願いたいと思ます。  もう一つは、政府当局がこの国際放送の効果、実績についてよく調査されていないわけであろうと思いますが、三十二年度にこれをやる考えがあって、予算要求等をしましたかどうか、その点だけを……。
  43. 濱田成徳

    濱田政府委員 この問題につきましては、政府当局みずからも調査をする必要を感じまして、予算の措置をやったのでありますけれども、なかなか困難な事情でございます。しかしNHKは海外に人を派遣する便宜も相当あるわけであります。その外貨の獲得等につきまして援助するような措置をやっております。もし万一政府の方の予算が取れないような場合でも、必ず調査ができますように、とにかく万全の措置を講じたいという措置をやっております。
  44. 竹内俊吉

    ○竹内委員 これは政府みずからがこれだけの国費を支出しておるのでありますから、一度くらいは政府みずからが調査した資料を整えて国民の前に示していくということは、当然の義務だろうと思います。この点について政府の御努力を願いたいと思います。  この問題はそれだけにして、次にNHK側にお聞きしたいのであります。が、NHKとして難聴地域の解消がきわめて重要な任務、使命であるということは、会長説明にもうたわれておる通りでありまして、その成績は非常によろしい。三十一年度においては、第一放送において九九・二%、第二放送においては九五・三%に達した。そして三十二年度計画においてはいろいうのことをやりますために、良聴区域は第一放送においては九九・七%、第二放送においては九七・〇まで拡大される見込みである、こうあつて大へんけっこうであります。そこで難聴地域とかあるいは良聴地域とかいう地域のとり方について、私はいささか疑問を持っておるのであります。と申し上げますことは、NHKは言うまでもなく全国番組のほかにローカル番組を放送しておるわけでありますが、この区域のとり方については、ローカル番組の良聴、難聴をも含んでどういうとり方をしておるのか、全国番組だけを基準にして良聴、難聴を決定しておるのか、この点をお伺いしたい。
  45. 永田清

    永田参考人 お答えいたします。これは非常に技術的に困難な点でございまして、普通常識的にはカバレージの計算は電波の及ぶところという範囲内で、概括的な規定をいたしておりますが、御承知のように日本はほかの国と違って非常に山が多くて、地勢が電波を妨げる状況でございますが、これについてはカバレージの普通の考え方以上に、各地区についての実態調査がなければならないということで、今の御質問は実態調査から見てその普通カバレージとの間の食い違いがありはしないか、これはまさにその通りでございまして、この点については個々の技術的な研究で完成したいということにしておりまするので、技術担当理事から十分御説明をいたします。
  46. 小松繁

    小松参考人 ただいま竹内委員から御指摘のあった数字でございますが、これは法定されました強さをもってはかりまして、表現していいますと全国放送という言葉にも該当するかと思いますが、NHKのどの局かの電波がその法定の強さになっておる以上の地区につきましてそのパーセンテージになっておるわけでありまして、ローカル番組には無関係の数字でございます。
  47. 竹内俊吉

    ○竹内委員 そうであろうと思うのでありますが、実際この放送を聞いておる地方の人々はローカル放送、つまり秋田でいうならば秋田県民というものは、行政区域の中のどこかの局の放送を聞きたいわけであります。青森県でいうならば弘前局の放送を聞きたいわけであります。ところが聞えない。その地域は——私ここに資料を持ってきておりますけれども、一々申し上げるのもなにでありますから申し上げませんが、こういう事態は全国に相当数あるわけであります。つまりローカル番組も聞けない、そういう意味で隠された谷間がある。それらといえどもどこの局のものでも聞えさえすれば、カバレージの中に入るのだ、電界強度を計算してみてそれできめて九九・七だ、もう少しで一〇・〇へいくわけですから、全国あまねく放送が聞えているのだ、放送法第一条にうたわれている任務はこれで施設的にはいいのだ、こういうことになると、実際NHKが負っておる任務と非常に遠い結論が出されると考えるわけであります。そこでわれわれとしてはローカル番組を組んで地域社会に密接した番組云々ということを大臣もうたっており、あなたの方の会長もこれだけ強調しておるならば、そのカバレージというものがそういう意味でもはやローカル番組をも加味した、ないしはそれをむしろ大きく見たものから計算して、まだ足りるとか足らぬとかという結論が出るのでなければ、NHKの任務に非常に大きい誤まりが生じはしないか、こう考えるわけであります。そこでローカル放送の番組と地域の良聴、難聴の関係は今日実態はどうなっておるか、こういう谷間がどのくらいあるか、世帯数にしてどのくらい、人口にしてどのくらいあるか、これはあなたの方に資料があるはずでありますから、この場合それを明らかにしてほしい。
  48. 小松繁

    小松参考人 御指摘のようにローカル放送というものは、放送法でも地域別放送を行なえというふうになっておりまして、われわれとしては理想的にはさしむきの段階といたしましては、県別に全県あまねくというふうに考えたいと努力しておるわけでございます。一応それに対しましては先般来この委員会でもいろいろ御意見を伺いましたが、県別放送というものはまた別個一つの性格というふうに考えておりまして、この特定の地区につきましては一応また別に考えておりますが、大体県別サービスをできるだけ理想的な形に近づけたいという方向でサービスを考えております。そういう意味の地域別放送の普及程度を申し上げますと、全国放送の形におきましては現状では第一放送九九・三%、第二放送九六%であります。県別放送に直して申しますと第一放送では九七二一%、第二放送では、八九・四%という状況になっております。
  49. 竹内俊吉

    ○竹内委員 私の勘からすると、県別放送の長徳地域のパーセンテージは、もっと低いのじゃないかという感じが強いのであります。私は東北におりますから東北地帯を申し上げてみますると、たとえば青森県を申し上げてみると、全然青森県の放送が聞こえない個所が三カ所あります。それはたとえば日本海岸では北海道の放送を聞いておる、新潟県の放送を聞いておる、もっともよく入るのは松江の放送だというきわめて皮肉な現象が現われておる地帯があるわけであります。秋田県の中について聞いてみましても、そういう個所が三、四カ所ある。これは今あなたの方で九七・二ということでありますから、全体の県別の地域の統計については抗議を申し込むだけの確たる資料はありませんが、そういうところから目の子勘定をしてみても、そういう谷間が今日残っておるということは事実であろう。これに対してどういうことをして、施設なり大電力にしてこれをカバーしょうとしておるのか、あるいはこの説明にあります通りもう一歩で一〇〇%にいくのだということで未来永劫見送るのか、その点の基本的な態度をお答え願いたい。
  50. 小松繁

    小松参考人 この問題に関しましては、しばしば当委員会でもいろいろ御意見を伺いまして、われわれはこの委員会の御意思を尊重して進めてきたつもりでありますが、大要はまず第一放送の難聴地域を解消するということに最重点を置いて今日進んで参りまして、これにできる範囲で並行しまして第二放送の方の難聴地域も解消したいという方向でまず進めまして、三十二年度計画が大体完了いたしますと、全国放送の難聴地域解消がほぼ一〇〇%の形になる。従いまして今日まで部分的には地域別放送の難聴地域解消というものも考慮に入れては参りましたが、これからこの地域別難聴地域の解消の方向に努力を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  51. 竹内俊吉

    ○竹内委員 それは大体どういう方法をとられるわけですか。今の地域別の難聴地域のそういう少部分的なものが残っているわけですが、それはどういう方法をとられるわけですか。
  52. 溝上けい

    ○溝上参考人 実はこれからの放送網の拡充につきましては、相当問題があるのです。それは第一に周波数の問題がもうそろそろ極度の狭い範囲に入っております。それからもう一つは、公共放送でございますから、もちろん採算の問題ではございませんけれども、非常に非能率的な経営体になって参ります。また地域的にも相当制限されてきておりますから、それやこれや考えまして普通の方法で、在来通りの形でいくことは相当困難があるというふうに思いますので、実は来年度あたりからそういう地域を対象として、何らか新しい方法、言いかえますと、在来常識的に考えておりました一番小さい電力の局よりもさらに小さい電力とか、あるいはこれはまだ研究段階でございますけれども、電灯線を利用した有線放送とか、そういうふうな研究を相当いたしまして、経済的にも有利であるし、周波数の方に対してもそう妨害を及ぼさないというものを考えたらどうか、こういうふうに考えております。
  53. 竹内俊吉

    ○竹内委員 NHKのこの忘れられた谷間に対して、もう九九%幾らという第一放送のカバレージーが行っておるわけでありますから、来年といわず、ことしからでもするのがNHK一つの重大な任務だ。文化に忘れられた土地に対してこそ、NHKが深い注意と対策を持つことが大切であろうと思いますが、来年ということなら来年でもよろしいですが、もっと具体的に、小電力局を作るなら作る、有線放送をやるならやるというところまで考えがいっていないのですか。この問題をそう小さい問題として取り扱っているとすれば——なるほど地域的には小さいが、NHKの任務としては相当重大なものじゃないか。またそういうぼんやりしたものしか出ていないとすると、はなはだ遺憾だと思う。
  54. 溝上けい

    ○溝上参考人 今まで進めて参りました全国難聴の計画は、ほぼ最終的な段階に参っておりますけれども、その途中において、実は個々に見ていただきますとおわかりになりますが、全国的な難聴でない、相当地域的な難聴のパーセンテージの多い局も漸次織り込んでいっております。ですから、今までは全国難聴だけであって、ここから明確に地域難聴に切りかえるというのではございませんで、去年あるいは多少前からその考え方のパーセンテージが相当織り込まれて、置局計画を進めております。次に三十二年度においては、まだまだ具体的にどの場所とはきめておりませんけれども、これは放送計画としましては新しい考え方でございますので、いきなり実施ということもちょっと困難かと思いますが、実験的な形態で実際的には実施というふうな形である程度織り込んでいきたい、かように考えます。
  55. 竹内俊吉

    ○竹内委員 私はあなたがこの問題について強い関心を持っていないという印象をますます受けるのでありますが、これはそんなに金のかかるものではあるまいと思う。しかもどこどこということはあなたの方でわかっておる。それをおっしゃる通り、第一放送の広い難聴地域といいますか、そういう一般難聴地域を対象に資金なり労力なり傾注するということを今までやってきた。それが一応九九・七%までいったわけですから、今度はその方に来年からは切りかえる。もう基礎的な調査なり方法なり、あるいは予算的な一応の見通しなりはできておってもいいはずだとわれわれは考えるわけです。恵まれないものはいつまでも恵まれないという形態をこのまま見のがしておくことはわれわれもできがたいし、あなた方もできないはずである。もう少し具体的な計画を早く立てられて、今ここで押し問答をしても仕方がありませんが、そういう工合にお進めいただきたいと思いますが、会長いかがですか。
  56. 永田清

    永田参考人 全くお説の通りでありまして、公共放送の任務は、ただ数字的にカバレージを実現することでなく、必要な場合には、もっとインテンシヴリイに仕事をしなければならぬと思います。今担当理事からお答えいたしましたように、協会としては全国民的な立場に立っておりますので、その総合的な任務を果しながら、お話の恵まれないところに向って研究を進め、実施したいという段階であります。特に山間地帯、それから離島関係の問題でございますが、事情を調査しますと、実際には電灯線がきていないところも出てくる。そういう場合には一体どうするかというふうな問題もあってもちろんこれは新しい感度のいい受信機、またトランジスターを使えば聞えるというようなこともありますけれども、これは技術的にそう言えるだけであって、そこにいる人が果して聞ける経済的条件かどうかも考えなければなりませんので、その点は十分心がけていきたいと思います。
  57. 竹内俊吉

    ○竹内委員 電波監理局にお尋ねしたいのでありますが、この放送協会昭和三十二年度収支予算事業計画及び資金計画に対する意見書の中の事業計画のところにこういうことがうたってございます。「特に放送番組編成面との関係において置局又は増力の意義をじゅうぶん生かす結果を生ずるごとくすることが必要と思われる。」これは何度読んでもきわめて文章が難解で、その趣意をとらえがたいのでありますので、わからないのですが、どういう意味なんですか。まるで試験問題のような文章でございますが、今私が申し上げたような意味を含んでおるように感ぜられますが、どういう意味なんですか。
  58. 濱田成徳

    濱田政府委員 はなはだ難解な文旬で恐縮でありますが、これは大電力、小電力の放送局が重なった場合に、番組が違うように、むだな放送番組でないようにしてもらいたいというふうな点を含んでおるものと思います。
  59. 竹内俊吉

    ○竹内委員 今私がお聞きの通り、忘れられた谷間に対してお尋ねしたわけですが、電波監理局はこの問題に対して関心を持っておられますか。
  60. 濱田成徳

    濱田政府委員 御指摘の問題はきわめて重要であります。当方でも研究いたしておりますが、この解決はなかなかむずかしいようであります。先ほど溝上理事が言われましたように、県別放送を充実するためにはどうしても周波数が足りない。その意味におきまして今までの大電力、中電力、小電力等の放送局の組み合せをうまくしなければ、御心配のことは解消しないだろうと思う。これは有線放送実施、あるいはどうしてもこれを早くやれということならば、周波数の資源を他に求めないわけにはいかない。他と申しましてもないわけであります。極端に申せば、民間放送の方の周波数を利用しなければいかぬというようなことも考えればできないこともありませんが、先刻申し上げますように大、中、小の放送局の組み合せを考えていただくようにNHKにお願いをする、あるいは有線放送考える、この二つ方法によってこれは相当解決するのじゃないかと考えおります。いずれにいたしましても当局は非常に関心を持っております。
  61. 竹内俊吉

    ○竹内委員 今局長は三つの方法を示唆されたわけですが、その二つ方法も、現状から考えていずれが可能性があるわけですか。今周波数の問題をいろいろお述べになりましたが、大へんめんどうだということはわかります。そこで有線放送の点もおっしゃいましたが、そのいずれが最も可能性が強いかという点はどうですか。
  62. 濱田成徳

    濱田政府委員 早急にこれを解決する方法といたしましては、特殊な小電力局を設置する、あるいは有線放送実施するよりは手はないと思います。
  63. 竹内俊吉

    ○竹内委員 この問題は電波監理局にもNHKにも特に御努力願いたいと思います。  次にNHK計画書に出てきます第三放送について二、三お尋ねしたいのであります。先般橋本委員からも御質問があって、それにNHKお答えになっておりますけれども、必ずしも第三放送計画内容が明らかでありませんので、その点まず周波数の関係からすれば、中波でいくのか、あるいは中波以外の方法ということを会長がおっしゃったのでありますが、この点はどうするのか、あるいは放送の内容はどうふうに考えておやりになるのか、その点要領だけでよろしゅうございますから、御説明を願いたいと思います。
  64. 永田清

    永田参考人 第三放送につきましては、前回の委員会で一応総合的なことを申し上げた次第でございますが、内容につきましてはやはり教育、教養に重点を置いて参りたいということでございます。ただ技術的には現在NHKが許されている範囲としては、中波においてラジオで二波、テレビ一波ということになっておりますが、重ねてFM放送というふうなものが新しい技術の発展として出て参りましたので、これもむしろNHKが開発していくというような趣旨によって、すでに実験に入っていく段階になっております。技術的なことについてはいろいろ技術上むずかしい問題もありますので、所管理事からお答えいたします。
  65. 竹内俊吉

    ○竹内委員 大体それでわかります。それで中波二波で第三放送をやられる。そのほかにFM放送考えているということですね。そこでこれは電波監理局に伺いたいのであるがこのNHKの第三の放送の企画に対しては、一応実施せんとしての調査研究をやられることに対しては、時宜に適したものと認めるという意見がついているわけであります。そこで伺いたいのであるが、FM放送に対する郵政当局の方針というものは、こまかいことは別として、基本方針はきまっているのかきまっていないのか、きまっていないとすれば、いつごろまでにきめようとしておるのであるか。巷間FM放送に対していろいろな要望が出てきておる今日、あまり態度をおきめにならないでおると、かえっていろいろなことが起ると考えますので、この基本的方針を一つお聞きしたいと思います。
  66. 濱田成徳

    濱田政府委員 御指摘FM放送につきましては、ただいま基本方針を、つまりチャンネル・プランあるいは免許方針とかいうものにつきまして、その策定の準備を鋭意進めております。今日いつまでにこれが完了するかということは申し上げかねますけれども、なるべく早い期間においてこれを完了する。NHKその他の免許申請書に対してその目的が達成せられるように進めたいと思っております。
  67. 竹内俊吉

    ○竹内委員 私が聞いているのは、それもさることながら、FM放送をどういう姿において、どうやろうかということを、まだおきめになっていないと思いますが、大体いつごろまでにきめるおつもりですか。
  68. 濱田成徳

    濱田政府委員 FM放送はこれを全国的に普及せしめるように持っていくのが理想でありますけれども、これにはいろいろの問題を含んでおります。御承知のごとく受信機の問題もありましょうし、その他在来の中波とどういふうに共存せしめるべきかということにつきましても、いろいろな問題があるわけであります。番組の問題もありましょう。そういう意味で基本方針をきめることにはいろいろ研究、討議を必要といたします。しかしながらかような中波の波の逼迫している現状でもありますし、なるべく早くこれを決定しまして、実施させたいというのが希望であります。私の考えではそう遠くない——と申しましても二、三カ月ぐらいのうちになるべて早くあらましでもきめまして、その案につきまして大方の御意見等を承わるように段取りを進めたいと考えております。
  69. 竹内俊吉

    ○竹内委員 FM放送について二、三カ月後には基本的な態度をきめたいという局長の言明は、非常に重要だと考えるわけであります。これはなるべく早くおきめになった方が、今後の電波行政の上にプラスになろうと思いますので、御努力願いたいと思います。  そこでNHKの第三放送についてNHK側にもう一点お尋ねしたいのは、第三放送はサービスをするという意味でお始めになるのか。もっと具体的に言うと、これには金がかかるわけでありますが、料金を値上げしても第三放送はやるべきだというふうな積極的なお考えのもとに今日構想を練っておられるのであるか、その点をお聞きしておきたい。
  70. 永田清

    永田参考人 第三放送という言葉が使われておりますが、これは実はかなりばく然たる規定になりますが、今の問題点はむしろFM放送に限定してよかろうと思うのであります。ただFM放送だけについて別定義を立てることはむしろ困難だという状況にございます。従ってNHKとしては中波で第一全中、第二ローカル、さらに教養を含めたもの、重ねてFM放送も総合的に考えてのNHKのラジオ放送計画、かようになるものと考えられますが、まだこれも決定的な段階には達しておりません。
  71. 竹内俊吉

    ○竹内委員 この第三放送を始めますと、これによる経費増は大体どの程度になるお見込みでありますか。
  72. 池田幸雄

    池田参考人 実は三十二年度予算として御審議いただいております中には、FMによって実験放送をやってみようという形だけでございます。具体的な問題は、その規模によりまして非常に違ってくるだろうと思いますが、とりあえずわれわれがやろうとしておりますのはFMによる実験放送の点でございまして、それによりますと、あるいはお答えにならないかもわかりませんが、東京は一応今紀尾井町を使って一キロで出すような準備をしておる、そして大阪の方は生駒を使って五百ワットで出すような準備をしておる。施設並びに番組も、たとえばLP盤を出すとか、あるいは中波も同じように放送する、そういう実験的な段階でございますので、具体的な実施する建設計画はまだ確定的な金額に到達いたしておりません。
  73. 竹内俊吉

    ○竹内委員 そうであろうと考えますが、構想としてFM放送をおやりになった場合に、今の聴取料で十分やれる、こういう考えであるか、あるいは聴取料はそのために改訂を要望しなければならないだろう、こういうお考えに立っておられるか、その点はいかがですか。
  74. 池田幸雄

    池田参考人 これは仮定の問題でございまして、なかなかお答えいたしかねる問題でございますが、結局やります規模によって、かりに今私たちがお手元へ差し上げました三十二年度予算考えておりますような程度の実験放送だったら、そう大して経費はかからないと思いますが、これをやってみて果して大衆にどういうふうに受けるか、受信機がどういうふうに出回るか、それによって具体的な計画を立てました場合には、あるいはこれだけでなくて、ラジオ全体の経費として考えねばならないような段階に立ち至るかもわかりません。まだ今私たち考えておりますのは、先ほどから申し上げておりますような実験段階でございますので、ちょっとこの問題ばむずかしい問題で、検討していかなければならないというふうに存じております。
  75. 竹内俊吉

    ○竹内委員 私の常識からすれば、FM放送をやるとなると、おそらく聴取料の値上げの必要が出てくるのではないかと考えるわけであります。これは国民負担になるわけでございまして、大臣の意見書にも特に国民負担の最小においてNHKは任務を果すべきだということを強調しておるところでありますからお尋ねしたわけでありますが、これは具体的なものじゃありませんから、これ以上はお聞きしてもお答えがないと思いますので、その程度でやめます。  次にNHKテレビのことについてであります。このテレビの普及に非常に御努力をされておることに対しては大いに敬意を表するわけでありますが、どうも普及速度が国民が期待しておるほど早くはない。国民の今日テレビに対する要望というのは非常に盛んなものがありますことは申し上げるまでもないのであります。そこで端的にお聞きしたいのであります。NHKとしても何とか早くあまねく聴視できるような状態に、テレビを普及したいというお考えがあろうと思うのであります。そこで速度を早めがたい最も大きい理由は何であるか。これは常識的に考えてマイクロウェーブの問題もあるでしょうし、収支の均衡の問題もあるでしょうし、いろいろな条件があろうと思いますが、今日の条件において何が一番その大きい理由になって、テレビの普及速度がどうも国民が期待しているほどには早くはないという状態になっておるのか、これを一つ端的にお聞きしたいのです。
  76. 池田幸雄

    池田参考人 お答えを申し上げます。竹内委員の御指摘になりましたように、テレビジョンが非常に国民から要望されておりますことは、現在開設しております各テレビジョン受信者が、私たちの予想を上回るような増加を示しております。また新しい局が開設されましたところへ行ってみましても、皆さん方がほんとうに涙ぐましいような姿でお聞き下さっておりますことは御指摘の通りでございます。私たちもこれこそ鋭意全国に普及するのがNHKの任務だというふうに存じております。しかしながら一方現在の施設をフルに運転していきますのにも、やはりまだ開設早々でございますので、内部的にいろいろな施設に相当の施設費をかけなければ、完璧なテレビ放送ができないような実情でございまして、この点は将来に非常に明るい見通しを持っておりますが、やはり既存の施設で少しでも完璧な放送をやりたいということと、そうしてネット・ワークを一日でも早くやりたいということ、すべてが今の開設早々のテレビの方の財政的な苦しさと負担というものにどうたえていくかというようなこととにらみ合せまして、多少今まで考えておりましたよりもネット・ワークの延長がずれてきているという点がお聞きの要点じゃないかと思いますが、まさにその通りでございまして、その点、内容の充実とネット・ワークの拡充について将来には明るい見通しがございますが、やはり何分財政的にある程度の健全財政を維持していかなければならないというような関係から、多少ずれておるわけであります。
  77. 竹内俊吉

    ○竹内委員 いま少しずばりと言ってほしい。建設資金の関係なんですか、それとも業務の収支均衡の点がネックになっているのか、あるいは電電公社のマイクロウェーブとの歩調が合わないのか。何が一番大きい理由になっておるか。それについてわれわれもお手伝いできるものは、政治の面から日本放送文化の進展のためにしなければならぬと考えますので、これはお聞きするわけであります。今いろいろ申されましたが、もやもやとしている。そのネックになっているものは何ですか。
  78. 池田幸雄

    池田参考人 両方がからみ合っておりますような感じがいたしますので、一言にしてお答えをいたすのははなはだむずかしいのでありますが、電電公社のマイクロウェーブは大体の御計画通り、あるいは今後は幾分速度をお早めになるのではないかというふうにも仄聞いたしております。私どもとしましては、それにできるだけ追いついていきたいのでありますが、建設関係と、そして毎日の業務を運行していきます事業関係と、両方が実はからみ合っているのではないか。建設関係だけというでもないように考えております。現にお手元へ差し上げてあります三十二年度予算におきましても、事業費の方でまだ多少赤字予算を組まなければ、既存の局は運営がしにくいというような格好になっております。しかしこれは先ほども申し上げましたように、近い将来必ず解消できるものだというふうに考えております。
  79. 竹内俊吉

    ○竹内委員 池田さんのお答えで、マイクロウェーブのあとをついていくというような、そんな消極的な考えでは、NHKは法的に負わされている義務からいってもおかしいと私は思う。これはNHKだけではできないと思いますからお尋ねをするわけであります。もっとずばりと言ってもらいたい。たとえばマイクロウェーブでいえば、三十五年には大体完成できるということになっておりますが、それを三十三年度にマイクロウェーブの建設が済むならば、NHKもその通りあとに追いついていく事業計画をするというのであれば、われわれもそういうふうに考えたいと思います。もう少し的確に言えない理由はないと思います。NHKの方も思う通りのことを言って下さればそれでよろしい。何も電電公社のことを心配されたりすることなく、NHKとしてはこうしてほしいの、だが、そういってないのだという点はどこなんですか。
  80. 池田幸雄

    池田参考人 どうも鋭い御質問お答えが非常にむずかしゅうございますが、実はお手元に差し上げました予算書を見ていただいてもおわかりになりますし、また郵政大臣意見書の中にも私たちの苦衷をお書き下さっておりますが、一言にして申し上げますと、やはり事業収支の均衡ということをある程度理由にしていかなかったならば、幾らでも値上げができるというものでもございませんし、与えられました実績上でやっていこう、しかも拡張はぜひさしていきたい、そういう二つ気持が一緒になって、しかしできるだけ早い方法で努力していきたいというふうに考えているわけでございます。
  81. 竹内俊吉

    ○竹内委員 どうも同じところをめぐっているようでありますが、事業収支の均衡であるならば、あなたの方でどんどん拡張されて、たとえば百万の聴視者がふえますと月三億円入ってくるわけであります。これはちゃんと収入の見合いがあるわけでありますから、その点では心配ない。あなたの方で出している資料によっても、今のままでいってももう二年たつとこれは十分間に合うということでありますから、その速度を早めるということは、事業収支の上に大きいアンバランスがくるということは決して考えないのですが、これ以上追及してもNHKがそういうお考えであるならば進展しませんから申し上げません。  そこでさらにもう一点お聞きしたいのは、テレビの第二放送について、NHKは三十二年度からさらに五十分の時間の拡張をするようでありますが、なお一日一ぱい放送しているわけではない。それにこのテレビの第二放送考えるということは、番組の編成の問題でなくて、教育放送、そういうもののお考えがおもになっておりますのでこういう計画ができていると思いますが、私の常識的な考えからすると、現在の番組の面から見ても、今第二放送としてNHKが企画されております事柄は、やりようによってはできるのだというふうに考えるわけであります。現在の第一放送といいますか、今のテレビと一緒にはできないのだという理由といいますか、それはどこにあるわけですか。
  82. 永田清

    永田参考人 これは大へん重要な問題でございまして、公共の大事な電波をどういうふうに活用するかということでございますので、いろいろと公共の御意見があるものと承知いたします。ただNHKとしては公共放送責任上、こういう形に問題を進めていきたいというふうに考えていること、これは放送時間があいていれば、もとよりそこでその任務を果したいということで、十分研究もいたしたのでありますが、今申し述べております第二放送の問題というのは、主として教育の体系を前提にして考えておりまして、従ってただあいている時間でその圧政を果すことはきわめて困難だという結論になりまして、また事実上第一のテレビも漸次放送時間の延長によって拡充して参ることになる。教育放送にいたしましてもこれをどういう目的でどういう時間に当てるか、放送放送すればそれで終るということでなくて先ほども御意見がございましたように一般国際放送と同じように、実際に受信者側の要望にこたえなければならぬという客観的条件と、完全に統一されなければならないということでございますので、ただ技術的な面だけ、あいている時間でということだけでは、根本的に解決しがたい問題がございます。それにつきましては重ねて担当部長よりお答えいたします。
  83. 竹内俊吉

    ○竹内委員 テレビの第二放送の内容については、あとで現在企画されておりますものの詳細なる資料をちょうだいして、それによってまたあらためてお尋ねしたいと思う。  そこで教育放送という言葉がこの中にも出てきておりますし、今の会長のお言葉にも出てくるわけでありますが、会長の当委員会における説明の中にこういうことがあります。七ページですが、「また、テレビジョンを国民の生活文化財として真に役立たせるため、現在教育、文化等各界から期待されておりますテレビジョンによる教育放送実施に備えて、これが実施を担当するのはあらゆる観点から見てNHKでなければならぬとの信念のもとに番組その他について、総合的な調査研究を進めることといたしております。」こうあるわけですが、この教育放送はあらゆる観点から見てNHKでなければならないとの信念という、信念の内容はどういうことなんですか、それをちょっと伺いたい。
  84. 永田清

    永田参考人 これは誤解があってはいけないと思いますが、NHK立場から参考人としてここに呼ばれておりますので、一応限定内で申し上げなければならぬことになっておるので、そういうことにもなっておりますが、実際は公共放送という形のものでいくのがほんとうじゃなかろうかとみずから反省しながら、その責任感として以上申し上げる、こういう趣旨であります。しかしこれは十分御批判も仰ぎ、また実際に公共的な問題でございますから、公共的に御決定に相なることだと承知いたします。
  85. 竹内俊吉

    ○竹内委員 どうも頭が悪いせいか、あまり明確に来ませんが、そうしますと、教育放送NHKでなければならない、普通言うそういう意味ではなくて、NHKとしては教育放送はぜひやらなければならぬ、しかし他を排斥するものではない、こういう意味ですか。
  86. 永田清

    永田参考人 全くその通りであります。
  87. 竹内俊吉

    ○竹内委員 この文章から受ける感じはそう来ませんので、特にお尋ねしたわけでありますが、いずれ教育放送の問題は別の機会にまたお尋ねしたいと思います。  そこで具体的なことをNHKにお聞きしたいのでありますが、昨年のテレビの置局計画とことしの置局計画との中に多少の相違がある。これは理由があってやったことに相違ありませんが、たとえば三十二年度の置局計画の中で今度変更になったのを見ますと、青森だけが一局三十三年度に繰り下げになっておる。これはどういう具体的な理由でこういうふうに変更をされたのであるか。これは具体的な理由がなければこうなるまいと思うが、昨年の春でありましたかに、われわれが資料としてちょうだいしたときは、ちゃんと三十二年度計画の中に入っており、地元では非常に期待しておった。それが今度卒然として一年繰り下げになって変更になったというのは、何か大きいそこに理由がなければならぬと考えます。どういう理由でこういうふうに変更されたのでありますか。
  88. 永田清

    永田参考人 これは技術上の問題が重なっておりまして、実際の目的は従来と変りないのでありますが、そういった関係がございますので、技術関係者として副会長からお答えいたします。
  89. 小松繁

    小松参考人 ただいまの御質問についてお答え申し上げます。御承知の通りに昨年うちの計画を立てまして参考に当委員会にお出ししました当時は、まだ今回の政府で発表されましたテレビのチャンネル・プランの構想がわれわれにわかっておりませんでした。従いまして重要な地区また実施可能な地区をピック・アップいたしまして、三十二年度の置局計画を立てておったわけでございます。ところが最近になりまして政府側からチャンネル・プランの案が発表されまして、これはまだ決定には幾らか日にちはあろうかと思いますが、それによりますと、われわれが考えておりました置局いたします場所と、政府がお考えになっておる場所には幾らか差ができて参りました。具体的に申し上げますと、山の上に局を作らねばならない場所が非常にたくさんになって参ります。従いまして放送局を作ります場合に、まず道路、電源、水源等のいろいろな施設を開発する経費がそれだけ多くかかるということが明瞭になって参ります。従いまして先ほどからもいろいろ質問がありましたテレビ計画を進める上にも、財政的な理由によりまして局の三十二年度計画を、ある程度三十三年度にまで継続事業としてやらなければならぬ状況になって参りました。ここにあります三十二年度実施しようと考えておりました局の大部分は、三十三年度の継続事業になって参ります。たまたま青森は、函館の局のサービス・エリアに、十分には入らぬかと思いますが、一応聞えるということもありましたり、その他の理由によりまして、一応三十三年度の方に移しましたが、継続事業の形であるか、三十三年度計画になるかは別としまして、でき上りますのは、大体三十三年度中には完成させたいというふうに考えておるわけでございます。
  90. 竹内俊吉

    ○竹内委員 一般的には理由があることで、今の御説明は了承いたしますが、青森一局だけをこういうふうに繰り下げたということになると、何か具体的な理由がなければならぬ。そういう一般的な理由でこれを繰り延べたのはどういう理由か、私はそこを聞きたい。今副会長さんは山の上へ作るため道路を作らなければならぬとか言っておりますが、これは具体的に言うと、あなたの方で御指定になっておる場所はそういうむずかしい場所ではありません。私現在その土地も知っておりますが、何か別な理由でこうなったのじゃないかという疑問を抱きます。これは新聞にも載り、いろいろ宣伝されておって、今度また一年繰り延べになると、いわゆる文化に遠い土地だけに非常にがっかりするわけであります。そういう一般的理由だけではなく、何か具体的な理由がもっとあるわけじゃないですか。一般的理由は了承しますが、具体的理由をもう少し御説明願いたいと思います。
  91. 小松繁

    小松参考人 今申し上げましたのは、三十二年度の全体の建設費のワクとして申し上げましてそういう理由から建設費をある程度三十三年度に回しまして継続事業として扱うという理由を説明いたしたわけでございまして、青森がたまたまそうなりました理由は、大した深い根拠はございませんが、私どもの局を作ります順位を、大体世帯の数できわめておりますことと、もう一つの要素は、深い意味はございませんが、たまたま東北地方の数が多いので、ただそのうちの聴取者の世帯数の少い青森の順位をあとにしたというだけでありまして、そのほかに、たとえば今度のチャンネルの割当の中で、一つの例で申し上げますと、福島、郡山は同じ東北地方に属します。これも別々に局を作る予定になっておりますが、私どもといたしましては、こうした事情もありますし、チャンネルの数が少いということもございまして、できればなるべくそういうところも一つの局で済まないかというふうな検討も今日加えているような、これは一つの例を申し上げたわけでありますが、それらのいろいろな不確定な問題もありますので、十分検討を加えるということが現段階でございまして、気持といたしましては継続事業になりましたものも、青森につきましても、三十三年度中には完成したいという気持を持っているわけでございます。
  92. 竹内俊吉

    ○竹内委員 今小松さんの御説明にもありましたが、さしたる根拠もないが繰り下げたということだと思う、あなたのお言葉の通りだとすれば。これはたまたま青森の問題になりましたからなんですが、青森といわず、何年にその土地にテレビ局ができるということは、地元の関心が非常に強いわけでありまして、さしたる根拠もなく変更されては地元が非常にがっかりするわけでありますから、その点は今後十分御留意ありたいと思います。  それから電波監理局に一、二お聞きしたいのでありますが、テレビのチャンネル・プランについて、原案を郵政省は一応お作りになって、今電波審議会でも審議の途中だと思いますが、これは大体いつごろ確定することになりそうですが。
  93. 濱田成徳

    濱田政府委員 電波監理審議会の基本方針についての答申がありましたらその答申がある期間はおそらく三月の半ばくらいだと思いますが、そのあと具体的割当についての公聴会を開きまして、多くの方々の御意見をお聞きいたしまして、しかる後に決定するのでありますから、早くて三月の終りあるいは四月の初めくらいには、その周波数割当までの一切が決定するだろうと思います。
  94. 竹内俊吉

    ○竹内委員 三月の半ばまでには大体きまるだろう、これはわかりますが、公聴会は、従来の例でいたしますと、審議会の答申の以前にいろいろ広く意見を聞くということをおやりになっておったようですが、そういたしますと、ことしは答申が出てから公聴会を開く、こういう段取りになりますか。
  95. 濱田成徳

    濱田政府委員 すでに基本方針についての公聴会は開催いたされました。今度やろうというのは、答申のありました基本方針に修正があった場合には、郵政省の具体的割当の原案に修正の必要を生ずるかもしれないわけでありまして、それについて多くの方々の意見を聞くのですから、二段がまえでやるわけです。基本方針についての公聴会、それから具体的割当についての公聴会と二段階に分けてその話を進めていきたい、こういう考えであります。
  96. 竹内俊吉

    ○竹内委員 そういたしますと、審議会で答申が出て、その答申によっては原案を修正することがある。修正した場合には、その修正したものを利害関係者の公聴会にかける。そこでまたいろいろな意見が出て、さらに当局で修正が必要だと思えばこれを修正して、しかる後に決定するのだ、こういう順序ですか。
  97. 濱田成徳

    濱田政府委員 その通りであります。
  98. 粟山博

    ○粟山委員 ちょっと関連して、電波監理のことについて伺いたいのですが、目下南極観測船の宗谷、海鷹が非常な天候の障害と戦いながら、幸いにオングル島に越冬隊を上陸せしめ、しかも越冬の見通しができるだけの資材を陸揚げ凄いたしまして、今準備に取りかかっておる、まことにけっこうなことであります。私ども非常に心配しておりましたが、極地との関係も、電波のおかげで家族と隊員との間に話もでき、それからテレビによって様子も知ることができるということは非常に心強いことであって、これは家庭関係ばかりじゃない、国民の感情においても、また電波のすぐれたる進歩発達という点から見まして、まことにこれはけっこうなことであります。聞くところによりますと、日本の映像ないし通信というものは、アメリカよりすぐれておると承わっておるが、まことに心強い次第でございます。ところでこの監理は一体どこにあるのでございますか、その点一つ伺っておきたいと思います。
  99. 永田清

    永田参考人 お答えいたします。南極観測隊に関します一種の国際放送でございますが、これは事柄自体が、南極観測そのものが、いわば世界的な環境のもとに行われ、また日本といたしましても非常に重大でございますので、NHKはこれに向って全力の協力態勢をとりたい、かように考えまして当局ともお話し合いをし、NHKとしても特別に観測隊だ向って、国内のニュース、家族の声、その他観測隊の方々が祖国のたよりを聞きたいとおっしゃることを直ちに放送するという態勢をとり、現在一番通信状況のいいときと、また観測隊の方々の状況にも合致するという意味で、零時半から三十分だけ放送を行なっておる次第でございます。これにつきましては、直ちに南極より故国に返電も参りまして、全員総立ちでNHK国際放送を聞いている、感激するといったようなことで、私どもも非常にうれしく、また局員も張り切ってこの任務についておる次第でございます。放送につきましては、すべてNHK責任をとっております。しかし技術関係は、国際電電株式会社で一般国際放送と同じようにとっておりますが、重ねて越冬隊が観測に残ることになりましたので、わずかの人数でありますけれども、これは非常に重大でありますから、今後続けてこの放送をやっていきたいというふうに考えております。また国際電電としても、十分技術的に協力していただいている次第でございます。経費に関しましては、もとより国際放送一般という意味で、NHKはみずから無料でやっておりますが、技術使用料についても同じような趣旨のもとに、国際電電でも無料でこれを提供するという話し合いになっております。これにつきましては、本部の茅学術会議会長からもきわめて熱心な御提案がございましたので、われわれも全くその通りと思って、全面協力態勢をとっておる次第でございます。従って直接監理ということよりも、実際面でNHKと国際電電株式会社の協力態勢によって、南極観測隊に祖国のたよりを伝えているという状態でございます。NHKに関する限り以上の通りでございます。
  100. 粟山博

    ○粟山委員 私の伺いたいのは、御承知の通りオングル島というものは、これは無主物地帯であります。いずれの国も領地確認をしていない。ただ日本の隊員が上陸している。それで宗谷とか海鷹は、これは運輸省の命令系統の中にあり、観測隊員の全体の行為は、文部省がこれを管理しているというような関係になっておりますが、私の常識観念からいうと、事電波に関する限りは、無主物地帯といえども郵政省において御関係なさる方が適当でないかと思うのでありますが、今日の状況並びに今後における御当局の考えはいかがなものであろうか、その点を伺っておきたい。
  101. 濱田成徳

    濱田政府委員 南極探検隊の使います電波は、郵政省日本の無線局として免許してあります。行政的には日本政府の監理下にあります。運営上は、南極探検統合推進本部というのが文部省にありましてこれを指図し、具体的には、運輸省の海上保安庁の船と職員が、この宗谷丸、海鷹丸の運営をやっている、こういうわけでございます。電波の方面で申しますならば、これはあくまで日本の無線局でやり、日本郵政省がこれを監理しています。その監理は、国際的に周波数上の相談、話し合いをしまして、そして割り当てられた波を使っているわけでございます。
  102. 粟山博

    ○粟山委員 この機会にもう一つ簡単に伺っておきたい。逓信委員の方々はいずれも長い経歴と経験を持っておられて、専門家ですが、私はかけ出しの新米でございまして、あるいは少しワクをはずれるようなことを伺うかもしれませんが、前回の委員会において、NHKにおいてラジオの聴取料を上げるような心がまえでおるのじゃないかということが聞かれたのでありますが、御承知のように、ちょうど今米の値上げというようなことが問題になり、これも立場々々でいろいろ議論がありましょうが、米は上げないでおきたいということは、それはあらゆる階級、あらゆる階層、あらゆる職業を通じて、国民一般の願うところであろうと思うのであります。また電波に関する種類のものも御指示のごとくに、いわゆる国民生活と切っても切れない、ますます緊密な関係を非常な速度で盛り上げておりまして、これは私は米と同様であって、国民生活と最も直接接触していると思うのです。のみならず、国際的に考えたならば、米は日本の主食であるけれども、これはもう世界人類共通の、大きく生活に直結しているものです。そういう観点から考えますと、願わくは米の値段は上げてほしくないという感情と同様に、さらにより以上に、私はこの聴取料などは上げないで済まされるならば上げないで、収入の少い階級の人々にも、その利用を満喫きせるようにいたしたい、こういうふうに考えるのでございます。そこで、これはNHKとしても台所関係からなかなか深刻な問題でございましょうが、こういう問題にこそ、たとえば米の配給の人員の人件費は、当然一般財政からまかなうべきものであるという議論が耳寄りなものに聞えるがごとくに、この電波に関する問題については、聴取料に関する限り私は同様な考えでもって政府が思い切って支持することが適当な処置であろうと思うのでございます。   〔森本委員長代理退席、委員長着   席〕  つきましてはそういう意味において慎重にお取り計らいになって、国内大衆にあるいは国際的に、日本のすぐれたるあなた方の技術が、アメリカにもまさっておる、英国にもまさっておる、フランスにもまさっておるという誇りを示しておる限りにおきましては、どうか惜しみなくその研究に専念せられて、必要なる予算のごときは堂堂と、理解ある委員諸君の同意を得まして、合理的にしかも国民大衆の支持を受ける線において、予算の面において十分な覚悟をもって臨まれんことを私は希望する次第でございます。
  103. 松井政吉

  104. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 前回の委員会で森本委員から、放送法の改正を出すか出さぬかという質疑政府委員の方にあったようでありまするが、それに関連して簡単に質疑をいたしますので、お答えを願います。  放送法の改正問題は、前国会並びに前々国会からかねて問題になっておりまして、政府もまた放送法の改正の基本方針といいましょうか、そういう要綱等を策定せられて、これを審議会にかけております。審議会が結論として報告されましたのは昨年の七月十三日であります。その後臨時国会があり続いて通常国会があるわけでありますが、当時前大臣は、次の国会においてこれが扱いをきめようと考えておる、こういうような答弁で終っております。今回の国会にその改正法案が出されるものと考えておったのでありまするが、その後の状況ではそのいずれともきまっておらぬようであります。もし出さないということになりますれば、それには何らか明快な理由をつけて大臣から御説明願わぬと、いやしくも郵政省が作った臨時放送法審議会の権威の上から考えても、これは重大問題だろうと思います。そこでこの国会に出すか出さぬかは、いずれ近いうちにせんだっての森本委員質疑によって大臣から説明があるようでありまするが、すでに七月の十三日に放送法改正に関する答申案が出ておるにかかわらず、なぜ政府はこれについて積極的な措置をとらなかったか、こういうことを一つお尋ねいたしたいと思います。またわれわれこの答申案の内容を見ますと、どうも当時われわれが根本的な改正を必要とすると考え考え方とは、だいぶ違うような答申案の内容だと思います。というのは、答申案の内容で、テレビジョン等が非常に盛んになってきたけれども、なお実施して日が浅いので、これらの面についてはなお今後検討しなければ方針が立たない、従って根本方針を避けて、とりあえずこういう点については改正を必要とする、こういうような前提のもとに答申案ができておるようであります。そこで政府が今国会にもなお出すか出さぬかという方針がきまらぬのは、審議会の答申案がいわゆる当委員会において論議せられました根本方針、根本的な改正に触れておらない。従って今枝葉末節なといいますか、第二義的な改正を行なっても、再び根本的な改正を行わなければならぬというような二重の結果を招来するならば、一年や二年おくれても根本的改正を中心にしてなお答申案に盛られたような点を考える、こういうことのために今国会に上程をちゅうちょしておられるのか。それとも答申案は答申案として、別個に根本的な方針を考えられるつもりで、今国会に上程することが今なお決定を見ておらないのか、おそらくその点が明らかにされて答弁があろうと思いますけれども、一応私からその点についての当局の考え方をまずお聞きしておきたいと思います。
  105. 伊東岩男

    伊東政府委員 放送法の改正はかねてからの懸念でありまして、非常に重要性を持つものでございます。しかし非常に古い法律で、改正せなければならない点もむろんあるようでございます。しかし運用のいかんによっては、急に改正せないでも、今のままでもでき得ないことはないと思われるのでございますけれども、すでに松田郵政大臣の時代にはっきり改正をするという意思表示をされ、その後前郵政大臣の時代にもその通りでございました。すでにお話のごとく答申案が出てきておるのでございまして、ただいまのところでは、その答申案を基礎にして慎重に検討が行われておるようでございます。お話のような点も私どもはあるかのようにも考えますが、やるならやるように根本的にやるのがいいじゃないかという意見の人もむろん省内にあるはずでございます。しかし答申案によるとそう大したことはないようでございます。そこに議論が二つに分れるわけでございまして、検討中でございます。まだ成案を得るまでにはいっておりません。そこでこの前もお答えしたように、ただいま大臣が病気中でございますけれども、大よそ出席されるころまでには、これを提案すべきかどうか、するならばいつやるかということ、いま一つは本国会では見送ってしまうかという点、これらの点が大臣出席の上ではっきりすることと思いますので、しばらくお待ちを願いたいと考えます。
  106. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 大体の気持はわかるのですが、ただもし、現在答申案を中心にしてといいますか、答申案を基礎として放送法改正を行うという考え方に当局の方針が統一できないということになれば、なぜこの国会に出せないか、こういう議論が出て参ります。それでもしこの国会に出さないという決定ができるとすれば、それにはもっと別な理由がなくちゃならぬ、これを一つ考えておいてもらいたい。というのは、答申案の内容というものは、前提条件として書いてあるように、根本的な問題はこの際は見送る、そうしてとりあえずこういうものを一つ部分的に改正をしておきたい、こういう答申であります。その答申案が政府当局としては妥当であるという見解ならば、見送る見送らぬという問題ではなくして、当然今国会に出さなければならぬ。去年の七月の十三日にすでに答申案ができておるものを、今の国会に出さぬのはおかしな話である。そして政府当局の考え方にも相違がある。自分の方としてはこの機会に根本的な改正をしていく、こういう考えであったが、審議会としてはなおこの点についてはもう少し時期をかす必要がある。これに重点を置くということになれば、当局としては部分的な改正は将来根本的な改正をするときに一緒にやれるのであって、なお一年、二年現状のままでも運営ができないことはないか、そこで根本的な改正を考えるから、この国会にはこの問題の答申案を中心とする改正案を考えておらない、こういう答えになるべきだと思うのですが、そういう点についての明確な考え方のもとに、大臣から御答弁してもらわぬと、また論議が繰り返される、こういう結果になるので、その点一つ十分に御研究の上、決定的な答弁と次会において大臣からされることを希望いたします。
  107. 伊東岩男

    伊東政府委員 ただいま御質問の趣旨ごもっともでございます。質問の要旨については、私もよくわかりました。大臣にもその旨をよく伝えましてそうしてなるべく早くいずれかに決定したいと思いまするが、重要な問題でございまするので、軽々に発言すべきものでもないのでございますので、どうぞ大臣の出席までお待ちを願いたい。その旨はよく大臣にもお伝え申し上げたいと思います。
  108. 松井政吉

    松井委員長 森本靖君。
  109. 森本靖

    ○森本委員 この前の委員会の石橋アワーの問題については、一つ大臣が出てきてからはっきりした回答を願いたいと思いますので、きょうはこの問題をおきまして、直接NHK予算についての質問を行いたいと思いますが、その前に先ほど竹内委員から質問がありまして問題になりましたが、この会長説明の七ページの例のテレビジョンによる教育放送NHKでなければならぬという信念のもとにというこの意味でありますが、そういう信念についてはまことにけっこうだと思いますが、ただここでNHK教育放送を行うという考え方であるとするならば、具体的に今のテレビの十一チャンネルの郵政省から出ておるところのチャンネル・プランの計画についてみた場合に、NHKのほんとうに基本でありますところの全国あまねく国民に公平に電波をやっていかなければならぬということについては、かりにNHK教育放送を行うということになるとして、どういうふうにお考えになっておるのか、その点を一つお示しを願いたいと思うわけであります。
  110. 永田清

    永田参考人 教育放送自体は教育一般と相結ぶわけでございまして、教育一般ということになれば、それは教育の機会均等、、その普及、一般化ということが、前提になる次第であります。ただその方針をどう生かすかということになってきますと、これは限られた電波を利用するわけでございますから、技術的にいろいろむずかしい問題にぶつかって参ります。もとより全国普及、一般化という前提でNHKでは考えておりますけれども、しかしこれについて今のように技術的割当の問題がいろいろ地域的にもございますから、電波割当と関連してその問題は実際には現われてくるというふうに考えます。
  111. 森本靖

    ○森本委員 私はちっとも仮定の問題を論議しておるわけじゃないのです。具体的にNHKがそういうふうにテレビジョン教育放送をやらなければならぬという信念に燃えておるということは、先ほどから申し上げておる通りけっこうだが、今日十一のテレビのチャンネル・プランが一応案として郵政省から発表になって——これはあるいは若干修正になっても、この大綱というものはこの線になってくるだろうと思う。そうすると具体的な問題としてそれが取り上げられてきて、NHK教育放送NHKでなければならぬという考え方に基いて行なった場合に、それぞれの地域々々における不公平というものについて、このNHKのいわゆる全国あまねく普及しなければならぬという性格との食い違いを、どうマッチきせてやっていこうとするのか、このことをお聞きしたいわけであります。これは具体的な問題であります。
  112. 永田清

    永田参考人 NHKとしましては、考え方としてはVHFによって全国にネットワークを築きたいというのか考え方の基調であります。しかしその波が窮屈であった場合、先ほど竹内委員から御質問がございました通り、私どもとしてはNHKがやるという責任感から問題を主張しただけでありまして、その責任感を果そうとしても具体的条件がないのだということになれば、これは社会的に決定されるだろうというふうに考えております。従ってNHKの基本的態度いかんということであれば、VHF下によって全国体系を作りたい、できない場合はどうなるかししいう具体的問題も想定いたしておりますが、それはまだ想定だけでありますので、まだ具体的に申し上げるだけの材料が出て参らないのであります。
  113. 森本靖

    ○森本委員 VHFで全国的にやりたいといっても、これはすでに一応電波監理局の試案というものが出ておってこれは若干修正になっても、この大綱というものはおそらくそう変りはないと思う。やはり民放一とそれからNHK一、民放に割り当てることができないところはNHKだけである、この基本方針は変りはないと思う。そうすると具体的にその問題が起きてくるところは地域的に言うならば、現在のこのテレビのチャンネル・プランでいけば、当然これは東京と大阪と、場合によっては名古屋、関門ということになると思う。そういうことになった場合に、かりにNHKがそれをやるということになっても、その付近だけをやるということになって、それでは一般のいなかの方は全然その恩恵に浴さない。こういうことになると、そのギャップというものを一体どういうふうにお考えになっておるか。もっともこれはそう言えば、答弁としてはこのチャンネル・プランそのものがまだ案でございますので、はっきりした答弁はできませんといえばそれまでですけれども、しかし教育放送NHKがやらなければいかぬという信念に燃えていくということなら、そういうところまで考えてやっていかないと、これはやはり論議の過程になるわけです。そこでその仮空の問題でなしに、具体的にこれを実行していくということになった場合、技術的に波の問題をどう解決をつけていくか、こういうことを私は聞いておるわけです。かりにUHFということになった場合には、今度は逆に受信機の問題で国民に相当の負担をかける、こういうことにもなるわけでありまして、教育放送の問題ということになってNHKがやりたい、そういう方面は公共放送がやらなければならぬという考え方自体には、個人的には私は同調いたしますけれども、今言ったような隘路をどういうふうに解決をつけるかということがけりがつかなければ、そういう方向に向いてこないということを心配をしておるわけです。だからそういう点についは一体どういうようにお考えになっておるのか。NHK当局は今言われたような会長の答弁しかできないと思いますが、今の私と会長質疑応答を聞いておって、電波監理当局としてはこの問題について具体的にどうお考えになっておるのか、一つこれは電波監理当局の方からお答えを願いたいと思います。
  114. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 ちょっと関連ですが、NHK会長教育放送というのと、せんだっての濱田監理局長の教育放送ということに少し食い違いがあるようですか、その点明確にしておきたい。教育放送とは学校教育を中心とする教育放送をいうのか、それともせんだっての答弁では教育的な放送をもって教育放送といっておるようですが、その点の観念を統一してもらわないと質問上非常に困ります。だから教育的放送をいうのではない、学校教育を中心とするその他の社会教育をいうのか、そうではなくして広く社会教育を称して教育放送といっておるのか、その観念が政府当局とNHKとでは食い違っておるように考えられます。それを明らかにしてから森本委員質問に答えていただきたい。
  115. 濱田成徳

    濱田政府委員 この前にも申し上げました通り、教育放送という意味は常非にむずかしいと思います。私はこの前教育的放送という言葉を使いましたが、この意味は、学校において生徒、学生が授業を受けるような意味放送、それも含まれる。しかしながら学校を卒業した者が社会において受けるような学校外の放送教育放送というものに含まれると思いますが、簡単に百パーセント学校で学生が受ける授業のような放送のみを教育放送という、そういう定義は私はしていないのです。私がこの前申し上げた教育的放送というのは、朝から晩まで学校の授業のような放送をやる放送という意味ではなくして、たとえば昼休みには音楽をやり、あるいは十時と三時の休憩時間にはユーモアをまじえたような娯楽放送もいいだろう、そういう意味のものでありまして、純粋の学校放送という意味ではないものを教育的放送と申し上げたのであります。NHK会長が言われた教育放送というのは、もう少し広い意味の教養放送のような意味で言われたのかもしれませんが、私の申し上げたもの、チャンネル・プランの基本方針で提案しました教育的な放送教育放送というのは、そういった意味のものであろうと思います。それで、教育放送でもいいと思います。かような教育放送を全国的に行うために、現在十一チャンネルを大体予定しております。このVHF帯において、現在NHKが使っておりまする、また今後割り当てられる可能性のある電波を使って行うものは、いわゆる総合番組、一般放送みたいなものであろうと一応考えておりますけれども、それは一般的総合番組に割り当てたあと、残りの余分のものを教育放送に使うといたしましたならば、森本委員指摘されましたように、全国あまねく教育放送の電波を送るとというこは、VHF帯だけでは困難であろうと考えております。
  116. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)委員 今のを聞いていますと、あなたは昼休みの時間には音楽をやる、何かの時間にはユーモアのあるものをやる。これはNHKでもやっておりますが、一般商業テレビでもやっております。あなたの考え方だと、学校教育の番組を含んだものをもって教育放送と称する、こういうことなのです。それでは非常に教育放送というものの定義がおかしいと思うのです。あなたの言うことになると、昼休みの時間には音楽を聞かせ、その他の時間にはユーモアのような娯楽放送をやる。こういうものを含めてこれを教育放送というのにはわれわれは解釈がつかない。やはり教育放送といえば狭義の意味であって、教育を中心とする、そうして産業講座だとか、そういうような一種の講座的なものに限定せられて初めて教育放送といえるのであって、もし一般放送でやっているような娯楽放送も音楽もみなやっていこうとするなら、本質的には違いがなくなってくる。こういうので、私はその点に関する答弁がどうも納得いかない。
  117. 濱田成徳

    濱田政府委員 私の表現が少しまずかったようですが、音楽とかあるいは高尚な娯楽というようなことを強調するような意味に思われたかもしれませんが、そうではないのであります。大部分の番組は教育効果をねらったものである、あるいは教育そのものを目的としたものである、そういう意味でございまして、どうぞ誤解のないようにお願いします。
  118. 森本靖

    ○森本委員 それは誤解のないようにといっても、さっきの局長の答弁では全く誤解をする答弁で、非常に警戒を要するのです。というのは、民放の諸君が言っておるのは、そういうやり方なら、教育だけでなく、半分娯楽で半分教育というなら、きれいに採算が立つのだということをはっきり言っておる。このチャンネル・プランの三項による教育放送というものは、ここにはっきりと書いてあるように、学術、技芸、職能教育等もっぱら教育的効果を目的とする放送を行うのが教育放送である、これは書いてあるごとくなのです。その間にちょいちょい浪花節を入れるとか、あるいは音楽を入れるとかいうことになると今橋本委員が言った格好になるわけです。それがきまらないと、これをどうする。こうすると論議したところで何にもならぬ。一応次の答弁ではっきりしてきたわけでありますが、そういうことになった場合、今、波が不可能でありますという局長の答弁なのですが、それは答弁を求めるまでもなく、このテレビのチャンネル・プランから見ると、これ以上の波は、あと二つ出てくるか、三つ出てくるかわかりませんけれども、非常に困難な状態にあることは明らかであります。そこで、そこから先の問題をだれも実際問題として論じないわけです。また審議会が答申中でありますのでどうこうということで、そこから先は、郵政当局はどう考えておるのか、NHK当局はどう考えておるのか、きっぱりその辺が明らかになっておらないわけであります。この問題は重大でありまして、収支予算については、まだ相当日数を要して討議をいたしますので、十分研究をされて、その過程においてはっきりした答弁ができるようにお願いしたいと思います。  次に、NHK予算にも関係がありますが、先ほども竹内委員から質問が出ました超短波についてであります。一キロと五百ワットになった場合、サービス・エリアはどのくらいのものを予定しておるわけでありますか。
  119. 溝上けい

    ○溝上参考人 FM実験については場所によって非常に違うのですが、同じ場所で五百ワットと一キロとの違いと申しますと、たとえば東京は紀尾井町・大阪は生駒山でやるわけですが、感度地図を手元に持っておりませんので、その差はここではっきりデータがございませんが、周辺の地区で若干違うと思います。いずれ実際やります場合には、それを基礎として、本式のパワーをそれから算定して最後にきめたいと思います。
  120. 森本靖

    ○森本委員 私が聞いておるのはそういう小むずかしいことではなく、紀尾井町の方はどのくらいのサービス・エリアで、生駒山でやるのはどのくらいのサービス・エリアになるのか。将来これは超短波放送に非常に関係があるので、参考までに聞いておるわけです。
  121. 溝上けい

    ○溝上参考人 現在計画しておる実験の東京一キロワット・大阪五百ワットの範囲でございますならば、東京の紀尾井町でやると聴視範囲が三百万世帯、大阪の生駒山でやると二百万世帯、こういうふうな計算になっております。
  122. 森本靖

    ○森本委員 世帯数で言うよりも、円周の一つのワク内というものを示してもらった方が一般の人にはわかりやすいわけです。速記録を読む人も相当あると思いますので、そういう世帯数でなしに、生駒山頂に置いた場合五百ワットでどのくらいのものになるか、東京で一キロワットの場合にはその円周がどのくらいのサービ・エリアになるかということを聞いておるわけです。
  123. 溝上けい

    ○溝上参考人 東京の方は一キロワットで計算いたしますと大体半径が三十キロメートルぐらいであります。大阪の方はちょっとここに今データが記入してございませんが、これはだいぶ高きが高いものですから、相当広いものと思っております。
  124. 森本靖

    ○森本委員 それでこのFM放送についてもまだはっきりした基本方針がきまっておりませんので、ここで質問をしても何ら回答ができないと思いますが、先ほどから竹内委員も言いましたように、こういう方針については一つ早急に電波監理当局は結論を出して、そして説明ができるように、この際私の方からも野党としても要望しておきたいと思う。そうしないとこれは次から次へといろいろの問題が派生をしてくると思います。だからこのFM放送についてもせっかく実験放送をやる段階になったわけでありますので、一つこの段階においては明らかにできるようにぜひしておいてもらいたい、こう思うのですが、どうですか。
  125. 濱田成徳

    濱田政府委員 すみやかに実現するように努力いたします。
  126. 森本靖

    ○森本委員 実現でなしに、そういういわゆる超短波の波の割当をどういうふうに行い、日本ではどういう格好で行うという基本的な考え方を一つ早急に発表できるように願いたい、こういうことです。
  127. 濱田成徳

    濱田政府委員 先般も申し上げましたように免許の方針だとか技術基準だとか、そういうものにつきまして目下鋭意研究中でありまするから、遠からぎるうちに二、三カ月以内にそういう方針がきまりまして、実験放送その他が実現可能になるだろうと思っております。
  128. 森本靖

    ○森本委員 それから今の教育放送という問題と一緒でありますが、会長説明の中で、七ページにありますが、「NHKテレビジョン第二放送を全国的に実施できるよう必要かつ良好な周波数を確保していただくべく要望いたしましたが、協会の意のあるところをおくみ取りいただいて、格別の御配慮をお願いいたします。」こういうことでありますが、これはこの委員会に対してそういう御配慮をお願いいたしますという要望ですか、これはどういう意味でしょうか。
  129. 永田清

    永田参考人 NHKとしては与えられました周波によりまして放送責任を果していくということが中心でありますが、御承知のように最近放送の社会的意義というものが非常に大きくなりましたので、NHKとしてはもしこういうふうにきしていただくならばわれわれはこういう仕事ができる、またこういうふうな仕事が実際に技術的に可能だというようなことで、ただ責任とやりたい意思ということと技術的な制約とがだいぶ交錯して参りましたので、その全般を明らかにしてその趣旨に従うように国民各層にもお願いしたいという意味で、ことに問題は政治的に決定されるものでありますから、そういう意味のお願いであります。
  130. 森本靖

    ○森本委員 それならよくわかりました。それでは具体的にこの予算の問題に入る前にもう一つお聞きしておきたいのですが、NHK当局会長以下陣容が刷新をいたしまして、新しい陣容にかわったわけであります。そこでこの予算をずっと一見いたしますと、それはかわったからといって急に変えるわけにもいかぬわけでありますが、しかし去年とおととしの二回私はこの予算の審議をしておりまして、これでちょうど三回目になりますが、会長以下かわって気力あふれるような仕事をするのではないかというような期待も相当あるわけであります。何か例年と違った目新しい事業の方向というようなことは全然ないわけでありますか。いわゆる永田構想と申しますか、よく新聞には出ますけれども、具体的にこの内容を見てみると、毎年出てくるものと大差がないわけでありますが、何か目新しいことを考えておりますか。
  131. 永田清

    永田参考人 率直に申しますと協会といたしましてはいろいろやりたいことが山ほどあるのであります。しかし手放しにはなかなかできませんので、従って経理の面とにらみ合せてそれらの問題を解決したいと思っております。ただNHKが具体的に進み、かつまた今後そういった方向を一そう強化していきたいという基本的な方向は、要するに公共放送としての公共性あるいは教養番組の強化、そういったことを与えられた範囲内においては全力を上げて実現しようというわけであります。これは別にほかの会長がなってもおそらくそういうことにいくのは当然だろうと思います。前会申し上げたように幾つかの基本線を確立しまして、それを着々また具体的に実現するように鋭意努力中でありますが、一そう御激励をいただきたいと思います。
  132. 森本靖

    ○森本委員 それでは具体的にお聞きをいたしますが、電通報という新聞がよくNHKのことを載せてくれるのでよくあれを見ますと、NHKは機構を改革するという意味において審議室を強化をして、前の春日局長がその方の主幹になって、一つNHKの機構を十分に考えていこうというような計画があるやに聞きますが、その内容はどうなっておりますか。
  133. 永田清

    永田参考人 最近の一般的な情勢として一番仕事について大切なことは、予測と計画を立てて、それに意欲を具体的に実現していくということが、われわれ報道の世界の大切なことだと考えております。ことに放送の問題は御承知のように最近技術的な面で急速な発展を遂げておりますし、私どもといたしまして現代はまさに原子力の時代たといわれておりますけれども、広い意味での放送を含めてのエレクトロニクスの限界ということに応じて、しかもその社会的影響が日々積み重ねられる仕事を通じて重要だという点においては、放送の社会的意義ということが非常に大切だというふうに考えております。そうなりますと問題は簡単に片づきませんので、じっくり落ちついて問題の方向も見きわめつつ、時代の要請に応ずるような仕事をしていきたい。こういうことになりますと当然予測と計画との統一をはかって、問題を急速に処理していかなければならぬということに相なりますので、内部機構といたしましても従来ございました審議室を企画室ということで、問題を計画的に着々実行していこうという意味なのであります。そういう意味で企画室を設置して、そういった状況に相応するような機構体制にすでに入っておる次第であります。
  134. 森本靖

    ○森本委員 この企画室というのはそういう意味であって、NHKの現在の機構そのものを再検討していこうというふうな考え方ではございませんか。
  135. 永田清

    永田参考人 もとよりNHK自体としても合理化の線を強化いたさねばなりませんので、単なる全体的な計画というのでなく、企画室は内部合理化その他技術面についての問題の解釈の仕方、またこれをどういうふうに取り入れていくかというふうな実施との連絡、こういう意味でありまして、ただ長期計画だけをやるというわけではありません。
  136. 森本靖

    ○森本委員 今回の企画室の陣容はどうなっておりますか。
  137. 池田幸雄

    池田参考人 まだ完成の域に達しておりませんが、一ぺんに人を寄せつけてやるというのではなく、実際にやる仕事の関連性を考えております。とりあえず主管に春日氏を据えまして、各部間の実際のブレーンになる人たちを各部門からそこへ集めて、今会長が申しましたように長期計画を樹立し、しかもそれが浮いた計画でなく、しかも実施の面はあくまでも局を中心にして実行を進めていくというふうな関連性を持っていきたいと思っております。必ずしも人員を大幅に増員するという問題でないと私どもは考えております。
  138. 森本靖

    ○森本委員 そうすると企画室というのは、会長のブレーンを大体養成するところであって、そうして平生は企画室の主管というものの——物の主管か何か知りませんけれども、とにかくそういう主管を置いて、そうして各中央の局長をそのときに随時招集をしてやっていく。その中心になるものが企画室の主管であるというふうな考え方に立つものか、あるいはまた企画室がNHK全般を計画をしていく役割をするのか。単なる各局長のものを企画室で総合的に企画する意味において集めてくるところの、単なる連絡の役割をするのか、企画室自体がそういうものの総合的な計画を立てていくという考え方に立った企画室の局長であるのか、その辺が私はどうもわからぬわけでありますが、その方針はどういうことですか。
  139. 永田清

    永田参考人 企画室はただ会長のブレーンというのみでなくて、やはり企画室自体で仕事をするわけでありますけれども、会長としては理事会その他各局長とも十分相談しまして問題点を明らかにして、その問題を具体的に顧慮していく場合にはさまざまなデータを集めたり、また総合調整をやらなければならないという意味で、企画室にその計画を命じます。そしてそれができ上ったものはまた総合的に討議して、審議した上で行政部門に流していく、こういう組織のものであります。
  140. 森本靖

    ○森本委員 だから私がお聞きをしておるのは、今までは企画というものとそれから実際行政面に携わる者とが同一であった。だから各行政面に携わるところの各局長は、一つの施策ができたら、その施策を一生懸命遂行するところの役割だけである。そこで従来のような形でなくしてそういうことにして、一つNHKの総合的な企画というものはこの企画室において立案をし、それを理事会なら理事会にかけてそうして一つの方向へやっていく、こういう構想のもとにできたのかどうか。そういうことになってくると、企画室の任務はかなり重要な任務を帯びてくるわけであります。その辺を聞いておるわけであります。
  141. 永田清

    永田参考人 スタッフ、ラインーオーガニゼーションの近代的マネージメントという意味で、おっしゃる通りであります。
  142. 森本靖

    ○森本委員 そういうことになると一つの進歩であろうとは考えますが、そこで今日のNHKの機構、それから各中央放送局のあの機構、こういうものについてNHKとしては、今の機構が非常に放送行政をやる意味において、一番最適であるというふうに考えておるのか、それともある程度今の中央放送局の組織、あの機構というものについても考えていかなければならぬというふうに考えておられるのか、この辺のことをまたお聞きしたいと思うのです。
  143. 永田清

    永田参考人 その問題は非常に大切でありまして、基本的な考え方は、仕事の面では日本放送協会のやることはきわめて集中的と申しますか、問題の集中、重点化ということが大切ですが、しかしその及ぶ範囲は非常に地方的なものになりますので、従って集中と分化とをどういうふうにみごとに調整をさせていくかこういうことが問題の中心になって参ります。そういう観点から、従来行われておったさまざまな組織を検討中であります。目標は集中、分化の調整をいかに実現するか、地方的な色彩を生かしながら、それがばらばらにならぬように仕事を統一するという目標研究いたしております。
  144. 森本靖

    ○森本委員 それで具体的な問題に入って聞きたいと思いますが、今の中央放送局機構におきましても、特に私が考えてみたいと思いますのは、名古屋の中央放送局の管内の特に北陸の金沢の方面であります。ああいう機構では命令系統というものが確実に伝達をせられるという格好がとりにくいのではないかと思いますが、あの名古屋の中央放送局長の管轄するところが北陸まで一緒に含んでいるということ、この辺はどうですか。
  145. 永田清

    永田参考人 今具体的にある地域をきして御質問でありましたが、そういった問題はただにそこのみでなくて、ちょうど日本の地方行政区画が沿革的であって、必ずしも合理的でない。しかし歴史の進む姿は沿革を無視してはいけませんので、ただ図面にかくように行政区画が統一できないと同じようなことで、各地にそういう問題はあるわけでありますが、NHKとしてもそういう日本の行政区画の沿革に全然無関心であってはならないということはわかっております。しかし仕事の面からこれをどう統一するかということについては、それらの地域性とそれから仕事の統一性についての研究を進めていって、そういう事例はほかにもございますので、総合的に結論を出したいと思っております。
  146. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、そういうところはほかにもまだだいぶあるわけでありますが、そういう点については検討しているということになりますのでけっこうでありますが、それでこれからラジオと別個テレビが急速に普及をする、そうすると電電公社の今の三十五年までの計画も大体わかっている、だからそういうものとかみ合せた放送網の観点からも、やはりこの今日の中央放送局の制度はかなり検討することが必要ではないかということも考えられますので、そういう点は十分検討をした後において結論を発表願いたいと思います。  次に、ちょっとしたことでありますが、聞いておきたいのであります。NHKの係というものが非常に複雑であります。大体部長、副部長というものがおりますが、その中でちょっとふに落ちないのに管理職というのが至るところにあるわけであります。これは何か役につけなければならぬけれども役がないのでやむを得ず管理職というふうにしてある、こういうような意味の管理職ですか。大体中央の官公庁にもこういう管理職という格好がありまして、各課にごろごろと言っては失礼でありますが、そういう人がたくさんおるわけであります。NHKの機構の中で見てみましても管理職というのがかなりあるわけでありますが、これはどういう身分を持って、どういう仕事をする人ですか。
  147. 池田幸雄

    池田参考人 私からお答え申し上げます。管理職というのは私たちの中に幾つかあります。たとえばアナウンサーとか特殊なカメラマンとか、そういった特殊技能があって、そのままでずっと伸びていってほしいという人がおります。たとえば行政管理職としての課長とか部長にしたくない人たちで、特にアナウンサー方面なんかをごらん下さるとおわかりになると思います。そしてその方々は課長の待遇あるいは部長の待遇という形をとりながら、現実にアナウンサーでやっていっていただきたい。そういうことは技術の方にも、ほかのプロデューサーとかいう部門にもたくさんございます。それからもう一つの管理職の中には、たまたま課長でおりましたけれども、今病気をしておる、そしてその間休職ではないが、課長の職責が果しにくい、あるいは病床に伏せておるという方も入っております。そういうふうに御了解願いたいと思います。
  148. 森本靖

    ○森本委員 おそらくそういう答弁であろうと思っておったのです。そこでアナウンサーとかいう人たちについては、これは特殊な方でありますので、そういう身分は確かにいいと思います。しかし技術者については、今そういう答弁がありましたけれども、必ずしも管理職という立場に置いておかなくても、技術者というものは当然部長なり副部長という格好にしておいて、けっこう使える人だと思う。だから、アナウンサーが全部課長になっておったのでは、あるいは部長になっておったのでは困るという意見は、そういう特殊な人たちならわかりますが、そういう特殊な人は別として、管理職というのはとにかく各局を見たらほとんど各部にあるわけなんです。これはどういう意味かわかりませんけれども、場合によってはあとで資料をいただきたいと思います。そういう特殊な人のケースとしてはいいと思いますが、NHKで見てみると、どうも一般的にずっと置いておるという傾向があるのじゃないですか、一つ正直に答えていただきたい。
  149. 池田幸雄

    池田参考人 具体的な方をおっしゃっていただきましたならば、この方はどれに当っているということを申し上げられるのですが、たとえば技術研究所なんかはやはり管理職が多いのは当然だと思います。一つ研究テーマを持っておりまして、課長あるいは副部長という行政管理職でない人たちを置いている。それからもう一つは歴史的に見まして、課の統合が行われまして整理されたところで、たまたまその方が新しいポストにつけないという方もおります。それから先ほど申し上げました多少健康的に現場に置いておきますと工合が悪いので、管理部門の方に回ってきて休養していただいておる方もおります。そういうふうに御了解願いたいと思います。
  150. 森本靖

    ○森本委員 この問題はあとに譲りまして、私の資料もだいぶ古いので、日本放送協会の役員とそれから機構、それからその管理職に至る一覧表を資料としてこの次お出しを願いたいと思います。  時間も迫って参りましたので、あと一点だけ聞いて次の委員会に譲りたいと思いますが、テレビの映画の問題であります。テレビの映画を見ておりますと、とにかく新しい映画は一つもない。NHKがよくやる映画は、アメリカで何年も前にやったような映画で、相当雨が降るような映画をテレビの映画としてはやっております。この映画というものは、映画協会との関係からどうなっておるわけですか。
  151. 永田清

    永田参考人 編成上の問題は、具体的な問題にぶつかるとなかなかむずかしくなってきまして、われわれがやりたいと思っても、それがなかなかできにくいという状況にも遭遇するわけでありますが、今の映画の問題につきましては、大体の状況といたしましては、映画会社は商業主義でやっているわけですから、テレビに新しい映画をかけますと、映画会社の収入が減るというようなことで、そういう商業的採算のもとになかなかこれを提供しないという状況もあります。そうなるとわれわれは聴視者に責任がありますから、放送関係者自体が映画製作をやらなければならぬじゃないかというふうにもだんだん追い込まれるような状況であります。非常に微妙な問題でございますので、NHKとしましては外国から映画を輸入するについてもなかなか金がかかるし、外貨の問題もございますので、慎重に検討しております。現にやっておりますが、「ドクター・クリスチャン」というような外国映画は、NHKとしてはきわめてふさわしくて、その教養的効果も高いものと見ております。外国映画を輸入する場合には、内容をよく検討して、全部オーディションによって、われわれがこれならばよろしいということを決定して最上のものを送ろうとしておりますが、新しい映画を見たがっているのになぜ見せぬのかという事情は、概括的には以上のごとき事情でありますが、編成担当理事から内容について御説明いたきせます。
  152. 稲葉駿作

    稲葉参考人 ただいま会長から御回答申し上げましたので大半は尽きておるのでございますが、最近では新しい映画フィルムも取り入れまして、子供の教育にできるだけ有効なものを送っております。フィルムに関しましてはいろいろと映画会社の関係もございまして、目下その調整に極力努めております。そうしてなるべく新しくて教育上ためになるように、選定に努めておる次第でございます。
  153. 森本靖

    ○森本委員 映画会社とテレビとが当然競争になるということは考えられます。昔ラジオが発達すると新聞が売れなくなるということで新聞が反対したこともありますが、映画の持つ使命とテレビの持つ使命というものは、おのずから角度が変ってくると思いますので——今日の白黒テレビにおいて今のものをやると、確かに映画館の収入が減るということは考えられます。そこで具体的に映画会社と放送業者が話し合いをしても今日は新しい映画というものは、封切り直後でもいいのですが、そういうものは映画会社は全然出きないというのですか。
  154. 稲葉駿作

    稲葉参考人 ただいまのところ映画会社の方では、テレビによる影響を研究しておる状況でございまして、別にテレビ業者に対して悪意をもって接しておるということは見受けられないように感じます。その影響のいかんによっては、積極的に協力してくれるのではないかとも考えられます。最近のアメリカにおける情勢を見ましても、テレビ業者に積極的に合理的に協力している姿を見まして、いずれ日本においてもそういうふうになるのではないかとわれわれも期待している次第であります。
  155. 森本靖

    ○森本委員 映画会社が状況を見ておるというのは、どういう状況を見ておるのですか。
  156. 稲葉駿作

    稲葉参考人 今までは三年後にフィルムを貸すようにしておりましたが、これは地方の映画館に非常に影響するので、映画館の反対もあり、しばらく待ってくれというような申し入れもございます。それがある程度理解されて参りまして、テレビがそういう映画を出そうと出すまいと、映画館の入場者に大した影響がないということになりますれば、おそらく映画会社もある程度考えてくれるのではないか、そういうふうに期待しているわけであります。
  157. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、今映画業者の方では新しいフイルムというものは、全然放送業者に対しては提供しないわけですね。
  158. 稲葉駿作

    稲葉参考人 向うのシナリオで作ったものは、今のところNHKについては貸してくれておりません。ある特定な会社に対して、特定は映画会社が貸しておるという例はございますが、これは特殊なものであります。それ以外はNHKの場合でありますと、こちらの放送番組を映画化したような場合、特に貸してくれる場合がございます。
  159. 森本靖

    ○森本委員 NHKテレビは三百円の聴視料を取って見せておるわけです。それに対して今のようなボロボロのフイルムを見せる、古い映画を見せるということは、国民を非常に欺瞞をしたやり方だと思う。しかも映画業者の一部の収益の減ずるということによって、ああいうふうな映画を出すということは、非常に国民に対して申しわけがないと思う。そこで映画業者があくまでも自分のところの収入に影響があるので新しいものは出さないという方針を堅持するならば、われわれとしてははっきりとテレビ用の映画というものを別個に作っていく考えである、そうしてどんどん放送していく、そのくらいの気がまえはないわけですか。そうしないとこの問題は私はなかなか解決がつかぬと思う。だからこの際NHK当局としても、あるいはまたすべての放送業者、テレビ放送業者というものが一丸となって、場合によっては、それほど映画業者が言うなら、われわれとしては国民に対して申しわけがないので、一つ実質的に作ってやりたいという考え方はないのですか。
  160. 稲葉駿作

    稲葉参考人 そういう問題につきましては極力研究いたしたいと思っております。今のところまだそこまで態度をはっきり決定してしまう段階にきておらぬと思っておりますので、極力その点もよく研究いたしまして、よりよき映画番組をテレビに乗せられるように、今後実行上について研究していきたいと思います。
  161. 森本靖

    ○森本委員 これは今後の問題でなしに、現在の問題です。現在私はテレビを晩にはよく見ますが、そうすると、NHKの映画というものは必ず古い映画であって、これでたまるかこいう映画ばかりです。そこでこれについて私は前から非常に憤慨をしておるわけでありまして、そういう映画業者との折衝というものもかなりやってきたと思う。だから、そうやって絶対にこちらへくれる見通しがないということになれば、これはやはり考えてみなければならぬ問題だと思うのです。そこで試みにお聞きをいたしますが、テレビ用の映画をかりに一本プリントを作るとすると、大体どのくらいの費用が要るものですか。そういう問題についてまだ研究したことはないのですか。
  162. 稲葉駿作

    稲葉参考人 正確なフィルムの代金の統計は今ここに持っておりませんが、現在でもすでに社会番組的なフィルムは私の方で作っておるのでございます。ただ劇映画的なものについて、先ほどこれから研究すると申し上げましたのでいききか誤解を招いたのではないかと思いますが、現在でもそういうフィルムを作りまして、いろいろと研究をやっておるのであります。将来においてそういう映画会社と対抗するようなフィルムの作成に関しましては、これから実行上についてはずっと研究をせねばならぬ、そういうふうに考えておるわけでありまして、極力いい番組を出したと思っております。
  163. 森本靖

    ○森本委員 非常に一般の業者に対して遠慮した言い分ですが、それはこういう正式のところの答弁ではそういうことにならざるを得ないと思います。しかしテレビを見る場合でも、映画館へ行くのはちょっとおっくうだから、一つうちで家族そろって見よう、こういう考え方は相当あると思うのです。その場合、あのつまらぬエロ・グロ映画というものは別としても、相当劇映画として優秀な映画があるわけです。だからそういうものをテレビを通じて見せるということになると、非常に効果が大きいと思うのです。だから、そういう問題について業者との話し合いがどうしてもつかぬというなら、今NHKがやっておるようなプリントを言っておるのではなく、やはり劇映画的なもの、しかも放送ができるようなものを、NHKとしても実質的に月に何本かくらいかこしらえていける財政的な余裕というものは、やろうと思えば出てくると私は思う。だから、そういう問題については、将来においてもテレビ受信者層はかなりふえてきます。どんどん早急にふえてくる、これははっきりしておるわけですから、そういう点で一つ十分にこれは研究をしておりますというふうなおざなりの問題でなくして、早急に事を運んでいただきたいということを要望して、竹内委員から質問があるそうでありますし、なお時間もきましたので、私の本日の質問はこれで終りたいと思います。
  164. 竹内俊吉

    ○竹内委員 今の森本委員のお話に関連して、一点だけ電波監理局にお聞きしたのでございます。これはあるいは電波監理局には多少無理かと思う点もないではありませんが、今の映画がテレビに供給されないという問題は、もはや国民側から見れば非常に大きい問題になってきておるわけであります。これと同様な問題が御承知の通りアメリカでも起きまして、ついに訴訟問題に発展して、いわゆる独禁法違反であるというのでテレビ側から訴えを起したが、ついに敗訴になったことは、昨年の初めに起きた事件として世界に報道された問題であります。そこでテレビ側から映画会社にプリントを作ってほしいという要求をした場合に、映画業者側がこれを共同で拒否した場合、日本の独禁法においては何らか問題になるきっかけがあるかどうか。これはアメリカ日本とでは独禁法の点で多少の違いがあると思いますが、その点で法的に何らからの緩和の点があるのかどうか、これを一つお聞きしておきたい。
  165. 濱田成徳

    濱田政府委員 お話の趣旨はわかりましたが、もうしばらく研究きしていただきたいと思います。直ちに御返事できないことが法的にあるように思います。いかなる法律に基いてそれを可能ならしめるかという問題だと思いますので、しばらく研究の時間をおかし願いたいと思います。
  166. 竹内俊吉

    ○竹内委員 それではこういう問題が起きた事実があるかどうか。たとえば皆さんんがそういう相談にあずかったことがあるかどうか、その点伺いたい。
  167. 濱田成徳

    濱田政府委員 これに関する要望の声は聞いておりますけれども、具体的にいわゆる陳情を受けたことはありません。
  168. 竹内俊吉

    ○竹内委員 私は何もこの問題をそういう法的の制裁で解決しなければならぬという意味でお尋ねしているわけではありません。アメリカでもその問題が起きて、昨年一たんテレビ側が敗訴になりましたが、それがきっかけとなって、御承知の通り映画協会の方で一年に本数を限って、相当新しい映画をテレビに提供するようになったこともありますので、行政当局としてはテレビの内容改善のために、そういう点についても考慮してもらいたい、そういう意味でお尋ねをいたしたわけでありますから、次の機会にでもその点についての何らかの法的の解明をしていただきたいと考えます。
  169. 松井政吉

    松井委員長 それではちょっと私から一点、午前中の休憩直前に原委員から質問した場合のお答えにちょっと誤解があるように考えますから、この点はっきりしておいていただきたいのであります。会長説明書の九ページ、従業員の関係に属する問題でございますが、七百円の調整原資を見込んでおる、その次は従業員の家族の構成、年令、学歴等から推して一そうの努力を払いたいという観念的な言葉しか書いておらぬ。それに対する原さんの質問お答えをいたしおるのでありますが、具体的に、一言でいいから明瞭にお答えを願いたい。かりに今後日本の経済の動きに変動が起り、給与体系を公務員、三公社五現業並びにNHK等の類似産業において変更しなければならない状態が起った場合、さらに人事院勧告その他をめぐって公務員、三公社五現業の従業員に対する地域給の関係等の変更が行われた場合、単にこの説明書だけではなくて、給与増額の必要に迫られる状態が起ると思うが、その際にはどのようにするか、簡単でけっこうですから、明瞭にお答え願いたい。
  170. 池田幸雄

    池田参考人 お答え申し上げます。給与改訂、特に御質問の御趣旨は、地域給の改正が今新聞紙上に出ておりますので、そういう問題についてだと思います。私どもの地域給は官公吏の方々の地域給に準ずるというふうに組合側と約束ができております。だからもしも現段階におきまして予算を編成いたしますときには、そのことは予想しておりませんが、地域給が官庁方面で改訂になるならは、何らかの措置を講じなければならないというふうに考えております。
  171. 松井政吉

    松井委員長 その場合の原資はどのようにお考えになっておりますか。
  172. 池田幸雄

    池田参考人 予見しがたい事項として予備費から出せる場合も考えられると思いますし、あるいは予算の実行上の組みかえがあるか、その辺のところは実際の問題といたしまして検討いたしたいと思います。
  173. 松井政吉

    松井委員長 本日はこれにて散会をいたします。    午後四時二十二分散会