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1957-02-19 第26回国会 衆議院 逓信委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十九日(火曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 松井 政吉君    理事 小泉 純也君 理事 竹内 俊吉君   理事 橋本登美三郎君 理事 廣瀬 正雄君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 森本  靖君       川崎末五郎君    齋藤 憲三君       椎熊 三郎君    濱地 文平君       平野 三郎君    粟山  博君       佐々木更三君    杉山元治郎君       原   茂君  出席政府委員         郵政政務次官  伊東 岩男君         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君  委員外出席者         郵政事務官         (事務次官)  小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     永田  清君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小松  繁君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     溝上 けい君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     稲葉 駿作君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     池田 幸雄君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 二月十五日  委員山本利壽君辞任につき、その補欠として三  木武夫君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月十五日  名古屋開港五十年記念郵便切手発行に関する  請願赤松勇紹介)(第八九一号)  同(丹羽兵助紹介)(第八九二号)  同(春日一幸紹介)(第九六四号)  同(加藤鐐五郎紹介)(第九六五号)  夜須町羽尾地区内に公衆電話架設請願森本  靖君紹介)(第八九四号)  大津郵便局管内電話高知局に変更の請願  (森本靖紹介)(第九五一号) 同月十六日  電話加入権担保制度確立に関する請願(森三  樹二君紹介)(第九九〇号)  合併町村内電話通話区域早期統合に関する請  願(山本猛夫紹介)(第一〇二九号)  名古屋開港五十年記念郵便切手発行に関する  請願外一件(早稻田柳右エ門紹介)(第一〇  七八号)  同(横山利秋紹介)(第一〇七九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)     —————————————
  2. 松井政吉

    松井委員長 これより会議を開きます。  去る八日当委員会に付託せられました放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題といたします。  まず政府当局より説明を求めます。郵政政務次官伊東政府委員
  3. 伊東岩男

    伊東政府委員 ただいま議題となりました日本放送協会昭和三十二年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由と、これらに対する郵政大臣意見書提出につきましで御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条の規定によりまして、国会承認を受けるため協会から提出され、郵政大臣はこれに意見を付することになっているのでありますが、郵政大臣といたしましては、この収支予算事業計画等につきまして、放送法の趣旨、放送事業現状聴取者要望等、各方面からこれに慎重な検討を加えました結果、お手元にお配りいたしました通り意見書を付して、国会の御審議をお願いすることになったのであります。  これら収支予算等につきまして大略御説明いたしますと、昭和三十二年度における事業計画につきましては、その主眼ラジオについては難聴地域解消老朽設備改善放送番組内容充実等に、またテレビジョンについては岡山熊本鹿児島完成外八局の建設福岡増力及び既存設備改善整備並びに放送番組内容充実に置いております。次に収支予算におきましては、ラジオ関係については、支出総額百二十七億千百余万円とし、これに対し収入百二十六億千百余万円、前期繰越収支剰余金一億円を予定しております。これを昭和三十一年度に比べますと、総額において八億九千四百余万円の増加となっております。またテレビジョン関係については、収入支出とも総額を二十九億千二百余万円と予定しております。これを昭和三十一年度に比べますと、それぞれ十億四千七百余万円の増加となっております。なお本年度事業計画収支予算においては、受信料ラジオ及びテレビジョンともに、昭和三十一年度と同額のラジオ月額六十七円、三カ月二百円、テレビジョン月額三百円として、それぞれ計画されております。次に資金計画につきましては、本事業計画に基きまして、年度中における資金の出入に関する計画を記載してございます。  以上、日本放送協会事業計画収支予算等は、協会経営ラジオについてはほぼ安定段階にあり、テレビジョンについては発展段階にある趨勢のもとにおいて、国民負担最小限度にとどむべき必要と協会財政事情経営能率向上必要等を勘案した場合において、おおむね妥当なものと認められます。これをもちまして、私の説明をひとまず終りたいと存じまするが、何とぞすみやかに御承認を賜わりますよう、よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 松井政吉

  5. 永田清

    永田参考人 ただいま議題となりました日本放送協会の昭和三十二年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、その大綱を御説明いたしたいと存じますが、それに先立ちまして本日このような機会を与えて下さいました御配慮を厚くお礼申し上げます。  昭和三十二年度における事業運営基本方針といたしましては、公共放送としてのNHK使命達成を期するため、まずラジオの分野におきましては、全国あまねく受信できるように難聴地域の解消、老朽設備改善新型技術機器の整備並びに報道、教養、慰安放送及び地域社会に直結する放送番組内容充実をはかりますとともに、業務の合理的運営に努めることにいたしております。次にテレビジョンの分野におきましては、できるだけ早く全国の農山漁村にまで普及するよう放送局の建設、増力を推進いたしますとともに、テレビジョン番組社会的影響力に特に考慮を払いまして、公正な情報の提供、教育、教養番組強化拡充、健全、明朗な慰安番組の充実に一そうの努力を注ぎたいと思っております。次に国際放送の分野におきましては、国際文化の交流、貿易の振興に資するため、広くわが国の実情を紹介して諸外国の理解を深めるよう番組拡充強化に努めますとともに、新しくソ連向け放送東ア向け放送を開設しまして、国際社会におけるわが国の地位の向上の一助といたす所存でございます。また協会の使命に照らしまして、特に重要な技術並びに番組研究につきましては、わが国放送文化の進歩、発達をはかるため一そう拡充をはかる計画でございますが、特に現在最も必要な第三放送及びテレビジョンによる教育放送の実施に備えて、番組その他所要の調査研究を進める計画でございます。  次に、ただいま申し上げました基本方針に基くもろもろの施策のうち、特に重要な計画につきまして具体的に説明いたしたいと存じます。  まず第一に、ラジオにおける難聴地域の解消についてであります。この問題は協会放送法に基く新法人として専発足しましてから、その使命の最も重要なものとして取り上げ、一日も早く全国あまねく受信できるよう放送施設建設改良長期計画を立てて、年々中継放送局の建設、第二放送施設の整備、放送電力増力等計画を促進し、全国一〇〇%の良聴化を目ざして施設の拡充をはかって参りました結果、三十一年度末には良聴区域が第一放送におきましては九九・二%に、また第二放送におきましては九五・三%に達する見込みでございまして、御配慮をわずらわしておりました難聴地域解消既定計画の遂行はあと数局を残して一応完了に近づいたわけでございます。しかしながら御承知の通り最近外国電波による混信が国内の各所に発生しまして、これによる聴取困難な区域が拡大して参りましたので、これが対策について検討を進めておりましたところ、昨年六月周波数割当の再編成が行われまして、東京、大阪等主要局の百キロワット増力、静岡、防府、秋田等必要な地域におけるないし三キロワット増力等が大幅に認められましたので、この機会にこれらの増力計画等を含めた新しい計画を推進していかなければならないと存じておる次第であります。すなわち三十二年度におきましては、既定の計画による中継放送局五局の建設、第二放送四局の整備、札幌大電力増力継続工事の完成、高知十キロワット増力継続工事の完成のほか、尾道キロワット増力等、小電力局五局の増力、静岡、防府、秋田各三キロワット増力工事着手等を加えまして従来の年次計画に対し、ほぼ二倍の予算を計上して積極的にこれが施策を講ずることにいたしましたので、明年度には良聴区域は第一放送におきまして九九・七%、第二放送におきまして九七・〇%まで拡大する見込みでございます。  次に番組の編成についてでございますが、公共放送の使命にかんがみまして、広く国民の要望にこたえ、わが国文化の向上に寄与するために、青少年教育放送、社会、婦人、農事、産業等教養放送、迅速正確な報道放送、健全明朗な慰安放送につきまして、その内容を充実するよう多年にわたって努力いたして参りましたが、三十二年度におきましてはさらにこれの充実に努めるのみならず、そう高い水準の学術、教養、芸術番組の編成を行い、国民文化の向上に資するため、第三放送の実施について積極的に調査研究を行う計画でございます。  次にラジオ受信者の普及についてでございます。受信者の普及は三十二年一月末で総数千三百八十四万余となり、そのうち有料一千三百三十六万余、無料四十七万余の内訳でございます。全国総世帯に対し七七・一%に達しておりますが、明年度におきましてもそう受信者加入開発を積極化して、新しく四十五万の受信者の増加を目標といたしております。しかしながら受信の普及がこのように向上して八〇%にも達することとなりますと、未加入世帯の数も僅少となり、またその世帯も経済的に受信機の設置を許さぬような恵まれない方々が多くなるので、受信者の開発は非常に困難となっており、現状をもってしては今後の事業拡充、発展の基礎となる収入の増加が将来期待しにくいこととなりまして、ひいては協会財政の将来に対しても大きな問題となりますので、その根本的対策を検討しておりますが、さしあたり三十二年度におきましては、調査員制度の活用による受信者の獲得、雑音障害の防止及び除去対策受信機改善対策受信者に対するサービス向上等をはかる計画でございます。  次に国際放送についてでありますが、御承知の通り戦後昭和二十七年二月に再開しましてから、この二月で満五カ年を経過いたしました。この間、当初の五方向一日五時間送信、二カ国語使用という微々たる状態から、各方面の御助力によりまして年々その規模を拡大し、現在では十三方向一日十三時間、十六カ国語使用という状況になっておりますが、最近におけるわが国国際的地位の向上に即応いたしまして、明年度はさらに国際放送拡充強化が要請せられますので、新しくソ連向け放送東ア向け放送おのおの一時間の送信を開設いたしますとともに、番組内容の充実をはかって、わが国固有文化の紹介、国際親善の増進、貿易の振興等に寄与したい所存でございます。  次に研究活動の強化についてでありますが、放送の将来の発展のために、技術及び番組の基礎的並びに実用的研究拡充強化をはかることが、事業公共的性格から見て最も重要な点でありますので、三十二年度におきましても事業計画の重点をここに指向し、技術研究面では従来からの継続として放送音質改善、機器の能率化、施設の自動化受信機並び受像機簡易低廉化カラーテレビジョン用三色受像管国産化テレビジョン撮像管研究光増幅器研究UHF帯テレビジョン研究新型機器部品の試作、国産化研究等を積極的に実施する一方、カラーテレビジョン実験研究を行なって実用化に備えることといたしております。また現段階において特に必要な第三放送の実施を考慮して、さしあたり東京、大阪にFMによる実験設備を設置して、技術番組の両面にわたって調査研究を行う計画であります。放送文化研究面では、科学的世論調査の実施、放送番組研究放送博物館整備等に主眼を置いております。これらの研究の成果については、広く内外に公開してわが国技術水準の向上と放送進歩発達に寄与しようという計画でございます。  次にテレビジョンについてでございます。テレビジョン事業は、本年二月一日をもちまして事業開始四周年を迎えましたが、この間全国普及を一日も早く達成するよう置局を進め、京浜地区を初め京阪神、名古屋、福岡、広島、仙台及びその周辺等国内主要地域をカバーし、昨年十二月の札幌局の開局によりまして、大体国土を縦貫する放送網を一応完成いたしました。さらに本年度中には、現在工事を進めております小倉、函館、静岡、松山等の各局を完成する見込みでございますので、全国カバレージは総世帯の四五%に達し、国民の半数に近い人々がテレビジョン文化を享受し得ることとなる予定でございます。三十二年度におきましても一そう置局の推進に努めることとし、本年度から継続の岡山、熊本、鹿児島テレビジョン局の開局、福岡五キロワット増力工事完成等を行うほか、既定長期計画による置局順位電電公社マイクロウエーブ拡充計画進展等を勘案いたしまして、金沢、長野、新潟、防府、盛岡、福島、高知、旭川または室蘭の各地にもテレビジョン局の建設を行うことといたしております。従いましてこれら各局の工事が完成の暁には、NHKテレビジョン放送網カバレージは五九%に達する予定でございます。  テレビジョン番組につきましては、マスコミュニケーション・メディヤとしての特殊性を考慮して、公共放送としての協会の特色を十分発揮するよう、教育、教養放送拡充、健全明朗な慰安放送及び公正迅速なニュースの提供、劇場、スポーツ中継、その他のスペシャル・イベント放送等に重点を置くとともに、ラジオテレビジョンとの兼業の妙味を発揮して、両者の有機的連繋をそう深め、豊富多彩な番組を編成いたしたいと計画しております。またテレビジョン国民生活文化財として真に役立たせるため、現在教育、文化等各界から期待されておりますテレビジョンによる教育放送の実施に備えまして、これが実施を担当するのはあらゆる観点から見てNHKでなければならぬとの信念のもとに、番組その他について総合的な調査研究を進めることといたしております。この点につきまして先般テレビジョンによる第二放送用周波数確保に関する要望書を提出いたしまして、近い将来においてNHKテレビジョン第二放送を全国的に実施できるよう、必要かつ良好な周波数を確保していただくべく要望いたしましたが、協会の意のあるところをおくみ取りいただいて、格別の御配慮をお願いいたします。  次にテレビジョン受信者普及開発についてでございますが、メーカーその他関係方面の努力が実りまして良質安価な受像機量産化が進みますとともに、経済情勢の好転、国民所得向上等により、テレビジョンに対する需要の増加が見られました結果、受信契約者数もすでに本年度当初の見込みをこえて、一月末をもって三十六万六千、そのうち有料三十六万五千、無料一千となっております。さらに三十二年度には受像機生産見込みともにらみ合せて年間三十万の純増を予定いたしておりまして、テレビジョン事業の将来は大いに期待できる状況となりました。従いまして今後の受像機普及対策といたしましては、量産による価格の低廉化が特に要望されるところでございますので、関係方面の御協力を期待する次第であります。また受像機の維持の面においては、テレビジョン技術指導修理技術者の養成、受信障害雑音防止対策実施等について強力な施策を実行する計画でございます。  最後に経営管理の面でございますが、三十二年度におきましてもできる限り事務の簡素化と業務の合理化を行いまして、事業の運営を一段と能率化する所存でございます。しかしながらさきにも触れました通り、ラジオ財政においてはテレビ財政の将来の発展性とは逆に最近事業拡充に見合うだけの受信者の増加が見込まれず、財政収支の均衡を保つことがかなり困難となってきておりますため、三十二年度予算の編成におきましても事業の各分野にわたって必要経費の縮減を行わざるを得ない状況でありまして、経営全般にわたって抜本的な合理化策を講じておりますが、協会といたしましては今後ますます国民の負託にこたえますため、各般の拡充が十分考えられますが、受信者の今後の増加傾向を考慮いたしますと、財政的な見通しはますます困難となりますので、その対策については慎重に検討を加えたいと存じております。  また従業員の待遇の問題につきましては、先国会においても申し上げましたように職員の素質の向上と生活の安定を通じて、将来にわたる放送事業の健全な発展を期しまするため、経営の許す範囲内におきまして待遇改善を行うことといたしまして、さしあたり三十二年度は定期昇給分の増額と月額七百円の調整原資を見込んでおります。しかし従業員の待遇は職員の素質、学歴、年令、勤続年数家族構成等を考慮いたしますとまだ十分とは申せませんので、今後とも一そうの努力を払い、能率の向上による企業経営改善により、極力増収、節約をはかって待遇改善に努めたい所存でございます。また資金計画としては、放送設備建設資金中、置局、増力等に要する分については、ラジオにおいて放送債券五億円、借入金二億円を、テレビジョンにおいて放送債券五億円、借入金一億円の発行を予定し、またテレビジョン事業資金の不足に対しては借入金一億七千万円を予定しております。  以上が昭和三十二年度の事業計画等の大要でございますが、公共放送として重大な使命を負っておりますNHK事業運営について委員各位の格別の御理解と御同情を賜わりまして何とぞすみやかに御承認下さいますよう切にお願いいたしまして御説明を終ります。
  6. 松井政吉

    松井委員長 これにて説明は終りました。  次に質疑を行います。橋本登美三郎君。
  7. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ただいま説明されましたNHK事業計画等について、簡単な二、三の質疑をいたしたいと思います。  一応政府側にお聞きいたしますが、国際放送について本年二方向が新たに命令されたようでありますが、このNHK予算を見ますと、総額大体一億七千万円、そのうち政府の支出している金額はその半数くらいのようでありまするが、この命令による国際放送に対して、NHK一般放送受信料収入から補てんして出しておるわけでありますが、一般放送から国際放送にある程度の金がつぎ込まれてやっていくその根拠について、一般放送受信料国際放送に回されてもいいという根拠について御説明願いたいと思います。
  8. 伊東岩男

    伊東政府委員 ただいま国際放送の問題を通じて御意見がございましたが、これはなかなか重要な問題でございます。国際放送はただいま二方面だけ考えておりまするが、今後は多々ますますやらなければならないわけでございます。この根拠については非常にむずかしい問題でございまするので、この問題についてよく、研究しておりまする担当局長に御説明させます。
  9. 濱田成徳

    濱田政府委員 日本放送協会放送法によりまして国際的な放送を行うことを任務としております。その目的によりまして、放送協会は「国際放送を行うため、放送局を設置し、維持し、及び運用」するということで、政府命令によって国際放送を行うという件務があるわけであります。政府はその命令を遂行さすために、交付金を出すのは当然でありますけれども、同時にNHK自身国民から徴収します受信料の何がしかをさいて、そして国にかわり、国民のために海外に向って放送をやるという任務を有すると考えられますために、私は若干のパーセンテージを一般受信料の中からさくのは当然たろうと考えます。
  10. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今の局長答弁でありますと、国際放送はあえて政府命令がなくともNHKはそれを積極的にやってよろしい。それは第五条の「国際放送は、国際親善を害するものであってはならない。」という条項さえ守れば、それは政府命令があろうがあるまいが、どの方面に対しても国際放送をやってよろしいという見解の御答弁ですか。
  11. 濱田成徳

    濱田政府委員 政府命令があろうがあるまいが国際放送を行わなければならないということはないと思いますけれども、国民のための放送公共的使命を深く感ずるNHKといたしましては、私はみずからの国家的使命を感じて国際放送をやるようにされるのが望ましいと思う次第であります。
  12. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 この問題は二つの点があります。一つ法律の上、根拠の上から考えて、NHK政府指示があろうとなかろうとを問わず、国際放送をみずから勝手に行うことができるかどうか。もちろん番組はこれは委員会がありますけれども、NHKが勝手にたとえば中共なら中共に、あえて政府の二方向とか三方向とかという指示がなくても国際放送が可能であるということが、法律根拠にあるかどうかが一つ。もう一つは、このNHK受信料なるものは法文によってごらんの通りに、受信設備を有するものがそのサービス代価としていわゆる受信料を支払っておるのであります。従って受信料収入根拠は、いわゆる個人がNHKから受けたサービスに対する代価として支払っておる。この二つの点から考えて、もし国際放送というものが政府命令するとしないとを問わず、NHKの独自の見解において各方面に出すことができるというならば、これは一つ解釈でありますからして、私はそれは否定するものではないし、かつまたそういうことであればNHKとしては積極的に国際放送を、政府の許可を得ると得ないとにかかわらずやり得るという根拠に立つ、これは重大問題であります。もう一つ受信料は対価であるけれども、その収入において余裕がある場合においては、NHKは国の機関と同様な公共企業体であるからして、その費用においてどんどん積極的にやってよろしい、こういう解釈政府当局がとっておられるのかどうか、この点はどちらにも関係しておりまするが、重要な点でありまするので、明確なる御答弁を願いたい。
  13. 濱田成徳

    濱田政府委員 NHK国際放送を自分勝手にと申すと語弊がありますけれども、思う存分やってよろしいというお話は、そのまま私了解しかねると思います。やはり国のためにそのときの国際情勢、あるいは国内事情、あるいはその他の事情によって、政府と密接な連絡をとりつつ、国際放送をやるのが望ましいことではないかと思うのであります。そのために政府といたしましても周波数割当国際放送のために行うのでありまして、その周波数割当がなければNHK放送実施ができない、そういうことになるだろうと思います。そこに政府NHKとの連帯性があるのだと思います。
  14. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今の局長の御答弁でありますと、周波数割当政府にあるから、従ってNHKが勝手に各方面に短波を流すことができない、こういうお話でありますが、そうすると周波数割当等について協議をすれば、その費用等については、あえて政府指示を得なくとも公然にやれるという法的立場に立ってのお話ですか。
  15. 濱田成徳

    濱田政府委員 大へんデリケートなお話だと思います。私は政府国家の存在を明確ならしめると申しますか、いわゆる国のPR運動のために、あるいは外交の健全な発達のために、国際放送を存分に利用する必要があろうと思うのであります。でありますから政府もみずから行うべき必要のあるものだろうと思うのであります。けれどもNHKと申しますものは、放送法規定せられてありますように国の機関ともいうべきものでありまして、そういう意味におきまして政府のかわりに、あるいは政府の意を体して、その政府の心あるいは国民の考えを各国に向って発表し、あるいは国内事情紹介し、国際親善に資するような仕事をみずから買って出るのが望ましい、そういう性質のものであろうと思うのでありまして、政府はしなくてもいい、NHKがみずからやればそれにまかしておけばいい、あるいはNHK受信料というのは一般受信者との契約によるものであるから、それは国際放送に使う必要はないのだというふうに、簡単に割り切って考えるべきものではなかろうと思うのであります。
  16. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 結局こういうことなんでしょう。要するに郵政当局は、国際放送については全額の一億数千万円を大蔵省に要求した、従って政府としての考え方は国際放送に対しては全額国が持つべきであるという建前を堅持しておる、ただ国の財政上の都合からこの全額を持てないけれども、まさかこれだけでは放送ができないので、そこで実際上はNHKとしてその費用の大体半分くらい持つ、こういうことになっているのでしょう。その根拠は、NHK国民全体のものでありかつまた公共企業体であるから、国際親善に資する責任もあり義務もある、だから一面こういう負担は何ら予算的にも法的にも差しつかえない、こういう答弁であるべきはずじゃないですかね。であるからしてあなた方は一億数千万要求して大蔵省から査定を食って八千万か、半分くらいにされたのでしょう。だから郵政省の建前としては、ちゃんと肉のついた放送をさせることが建前なんだ。しかしながら現実の問題としてはなかなかこれが実現できないので、そこで実際上の問題としてはNHKが半分以上の費用を持ってちゃんとした放送をする。しかし建前としては国が国際放送の全額を持つべきなんだけれども、現状としてはそれができない、こういうことで自分たちとしてはできるだけ大蔵省の蒙を開くために努力しておる、そういうようにおっしゃれば  一番間違いがない。そういうことであると思うので、今後とも一つ国際放送についてはしっかりした予算要求をしてもらいたい。そうしていわゆる大蔵省がなおかつ国際放送なり電波事業に対して冷淡である、こういう認識は、一つ郵政当局が十分に蒙を開いてもらいたい。  それから会長にお尋ねいたしますが、会長説明の中に第三放送ということが出ております。第三放送ということは、中波放送並びにテレビジョン放送及びFM放送という三つの施設を考慮に入れて、いわゆるFM放送とかテレビの第二放送が第三放送とかいうことでなくて、この三つの施設をフルに活用して、そこでどこからか知らぬけれども第三放送というものをお考えになっておるのか、それともFM放送というようなことを考えずに現在の中波放送の中で第三放送というものを考えておられるのか、その点が御説明では不十分のように承わりますので、この点の御説明を願いたい。  それからラジオ放送費用の問題ですが、三十一年度番組費用と本年度費用では逆に本年度の方が減っております。本年度総額は二十四億一千五百七十九万六千円、三十一年度番組費は総額二十四億六千三百三十三万三千円、これはNHK予算全体が非常に窮屈化しておることからして、相当合理化あるいは節約というものが行われてどうしてもこういう圧縮をしなければならなかったというところに原因があると思います。しかしながら世上いろいろ聞きますと、たとえば三橋美智也とか美空ひばりとかいう人たちは、十五分か三十分やりますと三十万、五十万というギャランティを取っておるというような状態で、放送番組費用中の最も重要なる謝礼金というものが増加の傾向をたどっておるにもかかわらず、放送番組費全体としては昨年度よりも下ってきておる。こういうようなことについてはわれわれしろうとから見ますと、矛盾があるように思うのですが、この点の御説明並びにもし個人的なことを申し上げてはあるいは困難がありましょうから、そういうギャランティの問題についての見解をあわせて御説明を願いたい。
  17. 永田清

    永田参考人 ただいまお尋ねになりました第三放送の問題でございますが、この言葉は御承知のようにBBCで使われており、その原語がサード・プログラムといわれていることは御承知通りであります。これは本来ならば公共放送を完全にしていくということでありますと、中波におきまして第一、第二、そして第三、最近は重ねてFM放送ということになる次第でございまして、これも御承知通りでございます。ところがわが国の場合は民間放送とも協調して参らなければなりませんので、公共放送といたしましては中波におきまして第一、第二、従って第三放送というのは中波ではございません。それで、本来これが持っておる意味は、国民の文化向上に特に資するためという意味で、教養の高いものを送る次第でございます。その聴取者必ずしも多くなくても、公共放送といたしましては国民文化向上という意味で、これを行うべきだという次第でございます。それで現在協会といたしましては、そのサード・プログラムを、中波におきまして教養番組として第一、第二の中に織り込んで実施しておる次第でございます。次にFMの問題、先ほど触れましたようにこれは新しい技術として次第に展開して参っておりますので、放送協会といたしましては特に進んでこれを取り上げて普及発達に資したい。前国会でもその御意向が強かったので、実験に入ることになっておるのでございますが、ここでもFM放送によってサード・プログラムを加味していくという形で、その使命を果して参りたいと思っております。あるいは不十分であるかもしれませんが、第三放送については以上の趣旨であります。  次に放送費が昨年度よりも減額しておりますことについては、お話がございましたようにまことにその通りでありまして、いい仕事をしようと思えばやはり放送費の支出は増大していくのが当然であり、しかも現況から申しまして民間放送の出演料が次第に高くなっておりますので、日本放送協会のみただ従来の方針を守っていくというわけには参らぬので、この点はなかなか苦慮いたしておる次第でございますが、しかし総合的観点に立ちまして三十二年度事業計画としては、一般説明で申し上げましたように、難聴地域解消とか国際放送の拡大、設備の改善拡充、大電力への準備といったようなことで、総合的に経費を考える。また一方実際に放送協会のように、仕事をする人が十分の能力と文化水準努力とを持ってしなければ、その責任が果せない次第でございますので、そのためにはやはり合理的な賃金体系ということも考えなければならない。こういうようなところを勘案しまして、三十二年度におきましては一応全体のバランスの上で放送費のできるだけの合理的節約をやり、しかも内容としてはむしろ前進さしたいということで、苦衷の点をお察し願いたいと存ずる次第でございますが、その具体的な問題については担当理事から重ねてお答えをいたします。
  18. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 担当理事から御説明いただく前にもう一つあわせてお聞きしたいのですが、テレビジョン方面放送費用は前年度に比して約倍になっております。二倍とまではいきませんか、二億九千万円に太して今年は四億九千万円、約二億円の増であります。もちろんこれはテレビジョンが各地に多く設置せられたことも大きな理由でありますが、こういう考え方はしていないのですか。予算編成ラジオとテレビをプール計算によって、放送費のごときはお互いに融通し合うことができないのか。ただ従来の予算の立て方の建前上、ラジオラジオとしての立て方をし、テレビはテレビとしての立て方をしておるので、こういうような矛盾が表面上出てきておる。これをもしラシオとテレビを、収入をプール計算にし、支出をプール計算にしていけば、このような矛盾が出ないで済むというようなことがありはしないか。いわゆる二本立の予算の立て方を従来通りやっておるために出てきておるのであって、ラジオのごとく、将来ともに増加が漸減する傾向にあるものとしては、テレビの倍増という状況とは異なっておるので、この間の収入のふえ方等も違ってきておる、こういうことも、民間のラジオとテレビを兼業しておる会社で見られるように、当然プール計算で予算の立て方をすべきであるにかかわらず、従来の考え方からプール計算によらざる二本立の予算の立て方をしておるところに、こうした矛盾が出てきておる、こういうふうにも解釈できるのですが、この点についてもあわせて御説明を願いたい。
  19. 永田清

    永田参考人 大へん重要な質問をいただいたのでございますが、従来ラジオテレビジョンにつきましては、この二つについては事業の経理としてはもとより経理の統一性が重要でございますので、協会財政としては総合的に見ておりますけれども、ただ明年度計画といたしましては、一応ラジオ分野において経理はどういう状況にあるか、テレビについては経理の状況がどうであるかという事実を鮮明にするために、両立をとっておる次第でございます。実行としてはもとより経理は統一されなければなりませんので、協会財政として一本として統一されておるわけでございますが、御質問の通りに、ただ内容についてラジオとテレビの財政を二本立にしておることが一応の問題点になってくるわけでございます。ただこれについては、実情を申し上げますと、ラジオについては先ほど申しましたように、たとえば社会施設的に病院とかあるいは災害地域における免除とか、あるいは教育とかいうことについて無料で設置している部分が約五十万ございます。従って総数は千三百八十万世帯に近いのでありますけれども、実際は千三百三十万世帯という状況で、その伸びが従来よりもずっと低くなって参っておりますが、徐々に伸びてはいる。そしてあらゆる努力をしたいということでございます。一方テレビにつきましては、先ほども概況説明で申し上げましたように、割合急速に普及が行われているというわけでありますけれども、何にいたしましても開設後満四周年で、設備資金その他がございますのと、今後の発展についてはまだ十分施設もしなければならない。重ねて御承知のように放送協会としては国民のさまざまな要望にこたえつつ、文化の向上、福祉に貢献しなければなりませんので、テレビといえども、テレビがそう伸びていくといたしましても、その番組その他については今後実際面においてなかなか出費が多くなるというふうに覚悟している次第でございます。それで実際におきましてラジオ、テレビの二本立の経理を一本化しましても、その分野々々での特有の仕事をして参らなければならないので、一応明年度は分離という形になっておりますが、この問題についてはさらに御研究、御指示をいただいて、次第に経費の統一ということに持っていきたいと思っております。一応ラジオ普及が先ほど申しますように、ほとんど特殊の場合を除いて日本じゅう大体行き渡っている、きわめて大衆的基盤の上に立っているということ、それからテレビにつきましてはだんだんふえては参っておりますけれども、三十六万というようなことで、階層的に少しは違うというふうなことが私どもの気がかりになっておりまして、これらについてまだ十分踏み切りがつかないという状況で、従ってそういう意味で、これは完全に統一するというところまでには明年度は参っておらない、そういったことが、直接放送費についてそう大きな支障を来たしているかということについては、一応分離会計で、その範囲内ではできるだけのことをやっていこうというふうに考えておりまして、実際にテレビの方から、ラジオ編成費、放送費に回すよりも、テレビ自体の発展拡充にまだ資金を使うことが必要ではなかろうかという趣旨で、経営費と事業計画を考えているような次第でございます。
  20. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 この三十二年度の財政計画を見ましても、NHKラジオ面において相当苦しい立場に追い込まれておって、近い将来ラジオの料金の改訂を希望するような趣旨を含めた先ほど来の説明であったように承わっております。しかしながら私が先ほどから質問申し上げますように、将来のテレビの増加というものはますます急激な増加を示す。それと同時にラジオとテレビの放送費の違うところは、なるほどキー・ステーションにおいてのテレビジョン放送費というものは、ラジオに比べて相当莫大な費用を要しております。大体テレビジョンというものは受像を伴うために、地方での編集は比較的ラジオと比べれば少いのではないか。従ってこれが全国普及せられ、全国に受像者が多くなれば多くなるほど、その数に比例して、番組編成費を平均すれば割に当初よりは減ってくるのじゃないか、こういう点が考えられるのであります。そういう点を考慮しますと、将来の財政計画としては、ラジオ収入とテレビ収入を一応まとめて、その上に立って両者の経営方針というものを考えていくということが将来の考え方の一つではないか、こういう工合に考えるわけであります。その点将来NHKとしては御研究願いたいと思います。  それから理事なり関係説明者の方でけっこうですが、現在いわゆる人気出演者にNHKが払っておる謝礼金というものは大体どういう状態であるか、参考までにお聞かせ願いたい。
  21. 池田幸雄

    ○池田参考人 御説明申し上げます。先ほど放送費全体のふえ方が少いというお話でありましたが、三十一年度に比べまして多少パーセンテージとしては減っております。これは全体を合理化し、あるいは内容的に設備の計画が完了したものを減らしたためでありますが、金額的に申し上げますと、放送費だけで申し上げまして、三十一年度に比べて三十二年度が千三百万円くらい増加になっております。御質問の御趣旨はパーセンテージが多少減っておるという点だろうと思いますが、その点一々工夫いたしまして減らすべきところを減らして、そういう形になっておるというふうに御了解願いたいと思います。  それから出演謝金は、なるほど放送協会が非常に安いということが定評になっておるようであります。実は放送協会の出演謝金は、昭和二十九年度に改訂いたしましたそのままで踏襲してきております。その間民間放送の方で多少上げておる向きにも聞いておりますが、私の方は予算の関係等でなかなか上げ得ないような形になっております。最近やはり放送を実際いたします上におきましても、多少調整の必要があるというふうに考えております。その点は今の予算で二十九年度のものをどの程度に改訂するか、現行までにはなかなか持っていきにくいので苦慮しておる次第であります。できるだけ工夫してやっていきたいというふうに考えております。
  22. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 参考までに先ほどお聞きした人気俳優といいますか、人気出演者の、具体的な名前はけっこうですけれども、大体どのくらいの割合でやっておるか。
  23. 稲葉駿作

    ○稲葉参考人 これは自分の方はわかりましても、向うの方ははっきりしたことはわかりませんですが、大体浪花節でありますとこちらが一万円でありますと向うは三万円とか、歌謡曲でありますとこちらが二万円に対して向うは十万円というのがございます。
  24. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 まあその点はいずれ他の機会において具体的に各方面から調査したいと考えております。  もう一つ重要な点ですが、これは政府側にお聞きいたしますが、NHKから会長の御説明にある通りに、テレビジョン教育放送要望書が出してあるということであります。なお政府当局においては審議会等において、テレビジョン教育放送を中心とする問題について何か諮問をされたのか、あるいは審議会が独自の見解審議しておるのか、そういう話を聞いておりますが、その点に関する経緯を御説明願うことが一つ、それからテレビジョン教育放送の問題について、実はかねてから当委員会でも問題にしておったのですが、最近いろいろ私個人も研究いたしました結果、この問題は非常に重大問題である。NHKが出しておるばかりでなく、商業放送としても教育放送を申請をしておるようであります。ところがこれは常識論ですが、現在受像機を持っておられる人がダブっておる、二台もしくは三台持っている、こういう人はどのくらいの数になっておりますか。お調べになっているとすればお知らせ願いたいのですが、おそらく千人に一人も二台の受像機を持っている人はないのではなかろうか。そうなりますと、現在のテレビジョン放送の場合は一種の一般放送であります。その中にいわゆる企業体の形式並びに放送法によっての監督の十分である、ないという違いによって、一方が民放と称し、一方がNHKという企業体になっている。企業体としては二つの企業体があるわけでありますが、いずれも現在の場合においては一般放送としてテレビジョンの波長が許可せられておる。そこで教育放送という形でもってテレビジョンが認可されることになれば、二つの種類が許可せられたということになるのですが、実際問題として、テレビジョン受像機は今のように国民経済の上から考えても、二台も三台も持てない。原則として一台だ。こういう状態の場合に教育放送が行われた場合に、果して一般放送教育放送のいずれを重視するか、こういう問題が一つありはしないか。従って非常に少い電波が教育放送のために分けられた場合、それがほんとうに活用できるかどうかという一つの疑問を考えるのですが、この点について政府当局がこの問題をどういう工合に考えておられるか。直ちに電波監理局長がお答えできなければ、あらためてこれは重大問題でありますからして、大臣の責任において答えるべき性質であろうと思うのです。従って今直ちに答弁ができなければ、もちろん大臣と打ち合せの上、大臣から御説明願ってもけっこうであります。  ついでながら、そこでいわゆるテレビジョンのチャンネルの数に制限がある。こういうことからして、これは私の個人的見解ですが、現在の民放にせよ、NHKにせよ、教育番組というものについては、特に民放の場合には全くやっておらない。NHKの場合においても教育番組と称するものはやっておりません。教育番組はやっておるかしらないが、教育番組はやっておらない。そこで実際の受像者側から見ると、その一つテレビジョン一般健全娯楽を見、あるいは教養番組を見、同時に教育番組を見る、こういう建前の方が実際上は便利なんじゃなかろうか。そうなると、民間のラジオにしてもテレビジョンにしても、一応放送法によりある程度の保護を受けておる。またある程度の最小限度であるが民放の場合においても特権が与えられておる。事業税の免除等の特権が与えられておる。こういうような特殊の民間企業であるからして、これらに一つの義務を与えることも一つの考え方ではなかろうか。たとえば一日のうちに一時間とか二時間、ラジオ、テレビを通じて教育番組を組まなければならぬ、こういうようなやり方によって、いわゆるスイッチを切らずして自然と教育番組を見ることもできる、こういう考え方もあり得るのではなかろうか。これらの問題についてはかなり政治的な判断を要する問題でありますからして、直ちに答弁は困難と思いまするが、先ほど申し上げました現在郵政省内でこの教育放送についての審議が行われておるようでありまするから、それに関する経過報告等でもお聞かせ願えれげ大へんけっこうだと思います。
  25. 伊東岩男

    伊東政府委員 ただいまの御説については、これは非常に重要な問題でございまするし、なお放送界の重大関心事でございます。この免許等についても、よほど考えなければならないと思いまするので、今までの経過、技術院の問題等については所管局長からお答えいたしましょうけれども、やはり責任ある言明は大臣出席のときの方がいいたろうと思いまするので、その点は大臣にお願いして、具体的な問題について局長から説明があると思います。
  26. 濱田成徳

    濱田政府委員 郵政省ではテレビジョンのチャンネル・プランの基本方針を確定するようにいたしまして、そのうちで今橋本委員お話にありました教育放送あるいは教育放送という構想につきまして一つの考えを出しまして、それについて原案を作りまして、その基本方針の原案を電波監理審議会に諮問いたしまして、ただいま電波監理審議会は審議をやっております。それにつきましては、二月一日に審議会が主宰する公聴会のような懇談会を開きまして、各界の有識者に集まっていただきまして、そこで参考意見を聞かしてもらいまして、それをもとにいたしまして審議会の意見をまとめ中でございます。放送テレビジョン国民に及ぼす影響の非常に深刻なことは申すまでもありません。近来ややもすれば番組が低俗化してくる傾向があり、おもしろおかしいもの、あるいは娯楽面の過剰というような傾向があります。そのために青少年その他に及ぼす影響が深刻である。これにつきましては放送法の改正等の論議の際にもしばしば言われたことであります。そういう際において郵政局の基本方針というのは、チャンネルを従来六波でありましたものを十一の電波に増加することが可能になりますので、その割合潤沢になった電波を利用し、これを活用するために、その際に教育放送または教育放送——今橋本委員教育放送教育放送の区別を言われましたが、その区別はなかなかむずかしいと思います。とにかくもっぱら教育的効果を与えるような、そういう性質の放送を行うものを教育放送と一応呼ぶことにいたします。かような教育放送をやるために波長、電波を割り当てるのが、この際において国民のためになる、公共の福祉に合致するゆえんだろう。そう考えまして、その教育放送を行う事業体あるいはその経営形態がNHKのようなものであるか、あるいはその他の特殊法人であるのがいいか、あるいは営利会社でやっていいのか、財団法人でやっていいのかというような問題は、非常にむずかしい問題だろうと思います。その論議はあとにいたしまして、とにかくかような教育的効果を与える放送目的の電波を割り当てるのがいいだろう。そういう構想を打ち出しまして、その案をよく世論に問うことにしたい。そういう意味でチャンネルプランの基本方針を作った次第であります。それをただいま申し上げましたように電波監理審議会で審議中である。それが今までの経緯であります。
  27. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 局長がおっしゃるように、最近のテレビジョンが通俗娯楽に堕し過ぎている傾向は十分認められます。従ってこれの是正は、業界自体も自粛してもらうし、かつまた、もしこれができない場合には、何らかの方法が講ぜられる必要があろうと思います。けれども、教育放送教育放送を私は区別しておるのですが、私の言っているのは、純然たる教育放送で、教育放送ということになれは、従来民放もやっておるし、NHKもやっておるということだろうと思います。教育放送ということになれば、いわゆる学校教育と表裏相一致した放送がなされなければならぬということになるのですが、そうなりますと、せんだって発表されたようにチャンネルが六つから十一になりましたけれども、これに割り当てられましても、主要都市だけがそのチャンネルがとれる。そうして地方の中都市以下はそのチャンネルがとれない、こういう結果になるのであって、もし教育放送にいたしましても、大都市だけはいわゆる教養中心の放送ができて、そうして中都市以下は従来の放送にまかせる、こういう結果になりはしないか。それからまた純然たる教育放送ということになれば、大都市は学校、大学等が十分に備わっておって、しかもその上に今度はテレビジョンによる教育放送が行われる。それが地方においては行えない、こういう矛盾もありはしないか。こういう点で、この問題はなかなか重大問題だろうと思うのであります。従って、郵政省の案としてそれが諮問に付せられたのかどうか知りませんが、今のお話ですと、郵政省の方で大体意見の一致を見て、そういうものを作るべきじゃないかというので諮問をした、こうおつしゃるのですが、そういう点については十分勘案せられたのか。それとも現在の民放、あるいはNHKを含めて、現在のテレビジョン番組なるものが教育放送というものを積極的に考えずにやっておる、こういうものを是正しようとしておるのか。そこにもまた私は考え方の矛盾がありはしないかというふうに思うのですが、いずれにしてもこの問題は、掘り下げてみますといろいろ重大問題にひっかかって参りますから、あらためて郵政大臣出席の上において、こまかく質疑を進めたいと考えております。ほかの人ありますか。——それでは私一人で時間をとっても申しわけありませんから、とりあえずこの程度でとどめておきますが、このNHK及び電波利用に関する審議はあとの機会において承わりたいと思います。きょうは私はこれで終ります。
  28. 松井政吉

  29. 森本靖

    森本委員 私も細部の問題については次の機会に譲りまして、重要な点だけ質問したいと思いますが、このNHKの三十二年度収支予算については、これは現在の放送法が改正されないものとして予算編成をして、提出されたものかどうか、その点をまずお尋ねいたします。
  30. 濱田成徳

    濱田政府委員 放送法の改正がないものと考えての話でございます。
  31. 森本靖

    森本委員 そうすると、これは郵政大臣意見書を付して出したわけでありますので、郵政大臣としては当然放送法の改正はないものとしてこの収支予算書を出してきた、こう解釈してよろしゅうございますか。
  32. 濱田成徳

    濱田政府委員 これは意見書を作りますに当って、三十二年度収支予算でありますから、三十二年度内における内容に変更はない、こういう予想だろうと思います。
  33. 森本靖

    森本委員 そうすると三十二年度には放送法の改正についてはないという前提のもとに、この収支予算を上程をせられたということになりますと、政府としては今国会にはこの放送法の改正案は上程はしない、こういう考え方に基いて、この意見書を付して協会の三十二年度予算案を出した、こういうことになるわけですね。
  34. 伊東岩男

    伊東政府委員 放送法の改正と今の予算関係は非常に関係がございます。放送法の改正については、すでに前々郵政大臣松田大臣も改正しようと発言しておりますし、さらに前村上郵政大臣のときには委員会まで作って、すでにその答申がございます。そこでこれは非常に重大な問題でございますので、省におきましてもただいまこの改正に関しましては慎重審議をやって作業中でございます。この前もお答えいたしましたように、今のところでは放送法を改正する法律案を提出する運びまでにはいっておりませんが、これについてはいろいろ皆さんたちの御意見等もしんしゃくいたしまして、さらに検討を続けなければならない。そこで問題は、おっしゃるように予算との関連においてはその通りでございますが、今のところではまだ放送法の改正法律案を出すという運びまでにはいっておりません。検討中でございます。
  35. 森本靖

    森本委員 そんなちくはぐな答弁はないですよ。三十二年度のいわゆるNHK収支予算をここに上程しておるわけですから、それでこれは御承知通り三十二年度全部を通算するところの予算であります。だから放送法の改正をするというはっきりとした意図が政府にあるならば、その意図に応じてこの予算を出すべきであって、ただいま電波監理局長ははっきりと三十二年度予算案については放送法の改正をするという方向における予算ではない、こういうことを明らかに政府事務当局としての答弁をしたわけであります。そうすると政務次官がどのように言われようとも、この予算案から見ると、放送法の改正案というものは今国会には上程しない、こういう結論にならざるを得ないと思うのですが、その辺の事務当局と政務次官との答弁の食い違いはどうなんですか。
  36. 小野吉郎

    ○小野説明員 ただいま御審議をいただいております予算は、現行法に基きまして編成いたし、御提出いたしておるわけでございます。別段にこれが直接放送法改正の問題につながっておる問題ではございません。放送法を改正するやいなやは別途の見地から考究を進めておる問題でありまして、現在の段階では政務次官お答えの通り、今国会提出できるともできないとも、まだそういった結論を得る段階に至っておらないわけでございます。この両者は必ずしも矛盾を来たさないと思うのでありまして、仮定の問題でございますが、放送法を改正することによって本予算に非常に影響を来たすようなとがあれば、そういった面については、あるいは予算審議が終了した後におきましては、そのような予算の変更を来たすごとき改正は、今国会では不可能になるというようなことに相なろうかと思うのでありまして、現在御審議をいただいております予算の問題と放送法の改正の問題とは、直接矛盾を来たさないように考えるわけであります。
  37. 森本靖

    森本委員 次官は自分では矛盾を来たさないという答弁をしておりますが、これはどなたが聞いても非常に矛盾を来たす答弁であって、この問題については、これから放送法の改正案というものをかりに上程するにしても、この間の予算委員会の分科会でもそうであったように、もう二月の中旬を大体過ぎて下旬になっておるわけです。そうすると、放送法の改正案というものが上程をせられるということになりますと、これは重要法案の一つでありますから、当然会期も相当過ぎてきて上程せられて、会期末にこれが非常に論争を呼び起すというようなことは望ましくない、これは政務次官も御承知通りだと思います。そういうような見地に立ったならば、次の委員会あたりでははっきりと与党内部の意見とそれから政府意見というものをまとめて、今国会放送法の改正案の提案をするかしないかということをはっきり答弁ができるようにしておいてもらいたいと思うのです、そうしないとこの予算審議についても、次官は今そういうように答弁をせられましたけれども、当然これはこの予算の問題にからんでくるわけでありますので、一つ——私はあえて意地悪く深追いはいたしませんので、次の委員会あたりではこの放送法の改正の上程についてははっきり答弁ができるように、政府並びに与党内部の意見を統して答弁ができるようにお願いしたいのですがどうですか。
  38. 伊東岩男

    伊東政府委員 お話通り意見ごもっともでございまするので、よく検討を加えまして、なるべく早い機会にはっきりお答えしたいと考えます。
  39. 森本靖

    森本委員 それではこの問題は次の委員会に譲るといたしまして、次にこの前大臣に質問をいたしました例の石橋アワーの問題でございますが、この問題についてあのときには全然内容を官房長官から聞いておらぬので知らない。次の委員会にはこの内容を十分調査して答弁する、こういう回答になっておりますが、その経過を一つ説明願いたいと思います。
  40. 伊東岩男

    伊東政府委員 問題の石橋アワーでございまするが、これは放送法から申しましても政府命令し、強要すべき筋合いのものではございませんから、むろん政府から積極的にさようなことがあったとは私は信じません。しかし今後も政府施策その他を国民によく徹底させる上において、NHKその他を通じて徹底させる番組が、向う方から積極的に出てくることは非常にけっこうなことだと私は考えておるわけでございます。しかしこれは政略的にこういうようなことをすべきものではなくして、どこまでも至公至平な立場において放送はさるべきもの、かように考えるのでございます。石橋アワーについては新聞紙あたりでもいろいろ報道いたしておる通りでございまするけれども、政府としては決してこれをやることを強要した事実等は全くないことを明確にいたしておきます。
  41. 森本靖

    森本委員 政府命令をしたとかなんとかいうことを私は聞いておるわけではなしに、一体民放とNHK政府との間において、協定がどういうようにできておるかということを聞いておるわけです。それは官房長官の仕事かもしれませんけれども、この放送に関する問題については当委員会の所属であります。だからその経過はこの前の委員会で大臣がよく調査をして、次の委員会には答弁をいたします、こういうことになっておるので、今日政府は民放とNHKとどういう契約になっておるかということをはっきりしてもらいたい、こういうことです。
  42. 伊東岩男

    伊東政府委員 先ほどから申し上げるように、放送番組の編集は非常に大事なことでございまして、すでに放送法にも明確になっておるわけでございますから、決してこの問題は政府から積極的にさような行動に出たものではないし、番組に対してまた決して干渉すべきものではないと私は考えまするので、官房長官がどういうふうなことをなさっておるかについてはよくわかりませんけれども、官房長官といえどもこの番組に対して干渉すべきものではない、またするはずはない、こう考えております。
  43. 森本靖

    森本委員 いや、私は番組に干渉したとかどうとかいう質問に入っておらぬですよ。NHKと石橋さんが月に何回出るということを約束したのか、あるいは民放と月何回出るということを約束したのか、そういう内容にいては次の委員会で明らかにする、こういう答弁を大臣がしておるわけです。だからそのNHKと民放との間の契約はどういうことになっておるのか、新聞で見ると民放と契約したけれども、民放の方が遠慮して出演料は取らない、こういうことになっておるというようなことが新聞に載っておる。そういう経過を一つこの際次の委員会で明らかにする、こういうことでありましたので、その内容を明らかにしていただいたならば、さらに私は放送法に基いて質問をしていく、こういうことです。
  44. 伊東岩男

    伊東政府委員 ただいまお話のような契約などをするはずもございませんが、しないと信じております。しかしこの経過については担任の局長から説明させることにいたします。
  45. 小野吉郎

    ○小野説明員 ただいまお尋ねの点でありますが、そのような具体問題にはまだ入っていないのであります。なお前回の委員会におきまして、郵政大臣も官房長官との打ち合せの上で明確な御答弁をいたしましょうということになっておりますが、あいにく御病気でまだ御出席できません。その後の経過も私ども聞いておりませんので、いずれ大臣が御出席になりましてお答えを申し上げたいと思います。
  46. 森本靖

    森本委員 そういうちゃらんぽらんな答えをしてもらっては困るのですよ。大臣が病気で出れぬときには、当然政務次官がその責任を負って、次の委員会においては回答するということなんだから、それを大臣からよく聞いて、次の委員会にちゃんと報告する責任がある。そういうことになりますと石橋さんでないけれども、大臣が病気だ病気だというて先に先に延ばしていけば、ちっとも回答できぬわけですよ。だから病気なら病気であって、そういうことを前の委員会において聞かれておって、打ち合せしてこの委員会でよく答弁しなければならぬけれども、それは忘れておりますなら忘れておりますとあっさり言えばよろしい。やっておるならやっておるらしく答弁してもらえばよろしいし、忘れてそういうことについては大臣と打ち合せしておらぬということなら、これはそれで仕方がないから私はあえて質問いたしませんけれども、前の委員会でそういう約束になっておるにもかかわらず、大臣が病気で官房長官との間の打ち合せがどういうことになっておるかわかりませんということなら、無責任きわまる答弁だと私は思う。だからその点の経過はどうなっておるかということをお聞きしておるわけです。
  47. 伊東岩男

    伊東政府委員 先ほどから繰り返し御答弁申し上げる通りございます。ただいま郵政大臣病気でございますので、郵政大臣が病気でなければ出て約束通りお答えするはずでございますけれども、病気でございますので、そういう具体的な問題のお答えはできないことをまことに遺憾に存じます。
  48. 森本靖

    森本委員 それでは大臣が病気で回答ができないということならやむを得ないのですが、今度からは、そういうふうに再々病気になることはなかろうと思いますが、もし病気になられて委員会に出ないときは、政務次官と大臣の間でよく事務の引き継ぎをしておいてもらって、前の委員会の復習ができて、よく回答ができるように御用意を願っておきたいと思うのです。  そこで、これは新聞で見たところでありますのではっきりいたしませんが、いずれにいたしましても石橋内閣総理大臣が、総理大臣あるいは自民党の総裁という両方かけ持ちの肩書において放送するかどうか知りませんけれども、NHKの方からも石橋さんに申し込み、政府に申し込む、民放からも政府にそういうことをやらしてもらいたいということを申し込んだということを、新聞には報道されておりますが、これについて事務当局としてはこの問題を放送法第一条、それから第四十四条の第三項第二号と、第五十三条の条項と、この三つの条項との関連を一体どう考えておられるのか、一つ事務当局にお聞きしたいと思います。
  49. 小野吉郎

    ○小野説明員 放送法の精神から申しまして、放送内容が公正なものであり、またその意味におきまして運営あるいは番組編成等につきましては民主的、自主的に、しかも公正なる番組編成するようなあり方でなければならないと思うのでありまして、ある一つの権力をもってこれを操作するというようなことは、放送法の許さないところであります。ただ国の政策とか、あるいは国としての政治というものの内容は、国民生活と密着いたしておるものでございますので、そういった政府の政策のあり方、内容等を十分に周知させることは、これまた国民生活向上、政治の円満なる運営の上におきまして非常に益する点があるのではないか、こういった面から、あるいはNHKが進んでそういった国の政策、内容国民に周知させる番組編成されること、これまたきわめてけっこうなことであると思います。また民放方面におきましても、そういった方面内容を盛っていこうというように、別段に強圧あるいは押しつけ的のものでなく、真に国民生活向上に益するための政治の内容、政策の内容を十分周知、徹底せしめるというような意味合いの番組は、決して放送法の精神に違反するものではないと考えております。
  50. 森本靖

    森本委員 私が聞いておるのは、強圧したとかなんとかということを言っておるわけではないのです。私が言っているのは放送法第一条において、これは民放もNHKも両方でありますが、放送の不偏不党のということが明示されているわけです。それから放送法の第四十四条においても政治的に公平であること、最後の第五十三条には、この条項については一般放送事業者にも準用するということがはっきりあるわけです。だからたとえば都庁なら都庁というところが、事務的に一般の都民あるいは国民に周知させるというようなことは別として、一国の政治を左右するという場合の大きな政策問題、それからそういうことを論ずるということになってくると、これは当然国民の世論というものも反対、賛成という意見二つに分れておるはずです。だから今日までそういうものを放送する場合には、賛成、反対という両方の意見を公平に取り上げて放送しておるのが、今日の放送の政治的に中立であるという建前なんです。一体総理大臣の放送というものを民放、NHK両方に月に何回かやらして、それが政治的に公平であり、また中立であるというふうにお考えかどうか、そのことをお聞きしておるわけです。
  51. 小野吉郎

    ○小野説明員 御質問のごとく放送法の各関係本条におきましては、放送の絶対公正なる立場を強く掲げておるわけであります。この精神はどこまでも守らなければならないと思うのでありまして、かりに政府の方針あるいは政策内容等につきまして、NHK当局で具体的にこれを自発的に取り上げるというような場合におきましても、やはりそれが国民生活に非常に関係のある政治内容、政策内容、あるいは減税問題の内容とか、そういったものが周知されるというようなことに向けられようかと思うのでありまして、そういった意味合いの放送は、決して森本委員御指摘の放送の厳正中立、公正の原則に反するものではないと考えるわけであります。
  52. 森本靖

    森本委員 私は抽象的なことを一つも聞いておるわけじゃないから、抽象的な答弁は必要ないのです。私の聞いておるのは、今日政党内閣のあり方として、自由民主党の総裁としての内閣総理大臣の石橋湛山、そういう方が政治的な問題を放送する場合に、それを一方的に放送さして、この放送法の建前によるところの政治的に中立であり、公平でなければならないという条項に相反しはしないかということを端的に聞いておるわけです。だから、それはこうこうこういう法律ができ上りまして、この法律内容についてはこれこれですという、法律のでき上ったあとのいわゆる解説なら別ですよ。しかし今日ただいま国会にかかっておるところの政治問題を一方的に論ぜられるということが、この政治的に公平であり中立でなければならぬということに合致するかどうかということを端的に聞いているわけです。
  53. 伊東岩男

    伊東政府委員 私の考え方を申し上げますならば、放送業者がNHKであろうと民放であろうと、自主的な建前で番組を作って自主的な立場からやるならば、石橋アワー、あえて差しつかえないと考えております。
  54. 森本靖

    森本委員 それは石橋アワーということに限定いたしましたが、それなら放送法というものは、一般の民間放送業者であろうとNHKであろうと、自主的に番組を編集して放送するということは、この放送法のワク内の自主的な番組編集なんでしょう。だからその場合に放送法のワク内における自主的な番組の編集ということは当然なんです。当然あってしかるべきです。ところが放送法のワク内の自主的な番組の編集ということであっても、政治的には中立であって公平でなければならぬということが軽視されておる場合には、自主的に番組を組んだにいたしましても、この条項に当てはまるのではないかということを聞いているわけです。
  55. 伊東岩男

    伊東政府委員 私は放送法の第一条及び第四十四条に違反するものとは考えません、
  56. 森本靖

    森本委員 それはどういうわけで放送は不偏不党、政治的には中立公平でなければならぬということに触れぬのでありますか。
  57. 伊東岩男

    伊東政府委員 不偏不党という言葉をお使いになりますが、それは今の政府が自由民主党であるがゆえにという考え方でございましょうけれども、時の政府が時の政策を国民に周知徹底せしめることは当然でございます。しかし放送法の成文がございますので、政府みずからがやるわけには参りませんから、そこで放送業者——NHKでも民放でも、これはいいことだ、これは番組にして国民に周知徹底せしめよう、そういう自発的、自主的立場から番組を編集していただくことは当然だと考えますので、決して不公平なやり方ではないと考えます。
  58. 森本靖

    森本委員 私が聞いているのは、その不偏不党ということは、放送法の第一条の条項に「不偏不党」という文字があるからこの条項を伺っておるだけのことで、これは私の発明ではありません。第一条に不偏不党でなければならぬということがあるわけでありますが、あなたは自主的に番組を組んだらこれには一つも触れない、こういうことを先ほどから答弁をしております。それでは自主的に番組を組んだら——政党内閣の今日の建前であるところのいわゆる政府、いわゆる内閣総理大臣が、自由民主党総裁即内閣総理大臣であるこの方が、その政策あるいは政治上の意見——その党議の上に立脚した一つの政策なりあるいはまた政治上の問題を論ずるのは当然なんです。これは政党内閣である限り、当然自由民主党の政策を反映をした施策をするのは当然なんです。そういうことを一方的に放送するということが、放送法の第一条第二号と四十四条第三項の第二号に触れないかということを聞いておるわけです。だから、触れないと言うなら、どういうわけでそれが不偏不党であり政治的にも公平であるかという理由を明らかにしてもらいたい、こういうことなんです。
  59. 伊東岩男

    伊東政府委員 放送法によりますると、番組の編集はすべて放送者側の方で編集するのであります。そこでさっきから申し上げるように、一国の総理大臣が国民に政策の周知徹底をするための番組を、みずからこしらえて、そして適当な番組放送することは、私は別に放送法違反じゃないと考えるのであります。
  60. 森本靖

    森本委員 誤解をしてもらったら困る。番組を自主的に編成をすることが、放送法の違反であるかないかということを私は言っておるのじゃない。自主的に番組を編集するけれども、自主的に番組を編集することはこの放送法のワク内においてしなければならぬ。放送法においては放送の不偏不党、それから政治的な公平と、中立でなければならぬということをうたっておるわけです。その場合に、いわゆる政党内閣の建前である今日の政治のあり方からいって、自由民主党の総裁は即内閣総理大臣であるという建前になっておる。そういう場合に、その人が自由民主党の政策というものを一方的に放送した場合に、この放送法放送は不偏不党、あるいは政治的に中立公平でなければならぬという条項に触れないか。触れないと言うなら、どういうわけでそれは触れないか、その理由を説明願いたい、こういうことを言っておるわけです。私は自主的に番組を編集することを云々と言っておるわけじゃないのですよ。
  61. 伊東岩男

    伊東政府委員 あなたの御説を聞いておると、一方的に放送するという、その論拠が私どもとは違うのでございます。一国の総理大臣が政策を放送することは、私は一方的じゃないと考えておるのであります。
  62. 森本靖

    森本委員 一国の総理大臣が放送するとかなんとかと、さっきからあなたは言うておるけれども、今までのNHKの政策の問題についての放送をよく聞いてもらったらわかると思う。今まですべて賛成と反対の意見を両方とって公平に放送しておる。そうして国会討論会においても、あるいは放送討論会においても、すべて一つの政策という問題を中心にした場合には、賛成の意見もあれば反対の意見もあるので、両方の意見を公平に放送しておる。ところがこの場合は、与党の党首である方が放送することは、反対の意見が全然抹殺された放送になることは明らかなんです。だから私はそういう場合に、その不偏不党、政治的には公平であるということに触れないかということを聞いておるわけです。もっとあなたは、そうじゃございませんということだけじゃなしに、どうどうどういう理由でそうでないという、その理由を明らかにしてもらいたい、こういうことなんですよ。
  63. 伊東岩男

    伊東政府委員 どうも私はもうあくまで違法じゃないと思っておりますが、まずあなたの方から違法であるということを指摘していただけば、それによってお答えしたいと思います。
  64. 森本靖

    森本委員 だからさっきから、この法の触れはしないかということを私が言っておるわけです。今までのNHK公共放送にしても民放にしても、すべて政治問題、重要な施策の問題を放送する場合には、やはりそれに対する賛成、反対の意見がそれぞれ国民にはあるわけですから、そういう場合には、賛成と反対の意見を両方公平に取り上げて、国民の批判を乞うという形の放送をしておったわけです。ところが今日石橋内閣総理大臣がこれを放送するという場合には、この方は内閣総理大臣であるけれども、同時に当然自由民主党の総裁として、政党内閣である限りにおいては、自由民主党の政策というものを内閣総理大臣として、政府の首班としてこれを施策するのが当然なんです。その場合に、いわゆる不偏不党ということに触ればしないかということを言っておるわけですよ。
  65. 小野吉郎

    ○小野説明員 先ほど来政務次官のお答えになりました要点は、内閣総理大臣として国の政策を周知徹底することは、決して自由民主党の総裁としての立場ではないわけでありまして、政府として、政府の方策を国民に徹底せしめるということであります。もちろん今日は政党政治でございますので、多数党の総裁が内閣を組織せられることは憲法上の定則でございます。だがそれは党の片寄った意見の代表者ではなく、一国の政府を構成する首長でございまして、その政府の首長としての立場において政府の政策を周知徹底せしめようということでありますので、別段放送法にいっておる一党に偏するとか、あるいはへんぱな放送というように考えられる点はなかろうと思います。
  66. 森本靖

    森本委員 今の与党は絶対多数を占めておるので、やろうと思ったら何でもできぬことはないというように考えておるかどうか知りませんけれども、今の答弁はあまりにも一方的な答弁じゃないですか。なるほど内閣総理大臣としてやるといえば、その答弁は一応の形にはなります。なりますが、内閣総理大臣としては、一応自由民主党の総裁として自民党の政策を国民施策するために、内閣総理大臣になっているわけです。そうすると内閣総理大臣としての政策、施策報道するということは、自民党の施策報道するということになるわけです。現実の問題としては、その場合に公平にやろうとするならば、やはり一方の代表であるところの野党なら野党の党首の意見も同じように聞くということが、政治的に公平じゃないですか。これはどんな今日の問題についても、重要な問題についてはすべて賛成、反対の意見があるわけであって、二大政党の対立下においては、国民意見は大きな政策の問題については必ず反対、賛成に分れているわけなんです。そういう場合に一方的な問題だけを報道するということは、この条項に当てはまらないというふうに考えないのですか。無理に強弁する必要はないのですよ。率直にすなおに一つ答弁をしてもらいたいと思う。
  67. 伊東岩男

    伊東政府委員 国会討論会のごとく野党、与党ができるだけ同数出て討論することは、国民がその政府、その政治、その政策を批判する上に非常に都合のいい方法でございます。今おっしゃるように総理大臣が一方的に放送することはよくないということは、なるほどあなたたちの立場から言えばそうかもしれませんけれども、国民が総理大臣の放送したことを批判することは自由でございますから、両方立ち会ってやる場合でも、総理大臣が一人だけ出て放送する場合でも、私は国民がいい悪いという判断を必ずやるのでございますから差しつかえない、こう思うのであります。いわんやこれは違法ではないと思うのでございます。
  68. 森本靖

    森本委員 国民は批判する権限は持っておりますけれども、批判をするにはそれに対するところの批判の材料というものを与えなければならぬ。今日二大政党の対立下において、与党の党首としてそういうことをやるということもよかろう。それをやらし、国民の厳正なる批判を仰ぐということなら、当然批判の材料を与えるべきだ。それは同時でなくてもいいのですよ。月に二回なら二回、三回なら三回内閣総理大臣として、あるいは自民党の総裁として放送するということになれば、第二党であるところの野党の党首に対してもそれだけの時間と機会を与えるのが、政治的に公平じゃないですか。この放送法の建前からいくならば、それが最も公平な正しい道じゃないですか。
  69. 伊東岩男

    伊東政府委員 おっしゃることはよくわかります。私は必ず放送室に一緒に立ち会ってやらなければならぬという理屈はないと思っております。そこで総理大臣が出て政策徹底をやる、これはけさから申し上げるように、番組として放送側の方がやるならば、あえて差しつかえがないと思う。批判は国民の自由である。そうするとそれに対してまた今度は国会討論会あたりで反撃が野党からある場合がございましょう。そこでこの間放送した総理大臣の意見はこうこうだったという反撃する討論が出れば、私は一緒に出て交互に討論をせぬでも、判断することは国民の自由でありますから、差しつかえはない、こう思います。そこで私どもは非常にいいことだから今の政府はやるべきだ、しかし押し売りはしてはならない、放送側の方が自主的な建前で番組を盛るならば、差しつかえはないのだ。そこで今度は社会党が天下を取られた時分でも、私はやはりこの方法でおやりになってもあえて差しつかえないのじゃないか、こう思うので、私もあなたの議論に必ずしも反撃するわけではございませんが、あなたの言う点はわかる。わかるから私は両立てでいくならばあえて差しつかえはない、こう思っております。
  70. 森本靖

    森本委員 両立てでいくというのはどういうことですか。
  71. 伊東岩男

    伊東政府委員 社会党が天下を取ったときには社会党はそういう方法でおやりになっても差しつかえないということであります。
  72. 森本靖

    森本委員 今から社会党の政権を心配してもらわなくてもけっこうでございますが、私はそういうことを言っているわけではなしに、現実の問題として、われわれ国会議員として法をあずかる者として、放送法の運用の立場からいって非常におかしいということを言っているのですけれども、あなたはさっきから自主的番組、自主的番組ということにとらわれて——放送法の第一条と第四十四条の内容についてもっと私は積極的に勉強してもらいたいと思う。まだあなたは、この四十四条の内容について今まで当委員会においてどういう論議がされて、どういう経緯があるということについてもあまり御存じないような気がするわけです。私は時間もだいぶ経過いたしましたのでこのくらいにしておきたいと思いますが、ただ一点ちょうどNHK会長が来ておりますので、今の点についてお伺いをいたします。そこで政府説明では、NHKで石橋アワーをやるということについて、これはNHK自体の方から申し出があってやるようにしている、こういうことでございますが、それはほんとうでございますか。
  73. 永田清

    永田参考人 NHKといたしましては、放送法第一条並びに日本放送協会規定しております四十四条によりまして、もとより放送は公平でなければならず、また放送に携わる者としては十分その自主性を保障されている次第であります。従って事実上政府からこういう放送をしてほしいという申し出に対して、それを受け入れる、ないしは屈したということはごうもございません。NHKとしてはあくまでもその自主性に基いて、国民要望にこたえるという意味で番組編成していくのであります。特にNHK公共放送としての重大な使命をになっておりますし、それに応じてまたNHKに関する法規もできている次第でありますから、そういう意味で、国民がこういう人に話を聞きたいということであれば、その職責上当然その責任者は公共放送のネットワークの中で、十分責任ある回答をしてほしいと思うのであります。要望にこたえる義務があると思うのであります。そういう意味で、自主的な編成によってその責任を果されることが必要になってくるであろうと思います。なお先ほど森本委員からお話のように、公共放送といたしましては論議のあるものにつきましては、その論議を常に公平に国民に伝える方法をとっている次第であります。重ねて野党の総裁について放送機会を与えるというか、あるいは国民がその政策なり、その所見なりを聞きたいということであれば、当然これはこたえらるべき義務がやはりあると思うのであります。番組についてはすべて自主的に編成いたします。
  74. 森本靖

    森本委員 番組の自主的ということは、もうさっきから私も聞いておりますので、その通り自主的に編成しているということは考えております。そこでNHK公共放送の建前からいたしまして、自主的に番組編成する場合に、先ほど来論議になりましたように、政務次官はまだ煮たか焼いたかわからぬような答弁をしておりましたが、しかし実際問題としては、第一条や第四十四条の問題からすると、多分に政府的な偏向を犯す懸念もあるわけです。自民党総裁即内閣総理大臣である方だけが月に何回というようにきめて放送するということは、多分にこれに抵触する懸念もあるわけであります。そういう場合にNHKが、国民が総理大臣の話を聞きたいというように考えておるだろうということは、時宜を得た考え方であろうと思います。しかしそれと同時にこの条項からするならば、そのとき同時にというわけじゃないけれども、それと同じ回数と同じ時間の余裕をもって、今日の日本の政局を見たらはっきりわかりますように、二大政党の対立下においては、やはり野党の党首にも公共放送の建前からすれば、同じ時間と立場を与えるのが大体普通じゃないかというふうに考えるわけでありますが、その点はどうですか。
  75. 永田清

    永田参考人 NHK自体の考え方は、先ほどから特に論議になっておりますように、その時の政府の政策を国民に浸透させる、そういう趣旨ではありません。もとより国会できまってしまったことについて、それを国民に浸透させることが公共放送任務であるというふうにNHK自体が自覚したときに、そういう放送が行われるというようになると思います。ただ実際問題としまして、野党の総裁に、そのときの行政の最高責任者としての総理大臣と同じような比率で国民がその話を聞きたがるか、あるいはそういう事態が同じように起ってくるかどうかは、その状況の判断によって決定すると思います。
  76. 森本靖

    森本委員 もう時間がありませんので、私もきょうはこれでやめますけれども、今の答弁から見ると、この政治的に公平でなければならぬということと、不偏不党でなければならぬということを、NHK当局と、それからまた政府当局がどういうふうに考えておるかということを、先ほど来のような抽象的な答弁でなくて、具体的に一つ次の委員会においては、その内容がはっきり納得のいくような答弁ができるように十分に用意してきてもらいたいと思いますが、その点どうでしょう。
  77. 伊東岩男

    伊東政府委員 もう今までの答弁であるいは十分だと私は思いまするけれども、なお用意ができるだけは用意いたします。
  78. 森本靖

    森本委員 今までの答弁でこちらの方は十分でないからそれを聞いておる。それじゃもう一回初めから聞き直しますが、政治的に公平でなければならぬということと、それから不偏不党でなければならぬという、この不偏不党でなければならぬということはどういうことですか、一体。
  79. 松井政吉

    松井委員長 ちょっと委員長から政府当局NHKに要求しますが、次回の委員会に資料と、それから意見の統一をはかってきてほしいのです。今の質問で問題になっておるのは、かりに、政治的中立という立場であるにもかかわらず、一つの政治的に偏向したものを常時番組として、アワーとして組むということになれば、これは法に触れてくるのです。ニュースとして取材してきて、ときどき談話を発表する場合には、ニュースの取材なんです。これは取材の自由です。番組の自由です。しかし定期的なアワーとして出そうとする番組の編集が法律として偏向であるかないか、この解明を明瞭に次の機会に御相談願ってまとめてきて下さい。ここが一番問題なんです。さっきから言っておるように法の立場からやれるやれないというのは、その関係がないからなんだ。だれの談話をとってもいいじゃないか。それはだれの談話をとっても自由なんです。けれどもそれが常時番組として編集される場合どうなるかということは、一番問題なんですよ。それから討論会番組として組む場合に、片一方だけということは問題になりますよ。これはあったのです。MSA協定のときの街頭録音で、政府の次官だけが出て反対意見が出ないということで、当委員会で問題になった。そういうことを繰り返したくないものですから、そういう意味の法に基いた番組編集の自由とは一体どういう番組をさして言うのか、今の石橋アワーというのは、やはり法で示した公平な番組編成の場合に抵触するのかしないのか、しないという解釈ならばどういう論拠に基くのか、これを一つ一体的に資料を整えて次の機会に御答弁を願いたいと思います。これは非常にむずかしいところですからお願いいたします。  それからもう一つお願いをいたしますが、放送法の改正について、これも意見が分れておりまするけれども、放送法が改正されて、NHKの企業体をも変動する改正になれば、この予算がくずれるわけなんです。だから放送法の改正によって本予算に影響があるかないかということを、再度大臣とお打ち合せ願って、正式な政府の御意見として次の機会にお伺いしたい、これだけきょうの質問の中から整理をしていただきたいと思いますから、お願いいたします。
  80. 竹内俊吉

    ○竹内委員 私からも資料の要求をしておきたいと思います。これはNHK側にお願いいたしますが、テレビ置局計画は、会長の御説明では既定長期計画によってとこうありますけれども、昨年われわれが資料としてちょうだいしているものと、ことしの計画がだいぶん違っておるように見えますので、昨年の計画とことしの計画との相違がわかる点と、今後の年次計画できまっている分だけのものを出して下さい。  もう一つは、NHKがテレビの第二放送を御計画になっていることは明らかでありまして、その要望書政府にも出ているようでありますが、その計画ができておるとすれば、どういう内容で、どういう進み方で何年にはこうやっていくのだという計画のできているだけの詳細のことを資料として御提出願いたい。
  81. 松井政吉

    松井委員長 原茂君。
  82. 原茂

    ○原(茂)委員 質問を二、三申し上げる前に今の石橋アワーの問題で、ちょっと会長答弁の中で一つだけ気になるのでお伺いしておきたいのです。  何か時の総理が放送をしようとするときの回数と、野党の総裁が放送するときの回数は、同率にしていいかどうか疑問だ、先ほどこういう答弁森本君にあったわけです。そういう点に関連してまず聞いておきたいのですが、放送の一番大事なものは、言論の自由ということが基調にならなければいかぬと思います。言論の自由というものを考えていくと、具体的にはやはり時の政治権力に対して自由に批判をするということが、究極的には言論の自由だと考えるわけです。そういう意味からいくと、いやしくも公共放送であればあるほど、言論の自由という観点からいくなら、時の政府の総理の放送回数、時間、それと野党の委員長放送回数、時間に差をつけるどころか、むしろつけるなら批判の側に立つ方に、少しくよけいに自由な時間を与えていくことの方が、言論の自由という趣旨からいくならば妥当ではないか、こういうふうに考えるのですが、先ほどの会長の、野党の総裁には時間あるいは回数を減らすべきかもしれないという思想に立っての回答に対して、少し気になるのでこの点の見解をもう一度聞いておきたい。
  83. 永田清

    永田参考人 率直にお答えします。近代議会政治の民主形態で一つ重要なことは、時の多数党による総理と野党の総裁とは、政治的に同一に取り扱われることだと私は思うのです。しかし日本の現状は必ずしもそうなっておりません。しかしこの点はNHKの関するところではございません。一般政治問題としてそういうものが根本にあるということだけをまず申し述べて、実際にNHKがどうするかということについては、先ほど森本委員からもお話がございましたが、討論の過程においてはこれはきわめて活発であってほしいと思います。そのままわれわれは伝えたいと思うのであります。ただそれにつきまして私が先ほど申し上げたのは、何も湛山アワーをNHK計画したということでは全然ございません。原則的には、その時の行政の最高の責任者であるから、ただ法律できめたその効果がどう行われるかということより、もっと切実に国民はいろいろ聞きたいことがあるわけでございます。またそういう意味で、国会その他の言論界とかそういうことのみでなく、国民のあらゆる階層がその問題に対して関心を払い、またその健全に進むことを望み、また実際に庶民一般生活に政治がどう影響するかということについては重大な関心を払っておりますので、それらについて、放送というような今日非常に大衆化したこの形で、国民世論と申しますか、国民一般の考え方なり、それから知ろうということについての役割なり、そういうことを果すべきだという主張が根本に横たわっておるわけでございます。それで抽象的なことを申し上げてももうわかり切ったことでございますけれども、実際に行政の責任にある方について、国民はこう聞きたがっていますから、それを聞いて答える責任というか、あるいは進んで答えるという強い意欲があれば、せっかく公共放送というものを国民が作っておるわけでございますから、それを十分に活用するように進むことが一番望ましいことではないか、私もその責任を果したいという所信で仕事をしておるような次第であります。それで一応形式的にもし湛山アワーというものを計画したとするならば、それについての議論が今のように展開していくかと思うのでありますが、その事実はございません。従って、行政長官としての総理が病気であれば、それにかわるべき人を当然時の動きとしてとらえていく必要があると思いますので、そういう意味のことが中心だと思います。
  84. 原茂

    ○原(茂)委員 事実でない仮定の問題ですから、あまり深入りする必要はないのですが、たださっきの答弁の中に気になることがあったので、そういう質問をしておいたのです。これは私の想像ですけれども、こういったことが現実に行われていくと、結局かつての情報局が設置されたと同じ形のような、官製のニュースが作成、報道されるという危険も私は感ずるので、先ほど次官の答弁にしても小野さんの答弁にしても少しくあいまいで、この委員会ではっきりと結論が出ないままで終るようですから、この問題に関しては、具体的にそういうことが現われるといなとにかかわらず、理論的にもこの委員会で後日はっきりと結論づけるということだけを一つはっきりさせておきたいと思う。この必要があると思います。  もう一つは、さっき小野さんの答弁の中で、何か時の総裁が放送するなら差しつかえはないということに結論的に割り切った答弁がありましたが、それを選挙のときに考えてみますと、御承知のように選挙のときの放送には非常にやかましい規定がある。にもかかわらず、総理であるという立場から時の政策を放送することは自由なんだという原則が一度できますと、選挙の際の放送に非常に大きな関係を持ってくる。従ってこの点も、さっき委員長から思想の統一をはかった上で回答をという要求がありましたから、あとでやはりその回答に一項加えていただいて、もしそれが妥当だという回答が出るなら、選挙時の放送にこれをどう関連させていくのか、その規定一つあわせて研究していただきたいと思います。  質問に入りますが、第一にお伺いしたいのは、先ほど会長から協会の本年度事業に関する計画説明がありました。政府の側からは今次官からいわゆる説明資料をお読みになって意見の発表があったわけですが、少くともこの中段にありますように放送法第三十七条の規定によって、郵政大臣はこれに意見を付することができるのですが、その意見をこれに付したとお思いになっているかもしれませんが、この意見が、少くとも協会の側から出しておりますこの事業計画あるいは収支予算資金計画、こういうものの内容に対する意見でなければいけないと思うのですが、これがそれに対する意見なんだ、こういうふうに解釈してよろしいかどうか、まずお伺いいたします。
  85. 濱田成徳

    濱田政府委員 それに相違ありません。
  86. 原茂

    ○原(茂)委員 もしそうでしたら、私は政府当局意見の方が非常にずさんで、しかも一番大事な、協会が昨年に比べて新年度は思い切ったことをやりたいという三つ四つの大きな事業計画あるいは意欲を盛ってある、これに対する政府側意見が何も出ていない。もしこれをそのままうのみにいたしまして、こういう意見だというなら、今の協会が出されておるテレビの第二放送の問題もあるでしょう、あるいは第三放送の問題もある、そういうこと一切を、これはやはり全部妥当だと思うから、この委員会では審議してほしい、政府側としては全部これを了解しているのだ、これはこういうふうに解釈できるのですが、それでよろしいのですか。
  87. 濱田成徳

    濱田政府委員 詳細にわたって意見を書いてありませんけれども、実際問題といたしましては、こういう結論を出す前にすでにいろいろな議論を戦わして詳細に検討をしてあるわけなのでありまして、そのことをここに結論として書いておくというわけであります。ただ大ざっぱに、大体これでいいのだというのではございません。それから協会の考え方等につきまして、この意見の中には批判等がありませんけれども、これはもっと議論をしてきめるべき性質のものがたくさんある、そのために結論を出していない、こういう次第であります。
  88. 原茂

    ○原(茂)委員 せっかく局長の御答弁ですが、最初にこの協会計画に対して政府側意見が出ているのだ、こういう、とになりますと——今の御答弁では、まるでたくさんの問題があるのだ、それには結論が出ていない、なまのまま委員会に出して、委員会審議をするなら勝手にしろ、こういったことでほうり出した形である。実際には三十二年度協会収支予算とか事業計画を見ますと、一番大事なポイントはやはり第三放送とか、テレビの第二放送ということにしぼられてくると思う。あるいはまた国際放送におきましてはソ連向けあるいは東ア向け放送——東アという言葉を使っておりますから、これはどういうことかよくわかりませんが、こういったような事業も昨年に比べて新しいものと言えるかもしれません。しかし重要なものが三つ四つ入っておるにもかかわらず、これに対して何ら具体的な意見を出さないまま、検討もずいぶんして議論もずいぶんあったと言っていながら、その議論や検討の結論を出さないまま、こういつた意見書をばく然とつけて、そしてこの委員会で何を審議しろというのか。協会事業に対する政府意見というものがまだまとまらないままに、こんな意見書をここに出すということ自体が非常にずさんなんですよ。これは責任ある態度ではない、こういうことが言えると思う。
  89. 濱田成徳

    濱田政府委員 非常にずさんな意見だとかいうお話でございましたが、この内容には相当詳しく書いてはあるのです。それで意見等もかなりついているわけです。しかし相当論議を要するものについては、ここに載せませんで、後に問題を残してございます。しかしながら三十二年度においてなし得る事業計画あるいは試験計画等はみな大体検討して載せて、要望や批判も書いてあるつもりであります。たとえば天然色テレビはどうとか、FM放送はどういうふうに考えているとかいうことをみな書いてある。これでもなおかつ足りないというならば、それは膨大な報告書が必要になってくる、研究論文になってしまう。そういうものを要望されるわけでありますか。
  90. 原茂

    ○原(茂)委員 けっこうです。ここに書いてあるものがそのまま政府のきょうの答弁説明の中に織り込まれていなかった。すでにプリントに出してある、この国会承認を求める件で一つ出しているのだ、こういう意味なんでしょう。そうなんですね。
  91. 濱田成徳

    濱田政府委員 さようであります。
  92. 原茂

    ○原(茂)委員 もしこれがその通りだとすると、せっかくここに協会会長からも出されているのですから、今の出されている問題に関して政府見解はすでにまとまっている、そういうふうに解釈をして、それでは三点お伺いしていきたいと思います。  一つは、先ほどの国際放送の問題から先にいきますが、ソ連向け放送東ア向け放送とありますが、東ア向けという放送の中に何が入っているのですか。
  93. 濱田成徳

    濱田政府委員 東ア向けというのは東南アジア——フィリピン、香港、インド、パキスタン、ああいう方面をさしていうのであります。日本語の放送を含むわけであります。
  94. 原茂

    ○原(茂)委員 そういう場合には東ア向けという言葉が一番いいのでしょうか、東アということで一括することが。現在の一般に通用している言葉でこれが妥当かどうか、その点一つよく考えておいて下さい。それと、中共はどうなんです。
  95. 濱田成徳

    濱田政府委員 中国も含むわけであります。
  96. 原茂

    ○原(茂)委員 これは局長答弁ですからいいと思いますが、中共とこういった放送を開始しようとする場合に、具体的に事前の調査、打ち合せ等はすでに行われているのか、あるいは全部ただこちら側だけの意欲なのか、この点を一つ……。
  97. 濱田成徳

    濱田政府委員 かような放送を行うに当りましては、事前に中共と打ち合せをしたということはございません。けれども、いろいろな情勢判断あるいは調査等によりまして、必要であると認めて開始することを決意したわけであります。
  98. 原茂

    ○原(茂)委員 大臣にかわって次官にお伺いしたいのですが、中共と実際に放送を行おうという強い決意を盛り込まれている、これはけっこうだと思うのですが、現在の政府の立場からいって、この意見を出される以上は、閣議でもこういったことを決定しているのかと思いますが、こういった点はどうですか。閣議で一応こういう計画を盛り込むことを承認されているのかどうか。
  99. 濱田成徳

    濱田政府委員 今度開始いたします東ア向け放送といいますのは、台湾から南西諸島が大部分でございます。先刻からお話中共というのは、すでにもう実施されておる方面であります。閣議等でどういう話があったかというようなお話のようでありましたけれども、この問題は外交関係が決定しなければ電波問題に入ってこないだろう、そう思うのでありまして、私ども電波の当局といたしましては、いろいろな情勢を勘案して、全体的に一番効果のいい結果を生むであろうという施策をとろう、そういうことでいろいろなことをやっておるわけであります。
  100. 原茂

    ○原(茂)委員 どうも苦しい答弁といいますか……。まだこまかくこの問題に関してはお聞きしなければいけませんし、他に問題もありますので、次回の委員会にしろという同僚議員からの強い意見があるようでありますので、きょうは一時打ち切ってもいいのですが、その一点だけは、今のようなすでに行われている放送に関してソ連、東アという言葉を使って、この東アの放送の中には、最初は中共を含んでいるという答弁ですが、今になると今度は中共はすでに行なっているので含んでいないのだという答弁なんですが、少くとも国際放送として日本が銘打って行う以上は、中共側のそれに対する反応なり、事務的な折衝なり、あるいは国際的なある種の協定なりを行なった上でなされる放送でなければ、正式に中共にすでに国際放送をやっているのだということにならない。こっちが出した電波が勝手に届くことはあり得ても、そういうことがすでに行われているのだということでなければ、あるいはそれを行おうとするのでなければ、国際放送の一方向をふやしたという結果に私はならないと思う。日本で強力な電波を出して、それが世界各国のどこかでもってキャッチできるだろう、そういうところにはすでに国際放送を行なっているのだ、そんな独善的な解釈というものは私は成り立たないと思う。従って、中共に対して正式にこういった放送を開始するのだということを、この中に織り込もうとする意思があるのだと私は思う。それをそういう東アという言葉で逃げようとしているのか、どちらか一つだと思いますが、そうでないとするなら、やはり閣議決定の内容等が、一体それに言及されたのかどうか、あるいはそういうことを論議したのだが、中共に対しては別途に考慮をしようとしているのか、もっとはっきりと思想統一した上での答弁を次会に——あと三点はかり残しますが、もう一度聞きながら質問を継続する、こういうことにいたしたいと思います。
  101. 小野吉郎

    ○小野説明員 ただいまの中共向け放送でございますが、これは国際放送が一時中断しておりまして、終戦後再開された当初から放送をいたしております。しかもこの問題は、御質問の御趣旨のように相手国と協定ないし話し合いがなければできないものではなく、電波の放送は、周波数に関する国際の割当がございます。他国の電波を妨害するような電波を出すことは違法でございますが、日本に割り当てられた、許された周波数放送をいたしますことは、事前協定がなくても、各国の自由にまかされた領分であると存じます。
  102. 松井政吉

    松井委員長 次会は明後二十一日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後一時十五分散会