○
加藤(精)
委員 消防活動の
近代化というか
科学化というかがもっと必要ではないかということを
考えておるのでございますが、過般私たちが新潟県の
村上市に
応援に行っておりましたときに、
村上市の奥の
朝日山系に属する地帯の村が非常に大きな村でございまして、平地であれば一部か二部くらいに当る村でございますが、そこの
葡萄という
部落でございます。七十戸くらいでございますが、その
葡萄部落が全焼した。全焼したのは、その日非常に
フェーン現象の日でありまして、
防火宣伝のために
消防自動車が村中歩いておった。山を越え、谷を越して村中終日歩いておったために、その
消防自動車の行方が全然わからなくて
連絡のしょうがなかった間に全戸消失してしまった。学校とか
郵便局とか全部消失してしまった。今の
科学技術の進んだ
時代に、そういうばかげたことはあり得ないわけでございます。それから見ましても、
消防活動における
無電の活用がもっともっと促進されなければならないことを痛感したのでございます。その
部落はきょう聞いたのでございますが、これは
住宅営団でしたか何かで
ようやく例外的に認めてもらって、非常に多額の
経費をもって復興しなければならぬのでありまして、山間の
部落としてはまことに容易ならざる
経費でございまして、その
隣接の温海町が全部焼けたときと同じ
ように、そういうものの
災害復旧は各
地方自治体において少くとも十五年くらいかかるわけでありまして、
町村財政にも非常に影響があるわけであります。なお
東北地方におきましては
濃霧が非常にありまして、二里か三里くらいの町でありましても、
中心都市から
濃霧のために
相当な
火事が見えないことがある。
森かげになっている
ようなこともある。最近も私の郷里の中
都市から三里くらいしか離れてないところで
望楼から十分見えるはずだというので、そこに
応援に行かなかったのが非常に遺憾であって、付近の
隣接町村と非常な感情的なあつれきを生じたことがあります。これらも
無電が装置してございますればきわめて迅速にいくだろうと
考えております。
無電の装置につきましては、同一
市町村内は
消防庁の御
補助もありますし、設備しいいのでありますが、これは現在各
市町村の間は非常に密接に
関係が深くなっておりますので、こういう場合に
消防審議会の
答申のある
ような
消防通信だけについても、現在自治体がもう少し
考えなければならぬ。警察通信の問題では非常に大きな
経費を使っておられますが、
消防の通信
連絡は現在の警察
制度の通信
連絡ほど強化されておらね。そうしてしかも昔は
消防は警察と一体になっておったのでございますが、現在は警察から離れておる。離れておる以上は、画期的に
無電通信を
消防活動にほんとうに本腰になって活用していただきたい。
消防自動車に
無電を据え付けておく。また主要な分署とか
部落の
中心に
無電装置をつけておくことによって、一
部落全焼という
ような悲惨な状態を救えるじゃないかということを
考えておりますが、それに対する御
意見を
伺いたい。
それから学校
火災等で、電気工事の不完全から
火災になるものが
相当あるということがこの前の
委員会で出ておりましたが、戦前は、電灯あるいは電動力を引き入れるために建築工事の中に引込線その他の工事をいたします場合、磁気工事人とか何かそういう者の警察の認可があった
ような気がしております。現在調べてみたらそういう従事者への認可がない
ように思うのです。私の市なんかでも最近大きな高等学校が焼けましたが、生徒が先生の
指導を受けながら理科の実験の一部の
ような気持で配線工事をやった、それが不完全であったために非常に由緒のある大きな高等学校が焼けてしまった。そういう
ようなことに関連しまして、電気工事従事者に対しては、国家で試験をして免許を与えるということに、さっそく
改正していただきたいということを
考えております。
次に財源の問題でございますが、
消防審議会の
委員の中には
相当地方財政のわかっている人が入っていると思うのです。私はそういう人たちとかねがね税制上の
考えを異にしているから仕方がないのでありますが、とにかく
固定資産税という税金は
——また持ち出しますと悪口になりますが、これは収益があってもなくても、景気がよくても悪くても、百万円の
固定資産があれば必ず一万四千円の税金を取る、そういう不合理な税金はないと私は思っておりますし、数年前もわれわれの
地方行政
委員会の修正によりまして、最高限の三・〇が二・五に変った
ような
いきさつがあるのです。これにさらに二%を加えるということは、せっかく
固定資産税の税率を軽減したのをまた高めることになります。そういうことはとらないことと思いますが、それに引きかえましてわが国の
火災保険というものは、あまりにも
経費が少くて収益が多い、これは衆目の認めるところでございます。同じ保険業界におきましても、生命保険側等の経営の専門家連中から、その専門家としての
意見をこっそり聞いてみますと、非常に収益率が多い、支出が少いということでは
意見が一致しているのでございます。どういうわけで
消防施設税のもとの
考え方を捨てて、
固定資産税の
目的税という安易な道についたか、
事情がわかりましたらお知らせいただきたいと思います。また保険会社は、
地方自治体が
消防について施設を整備することによって
火災の件数が少くなるわけでございますので、またさらに保険料を低下せしめ得るのでございます。そうした意味におきまして何らの痛痒を感じない。しかも大きな
火災予防目的が達成せられるわけでございます。わが国の
火災保険業界はそうした特別の保険料率の保護を受けておりながら、しかも外国の保険会社のごとき
消防に対する予防措置に大きな貢献をしておるということは聞きません。ほんとの申しわけ的な助成は若干やっておるという程度のものでございます。こういうふうな問題に対して、すみやかに
消防施設税を実現するというふうな
方向に、どうして
消防審議会が進まなかったかということを
考えておるものでございますが、これに対する
意見をお聞きしたい。
次に、第五番目に出動手当の法制化でございます。今の
時代は、
消防はもちろん名誉職の観念で進ませたいというほどでございまして、また事実農村その他中小
都市におきましては
消防団員になることを非常な名誉としておる面があるのでございます。私の市等におきましても、前科のある人は絶対
消防団員に採らないというふうな風習がございます。一面名誉ではございますけれ
ども、今の
時代は経済の変転がはなはだしいのでございまして、かつて中流以上の生活をしておりました家庭におきましても今は非常に生活が困難するという
ような場合もございまして、そういう家庭経済が低落の傾向にある場合は、中流
時代の
消防団としての名誉的な出費を、それでやめるわけにもいかぬで苦しんでいる場合もございます。出動手当の問題は、これは必ず出動手当を現金で支払う。きのうも賃金の問題でいろいろ問題になりましたが、かえって出動手当は必ず金銭でもってそのつど払うということに割り切った方が、
消防団員になりたがらない有力な、あまり
市町村内におきましては裕福な家庭でないけれ
ども、非常に能率の上る若者たちを動員するのに都合がいいのじゃないか、こういうふうに
考えます。そうした小さなことですけれ
ども、案外国全体の
消防力の強化になると思いますので、出動手当の法制化をやっていただきたい。
それから服装が非常にまちまちでございますし、またどうも
火災予防に必要な
——これは洋服の形がいいかあるいは日本古来の
消防の服装がいいかということは別といたしまして、何らかに統一して
消防活動に資する
ように、この服装の統一は、何か法制上かあるいは
地方交付税の基準
財政需要の中の単位費用か何かで特に確保するか、何かのことで服装だけは
——はっぴ一つだけしか統一しないとかいうことがない
ように、帽子とか被服とか地下たびとかくつとかというふうに服装の統一だけはしていただきたい。これはあまりじみなことですけれ
ども、あらゆる
消防の
会合に行きましてもこれは全国的な大きな問題になっております。国家警察官のごときそれによって一種の誇りを持つ
ようになっている。最近、私の県なんかは特にそうでございますが、自衛隊よりもはるかにスマートな、そうして空色の非常に感じのいい服装を警察官がする
ようになりましたので、警察官というものに対する社会のあこがれというか親しみというか、それが急に増してきた
ように思います。そういう
ような心理作用から見まして、
消防の方も、財源の
関係上
現行警察官の
ようにいかないし、また常時の任務じゃないのですけれ
ども、何か服装の統一ということに一歩踏み出してもらいたい、こういうふうに
考えております。
その次に、私は
自治庁におりましてたびたび経験したことでございますけれ
ども、
消防活動と上水道との
関係でございます。この上水道の
関係につきましては、第一に、水圧の十分なところは別でございますけれ
ども、どういう
都市も山からまっさかさまに落す
ような水道は少いのでありますから、水圧の問題がどうしても問題になります。それは水源地と排水のセンターと両方でございますが、そうした場合に、大火になりますのは最初の五分間くらいでございますから、その間に思い切って迅速に水の出力を増してそして圧力を増すという必要がございます。それから単に水を送り得ましても、水道の排水管の中におきまして、風の心配のない地域の水の供給を遮断しまして、そうして水を一カ所に集中する技術が
消防戦術とともに大へんむずかしい技術でございます。へたに水を一局地に集中いたしますと、散発的
火災の場合にはまた非常な損害を出すのであります。私の言わんとするところは簡単でございますが、この水道の
ポンプについて
消防関係の専任の者を一人置く
ように、そうして平素からその人間に
消防と水道との関連の操作について金をかけてもできるだけ研究させ、訓練させておくこと、その訓練は
東京の
中心で行うという
ような、
——そういう上水道の設備のある
都市は全国ではそうたくさんないのですから、ある程度の規模の大きさの上水道のあるところには、恒常的に衛生管理者というか、そういうものを常備して配置しております
ように、これは必ずそういう専任の従事者を置く
ようなことにしたらどうかということを、私
考えているのでございます。小さな問題でございますけれ
ども、実際の
消防に当っては大きな貢献をするだろうというふうに
考えております。
なお申し上げたいことがございますけれ
ども、時間の
関係がありますので、これで終りにいたしますが、簡単に御答弁をお願いしたいと思います。