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1957-08-20 第26回国会 衆議院 地方行政委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年八月二十日(火曜日)    午前十一時二十九分開議  出席委員    委員長 門司  亮君    理事 亀山 孝一君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 中井徳次郎君       安藤  覺君    五十嵐吉藏君       石坂  繁君    加藤 精三君       徳田與吉郎君    丹羽 兵助君       原  捨思君    松浦 東介君       加賀田 進君    北山 愛郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁税務局         長)      奥野 誠亮君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 八月二十日  委員小澤佐重喜君、加藤精三君、菅野和太郎  君、楠美省吾君、櫻内義雄君、渡海元三郎君及  び渡邊良夫辞任につき、その補欠として石坂  繁君、赤澤正道君、五十嵐吉藏君、丹羽兵助  君、安藤覺君、松浦東介君及び原捨思君議長  の指名で委員に選任された。 同日  委員赤澤正道君、安藤覺君、五十嵐吉藏君、石  坂繁君、丹羽兵助君、原捨思君及び松浦東介君  辞任につき、その補欠として加藤精三君、櫻内  義雄君、萱野和太郎君、小澤佐重喜君、楠美省  吾君、渡邊良夫君及び渡海元三郎君が議長の指  名で委員に選任された。 本日の会議に付した案件  地方財政に関する件     —————————————
  2. 門司亮

    門司委員長 これより会議を開きます。  地方財政に関する件について調査を進めたいと思います。  質疑の通告がございますので、これを許します。北山愛郎君。
  3. 北山愛郎

    北山委員 財政局長にお伺いしますが、まず最初に本年の九月といいますか、地方財政再建団体再建計画変更についての基本方針自治庁通達として出されておるようであります。これの内容を見ますと、大体ことしは府県市町村とも相当な税収伸びがある、その伸びを、大体六割ぐらいは行政水準の引き上げといいますか、事業費の方に回して、あとの四割ぐらいを赤字補てんの方に振り向ける、さらに余裕があれば、場合によっては再建債の繰り上げ償還をさせることもあるというような大体の御方針のようでありますが、その内容等について一つ詳細に御説明を願いたい。また同時に、ことしの地方税伸びがどのくらいあるものか、その見通しなども承わりたいと思います。
  4. 小林與三次

    小林説明員 再建計画変更につきましてこの間通牒を出したのでございまして、この写しは今準備しておりますから、後刻お届けいたしたいと思います。大体この考え方は、現在の再建計画は御案内通り二十九年、三十年、三十一年、どちらかといえば非常に苦しかった、やりくりのつかなかった時代にそれぞれ計画を作っておりますので、計画自体にも私はいろいろな面において無理があろうと思うのでございます。それで幸いにいたしまして交付税は多少伸びましたし、税も再建団体でございますから、これはあまり伸びは期待できません。一般には多少期待できましても、再建団体はそれほど税収のないことでございますから、それほどあろうとは思いませんが、いずれにしましても、計画以上の収入はある程度あることは、予測されるのでございまして、そういう機会に計画をできるだけ合理的なものに直すことが肝心じゃないか、こういう考え方計画変更方針を作ったのでございます。しかしそうは申しましても、まだ今年度のそういう税収見通しは、はっきりついておるわけでもございませんし、明年度以降どういうことになりますか、明年度以降のことも予測がつくわけでもございませんので、根本的な計画変更と申しましても、私はまだとてもその段階だと思いません。たとえば早い話が公債費の問題も、ことし限りの措置として一応立法化されておりますが、明年度以降の問題は、そうした立法的な措置確定を待たなければ、われわれ行政措置によってどうこうするというわけにいきません。そういう問題もありますので、ほんとう変更はさらにそういう問題の確定を待って、明年度以後にしか行い得ないのではないか。ただ、今日確定いたしました制度を基礎にいたしまして、できるだけ計画に長期的な安定性と、できたら弾力性を与えたい、そして今までぎりぎりの計画でございますから、ちょっと収入がありましても、すぐに計画変更となって、そうなるといろいろな手続などがありまして、非常に各団体にも迷惑をおかけしておる。そういうよけいなこともできるだけはずしたい、こういう考え方基本なのであります。それとともに多少増収がありましたら、やはりそれぞれの団体におきましては、ことしだけのことを考えずに、明年以降の団体運営を長期的に考えてもらわなくてはいけない、率直に申しましてそういう気もございまして、それぞれの団体ではもう計画がきまっておるのだから、これ以上金があればことし使ってしまったらいいじゃないかという単純な気持も、率直に申しましてないわけでもないのでございまして、そういう考え方では、かえって将来の財政運用を誤まらせる、そういう意味もありまして、そういう場合にはやはり今後のことも考えて問題を扱ってもらいたいという気持基本的にあるので、かれこれそういう気持もにらみ合せまして、われわれといたしまして方針考えたのでございます。大体九月を目途にいたしまして、今までたいていの地方は、ベース改訂の準備をほぼ進めております。それから指定事業その他補助金の令達も、もう大体見通しがついております。全般的に本年度財政上の運営見通しは、各団体ともついておりますので、それで九月を目途にして計画調整したい、こういうことにいたしたのでございます。  それでやや具体的に申しますと、私は現在の計画にはいろいろな面において無理があると申しましたが、一つは率直に申しまして、これは再建計画といっても再建にもなっておらぬような計画も私はあろうと思うのでございます。それは非常に困った団体でにっちもさっちもいかぬ、計画立てようがなかったからそうなったのでございましょうが、再建計画上なおかつ毎年赤字を出していかざるを得ない、そういう再建計画が一部にあるのでございます。これでは赤字を作っていく再建計画でございまして、過去の赤字をたな上げしたって毎年々々新しい赤字を作っていけば、これはほんとう財政再建とは言えぬのでございまして、そういう計画はまずともかくも再建が可能であるというふうにはっきりさせなくちゃ、これは意味がないのじゃないか。そういう意味で単年度にだんだん赤字を作っていくような再建計画は、もし財政上のゆとりがあれば、その単年度赤字が出ないような財政運用をきせるということが基本だと思うのでございます。  それからさらにもう一つは、再建債対象が法律できまってしまっておりましたので、その当時再建計画を作ったときの実際の赤字再建債対象にならずに、一部赤字のまま計画上認めざるを得なかった赤字が相当ある団体が、これまたあるのでございます。そういうものにつきましては、そうした計画上の赤字をできるだけ早くなくしまして、ともかくも一応財政再建できるという態勢計画に、まず直すということが基本じゃないか、その考え方が第一にあるのでございます。  それから第二番目の問題は、そういうふうに一応は赤字の始末はできるようにはなっておるが、計画の中身を見ますと、行政上非常に無理がある。特に後年度に至って毎年々々行政を切り詰めていく、仕事も減らす、人の整理その他給与費圧縮等も無理をやっていく、またそうやらなければ今年度計画が立たなかったというのがございまして、事業費などというものはむちゃに後年度に切り下げている団体が少からずあるのでございます。こういうものは今年度程度行政は当然できるような計画にしなかったら、これは自治団体行政運営計画としては計画になっておらぬ、私は率直に申しましてそういう気がするのでございます。そういう意味の後年度において仕事をむちゃに減らすようなものは、早く仕事を恒常的にやれるような態勢計画を是正させるということが、ゆとりの生じた場合の根本的な考え方だろうと思うのでございます。それをまず第二段目にやりたい。  それからなおかつゆとりが出る場合が相当あります。たいていの団体はなおかつゆとりが出るだろうと私は思っておりますが、そういう場合に現在の計画自体をさらに合理化して、いわば行政維持と申しますか、向上と申しますか、そういう問題になりまして全体として計画弾力性を持たせるように経費をある程度調整する、こういう問題になろうと思うのでございます。これはわれわれ行政水準維持向上という形で申しておるのでございますが、それはある程度考えてしかるべしという考え方に立っておるのでございます。ただその全般的に行政水準維持する場合に、あくまでわれわれとして考えてもらいたいのは、財政構造全般の合理的な調整という問題でございまして、今まで苦労して再建をやろうとしてきているのに、またそれをひっくり越すような経費使い方考えては、それは危ない。そこでいわゆる消費的経費なり投資的経費なり、その他もろもろの経費が全体として合理的な線においてバランスをとって伸ばすようにぜひ考えてもらいたい。そういうことになれば、あと個々経費のあんばいというものは、自治団体にまかしたらいいじゃないか。あまりこまかいことをとやかく申す必要はないのであって、それはそれぞれの団体自主的判断にまかして、個々経費使い方をお考え願って、こちらといたしましては計画全体の歳出上の構造が調子をとって合理化されればいいじゃないかという考え方で、この計画変更基本的な考え方をきめてあるのでございます。そのあとでは、それは細目的に歳出見方とか歳入見方とかいろいろございますが、これはむしろ技術的な問題でございまして、特に申し上げるほどの問題はなかろうと思います。  そこで、大体そういう考え方基礎にいたしまして、計画としてなっておらぬというものを是正する。ただしもう一つの問題は、後年度において仕事がいかにも切り下げられておりますものについて、計画を是正いたしたいのでございますが、それが再建計画の技術的な性格がございまして、後年度だけの歳入をなかなか見るわけにいかぬので、そういう場合には本年度財源をむしろ一部留保する形で後年度行政水準維持に充てざるを得ない、それを財源調整という形で申しておるのでございます。大体そういう形をいたしまして、ある程度行政水準維持した上で、なおかつ財源的にゆとりができるかできぬか、そういう問題で最後の問題として、可能ならば再建期間短縮考える余地がある、こういう考え方で参っておるのでございます。この案につきましては大蔵当局にもいろいろの意見がありまして、だいぶこれは甘過ぎる、すぐに再建期同短縮をやるべきだとかなんとか、だいぶ強い意見を述べておるようでございますが、われわれといたしましてはこれが現在の財政運営実情に即した一番ほどほどの線であろう、こういう考えでおるのであります。まっ先かけて時間を短縮するという時期ではないのでありまして、まず計画自体がある程度合理化される、それが基本であって、そして計画が後年度まで合理化された上でなおかつ非常にゆとりがあれば、それはもう期間短縮考えてもいいじゃないかというのを基本的な考え方にいたしておるのでございます。  ただ、そう申しましても、再建期間が十年も十数年もなるような非常に長いのがあるのでありまして、十数年間もこういう再建法で縛られて仕事をやるということは、これは自治体としてもとてもがまんのなる仕事でもありませんし、そういうところはできるだけ早く切り上げるという態勢に持っていってもらいたい。そういう意味で非常に長期の再建期間になっておるものにつきましては、その期間短縮というものを頭に入れて考えるということは、これは私は強く言うてしかるべしという考え方を持っておるのでございます。それ以外のものは大体今申しましたような考え方でやってもらいたいという考え方に立っておるわけでございます。  そこで、今のような考え方基礎にいたしまして一ただそうなってきますと個々団体再建計画扱いになってきまして、個別的な審査という問題になってしまうのでありますが、御案内のように市町村の部分は県に一応扱いをまかしておりますので、それで県の扱いのめどというものも示す必要がある、そういう考え方でまあまあ一般普通の場合においては、原則として六割を行政水準維持向上、他の四割を今申しましたような形式上の赤字の解消とかその他後年度における財源の留保とか、そういう意味財政調整に充当することを目途としたいということを申したのであります。  それで、この後年度財政調整という意味は、直ちに再建期間短縮になるのかと申しますと、そういう意味ではちっともないのでございまして、そういう意味で、場合によっては非常に高利公募債の借りかえを考えたり、あるいは財源をリザーヴすることを考えたりして、後年度計画をならし得るようにしたい、その上になおかつ非常に金が余れば、それは期間短縮をやってもいい、こういう考え方でございます。事実団体を見ておりますと、非常に税収伸び再建期間を思い切って短縮してしまおうという団体もございます。ここ五、六年のところをことしか来年くらいで片づけてしまおうじゃないかと言っている団体もございまして、そういうようなところはもちろんその団体自主的判断にまかしてこっちは応じて参りたいという考えでございます。そこのところをあまり無理をして期間を短かく減らす減らすというような形での無理押しつけは、こっちはまだなすべき時期でもあるまいというのが、われわれの考え方なのでございます。もっともこの考え方につきましては、先ほど申しました通り大蔵省あたりでは非常な異論を持っておるということだけは一つ御報告を申し上げておきます。  それからもう一つは、この計画以上の増収という意味通牒にはっきり書いておきましたが、給与改訂経費理屈なしに当然要るのでありますが、国家公務員に準ずるものは理屈なしに改訂をさせよう、その経費をもちろん天引きいたしまして、そして問題を考えたい。さらに、そのほかにも災害の措置とかその他義務的な経費が当然に出て参ります、そういう問題はもちろん考えないといけない。それからさらに、場合によっては合併市町村等合併のいろいろな条件なり何なりがありましたが、当時計画を作るときにとても財源ゆとりがない、そういうようなところで計画も無理をしたような問題につきましては、緊急なその新市町村建設事業等は当然に弾力性をもって考えていいじゃないか、そういうふうに述べておるのでございます。  いずれにいたしましても、ともかくも計画を作ったときよりも、ある程度ゆとりが出てきました以上自治団体再建計画として、また自治団体最小限度行政維持確保していく上において、必要なことができるように、しかもそれはことしだけでなしに後年度にわたってそれが維持できるような態勢に、できるだけ計画弾力性を持たせたいというのが今度の本旨でございます。  大体以上のような考え方でできておりますので、あとはこの資料を配付いたしますからそれで御了承を願いたいと思います。  それからなお税収見通し等についてお尋ねがございましたが、これはまだはっきりした見通しも立っておりませんが、幸いに税務局長が来られましたから、また必要なら税務局長の方からその方面の御答弁をお願いしてもいいと思います。こっちといたしましては、まだそこまでの、金額がどれだけだからどうなるという目途をつけてやったわけではありません。全体としての考え方を明らかにいたしたのでございます。
  5. 北山愛郎

    北山委員 再建団体の、今のような計画変更方針について私ども、非常に疑問に思う点は、確かに三十二年度は税の自然増はある、あるだろうが、しかしそれは当初の地方財政計画の中ですでに、総体からいえば七百億くらいの自然増を見込んであるわけです。それを見た上で、その財源というものは給与費や人口の増加、その他当然起り得る財政需要に見合って一応財政計画が組まれておる、だからもしも今のようなお話であれば、財政計画に見込んである七百億以上の自然増総体から見てある、そういうことを前提にしないというと、一つ方針として——個々の例外というか、個々団体で特にその団体事情によって特別に税収伸びるという団体もございますから、そういう例外的なものは別としても、一般的にいえば一応増収というものは見込んで、それに引き当てる財政需要というものも、もうすでに計算済みなんだから、その上にこれを行政水準向上なりあるいは再建債の繰り上げ償還なり、計画期間短縮なり、そういうものに使い得るような一般的な方針として、そういうものは立て得ないのじゃないか、こういうふうな考え方になると私は思うのです。例外的に特に特殊な事情から税収伸び団体がある。また非常に当初の再建団体計画赤字が少くて、そうして短かい期間で回復ができるというような団体で、税収伸びたような場合、そういうような特殊な場合であって、一般的に方針として今お話になったような方法計画変更をやるというところまでは、私どもは行っていないのじゃないかと思う。そういうことを考えるというのは、まず当初に予定した七百億の自然増よりも、もっともっと今年度税収伸びが多いというような状態において、そういうことが考えられるのじゃないか、こういうふうな疑問が起るわけなので、そこで一つ今年の地方税税収というものが、当初の地財計画に見込んだ以上の増加が見込み得るものであるかどうか、こういうような点について幸い税務局長もおいでですから、との点をお伺いしておきたいのです。  それからまた今のお話にもありましたが、今現在の時期においては、今年の見通しもちょっと立ちにくいというお話であり、しかも一方においては再建計画変更を近く一定方針のもとにおやりになるということですから、いわば個々団体についても税収見通しというものがはっきり立たないうちに、再建計画変更の指導が一体できるものかどうか、時間的な関係、これも疑問である。  それからもう一点は、再建期間短縮であるとか、あるいは再建債の繰り上げ償還というものは、例外的によくよく余裕があった場合考えるのだというお話ですから、これは当然だろうと思うのですが、それにしてもなるほど今年は自然増が多い。しかし経済がこういうふうに非常に変調でありますから、来年、再来年というふうに見通し再建計画短縮ということは、指導することが無理ではないか。今年の事情をもって来年、再来年を推すことは、すでに危険ないろいろの徴候が現われておるのではないか、こういう点をどのように考慮されておるのか。以上三点についてお伺いしておきたい。
  6. 小林與三次

    小林説明員 税収見通しは今税務局長からお話願うことにいたします。われわれといたしましては、結局全体の見通しの問題もあるし、個々団体見通しの問題もありますし、結局再建計画個々団体の問題でありますから、団体に即して問題を考えるよりいたしかたがないと思います。そこで団体によってあるものもあるし、ないものもある、これも事実であろうと思います。結局ないものがあれば、もちろんこの計画働きようがないのであります。これは計画以上に増収があった場合の扱い方の問題に帰着するわけであります。  それからもう一つは、計画も今年度の当初計画で当然にある程度のものを見込んでおるはずであって、それ以上前提をしなければその変更は成り立たないじゃないかというお話でありましたが、これはそういう見方も当然成り立つと思いますが、もともと要するに計画がある以上は、計画に従って収支をやらなくちゃならぬのが、それ以上に収支の必要があった場合の計画変更でございますから、いかなる場合におきましても、再建計画以上の増収があれば、計画変更の問題もこれは起るわけでございます。そこでこういう計画変更の何らかの考え方も必要になってくるわけでございます。ただそれにつきましては、大体本年度の当初予算をどうせ冬団体も編成いたしておりまして、編成いたします際におきましては、それぞれ緊急なる経費というものは当初で、みんな三月か二月ごろに計画変更をやっておりまして、おおむね最小限度調整は、個々団体においては済んでおるのでございます。その済んでおるやつを基礎にして、さらに今後の大きな計画変更をやる場合の考え方として、ここに一応の考え方を示したのでございます。そこで、今年は多少計画以上に増収があるということも、もちろん私は事実だと思います。しかしながらそういうものが明後年以降どう続くかわからぬじゃないか、それがわれわれといたしましても一番考えられる問題でございまして、そこでむしろこういう方針が必要になったのでございます。それぞれの団体におきましては明後年以降のことを考えずに、ともかくも収入があればその収入を全体の行政が無理をしておるんだから、その無理の穴埋めに使ってしまえという気持になるのが、実は普通なんでございます。それが危険だから後年度においての運営に支障のないように問題を考えよう、そういうのがわれわれの基本的な考え方でございます。その一つとして計画上に無理があるのは計画自体を直さなければならない。計画自体が直ったってなおかつ明年度以降のことは考えなければならぬから、そういう意味で後年度に処して財源リザーブしておけというのがわれわれの考え方でございます。このリザーブする方法として、今申しましたように後年度のために繰越金を作るということも考えられれば、あるいは積立金財政調整のために作るということも考えられる。それからまたさらにそうでなしに、非常に高利公債などがあれば、それを繰り上げ償還するという方法でも、そのリザーブが可能になってくるわけでございまして、再建期間短縮などというものが考えられるとすれば、そういう場合に、再建債を片づけてしまっておけば、後年度財政上の弾力性が出てくるということも実はあり得るのでございます。そういう意味で後年度リザーブといたしましては、いろいろな方法団体実情によって考えられる。それをこの際考えておく必要があるというのが基本的な考え方でございます。そうは言いながらも、現在自治体情勢が非常にむちゃをやっておるのを無視してまで、そんなことをきせるわけにはいきませんから、現在の情勢では一定ゆとりのある行政運営ができるような措置をしなくてはいかぬ。そこで大体の目途として六割、四割、去年の年度末におきましても大体そういう考え方を示しましたので、そういう考え方で問題を考えたらどうか、これはほんとうの数字的な目途でございまして、あと個々団体実情に応じて、弾力性考えさせたいというのがわれわれの考え方でございます。
  7. 奥野誠亮

    奥野説明員 御承知のように三十一年度の実績におきましては、千六百八十一億円と財政計画で見込んでおりました税収が、百六十八億円だけ上回わったわけでございます。一割程度上回わったわけでありまして大体三十  一年度年度末において申し上げておったところと大同小異であるわけでございます。三十二年度につきましてはなおはっきりした見込みを申し上げることは困難でございますけれども、五月末現在をとって考えてみますと、私たちが予想したよりも若干上回わってきておるのじゃないかと思います。しかしながら金融引き締めの影響が九月決算以降に現われてくるのじゃないかと思うのでございます。そういうことを総合して考えてみますと、大体やはり地方財政計画で見込んだ程度を予想しておっていいんじゃないかというふうに存じておるわけでございます。
  8. 北山愛郎

    北山委員 大体わかったのですが、要するにこういうことだと思えばいいわけですね。新聞等で拝見しますというと、税の伸び、その分については再建団体については、まず事業費の方に六割、赤字の解消に四割というふうに非常に画一的な基準のように書いてあるが、そうじゃなくして相当弾力性のあるものであって、それは個々団体事情によって相当変ってくるのだから、まず当初すでに地財計画というものがあって、それによって財政需要の方の増加というものも当然既定の増加があるんだから、まずそれによって個々団体としては経費を振り向けるべきであるということ、それ以外にもし特に余裕があるというような場合に、今のような方針でやる、また非常に余裕があるという場合に繰り上げ償還なりそういうことも考える、公募債償還ということも考えるというふうに了解していいかどうか。相当弾力性のあるものだ。そうでないと、六割四割ということで、県の方なんかへそういう画一的な方針で指導されますと、これは実態に合わないような場合が出てくると思うのですよ。やはり一応この税収伸びたというだけじゃなくて、財政需要の方もふえているんですから、これは再建団体でもそういうものに引き当てて——私から見れば普通の場合であればそんなに余裕があるわけがないじゃないか、特別な事情のある団体には例外的に起り得るような事情であって、そういう場合には、今最後にお話になったような排泄もやるであろうが、一般的にはまず当然普通の団体として考え狩るというよりは起ってきておる財政需要増加、これに引き当てて、あとの分について今のような御方針で指導される、こういうふうに了解していいかどうか、この点を確かめておきたい。  それからもう一つは、公募債償還ということがありましたが、この前に委員会でお聞きしましたが、この公募債については、再建債の公募分というものは、御承知のように昭和三十一年度において、政府資金の方に百五十億の範囲で振りかえるということが法律の中に書いてあるわけです。それが実行されておらぬのですが、昨年のような金融がゆるんでおる場合にはよかったが、ことしみたいな金融が引き締っておるような場合においては、あの規定を生かすということが必要であろうと思うのです。だから、もしも高利公募債を処理するというのであれば、それを窮屈な税収から償還するというのでなくて、政府資金の方に振りかえるというあの法律の規定をこの際生かしたらどうか、自治庁としては、どういう御方針であの規定を活用されるおつもりであるか、これもあわせてお伺いしておきたい。
  9. 小林與三次

    小林説明員 第一の問題でございますが、まあ北山委員のお気持よくわかりますが、その通りであると言うと、またこれは誤解を招くおそれがありますので、もう一ぺんはっきりしておきます。  私は第一番には、現在の再建団体行政が非常に窮屈であるということもよくわかります。わかりますが、まず再建を確実に行うということが、私には絶対の要求だと思えます。しかしながら、現在の行政をもっと切り詰めろということは私は申しませんが、少くとも現在の行政をやりながら、再建が確実に行われるようにせぬといかぬ。それがためだ、再建計画自体が、私に言わせると再建にさえなっておらぬような計画がある。つまり毎年単年度赤字を作っていくような計画はこれは露骨に言えば再建にさえなっておらぬじゃないか。それから過去の赤字が相当あるようなところもあるわけです。単年度赤字が生ずるようなことのないようにする。これはすべての団体ではありません。数は少いと思いますが、それが第一。  第二番目には、過去からまだ持ち越しておる赤字というものを、できるだけ早く計画的に解消することが大半です。一度に返せとは私も申しませんが、ともかくまだ赤字は持ち続けながらやっていくということは、つなぎのために苦労をすることはわかりきっています。これをなくさぬといかぬ、これが第二番品の問題だろうと思います。  それからさらに考えますと、後年度において仕事をむちゃに削っておる。もう計画ができぬものだから、明年度以降の在中をどんどん削っているところがある。これは明年度になったってその仕事をやれるようにしてやらぬといかぬ。少くともことし程度仕事は当然やれるようにしてやらぬと、自治体は生きていけませんから、そういう意味で、そういうむちゃに仕事を削っているやつは、明年度以降においても仕事をやれるように計画を是正すべきじゃないか。その程度のことはまず基本的に問題を考えるべきだ。これは赤字解消とかなんとかいうことは言っておりますが、普通に言う赤字解消でもなんでもない。計画そのものをまず合理化するという前提の問題で、私は財政調整という言葉を通牒の中にも入れることにいたしたのであります。それをやってもらいたいわけです。しかしそれ以上にゆとりがあるのも事実です。これは明瞭になお相当な財源があるのでございますから、その財源につきましては、今仰せのようなお考え措置してしかるべし、私はこういう考え方に立っておるわけでございます。しかし前の問題だって給与の切りかえのような、当然にだれが考えたってやらなければならぬような問題は、もちろん初めから天引きいたします。それから災害発生に伴うような応急的な経費など義務的な経費は当然ですから天引きして、そのあとで今のような問題を考える。それから最後に一般的な財源の交渉、どういう経費でもいい、ふやしていいという問題に移りたい。そのときに今申しましたような考え方でやって参りたいというのでございます。これは私の言い方も全部の再建団体に通ずる問題じゃございませんで、単年度赤字を作っていくような計画を作ってる団体は、非常に特殊な、数の少い団体でありますが、そういう数の少い団体のことをまっ先に言ってしまいましたので、その点は誤解のないようにお願いしたいのでありますが、考え方といたしましては、そういうことをまず頭に置いておいて、そうして今年度自体のレベル・アップというものをあと考える、こういうことで一つ御了承を願いたいのでございます。
  10. 北山愛郎

    北山委員 これは税務局長お話のように、今年の税収伸びというものは、大体において財政計画が予定しておった程度じゃないかということになれば、これを個々団体について、税収伸びがあるじゃないかということで、それでもって赤字債繰り上げ償還をどんどんやるとか、性急に赤字を解消するためにやるということは、財政計画を無視するものですから、その点、個々の例外的なものについては確かにお話のような場合が起り得ると思うけれども、一般的な指導としては、やはり今年の財政計画だって、ことに交付税の交付を受けるような貧弱団体の場合においては、なかなか容易でない。一方においては相当な財政需要増加があるのですから、それを考えれば、一方で多少の税収増加があったとしても、この年をしのぐのにやっとだというのが、一般的じゃないかと思われる。無理のない指導をしていただかぬというと、財政計画の全体のバランスを無視することになりますから、御注意を願いたいと思うんです。  それから次の問題は、地方財政についてはいろいろ問題があるんですが、最近町村会の力で、いわゆる町村内の税金以外の、部落会費であるとか、そういうような行政費負担ですね、税外負担といいますか、行政上のいろんな寄付金、こういうものの調査をやったところが、それが町村の税収の大体三割くらいの金額があるのだ、これは抽出の調査でありますから、全体の調査ではありません。だが調べたところでは、人口一人当り五百円から七、八百円くらいの平均の税外寄付金というか負担金というものがあるのだ。これは部落協議会費であるとか、あるいは土木関係、消防関係、学校関係、いろんな種数がありますが、そういうような調査が出ておるわけです。そうなりますと、これは相当な額じゃないかと思うのです。町村税の三割になりますと、相当な金額になる。数百億になるわけなんですが、これは行政に協力する税外負担金ですが、それ以外に市町村行政に関係のないようなものもまた別に寄付金としてあることは御承知の通りなんです。そういうものを入れますと、税金以外の負担金というのは相当あるのじゃないか。それで私どもはこういうものもある程度含めまして、そういう寄付金、負担金というものを制限するために、何らかの立法措置というものをやりたい、こういうように考えておるのですが、自治庁としてはどのような調査を持っておられるか、まだどういうふうな措置考えておられるか、この点を承わりたいと思います。
  11. 小林與三次

    小林説明員 今北山委員のおっしゃいました町村会の調査は、私もちらっと実は見たのでございますが、まだ、こまかいことを一ぺん聞いてみぬといかぬと思っております。結局税金以外で住民からいろいろな形で、いわば公的な経費をとっておることは事実だろうと思います。われわれといたしましては、あの経費のうちには当然にだれが考えても市町村で一般経費として負担すべきものがあるに違いない。また一部のものはほんとうの部落の共同的な経費として部落が共同的にやってもいいものもあるいはあるかもしれない。そこらのふるい分けはする必要があろうと思いますが、当然に市町村が負担すべきものにつきましては、私は早く市町村の一般財源に振りかえる措置を講じなくちゃいかぬ。その基本は従来市町村の一般財源が足らなかったところにそういう問題があって、だんだん国の無理が府県へ、府県の無理が市町村へ、市町村の無理が住民にかかっていった、こういう姿だと思うのでありまして、その住民にかかる無理をたださなかったならば、ほんとうの負担区分というものは筋が通らないと考えておるのでございます。それで多少とも財政上にゆとりがあれば、私はまず住民と公共団体との間における負担関係というものをはっきり筋が立つようにしていかなくちゃいかぬ。その問題は府県と市町村の間にも実は現にあろうと思います。学校の教員の経費市町村が出しておるというような姿も一つの例でございまして、本年度財政計画ではそこまでのゆとりもございませんが、もし明年度可能ならば、そういう問題を当然考えなくちゃいかぬと思うのでございます。そういう意味でこっちといたしましても、ああいう調査を町村会の方にも実は協力してもらったのでございまして、市長会の方でも調べてもらっておるのでございますが、そういう公的経費が住民にどういうふうに転嫁しているか、それを公共団体経費にできるだけ切りかえるような方向は、財政上の措置として考えなければなるまい、こういうふうに基本的に考えております。  それからもう一つ、今北山委員のおっしゃいましたのは、そうでないいわゆる個人的な寄付と申しますか、そういうものがあるのじゃないか、こういう問題があろうと思います。これはそういう意味の寄付制限をどうするかという問題でございまして、それにつきましてはわれわれは寄付についていろいろ弊害もあり、問題もあろうと思っておりますけれども、自治庁だけの問題として一般の寄付の取締りをどうこうするということについての関心は持っておりますが、今すぐこれをどうこうするというまでの結論には達しておりません。われわれといたしましては少くとも公共団体が当然負担すべきものを住民に転嫁しておるという形をまず断ち切る。断ち切るためには公共団体自体の財政力を充実してやらなくちゃできぬのでございますから、そういう意味措置財政上の問題としてぜひ解決するようにいたしたい、それを今第一段に考えておるのでございます。  一般の寄付の問題につきましてはなお研究をいたしたい。自治庁の仕事になりますか法務省の仕事になりますか、われわれだけの問題じゃないと思うのでございますが、関係のないわけでもございませんので、そこらはなお検討をさせていただきたいと思います。
  12. 北山愛郎

    北山委員 これは私が前に出ていなかった委員会ですが、たしか前の田中自治庁長官は、寄付金が非常に多いということで、これを制限するような措置をとるんだというふうに大きくみえを切られたように聞いているんですが、自治庁は一向作業をやっておらぬのですか、研究しておらぬのですか。
  13. 小林與三次

    小林説明員 前の大臣のおっしゃいましたのも、結局国や公共団体の要する経費を住民に押しつけるという意味の寄付のことを私は中心におっしゃったのだと思います。学校の寄付を住民からとるとか、警察は今はないから知りませんが、消防の寄付をとるとかという問題を中心におっしゃったのだろうと思います。個人的の私的な団体が知人からいろいろな形で募集するとか、義援金とか浄財を求めるということはあり得ると思います。そういう一切の個人的な金の授受をすぐに厳禁するという趣旨にまで大臣はおっしゃったのではない、そういうふうに私は了解いたしておるわけでございます。
  14. 北山愛郎

    北山委員 それにしても、何らか具体的に近いうちにやるということを、大臣はたしか言明されたと聞いているんです。言明された以上は、ただ委員会で言明しただけでなく、事務当局にその作業をさせるとか、具体的な計画を作らせるとか、そういう措置を命じてあると思うのですが、命じてないんですか。
  15. 小林與三次

    小林説明員 それで先ほど申しました通り、結局公的な経費を住民に負担させるということは、これは私は断ち切らぬといかぬ、これは明瞭です。この断ち切るという問題は、結局市町村経費を満たしてやらなければ、事実上断ち切るといっても、から念仏に終るのでございまして、結局市町村の金が足らぬもんだから、ついついみんなからとってしまう。形はむろんああいう番付は財政法で禁止されておりますから、できぬことにはなっておるんですが、事実上、下から上るという形でとっているということはあり得るのでございまして、そういう意味でわれわれとしましては財政上の措置をしてやるということは根本だと思います。そういう意味で今申しましたように、公的なものを転嫁しているものの実態はつかまえないといかぬ。それで自治庁だけでもいきませんので、市長会や町村会にも頼んでああいう調査もしてもらっておるのでございまして、それに対して財政上の措置というものをまず第一に考えて、それに合せて今申しましたような立法的な規制をさらにどういう形でどうやるかという問題を研究いたしておるのでございます。その実態把握ということを今中心にやっております。研究はいたしておるのでございます。
  16. 北山愛郎

    北山委員 お話ごもっともなんです。ごもっともだからまずとりあえずたとえば文部省と自治庁が協議をしておられるところの例の義務教育の国庫負担の問題、あれなんかについてもどういうふうにざれるか知らぬが、少くともPTAなんかが負担している分、これは何か調査によると百五十何億あるらしいが、その分を来年度は自治庁としては財政計画の中へ要求されるということでなければ今お話しの趣旨が通らぬ、そういうお考えがあるかどうか。また学校以外の消防について、消防なんかも非常に大きいのです。これは御承知のように、自治消防の各負担の経費なんかはほとんど寄付でやっておる。これが実態なんです。実態はどのくらいの金額になるかわかりませんが、これなんかもやはり通常の行政費の中で、やることが当然な話であって、寄付をやめろといっても消防をやめてしまうわけにはいきませんから、これなんかも行政費の中で財政計画上見込まなければ財源は出てきませんから、そういうものを見込むようなお考えであるかどうか、そういうふうに具体的に持っていくお考えがあるのかどうか、これは大臣がお見えになればいいと思うのですが、一つ税務局長からでも伺います。
  17. 小林與三次

    小林説明員 私が申し上げましたのは、まさしくそういうことを考えたいというのでございます。もちろんこれは非常にむずかしい。地元で、部落で共同的に部落の道を直すための金を集めたのを、全部市町村営に一挙に切りかえてしまった方がいいか悪いかということになりますと、私はそこにいろいろ限界があろうと思います。しかしながら、だれが考えても公費でやらなくちゃならぬようなものを、事実上PTAなどを通じて児童に頭割りでやっちまうというような形になるものは、これはぜひ切りかえさせぬといかぬ。  今義務教育の問題が出ましたが、義務教育の国家保障というようないろんな言葉が使われておりますが、われわれといたしましては、一番大事な問題は、そういう問題をやはり合理的に解決せぬといかぬ。まず父兄と市町村の間の問題を解決しなかったら、父兄の義務教育に対する悩みというものは解消しないのであります。だから、片方で教員の定数の問題もいろいろあるかもしれぬけれども、それは教員自体の保障の問題としてもちろん考えなければいかぬが、まず一番困っているのは親たちと子供たちなんで、観たちと子供たちの困っている問題を解決せぬといかぬじゃないか。子供の困っている問題は、結局すし詰め教室とか二部教授とかいう問題がずっとある。そういう問題を総合的に考えていこう。今のPTAを通ずるのは教材費の問題だろうと思いまして、教材費は、私はもっと国が持つべきものは、国が持つべき分をはっきりさせる、そうするとともに、市町村が持つべきものは市町村が持てるようにやはりしてやるということを考えたい。これは当然来年の財政計画地方財源の問題になってくるのでございまして、地方財源の問題としてはそういう問題を当然に取り上げて考えたい、そういう意味で準備をしているということを申し上げたのでございます。
  18. 北山愛郎

    北山委員 この寄付金、負担金というのは、最近だんだんふえる傾向にあるわけなんです。ふえる傾向にあるということは、やはり国の財政計画なり地方財源の確保というものが不十分だったから、こういうふうな税外のいろんな負担金を住民に押しつけている、そこからそういう傾向が出てきたんじゃないかと思う。責任はやはり国の方に相当あると私は思う。  特に部落協議会費のごときは、町村合併の結果、やはり役場が遠くなったというようなことで、昔の町内会、部落会の役割がふえてきたような傾向がある。そしてそれが最近になると、区というようなことで、昔の区長制の復活をやって、そして戦前のような、あるいは戦時中のような姿にだんだん戻りつつある。これが会費をとり、いろんな負担金をその部落団体で処理する、会費の中から寄付金を出してやるという傾向を作り、町村合併の結果としても、そういう税外負担金がふえるような原因を作っているのじゃないかというふうに私は思うのです。  そういう点を考えますならば、これは相当国の方に責任がある。で、一つ思い切って  これは小林さんだけを責めてもしようがないけれども、来年度は少くとも義務教育のPTAの負担だとかそういうものを解消するという思い切った措置をとって、それを財政計画の中に入れて財源賦与をするようにしてもらいたい、それを要望いたしておきますが、なおそれ以外の問題としての、たとえばお祭の寄付であるとか、そういうことも相当はびこって困っているのですよ。このように、もとはああいう寄付金というものはやはり警察の規制が一応あったのだが、現在は野放しだ。だれかが何かけっこうなことを計画して奉加帳でも作って持って歩けば、それでもう寄付が集まるのですね。そしてその経理もはっきりしておらないというような半強制的な、顔で集めるような寄付が相当はびこっている。こういう消防の寄付とかそういうものもあわせて何らかの法的な規制を必要とするのではないか、こういうふうに思うのですが、自治庁としては次の国会あたりにそういうものをお出しになるお考えがあるかないか。ないとするならばこれは議員立法か何かで出さなければならぬ。もし自治庁、政府の力でお出しになるとするならば、われわれもそれについて考え、政府が出さなければ私らの方で出す、こういうふうに考えているのですが、どうなんですか。
  19. 小林與三次

    小林説明員 今の問題は公共団体の公共事務プロパーと、かかわりのない一般的な寄付の規制をどうするかという問題でございまして、私はこの問題につきましてはいろいろ問題があろうと思います。法的規制という議論も当然成り立つ余地もあろうと思いますが、これは率直に申しまして自治庁の仕事であるかどうかということも一つの問題でもございます。それからまた直ちに一般的な寄付をどういう形でどう規制するかということは、技術的にも実際的にも非常にむずかしい問題がいろいろあろうと思います。今すぐ自治庁としてそういうような何か案を考えているかと言われますと、そこまで行っているとはちょっと私として申し上げかねます。これはもし自治庁でやれば行政局の問題になりますが、むしろ問題は法務省なりの問題にあるいはなるのではないかという気がいたすのでございます。たださっきの公的なものといたしましても、ここにまたやはり私は技術的に一つの問題があろうと思うのでありまして、実際のいわゆる地域的な共同社会と申しますか、隣近所といいますか、部落あたりで部落協議会費でやっている経費を、当然市町村が負担しなければいかぬかといえば、私はいろいろな経費の種類がありまして、すぐにそうだというのは行き過ぎだろうと思うのであります。それぞれの地方の人がそれぞれ協議してやってやろうというものまで、一々どうこう言う必要は必ずしもない、学校の経費のようなだれが考えても明瞭なもの、あるいは駐在所の経費のようなものをやっているというものは、これははっきりぜひそうしたい。そこらはいろいろニュアンスとか段階があろうと思うのでありまして、あらゆるものをすぐはっきりと断ち切ってしまえるかどうか、そこらは私自身の個人的な意見になるかもしれませんが、相当検討すべき問題があろうじゃないかというふうには存じております。
  20. 北山愛郎

    北山委員 明らかに公費でやるべき消防であるとか、あるいは義務教育の経費であるとかいう、そういうものをともかくも公費でやっているという段階においてはお説のような理屈も立つ。しかしほとんど何もやっておらぬじゃないですか。手もつかない。そうしてだんだんそういうふうなものが多くなって、町村会の調査の上では相当額に上っていて住民が因っている。こういうことを自治庁が取り上げないで一体どこが取り上げるか。やはり市町村単位で市町村仕事としてこの寄付の問題を扱わせるということ、あるいは府県でもいいのですけれども、地方自治体で処理をさせるということが大体考えられる筋であるとするならば、やはり自治庁としては問題を自主的に積極的に取り上げるべきではないか。少くともこの義務教育の問題であるとか、消防の問題とかあるいは部落協議会の行政費関係のものというようなものの財源措置をしておれば、お話のような点は、これは理屈が出てくると思うのですよ。それも何もやらないで、明瞭に税金分を税金プラス・アルファで住民に負担させておいて、そういう現状において、何というか、ハムレットのような悩みをしておってもしようがないじゃないか。もう少し積極的になってもらいたいと思う。これは長官にあとでお伺いしたいと思う。特に前の長官はこの点について積極的な発言をされている。それが一向進んでおらぬということは私は重大だと思うのです。大臣というものは自分の考えでその場その揚言いっぱなしをすればそれで済むというのなら、これはまことに無責任な話ですから、やはり前大臣が言われたことは、あとの現在の長官も引き継いでやってもらわなければならぬと思う。あとで長官が来られてからこの点はさらに伺いたいと思います。  なお、たくさんございますが、国保の調査がどうなっておるか、これなども、私の方の県の調査を聞いてみますと、私の県は全県が全部国保に入っておる模範的な、モデル的な国保の普及した県とされておるのですが、やはり相当な水子がある、一億五千万ばかりの赤字があるようであります。ですから全国的に見れば相当な赤字になっておるのじゃないかと思うのですが、この調査集計というものは、すでに自治庁に提出になっておるはずだが、これはどうなっておるのか。  それから福岡県の例の県の公金の預託の問題に関連して、公金の保管あるいは出納についての検討もなさるということでありましたが、その方はどういうふうに進んでおるか、この機会に伺っておきたい。
  21. 小林與三次

    小林説明員 国保の調査は大体各県の報告が集まっておりますが、まだ少し県が足らぬようであります。それで足らぬところはおくれてもしようがないからというので、全部集まりましたら統計局へ頼んで整理をしてもらうことになっております。できたら今月一ぱいといって急がしておりますが、今月一ぱいは少し無理かもしれません。九月に多少かかるかもしれませんが、報告がまとまればすぐに御報告申し上げたいと思います。われわれも早くその結果を見て、国保に対する自治庁としての対策もはっきり立てなくちゃいかぬ、というので、結果を待っておるのでございます。  それからなお、ちょっと前後しましたが、先ほどの寄付の問題は、前の大臣のおっしゃいましたことは私はやっておると思います。ほんとうに公共団体がやるべきものを住民に転嫁するものにつきましては、これは財政上の措置で解決することが根本であるというので、その意味でわれわれは当然そういう方針で作業をいたしております。明年もそういうことで何らか解決できるようなあらゆる努力をいたしたい。そうでなしに、純粋な、個人的な寄付の問題になってくると、そこまで自治庁自身としてはまだ踏み込んで考えが進んでおらぬ、これは場合によっては自治庁の問題でないかもしれぬ、こういうことを申し上げたのでございます。その点だけ一つ御了承願っておきます。今の大臣も公的な野付につきましては考えが違うとは私は考えておりません。  それから最後に歳計現金の問題につきましてお尋ねがございました。これも私は非常に急いでおるのですが、府県の歳計現金の保管状況その他の調査は全部まとまっております。ただ、今市町村の問題がございまして、市町村のものを調べてみなければ、そう勝手なことを言うわけにいかぬ、現に市町村は金庫を作っておらぬところが多いのでございまして、金庫を持っておらぬところはそれぞれの金融機関に普通の通り従来預金をしておるわけでございますから、これは金庫銀行以外の金をどうこうという議論の外に現にあります。それが大半の市町村のはずでございます。そこで市町村の実況を調べなければ結論が出ないものですから、その調査を行政局の方でやってもらっております。その結論をまだ私も聞いておりませんが、結果が全部まだまとまっておらぬのじゃ、ないかと思います。その結果をまとめまして、これも早く結論を出さなければならないと存じておるのであります。
  22. 北山愛郎

    北山委員 いろいろこまかい問題がありますが、最近の例の人事院の勧告で、薪炭手当、石炭手当の勧告があったわけですが、政府の方では勧告通り実施するということをきめたようでありますが、地方公務員については一体どの程度財源が必要で、この措置はどうされますか、これを伺っておきたい。
  23. 小林與三次

    小林説明員 地方公務員関係は全体で二億、交付団体の関係が二億ぐらい財源が要るはずでございます。これはもう当然国に準じて地方ももちろんこれをやらなければいかぬと思っておりますが、それについて特別な財源措置をするかという問題になれば、国も特別な措置をしておるわけでもございませんので、地方も従来の計画のワク内で、とりあえずやるよりしようがない。将来機会がある場合には、もちろんその点を是正させたいと思います。実際金を出すのに困るところがあるのじゃないかというような問題になれば、これは特別交付税なり何なりで調節をして、支給に遺憾のないようにはしなければならぬ、こういうふうには考えております。
  24. 北山愛郎

    北山委員 この前も、これはたしか特別交付税で考慮されたということでございましたが、今度も特別交付税調整するというお考えですか。
  25. 小林與三次

    小林説明員 現在の措置としてはそうせざるを得ないと思います。税収のあるところは別問題として、税もないというところになれば支給できるようにだけは措置しなければならないと存じております。
  26. 北山愛郎

    北山委員 それから東北開発促進法が通りまして、これが例の地財再建促進法と相当関連があるわけであります。その進行状況はどうなっているのか。あの十二条の例の自治庁長官と企画庁長官が協議をしてきめるような指定事業、そういうような事業は一体どういうふうに進んでいるのか、これを承わりたい。
  27. 小林與三次

    小林説明員 これはこっちも非常に急がしておるのでございますが、地方も困っていると思います。ところがあの法律が出まして、まだ審議会も正式に店を開いておらぬ模様ですし、あれは審議会で開発計画をまず作らなくてはいかぬ、開発計画の中で重要事業を指定するということになっておりまして、地元の各県も非常に騒いでおります。これはもっともで、だから審議会は経済企画庁の所管でございますが、そっちの方を早くまずきめてもらわなくてはいかぬ、知事さんたちもみな委員になっておられるはずでございますから、この間見えましたときにもそのことをよく言っておいたのでありまして、重要事業の自治庁の指定を先に何かやれぬかということは、それは開発計画もきまらぬからやりようがないのでございます。そこで開発計画の策定をまず急がなくてはいかぬし、その点でわれわれもぜひしりをたたきたい、こういうように思っております。
  28. 北山愛郎

    北山委員 それは審議会で重要事業の計画を作って、それから企画庁と相談をするということだと、相当あとになるわけですね。大体いつごろになるのですか。
  29. 小林與三次

    小林説明員 それはどうも私のところの所管でございませんからすぐに言えませんが、第一番の審議会の第一回の店開きがどうも今の予定だと九月に予定しているようです。もっと早くやればいいと思いますが、これはいろいろ都合があるのだと思います。九月に店を開いて開発評価をきめなくてはどうにもならぬので、開発計画のきまるのが、私はぜひ九月一ぱいなり十月くらいまでには開発計画をきめてもらわなければいかぬのではないか。それがきまらぬことには、その中で特に重要な仕事がこの重要事業ということになりまして、どうしてもそうなると十月の中へ入ってしまうだろうと思います。あるいは下旬になりはせぬかと思います。そこで、東北の知事さんたちも心配して来られましたが、問題は、東北は雪が降って仕事ができぬじゃないかという問題でございまして、私はことしの問題は、どうせ直轄事業なり補助事業なりは、各省の計画はきまっているはずだから、補助の内示もほとんど出ているはずでございますから、その内示したもの以上に国の金が流れるはずはまずないのですから、だからその仕事はどんどんやったらいいじゃないか、大臣の線に従ってどんどん仕事を進めたらいい。あとの重要事業の指定の問題は、結局財源調整問題になって、結局二割ベース・アップで、ワク外で扱う扱いにするものをどうするかという、こういう問題で、最後に財源上の措置の問題になるのだから、これはもちろん急がぬといかぬが、各県としてはそれぞれのもうきまった仕事をどんどんやっていいじゃないかという話を申し上げておったのでございます。いずれにいたしましても、その締めくくりの問題にしましても、これはできるだけ早くきめた方がいいにきまりきっておりますので、私の方といたしましても促進いたしたいと考えております。
  30. 北山愛郎

    北山委員 まず地財再建促進法第十七条の指定事業の方の範囲はきまっておるわけですね。今お話のように事業の内示といいますか、そういうものはきまっておるとすれば事業の範囲はきまっておる。その次の段階が東北開発促進計画をきめる。その次の段階がその中で企画庁長官と自治庁長官が相談をする。三段がまえですね。第一段の方はまず済んでおる。問題はそういう時期的な問題もあるけれども、どうも東北開発促進法第十二条のことは今言うような非常に手続がめんどうだというばかりでなくて実効がないのじゃないか。二割補助といっても従来が二割補助だったのですから、今度は段階を作って二割でないものも作ったから、そのうち一部が二割になったというだけだ。だから今までと比べてみて大してありがたみがないということを言う県もあるわけです。そうでなくて相当ありがたみがあるのだということを説明できれば、これは小林さんから御説明願いたい。
  31. 小林與三次

    小林説明員 東北開発促進法のありがたみについて私が申しますのも場違いかと思いますが、ありがたみがないわけでもないと思います。率直に申しましてそれほどどえらくあるかといえばどえらくもありませんが相当あると思います。さっきの指定事業はもうきまっておるかという段階の問題ですが、指定事業は一般の公共事業の直轄と補助の流れ方の問題でありますから、促進法そのものとは関係がないわけであります。それで道路や河川は当然に指定事業になってしまいますから、これは各省の補助が大体内示済みのはずです。そういう意味で申し上げたのでございます、一般の公共事業はそれで行われる。再建促進法上当然あるものは指定事業になる。開発計画の方は開発上必要な仕事を何か考えるということで、必ずしも指定事業と一致せずに、指定事業に入らない仕事でも、かりに上下水道でも何でも入るかもしれません。電気というようなものも入るかもしれません。何を作るか知りませんが、そういうものが開発計画の別のワクで出てくる。そのうちでダブっておるものがある。そのダブっておるものの一部を重要事業に指定するわけであります。こういう理屈になっております。そこで利益の問題でございますが、東北にいたしますと大体指定事案の補助の内示額の実際を見ますと、大体二割ベース・アップの線すれすれのところが多いのでありまして、それから一部出ております。だから補助率低減のところにひっかかっておる事業の内示を受けておる県があるはずです。仕事はそうたくさんございません。だからそういうものは今の再建法だけだというと補助率が低減になる。しかしながら今の開発促進法の方でそのうちのあるものが重要事業に指定されますと、これがワクの外に出ますから、結局全部が場合によっては二割ベース・アップのワク内にみんなおさまる。私は今年はみんなおきまるだろうという見当をつけております。またおさまるように重要事業を指定することを考えなければいけない。これは私の気持ですが、そういう考えを持っております。そういう意味で東北開発促進法は十分に効果を上げる、実効が上るはずだと思っております。
  32. 北山愛郎

    北山委員 青森県では自主再建団体です。ところが東北開発促進法があの通りの規定で地財再建法の適用ないし準用団体でなければ、十二条の適用がないというわけで、わざわざ自主再建から準用団体に切りかえた。切りかえたがどうも大した効能がないのじゃないかという説があるのです。そういう点の不満があるようでありますが、今のお話でありますとやはりこれは年度末にならなければ効能がどの程度になるのか数字的に出てこないようでありますから、その結果を見ることにいたしますけれども、ただしあの当時の審議の過程から見ても、重要事業というものはワク外に考えるというような趣旨とかあるいはまた非常に広くこれをとるのだ、ただ一部だけをやるのじゃないのだというような趣旨とか、そういう趣旨を十分生かされて自治庁としてもあの当時の促進法の審議過程を尊重して、小林さんに一つ努力してもらわなければならないことを要望いたしまして、私の質問は終ります。
  33. 門司亮

    門司委員長 加賀田君。
  34. 加賀田進

    ○加賀田委員 前の田中長官が言明された問題ですが、国有資産等所在市町村交付金に関する法律が制定されたとき、公営住宅の家賃に転嫁するおそれがあるので、昨年と本年度行政措置に基いてそれが課されないような措置がされたのですが、前の国会で長官は、本年度も一応暫定措置として行政措置で処置する、来年度からは抜本的な改正を行うというような言明をされたと思います。従って自治庁としては、来年度からこれをどういう方法に基いてなされようと研究されておるか。来年度もなお暫定措置としてやっていくのか、そのまま逃げ切ろうとしておるのか、その点どういう状態か、御説明願いたい。
  35. 奥野誠亮

    奥野説明員 公営住宅に関する国有資産等所在市町村交付金につきましては、三十二年度におきましても三十一年度と同じ措置をとるということで、先般建設省と話し合いました結果通達を了しているわけであります。あの法律を作りましたときにすでに公営住宅ができており、公営住宅の家賃が定まっておったそのものについて、新たに県が市町村交付金を交付する結果家賃を値上げする。それは他に家賃調整の問題もあるわけでありますので、将来別途考えることにしてさしあたりは転嫁をしない、そのかわり財源措置考えていくということにいたしているわけでございます。法律ができているわけでございますので、その後にできている公営住宅の家賃をどうするかということは、これは新しい法律に基いて府県が決定していけばいいのだと考えているわけであります。従いまして府県として特に低い家賃をきめるか、あるいは交付金相当額を今までの計算から出て参りまする家賃の額にプラスしてきめるか、それは県自体が現在できております法律を前提にして決定すればいいのではないかと考えているわけでございます。従来からきまっておりました家賃の額にプラスするかしないかという問題、これは建設省の方でも家賃調整をするかしないかということを、来年度の問題として研究していきたいと言っているわけでございますので、それらの問題とも並行いたしまして今申し上げたような特別な措置をとるかとらないか、どういうふうにやるかということを考えていきたいというふうに存じているわけであります。
  36. 加賀田進

    ○加賀田委員 そういたしますと、この法律が制定された以前に建築された公営住宅は、行政措置に基いて家賃に転嫁されないような措置を講じていく。その後に建設された公営住宅といたしましては、法律の趣旨に従って家賃を査定するときに固定資産額相当額を家賃の中に付加して家賃をきめてもらう、こういう方法で従来やっているわけですが、そうすると三十一年度以降建てられた公営住宅は、すでに家賃をきめる中に固定資産税相当額が入っているわけですか。その点説明していただきたい。
  37. 奥野誠亮

    奥野説明員 御承知のように国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律におきましては、府県が市町村に対しまして交付金を交付する場合、それを公営住宅の家賃に転嫁するかしないか、これは府県が任意に決定すればよろしいのである、こういたしているわけであります。従いまして今後新しく公営住宅の家賃をきめていきます場合にどうするかということは、法の定むる範囲内におきまして、転嫁するなりしないなり任意にきめたらよろしいのじゃないか、こう思っておるわけでございます。三十二年度対象になりまする公営住宅は、三十一年の三月三十一日現在においてすでにできておりまする住宅につきましてだけでございます。従いまして今申し上げますような問題は起ってこないのであります。しかし考え方としましては、三十一年三月三十一日以前にできておった公営住宅については、家賃に交付金相当額を転嫁することはやめてもらいたい、それ以後の問題については別に触れる必要はない、こう考えておるわけであります。そういう考え方の部分を明らかにした通達は出しておるわけであります。さしあたり三十一年四月一日以後にできました住宅につきまして、交付金の問題がないわけでございますから、すでにきまった家賃に対しましてプラスするということもないわけであります。今後家賃をどうきめるかという問題につきましては、現在の法律の範囲内で府県が自主的な判断をすればよろしいじゃないか、こういう考えを持っておるわけであります。従来の家屋につきましては、先ほども申しましたように、建設省自体としましても、家賃調整その他の問題につきまして、なお考えていきたいといっておるわけでございますので、両者共同で措置を検討して参りたいというふうに存じておるわけであります。
  38. 加賀田進

    ○加賀田委員 どうも当面の法律をどうするかというだけで、行政面にあたたかみがないと私は思うのです。この委員会で論議されたのは、結局公営住宅あるいは公団住宅を政府が奨励してどんどんこれの建設に努力をしているのは、住宅問題を解消すると同時に、勤労者の住宅で低家賃政策というものが一つの目的であったと思うのです。従って今度国有資産等の所在市町村に対する交付金ができる。そのために新しく府県から市町村の方に交付金が交付される。その財源が必然的に家賃の算出の中に入ってくるということは、低家賃という趣旨に反するのじゃないか。従ってその問題を何とか削除するような方法を講じていきたい、こういう論旨の中で、与野党を離れて超党派的にこういう意見があった。そういう意見の中から、当分は法律改正というようなことはいろいろの情勢で困難だから、行政措置としてそういうことのないようにしていきたい、こういうようにわれわれも理解しておった。それで先般の国会においても田中長官にそれを質向いたしましたところが、昨年も行政措置でそれをやった、本年もそういうふうにする、しかしこれは本年だけであって、抜本的な改正は三十三年度から研究してそれを解決する、こういうことでわれわれ非常に期待しておったのですが、自治庁としては、今まで通り三十二年度以降に建設されたものは家賃の中に付加されていても法律としてはやむを得ないのじゃないか、三十一年度以前はすでにそういうふうなことになっている、将来の問題は建設省の問題でまだ不明確だということで、長官の言明とちょっと様子が違うように思うのです。その点はどうなのですか。
  39. 奥野誠亮

    奥野説明員 おっしゃいましたように、できる限り家賃を低く定めたいという考え方につきましては、田中大臣もそういうことをおっしゃいましたし、私たちも同じような考え方を持っておるわけでございます。ただ御承知のように家賃の構成を見ていきました場合に、利子の問題もございますし、あるいは耐用年数をどう定めていくかという問題もありますし、管理費や修繕費の問題もございますので、ただ県なり市町村なりに財政をしわ寄せするだけで家賃を下げればよろしいのかどうか、そこが非常に重大な問題だと思います。こういう点は私たちも慎重に検討していくべき問題じゃないかというように思っておるわけであります。かたがた古い家屋と新しい家屋との家賃の調整の問題につきましては、建設省としても非常に不合理に感じておられるようでありますので、こういう問題を一緒に解決するのが至当じゃないかというふうに考えております。そういう方向で話し合いを今もしておるわけでありますし、一応は先ほど申し上げましたような考え方で、府県にまで通達を出したわけでございます。御指摘の点につきましては、来年度の問題としてよく話し合いをしようという基本的な態度を相談しているだけでございまして、なお具体的なところまでは現在のところ入っておりません。しかしお考えの点もよく考慮いたしまして、将来にわたって研究していきたいと思っております。
  40. 加賀田進

    ○加賀田委員 最後に希望を申し上げておきますが、公営住宅につきましては今申しました通り、当委員会としては二年間にわたって強く要請した。その線に沿って建設省とも十分話し合って、その趣旨に治うように十分努力していただきたいと考えます。  なおこれに引き続きまして、本年の春以来問題になっておりまするのは、公団住宅にやはりそういう固定資産税相当額が家賃の増となって現われてきていて、全国の公団住宅の団地の方々は、それに対して非常に強い反対の意思表示をされているのは御承知の通りであります。これも引き続いて同じように、公営住宅、公団住宅ともども低家賃政策という政府の基本方針に沿うて十分希望に沿うような御努力を即時願いたいという希望をいたしまして、終ります。
  41. 北山愛郎

    北山委員 関連して。今の公団住宅ですが、この固定資産税というものはそういうふうに使用者に転嫁していく建前のものでしょうか。これは非常に疑問に思うので、その固定資産を使っている人にどんどん負担さしていく建前のものであるならば、そういうこともいいでしょうが、やはり私は固定資産税というものは所有者が払うという建前でいくのが原則じゃないかと思うのです。今の公営住宅にしても公団住宅にしても、当然のようにどんどん使用者にそのまま転嫁していくというふうなことはおかしいじゃないかと思うのです。その財産を所有していることに関連してのたとえば値上りであるとかいうようなことは、所打者が受けることであって、使用者が受けることじゃないのです。だから私は、公団住宅のような場合でも、今のように固定資産税を使用者にどんどん割りつけていくというような考え方はおかしいじゃないかと思うのですが、これは固定資産税の性格、建前としてどうなんでしょうか。
  42. 奥野誠亮

    奥野説明員 所有者がある物を貸します場合にきめます貸し料というものは、大体経費といいましょうか、それを維持していくに必要な経費というものが一つ基本になるだろうと思うのであります。固定費産税は所有しております者に課税するわけでございますが、やはり一つ経費と観念されているのじゃないだろうかというふうに存じておるわけであります。そういう意味においては、固定資産税相当額を借り主が負担することになりましても、これは現在の建前ではやむを得ないのじゃないだろうかというふうに存じておるわけであります。また地代家賃統制令の建前も、固定資産税相当額はそのまま統制家賃にプラスしていくというような建前をとっておるわけでありまして、相続税その他の税とはちょっと税の性格が違っておりますので、やはり使用者負担というのが筋道だろうというふうに私たちは考えているわけであります。
  43. 北山愛郎

    北山委員 固定資産税は、今のような考え方でいくならば、使ってないような固定資産には固定資産税をかけられぬという理屈になりはしないか。また以前農地の固定資産税について、法定小作料よりも、むしろ上回るような固定資産税をかけたことがあります。そういうような場合には、これは経費と別個のものとしてかけたはずなのです。だからそういう場合と矛盾するのじゃないかと思う。今のように使用者に、使用しているのだからということでかけるのであれば、使用度、利用度によって固定資産税が変ってこなければならぬ。同じモーターでも、ただころばして使わないでおるのと使っておるのとでは、所有者である場合でもこれは異なってこなければならない。そういうことじゃなくて、財産を持っている人に、どう使うかということは別個として、持った形においてかけていく、それが固定資産税の性格、本質じゃないか。そういたしますならば、今の公団住宅のような場合あるいは公営住宅のようにやっていきますと、さもさも使用者が払うのが当然のように、税の性格が変ってきているように考えられる。これは原則じゃないんじゃないか。だから固定資産税としては、やはり原則に戻ってこの公団住宅なんかについても考え直していいんじゃないか、こう思うのですが、どんなものでしょうか。
  44. 奥野誠亮

    奥野説明員 これはどうも理論の問題だと思うのでありますが、私たちは固定資産税というものは、人税ではなしに物税だと考えております。土地を所有しておる、家屋を所有しておる人の担税力を考えて所得税を取る、住民税を取るということじゃなしに、土地なり家屋なりその物自体に着目をして、従って別に基礎控除その他の控除制はありません。物自体に着目して、物自体が持っていくという性格だと思っております。物自体に必要な経費は、借り主が賃貸料をきめます場合に、基礎になってきめられる負担額じゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。その意味で固定資産税の額は使用者負担になるのが今の建前ではなかろうか、かように考えて、こう申し上げておるわけであります。
  45. 北山愛郎

    北山委員 もう一つ変だと思うのですが、測定資産の評価の場合にいろいろあるわけなんですが、今言った通り、今までの陣地の場合とかあるいは家屋の場合、償却資産が違うわけなのです。償却資産の場合には償却していくから、だんだんに評価が下ってくるのじゃないか、家屋の場合には古い家屋ならやはり同じように低くなってくるんじゃないか、古い既設の家屋は償却資産と同じように考えれば、年々下っていかなければならないのに、時価評価でむしろ値上りを見込んでおる、だから家が古くなってもそういうふうに固定資産税が上っていくんです。同じ固定資産税でも対象によって扱い方が違うのです。私は非常におかしいと思うのですが、この辺のところはどうなのですか。
  46. 奥野誠亮

    奥野説明員 インフレーションの影響を受けました場合には、償却資産につきましても家屋につきましても、かなり年数がたってきているのに逆に評価額が上ってくる、こういう問題が起ると思うのであります。償却資産につきましては、資産再評価法等の制定が行われまして、再評価倍数をかけて評価をする、こういう事態もあったわけでございます。しかしそういう問題がございませんければ、償却資産でありましても、家屋でありましても、どちらも原則としては年数がたつに伴いまして評価額が下っていくわけであります。従って家賃の構成額を、償却費がこれだけであり、利子額がこれだけであり、固定資産税がこれだけであるというようなことできめておりまする場合には、年数がたって参りますれば、自然固定資産税額も軽減されてくるわけでございますので、家賃そのものも下ってくるはずだ、こう考えております。従いまして長期間にわたりまして固定した家賃をきめます場合には、建築されました当初におきましては、そうやって機械的に算出されます額よりも低く家賃はきめられていいんじゃないか。従いまして反面、後になりますと、そのまま維持される結果は、逆に固定資産税は下ってくるのに家賃は変らないわけでありますから、当初マイナスになっておった家賃額というものが逆にプラスになってきてつり合いがとれるようになるんじゃなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  47. 加藤精三

    加藤(精)委員 関連して。ただいまの固定資産税の論議は私も前から不思議に思っていたのでございますが、物が背負っておる税金ということが、いかにもかもがねぎを背負ってのこのこ出てきて、私どもがねぎだけを食べればいいような話でありますけれども、税金というものは課税お体と納税主体というものがあるもので、人と人との関係で、変りはないのでございまして、それにあるいは取引が中に入るとか物件が中に入るとか、いろいろな納税原因の事実があるにすぎないと思うのであります。そういたしますと、ただいまいろいろお話がありまして、農地の関係等の例もとられましたが、私も不思議なのでございまして、物が背負っておる税金ということになると、物を持ったために刑罰として税金をとられるということに帰着すると思うのでありまして、哲学的に非常におかしいりでありまして、これは一種の共産主義の理論みたいなもので、わが国の税制からは、こういうふうな悪質な税金はほんとうはなくして、収益税の昔に返すのがほんとうじゃないかと思いますけれども、それに対する税務局長の御意見を承わりたい。
  48. 奥野誠亮

    奥野説明員 昔も今もやはり物自体に税を課しておったことは間違いないと思うのであります。御指摘になりました収益税の時代になりましても、課税標準額を賃貸価格に求めておったわけでありますが、それでは賃貸をしていない、言いかえると、遊休している土地家屋に課税しているかというと、やはり貸しておりまする土地家屋の基準賃貸価格を推定して課税する。あるいは自家使用の家屋、あるいは自作の農地、こういうものについても一応基準賃貸価格を推定して課税しておったわけであります。そういうものにおきましては、基本的には物自体が税金を背負っていると加藤さんから皮肉を言われましたが、その姿は変っていないのではないかと思います。また計算をするにいたしましても経費に算入して参っているわけであります。
  49. 加藤精三

    加藤(精)委員 そうしますと、固定資産税は収益税という御解釈でございますか。
  50. 奥野誠亮

    奥野説明員 これは税の性格を区分しまする場合においていろいろな扱い方がありますので、むずかしい問題でございますけれども、一種の収益税的なものだといって言えないこともないと思います。私ども財産税的なものと申し上げておりますが、基本的にはそう大きな違いはないというふうに思っております。
  51. 加藤精三

    加藤(精)委員 税に対して事情によって非課税と、それから許可したものは減免をするとかいうものがありますが、そういう場合にはその税の持つ性質、特質に応じて処置すると思うのでございます。財産税と解釈してもいいし、収益税と解釈してもいいというようなあいまいな税金なんというものはなくした方がいいと思っている。しかもそうした収益税でないという大体の解釈を自治庁がとっておられたわけでございまして、収益税と大体同じだという御解釈は今回が初めてだと思うのです。地方の税務当局といたしましても財産税的な税だと考えておりまするので、どんなに景気がよくても不景気でも、収益があってもなくても、実際これが免除事由にならぬような税金のように解釈をいたしておりますので、私が市町村におりましたときにも非常に良心的な納税者は、もう自分は現在所得がないから、一年後に納税すべき固定資産税の分までも今から準備しておかなければならぬので、家屋の一部を光るというような悲惨な、そうして良心的な納税者もあったのでございます。そういう意味からいたしましてもこの税はよくないと思うのであります。それで収益課税ということになれば、その収益の転嫁ということも税の理論上予想してもかまわないということが、はっきり言い得るのでございますが、それが収益課税だか何だかわからないということが、ただいまの公団住宅等につきましても、これは法律で一応解決しておるのですけれども、そういう要望の起る余地がある。公営住宅につきましても、これは法律に基く政令でございましたが、これは転嫁をはっきり予想しているのでございまして、この前の委員会でもその説明市町村税課長からなされておるのでございます。法律は一応割り切っておりましても、感情上、さきの北山委員の、言うような気持が出てくるというのは固定資産税という制度そのものが悪いのではないか、しかも非常に高率ではないか、評価して百万円の価値のある固定資産だとなれば、もうどんな場合でもその町の税率が二・五%であるならば二万五千円を必ずとられるということは、思想上おもしろくないと思う。われわれが主張いたしまして、百分の三の最高限を百分の二・五に下げた、下げたことによって非常に苦しみを緩和されている納税層のあることを十分自治庁御当局は御認識下さいまして、さらに固定資産税というものを税制上町検討していただくというお考えがないかどうかを承わりたい。
  52. 奥野誠亮

    奥野説明員 最初の税の区分の問題でございますが、これは今も申し上げましたように学者によっていろいろな区分がなされております。収得課税、消費課税、流通課税、こういうような三つの部門に分けまして、財産税的なものをみんな収得課税の中に入れるというような区分もございますし、また財産税というものを一つの別個のものとして区分される方もあるわけでございます。私はただおっしゃいましたことについて収益課税的なものだということもできますと、こう申し上げましたのは、やはり土地や家屋や償却資産に課税いたします基本的な理念といたしましては応益課税の建前もございましょうが、またそれが一つの収益源だ、収益を生む源だということも、やはりそういうものについてある程度の税金を求めてよろしいのだという考え方が生れてきたゆえんだろうと、こう考えておるわけであります。これはまたいろいろ区分のしようもございますから、あまり理屈をこねることも適当ではなかろうと私も思っておるのであります。  御指摘になりました税負担の問題は現在土地、家屋、償却資産、その間におきまして時価を課税標準として課税をして参ってきておるわけでございますが、必ずしもその時価というものが相互の間にバランスのとれたものでもないように思っておるわけであります。しかしながら一挙にバランスのとれたものにしようといたしますと負担が激減して参りますし、それもまた適当でないというような感じを持っておるわけであります。ただ基本的にはできる限り評価を適正にしまして、税率を下げていくということが、御指摘のように私たちも適当であるというふうに存じておるのでありまして、将来この税の適正化には一段と努力をはかって参りたいというふうに存じておるわけでございます。
  53. 加藤精三

    加藤(精)委員 続けて申し上げますのは少ししつこいようでございますが、ただいまのわれわれと税務局長との一連の論議におきまして問題にしたところは、収益を生まない固定資産に対しても固定資産税がかかるということの不合理性を一つの土台にしているわけです。それが共産主義的な税だということを言っているのです。税の税本といいますか、それを食う税金だということを言うているのでございまして、これをもっと具体的に言えば、非常な何億という山持ちが町村にどれだけの税金をおさめるか、所得税は御承知のように五分五譲とかで、しかもその伐採の時期には大きな減免規定がありまして、ほとんど大した税金にならぬ場合が多いのです。しかしながらそれは収益を生むものとしての標準としてそれを使うという面から言いまして、その上にあります立木は全然課税の対象外でございまして、里から遠い位置の悪い山の肌の地表だけが固定資産税の対象になっていることは御承知の通りでございます。それならば全然収益の用に供せられないところのだだ広い家屋等と比べまして、もう農地改革によって田んぼをみな取り上げられて実際はもう使用人も使えないような旧地主、あるいは旧家、あるいはそこの村の昔からあった家というような、そういうふうな収益を生まない家屋、土蔵等の、それが収益を表現するというので、それだからかける。そうして材木の値上りによっておそろしく収益のあるそうした山持ちの財産が、収益の対象としては山の土地だけで、立木も何も計算されない、山の皮だけしか収益の対象としては見られない。皮だけを見ることによって、地表だけの固定資産価格を見ることによって、その立木のうっそうたる大資産が収益の対象として見られない。もし固定資産税を収益の対象とするならば、現在行われていることにそれだけの矛盾があるのです。そういう矛盾から見て固定資産税という税が、現代の税の公平の原理から見て正しくない税金であるように思う。という私も確信はないのでありますが、私の勉強のために当局の、政府側の意見も参考に聞きたいと思うのでございますが、それに対してどういう御感想をお持ちですか。もう一回お伺いしたい。
  54. 奥野誠亮

    奥野説明員 現在の固定資産税は財産価格を課税標準にしておりますので、そういう意味において財産税的な行き方をしておるということは御指摘の通りだと考えています。山林につきまして現地だけを課税対象にしないで、立木も課税対象にすべきだという御意見、こういう御意見の方々もずいぶん多いわけでございます。これはもっぱらどういう方法を重視するかという考え方によってどちらにでもきまる問題ではないかというふうに思っております。これを固定資産税という名前をとる以上は、入れてはいけないという理屈も立たなければ、入れなければならないという理屈も立たないのであって、これはいろいろな方面から総合的に判断をしていってみればよろしいのだというふうに思っておるわけであります。  なお固定資産税は悪税だとこうおっしゃったわけでございますが、それではどういう税を基本にして課税していくのか、所得税中心に税を組みかえていくのか、あるいは消費税中心に税を組みかえていくのか、いろいろな問題がございますが、市町村や府県の自治行政というものとのつながりを考えてみます場合には、たくさん人が住むようになった場合には家屋もどんどんできていくわけだから、家屋に着目してある程度経費分担をそれらにしていただく方がよろしいのじゃないか。これらの考え方も立つと思うのでございます。そういう意味におきまして固定資産税というものが、市町村財政として相当の意味を持っておるのではなかろうか、こういう考え方を私たちとしてはいらんしておるわけでございます。また世界各国例外なしに土地や家屋に対しては課税をしておるのじゃなかろうか、こういうふうに思っておるわけであります。
  55. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいまのお答えは私の疑問には、はっきりと直接に答えてくれませんでしたけれども、大体がわかりますので、それをもとにして申し上げたいのでありますが、とにかく山持ちの大地主を保護して、最も社会的に犠牲になった哀れな財産所有者に強く課する、山持ちには軽く課するということは、固定資産税が収益的な税金であるならばその課税方法として公平を欠くじゃないか、これは私は政府御当局から御回答を得なくても、質問自体が回答になっておるように思いますので、それ以上追及いたしませんが、なおただいまの世界各国が全部財産に課税している、これはごもっともなことでございまして、その財産の課税の仕方が問題なんで、日本のような固定資産税的な課税をしている国は、世界中に私はないんじゃないかと思いますけれども、まずそれをお尋ねします。それからまた不労所得のように、都市の発達等によって自然に土地の価格や家屋の価格が上昇する場合に、そういうふうな外部的、自己の意思によらざる境遇上の変化のために事質的な不動産価格がぐんぐん上っていくときに、そうした価値の上昇分に対して課税するということはできないものか、また世界的にその実例がないか、私たち学生のころには土地増価税というものが世界的に相当行われておったのですが、その後土地増価税的な課税方法が何か少くなったように聞いておりますが、少くなった原因はどういうところか、そうしたことについて若干教えていただければありがたいと思います。
  56. 奥野誠亮

    奥野説明員 土地や家屋に課税いたします場合に、課税標準を価格に求めるか、あるいは賃貸価格のような収益額に求めるかという問題になって参りますと、大国は大体価格を課税標準にしている、こう申し上げてよろしいと思うのであります。アメリカの財産税にいたしましても、あるいはイギリスの税にいたしましても、いずれも価格が課税標準になっているわけでございます。また国によりましては、近来の賃借権の地位の向上、所有権がどちらかといいますとだんだんと力が弱くなって、むしろ賃借権の方が力が強くなってくる、こういうな傾向と並行いたしまして、所有者にも課税するしまた賃借権者にも課税をする、二本建の課税をやっている国も生じて参ってきているわけでございます。  土地増価税の問題はこれはどちらかといいますと、市町村が非常に発展してくる。言いかえれば従来郊外の土地が非常に安かったけれども、発展するにつれて都市一画も進行してくるし、あるいは公園ができてくるとかいうようなことで、土地が値上りをする、そういう場合に起される、それが一つございましょう。それともう一つは経済界が非常に混乱をいたしまして、評価のし直しをしないかわりにある程度差額を課税標準にして増価税をとっていくというような問題もあろうかと思うのであります。ただいずれにいたしましても特に土地価格が増価をしている。どれくらい増価をしているかというような問題になりますと、複雑な調査を必要といたしますし、またかりに増価しましても財産収奪的な課税をいたすわけにも参りませんでしょうし、従って税額もそれほど大きなものにはなってこない、こういうふうなところから最近はあまり行われていないのではないかというふうに存じているわけでございます。
  57. 加藤精三

    加藤(精)委員 ただいまの収益税的課税、財産を課税標準にして課税するという場合でございますね。その課税算定の基礎を財産価格に置くか、財産収益に置くかという場合に、財産価格に置く場合が多い、日本の固定資産税も大体時価を基本とするように記憶しておりますが、そうしたようなかけ方の方が多いということを今承わったのでありますが、問題は性格づけですね。その物税の性格づけとして非課税とか、減免規定というものが働くという場合に、収益のないところにはできるだけ課税しないという精神が欧米の財産税には強いのじゃないか。日本のように、ほとんど非課税規定を適用するの余地がないほど財産の元本を収奪するような固定資産税というものはないのじゃないかというような気がいたしますが、ただいまの税務局長の世界の税制の傾向についてお話が大へん参考になりましたので、なお私として勉強してみるつもりでございますから、その問題はそれ以上御答弁をいただかなくてもけっこうでございますが、きょうの新聞に、郵便局の定期預金等に対しては、今度は貯蓄奨励の意味で税金をかけないというような場合には、これは定期黄金に国民の住民所得のうちから流れていくものが相当あるだろうと思う。こういう場合に、その定期預金をうんと持っている納税者に対しては、住民税をかけないことになりやすいのでありますが、従来のこうしたたびたびの所得税法の改正等に、そのしわ寄せをそのまま住民税がこうむるということのないように、何かこの住民税をほんとうに担税力があるところからとるというふうに、基本的な抜本的な改正を住民税について加えることができないものかどうか、ちょっと疑問になりましたので、それについての御意見を承わりたい。
  58. 奥野誠亮

    奥野説明員 現在の住民税に関しまする法律のもとにおきましては、所得税を課さない所得、非課税所得は当然住民税の場合にも課税要因に入ってこないかけ方になっております。従いまして所得税法の改正において、非課税所得の範囲が拡張されました場合には、当然住民税の非課税範囲の課税標準額も拡張されてくる、こういうことになってしまうわけであります。これがいいか悪いか非常に問題があるわけでございます。できますならば、所得税法で非課税にしておりまする所得でありましても、ものによっては住民税の場合には課税標準の中に入れた方がいいと思うものもありますので、その区分を明確に法律の上でした方がよろしいのではないか。今の住民税に関しまする地方税法の規定の建前を変えたらどうだろうか、こういうことを研究しておりますので、御指摘の点についてはさらに検討を重ねたいと思います。
  59. 中井徳次郎

    ○中井委員 私がお尋ねいたしたいのは、公団住宅に対する固定資産税の問題でありますが、ちょっと遅れて参りましたので、前の質問者とあるいは重複する部面もあるのではないかと思いまするが、順序といたしまして一応数字でお尋ねをいたしたいと思いますので、御了承願いたいと思うのであります。  二、三点お伺いしたいのであります。公団住宅の問題は、今全国の新聞をしばしばにぎわしておりまするし、また供託をしたとかなんだとか、また従って家賃は不払いだとかいうふうなことで、非常に双方とも気負い立ちまして、ちょっと抜き差しならぬような形に今なっておるのではないかと思うのでありまするが、一体今の住宅公団の持っておりまする住宅について固定資産税をかける、各地区において評価も違いましょうし、あるいは中にはおれの方は一つ権利を放棄するというふうな市町村もないわけではないと思いまするが、大体概算にいたしまして全部とるとすれば、どれくらいの税額になるのですか、その点をちょっとまず第一に伺っておきたいと思います。
  60. 奥野誠亮

    奥野説明員 現在のところでは一億二千七百万円くらいの見込みのようであります。
  61. 中井徳次郎

    ○中井委員 その程度の金額、全部とれればそうなるというふうなことで非常に両方とも気負い立っておるようでずが、言うまでもなく住宅公団というのは私は政府機関だと思う。全額国庫支出というふうなことになっている。そこで居住者にとってみますと、名前は公団であるが、いわゆる公営住宅といいますか、市町村営のもの、県営のものと本質はあまり変っておらぬというふうに考えております。それから入るに際しましては、何か契約書に判を押せというので判を押した。入りたい一方でありますから判を押した。ところが中に公課その他のものについては別に考える、これも抽象論でありますが、そういう問題も入っておった。それも今日の混乱の原因だろうと思うのです。そこで私は基本的な問題で一つ政府にお伺いしたいと思うのですが、どうもこの住宅公団の法案が出ましたときに、国会においても私どもまことにうかつであったと思うのでありますが、国会の委員会におきましては、建設委員会の方にたしかかかったと思うのであります。従いましてずっとそのまま通ってしまいましたが、どうも最近地方税の問題につきまして、地方税内容を含んでおる法律案が、地方行政委員会を通らずに簡単に通ってしまうという傾向があります。これはわれわれは大いに反省しておるのだが、しかし政府部内においては、私は必ずやお互いに連絡があり調節があって、この法案が出ますときには自治庁の方にも十分御相談があった、こう思うのであります。その場合の自治庁の態度は一体どんなものであったか。この間もとん税の問題でありましたか、これは大蔵委員会にかかりました。私ども連合審査その他はいたしますけれども、やはり何といっても地方行政地方財政難のさなかにありまして、どうもほんとうに税体系がずっとすっきりとこの委員会にかからないうらみがある。そこで私どももうかつであることは大いに反省するが、政府はどういうふうにお考えであるか。公団も一つの独立機関であり独立採算制であるから、その程度のものはやむを得ないのだろうというので、簡単に御承知なすったのではないかということを私どもは非常におそれるのであります。そこでその辺の事情をちょっと何ってみたいと思います。
  62. 奥野誠亮

    奥野説明員 住宅公団につきましては、住宅公団の賃貸作宅あるいは住宅公団の事務所自体につきましても、固定資産税を課しておるわけでありますが、他の公団につきましてもおおむね同じような措置をいたしておるわけでありまして、家賃政策の問題と固定資産税の問題と、もちろん関連はございますけれども、家賃を低くするためには必ず固定資産税を下げなければならないのだ、こういう考え方を持っていないものですから、いろいろ御相談があります場合に、大体今申し上げますような考え方に立ってお答えをいたして参っておるわけでございます。  住宅公団の賃貸住宅につきましても、四分一厘の利回り計算をいたしておるわけでございまして、かりに四分一厘の利回り計算をやめてしまいまして、無利子で貸してしまうということになりますれば、現在の家賃は半額になってしまうと私は考えております。そんな大きな問題があるのに、何でも固定資産税を軽減する、あるいはやめてしまうということになってしまいますと市町村として困ってしまう。総額といたしましては現在のところ一億数千万円でありますけれども、御承知のように一つの町に何千戸という住宅公団の住宅が一挙に建設される。そういたしますと道路の問題とか、下水の問題、また学校建築の問題まで所在市町村としては非常に大きな財政需要を生ずることにもなって参るわけでありますので、これは他の住宅との均衡の問題もございますし、また都市の発展に伴いまして固定資産税収入が入ることによりまして、必要な財政需要市町村でまかなっていくという筋道のものでもございますので、なるべく例外は作りたくない、こういう考えをもちまして話のたびに応対をしているわけでございます。
  63. 中井徳次郎

    ○中井委員 その気持は実はわからないわけではないが、今問題になっておるのは、率直に言うと自治庁としては私は間接的であろうと思います。そのとり方が問題なんです。一般に家賃の概念と言いますけれども、これは普通の個人所有のものであれば、昔からある家でありましたら大体固定資産税は一年に私たちは二千円かかる、そこで私の方もそれをそのまま払うのは因るから家賃は大体それの三倍にして下さい、あるいは五倍にして下さいということになってくるのです。私の方ではみなそうです。大体固定資産税の三倍ないし五倍ということになっておる。そこで公団が家賃をきめるときにも、初めからそれだけ別ワクにしておくということは非常におかしな話なんですね。それはあなた方のおっしゃる通り、金利が優先して金利だけはもらわなければいけない、固定資産税はあとで何とかなるというような公団の考え方自体が国家機関として非常にふらちだと実は私は思っておるのです。金利は銀行の問題だ。大蔵省の資金運用部から借りておるかもしれない。しかしその前に地方税というものがある。大体公団というものは、はっきり言うと地方税をなめておる。私たち委員会の立場からすると、なぜ最初からそれを含めた家賃を決定しておかなかったか、それでは本末転倒だと思います。その辺のことはお入りになっておる人もよくわかっておるから、家賃の中にも入っておるということが常識です。それをまたさらにあとから第一次的なものをくれと言うのですから、こんなものは当然入っておるじゃないかという気持を持つのが今日の鮮度じゃないかと思います。そこで払わないとは言わない、供託をしますと言ったら、供託はけしからぬと言う。これは第二の質問に入るのですが、東京都あたりはまだ合計を出していないのに、固定資産税相当分といって電話で話したか何か知らないがとるというようなことでは、ちょっと払えませんよ。そういうようなことについてえらく具体的になりましたが、令書を発行していないにもかかわらず、公団と居住者との間の契約に基くのかどうか知りませんが、これをとるということはどう考えても利は行き過ぎだと思います。それをやるのなら一つ利子を返してもらいたい。そんな金利第一主義でいくならば、四百円も五百円も半年も前に家賃でとられるならば、その利子だけは、いよいよ令書が発行になって納めたときには計算をして返してもらわなければ筋が通らないと思います。そういう点についてどうも現在の公団の立場というものはまことに高踏的であると思います。非常に高踏的、官僚的といいますか、自治庁以上に——こう申しては失礼ですが、普通の官庁以上にまことになまいき千万だと思うんですよ。そういう意味において、公団は地方税の何たるやを原則として心得ておらないと思うのです。そこで、こういう令書も出していないところを全国一律にやろうなんということについては、私は自治庁として一喝してもらいたい。地方税を何と心得ておるか。これは一つ公団の方にぜひとも注意を促してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  64. 奥野誠亮

    奥野説明員 住宅公団の家賃の問題につきまして紛糾いたした原因については、私も全く中井さんと同じような考えを持っております。住宅公団のある幹部からもそのような経緯について私は聞いております。家賃をきめる場合百には当然固定資産税相当額ある程度推定してきめるべきである。ところが自分たちの方にはある方面の話もあったにしましても、住宅公団については固定資産税を非課税にしてもらえるという予想をしておった。ところが実際問題としてそれが非常に無理だということがわかってきてこういうことになって参ったのだ。どこに責任があったか——あまりこまかいことを言いますことは遠慮さしていただきますが、やはり当初の出発において誤まりがあったのではないか、私もこういうような見方をいたしておるわけでございます。  なお、市町村がまだ令書を出していない向きがあるように伺ったわけでございますが、公団からの話もございまして、また私たちもそれが至当だと考えましたので、公団の住宅につきまして、自治庁が示しております固定資産評価基準にのっとって評価をすれば幾らになるか、こういうことを研究いたしまして、その額を市町村まで通知したわけでございます。またそういう作業を始めたものでございますから、市町村といたしましても、公団の住宅について一応予定しておった評価を引っ込めまして、自治庁のそういう方針を待った上で正式に評価をしたい、こういうふうに考えたようでございます。これが年度始まってから起った問題でございますので、自治庁が市町村へ通知いたしましたのは六月に入ってからでございます。そういう関係があって、あるいは市町村の中では、今日なお令書の出てないところもあるかと思いますが、もう大体出そろうころではないかと思いますので、必然的に御指摘になりましたような問題も解決するんじゃないか、こう私たち思っておるわけであります。
  65. 中井徳次郎

    ○中井委員 今のお話で、甘い考えをしておった、助かるだろう、それならば私は実際公団の幹部の責任だと思う。そういう責任を全然住宅居作者に転稼するというのは、なまいき千万だ、こんなふうに右へならえでずっといくというのなら、そんな幹部は要りませんよ。まだ今のお話で金額もきまってない、大体あなたの方は基準を示した、その基準通りやる市町村もあればやらない市町村もある、公団はその基準でやった、そんな行き過ぎなことはないと思う。法律では例外規定はいろいろありますけれども、原則では固定資産税というものは所有者が払う。それに例外規定はあります。これはいろいろな事情があるとしても所有者が払う。その所有者が先ほど言ったように大きな失敗をしていながら自分の方はほおかぶりして、そうしてどんどん家賃の値上げをして、それを払わぬと言ったら、払わぬお前らが悪いのだというふうなやり方については、これは私がもし中へ入っておる居住者であれば断じて抗争しますよ。きのうも実は笑い話のようですが、名古屋大学の助教授の方のお話を伺った。その人が入っておる。そうしましたら税金の問題でこじれて、そうしてもうこれは家賃を当分払わぬでがんばるよりしようがないと言ってがんばっておりましたところが、ある日大学総長から呼び出しを受けた、行ってみたらあなたは家賃を払わぬとはまことにけしからぬじゃないか、払いなさい。どこから話があったのだ。公団の方から話があった。というようなことで助教授は大いに憤慨して総長と十分ばかり話をしたら、総長はそういう事情なら大いにがんばりなさい、そんな公団住宅はけしからぬという話になったということなんです。これは実際そうだと思うのです。そこで所得者である公団が全然この問題について自分たちは大失敗を犯していながら、どんどん事務的に高圧的に事を運ぶということは、これはいけない。そうして現に私は一応なにも見せてもらいました。現在どれだけ家賃を払っておるか払っていないかというと、払っていないで供託しておるところの合計は六割、七割に達する。この金利だけでもう一億二千万円ばかり飛んでしまっているのです。まことにへたな政治だと私は思うのです。  そこで私は政府にお願いしたいのです。これは建設省は直接の監督官庁でありましょうけれども、自治庁あたりが中に立っていただいて、そうしてこれは居住者の皆さんも今大いに興奮をされておるだろうと思いますが、何かいい手はないか、それはいろいろ私は考えられる、きょうここでははっきり申し上げると、中井はあんな妥協案を出したなと言われてまたしかられますし、これは議会のやることでも実はありませんから、自治庁でもってちょうど郡氏もなかなかそういう面では苦労人でありましょうから、一つ大臣ともお話を願ってぜひいい解決をしてもらいたい。そのことによって地方財政が非常に困る、一億二千万円でもそれは税務当局からおっしゃれば非常に困る問題だろうと思いますが、私は全然これをゼロにせいというようなことは言っておりません。実際公団自体も多少これは金銭的にも分担しなければここまで来てまだ全国で裁判ざたになってがんばっておる。その間に家賃の不払いで金利だけで、もう何億という金になってくるとまことにまずい政治のように思うのであります。どうも行政官の奥野君に申し上げるのもどうかと思うけれども、きょうは大臣がお見えにならぬというから、一つぜひともこの委員会の意思を伝えていただきたい、こう思います。(加藤(精)委員「関連して」と呼ぶ)加藤さんからも大いに同調の御意見があろうと思いますから……。
  66. 加藤精三

    加藤(精)委員 関連してと申しますのは、中井先生の御議論に対して反対の発言なんです。(笑声)私きのうの朝、私たちの地方においても非常にセンセーショナルな発言を聞いたのでございますが、どうも公団住宅の税の問題は理屈が立たぬと思うのでありまして、法令にもちゃんとその家賃の中に税金を払えということを書いてある。それを入れたのがいかぬとか、そういうことはいやしくも法律を作った代議士の発言をすべき発言でないと思う。そこでそれが火をかき立てるようなことになれば、納税阻害的な機運を馴致するように思うのであります。はなはだどうもおもしろくないので、当委員会の意思を伝えて大臣に善処させるという、当委員会の中に私を入れていただくのは大へん迷惑なんでありまして、そういうことによって納税阻害の扇動になるような結果にならぬように、そこを十分御戒心願って御答弁を願いたいと思います。
  67. 中井徳次郎

    ○中井委員 それは私ちょっと御答弁をいただく前に大へん誤解があるようですから……。私は納税阻害なんということを言っておるのじゃありません。ただ公団が、自分が所有者ですから、自分たちももし家賃の滞りがあればかわりに払わなければならぬ、これは当然ですよ。今は一つのグループになりましてみんな払わない、こういうのですが、将来生活ができなくなってこれは払えないという人もありましょう。そういうときにはやはり令書が来ればこれは立てかえ払いは当然しなければならぬ。今のような形でもし令書が出た場合に公団が払っておるか。これはけしからぬと思うのですよ。やはり払うべきですよ。今もんでおりましても、公団としては地方公共団体に払うべきであり、そういう点において盲点がある。全部所有者でおれの方は知らぬのだ、おれは役人だ、机の前にすわっておって、それでは弁護士に頼めというような形は、私はとんでもないことだ、全くの悪家主だ、こういうふうに考えますから、お願いするのであって、何も税金を払うなということは全然言っておりませんから、誤解のないようにお願いします。
  68. 加藤精三

    加藤(精)委員 納税しないことを扇動したわけじゃないと思いますけれども、もしかりにそういうことがあったならば、数億の滞納を生ぜしめたということはまじめなる政党のやるべきことじゃない。そうしてそういう重大な結果を来たしたから、それで家賃を負けろという運動は最も悪性の運動だと思う。そういうように疑われないように当委員会の名誉のために、住宅公団の住宅の問題につきましては論議を正しい方向に導いていかれますように、委員長の特段の御配慮を願いたいと思います。
  69. 奥野誠亮

    奥野説明員 中井さんのお話は大臣によく伝えます。ただ住宅公団のやり方につきましていろいろ御批判がございましたし、私も私なりの考え方を持っておるわけであります。しかし善意に考えて参りますれば、できる限り賃借り人の負担を軽減したいという親心で、税がきまってからその部分だけは追加して負担してもらいますよという契約で入れておるようでございます。そんなことがあだになったという見方もできるわけであります。これは特別な国の援助を受けて、そういう住宅に、はいれておるわけでもございますので、そういうような、ある意味においては恵まれた人たちであることは、賃借りされている方にも御理解願わなければならぬわけでございます。御指摘の点につきましては、よく大臣に連絡しておきたいと思います。
  70. 門司亮

    門司委員長 この機会にちょっと私から奥野君にさっきのことをただしておきたいのですけれども、今、加藤さんからも正常だという話がありましたが、使用者課税の問題については、固定資産税は使用者課税を実際に認めていないのです。要するに三百四十三条だったかと思いますがに、書いてある。使用者課税される場合は、質権者もしくは長期の借地権を持っておる者、百年以上の借地権を持っておる者については課税することができると書いてあるのです。使用者課税については、これはちゃんと制限してある。それ以外の使用者に課税するということは、この条文の建前からいえば、私どもがこの条文の審議をしたときの建前からいえば誤まりだと思う。この条文を入れてありますのは、要するに使用者課税をすべき場合はこれこれだとちゃんと入れてある。従って法の正しい解釈というものは、一応使用者課税というものは固定資産税については成り立たないという解釈をするのがこの際正しい。家賃の算定の基礎の中には、むろん経営者としては入れるでしょう。これは別個の問題です。こういうふうに私は法の解釈をすべきが正しいと考えております。だから、さっきの使用者課税が妥当だということは、私は言い得ないと思う。この点を一つ明らかにしておいていただきたい。
  71. 加藤精三

    加藤(精)委員 委員長はそうおっしゃるけれども、公営住宅に対する法令にも、公団住宅に対する法令にも、税金を家賃に入れてもいいということが法令に載っておれば、それは特別法が一般法に勝つじゃないですか。それはどうも委員長の解釈が間違っておる。
  72. 中井徳次郎

    ○中井委員 加藤君の言うことは私よくわかるのです。わかりますが、私は前段に申し上げた通りであります。固定資産税については、何か地方行政委員会で集約的に地方税のことをやりたい。この点についてわれわれは反省をしておりますから、法がある限りはやむを得ないという議論もあるが、できましたら、われわれは近い将来にこれをやはり改正をしたい。あるから、その通りみなやれ、こういうわけではなくて、改正をしたいという考え方も同時に持っておるし、それからやはり何といっても使用者課税というものは例外的なものであるというふうなことは基本的な思想であろうと思うのであります。  第三に公団が所有者であるのです。所有者であるものが簡単に物事を考えてしまう。自分の方でもう少し運営の面で、経費の節約をする余地はないか、その他十分やはり第一次としては努力すべきである、こう思うのです。今の形でありますと、令書も出ていないのに、大体おおよそでいって、もし月四百円というてきて、令書が三百五十円だったら今度は五十円返す、二百五十円だったら百五十円返す、さっき利子の話についての御返答はなかったが、そう理屈になっては私はいけないと思います。そこで固定資産税が四百円来ても、これはわれわれが消費節約をして二百五十円に一つがんばっていこう、居住者には二百日くらいで一つ何していこうとか、いろいろな考え方がこの岡に出てこなければならぬ。それが経営者の面目である、こういうふうな基本的な立場に私は立っているわけです。だから、そういう意味で先ほどから申し上げておるのでありますから、どうぞその点のところも十分くみ取っていただきたいと私は思います。
  73. 奥野誠亮

    奥野説明員 固定資産税は門司さんのおっしゃいましたように、若干の例外を置いておりますが、原則として所有者課税でございます。使用者課税ではもちろんございません。住宅公団の家賃は契約によってきまるものだと思うのでございまして、契約の内容としては、たしかあとで固定資産税がきまれば追加してもらうのだ、こういうことを契約しておったように思います。そのやり方が中井さんが御指摘になりましたように、まずかったと言えると思いますし、私も同じような気持を持っておりますが、ただそこは住宅公団の善意も買ってあげる必要があるのじゃないだろうか、こういうことを申し上げたのでございます。
  74. 中井徳次郎

    ○中井委員 最後ですが、その契約の内容を見ますと、たとえば全額だとちっとも書いてない。公課その他かかったら何すると書いてある。今の形では全額以上なんてわからないのだ、全額以上とるかもしれぬ、そういう計算は個々の人にはわからないのです。たとえばふろもあれば、廊下もあるし、庭園もある、どういうことになるか、わけがわからない。悪く解釈すれば、公団は全体として考えておる。しかし個々の住宅居住者にとっては、僕のところはふろ場はないのだ、僕のところはどうだというふうなことになって、なかなかそれは納得しにくいのです。そういうふうなことも十分公団の方に固定資産税をおとりになる府県市町村の代表という形で、皆さんから御懇談が願いたい、これを申し上げておる。
  75. 加藤精三

    加藤(精)委員 固定資産税に類する国有資産等所在市町村の交付金の問題ですね。それを予想してまだ課税も行われないのに、家賃の中に入れるのはけしからぬというお話でございますが、われわれ貧乏人は年の暮れにどっと固定資産税相当額のようなものを一ぺんにかけられたら大へんな目にあいますので、そういうところを予想して、貧乏人の払いやすいようにやってくれるので、そこをそう皮肉に考えなくてもいいのじゃないか。ことに固定資産税は年税ですから、技術士のこととか、それが個人の経済で金の払いいいように配慮してやるとか、そういうようなことを万般考えて御議論を進めて下さるのがほんとうじゃないかと思いますので、あまり皮肉にものをお考えなさらないようにしていただきたいと思う。少くとも委員会全体がそういうことを考えていたということだけは、ごかんべん願いたいのでございます。  それからなお理事から何か時間を切り詰めろという御注意がありましたので申し上げますが、私が本日聞きたいところを二、三申し上げますから、なるべく近い機会にもう一回地方行政委員会をお開き願いたい。と申しますのは、大体二十九年度赤字対象として、再建整備法が発動して再建債というものをやっているのですが、自治庁が地方財政が非常に好転した、好転したとばかりいわれるのは、僕は実にかんにさわっておもしろくなくて何ともならない。実際非常に財政の悪い地方団体というものは相当の数あるのでして、そうして万事われわれは地方住民に対してできるだけよきサービスを地方団体にさせたいのですけれども、させることができないのが実況なんで、それはなかなか政府の方にはわからない点があるのです。そういうことから考えますと、地方財政が好転したという言葉はあまり使わないでもらいたいのです。非常に悪いけれども、二、三%方よくなったとかいう言葉を使うのはよいのです。そういうことから見まして、二十九年度赤字を出したところに再建整備を認めるというのを、法律を改正して三十一年度の決算の結果赤字がまだ相当あるものは、再建整備の対象にして下さることを研究していただきたい。それに対してこの次の委員会に何らかの御回答をしていただきたい。それからこの再建整備計画改訂をするごとに関連しまして、災害復旧とかその他公共事業等で継続的に数カ年にわたる歳出がある場合があるので、そういう場合は何か国の制度として継続費制度があったならば、大へんいいのじゃないかということをお感じになれば、大蔵省にそういう要求をして下さることが必要じゃないか。それに対してお考えを願いたい。  それから第三番目に、翌年度に対しての歳入の留保ということを言うておられますけれども、その考え方は予算の一年主義から見まして正しくないのじゃないか。翌年度歳入に充てるために現年度歳入を留保しておくという考え方は、予算の年度主義から見て正しくないのじゃないか。これはお改めになった方がいいのじゃないかと思うのでありますが、その点についての御見解を、この次の地方行政委員会でお聞かせ下さいますように。と申しますのは精一ぱいむだづかいを排除し、必要なところに経費を使うべきであって、その結果剰余金があるというのは、年度歳出年度の確実なる収入によって支弁していくのが地方自治体の態度であり、地方自治体の自由だと思うのです。それに別な考え方を持つことは、少くとも現在の地方制度では許されていない態度ではないかと思いますので、その点について御反省をいただきたいと思うのでございます。  それから、現在の地方交付税制度について、いわゆる補正の問題です。非常に複雑な補正の仕方をしておられると思うのでございますが、この補正は、地方交付税の交付額の決定というようなことが非常に複雑な事務でもあり、とっさの間に決定することが多いので、国会の論議にあまり上ったことがないのでございますので、これは将来の立法の参考に、三十二年度地方交付税の決定に当っての補正の仕方につきまして、十分国会の方にものぞかしてもらいたい。そうして、こういう補正の改正をやれば結果においてはこういうふうになるという詳細な資料と、それに対する文章の叙述を付して提出していただきたい。これだけのことを申し上げまして、次の地方行政委員会のすみやかなる開会を要求いたしまして、理事の命令に従いまして私の質問を終ります。
  76. 門司亮

    門司委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。次会は公報で御通知を申し上げます。    午後二時二分散会