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田中国務大臣 お言葉の最初にございました住民に対して割当強制徴収を禁止するという法律の条文は、ただ一条条文があるわけでございます。一体寄付の行き方が、
団体と
団体間、あるいは自治体と民間
団体との間において寄付の協力をし合うということの
負担が、どの
程度にまでなっておるかということについて、目下
自治庁で調査をやらしておるわけでございます。この間発言をいたしまして以後、これに対して調査をいたしておるわけでございますが、どういう実態になっておるか、驚くべき金額に上っておるのではないかというただいまの
見通しでございます。やがてこれは詳細にわたりましたならば、ここに御報告を申し上げたいと存じます。こういう
団体と
団体間の寄付協力、その
団体から
地方民間
団体に対する寄付協力、その自治体から申しますと、国内の他の
団体に対するか、あるいは民間の
団体に対するか、とにかく自治体の会計から金が出る方の寄付でございます。そういう
意味の寄付に対しては、これは法律をもって断固禁止する道がある。あるいは消防協会とか何々協会とか、ここで一々名前をあげることは御迷惑と存じますが、その協会に協力と称して、どこそこの市において盛大な宴会を開いて、そこで
会議をする。旅費、日当から一切のものが割当金から出ておる。これは膨大なものに上るのではないかという
見通しでございます。こういうものはいやしくもこれから先の自治体の出納経理というものは、これを明瞭にすることによりまして、住民から徴収をいたしました血税の使途は
予算に計上して明瞭なものにする、そうしてそういう方向に金町いやしくも出すべきものではない、こういう見解に立ちまして、腹をきめますための材料として、その実態をつかむために目下勢力をしつつあるという事情でございます。相当な
資料がまとまり次第御報告を申し上げたいと存じます。
それからもう
一つの問題は、大へんむずかしい問題でございますが、今度は逆に民間が
地方自治体に対して寄付をする。たとえば中小学校の義務教育
関係の学校建築施設をする。その費用の半分なり三分の一というものが何百万、何千万という金額になりますが、その何百万、何千万という金額を住民に事実上割当以上の強制的な徴収ということにしないと、実際は小さい地域でそういう膨大な金は集まらぬわけでございます。それが事実上白昼公然と行われておる。これは税金は払わないで待ってくれといって、差し押えをしてもらう道もある。ところが実際この種の寄付は町内の顔役から言われると、税金以上の税金としてこれを出さなければならぬという苦痛な
負担となっておるということが、その実態でございます。その
地方々々によりますが、いずれにいたしましても、こういう慣行が一行われておる。あるいは今度は民間から
地方自治体に対するものでなしに、民間から民間の符付というものがある。たとえばお寺であるとか、神社であるとか、仏閣であるとか、お祭のたびごとにいろいろな寄付を行わしめるという
ようなものを、いかに規制すべきかということでございますが、この問題は憲法の条項にも抵触する点がいささかあろうかと存じます。自分の財産を自分が好んで処分をする、そうしてこれを自治体に寄付をする、あるいは民間のお寺であるとか仏閣であるとかいうところに寄付をする、あるいは記念物の史跡保存をするために経費を集める、こういうことから、自己の財産を自己が処分するということまで禁止することができるかどうか、こういう問題が多少あろうと存じます。この点は慎重にやりませんと、声をあげてみてつまずいたということでは、どうも
政府の立案といたしましてはまずいことになると
考えまして、この点に特に神経を使って、目下私もやや
考えを持ちまして調べておるわけでございますが、こういう点は法律上絶対禁止の規定は設けかねることであろうかと存じますけれども、その場合は都道
府県、市町村と申しますか、知事なら知事、あるいは五大都市にとっては知事と同様に市長なら市長、それ以外の
一般のものについては知事ということにいたしまして、知事及び市長の許可を受けなければ、民間相互間においての寄付も許されない。すべて許可制にする。そしてその許可の基準は、いずれもその
地方自治体の
地方議会の議決を経たる条例によって厳格にこれをきめる、こういうふうなことをしまして、これには慎重に罰則をつける。出す方はどうかということになりますが、とった方には罰則をつけるという
ような
方針をとって規制いたしますならば、これは寄付規制の効果が上るのではなかろうか。
団体相互間の出す寄付というものは禁止し得る。それから今度は民間から
団体に出したり、民間から民間に出したりする
ような寄付につきましては、この規制の道は今言った
ような方法で許可制にする。そういう許可制にしなければならぬという法律を作ることはできるのではなかろうか。これはまだはっきりした結論に達しておりませんが、いずれにしても租税以上の強制的な
意味を自然に心理的作用において持たしておるという
ような、いやな
意味の寄付は全国から根絶したい。根絶という言葉は大へんむずかしいのでありますが、ことに民間の場合にむずかしいわけでございますが、これを根絶したい。それは非常に慎重に条例の基準を作りまして、これを
自治庁から示達するといった
ような方法で行います場合においては、よほどのことでない限りは寄付は許されぬぞという認識を与え、あらかじめ許可なくして金を集めた者は非常に厳重な刑罰に処する、こういう
方針によって何とかしてこの寄付を根絶することに、
一つ法制的に力こぶを入れていきたいというふうに
考えて、目下準備中でございます。