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1957-04-02 第26回国会 衆議院 地方行政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二日(火曜日)     午前十一時二十一分開議  出席委員    委員長 門司 亮君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 中井徳次郎君       青木  正君    川崎末五郎君       櫻内 義雄君    丹羽 兵助君       古井 喜實君    渡邊 良夫君       伊藤卯四郎君    今村  等君       北山 愛郎君  出席国務大臣        国 務 大 臣 大久保留次郎君  出席政府委員         国家消防本部長 鈴木 琢二君         自治政務次官  加藤 精三君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奥野 誠亮君         大蔵政務次官  足立 篤郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (理財局地方         資金課長)   堀口 定義君         大蔵事務官         (主計官)   相沢 英之君         専  門  員 円地与四松君     ————————————— 三月三十一日  纐纈彌三君辞任につき、その補欠として小西寅  松君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小西寅松辞任につき、その補欠として纐  纈彌三君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十七日  消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部  を改正する法律案内閣提出第一二三号) 四月一日  地方公共団体臨時職員身分確立に関する請願  (赤澤正道紹介)(第二五四六号)  同(古井喜實紹介)(第二六二六号)  所得税減税に伴う地方財源減収補てんに関す  る請願山下榮二紹介)(第二五七二号)  地方公務員法等の一部を改正する法律案反対に  関する請願外二件(平田ヒデ紹介)(第二六  〇一号)  同(平田ヒデ紹介)(第二六二七号)  昭和三十二年度地方財政に対する政府施策の修  正に関する請願植原悦二郎紹介)(第二六  二五号)  旧絹村南部地区の結城市に分村合併反対に関す  る請願小平久雄紹介)(第二六五一号)  行政書士法の一部改正に関する請願林博君紹  介)(第二六五二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員及び小委員長補欠選任  地方財政法及び地方財政再建促進特  別措置法の一部を改正する法律案内閣提出第  一〇七号)  消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部  を改正する法律案内閣提出第一二三号)  地方自治及び地方財政に関する件     —————————————
  2. 門司亮

    門司委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りをいたしますが、警察及び消防に関する小委員長渡海元三郎君の委員辞任に伴いまして、小委員長欠員となっておりますので、その補欠として、唐澤俊樹君を右小委員長指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 門司亮

    門司委員長 御異議のないものと認めまして、唐澤俊樹君を警察及び消防に関する小委員長指名いたします。  なおお諮りを申し上げますが、今村等君の委員辞任に伴い、警察及び消防に関する小委員が一名欠員となっておりましたが、今村等君が再び本委員になられましたので、同君を警察及び消防に関する小委員指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 門司亮

    門司委員長 御異議のないものと認めまして、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 門司亮

    門司委員長 次に、去る三月二十七日本委員会に付託になりました、消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案を議題といたしまして、政府より趣旨説明を求めます。大久保国務大臣
  6. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 今回提案いたしました消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げたいと存じます。  消防団員等公務災害補償責任共済基金法は、第二十四回国会において成立いたし、昭和三十一年五月二十一日法律第百七号として公布され、昭和三十一年十一月二十日から施行されたものであります。また同日付をもって消防団員等公務災害補償責任共済基金も成立したのでありますが、この基金法審議の過程におきまして、水防団員等に関しても本法と同様の措置をすみやかに講ずることとの附帯決議が行われ、また強い意見が述べられたのであります。  御承知のように、この基金法は、非常勤消防団員及び消防作業に協力援助した者に対する措置について規定しているのでありますが、政府といたしましては、右の経緯にかんがみ、水防団員等に対する損害補償現状を検討いたしました結果、非常勤水防団長もしくは水防団員または水防に協力援助した者についても、非常勤消防団員等と同様に、この基金において市町村その他の水防管理団体支払い責任を共済することとすることが、非常勤水防団員等損害補償確立のために最も適切な措置であると考えましたので、今回、消防団員等公務災害補償責任共済基金法の一部を改正する法律案として、ここに提案いたした次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さらんことを切望する次第でございます。
  7. 門司亮

    門司委員長 なお、本案につきましては、鈴木国家消防本部長より補足説明のため発言を求められておりますので、これを許します。鈴木国家消防本部長
  8. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 ただいま提案理由説明のありました本法律案の内容につきまして、御説明を申し上げます。  この法律案は、提案理由説明において述べられました通り非常勤水防団長もしくは水防団員または水防に従事した者にかかる損害補償に関する市町村その他の水防管理団体支払い責任を、消防団員等公務災害補償責任共済基金において共済するために提出したものでありますが、これを項目に分けて御説明いたしますと、次の通りであります。  第一に、この法律趣旨を改めまして、消防団員等公務災害補償対象となる者を拡張して、従来の非常勤消防団員及び消防作業に従事した者のほかに、非常勤水防団長または水防団員及び水防に従事した者を加えたことであります。  第二に、補償責任の主体を水防管理団体にも拡張いたしましたので、所要の個所において、「市町村」の下に「又は水害予防組合」を加えたことであります。  第三に、基金理事水害予防組合管理者を加える趣旨におきまして、理事を十一人以内としたことであります。  第四に、基金水防管理団体との相互の権利義務関連づけるため、所要改正をしたことであります。  第五に、内閣総理大臣は、水防管理団体を管轄する建設大臣に対して、基金運営に関する基本事項につきまして、あらかじめ、協議をすることとしたことであります。  第六に、附則におきまして、基金との間にすでに契約を締結している市町村については、非常勤水防団員等にかかる分としての契約を新たに締結することを要しないこととするために必要な規定を加え、その他必要な経過措置規定したことであります。  第七に、基金の発する証書、帳簿に対する印紙税を免除する規定を加えたことであります。  第八に、非常勤水防団員等補償を的確かつ均一にするため、水防法の一部を改正して、補償を政令で定める基準によらしめることとしたことであります。  以上、本法律案の主要な点につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。
  9. 門司亮

  10. 亀山孝一

    亀山委員 本日は、本国会において初めて大久保国務大臣の本委員会の御出席を得ましたので、この機会に、消防法に関しまして一、二御所見をお伺いしたいと思います。  前国会におきまして、消防本部長より、わが国の火災の多い現状及び消防施設充実等に関する御説明を伺ったのでありますが、本年に入りましてから見ますと、火災は依然として減少していない。ことに、昨夜の明治座火災のようなああいう大建築火災、あるいは学校火災、あるいは公衙と申しますか市町村関係建築物等におきます火災相当に多いのじゃないか、かように思われるわけであります。これらの消防対策を、その後においてどういうふうに努めておられるか、これをまずお伺いしたいと思います。  第二には、これはもう前国会でも御質問申し上げたのでありますが、防火担当者というものを麗々しくきめてありながら、どうもその実効が上らぬ。防火担当者というのは単なる表示にすぎないものであって、これらの防火担当者責任と申しますか、仕事というものが、火災が起った場合にどうもわれわれにははっきり了解できない。ことに学校火災の場合において、宿直教職員と申しますか、これらの人々の防火に対する職責というか、職務がどうも明定されていないんじゃないかということを伺いましたが、これがその後どうなりましたか、その点も一つお伺いしたい。  それから、伺えば最近火災報知機いたずら、あるいは郵便ポストいたずら等相当にありまして、少からず迷惑をこうむっておるのであります。これらに対してどういう対策をお持ちであるか、この三点につきまして大久保国務大臣及び消防本部長からの御所見をお伺いしたいと思うのであります。
  11. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 近ごろ火災がだんだん多くなりまして、一カ年を調べてみますと、三十一年度の統計はおそらく三万件以上になると思います。年々約一〇%内外ずつ増加しておる、これはまことに困ったことであると存じます。その原因について考えてみますと、一つ日本人口の急激な増加であると思います。御承知通り、一億近くになりつつあるこの人口増加、これが原因一つであると考えております。もう一つ防火思想普及徹底が足りない、これは私ども責任でありますけれども、もう少し力を入れて防火思想普及徹底をはかったらどうであろう、これが一つであります。もう一つ化学工業発達であります。これに伴ってやはりどうしても火事が多くなる。ことに工場等火災が比較的多いのであります。これは統計の上にはっきり表われております。こういうのを見ますと、工業発達がやはり一つ原因ではないだろうか、こういういろいろの点から考えまして、私どもはその原因を再三考究の上に妥当な方策を立てて、なお一そう消防に力を入れなくちゃならないと考えております。  なおその次の責任者の問題であります。これは御指摘の通りであります。ほんとうをいえば役所においても民間においても、ややもすると看板だけになってしまっておる傾きがあります。これはちょうど質問の出ました機会を利用して、その責任を重んずるように一そう努力いたしたいと存じます。  火災報知機についてのいたずら、これもまことに困ったことであります。これは私どもばかりでなく、文部省その他の教育方面と一そう力を合してこの防止に努力しなければならぬと存じます。
  12. 亀山孝一

    亀山委員 非常に明快な御答弁をいただきまして了承いたしましたが、今お言葉のうちにありました防火思想普及ということ、これは特に大久保大臣におかれましても一つ力を入れて大いに実行をされるようにお願いしたいと思うのでございまして、今お話のありました各防火担当者責任を大いに自覚してもらって、これらの実効の上るように持っていくという問題につきましても、やはり防火思想宣伝普及ということが何より大事だと思う。従来の消防週間を見ておりまして、何かお祭騒ぎみたいなことはありますけれども、もう少し防火思想及び防火施設に対する注意の喚起を強くおやりになる必要があるのではないか、私どもはかように思われる。この際鈴木本部長からそういう点について、もう少し御抱負をお聞きしたいと思います。
  13. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 防火思想普及の問題でございますが、かねてから私どももこの防火思想ほんとう末端へまでの徹底ということに非常に苦慮いたしておるのでございます。最近の火災の実際の発生状況を見ますと、どちらかといいますとまだラジオも備えつけていない、あるいは新聞も満足に見ないという生活をしておるようなところから火が出ることが、非常に多いように思われるのでございます。そういったところまで、つまり末端に至るまで防火思想徹底するようにということを非常に努力いたしておるのでありますがちょうど二月末から三月の上旬にかけまして春の火災予防週間として二週間やったのでありますが、この際にも最近の火災発生状況から見て、そういう面に十分力を入れなければいけないということを、府県を通じて各市町村消防責任者徹底いたしまして、末端に至るまで防火思想徹底するように努力いたしておるような次第でございます。またそういう防火週間等機会におきましては、単に今お話がありましたようなお祭騒ぎでなしに、消防機関実地訓練をやって、まさかの場合にすぐ役立つような実際上の訓練をするということに重点を置くこと。それから先ほどお話のありました学校とか工場あるいは興行場とか危険物貯蔵所とかいったようなところには、それぞれ防火責任者をきめて定時的に訓練をすることが消防法で義務づけられておりますので、これらにつきましてもそういった防火週間機会消防指導をいたしまして、実際の訓練をいたすように指導いたして、防火思想普及徹底に努力いたしておる次第でございます。
  14. 亀山孝一

    亀山委員 今伺うと、防火担当者にある程度の訓練をしておられるということでありますが、しからばそういう訓練状況消防当局で時々視察でもしておられるかどうか。そういう点の考慮を十分払われたらいいのではないか、私はかように思わざるを得ない。  最後に幸い自治庁財政部長もおられますが、現在国家補助でやる学校とかその他のいろいろな施設に対して、木造建築よりもいわゆる防火建築の方に重点を置いて、この方にこれらの補助対象の主力をそそぐというような御方針がとれないかどうかいろいろ安くつくというので、ついつい木造建築の方によりやすいのが人情でありますが、こういう防火建築については補助及びこれらに対する援助も格別に御配慮を願うようにして、耐火構造というものを奨励してはどうか、かように思うのでありますが、この点一つ大久保大臣及び財政部長から御所見をお伺いしたいと思います。
  15. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 ただいま防火建築の問題が出ましたが、ちょうど東京日本橋においても現在防火建築組合を作って、徹底的に防火建築に作り直そうじゃないかという計画が進んでいるのです。政府においても多少補助するということもきまったように聞いております。こういう設備が全国普及徹底したならば非常にいいことだろう。東京日本橋の中央だけでなく、地方都会中心部にもこういう建築ができることはいいことだろうと思います。私どもできるだけそういう方向に努力したいと存じます。
  16. 小林與三次

    小林(與)政府委員 学校だけでなしに、庁舎等の建物につきましても、私どもとしてはできるだけ鉄筋の方に力を注ぐ、こういう考え方でおりますが、もと文部省補助できまっておりまして、補助では防火地帯とか、準防火地帯というものは当然そういう前提になっておりますが、それ以外の地帯につきましては、必ずしも鉄筋前提にしておりません。これはわれわれの立場からいえば、むしろ逆に持っていきたい。特に起債の詮議に当りましても、むしろその方針を強く打ち出すべきではないか、少くとも市街地帯における学校庁舎くらいは鉄筋か少くとも簡易耐火構造ですか、そういうものに最小限度するようにする必要があるのではないか。本年度の起債方針につきましては、従来の扱いより一歩進めてその方向を打ち出したい。しかしそうすれば起債ワクは減ってしまいまして、その点で非常にまたうるさくなろうと思いますが、作る以上はそういうものをワクがあるのだからあとは待ってもらう、できるだけそういう方向で私の方としても強くやっていきたい、またそういう方向で皆さんの御協力を得たいと思っております。
  17. 門司亮

  18. 中井徳次郎

    中井委員 大久保国務大臣がお見えになりましたので、日本消防の問題について、二、三点この機会にお尋ねしておきたいと思います。先ほどから亀山委員からいろいろと御意見があり、それにつきまして人口の激増、あるいは化学薬品、その他科学の進歩といいますか、そういうもの、さらにまた教育の不十分というふうな原因をあげられておりますが、私はこういう原因ではやはり相も変らぬ場当りの御答弁じゃないかという気がしながら実は承わっておったのであります。特に第三の教育でありますが、私は防火思想普及徹底、けっこうだと思いますが、十分実はやっておると思う。十分やっておっても火事が防げないところに私は日本特殊事情があるのではないかと考えております。もう限界がきておるのではないか、教育というものには私はやはり一定の限界があろうと思います。それで十分だということはないではありましょうけれども、現実は客観的にこういうものは政府としては冷静に御判断がいただきたい。世界中を見ましても、冬になって子供が拍子木をたたいて「マッチ一本火事もと」などと言うて歩いているようなところはございません。にもかかわらず火事が減らないのは結局私は耐火建築の問題だろう思う。これは賢明なる大臣もよく御存じだと思いますが、ロンドンにいたしましてもどこにいたしましても、先進国火事がなくなりましたのは、やはり耐火建築になってからのことであります。そういう面からいいますと、またあるいは現在の全国及び世界の火災統計なんか見ますと、これは私正確に覚えておりませんが、たとえばアメリカにおきましては、発火件数日本の十倍である。ところが災害日本の百分の一というふうなことは、そのことをまさしく示しておるのでありまして、政府とされましてはもうこの段階に来たら、相当強力な法的措置をいたしまして、そうして強力に耐火建築の奨励をする、あるいはその違反については相当な罰則をやって、そうして公共施設を守って、国民生活をもう少し安定さす、毎年々々建築をする住宅の何分の一かは焼けてしまうというような全くさいの川原に石積みするというような状態を続けておるのは、一応政府の怠慢であるのじゃないかと思うのです。もっともこれは石橋内閣ができ、岸内閣ができまして間がありませんから、今日大久保さん自体を責めるわけではありませんが、もうその時期が来ておるのじゃないか、こういうように思います。今日本橋の例を承わりましたが、そういうことを政府がなさることは実際措置としてはけっこうなことでありますからというて、表彰状を与える、あるいは多少の経済的な援助をする、あるいは資金の融通をするというふうなことでは追っつかないのじゃないか、もっと強力な措置をすべき時期に来ておるのではないか、こういうふうに私は考えておるのでありまするが、政府においてそういう意思がおありであるかどうか。この第一点をまず伺っておきたい。
  19. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 ただいまお尋ねのありました防火思想限界が来ておる。見ようによっては限界が来たとも見えますけれども防火思想といってもなかなか近ごろ世の中が進歩して、あるいは機械のこと、あるいは建築のこと、薬品のこと、ことに薬品あたりのことになると、私らにもむずかしくてわからぬような薬品があるのです。こういうふうなものについて、やはり防火思想宣伝徹底ということは、ある程度まで限界が来たにせよ、まだ必要じゃないか、こういう考えを持っております。なお建築物によって統制しろ、あるいは場合によっては法制を作ってやれ、これは非常にけっこうです。私も賛成です。現に東京消防あたりでは、建築物を作る場合においては、消防の方へ一応会議して作るということまでいって、消防がある程度の干渉の機会を作っておるようであります。これは大賛成です。ただ予算の面においてこれを断行するのには、非常な難関が伴うというだけでありまして、方向としてはほんとう賛成であります。
  20. 中井徳次郎

    中井委員 予算の面で難関があるというふうなことは、具体的にどういうことになって参りますか。私その点はどうもよくわからない。それから今申しましたように合議するということは、これは数年前から法律でちゃんときまっておりますので、合議しておる。あなたは御存じないだけであって、そういうことではいけない。もう少し強力な法的措置が必要ではないか、こういうふうに私はお伺いをいたしておるのでありますが、どうですか。
  21. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 もちろん費用のかからぬ範囲においての防火の方法を講ずる。建築についての制限は必要である、それはけっこうな話であります。これはすでに建設省においても連絡をとって、その方向に進んでおります。なおまた住宅公団にせよ、最近のできます住宅公団防火という思想を十分取り入れて作るようになってはおります。おりますが、これでもって私は十分とは感じておりません。その方向にもう一そう力を入れた方がいいと思って考えております。
  22. 中井徳次郎

    中井委員 この問題で特にもう一点申し上げておきたいのは、あなたのおっしゃるようにいろいろと大都市においては、施設その他の面においてはあるいは消防施設において一応充実をしておりまするから、この方はあまり大火というものはございません。従いまして最近数年来の日本大火といえば全部中小都市であります。特に北陸から東北にかけまして、特殊な気候風土関係から非常に多いのであります。こういう面についての御指導について何か格別の御判断をなさっておるか、さらにまたもう一つ念を押しておきまするが、予算関係々々とおっしゃるが、直接国費をもってやるというふうな面においては、使われる金額としては多くはないのじゃないかというふうな考え方もいたしております。この問題はいつも大火があるごとに議論はしますが、済みますると、のど元過ぎれば熱さを忘れるというわけで、いつの間にやら放置されておる。そういうものから関連いたしまして、私は多少飛躍的かもしらぬが、大体国家消防本部というものは、今公安委員会の中に入っています。公安委員会の中に入っておりますが、これでいいとお考えでありますか。消防関係は自然に対する防災であるから、人為的な警察と同じように公安委員会の中に入れておく、ということも一つ考え方でございましょう、でございますが、今の御回答でもありまするように、予算との関係、特に建設省、あるいはまた水道関係ということになりますと厚生省あたりと非常な関連を打ってくる。さらにまた火災保険会社等につきましても、これからお尋ねしたいと思うのでありますが、相当関係があるようでありますが、どうもその辺のところの関連が、今の消防本部の姿においては強力に推進されるのかどうか。どうも過去四、五年の体験から見まして、私ども多少危ぶまざるを得ないのでありますが、この点についての大臣の率直な見解を私は聞かしていただきたいと思います。
  23. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 御承知通り、まあ大都会消防はやや整っております。けれども、大都会を離れて一歩地方に行ってみますと、町村の消防というものは大体貧弱であります。大体一カ年における地方消防はどのくらい金がかかるかと計算してみますと、約二百億かかる。そこで消防本部の立てた十カ年計画というものがあります。この消防をもう少しよくしようというので、特に地方消防に目をつけて、この改善をはかろうとして十カ年計画、金は約四百五十億、五百億近い金が要るというのです。ところが現在地方の使っておる消防費というものは、一カ年二百億です。だから五百億円の金をどうしてやるか、これについてはどうしても国家補助が要るというので、国家補助をある程度願っておるわけであります。ところが国家補助といっても二億円ないし三億円、ことしはもう少し増して四億円にしてもらった。四億円になったといっても、四千近い市町村に分配したら実に小さな金です。これではなかなかむずかしいんじゃないだろうかという感じを持っておりますが、しかしやらぬよりやはりやった方がいいと思いますので、これは努力してもう少し金額を増して、消防の機械あるいは貯水装置あるいは通信というものの改善をはかっていかなければならぬ、こう思っておるのであります。  なお地方の、特に北陸から東北地方日本海に面した方に火事が多いのですが、これはいろいろの原因がありましょうけれども一つ気候風土のせいじゃないかと思いますが、これについての対策消防研究所というのがあります、ここにおいて対策を今立てておりますから、おそらくそのうちには具体案が出るのではないかと思います。  もう一つ消防機構の問題、これは今日の消防機構というものは、警察に比べて実に手足のない機構です。全く仏様がただあぐらをかいているというような感じで、府県市町村に対して何らの支配権、指示権がない。そのために思い切った仕事もできなければ指示もできぬ。あるいはさっき質問がありましたが、人をつかわして指導するというような機会もほとんどない。そこでこれをどうすべきかという問題が起っておりますので、ちょうど今回消防問題に関する審議会を作りまして、二、三日前のことでありますが、そのメンバーとして経験ある人約二十名ばかりの委員を選んで、徹底的に研究してみようじゃないか、制度の問題、補助の問題、その他全部ひっくるめて一つ研究してみようじゃないか、そうして長くやったらまただらけてしまうから、少くとも九月までには一応のめどをつけるように、この審議会をやろうじゃないかということになっております。これには消防に関する学者も入っております、経験者も入っております、地方の代表者も入っております。これにおいて徹底的に議論をして案を作っていきたい、こう思って今立案しております。さっき申したように、この九月までには一応のめどがつくのではないかと考えております。
  24. 中井徳次郎

    中井委員 大臣は参議院の内閣委員会の方へ行かれるようでありますから——私は今のような御答弁を伺うといろいろお尋ねしたいことが多いのであります、特に予算がたった二億円が四億円になった損害を考えると警察の比でないにもかかわりませず、いまだにその程度の国の関心ではとうてい私は日本全国的な大問題である消防問題に対する対策というものは立たないと思う。むしろそういうことならば自治庁の方にでも移管したらどうか、あるいはほかの面の独立した機関に移したらどうかと思いますが、きょうは時間がありませんからこの程度にいたします。  次に消防の今のあり方と日本火災保険会社との関連でありますが、この問題もこの次に一つお尋ねすることにして保留をしておきます。
  25. 門司亮

    門司委員長 それでは本案に対する質疑は他日に譲ることにいたしまして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 門司亮

    門司委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  27. 門司亮

    門司委員長 次に地方財政法及び地方財政再建促進特措置法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行いたいと思います。亀山君。
  28. 亀山孝一

    亀山委員 まずお伺いしたいと思いますことは、本法によりまして国費地方費の負担の区分に関する規定がされておりますが、現実は必ずしもこの規定通りに行われていないのではないか、かように考えるのでありまして、もっと根本的に法律規正を行うべきものではないかと考えますが、これについての御意見をお伺いしたいと思います。
  29. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今お尋ねの財政法で一応国費、地方費の負担区分があるが、個々の経費につきましてははっきりしておらぬものがあるのではないかということでございますが、これはわれわれといたしましても地方財政の立場から、国費と地方費の負担関係を明確にしたいというのが基本的な考え方で、毎年予算の編成の際とか法律制定の際には、そういう趣旨でいろいろ各省とも論議をしておるわけでございます。われわれの目から見ればなお必ずしもはっきりしない、あるいは規定の仕方からいっても予算措置からいってでも必ずしも十分でないというようなものがあるのは、率直に申しまして事実だと思います。こういうものにつきましてはできるだけ筋の立つように、制度の上におきましても、財政上の措置につきましてもさらに力をいたしまして、機会あるごとにこれを是正させていきたいという考えでおります。
  30. 亀山孝一

    亀山委員 今のような御答弁だというと、いろいろ国費と地方費との負担区分に関する規定が明瞭でないということで、これは十分研究しておられることと思うのでありますが、あるいははこの国会には間に合わないかもしれぬが、次の国会にでもそれをはっきりとされる御意向がありますか。
  31. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは財政法全般の問題であるとともに、それ以上に個々の法律のきめ方に問題が多いのでございまして、すべての問題を財政法でカバーするわけに参りません。財政法では考え方の基本を明らかにしておりますので、結局個々の法律によって経費がきまるのでありまして、その法律を是正させるよりしようがない、たとえば国民健康保険の問題なれば国民健康保険法で政府の負担区分と地方のものとはっきりさせる、こういうことになりまして、われわれといたしましては法律制定、予算折衝の際に個別的にはっきりさせていくという考え方充実させていきたい、なお財政法の上におきましても規定の点で検討すべき点はまた検討していきたいと存じております。
  32. 亀山孝一

    亀山委員 なるべく早く一つ検討せられまして、次の国会にはできる限り提案されるように希望申し上げておきます。  次に本法の第六条の、改正案で政令できめるものというのがありますが、これは一体どういうものを予定でありますか。
  33. 小林與三次

    小林(與)政府委員 第六条に新しく入れまして、公営企業とは申しませんが、主として独立採算を建前にして特別会計でやっていく、こういうものにつきましては屠場とか簡易水道とか、あるいは埋立事業、そういうものを今考えておるのでございます。
  34. 亀山孝一

    亀山委員 大体了承しました。  次に先ほど御質問申し上げた国と地方との負担区分の問題と同様に、道府県と市町村との間においてもその負担区分がどうも明確でなく、あるいは乱れている事例があるように思うのでありますが、これも法律で明瞭に是正すべきであると思うのであります。これはどういうふうにお考えでありますか。
  35. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これも率直に申しましてそういう問題があります。特に都道府県と市町村との間において負担があいまいになっておる。これは大きな問題を申し上げれば、義務教育の職員につきましてても、給与費は当然府県が出すべきでありますが、市町村では従来勤務地手当の差額を支給したりしておるような事例がないわけでもありません。その他ところによっては教員の給与さえも市町村でいろんな形で出しておるというような事例がございますが、こういう問題はやはり筋をはっきり立てる必要があると思います。それにつきましては、一つはやはり府県の財政と市町村の財政の財政上の措置も適正にするという問題も合せて考えなくちゃならぬ問題だろう思います。いずれにいたしましても、非常に不都合に制度を乱しおるものにつきましては、なかなか今の建前では是正が困難かと思いますけれども、あるいは自治法の運用なり何なりである程度やっていきたいと思いますが、もう少し根本的に財政法の上におきましても、その負担関係を明確にすることを考える必要があるのじゃないか。これは今度の改正の場合にも実はだいぶん検討を進めたのでございますが、一面におきまして、そういう財政上の手当と並行してぴしっとやらなければやれないという問題もありまして、今は一応立法化することを見送りましたが、なお本年度中におきましてはその実体も明らかにいたしまして、必要な是正を検討いたしたいと考えております。
  36. 亀山孝一

    亀山委員 先ほど申し上げた国と地方の負担区分の問題に劣らず、道府県と市町村との間の負担の問題というものは重要な問題であることは申すまでもないのでありますが、これがともすれば都道府県と市町村との間の感情の疎隔を来たす面が多々ある。そういう意味から見て、これは非常に急ぐべき問題だと思うのですが、今の御説明によると検討しておられるということですが、何らかの成案は出ておるのですか。その点をお伺いしたいと思います。
  37. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは現行法でも、非常に不都合なものは自治法の二百四十六条の二なり、あるいは教育関係では教育行政の組織及び運営に関する法律の五十二条なりで是正改善を求め得る余地は、私は法律上あろうと思うのであります。しかし運用上は、やはり是正すべきものは是正するように予算編成等でも注意いたしておるのでございます。たとえば国民健康保険の経費負担の問題だって、その事例の一つであります。しかし、現にそれを運用しておるのを立ちどころに割り切ってはかえって行政が動かぬという問題も当然に出てきまして、結局府県、市町村の財源の配分という問題もございますから、一律に形式で直ちに理屈通り割り切るということに私は無理があろうと思うのであります。そこで財政法について、そういう点をはっきりさせたいと思ってだいぶ考えたのでございますが、一応現行の自治法なり何なりでひどいのは是正改善を求めることにして、なお根本的にもう少し実情を明らかにして、明年度当り御相談申し上げたい、こういうふうに考えております。
  38. 亀山孝一

    亀山委員 どうも明年度々々々と言われるが、こういう問題は小さいようですけれども、重要な問題だから、ぜひ明年度には御提案なさるように、希望を申し上げておきます。  次に、やはり議題になっております地方財政再建促進特措置法についての質問を申し上げたいと思うのですが、今財政再建債の最終の数字はどういうふうになっておりますか、その点を御説明願いたいと思います。
  39. 小林與三次

    小林(與)政府委員 最終的には四百二十三億四千万になっております。これで全体を締めくくりまして五百八十八団体、申し入れ団体のうち十が取りやめまして、現在五百八十八団体全部の額がそれでございます。
  40. 亀山孝一

    亀山委員 大体順調なように思いますが、財政再建債の公募分について政府資金の切りかえの規定があるのですが、その実施の状況はどうなっておりますか。
  41. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは今のところは一応公募と政府資金を割りつけて貸しつけただけでございまして、政府資金へ公募債を切りかえるという段取りは進んでおりません。これは個々の団体にいたしましては利子補給がありますから大した問題ではありませんが、政府全体としてみれば当然にその方向に持っていくべき問題と私は思っております。政府資金にゆとりのある限りそういう方向に持っていくことに私は努力いたしたい。そういうことで、まだ話は具体的に進めておりませんが、ちらほらそういう話を持ち出しているところでございます。
  42. 北山愛郎

    ○北山委員 関連。この問題は例の再建法の第十二条の第三項ですか、あの当時非常に議論になった点です。一昨年は実は金融が相当引き締っておって、再建債を公募で引き受けるということが非常に困難であった時代で、たしか当時の大蔵大臣に来てもらって、来年度においてその百五十億を限度にして政府資金の方に振りかえるんだというような——はっきりではなかったけれども、大体そういうような言明をしたはずなんです。ところがその後三十一年度は情勢が変化をして、市中の金融が非常に緩漫になった。従って地方の銀行側においても、再建債を引き受けてもいいようなふうに金に余裕ができた。そういう状態であったから、おそらく三十一年度中にはそれほど問題化しなかったと思うのです。しかし本年になってまた金融情勢が急転をして、むしろ資金運用部の方には金がだぶついているというか、余裕がある。そうして市中の金融は梗塞をしているというような時代になってきたわけであります。従って今亀山委員からお話通りで、この規定を適用すべき実際の必要が非常に急に生れてきたのではないか、こういうふうに考えるので、地方銀行側からこの規定を適用して、政府資金に振りかえてもらいたいという要望があるのかないのか。またないとしても、自治庁としては現在のそういうような事態に応じて大蔵省側に積極的に交渉するという必要があると思うのですから、その点についてそういう申し出があるかないか。また大蔵省に正式に交渉する意思があるかどうか、こういう点を伺っておきたい。
  43. 小林與三次

    小林(與)政府委員 現在までのところ債権者の方から申し出はございません。それは今北山委員から仰せられました通り、われわれも公募債の不利なところは政府資金につけておったのでございますが、従来取引関係のあった金融機関の気持もありまして、ある程度公募債によったのでございます。しかしわれわれといたしましては、当然この規定を働かしてもしかるべし。自治体は利子補給があるからどうでもよろしゅうございますが、全体としてみれば政府資金に借りかえた方がいいのでございまして、大蔵省の内部におきましても、一部そういう意見が出ているわけです。率直に申しまして利子補給する側と金を貸す側と立場が違っておりまして、自治庁といたしましても、むしろそういう機会にこの方向に持っていった方がよかろうという考えは持っております。まだ具体的には正式に折衝はいたしておりませんが、そういう内部の相談はぼつぼつ始めておるところでございます。
  44. 北山愛郎

    ○北山委員 今の問題は自治庁からお話を願うことですが、やはりこの委員会としても大蔵省に来てもらって、はっきり大蔵省側の措置を要求した方がいいと思うのです。そこで委員長、この問題は大蔵省をこの委員会に呼んで、そして委員会から強く要望するというふうな取扱いをしていただきたい。
  45. 門司亮

    門司委員 今実は大蔵省を呼んでおりますが、きょうは大体大蔵大臣以下予定してあるのですが、まだ出てこないのです。今請求していますから、そのうちに来ると思います。
  46. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 それに関連してお聞きしたいのですが、公募債の件については、八分五厘までが利子補給の対象になっておるのですが、現実の場合八分五厘以上の公募債を借りているという再建団体がございますか。そういうふうになると、今その再建団体は困ることになると思うのですが、その点がどうなっているかということが一つ。  それから今のような状態にあるのは、地方団体側から見れば八分五厘までは国から利子補給をもらえるのであるから、政府資金を借りようが、公募債を借りようが財政的には関係がない、利子補給してもらうのだから関係がない。しかもただいまのお話のように、地方銀行としては国から利子補給をしてもらうという安全性を持っておる金なら貸しておきたいという考え方を持って、銀行側としては公募債を継続していきたいというような傾向にあり、大蔵省としても政府資金はほかの方に使いたいのだから、銀行側がそれを貸していきたいということならば、銀行局あたりではやはり公募債を借りられるようなことに銀行を擁護するというような形で、今公募債から政府資金に切りかえすることがおくれているという状態であるのか、その二点です。
  47. 小林與三次

    小林(與)政府委員 現在八分五厘以上で借りているところは全然ございません。大体七分九厘から八分、八分一、二厘、こういうところであります。今手元に資料がございませんが、平均して七分九厘幾らのはずでございます。しかも去年あたりから金利が下っておりまして、安く借りております。  それから今の政府資金の借りかえの問題は、今のところはようやくにして借金をした段取りでございまして、積極的に銀行側から要求はございません。やはり金利の状況考えてどれだけ要求がありますか、どっちかといえば従来の縁故銀行を中心として公募債をつけておりますから、私は積極的に銀行側からそれほど出てくるかといえば疑問だと思っております。むしろ自治庁の立場として積極的に振りかえを考えていくという方向に持っていくことを検討するのが筋じゃないかというふうに存じております。
  48. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 それから国が利子補給するという場合に、いろいろその弊害が考えられたことがあるのですが、利子補給を無限にするというと、地方銀行と府県の側との間においてなれ合いになって、実際の金利よりも多い金利を県が支払うようなことになりはしないか。そうしてその多い部分は政府の利子補給という形において政府が金を出すというようなことになるからして、八分五厘というふうに切ることによって、なれ合いの心配をなくしていこうというようなことが言われたことがありますが、聞いてみると七分九厘から八分でありますから八分五厘まではいっていないということで、なれ合いというようなことで、政府の利子補給があるのだから銀行からは幾ら高く金を借りてもよろしいというような、銀行と再建団体との間において公募団体の利子について非常にゆるやかになっているというような傾向がありますから、一般の公募債と七分九厘、八分というものとの差、一般はもっと安いのか、従って再建債の方は一般の公募債より利子が高くなっているのかどうか、そこの辺をお聞きしたい。
  49. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは利子補給があるから金利が高いというような実情は全然ございません。私どもといたしましては一般公募のレベルをなるべく下げさせようという考え方で、再建債の利子につきましても、大蔵省の協力を得まして、大てい府県が中に入って低利で話をつけておるのでありまして、一般の公募のレベルで問題を扱っております。
  50. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 次にお聞きしたいのは、先ほど政府答弁では、再建債が四百何十億というふうに、四百億をこえた再建債を発行しているように報告があったのですが、再建債は四百億ということになっているのですが、それをこした再建債というのはどういう性質のものですか。
  51. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは当初の計画では、一応の計画額では四百億はお尋ねの通りであります。しかしながら実際の再建団体の借金の状況を実際押えました結果四百二十三億必要でございましたので、必要なだけ再建債をつけてやるのが当りまえで、それだけ許可をしたわけでございます。
  52. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 そこで四百二十三億というのは、実際の場合においては要求があるのはそれよりも多いのですね。それを相当査定している事実があるのではないですか。もし四百億をこして二十数億までこれをやるということになれば、もっと厳格でなく——あるいは申請した団体についても、あるいは金額においても少し厳格過ぎるというような声も聞いているのですが、実際の申請は何億ぐらいになりますか。
  53. 小林與三次

    小林(與)政府委員 ちょっと今実際の申請の額は記憶ございませんが、これは財政再建法で再建債として認められるものは法律上きまっておりますから、当然これにひっかかるものは理屈なしに認めてやる、そういうことで、予定が四百億でございましたが、二十三億もこすという状況でございます。結局法律解釈の問題で、認められるか認められぬかという判断で、あるいは具体的のケースの場合には地元とこっちの考え方が違ったということはあろうと思いますが、いわゆる査定とかそういう考え方でやっているわけでは全然ございません。法律上認むべきものは全部つける、こういう方針でいっております。
  54. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 それからその申請した団体については全部貸し出しは終って、査定も終ったのですか、あるいはまだ手続が残っているのがありますか。
  55. 小林與三次

    小林(與)政府委員 再建計画の承認はもう全部終っております。起債の許可も全部終りました。ただ個々の団体が全部借り入れたかどうかということになれば、最近のものはまだ少し残っていると思います。しかし大半、ほとんど全部に近い九十何%はもちろん現実に現金を入手しておるはずでございます。
  56. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 それから、あれは二十九年の赤字についてやっておりますが、その後三十年の赤字も相当出まして、赤字団体で再建団体になっておらない地方公共団体ですが、そのなっていないものが、三十年度の決算を見ますと、何とかしてこれを再建団体という制度を適用してもらいたいというのがかなりあると思います。法律的には二十九年になっておるからできません。しかもこの精神は、二十九年でやって三十年から赤字を出さない、こういうような方針で財政投資をするということでいっておりますから、その根本的精神からも三十年度において、もう一度これをやるということは精神的にどうかと思いますが、しかしながら赤字団体であって再建団体になっておらないものが、三十年度にまた赤字が出たりしまして、何とかして三十年度の再建債制度を適用してもらいたいという要求もかなりあると思いますが、自治庁に対しては地方からどういうふうな要求がありますか、その実情とそれからその見解をお聞きしておきたいと思います。
  57. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今お話のように再建法で再建団体にならずに、相変らず赤字があって、今になって再建法の適用を受けたい、こういう趣旨考えがあるかという問題ですが、全然ないわけじゃありません。きわめて少いが一、二の地方団体についてはそういう希望を申し述べておるところがあるということは事実でございます。これにつきましてはわれわれの方といたしましてもいろいろ研究をしたのでございますが、一般的な財政上の措置も進んでおりますし、景気も悪くないわけでございますので、再建法の精神もございますし、私はもう一つ実情を見まして、なお今後問題を検討したい。この再建法の改正の場合にも部内でもいろいろ検討いたしましたが、そうずるずるやるということは、再建法の精神に反するということでやめたのでございます。しかし自治庁といたしましては、本年度は要するに再建団体になっていない赤字団体の財政の状況も、もう少し実地に調査いたしまして、そうしてなお必要があるのじゃないかということで、もう一ぺん研究するということで進めたいと思います。
  58. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 次に第十七条ですが、いわゆる再建団体になったものについては、特別に国の補助率の引き上げをすることができるという規定でありますが、それに基いて政令を作りまして、一二〇%の補助を再建団体にはやる、しかし条件として過去の一定の年の公共事業費の七五%の公共事業きりやれない、こういうことを条件として一二〇%の補助をやるという数字になっておりますが、現在の情勢から見ますと、あの政令の七五%というものは必要なくなってくるのじゃないか、地方の財政の状況が好転し、税の自然増収があり、また交付税の増収等もあり、行政水準の確保というようなものがある程度あるので、七五%でそれを押えるという政令を作っても、実際の財源はそれ以上あるというような結果になっておるというふうに私たちは了解しておるのですが、この七五%というものに対して国はどういうふうな現在見解を持っておるか。昨年は実質的に八二、三%まで認めておるようでありますけれども、政令には相変らず七五%ということになっておる。従って三十二年度においては、この政令の七五%というものを全国的にどんな率まで引き上げ得るか、また引き上げようとしておるか、その見解をお聞きしておきたいと思います。
  59. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今われわれの方で至急研究して大蔵省と折衝しておる問題でございまして、一番再建法上大きな問題の一つでございます。われわれの考え方は、要するに再建団体と非再建団体との間に仕事の遂行において差別はしない、こういう考え方でいきたいのでございます。それでございますから、昨年度の考え方も七五%と政令にありますが、一応それにとらわれずに、昨年度の国の補助事業全般を見て、補助事業の流し方を再建団体と非再建団体とに区別しないように扱おうじゃないか、そういうことで割り返しまして、いろいろ計算いたしました結果、大体八五%になりまして、そこを自治庁長官が指定するという扱いで、一応話し合いをつけたのでございます。本年度はさらに国全体の事業が伸びておりますから、大体去年に比較いたしますと一三〇%くらい公共事業が伸びております。そういたしますと、再建団体につきましても、それだけ金の流し方をふやさなくちゃ意味がないという前提で流してございますから、従来の七五%、八五%にこだわるのは筋が通らないことだと思います。そういう意味で新しい基準でこのワクをきめたいという考え方でおります。  それからもう一つは、過去の二十七年、二十八年、二十九年の実積を基礎にするということが一体妥当かどうか、過去の実績は県によりまして非常にチグハグでございます。過去において仕事をやったところもあれば、やっておらぬところもある。やったところにはよけいワクがついて、やらぬところはワクがつかぬということは理屈が合わぬのであります。そこで何か過去の実績もある程度考えなければならぬが、むしろあるべき事業量というものは考えられないか。そういうことでなかなかあるべき事業量というものはございませんが、幸いにして交付税で基準財政需要の算定に一つの技術を用いておりますから、そういう技術を基礎にして、当然再建団体にも考えられ得るという数字を一つ持ち出して、その数字と過去の実績というものをからみ合して、三〇%全体で仕事が伸びれば、非再建団体についてもそれに対応するように補助金を流すべきじゃないか。しかし補助金を流すためには個々の団体の財政力もあるから、それは補助率を引き上げるかわりに、多少は仕事は押えないといけない。そこのところを総額的に見て、非再建団体にいわば損にならぬように、さりとて今まで非再建団体のところにやっておった金をずっと再建団体によけい流すといういわば損にもならず、得にもならずというところで、最大限度まで仕事ができ得るようにしたい、こういうので今技術的に案を作っておりまして、大蔵省と折衝をいたしておるところでございます。もう少し方向がはっきりすれば、きまる前にもう一ぺん委員会の方に御報告申し上げなくてはならぬ、こういうふうに存じております。
  60. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 その七五%の政令は、自治庁においても考えたかもしれませんが、主として大蔵省の圧力によって行われておるというふうに聞いております。今度大蔵省と相談をすることを考えているということでありますが、協議ということでなくて、おそらく大蔵省にお伺いを立てて、まあ大蔵省に陳情、請願するという形で、協議するという態度じゃない、いつも大蔵省の下におって、そして大蔵省がそれを認めなければそれはやれない。やろうとしてもやる力がないというような、弱体の姿において協議をしておるのじゃないかと思うのです。今回の協議は、対等の形において協議し得る態勢にあるのかどうか。
  61. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは御心配なく、対等の立場で協議いたします。御心配要りません。     —————————————
  62. 門司亮

    門司委員長 それでは次に地方自治及び地方財政について調査を進めることにいたします。中井君。
  63. 中井徳次郎

    中井委員 今の問題等に関連があるのですが、三月の会計年度を終りまして四月に入りましたけれども、この間から問題になっております町村合併の問題あるいはその他最近各地区でいろいろと問題が起っておりますようでありますので、私はそれに関連いたしまして二、三のお尋ねをいたしたいと思う次第であります。  第一に、二週間ほど前でありましたか、この委員会で問題になりました例の長野県の県会の問題であります。あれにつきましては、当時政府大臣並びに関係の局長等は、どうもあまり実情を知らないということであります。従って一週間ほど余裕をもらえば調査をして、それから回答するということでございましたが、長野県の議会の事件でありますが、あれにつきまして調査の結果はどのようなことになっておりましたか、ちょっとお尋ねをいたしたいと思います。
  64. 小林與三次

    小林(與)政府委員 その後私の方で調べました結果を御報告申し上げます。大体長野の再建計画の進捗の順序と申しますか、その進み工合とその扱いを御報告申し上げたいと思うのであります。それは三月に入りましてから具体的に相談があったのでございまして、その後三月の上旬に入りましたが向うの方の資料も十分でない、もっと疑義をあかしたいというようなことがありまして、たしか三月六日ころでしたが、そこで資料の要求をいたしまして、県会も休会中だからできるだけ休会明けまでに自治庁としても考え方をきめたい、県の方ももちろんそれを望んでおったわけでございます。そういうことでできるだけ間に合せるように至急資料を整えたいということで、県の方も非常に勉強をせられまして、そうして九日の土曜日に資料を持ってこられたのでございます。それを基礎にいたしまして——それは主として資料は三十一年度の問題が中心でございます。三十一年度の計画変更の扱いをどうするかということを、九日にその資料を基礎にして自治庁の内部で相談をいたしました。これは県の意向も聞かなければいけませんので副知事の意向も聞きまして、大体九日にわれわれが事務的に問題点も一応整理して、その問題点を副知事とも相談し合ったのでございます。しかし事柄ははっきりさせて文書で渡した方がよかろう。そこで文書で扱うためには自治庁等の上司にも相談をしなければいかぬというので、その日は副知事に別れたのであります。それが新聞に九日まで何とかなったということをいろいろいっておる事情でございます。大体問題点はこういうことで考えようということで九日は別れました。そうして十日が日曜日でございまして、十一日に文書にまとめて、それで十一日に長野県財政課長が残っておりまして、財政課長に文書でこれを渡したのでございます。三十一年度と三十二年度の計画につきまして財政再建課長の名前で長野県総務部長あての内輪という形で、三月三十一日三十一年度計画の変更についてと三十二年度計画の変更についてということを、実は流したのであります。そこでその前後からもうすでに地方の新聞ではどういうことが問題かというので、問題点がずっと出ております。それはわれわれも三月十日とか九日あたりの新聞に折衝の問題点が出ておりまして、その問題点が、県の方に渡すとともに新聞社の方でどういう問題点があるのかということがありまして、その日県の方に渡したあとで再建課長の方で新聞記者の質問に応じまして問題の要点を話した、これが事実でございます。そのときはもちろん従来でもそういう扱いにしておりまして、指示通りのことはもちろん話さずに、こういう点とこういう点は従来問題になって新聞にも出ておった問題ですから、その点についての大ざっぱな考えを述べたのでございます。それとともに十一日の本会議で、県の副知事の方から自治庁との問題があった点を報告をしております。そのことは三月十二日の地元の新聞にみな出ております。三十一年度、三十二年度に分けて相当大きな欄で地元の新聞に問題点の要点が全部出ております。知事が説明した問題も出ておるわけでございます。そういうのが事実でございます。ただいま中井委員からお示しのございました新聞は三月十四日の毎日と三月十六日の読売でございますが、その後の模様は御承知通り三月十三日に議会で予算の組みかえの決議があって、十五日に予算を再提出、こういう段取りになっておるということでございます。その前にもうすでに十二日に問題の全貌が地方の新聞で明らかになっておる、こういうのが真相でございます。私の方から特別に党の方で先に漏らしたのではないかというような予測記事でございますが、こういうようなことはもちろん全然ございません。事務当局を全部調べましたが、もちろんそういうことをしておるというものはございません。党の方から県の方にどういう連絡があったのか、それはわれわれの方も承知いたしておりません。それが自治庁といたしまして関係しておった手続の大体全貌でございます。
  65. 中井徳次郎

    中井委員 今の話を聞きますと一応もっともなようでありますが、そういうことでありますならば、どうして十四日、十五日になって県会でそういう大きな問題として新聞等で取り上げられたのか、こういうことに私はなってくると思うのであります。十四日の予測記事とありますが、そこには自由党の本部から指令があったということがはっきりと載っております。従いまして私は今の説明ではとうてい満足ができません。新聞記者に話したのは、あなたの今の説明にもありましたが、要点だけを話した。ところがその記事に出ておりますのは、具体的にこまかくあなた方の指令とほとんど同じものが詳細にわたって出ているのであります。ここに問題があるのでありまして、話を漏らしたのはだれであるかはわかりませんというようなことでありますが、だれか漏らしたことでなければ火のないところに煙は立たぬ、こういうふうに考えているのでありますが、そういう事務的なところだけをお調べになって、そこに政務次官おられますが、もっと政治的な発言においての皆さんの動きはどんなものであったか、その点を一つ重ねて私は伺っておきたいと思います。
  66. 小林與三次

    小林(與)政府委員 その問題につきましては、政務次官もこの再建計画の問題に一々タッチしておられるわけではございません。おそらく全然御存じないと思います。それから新聞に出ておりますのは要点でございますけれども相当大きなこれだけのものが十二日にもう出ております。それから知事の説明相当こまかい問題が出ておりまして、問題点はもう新聞発表では全部明らかになっているのでございます。それが十一日の午後県にこちらの内翰を渡したあとの問題が十二日の新聞に出ているわけです。県の方ではたしか十三日に組みかえの決議があったはずでございます。最初の新聞が十四日、あとの新聞が十六日、もう県会で組みかえの決議も予算案も出してしまったあとの記事が、読売の記事でございます。われわれのタッチしている限りにおきましては、県に対して報告する以外に全然部外にとやかくしたということはございません。
  67. 中井徳次郎

    中井委員 今のような御答弁なら私はさらに伺いたいのだが、その新聞の記事を読んでごらんなさい。内容が初めて出たというようなことをあなたは陳弁しているが、そうじゃない。自民党本部から県の自民党に、こういう手紙が来たというその事態が重要なんです。そういう手紙が来た、それがわかったのが十四日か十五日であって、手紙が来たのはもっと前に来たのはわかっている。新聞がその前に出すわけにいかぬでしょう。それが問題なんです。九日から十一日までの間が問題であります。この間にだれが漏らしたかということが問題である。私はこれは日本全体としてはささいなことであるかもしれませんが、このようなことが行われ、それがほおかむりで通りましたならば、全国の自治体の首長並びに議会が混乱をする、そのために事は小さいようであるが慎重に検討してもらって、そうして大臣以下関係者は責任をとってもらいたい。何もやめろと言っているわけではありません。そういう事務当局について厳重な訓戒なり、何なり適当な行政的な処分をやってもらいたい、こう言う。何にもないというが、現実にその新聞に出ております。天下の新聞、朝日や読売はうそを書いているのですか。それが私は問題だと思う。何のたれ兵衛から手紙が行ったということまで、われわれは知っております。同僚議員のことでありますから、何のたれ兵衛ということは、私はこの前もふせておきました。それは自治庁へ行って聞いてきたと、はっきりその手紙の中に書いてある。そういうことについてだれも漏らした人はありませんと言うのは、私は答弁としてははなはだどうも無責任だと思う。どうです。
  68. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 ただいまの問題は、遺憾ながら政務次官は全然知らないのでございますが、御質問の要旨を承わりますと、いろいろ調査を要することもあるようでございますので、後刻調査いたしまして、あらためてお答えすることにいたしたいと思います。
  69. 中井徳次郎

    中井委員 この間から調査をする調査をするといって、もう二週間であります。そこで私は、調査をなすって、はっきりと出て参りましたならば、これに対して政府は一定の行政措置をしてもらいたいということを要望するのであるが、それに対する回答をお願いしたい。
  70. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 行政措置をいたしますことについては、事実があるかないか、事務当局の漏洩であるかどうか、そういうような点をさらに調査いたしまして善処いたしたいと思います。
  71. 中井徳次郎

    中井委員 漏洩であったならばどうされますかそれを伺います。   〔「委員長、傍聴席を整理してく   れ。傍聴席でやじられて委員会が   できるか。」と呼ぶ者あり〕
  72. 門司亮

    門司委員長 傍聴席は静かに願います。
  73. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 漏洩である場合は、法律の命ずるところによって処置いたします。
  74. 中井徳次郎

    中井委員 これは何といいましても、事実があったことなんです。私は本委員会であまりこまかいことまで言いたくないから、やわらかく最初はお尋ねをいたしておったのであります。こういうことが行われますと、これは単に、自民党の天下であるから攻撃して、社会党になったらふせておけ、そういう問題でないから、私はお尋ねしている。わが党が天下を取りましても、こういうことがあってはなりません。これが非常にまずい先例になると困りますから、お尋ねしているのであります。この私の良識的な考え方については、これはまじめに取り上げていただきたい、かように思う次第であります。  次に、やはり同じようなことなんでありますが、二、三日前から大きく世論機関に一斉に取り上げられて、テレビなどでも騒いでおります、福岡県の汚職事件であります。これにつきましては、われわれの方にもまだ十分なる資料は整っておりませんが、承わるところによりますと、自治庁の方に第一次の報告があったようでありますので、ちょうどいい機会でございますから、どういう事件であり、どういう経過でありまするか、関係の方から一つ委員会で御報告を願いたい、かように思います。
  75. 小林與三次

    小林(與)政府委員 福岡の問題が新聞をにぎわしまして、自治庁といたしましても、特に県の公金が関係をし、あるいは県の職員の綱紀の問題があるとすれば、これはほうっておけないので、とりあえず福岡県東京事務所長を通じまして文書で報告を求め、なお自治庁の調査官を派遣いたしまして、その調査の結果を実は待っておるのでございます。まだ公文では回答が来ておりませんが、電話で連絡がありました要点だけを申し上げます。電話でありますから、多少不正確な点があろうかと存じます。われわれといたしましては、主として県の公金がどういう形で扱われたかという問題に重点を置いて調査を命じてございます。信用組合と第一相互等の関係につきましては、これは自治庁の直接関与すべき問題でもなし、司直の方でお調べになっていることでございますから、その関係よりも、まず県と信用組合との関係がどうなっておるか、ここのところを重点に調査いたしております。その概況を申し上げます。  福岡県における歳計現金の扱につきましては、これは金庫銀行へもちろん原則として預け入れる建前になっております。金庫契約によって、その一部は普通預金とし、他の一部は定期預金として扱うことになっておりまして、そうして普通預金は二億ございますが、この二億だけは絶対に動かさぬ。それからそれをこします定期預金につきましては、場合によっては定期預金を解除してほかの金融機関に預託することがある、こういう扱いになっておるのでございます。それで金庫銀行以外での金融機関の預託につきましては、これは現在の建前上出納長の権限になっておりますが、ほかの銀行に預託する場合には、何らかの形で知事部局と相談をしてやる。出納長の方から、有利な保管の必要上発議をすることもあれば、逆に知事部局の方から所管部の方へ、いろいろ県の行政の必要から預託を申し出ることもある。両方ありますが、いずれにいたしましても、出納長は何らかの形で知事部局と相談をして預託の手続をとる、こういう扱いにいたしております。その預託の条件も、機関は利率というものを一応基準にしてきめておりますが、その場合の資金は、先ほど申しました、金庫銀行へ定期預金として預けている金を解除して、その資金を預託する、大体利率は、一般金融機関では四分、信用組合では四分一厘という預託の条件をきめておるのでございます。  そこで、この福岡県の職員信用組合でございます。その定款は、けさの航空便で送ってきておるはずですが、私はまだ見ておりません。これは中小企業等協同組分法による信用組合でございまして、主として県下一円を地域にいたしまして、職員の信用業務をやるという建前をとっておるようでございます。勤労者その他のものの協同組織によって、これらのものに必要な金融事業を行うことを目的とする、大体そういう考え方で、組合員に対する資金の貸付なりあるいは預金の受け入れなり、そういう仕事をずっとやることになっておるのでございます。これに組合員が現在二千五百人ほどおるそうで、どういう者がおるか、そこも知りたいのですが、まだそこまではわかりません。福岡県住宅協会が、昭和三十年二月から組合員となっておるという事実がございます。この福岡県住宅協会とは何かという問題がまた一つあるのでございますが、これは今ちょっと手元に定款がございませんが、要するに福岡県の住宅対策の一環として、一つは県市がやる公営住宅があり、もう一つは個人が建てて、住宅金融公庫が資金を貸し付ける個人の住宅がある。ところが個人は、頭金がどうしたって二、三十万要りますから、その二、三十万の頭金の出せない一般の勤労大衆のために、何か家を作る方策がないかというので、県がいろいろ研究しまして、県も、これはたしか出資しておるはずでございますが、そこの限界はよくわかりませんけれども住宅協会というものを作りまして、そうしてこの住宅協会が住宅の建設について住宅金融公庫から資金の融通を受け、県が一部出しておる金をいわばそれの頭金に使って住宅を建設して、一般の資力のない住民にこれを使わせる、こういう建前をとっておるようでございます。ところが住宅金融公庫から入ってくる資金が、事業の完成後に行われる等の事由でおくれたり、また住宅協会自身が作るものの土地の買収費等のために、資金がどうしても必要なのであります。そうしてその資金をどうしたら獲得できるかということが、住宅協会の一つの問題だったようでございます。そこでこの住宅協会が先ほど申しました信用組合にも加入いたしまして、どうせ一般勤労者の住宅を作るのでございますから、そこでその信用組合から住宅協会に資金の貸し付けを受けておるようでございます。一つは今申しました金融公庫より融資されるまでのつなぎ資金、それから土地の買収の資金、こういうので三十年の十二月までに合計一億ほど融通を受けておるようでございます。これは一応電話の報告でございますが、一億九千四百万という数字がございます。それからなおこの住宅協会以外にももちろん信用組合は貸付をしておるわけでございます。そこでこの信用組合に対する今度の県の預託の問題が起ってくるのでございますが、ただ信用組合住宅協会に資金を貸し付けるにいたしましても、信用組合自体はそれほど資金が必ずしもあるわけでございませんので、その場合に県から運転資金として資金の預託が行われるということが扱いとして行われておるようでございます。三十年度以前からも信用組合の運転資金として県からの預託が現に行われております。この三十年度につきまして、今申しました住宅協会への融資するための資金源として一億九千四百万という金額の数字を県から預託を受けておる、こういう事実がございます。その金額はその後大体県の方にまた償還されまして、現在のところ残っておる七千万は、まだ県の預託が行われておる、こういう報告でございます。それ以外の金額はそれぞれ住宅金融公庫から金が入ってくれば県へ払い戻す、それから住宅協会で土地を買っても、その土地に家ができて、処分ができればまた戻す、こういう式で戻したようでございます。大体信用組合と県との預託の関係はそういう状況でございます。なお県はそもそもこの信用組合だけに預託しておるのか、ほかの金融機関にどうしておるのか、そこらの点も私の方で気になりまして一応調べさしたのでありますが、これは金庫などにももちろん預託をやっております。たとえば商工中金であるとか農林中金に預託いたしまして、そうして農業経営の資金なりそれから中小商工業者に対する融資のための資金源を与えております。この正確な数字はよくわかりませんが、これは数億に上っておるそうでございます。この精細な金額の内訳もなお調べたい、こういうふうに存じておるのであります。  それからなおこの衆議院の決算委員会でも問題になったのでありますが、そういうものについて一体監査委員というものがどう監査をしておったかという問題がございまして、その点もとりあえず調べろといって一応調べさしたのでございますが、監査委員は御承知通り六月と九月に定例の出納検査というものをやって、その後随時やるという建前になっておるのでございます。そこで三十年度は、今問題になっておるのが三十年の十二月以降の問題でございまして、三十年度中はこの定例検査は大体六月と九月にやる建前になっておるようでございます。それで三十年度中にはその問題は起きませんが、三十一年度では月例出納検査で今の預託関係のものを検査しておる事情がございます。そのときに監査委員といたしましては、預託については預託期間が満了して監査しておりますが、歳計現金全般の運営問題として出納長限りでやっておるところが少し問題がある、もう少し県当局と相談をして預託すべきじゃないかというふうな趣旨のことを、一部述べておるそうでございます。それからもう一つは、ほとんど恒久的な資金ならばむしろ予算化する必要があるじゃないか。予算の預託金としてはっきり預託したらどうだ。たとえば中小商工業者や農業者に対しての融通を恒常的にやらなければならぬような資金については、預託金自身もむしろ予算に上げて、はっきり預託金として預託したらどうだ、こういう意見を述べておるそうであります。本件、今問題になっているような問題につきましては、特別の意見が出ておりません。  なおこれは当然三十年度の決算である程度のものはわかりますが、これは歳計現金の運用でございますから、当然決算面に必ずしも現われておりませんが、決算の審査の状況も報告しろということを決算委員会で要求されたのでございますが、御承知通り三十年度の決算はただいま県会に出ている最中でございまして、県会でも決算の審査の認定がまだ終っておらぬそうであります。自治庁といたしましてはとりあえず、知事が監査委員意見を聞いて知事の意見を付して議会へ出している決算書を送ることを要求いたしておりまして、これもけさの航空便で送ったそうでございますから、午後入手できるだろうと存じております。  とりあえず今まで電話で報告を受けた部分の状況は大体以上の通りでございます。なお詳しいことは関係書類が全部検察庁の方へいっておりまして、的確なことは必ずしもわからぬと申しておりましたが、おっつけ文書で報告が参れば明らかになるだろうと思います。
  76. 中井徳次郎

    中井委員 今大体電話の報告程度のお話を承わったわけでありますが、いずれ正確に書類でいうて参ると思いますので、それについてわれわれはお尋ねをしたいと思います。従いまして本日はごく簡単に一、二の点だけ私は将来の参考にお尋ねしたいと思うのであります。  まず第一は金庫の制度の問題であります。金庫制度につきまては地方自治法の施行令百六十四条に議会の議決を経て金庫を置かなければならぬ、こういうことになっている。引き続いて百六十五条、百六十六条におきましては金庫自体の活動あるいはまた金庫と県との関係について相当厳重な規定があるようでございますが、福岡県はそういう法に従った厳重なやり方を守っておったのかどうか。報告はまだ正確ではないかもしれませんが、政府としてはどういうふうな印象を受けておられるか、そういうことについてちょっとお尋ねいたしたい。  さらに具体的に、福岡県におきましてはどの銀行が金庫になっておったのか。  さらにまた聞きますと、預託をしたところの範囲は商工とか農林中央金庫とか、これはいろいろ県政を行う上に私は必要でもあろうかと思いますが、具体的な問題になっております信用組合でありますが、これは今聞きますと職員の組合のようでもありますが、そうなりますとこの信用組合理事長と職員組合との関係はどうでございますか。具体的に組合長は何という男で、それは職員組合の出身であるかどうか、こういう点をちょっと尋ねておきたいと思うのであります。
  77. 小林與三次

    小林(與)政府委員 金庫の関係は福岡は自治法の定むるところによってきちっといっていると思います。金庫は福岡銀行でございます。  それから今の信用組合は、実は私の方でもちょっと報告ではわかりませんので、具体的にどういう人間が組合員に入っているか調べろと言っておるのであります。県庁の職員が私は非常に多いのじゃないかと思っております。おそらくは職員の金融問題を円滑にやるためにということが、起ったときの考え方相当あるのではないかと思いますが、実際は組合員の範囲は福岡県一円、こういうことになっておるそうでございます。それから、組合組合長なり何なりは当然組合員でなければできぬわけでありまして、そうした組合員と県の職員あるいは職組等との人事関係等も具体的に知りたいということを連絡してございますが、今のところ、まだそこまでの資料が手に入っておりません。
  78. 中井徳次郎

    中井委員 非常に厳格に金庫関係をやっておるということになりますと、百六十六条には「金庫事務は、普通地方公共団体の長が議会の議決を経て定める銀行又はその他の者をしてこれを取り扱わしめる。」こうありまして、その金庫がほかに預託をするなり何なりするときには、一々普通地方公共団体の長の許可を得て、その責任をもってやるということになっております。そうなりますと、具体的の場合はやはり一々知事の決裁を経なければそういうことはできないのではないかと解釈してよろしいのでございましょうか。
  79. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今のお尋ねの問題は、金庫自身がその自分の金庫事務を扱うために、いろいろな他の銀行を使う場合の問題でございまして、その場合は当然金庫が勝手にやってはいかぬので、ここに書いてある手続で長の許可が要ります。今日の問題はそういうことではございませんで、そもそも県の金を全部金庫に委託するのか、そうでなしに、金庫に委託せずに県自体がほかの銀行に預託をして保管する、こういう問題でございます。それですから、百六十六条とは全然関係のない問題だと私は思っております。つまり、都道府県に属する現金の出納のため金庫を置かなければいけませんから、出納事務につきましてはもちろん金庫に全部やらせないといかぬと思っておりますが、県の公金の保管につきましては、建前上必ずしも金庫でやらなくてもよくて、それは金庫契約で適当に扱うという考え方でございます。そこで、先ほど申し上げました通り、大ていの保管は金庫銀行にやらしておりますが、ある程度のものは他の金融機関にも預託させという扱いをとっておるわけであります。その扱いの責任者は、これは現金の出納保管は当然出納長の責任でございますから、出納長が全責任を持ってやる。しかしながら、自治法上は出納長の全責任でございますが、他の金融機関に預託する場合には県の執行部にも相談をする、こういう扱いを県では従来からとっておるというのが事実のようでございます。
  80. 中井徳次郎

    中井委員 今のような御答弁になりますと、金庫事務の一部でないということになれば、どこかに預託をするということになれば、やはり予算に計上しないことには、知事の独断でもってそういうことができるかどうか私は非常に疑問だと思うのですが、いかがですか。
  81. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは、私はその預託の性質によるのではないかと思います。ほんとうの歳計現金、年間の金の出し入れの場合でとりあえずちょっと預託するものならば、必ずしも予算に計上するという必要はないと思いますが、恒久的に、たとえば中小商工業者の融資のために融資資金として商工中金なら商工中金にやる、これは出したりとったりする金ではございませんで、その資金源としてやるわけでございますから、そういうような長期的なものは性質上当然預託金としての扱いで予算に計上するのが、私は至当だろうと思います。
  82. 中井徳次郎

    中井委員 今の小林君の御答弁によると、今回の事件のような場合は相当長期であります。従って私は、これはやはり予算に計上してやるべきものであったろうと思いますが、政府の見解を伺っておきます。
  83. 小林與三次

    小林(與)政府委員 今の問題は、結局住宅協会の資金のためということで介入しておると、われわれの報告では一応なっております。そうでなしに、信用組合自体もたとえば年度末に組合員に貸し付けるなどの問題があります。あるいは年を越したり、あるいは盆のときに貸す、そういうような場合には何も預託金とまでする必要はないのではないか、そのときの組合状況を見てとりあえず千万なり二千万なりという形でいくものは、私は普通の扱いでもよかろうと思います。それから住宅協会というものが一つありまして、住宅協会の資金のために信用組合を通っていく、ここでちょっと回りくどい問題になっておりますが、住宅協会に対する資金を回すということは、率直に言って、県の住宅政策上考えていい問題だろうと私は思いますが、その資金の性質が、金融公庫から当然くるやつのつなぎにとりあえずやるというふうなものならば、つなぎ資金ですからしいて預託金としてまで予算に組む必要はない、県の現金にゆとりがあれば運用したってこれは考えられるのじゃないか、ほんとう住宅協会の住宅建設資金として貸し付けさせようというものならば、これは寝ちまいますから、そういうものはもちろん預託金として予算ではっきりすべきものじゃないか、そういうふうに存じます。
  84. 中井徳次郎

    中井委員 具体的な問題になっておりまするのは、これはもうほとんど犯罪行為のようなもので、裁判が確定しなければまだわかりませんけれども、そういうことでありますが、新聞などで見ますると、やはりかなり長期に出したような疑いがありますので、今のような御答弁でありますというと、これはつなぎじゃ決してございませんから、やはり何か予算措置は必要であったのではないかと思います。  それから組合長のことでありますが、小林君の説明を聞きますと、大体県の職員が入っているだろうということで、そういうことはけっこうです。そういう組織があるということはけっこうでありますが、そういうことになれば、常識的に考えると、組合長というものはやはり県職組の相当な発言力もある者で、理事の中には相当数入っているということでなければならないと思うのでありまするが、ちょっと聞きまするというと、この組合長はそういう職員組合その他とは何も関係がありませんで、知事と個人的に非常に近い人であるらしいのでありまして、私はここにやはり問題の焦点があるように思うのでありますが、組合長の履歴その他がわかっておりましたら、この際明らかにしておいていただきたいと思います。この点を重ねて一つお尋ねをいたしておきます。
  85. 小林與三次

    小林(與)政府委員 組合長の問題は、実は新聞記事以外私の方ではまだ資料がございません。私も組合の役員の構成が気になっておりまして、その点は調べて報告するように申しております。
  86. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまの財政部長答弁なんですが、非常に私は疑問に思うのです。というのは、知事にしても市町村長にしても、預かっている公金なり公共の財産なり、そういうものを安全に管理するという一般的の責任がある。従って金庫という問題も規定にあるわけなんですが、そういうふうな運営について、今のようなお答えであれば、出納長なりあるいは知事なりが裁量でどうにでも公金を預かることができるというふうに聞えるのですが、そうじゃなくて、地方団体の実際の状況は、やはり原則としては金庫を指定する、これは議会の議決によらなければならぬ、こういう原則になっているのですから、金庫以外のところに預かるという場合においては、やはり原則としてはそれぞれ議決を経るべきものじゃないか、事実地方団体は、そういうふうな特別の金の管理について、何々銀行に預けるとかあるいは確実な金融機関に預けるとか、そういうふうな議決を一般的にはおそらくいたしておるのじゃないか、これが実情じゃないか、これは規定がどこにあるか私はよく調べていないが、これは常識じゃないか、こう私は思うのです。というのは、たとえば一時借り入れをするというような場合においてもこれは理事者の自由じゃない、やはり一時借り入れのワクというものを、議会の承認を経て借り入れをするのです。そうすれば、預かる方においても当然また一般的な承認を得ておかなければならないという原則から、今地方団体においては、公金の取扱いについて、金庫なら金庫を指定するなら指定する、それ以外に預かる場合においてもやはり一々議決を経る、これが常識になって運営されておるのじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうでしょう。
  87. 小林與三次

    小林(與)政府委員 一時借入金の問題はもちろんその通りでありますが、金融金庫以外に金の保管をやる場合に、一々議決を経ておるということは実際問題として私はないのじゃないか、あるいはそういう扱いをしておる団体も中にはあるかもしれません。これは法律論だけを申し上げましても恐縮でありますが、つまり財産の管理という問題が一つ、歳計現金の出納管理ということが一つございまして、基本財産その他のように、これを財産として管理していく場合においては、現金もあり債券もあるのでありますが、そういうものにつきましては当然この財産管理に関する条例に基いてやらなくてはいけないものでございます。国有財産法とか債権管理規則というようなものが国にありますが、それに準ずるような基本法がありまして、それに基いて当然やるべき筋合いだと思います。それからもう一つは年々の歳計現金でございまして、歳計現金は現在の建前では出納長の全責任になっておるわけでございます。出納長は当然自分が責任を持って適正確実に保管管理をすることを考えなくてはならぬのでございまして、欠くるところがあれば当然賠償その他の責任もございますし、その責任が追及さるべきだと思います。そこでその出納長の責任で、建前は金庫銀行がある以上は、原則として当然金庫銀行にあるべきものだと私も思います。政令では出納だけ書いてあって保管は書いてないということもありますけれども、保管も原則としてそうすべきだろうと思います。現に福岡では歳計現金がどれくらいありますか、やはり十数億から二十数億の間をいったりきたりしているのじゃないかと私は思います。ですから大半の金が先ほど申しましたように金庫銀行に普通預金の形かあるいは定期預金の形か知りませんが、そういう形で入れておるのではないかと思います。ただこの歳計現金を一々管理するのに保管の議決が全部要るかということになれば、出納長は要するに、借り入れのほんの一事のことでありますから、それは出納長の全責任でやっていいというような今の法律論であります。同じように法律が適当であるか不適当であるかということはあろうと思います。ただそこで福岡県では、まあ福岡県だけではなく、この点はほかのところもありましょうが、出納長だけであの銀行に三月入れるとか一月入れるとかいうのはいかがか、こういうので、ほかの金融機関へ預託する場合には必ず総称部系統に相談をしてきめようという扱いをしておるのが実情でございます。この扱いは法で当然要求されるというのではありませんが、公金の適正な管理の建前上、そういう運用をいたしておるのだと思います。われわれもその運用は適当だろうという考えでおるわけでございます。
  88. 中井徳次郎

    中井委員 ちょっと……。どうも先ほどの私に対する答弁と、さらにまた今の回答を聞きますと、実は納得できないのであります。御案内の通り市町村につきましては規模も小さいから金庫を置かなくてもいい、しかし府県はもう必置であります。必ず置け、そして厳重にこれをやれ、こうなっております。これは施行令の百六十四条でそうなっておる。それから一般の府県市町村の自治体の財産については厳重な保管の規定がありまして、これを移動するのには一々議会の承認を経なければならぬ、そうなっております。そうなって参りますと、あなたの言われるように出納長が自分の都合で一月、二月ちょっとよそへ持っていくというようなことはできるはずがない。そういうことをやめるために、はっきり金庫を置かしてあるのです。それができるということになれば、地方財政の実際の歳計現金なんというのは、混乱状態になりますよ。そんなことを簡単に出納長ができたんじゃこれは大へんです。法の基本精神に私は反すると思います。この点は小林さんは簡単に回答せられておりまするが、事は私は非常に重大であろうと思います。そういうことは出納長はできない、やれば、この施行令の百六十六条の三項に金庫のことについてさらに規定がございますが、やはりこういう百六十六条全体の精神にのっとって、まかした金額においてもそれを予想してさらに預けるとか、あるいは一部事務をやる場合には県へ相談しなくてはならぬのでありますから、初めからまかさぬ、金融機関にぽんと金を預けて、そうしてそれを出納長の責任でできるなどという法の解釈は、乱暴きわまるものだと私は思うのですが、いかがですか。この点は私は何もきょう御返答をいただきたいとは思いません。これは政府の方も慎重に研究して御答弁願いたい。きょうのような簡単なことでこれが片づくとは思いません。それだけ申し上げておきます。
  89. 北山愛郎

    ○北山委員 私も、自治庁の方の調査がまだ中途はんぱですから、その点はあとでよく考えて調査をして答弁してもらいたいと思うのです。そうでないと、県の公金は金庫が預かっておると思うのがわれわれの常識だから、どこへ預けてもという、そんなばかなことはない。そんなことではないと思うのです。地方団体の財政運営の一般的な原則からいってそれは制約を受けておる。そこでお伺いしますが、少くとも金庫の金をよその信用組合へ移したでしょう。その移すこと自体はやはり知事の命令がなければ出納長はできないんじゃないですか。
  90. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは今の法律論だけを申し上げます。その法律が適当であるか不適当であるかという議論はもちろんあろうと思いますが、現在の建前は歳計現金の出納保管というものは出納長の責任になるわけです。それでございますから、歳計現金の保管の方法としては、ほかの金融機関に一時預けるということはあり得るのでございます。そこのところは私もちょっと年限を記憶しておりませんが、実はこの施行例の百六十四条というのは、もとは現金の出納及び保管のため、そういうことになっておった時代があるのであります。出納及び保管のため、そういうときには県の場合はもう一切金庫にまかせるという仕組みになるわけです。それをその後その保管という字を改正したのがございます。この改正が適当か不適当かという議論はあると思いますが、これは金庫銀行等にやっておりますと、やはり利率が非常に安いのであります。そこで地方団体でももっと確実で安全でいいというところで、歳計現金の利殖の道があるのならば、ほかの銀行へ預けてもいいのじゃないかという問題がありまして、つなぎの資金というよりも歳計現金の保管方法の一つとして他の確実な金融機関に一時預ける、そして金利を稼ぐというと語弊がありますが、そういうことをしておるところがあるのでございまして、そこまで否定することは必要がないのじゃないか、こういうことで、この保管という字を削って改正をしたのでございます。その規定関係からいたしましても、保管の方法は必ずしも金庫銀行でなくちゃいかぬとくぎづけをする必要はない。確実にして安全ならばそれをやってもいい、それは出納長の責任だから——そこは立法論はいろいろあろうと思いますが、現在の建前では出納長、収入職の責任になっておるのであります。それでございますから、実際の扱いは、ほかの金融機関に数カ月も預けるというような場合には、知事部局にも相談をしろ、こういう扱いで、現在福岡県においてもそうやっておる、そういう扱いになっておるということを申し上げたのでございます。
  91. 北山愛郎

    ○北山委員 あなた方の調査した範囲では、少くともこの信用組合に預けた分については、いわゆる利殖のためとかそういうことではなく、やはり一つの政策金融じゃないですか。だって、信用組合は四分一厘でしょう。何も高い利率でも何でもない。やはり一定の政策金融として出したんじゃないですか。あなた方の調査の結果、そうじゃないですか。
  92. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは先ほど申しました通り、具体的な信用組合、福岡の場合なら、住宅協会のそういう一時の資金が必要であって、その資金に信用組合から金を貸し付けるための元金として預託しておる、こういうことは事実のようでございます。
  93. 北山愛郎

    ○北山委員 そういうふうな特殊の目的を持ち、一つの政策金融というような性質のものであれば、やはり予算とは言わなくとも議会の議決を経るべきじゃないですか、そういうことをかってに出納長なり知事がやってもいいのですか、どうですか。
  94. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは今の法律上は、議会の議決は法律上の要件ではございません。その出納保管の責任が全うされる限りは歳計現金の運用上支障のない範囲内においては、それは私は現行法では預託できる手続に従って預託したものだと思います。
  95. 北山愛郎

    ○北山委員 小林さんの言うのは法律解釈で、要するに法には裏というものがあると私は思うのです。あらゆる場合のものが自治法なりあるいは地方財政法規定されておるものではない、その裏にあるものを補っていく精神なりそういうものを考えてみなければいけないので、ただ法律の面にはそれだけの規定しかないからというので、狭い文理解釈をすれば小林さんの言うようなことになる。私はそうじゃない、裏を考えなければいけないと思う、やはりどこそこの銀行というふうにきめて議会が議決をすれば、その金庫で出納保管が行われるものと議会は了解しておるわけです。それを勝手に知事なり出納長なりがあっちにも動かしたりこっちにも動かしたりしてもいいということになれば、これは地方団体の経理というものはめちゃくちゃですよ。それでもいいということを自治法やあるいは財政法が認めておるとは私は了解しかねる。だから法律論を離れて、一体そういう現状は適当であるのかどうかこれを承わりたい。
  96. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは結局そういうことがいいか悪いかという問題と、やるためにはどういう手続でやったらいいかという、こういう二つの問題があろうと思います。私はその歳計現金の出納保管上それはさしつかえがないものだ、県の行政全般上適当だというならば、これを制限禁止する必要は一つもない、法律上いかぬという必要は私はないであろうと思うのであります。ただ具体の特定の金融機関にやったやり方が適当か不適当か、この判断はそれぞれ私はあり得ると思うのでございます。それからもう一つそういうことをやるのに必ず議会の議決を経なくちゃならぬかどうか、こういう問題でございますが、これは私は現行法の解釈からは当然議決事項にはなっていない、しかし県議会としては自分の議決事項は自分で定めることができるのでありますから、こういう問題は重点だからある程度以上のものは議決事項にしろ、こういうことをきめることは私は不可能なことではないだろうと思っております。これは現在の建前では、出納長が出納保管をする、それでわざわざ特別職を置いてあるわけですから、その全責任を持ってやる体制になっておる出納長とすれば、当然現金保管については県全体の建前を考え責任を持ってやっておるに違いない、またやるべきものだと存ずるのでございます。
  97. 北山愛郎

    ○北山委員 そうすると今の小林さんのようなお答えであれば、制度はどうであっても個々の場合々々がうまくいけばそれでいいのだというような結果になると私は思うのです。だから議会が議決しょうが、あるいはその団体の長なり出納長が運営しょうが、結果としてうまくいけばいいというような格好になって、制度というもの自体が意味がなくなってくるのじゃないか、やはり制度というものは一つの形式を現わしておる、その制度があるためにある場合にはまずくいくかもしれません、しかし少くとも間違いができるだけ起らないように、たとえばこういう事項については議会の議決を経ろとかいうことになっていると思う。それだから先ほどの御報告であれば監査委員が、ほかの場合には預託の決議をしておいて、この信用組合に預ける場合には決議をしていないというのは適当でないという報告をしているようですが、その点についてはどうなのです。その監査委員の報告は間違っていますか。
  98. 小林與三次

    小林(與)政府委員 いや監査委員はこの場合については当然に予算化しろとまで言っておるようではありません。まあそこのところ監査委員の報告も電話だけですから正確なことはわかりませんが、こっちに来ておるのはそういう意味じゃなしに、中小企業等に対する資金としてやるものは、予算化する必要があるのではないかというふうな意見を述べたことがあるという報告程度でございます。もう一つこの問題について少し議論が行き過ぎておるようでございまして、すぐに知事とかいろいろな問題が出ておりますけれども、問題になっておるのは信用組合と第一相互銀行ですかなんですかとの間における関係の問題でございまして、信用組合がさらに他の金融機関にどういう条件で貸して、その間にどういうことが行われたかということが問題になっておるわけでございます。私はその問題がもしかりに直接県と信用組合との間にあった、あるいは住宅協会との間にあった問題とどういう関係があるのかないのかということは、これは議論の問題でございまして、そこらは事実を明らかにしなければ問題がわかりません。福岡県といたしまして信用組合住宅協会のためにかりにやったとすれば、それ自体が直ちに否認すべきあるいはけしからぬという問題になるかといえば、私は必ずしもそうならぬではないか、それはそれぞれ判断の問題があろうと思いますが、それ以上一歩先の問題になってくれば、先の問題の事実を明らかにして、その問題として論議すべきものだと存ずるのでございます。
  99. 北山愛郎

    ○北山委員 小林さんはどうも福岡県当局の有利なような立場に立ってお話をしている。それは自治庁としてもある程度は監督というか地方団体の運営を見ていく責任があるものだから、そういう気持になるのは無理はないと私は思う。しかし事は福岡県のみならず、一般の地方団体の非常に重要な金銭の出納保管に関する問題なのです。ですからもっと突っ込んで大臣にも来てもらってお伺いしたいと思うのですが、最後に、一体それならば信用組合に預けるという場合に、その書類に知事が決裁をしておるかどうか、これは自治庁の調査ではどうなのです。
  100. 小林與三次

    小林(與)政府委員 それはわかりません。何か住宅協会建築部長の方から総務部長を通じて出納長の方に、この資金に充てるために預託をしてくれぬかという文書が出ておるそうでございます。その関係の文書も今押収されておるようでわからぬと言っております。それでございますから、出納長が信用組合にそういう理由で預託する場合に知事とどういう相談をしたか、そのための決済文書がどうなっておるかということまでは、まだ私のところで調査がいっておりません。
  101. 中井徳次郎

    中井委員 電話連絡で書類はあとだということでありますから、この問題は本日はこの程度で質疑を保留しますが、最後に一点だけ先ほどの御答弁関連してお尋ねしたいのは、金庫は福岡銀行でございますか、それで福岡銀行に福岡県庁が預託をいたしておる金利の問題ですが、どの程度で預けておられるか、たしか四分だというふうに伺ったが、四分でございますか。
  102. 小林與三次

    小林(與)政府委員 福岡銀行への預託は、支払い準備金として五百万、これは無利子です。それから普通預金として二億、これは年利二分一厘九毛、それ以上の金が定期預金、定期預金は一口千円で期間が三カ月、年利四分、そういう条件のようでございます。
  103. 中井徳次郎

    中井委員 その期間は三カ月ですか、それは一年とか半年とかいう……。どうもその定期預金の利子が非常に私は安いように思うのでございます。御案内の通り前国の自治団体は非常に困っておって、借入金をいたしまするときには八分五厘とか、中には一割近い利子で借入金をしている。大体これまで定期預金は六分であったと思うのですが、四分というのは非常に安い、特に県庁の預金でありまするから、たとえ三カ月でありましても、私は金利はもっと多く要求してもいいんじゃないかと思うがその点についてどうですか。ほかの府県などとの関連性ですが、東京都あるいは大阪その他全国の府県などはどういう形になっておりまするか。わかっておりましたら関連してお尋ねしたいと思います。
  104. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは歳計現金でございますから除外するわけにはいかない。いつ要るかわからぬものですから普通預金に入れている。それ以上の金額が入れば自動的にこの三月で四分の定期とするという条件になっておるようでございます。それで金が必要な場合は自動的に解消してしまうわけでございます。今東京、大阪等のお話がございましたが、ちょっと今資料がございませんので、後刻調べて御報告申し上げますが、大体私はこの程度じゃないかと思います。そこで実は福岡の場合は話もうまく当てはまらないかもしれませんが、ほかの県では銀行定期は非常に低利なものだから、こういうことでは現金の保管利子が安いじゃないかというので、ほかの金融機関にもう少し高利でこの歳計現金というものを運用しようじゃないかという考え方で、現に運用しておる県もございます。そして相当金利を上げておる県もございます。そういう必要と申しますか可能性の問題もあって、私が関係しておったわけじゃありませんが、自治法の施行令をわざわざ変えて、出納保管というものの保管をとって、そういう保管の方法の道も開いたらどうかということで、施行令を改正したというのが実情のようでございます。
  105. 門司亮

    門司委員長 ちょっと私からこの事件について聞いておきたいことがある。それは今の預託金の性格ですが、預託金は保管とみなしていいのですか。
  106. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは保管といっていいと思います。つまり歳計現金の保管の一つの方法だろうと思います。
  107. 門司亮

    門司委員長 もう一つ聞いておきたいのは、この場合は預託したものについてはおのずからその使途がある程度指定されておると思います。それは保管としての預託であるか、あるいは今の答弁のように住宅を建てるところの資金であるか、あるいは中小の商工業者に、融資すべきものであるか、これは預託する場合にはそういう性格がちゃんとはっきりしていなければならぬと思う。福岡の場合この点調べられたかどうか。
  108. 小林與三次

    小林(與)政府委員 それは信用組合との直接の関係では、ここは文書に載っておるのかおりませんのか、その点はまだ私の方で正確な書類上の調査がいっておりません。ただそういう趣旨でやったということだけは聞いております。その関係はもう少しはっきりさせたいと思います。
  109. 門司亮

    門司委員長 もう一つその次に聞いておきますが、そうするとおのずから預託した資金の融資の性格というものが必要になってくる。その融資の性格以外にこれを流用した場合に——この場合流用しているからこんな問題が起っているのでしょう。流用した場合の処置は自治庁はどう考えになっているか、もう一度聞いておきたい。
  110. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは預託した趣旨が信用組合との間で、こういうためにやるんだということが、かりにはっきりしておって、その契約に違反すれば、信用組合は当然契約違反の責任を負うべきだし、またそういう事実があればそういう形で預託を続けておくということは、県としては適当な措置でないということを言わざるを得ないと思います。
  111. 門司亮

    門司委員長 もう一つ聞いておきたいのだが……。(「委員長交代」と呼ぶ者あり)   〔委員長退席、中井委員長代理着   席〕
  112. 門司亮

    門司委員 今の小林君の答弁だが、県の交付金を動かす場合に、保管とそれからそれを他に目的があって預託する場合はおのずから違うと思います。これは保管ではないと思います。これを中小企業に融資する場合は、私はこれが公金の保管とは断じて言えないと思う。住宅資金にこれを融資する場合に、資金の保管とは断じて言えないと思う。保管という字の意義は、私はそういうところに使うべきものではないと思う。利子かせぎをするということだけならあるいはこれには保管の意味があるかもしれない。しかしそうではないのである。一つの事業に投資するものである。事業に投資する場合は、当然焦げつきということが予想される。これが完全に回収されるとは考えられない。従ってこの問題は保管ではなくして、こういう場合は必ず県議会の議決を要すべきだと私は思う。従って福岡県の条例の中で、知事あるいは出納長にまかせられたこの範囲というのは、どのくらいがまかせられているのか。私は一銭一厘でも議会の議決を経るということはできない相談であって、知事あるいはその他にまかせられた範囲がおのずからあると思う。その範囲はどのくらいになっているか、調査されたことがあるかどうか伺いたい。
  113. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは預託と保管の問題でございますが、私が申し上げましたのは要するに歳計現金の保管の方法として、その金をどう扱うかという問題で、それを他の農林中金なら農林中金に預託することはあり得ると思うのでございます。ただ農林中金に焦げつけるということになってはもちろん行き過ぎと思いますが、かりに三月なら三月の条件で預託して、いつでも引さ戻せる普通の金融機関なら、預金するのが危ないという前提で預金という考え方は成り立たないと思います。だから非常に危険な金融機関に多額の金を預金した、これは適当か不適当かという議論は当然出てくると思うのでございます。それでございますから、それは確実な金融機関に預けなくちゃいかぬということはあります。でございますから、問題は信用組合にそれをやったのが不適当かどうか、こういう判断の問題でございまして、預託したからといってそれが保管ではない、こういう議論には私はならないというふうに存ずるのでございます。なお、そういうことについて県会がどういう議決をしておるかという問題でございますが、それは私は調べておりません。今の建前から特別に制限せぬ限りは、議決が要らないというのがわれわれの見解でございます。特に制限して議決事項にしようとすれば、県は議決事項にできると思いますが、その点につきましては調査いたしておりません。
  114. 門司亮

    門司委員 それは小林君の法律論であって、だから私が最初から言っておるように、ある程度は裁量にまかせられておることは当然であります。しかし重要財産の売り払い、取得あるいはその他については必ず県の条例に待たなければならぬことはちゃんと法律に書いてある。福岡というのは大県であるから一億くらいの金は重要でなかったかもしれない、しかし私はそう簡単にこれを重要でないというわけにいかないと思う。何千万という金を預託しておりますし、同時にさっきから申し上げておりまするように、一つの目的があって預託する場合は、これは単なる保管ではないのであって、おそらく県議会としては、その目的の所在と金の使途というものははっきりしていなければなりません。だから知事はこの問題について当然知らないとは言われないわけである。預託してそうしてそれが住宅に使われる。これは使われるのでありまするから、事実上一つの投資でありますから、あなた方は銀行に預けて、それを保管と言われるが、保管は銀行を通じてあるいは信用組合を通じて、一つの事業を行うのであって、事実上は県が事業を行うのである。中小企業の融資もそうでしょう。ある銀行を通じて県が中小企業に融資を行うのであります。銀行が融資を行うわけではございますまい。その場合は当然その責任は県に出てくるはずであると思う。もしこれができないということになれば、国の融資なんというものは、融資ではなくなるんですよ。銀行を通じて融資しているでしょう。あれは銀行の融資ですか、国の融資ですか。だからこれは融資だということになれば、当然議会の議決を得べきである。そういたしておりませんと、御承知のように自治法の二百四十四条の二の出納長の責任のところにぶつかってくる。もしこういう大きな金が焦げついた場合に、二百四十四条の二が適用されるかどうか、出納長限りで仕事をしてあるいは副知事限りで仕事をして、そうして焦げついた場合にはそれだけでいいというわけにいかない。二百四十四条の二にはちゃんと知事が監督するように書いてある。だからこの問題は今の答弁のようにただ単に保管であったという自治庁の解釈は事実上の問題として私は成り立たないと思う。だから利子かせぎをするのなら、高い利子のところへ出せばいいのであって、例のこういう信用組合のような営利事業でない金融機関に出す必要は毛頭ない。利子かせぎなら、もう少し利子のかせげるところに出したらいい。だからこの場合は、住宅その他に融資することを目的として出したに違いない。そうすると県の資金の運用なんです。県の資金の運用が保管事務とは言えないと思う。これはもう少しこの際はっきりと答弁をしてもらわなければ、この問題はなかなか解決つきません。
  115. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは私はその預託というものの性質にもよると思うのでございまして、預託金を県の政策をやるために、長期にわたって——長期ということは一年以上にわたって行う、こういう前提で、たとえば農林中金なら農林中金に一億円の預託をして、その一億円を農林中金の資金として、農民の経営資金を貸し付けるという政策として、一億やるのならば、これは歳計現金の預託という観念で律することはできないと私は思います。だから県の予算ではっきりして、予算支出として出すべきものだと私は思うのでございます。そうでなしに、一般の県の予算執行上生ずる歳計現金をどう保管するか、そういう場合に、それは県の行政にも役立ち得るように利用するということは一向にかまわぬのでございまして、そういう意味の預託は歳計現金の保管利用の範囲を出るものだとは私は思いません。たとえば盆、暮れに短期の資金が非常に要る。その資金が信用組合なら信用組合にない。しかし次の月になれば当然にみんなの月給で返ってくるものがあるという場合に、ちょっととりあえず、一千万円歳計現金にゆとりがあってかりに預託するということになれば、これは預託、保管の範囲を出ておるということまで言うことは、私はそこは行き過ぎじゃないか、こういうふうに考えております。
  116. 門司亮

    門司委員 それは水かけ論で、幾らそんな答弁をしてもどうにもならない。この問題は、少くともここに三千万円、三千万円、四千万円と一億円の金が出ていることは事実なんです。そして、しかもそれは職員の組合がそれらの問題を必要としたものではないと思う。預託の場合は、県が利息をかせごうとする預託の問題、あるいはもう一つ預託の問題で重要なポイントというのは、県の財政運営のために、金庫だけではなかなかうまくいかない場合がある、自治体は一時借入をしなければならぬ、そういう場合に、取引銀行をあらかじめこういう形においてこしらえておくということは、政策上必要なのです。それだとすれば、単なる県の財政運営上の方法であって、事業資金として貸し出す場合には、これを混同してものを考えては私はいけないということです。今お話のような利子かせぎもあるでしょう。それから一時借入をしなければならないから、取引銀行をこしらえておくということも必要でしょう。そういうことは政策上あり得ると思う。しかしそれとこれとは性質が全然違うと思う。そうして今度貸し付けたのは銀行でなくて一つ組合なのです。だから組合の範囲というものと、銀行業務を営むものとはおのずからその範囲がきまっている。だからどう考えても、これは普通銀行でなくて県の支配下にあると言っては言い過ぎかもしれませんが、ある意味においては県の支配下にある金融機関に違いないのだから、そこにこういう莫大な金が融資されて、しかもそれがほかに流用されていたということになれば、これは私は非常に大きな問題だと思う。それをただ自治庁が、保管の範囲だからというようなばかばかしい答弁をされて、これが過ごされるかどうか、私は保管の範囲を確かに越えていると思う。明らかに融資の対象になっている。しかもその融資は当該金融機関で使われないで、目的以外にこれがさらに流用されておる。この責任は一体だれが負うのですか。その責任の所在を明確に一つ示しておいてもらいたい。その場合だれが責任を負うのですか。
  117. 小林與三次

    小林(與)政府委員 これは先ほどから申しました通り、保管と預託との関係は、いろいろ場合によって私は違うと思います。今の場合は、住宅協会に住宅金融公庫から当然に来るであろう資金のつなぎのために借りにやる。これは住宅金融公庫が当然借り受けがきまっておる金額について、工事の進捗に応じて来るのですから、そのつなぎに来るということがきわめて明瞭なものなれば、それはつなぎ資金に違いないのであります。そうではなしに、住宅協会自体が建築資金を獲得するというようなことで、寝かしてしまうようなものについてやるならば、私はそういう議論が当然成り立つであろうと思うのであります。
  118. 門司亮

    門司委員 もう私はこれ以上きょうは聞きません。あと一応調査がはっきりしてから聞きたいと思いますが、どう考えても今の自治庁答弁のようなことでは、私はこれを満足にそのまま承認するわけにいかない。いわゆる融資と保管というものは非常に私は違うと思う。県が政策的に単なる保管の意味で預けているのと、それから県が一つの事業を目的としてこれを預託した場合には、おのずから目的が違うのであって、これはいわゆる収入役の権限内に属しておりまする現金の保管だけではないのであって、明らかに政策として出されて、当然県議会の議決を経べきものである。これはどこでも私はそういう形になっていると思う。この手続を怠っておることについて、自治庁がそういうものの考え方で解釈をしておるということになれば、これは私は非常に大きな問題だと思う。自治庁は、施行令ではなく、自治法の二百四十六条でありまするかどこかに、やはり一つ規定があるはずでありまするが、財務については監視をする権限を持っておるのです。「監督」とは書いてない。字は「監視」と書いてある。この自治庁の持っている権限を行使する場合に、今の自治庁のような立場に立ってものを監視すれば、おそらく不正は私は起らないと思う。よほどこげついた場合か何かに二百四十四条の二が適用されて、そうして財務に携わった者だけが処罰される、こういうことだけが残されたのであって、まるっきり自治庁の監視とか監督というものは全然なくなってしまう。私は自治庁の監視という立場はそうしたものでなくして、実際上の問題としては、こういう目的以外にいたずらにむやみにお金の使われるようなことを、やはり明確にすべきである。しかもこの一つの重要目的で使うものが、単に運営である、保管であるというようなことになれば、仕事全体が全部保管であって、運営ですよ。どこの銀行に、どういうふうに幾ら出そうと保管だというなら、金庫なんか要りはしない。金庫の指定なんか要りはしない。金庫にはちゃんと担保をとっているでしょう。自治法の施行令にはちゃんと書いてあるでしょう。金庫を指定する場合には、金庫事務の取扱い者に指定されたものは担保を提供しなければならぬと書いてある。それほど厳重に金庫に対しては処置をとっておる。ところがそれが何も目的のないところに、ただ保管だということで、担保も何もとらないで貸すというようなばかばかしいことが考えられるかということです。それは一つの事業計画として、政策として出す場合に、そういうことが現にあり得るのである。そういう場合には当然責任の所在として、知事は議会にこれを諮って、県議会の議決を経て、そういうことを行うべきでなければ、これはどう考えても——自治法を全部読んでごらんなさい、あなたの方が商売人だからよく知っておるが、つじつまが合わぬでしょう。だから一つこの問題を——私はきょうこれ以上追及しませんが、至急、できるだけすみやかに調査を厳重にしてもらって、そうして問題の焦点は、これが検察庁に書類が行っておるからわからぬとかわかるとかいうようなものではございません。検察事務については検察庁がおのおのやるでしょう。あるいはこれは法務委員会なり決算委員会でやるでしょう。しかしこの問題は自治体自体の運営をどう健全化するかということが問題であります。そのことのために、今の自治庁答弁のようなことでは、これはもうどうにもならない。片っ方は、さっき申し上げましたように、金庫になろうとすれば担保を提供しなければならない。片っ方は財政の運営で幾らでもそこへ金を流すことができるといったようなばかばかしいことが考えられるかどうか。だからこういう点については、もう少し自治庁でこの際検討しておいてもらいたい。   〔中井委員長代理退席、委員長着   席〕
  119. 門司亮

    門司委員長 それではただいま大蔵省の政務次官足立篤郎君、並びに相沢主計官、堀口地方資金課長がお見えになっておりますので、これに対する質疑を継続したいと思います。永田君。
  120. 永田亮一

    ○永田委員 時間が大へんおそくなりましたので、簡単に御質問いたしたいと思います。  私は基地の交付金の問題について、自治庁並びに大蔵省の政務次官両所にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、基地の交付金の問題は、もうとっくに解決がついていると思っておったのです。ところがいろいろうわさを聞いておりますと、もうきまったようでもあるし、きまらぬようでもあるし、さっぱりよくわからない。それでこの際にその経過なり、あるいはそのいきさつをお尋ねしたいと思うわけであります。  基地の交付金の問題は、去年の二十四国会のときに、これと同じような、国有資産等に対する交付金、納付金の法律審議したそのときに、衆議院におきましても、参議院におきましても、附帯決議をつけて、その合理的な解決をすみやかにやるようにという要望をしたわけであります。もう御承知通りでありますが、今地方では固定資産税というものが非常に大きな地方税のウエートを持っており、市町村では固定資産税は税収総額の半分近くを占めておると思うのであります。それでその固定資産税というものは市町村の重要な自主財源になっておるということは、これはもう皆さん御承知通りであります。それが駐留軍がおる基地に使われておるとか、あるいは自衛隊関係施設に使われておる、そのために課税ができない。そういう市町村は、課税ができないというばかりでなしに、逆にそのためによけいな経費がたくさんかかる、こういう気の毒な状態であります。それでわれわれも国会において附帯決議をつけて、すみやかにこの解決をはかるようにということを要望したのであります。それに対して自治庁が非常に力を入れられておったということはよく承知しておるのでありますが、初めに自治庁の方で、この基地関係の交付金に相当する金額が三十二億円であるという数字を見せてもらいました。それでわれわれも、これは当然のことだというふうに考えておったのであります。ところが、この三十二億円がいつの間にやらだんだん減ってきて、十五億円になり、十億円になり、ふたを開けてみたら五億円ということになってしまった。まことにどうも心細い限りでありまして、そういうことになると、初めに自治庁の方で示された三十二億円というのは、一体根拠がなかったのか、あるいはそういうものはそんなに金額が必要でなかったのかどうか、そのことについて大蔵省があるいはちょっかいを入れて、無理やりにこれを削減をしたのじゃないか、果して五億円ということで、自治庁責任を持って行政的な処置ができるのかどうか、その経過を最初にちょっと承わりたいと思います。
  121. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 数字の問題だけ私からお答えさせていただきます。大蔵省に予算要求をしておりました当初の金額は、御指摘の通り三十二億円だったと思います。その数字は、調達庁関係でいっておられました三十億円に、防衛庁関係の数字二億円程度を加えました三十二億円でございます、当時から国有資産所在市町村交付金の対象になるようなものについて、私たちとしては考えておったのでございます。しかしながら、その分別、あるいは調達庁の考え方等がありまして、せっかく調達庁で三十億の数字を言っておられますので、それをそのまま一応は使っておったわけであります。しかし正直なところ、大蔵省に対しましては、中身は十五億ということを当初から申しておりました。といいますのは、司令部的なものでありますとか、ああいった行政機関的なものは私たちとしては対象からはずしたい、それをはずしますと十五億円になるわけであります。その十五億円の数字を大蔵省との間でいろいろ話し合いをいたしまして、最後に初年度五億、平年度十億ということで話し合いがついたのでございます。
  122. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 基地の交付金の問題につきましては、いまだ政府の方として原案が固まっておらぬことは、まことに申しわけないと思っておりますが、できるだけの速度でこの問題の原案を固めていきたいと考えております。先ほど永田委員のおっしゃいます通り、固定資産税は地方団体の税収入の非常に貴重なる部分でございまして、たまたまそれらの財源に恵まれない地方団体に対しまして、固定資産税を淵源とする地方財政の補給制度を、この前の国会におきまして創設したわけでございまして、その御論議の際に、特に駐留軍関係の基地の施設、固定資産、または自衛隊の飛行場、演習場等につきましても御論議があったということを承わっております。自治庁の方といたしましては、これらの御論議にもかんがみまして、鋭意固定資産税を淵源とする地方財政の補給制度の完璧を期したい存念で努力いたしている次第でございます。
  123. 永田亮一

    ○永田委員 金額の点はきまってしまったのであるから、あとからつべこべ言ってもしようがないと思うので追及いたしませんけれども、交付の方法についてちょっと承わりたいのですが、初め自治庁は非常な強い勢いで、この基地の交付金というものは固定資産税にかわるべきものであるから、国有資産等所在市町地の交付金、納付金のこれに準ずるのが当然だ、それでその法律の一部改正によって措置すべきだという強い主張をされておったと思うのです。ところが何かうわさに聞きますと、そういう主張を引っ込めてしまって、助成交付金とかいうような形になってしまったというようなことを聞くのですが、そのいきさつについて御説明を承わりたい。
  124. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 その点につきましては、御発言の趣旨と多少違っている点があるのでありますが、今日に至りましても、固定、資産税を淵源とする財政補給制度であるということにつきましては、これは自治庁は一歩といえども主張を変更いたしておりません。また変更すべき性質のものでもないのであります。ただし三十二年度予算計上のときに、いろいろ部内にも意見がございまして、この予算計上の名目が、基地所在市町村等の助成交付金というような名目になって予算に計上されておりまして、この法律措置が決定するまでの一時の経過といたしまして、そういう名目で大蔵省所管で予算計上してあったということでございまして、予算総則によって、これを所管省がきまったら、移しかえるというような経過をたどっておるだけでございまして、自治庁の方といたしましては、国会の御論議の点もございまして、こうした基地交付金を固定資産税を淵源とする財政補給制度であるという主張を軽々に変更しておることは全然ないのでございます。
  125. 永田亮一

    ○永田委員 大蔵省の方にお伺いしたいのですが、この問題が当然解決しておるべきものがいつまでもごたごたして、今まで長引いておるという大きな理由が、その所管の問題に関しておるというふうに聞いておるのです。それは大蔵省の方が何か調達庁がこの事務を所管すべきであるというような御意見だということを聞いておるのですが、果してそうなんでしょうか。私は調達庁というところはそんなことをやる役所じゃないと思うのです。調達庁設置法を見ても明らかなように、調達庁というところは条約に基いて日本の国に駐留する外国の軍隊の要求するいろいろな建物だとか設備だとか、物や役務、そういうものを調達するのが調達庁の役目だろうと思う。固定資産税に淵源を発しておるこういう交付金の問題は、調達庁がこれを扱うということは筋違いだと思うのですが、この点について大蔵省の御意見を承わりたいと思います。
  126. 足立篤郎

    ○足立政府委員 お答えいたします。最初にこの法案がおくれているじゃないかという御質問に対しまして、自治庁政務次官からお答えがあったようでございますが、地方行政委員の皆様にはこの問題について大へん御心配をかけて参りました。私どもも一日も早く解決をいたしたいと思いまして、できるだけの努力をして参ったつもりでございます。問題の本筋につきましては、九分九厘と申し上げていいくらい実は話し合いはまとまっておるわけでございまして、一日も早く国会提案をいたしまして皆様の御審議をわずらわしたいと思っておる次第でございます。ただ今御指摘の交付金の扱いの問題につきまして、政府部内におきまして意見の食い違いが若干残っておりまして、それがために法案の提出がおくれておりますことはまことに残念でございます。まだ政府部内の調整の段階でございますので、その政府部内の打ち合せの内容を、法案が出ておりませんのに、ここで申し上げるということもちょっといかがかと思いますが、御指摘でございますので、私ども考え方だけを申し上げてみたいと思います。  もともと調達庁におきましても、御承知通り基地問題の解決等に手を焼いておりまして、かねて自治庁がお考えになったのと同じようなこの種の助成金をぜひ予算に組んでもらいたいという強い要望が大蔵省にあったのでございまして、自治庁側の御要望と調達庁側の御要望とあわせて、額は少くなりましておしかりをいただいたのでございますが、とにもかくにも今までやったことのない予算を一応計上いたしまして、自余の手続等は今自治政務次官のおっしゃったようなことで処理いたしたいというつもりで計上いたしたような次第でございます。さようないきさつもございますので、大蔵省といたしましてはやはり調達庁が基地問題に関与いたしております特殊な任務と申しますか、立場も考慮しながらこの問題の円満な解決をはかりたいというので努力をして参ったのでございます。従いまして今お話のありました関係市町村に対する助成という意味からいたしますと、やはり自治庁地方自治体の財政事情等は一番詳しいわけでありますから、基本的には自治庁の査定といいますか、自治庁考えに従って配付すべきものであると、私ども考えておるわけでございますが、今ちょっと申し上げた通り、従来の経緯にかんがみまして調達庁あるいは、今度の法案には自衛隊の持ち飛行場あるいは演習場等も同様な扱いをいたしたいという考えをいたしておりますので、防衛庁あたりの考え方もこれに織り込まなければならないということは当然であろうと思いますので、こういう点をどういう形でどういうふうに合理的に盛り込んで両者今後うまくやっていけるようにするか、また地方自治体の立場から見ても、矛盾のない扱いができるかということにつきまして、今最後の打ち合せをしておるという段階でございますので、できるだけ早く処置をきめまして、法案を一日も早く御提案申し上げたいと考えておる次第であります。
  127. 永田亮一

    ○永田委員 調達庁が全然関係がないとは私は申しませんけれども、しかしこの交付金というものの性質が、何といっても固定資産税にかわるべきもの、こういう趣旨から出ておるものでありますから、この性格がはっきりつかめておるならば、調達庁がこれに関与するというのは私は筋が違う、こういうふうに考えるわけであります。  それから大蔵省に一つお伺いしたいのは、提供財産の法律上の所管庁は調達庁ではなくて大蔵省だと思うのです。調達庁にこういう助成金の交付義務を所管させるという理由は、そういう意味からいってもないのだというふうに考えるのですが、いかがですか。
  128. 相沢英之

    ○相沢説明員 調達庁が現在管理しております駐留軍に対する国有の提供施設は、これは所管といたしましては大蔵省の所管の普通財産が大部分でございまして、中に一部行政財産も入っております。従いまして大部分は普通財産として大蔵省の所管になっております。ただ現実の問題といたしましては調達庁がこれらの提供施設の全体の管理をやっております。そういう形におきまして調達庁と直接的には最も関係の深い財産となっております。
  129. 永田亮一

    ○永田委員 調達庁に直接関係があると申されましたが、これもくどいようですが、この交付金というものの性質が地方の固定資産税にかわるべきものというところから出発している。それを忘れて、関係があるとかないとかいうことで調達庁にこの所管を移すということは、これは本末転倒しておると思うのです。だからぜひともこれは自治庁で扱うべきものだと考えております。それでこの交付金の決定事務、交付する事務というものは同じ行政庁で所管させるのが当然のことなのです。だからこの決定と、それから決定されたものを処分する、これを一貫して自治庁がやるべきものだと考えておりますが、自治庁はいかがお考えですか。
  130. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 御説のごとく自治庁の方としても大体考えておりますが、なかなかいろいろな事情がございまして、まだ決定に至りませんことを遺憾に存じております。
  131. 北山愛郎

    ○北山委員 実にこの段階になって奇態なことを承わるものだと思う。予算審議の過程においてこの五億円の性格がどういうものか、これはすでにこの委員会においても、おそらくよその各委員会においても自治庁長官ははっきりと言明しておるはずなのです。今永田委員お話しになったように、この問題はいわゆる基地関係の所在の市町村がいろいろ運動をして、そうして固定資産税に対する交付金の制度ができた以上、やはりこれに準ずるものとしていわゆる固定資産税的性格を持ったものとしてやってもらいたいというところからこの制度が出てきた、そういうふうにこれは答弁しておるのですよ。ところが今の段階になって政府部内においてそういう不統一な言明をされておる。私は実は予算審議の段階において、やはり例の海外財産の補償問題と、あの五億円がつかみ金じゃないか、この内容をきめないうちは予算審議はできないのだという強い意見もあった。しかし自治庁の方でも大体政府部内の意見を統一したものだということであったので、あえて問わなかった。しかるにこの段階になってから、まだ自治庁と大蔵省の意見が合わない。合わないばかりでなくて、当初何も考えられておらなかった調達庁に基地対策費として使わせるというように大蔵省の見解が変っておる。そういうことでは私はこれは大問題だと思う。私は自治庁長官がやはり統一した政府の見解として述べたのだと思う。それを今さらひっくり返されるようなことでは困る。そうだとすれば一体どっちがほんとう政府の見解なのか、もしもそれがひっくり返るようなことがあれば、今までの自治庁長官の言明、見解というものはうそということになり、大臣の不信任案を出さなければならないような結果になると思う。ですから今の政務次官の御答弁は、われわれが当初想像もしなかったような方向に発展していっておる。調達庁なんかとんでもない話です。基地対策なんか全然表面には出ておらなかった。従って所管をどこにするお考えなのか、それから法案を出すのか。もし法案を出したなら当委員会はひっくり返しますよ。当初の言明と違う。法案を出すのか出さないのか、所管を一体どこにするのか、その点一つここでお考えを述べていただきたいと思う。
  132. 足立篤郎

    ○足立政府委員 私が先ほど調達庁の関係します面といたしまして、基地対策と申し上げました。そのような予算要求が強く大蔵省にありましたので、その経過をありのままに申し上げたのであります。それであるから、大蔵省は調達庁の肩を持っておるというわけではありません。実は当初法案を出すか出さないかということにつきましても、政府部内におきまして相当議論があったわけでございますが、法案は出すことにきまりました。また所管につきましては、自治庁に所管していただくということについては間違いありません。ただ先ほど私申し上げました通り、私ども今までも予算要求を受けました調達庁が、実質面として関係のあることは間違いございません。あるいはさっきちょっと敷衍して申し上げました自衛隊の飛行場、演習場等の問題もございますので、こういう点に関して自治庁が所管をいたしますが、どのような形でどういう方法で、こういう関係各機関の意見をうまく調整して円満にいくようにするかということについて、今最後の事務的な、むしろ取扱いにつきましての論議をしている段階でございまして、これは一日も早く解決いたしたいと思っております。
  133. 鈴木直人

    鈴木(直)委員 関連して。今の御答弁関連してですが、調達庁からも三十二億要求していたことは事実であります。しかしながらその内容が、この固定資産税にかわるべきものとして要求しておるものであるかどうかについては、先ほど奥野君も同じような内容のものに説明しておりましたが、実はこの点については私たちはよく知らなかった。これは先ほど皆さんがお話しになった通り、昨年の三公社課税の際に、基地関係の安保条約に基いたものについては、三公社課税は適用しない、こういう条項があるわけです。御承知のように法律の中にあります。ところがそれを審議する過程において、政府はそういう案を出してきた。しかしながらそれはいけない、これはこの次の国会において、今の法律趣旨がその国会において無修正で通すということになっておるから、やむを得ず安保条約に基いたところのものは三公社の中には入らないという条項は認めておこう、しかしながらこの次の国会においてはそれをやめて、そして基地に対するところの固定資産税態容のものは——そのときは課税です。交付金じゃありません。課税の対象にしよう、納付金、交付金の対象にしようというような地方行政委員会、それから自民党の政務調査会全体、党としてそういうふうに一応決定しまして、総務会も通過しまして、そしてそれが修正案として載っておったのですけれども、その修正案をやらないということになりましたから、附帯決議の中に入れ、衆議院においても参議院において附帯決議として通ってきておるわけです。従ってその附帯決議の内容というものは、今三公社課税の中に、安保条約に基いたものの基地には交付しないという条項がある。その条項を修正するというのがその内容なんです。ところが調達庁においてはそういう法律があるじゃないか、そういうやらないという法律があんだから、今度新しく通った予算というものは、この三公社課税のものじゃないのだ、別途の性格なんだ、こういうようなことを強く言うておるようです。やらないという三公社課税に対する法律がちゃんとあるのだから、従って法律に従うならば、今度の予算というものは、そういう性質のものではないという議論が立ち得るのです。しかしながら経過から見るとその修正案の予算です。従ってこれに対する付則なりあるいは本則なりに修正を加えて、そしてこの前に国会を通ったものの修正をしようという、立法措置考えつつ予算は先に通った、こういう経過にあるので、先ほど永田君が言われました通り、この内容はやはりその修正の内容の予算にあるわけです。従って今度はそれを修正せずして別個の立法措置をするというような政府部内の話であるようでありますが、その点について実はわれわれは不満であります。しかしながら政府部内が何かそういうまとまりつつある動き方をしておるならば、どこまでもやはり固定資産税にかわるべき交付金、納付金のものに従って、一定の数字を自然的に計算をして割り出されるべき性質のものであって、政治的にそのときの模様によって、つかみ金として地方団体の泣いているものを泣きやますというようなものに使うべきものではない。そういうふうに使ったならば、今度の予算というものは非常に醜いものになってくるというように考えるので、どこまでもやはり一定の、固定資産税の半額でよろしいのですが、そういうふうなものをちゃんと基準をきめて計算したものによって、自動的にそれが市町村に交付されるという、正しい規則のもとにこれは実施さるべきものであるというふうに私たちは信じておるのです。従って内容はもうきまっておるということでありますが、しからばそういう性質のものであるならば、やはり地方財政をやっておるところの自治庁がやるべきものである、筋から見てそういうふうに考えておるわけです。  それからもう一点簡単に申し上げますが、大蔵政務次官が今度の予算の過程において、両方がおやりになったということでありますが、確かにそれは出ておりました。最初にわれわれの党の政調会には、一方三十二億、一方は十五億出ていた。しかしながら予算を査定する場合において、地方行政部会においては、この基地の交付金というものを最も重要なものとして、最初から最後まで大蔵省に要求したのです。ところが一方の調達関係におきましては、最初はそういう要求はありましたが、そのうち他の面の要求が調達庁としては重要性があったと見えて、そういう方面の予算は穫得しましたが、その予算を穫得した後におきましては、この交付金に対する要求は全然大蔵省に行わなかった。途中においてそれは消えてしまったという事実であります。従って調達庁が出したというけれども、最初出しただけだ。中途においてそれは消えて全然努力しておりません。そして最後の日に自治庁長官に大蔵大臣のところに交渉に行ってもらって、そして大蔵省において大臣大臣との間において交渉して五億円になったというのが事実なんです。そのときには飛行場、演習場だけはどうも法律的には困難かもしれない、こういう話であった。あとは交付税制度でも理論的にはよろしい、ただ二つだけはどうも法律的に疑問であるという池田大臣お話があった。そういうことで政務調査会にも入りまして、結局この予算が五億円になったという経過があるのでありまして、予算を調達庁からも出しておって両方でこれをとったものである、こういうような経過を話されましたが、その経過は私が申し上げたような経過なのでありまして、調達庁は途中で消えてなくなったものである。そうして最後までがんばって二億五千万、それからまた二億五千万をとって五億にした、こういう経過なのでありますから、その経過もよくわかっていただきまして、ぜひ本質的な筋を通していただきたい、こういうふうに思います。
  134. 北山愛郎

    ○北山委員 ちょっともう一点お伺いしておきますが、先ほど大蔵政務次官お話ですと、自衛隊の施設にこの五億が使い得るようなお話に聞こえたのですが、そうなんですか。
  135. 足立篤郎

    ○足立政府委員 おっしゃる通り考えております。
  136. 北山愛郎

    ○北山委員 しかし私も記憶がはっきりしておりませんが、予算の項目の中にはたしか安保条約の関係説明が書いてあったように思うのですが、自衛隊のことは書いてなかったように思うのですが、どうでしょう。
  137. 足立篤郎

    ○足立政府委員 よく使う言葉でありますが、等という字を入れておきまして、そういうこともあり得べきことと予想いたしておりました。
  138. 亀山孝一

    亀山委員 だんだん基地交付金の問題について御論議になっておりますが、大体いつごろに政府はこれを当委員会に提出されますか、そのお見込みをはっきりお伺いしたいと思います。
  139. 加藤精三

    ○加藤(精)政府委員 非常に正確に予言はできないのでありますが、今、明日中に急速に解決いたしまして御提案をいたすようにしたい、そういう考えでございます。
  140. 亀山孝一

    亀山委員 三月六日以来この問題を論議して参ったわれわれとしては、非常に早く政府提案されるものと期待しておりましたが、いろいろ事情もおありかと存じますが、今週中には一つ何とかして提案されるように当局の御努力を期待いたします。
  141. 北山愛郎

    ○北山委員 これは先ほども申し上げた通りで、もしも出される法案の内容が今まで自治庁長官等の言明されたことと食い違うことになれば、相当責任問題なんかも出ますから、速記録などをよくお調べになっておやりになっていただきたいと思います。
  142. 門司亮

    門司委員長 それでは明四月三日は午前十時三十分より委員会を開くことといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十四分散会