○
奥野政府委員 地方税法の一部を
改正する
法律案要網を提出いたしておりますので、その要綱に基きまして
説明さしていただきたいと思います。
その一は
住民税に関する
事項でございまして、(1)が「
所得税の
減税に伴い自動的に生ずる
住民税の
減収をできるだけ回避するため、
住民税所得割の
標準税率を
昭和三十三
年度百分の二十六、
昭和三十四
年度以降百分の二十八に、
市町村民税の
制限税率を
昭和三十三
年度百分の二十二、
昭和三十四
年度以降百分の二十四に調整するものとすること。」としていることでございます。
所得税について大幅な
減税が行われます
関係上、第一
方式の
標準税率等をそのままに据え置きますと、平
年度二百十六億円の
減収を生ずることになるわけであります。
地方財政の
状況が積極的に
減税を大幅に行いますことを許しませんために、これを補てんしなければならない。補てんするにつきましては、他の財源をもって埋めるという
考え方もあるわけでありますけれども、何といいましても
住民税というものが
自治団体の税の基本をなすものだという
考え方からいたしますと、
住民税のウエートをあまり引き下げることは適当ではない、こういう
考え方を持っておったわけであります。同時にまた
臨時税制調査会等におきましていろいろ論議を重ねられました結果、二七・八%
程度まで調整することが適当ではないかというような
考え方が答申にも現われて参っておりますので、その線に沿いまして
標準税率を二八%に調整することにいたしたわけであります。しかしながら、それによりましてもなお相当な
減収が生ずるわけでありますけれども、
所得税の
減税の
精神からいいまして、やむを得ないというふうに考えております。
なお後段の「この場合において
道府県民税所得割の額及び
市町村民税所得割の額に
当該所得割の
課税標準となる
所得税額を加えた額が
課税総
所得金額の百分の八十に相当する額をこえることとなるときは、
道府県民税所得割の額と
市町村民税所得割の額が
当該課税総
所得金額の百分の八十の額に相当する額から
所得税額を控除した額に相当する額となるように、それぞれの額をあん分減額するもの」としようといたしております。要するに
所得課税でありますところの
国税の
所得税、
道府県民税の
所得割と
市町村民税の
所得割の三つの合計が、
課税総
所得金額の八割を越えるようなことにはならないようにしておこう、こういう
趣旨であります。
現行法によりますと、
所得税の
累進税率の
限界が六五%であります。なお
住民税が合わせまして
所得税額の二一%であります。
所得税額の二一%でありますから、
最大のところでは、
所得税の
最大の六五%に二一%を乗じました
所得に対しては一三・六五%ということになります。
所得に対する一三・六五%という
住民税の率と、
所得税の
限界税率の六五%を加えますと、七八・六五%ということになるわけであります。
現行制度で行きました場合には、
最大七八・六五%まで
所得課税が行われることになっております。ところが今回の
改正では、
所得税の
限界税率を七〇%に引き上げることにいたしておるわけであります。さらに
住民税が二八%まで引き上げられる。七〇%にこの二八%を乗じますと、
課税総
所得金額に対しましては、
住民税において一九・六%まで
課税されることがあり得るということになるわけであります。これに
所得税の七〇%を加えますと、八九・六%になって参るわけであります。そこで
累進税率を強化いたしましても、なお二〇%
程度のものは
個人の
所得として留保しておくべきではないだろうか、こう考えられますので、そこで現在の七八・六五%というものを
基礎にいたしまして、八割は越えないようにしよう、八割を越える場合には両
住民税を按分減額しよう、こういう
規定を設けようとしているわけでございます。
その(2)は「
市町村民税所得割を
課税総
所得金額又は
課税総
所得金額から
所得税額を控除した
金額を
課税標準として課する場合における
税率は、
次表上欄に定める
金額の
区分及び
当該区分ごとの
金額に応じて順次
適用されるべき同
表下欄に定める率に準じて、
当該市町村の
条例で定めるものとすること。」であります。第二
方式、第三
方式につきましても、
市町村としてよるべき
基準を
法律の上で明らかにしておきたいと、かように考えているわけであります。現在でも
条例準則というようなものを示しているわけでありますけれども、
条例準則というような
程度では、
市町村の議会において審議します場合に、なおそのようなものが明らかにはわからないわけであります。そこで
法律によってそのことをよくわからせて、どの
程度の
負担が適当であるかという判断の
基準を与えておこう、こう考えているわけであります。しかしながらこのような率で強く
課税するという
考え方は持っていないわけでありますので、
表現といたしましても、これらの
金額の
区分や率に準じて
市町村の
条例で定めるんだ、こういう
表現をいたしているわけであります。
所得段階を刻むのにどのような
刻み方をすることが適当であるかということについて、いろいろ
考え方があるわけでありますが、一応
所得税の場合におきまする
段階区分に従ってこの
刻みを定めているわけであります。
(3)は「前項の
課税標準の
金額の
段階区分及び率は、
昭和三十二
年度及び
昭和三十三
年度においては、それぞれ
次表のとおりとすること。」ということにして、経過的な
措置を
規定しているわけであります。これらをごらんいただきますとわかりますように、三十二
年度の
税率よりも三十三
年度の方が下っているわけであります。さらに平
年度の方が一そう下って参っているわけでありまして、このことが、第一
課税方式におきまして
標準税率を引き上げているけれども、
課税標準そのものが大幅に下っているものだから、実質的には
減税になっていくんだということが了解していただけると思うのであります。
参考に夫婦及び子二人の
給与所得者のところで五十万円の
段階を調べていきますと、
改正案では、
初年度で二千九百三十五円の
税負担の
軽減、平
年度では三千八百十三円の
税負担の
軽減になるわけでありまして、
軽減の
割合が、
初年度では二六・六%、平
年度では三四・六%になっております。これらの
数字は冊子にしてお配りしております
改正関係の計数の中に加えておりますので、御承知いただきたいと思います。
(4)が「前二項によって
所得割を課する場合においては、
現行のとおり、
当該市町村の
税率によって算定した
所得割の額が、
課税標準額の、それぞれ第
二
課税方式にあっては百分の七・五、第三
課税方式にあっては百分の十五の額に相当する額をこえることとなるときは、それぞれこれに相当する額とすること。」、
最高課税額の
制限は
現行法に従って残しておきたいというふうに考えております。ただ
所得段階ごとについての
制限税率は従来と同じように
規定はいたさない。やはり第二
課税方式、第三百
課税方式の
精神であります幅広い
課税の
方式はそのまま残しておきたいというふうに考えておるわけでございます。
(5)は、「総
所得金額から
基礎控除のみを控除した
金額又は
当該金額から
所得税額を控除した
金額を
課税標準として
市町村民税所得割を課する場合においては、
市町村の
条例の定めるところによって
扶養親族の数に応ずる
税額控除を行うものとすること。」であります。
現行法では
扶養親族の数に応ずる
税額控除をすることが、必ずしも法にうたわれておりませんために、
ただし書きによる
課税方式をとっておる場合には、
扶養親族の多い、
生活費のよけいかかる
人たちが結果的にはかえって
負担が多いというようなことになりますので、
ただし書きを使う場合でも
扶養親族の数に応ずる
税額控除はやらなければならぬのだということをうたっておきたい、かように考えております。その
金額は
条例の決定にゆだねた方が、
市町村の
状況も区々でありますので穏当ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
(6)は、「
給与支払報告書が
提出期限までに提出されなかったこと、その他特別の事情がある場合においては、
市町村長は五月三十一日後においても
特別徴収税額を
通知することができるものとし、その
通知のあった場合においては、
特別徴収義務者はその
通知のあった日の属する月の翌月から翌年の三月まで毎月
当該特別徴収税額の
月割額を徴収して
市町村に納入しなければならないものとすること。」とすることであります。五月三十一日後に
特別徴収税額の
通知を余儀なくされる場合もあり得るわけでありますので、その場合においてはその
通知の翌月からの
月割で徴収するのだということをはっきりさせておきたいと考えておるのでございます。
第二の
事業税に関する
事項であります。
その(1)は「
中小企業法人の
事業税負担を
軽減するため、
所得を
課税標準とする
事業を行う
一般法人についてその
標準税率を次のように引き下げること。」であります。
所得のうち年五十万円以下の
金額は
現行の百分の十を百分の八にし、
所得のうち年五十万円をこえ年百万円以下の
金額は
現行の百分の十二を百分の十にすることでありまして、その他は
現行のままに据え置くわけであります。
利益を上げております
法人、いわゆる
利益法人のうちの八割ぐらいまでは
年所得は百万円までのものでございます。従いましてこの
税率の
軽減というものはほとんど全部の
法人に
適用になるというような
表現もできるのではないだろうかというふうに考えております。
その(2)は、「
個人商工業者の
事業税負担の
軽減を図り、あわせて業種間の
事業税負担の不
均衡を是正するため、第一種
事業を行う者の
課税所得のうち年五十万円(
基礎控除前の
所得年六十二万円)以下の
金額については、その
標準税率を自分の六(
現行一律に百分の八)に引き下げること。」にいたしておるわけであります。
個人商工業者の場合におきましても
基礎控除前の
所得年六十二万円をこえるような人ということになって参りますと、全体では三%にもならないのではないだろうかというふうに見込まれるのでございましてやはりほとんど全部の
人たちにつきまして同様二%の
負担の
軽減になるのではなかろうかというふうに思っておるのでございます。なおまた
戦前の
商工業に対しまする
租税負担としては
営業税があったわけでございますが、
国税の
営業税や
地方税の
営業税付加税あるいは
都市計画税制、そういうものを合せました
負担と現在の
事業税の
負担を比べて参りますと、
年所得三百三十万円ぐらいから下の人は全部
戦前よりも下って参ってきておると考えております。
事業税につきましても
戦前よりもむしろ
軽減されるようにこの
改正の結果なって参るわけでございます。
その(3)は、「
パス事業との間における
負担の
均衡を図るため、
地方鉄道事業及び
軌道事業の
課税標準を
所得(
現行収入金額)に改めるものとすること。」でございまして、その結果ほとんど大
部分の鉄、
軌道につきましては
税負担が
軽減されるということになり、平
年度で五億円ぐらいの
減収になるわけでございます。
その(4)は「
公衆浴場を第三種
事業とするものとすること。」でありまして、
クリーニング業や
事業場と同じように第三種
事業にしろという御
意見が従来から強かったわけでございますが、
公衆浴場の性格にかんがみまして、そのような
措置をとることにしたわけでございます。ただ特殊な温泉がございますので、そういう
浴場は従来通り第一種
事業に残しておくことにいたしておるわけでございます。そういう
浴場におきましては
料金も
割合に高く取られているようでございます。
第三は
娯楽施設利用税に関する
事項でありまして、その(1)は「
スケート場を法定の
課税対象施設の範囲から除くもの」でございます。
スケートが
大衆化されたスポーツになってきておる
関係から、従来の御
意見に徴しまして、除外することにいたしておるわけでございます。
その(2)は「
ゴルフ場の
利用に対する
課税については、
条例の定めるところにより、
ゴルフ場の
利用の
日ごとに
定額により
課税することができるものとし、その
標準税率を一人一日につき二百円と法定する」ことにいたしております。
ゴルフ場の
経営の仕方が、入会しようとします場合には株を持ったり、あるいは
入会金を払ったり、また入ってからにおきましても
年会員の定めがありましたり、あるいは
入場料には
会員、非
会員の
区分があるとか、いろいろ相違がございますので、現在のような
利用料金の五割
課税ということでは、どうしても
課税標準の把握に適正を欠きまして、不
均衡を招来するわけでございます。そこで一人一日につき二百円というような
定額課税をすることができるようにいたしたいわけでございます。現在の実績でいきますと、九ホール以上の
ゴルフ場を全部平均して計算をいたしますと九十八円くらいにしかなっていないわけであります。しかし
利用料金と目されるようなものを合計いたしまして
利用者の員数で除して参りますと、百九十九円というような
数字が得られますので、ここで二百円と法定いたしたわけであります。
四は
遊興飲食税に関する
事項であります。その(1)は「
旅館における一人一泊の
料金が八百円以下である
宿泊及びこれに伴う
飲食に対しては、
遊興飲食税を課することができないものとすること。なお、
基礎控除額は、
現行の五百円を据え置くものとすること。」であります。
標準料金が五百円以下であるというような
旅館がやはり全体の半分くらいあるようでございますが、さらに
標準料金が八百円以下の
旅館というものを調べて参りますと、八二・三%にも及んでおるわけであります。そういうようなところで
宿泊する、ほんとうの
大衆の
宿泊については
課税をしないように持っていった方がよろしいのではないか、こういう与え方から
免税点の
制度を新たに設けまして、八百円以下については
課税をしない。そのかわり残った
部分については一律
課税をいたしたい。その結果は若干
負担のふえる面があっても、その
負担の
程度というものがまあがまんしてもらえるものであればやむを得ないのではないだろうか、こういう
考え方で
遊興飲食税の
改正案を立案いたしておるわけであります。要するに
遊興飲食税を
減税しようという建前から
改正案を作っているわけではございませんで、
遊興飲食税の今の
税務行政をぜひ
合理化したい、また
負担の
均衡をはかりたいという見地からこの
改正を行なっているわけでございますので、真の
大衆につきましては、あるいは三%なり五%なりの
税金なら、
負担してもらって
負担してもらえないことはないのじゃないだろうか、こういうふうに考えられるものがありましても思い切って
課税からはずしてしまう。そのかわり多少、十円ないし二十円
税金がふえる
部分が出てくるけれども、しかし全体の
合理化のためにはがまんしてもらえないだろうかと思われるような
部分につきましては、若干
租税負担がふえるものもあえて押し切って、このような
改正をいたしたいという
考え方に立っておる点を御了承願いたいのでございます。
その(2)は「
飲食店、
喫茶店その他これらに類する
場所及び
旅館における一人一回の
料金が三百円以下である
飲食及びその他の
利用行為に対しては、
遊興飲食税を課することができないものとすること。」であります。
旅館の場合と同じように
免税点をさらに引き上げまして、真の
大衆の
負担は避けるようにいたしたいと考えておるわけでございます。
その(3)は「あらかじめ
提供品目ごとに
料金を支払う
飲食については、
一品の
価格が百五十円以下のものに対しては
遊興飲食税を課することができないものとし、
標準税率は、百分の十とすること。」であります。
免税点の引き上げの
程度がちょうど五割でございますので、
一品の
価格につきましても五割を引き上げまして百五十円といたしたい、かように考えておるわけであります。そのかわり
税率は、
現行の五%を一〇%に
改正いたしたいわけであります。
その(4)は「
飲食店、
喫茶店その他これらに類する
場所における
飲食及びその他の
利用行為で一人一同の
料金が三百円をこえ五百円以下のものであっても、三百円をこえるものについては、
公給領収証を交付するものとすること。」であります。
普通飲食の場合は五百円以下の
部分について、
公給領収証を交付する必要がない、そこが非常に不公平だということで、他の方面からいろいろ非難されておったわけであります。また非難にももっともな点がございますので、
免税点を上げる機会に
全面適用に
改正をしたい。しかしながら実際問題として三百円をこえるような人が、ときたまにしかその店には現われないというようなところにまで一律に
公給領収証制度を強制することは適当でありませんので、そういう
部分につきましては政令で、
除外規定が設けられることになっておるわけであります。
その(5)は「
課税客体ごとの
標準税率の
区分を次により単一化すること。」でありまして、
芸者その他これに類する者の
花代も、
料理店、貸席、
カフエー、
バーその他
当該道府県の
条例で定めるこれらに類する
場所における
遊興、
飲食またはその他の
利用行為の
料金と同じように百分の十五に
税率を単一化いたしたい、かように考えておるわけでございます。法文の上では「
芸者その他これに類する者」と書いてありますが、これに類する者ということになりますと、
実態からいいまして
料理店の
遊芸仲居でありますとか、あるいは
カフエー、キャバレー、
バー等におきますところの女給、こういう者も一緒に考えるのがむしろ至当ではなかろうか、こういうふうにも思われるわけであります。ところがそういう
人たちにつきましては、
芸者の場合のように時間
ぎめの花代の
制度がありませんで、
指名料が幾らであるとか、あるいはまた消
資金額の二割を
料金に加算して、そういう
意味の
サービス代として徴収するとか、いろいろなやり方が行われておるわけでございます。いわゆる
花代の形で
料金を徴収しておりませんので、自然また4の項の中にも入っていないわけでございます。その結果非常な不
均衡ができておるわけでございまして、今申し上げました者の方が、むしろ人数としてははるかに多いわけでございますが、それらにつきまして
花代式の
課税をやろうとすることは、
経営形態について税の面から変更を強要するということにもなって参るわけでございまして、とうていできる問題でないと思うのであります。たまたま現在の
芸者その他これに類する者の
花代式で
料金をとっておる者についてだけ三割
課税を行なっております
関係上、あるいは第二検番ができますとか、あるいは
経営の
形態を変えていくとかいうことによって、ここへ来ておるものがたくさん生じて参ってきております。そういうようなことから考えますと、むしろ全
消費金額を一括して抑えまして、そうして一五%という単一の
税率を
適用していった方が、さしあたりは
減収を生ずるだろうけれども、将来に当っては適切な
課税を行えるようになって増収が期待できるのではないか、こういう
考え方を持ちましてこのような
改正をいたしたいと考えたわけであります。
なお御
参考までに申し上げますと、
戦前は
芸者の数が八万くらいあったわけでございますが、逐年減って参りまして、現在では二万五千人くらいになっておるわけでございます。それではそういう
関係の者が減ったかといいますと、むしろ全体といたしましては非常にふえておると思われるのでありまして、形が変ってきておるということでございます。(ハ)の「
旅館における
宿泊及びこれらに伴う
飲食の
料金」につきましては、一人一泊の
料金が千円をこえる場合、また(ニ)の
普通飲食の場合の一人一回の
料金が五百円をこえる場合には一〇%であり、それ以下の場合には五%というふうな二
段階の
税率になっておるわけでありますが、二
段階の
税率にしておる結果、店によってはこれらの五%の
適用を受ける店と、先ほど申しました
料理店等におきます一五%の
税率の
適用を受ける店との間で、むしろどちらにおける
飲食に多くの
負担を求めたらよろしいかということについて、逆の場合もたくさんありまして、場末の
小料理店と、
東京会館とか帝国ホテルとかいうところと比べて参りますと、
金額によって五%から一五%までの開きというものが必ずしも適正でないという感じさえも持たれるわけであります。そこでなるべく
両者の
税率の幅を小さくしたい。そうすると一〇%、一五%というふうになってくると思うのでありましてそのかわりに今まで五%の
適用を受けていた
部分で真に
大衆的なものは
課税からはずしてしまう、こういう
考え方をとりたいと考えております。
第五は、
固定資産税に関する
事項でありまして、その(1)は「
外航船舶に対する
固定資産税の
課税標準を
価格の六分の一に相当する額に引き下げることとし、これに伴い、
外航船舶以外の
船舶に対する
固定資産税の
課税標準を
価格の三分の二に相当する額に引き下げること。」にいたしておるわけであります。
外航船舶につきましては、
外国の
税制と
わが国の
税制とが違っております
関係上、
固定資産税を
外航船舶に
課税をしていない国との間におきましては、
わが国の
競争力に若干劣るものが出て参ってきておりますので、そういう
意味において
外航船舶に対する
固定資産税の
負担をやめてもらいたいというような
意見もいろいろあるわけであります。しかしこのこと自体にも問題がございますので、この際従来の
負担をさらに半減したい。しかし
港湾所在市町村としては困って参りますので、特別とん税を設けまして、
外国船舶にも特別に
税負担をしてもらいまして、その
収入額は全額を
開港所在の
市町村に譲与する
制度を設けることによって、その補てんをいたしたいというように考えておるわけであります。
その(2)は「大
規模償却資産に対する
市町村の
課税限度額を次のように改めるものとすること。」でありまして、この
部分と、それから(3)の「大
規模償却資産に対する
市町村の
課税額を保障するため定められる前
年度の
基準財政需要額に対する
割合は、
現行の百分の百二十を百分の百三十に引き上げること。」この
両者を合せまして、
両者ともにこの
制度を設けましたときの
経過措置として、比較的に
市町村の
課税額を広げておったのをそのまま恒久化いたしまして、
市町村の
実態に沿うように
課税の額を広げたい、かように考えておるわけであります。
その(4)は「新たに建設された工場及び
発電所の用に供する
償却資産で大
規模償却資産に該当することとなるものに対する
所在市町村の
課税限度額については、
当該市町村の
基準財政収入見込額が
当該市町村の前
年度の
基準財政需要額の、それぞれ当該
償却資産に対して
固定資産税が課されることとなる最初の
年度及び第二
年度にあっては一分の百八十、第三
年度及び第四
年度にあっては百分の百六十、第五
年度にあっては百分の百四十の額に達するまでに増額するものとすること。この場合において、一の納税義務者が当該大規模の
償却資産とそれ以外の
償却資産とを所有するときは、
両者を
区分し、当該大
規模償却資産についてのみ
適用するものとすること。」であります。現在は特に限られたものについてだけ、こういう建設当初の経過的な
市町村の
課税限度額の拡張をやっておるわけでありますが、それを全体的に広げまして、こういうものが新設された当座は、
市町村としての財政需要も多いわけでありますので、その
実態に即するように改めることを考えておるわけであります。
その(5)は「自治庁長官又は道府県知事の評価に係る固定資産で、納税義務者の申告遅延等のため、当該固定資産の
価格等の
通知が遅延する場合においては、
市町村は、前
年度の
固定資産税の
課税標準額を仮に
課税標準として算定した額の二分の一の範囲内で当該
年度分の
固定資産税を仮に徴収することができるものとし、自治庁長官又は都道府県知事から
価格等の
通知が行われた場合においては、その
通知が行われた日以後に到来する納期において、税額の調整を行うことができるものとすること。」であります。発電
関係の施設でありますとか、あるいはまた鉄道、
軌道の施設でありますとか、あるいは
船舶でありますとかいうものでありまして、自治庁長官が評価をして
関係市町村に価額を配分するわけでありますが、申告がおくれる等の結果から配分のおくれることもございますので、そういう場合には、前
年度の額を
基礎にしてかりに徴収しておける
制度を設けておきたいと考えているわけであります。もとよりこれにつきましては、納税義務者からは、もしその額が高いとかいう場合には、異議の申し立てができるような道も開いているわけであります。
第六は、電気ガス税に関する
事項であります。
その(1)は「水銀鉱、石綿及び可燃性天然ガスの掘採又はマグネシウム地金、焼成りん肥及び焼成りん肥にりん酸液を作用させた肥料の製造のために使用する電気に対しては、電気ガス税を課さないものとすること。」であります。その後に製法が発展してきて、現在では電気ガス税が
課税されないことになっているものと全く同性質のものができてきたというような場合、あるいはまた従来は
外国からの輸入にもっぱらたよっておった、しかし新しい産業が日本に起って、それが製造される、しかも原価の中に電気
料金が多量を占めるというような場合は、従来の方針にのっとりまして非
課税とすることが妥当だと思われますので、非常にしぼった範囲でありますが、この
程度のものを非
課税範囲に加えたいと考えているわけであります。
その(2)は「漁業協同組合、漁業協同組合連合会、水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会並びにこれらの
法人以外の
法人又は
個人で、その所有する製氷設備に係る製氷能力の合計が政令で定める
基準に満たないものが設置する製氷工場において製造する氷を、もっぱら漁船その他政令で定める
場所における水産物の保存に供している場合には、当該工場において直接氷の製造に使用する電気に対しては、電気ガス税を課さないものとすること。」であります。従来、氷を作る場合には多量の電気が消費されるということから、全体的に製氷に使用します電気を非
課税にすべきだ、こういう議論があったわけであります。しかしながら、氷にはむしろ消費財的な性格が多分にあるわけでございますので、そのような
改正にも踏み切り得なかったわけでありますが、特に漁民において使用されております氷は、生産財的な性格が多分にございますので、漁民保護という見地にしぼって製氷に使われますところの氷を非
課税にしたい。従ってまた、そのような保証のないような
部分については、かりに漁船に使われるような氷でありましても、それに使われる電気を非
課税としないという
考え方をとっているわけであります。そこで漁業協同組合の
関係製氷工場のほかには、中小の製氷工場を加える
程度にとどめているわけでございます。
その(3)は「漁業協同組合等が前項の工場に併置する冷蔵倉庫でもっぱら水産物の冷蔵又は凍結の用に供するものにおいて、直接水産物の冷蔵又は凍結に使用する電気に対しては、電気ガス税を課さないものとすること。」であります。これも今申し上げましたことと同じ
趣旨であります。
第七は、木材引取税にに関する
事項でありまして、「
価格を
課税標準として課する場合における
標準税率を百分の四、
制限税率を百分の五に引き下げること。」であります。現在、木材引取税におきましては、
市町村間において
課税の
状況が非常に区々であり、
負担も非常に不
均衡になっているというような非難があるわけでございます。そこで、自治庁から
課税をいたします場合の
基礎になりますような
価格を示して指導に当っているわけでありますが、なお徹底いたしておりませんので、この際いろいろな
意見をも考え合せまして、
税率を引き下げる。しかしながら、
税率を引き下げましても、むしろ適正な
課税を行うことによって
減収はなるべく避けられるであろうというふうな
程度にとどめておきたい、こういう
考え方を持っているわけであります。どちらかといいますと、木材引取税の適正化を期する
意味において
税率を引き下げたいと考えているわけであります。
第八は入湯税に関する
事項でありまして「入湯税を環境衛生施設、その他観光施設の整備に要する費用に充てるための目的税とすること。」であります。総額におきましても三億円
程度のものでございまして、どちらかといいますと温泉
浴場での入湯でございまして、当然
遊興飲食税の対象にもなっているかと思われます。従って
遊興飲食税の対象にし、さらに入湯税の対象にして、
両者を普通税にそのまま続けていくということは多少問題がございます上、また鉱泉
浴場所在の
市町村につきましては、特殊な財政需要があるわけでございますので、入湯税はそういう面に向ける財源として定めるようにいたしたい、かように考えているわけでございます。従いまして、地方交付税を計算します場合の
基準財政
収入額には、入湯税は入ってこないわけになります。地方交付税を交付されておったような団体におきましては、
基準財政
収入額に入っておった入湯税分だけは地方交付税が増額される、こういう結果にもなるわけでございますので、自然入湯税は環境衛生施設その他の方面に積極的に充てていくことが可能になるだろうというふうに存じておるのであります。
第九は軽油引取税に関する
事項であります。その(1)は「特約業者又は元売業者が軽油を使用して軽油以外の自動車の内燃機関の用に供することができると認められる炭化水素油を製造する場合における軽油の使用については、軽油引取税のみなす
課税ができるものとすること。」であります。現在では、軽油と他の油とをまぜ合せまして、その結果軽油の規格からはずれます場合には、使用した軽油にも軽油引取税を課さないことにしているわけでありますが、そのような結果から、若干軽油の規格をはずすような努力をして自動車に使うというようなことも見受けられるように思われますので、そういう場合には、その使った軽油についてはやはり軽油引取税は課せられるのだ、こういうように改めたいのであります。
その(2)は「
税率を二キロリットルにつき九千円に引き上げること。」でございます。揮発油
課税につきまして別途五割に相当する
税率引き上げが行われようとしているわけでございますので、それに並行してこの
程度に
税率を
改正いたしたいと考えているわけであります。
第十は、その他者税目を通じて
規定の整備を要する
事項でございまして、また事務的な問題でございます。
その(1)は総則に関するものでありまして「過納又は誤納に係る地方団体の徴収金を還付する場合における還付加算金の日数の計算の終期は、還付のため支出を決定した日であることを明確にすること。」であります。
国税徴収法の取扱いと同じようにしております。
その(2)の
住民税に関する
事項の一は「
道府県民税及び
市町村民税の
所得割額の端数計算については、それぞれの税額について十円未満の端数
金額を切り捨てるものとし、また
市町村民税の
所得割額を
課税標準として
道府県民税の
所得割額を算定する場合おいては、
市町村民税の
所得割額をそのまま用いるものとすること。」であります。いずれも地方団体の
意見に徴して端数計算のやり方を改めたいというふうに考えたわけでございます。その二は「
法人が
法人税法第二十六条の四の
規定によって欠損金の繰戻による
法人税領の還付を受けた場合においては、還付された
法人税額を五年間を限って
法人税制の
課税標準となる
法人税額から控除するものとすること。」であります。現在でもこの
趣旨の
制度は設けておるわけでありますが、やり方が繰り戻しにかかる欠損金を繰り越してかりに算定した
法人税額を
基準として
法人税割を計算することにしてあるのでございます。しかし
法人税につきましても、二
段階に
税率が定められておりまして、この
方式ではなかなかむずかしい複雑な計算が起って参りますので、簡素化いたすように改めたわけであります。その三は「
法人税割の分割
基準については、
事業税における場合と取扱を同じくするため、従業者の定義を明確にし、
法人が解散し、又は合併した場合の清算
所得に係る
法人税割の分割
基準である従弐者の数は、解散の百又は被合併
法人の合併の日の属する
事業年度に属する各月の末日現在における数位をそれぞれ合計したものとすること。」でありまして、
事業税と
法人税割との取扱いを合せたいと考えているわけであります。
(3)は
事業税に関するものであります。その一は「
地方税法の施行時において事務所又は
事業所を設けないで
事業を行う
外国法人であっても、事務所または
事業所に準ずるもので政令で定める
場所がある場合においては、
事業税を課する旨を明確にすること。」であります。損害保険
事業等を行なっております
外国法人が、日本には事務所または
事業所はない、ただ代理店を設けてやらせておる、そういう場合には
事業税を
課税できるかどうか疑問がございますので、
課税できるのだということを明確にしようとしておるわけでございます。
その二は「鉱物の掘採
事業と精練
事業とを一貫して行う者の
事業税の
課税標準となる
所得の算定については、
所得の
区分計算ができる場合は、その方法について道府県知事の承認を受け、
区分計算を行うことができるものとすること。また、この
区分計算の方法によることとした者が、その方法を変更する場合においても、承認を要するものとすること。というのでありまして、
区分計算ができるのに一定の按分
方式を強制することは適当ではございませんので、このように改めたいわけであります。
その三は「
事業税が
課税される場合で、
法人税が
課税されない場合においては、道府県知事の調査による更正または決定をすることができる旨を明確にすること。」であります。
(4)は不動産取得税に関するものでありまして、「住宅を新築した等により、土地の取得等に対する既納の不動産取得税と還付することとなる場合の還付加算金の日数計算の始期は、納税者が還付の申請をした日から起算して十日を経過した日とすること。」であります。
規定が欠けておりますので、このように明確な
規定を設けたいと考えておるわけであります。
(5)は
遊興飲食税に関する
事項でありまして、その一は「
遊興飲食税の
特別徴収義務者が、客から
料金を徴収せず、または通常の
料金に比較して著しく低い
料金を徴収して、
遊興、
飲食、
宿泊等をさせた場合においては、その
特別徴収義務者に対し、その行為者が、当該
場所における当該行為について通常支払うべき
料金を支払ったものとみなして算定した
遊興飲食税を課することができるものとすること。」であります、株式組織の
旅館等におきましては、配当金を交付しないかわりに優待券等を交付している向きがございます。無料の優待券をもって
宿泊をする。その場合には
遊興飲食税が徴収できないので、
旅館相互間において不
均衡が生じてくる、こういう問題がございますので、そういう場合には
遊興飲食税を
課税できるようにいたしておきたい、かように考えておる次第でございます。
その二は「
遊興飲食税の
特別徴収義務者が、
料金及び
遊興飲食税の全部又は一部を受け取ることができなかったことにより、道府県が既に納入されている
遊興飲食税に相当する額を還付する場合において当該
特別徴収義務者に未納の
税金があるときは、これに充当することができるものとすること。」であります。
(6)は
固定資産税でございまして「
固定資産税額が
条例で定める額に満たない少額のものについては、一の納期においてその全額を徴収することができるものとすること。」であります。
住民税につきまして均等割だけを納付する人については、一期に徴収することができるのだという
規定を置いておりまする
考え方に合せまして、このような
規定を置いて、
税務行政を多少とも簡素化したいと考えておるわけであります。
(7)は軽油引取税でありまして、「軽油の引取が行われた後、販売契約の解除によって、その引取に係る軽油を返還した場合において、軽油引取税を還付することとなるときの還付加算金の品数計算の始期は、
特別徴収義務者が還付の申請をした日から起算して十日を経過した日とすること。」これも
規定を欠いておりますので、明確にしておきたいと考えておるわけであります。
(8)は都市計画税で、「都市計画税を
固定資産税と合せて収納する場合においては、それぞれの税額について十円米満の端数
金額を切り捨てるものとすること。」であります。
(9)は、
法人税の
改正に準じて行うものでありまして、その一は、「
法人税が課されることとなる
法人でない社団また財団で、代表者または管理人の定めのあるものについては、
法人税割を
課税するものとすること。」であります。
その二は中業税につきまして、「輸出水産業組合を法第七十二条の三十二節四項の特別
法人に追加するとともに、漁業生産組合及び生産森林組合で、当該組合の
事業に従事する総合員に対し、給料、貸金、賞与等の給与を支給するものは、特別
法人から除外して普通
法人として
課税標準の特例を受ける
法人の範囲から除外するものとすること。従ってまた、法第七十三条の十八第三項の
課税標準の特例を受ける
法人の範囲から除外するものとすること。」であります。
また「人格のない社団等に対しては、
法人として収益
事業から生ずる
所得に対し、
事業税を
課税するものとすること。」としてあります。
(10)は、その他の問題でありまして、「
娯楽施設利用税、
遊興飲食税又は軽油引取税について、保金のための担保または徴収猶予に係る担保を徴した場合においては、当該担保に係る抵当権の取得等についての登録税を免除するものとすること。」として、この
法律の付則で登録税法を改めることにいたしておるのでございます。
以上であります。