○佐藤
参考人 ただいま御
紹介にあずかりました佐藤でございます。ただいま
全国料理飲食喫茶業組合連盟という名称をお聞き下さいました
通りに、私が一応承わっておりますと、
全国五十万と称する業者の中には、大衆業者も高級業者も、中級と申しまするか、その間に位している業者も包蔵いたしております
関係で、全連が一木の線を打ち出して、この
遊興飲食税に対していろいろの
お願いをいたしかねますので、おのおのその業体別に
お願いをこれから申し上げさせていただきたいと
考えます。
まず五十万の声をこの
委員会に御反映させていただきまするその御好意に対して、僭越でございますが、
代表して進んで
お礼を申し上げる次第でございます。
まず
遊興飲食税という名称の問題でございます。それからその次は
免税点の問題でございます。その次には
税率の問題でございます。その次には公給領収証
制度に関する問題でございます。これをごく簡単に御説明をしたいと思います。
まず
免税点の問題では、今回の自治庁の
改正案によりますと、現行二百円のものが三百円に
引き上げられます。この適用を受けまするいわゆる大衆業者は、宿願でありまする五百円の線に一歩近づいたということで非常に感激をいたしております。大衆業者のために
免税点三百円実現を絶対確保したいと望んでおるゆえんであります。
一方風俗営業許可業者会では、業者中に接客係が一、二名にすぎない零細営業者や、普通の
飲食店とほとんど異ならない業態の店が多数含まれておりますので、
免税点の悪臭を風俗営業にも及ぼさせていただきたいというように切望しておるのであります。風俗営業を一品に高級面と呼んでおりますが、都合ではマーケットのおでん屋、焼き鳥屋等も、また
地方では駅前の休憩所も、一、二名の女子従業員をおいておるというゆえんのもとに風俗営業の取締りを受けて、税面では
免税点や
税率で大きく差別をされております。これを不満とする業者の声、これも無理ならぬことだと思うのであります。で、私たちの
考えによりますると、
課税対象といたしまする場所及び行為によって、それぞれの
税率が適用されておるということはやむを得ませんが、戦前では非常にすっきりした線が出ておりまして、
旅館とか料理
飲食店とかいう三つの業態が画然と区画がついておりましたのでありまするが、戦後におきましては、これか非常な混乱を来しております。これは大衆であるか、あるいは高級であるか、一見なかなか見分けがつきません。大衆にして高級あり、高級にして大衆ありというように、実に入り乱れておりますので、できることでありますれば、こういう問題が一応画然たるワクが作られるまでは、大衆、高級といわずに、消費金額をもって何百円以上は一割あるいは五分というような線をやっていただきにますれば、各業態とも非常にすっきりとした線が出るのではないかと思いますが、今これを求めてもなかなか得がたいことでございます。これは後日の問題になるのでありまするか、この
免税点の問題に対しては、三百円は自治庁の非常な親心でしていただきましたが、しかしながら今申し上げておるように、現在の社会情勢上から三百円が、しからばほんとうに妥当な線であるかということになりますと、実は業者も消費者も、三百円では、現在の世相から見ましては満足をいたしておりません。これは五百円を実は打ち出しておりますが、一ぺんにそれを申し上げることもいかがと思いますので、
免税点は、三百円をどうしても御通過を願えまするように御尽力を願いたいと思います。
その次には
税率でございます。消費額が一回一人千円までを五分といたししていただきたい、千円をこゆるものに対しては一割の
税率は、全業者の一致した念願でございます。客も払いやすく、業者ももらいやすい、納得のいくようにという線をぜひ実現さしていただきたいという趣旨の念願を持っております。公給領収証はありましても、領収正は要らない、値段を負けてくれというような
お客がたくさん見えます。宴会の市込み等におきましては、特にそれが品に立つのでありまするか、良心的業者は、料理代を引いて、昔から出血納税と言って今日までまかなっておるような
状態であります。しからば現行
税率が何でそういうことになるかと言えば、
税率自体が高いのです。
税率が高ければこういうことになりますので、これを少し取りやすい
税率にしていただきたい、こう申し上げたいのであります。自治庁の
改正案では、
免税点が三百円になるかわりに、三百円から五百円までの五分の
税率か、今度は一割へと倍額に増徴をせられる結果になるようなことになるのでありまするか、それは
自然増収を除外しても、かえって増税となり、増徴となり、
政府の
減税方針に逆行する結果となりはしないか。それは三百円ないし五百円の大衆利用者層が
相当の比率を占めているからでありますので、自治庁当局は、
税制の簡素化と申されておりまするか、税務当局の単なる計算
事務を若干簡易化されるために、全消費者に重税を強要する結果となります。ゆえに千円以下は五分、千円以上は一割といたされるように
一つお願いをいたしたいと思います。でありますのであらためて申し上げますれば、現行五百円まで五分の線をどこまでも確保する、それを念願いたします。この点に
一つ御留意を願いたいと思うのであります。
なおこの際芸妓の花代の
課税についてちょっと申し上げますが、最近芸妓は
全国的に見て非常に減少の一途をたどっております。この原因はと申しますと、
旅館や料理店に遊芸女中や派出接客婦の進出が著しく盛んになっております。芸妓という名称がつきますれば、サービス料金に
税金が課せられますが、女中や派出婦であれば類似行為を業としても税がかからないので、芸妓連もこの方へ転業していく者が続出しておる有様でございます。このように同和行為のもとで一方は
課税の対象となり、一方は無税のまま平然と営業しているというのは、いわゆる税の公平から見てまことに不公平ではないかと思われますし、法の精神にも反するものと
考えられますので、今度はサービス業は、サービス料を飲食代金の中に合算して客からちょうだいしたいと思います。保税対象ということは大へんむずかしいことでありまするが、このサービス料も飲食代金の中に入れていただきますることを懇願いたす次第でございます。
その次には公給領収証
制度のことを申し上げます。大衆営業と風俗営業とを問わず、会計のたて込む業者の営業場においては公領の記載や取扱いについて非常な時間と雑煩な手続を要しますので、特に風俗面においては公給領収証の廃止の主張を強く打ち出して血みどろになって戦っておりまするか、これは取扱い
事務の面からよりも、他の営業に数例のない公領をこの業態にのみ、遊興飲食
関係者だけに発給を強制した実に大きな矛盾と屈辱を感じておるからであると言っております。のみならずそれを逸脱したりあるいは着服したりする事実をおそれるとしたならば、それは当然のことであります。悪いことをした者に対しては、当然その不正に対しては
相当罰則の必要はありまするが、人権の平等を叫びまた営業の自由を叫んでおりまする今日において、この業態にのみ——ソビエトあるいは中共あたりにはどの業態にもあるそうでありますが、
日本においてはこの公給領収証を強制されるものは、いわゆる高級面にのみ限られておるところに非常な苦痛をいたしております。今申し上げますように、あるいは間違ったりあるいは意に反したことが起った場合、体刑が強制されるということに対しては返す返すも侮辱されておるということで、業者は強くこれの廃止を要望いたしております。本件に関しましては前国会において衆議院、参議院の附帯決議をもって広く天下に公表されておる事実があります。ところか公給領収証
制度改廃については、今国会に
政府より拠出された
地方税法一部
改正要綱を見ますると、何も触れてない。これはいわゆるこの次には必ず直してやると言った声明に対して、議会政治のもと、一
政府案により国会の附帯決議が簡単に忘れられておる事実を、実は非常に嘆くと同町にまた国民の
政府に対する信頼感が欠けることになりはしないかということで憂慮しておりますが、この点何とぞ先生方の賢明なる御裁断によりまして、この国会におきましてすみやかに廃止せられんことを要望するのであります。
なおこれは昨年、昭和三十一年四月十日付の衆議院本
会議におきまする決議事項について、
地方税法の一部を
改正する
法律案に対する附帯決議は、「
政府は、左記事項の趣旨に従い、次の国会において
改正法案を提出せられたい。記。
遊興飲食税につき再検討を加え、とくに公給領収証の使用義務制については、実施の状況に鑑み、改廃の措置を講ずること。」ということが大きく打ち出されております。この点
一つ本
委員会におかれましては再確認をしていただくように
お願いを申し上げたいのであります。
くどくどしく各業態のことを申し上げたのでありますが、これを要約いたしますと、大衆業者は
免税点引き上げの確保と五%
税率の維持を、風俗営業者は公給領収制の廃止を、それぞれ強く要請して、共通の課題としては
税率の千円までは五分、千円以上一割を念願しておるものであります。いわゆる
免税点以上千円までをどうしても五分の線で押えていく、千円以上は一割をもっていたしても現在の予算の
範囲を上回るということは必然であるということは確信しておるのでありますが、どうかさような実情におりますので、特別な御審議にあずかりまして、右申し上げましたことを御採択せられんことを切望いたしまして、簡単でございますが、これで終る次第であります。