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1957-02-12 第26回国会 衆議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十二日(火曜日)     午後二時二十五分開議  出席委員    委員長 門司  亮君    理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君    理事 永田 亮一君 理事 川村 継義君    理事 北山 愛郎君 理事 中井徳次郎君       川崎末五郎君    菅野和太郎君       木崎 茂男君    纐纈 彌三君       櫻内 義雄君    渡海元三郎君       徳田與吉郎君    早川  崇君       古井 喜實君    伊藤卯四郎君       今村  等君    大矢 省三君       加賀田 進君  出席国務大臣         国 務 大 臣 田中伊三次君  出席政府委員         自治政務次官  加藤 精三君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      藤井 貞夫君         総理府事務官         (自治庁財政部         長)      小林與三次君         総理府事務官         (自治庁税務部         長)      奧野 誠亮君  委員外出席者         議     員 小松  幹君     ――――――――――――― 一月三十一日  委員灘尾弘吉君及び山崎巖辞任につき、その  補欠として早川崇君及び高瀬傳君が議長指名  で委員に選任された。 二月二日  委員五島虎雄君、櫻井奎夫君坂本泰良君、中  村高一君及び西村彰一辞任につき、その補欠  として井岡大治君、今村等君、伊藤卯四郎君、  三宅正一君及び松原喜之次君が議長指名で委  員に選任された。 同月四日  委員高瀬傳辞任につき、その補欠として菅野  和太郎君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員松原喜之次辞任につき、その補欠として  淺沼稻次郎君が議長指名委員に選任された。 一月三十一日  委員長大矢省三辞任につき、その補欠として  門司亮君が議院において委員長に選任された。 二月十二日  理事北山愛郎辞任につき、その補欠として川  村継義君が理事に当選した。     ――――――――――――― 昭和三十一年十二月二十日  地方公務員法等の一部を改正する法法案内閣  提出、第二十四回国会閣法第五四号、第二十四  回国会参議院送付)  市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案  (内閣提出、第二十五回国会閣法第七号) 昭和三十二年二月一日  新市町村建設促進法による合併策定除外に関す  る請願池田清志紹介)(第八号)  鶴田村の町村合併に関する請願池田清志君紹  介)(第九号)  奄美群島復興事業に関する請願池田清志君紹  介)(第一〇号)  地方税法の一部改正に関する請願八田貞義君  紹介)(第七五号)  農業事業税創設反対に関する請願阿左美廣  治君紹介)(第七六号)  スキーリフト利用税撤廃に関する請願岡良一  君紹介)(第七七号) 同月四日  大規模償却資産に対する固定資産税課税改正  に関する請願足立篤郎紹介)(第一六五  号)  地方財政確立に関する請願田中彰治紹介)  (第一六六号)  農業事業税創設反対に関する請願田中彰治  君紹介)(第一六七号) 同月五日  地域給制度適正化に関する請願徳田與吉郎君  紹介)(第二二八号)  所得税減税に伴う地方税減分収補てんに関  する請願徳田與吉郎紹介)(第二三一号)  大規模償却資産に対する固定資産税課税に関す  る請願徳田與吉郎紹介)(第二三二号)  地方財政確立に関する請願鈴木善幸紹介)  (第二三三号) 同月七日  地方債及び公債費対策確立に関する請願亀山  孝一紹介)(第三四三号)  私鉄の事業税改正に関する請願山口丈太郎君  紹介)(第三四四号) 同月八日  地方税法の一部改正に関する請願鈴木直人君  紹介)(第四四五号)  同(粟山博紹介)(第四四六号)  国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す  る法律の一部改正に関する請願池田清志君紹  介)(第四四七号)  同(鈴木周次郎紹介)(第四四八号)  公営事業金融公庫設置に関する請願池田清志  君紹介)(第四五二号) 同月九日  地方税法の一部改正に関する請願助川良平君  紹介)(第五三六号) 同月十一日  地方交付税率引上げに関する請願(片島港君紹  介)(第六二八号)  地方税法の一部改正に関する請願山下春江君  紹介)(第六三〇号) の審査を本委員会に付託された。 二月二日  合併市町村地域給支給率の一元化に関する陳  情書(第一  号)  地方財政確立に関する陳情書  (第二号)  公債費対策確立に関する陳情書  (第三号)  たばこ消費税率引上げに関する陳情書  (第五号)  消防施設税設定に関する陳情書  (第六号)  地方自治法施行規則に定める予算科目整理統  合に関する陳情書  (第七号)  木材引取税撤廃に関する陳情書  (第二七号)  農業施設税創設反対に関する陳情書  (第三三号)  水道消火栓施設費国庫補助に関する陳情書  (第五〇号)  合併市町村区域内の地域給是正に関する陳情書  (第八五  号)  旅館における遊興飲食税撤廃等に関する陳情書  (第八六号) 同月十一日  地方公務員停年制実施に関する陳情書  (第一〇三号)  地方公務員給与制度改正に伴う財源措置に関  する陳情書(第一〇  七号)  薪炭手当支給に伴う財源措置に関する陳情書  (第一〇八号)  自衛隊施設に対する特別交付金制度等に関する  陳情書  (第一〇九号)  地方債制度改正等に関する陳情書  (第一一〇号)  地方債償還費の一部国庫補助等に関する陳情書  (第一一一号)  公債利子引下げ等に関する陳情書  (第一一二号)  同(第一七二  号)  地方税法の一部改正に関する陳情書  (第一一三号)  新市町村建設促進審議会等委員府県議会代  表参加に関する陳情書  (第一一四号)  公債費対策確立等に関する陳情書  (第一一五号)  地方公共団体金融機関設置に関する陳情書  (第一一六号)  府県税制改革に関する陳情書  (第一一七号)  地方財政確立等に関する陳情書  (第一一八号)  地方財政再建促進特別措置法の一部改正に関す  る陳情書(第一一  九号)  町村民税課税に見立割制度併用に関する陳情書  (第一二〇号)  二輪自動車及び自動車税町村移管に関する陳  情書(第一二一  号)  市町村公平委員会存置に関する陳情書  (第二一二号)  地方団体赤字対策に関する陳情書  (第一二三号)  市庁舎建設及び起債基準坪数増加等に関する  陳情書(第一二四  号)  地方道路譲与税法改正に関する陳情書  (第一二五号)  軽油引取説課税に関する陳情書  (第二二〇号)  大規模償却資産に対する課税標準に関する陳情  書(第二一二号)  遊興飲食税の一部都市還元に関する陳情書  (第一六八号)  合併不能町村に対する特別助成に関する陳情書  (第一七〇号)  新町村建設育成施策実施に関する陳情書  (第一七一号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  国政調査承認要求に関する件  町村合併に関する件     ―――――――――――――
  2. 門司亮

    門司委員長 これより会議を開きます。  この際私から一言あいさつを申し上げさせていただきたいと思います。御承知のように地方行財政ともに非常に重大な段階に来ておりますので、審議等につきましても、いろいろ皆さんには御迷惑をかけたり、あるいは当局にも特にいろいろな調査その他で御迷惑をわずらわすと思いますが、一つその点は何分御了承を願います。ただ非常に粗雑な人間でございますので、できるだけ皆さんの御意思を体して議事の進行に努めたいと思いますが、何分にも皆さんの御協力一つお願い申し上げまして、きわめて簡単でございますが、一言あいさつといたします。(拍手)     —————————————
  3. 門司亮

    門司委員長 それでは最初に理事辞任がございますので、これに関することでお諮りをいたしたいと思います。  従来理事でありました北山愛郎君より理事辞任いたしたいとの申し出がございますので、これを許可することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 門司亮

    門司委員長 御異議ないものと認めましてさよう決定いたします。  次に理事補欠選任をいたしたいと思います。これについてお諮りをいたしますが、北山愛郎君が理事辞任されました結果、ただいま理事が一人欠員となりましたので、川村継義君を委員長において理事指名いたしたいと存じますが御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  5. 門司亮

    門司委員長 それではさよう決定いたします。     —————————————
  6. 門司亮

    門司委員長 次に国政調査の件についてお諮りいたしたいと思いますが、国政調査承認要求に関する件につきましては、衆議院規則第九十四条によりまして、常任委員会は会期中に限り議長承認を得て、その所管に属する事項につき国政に関する調査をすることができることになっておりますので、本委員会といたしましては地方行財政の実情を調査し、その健全な発達に資するために、地方自治地方財政、警察及び消防に関する事項について議長に対し国政調査承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 門司亮

    門司委員長 御異議なきものと認めます。  なお調査承認要求書の作成及び提出等の手続につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  8. 門司亮

    門司委員長 それでは御異議ないものと認めましてさよう決定いたします。  なお調査につきましては先例がございますので、先例通りにいたしたいと存じますから、この際これもあわせて御承認を願いたいと思います。     —————————————
  9. 門司亮

    門司委員長 次に、この際国務大臣田中伊三次君及び自治政務次官加藤精三君より発言を求められておりますので、これを許します。国務大臣田中伊三次君。
  10. 田中伊三次

    田中国務大臣 ごあいさつ一言申し上げます。昨年の十二月二十三日に石橋内閣の組閣に当りまして、私ははからずも自治庁でお勤めをすることになりました。何分地方行政は私のようなしろうとでは及ばざるところが多いと存じますが、皆様の格別の御支援をお願い申し上げたいと思います。(拍手
  11. 門司亮

  12. 加藤精三

    加藤(精)政府委員 はなはだふつつかな者でございますから、委員長初め皆様の絶大な御援助を得て仕事を全うしていきたいと思いますので、何分よろしくお願い申し上げます。(拍手
  13. 田中伊三次

    田中国務大臣 例年のことでございますが、地方財政計画に関しては当委員会所管の長官から詳細に御報告をできるだけ早くするということの慣例になっておるようでございます。そこでやや時がおくれておりますので、ここで中間報告のようなことになりますが、地方財政計画二つの点で少し計数がまとまらぬ点がございます。第一は地方税改正をやりたいと考えまして、まだすっかり案ができておるわけではございませんが、目下検討中でございます。慎重に検討をいたしておりますので、地方税法内容がまだ本尊まりになりかねておるものが多少ございます。そういうことで地方税の税収についてはかりかねるところがあるということが一つ理由であります。  それからもう一つは、補助金交付金等の国の支出金がまだ大体においてその計数が明確に定まりません。これも定まりませんと、地方財政の立場からはこれが収入となるわけで、その加入の限度が明確にならぬわけでございます。そういう二つ理由によって地方財政計画はいささか決しかねる部分がございまして、いまだ御報告するに至りませんが、次の週の終りごろまでには財政計画の全貌を明確にいたしまして、私より委員会皆様に御報告を申し上げて御了承をいただくことにいたしたいと存じます。
  14. 中井徳次郎

    中井委員 今大臣から財政計画の率直なお話がありましたのですが、来週の終りというといつごろになりますか。もう二十四、五日になりはしませんか。それから関係法案も、今のお話では地方税法改正などもまだきまっておらぬということになると、これは四月一日から実施をするということになります。地方行政委員会が一カ日でそう大きな問題は大へんであろうと思うのでありますが、どうですか、もう少し早くできないのですか。私もこの地方行政委員を五年ばかりやっておるのですが、こんなことは実は初めてです。敏腕な大臣のことでありましょうから、おきめになれば事務当局を激励されて、少くとも今週中には出していただかぬことには、三月三十一日はもうすぐですよ。その点を心配するのですが、いかがですか。この点どうも、非常に大胆に二週間ばかりとおっしゃるが、もっと早くできないのですか。
  15. 田中伊三次

    田中国務大臣 お言葉大へん恐縮に存じます。極力早めておりますから、お言葉もございますので、大体二十日前後までには財政計画も明確にいたしたいと思います。  それから今お言葉のございました法案でございますが、今度の予定としては七つ、八つ法案を出したいと思っております。そこでこの法案についても提出がおくれておりますので、できるだけそれが適当なものについては参議院先議するようにしたらどうかというお声もあり、内閣の方でもそういうふうに考えておるようでございますが、どうも私の方の法案は、ほとんど予算に関連のある法案ばかりでございまして、予算を切り離してやれる法案はただ一つ、例の町村合併に伴いまして開票区が変って参ります。その開票区の変更に伴う法律案というものが一つございますが、この法案だけは、場合によっては参議院の方で御先議をいただくこともよかろうと存じますが、それ以外の法案はいずれも予算と密接な関係のある法案ばかりでございますので、これはいずれも衆議院先議でお願いを申し上げなければならぬ筋になると存じますが、この法案も今各所管部長から説明をさせますが、これは不眠不休で極力急いでおりますので、御意向にでき得る限り沿いまして、早くお目にかけるようにいたしたいと思います。
  16. 中井徳次郎

    中井委員 今のお話でお気持はわかるのですが、特に念を押しますが、税法関係になりますと四月一日から実施ということですが、今おっしゃるような二十日前後ということになれば、内容を拝見してからの話ではありますが、四月一日までに地方税法改正ということについては困難なように思う。これは政府においてもその責任を今から十分覚悟しておいてもらいたい。このことを一言申しておきます。
  17. 小林與三次

    小林(與)政府委員 財政関係提出を予定しております法案の概略を申し上げたいと思います。  一つ地方交付税法の一部を政正する法律案につきまして、これは今度交付税の率が二五%から二六%に上りまして相当の額になります。これに伴います単位費用の計算を変える必要がございますので、その法律案を出したいと存じます。  なおこれに関連いたしまして本年度、三十一年度分として交付すべき交付税に関する特例法律案というものを、簡単な法律でございますが準備いたしております。これは本年度国税三税に伴う自然増収分はほうっておけば三十三年度地方交付税として入るべきものにつきまして、補正予算第一号において国税四百億を収入見込みまして、そのうちの三百億を産業投資特別会計に入れまして、それに伴う百億分が地方交付税特別会計に入ることになっているのでございます。この経費のうち一部を昨年末の〇・一五分に充当するために、どうしても使う必要がございます。それからなお一部は本年度普通交付税を配分するに当りまして、交付税の額が多少足りませんで、例の調整率を乗じまして八億ほど減額いたしておりますので、その金額補てんに充てまして、それ以外の金額明年度に繰り越して、明年度公債費対策の一環に充てたい、こういう政府の方針がきまっておりまして、それに関連いたしまして本年度交付税の一部の金が明年度に繰り越して交付する、こういう趣旨の簡単な特例法を設けたいと思っているのでございます。  なおその繰り越しました部分につきます費用につきましては、先ほど申しました交付税法改正の付則で、昭和三十二年度における特例措置としまして公債費元利償還の一部に充てる趣旨単位費用の改訂をお願いしたい、そういう相関連した二つ法律案を準備いたしております。これは関係省折衝中でございまして、でき次第すぐ提案申し上げたいと存じております。それから地方財政法の一部の改正でございまして、これは国土調査法改正関係がございまして、国費と地方費負担区分を明らかにするために、国土調査事務の規定を入れる必要があるのでありまして、その他多少問題もありますので、これも至急提案をいたしたいと存じております。  それから新しい問題では公営事業金融公庫法案、これは多年の懸案公営事業のために必要な公募債中心にして、公募債の合理的な消化をはかるために、公営事業金融公庫という金融機関を作りまして、そこで消化合理化をはかりたい、そのために公庫設置に必要な法律案提出する必要がございます。これも今関係者内容折衝中でございますので、でき次第その法律案提出いたしたいと存ずるのでございます。  なお地方財政再建促進特別措置法につきましては、多少問題がありはせぬか、これはまだ政府部内でも十分相談をいたしておりませんが、もし必要があれば簡単な改正になろうと思いますが、一部改正をもちまして提案したい。これは至急、来週中には態度をきめて御相談を申し上げたい、こういうふうに存じております。  以上が財政部関係法律案でございます。
  18. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方税改正で今国会提出予定いたしております法案は三つでございます。  その一つ地方税法の一部を改正する法律案であります。中小企業国税負担を軽減いたしますために、事業税税率を引き下げましたり、住民税につきまして過重な負担をしいています地域負担を抑制して、市町村間の負担の不均衡を緩和したり、所得税減税に伴います税率調整を行なったりしようとするものであります。  第二は特別トン譲与税法案でありまして、開港に入港します船舶につきましては、内国船のみならず、外国船からもトン税を徴収いたしておるわけであります。トン税を引き上げるに当りまして、その一部を特別トン税とし、その特別トン税開港所在市町村に譲与しようとするものであります。  第三は国有財産所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正しようとするものでありまして、昨年来の懸案であります。基地関係施設所在市町村に対しましても、交付金を交付したいと考えているものでございます。
  19. 小林與三次

    小林(與)政府委員 ちょっと選挙関係法律案で、国会議員選挙等執行経費基準に関する法律でございまして、これは町村合併によりまして、開票区がずいぶん減少いたしましたので、これに対する経費の基礎を変える必要がある、きわめて技術的な簡単な法律案であります、便宜私からそれだけ御報告申し上げます。     —————————————
  20. 門司亮

    門司委員長 それでは次に町村合併に関する問題につきまして調査を進めたいと思います。  議員小松幹君より委員外発言を許可されるように申し出がございますので、本件を許可することに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 門司亮

    門司委員長 それではさよう決します。小松幹君。
  22. 小松幹

    小松幹君 お忙しいところ委員外発言をお認めいただきまして、さっそくでありますけれども二、三ただしてみたいと思います。  町村合併は相当順調に進められておると思いますが、もはや今年の三月を一応のめどとして終息すると思いますけれども、スムーズにいかない町村合併の様相も二、三承わっておるのであります。私もここで例をあげて御質問たいと思いますが、まず全国にそういうケースがどの程度あって、どういうところが問題点かをお伺いしたいと思います。
  23. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 お答えを申し上げたいと存じます。お述べになりましたように、町村合併につきましては、皆様方の絶大なる御協力等によりまして、全般的には非常に順調に推移をして参ったのであります。九月三十日に町村合併促進法が失効をいたします際においては、国の合併計画に対しまして九八%の達成率を見ておるのであります。その後も未合併町村合併につきましては、鋭意推進をはかっておるわけでありまして、それぞれ県におきましては合併計画の再検討をいたしまして適当に策定のできたものにつきましては、勧告等措置を講じておるわけであります。二月一日現在におきましては、全体としてだんだん減少いたしておりますが、県計画において未合併とされております町村数が、なお九百九十二カ町村残っておるようなわけでございます。これにつきましては三月三十一日までの間に勧告ないし適正規模としてはずすもの、あるいは合併不可能町村として処置すべきもの等整理終りまして、できるだけすみやかに落ちついた形において、今後における新市町村合併促進をはかって参りたい、かように考えておる次第でございます。  ところで現在全国的に申しまして、分離問題を中心にいたしまして紛争等が継続いたしております案件が、まだかなり残っておるような次第であります。分離問題について申しますと、事柄の軽重、紛争濃淡、いろいろございますが、その内訳を簡単に申し上げますと、すでに分離問題についてあっせん調停に付したものが六十三件でございます。それからあっせん調停に付す見込みのものが七十六件、まだ見込み等も立たないもの、その他あっせん調停に付さないで解決をする見込みもの等を合せまして六十一件でございまして、全国的に見まして、件数といたしましては約二百件程度のものが、なお残っておるという状況に相なっておる次第でございます。
  24. 小松幹

    小松幹君 私はもっと少いのかと思いましたけれども、三月までにまだ未合併のものが九百九十二町村あり、さらにあっせん調停等いろいろあるのが二百件ある、これはまあ濃淡があると思いますが、自治庁の方としては少しのんき過ぎるのではないかというような気もするわけであります。それはとにかくといたしまして、町村合併法律をもって施行してやらせるという建前、何がゆえに町村合併をやるようになったか、どこを基準として——ただ好きだから合併するのだとか、きらいだからこうするんだとか、個々の意見をとっての合併をやろうとしておるのか、ある一定の国の基準とか、言葉で言えば至上命令、そういうことでもない、民主主義の時代ですから絶対命令ではないとしましても、行政をしていく上の一つめどがあると思いますが、そのめどは一体どういうめどをもって町村合併を進めておるのか、期限のめどは一応本年の三月になっておると思うのでありますが、規模あるいは合併方向というようなものは、どういう基準なりあるいは方向性をもってやっておるのか、その辺を承わりたい。
  25. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 町村合併一つ方向なり基準の問題でありますが、これは御承知町村合併促進法、この法律に考え方というものが明記されておるわけでありまして、この法律によりますると、町村につきましては人口基準としてはおおむね八千ということを基準にいたしまして、その他交通、経済、文化、地勢というような点から見まして、全般的に一体性のある働きができる。ただ単に好ききらいというようなことだけではなくて、やはり客観的な今申しました条件ともにらみ合せまして、適切と認められる規模というものを一応の標準的な規模といたしまして、これに基いて各県において町村合併促進審議会という一つ諮問機関を設けまして、この機関諮問をいたしまして、さらに適正規模というものを策定をいたしまして、個々の県において具体的な合併計画を立て、これを推進いたしておるような次第でございます。
  26. 小松幹

    小松幹君 その地域合併後、あるいは合併された残り等に経済の成り立つ町村を作らねばならぬ。そのためには一応の経済規模が標準としてあげられ、人口もほぼ八千というようなものをあげられて推進する、まあそういう規模があって推進しておるということはわかりました。ところが現に自治庁がお取り扱いになってそういうものを進めておる中には、非常に合併後財政規模を割るというような現象が出ておるところが多々あるかどうか、その点をお伺いしたい。
  27. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 われわれといたしましては、今申し上げましたような基準合併計画というものについて、各県とも連絡をとりつつ促進をいたしておるような次第でございまして、全般的に見ますならば、理想的な形態といって、一点非の打ちどところのないというような形態になっておるものが全部だとは申し上げかねると思います。その県の具体的な実情、あるいは地元住民の意向その他によりまして、必ずしも理想的な形態に至っておらないものも中にはあるかと思うのでありまするが、全般的に見ましては、そういうような規模町村というものはそう数はないのではないか、ここに具体的な数字は持っておりませんが、そう多くないというふうに考えております。
  28. 小松幹

    小松幹君 私は先般も自治庁に行って、あなたではなかったと思いますが、伺ったのですが、どうも町村合併を最後の段階になってそれを推進する意欲というものが欠けているような気がしてならぬ。法律をもってやらないで自然発生的に合併を進めるならば、大部分のものは自然発生的にほったらかしにしておっても大体合併はできると思う。ところが問題は、むずかしい段階になって紛争を起すようなときになって、初めて法律というものが行政面に現われて限界線がくる。また指導の一つの標準というものが必要になってくるのは、最後の段階の紛争を起すときの問題が相当大事じゃないかと思う。紛争を起さないでうまくいく間は法律を持とうが財政規模がどうあろうが、そういうことを考えなくてもやれる。ところが紛争を起すような町村になってこそ、初めて自治庁一つの強力な指導性というものが必要になってくると思うのです。それがややもすれば欠けておるのではないかというふうに私は見ておるのですが、財政規模なりあるいは人口規模等を、あくまでもそういう町村合併の筋を通すという意味において——意識が欠除しておるのか、欠除しておらぬのか疑わしいのですが、その辺のところを一つ明確にお答え願いたいと思うのです。
  29. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 お説のように町村合併が終局の段階に参っております。今まで紛争が残っており、さらに未合併で残っておるという町村は、それぞれ従来町村合併促進法の有効期限内におきまして、県当局その他あらゆる機関を動員いたしまして、合併の合理性というようなものの啓蒙宣伝もやり、あらゆる打つべき手を打ちながら今まで残っておったものでございまして、非常に困難なむずかしいケースが非常に多いと思うのであります。これは見方によりまして、あるいは客観的第三者的な立場からごらんになりまして、自治庁の指導方針というものが非常になまぬるいのじゃないかというような、あるいはお目ざわりの点はあるいはあるかと思いますが、しかしわれわれといたしましてはむずかしい点をさらに乗り越えて、できるだけ有終の美をなさしめたいということで、全係員をあげて大いにこの点には一生懸命に馬力をかけておるつもりでございまして、その点は一つ了承を賜わりたいと思います。
  30. 小松幹

    小松幹君 この点については、私もあえてそれを非難するわけではございませんが、府県なりのいわゆるあっせん等の問題もありますから、一概には、法律がこうだから、財政規模がこうだからといって強行はできないとしても、一応のそういう数字というものは常に指導の中に加えていっていただくことが、私は町村合併紛争を巻き起さない一つの要素ではないかと思うのです。ここに一つ例をあげますと、大分県の清川村という村が、ずいぶん昨年の夏ころから自治庁方面にも陳情に参っておると思いますが、この清川村は、一つ町村合併に伴う紛争のケースであろうと思うのです。この清川村昭和三十年、今から二年前に相当問題があったが、三村合併をすでに終っておる。ところが終って一応紛争は解決してまあまあこれから一つ合併当時の無理もたたったから、経済再建のために新しく道路をつけて、学校の位置も変えよう、役場の位置も変えよう、そうして合併後の一つの態勢を築いて再発足しておる建設の途上に、再びこの合併問題が隣村から起り、分離問題に発展しておきておるのであるが、そういうことで三十年の春に合併したのが、再び最近になって分離問題を起してあっちにつく、こっちにつくというわけで、非常な紛争を繰り返して血の雨を降らせる結果になり、全村あげ、隣村あげ、県をあげての大騒動になっておるわけでございますが、この点について私は純粋に客観的に考えたときに、紛争を早く解決するということが先決ではないかと思うのです。でなければ、私はこういういざこざというものは、五年引っぱれば五年間、三年引っぱれば三年間紛争というものは絶えない。同時にその間にあれこれの感情がからむ。感情がからんで夫婦げんかと同じように二度と相まみえない、ちぎりを結ぶことができないような結果に深追いになってくるのではないか。この点を考えましたときに、こういう問題は先ほど言うた財政規模とか、あるいは人口の動態とかいう一つの理論的なケースをもって割り切って指導しなければ、のんべんだらりとやられておったのでは感情的対立ができて、村の再建にはならぬ、町村合併趣旨には沿わぬ、かように思っております。この点についての御所見を承わりたいのでございます。特にこの清川村という例を出したわけでありますが、同時に一つ民主主義の時代であるし、別れたいという者を別れさせないでつなぎとめておくというのも酷なことだと思われる。ところが、別れるというのが全部でなくして、三分の一とか、あるいは三分の二とか、それぞれあっちにつく者が半分、こっちにつく者が半分というような、選挙運動のようなことをやっていくのを繰り返しておるわけであります。これなどは、私はいわゆる民族自決主義みたいな、村民の自決主義に待つことも必要だと思いますが、それではせっかく三年前に合併して、しかも再建の計画を立てたのが、財政規模がかりに八千のものが四千になり、五千になり、六千になるとすると、一切が御破産になってしまって、これからの再建も非常にむずかしい、過去二、三年間の再建も棒に振ってしまうという結果になってしまうならば、私はこの際考えなくてはならぬこともあるじゃないかと思う。そういう点から考えまして、早く紛争を片づける、同時に所期のいわゆる町村合併の筋というものを、この際考えてやらなければ、つく者は、一応けんか別れでよその方に持っていったが、残された町村というものが小さな、財政規模を割り、しかも経済の成り立たないような村になったならば、頭から全部分離してしまって、どこかに持っていってしまわなければならぬという結果になると思う。そういうことになるから、この点について自治庁としては指導のお考えがあると思います。すでに幾たびか知事からも要望され、あるいは町村からも積極的に陳情を受けていると思いますから、お考えがあると思いますが、この点について先ほどの所見と具体的の考え方というものを明示していただきたいと思います。
  31. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 前段お述べになりましたことは、一般論として私も全然同感でございます。特にこの清川村につきましては、ここでそもそもの合併の経緯、その他紛争の過程等につきまして詳しく申し上げるまでもないと思います。ただ、これら紛争が、しかも全国的に見ましても最も深刻と思われるような紛争が長く続いて参りましたために、関係住民が非常な迷惑をこうむり、せっかくの再建途上にあるべき村というものが、その再建の意欲が挫折せしめられておって、有形無形にきわめて深刻な打撃を与えられておるということは、疑うべからざる事実でございます。われわれといたしましては、非常にむずかしいケースではございまするけれども、できるだけすみやかに紛争というものの根を断って、平和な村政というものが再び立ち返って参りますように、一刻も早く実現せしめるように努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。  当清川村につきましては、御承知のように、すでに合併がなされます際に、一部地区の分離勧告というものが行われておるわけであります。その後紛争紛争を重ねまして、昨年の九月には第一回の県選挙管理委員会に対する代執行の請求がございまして、その段階において自治庁の方とも協議があったわけでございます。その協議の段階におきまして、知事といたしましては、さらにもう少し客観的な立場に立って、合理的な、円満な解決をはかるために一応白紙に促して、さらに調停、あっせんを試みてみたいということになったわけでございます。その後知事といたしましても、鋭意円満なる解決のために努力をいたされたのでありまするけれども、どうもうまくいかない。特に分離地区の分離意思というものがきわめて強固でありまするために、何とも円満な妥結の方向というものが見出し得ないままに、さらに従来通りの分離勧告をなしたという状況に相なっておりまして、さらに本庁との代執行の協議の段階に入ってしまったような次第でございます。  われわれといたしましては、もちろん最初申し上げましたように、一たん合併をして新しく生まれた町村でございまするので、これが将来成り立ち得ないような状況にすることは忍び得ません。また合併自体の理想から申しましても、精神から申しましても、そういうことはなすべき筋合いでないということは、万々承知をいたしておるのであります。ただお話のうちにもございましたように、どうしても融和ができない、どうしても一緒になっていくのはいやだという場合に、これを無理やりにとどめておきますることが、果して将来の清川村一体性を確保することになるのかどうか、円満な村政の運営というものができるのかどうかという点も、これは御説のようにあわせて考慮して参らなければならぬということでございましてその間二つの要素の組み合せをいかに具体的に解決せんとして見出していくかということで、実はわれわれといたしましても、目下これについて苦慮いたしておるような次第でございます。しかし、考え方自体といたしましては、両者かみ合せたぎりぎりの線ということで、一日も早く紛争について解決点を見出しまして、清川村が新しい基盤に立って、他の新市町村に負けないように早く育成の戦列に参加するというような状況に持っていきまするように念願し、そのために鋭意努力を続けて参りたい、かように考えておる次第でございます。
  32. 小松幹

    小松幹君 大体自治庁の方針もわかりましたから、私は重ねて質問は避けますが、要は、町村が分離にしろ、合併にしろ、一つの再建なりあるいは発足していく場合の規模、財政なり、人口なり、経済の成り立つような村を作らなければならない、分離するものはまことに幸福な分離ができたけれども、残された町村が貧弱な四千か五千の町村で、どこにもないような経済規模の小さな、あってもなくてもいいような町村を作ったのでは、大きな意味からいって、私は町村合併は穴ができた、かように考えまするので、この点は最初に私が自治庁の方針をただしたように、経済規模、財政規模をあまり割って、成り立たないような町村、落し子をこしらえないということを念頭に、早く解決をしてみることが必要じゃないかと考えております。その点について、あれやこれやのいわゆる現実的な要素もあります。しかしながら、最後の段階になれば、やはり町村合併一つの筋というものを忘れた合併に終ったならば、ある点満足する人はあっても、地方自治団体の中に一人の落伍者、劣等生、一つ町村をこしらえたという結果に終らないように念願いたしまして、私はこの質問を終りますが、三月も間近でございますので、自治庁としては、ずいぶんその間いろいろな手数をとって、言わせるだけは言わせた、話させるだけは話させたのだから、もういいかげんに線を出していただく時期がくるんじゃないか、かように考えます。特に大分県の清川村の過去の歴史の上に立って、再び三年前の現状に引き返した町村合併を見ることのないような点について御配慮を願っておきたい、かように考えますので、よろしく指導していただかんことをお願いいたします。
  33. 門司亮

    門司委員長 纐纈君。
  34. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 先ほど行政部長の御答弁で、国の計画の九八%が達成されておるということでありますが、この国の合併の計画の中には、両県にまたがって合併の可能性のあるものが入っておるわけですか、いかがですか。
  35. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 国の計画には、これは数だけでございまして、県にまたがる合併等を具体的には算入しておりません。
  36. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 そういたしますと、先ほどの未合併の九百九十二カ町村というのは県内における未合併になっておるものと見てよろしいわけですね。
  37. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 補足的に申し上げますが、九八%が最近では九九%までいっておりますが、この国の計画は、あくまで国の計画における合併予定町村の数というものを出しておりまして、この予定町村の数は六千二百七十三カ町村でございます。これに対して二月一日現在の町村の具体的な減少数が六千白八十六町村になっておりまして、これが九九%になるわけでございます。しかしそれは数だけの上でございまして、先刻申し上げました未合併町村の数の九百九十二という中には、県境にまたがってさえも行きたいということで、そのままになっておるものもございますので、これの中にはいわゆる県境にまたがる町村というものも入ってございます。
  38. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 県境において合併をしたいという希望を持っておるものが相当あると私は思うのです。たとえば川一つへだてて、両村がまたがっておる。そしてその川の雨岸に非常に人家が密集しておる。ところが学校その他役場というようなものが、町村全体の関係から、その周密せる人家を離れたところにあるというようなことで、もしその両県にまたがって合併をすれば、いろいろな点で非常に便利があるというようなこと、また交通の関係ももちろんあり、経済的の関係もありますが、そういうようなことで両県にまたがっている町村が、非常に合併を希望しているというのがあるように思っておるのでありますが、そういう町村に対して、自治庁としてどのくらいの数があるかというようなことの御調査はできておりますか。
  39. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 いずれ最近の資料をととのえまして、委員皆様方に御配付申し上げ、今後の御審議の御参考に供したいというふうに考えておりますが、現在われわれの手元で調べましたものについて申し上げますと、これは御承知のように境界にまたがる——問題は境界にまたがっております町村がまるぐるみ合併をいたしますものと、ある町村の一部が隣の県所属の村に行きたいというものと二つあります。それに分けて調べてみますと、現在のところは、県境にまたがってまるまる合併したいというのが九件ございます。それから境界変更、町村の一部が隣の県所属の町村に行きたいというのが、件数にいたしまして五件ございます。従って件数といたしましては、目下のところ十四件ということに相なっておるわけです。
  40. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 それで三月一ぱいに大体未合併整理をやるのだ、こういうお話をなさっておりますが、その場合にはただいま問題になっております両県、下にまたがっておる十四件のものも、同時にお扱いになるお見込みでありますか。
  41. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 御承知のように現在の新市町村建設促進法によりますと、県内の合併関係につきましては、本年の三月三十一日までに所要の手続、すなわち勧告の手続を済ませるように時限がきまっております。これに対しまして、県境にまたがるものは来年の三月三十一日まで、一年ずれて期限をきめておるような次第であります。これは今まで御論議もございましたように、県界にまたがる合併というものはきわめてむずかしい問題でございますのと、一面この問題を取り扱って参りますと、全国的に県内合併というものが、もう一段落というところに来ておりますのに、これにさらに波及をして県内合併に支障を来たすということに相なってはならないというような配慮から、このような取扱いがなされておるものだと承知をいたしておるのであります。従いまして今までも申し上げておりますように、われわれの方針といたしましては、大体三月三十一日までに県内合併については所要の勧告その他の処置を講じまして、これが終りましてその後来年度に入ってできるだけすみやかに県境にまたがる合併問題について取りかかって参りたい、かように考えております。
  42. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 実はこれは具体的な問題になりますが、私の方の県で、福井県との境に石徹白村というのがありますが、これが昔の藩政時代に岐阜県の方の白鳥町の方と同じ藩であった。そして風俗人情その他交通の点から非常に密接な関係がある。そこで今日この両方の町村会ではいずれも満場一致でこの合併承認しておる。ところが福井県の方では困るということで反対をいたしておるようでありますが、こういう場合に町村合併が、そういった従来の事情なんかも考えるとした場合に、住民の意思を尊重されるのでありますか。県の方の意向を先にせられるのでありますか。それをお伺いしたい。
  43. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 御指摘の石徹白村の問題については、具体的な問題になりますし、今後いろいろ御意見も承わって処置をして参りたいと思っております。微妙でございますので、本件について具体的に申し上げることは、この際は差し控えさしていただきたいと思いますが、一般的に申し上げまして、私たちといたしましては、特に県界にまたがる合併等につきましても、従来の普通の手続とは違った手続を、新市町村建設促進法においては採用いたしております。そういう観点から見まして、やはり客観的に見て、地勢、交通、経済等の条件がどういうふうになっておるか、従ってやることがほんとうに関係地元住民の福祉になるのかどうかということを主体といたしまして、これに大局的な見地からの県の意向等をも参酌して問題の処理に当っていきたい、一般的に申せばこのように考えております。
  44. 中井徳次郎

    中井委員 今の問題、私も他日お尋ねしようと思っておったのですが、非常に重要でデリケートでもありますから、ちょっと関連して念を押しておきたいと思います。去年も地方行政委員会でこの問題を取り上げてお尋ねしました。今の藤井さんの御答弁と大体同じような御答弁であったのですが、しかし何といっても現実の問題になると、県の力というものは単なる一市町村なんかの力よりも非常に強いものですから、それでその地区においては非常にそれをおそれております。今具体的に福井県のお話がありましたが、私は別に纐纈さんのひいきをしたりなんかする意味で申し上げるわけでは断じてないのでありますが、たとえば福井県の実情を私この間ちょっと行って見て参りましたが、県の特殊事情でありましようか、非常にあの県は市町村に対して強力なる指導をやる、そうして福井市がこれ以上大きくなっては困るとかなんとかいうことでありまして、県政の事情からのみ町村合併を考えておるのではないかとさえ考えられる、そういうことが非常に多いのです。また私の出身地の県などでもございまして、他県へ出すことは断じてならぬというので大騒ぎをしておる。これは県は違いますが、ほかの県でありまするが、県費をもって盛んな運動をしておる。そうして現状維持をはかっておるというふうなことである。私は賢明なる自治庁の諸君でありまするから、そういうものにはひっかからないとは思いまするけれども、これはよほどふんどしを締めていただいて町村合併促進法案の、原則に基いて住民本位の合併をやってもらわないと困ると思うのであります。そこで藤井さんなどの意見は今そうであろう、私は大いに信頼を持っておるのであるが、加藤さんは長年その方面の御体験もあるし、自治庁政務次官として就任まだ新しいのではありましょうけれども、おそらくそういうことについて陳情や御意見などもずいぶん聞かれておるのではないかと思うのであります。そこでこの辺ではっきりした見解を自治庁として出していただく、それでもあと一年ぐらいはかかろうと思いますので、きょうは大臣見えませんから加藤さんの素朴な、率直な御意見をこの際ちょっと伺って念を押しておきたいと思うのです。どうぞお願いいたします。
  45. 加藤精三

    加藤(精)政府委員 私個人としては一つの意見を持っているんですけれども、まだ十分自治庁の方と打ち合せておりませんので、一つ至急今のような点につきましてのある種の結論を得まして、それをできるだけ早く実施に移しますように努力いたしたい、こう考えております。
  46. 中井徳次郎

    中井委員 加藤さん、それは答弁にならぬ。あんたは自治庁の政務次官なんだから個人としての御意見もあろうから、御意見があればそれを大いに政治に生かしていただかなくちゃいかぬので、あなたの御意見でけっこうですから、一つお聞かせをいただきたいと思います。
  47. 加藤精三

    加藤(精)政府委員 大へんどうも恐縮でございますが、私は地方自治の最も本質的な濃厚なものは市町村自治にあるのではないかと考えておるのであります。それで地方自治の本旨に従えということが、地方住民の手による行政であり政治であるということであるならば、まあ町村合併というようなものもそうした町村住民の意思というものが、どこまでも優先しなければならぬものじゃないか。ところが今はあまりに県というもの、あるいは県の設置する委員会、審議会等に依存し過ぎているんじゃないか。それで促進法ができ、新市町村建設法ができましたら、それが一つの大きな行動基準になることは明らかでありますけれども、町村自治の本旨からいいましたら、実質的には地方関係住民の理念においては自分の郷土のことは自分で解決しようという、そういうふうな自発的熱意が基本になって、その自覚が問題解決の最大の力になるのであるだろうことを望むべきだ、こういうふうに考えておるのでございます。
  48. 纐纈彌三

    ○纐纈委員 私も大体自治庁のお考え、また今次官からのお考えを伺いまして一応わかったのですが、実は私どもがちょっと考えてみました問題でも、県内でもやはり地勢その他から当然合併が可能であるにもかかわりませず、郡が変っておりまして、結局そのために県会議員の選挙区が変っているというようなことから、県会議員か何か知りませんが、その圧力によって、当然合併ができるような町村合併不可能村になっておるとか、あるいは留保にせられるとかというような問題が必ずしもないとは私は思わないのです。おそらくこれは全国にそういった事例があるのではないかというように想像されるわけであります。ましてや県界の問題になりますと、今中井委員からも話されたように、福井県のごときはあらゆる手を使って村民の考え方を曲げさせようというようなことが行われておるやに聞かれるのでございますから、そういう点は、ことに県界の合併等につきまして十分一つ御考慮の上に、町村民が満足するような形において合併を進められたいということを希望申し上げて私の質問を終ります。
  49. 徳田與吉郎

    ○徳田委員 町村合併のことで今ちょうど始まっておりますから、私も一点だけ伺いたい。  最近町村合併で残っているのは、非常に感情的な問題が多くなっておるということが多いのではないかと思うのです。そこで一つだけ自治庁の考えておられる気持をお聞ききしたいのですが、今残っておるところは大体一つ町村がまとまってどちらかへ行こうとするようなところが少いのですね。幾つかに分れて、一部分はこっちへ行こう、一部分はこっちへ行こうというようなところが、比較的多数残っておるのではないか。こういう場合は非常に問題がむずかしくなっておるように私ども見受けます。そういうのは大体国全体でどれくらい残っておりますか、ちょっと聞かしていただきたい
  50. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 お答えいたしますが、実は今手元に持っておりまする資料の中には、今お尋ねの点が分類して入っておりません。未合併町村というようなことで、全体的な数の計算をいたしておりますが、未合併町村の中について、それぞれ原因の分類をいたしたものを現在ちょっと手元に持っておりませんので、お答えできかねますが、この点につきましては資料もだいぶ整っておりますから、できるだけすみやかに整備をいたしました上、適当な機会に御報告を申し上げたいと思います。
  51. 徳田與吉郎

    ○徳田委員 そういうところが非常に多いのです。従いまして、そろそろ三月一ぱいまでには、県の段階においても何とか片をつけなければならぬ。あるいは住民投票に付するとか、法の命ずるところに従って、それぞれ適当な処置を県が考えておるようであります。そういう場合に、やはり県は最後には住民投票でこれを解決しよう、これは当然なことだと考えますが、その場合に、今申し上げたような一つ町村が幾つかに分れようとする場合に、一部どっかへ行きたいというところの区域だけを限って行きたいか行きたくないかというような区域を限った住民投票というものは比較的多いように私ども見受けるのです。その点も全国的に私どもよく知悉いたしません。もしその資料の中でわかれば——それは県の考え方というものが自治庁に今はっきりわかっておるか、わかっておらないか知りませんが、大体は自治庁の方と連絡がとれておるのではないかと思います。そういうことも、もし抽象的でもわかれば知らしていただきたいと思います。そういう場合にきわめて一部分でありまするならば、あるいはそれも適切かもしれませんが、およそ半分ぐらいあるというような場合に、一部行きたいところだけで住民投票をやらすというようなところもあるようです。そういうことであっては、いよいよ問題が最後の段階で紛糾するので肝ないかと私心配をしておるのですが、少くとも一つ行政団体が、あるいは議会が議決し、両方の県の計画した計、画に従わない場合、県は大体その県の計画のワク内に入れようとして、そのワクの中に行きたいものの区域だけで選挙をやらすというような傾向が非常に多いのじゃないか、私はこれは非常に間違った考えじゃないかと思う。やはり新市町村建設法でも、その行政団体それ自体が、こっちへ行くのか行かぬのかという選挙の方が常道ではないか、私はそういうふうに考えておるのですが、こういう点については、自治庁はどういうふうに考えておるのですか。
  52. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 私たちもなるべくならば、町村というものは従来から長い歴史で今日まできておるわけでございますので、これの合併ということを考えまする際には、できるだけ現在の町村という姿を尊重した形で行くべきが建前だと思います。ただいろいろな事情から、どうしても一つ町村として取り扱えないという場合が中にはございます。御指摘になりましたように、かなり最近出てきておりますものはむずかしいものだけに、そういう案件が多いわけでございます。そういう際で、どうしても町村一部について勧告を出さなければならぬ、従って勧告に従って投票を行なわなければならぬというようになりました際におきましても、われわれといたしましては、残る部分、残る町村の処置をつけないで、一部だけを投票に付する、そういうことはやらない方針で行きたいと思います。これはあくまで客観的に見まして、他の残る部分もどういうふうに将来自立できるか、あるいはその残存部分をどの町村と合体せしめればりっぱに行けるか。そういう点を念頭におきまして、総合的に見まして一部分勧告などもやむを得ない場合には承認していく、そういう立場で指導して参りたいと考えております。
  53. 徳田與吉郎

    ○徳田委員 重ねてもう一点。今のお話の場合、両方ともどっかへ行くと腹をきめた場合には、それも私は可能性があると思うのです。ところが一つのものはこっちに行きたいと考えて議決をしたところが、そのうちの五分の二くらいはこっちへ行きたいという考え方を持っておった。しかしながら村を割ることはやめて、どうであっても一つで行きたい。こういうような場合には、一体住民投票の勧告というものは、自治庁のそれぞれのケースによって例外もありましょうけれども、大体どういうふうなお考え方を持っておりますか。
  54. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 これはお話しのようにケースが非常にまちまちでございますので、一般的には言えないと思いますけれども、全体としてやはり他の村に行くという議決をやりました場合におきましては、その議決というものの重要性ということは、これは十分優先的に考慮していかなければならぬのじゃないかと考えます。
  55. 門司亮

    門司委員長 それでは次会は公報をもってお知らせすることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十四分散会