運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-10-03 第26回国会 衆議院 大蔵委員会専売事業に関する小委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月三日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    小委員長 内藤 友明君       大平 正芳君    加藤 高蔵君       有馬 輝武君    井手 以誠君       石村 英雄君    神田 大作君  小委員外出席者         議     員 春日 一幸君         議     員 川野 芳満君         議     員 黒金 泰美君         議     員 志賀健次郎君         議     員 森山 欽司君         日本専売公社理         事         (生産部長)  西山 祥二君         日本専売公社生         産部生産課長  榎園 光雄君         参  考  人         (全国農栄協同         組合中央会会         長)      荷見  安君         参  考  人         (たばこ耕作組         合中央会会長) 河合  冲君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 本日の会議に付した案件  たばこ耕作組合法案竹山祐太郎君外三十五名  提出、衆法第三四号)     —————————————
  2. 内藤友明

    内藤委員長 これより会議を開きます。  たばこ耕作組合法案を議題とし、審議を進めます。  本日は、まず参考人として御出席をいただきました全国農業協同組合中央会会長荷見安君及びたばこ耕作組合中央会会長河合冲君のお二人より、本法律案に対する御意見を承わることにいたします。  参考人各位には、御多忙中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。まず御出席のお二方より、一通り意見をお聞きし、その後に質疑に入ることといたしたいと存じます。では、荷見参考人からお願いいたします。
  3. 荷見安

    荷見参考人 ただいまお話のございました、たばこ耕作組合法案につきまして、私の意見を申し述べます機会を得ましたことを、はなはだ仕合せと存じます。  たばこ耕作組合法案につきましては、農業協同組合関係者一同は、しばしばその協議会を開催いたして研究をいたしておるのでありますが、最近におきましては、本年九月、全国都道府県中央会会長会議決定せられた要請がございますので、最初にこの内容を申し上げておきたいと考えます。  この要請書内容は、葉タバコ生産については、かねてより耕作農民の間にその改善が叫ばれてきたところであるが、第二十六国会において、耕作農民の意志が、反映するたばこ専売法改正実現を見ませんで、たばこ耕作組合法案のみが継続審議となり、農村の間に不満と混乱を起すもととなっておることは、きわめて遺憾とするところであります。われわれ農業協同組合としては、葉タバコは、農業経営の一環として他の農作物総合的計画のもとに耕作されるものであるから、たばこ専売法改正並びにたばこ耕作組合法制定については、重大な関心を持つものであり、今日まで種々要請を続けてきたのでありますが、ここに重ねて左記の事項実現方要請するというのでありまして、第一は、たばこ専売法改正を行い、葉タバコ耕作査定鑑定収納価格等に関し、タバコ耕作農民意思が反映する制度を確立すること。第二が、たばこ耕作組合法制定は、ただいま申しましたような内容たばこ専売法改正を行わないではしないこと。三番目に、たばこ耕作組合法制定に当っては、農業協同組合事業競合する事業は認めないこと。これが昭和三十二年九月九日の都道府県農業協同組合中央会会長会議要請でございます。  これらにつきまして、その趣旨をつけ加えて申し上げてみたいと存じます。由来タバコ耕作者は、タバコのみの耕作専業といたすというわけではございませんで、他の農作物耕作も行なっておる総合農業経営者であります。それが、ここに新しくタバコ耕作者組合法人として設立されることになりますと、その農家は、農業協同組合のほかに、タバコ耕作組合にも加入し、何一農家が二つの組合組合員となるのであります。それで、農業協同組合タバコ耕作組合事業競合することとなりますと、同じ農家組織いたしておりますおのれのの団体活動相互に妨げられることとなり、経済的にも、組織的にも不利益であり、不適当でありますから、両組合事業リ競合はこれを避けなければならない。また同一地域におきまして、二組合が同一事業を行うことになれば、特に競争して必要以上に農家不利益を与えることにもなります。  次に、たばこ耕作組合法案内容に触れて申し上げますと、第一は、タバコ耕作組合地区についてでありますが、これは、各地方のタバコ耕作その他の農業経営状況が異なった事情があります。この区々になった状況に応じて適切な決定をする必要がありますから、農林大蔵両省協議の上、地区については決定することが望ましいので、政令等でその決定方法を定めることが望ましいのであります。  第二に、葉タバコ生産上必要な肥料その他の資材共同購入ということが、組合事業として掲げられておりますが、このことは、農協事業競合することになりますので、少くとも共同購入でなく、購入あっせん程度にとどめることが必要であろうと考えられます。またその実行についてはタバコ耕作組合は各組合員必要額をとりまとめることとし、購買事業は、農協事業として行わせるというやり方が適当であり、両者協調があって、初めてそこに事業の伸展を見ることになろうと考えられます。このことは、また非出資団体経済事業を行うという法制上の不合理をも避けることになると考えます。  第三に、災害による葉タバコ生産に関し、組合員の受けた損害に対する共済を行うということになっておりますが、このことにつきましては、非出資組合共済事業を行うことは、共済事業の性質上、被共済者の保護の立場から適当ではないと認められます。葉タバコ栽培のに災害につきましては、専売法の中に、補償の道が定めてあるのでありますが、その改正により範囲を拡大して、組合員の受けた災害に対しても共済の方途を講ずることにすれば、適当であろうと思われるのであります。  第四に、組合員または会員経済的地位改善のための団体協約の問題は、これによってその効力を組合員または会員に対し生ずることとすることは、行き過ぎと思われるのであります。元来、任意設立加入脱退の自由であります組織体がその団体協約をする場合は、よほど考慮しなければならぬと思うのでありまして、この案によりますと、団体協約事項は、農協法その他団体法に規定しておる条文よりも農民を束縛する規定が強くなっていると思われます。しかもその協約相手方が、資材共同購入をするための商社等でありますと、実際面では、特定の業者と組合との協約によって、場合によりましては農民利益に反する心配も出てくるので、このことは削除せられるか、あるいは十分にお考えを願いたいと存じます。次に、タバコも他の耕作物も、農業経営の上におきましては、総合的経営の一部を構成するものであることは申し上げるまでもございません。ただ、タバコと他の農作物との差異は、タバコ専売品でありますことと、他の農作物専売品でないということの点のみであります。ゆえに、農協タバコ耕作組合とは密接な関係があり、完全な連絡調整が行われ協調されなければ、農業者にははなはだしい不利益を来たすことになるのであります。ゆえに、両者相互協議を遂げ、協調が保たれなければならない。この協調につきましては、農協中央会、農協連合会単位農協組合タバコ耕作組合とは、各段階において、周到な協定によって協調が行われなければならないと考えられるのであります。またこの調整については、農協タバコ耕作組合の両団体のほかに、関係行政庁である農林大蔵両省の密接な連絡が必要であり、農協タバコ耕作者組合農林大蔵両省間の密接一体的協力要請せられると考えられます。そこで、このような調整のできます法文を、たばこ耕作組合法が設けられる場合には加えておかれる必要があると考えます。なお、タバコ耕作組合指導監督については、農家農業経営指導立場から、農業政策担当農林省、専売行政立場からは大蔵省、この両者監督が必要であると考えられます。言いかえますと、大蔵農林両省共同監督は、必然的の要請であろうと思われます。従って、設立認可等監督について専売公社が行うことは不適当であって、両省が行うべきものと考えます。  さらにつけ加えて申し上げたいことは、現在のタバコ耕作組合は、専売法による任意団体であって、法人ではないのであります。従って、その取引相手方に対する権利義務は、その組合員全部の負うところでありますが、今後法人格を慰められることになりますれば、組合員責任は、経費の負担に限られ、また、タバコ耕作組合吉は非出資組合でありますから、その取引相手方に対する責任限度はきわめて不適当なことになると考えます。そういうわけでありますので、非出資組合たるタバコ耕作組合は、おのずから経済行為をなすには不適当なことになりはせぬかと考えるのであります。従って、タバコ耕作組合は、そのような見地から見ますと、その活動タバコ耕作の指導奨励的な事業重点を置くことになり、これにより組合員たる耕作者利益を保護することになると思われるのでありますが、このことにつきましても、さきに申し上げましたように、一般農業経営一体的関係がありますので、農協との調整が必要であるということは申し上げるまでもないと考えます。一面タバコ耕作者利益のためには、タバコ耕作査定鑑定収納価格等に関する耕作者意思が反映する制度が確立されることが必要であると考えられますから、たばこ専売法改正は、タバコ耕作組合法人化と同時に行われなければならないと考えておる次第であります。  はなはだ簡単でございますが、これまで農協関係におきましていろいろ研究いたしましたことを、この際取りまとめて申し上げまして、皆さんの十分の御考慮をわずらわしたいと考えておる次第でございます。
  4. 内藤友明

    内藤委員長 次に、河合参考人にお願いいたします。
  5. 河合冲

    河合参考人 私、ただいま御指名をいただきましたたばこ中央会会長河合であります。引き続きましていろいろとお配慮をいただいておりまして、まことに恐縮に存じております。  タバコ耕作組合は、創立以来五十数年に及びまして、葉タバコ生産向上耕作者相互扶助による利益をはかるとともに、たばこ専売事業発展に寄与して参ったのでありますが、遺憾ながら任意団体でございまして、たばこ専売法第二十五条による届出によって認められているのでありまして、この団体が行う事業も、また同法に規定しておりまする葉タバコ生産に関する必要なる範囲でありますが、これらの事業を行うためにも、また組合自体の諸設備や、あるいは資金を所有し、またこれを管理する上にも、任意団体でありますので、種々の不利不便があったのでございます。これがために、団体経営に支障を来たし、あるいは組合員の不利になるようなことが往々生じておったのでございます。これがため、かねてから久しく組合の存立を確立いたしまして、円滑に組合運営をはかるためには、ぜひ法人格を獲得する必要が痛感せられまして、過去数次の全国タバコ耕作者大会等におきましても、繰り返し組合法人化要望せられて参ったのでございます。ことに最近は、一般社会情勢の進展に伴いまして、一段と組合組織の強化が叫ばれ、タバコ耕作者社会的経済的地位向上の必要を認めるに至りまして、昨年の十一月三十日開催いたしました全国タバコ耕作組合大会等におきましても、強くこれを要望し、決議せられたのであります。その際、御参列いただきました各政党の代表の方々からは、全面的に私どもの希望をいれられまして、必ずその実現をはかるというような力強い御発言を得ましたので、全国耕作者は、これを深く信頼し喜んでおる次第でございます。国会たばこの会におきましては、ぜひこれを実現するお考えによって、種々具体的内容についても御相談になったのでありますが、また私どもタバコ耕作制度耕作団体のあり方について、詳細事情を検討いたしまして、要望事項を取りまとめて資料を提供いたして、この実現方をお願い申し上げたような次第でございます。  ここにおきまして、政府におきましても、たばこ専売法の一部を改正する意向を持つに至りまして、前の国会政府から法律の一部改正案を、また各政党からもたばこ専売法の二郎を改正する法律案、あるいはたばこ耕作組合法案が提出せられましたことは、私ども耕作者といたしまして、また耕作団体の者といたしましても、実にありがたい感激の次第でございます。しかるところ、前国会におきましては、会期の切迫等関係で、参議院に提出せられました法案審議未了となりましたが、衆議院に提出せられました組合法案継続審議となりまして、以来大蔵委員会で、皆様方の引き続いての御審議をいただいておる次第でありまして、まことに深く感謝を申し上げます。私どもタバコ耕作者は、耕作団体法人格を持ち、耕作者利益のために円滑に能率的に運営ができる組織を確立いたしまして活動ができるように、耕作組合法案がすみやかに制定できることを切に要望いたしますと同時に、これとあわせまして、耕作制度を民主的に、合理的に改善するため、たばこ専売法の一郎を改正せられることを切望しておる次第でございます。  次に、この組合法案制定に当りましては、ただいまもいろいろ御意見がございましたが、農業協同組合の側から、耕作団体事業農協組合事業競合するのではないかということを、いろいろ御心配をいただいておるように承知しているわけでありますが、耕作組合が行う肥料及び資材共同購入は、葉タバコ生産上必要な範囲に限っておりますので、このほかの一般肥料資材には及ばないことを御理解いただけるならば、競合はないと存ずる次第でありまして、しかも、従来から耕作組合が行なっている専業でありまして、法人化した場合においても変りがないのであります。さらに競合を避けるためには、両団体の間の協調を保っていけるようにしておることは、前国会審議の過程におきましても、御了解をいただいておる次第でありまして、ましてお互い農民利益をはかる友好団体といたしましていやしくも農民不利益になるようなことや、お互い競合、摩擦は絶対避けて、ともに緊密に提携して、農民経済発展に資すべきであると考えておる次第でございます。  この組合法案内容につきましては、研究不十分ながら、おおむねわれわれの要望する事項が備わっておるというふうに思っておりますので、何とぞ耕作者要望をおくみ取り下さいまして、ぜひこの組合法案の成立を、たばこ専売法の一部改正と相ともに実現いたしまするようにお願いを申し上げまして、一言ごあいさつといたす次第でございます。
  6. 内藤友明

    内藤委員長 ありがとうございました。  続いて質疑に入りたいと思います。神田君。
  7. 神田大作

    神田(大)小委員 河合さんにお尋ね申し上げます。ただいまいろいろとお話がありましたが、たばこ耕作組合法の中に、専売公社監督が非常に厳重になされておるような点が諸所に見受けられるのでありますが、補助金をもらい、監督が厳重に行われるようなそういう公社のもとにタバコ耕作組合があって、これらの公社の大きな影響が、あるいは圧力が加わることなしにこの事業というものが行われる可能性があるかどうかを一つお尋ね申し上げます。
  8. 河合冲

    河合参考人 ただいま神田先生の御質問の要旨でございますが、この点、法案につきまして、監督権、さらに罰則が非常にきついという感じは、私ども実はしている次第でございます。しかしながら、ほかの組合法その他一般のものを見ます場合に、一応の監督権が強化されることは、これはやむを得ないと考えるわけでありますが、でき得るならば、いま少しこの法案におきましても、監督権ないしは処罰の条項を緩和していただきたいということは考えている次第であります。さらにまた、交付金をもらって、さらに公社からの監督権の制約が加重するのではないかというような御意見に対しましては、私どもは、今後におきまする組合法制定の上においては、そういうことは考えておらないのでございます。と申しますことは、交付金をもらうということは、まことに予算のうちから公社事業協力する意味において交付金を出し得る、出すのだということにはなっておりますが、交付金の実際の模様から参りますと、むしろ公社自体で当然やらなければならない仕事を、組合自体が代行してやっているというのが現状でありますので、従いまして、組合のある程度犠牲において公社の下乗をやっているということもいい得るわけであります。実際の予算総額等を見ますれば、公社交付金は、実際に行なっている経費そのものの三分の一ないし四分の一程度にしか上っておらない交付金でございますので、むしろかような点につきましては、もっと交付金と申しますか、実費の補償公社側要請をしたいという考えもあるわけでございます。一応お答えいたします。
  9. 神田大作

    神田(大)小委員 交付金補助金をもらってはいかぬということを、私は言ったのではありませんが、それだけの仕事をしておるのでありますから、大きな犠牲を払って公社指示とか、その他公社の当然やらなければならぬ仕事耕作組合がやっておる、そのためには、もっと補助金なり交付金なりをおろすべきであるということはよくわかります。しかし、そういうように補助金交付金をもらって公社仕事をやらなければならぬ団体が、あるいは公社指示監督を受けなければならぬ団体が、経済行為をやっていく場合において、公社圧力がかからないかということを私はお尋ねしているわけです。この点いかがでございましょうか。
  10. 河合冲

    河合参考人 ただいまの御質問の御趣旨でございますが、公社圧力を、一応組合を自主的な形のものに法人化して、もっとしっかりした基盤の上に立って組合運営に当っていきたいという考え方が、多年要望している法人の問題でありまして、従来の組合よりさらに脱皮した考えのもとにいくという気持のものでございますので、公社圧力がかかるというようなことは、今後におきましてはさよう考えておりません。
  11. 神田大作

    神田(大)小委員 まあ、河合さんは純情な見方から、そういうふうな御答弁をなさったのでありましょうが、現にこの委員会等におきましても、今までのあっせん事業に対してさえも、いろいろそういう問題についての実例が出ているわけです。私たちは、耕作組合が自主的な組合になっていくということは、これはもう好ましいことであって、ぜひ、そういう耕作者利益をほんとうに守る組合になっていただきたいと思うのでございます。そういうことで皆さんも努力されておるということは、十分わかりますけれども、現在の専売法によって、耕作権というものは専売公社の許可を受けなければだめだ。標本の設定も、これは専売公社がちゃんときめて標本を作る。この標本によっての鑑定も、専売公社の一方的な考え方でもって鑑定される。それから価格点等におきましても、価格審議会というようなものがありますけれども、これは総裁の諮問機関であって、この間の価格審議会等におきましても、審議会意向というものはいれられない。ほとんどもうただ申しわけ的に、今までの共巻きの労力を価格に織り込んだというようなことでは、耕作組合の、農民側の言い分をいれたということにはならぬのでございまして、そういうように価格問題等におきましても、もうちゃんと専売公社できめてしまうというように、非常な力を持った専売公社のこのような中において。耕作組合がどんなに自主的な組合になろうとしても、なかなかなり得ないのが実情ではなかろうかと私は思うのです。そういうときに、私は指導事業技術指導、あるいはそういう公社の伝達とか、公社意向に従っていろいろ仕事をやることは、これは差しつかえないし、またできると思うのでございますけれども、そういうような、うしろに大きな権力を持った公社がおるところで経済行為をやりますと、ややもすると、これがある意味においてはゆがめられてくる場合があるのではなかろうか。たとえば、農民はあの肥料を買わなくてこの肥料の方がいい、あるいはこの肥料の方が安いと思っても、それを意志表示できないで、上の方できめた肥料を、文句を言いながら、高いと思いながらも使わなくてはならぬというようなことになりはせぬか、こう私は憂うるものです。それで、そういう場合に、私はこのたばこ耕作組合法法人化されて、そして財産とかいろいろの対外的な信用を得るための法人化は、必要であろうと思う。必要であろうと思いますけれども、非出資団体としてのタバコ耕作組合は、あくまでも指導業重点であって、物資あっせんというものは、指導事業を補強するための物資あっせんでなければならぬ。だから、私は非出資団体であるところのこのタバコ耕作組合が、物資共同購入というようなところまでいく正規な商行為をするということは、今の段階においては、ちょっと農民圧力が加わり過ぎるのじゃなかろうかと思いますので、その点は、どう耕作組合長さんはお考えになられておるか、お尋ねをしたいと思います。
  12. 河合冲

    河合参考人 経済事業である物資あっせんまでやることはどうか、指導事業の方でやったらどうかという御意見でございます。冒頭に申し上げました通りタバコ耕作組合は、ずいぶん長い間専売法の二十五条に盛られております事業内容をやって参ったわけでございます。そこで、どういうわけでこの肥料ないしは資材共同購入等、そういうこともあわせてやるかといいますと、実は葉タバコ生産についての技術指導面につきましては、専売公社責任においてこれを遂行しているというのが現状でございます。従いまして、生産技術指導の面におきましては、きわめて合理的なる技術指導にあわせまして、その裏づけとすべき生産資材を円満に、しかも的確にこれを配給する、裏づけをするということが、より生産向上をはかる望ましい形であるという考えからいきまして、タバコ耕作組合が必然的に、これを公社技術指導に伴いました不離一体の形において、耕作者にこれを配給するという方法が、今日までとられて参っておるわけであります。タバコ生産が非常に一般農業と違いまして、あるいは生産した品物に対しましても幾多の考慮が払われていると同心に、また御承知の通り、非常に規格も多うございまして、公社指導そのものが直ちに農家経済に響くわけであります。そういう点につきましては、やはりタバコ耕作組合資材を担当してこれを配付するという形が望ましいと考えておるわけであります。一般耕作者に必要でないものを押しつけるというようなことは、これはもちろん避くべきことであると思いますが、しかしながら、やはり製品の均斉化と申しますか、そういう点からいきますれば、特別の作物であるがために、一応の合理的な肥料設計、その他技術の面においての協力がどうしても必要だという形から、これをやっておる次第でございます。その点御了承願いたいと思うわけでございます。
  13. 神田大作

    神田(大)小委員 今の御説明によりますと、これは共同購入という商行為をやらなくても、あっせん事業として、農業協同組合というようなもの、全国的には全購連というようなものがあるのでありますから、同じ農業団体があるのですから、この団体協調していけば、これは物資あっせんにそう事欠かなくても済むと思うのであります。私が特に強調したいことは、専売法改正されない現在のような場合において、末端へ行った場合においては、農民が、この資材はこれだけでたくさんだ、数量にいたしましても、あるいは金額にいたしましても、少しほかのものより高いのではないか、こう思っても、それを言い得ないような立場に今耕作者という立場があるということを、よく御認識願いたいと思う。これは、何もわれわれは必要なものを耕作者あっせんしているのだ、共同購入さしおるのだ、非常にこれはいいことをやっておるのだ、こう上の方ではお思いになっておっても、末端へ行くと、それがそうじゃない形に往々にしてなってきているということは、今までの委員会等において、河合さんも毎日お見えになっているようでございましたから、十分おわかりだと思う。私たちは、こういうように末端の耕作農民が自由な立場に立って、そうして自由にものが言えて、そうして自由に自分の好むものが買えるような、そういう立場にぜひ私はしたい、こう思いますので、私は現在の専売法が民主的に改正されない限りにおいては、それと表裏一体をなしているところのタバコ耕作組合経済行為をやることは、末端の耕作者にいろいろな面において圧力がかかると私は考える。そういう点は、河合さんも末端の組合長はおやりになっておるのでございますから、おわかりだろうと思いますが、その点は、全然そんなことはない、農民に対して何ら圧力というようなものはかからないのだ、専売法が民主的に改正されなくても大丈夫だ、こうお思いになるかどうか、一つお尋ね申し上げます。
  14. 河合冲

    河合参考人 末端の耕作者圧力がかかって、資材の購入その他、いやでも買わなければならぬというようなことは、最近におきましては、自由にある程度買い得るような形に逐次なっておるわけであります。必要でないものは、決して無理に押しつけるということはいたしたくないと思っております。さらにまた専売法改正は、この組合法人化と伴いまして、両方とも必ず政府側においても御提出願えるものということとを私どもは期待し、またそういうことを前提として今日考えておったわけであります。前国会におきましても、大蔵委員会におきまして、大蔵政務次官よりも、必ず近い国会には専売法の一部改正を提出したいということをおっしゃられておりますので、相ともにそれの成立することを期待しておるわけであります。どうぞよろしくお願いいたします。
  15. 井手以誠

    ○井手小委員 委員長にちょっとお伺いしておきますが、少し質問が長くなりますが、参考人は非常にお忙しいお方だと思いますので、午後までおそらく延びるでしょうが、参考人の御都合を伺って、もし非常に大事な御用がある方であれば、その方に先に質問したいと思っております。ちょっと都合を聞いていただきたい。
  16. 内藤友明

    内藤委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  17. 内藤友明

    内藤委員長 速記を始めて。荷見さんの方を先にお願いします。
  18. 井手以誠

    ○井手小委員 それでは荷見さんの方に先にお伺いをいたしたいと思います。ただいまお述べになった耕作組合法案についての御意見は、私どもにも配られました葉たばこ耕作に関する要請書に要約されておるようでございます。この要請書を中心にして、数点お伺いをいたしたいのであります。御意見の中にもありましたように、総合農協を中心とした今日の農業法活動の中に、今回タバコ耕作組合法人化される、そうなって参りますと、一種の特殊農協ができるわけであります。この法案によりますと、資材共同購入、資金のあっせん、そういうことでございまして、信用事業をやるとか、あるいは出資するということまでは至っておりませんけれども、やはり農業経営は、御意見のように総合的に経営し、指導しなくてはならぬ今日に、一種の特殊農協ができますと、さらにコンニャク協同組合、あるいはニンニク協同組合というように、特殊農協が次々にできるおそれもあるわけであります。これは、もちろん農林省の方針もありますが、農業経済問題、あるいは農政関係を一応あなた方の方でおまとめになっておる今日の立場から申しますならば、法人化ということには、おそらく基本的に反対であろうと思うのであります。要請書の第二項に「耕作組合法の制定にあたっては、農業協同組合事業競合する事業は認めないこと。」とある。作ってはいいけれども競合されては困る、こういうことでは、農業指導の頂点にあられるあなたの御意見としては、農協中央会会長会議要請書としては、いささかどうもなまぬるい感が私いたすのであります。やはり中央会という立場であれば、どうすれば農業経営が指導できるかという明確な態度が、私は必要であろうと考えておるのであります。そういう意味において、特殊農協ができ、農協が分断弱化される、こういう立場から、新たに一種の特殊農協ができることに対する基本的な考えをもう一回承わりたいのであります。
  19. 荷見安

    荷見参考人 ただいまのお話でございますが、私ども考え方は、農業経営につきましては、総合的に指導をいたし、発達をいたさなければならぬことはお話通りでございまして、一つも違うところはございません。ただ、タバコ専売法の対象になっておるという特別の状況から、長いこと専売法の一部にタバコ耕作組合の形態が認められまして、そこが専売事業の遂行にあわせて活動して参ったことは、ほかの農作物と違う点であると思うのであります。私は、先ほど、違うところはタバコ専売法の対象であるということのみであると申し上げましたが、その通り考えております。従いまして、特別の監督を受け、あるいは特別の法人になるといいますことも、こちらの方が必要と認められるものであればこれはやむを得ない、かように考えております。ただ、最初に申し上げしたように、農家は、タバコ耕作も、他の農作物耕作もあわせて実行しておるものでありますので、同一農家農協にも加入し、今後法人としてのタバコ耕作組合組合員にもなることになりますと、これは、農家から見れば二重加入であります。しかし、その事業競合いたしませんで、専売のタバコ耕作事業を専門におやりになるならば、これは異存を申し上げないでもよいと思うのであります、それが農協事業競合いたすということになりますと、これは、農家立場から見ましても、はなはだ不適当な、どうしても避けなければならぬことでありますから、ただいまお話しになりましたような要請決定いたしたのでございまして、私どもとしては、これが専売法という特定の法律があるということに主眼点を置いて見て参ったわけでございます。しかし、ただいま申し上げましたようなことで、繰り返して申し上げますが、事業競合というものは絶対に避けるようにしなければならぬ、かように考えております。
  20. 井手以誠

    ○井手小委員 中央会長さんは、専売事業ということに非常に重点を置かれておるようであります。いささかその点に妥協が過ぎるような気がいたすのでございますが、それは、御意見ですから承わっておきます。  そこで、御要望の第一点でありますが、第一点に掲げられておりますのは、この耕作組合を作るならば、やはりたばこ専売法改正しなくてはならぬ、そのたばこ専売法改正には、耕作査定鑑定収納価格等に関してタバコ耕作農民意思が反映する制度を確立しなくてはならぬ、ここに非常に重点が置かれておるようであります。あなたの方の単位農協なり、あるいは県の段階の連合会において、いろいろとこういうタバコ耕作に関する意見もまとまっておるだろうと存じておりますので、この機会に、たばこ専売法はいかように改正さるべきか、たとえば、耕作権については、現在一年々々で、更新されるようになっておりますが、これを、どのくらい耕作権として安定さすべきものであるか、あるいは査定鑑定については、どういうふうに民主化されねばならないのか、さらに収納価格については、調査によれば、一日の労賃が百円にも当らない、ある調査では、一時間当り四円何十銭にしか当らない、こういうふうな不満が非常に強い、この生産費方式をとって、農民意思が収納価格に反映するように、こういったことが、おそらくあなたの方でまとまったものがあろうと考えるのであります。そこで、一つあなたの力の調査研究に基いた耕作農民意思が反映できる方法内容、それをこの機会に一つお示しいただきたいと思います。
  21. 荷見安

    荷見参考人 この要望の第一にあります、耕作農民意思が反映するようにという概括的の意見はありますけれども耕作権あるいは耕作面積を何年問は継続するとか、どういう場合に際会しなければ増加ができないとか、あるいは減小するにはどういうふうにするとかいうふうな具体的の問題につきましては、まだ全体の意志を確定したものを持っておりません。いろいろ幾つもの意見がございますことは、御承知の通りであります。要するに、この耕作権の確立の問題と申しましょうか、耕作権の問題、査定鑑定、あるいは収納価格というようなところに、農家意思がよく反映いたしまして決定されることが、われわれ農業経営の全体を担当いたしておる者としましては望ましいということでございまして、これを、たとえばどういう審議会決定するとか、あるいは鑑定については、どういうふうな方法でするとか、こまかいことまでまだ全体の意見決定しておりませんので、いずれ決定いたしますれば申し上げることができようと思いますが、本日はちょっと申し上げかねるわけであります。
  22. 井手以誠

    ○井手小委員 現存の専売制度、あるいは耕作収納価格、そういった問題に非常な不満があることは事実である。しかし、それを具体的にどう改めねばならないかについてはまだまとまっていない、こういう御趣旨のようであります。それでは、専売法の一部改正は、ぜひ行わなければならぬという強い要請であります。おそらく両参考人お話では、次の通常国会では、専売法の一部改正案が提案されるという期待を漏らされておりますが、それまでにまとめられて、農業経営農民の一人としてのタバコ耕作者の意志をまとめて、これを私どもにお示しになるという御用意がありますか。
  23. 荷見安

    荷見参考人 今お話しの点につきましては、農民利益保護という点から強い要望がありますから、これは、その案が示されるまでには、内部の意見も一定して申し上げることができると考えております。
  24. 井手以誠

    ○井手小委員 耕作組分法案については、すでに一通りお目通しになったと存じておりますが、この耕作組合法であれば、組合員法律であるならば、耕作者利益を守る法律でありますならば、経済事業はもちろんあるかもしれませんけれども、もっと私は大事なものは、世によくいわれるように、今日の専売事業は、法人化よりも民主化だといわれている。そういう立場に立ちますならば、公社に対して団体交渉ができる——要請の第一に掲げられておりますように、農民意思が反映するような制度ということになりますれば、やはり公社団体交渉ができるような耕作組合員の法案農民法案、そういったものの方が、私は必要ではないか、本法案によりますると、経済行為を中心とした、もっとせんじ詰めますならば、資材共同購入を中心とした組合法案、そういう内容と私は承知いたしておりますが、それよりも、いわゆる農民の団結による団体交渉、専売事業をもっと民主化するための、民主化して耕作者の地位を安定向上させるための組合法案、これがもっと必要ではないかと私は考えておりますが、中央会長の御意見はいかがでございますか。
  25. 荷見安

    荷見参考人 私は、ただいま議案になりましたたばこ耕作組合法案につきましての意見を申し上げたわけでありますが、その他タバコ耕作者利益を擁護するためにはいかなる方法がよろしいかということになりますと、今の専売法内容がどういうふうにきまるかということによりまして、これに対応する団体の問題も、あるいはきまって参ることかと考えるのであります。今の専売法につきましては、ただいま要請で申し上げましたように、ここにあげましたような、耕作権の確立その他ができますような専売法改正が望ましいということを、申し上げるにとどめておきたいと思うのであります。
  26. 井手以誠

    ○井手小委員 中央会長の方には、いろいろお聞きしたいと思いましたけれども、なお検討中の点がかなり多いようでありますし、いろいろのお立場もあろうと思いますので、私の質問は、あとで耕作組合の中央会長さんの河合さんの方にすることにいたしまして、  一応中央会長に対する質問はこの程度にいたしたいと思います。
  27. 内藤友明

    内藤委員長 有馬君。
  28. 有馬輝武

    ○有馬(輝)小委員 私は、荷見先生に一点だけお伺いいたしておきたいと存じます。それは、先ほどお述べになりましたものの中で、団体協約程度についてであります。たばこ耕作組合法案でいわれておるところの団体協約程度については、考慮すべき点がある、特に商社の場合はということでお述べになりましたが、少くとも耕作組合専売公社と、要請書の中で述べられておるような耕作権の問題、あるいは査定鑑定、あるいは収納価格、そういったものの協約を結ぶということが、とりもなおさず耕作農民意向を反映することになると思うのでありますが、その点で、今お述べになりました程度とおっしゃった点、非常に抽象的でありますので、いま少し突っ込んだ御意見を、この件に関してお聞かせいただきたいと存じます。
  29. 荷見安

    荷見参考人 たばこ耕作組合法案の中に規定いたしておりますタバコ耕作組合団体協約という問題は、これは先ほど申し上げましたように、それが直接団体協約ができますと、組合員に対して効力を発するという規定がございまして、これは他の団体協約の場合とは違っております。他の団体協約の場合におきましては、たとえば農協の場合におきましては、団体協約をいたす、そうしてその団体協約相手方組合員とが協定をした場合に、団体協約に違反することがあれば、影響を受けるという程度でございますけれども、このたばこ耕作組合法団体協約は、団体協約の効果が直ちに組合員に及ぶようになっておりまして、これは、団体協約と申すよりは、一そう代理契約でありますか、非常に拘束度がきついように思われますので、これは、耕作組合団体協約としては程度を越すものである、あるいはこれが間違って運用されることがありますと、組合員利益が不当に害される場合もあり得るであろうということが心配でありますので、その点を申し上げたわけであります。  他の耕作権その他の問題につきまして、専売法改正ということは、先ほども質問がございましたが、これは、抽象的に、とにかくタバコ耕作者の権利が確保されることを希望するというのでございますので、その内容につきましては、いずれ内部で十分協議を遂げました上でないと、この際ここで御答弁をいたすということが不適当のように考えますので、その折まで保留させていただきたいと思います。
  30. 内藤友明

    内藤委員長 お諮りいたしたいことがあります。この際森山欽司君から発言を求められておりますので、これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 内藤友明

    内藤委員長 御異議なしと認めますので、これを許可いたします。
  32. 森山欽司

    ○森山欽司君 先ほど井手委員からも御質疑があった事項に関連をいたしまして、荷見先生にお伺いをいたしておきたいと思います。農協中央会の立場からは、特殊農協ではあまり感心しないのではなかろうかという御意見が井手委員からありましたが、それについて、先生はそういうことの直接のお答えよりも、むしろタバコ耕作組合専売法上の特殊法人という観点でとらえて、ただ事業がぶつからなければ法人となるのはやむを得ない、こんなふうなお話であったと思うのであります。当初このタバコ耕作組合というものについて、これを法人化する方法といたしまして、私どもの間でも二通り意見があったのであります。一つは、農業協同組合法に基く農業協同組合にしたらどうかという意見でございます。もう一つは、たばこ専売法の特殊法人とするということでございます。従って、前者の農業協同組合法上の農業協同組合にするということは、特殊農協にするという意見でありまして、農村にゆかりの深い関係者の方から、特にそういう強い御意見が一部にあったわけでございます。もし何らかの形でタバコ耕作団体法人化しなければならないということになりました際、そしてその一つの方法として、特殊農協にするという考え方をとるといたします場合、そして、その特殊農協のやり方をとるということについては、農林省の係官から、これはできないことはないという見解の表明があったのでありますが、そういうことについて、荷見先生はどういうふうなお考えを持っておられるか、承わりたいと思います。
  33. 荷見安

    荷見参考人 タバコ耕作組合と同様のものを特殊農協で作るということになりますと、どういうふうな制限を与えますか問題でございますが、ただいまのあるいは養蚕でありますとか、畜産でありますとかいうもののような法人が設けられるというのでは、それは特殊農協をお作りになりませんでも、今の総合農協でできるわけでありますから、農協でよろしい程度であれば、私は、総合農協に統一していただくのが一番適当であると考えております。そのほかに、同一の地区に、同一の組合員をもって組織する農協法による法人ができるということになりますと、その分界が非常に複雑になりますので、その内容をよほど研究いたしませんと、それでスムーズに運営できるかどうかということが見通しがつきかねておりますのが、私の今の見解でございます。農協法によりますれば、同一の条件で同一地域に成立いたしまして、その能力を制限する場合にもどういうふうになりますか、出資団体になりますか非出資団体になりますか、自由なものができることになりますと、重複の程度が厚いのじゃないか、いわゆる二重組合になりはせぬかということを懸念いたすのであります。それが、すらっとしたものがもしも考えられれば、それでもいいでございましょうが、まだ農協法による場合のタバコ耕作組合特殊法人というものはどういうふうなものだという話を、実は承わっておりませんので、ここでそれを判定して申し上げることが、はなはだ困難な事情でございますが、私の感じだけを申し上げておきます。
  34. 森山欽司

    ○森山欽司君 特殊農協の場合の事業内容について、常識的に申しますれば、酪農養蚕、お茶といったようなところに、すでに特殊農協の前例もあるわけでございます。従って、そういう前例に徴してみまするならば、タバコ関係もほぼ同様の内容を持つ。もちろん出資、非出資の区別はございますが、この場合は、非出資ということにはなろうかと思います。非出資になりますれば、信用事業はできない。しかし、信用事業を除く以外の経済行為はできる。それが大体の先ほど来申し上げました特殊農協内容です。従って、そういうものにタバコがなるのだということになれば、専売法上の制約を別にいたしますれば、これは、農林省としては認めざるを得ない、こういうことです。そういうことについて、農協中央会側の会長さんとしては、どういうようにお考えになるか。内容は検討しなければとおっしゃいますが、すでに前例もございます。たとえば、現在酪農協組合というものも全国各地にある。しかし、農協の中央会では——これは全国団体か中火団体か存じませんけれども、その中に酪農部を設けて、これとぶつかり合っている地区もあるように聞いておる。しかし、そうはやられても、やはり酪農協という特殊農は、依然としてあるし、酪農振興のために、これを否定することは私はできないと思うのです。同じような観点から、法人化の一方法として、農業協同組合法に基く特殊農協を、非出資の形においても認めざるを得ない。ただ、それについて、そういう際は一体どういうことになるだろうか、その点をお考え願いたいと思う。
  35. 荷見安

    荷見参考人 ただいまのような非出資団体として、信用事業は行わない、他の経済史業は行う組合ということになりますと、私の考えといたしましては、なるたけさようなものであれば、総合組合に統合した方がよろしかろうと、個人的には考えるのでありますが、先般来も、農協の刷新強化委員会を作りまして、私四、五カ月にわたって、学者あるいは実際家も寄せて研究いたしたのでありますが、農協の総合農協と特殊農協との事業調整をいかにすべきかということは、非常にむずかしい問題でありまして、今後も研究をするという程度になっておりまして、はなはだ何でありますが、非常にむずかしいので、割切っておらないのであります。それで、今度の場合も、あるいはそういうものができる場合にはどうするかということは、具体的になりますと、十分内部でもその問題に集中して研究いたしまして、これは、その問題だけであれば早急に御返事もできると思うのでありますが、研究いたす価値は十分にあると思いますが、今私の具体的の御回答が困難な事情でありますことを申し上げます。
  36. 森山欽司

    ○森山欽司君 酪農、それから養蚕、茶というような、特殊農協と同じような形にタバコの特殊農協がかりにできたとすれば、農業協同組合中央会としては、おそらくそれらの特殊農協に対して、今までとってこられたと同じような既往の態度は、おとりになると思うのであります。その点は、私は先生の今までのお話からしても、ある程度の推論はつけてもさしつかえないのではないか。それは、私は御承認が得られると思う。そこで、そういう特殊農協を作る場合に、総合農協というものとの摩擦が起きてくるという点が出て参るわけであります。そこで、私といたしましては、これは、提案者の一員として、この機会に申し上げておきたいと思うのです。総合農協との摩擦をできるだけ防ぐように、現在の専売法二十五条の事業というものを、さらにできるだけ正確に規定をし、また監督も厳重にし、できるだけ摩擦を少くするような特殊法人を作らなければならないということで、たばこ耕作組合法というものを別途の法体系で規定をいたそうとしたわけであります。もちろん、それ以外にも、監督行政の二元化を避けるというような行政能率的な見解もございます。それから専売制度というものの特殊性というものも加味されておるわけです。そういうことで、たばこ専売法上の特殊法人、たばこ守売制度上の特殊法人という考え方に立ってこの法案の立案に当った趣旨というものは、あくまでも農協との事業調整農協との調和ということを常に念願として、この法案の成立に尽瘁して参ったということについて御了承を得たいと思うわけです。  ところがこのたばこ耕作組合法案が提出されますと、いろいろな御議論が出て参りまして、与党の提案でございますから、野党の方からも出て参ります。それからまた、現在の専売法二十五条による任意団体であるタバコ耕作組合というものを、これは五十年の長い伝統を持っておるということでありまして、その運営等については、なお幾多改善しなければならない点はあるけれども、一応既存の実態というものの院に立って、これを法人化するこの法案が提出されました結果、特に特殊農協に対すると同じような問題が、総合農協側から起きて参ります。全国農協中央会におかれましては、非常に御心配をされまして、荷見先生も非常に御苦労されておるというように私どもは思う。それが、最近の空気を見ますと、ややともすればこの両者、特に末端現地における両団体関係が、やや対立的と申しますか、尖鋭化しておるような空気も一部に見られるのでございます。私どもは、この立法の当初の趣旨からして、タバコ耕作組合というものは、農業協同組合というものと相ともに提携して伸びていかなければならぬということを念願としておりますことは、特殊農協の道をとらなかったということをもってしてもおわかりを願えると思うのでございます。本来は、これは、俗な言葉で申せば兄弟のような関係で、兄であり、弟である、机ともに提携していかなければならないにもかかわらず、立法の立場にあるわれわれが意図したことと反対に、ややその協調と反対に対立という面が見られて、いわば農村の平和というものにプラスにならないような動きもあるわけであります。こんな点について、先生も非常に御心痛をされておると思うのでございますが、これを何とか打開しなければならないと私ども考えますが、全国農協中央会会長として、また多年農政のその道の権威をもって鳴る荷見先生から、この問題についての取り上げ方の心がまえについてこの際承わることができれば、幸いであります。
  37. 荷見安

    荷見参考人 ただいまのお話でございますが、先ほど御紹介いたしましたこの九月の全国都道府県中央会会長会議におきましても、組合の設立ということに絶対的に反対の表示はなしておりませんので、先ほども申しましたように、組合事業競合をするようなことはぜひ避けたい、こういうことでありまして、言葉をかえますと、あの中の農協競合するような不安を抱きまする条項を取り去っていただきますれば、今お話しのように、いずれも農家組織する組合でございますから、完全に提携して、無用の摩擦を避けて参らなければならないということは、私も全く御同感であります。ただ、それが、ややもすると無用の面において相剋が、本体の摩擦にまで及ぶ例が多いものでございますから、それで、先ほども申しましたように、競合するような事業、あるいは競合するような不安を抱きますることにつきましては、いろいろこまかにわけて申し上げましたのですが、ああいう点をおくみとりを願いまして、これを訂正を願っていきますれば、今の御趣旨のようなことになると考えるのでありますが、ただ、いかにもたくさんの人でございますと、少しの不安も非常に不安に見えるわけでありますので、その不安のなくなるように、私、さっき申しましたのは、実は農協内部でいろいろ練りました点をほぼ取りまとめて申し上げたわけでありますから、そこを十分にお取り上げを願って、さような方向に進んでいただくことが願わしい、かように考えておるわけであります。
  38. 森山欽司

    ○森山欽司君 荷見先生のお考えも、また農村の平和ということで大いにお考えになるということでございます。  一番問題になっておりますのは、端的に申して、現在の専売法二十五条に認められておるタバコ耕作団体事業、これは、従来の条文は、肥料その他タバコ生産に必要な資材共同購入という言葉を使っております。形の上では、肥料というのには何も制限はない。そこで、私どもは、葉タバコ生産に必要な肥料その他資材共同購入という形に改めたわけであります。その後いろいろ議論して参ります際に、前回の国会において私どもが用意いたしました附帯決議案——これは御存じでございましょう。——これを何らかの簡素化された形において法文に盛るというようなこと、また共同勝人とだけ書くのはいかがかという点について、これを中央会側から端的にいえば、共同購入ということでなくてあっせんにしろ、こうおっしゃいますが、実情は、やはり共同購入の実績もある。またあっせんしている部面もあるということであって、言葉は悪いのでございますが、不脅威不侵略で、従来の線で一応調整をとって、農協側が兄貴となって弟分のタバコ耕作組合をかわいがるというようなおおらかな線で一つ農協側がこの際おくるみ願えるならば、私どもは、共同購入というものを全く削るということはどうかと思いますが、同時に共同購入だけじゃないというような面も含めるような何らかの表現方法等もございますれば、そういうような点も、一つ先生の方におかれましてもお考えを願いたい。問題が対等の者の間で争われているものでございますれば、大いに突っぱるということもありましょうが、しかし、農業協同組合というものは全国的な大組織であります。まさに農民組織の大本山であります。でありますから、その立場で、大きくタバコ耕作組合というものもその中にひっくるむお気持で、形は別の法体系であろうと事実上それをひっくるめるようなお気持で、この際何らかの調整案というようなものを、一つ中央会側においてもお考え願いたい、それが一番の要点でございます。私どもといたしましても、できるだけそういう適当なやり方がないものかということを、鋭意考えてみたいと思いますが、特に農政通の最高権威であられる先生がこの際一つ乗り出して、最終的な収拾にお力添えを賜われば幸いであると考えておる次第でございます。
  39. 荷見安

    荷見参考人 実は、最初にも申し上げましたように、建前といたしましては、今のたばこ専売法お話の二十五条によるタバコ耕作組合任意団体でございますので、その取引責任は、組合員が直接負うことになると考えるのでありますが、法人になりますと、この組合法にもございますように、組合員責任は、賦課されました経費に限るという規定もございまして、取引相手方の保護につきましては、不十分ではないかと考えておるのでございまして、それで、私は、非出資組合として経済行為をなすことは望ましいことではないと考えたわけであります。そこで、タバコ耕作組合関係の方が非常に御要望になっておる肥料資材共同購入ということにつきましても、実質的におきましては、タバコ耕作組合の方でその取りまとめをされまして、その実行は農協に委託して行こうというような方針がとられますと、全く平和なことになるのでございますが、それで、そういうふうな何か建前と申しますか、原則と申しますかができますと、法制上の立場からも大へん望ましいのではないか。またタバコ耕作組合農協との完全なる提携ということにつきましても、実に円満に行き得ることと私は想像いたしておるわけでございますので、その点は、十分御審議の途上においてお考えを願えれば仕合せだ、かように考えております。それに関連するいろいろな方法があるでございましょう。あるいはまた、お話しの附帯決議ですかの内容になるようなところで、両方の協定とか、あるいはその具体的方法とかいうようなことも出てくるのでありましょうが、そういうことが何か現われまするようになれば、大へん仕合せでありますので、ほんとうにお話しのように兄弟なのでありますから、弟の力の足らぬところは兄貴が補い、また弟がすべき指導方面のことはあるいは兄貴が助力するというようなことで参りますと、大へん仕合せだ、私どもも衷心からそれを願っておるような次第であります。
  40. 森山欽司

    ○森山欽司君 荷見先生が言われましたように、非出資の組合につきましては、経済行為をするのには、多少問題があろうと思います。決して論議をするつもりはありませんが、農業協同組合におきましても、非出資組合は、信用事業はできませんが、経済事業はできるような建前に現在の法律の上ではなっておりますので、現在農協法で認められている趣旨としては、この程度のことはできる。一方専売法の二十五条には、共同購入という言葉が書いてある。これをこの際削ってあっせんにしろというのでは、兄貴としては、これはおとなげないではないだろうか、何かもう少しお考えの余地があるのではなかろうか。私どもも鋭意考えておりますが、そちらも一歩高いところへ立って、くるむような規定の仕方というものでこの際出ていただきますれば、不幸にして中央、地方で一部に見られるあの先鋭化した雰囲気が、災いを転じて福となすというような働きをし得るような時期に現在あるのじゃなかろうか。同じことを申しましても、時期を失しますと、また場所を失すれば効力がなくなる。私は、その時期、場所というものが現にわれわれの目の前にあるかもしれない、近づいているのかもしれないというような感じを持っておりますので、荷見先生から、この際具体的にそれについての案をお答えとして求めようとは思いませんが、ぜひ一つ御考慮置きを願いたいと考える次第でございます。
  41. 荷見安

    荷見参考人 私の申し上げましたことも、十分おくみ取り置きを願いたいと思いますので、お願いいたします。
  42. 内藤友明

    内藤委員長 神田君。
  43. 神田大作

    神田(大)小委員 一点だけ荷見会長にお伺いします。最近タバコ耕作組合では、地域を広げて、今まで旧村単位の組合を、一支局単位というような大きい単位にするような傾向が見受けられるのでありますが、今後法人になった場合に、タバコ耕作組合と炭業協同組合協調をしていく上において、同じ区域で話し合いをした方がいいか、それとも片方は区域が広い、片方は旧町村単位の農業協同組合だ、そういう方が話し合いをするのにしよいかということは、やはり今後実際的な問題になってくるだろうと思うのです。同じ農民タバコを作り米を作って、そして協同組合にも加入し、タバコ耕作組合にも加入しておるというような、末端は同じ農業をやっておる者でございますから、私は、そういう意味合いにおきましても、やはりいろいろの点において話し行いをしなくちゃならぬ場面が出てくると思う。これは、ちょっと的はずれかどうかわかりませんけれども、五千人、一万人という大きい組合を作って、そうして総会をやれと言ったところで、場所もないし総会なんかできないから、結局五十人か三十人の代議員制でもって、役員の選挙から事業の承認から専業の計画というものを、そういう少数の代議員できめるということは非民主的ではないか、少くとも末端の組合というものは、千人とか二千人というもので、学校を借りて総会ができるような範囲にして、そこでもって年に一回組合員に集まってもらって、いろいろと耕作組合事業報告をし、それに対する質疑等をやり、そこで民主的な選挙でもって役員をきめるということによって、だんだんと組合員が切瑳琢磨されてタバコ耕作組合がよくなっていくのじゃないかということを、私はきのう申したのでありますが、今度は五千人だ六千人だということになりますと、そういう者た集めることができないだろうということで、少数の代議員でもって重大な事項がきめられる。また組合員と話し合うにしても、一々遠くのところへ行って、同じ村の人がやっているのではない、ほかの地区から出た人と話し合うということになると、なかなか話し合いがうまくいかないのじゃないかと思って、非常に危惧しておるのでありますけれども、荷見会長は、そういう区域の問題については、どうお考えになっておられるか、お尋ねいたします。
  44. 荷見安

    荷見参考人 そのことにつきましては、最初に申し上げたのでございますが、いま少しく打ち割って申しますと、地方の方々の中には、農協もいろいろ区域はありますが、大体旧町村くらいの程度でございますので、その程度の区域がよいのではないかという御意見がかなりあるようであります。ただ、私どもが見ますと、それでけっこうでありますが、地方によりますと、非常に区域が小さく散在している場合もありますので、そういう場合に、この組合ができますならば、あまり狭い、区域では成り立たないのじゃないかというふうな感じもいたしますし、最初申し上げましたのは、地方の経済事情組合状況等も区々でございますので、その決定は、農林大蔵両省協議してきめますというようなことを政令か何かででも定められるようになされば、一番実態に近いものができるのではなかろうか、かように現在の程度では私ども考えております。これは大体の、農協関係者の研究いたしました意見でございますので、その方がよくはないかということを考えておりますということを重ねて申し上げます。
  45. 内藤友明

    内藤委員長 午前の会議はこの程度にとどめまして、午後二時まで休想いたします。    午後零時十五分休憩      ————◇—————    午後二時三十六分開議
  46. 内藤友明

    内藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  たばこ耕作組合法案を議題とし、質疑を続けます。井手以誠君。
  47. 井手以誠

    ○井手小委員 たばこ耕作組合中央会長河合さんに、いろいろの問題についてお尋ねをいたしたいと思うのです。河合さんには、中央会会長の重責におられますし、また本法案の成立を期待されておる人でありますが、また一面においては、三十万人にも上るタバコ耕作者利益を代表する人であります。従来専売公社耕作組合との関係から申しますれば、お立場は私も理解できるのでありますし、うしろには専売公社のお歴々がお控えになっておりますからなかなか言いにくいこともあろうかと私は存じております。しかし、この際三十万排作者の利益を守る意味において、私もそう無理なことはお尋ねいたしませんから、一つ勇気を出して御意見を御開陳いただきたいと思っております。  まず伺いたいことは、午前中の御意見の中に、この法案の成立を期待するというお言葉でございましたが、今までの任意組合をどうしても法人化せねばならないというその理由、今までの任意組合では非常に不便である、どこに法人化せねばならない緊急性があるか、その点をお述べ願いたいと思っております。
  48. 河合冲

    河合参考人 ご質問の点でございますが、対内的と申しますか、組合自体運営上におきましての非常に不利不便と申しますか、そういう点につきましては、冒頭に申し上げました通り、財産の管理ないしは共同購入する場合の資金の借り入れという場合における信用上の問題、組合長が借りるのでなしに、組合の役員としての個人の立場において借り入れをしなければならぬというような点もございます。ただ、従来も長いこと法人格を持ちたいという気持においては、大蔵当局並びに専売当局に要求をして参ったわけであります。ちょうど昨年あたりから、タバコがいささか過剰ぎみになってきたという点から、減反も相当額されなければならないという点もございますし、また昨年は、特に長い間なかった収納価格の引き下げが一部行われたわけであります。そういう点をあれやこれや考えます場合に、できるならば、対等の地位に立って公社との話し行いを進めていきたいというような考えも、多分にあったわけでございます。今年は、さらに減反等の問題も起きたわけでございますが、従来も、収納価格点等に対しましては、公社内部の一つの機構といたしまして、収納価格審議会が二十七年の十一月から構成されまして、二十八年度の葉タバコ価格に対しまする制度が一応はできたわけであります。この収納価格審議会における答申の結果といたしましては、なかなか公社がこれを実現されなかったというような実績もあるわけであります。そういう点からいたしましても、どうしてももっと法制的な立場において審議会も強化する必要がありますし、また権威あらしむる必要もあります。こういうことを公社に対して、ただ専売法二十五条のワク内においての形でなしに、一つの法人格を持った組合の自主的なあり方というものをさらに強固にしていきたいというのが、大きな考え方になっておるわけであります。そういう点から、ぜひ法制化をしていただきたいということが、昨年の十一月三十日のタバコ耕作組合大会においてさらに再確認をされてこの問題と取り組むということになったわけであります。
  49. 井手以誠

    ○井手小委員 法人化の必要性については、大体あなたのお考えはわかりました。そこで、専売公社とあなたの方の関係ですが、従来の公社耕作組合、またこの法案による耕作組合の性格、そういったものをいろいろと考えて参りますと、本来ならば民主的団体、自主的団体であるべきものだと思っておりますが、事実は、公社協力機関のような気がしてならないのであります。きのうも、大蔵省の監理官は、自主的な団体だ、こういうふうにはっきりお話しになっておりましたが、あなたは、一体協力団体の方に重点をお置きになっておるのか、自主的な団体に重きを置くようにお考えになっておりますか、もしこの法案が通って運営なさるとしますと、もちろん協力もしなければならぬでしょうし、自主的なこともしなければばらぬでしょうけれども、どちらの面が多いとお考えになっておりますか。
  50. 河合冲

    河合参考人 もとより新しく発足いたしますためには、耕作農民にいかに奉仕して耕作条件の改善なり、利益の確保をはかるということが第一でございます。さらにまた、組合員が特殊な専売法に基く葉タバコ耕作というものをやる以上におきましては、公社と密接なる指導上の合意の上に立っての裏づけをしていくということが必要であるわけであります。従いまして、この組合の性格といたしましては、耕作者の社会的、経済的地位の擁護、向上でありますとか、生産を高めるというものでありますけれども、それと同時に耕作者の生々発展の上に立った専売事業の強化発展ということを、あわせて考えていかなければならぬと思うわけなのであります。そういう意味合いから、もちろん組合である限りにおいては、耕作者が第一でありまして、その上に立っての専売事業の育成発展であるということを考えておる次第であります。
  51. 井手以誠

    ○井手小委員 これはもうタバコ耕作者ばかりでない、農民すべてが、技術改善して増産するということを、農家経済の安定の上からも、だれに言われなくてもやはり自発的にやるべきものだと私は考えておるのであります。あまり生産が上り過ぎて、協力し過ぎて増産になって、今度は減反だ、自分の首を締めるようなことにも今日なっておるようでありますが、私は、耕作者団体でありますならば、専売事業協力する意味の増産ということ、品質の改善ということは、これはそうすることが耕作者農民の増収になるわけでございますから、従ってその協力という面では、公社農民の利害が全く一致しておる。これは、専売公社から言われなくとも、だれが指導しなくても、農民自身がうんと増産したい、うんといい品質のものを作りたい、そうして、この増産をしたいという農民の本能、これは、すなわち専売公社考え方と私は一致すると思う。そういうことを考えますと、あなたもただいまおっしゃったように、近いうちに減反されるおそれがある、昨年は値下げが行われた、そういう現在の状態では、耕作農民の生活を守るために、専売公社と対等な立場で交渉ができる法人を持ちたい、こうおっしゃったのを、私は理解するわけであります。実にその通りだと思う。ほんとうの耕作組合意向は、私はそこにあると思う。そこでありますならば、組合法を持つというならば、もっと強い、公社に対して団体交渉が持てるような耕作組合法が、あなた方の御希望ではないか、私はそう存じておりますが、いかがでございましょう。今の専売法では、あるいはその余地はないかもしれませんけれども、午前中もおっしゃったように、専売法改正するとともに、これを受けて立つ耕作組合法案というものも、もっと強い、専売公社にも対等の立場で交渉ができる、いわゆる減反を防ぎ、あるいは値下げを防いで、むしろ値上げをしてもらうという、こういう一番大事な点を団体交渉できる法案を作ることが、あなたのほんとうの希望ではないか、かように私は存じておりますが、中央会会長さんの御意向はいかがでございますか。
  52. 河合冲

    河合参考人 確かに御指摘のような考え方をするわけでありまして、耕作団体といたしましては、さような形が望ましいわけではございます。しかしながら、現段階において、果してそういうことができるかどうかということを考えます場合に、一進歩であるという意味合いにおいて、将来に期待をかけて、この程度のものでがまんせざるを得ないのではないかという結論に達しておる次第でございます。
  53. 井手以誠

    ○井手小委員 中央会会長のお気持はそんたくできます。本来ならばそういう耕作組合法を持ちたい、しかし現段階では、まあやむを得ぬじゃないか、こういうことで、私は一応御意見を了承するわけであります。しかしほんとうならば、やはりそこに重点が置かれなくちゃならぬ、公社と対等に交渉できる団体交渉権を持った耕作組合法が、私は必要であると存じております。最近は、専売公社の幹部の方も非常に御理解が深くなっておるから、一つそういうことは御懸念なく、私が今からお尋ねいたすことについても、率直に御意見の開陳を願いたいと存じます。  そこで、公社と対等に交渉したいという、また午前中農協の荷見さんからも意見の開陳がありました、耕作者意向が反映するその具体的な問題について、一つあなたの御所見を承わっておきたいと思うのです。耕作権、これは私が申し上げるまでもなく、一年ごとに許可を受けるものであります。こういう一年ごとに許可を受けるということは、あなたも今まで委員会を傍聴されてお聞きであると思いますが、非常に耕作者は不安なんです。ちょっと公社側と気まずいことがあれば、やめさせられはせぬかという不安がいつもつきまとっている。こういうことではほんとうに技術改善したり、増産しようという意欲が起りかねるのであります。そこで、私どもは、少くとも五年間は耕作権を安定させなくてはならぬという意見を持っております。中央会長さんは、どういうふうにこの耕作権の安定についてお考えになっておりますか、お伺いをいたします。
  54. 河合冲

    河合参考人 耕作権の問題でございますが、この点につきましては、以前より耕作権を長期的な許可制にしてもらいたいというような要望はいたしておったわけでありますが、また井手先生のお話しのごとく、五カ年という御意見もございましたが、実は、そういう線を一時は考えておったこともあるわけであります。ただ、実際に、これを長期許可の制度をとるということになりますと、耕作者に大きな義務が生ずるということと、また事務的に考えましても、毎年々々同じ畑へ耕作するのでなしに、もちろん品種にもよりますけれども、おのおの毎年違った畑に耕作するという立場から、必ずしも反別が一定しておらないというような状況があるわけであります。そういう点から、毎年々々同じような事務的取扱いをしなければならぬということもありますし、また一つの義務が生ずる、また権利も生じましょうけれども、その義務が生じた場合に、その者の労力の都合、あるいは家庭の事情等において、長期的なその許可を実現することが困難だということもあり得るということも、いろいろその後公社その他大蔵当局等との話し合いの節、そういう問題も出ておったわけであります。従いまして、その三年ないし五年ということは一応おきまして、前年度耕作した者には優先的にこれを許可する、いわゆる永久的考えのもとに許可をしてもらうという制度の方が、より一そう一歩進んでおるのではないかという考え方によって、過般来より専売公社、その他国会たばこの会等に対しましても、さような意見を開陳し、お願いを申し上げておるような状況でございます。
  55. 井手以誠

    ○井手小委員 どうもただいまの御意見は、あなたの御意見じゃないように私は聞きましたけれども、まああなたからのお話ですから、承わっておきます。それは、耕作者は、ほとんどが長期の耕作権を持つことが一致した意見だと思います。ただ小作法の問題だって何だって同じでありますが、安い収納価格でありましても、耕作がずっと何カ年かは続けられるということが、私は農民の一番の願いだと考えております。それが、ことしは何を作るか、タバコは一年きりになるかもしれない、来年はスイカを作るか何を作るか、不安のうちにずっとしなくちゃならぬということ、私は、そういう考え耕作者にはないと思っております。それは、専売公社の方の立場からいえば、自分の都合のいい反別を耕作させる、そうしたことになれば減、反しやすい。それは、一年ごとに許可を与えるという法的根拠がありますから、その方が都合がいいかもしれませんけれども、しかし耕作者にとっては、私は、あなたが懸念なさっておる義務観念というものに圧迫されるようなことは絶無といってもいいと思うのです。私は、四国、中国、九州——東北は回っておりませんけれども、ずっと回ってみたところでは、やはりどこも、少くとも五カ年間は引き続き耕作さしてもらいたい、こういうのがタバコ耕作農民意見でございました。くどいようですけれども、もう一ぺん率直なところをお聞かせ願いたいと思います。短期間にするということは、これは不安ですよ。問題は、もし義務感が襲うというならば、それはよほど値段が安いために、いわゆる専売事業制度というものがあまりにも封建性があるために、うるさいからこんなものはやめてしまおう、そういうことから起るんじゃないかと思う。そうでないならば、適正に買い上げられ、民主的に取引が行われるならば、五年でも十年でも、子々孫々まで耕作したいというのが、私は耕作者のほんとうの心だと思う。もう一ぺん一つ聞かせていただきたい。
  56. 河合冲

    河合参考人 そういう声もお聞きするわけでございまして、その点については、先ほど申し上げましたように、いろいろ検討を加えたわけでございます。そこで、前年耕作した者には優先的にこれを許可するという字句を専売制度改正専売法中に織り込んでもらいたいということを、申し上げておるわけでございます。前年耕作した者に対しては、永久的に、特別な違反なりその他の事情のない限りは、優先してこれを許可するというような形の方が、むしろいいのではないかという考え方を現在においても持っておるわけであります。
  57. 井手以誠

    ○井手小委員 お立場もありましょうから、耕作権についてこれ以上聞きませんけれども、優先的にということよりも、法で安定させた方が、もっと私は耕作者が安心すると思うのです。なるほどみんながやめてしまうということであれば、それは専売事業にとって大へんですから、そういう場合にこそ努力ということが起ってくる。組合で一定の耕作面積というものを確保してやる、そこに私は専売事業に対する組合協力というものがあると思う。適正に耕作が行われ、民主的に取引が行われるならば、やめるということはあり得ないと思う。  次にお尋ねしますが、葉タバコの値段が安いといわれるのは、これは定評なんです。公社の方では、適正だとお考えになっておりますけれども耕作者の方では、みんなが安すぎる、四十円のたばこにしろ、あるいは三十円のたばこにしろ、生産費というものは七円か八円にすぎないわけです。だれが見たって、これは安い。反当収入が五、六万円でございましょう。農林省の調査によりますと、利益というものはほとんど出ていないのであります。反当の所要労力が一千十七時間という統計も出ております。そのように計算して参りますと、一時間の労賃がわずかに四円三十銭にしか当らない。あるいは統計のとり方にもよりましょうけれども、今農産物のすべての取引の中で、一番大事な点は生産費であります。バスの運賃だって何だって、やはり生産費を償うということが、鉄道運賃の関係でも、第一条に掲げてある。そういうことを考えますと、生産費方式をとることが私は当然であると考えます。収納価格では、都会の労賃と均衡を得た労賃をもって生産費の方式をとる、この点について、今の価格が高いとか安いとかいう御意見は求めませんけれども、いわゆる適正な労賃の上に立った、生産費を償う収納価格にしてもらいたい、これが私は耕作者の総意であると存じておりますが、あなたの御意見は、いかがでございますか。
  58. 河合冲

    河合参考人 収納価格の問題につきましては、まさしくその通り考えるわけであります。従来農産物物価指数算定によるものが、算定方式の根拠になっておるようでございます。毎年毎年生産費方式による価格決定をしてくれということは、申しておるわけであります。ただいま御指摘になりました、一時間当りの労力が四円というような点につきましては、資料をよく存知しておりませんが、少くとも一日八時間労働といたしまして、種類によっておのおの異なりますが、大体在来種においても二百四、五十円くらいになったように記憶しておりますが、資料をここに持っておりません。黄色種においては二百八十円から九十円程度には、平均価格としてはなっておるのではないかというふうに記憶はいたしております。ただ問題は、ただいま御指摘になりましたように、パリティ指数一本の算定方式というものには、はなはだ不満であるということを毎年毎年繰り返して申しておるわけであります。どこまでも現在の農産物価格決定する上においてパリティ方式をとらざるを得ないということであれば、それに生産費方式もさらに加味してこれを算定すべきものではないかということも、言っておるわけでございます。御意見については賛成でございます。
  59. 井手以誠

    ○井手小委員 生産費のとり方は、いろいろお立場、あるいは考えによって違うときもあろうと考えておりますが、御不満を述べられたように、今のパリティ方式というものは、非常に不備な点が多いと思う。しかも、先般きめられた価格によりますと、安いほかの農産物を基礎にしてきめられておる、こういうことは、私はおもしろくないと考えております。少くともやはり一日の労賃は、米が五百八十七円、専売公社ではもっと安いものがある、ほかの作物は、それでも引き合うのじゃないか、こういうことをおっしゃいますけれども農民も国民の一人であるし、農民の生活が守られるように、やはり生産費を償うものでなくてはならない、生活ができるものでなくてはならないと私ども考えておりますが、やはりその点については、中央会会長も同じ意見のようであります。  次にお伺いいたしますが、災害については、規定に基いて補償金があるようであります。どうも補償金の立て方というものが非常に少い。ほんとうは、一筆災害補償でなければならぬと思いますが、全体の集計から今のところきめられておる。しかも減反の場合には、何ら補償というものが考えられていない。先般当委員会におきまして、総裁にお聞きしましたところでも、減反については、補償考えていないということでありました。しかし三坪で十五、六万円かかる乾燥場を建設する、その償却もしなくてはならぬ、そういうふうに予定を立てて耕作をしておる者に、増産し過ぎたからさあ今度は減反だ、それは、一年限りの契約だから補償はできないということは、これは少し冷た過ぎると思う。それは政治じゃないと思う、取引でもないと思う。その補償の問題で、災害や減反に対するあなたの御意見を聞かしていただきたいと思います。
  60. 河合冲

    河合参考人 現在専売法上における罹災補償の問題ありますが、これにつきましても、やはりずいぶん長い間意見がございまして、現存の災害補償制度をさらに拡充して、もっと合理的なものに改めるというようなことも言っておるわけであります。お話しのように、現在の災害補償は、いろいろの面で不満な点が見受けられるわけであります。そういう点につきまして、再々お話を申し上げておるのでありますが、その実現がいまだにされておらない。ただ、この罹災補償については、一般の農業災害制度等とは違いまして、耕作者自体がこれに対する掛金を行なっていないという点から、有利ではないかというような舌も一部には聞くわけであります。専売公社等においては、非常な恩典であるというふうに言われているようでありますが、私どもは、ただいまお話しのように、やはりもっとこれを改善して、合理的なものに改める必要性が幾多の点においてあるということは、これまた同感でございます。  さらに減反に対する補償の問題でありますが、この点につきましては、本年度当初専売公社から提示されたものは、黄色種において三十三年度、三十四年度で二割程度の減反を行うという一応の計画であったのであります。その二割の内容は、三十三年度において約一割、三十四年度においても引き続き一割というようなことが提示されたわけであります。これは、従来非常に苦労しながらこの反別の確保をやってきた、さらに非常に技術的に、あるいは農薬的に、また天候等の影響によって非常に増収があったというような立場から、原料過剰のゆえをもって、製造タバコ生産計画上あるいはまた販売等の関係上、これを減反しなければ、従来の手持ち数量を食い込み得ないというようなお説もあったわけであります。それは、いずれも専売事業、特にたばこ中業と称するものは、御承知のように製造、販売、さらにまた生産、この三つの事業が一体となって初めて専売の実績を上げていくんだという建前からいたしましても、耕作者がいいものをたくさんとったがために、そのしわ寄せがわれわれ生産者にくるということはどうも承知できがたい、従って、さような一割という大きい数字を減反するには、専売公社は何らかの措置をそこに打ち出して、これを一般耕作者に納得いかしむるような方法をとることが当然ではないかというようなことも、申し上げたわけであります。その後幾多の経過を経まして、御承知のように、実質的な五%の引き下げ漸減方式をとるということで、あっせんの労をとって下さいました国会方面の労を多といたしまして、私どもも不満ではありますが、一応専売公社お話だけは聞いて、一般耕作者に了解を求めるような協力だけはいたそうということをお話し申し上げたわけでございますが、ただ減反による補償という問題に対しては、会計検査院その他の非常な困難なる問題があって、とうていこれはできないというようなお話も拝聴しているわけであります。そういう点から、あれやこれや考えました結果、さようなことになったわけでございますが、減反に対する補償に対しましては、私どもといたしましては、当初そういう考え方によって、公社にもあるいは大蔵当局にも当った経過がございます。何しろ現状法律改正しなければならぬというよう六お話でありますので、これまた、現段階においてはやむを得ないのではないかというふうな考えを持っております。
  61. 井手以誠

    ○井手小委員 ちょっと委員長、おそれ入りますが、参考人質問の途中ですが、公社の方に聞かせて下さい。  今承わりますと、公社は、二カ年にわたって二割の減反を申し出たということを申されております。やはり二割減反なさねばならぬような増産の事情なんですか、そういう事実があったか、また二割申し出ねばならぬほど増産になっているか、この二点を簡単でいいですから……。
  62. 西山祥二

    ○西山説明員 現在の公社の原料需給の状況から考えまして、これを将来に向って標準の手持ち在庫に調整いたしますためには、いろいろの方法がございますが、かりに短期間にこれを調整いたすといたしますれば、大よそこれは黄色種に限っての問題でありますが、約一九%程度減小しなければならないという数字が出て参ります。それを、一応耕作組合中央会にも御説明をいたしました。しかし、これは一応の算定によっての結論でありますが、実施に当っては、今後たばこの売れ行き、あるいは今後の作柄等によりまして相当情勢も変化いたして参りますし、また他面においては、もとより耕作者経済にも直接響く問題でありますので、公社の一方的な判断によって減反を強行するということは、もとより考えておりません。でき得る限り打撃を少くする方法において実施をいたしたいと考えておるのが、当初よりの考えであります。従いまして、さしあたり三十三年度において一割の減反をいたしたい、その後については、情勢の変化によってさらに方法考慮するという御説明を申したのであります。
  63. 井手以誠

    ○井手小委員 公社に対しては、あらためて後日お伺いをいたしますが、公社協力して増産すればするほど、減反ということが必至になってくるわけでありまして、なお私は、標本その他についてもお伺いしたいのでありますが、時間の都合もありますので、その点は省略いたすといたしまして、ただいままで河合中央会会長の御意見を承わっておりますと、耕作の問題、特に収納価格の問題、災害補償の問題、あるいは減反の補償問題等々、公社側に対するあなた方の意見というものは非常に多いようであります。やはりあなた方のその耕作者意向を反映するには、この公社に対する団体交渉権というものが、法案の中心でなくてはならぬという気が私はますます深くいたして参りました。現段階ではできぬでしょうけれども、もう一回中央会会長から、最後の目標はそこにある、組合員としてはそこがねらいであるというまああなた方の本意をもう一回聞かせていただきたいと思います。
  64. 河合冲

    河合参考人 今御意見の点につきましては、先ほど申し上げましたように、団体交渉権を持っていくということは望ましいことではございまするが、ただ、これらの問題に対しまして、十分に民意が反映し得るような形において専売法改正を行う、あるいは収納価格の問題に対しましても、その他重要なる事項に対しましては、耕作者代表を入れたところのたばこ審議会という法制化されたものによりまして、専売公社は一方的にこれをきめるのでなしに、その措置に基いて、その意見を尊重してこれを決定するということにいたしまするならば、一応民意の反映も必ずそこに生まれてくるものということを信じている次第であります。そういう点で、現段階においては、この専売法改正ということを考えてお願い申し上げたい、かように考えている次第であります。
  65. 井手以誠

    ○井手小委員 次いで肥料共同購入についてお伺いいたしたいと思います。今までお聞き及びだと存じておりますが、あなたの方で取り扱われた肥料価格が、農協の取り扱われた価格よりも普通高いということをよくいわれておりますし、私どもは、そういう資料を持っておるのであります。配合肥料にいたしましても、何にいたしましても、どうしてもあなたの方が高い、高いものを扱わせる。そして今度は、これを法人になして、組合員を強制的に拘束していく、こういう点について、法案に対する不安もかなり強いようであります。どうして組合の取り扱いのものが高いのか、あなたの知られた範囲でけっこうですけれども、私どもの調査では、尿素化成にいたしましても、大体六百三十円から四十円くらいに末端では配給されているのです。これは、私も各地の領収書を見て数字を承知した上の質問でございますが、これがもっと引き下げられて取り扱いができないものか、その点をまずお伺いいたしたいと思います。
  66. 河合冲

    河合参考人 井手先生の収集された資料によりますると、どの地方のものかわかりませんが、非常に高いという御意見もございました。幾多、数多い組合でございますので、あるいはそういうものもあろうかと思います。しかしながら 私ども耕作組合が取り扱う肥料ないし資材は、大体においてほかよりは安いというふうに実は考えているのでございます。それはどういう理由かといいますと、大へんに事情がございましようけれども耕作組合は、買い入れの時期及び小運送、荷おろし、そういうものを計算いたしまして、さらにはまた入荷の時期によりまして、それから収納の済むまでの期間を借入金でまかなっておりますので、利子の換算もいたしておりますので、そういう点において、いささか実費がかかるということは事実でございます。ただし耕作組合予算の立て方でございますが、これは、耕作組合は、肥料その他資材に対しましては、手数料と称するものはとらないことが本則でございます。従いまして、これは共同購入の形式でございまして、その手数料というものは、中にはあるいは多くの組合でありますので、例外的なものもあろうかと思うわけでありますが、とらないことが原則であります。ただいま申し上げましたように、一応農協等の例をとりますと、組合の財源と称するものは、出資金、さらにまた御承知の通り組合費というものにあわせまして、事業収入といたしまして、経済行為における手数料が大きな財源になっておるわけであります。耕作組合は、ほかより比較的組合費が高いというような御批判もあろうかと思うのでありますが、とるものはとって、肥料その他必要なる資材の配分については、その手数料をとらないというすっきりした形でいくという方針がとられておるわけであります。従いまして、実を言えば、安いことを本則としているつもりでございますが、あるいは部分的には、そういう現象もないとは限らないと思いますけれども、私どもの知る限りにおいては、農協その他のものよりは非常に勉強してやっているというようなこともいわれておるような現状でございます。
  67. 井手以誠

    ○井手小委員 組合は、安いものを配給しておるつもりだという、その建前は私もわかります。井手さんの資料はどこから出たというようなお話でありますが、しかしどこに行っても、私は先刻言ったように四国、九州、中国を主として調査しております。それから東北、関東、信濃あたりもかなり調べております。高く配給しておりますなどということは言えないでしょうから、それはいいですけれども、とにかくやはり高いというのが定評なんです。手数料をとらないのが建前のようにお話しになりましたが、各地で聞いて参りますと、手数料はやはり入っているのです。私どもの聞いたところでは、二割かの前渡金でございますか、これは組合が持っておって、そうして九月の末ごろですか、配給の量がきまる。そうして金を前渡金から払い込む。その肥料というのは、翌年の二月、三月ごろから必要な肥料だと私は聞いております。半年前にそういう現金取引が行われる。こういうようなことを考えますと、金利がかかるとかいうようなことは、私はどうも了解しにくいのですが、よく金利がかかるとかなんとかおっしゃいますが、いわゆる商社なり、あるいはメーカーが早く荷をさばいた方がいい、これはわかります。しかし、その会社なり商社の便宜から申しますならば、その分は会社が負担すべきである。あなた方の方の組合が負担すべきものではないかと思う。現物は相当おくれて参りますが、現金は先に払われる、だから、専売公社のせっかくの御親切であるところの前金制度というものが、実はその前金が半年前に商社の方なりあるいはメーカーの方にわたっていく、耕作者の便宜のためという名目で、実際便宜を受けるのは商社なり、製造工場だ、こういうふうにも結論的にはなって参るのであります。その辺にあなたは矛盾があるというふうにお考えになっておりますか、それが商取引の慣例だとお考えになっておりますか。
  68. 河合冲

    河合参考人 肥料資材、そういうものを共同購入しますときの決済方法は、いろいろございますが、要は、無為替その他により、品物が着いてから支払うというのが普通の取引になっておるようであります。前渡金等を渡して商社あるいは農協その他のメーカー等との先払い取引は、あまり行われていないというのが、大体の形であろうかと思われるわけであります。従いまして、タバコ肥料にいたしましても、資材その他そういうものは、なかなか必要な時期に一手に大量を入れるということは、一般農作物肥料、その他の資材とは違いましてそういうことができない現状にあるわけであります。来年度の肥料は、すでに本年の九月ないし十月から、ただいまちょうどそろそろ油かすの手配等もいたしておるような現状であります。そういう契約をいたすような場合において、あるいはまたそれを買い付ける場合においては、もちろん借入金によってまかなっておるわけであります。そのほんとうの使用時期というものは、来年の三月末から四月ごろであります。それが現金化されて、その借入金を返済することは、収納が始まってからのことで、ありますので、来年の九月中旬ごろから収納が早いところで始まります。おそいところは、現在種等においては来年、再来年の二月までも三月までもかかるというような事態もあるわけであります。非常に長い期間にわたって、資材の手配よりそれを償却するまでの期間がかかるわけであります。それだけに、タバコ耕作者はいろいろな点で非常な不利と申しますか、資金の面についても、非常な犠牲を払わざるを得ないということもあるわけであります。そういう点で、この借入金の金利ということも必然的に生まれてくるわけであります。従いまして、この金利の加算、さらにはまた着駅より農家までの小運送というようなことが当然加算されるということになりますと、なかなかばかにできない価格であります。さらに尿素化成の価格等についても、これは非常に高い、六百三十円というようなお話もございまして、これには、いろいろ在来種において各土壌別に、耕作立地の上に立っての規格がございまして、黄色種においても三種類、在来種においても六種類くらいのものがあります。それのおのおの生産価格が違っております。そういう点で、大体五百六、七十円より六百二、三十円程度のものになっておるかと思うのであります。これは、それと同じような肥料がほかに現在市井に出ておるかどうかということは、私まだタバコ用尿素化成と称するものが出ておるとは、考えておらないわけであります。これは、私つけ加えて申すようでございますが、公社において、尿素化成ということは非常に戦前より研究されておりまして、戦後においても、特にこの油かすが、内地産の油かすを使用するということになった結果非常に高騰いたしまして、生産費格差のために公社が創案したといってもかなりなものであります。それには、塩化カリ等を入れたものでなしに、絶対硫酸カリでいくのだという形から、一般組合化成ないしはそれに準じた尿素化成とは、使用原料において、価格の面が違うということは事実でございます。その比較差なるものがどういうものかよく存じませんけれども、そういうふうに考えておるわけでございます。高いという御意見はございましたが、その点はっきりいたしません。
  69. 井手以誠

    ○井手小委員 値段は、尿素化成の場合は、五百九十二円が協定価格だ。それをことしは五円引いたとかなんとかいう話はありますが、大体五百九十二円内外の値段というものに、手数料とかいろいろなものを加えて、末端では六百三十円とかで徴収されておる。これが実情だと思います。そこで、私端的にお尋ねいたしますが、前渡金というものは本人に渡らぬで、組合で保管して、話し合いが商社とできた時分に渡されるというふうになっておりますか、一たん本人に渡して、本人から払うようになっておりますか、その辺はいかがでございますか。
  70. 河合冲

    河合参考人 前渡金の取扱いについては、各組合によっていろいろ違っておるようでございます。そこで、この前渡金制度ができましてもう四年以上になりますけれども、これは法の建前といたしましては、来年度の資材の手配に対しまして、先ほど申し上げましたように、非常に長い期間肥料の手配をしなければならぬという建前から、来年度の肥料を手配するために出すのだということで、法の建前もそうでございます。しかしながら、実際の面といたしましては、耕作者の了解のもとに、これを組合が一手に預かりまして、そうして現在収納している、あるいは収納が始まる前の大体七月でございますか、それまで相当の借入金をしているわけでございます。それに一応埋めまして、耕作者の無利子の金によって、本年度であれば、三十二年作のタバコ肥料その他資材に対する借入金を農協、あるいはまた市中銀行等で借り入れた金を一時返却しておく。そうして組合がそれを個人に、収納のときに払い戻すというようなことが行われておるのが、通ではないかと思うわけであります。組合によりましては、一部資材の手配に充てて、その残額に対しては個人々々に全部渡しておる、あるいは農協の口座を通じて払い出しをしているというところもあるようであります。これは、法の建前としましては、ただいま申し上げましたような取扱いの形になるわけであります。
  71. 井手以誠

    ○井手小委員 その脈が、どうも私わかりかねるのでありますが、来年の三月以降に必要な肥料、これは、なるほど今までは需給関係その他から手配にずいぶん骨折られたとは思いますけれども、来年三月以降に使う肥料をことしの八月ごろ、何月か知りません、その月は間違いがあるかもしれませんけれども、前渡金を受けられる。その前渡金を組合が保管して、商社と話し合いがきまった九月か十月ころには金を渡されてしまう。全部渡すか残金があるかどうかは個々の問題ですけれども、そういうふうに普通はなっておる。そうすると、半年も前に金を耕作者は商社の方に渡さなくちゃならぬ、こういうふうに私は聞いておりますが、そうではないのですか。
  72. 河合冲

    河合参考人 そういうことは、私も聞いておりませんでございます。ただ来年度の肥料の手配の資金である。法律の建前はそう、でありますけれども、来年度でなく、本年度のすでに借り入れた金にそれを埋めておくのだ。そうして無利子の金でもって、収納までの耕作者の個人々々の借入金に対しましての金をそれに流用する。従って、耕作者は、その期間は、当然その資金に対しては利子を払わない金が使われるということに相なるわけでございます。
  73. 井手以誠

    ○井手小委員 もしおっしゃる通りであれば、それほど耕作者経済は苦しいということになるわけですな。しかし、私どもが聞きますところによりますれば三月以降にいる肥料を半年前に払わなくちゃならぬ、そんなばかげたことがあるものか、金利とかなんとかいうけれども、むしろ割引をすべきではないか、こういうのが多くの耕作者意向なんです。そこで、あなたにお聞きしますが、概算払いというのは、大体反当一万円前後のものだと思いますが、この肥料代とどのくらいの違いがありますか。公社の正基準による肥料の代金と前渡金というものの金額ですな、もっと肥料代というものはよけいいるものか、大体とんとんなものか、その点御承知でございますれば……。
  74. 河合冲

    河合参考人 大体地域によりましてその収納の実績によりましての約二割程度ということになっております。前三カ年の取扱い場別の実績の平均でありますが、そうしますと、人によりまして、一万円程度、さらにそれを上回るということはありませんが、八千円程度のものもあるということになりましょうし、肥料代というものと関連いたしますと、肥料代は、当初はそれほどはいらないものじゃないかというふうに考えますが……。
  75. 井手以誠

    ○井手小委員 この単肥並用のものは別にいたしまして、末端で共同配合できるようなものは、商社が作った販売所のようなもの、あるいは今度は入札制になって、メーカーからまっすぐくるかもしれませんが、なるべく耕作者に共同配合をさせるということの方が非常に安上りだと私どもは思っております。そういうふうな指導については、お考えになったことがございますか。何もかも工場で配合したもの、商社が取り扱ったものだけをずっと組合を通じて配合するという行き方ではなくて、共同配合ができるようなものは、なるべく安くするためには、農業協同組合あたりで共同配合する、こういうふうな指導方法をとることがいいのじゃないかと思いますが、あなたはどういうふうにお考えになっておりますか。
  76. 河合冲

    河合参考人 肥料の種類によってもおのずから違ってくると思うのでございます。タバコ肥料と申しますと、すでに御承知の通りでございますし、古くから油かすが一番よろしいということをいわれておるのでございます。さらに過燐酸、その他硫酸カリということに相なりますが、これを県によりましては、その県が配合所を持っているというところもございまして、共同配合所によりましてやっておるというところもございまするが、大体において、この尿素化成等を使っております。その他はそういうこと相なるわけであります。尿素化成とさらに油かすというようなものを、私技術者ではございませんのでよくわかりませんけれども、比較いたしますると、油かすがかりに十貫目当り千円だといたしまして、さらに尿素化成が十貫目当りこれまた千円だといたしますならば、大体価格の点におきましては、十貫目当り同じでございます。しかしながら、それを成分比によって換算いたしましての価格というものと比較いたしますと、尿素化成の方がはるかに安くつくということがいわれておるわけであります。過燐酸の成分壁において、あるいは単肥でかける場合と比較いたしますと、硫酸カリの含有成分において、おそらく同じ十貫目比において五百円以上の得があるということが、公社の資料に基きますといわれておるのであります。油かす等を主体といたしまして、その他の肥料成分を配合いたしますと、相当量の肥料の値上りになるということがいわれておるわけであります。
  77. 井手以誠

    ○井手小委員 尿素化成については、これが絶対だという専売公社の指導方針もあるようですが、それは別としましても、ほかの肥料では、末端で共同配合した方が得だということは常識だと思うのです。  その点は、その程度にいたしておきますが、尿素化成で、専売公社指示する成分であれば私はいいと思う。従来のレッテルの何々工場渡しであるとか、あるいは商社取扱いというものでなくてはならぬということはないと思うのです。そうでありますならば、同じ公社指示の成分のものであれば、なるべく安いものを買う。農協で共同配合すれば幾らになる、どこから買えば幾らになるというふうに、今までの方法を改めておやりになるお考えはございませんか。それは、安いものを買うのが建前だとはおっしゃるでしょうけれども、もう需給関係もずいぶん緩和しましたし、安い値段の方に集中したって、そう需給を混乱させるような事態は、私は起らぬと思っております。末端の耕作者は、なるべく自由にさしてもらいたい。油かすだって、自分の手打ちのものがあるのを、反別にかけてどんどんと持ってこられる。言いたいことは言えばいいじゃないかと言われるけれども、言うことはそう簡単なものではないということは常識なんです。だから、これを自由にさせる、こういう思い切った行き方をされるようなお考えはございませんか。
  78. 河合冲

    河合参考人 組合肥料の配給と申しますか、取りまとめにつきましては、もともと組合員の希望によりまして、耕作総代を通じて希望を取りまとめて、その上に数量を集計して発注するということにいたしておるのであります。もとより耕作者が希望しないものを、それをどうしても売りつけるのだという考え方は一つもございません。ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、一般農作物と違いまして、時期的においても、また生産する葉タバコの品質にいたしましても、厳密なこまかい注意が払われておる肥料の設計でございますので、そういう点につきましては、公社指示とマッチした資材を出すということが、より一そう品質を平均によくするゆえんであるということも言えるわけであります。ただ問題は、希望しないものまで配給するということですが、そういう考えはございません。それで、肥料事情もだいぶ以前とは違いまして、特に尿素化成等に対しましても、最近はメーカーも、精製するのに相当熟練してきたと申しますか、技術的にも、あるいはその他の面においても、非常に多くなってきたように思われるわけ、でありますので、特に今後におきましては、一般の従来のメーカー以外からも、技術的に大いに信用程度の高いものであれば、あるいはそれを使うことによって耕作者に非常に迷惑を及ぼさないような信用の置けるものであれば、そういうものを入れることもけっこうであると考えているわけであります。
  79. 井手以誠

    ○井手小委員 あなたは、先刻、組合の扱いによってかえって有利だというようなお話もされましたけれども、私どもの調査では、やはり、今までのあなたの方のルートで回されたものより、耕作者が自由に共同配合したり、あるいはその他の方法によって入手したものの方がずっと安い、反当千円から千百円違うというのが、個人の調査ではなくて、まとまった研究団体の成果として発表されているのがあるわけであります。もし反当千円違うとすれば、その分だけで、全耕作者では十億円の開きが出てくる、十億円よけいに肥料代を払ったという結果にもなるのであります。この点については、よほど組合ではお考えにならないと、ここが一番本法案の重要な点ではないかと私は思っておるのであります。私は、五月十八日の委員会でも申し上げたのですが、尿素化成の六〇%を扱っている高砂商事が今までものすごいもうけをしている、資本金に対して四四八%の利益を上げているということを私は申し上げているのだが、やはりそういう点にもお考えを願わなければならぬと思うが、あなたは高砂商事が非常にもうかったことをお聞きになったことはありますか。
  80. 河合冲

    河合参考人 この点につきましては、いろいろ地かにおいても聞かれるわけでございます。高砂商事の内容につきましては、私はよくわかりません。ただ何か計数上の考え違いではないかというようなことも、ある人に聞かれたときに申し上げたのでありますが、資本金が幾らでありますか、そういうことから見ましても、さような膨大なものが尿素化成だけによって——ほかのいかなる事業をやっているのかわかりませんけれども、そういうことは考えられない事実であるということを申し上げておったわけであります。内容につきましてはわかりません。
  81. 井手以誠

    ○井手小委員 連合会か中央会かは存じませんけれどもそういう肥料を取り扱った場合には、そういう商社から、奨励金と申しますか、何かそんなものが交付されておるというようにも承わったことがございますが、そういうことはお聞きになりませんか。
  82. 河合冲

    河合参考人 高砂商事は、実は組合とは全然無関係でございます。肥料の製造メーカーないしは輸入業者の代行をしているということは、よく存じております。従いまして、組合といたしましては、そういう筋合いより入る理由はございません。
  83. 井手以誠

    ○井手小委員 高砂商事というのは、尿素化成の大体六〇%を扱っているということは、いろいろな統計で明らかなところであります。今の奨励金云々は、高砂商事にきまったことではないのです。この商事会社というのは、メーカーから、どこの地域は高砂商事の扱いだというふうに、需給関係が苦しかった事情もありましょうけれども、今大体地域がきまっている。だから、あなたの方の各府県の耕作組合で何県と何県はどこの商社の扱いだというように、メーカーと組合との間に商品を扱う会社ではございませんか、輸入関係の何というのではなくて——それもまた扱いの関係はあるかもしれませんけれども、今までの取扱いでは、メーカーと耕作組合の中間にある商事会社ではございませんか。
  84. 河合冲

    河合参考人 中間にあるということは、私ども考えておりません。特にこの尿素化成につきましては、現在七つのメーカーがございますが、これは産地の形勢上、ちょうど工場が地域的に適当に配分されているということを申し上げて差しつかえないと思います。問題は輸送賃の問題でございますが、非常に遠隔の地にある工場よりその産地に送り込むということになりますと、運賃の点においても非常に無理がありますし、そういう点から、大体その産地を中心としての考え方によって、製造メーカーがその県なりあるいはその地方なりに対しての、配給を行なっているというのが実態でございます。
  85. 井手以誠

    ○井手小委員 製品の発送元はメーカーでしょう。しかし、タバコ耕作組合等の取引先は、そういう商社じゃございませんか。先般熊本でも問題になったように、よその会社のものを入れると需給関係が困る、不足する場合もある、こういうふうな説明があって、そういう事情から回収を命じたんだということになっておりますが、メーカーが直接売るのではなくて、商事会社が取扱いした製品はまっすぐ工場から着駅の方に輸送するけれども、その取引というものは、今までの例では、商社とタバコ耕作組合とがやるのではございませんか。
  86. 河合冲

    河合参考人 大体中央会が基本的な原価計算をやりまして、各県連にそれを通知いたします。県連は、製造メーカーと直接取引契約をいたすわけであります。従いまして輸送その他の手配は、その製造メーカーが適当なるものを選定しておく、あるいはその手配をやるというのが、現在まで行われてきた状況であります。
  87. 井手以誠

    ○井手小委員 長くなりますので、そう追及しようとは思いませんが、そういう取扱いの団体とか、会社とか、あるいはメーカーかもしれませんけれども、そういうところから非常にお世話になったというので、奨励金のようなものが組合の方に回っておるということをお聞きになったことはございませんか。
  88. 河合冲

    河合参考人 さようなことはまだ聞いておりません。
  89. 井手以誠

    ○井手小委員 それでは、過去のことはその程度にいたして、承わるところによれば、今後は肥料は入札になるということであります。大体扱うところは信用があるのが普通でしょうから、入札にして安いところからお買いになるでしょうが、どういう方面に入札の資格を与えるようになるとお考えでごさいましょうか。その点を一つ承わりたいと思います。
  90. 河合冲

    河合参考人 大体入札の方法は各県の実態に応じて、各県連がその県内の組合とよく相談をいたしまして、適当なる製造メーカー二社以上を選定して入札をするということが建前になっておるわけであります。ただ原価計算その他に対する各県連の腹がまえというものを、一応お世話しなければならぬというので、たばこ耕作組合中央会が原価計算その他に対しての考え方をまとめまして、そして各県連に通知して、各県連の腹がまえをきめるということにいたしたいと考えておるわけであります。その入札の方法その他に対しましては、各地方々々の実情に応じた形においてそれを行なってもらうということに相なっておるわけであります。
  91. 井手以誠

    ○井手小委員 農協経済連あたりでも肥料を取り扱っておりますが、やはりそういうところも、その二社以上のいわゆる入札する資格の対象になるわけですか。
  92. 河合冲

    河合参考人 これは、各県の状況によっておのずから違ってくると思うのであります。あるいは経済連等においては、従来その実績がおそらくないと思うのでありますが、将来そういう御希望があるといたしますならば、その県の事情によりましては、当然入るものではないかというふうにも考えております。
  93. 井手以誠

    ○井手小委員 もう何回も繰り返しますけれども、やはり肥料については、一つ今後耕作者の不満なり不平が起らないように、できるならば自由にさせていただきたい。相手が専売事業であるということを考えますと、あまり組合にまとめるということは、正面からいけばけっこうですけれども、実際はなかなかそうはいかないわけであります。配合肥料なんか、末端で共同配合させるのが一番の建前だと思います。農林省の指導方針もさようであると考えております。そういうふうに、一つ今からお考えを願いたい。その意味で自由にさせる行き方、こういうことはあなたの方のお考えにはございませんか。今までの方法よりも数歩前進した行き方、特に尿素化成なんか、専売公社の特に指定したようなもの以外のもの、単肥だとかあるいは配合肥料みたいなものは、自由に組合に買わせる。肥料はたくさんありますから、ないということはありませんし、半年も前に金を払う必要はございません。自由に、商人が安ければ商人から買う、農協が安ければ農協から買う、そういうふうに各府県の組合を指導なさる御用意はございませんか。
  94. 河合冲

    河合参考人 単肥の場合におきましては、第一が菜種油かす、過燐酸石灰、それに硫酸カリ等がございます。これがタバコ用にまず必要なる肥料でございます。硫酸カリにつきましては、従来もタバコ肥料としてひもつきになっておりますので、これは一応組合を通じて渡すということに相なろうかと思うのであります。その他過燐酸等に対しましては、これは農協等を通じまして従来も買っておる実績が非常に多いと思うのであります。ただ油かす等の手配が、果して完全に相当量行なえるかどうかというようなことも考慮の上に置いて、各組合の実態に応じて、これを処理するように指導はして参りたいと考えておる次第であります。
  95. 井手以誠

    ○井手小委員 結論的に申しますと——私は何も農協立場を申し上げようとは考えておりませんが、しかし少くとも農業経営につきましては、農協が第一の責任者になっておる今日であります。昨日かと思いますが、ちょっと申し上げましたけれども、その農協の計算によりますと、油かすは、あなたの方の組合では、千二百五十九円であるけれども、自分の方では千五十円で配給できる、尿素化成については、六百三十円が組合の値段であるけれども、自分の方では五百五十円で配給きる、硫酸カリについては、千九十四円が組合の値段だけれども農協の方では八百五円で本人にお世話ができる。こういう確信を持って私どもにもお知らせがあるのです。農協の取扱いが信用ならぬとは、私は全然考えておりません。あれだけの組織を持った系統組合日のそういう実績がありますなら、一つ安いものをお買いになるというふうに、この共同購入という原案がかりに通るといたしました場合にも、特段の御配属を願いたいと思います。
  96. 河合冲

    河合参考人 農協の方が特に安いといたしますならば、もちろんこれは農村の友好団体でありまするがゆえに、農協等を十分に活用していきたいと考えておりますが、ただ従来油かす等の実績等を見ますと、必ずしもそうではないような面が非常に多いわけであります。必ずしも商社とのみ取引をするんだという考え方は毛頭持っておりません。同じ値段であれば、当然農村の団体として、農協等と手を組んでこれをやっていくという点においてはやぶさかでないし、また一般の各地方の組合に対しましても、さような勧奨をいたすと申しますか、指導をすると申しますか、そういう考え方でいるつもりでございます。
  97. 井手以誠

    ○井手小委員 肥料の取扱いについては、大体それで終ります。  その次に、中央会会長も、末端の組合長をかねておやりになりました経験も深いことと思いますので、組合の経理内容について少しばかりお尋ねをいたしたい。これは、法人格を与えますといろいろなことが起きて参りますので、できるだけ現在の状態を明らかにした方が非常にいいというふうに考えますので、お聞きいたします。専売公社から交付される金は、どういう者に対して、どういう基準で、どういう名前で金が渡されますか。
  98. 河合冲

    河合参考人 専売公社より交付される金は、いわゆる交付金の額は、組合の規模ないしは耕作反別によっておのずから違うわけでございます。その内容といたしまして、第一が葉タバコ生産に必要な試験その他共同事業に要する経費という項目がございます。それに第二が、葉タバコに関する公社査定及び収納に伴う事務に対する助力に要する経費でございます。第三が、公社耕作者に対して発する指示等の伝達に要する経費でございます。第四が、葉タバコの種子の配付、あっせんというようなものがございます。さらに第五が、たばこ専売法違反の自発的予防に要する経費というようなもの。これが末端に対する交付金の大体の基準ではないかと思うわけであります。  この内容といたしましては、第一の葉タバコ生産に必要な試験その他共同事業に要する経費と申しますことは、耕作試験費であります。それに特別の指導地を作っておる施設費であります。その次の第二の案件に対しましては、総代その他が公社の人を案内いたしまして検査するとかいう案内する経費であります。それに、査定収納に伴う印刷費等に対する費用であります。そのほかは、納付の計画、その他包数の割当、そういうものを一般耕作者に割り当てし、連絡し、あるいは納付に対する受付、その他に対する総代等があっせんする経費であります。そのほか包装材料検査費であります。これは、御承知かと思うのでありますが、包装材料といたしましての当てこも等に対しまして、総代が一定の規格の検査をやるわけであります。目方その他製品に対する検査であります。そのほかに乾葉量目の調査費であります。これは、収穫が終りまして、乾燥が終りました葉タバコに対す量目がどのくらいあるか、等級別に見ましてどのくらいの包数になるかというようなことの調査であります。これは、やはり総代等が行う費用であります。そのほか第三の、公社耕作者に対して発する指示等の伝達に要する経費は、指示伝達費、指示伝達に伴う印刷費、それに講習講話会費、総代協議会費、あるいは種子配付のあっせん費、完納督励費、防犯施設費等でありまして、これは、一日当り総代がどのくらいの費用に該当するか、この仕事をやる上においてどのくらいの印刷をしなければならぬか、あるいは検査に対する総代の所要日数が何日くらいかかるかということが、一日当りの公社の見込んでおるところの日当によりまして、一応の監査がされるわけであります。しかし実際面といたしましては、公社から来る交付金というものは、冒頭に申し上げましたように、三分の一ないし四分の一程度しか来ていないというのが現況でございます。
  99. 井手以誠

    ○井手小委員 それじゃ、公社側にちょっとこの機会にお尋ねしますが、生産指導は公社責任だということを、よく聞いておるのでありますが、あなたの方の指示、命令、伝達の事業費、あるいは査定、収納専業に対する協力費、こういったものは、少くともあなたの方が交付金として全額を出すべきである。そのほかに、今第一項に申された試験共同事業費、こういったものも、半分か三分の一は出さなきゃならぬだろう、私はさよう考えておりますが、一体そういうふうなあなたの方の都合のいい指示、伝達の費用、それから査定あるいは収納の協力費、こういったものは、少くとも全額出さなきゃならぬのがあなたの方の責任だと考えておるのでありますが、いかがでございますか。
  100. 西山祥二

    ○西山説明員 公社指示事業に対する組合交付金の支出につきましては、あらかじめ組合より所要経費の見積りを徴しまして、それに基いて支出をいたす建前でありますが、その基礎になります見積りのいかんによりましては、必ずしも組合品側が期待しておる額に産しないことも起り得るわけであります。専売法の規定のうちにも、指示いたしました事業に要した費用の全部または一部に相当する金額を交付するということになっておりますので、場合によりましては、交付金を受ける側にとりまして、必ずしも十分と考えられない額の場合もあり得るかと思いますが、われわれといたしましては、でき得る限り適正なる交付金を支出するように、従来とも努めておりますし、なお今後一そう努力したいと考えております。
  101. 井手以誠

    ○井手小委員 専売法の建前からいきますると、それは財政の都合上いろいろな関係がありますから、いつも全額とは言えないけれども、大体おおむね全額というのが建前だと思う。財政の都合でできぬ場合は、その一部ということもあり得るでしょうが、そう窮屈に書くのはいけないから、そういうふうに法文上書いてあると私は思う。ところが、今参考人の公述によりますると、三分の一にも足りないとおっしゃっている。私もずっと各地の予算書を見ておりますと、非常に不審に思うのです。これは非常に参考になると思いますので、提案者の森山委員の郷里の組合のものを一つ参考に読み上げておきたいと思う。馬頭管内のたばこ耕作組合の収支予算書です。これは昭和三十二年度ですから、ことしです。この収入総額が九百四万一千円、負担金が八百三十二万一千円、交付金が三十万円、その他となっております。あなたの方でお出しになる交付金は三十万円です。ところが一方事業費が幾ら組んであるかと申しますと、事業費総額が三百七十四万五千円、そのうちに、当然全額に近いものを出さねばならぬであろう指示、命令伝達の事業費が、七十万五千円に対しまして、あなたの方はわずかに三十万円しか出していない。査定及び収納事務助力の事業、いわゆる協力費——あなたの方が手が忙しいから御加勢申し上げるという事業費、協力費、これが四十八万四千円。この二つだけをとってみても大体百二十万円になる。百二十万円に対して、あなたの方の交付金は三十万円。そのほかに耕作の奨励費、これは参考人お話によりますと、第一項に該当いたしますか。耕作奨励費、産地の経営費、あるいは試験費、あるいは専売法違反の予防費、こういったものもかなり組んであるのでありまして、その合計が二百七十四万五千円。この金額に対してわずかに三十方円とは、ほんのおしるしばかりであります。これは、この提案者の地元ですから、私は一番有力な参考資料になると考えておりますが、参考人は、これどのくらい引き上げてもらいたいのですか、少くともこれまではほしいとお考えになっておりますか、おそらくこういうものが各地にあると思うのです。
  102. 河合冲

    河合参考人 補助金交付金等の規制によりまして、特に昨年度は非常にこれを激減されるような傾向にあったわけであります。従来全国的な交付金の総額は、六千万程度でございました。ところが昨年は、これが約一千万程度になるであろうということをいわれまして、実に驚愕したような状況であります。それで公社に対しましても、さようなことであれば、組合としては実際面として協力が不可能になる、どうぞ公社の力で御勝手におやり下さいということまで申し上げておったわけでありますが、幸いにいろいろ御配慮を願いまして、五千五百万円までの形には落ちついたわけであります。それにいたしましても、五、六百万円は減額されたというのが実情であります。毎年々々かような交付金等が、実際に即しないような形において減額されつつある現況でありますが、私どもは、少くとも現在の倍額以上のものが来なければ、一切の支払いにも組合費自体の出血によってまかなわなければならぬという現状であります。
  103. 井手以誠

    ○井手小委員 そうであろうと考えております。出血によってまかなうということは、確かに適切な言葉だと思います。先刻も申し上げましたように、耕作者はうんと増産したいのですよ。増産すればするほど増収になりますから、増産したい。だから増産すれば減反になる。しかし、いずれにいたしましても増産いたします。そうすれば、もう耕作についての何は、そうまで負担金を高くとる必要はないと思います。技術改善しなければなりません。品質の向上ははからなければなりませんけれども、これは、農民の努力によってある程度やれるはずです。もう長い間の訓練を積んでおりますからできると思います。そうなりますと、耕作組合経費の大体半分くらいを持っている事業費というものは、専売公社が負担していいはずのものではないかと思う。ところが、これは専売公社のやるべき仕事も、組合員の出血負担金でまかなっておるという結果にもなるのであります。一体こういうことでいいのですか。
  104. 西山祥二

    ○西山説明員 先ほども申し上げましたように、交付金の額につきましては、その見積りのいかんによりまして、お話のごとく半額に足りない。あるいは三分の一にすぎないということも言われましょうし、またさほどの開きもないということも言われますので、果してどの辺の額が適正であるかということは、一朝一夕には申し上げられないと考えます。
  105. 井手以誠

    ○井手小委員 そんな耕作者に冷たい答弁ではだめです。あなたの方の仕事であるたとえば指示、命令伝達の事業、これは大体常識的に考えて、あなたの方の仕事ではないですか、これが七十万五千円ですよ。これがもしうそであるならば、何かごまかしがあると思わなければなりません。私は、そんなごまかしがあるとは、組合に不信の意を表したくないのです。公社がやらなければならぬ仕事組合にやらしておる、そうであるならば、七十万五千円の費用が要るこの事業費について、全額あなたの方は持たなくちゃならぬ。適正であるとか、査定であるとかいうようなことはないと思う。協力費だって、あなたの方の手不足の点もあるでしょう。それに日当に合うようにあなたの方が令をお出しになるべきで、もしこの予算書が正しいものであるとするならば、これはあなたの方のやり方が少な過ぎるのですよ。それは、あんまり冷たい、温情のない言葉じゃございませんか。もう一ぺん一つ……。
  106. 西山祥二

    ○西山説明員 申し上げます結論は同じことになりますので、重ねて御答弁は差し控えたいと思います。
  107. 井手以誠

    ○井手小委員 私は、もうこれ以上は別の機会に譲りまして、御質問いたしませんけれども、少し考えてもらわなくちゃいかぬと思うのです。奨励費であるとか何であるとかいうなら、二分の一、三分の一ということもあるでしょうけれども、当然あなたの方の仕事、それを組合がやっておるとすれば、その分だけの全額ぐらいはやるべきでしょう。その点については、通常国会まで長いので、ゆっくり考えておいていただきたいと思います。  これもまた提案者の地元の方が、資料として非常に有効であると思いますので、その馬頭の組合予算書によりますが、九百万円の予算の中に、非常に交際費とか、あるいはまかない費というのが多いのですね。これは岩手県の東山の組合ですが、会長の交際費が五十万円組んである。それから職員の慰労費として十万五千円組んである。協力費の方は、そこは七十五万円組んであるのですが、この馬頭の場合を考えますと、まかない費とか、交際費というものが、百十五万八千円組んである。そのほかに、役職員の退職手当が十万五千円組んである。こういうふうに、非常に高い費用が交際費に要るものですか。専売公社の西山さんあたりのお話によりますと、公社は、絶対に地方ではごちそうにならないようにいたしておりますというようなことを申されておるわけですが、そんなにたくさん組まなくちゃならないものでしょうか。この点は、あなたも立場上非常に申されにくいかもしれませんけれども、申される程度でけっこうですから……。各地で私ずっと予算を見ますと、どこでも、こういうまかない費とか雑給とか雑費とかいう、どうも交際費に類するようなものが各所に見当るのですが、タバコ耕作組合というものは、それほどそういうものが必要なのか。一つ、申される範囲でけっこうですから、お願いいたします。
  108. 河合冲

    河合参考人 御指摘の予算内容につきましては、どういうものかよく内容を存じませんけれども、さような膨大なものを、接待費として使うことは、適当ではないと思うわけで、あります。特に現在においては、中央会といいましても、各地方の組合のさような面についての発言権もございませんので、詳細な内容もわかりませんが、これが法人化された暁におきましては、さらにさような面についての指導と申しますか、そういう点もおのずから、強化されるものということになりますれば、また普通の形の上における予算の編成方針と申しますか、そういうような点においても、適正化されるのではないかと考えるわけであります。
  109. 井手以誠

    ○井手小委員 末端の指導員は非常に苦労して、暑いときにも寒いときにも指導なさっておる。そういうときに、儀礼的に御飯を差し上げるというようなことは、私どもは当然だと思うのです。それは人の道として考えればいいと思う。問題は、いつか申し上げたように、公社の人を二人呼んで七万何千円か使ったというような遊興関係なんです。場合によっては、公社の人をダシにして、組合の幹部で飲んだということもあり得るかもしれません。あなたとしては、いろいろそういうことがあったとかなかったとかは申されにくいでしょうが、ともかく私が中国地方なんかで聞いたところでは、井手さん、三反歩作ると一反歩飲ませなきゃならぬのですという言葉がありました。こういうようなことを各地で承わったわけなんです。今は松隈総裁、西山生産部長のもとにきれいにいっておると私は信じておりますけれども、やはり火のないところに煙は立たないわけです。どうも接待費だとか——この組合は、そういうような組合だなどとよくいわれますので、一つ最高責任者のあなたは、将来も十分その点を御留意願っておきたいと思うのです。  そこで続いてお伺いをいたしますが、肥料の取扱いについては、手数料を取らないのが建前である、取った場合は、特別会計で収支決算をしておる、こういうようなことをお話しになりましたが、その特別会計も、やはり従来何らかの機関で、組合員の承認を受けられておりますか、どうですか。
  110. 河合冲

    河合参考人 特別会計と申しますか、別途会計と申しますか、一般予算経理とは別途にいたしまして——もちろんこれは、役員会なり総会等における決議を受けているわけであります。
  111. 井手以誠

    ○井手小委員 承認を受けてあるというわけですか。
  112. 河合冲

    河合参考人 承認を受けているわけです。
  113. 井手以誠

    ○井手小委員 それから伝票なんかをよく見て参りますと、据え置き貯金だとか、生産貯金だとかいうものがずっと引かれておるようであります。ところが各地でちょっと聞いてみましたところでは、本人は通帳を持たぬで、全部組合にまかせっきりだというのがあるそうですが、そういうこともあるんでしょうか。
  114. 河合冲

    河合参考人 その点はよくわかりませんけれども、私の組合でも実際はやっておりますが、いずれも県信連等において個人的に預かり書を出してもらいまして、それを全部分けておりますので、組合員が特別貯蓄組合を作って組合自体に預けるということは、法の上においても許されないことでありまして、貯蓄組合を作りましても、やはり個人別にその通帳なり証書なりを渡すということが建前であると考えるわけであります。その点につきまして、詳細の事例はまだ承知しておりません。
  115. 井手以誠

    ○井手小委員 全部中央会会長のあなたが御承知になっているとは、私は考えません。しかし、そういう貯金通帳を私どもには渡しませんよなんというようなことをよく聞くものですから、念のためにお伺いしたわけであります。  それから伝票なんか見て参りますと、生命保険料なんかを控除してあるのがありますが、やはり組合で生命保険の代理もなさっておる事実がありますか。
  116. 河合冲

    河合参考人 組合といたしましては、生命保険等を取り扱わないのが一般の通則であります。通則と申しますか、普通の状態であります。耕作者によりましては、何か収納代金から差し引いてくれというような人も中にはあろうかと思うのでありますが、これは、組合の方に申し入れをしまして、そういう事態も必ずしもないとは言い得ないと思うわけであります。
  117. 井手以誠

    ○井手小委員 馬頭の組合では、そういう保険まで差し引いてあるのです。私もここに伝票を持っております。やはりあまり各方面に何もかにも手を広げるということは、よくないではないですか、それは答弁を求めません。  ここでお聞きしたいのは、ある耕作者が二反二畝作っておりまして、その半分の代金をもらった伝票を私手に入れたのであります。そのもらうべき四万七千二百八十五円、大体一反一畝そこそこに該当する。そのうちから組合経費が千七百三十七円、燃料資金が一万三千五百円、黄乾共済金が二百円、農薬代が二千四百十円、物資代が二千円、概算払い一万一千品、貯金が七千七百円、生産貯金が九百円、こういうふうにずっと差し引かれて参りますと、本人の取ったのは八千円しかないという事例を私は持っております。あんまり何もかも引かれて、結局、貯金は本人に戻るかもしれませんが、何のためにぐうぐう言って作っておるのかわからない、こういうふうにも言えるわけです。なるほど概算払い、あるいは組合経理については、半分取っておる。ほかのものは全額取っておりますから、全部がそうだとは言えませんけれども、あまり引くものが多いために手取りがない。生産組合その他があっせんをいたしますならば、手取りというものがやはりいわゆる労賃に換算できるはずだと私は思うのです。長い間苦労して作ったものの代価があまり少い金額では、どうも楽しみが少いではないかと思う。また別の資料によりますと、乾燥室の建設費、あるいは五年くらいで戻さなくてはなりませんが、十五万円するものを五年くらいでずっと償還して参りますと、これはほとんど残らないということになってくる。そういう現在のやり方、何もかにも天引きするといういき方が、本人の意思によってしたのだといえばそれまでですけれども、そうすることが本人の意思だとは考えられない。それは常識だと思うのですが、その点についての中央会会長のお考えを承わっておきたい。
  118. 河合冲

    河合参考人 どういう内容であるか、よく詳細にわかりませんけれども、収納をした際におきましては、なるべくよけいに貯金なりお金なりを持って、家族の者と一緒に喜ぶということが、まことに好ましいあり方である。また苦労をしてタバコ耕作をやりました楽しみも、そこにあると思うのであります。ところが、耕作者によりましては、いろいろの窮状を訴えまして、組合に何か一つ特別な措置を講じてもらいたいというような話も、ずいぶん聞くわけであります。事情を聞きます場合には、あるいは県信連なりその他の方面にお話しをして、そうして融通をしてやるということもあり得るわけであります。そういう点につきましては、どうも差引金がどうしてもよけいになるという憂いはないことはないと思うのであります。まことに御指摘の通り、なるべくそういう差引金は少いほどけっこうであることはもちろんでございます。できるだけさような点につきましても、組合の実情を検討しませんければわかりませんですが、御趣旨に同感の意を表したいと思うわけであります。
  119. 井手以誠

    ○井手小委員 ほかに関連もあるようですから、もう一、二点で終ります。組合費が反当千七百円であるということは、先般も公社生産部長からお話しになっておりました。大体どこの組合費を見ましても、反当千七百円前後になっておるようであります。三反作って、五千円、私は、こんなに高い組合費というのは、どの事業においてもないと思う。それは、特殊なものはあるかもしれませんけれども、四万円から、五万円、あるいは六万円という反当の素収入に対して、千七百円の組合費は高過ぎると思うのです。そこで、共同購入事業などは、これはこんなふうに需給関係がゆっくりなって参りますと、もう駅まではメーカーから送り届けるわけです。だから、その方面にあまり費用がかかるとは思いません。また事務所までくるには、リヤカー引いてでも、肥料なんかとりにこれるのですから、それにあまり費用がかかるとは考えられません。また公社がおっしゃるように、接待は絶対にございませんというようなことになると、この接待費というものもほとんど要らないということになるわけです。一ちょう飲もうじゃないかという予算をよけいに組んでおけということなら別ですけれども、この接待費なり、交際費というものも、公社の言われる通りにいたしますと、ほとんどこの費用もかからない、また事業費についても、当然国が持つべき生産事業責任協力費であるとか、あるいは伝達費というものを公社が受け持つということになれば、組合の負担というものは非常に少くて済む。そうなれば、反当の組合費というものは二、三百円で済むのじゃないか、こういうふうにも考えられるわけですが、もっと下ぐべきである。もっと下げる余地がある、こういうような点についてあなたの御所見を承わっておきたい。
  120. 河合冲

    河合参考人 組合員負担金につきましては、全国の平均といたしまして、千七百円程度になるということなのであります。これも組合の規模、さらにまた産地の状況その他によりまして、組合自体がいろいろの形態でありますので、安いところは非常に安く出ております。また高いところもあって、平均といたしましてはさような数字が一応出るということであります。これも、その年々によって、作柄の豊凶によっても大いに影響するわけであります。大体が収納代金制というものが組合費の重点をなしておるような状況下におきまして、非常に豊作の年には平均の組合費も増高するということにはなっております。しかしながら、この問題は、組合自体といたしましても、従来から相当検討いたして、耕作者の負担をできるだけ軽減していくという考え方によって参らなければならぬ重大な問題だと考えておるわけであります。これは、今後さらにさらに検討を加えまして、もっと安い組合費の負担によって組合運営に当らねばならぬという考えにおいては、ただいまのお話と同感であります。
  121. 神田大作

    神田(大)小委員 だいぶ長時間でお疲れのようであります。簡単にご質問申し上げますけれども、今、井手委員の方から、収納代金からいろいろのものが差し引かれるというお話がありました。私も、この間そういう話を、全国を回って参りまして各地で聞いております。ある耕作者のものでございますが、これはやはり半額でございますが、四反八畝ばかり作っておる耕作者の収納代金が七万一千五百円、差し引かれた額が、組合経費が二千七百九十円、燃料費が一万四千三百七十円、乾燥共済金が四百円、農薬代が七千二百七十五円、物資代が一万一千九百七十二円、概算払いが二万四千円、貯金が八百円、生産貯金が千四百円で、七万円からの金を取って九千円しか手取りがない。こういうことは、もちろん必要なものを差し引かれたのでございますから、やむを得ないことだろうと思いますけれども、これに対して明細書というものがないのですね。明細書というものがないから、差し引かれたのだということで、それはやはりちゃんと帳簿があってわかっておる、はっきりしておるのだろうと思いますけれども、差し引かれた側から言いますれば、農薬が何々で幾ら、単価が幾らだということになっておれば、もっと納得がいくのではなかろうかと思います。そういう点も、やはり耕作者立場に立って考えてやらないと、何か不信の念がだんだん広まっていくのではなかろうかと思います。これは、まあそういうふうに差し引くのはやむを得ない場合もあるだろうけれども、やはりもっと経理というものを明確にする必要があるのではなかろうかと思いますが、その点はどうお考えになりますか。
  122. 河合冲

    河合参考人 組合によりましては、あるいはそういうところがないとは限りません。特にただいま御発言のございましたように、実は収納と同時に明細書を詳細に書きまして 一切のものをやるのが本則でございます。どういうものを差し引かれたのか、耕作者が自分で、家へ帰ってそれを見てもわからないというようなことは、組合のあり方としてはとるべきものじゃないと考えておるわけなんであります。今日においても、よくやっておる組合においては、いささかも、さようなところはございませんので、たとい引かれましても、よく自分が了解いたしまして、いつこういうものを持っていったということがいつでもわかるように、資材その他を持っていった場合においては、その持っていった日にちから何から一切のことを、きわめて小さい紙片でありますが、それにたんねんに書いて出しておるところもございます。そのいうやり方を、今後とも経理その他のさような面につきましても、耕作者立場に立ちまして処理していくべきが当然だと考えておる次第であります。
  123. 神田大作

    神田(大)小委員 それから、私耕作者利益を守るために、対等な立場に立っていろいろなことを話し合うというのが、一番理想的なことであろうと思うのでございますが、現在のような段階において、対等な立場に立って耕作者利益を守るために話し合いができるかどうかという点に、非常な疑問を持つのでございます。河合さんは、そういう点においては、現在のような段階においてそれができるかどうか、できないとすれば、どういうところに欠陥があるかという点を、簡単でけっこうでございますから、御答弁願いたいと思います。
  124. 河合冲

    河合参考人 一つには、専売法の一部を民主的な改正をはかりまして、耕作条件といたしまして改善すべき幾多の事項に対しまして、耕作審議会なり、さようなところで、耕作者代表の意見を盛ったものをそこにおいて討議の上にこれが実現をはかっていくということが、最も望ましいことではないかと思うのでありますが、さらには、専売法の二十五条の一部にタバコ耕作組合というものがちょっと載っかって、その届出をすることによって、タバコ耕作組合というもののあり方を片すみの方へ片づけられているのだ、しかも、これが人格を打たざる任意組合の形においてあるということが、ますます耕作組合専売公社の隷属機関視される一つの理由にもなっているのではないかと考えるわけであります。従いまして、このたびの法律のごとく、単独立法として、たとい公社監督は受けるにいたしましても、すっきりした形において組合品の基礎を固め、また法人格を持って、組合関係いたします役職員の責任体制をその上に立って強化されて、耕作者のためにいかにこれを行使していくかということが一番大切だと思うわけであります。さらにまた専売事業の方も、組合個々の立場をよく理解の上に、その利益とともに専売事業発展協力していくということがより望ましいことであるというふうに考えているわけであります。
  125. 神田大作

    神田(大)小委員 法的性格を持たせるということは、やはりある意味において耕作組合を強化する点にはなるだろうと思いますけれども、しかしながら、専売法改正をしない現段階において、いかに法的根拠を持たしても、かえって監督権とか、あるいは指導権というものが強化されて、なおさら専売公社に金縛りになっていくきらいが私はあると思うのでございますけれども、この点を議論いたしますと長くなりますので、それは、後刻また申し上げることにいたします。  それで、私は末端の現実の話をちょっとしたいのでございますが、末端には指導員というものがおりまして、これは公社の嘱託になっている。この指導員の方々は、ほんとうに非常に低い待遇で、しかも朝から晩まで重労働して、畑の中をかけめぐって苦労されていると思いますが、この人たちの身分がまことに不安定な身分になっている。これは公社の嘱託であって、恩給とか年金とか、そういうものもおそらくついていないだろう、同時にまた組合が、これを何らかの形で、やはり組合の側においてもこれを嘱託して、両方の部面においてやっておられるのでございますが、このような不安定な指導員の立場公社の職員なら公社の職員として、公社指示によって技術指導をするというならそれでよい、あるいは組合の指導員なら組合の指導員としての立場に立って、そうして指導するのならいいけれども、どっちにもつかぬような形にして、しかも待遇が非常に悪く、不安定な身分にあって、仕事だけはどんどん仰せつかるというような、こういう指導員という末端に働いている人たちの身方の問題について、私はもっと考えてやらなければならぬと思うのでございますが、と同時に、この身方をはっきりと公社側、あるいは組合側、どちらかの側に立たせなければ、これは自主的な組合であるといっていても、なかなか自主的なものになっていかぬと思うのでございますが、この点については、河合さんはどうお考えになりますか、お尋ねします。
  126. 河合冲

    河合参考人 公社の指導員の問題に対しましては、これまたずいぶん長いこと耕作団体といたしましては、いろいろ意見があったわけでございます。現在の技術指導の一番最先端に働く指導員の身分、あるいは指導員の人員の増加というようなことも、公社に向って要請しておる経過もございます。現在耕作指導員は、専売公社の職員でございます。さらに臨時指導員というのがございます。これは、やはり公社の臨時的の立場においての指導を担当するという形になっております。ただ一般公社の職員とは、ここ二年以来公社が採用しております指導員につきましては、いささか身分が違っておることは事実であります。従いまして、あるいは年金その他の給与の面等についても、非常に不安定であるということにつきましては、ただいま神田先生の御指摘の通りでございます。これは、やはり公社職員として同一な取扱いのもとに指導員を待遇しなければならぬではないかということも、組合大会等においても出ておるわけでございます。最近公社においても、これは何らかの形をつけようという段階に入ってきておるように承知しておりますが、まだその点までははっきりできておらないようであります。耕作指導員に対する身分保障の問題に対しましては、逐次改善されるものと期待しておる次第でございます。
  127. 神田大作

    神田(大)小委員 その点について、生産部長がいらっしゃいますから、御意見を伺います。
  128. 西山祥二

    ○西山説明員 技術指導員につきましては、今河合会長からお述べになりましたことと大体私の申し上げることも変りはありません。現在公社には、第一線の指導員といたしまして、社員である耕作技術、委嘱者である耕作技術と二本立の態様になっております。これは、今日公社の定員が非常に窮屈に圧縮せられました関係上、やむを得ずさような措置に出ておるのでございます。実質上の待遇につきましては、社員であるのと委嘱者であるのと、できる限りその間に差異のないように努めておる現状であります。従いまして、ただいまお話のありました年金等につきましては、委嘱者であろうと社員である技師であろうと区別はないのであります。ただ短期間雇用いたします臨時教師につきましては、その性質上さような特点は認められておりません。
  129. 神田大作

    神田(大)小委員 公社は、一千数百億からの専売益金をあげておるのでありますから、そういうような、第一線に立ってほんとうに汗みどろになっておるところの職員の待遇は、やはり一日も早く改善して、喜んで仕事に従事できるように、またそういう人たちの待遇が悪いと、いろいろな問題が出てくると思う。そういう点においては、私はやはり公社に大きな責任があるのじゃなかろうかと思うのです。この点、ぜひ考慮すべきであろうと思います。  次に、タバコ耕作組合法の中で、非組合員である者が三分の一だけ役員になれるという条文がありますが、末端における非組合員であって、長い間タバコ耕作仕事に従事した人が役員になっていくというような場合には、これもやむを得ない。また場合によっては、非常に効果的なこともある。あるいはまた地方の有力者であって、タバコ耕作等に対しまして非常に理解を持ち、また識見のある者が、非組合員であっても役員になるという場合も、効果のある場合があると思います。ただ私は、この問題で非常におそれるのは、上級機関であると思う。上級機関の場合も、必ずしも非組合員であるから役員になってはならぬということも言い切れない場合が多々あると私は思うのであります。ただ専売公社という一つの独占企業を営むところの特別な性格からいたしまして、往々にして天下り人事がこれによって行われ、耕作者意思に反したようなそういう性格がだんだんと耕作組合に出てくるのでは、これは法の趣旨に反すると私は思うのであります。この点、非常に大事なことであろうと思うのでございますが、この点に関しましては、河合さんはどうお考えになっておりますか。
  130. 河合冲

    河合参考人 非組合員である者が組合の役員になるということは、ほかの組合制度にもあるわけでございます。特に上級機関の役員がどうしても組合員でなければならぬのじゃないかというような御意見のようにも承わったわけであります。それもまことに一理あるお話であると思うわけであります。しかしながら、特別の人以外は東京に在住いたしまして東京の中央会等における役員ということになりますと、必ずしも適格な人事ができるかどうかということも考えられるわけであります。さような点につきましては、十分役員各位といたしましても、あるいはまた一般会員といたしましても考慮の上に、人事に対しましては考えていかなければならぬ問題だと私は思います。要は、畑から離れるほど実際の農民の気持から離れていくようでは困ると思うわけであります。上級になるほど農民的な考え方が薄れるというようなことのないような人事が行われるであろうということを、私ども期待しておる次第であります。
  131. 神田大作

    神田(大)小委員 これは、議論になりますけれども耕作組合を真に耕作者の意志を体した、耕作者利益を守るという立場に立つ組合にするためには、これは人事の問題が非常に大きな役割をなすのでございますから、この点については、われわれももっと研究したいと思います。私は、下部機関は耕作者に接しておられるから、そういうことは少いと思うのでございますけれども、中火における場合には、ほかの団体等においても見られるわけです。これは何もタバコ耕作組合ばかりじゃない、これは、ほかの農業団体にしろ、あるいはほかの中小企業団体にしろ見られることであります。このいわゆる特権的な力を持った人が入ってきて、いろいろ非農民立場に立たれると、迷惑をこうむるのは耕作者であるという点を私は指摘したいのであります。これは、議論になりますから、こんな程度にいたします。  先ほど井手さんから肥料問題等もいろいろお話がありましたが、同じ農業団体であるところの経済連とか全購連などと、タバコ耕作組合は今までタバコ肥料問題等について話し合ったことがあるかどうか、その点を一つだけお尋ねします。
  132. 河合冲

    河合参考人 全国段階といたしましては、取扱いと申しますか、一応各県連と連絡をとりまして、あっせんをすると申しますか、お手伝いをする形の肥料というものは尿素化成と硫酸カリだけでございまして、これも実際の取引は、県連が主体でございます。従いまして、全国の中央段階といたしまして、全購連との話し合いはいたしたことはないと私は考えるわけであります。地方におきましては、従来もおのおの各県連と経済連、あるいは購連等と話し合いをし、かつまた末端の地区組合におきましては、相当深い関連のもとに従来も取引が行われ、あるいはまた今後折衝も行われていけると信じておる次第であります。
  133. 神田大作

    神田(大)小委員 たくさん質問があるのでございますけれども、ずいぶん長くなりましたし、あと有馬君が質問するということですから、一応この程度にしておきます。
  134. 有馬輝武

    ○有馬(輝)小委員 河合さんも、午前中からでお疲れのことと存じますので、私は一点だけお伺いいたしたいと思います。  会長は、また葉たばこ収納価格審議会会長として、いろいろ御苦労をいただいておるわけでありますが、本年度も専売公社の方で、収納価格について、キロ当り〇・八八%ですか、引き上げろというような答申に対しまして、それは全面的に受け入れがたいという回答をされ、特に算定方式の改正も、作為的だからこれも困る、また前年度通りにしてほしい、あるいは品種間の価格を合理的に改正されたい、あるいは過剰在庫の処理についても積極的にやってほしい、あるいは運搬費の問題について、あるいは収納が年を越すものについては、越年加算金を払うべきであるというきわめて妥当な、だれが見てもそうあるべきだというような答申をしておられます。ところが専売公社の力では、四、寸、五等のところをちょっとというようなことで、皆さん方が価格審議会で、それこそ誠心誠意お話し合いになって、もちろん審議会委員の各位も練達の士であり、どこから見ても非の打ちどころのない方々ばかり集まっておられて、そこで熱心に協議された結論に対して、専売公社はそのような態度をとっておるわけでありますが、これは、一にかかって専売公社の横暴というか、その一語に尽きるのであろうと思いますが、それにしても、この運営について将来どうあるべきか、過去二十七年から運営されてこられまして、この価格審議会というものが有名無実になっておる、これを改めるのは専売公社の頭の切りかえというか、この横暴さが最大の原因であって、ほかに運営のやり方によってどうにかならないものか、いろいろお考えであろうと思いますが、そこら辺について、率直にお聞かせ願いたいと思うのであります。構成なり、あるいはほかに何か手があったならば、審議会意見をこうも無視しないのじゃなかろうかと考えられる節々があろうかと思いますので、そこのところを、専売公社の方がいらっしゃいますが、遠慮なくお聞かせいただきたいと思います。
  135. 河合冲

    河合参考人 収納価格審議会の経過につきましては、かねて御承知の通りでありますが、結局、本年もやはりこちらの要望を完全に受け入れられることができなかったということであります。これは、要望を全面的に受け入れるということも、いろいろ公社の御都合もありますので、むずかしいとは思いますけれども、一応妥当性のある答申であるならば、もっと十分に考慮を払ってくれてもいいのではないかといり感じが強くしているわけであります。ひとり本年ばかりでなし、昭和二十八年度よりの葉タバコ耕作収納価格審議会の結果が、大体さような形であったわけであります。従いまして専売法の一部改正をいたしまして、さらにこの審議会を法制化した上において、また審議する内容につきましても、葉タバコ耕作に重要なる各種事業に関して、これを審議にかける、審議にかけるばかりでなしに、この審議会の答申を尊重するということを、このたびの専売法の一部改正にも織り込んでいただいたならば、さらにもっと効果的な形において民意の反映があるのはないかというふうに考えておるところであります。
  136. 有馬輝武

    ○有馬(輝)小委員 今会長から、ほんとうに率直な御意見が出ましたので、生産部長も、今の点をよく聞いておいいただいて、これは、当然専売法の一部改正法律案については、政府提案していただかなければならないと存じますので、今私がお聞きした点だけでも、しっかり覚えておいていただきたいと存じます。きょうは時間も過ぎておりますから、私はこの点だけで終らしていただきます。
  137. 内藤友明

    内藤委員長 森山欽司君。
  138. 森山欽司

    ○森山欽司君 だいぶ長時間お疲れだと思いますが、二問ほど聞かしていただきたいと思います。先ほど来井手委員を初めといたしまして、社会党の委員諸君から、タバコ耕作組合にとって有益な御意見があって、御参考になったことと私は思います。その中で、私ども立場からはいろいろ意見があるのであります。たとえば組合百が平均大体千七百円だという点、これは去年の調査だろうと思います。最近の調査では、千五百二十五円くらいになっていて、前年に比して一割方くらい安くなっている。これは、他の組合に比較してみましても、反当総収入に対しては、養蚕組合でも一・七から三・四%、ホップ栽培組合が一%から三%、これに対してタバコ耕作組合品は一・三から三%というので、反当収入に対してタバコ耕作組合の賦課金というものがべらぼうに高いとは私どもは思わない。しかし、組合の賦課金というものは、組合員の汗の結晶からにじみ出た貴重なものであります。大事に使っていかなければならない、飲み食いにむだに使ってもらっては困るという点については、私ども同感であります。そうしてできるだけ組合費の節減について努力することも必要だと思います。それだからといって、組合費がべらぼうに高いのだというような言い方は、私どもはいたしません。今あなたのお立場でも、そういうことにはきょうはお触れにならなかったようでありますが、こういうことに似たような見地で、肥料の問題についても、あなたは農協その他のものより勉強してやっておると、こう言われる。しかし、井手委員その他のお話を伺うと、耕作組合のルートで回されたものよりは、耕作者の自由の立場農協等から買った方が、反当千円ないし千百円も安いのだ、こうおっしゃる。一体どちらがほんとうなんだということで、これも私どもは、もう少し検討してみなければならぬと思っているのです。しかしその中でも、たとえは先ほど井手委員お話で、農協方面から買えば、タバコ組会では油かすは十貫千二百五十九円くらいするものが千五十円で、安く買えるとおっしゃる。しかし、私もこの間郷里で調べてみますと、昭和三十二年度のあるタバコ耕作組合の購入価格は、十貫にいたしまして千二十五円である。そういうことで、千二百五十九円でタバコ耕作組合が買った、それが千五十円でできるというが、現実に私の地元のある組合は千二十五円で買っておる、もっと安いのだというようなことで、一体どういう根拠でこういうことが出るのかという点についても、いろいろ問題があります。また同じ地区でございますが、その地区で、菜種油かすも、タバコ組合では一部メーカーを指定して、農協から購入しておったのであるが、昭和二十年の八月末農協が契約したところが、値上りのため入荷がおくれて、九月に延ばした、十月に延ばした、さらに十一月末に至ってまた延びた。しかも契約価格より十貫一俵四百五十円も高くなった。最後の納期に納入しないために契約を破棄した。それでタバコ組合が自分の方で買ったところ、農協の方に十二月の十日ごろになって、三十トンくらい入荷した。農協から買ってくれといわれたが、すでに買っちゃったから、これはもう買えない、ところがその管内の農協の二カ所ばかりに各一車ずつ入れまして、しかも時価より一俵百円以上の損失をして売却をした。そのために、その管内の産地が撹乱して非常に迷惑を受けたので、その後もうそういう取引をやめて、直接メーカーと取引して、今年はあるメーカーの窒素含有量六%のもので全管実施した、こういう話もあるのです。こういう話を聞いておりますと、どうも私ども油かすの問題でも、御議論は一方的ではないか。しかし、それでは一体こんな値段で農協全国全部買っておるか。私はそうは思わない。こういう農協もあるかもしれぬ、しかしそれはむしろ例外である。油かすを取り扱う場合において、多くの農協はもっと能率的にまじめにやっていると私は思います。ただ今日の御議論を聞いておる過程において、何かタバコ耕作組合のやることは、安く買えるものをばかばかしく高く買っておるじゃないかというような一般的な印象を与えられることを私はおそれる。そこで私は、あなたにお伺いしたいことは、あなたの御見解によると、農協その他のものより勉強してやっておるとおっしゃる。だから私どもは、一応それを信用するといたします。そこで、現在たばこ耕作組合法の問題の中心点は何か。これはタバコ耕作に必要な肥料その他の資材共同購入ということが中心になっておる。この肥料共同購入について、農協側の御意見を伺いますと、共同購入を削ってくれ、あっせんにしてもらいたい、こう言っておられる。私は、事実農協を経由して、農協に頼んで買ってもらっておるところもあるということを知っております。また自分で共同購入しているところも知っておる。しかし、それをあっせんに統一してくれと農協の方が強くおっしゃる。しかも、あなた方の方から耕作者が高いものを買うとすれば、これはあっせんぐらいにしてもいいのじゃないかというような感じを、もしそういうことが事実であるとするならば、感じるわけです。この共同購入の問題が目下問題となっていることについて、あなたはどんな御見解を持っておられるか、一番中心の点でございますので、はっきりあなたの態度を明確にしておいていただきたい、あっせんでよろしいかどうか。ぜひとも共同購入ということにしてもらいたいというならば、なぜそういうふうに言われるのかという点について、あなたの御見解を聞きたい。
  139. 河合冲

    河合参考人 ただいまの問題でございますが、これは、前国会よりいろいろ審議の過程にもございました通りタバコ耕作組合法人化する上においては、従来の専売法二十五条に与えられている事業内容よりは出ない、従って従来の二十五条にきめられている事業範囲は、過去の古い歴史も持っておりますし、この事業を縮小してまでとはいささかも考えておらないわけであります。従来は、タバコ耕作に必要なる肥料資材共同購入ということに相なっておるわけであります。この点につきましては、私どもといたしまして、どこまでもぜひ国会の各先生の力の御理解の上に、肥料資材共同購入という線は確保していただきたいと考えているわけであります。もしこれが後退するがごときことがあるといたしますならば、組合によりましては、新しくでさる組合法に準じたものを遠慮したいというふうな声も私の方に入ってきておる事情もあるのでございまして、この点は、従来の行なっている仕事範囲を出もせず、また後退もしないという二点において、御理解のほどをぜひお願い申し上げたいと考える次第であります。
  140. 森山欽司

    ○森山欽司君 こういう条項を削除するならば、この組合法はやめても、従来の耕作団体、すなわち現行専売法二十五条でやってもらいたいという意見の者も出てきておる、こういうお話ですね。河合会長も御承知のことと思いますが、当初組合法人化の問題については、農業協同組合にしたらどうかという意見があったわけであります。農業協同組合にいたしますと、特殊農協として、養蚕だとか、ミカンだとか、あるいはホップだとか、酪農だとか、そういうような程度仕事は当然していくわけです。そして、さらにそれにつきましては、すでに農林省の農業協同組合部の係官は、そういう申請があれば、これは認めましょうという御意見も本法案立法の打ち合せの際には表明されておる。しかしそんなことをしたら、これは、ただでさえも総合農協立場からいうと、特殊農協ができるということは好まない、であるから、現行専売法二十五条のワク内において、経済事業についてはできるだけこれを不自由な形のものにして、ぎりぎり一ぱいの特殊法人を作ろうということがたばこ耕作組合法を作るおもな理由の一つであった。そういうことで作ったのであるが、しかも、なお農協方面で、肥料その他の資材についてはあっせんということにしなければ絶対反対だということで、——私ども立場は提案者の立場でありますから、できるだけ本法案の成立に対して努力をいたしたいと思いますけれども——そういう反対があって、いろいろな事情からもしこれをとりやめるという事態が起きた場合、組合法人化するということが一昨年来のタバコ耕作者の大会等を開いての御要望であるので、残る道は、特殊農協の道しかないと私は思うのであります。それについて河合会長は、その際は、特殊農協の道をとって方向転換へ進まれる決意を有するやいなや、その辺のところについて御意見を伺いたいと思います。
  141. 河合冲

    河合参考人 ただいまの御質問に対しましては、私はまだそこまでは考えておらないわけであります。地方的状況によりましては、あるいはそういうことも起り得るかもわかりませんが、その可否については、私まだ検討をいたしておりません。しかしながら、さような形になりますれば、規正におきましても、いろいろ農協等においての御心配の線もおかけしているわけでありますし、特殊農協になりますれば、脱化の農協運動の上においても、特殊農協がふえることは好ましくないということも、先ほどから荷見会長もおっしゃられておったわけであります。かようの点は、あまりにも重大なことであります。そこまで私から本日お答え申す段階ではないと考えるわけであります。
  142. 森山欽司

    ○森山欽司君 私も、そういう事態が来ないことを希望しております。そういうことのために、たばこ耕作組合法を何とか、特に農業団体関係においては円満に成立さしたいという努力をいたしております。私どもが努力していると同じような気持で、河合会長は、重大な問題であるからというので、明確な答弁を回避されたものだと私は思う。その趣旨は、農業協同組合とできるだけ協力してやっていきたい、協調してやっていきたいというお気持であろうかと推察するわけであります。当小委員会の審議も大体一段落し、これからいろいろ各党において取りまとめ御相談をするという段階じゃなかろうかと私は思うのですが、願わくは河合会長におかれては、荷見全国農協中央会会長等の方々と従来もやっておられると思いますが、事態の収拾についてあらためて御相談を願いたいということです。そして、でき得るならば、タバコあるいは総合農協等を問わず、農民団体あるいは農民立場からあなた方がほんとうに心から信頼し合い、そこに一つの解決策を見出したようなところにおいてこの法案の成立を期したいと私は考えておるわけであります。  私は、午前中荷見農協中央会会長にも同じ趣旨から、表現は違いますけれどもお話を申し上げた。あなたの方も、いま一段の御努力を私はお願いしてやまない次第であります。
  143. 内藤友明

    内藤委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は追って公報をもって御通知することとし、これにて散会いたします。    午後五時十九分散会