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1957-09-05 第26回国会 衆議院 大蔵委員会専売事業に関する小委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年九月五日(木曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    小委員長 内藤 友明君       大平 正芳君    加藤 高藏君       有馬 輝武君    石村 英雄君       井手 以誠君    神田 大作君  小委員外出席者         議     員 川野 芳満君         議     員 志賀健次郎君         議     員 高橋 禎一君         議     員 中馬 辰猪君         議     員 森山 欽司君         議     員 山下 春江君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局経済部         長)      小沼  亨君         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      村上孝太郎君         農林事務官         (農林経済局肥         料課長)    和田 正明君         日本専売公社総         裁       松隈 秀雄君         日本専売公社副         総裁      舟山 正吉君         日本専売公社理         事         (清算部長)  西山 祥二君         日本専売公社生         産部生産課長  榎園 光雄君         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 本日の会議に付した案件  たばこ耕作組合法案竹山祐太郎君外三十五名  提出、衆法第三四号)     —————————————
  2. 内藤友明

    内藤委員長 これより会議を開きます。  たばこ耕作組合法案を議題として審議を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。井手以誠君
  3. 井手以誠

    井手委員 公正取引委員会の方にお尋ねいたします。きのうお見えになっておりましたけれどもあとでお帰りになったようでございますので、当小委員会質疑内容を御承知ないかもしれませんが、昨日、私は専売公社生産部長に対して、次のような質問をいたしました。尿素化成価格協定について、どういうふうなことをやったか、熊本県の事例をあげ、従来のいきさつを述べて聞いたのであります。その際生産部長は、従来たばこ耕作中央会業者をまとめて価格協定したことがあった、全部とはおっしゃいませんでしたが、まとめて協定したことがあったという御答弁がはっきりあったのであります。もちろん私は、どういういきさつからか存じませんけれども、ともかくも独禁法適用除外法律——第二十九番目か何番目か、その数字は今明らかにいたしませんけれども、確かにたばこ専売法の第二十五条に規定するたばこ耕作団体独禁法適用除外になっておることは、私は承知いたしております。しかし適用除外になりましても、まとめて価格協定することは、業者間の取引になり協定になると私は信ずるのであります。それであれば、中央会では適用除外になりましても、業者間の協定ということになれば、これは明らかに独禁法規定に抵触すると私は存ずるのであります。その点について、この業者間の価格協定が適法なりや違法なりや、これを公正取引委員会に承わりたいのであります。
  4. 内藤友明

    内藤委員長 その問題につきまして、西山生産部長から発言を求められておりますので……。
  5. 井手以誠

    井手委員 それはあとでなすってけっこうです。私は、きのうの意見に基いて公正取引委員会意見を聞いております。
  6. 内藤友明

    内藤委員長 きのう発言を求められたけれども委員長は、あすその機会を与えますという約束をいたしておりましたので、その発言を許しますから……。
  7. 西山祥二

    西山説明員 昨日、井手先生尿素化成についてのお尋ねにつきまして、私の答弁の不備並びに記憶の不正確のために、あるいは多少の誤解を招いたのではないかとも考えます。事実、私はその当時在勤いたしておりませんので、その間の事情も十分明らかでございません。その間の担当をいたしましたのは、耕作組合中央会でございますので、中央会担当者より実情についてあらためて御聴取をいただきますれば、まことに幸いであると存じます。
  8. 井手以誠

    井手委員 ただいまの分については、了承いたしました。いずれにいたしましても、この法律案を審議する上には、中央会の適当な役員の方、あるいは農協の適当な役員の方を参考人としてぜひ呼んでもらいたいと存じておりますので、その機会お尋ねをいたしますが、今お話しのように、生産部長の話によると、当時自分は、責任者ではなかったということでございますが、きのうの言明によりますと、まとめて業者間の協定があった、こういうことになれば、これは問題だと考えておりますので、この際公正取引委員会の所信を承わっておきたいと思います。
  9. 小沼亨

    小沼説明員 ただいま御質問のありました、まとめて云々という事案関係がどうもはっきりいたしませんので、ここで、そういった業者の明らかな協定があったということになりますと、これは問題だと思いますが、前に本膳でございましたと思いますが、御質問がありまして、私の方の委員会違反事件としての立件でなしに、一般的な実情調査をいたしたわけでございます。それによりますと、一応中央会で各県の連合会希望数量をまとめられて、それをメーカーに発注といいますか、値段数量等をそれぞれメーカーの方と折衝されて、中央会購入見積り価格をきめられたのでありますが、その際に、一括メーカーの間で協定をして、中央会折衝をしたという事実はないようでございまして、一応各メーカー中央会でそれぞれ個々折衝をされて、その結果、一番古い値段の少しまた低いところで購入予定価格を作られた、そういうように、われわれの調査では今のところなっておるわけでございます。そういうことでございますと、一応独禁法上の協定価格という問題はないのじゃないか。これはまあ事実関係が変ってくれば別でございますが、一応われわれの調査では、そういうことになっております。
  10. 井手以誠

    井手委員 私は、そういう御答弁を承わるつもりではございませんでした。きのうの生産部長の御答弁によれば、まとめて協定をした。そうであれば、業者間の協定になるから、独禁法違反ではないか。その業者間の協定は違法かどうかということをあなたに承わっておるのでありまして、あなたの方の今までの調査を承わるとか、あるいは当局側に立つような御答弁を聞こうと私は思っておりません。そういう業者間の協定は違法かどうかという、その一点だけであります。
  11. 小沼亨

    小沼説明員 事実関係がはっきり、そういった業者間に協定がありまして、その協定をもとにして折衝したということになれば、あるいは独禁法上の一種の価格協定というような問題になってくるかと思いますが、これはどこまでも仮定の問題で、そういう仮定があればそういうことになって参ります。
  12. 井手以誠

    井手委員 回りくどい御答弁でなくて、業者間の協定は違法かどうか、これを聞いておるのです。
  13. 小沼亨

    小沼説明員 協定があれば、違反であります。
  14. 井手以誠

    井手委員 それでよろしゅうございます。私はきのう、共同購入される肥料価格が、たばこ中央会取扱いのものが割高であるということを、数字をあげてお尋ねいたしたのであります。さらにいろいろ調べて参りますと、生産部長が特に強調されている尿素化成肥料価格、この価格が五百九十二円というのはイ号の一号だと思いますが、これは着駅レール渡しではないかと思う。いよいよタバコ耕作辰家に渡るときには、いろいろな手数料なりその他のものが加算されて、六百二、三十円で配給されておるのが普通のように承わっておるのであります。しかしその手数料なりあるいは運賃なり倉敷料なりといったものは別にいたしまして、着駅レール渡しが五百九十二円、これは適正な価格である、割安の価格である、こういうことを何回も仰せになっておりますが、私の調べたところによりますと、これを農協が扱いますれば、メーカーから農協が買って着駅レール渡しにいたしますれば、四十七円安の五百四十五円で葉タバコ耕作農民配給できるということを申しておるのであります。そうなりますと、きのう私は原案の第七条に関連してお尋ねいたしましたが、何も独禁法適用を除外してまで、農協取扱い額よりも高いたばこ中央会尿素化成を扱わなければならぬという理由はないと私は考えるのであります。高い肥料を扱わせるために独禁法適用を除外し、そして配給させようとする、その意味が、そこで根底からくずれると私は思う。ほかの農協とか、その他の扱いよりもうんと安く——うんとというよりも、割安で配給できるために独禁法適用を除外しようというお気持であれば、それは、私も了解をいたします。これは、提案者森山さんも、一つお聞きを願いたいと思う。ほかの方では安く、たばこ耕作組合の方ではほかのものより高くなっておる。最近尿素化成はだいぶ生産量がふえて参ったようであります。タバコ肥料としては、年間五万トン近くあればいいように承わっておりますが、今日の生産高は、十万トンをこえておると思うのであります。昨日も申しました熊本県の問題、十一万トンも生産しておる今日の状態では、何もそう販売区域が違うからといって、配給に重大な支障を来たすとは私は考えていないのであります。こういう事実を基礎にして私は申し上げておるのでありますが、それにもかかわらず、なお第七条の規定が必要である、第八条の事業の中には、肥料その他の資材の共同購入が一番大きな問題である、またそのことが独禁法適用を除外する大きな根拠であるとおっしゃいましたが、それでもなおやはり必要であるとお考えになりますか。
  15. 榎園光雄

    榎園説明員 ただいまの御質問に対しましてお答えいたしたいと思いますが、本法改正法案が第七条を挿入いたしました理由といたしましては、昨日もお話し申し上げました通りタバコ耕作組合実態は、農民の小さい規模の集まりである協同組合組織体であるのだ、だから、協同組合が大規模事業者と相対して仕事を進めていきます場合に、さような小さい事業者を保護する必要があるのだ、しかもそういう場合におきまして、法の目的といたしておりますのは、安い肥料共同購入するのだという建前のもとに法律考えられたのではないか、かように私は考えておるのであります。その場合におきまして、かりにたばこ耕作組合法の中に第七条を挿入しない場合におきましては、どういう結果になるかと申しますと、御承知通り独禁法第二十四条におきましては、法律に基いて設立され、左の各号の要件を備える組合の行う正当な行為については、適用しないというような法律を設けまして、四つの号の要件の中に、議決権が平等であるとか、加入脱退が自由であるとか、あるいは事業分量に応じて行う配当の関係云々というような規定をいろいろ掲げておりまして、かりにたばこ耕作組合法の中に第七条の関係を挿入しない場合におきましても、耕作組合法規定いたしております実体が独禁法第二十四条の要件を掲げております場合におきましては、当然独禁法第二十四条が発動になりまして、組合の行う正当な行為については適用されないのだというふうな立法の過程になるのじゃないか、そういう法律適用になるのじゃないかと思っております。その場合におきまして、独禁法を排除する規定の仕方といたしましては、農業協同組合法の場合におきます通り、いわゆる組合を、独禁法二十四条の要件を満たしている組合とみなすという規定の仕方と、それから現に塩業組合法にございます通り塩業組合は、独禁法二十四条の関係において、正当な行為については適用しないというのと、独禁法関係適用いたします場合に二通り規定方法があるのでございます。たばこ耕作組合法の場合におきましては、やはり同じ専売法関係がございますので、塩業組合の方に並びまして、独禁法排除関係規定いたしたわけであります。だから、法の趣旨といたしますところは、井手先生のおっしゃいます通り、安い肥料個々の農家に配給してやろうというような立法趣旨でございまして、現実の問題が、高い肥料配給しているということと法律の問題とは、おそらくこれは別個に考えておいていいのじゃないか、現実がそういうふうに高い肥料配給いたしておりますと仮定いたします場合は、そういう事実がありますならば、できる限り耕作組合事業運営経営自体を改善いたしまして、安い価格になるような方向へ耕作組合自体運営を指導していくというようにして、法律建前と同じような考え方に進めていかねばならないのではないか、かように今考えておるわけであります。
  16. 井手以誠

    井手委員 ただいま、法律建前と実際とは別ではないかというお話があった。しかしこの法律は、たばこ専売法の第二十五条に規定されている耕作者団体、これでははなはだ団体としては弱いので、これを強化していこう、法人化していこう、こういうのが提案者趣旨である。そうなりますと、現在やっておることが基礎であって、それをさらに強めていこうという法律案でありますならば、現在のやっておること、実態基礎でなくてはならぬと考えるのであります。もし現在のままの情勢、事態からさらに団体を強化していくということになりますと、かりに高い肥料を、この原案にあります十何号でございますか、肥料会社団体協約を結ぶ。そういたしますと、もう法人化した団体でありますれば、それに対して組合員はなかなか文句が言えない。今でも一番大きな問題は、肥料あるいは収納価格の問題、鑑定の問題、組合費の問題、組合の内部にはいろいろそういった問題が多いのでありますが、特に地方で問題にされておる肥料価格というものは、高い肥料をたくさんどんどん押しつけてくる、この事態を、さらにその団体を強化するという場合には、やはりその肥料価格の問題を十分検討しなくてはならぬのであります。法律法律だ、実際は実際だ、こういうように分けて考えるべきものではないと私は考えておるのであります。私は、きょうはあまり提案者には聞かないことにいたしておりますが、森山さん、こういうほかの方はもっと安く配給されようという尿素化成、こういう場合に、独禁法適用を除外するということは、あくまでもあなたは必要だとお考えになっておりますか。またもし法人化すれば、耕作組合取扱い尿素化成がうんと安くなるという御信念をあなたはお持ちでございますか。その二点だけをお尋ねいたしたい。
  17. 森山欽司

    森山欽司君 第七条の独禁法適用除外規定というものの趣旨は、さきに専売公社生産課長からお話がありました通り肥料の場合で申すならば、安い肥料を入手することができるようにという趣旨であります。そういう趣旨で、この規定は私は必要であると思う。ただ現実に、耕作組合の実際の面においてそうでないような面がかりにあったとするならば、これは仮定でございますが、そういうことは思わしくないので、できるだけこれは改善しなければならないと思っております。しかし現実に、一部にそういう欠陥があるとすれば、これは、法の有無にかかわらず、是正すべきが当然であり、その趣旨は、あくまでも安い肥料が手に入るという趣旨であります。そういう面で、運営の面においても是正する、また法の規定の面においてもこれを規定するというのが妥当な考え方ではなかろうかと考えております。  ただ一言つけ加えさせていただきますならば、熊本県の例等でお伺いする事態につきましては、もっと実情を検討してみなければならぬ面があるのじゃないかと考えておりますので、その肥料価格の高いか安いか、かりに安かったとした場合において、それが全国的にそういうことができる問題であるかどうか等については、さらに検討してみたいと考えております。
  18. 井手以誠

    井手委員 たくさんありますけれども、これだけで同僚の神田さんにお譲りいたしますが、硫安を初め、最近肥料はどんどん増産されておりまして、生産コストはずっと下っておるはずであります。ところが、尿素化成はなかなか下らない。ごく最近ではありませんけれども、五月十八日の委員会でも申しましたように、七大メーカー生産費というものは、四百七、八十円だと私は見ておるのであります。イ号一号でありますか、それが協定された価格では五百九十二円、もちろんその中には、メーカーの利潤も商社の利益も含まなくてはならぬのでありますが、これを硫安の場合に考えまするならば、同じ六貫目俵に仮定いたしますならば、四十数円加えればメーカー商社も採算が立つと私は考えておるのであります。そうなりますれば、四百七、八十円に五十円加えても五百二、三十円で配給ができる。少くとも五百五十円以内で農民配給できるのではないかと考えておるのであります。私はその辺に問題があると思います。  なおこの点については、次の第八条の事業内容について、私は十分検討いたしたいと思っておりますが、きょうのところは第七条までにとどめて、タバコ耕作には非常に関係の深い神田さんにお譲りしたいと思います。
  19. 内藤友明

  20. 神田大作

    神田(大)小委員 舟山総裁がおいででございますから、たばこ耕作組合法と非常に関連のある価格の問題について、一言質問いたしたいと思います。収納価格は、過般専売公社の方から発表になったようでございますけれども、あの発表を見ますると、私が七月十一日の大蔵委員会において、収納価格というものはどういうふうにしてきめるのかという御質問を申し上げましたときのあなたの答弁がここに出ておりますけれども、今度の発表を見ますと、この答弁と違っておるような点が見受けられるのでございます。私が質問したときは、今度の価格は、今までと変らない方式によって決定すると言っておりながら、今度は、あれに変った方式を加味されておるようでございますが、それはどういうわけでございますか、御答弁願います。
  21. 舟山正吉

    舟山説明員 葉タバコ収納価格決定につきましては、いろいろの方式考えられるのでありますけれども、これをできるだけ合理的にしていくということが、私ども責任であると思います。そこで今年度の価格決定方式につきましては、従来の不合理な部分を除去いたしまして、合理的な方式をとったわけでございます。
  22. 神田大作

    神田(大)小委員 あなたの言うのは、公社に都合のよい合理的な方法をとったので、耕作者価格を適正にするための合理的な方法をとったとわれわれは見られない。その点は、どういう観点に立って合理的方法をとったのですか。公社立場考えてやったのか、それとも耕作者立場考えてやったのか、どちらですか。
  23. 舟山正吉

    舟山説明員 価格決定方式は、世間に公示されまして、世論の批判を受けるものでありますから、どの点から見ても合理的である、こういう方式をとるべきであると考えております。その見地から、不合理な部分は時に応じ変更して参りたいと思います。
  24. 神田大作

    神田(大)小委員 七月十一日の私の質問に対して、従来の方針と変らないというような答弁をして、今度は変ったのはどういうわけですか。
  25. 舟山正吉

    舟山説明員 先般申し上げましたのは、農業パリティの変更を中心として価格決定していくということでございまして、その基本方針は、変っておらぬと考えております。
  26. 神田大作

    神田(大)小委員 しかし基本方針の中で、私は二日にわたってこの価格の問題を御質問申し上げた、しかしながらこの質問の中で、今まではパリティ指数に対しまして麦の価格を加えたのでございますけれども、今度の場合は、これに対しましてカンショ、あるいは繭の価格を加えたようになっております。これは、数字的にも今度の収納価格を低くする非常に大きな作用をなしておるのですが、こういうような大きな変化を、変っておらないという御答弁でありますけれども、これは、私は納得がいかないと思うのですが、その点どうですか。
  27. 舟山正吉

    舟山説明員 価格決定方式には、農業パリティ根幹とする方式とか、あるいは葉タバコパリティ根幹とする方式、あるいは生産費根幹とする方式といろいろございますけれども、私どもは、一貫してこの農業パリティ根幹とする方式をとっておるわけであります。麦との関係につきましては、去年までその麦との権衡ということを考えておりましたのですが、ことしいろいろ検討の結果、これは農業パリティを採用いたしました当初におきまして、葉タバコ耕作者が麦の耕作者に対して非常に不利である、これを救済する一つのケースであったのでありますが、もはやその適用の意義がなくなっておるということで、今回はそれをやめまして、このほかの調整係数を採用することにいたしたのでございます。
  28. 神田大作

    神田(大)小委員 そうすると、麦の調整係数を省いて、繭やカンショのように非常に価格が不安定な、しかも斜陽産業と申しますか、とにかく繭にいたしましても、あるいはカンショにいたしましても、農作物のうちではだんだんと価格が低下してきておる、そういうものを採用するということは、あなたはどういう理屈をつけようとも、収納価格を安くしようとする意図でもってやったとしかわれわれには考えられないのですが、そういうようなお気持でもって、今回こういうような方式をとられたのか。われわれはあのときに、あなたがカンショや繭の係数を加えるというようなことを言いますれば、それに対しましていろいろと準備をして、その不合理について、事前にあなたたちと話し合いもし、この相当大きな問題に対しまして、農民としても黙っておらないわけでございますけれども、こういうことを発表せずして、われわれが何回質問してみましても、前年通り方法でやります、パリティは今と同じようなことでやりますと言って、そうして突然収納価格が安くなる要素を持っておる繭とカンショを加えたということは、まことにわれわれとして納得のいかない話です。この点、あなたのわれわれに対する答弁と、今回の措置というものは信義に反するとわれわれは思うのでございますが、その点、どうお考えですか。
  29. 舟山正吉

    舟山説明員 私は、葉タバコ収納価格決定につきましては、農業パリティ中心といたしまして、ただ機械的にパリティの変動にスライドするということでなくて、その他の主要農産物価格をも参酌して、そうしてなお葉タバコ需給関係をも考慮するということが決定方針である、こう申し上げております。今回取りました算式につきましては、その大きな方針に沿っておると私は考えております。
  30. 神田大作

    神田(大)小委員 しかし、あなたは私の質問に対して、前年度と同じような方式でやると言っておるのですよ。前年度と同じようということは、去年と変らないというふうにわれわれは先入感として受けるのです。これは、去年と同じように、いわゆるパリティを基準とし、それに麦の係数を加えるというふうにわれわれは考える。それによってわれわれの方は準備をして、そうすれば、ことしは去年の価格よりもパリティ指数が上っておるから、四・六ぐらいは上るなというようなことをわれわれは考えておった。ところが、突如それに収納価格を下回るカンショや繭を加えたということは、これは収納価格を下回らせよう、安く葉タバコを買い上げようとする意図のほかは何ものもないのじゃないですか、その点はっきり答弁して丁さい、それは大事なことなんですから。
  31. 舟山正吉

    舟山説明員 公社といたしましては、今年度葉タバコ収納価格を故意に低くするために、作為的に計算方式を変えたということは全然ございません。
  32. 神田大作

    神田(大)小委員 あなたは、そういうふうに作意的にやった意思はなくとも、実際は去年よりも下回っておる、実際は安い価格になっておる。こういうことを今度われわれが認めるというと、あなたの方では、たくさんの職員をかかえ、そしていろいろの方面を研究しておるのでございますから、収納価格を下げようと思えば、いろいろ方式を変え、いろいろ理屈をつけて、今までは二十五年、二十六年を基本線にしておったのを、今度は幾らにするためには三十年度を基本にするとか、いろいろと方式を変えて、学のない農民幾らでもごまかされてしまう。あなたたちは、この権威ある委員会において、昨年通りにすると言ったようなことさえも、平然として変更して、しかもこれは合理的なものであるというようなことを言っておるのです。ほんとうに農業パリティを基準とするところの合理的な算出であるならば、どうしてあなたはバック・ペイを考えないのですか。パリティ指数におけるバック・ペイというものは、これは、そのときの指数の上昇によって必ずバック・ペイをやるべきものが農業パリティの基準でございます。それから都市と農村の、いわゆる私が申しましたところの生活の上昇率、あるいは資本財の変更とか、二十五年、二十六年にかけた肥料や、あるいはその他の資材と、今日タバコ耕作のために、農薬や、あるいは肥料等においても相当その当時よりも上回った経費がかかっておるわけなんです。そういうような資材の投下率の上昇等をなぜ加味しないのですか。こういうことをすることが、農業パリティによるところの合理的な算定なんですか。そういうことをやると収納価格が上るものだから、それをやらないで、そして繭やカンショのようないわゆる農産物の価格の対比だけをして、そして合理的にやっておるという、そんなばかな話がありますか。舟山総裁ともあろう者が、ずいぶん学者でもありますし、いろいろそういう点においては研究なさっておるのでありましょうから、十分御承知の上でそういう答弁をなさっておるのだろうと思いますが、合理的であるならば、農業パリティの筋を通して合理的な算定をしてもらいたい。ところが、片方を合理的にやると、収納価格が上る、片方のいわゆる繭あるいはカンショをやると、収納価格が下る、そういうのを十分御承知の上で、片方だけのものを入れる、片方の上昇する、収納価格が上る要素を除いて、しかもこれが合理的であるなんという、そういう答弁はありませんよ、その点どうなんですか。
  33. 舟山正吉

    舟山説明員 計算方式の詳細をお聞きとりいただけば、御納得いただけると思うのでありますが、そのバック・ペイ等の問題も御提起になりましたけれども農業パリティ中心として収納価格決定するということになっておるのでありまして、たとえば昨年のごときは、葉タバコ収納価格を引き下げたのでありますけれどもパリティの計算通り引き下げたわけではございません。その範囲内において引き下げたというようなこともやっておるのでありまして、値上げをする場合におきましても、農業パリティというものを中心として考えますけれども、そのほかに、いろいろの合理的な要素を加味いたしまして決定してきておるのが、例年の例でございます。なお、計算方式の細目につきましては、生産部長その他から補足して申し上げたいと思います。
  34. 西山祥二

    西山説明員 本年の価格算定につきましては、ただいま副総裁より概略御説明がありましたが、基本的には、従来同様にパリティ方式を採用いたしまして、これに生産費の上から見た収支の面、あるいは耕作事情、輸出事情等を勘案いたしまして、最後的に価格決定したのであります。しかしながら、パリティ方式によりましても、御承知のごとく、従来とって参りましたのは、二十五年、六年の基準価格に対しまして、本年五月のパリティ指数をもってスライドいたしました価格に対して、若干の調整加算をいたしております。すなわち、昨年まではもっぱら麦の価格との均衡を考えまして、いわゆる対麦均衡と称するもの、これは二十五年、六年と二十七年の麦の収支の差額に見合う程度に、タバコの同年における赤字を補てんするという率を対麦均衡と称しておりますが、この数字一・二%を加算いたしますのと、さらに当年の麦価決定の際に、裸、大麦の小麦に対する価比、いわゆる小麦価比と称するものを加算いたして参ったのでありますが、現在におきましては、麦価に対する調整の比率が、当初設けましたころとは相当変化をいたしておりまして、これを適用するのは妥当でない実情にございます。しかも一方におきましては、すでに申し上げましたごとく、先ごろ内閣に設けられました農産物価格対策協議会において表明せられました意見によりますれば、いろいろの行政目的によって政府が価格決定する農作物の場合においても、各種農作物とのバランスを考慮すべきであるという意見が出ておるのでございます。またその際、従来タバコ価格決定の場合に、麦のみに片寄って価格のバランスを調整するというやり方は必ずしも当を得ていないという意見も述べられておるのであります。できる限り早い機会に、この協議会の意向を尊重して、タバコ価格決定する方式をとりたいと考えておったのであります。このような事情から、本年初めて広く各種農産物の価格の調整を考えてみたのでありまして、その作物の種類といたしましては、米麦のほかに、繭並びにカンショの四種類をとったのでございます。これは、米麦は申すまでもなく農産物の主要なものであり、繭並びにカンショは、従来タバコの対抗作物として価格決定の場合に参照いたして参りました作物でありますので、これら四作物を価格の均衡をとる対象といたしたのであります。その結果、本年とりました調整係数は、〇・三七%を単純なる比較パリティにおよる価格のほかに積み重ねまして、今年の価格決定いたしたのであります。その結果、従来とって参りました算定方式によりまするものよりも、若干価格が下回っておりますけれども、われわれといたしましては、長い目で見て、最も価格の安定した算定方式をとるという意図より、今回採用いたした方式に切りかえたのであります。
  35. 神田大作

    神田(大)小委員 今説明員が、もっともらしい御説明をしたようでございますが、なるほどそういうことを言いますと、農家の人は、下ってもしようがないということになるかもしれませんが、私はそれは納得しません。というのは、あなたの方はそういう理屈があるでしょう。理屈はあるけれども、さきに舟山総裁にも話したように、ほんとうに農業パリティというものを基準にするならば、これに一番基礎となるのは、今米の価格決定するときにもやっているいわゆる資材の上昇率を加算する、これが一つ、それでなければ、安全な農業パリティによるところの価格決定にならぬ、それからいま一つは、都市と農村との生活の上昇率を加算する、これが二つ、それと、いま一つはバック・ペイを考えること、この三つをやらなければ、農業パリティによる価格の適正なる算定とはいえない。そうやれば、必ず種々の価格は今より上ってくるということはわかっている。そういうふうな筋の通った算定の方式をとらないで、カンショや繭のような斜陽農産物の価格を参考にして、種々の価格を下げている、これは事実である。これはちゃんと数字に出ているのだから、どんなにあなたが理屈をつけて正しいものであるといったって、これは納得できない。そういうふうに、ほんとうに農家の耕作者のために適正なる価格をやるというなら、もっと筋の通った算定方式をやったらいいだろうとわれわれは思うが、その点はどうなんですか。
  36. 西山祥二

    西山説明員 ただいま神田先生のおっしゃいますことは、まことにごもっともに存ずるのでありますが、われわれの考えといたしましては、ただいま申し上げましたように、各種農産物の価格の田のバランスを考慮することによって、御指摘のごとき都市と農村の消費水準のギャップ、あるいは生産財の増騰、それらの面も含めて適正なる価格がきめられるという考えを持っておるのであります。
  37. 神田大作

    神田(大)小委員 西山部長さん、それを加算してないのじゃないですか。加算してありますか。
  38. 西山祥二

    西山説明員 その意味を持ちまして、ただいま申し上げましたごとく、いわゆる均衡係数と仮称いたしております米麦並びにカンショ価格との調整を加算いたしております。
  39. 神田大作

    神田(大)小委員 それは、麦の価格の場合は、多少そういう含みもあるかもしれませんが、繭とカンショ価格を加えたことによって、それはマイナスになっておるのです。それは、決して都市と農村の消費水準のギャップを埋めるための係数じゃないのです。ほんとうに筋の通ったことをやるならば、農業パリティに対しまして、投資資材の上昇率と都市と農村との消費水準のギャップの係数とを加えて、そうして今度はカンショとか、あるいは麦とかあるいは、繭とかの係数考えるというなら、そこで話はわかるけれども、そういうことをやらないで、カンショや繭の比較的安い農産物の係数を入れることは、当を得てないと私は思うのですが、それはどうなんです。
  40. 西山祥二

    西山説明員 仰せのごとく、繭並びにカンショにつきましては、いわば斜陽作物と称せられる傾向を帯びておるものでありますが、タバコの一般対抗作物といたしましては、従来最もその比重の重いものであり、でき得べくんばもっと作物の種類を増加いたしまして、蔬菜等にまでこれを及ぼすのが適当かとも思うのでありますが、なるべく価格の安定をいたしたもの、ことにカンショ並びに繭につきましては、安定価格が設けられておりますので、一応これらの作物を対象とすることによって——今日農家所得の六五%まではこれらの作物によって上げられておるものでありますので、これらの作物を対象といたすことは、必ずしも不適当とは考えておりません。
  41. 神田大作

    神田(大)小委員 どうも専売公社の方々は、今まで温室の中に育っておったものですから、自分の言うことはあくまでも正しいものとして、いつも押し通すようですが、現実収納価格数字的に下ってきておる、その下ってきておる現実をどうお考えになっておるか。人間の生活というものは、年々上昇しておるのですから、この上昇に沿うように、少しずつでも耕作者の収入が増すように考えるならばいいけれども収納価格が下るような要素を含まして、しかもこれが正しいものであるというように強弁をしておるのは、私はどうも納得がいかないのです。ほんとうに耕作者のためを考えるならば、少しずつでも上るような資料をもってやるべきだと思う。ところがそういう資料はそっちのけにして、下るような資料だけを加えて、そしてこれは安定したものであると言ったところで、われわれは納得しません。そういう点について、幾らあなたと議論してもしようのないことでございますけれども、この点は、あと森山さんが待機しておるようでございますから、法案の方をやらぬと失礼になるから、あまり長くやっておれませんが、この次の大蔵委員会で、私はもっとよくあなたや総裁と話し合いしたい。というのは、これは今後の日本の農産物価格の大きな議題になることでございますし、日本の農業をどうすべきかということにもつながるものでございますから、タバコ耕作価格の算定方式というものに対しては、根本的に検討してもらいたい。去年はこういう算定であった、来年はこういうようにするのだ、再来年は少し上るからこんなふうにするのだと、毎年々々算定方式を変えて、そして公社の思うままにされておったのでは、耕作者としてもはなはだ迷惑な話です。それも、私が七月十一日並びに八月十一日の二回にわたって、価格の問題について、こういうことがあるだろうと思うから、算定方式をどうするのだ、どういう考えで算定するのだということを再三にわたって質問したにもかかわらず、去年と同じような方式でやりますと言っておりながら、いさ算定するときになると、繭とカンショをぽこっと入れて下げてしまった、こういう信義に反する話はない。なぜあのとき、あなたたちはわかっていたのだから、カンショと繭を入れるのですと言わないのです。どうですか、舟山総裁、どうしてあのとき言わなかったのですか。
  42. 舟山正吉

    舟山説明員 先ほど申しましたように、他の農産物価格等をもしんしゃくするといったようなことに、今度とりました方式は包含されると考えております。
  43. 内藤友明

    内藤委員長 お諮りいたします。この際議員山下春江さんより発言を求められておりますので、これを許可するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 内藤友明

    内藤委員長 御異議なしと認めます。では山下さんどうぞ。
  45. 山下春江

    ○山下春江君 今神田先生から収納価格の問題で御議論がありました。私も同感の点がだいぶあるのでございます。ところがこの配られました資料を見ますと、三十三年に繰り越される量が非常に大量のようでございます。おそらく今回非常なお苦しい御答弁をなさることも、こういう数字とのにらみ合せも多少そこらにあるのではなかろうかと思いますが、私漏れ聞いたところによりますと、公社では、貿易を盛んにするために、特に葉タバコを輸入してくれ、そうな地域へ人を御派遣になって、市場の調査をなさったということを聞いております。その結果がどういう結果であったか。  それからこの繰り越しの量というものを、どうしても公社としては合理的な説明をしつつ、収納価格幾らか押えていくという材料にしなければならないところが出てきたかどうか。  あるいは減反という問題が、非常にまた産地をざわめかしておりますけれどもタバコ耕作というものを今後われわれが考えるときに、ほんとうに安定作物として技術の向上をはかることに、みんな全力を傾けて、多くふやすことを考えなくても、減反ということでざわめかせないことが、その主要な目的だったのですが、どうもその線がそれてきそうな憂いが出てきたので、その点に対する今後の御自信のある見通しを聞かしていただきたい。
  46. 舟山正吉

    舟山説明員 今回の今年度産の葉タバコ収納価格決定につきましては、増産によって繰り越しが多くなるから、これを買いたたくのだという思想は全然入れてございません。これが第一点でございます。第二の輸出促進につきましては、何分国内の生産がふえましたので、活路をできるだけ輸出に求めたいという見地から、春ヨーロッパ及び東南アジアに人を派遣いたしまして、市況等を調査いたしました。と申しますのは、大体輸出の取扱いは、貿易商社に扱わせるのでありますけれども、貿易商社は、ほかのいろいろの商品も扱っておりまして、葉タバコはその一部にすぎない。口銭等も、ほかの商品に比べてみますと妙味がないのじゃないかとも思われます。そんなようなことで、力の入れ方も違いますから、直接人を派しまして、市況を調査さした次第でございます。その結果もございまして、ヨーロッパには、今年度バーレー種が二百万キロ以上輸出される見込みがつきました。これは、もっとも市況調査のためばかりではございませんが、アメリカにおけるバーレー種の価格が高騰いたしまして、ヨーロッパとしては、安い日本の、バーレー種を買いたいということになったためが主でございますけれども、そういうようなこともありますけれども現実に人を派してみまして、得るところがあったと考えます。そこで、今後はヨーロッパに——買ってくれるのはヨーロッパから近東方面になりますので、ヨーロッパに社員を駐在させまして、なお輸出先の開拓に努めさせたいと考えております。  減反の問題が第三点でございますけれども、これは資料でごらんいただきますように、いかにも国内在庫量が多いなってしまった。そこで、この原因にはいろいろございますけれども、さしあたってこのまま推移いたしますと、持ち越しによります品質の低下とか、あるいは倉庫倉敷料の増高とかいう事態を生じますので、耕作者の方にはお気の毒でありますけれども、来年は一つ減反をやっていただきたいというふうに考えておる次第でありまして、これはまた、御質問によりましては詳細御説明いたしたいと存じます。
  47. 山下春江

    ○山下春江君 葉タバコの輸出が、非常に口銭も少いので熱意が持てないせいか、今日まであまりPR活動も十分でなかった。他の農作物に対しましては、国内においても非常に保護政策の面がいろいろあると思います。葉タバコの場合も、こういう方法で作らせましたものを、政府がまたもうけてよそへ売ろうなどということで、このストックをためてしまうようなことでは、これは何としもタバコ耕作者に対しては申しわけない次第だと思うのです。一年、半年でなかなか優良産地にはなりません。優良産地になるための努力は非常に涙ぐましいものでありまして、ちょうど今乾燥の最盛期でありまして、全く政治の話を聞くひまもなく、経済の中からも置いてきぼりを食って、朝昼戦っておるというような状況であります。それを、せっかくそこまでやったのを、また少し減すぞといって産地をざわつかしていることは、いかにも残酷でございます。収納代金を下げるということも残酷ですが、減反、増反であの産地をざわめかしておることは、いかにも残酷性があると思いますので、この点は、もう少ししっかりした態度をもってやっていただきたい。たまったのを見ると、われわれもこれは困ったことだと思いますけれども、たとえば、いつか新聞で盛んに宣伝されましたアメリカの学者か何かの、タバコをのむと肺ガンになるとかいう説が出ておりました。今ごろタバコを二十年ものんでおった人が、やっと苦労してタバコをやめている実例を私は身の周辺でたくさん見るのでありますが、そういうことに対して、日本の専売局は、あれだけ大きな機構を持っているのですから、アメリカで発表されても、わが方が最高の知識を集めて研究したところによると、これはこういう結果であるということを一ぺんぐらい発表するとか、何か私どももみなにタバコをのめというようなことを宣伝することは、はなはだどうも片腹痛い話でございますが、のまなければこれがたまると思うと、痛しかゆしのところに置かれているのに、公社は知らぬ顔をして、売りさえすればいいというかっこうであるのは、はなはだ不親切だし、そのことで、非常に青年もタバコをのむことが少くなった、いいことではありますけれども公社はずいぶん頭痛はち巻だと思うのでありますが、そういうことからいいますと、もう少し貿易ということに対しては、通り一ぺんの貿易を考えないで、今日世の中の経済が非常に平らに、なめらかになったときに、ここにまた二重価格をこしらえて、少し損してもいいから売れなんということも、これはいいか悪いかわかりませんが、しかしそれだけの熱意を持っていただいて、少くとも反別に対しては、優良産地に育て上げるという熱意を持って、外国から葉タバコを輸入しなければうまいタバコがのめないのではなしに、日本全体でほんとうによく作れば、うまいタバコが日本の葉でもできるのだというところまで持っていくくらいな努力をしていただきたい。むろん収納価格を下げていただくということに対しては、はなはだ不本意でありますけれども、それよりも、もっとこれはもう一つ農業の柱になっている。その柱がいつもぐらつかせられると、だれかりっぱな農業指導者が出て、タバコなんかやめてしまえ、こんな不安におののかされるようなものはやめて、果樹園でも何にでもした方がいいということになったり、またあるときに、タバコがいいから果樹を引っこ抜いてタバコをやるというようなことでは実際困るので、その点について重ねて承わることは、くどいようでありますけれども、副総裁タバコの将来の見通しに対する御決意をもう一度聞かして下さい。
  48. 舟山正吉

    舟山説明員 ただいまの山下議員の御意見は、大体においてきわめて御同感でありまして、特に強く異論を申し上げる点はないのでありますけれども、ただ減反問題につきましては、最近耕作方法の進歩とか、農薬の発達、災害防除の方法とかがきわめて躍進的に進歩いたしまして、数年前に予見しなかったような成績を上げている。また今年を含めましてこの三年間は、天候がタバコにとりまして、かつてない良好な状態であったのであります。私ども不明といえば不明なんでありますけれども、普通の考え方からしては、予測できないようなタバコの増産があったわけでございます。このまま推移いたしますと、何とも処置がないということで、減反の線を打ち出したのでありまして、つい先ごろまで耕作者の方々に増産をお願いするということをやっておりましたのに、ことで言葉を裏返して減反をやっていただきたいということは、まことに情において忍びない次第でございますけれども、これらの方々につきましては、今後葉タバコの国内販売はもちろん、輸出増進等に極力努めまして、需要の喚起に努め、また葉タバコを少しでもたくさんこさえなければならぬときには、今度減反していただきました方々に優先して耕作していただきたいというようなことでお報いしたい。この際としては、どうも減反ということは、諸般の事情からやむを得ないのではないかということを、ひたすら御説明申し上げているような次第でございます。
  49. 大平正芳

    ○大平小委員 今の収納価格の問題でございますが、私はいかなる方式をとるにいたしましても、やはりこれは安定性がなければならないと思う。神田君の言われたこと、山下さんの言われたこと、御趣旨は全然賛成です。過去三年間やっておった方式をことし合理化した、たまたまその合理化した結果が、ことしの収納価格が予想より低目にきめられたということで、御不満が今出ておったようでございますが、一体今までとっておった方式よりも、今度採用した方式の方が合理的なんだということでございますれば、今度とった方式は、長く収納価格決定方式として踏襲していくおつもりなんですか。もしそういたしますれば、経済情勢の変移に応じまして、対麦比価のウエートをあまり高く見ている従来の方式よりも、今の方式の方が、将来において耕作者の利益になる場合もあり得るわけであります。将来、この方式がどうも収納価格のものさしとして使うのには不都合だから、また変えるんだというようなことであったら、これは神田委員が指摘しているように、大へんな問題だろうと思うわけでございますが、一体今度採用した方式基本というものは、長くこれを踏襲して、安定した価格政策を立てる柱にしていくんだという御決意がおありになるかどうか、そのことを一つ関連して伺っておきたいのであります。
  50. 西山祥二

    西山説明員 ただいま大平先生のお尋ねの点でございますが、今回採用いたしました算定方式は、従来に比較いたしますれば、より安定性を帯び、合理性を帯びた一種の改善であるというように考えております。従いまして、今後ともこの方式を変更する考えを持っておりません。しかしながら、パリティ方式そのものについては、ひとりタバコに限らず、他作物においても現在採用せられておるところでありますけれども、いろいろなお検討を要する点もあるのでありまして、すなわちその基準年次を二十五年、六年にとって現在各種作物は価格決定をいたしておりますが、この基準年次をどこに置くかというような問題につきましては、今後他作物のそれとにらみ合せてあるいは考慮する時期があるかとも考えます。
  51. 山下春江

    ○山下春江君 今西山生産部長お話を聞きますと、今後変えないというそばから、いろいろな諸情勢で変ることがあるというのですから、これは念を押しても何にもならないことになりますが、減反もやむを得ないということで、さきほどの副総裁の御答弁では、百姓は非常に技術が向上して驚異的であった、これはわれわれもうっかりしておった。これは大へんな失言でありまして、農民の耕作日記を見ますと、ほんとうに、涙なくして見られないほどの努力をいたしております。従いまして、今日ではわれわれのような寒冷単作農地帯でも、いわゆる寒波に襲われないという生産方法をすら編み出して、本年等も五月四日の朝など、非常に大きな霜害があったにもかかわらず、桑は全面的にやられたが、タバコはやられなかったというような生産方法にまで進歩いたして参ったのでありますが、そこで、そういう驚異的な生産方法の進歩を加えてくるとは思わなかった、これは見のがしてもよろしゅうございます。従って、たくさんできたからどうしても少し減反しなければならない、これもやむを得ないといたしましても、価格だけは安定していただかないと、生産部長は、安定するために今後変えないという気持のようですが、今の御説明では、諸般の情勢で変るようでございます。ですから、それは変えないということをぴっちり言っておいていただきますれば、諸般の情勢はわれわれも納得せざるを得ないと思っております。
  52. 西山祥二

    西山説明員 ただいま山下先生よりの重ねてのお尋ねでありますが、算定方式そのものについて変える意図は持っておりません。ただ基準年次をどうするということは、他の作物の価格決定の場合と軌を同じくする必要があるのではないかということを申し上げたのであります。
  53. 井手以誠

    井手委員 ちょっと関連して。私からも収納価格についてお尋ねいたします、が三十二年度産の黄色種は幾らになっておりますか。優等から四等ぐらいまででけっこうですから、お教えを願いたい。
  54. 西山祥二

    西山説明員 先ごろ決定の本年産価格につきまして概略申し上げますと、昨年に比較いたしまして、在来種におきましては、一キロ当り三円七十一銭引き上げになっておる。一・六二%に相当いたしております。また黄色種につきましては、昨年に比べまして二円九十六銭の引き上げであり、〇・九六%に相当いたしております。さらにバーレー種につきましては、三円四十九銭の引き上げでありまして、二・一三%に相当いたしております。
  55. 井手以誠

    井手委員 私がお尋ねしておるのは、黄色種の優等から四等まで、等級別の数字を願いたいと思います。
  56. 西山祥二

    西山説明員 黄色種について申し上げますが、優等は五百五十円、一等四百七十円、二等四百十円、三等三百五十円、四等三百円、五等二百四十円であります。
  57. 井手以誠

    井手委員 一番多い黄色種については——これはどんな平均で出たのかしれませんが、〇・九六%の引き上げだとおっしゃいましたが、一番買い上げ数量の多い優等から三等までは、昨年同様の価格である。ところが、昨年は一昨年に比べて、買い上げ数量の一番多い品種の等級が十円ずつ引き下げになっております。ことしもまた若干引き上げたとおっしゃいますけれども、一番買い上げ数量の多い品種と等級については、昨年同様である、こういう結論になる、これは御承認になりますね、そのとおりでしょう。そういたしますと、先刻来各委員が御指摘になっておりますように、値段は下っておる、あるいは据え置きになっておる。ほかの物価は上っておる。副総裁生産部長は、盛んに合理化であるとか、調整であるとか、勘案であるとかおっしゃいましたけれども、この数字を見ますと、ほかの物価は上っておるにもかかわらず、あなたの方は、昨年以来引き下げになっておる。こういう結論になって参るのでありまして、勝手に専買公社方式をとられることは、あなたの方では合理化とお考えになるかもしれませんけれども、世間では合理化とは考えません。あなたの方では、今タバコの耕作農民の一時間当りの労賃をどのくらいの計算になさっておるかしりませんが、私どもの計算では、一時間四円三十銭にしか当らぬのであります。そういうことは、あなたの方では見ておらぬのであります。どれだけタバコの耕作に莫大な労力が要るかお考えになっておるかどうか。あなたの方は、勘案であるとか、合理化であるとかおっしゃいますけれども、この価格というものは、米とかその他のものが上っておるにもかかわらず、昨年以来下っておる。私は、ここにあなたの方の葉たばこ収納価格審議会の答申書を持っておりますが、その答申書によりましても、本年は昨年に比し、パリティ指数が四・六%上昇しておる。従って過去三カ年採用されてきた価格算定方式から、今年は四・六%の価格引き上げが当然行われるものと期待していたにもかかわらず、こういうふうに書いてある。米の値段も上っており、ほかの物価も上っておる。あなたのいつも強調される尿素化成は、従来のままで下っておりません。ほかの生産資材が上っておるときに、昨年下げたままの価格をどうして据え置かれるのか。なるほどあまり数量の多くないものについては、引き上げが行われておるかもしれませんが、一番買い上げ数量の多い品種と等級については、昨年同様である。諮問機関としての収納価格審議会の答申を無視して安くきめられたこと、これについては、何回も副総裁生産部長から御答弁にはなりましたが、どなたも納得はできぬと思う。もっとすっきりと納得できるものをお示しを願いたい。安い品物、先刻来指摘されております繭とか、あるいはカンショとか、そういった安いものに基準を置きかえられる、そういうことでは納得できませんから、耕作者も一般国民も納得できる答弁を願いたいと思います。あなたの方が自分だけで安心なさって、満足なさっているものではいけません。そういうものは納得できません。
  58. 西山祥二

    西山説明員 価格決定につきましては、先ほど申し上げました方式によっておるのでありますが、その種類別の等級の引き上げにつきましては、そのときどきの原料需給の関係も考慮する必要がある。あるいはまた今後できる限り減反を阻止し、輸出を増進するためには、価格面においても相当の考慮を必要とするのであります。しかるに黄色種につきましては、戦後から最近に至りますまで、もっぱらその増産を必要といたしましたので、政策上他種類に比較いたしまして、特に優遇して参ったのでありますが、今日の段階におきましては、すでにその限界に達しております。しかも、今後輸出を考えます場合には、優等以下三等あたりまでの種類につきましては最も割高でありますので、ほとんど従来もその実績がございません。しかもその等級別の生産割合は、地域によって相当の違いがございます。瀬戸内周辺のごときは、最も品質の優秀な産地でありますので、等級が多いのでありますが、全般的に見ますれば、今回値上げをいたしました中位の等級あたりが、各種類を通じて最も生産が多いし、またこのあたりを引き上げすることによって、全般の耕作者のために有利になると考えまして、かような決定をいたした次第であります。
  59. 井手以誠

    井手委員 どなたからいろいろ御質問なさっても、公社答弁は大体同じでございます。私は、ますますこの価格決定には、耕作者意見を代表する機関を設けなければならぬという確信を深めて参りました。昨年から値段が下っておる。こういう大事な収納価格決定を、答申を無視して公社だけでやるようなやり方は、私は認めにくいのであります。農民の犠牲によって輸出を増進するようなお話も、ただいまございました。先刻申し上げましたように、一時間あたりわずかに四円何十銭にしか当らないような、こういうタバコ耕作実情——私はこれ以上価格の問題についてきょうは申し上げませんけれども、今までの質疑を通じて、価格決定は、公社だけにはまかせられないということだけを申し上げて、関連質問を終ります。
  60. 神田大作

    神田(大)小委員 今、井手委員から、この審議会の答申を無視しておるんじゃないかというような質問がありましたが、私もこの点は、この前の委員会において、たばこ専売法の一部改正案を出して、その骨子は、価格というものを専売公社の一方的な考えできめるんじゃ困る、耕作権というものを、これも公社の一方的な考えで、一年限りに作らせるとか作らせないとか、勝手にきめられたんでは困る。あるいは鑑定の問題もそうです。そういうような専売法の一部改正法案を出した。ところが、これは不幸にして流れたのでありますけれども、こういう問題が上ってきたのであるから、今回のこの価格審議会の答申を十分尊重してきめることが世論に即応するものであるから、価格審議会の答申を尊重する意思があるかどうかということを念を押した。これは松隈総裁であったか、舟山総裁であったか知りませんが、この前の委員会では、十分尊重してやりますと答弁しておりましたが、あなたは尊重しておるかどうか、ここで一つ答弁願いたいと思います。
  61. 舟山正吉

    舟山説明員 価格審議は、総裁の諮問機関として、耕作者の意向を十分に拝聴する機会を作る機関でございますから、その御答申は、十分尊重して今度の決定をいたしたものでございます。
  62. 神田大作

    神田(大)小委員 それでは、答申案を私読み上げますから、このどこを尊重したか、一つ指摘してもらいたい。「一、算定方式は、本審議会の主張である生産費方式採用を原則とすること。一、本年産価格に対するパリティ方式適用は、前年通りの算式により指数の上昇率を考慮すること。一、共葉巻による労力増投は、今後継続されるものであるから、これによる生産費増加部分を特に価格の中に織りこむこと。一、種類間の価格均衡を考慮すると共に、原料事情の積極的な打開を図ること。一、納付運搬費の実態に検討を加え、実状に即した引上げを行うこと。一、年を越して収納するものに対しては、越年加算金を支給すること。」これは一応列記されたものでございますけれども、これのどこを尊重しましたか。
  63. 舟山正吉

    舟山説明員 公社が当初審議会に提示いたしました価格引き上げ案は、結論として出ましたものとは違いまして、値上げの度合いも少いものであります。ところが、審議会においていろいろ御注文もありました。その結果が答申案になって出ておりますが、その字句通りこれを採用いたしますことは、公社といたしてはいたしかねるのでございますけれども、その精神も若干入れまして、特に共葉巻を去年から実施いたしまして、去年限り奨励金を出す、これを本年は価格体系に織り込めという御答申でありますが、そういう点も勘案いたしまして、公社当初の価格引き上げ案よりも、その価格引き上げの範囲を広めまして決定した次第でございます。私どもといたしましては、審議会の気持は十分と申しますと、審議会の方からは御異論があるかもしれませんけれども、審議会のお気持は尊重しておるつもりでございます。
  64. 神田大作

    神田(大)小委員 これは、お互いに日本のたこば産業をどうするかというような観点に立ってやるのですから、何も公社側を、いろいろの公社の都合による問題等につきまして故意に追及するわけではないんです。しかし今問題になっておる価格の問題、耕作権の問題とか減産の問題、こういうような基本的な問題については、もっと耕作者代表とひざを交えて、耕作者意見を尊重するようにしなければ、これは専売公社の一方的なやり方でもって貫かれたというような印象を強く持つということと、専売公社に対する不信の念というものも高まってくる。そういう観点に立って、ざっくばらんに一つ答弁をしてもらいたいのですけれども、共葉巻の問題を考慮に入れたというが、これは去年やった。これを価格に入れただけで、一キロ当り一円程度上った。これは去年やった。去年やったことをことしもやるというにすぎない。これを除いては、全然尊重されてない。あなた個人は、それを尊重する気持になっているということは、われわれも考えましょう。そういう答申案を尊重したいというような気持はわれわれも了承しますけれども、実質的には、これは尊重されていないのです。それを尊重しています——この委員会は、何もわれわれがおひゃらかしにやっている委員会じゃない。われわれは、国民の代表として、耕作者の意思を公社に伝えるためにやっているのですから、ただここでもって答弁して、それで通ればいいということじゃない。そういう意味合いにおいて、口だけでそういうことをもてあそばれては困る。まことに遺憾でありましたが、尊重することができなかったと答弁するのが当然であるのに、尊重しています、そういう答弁では、われわれは納得しません。そういう答弁を聞いて、そうですかと引き下るわけにはいかない。その点どうなんですか、正直に言って下さい。
  65. 舟山正吉

    舟山説明員 審議会を設けております以上、その御意見は十分尊重してやっておるつもりであります。
  66. 神田大作

    神田(大)小委員 そういう答弁がありますか。尊重しておるなんて、どこにもないじゃないですか。価格算定方式は変えて安くする、それから種類間の価格の均衡も考慮しない、納付運搬の問題も考えていない。尊重していないのですよ。どこを尊重しているのです。実質的に尊重したいという気持はあるのだが、残念ながら、公社のいろいろの都合によって尊重することができなかった、こういう答弁なら、われわれもまあその答弁答弁として承わっておくけれども、実際尊重していないものを尊重していますと言われて、ああそうですかというわけにはいきませんよ。それははっきり正直に言って下さいよ。困りますから。委員会の権威においても困りますよ。
  67. 舟山正吉

    舟山説明員 たとえば納付運搬費の問題とか、越年加算の問題とかにつきましては、審議会としては、そういうような御要望を出しておられるのであります。それにつきまして、公社といたしましてすぐにこれを採択するといった御返事はしておらぬのでありますけれども、そういうお出しになりました御要望につきましては、公社考え方、それから今すぐにはできない場合には、できないという理由等を十分御説明しておるわけであります。審議会としては、これは納得したとはおっしゃれないと思いますけれども、そういうふうに、私どもは十分尊重して考えておることは考えております。将来におきまして、できることは実行に移していきたいと考えておる次第でございます。
  68. 神田大作

    神田(大)小委員 あなたの答弁は、われわれは根本的に了承しません。特に算定方式を突然変えて、価格を安くするというようなことをやって、それでいて審議会の答申を尊重しておるなんて、そういう強弁をし通すというような不誠意はないと思うのです。だから、あなたたち立場で変えなくてはならぬことがあったので、残念ながら答申は尊重できなかったという答弁ならいざ知らず、こういう算定方式を変えちゃ困るという答申に対して、算定方式を変えて、そうして尊重しておる、そういう話はありませんよ。これは、私は本委員会において詳しくこれを討議することにしますから、一つこの審議会の速記録並びに公社の最初の諮問、答申後におけるところの決定価格、一切の審議会関係の書類を資料として御提出願いたい。それによって再び検討を加えて御質問申し上げたいと思います。
  69. 内藤友明

    内藤委員長 それでは、午前中の会議はこの程度にとどめ、午後一時半まで休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      ————◇—————    午後二時五十五分開議
  70. 内藤友明

    内藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  たばこ耕作組合法案を議題とし、質疑を続行いたします。井手以誠君
  71. 井手以誠

    井手委員 質問の前に、総裁の方から何か発言があるのではございませんか。
  72. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 特別にはございません。
  73. 井手以誠

    井手委員 特別にはないそうでありますが、それでは、私の方から議事進行についてお尋ねをいたします。  きょう私どもの小委員会は、午後一時半に再開することになっておったのでありまして、委員の集会も少しおくれましたが、二時には開会される態勢になっておったのであります。ところが、要望いたしておりました総裁の出席がございませんために、私どもはただいままで一時間ばかりお待ち申し上げておったのであります。実は、一時間近く審議がおくれたのであります。多分私ども総裁をお待ち上げたこの時間に対して総裁から何らかの御発言がありはせぬかと、実は期待をいたしておりました。何の御発言もないようです。そこで私は、この際総裁に所信を承わっておきたいと思うのであります。  先般の大蔵委員会総裁は出席されて、簡単なごあいさつがあったことは承わっておるのであります。しかし、御承知のようにたばこ専売問題については、議員提案を継続審議に付されました。私どもは、お互い非常に忙しい中ではありまするけれども、継続審議に付された本法案について、昨日から暑い中を午前、午後引き続いて審議をいたしております。この重要な法律案、特に專売公社にとりましては、非常に関係の深い法律案と私は心得ておるのであります。そういう重要な法律案の審議に当っては、総裁は進んで本委員会に出席して質問にお答えになる、そういう態勢が、心がまえが、私は望ましいことだと存じておるのであります。専売事業については、従来あまり国会で審議される機会がなかった、私どもいろいろと質問申し上げたいこともあったのでありますけれども機会が少なかったために、いろいろな意見なり希望を申し上げることができなかったのであります。総裁は、最近御就任になっておりますから、詳しいことは御存じない、私はその点は了解いたしております。おいでになったからといって、一々詳細な問題を承わろうとも考えておりません。しかし総裁、特に聞いていただきたいことは、最近——最近ではございません、今まで専売公社に対する国民の声、たばこ耕作者の不満、たばこ小売商の不平、こういったものは、ものすごいものがあるのであります。私は、何回も申し上げた言葉でございますから、繰り返したくはございませんけれども、各地に参りますと、秋口の台風よりも専売風の方がこわいという言葉を、私どもよく耳にいたすのであります。また本法案の審議に当っても、まず今なさねぱならないことは、たばこ耕作組合の法人化よりも、まず専売公社の民主化であるという強い意見を私は超党派的に、自民党の幹部の方からも、社会党の役員の方からも、多くのたばこ耕作者からも承わっておるのであります。午前中にも申し上げましたが、あなたの方のたばこ小売については、ずいぶん最近無理なことをなさっておる。零細な小売人に対して、一カ月半くらいの余裕あるたばこの押しつけをなさっておる。仕方がないので、たばこ屋の娘さんとか、奥さん方が街頭で売られておる。あるいは戸別に訪問されて販売をされておる。零細なる小売商が、十何万円のたばこをしいて売らねばならないという、こういう悲惨な状態を、私は直接に小売商人から泣いて訴えられておるのであります。また耕作者の面から申しますならば、非常にやかましい規格、取締りの上に耕作が続けられておる。ちょっとでも文句を言うならば、もうお前はやめていいじゃないか、来年から耕作せぬでもいい、そういう専売公社の威圧的な態度でありますので、何とも訴えようがないのであります。タバコ耕作者は訴えるところがない、こういう耕作者の状態。こういう点については、総裁はやはり耕作者の声を、地方においでになるおいとまがなければ、国会を通じてお聞きになることが、総裁の心がまえではないかと私は考えております。今日も非常におくれて参られた。あるいは副総裁を出しておる、生産部長を出しておるから差しつかえないじゃないかというお考えがあるかもしれませんけれども、しかしそれでは済みません。私ども耕作者気持、あるいは小売商人の気持を代表して申し上げておるつもりであります。何もあなた方にいろいろとお談義がましいことを申し上げようとは考えておりません。地方の声をそのままここで申し上げたい。そういう方面の声を、進んで出席してお聞きになることが、総裁の務めではないかと考えております。だから、何かあなたのお話が最初にありはせぬかと実は期待をしておりましたけれども、ございませんということでありますので、どうも松隈総裁は、いわゆる官僚的な態度じゃないかという印象を与えられましたが、おそらく国会の審議を御尊重なさるおつもりでございましょうから、国会の審議に対する心がまえ、専売事業に対するあなたの心がまえについて、一つこの際御理解の点をお漏らし願いたいと思います。
  74. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 本日たばこ耕作組合法が審議になる、それについて総裁か副総裁が出るようにということでありましたし、私も前々からのお約束がありましたので、午前は副総裁に出てもらったわけであります。午後は、大体用が済んだらしいという話でありまして、経済企画庁の方の会合がございましたので、それに出ておったような次第で、かけ違いまして出る機会が少かったことにつきましては、おわびを申し上げます。ただいまお述べになりました、国会の審議を尊重すべきである、それから小売人、耕作者意見を現地において、またあるいは国会を通じて聞くべきであるという御意見に対しては、ごもっともでありまして、この点、私も全く同感であります。至らぬ点があるとすれば、今後において大いに努めたいと思っております。
  75. 有馬輝武

    ○有馬(輝)小委員 議事進行。今井手委員の御要望に対する総裁としての御答弁があったわけでありますが、もとより慣例としまして、たとえば所管大臣なり総裁なりがおいでにならないで事を運ぶというようなことも、国会開会中その他においてもあり得ることでありまするし、それをとやかく申し上げるわけじゃありません。しかし今井手委員から申された点について、私は少くとも今回の改正案に対しましては、与野党を問わず、明治三十七年以来の大改正、日露戦争以来の大改正を企図いたしておるのでありますから、それには、やはりそれなりのお心がまえというものがあってしかるべきだろう、このように考えます。  それで、これは要望をいたしておきますが、与党の方の森山議員からも、また内藤委員長からもよくその点をお話しいただきまして、もちろんいろいろ御都合もありますでしょうけれども、事このたばこ耕作組合法並びにそれと相関連するところの専売法の一部改正が出されておる過程におきましては、ぜひ万障繰り合せてこの委員会においでを願う。もちろん副総裁、あるいは西山生産部長榎園さん、みんな真摯にまじめに当を得た答弁をいただいておりますが、やはり今申しましたようなことでありますから、井手委員の要望をとくと御了知いただきたい、このことを重ねてお願いいたしておきます。
  76. 神田大作

    神田(大)小委員 午前中、私は収納価格の問題等につきまして、舟山総裁並びに西山生産部長質問をしたのでございますが、総裁もせっかくおいででございますから、要点だけを御質問申し上げて、総裁のそれに対する考え方一つお聞かせ願いたいと思う。  御存じの通り、過般収納価格審議会を開いて、専売公社の諮問に対しまして答申をされているのでございますが、この前の八月十一日の委員会だか、七月十一日の委員会だか、おそらく両方だと思いますけれども総裁が出られたときも、総裁は確かに答弁されたと思いますが、われわれは、今度のタバコのこの問題等につきまして、非常に専売公社のやり方に非民主的な点があるので、これを改革するために専売法の一部改正法案を出しましたが、不幸にしてこれは流れたのでございます。けれども、その根本は、やはりこの価格を適正にしてもらいたいというのと、耕作権を確立して、公社の一方的な裁断によって耕作者がおびえないようにしてもらいたいというようなことが骨子なんで、価格の問題等につきましても、われわれは八月末にきまるこの価格について、あらかじめ専売法の一部改正法案が流れて、このような民主的な価格決定ができないけれども、今年度は少くともそういう専売法を改正しようというような空気の中に開かれるのであるから、総裁の諮問機関である葉たばこ収納価格審議会の意見を十分尊重すべきであるという意見を申し述べた。これに対しまして、尊重するという答弁があったのでございますけれども、この点について、あなたは尊重しているかどうか、御答弁願いたいと思います。
  77. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 先般葉タバコ収納価格をきめるに当りまして、葉たばこ収納価格審議会を二日間にわたって開きまして、公社考えているところを資料によって詳しく説明申し上げた次第でございます。それに対しまして、御答申があったことも事実であります。その御答申の趣旨も尊重いたしまして、公社原案を固執することなく、公社原案に一部変更を加えて案を確定して、告示した次第であります。
  78. 神田大作

    神田(大)小委員 あなたは尊重されると言われますが、一体それではどこを尊重されたか、御指摘願いたいと思います。
  79. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 問題はパリティ指数に忠実に上げるかどうか、こういう点でありましたけれども公社といたしましては、この前委員会でも方針を説明申し上げたと思うのでありますが、葉タバコ収納価格というものは、パリティ指数根幹とするけれども、他の農産物その他諸般の情勢を考慮に入れて決定したい、こういうことを申し上げました。その点、答申との間に多少の食い違いが生じておったのでありますけれども公社方針は、国会においても申し上げたような方針でありましたので、公社の算定方式に従ったわけであります。ただ問題になりました他の一点といたしましては、在来種バーレーの共葉巻の奨励金キロ当り一円というものがつけてありましたが、これは昨年のお約束で、一年度限り、こういうことでありましたので、これを廃止することは当然だと考えたわけであります。しかしその点が廃止になると、バーレー、それから黄色種につきましては、やはり何といっても、一方において価格の引き上げをある程度行なっておりますけれども、それを相殺して不利な点がある、こういうことも認められましたので、共葉巻奨励金を続行してもらいたいという答申の趣旨をいれまして、一年でやめるという約束であるからやめるけれども、その趣旨を織り込んで、原案を特にバーレーと黄色種について変更を加えるというわけでありますので、大体において、公社は答申の線に極力沿うべく努めたということは、御了承を願いたいと思うわけでございます。
  80. 神田大作

    神田(大)小委員 今度の価格決定根幹は、やはり私がこの前に質問した通り農業パリティ基本としてやるということで、昨年度と変りがないやり方でやっておる、こう思っております。ところが今回は、繭とカンショというような、農作物でいいますれば斜陽農作物、だんだんと値段が下って、生産が落ちてきておるような、こういう農産物の価格を入れて、そうしてことさらに収納価格を低くした、これがやはり今回の価格決定基本です。この基本を論じないで共葉巻の一円、これは去年もやっていたのですから、このキロ当り一円を継続するということは、ほんのささいなことであります。この基本的な価格の点において、去年よりもほんとうはパリティ指数において——私は先ほど申し上げましたが、農業パリティ指数に対しまして、都会と農村との生活のギャップの計数、それから資材の投資の増高の計数、こういうものを入れて、なおかつこれにバック・ペイを添えることが、これが農業パリティ基本的な計算方法でありますけれども、こういうようにいたしますと、たとい農業パリティ基本にいたしましても、収納価格というものは上っていかなければならないのに、それをやらないで、かえって下る計数の原因を持っているところのカンショと繭の価格の計数を入れるというようなことは、基本的に収納価格を下げようとする、そういう意図のもとに行われておったと思うのです。この答申案によりましても、あくまでもわれわれは生産費補償方式を採用してもらいたいというようなことを言っておる。それが基本原則でありますけれども、しかしどうしてもそれができない場合は「本年産価格に対するパリティ方式適用は、前年通りの算式により指数の上昇率を考慮すること。」こうあるのです。これが答申の骨子です。答申の前書きにも、昨年通りにいたしますれば四・六%上ったにもかかわらず、今度はカンショや繭というような低い農産物の計数を入れたために、わずかに〇・九%しか上っておらない、まことに遺憾であると、この文書は書いてある。この基本的問題を考慮しないでいたのでは、私は答申案を尊重したと言えないと思うのでありますけれども、これでもあなたは答申案を尊重したと言うのですか、お尋ね申し上げます。
  81. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 公社といたしましては、一昨年暮れに答申があったと思うのですが、農産物価格対策協議会、この趣旨も取り入れまして、できるだけ葉タバコ収納価格というものは、他の農産物との価格の均衡もはかりつつきめるのが合理的である、かように考えたわけであります。そうした場合において、やはり葉タバコの最も代替性のある繭とか、あるいはカンショというようなものを取り入れることの方がより合理的であると、かように考えましたので、そういう合理性をできるだけ早く持たせたい、こういう趣旨から、パリティ指数に繭とカンショの比率を加味して上昇率を決定するということにいたしたのであります。その点は、葉たばこ収納価格審議会の方々にも十分御説明し、了解納得を得たいということで努力いたしたのでありますが、ただいまおっしゃったような繭、あるいはカンショを入れるということは、作為的であるというような御答申をいただきまして、遺憾ながらそこに意見の食い違いがあったのは事実であります。しかし私どもといたしましては、やはり公社の企業性という立場から、できるだけ合理的な線において収納価格決定を行うべきであるという考えを持っておりましたから、その考えに従った、こういうわけであります。従って、答申を尊重しているか尊重していないかといわれますが、私どもとしては、価格体制を合理化するという大きな目的で進んでいっているのであるから、これは納得できるものである、かように信じておるのであります。
  82. 神田大作

    神田(大)小委員 今の問題は、専売公社側から公社の都合のいい合理化の方式——生産者側からいいますれば、物価というものは相当上っている。何でも買う物が上っている。しかも、パリティも従って上昇しているにもかかわらず、その公平なパリティの上昇率を鈍らせるような、そういう計数を入れていく、それはどうも納得いかぬ。それならば、酪農をやっている乳牛の問題、あるいは果樹園芸の問題、蔬菜の問題とか、そういうものをやはり基本に入れてもらわなければ、これは農産物全体の均衡はとれないと思う。しかもカンショと繭というものは、先ほども申しております通り、これはいろいろの点においても、だんだんと日本の農業においては下り坂になっている農作物でありますから、わざわざそういう下り坂になっている農作物の低い価格を取り入れて、そうして答申案を尊重しておりますといったところで、これは納得できないと私は思うのです。尊重する尊重しないというのは、解釈の相違だと申しますけれども、答申案には、明らかに文字でもってはっきりと書かれているのですから、これの意思に沿っておらなければ、尊重しておらないのでありますから、この点は私は総裁から、まことに遺憾ではありますが、尊重できなかったという答弁なら、話はわかるのでありますけれども、あくまでも尊重するということを言われるならば、われわれはこれを納得するわけにはいかぬ、こう思うのでございますが、いま一つ、その点について忌憚のない御意見を承わりたいと思います。
  83. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 公社価格決定に当ってのねらい、大きな方針ということを、時間をかけてよく説明申し上げたのであります。従って、答申はそういう形で出されたけれども公社の真意は了解していただけておる、かように存じております。
  84. 神田大作

    神田(大)小委員 どうも納得のいかない答弁をされますが、それじゃ、この審議会の委員の人たち気持と、文書に現われた答申案の文字というものは違うとおっしゃるのですか、お尋ねします。
  85. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 表面的には違いますけれども、よく説明を申し上げたので、大体わかっていただけた、かように思っております。
  86. 井手以誠

    井手委員 議事進行について。委員長もお聞きだと思うのですが、総裁は何か勘違いなさっておるのじゃないですか。公社側の意向は十分聞いております。ただ審議会の答申と、あなたの方で決定なさったものと違っておる、尊重されたのではないじゃないか、神田君は、しきりにその点を申し上げておるのであります。だから、あなたの方の答弁もできるだけ親切に、実は尊重したかったのだけれども、こういう事情で尊重できなかったということであれば、承認はしがたいけれども、一応答弁としては了解しよう、そこまで、神田委員はあなた方の立場考え質問申し上げていると思うのです。だから、尊重したか尊重しないか、尊重していないことははっきりしておるはずでございませんか、その辺をはっきりおっしゃったらいかかがでございますか。  公社側の意見はわかりました。あなた方の安くきめようということは、私どもわかりました。その点は承知できませんけれども、あなた方の意思はわかりました。答申は決して尊重されておりません。尊重されたことは、先刻来指摘されておりますように、葉巻たばこの一円の加算金か何か、それだけなんです。ほかは全然答申と異なっておる。専売公社のきめる価格はきわめて残念であり、遺憾であると書いてある。だから、尊重なさったか尊重なさっていないのか、尊重したかったけれども、こういうふうで尊重しなかったが、将来は尊重するというような答弁をやって下さい。それでなければ審議は進みません。委員長もさようにお取り計らいを願いたいと思います。
  87. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 全面的に取り入れてないことは、告示をごらんになればおわかりになると思います。それならば、また全然尊重しなかったかといえば、答申もあったから、公社考え直して直したところがあるということでありまして、尊重しないと言われても困る。それならば、おっしゃる通り全面的にのんだかと言われると、それは、公社の事情をよく説明してあったから、わかってもらったろうから、尊重しない部分もある、こういうふうにお取り願いたいと思います。
  88. 神田大作

    神田(大)小委員 それは、どうもなかなかうまい答弁で、答申の骨子は、パリティ方式によって、前年通りの算式によって種々の価格を出してもらいたいというのが、骨子なんです。その骨子の大部分は尊重されないで、ほんとうの一部分だけ尊重したということでしょう。どうですか。
  89. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 見方によれば、尊重されない部分の方が多いということは言えるかと思います。
  90. 神田大作

    神田(大)小委員 算定方式価格の問題は、三百七十億からの膨大な価格の問題でありますから、これはほかの農産物等の価格体系とも大いに関係があることでございますし、また日本の農業の進展上に照らしても重要な課題でありますから、私はこの問題等につきましては、またあらためて委員会等において御質疑申し上げることにして、先に進みたいと思いますが、総裁の何か奥歯にものをはさんだような答弁は、われわれは納得できない。せっかく作った収納価格審議員会の答申を尊重するかしないかは、やはり今後のわれわれの審議にも大きな影響のあることでございますので、それでまずお尋ね申したわけでございます。  それで、森山議員にお尋ね申し上げますが、きのう井手委員の方から質問がありました、法案の団体協約の点でございますけれども、この点非常に大事でございますので、私もあらためてあなたの御意見を承わりたいと思うのでございます。一体今私が総裁質問したような収納価格決定、あるいはきのうからも問題になっておりました減反に対するそういう協約、こういうものが、この法案にうたっておる団体協約というようなものでは、私はでき得ないと思うのでございますけれども、どうしてでき得ないような、今後タバコ耕作に関する問題で、減反されるということによって耕作権が脅かされるということに対する耕作者の不安、それから価格が一方的にきめられるという耕作者のこれに対する不信、こういうものを解決されないで、私は第一条にうたってあるところのいわゆる耕作者の社会的、経済的地位の向上はできないと思うのでございますけれども、この点あなたはどうお考えになりますか。
  91. 森山欽司

    森山欽司君 たばこ耕作組合法第八条第一項第十一号の「組合員又は会員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結」の意味をここで申し上げてみたいと思います。どういう内容を持っておるか。この事業は、従来の事業のほかに新しく加わったものでありまして、従来の専売法二十五条にはないわけであります。今度のたばこ耕作組合法に初めて入ったものでありまして、一般協同組織の団体立法例にならってこれを挿入したのであります。たとえば組合員葉タバコ生産上必要な肥料、農薬の購入、その他のことについて、組合が代表して他と契約を締結することを認めたものであります。ただし、たばこ専売法上における専売権と申しますか、公権力の実施に関する事項について、公社を相手方とするということは認められてないと考えます。ただし、公社を相手とすると申しましても、公権力の発動と考えられない葉タバコの種子に関する専売法十一条二項の種子の交付に関するようなことは、対象になる、こういう解釈の上に立っておるわけであります。  そこで神田委員からお話がありましたように、収納価格の問題については、それでは一体どうするのか、あるいはまた、いわゆる減反の趨勢についてわれわれはどう考えておるのか、こうおっしゃるのだろうと思います。私どもといたしましては、政府与党一体の立場において、従来の経過から申し上げるといたしますれば、さきの国会に提案されましたたばこ専売法の改正案の中に、価格については収納価格審議会という制度を設ける、この組織、構成等については、従来行われておった耕作者代表のみの葉たばこ収納価格審議会とは組織運営において大いに異なるものであるというふうに私どもは期待をいたしておるわけであります。減反問題については、耕作の基準として、従来なかったことでありますが、前年耕作の経験というものを一項目挿入をいたしまして、これに基くところの下部規定によって、まじめな耕作者公社の一方的意思によって、従来のたばこ耕作をやることができなくなるようなことがないようにしよう、そういうような基本的な考えであったわけであります。これは、神田委員も御承知通りであります。しかし、その後党内においてこの政府案に対していろいろ検討いたしました結果、価格については、収納価格の審議会という考え方でありましたが、さらにこれを拡充をして、価格だけではなく、反別等についても、これとまっ正面に取り組むというような意味において、収納価格審議会というよりは葉たばこ審議会というふうな考え方にさらに範囲を広げていかなければいかぬじゃないかということで、現に修正案が用意されたことも御承知通りであろうと考えております。私どもは、その意味において、減反ということについても、耕作者立場に対してできるだけの配慮をしなければならぬということを考えておりますし、収納価格の点についても、従来のやり方が最善とは申し上げない。新しいやり方があれば、もっとりっぱに耕作者の意思が反映し得るような仕組みを考えなければならぬじゃないかと考えておるわけであります。ただ、神田委員の御質問に関連して申し上げますならば、第八条第一項第十一号の「組合員又は会員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結」ということについて神田委員質問された要旨は、社会党案のように、組合公社とがいわゆる団体交渉をして、その団体交渉ができなければ調停委員会にかけてそれができなければ、最後に大蔵大臣がきめるというような、いわば労働組合が現在やっておるようなやり方をここに持ってこようというお考えがあるのじゃないかと思うわけであります。そういう考えに対しては、私どもは賛成できない。なぜ賛成できないかと申しますと、そういうような労働組合的なやり方で事を処理するということについては、しかもその含みに一種の、言葉はちょっと悪いのでございますが、左翼的な、労農提携というような考え方も含めて言っておられるようでございますので、私どもは、そういうやり方でなくして事を処理して参りたいという考えでございます。もしそういうやり方で事を処理するといたしましても、少くともそういうことをするならば、現在農産物価の大宗をなしておる米価について、果してそういうやり方がされておるかどうか、米価にすらできないことをタバコに持ってくるということについては、いろいろ問題がある。農産物の価格、特に川がその決定関係した農産物の価格のきめ方全般について、根本的に考え直して、そういうやり方でもするというならば、また考えてもいい。しかし、そういう場合にも、こういう労働組合的なやり方が果していかがか、労農提携的な意図が隠されておるというふうに言われるが、そういう点はいかがか、そんな点を私どもは検討して参らなければならぬと考えておるわけでございます。神田委員は、そういうやり方をすれば、この規定が初めて生きてくるが、そういうやり方をしなければ、この規定が一体生きるかとおっしゃるかもしれない。しかし生きるということは、先ほど八条一項第十一号についての解釈を統一して申し上げました。そういうことで御了承を願いたいと思います。
  92. 神田大作

    神田(大)小委員 だいぶうんちくのある御答弁をされました。ついでに社会党案に対する御批判等もいただいたわけでありますが、私が森山議員にお尋ねしたいのは、いわゆる農産物価格というものは、あなたも農村から出ておられるのでおわかりでしょうけれども、すべて米価にいたしましても、あるいはカンショにいたしましても、いろいろの農産物が一方的にきめられておる。特にタバコのごときは、いわゆる総裁の諮問機関であるところの、たばこ収納価格審議会というものがありますけれども、これは今総裁に私が質問した通り総裁の諮問機関であって、今度の場合なんか、一キロ当り一円上った。これは共葉巻の費用を価格に織り込んだということ、これは去年もやったんですけれども、何か答申案を全然無視するわけにいかぬものだから、ずいぶん苦労して作ったようにわれわれは考える。こういうことでお茶を濁しておりますが、基本的には、一つも尊重していない。そうすると、結局は農民の意思が全然反映されないままにおいて、価格というものが決定されておる。これは、タバコばかりではありません。もちろん米の場合も言えます。カンショの場合、繭の場合も言えます。しかしながら、特にタバコのことを申すのは、タバコというのは非常に強制的な専売品で、米の場合よりもっと統制力を特っておる。作るも作らぬも専売公社の御上意に従わなければならぬ。一枚の葉っぱでも、これを自分で吸ったり、ほかに売ったりすると罰金、懲役というようになって、非常に統制品としての最たるものです。こういう専売品こそ、農民納得のいく価格でもって、また農民公社と対等の立場に立って交渉するよう一な、そういう形でもって価格というものがきめられなければ、これは必ず農民の意思というものは尊重されない。さっき言ったように、尊重する尊重すると言って一つも尊重されない。これはさっき総裁が言った通り、品で尊重すると言って一つも尊重しないでも、世間が通ってしまう。そういうことをわれわれは許せない。そういう観点に立って、農産物価格を少しずつでも農家の意思を反映できるというようなきめ方をしてもらいたいというのが、われわれの考え方です。たださっき言ったように、われわれがいわゆる団体協約を結ぶとか、あるいは労働組合的なやり方をするかどうか。これは有馬君が専門家だから、有馬君が今言いましょうから私は申し上げませんが、そういう観点に立ったとき、あなた方が八条の十一に載せた協約が何らそれに対して拘束力がないのでは、空文にひとしいじゃないか、そう言うんです。
  93. 有馬輝武

    ○有馬(輝)小委員 私は端的にお伺いいたします。あすまた、昭和三十三年度の予算編成に対する基本方針もきまりかけておるときでありまするから、そういった観点から総裁にお伺いいたしたいと考えておりますが、今の問題に戻りまして、お伺いいたしたいと思うのであります。問題は、昨日井手委員からも御質問がありまして、耕作者の場立を擁護するためには、この耕作組合法専売法の一部改正というものでもって、中身を盛り込む予定であるという森山議員からの御答弁がありました。問題は、その中身にどのようの形が盛り込まれるかということが、神田君から質問が出た要点であろうと思います。それに対しまして、社会党的な形でのものは考えてないがというようなことで、お含みのあるような御答弁なんで、いま少し内容について明瞭にしていただきたい。昨日の耕作権の問題については、西山さんからも御答弁がありまして、今一年ごとの更新というようなことを変える考え方はないということでありましたし、またそれについて森山さんからも、それを打ち消すような発言はございませんでしたので、大体今度の与党並びに政府が出されるところの専売法の一部改正法案においても、そういった立場で進められるのであろうことは明瞭になりました。問題は、今の価格の問題でありますが、これについて、政府提案にあったような形での価格審議会というものを考慮しておられるのか。その後の情勢において、いま一歩進んだ形で、学識経験者だけではなくして、耕作者の代表も加えるような考え方があるのかどうか、この点についてこの際お伺いいたしておきたいと存じます。
  94. 森山欽司

    森山欽司君 まず神田委員の御質問にお答えいたしますが、せっかく組合法の八条一項十一号に、経済的地域改善のためにする団体協約の締結というものを認められておっても、価格決定する際に、団体交渉でこれをやる、それができなければ調停委員会にかけるというようなやり方でやらなければその実が入らないのじゃないか、こうおっしゃるわけです。われわれは違った方法でこれを実現していくようにいたしたい、こういうことを御回答申し上げたわけです。ただ少くもこの法案に関する限り、神田委員のようなお考え専売法が改正された際にも、この法律はそれを受け入れるだけの態勢はできている、こういうことだけは御記憶を願いたい。ただ、これは規定はあるけれども、空文じゃないか、そうお考え願わないで、昨日申し上げましたように、井手委員の言われたような、とにかく現在考えられるようないろいろな問題について、対処できるような形になっておるのだということで、社会党の諸君もわれわれの意のあるところを御了解願えれば幸いであると考えるわけでございます。  それから第二番目の、あなたの方の御質疑につきまして申し上げるならば、価格決定の機構については、先ほど申上げました通り収納価格審議会という構想であったわけです。その収納価格審議会は、価格中心にして、その他の事項も付随的に審議ができるというふうなことになっておったわけです。党内において最終的な結論は得てはおりませんでしたけれども、ともかく委員十名のうち、少くも半数程度は耕作者の代表を入れなければならない、そういう考えであったわけであります。これは明文上の問題ではなくして、党内において、これらの問題についてそういうことが強く議論されておったわけであります。ところで減反問題が出ました。タバコ耕作についての重要問題は、価格だけではない。価格以外に当面反別もある、あるいはその他の問題もあるかもしれない。そういうことになれば、同じようなウエートを置いて、そういうことについて審議をし、耕作者考え、しかも公正な考えというものが正しく強く反映される組織にしなければならないということで、収納価格審議会というような狭い表現ではなくて、すなわち収納価格だけを取り扱うのでなく、葉たばこ審議会というふうに大きく広げる。そして価格以外に反別その他の重要事項を審議できるという体制にする。審議会の委員については、半数近い耕作者がその中におる。もちろん葉タバコ耕作といえども、国民経済の中の重要な一部門でございますので、タバコ耕作者だけでなくて、それ以外の学識経験者の人たち意見も十分取り入れて、そこで十分融合しそしゃくされた形において審議会の意見の答申が出されていく。そういうことになりますれば、専売公社の今までの、耕作者だけがきわめて短期間に、言葉は悪いですが、いわば一種の思いつき的に出された傾向もある。そういうような答申案とは違って、答申案自体もっと権威が出てくる。同時に専売公社といえども、今までのような甘い態度でもってこれに臨むことは許されない。またそういうことが許されないように私どもはしていかなければならぬ。そういうことで、現在の価格その他反別についての耕作者立場というものを配慮するという考え方が現在までの、要するにさきの国会の終了当時までの情勢であったわけでございます。その後あの法案が一応流れるということになりまして、修正案自体も流れたわけであります。その後関係者の中において、十分検討を進めておるということであるわけであります。従って私どもは、反別の問題にしても、価格の問題にしても、耕作者立場に対してできるだけ配慮をはかるということを、たばこ専売法の上において実現して参りたい、そういうことでございます。
  95. 有馬輝武

    ○有馬(輝)小委員 私お尋ねしたかったのは、業たばこ審議会、名称は何でもけっこうでございますが、そういった形において、耕作権の問題はともかくとして、価格については耕作者意見を入れるという形を考慮しておられるということで、前回法文として出されたものよりも前進しておりますので、その点、森山議員初め、提案者の方々の御努力に対して心から敬意を表するのであります。ただ問題は、これは後日の問題になりますけれども、米価審議会にいたしましても——先ほど言及がありましたので、これを例に引いて恐縮ですが、問題はその運営にあります。内藤委員長などよく御承知なんですが、米価審議会の意見をいまだかつて尊重したことがないのが歴代の内閣でありまして、そこら辺は運営のいかんにあると思いますが、ともかく耕作者の代表を入れて、そしてこの問題について審議する形態というものを作り上げていく、この点については、私は大きな前進だろうと考えております。  それで、あと問題は鑑定の問題、あるいは再鑑定の問題がありますし、いろいろありますが、その点については、神田委員の御質問あとでいろいろお伺いしたい、このように考えます。
  96. 神田大作

    神田(大)小委員 今の森山議員の答弁のうち、非常に大事な点があるから、一つ質問したいと思いますが、あなたは、この条文の第八条の十一は、今は空文だろうけれども、将来は何とかできるというように申されたのでありますが、これは、追って私が逐次御質問申し上げると出てくると思うのですが、このたばこ耕作組合法一つの入れものだ、なるほどりっぱな入れものを作ることもいいが、しかしこの中に何が入るのかわからない。会津塗りの朱塗りの金まき絵の入れものを作っても、そこへきたないものが入っていたのではどうも格好がつかないし、もち菓子が入るのか、駄菓子が入るのかわからないで、りっぱな入れものを作ろうとしても無理な話です。この前の通常国会のときに、われわれは入れものを作る前に、入れるものをきめなくちゃならぬというので、専売法の一部改正法案を出したのです。そうしていわゆる耕作権を確立しなければだめだ、価格農民の意思に沿ったような、意思を十分反映できるような専売法の改正をしなければだめだ、こういうふうに主張したのでありまして、あなたはだいぶ耕作者のためになるなると言いながら、そういう法案に対しては、どうもあまり熱心ではなくて、入れものだけ作るのに、金まき絵の入れものを作ろうというので、だいぶ熱心なようでございますけれども、これは少し矛盾しているのではなかろうかと思う。それで、やがていろいろと専売法の改正があれば生きるというようなことでございますけれども、この法案を見ますと、すべて公社の監督を受け、いろいろの点において制肘を受ける。現在においては、特に耕作権の問題についても、専売公社の御指示通り価格の点につきましても、先ほど総裁が言ったように、尊重するというようなことを口で言っていながら、実際は一つも尊重していない、しかも、尊重できなかったと正直に言って下さればよかったのに、それも言わないで、尊重していると強硬に突っぱっているという状態で、果して耕作者の意思が反映できるような受入れ態勢がこの法案でできますか。この法案は、あらゆる面が専売公社の制肘を受けているのです。それで、りっぱな入れものであるということを自負するだけの法案ではないと私は思うのでございますが、その点いかがです。
  97. 森山欽司

    森山欽司君 この八条一項第十一号の規定が空文だというふうに私が言ったと申しますが、決して私はそういうことは申さないのであります。八条一項第十一号についての解釈は、先ほど申し上げました通り、たとえば組合員葉タバコ生産上必要な肥料、農薬の購入その他のことについて、組合が代表して他と契約することを認める、こういう大きな仕事もあるわけです。但し対公社関係においては、専売権、あるいは抽象的に申せば公権力、そういうものの発動の対象となる事項は相手にならぬ、同じ専売公社のことであっても、たばこ専売法の第十一条二項に種子の交付というのがあります。こういうものは、専売権の発動とか公権力の発動とかいうことでないから、これは公社を相手にして団体協約を締結することももちろんできる、その他の問題になって参りますと、これはたばこ専売法上の規定によるべきことであるということであります。現在この小委員会において審議をしておる重点は、目下継続審議になっておるたばこ耕作組合法のことが中心であります。従って、たばこ耕作組合法立場で一応ものを申し上げておる。そこで、神田委員が、これは空文であるというようなとこを私が是認したようにお考えになるのは、社会党がお考えになっておられる価格決定の際の団体交渉、調停委員会等のやり方にしても、そういうやり方をかりにとるにしても、このたばこ耕作組合法で十分割り切っていけるじゃないかということを申し上げたにすぎないのであって、神田委員のお考えに、社会党が具体的に提案されたやり方に、目下私どもは賛意を表しかねるという点だけは、この機会に申し上げておかなければならぬ。  それから、お前は組合法を作るのにばかり熱心で、専売法を作るのにはあまり熱心でないとおっしゃるのですが、これも何回か繰り返したように、たばこ耕作組合法が継続審議になっておる。専売法の改正案については、参議院においてさきの国会で審議されて、政府案も社会党案もともに審議未了で流れてしまったのです。今のところないのです。だから、私どもは審議のしようがない。でございますから、たばこ専売法関係のことについて話がございますれば、現段階において私が話をし得ることは、政府与党の一員としましては、さきに、提出された政府案、その後私どもの間で策案した修正案についてお答え申し上げるほかはないのであって、その後いろいろ研究はいたしておるのでありますが、目下の段階において、それについて話をするような状況に立ち至っていないのです。私の立場もあるわけでございますから、その辺のところは十分御了承願いたいと思うわけでございます。  もう一つ申し忘れましたが大へんたばこ耕作組合法が制約が多いというお話であります。どこが制約が多いのかよくわからない。もし制約が多いといたしますならば、たとえば第三条にある組合の地域というような問題が、公社が定める地域になっておるというような点が、どうも一方的に公社組合の地域をきめるのはけしからんじゃないかという御意見がある。しかし、公社の定める地域というようなことを規定いたしたことについては、昨日申し上げました通り、最初は特に単位組合について、支所の単位を中心にして考えるのだということでありましたが、支所に関するところの規定は、日本専売公社法に基く施行規則、その施行規則のさらに下部の総裁選というものできまっておるのであります。でありますから、総裁達が変りますと、また一々総裁選の段階において支所という言葉が使われているわけでありますので、そういう、法律から言うとさらに下の段階で定められているところの概念を法律の上に持ってきた場合に、これはちょっと格好がつかぬではないかという法制局側の立法技術の問題で、こういうような規定にいたしたわけでございます。他にいい表現があれば、またいいやり方があれば、それは私どもは改むるにやぶさかではない。  それから監督権の問題にいたしますと、他のこの種共同組織に関する監督権と何ら差がないのです。差がないというと、きわめて大ざっぱな言い方でありますが、具体的に話がありますならば、監督権に関する規定については、他の共同組織にはこうこうなっておる、専売についてはこうなっておる、ちっともおかしくないじゃないかということを具体的に申し上げられますから、もし具体的に、そういうことで公社の監督権が強過ぎるという点等についてお気づきの点がございましたら、一々個条ごとに御説明申し上げる用意ができております。
  98. 神田大作

    神田(大)小委員 ものを決定する場合に、対等の立場に立って、だれにも制約されないという立場に立つことが一番大切だと思うのです。そういう意味合いにおきまして、私は価格決定する場合、あるいは耕作権を決定する場合においては、組合がだれにも遠慮をすることなく、後難をおそれることなしに話し合いをするということが基本だと思うのです。私は、そういう基本的観点に立って、果してこの耕作組合法が、専売公社と対等の立場に立って現在ものが言えるか、これはきのうから言っておりますが、いろいろ具体的の問題を持ってきますとありますよ。たとえばきのう私が話したように、地域の問題をあなたが言いましたから言いますけれども、今度専売公社の御指示によりまして、今までの旧町村単位の耕作組合を、支所あるいは出張所単位にしよう、こういうのが公社さんの意向だというので、組合に話した。組合の人は、何も今さらおれの組合を合併しなくってもやっていけるのだから、そんなものはやる必要はないというので、一たん総会でもって合併するということに対しては否決した。ところがたまたまそこの専売所の方々が、どうもお前のところのタバコはことしはよくないな、専売所の話も聞かないようだから、どうもよくできないというようなことで、ずっと回って歩いたものだから、耕作者は、どうも合併しないといって反対したものだから、そうやらないと安く買われる、しようがないから合併しようじゃないかというので、再び総会を用いて合併をした。合併したところが、今度はまた専売所のお役人さんが回ってきて、やあ、だいぶタバコがよくなったな、ことしは高く売れる。(「ほんとうのようだな」と呼ぶ者あり)これはほんとうです。そういうような一つの権限を持っている者を相手にしてやる場合においては、いわゆる団体協約というようなものが生きるか、私は決して生きないと思う。それを生かすためには、やはり専売法の改正をして、もっと耕作者が対等の立場でもって話し合えるように、価格の点も対等の立場において話し合いができるように、そういうようにしてからでないと、この組合というものは生きないのです。だから私は、あなたは組合は入れ物だと言いますけれども、入れ物の前に、鬼が入るのだか、じゃが入るのだか、それともおいしいお菓子が入るのだかわからない、あけてみたらヘビが飛び出してきた、あるいは鬼が出てきた。そういう入れ物を作るなら、入れるものをまず吟味すべきだろう。そこが私はこの法案の基本だと思う。ところが入れ物だけを作って、うまいものが入るのだ、うまいものが入るのだ——これは今までうまいものではない。おそろしいものだ。おそろしいものが入るのだから、われわれだって、ああそうですが、森山先生の言うように、そんなおいしいものが入るのですか、そうですかといって受け入れるわけにはいかない。その前に、入れるものをまず吟味してやっていく、私はそういう基本的な考え方ですから、黙ってお聞きなさい。  それで第三条の地域の問題は、私は異論がある。さっき言ったように、何も専売公社が定める必要はない。その次に「同一の区域を地区とする組合は、一個とする。」とありますが、団体協約の問題はあとでまたやります。この問題は、私は、同一の区域に何も一個と限る必要はないと思うのでございますが、この点を、どういう意味だか御説明願います。
  99. 森山欽司

    森山欽司君 同一の地区内に同種の組合ができるということは、組合員が錯綜混在することになって、組合の組織基盤が非常に弱くなる。組合の負担等から見ても、決して有利ではない。これはもう今までのいろいろな例でわかるわけであります。公社としての立場から申しましても、これは専売作物ですから、技術指導、生産指導等が相当あるわけです。そういうものが徹底し得る態勢ということも、私どもはやはりある程度は配慮してやらなければならぬ。事業の指示、事務執行、そういうような点の便宜も考えてやらなければならぬ。そういう特殊の性格を持っている点も、私どもは否定できないと思うわけであります。そういういずれの点から見ましても、地域の重複を認めることになりますと、非能率、不経済となることは明らかでありますから、地区内は一組合であるという考え方が、私は望ましいと思います。またそういうことで、今までは問題はあまり出ておらないわけでございます。そういう考えであります。
  100. 神田大作

    神田(大)小委員 森山さんの御説明はわかります。それはそういうことがいいでしょう。しかしながら、ここの法文に明記するということが民主的なやり方であるかどうか。たとえば、茨城県の真壁地区は一つ組合だというようにきめる。一つ組合であることは望ましいことであることは、私どもわかります。しかしながら、法文として一つだときめることは、民主的ではない。これは天下り的でもって、何か、やはり専売公社一つでなくては都合が悪いから一つにするとか、あるいはその組合がわがまま勝手なことをやっても、ほかの組合を作るわけにいかなくても一つにする、こういうのは、私はほかの方の組合等においても、こういう規定はあるかどうかわからないが、まあ大がいないのではなかろうかと思う。この点は、あなたの考え方は、そういう一つ組合が好ましいことはわかりますけれども、法文の中にこれを入れるということに対しましては、私は納得できないのでありますけれども、その点、いかがでありますか。
  101. 森山欽司

    森山欽司君 神田委員お話しの通り、そういう地域の重複がないということが望ましいと言われたわけであります。望ましいことを、もし起り得る混乱を予想いたしまして——また混乱が起きては困るわけでありますので、そういうことを民主的に国会できめたい、議会の手続を経て民主的にきめたいということでありますから、(「名答弁」と呼ぶ者あり)民主主義の精神に沿っておると考えます。
  102. 神田大作

    神田(大)小委員 それは、だいぶ名答弁というお声がございますが、これを国会できめることが民主的だというのですけれども、これは耕作者の自主的な組合なのです。われわれが組合を作るわけではない、耕作者が作るのです。その耕作者が作る場合に、耕作者がここの地区は一つがいいなあといえば一つになる、どうも一つではだめだ、二つにしようという場合が起るかもしれないけれども、そのとき二つできないように、みんなが一つにしようということにすることによって組合というものがよくなってくる、初めから一つにしようという規定はない、それは民主的じゃありません、いかがです。それはだいぶ見解が相違すると思います。
  103. 森山欽司

    森山欽司君 神田委員が申されました通り、望ましいということは一応お認めになっている。従って、望ましいことを規定して、望ましからざる事態を防ぐ、それを民主的に国会の議決を得てきめるということは、どこが非民主的か理解に苦しむ、望ましくないことが内容ならわかります。
  104. 有馬輝武

    ○有馬(輝)小委員 議事進行について。あす総裁に、予算との関連の中で、販売数量その他の問題についてお伺いいたしたいと存じますので、大蔵省関係から、僕は地位は問いませんが、少くとも、三十三年度予算編成について責任を持ってお答えをいただく方に出席していただきたい、このことを要望いたします。
  105. 内藤友明

    内藤委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明六日午前十時より開会することにいたします。  これにて散会いたします。    午後四時三分散会