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1957-05-21 第26回国会 衆議院 大蔵委員会 第41号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月二十一日(火曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 山本 幸一君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 平岡忠次郎君 理事 横錢 重吉君       淺香 忠雄君    生田 宏一君       大平 正芳君    奧村又十郎君       吉川 久衛君    杉浦 武雄君       内藤 友明君    永山 忠則君       古川 丈吉君    坊  秀男君       前田房之助君    山本 勝市君       石村 英雄君    久保田鶴松君       竹谷源太郎君    横山 利秋君  委員外出席者         大蔵政務次官  足立 篤郎君         大蔵事務官         (大臣官房長) 石原 周夫君         大蔵事務官         (大臣官房会計         課長)     崎谷 武男君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      山下 武利君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第一課長)  天野 四郎君         大蔵事務官         (国税庁調査査         察部長)    中西 泰男君         大蔵事務官         (国税庁調査査         察部調査課長) 松井 静郎君         通商産業事務官         (通商局輸入第         一課長)    加藤 悌次君         通商産業事務官         (繊維局繊政課         長)      佐々木彰一君         参考人(元陸軍         兵器行政本部         長)      菅  晴次君         参  考  人         (元東京第一陸         軍造兵廠長)  小林 軍次君         参  考  人         (元東京第一陸         軍造兵廠会計課         調度係長)   宮永 三郎君         参  考  人         (元引揚援護局         整理課長)   松浦  清君         参  考  人         (株式会社白雲         閣代表取締役) 佐古田 績君         参  考  人         (株式会社白雲         閣取締役)   白井 実雄君     ――――――――――――― 五月十九日  委員大倉三郎君、正力松太郎君、永山忠則君、  森山欽司君及び山下春江辞任につき、その補  欠として久野忠治君、山村新治郎君、田中角榮  君、山手滿男君及び川島正次郎君が議長指名  で委員に選任された。 同月二十一日  委員遠藤三郎君及び田中角榮辞任につき、そ  の補欠として永山忠則君及び生田宏一君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員生田宏一君及び永山忠則辞任につき、そ  の補欠として田中角榮君及び遠藤三郎君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十八日  一、預金保障基金法案内閣提出第一五〇号)  二、金融機関経営保全等のための特別措置に   関する法律案内閣提出第一五一号)  三、物品税法を廃止する法律案春日一幸君外   十二名提出衆法第一一号)  四、酒税法の一部を改正する法律案平岡忠次   郎君外十二名提出衆法第一二号)  五、補助金等に係る予算執行適正化に関す   る法律の一部を改正する法律案石田宥全君   外四名提出衆法第三五号)  六、社会福祉事業等施設に関する措置法案(   参議院提出参法第二号)  七、租税特別措置法の一部を改正する法律案(   平岡忠次郎君外十三名提出衆法第四六号)  八、財政法の一部を改正する法律案内閣提出、   第二十四回国会閣法第一五八号)  九、国家公務員のための国設宿舎に関する法律   の一部を改正する法律案内閣提出、第二十   四回国会閣法第一五九号)  一〇、会計法の一部を改正する法律案内閣提   出、第二十四回国会閣法第一六九号、第二十   四回国会参議院送付)  一一、外資に関する法律の一部を改正する法律   案(春日一幸君外十二名提出、第二十四回国   会衆法第一七号)  一二、銀行法の一部を改正する法律案春日一   幸君外十二名提出、第二十四回国会衆法第一   八号)  一三、税制に関する件  一四、金融に関する件  一五、外国為替に関する件  一六、国有財産に関する件  一七、専売事業に関する件  一八、印刷事業に関する件  一九、造幣事業に関する件  二〇、補助金等に係る予算執行適正化に関   する件 同月十九日  一、たばこ耕作組合法案竹山祐太郎君外四十   名提出衆法第三四号) の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国有財産に関する件  外国為替に関する件     ―――――――――――――
  2. 山本委員長(山本幸一)

    山本委員長 これより会議を開きます。  国有財産に関する件について、永山委員より発言を求められておりますので、これを許します。永山忠則君。
  3. 永山委員(永山忠則)

    永山委員 社会福祉事業等施設に関する措置法案継続審議になったのでございますが、この法案に関しまして、質問を申し上げたいと思うのでございます。  社会福祉法人または更生保護会が、生活保護法社会福祉事業法等の国の定むる法律によりまして、都道府県知事市町村長または保護観察所長委託を受けまして、多数の養老院授産場養護施設母子寮保育所等が国の土地建物を借りまして、公けの責任に属する社会福祉事業及び更生保護事業経営いたしておるのでございますが、その建物及び土地賃貸料は、当然公けの負担に帰すべきものであると存ずるのでございます。この意味におきまして、本法案議員立法として各派共同提案参議院から本委員会に回されたのでございますが、仄聞するところによりますと、大蔵当局は、無償でこれを貸し付けるということに対しては、火災保険義務つきの問題、その他これが管理維持の点から見て非常に難色があるやに聞き及んでおるのであります。これらの点を勘案いたしまして、まだ論議は尽されておりませんけれども国会側の方におきまして、土地はこれを無償で貸し付ける、建物はこれを無償譲与するというような工合に修正をいたして、本委員会並びに国会を通過いたさせたいと存じております。その場合におきましては、政府当局は、この院議を尊重されるということに対するお考えを承わりたいのでございます。
  4. 足立説明員(足立篤郎)

    足立説明員 お答えいたします。申すまでもなく、国有財産無償貸付ということにつきましては、現行法におきましては、国有財産無償貸付行なつでおりまするのは、地方公共団体が公園とか道路とかいうようなきわめて公共性の強い施設の用に供する場合に限られておるのでございます。従いまして、本法案に示されておりますような、社会福祉事業と一口に申しましても、いろいろな場合があるのでございまして、たとえば国有財産のあるところにある法人と、そういう利益が得られない法人というようなもの、その間に生ずる不公平というような点も考慮されるのでございます。なおまた、こうした社会福祉事業の健全な運営をはかる見地から、政府といたしましても、できるだけの助成策を従来とっておるわけでございますが、建前としては、御承知通り、五割以内の減額譲渡であるとか、あるいは貸付という規定になっておるわけでございます。従って、本来ならば同じベースの上に立って経営健全化をはかっていただくのが建前であるのでございまして、先ほど申し上げたように、でこぼこの扱いになり不公平な扱いになることは、本来の姿ではないというふうに考えておるわけでございます。  なお、国有財産につきましては、その管理の適正を期するために、ただいま永山委員の御質問の中にもございました通り管理責任を明確にする必要があるのでございまして、無償で貸し付けるという特別な管理方式をとる場合につきましては、ややもいたしますと、その修繕義務とか、あるいは火災保険付保義務などが誠実に履行されないきらいがございます。しかしこれは、前段に申し上げたような特殊なきわめて公共性の強い施設の場合を除きましては、好ましくないものであると大蔵省としては考えておる次第でございます。しかしながら、本法案に盛られております御趣旨は、私どももよく理解ができるわけでございますし、なおまた永山委員のただいまの御質問趣旨等につきましてもよくわかりますので、この法案の今後の審議の進展に伴いまして、ただいま御指摘のような国会の御意思が御決定になるような場合につきましては、私どもも十分これを尊重いたしたい。また私どもとしても、御意思決定のあります間におきましても、さらに合理的な運営をはかるような研究を進めまして、御期待に沿うように努力いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  5. 永山委員(永山忠則)

    永山委員 この事業は、国が当然やるべきものを委託を受けてやっているのでございまして、従って、これらのものは公けの負担に帰すべきものであると考えるのでございますが、今日この事業に携わっておりますところのお方は、実は九千円のベースで、本年はわずかに〇・六二のペース・アップを受けたままでございまして、この恵まれざる給与にて重大なる国家委-任事業に全く専念をいたしておるのでございます。しかもこの賃貸料は、予算的措置ができていない上に、修繕費はわずかに坪三百円というような費用でございますので、一時は事業措置費賃貸料をまかなったりしておったのでございます。しかし、この事業措置費を使うこともできないという強い規定になりましたので、やむを得ず、あるいは募金を流用いたしましたり、その他の寄付をお願いしたり、県当局の応援を得たりいたしまして、建物維持管理を続けている現状でございます。この気の毒な弱き人々更正事業に日夜ほんとうに懸命なる努力を続けておりまする、尊敬すべき職員外皆様のこの真摯なる姿を見ましたときにおいて、われわれ何としてもこの法案を通過せしめねばならぬ、法案に盛られたところの趣旨を生かしてやらねばならぬという義憤に燃えているような次第でございますので、実情をよく御検討いただきまして、ただいまの御答弁のように、当局国会側と一体になりまして法案通過に万全を期するように要望をいたしまして、私の質問を終りたいと思うのでございます。
  6. 山本委員長(山本幸一)

    山本委員長 引き続いて、国有財産に関する調査を進めたいと思います。  まず参考人招致の件についてお諮りを申し上げます。ききに国有財産に関する件について、去る十八日の委員会参考人出頭を求めて意見を聴取することに決定をいたしておったのでございますが、都合によってその日に聴取することができませんでしたので、本日の委員会に、あらためてお手元に配付いたしました通り方々から参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山本委員長(山本幸一)

    山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なおこの際私から御報告いたしますが、お手元に配付いたしておりまする一番末尾の二人の方は、前回においでを願いました方々に追加して御意見を伺うことにいたしておりますので、その点・お含みおき願いたいと思います。  本日は、御承知通り白雲閣買い戻し申請の問題について、ただいまお諮りいたしました方々参考人として出席を願ったわけであります。参考人方々には、大へんお忙しいところをありがとうございました。  質疑の通告がございますので、これを許します。古川丈吉君。
  8. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 参考人の菅さん、小林さん、宮永さん、松浦さんに伺いますが、ただいま委員長からお話しのありました白雲閣政府買い上げのことに関して、御承知であるかどうか、お伺いいたします。
  9. 菅参考人(菅晴次)

    菅参考人 承知しております。
  10. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 そうしたら伺いますが、その当時売買関係は、所管はどういうことになっておりましたか、どなたからでもけっこうですが、役所の方と軍の系統を一つ伺いたいと思います。
  11. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 当時私は、お役所の組織からいきますと、会計課調度係長を命ぜられて調弁業務に従事しておりました。白雲閣買収は、昭和十九年の二月に実施しております。
  12. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 その当時の小林さんはどういう関係でありましたか。
  13. 菅参考人(菅晴次)

    菅参考人 私からちょっと。その当時、私は買い上げるときは兵器行政本部総務部長をいたしておりました。そのあとで本部長をしております。その下に東京第一造兵廠というものがありまして、その造兵廠長杉浦辰雄という中将でありました。そのときに第一造兵廠契約担任官をしておりましたのが、会計課長鷲尾という主計大佐でございました。それからこの勤労厚生関係のそういう仕事に関係しておったのが、庶務課長小久保大佐です。この三人が当面の折衝をした人でございます。遺憾ながらその当時第一造兵廠長杉浦という中将は、脳溢血をやりまして、生きてはおりますけれども、もう今頭がだめでございます。その後任者がここにおられる参考人小林軍次少将でございます。それから契約担任官であった会計課長鷲尾という主計大佐はもう死んでおります。それから動労厚生関係の担当でありました庶務課長小久保大佐です。これも死にましておりません。そこで直接その買収に当りました参考人として、最もその衝に当った人は、今申し上げました宮永君であります。
  14. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 本日参考人に見えておられませんが、この問題について意見大蔵省の方に出しておられる方、またその後現在非現業共済組合連合会課長をしておられる松浦利治郎という方がおられるのでありますが、その方は、この白雲閣買い上げ当時の買い上げ行為そのもの関係があったのかなかったのか、お伺いをしておきたい。
  15. 松浦参考人(松浦清)

    松浦参考人 これは、当時陸軍共済組合に関する業務松浦利治郎氏が担当いたしておりまして、病院買い上げ等につきましては、全般の計画的事業をやっておったように思います。
  16. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 売買交渉などに直接関係されたかどうかということは、さんが係長をしておられましたから一番よくおわかりだと思いますが、利治郎さん自身がこの売買交渉関係せられたかどうかということを伺いたい。
  17. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 松浦利治郎氏は、兵器本部統轄機関におった人でありまして、この買収の実際業務は、第一線部隊でありました、当時の私の方の鷲尾会計課長契約担任官であって、その補佐を私がやっておりましたので、直接私が実施しておりました。
  18. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 宮永さんにもう一度念のために伺いますが、そうすると、松浦利治郎さんは売買契約そのものには、役所の側としては関係しておられないわけですか。
  19. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 関係いたしておりません。
  20. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 佐古田さんに伺いますが、売買交渉は、白雲閣としては、どなたが主としてされたわけですか。
  21. 佐古田参考人(佐古田績)

    佐古田参考人 交渉相手側鷲尾会計課長でして、その実際の職に当られたのが宮永さんでございます。
  22. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 会社側はどなたがやっておられましたか。
  23. 佐古田参考人(佐古田績)

    佐古田参考人 会社は私でございます。
  24. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 佐古田さんに伺いますが、そうすると、松浦利治郎という人は、買収当時にはあなた方と話し合い、または交渉一つもなかったわけですか。
  25. 佐古田参考人(佐古田績)

    佐古田参考人 私は、松浦さんとは一回もお会いしたことはございません。
  26. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 松浦清さんに伺いますが、大蔵省からいろいろの材料をお願いいたしましたときに、松浦さんの名前文書が出ておりますが、この文書内容は、、あなた自身名前で出ておりますが、あなた自身が調べられて書かれて出されたものか、その点を一つはっきりしていただきたいと思います。
  27. 松浦参考人(松浦清)

    松浦参考人 これは、私の当時の立場を申し上げまして、御了解を願いたいと思います。私は、終戦までは兵器行政本部庶務課におりまして、陸軍共済組合の問題には一切触れておりません。終戦陸軍共済組合残務処理松浦利治郎君が主任者としてされまして、その残務処理を終った後に、大蔵省からそういう御照会がございました。私の方といたしましては、共済組合に関する業務は継承いたしておりませんが、ただ旧陸軍残務処理をしておるという関係から、一応役所の当面の責任者として私が調査をいたしまして、その後大蔵省回答をいたしております。その内容は、当時の共済組合主任者であるところの松浦利治郎君の御意見を徴しまして、その御意見を総合いたしまして、あの回答をいたしたわけでございます。
  28. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 ただい京松浦清さんのお言葉に、共済組合共済組合という話が出ましたが、その後大蔵省のいろいろな委員会の中でもそういう話が出たのでありますけれども宮永さんと佐古田さんに伺うのですが、買収当時に共済組合という名前が出て買収されたのですか、そうでないのですか、一つ宮永さんからお答え願いたい。
  29. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 当時交渉しますときには、共済組合という言葉は使っておりません。
  30. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 佐古田さんに一つ
  31. 佐古田参考人(佐古田績)

    佐古田参考人 最初からしまいまで、鷲尾会計課長、それから宮永さんがおいで下さいまして、別にその共済組合という名前は一回も私は聞いたことはございません。
  32. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 大蔵省では、当時白雲閣は、戦争中でもあるし、料理屋というものは引き合わないから、さびれておって非常に困っておったので、それで買ってやったのだ、こういうようなことを言っておられるのですが、その点は会社側としてはどうだったのですか。
  33. 佐古田参考人(佐古田績)

    佐古田参考人 その買収されます前に株主総会を開きまして、旧館が非常に古いものですから、これを大改善をしてやろうということで相当資材も買い集めまして、総会で大改造の決議をとったときでございましたが、営業も黒字が出ておりまして、決して不振な状態ではございませんでした。
  34. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 そうすると、白雲閣の方から買い上げて下さいという申し出をしたわけではないのですか。
  35. 佐古田参考人(佐古田績)

    佐古田参考人 そんなことはございませんです。
  36. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 そうしますと、この買い上げは、白雲閣の方から申し出はなかったけれども陸軍の側の方から買おうという話があったのか、宮永さんにお伺いいたします。
  37. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 こういったものの買収の場合は、通常会計課の私の方の契約担任官に対して要求というものがくるのであります。その要求を出すのは庶務課長要求して参ります。その場合、白雲閣からしいて買ってくれというよりも、陸軍の方がぜひこういった施設はほしいのだ、函南病院に対する付属設備として、将来患者静養を要する場所にぜひほしいのだということで、当時の函南病院長もいろいろと探しておって、おそらく最初のとっつきは、函南病院長が見つけ出して、買収したいというような意向を白雲閣の方に伝えたものじゃないかと思うております。
  38. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 そのとき宮永さんは、函南病院の分院のようなところに使うのだということをお話しになったのかどうか、お伺いしておきたい。
  39. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 これは、その施設買い上げる目的が、函南病院患者静養場所に使うということで、付属設備というような感じのものであります。
  40. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 そういうことを白雲閣の方におっしゃったかどうか。
  41. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 それは言うております。
  42. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 そうしますと、この白雲閣は軍の方から、軍の名前において、今お話しのような用途に硬いたいということで申し入れられて、話し合いができて買収が成立したものと思いますが、その当時の売買契約書関係はどうなっていますか。宮永さんと佐古田さんの御両所にお伺いいたします。
  43. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 契約書は作成しておりますが、大体当時としては大きな金額のものであり、激すし、物を売った、買ったという場合、大きな契約は必ず契約書、小さなものはただ注文伝票でいくというような筋合いにもなっておりますが、こういった大きな金額のものは契約書ができております。
  44. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 その内容でありますが、契約書はどこにあるはずなんでしょうか。
  45. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 これは、終戦以来昭和二十一年の三月京で私も残務整理部隊におって、いろいろ整理業務に当っておりまして、それから三月で私は一応よしております。私の方の契約担任官であったところの鷲尾課長が引き続き残務整理を八月か九月ごろまでやっております。その八月か九月ごろにいよいよその事務所を閉鎖したときに、復員局に一切書類を荷造りして預けております。送付しております。だから、復員局にその契約書はあるものと思うております。
  46. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 そうすると、復員局関係松浦清さんに伺いますが、ただいまの契約書関係は、復員局ではどういうふうになっておりますか。
  47. 松浦参考人(松浦清)

    松浦参考人 これは、当時の契約書があったかなかったか調べてもらったのでありますが、現在引揚援護局には存在しないようであります。あるいは終戦のときに契約書類を焼かれたかどうか、その辺ははっきりいたしません。現在存在しておらぬようであります。
  48. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 契約書関係の事情について、佐古田さんに伺います。
  49. 佐古田参考人(佐古田績)

    佐古田参考人 現在私ども手元にないところによりますと、おそらく一方的な契約ではなかったかと思います。それで、私ども代金をちょうだいするのは登記後にちょうだいいたしておりますので、おそらく私の方へは返り書がなかったのではないかと思っております。
  50. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 では伺いますが、昭和十九年の二月十九日に取引されて、それから十日余りたった昭和十九年の三月一日に、当時の会計課長鷲尾弘音さんですかから証明書が出ております。それが、金額と物件の内容売買証明書のような形で出ておって、その末尾に、なお当省において将来不必要な場合は払い下げの相談に応ず、こういう文句が入っておるわけでありますが、この白雲閣の問題については、これが一番焦点でございます。この点についてこれから伺いたいと思うのでありますが、今売買当時の契約文書が見つからぬようでありますので、両当事者に伺うのでありますけれども売買当時に、将来要らなくなった場合には払い下げてやる、こういうような約束があったのかどうか。またさらに、そのほかに佐古田さんに伺いますのは、この証明書は何のためにお取りになったのか、この二つの点。まず宮永さんからは、売買の当時にそういう話が出ておったのかどうか、佐古田さんには、あったのかどうかということと、さらにこの証明書をどういうわけでお取りになったか、宮永さんに先にお伺いしたいと思います。
  51. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 買収するときに二、三度現地にも伺ったし、また佐古田重役にも来てもらっていろいろ話をしたのでありますが、そのときに、例の戦争も非常に逼迫しておるし、いろいろな状況上、私の方は至急にこれがほしい、ぜひほしいの、だというような意思を明らかにしましたが、このときに佐古田氏の方は、不必要の場合には買い戻しに応じてくれぬかというようなことの意思表示がありましたので、私の方も、急いでぜひほしいというので、それを条件で買収しております。それで、将来不必要になった場合にはその払い下げに応ずるということは、契約書にも末尾に書き込んであります。
  52. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 それでは佐古田さんから一つ……。
  53. 佐古田参考人(佐古田績)

    佐古田参考人 この買収の話が軍の方からございましたときに、一応株主総会を開きまして協議いたしました結果、中に非常に強硬な反対意見者もございました。しかし、まあ当時戦争のほんとのきなかでございますので、これをそのままお断わりもできない、何らかの方法をもってこれに協力するのがほんとうでないかということになりまして、それでは、一応これが要らなくなったならば返してもらおうじゃないか、返してもらうという約束で応じようじゃないかということで話がまとまりました。その当時の情勢からいいますと、口約だけでも十分だったのでありますが、なお書類にしておかなくちゃならぬという意見もございまして、それで、書類にするということで一応その会議を抑えまして、そして後日書類にしたということでございます。
  54. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 そうしますと、契約書は今見つからないけれども、今の宮永さんのお話では、売買のときには、契約書ではそういう意味のことをうたってある、その場合の交渉の過程においてもその話があった。会社側の方としては、株主総会で、後日のためにはっきりしておく必要があるというので、契約後にこの証明書を願われて取られた、こういうことでございますね。
  55. 佐古田参考人(佐古田績)

    佐古田参考人 そうでございます。
  56. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 そうしますると、一番大事な当時の会計課長がなくなっておられるわけでありまするが、幸いにして大蔵省からの資料の中には、当時の一番責任の中心であられた鷲尾大佐が昭和二十二年の十二月の十一日に出された証明書があるようでございますので、ちょっと御参考のために読み上げてみます。     証明書  静岡県伊東市松原五三九ノ一番地所在株式会社白雲閣の土地並に建物一切は、大東亜戦争昭和十九年二月二十日拙者が買収契約を締結の際契約担任官たる東京第一陸軍造兵廠会計課長の名に於て右物件が不要となりたる場合は払下の相談に応ずることを条件として買収したることを証明す  これは、ただいま申し上げましたように、昭和二十二年に、鷲尾大佐がおられるときに、こういう証明書を出しておられて、現在なくなっておられるわけでありまするが、そうしますと、売られた方の佐古田さんの白雲閣の方も、また買われたところの陸軍の方も、買う名義は、あくまでも軍の名において買われたのであって、当時は共済組合というものの名前――後ほど非常にそれが大蔵省の方では問題として出ておるわけですが、当時は共済組合という名前一つも出なかった。しかも、名前はあくまでも軍の名においてやられた。それから要らぬときには返す、払い下げの相談に応ずる、こういうことが条件であった。これは、軍のその当時関係された方々も、また白雲閣――白雲閣はもちろん払い下げを願っておるわけでありますから、文句はない、はずですが、その当時関係しておられました宮永さん初め、そういう意味であったということを確認していただいたと解釈してよろしゅうございましょうか。宮永さんから一つ……。よろしゅうございますか。
  57. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 当時買い上げるときには、別に共済組合で買うとかいったようなことはきめておりません。全然、陸軍の所要に充てるものということで買っております。
  58. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 大体それでけっこうでございますが、ただ一言、問題はなお当初において、将来不必要の場合はさらに払い下げの相談に応ず――これが払い下げをしてやるのだということでなく、相談に応ずと、こういう言葉が多少はっきりしないということも争いの一つでありますが、この意味は――われわれも、当時戦争中でこれ、だけの証明書でもよく出たものだと常識的に解釈するのですが、この意味は、要らなくなったら払い下げてやるという約束ですか、それとも払い下げてやるような一応話のきっかけを作るという、だけの意味か、ほんとう払い下げてやるのだ、具体的に相談に乗ってやるのだ、こういう意味なのか、そこのところが少し問題、があるようであるので、いま一度宮永さんにお伺いいたしたいと思います。
  59. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 これは、買収の条件としまして、将来要らぬようになったら返してくれるのか、払い下げてくれるのか、それでないといやだというような言葉が再々私ら当事者間で応酬せられたと思っております。だから、要らぬようになったら返してやるのだ、払い下げてやるということが条件であります。
  60. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 そうしますと、今故人になっておられる鷲尾大佐の昭和二十二年の先ほど読み上げました証明書は、そういう意味と解してよろしゅうございますね、宮永さん。
  61. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 私から申し上げますと、契約書にすでにそういった文句は書いてあるのですから、その証明書は実はなくもがなのものなのです。けれども、今佐古田氏の話を聞いてみると、契約書はもらわなかったというようなことを承わりますので、佐古田氏側としては、何かの用に必要があって書いたのだろう、それは課長が書くところも私見て知っておりまして、間違いありません。
  62. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 大体の白雲閣だけの話はわかったのですが、菅さんに伺いますが、戦争中軍の必要で買い上げたようなものは、戦争が終って直接国家の必要がなければ、こういう特約、がなくても、もとの所有者に戻してもらいたいというような考えがあれば、払い下げてやるの、が政治だと思っておりますが、今回のこの具体的な場合は、すでに今議論いたしました条件もついておることでありますが、軍としては、当時そういうようなものを買い上げた場合、まあ戦争がいつまで続くか、その当時はわからなかったでありましょうが、それが要らなくなったら払い下げてやるというようなことが、軍としての方針であったかどうか、一つ大きな方針を菅さんに伺いたいと思います。
  63. 菅参考人(菅晴次)

    菅参考人 今のお話に対しましては、私上級の責任者として、当時何分にも戦争第丁主義で軍としてはやっておりましたので、一般の民間に対しては、ずいぶん無理を申しておったのが実情でございます。従って、いくさが済んで亜やらぬようになるものがあれば、これは当然返すべきだ、だから、たといいくさが勝っても、造兵廠のごときものは縮小する、人員がうんと減るのでありますから、当然要らぬようになるということは予期できたわけであります。いわんや負けたから、もう要らぬのでありますから、当然返すべき、だというのが当時の私の気持であります。今もその気持には変りはないのでありまして、それが今日まで引き延ばされておるのは、実は私は白雲閣さんに対しては非常にお気の毒だ、こういう気持であります。下の者も、みんなそういう気持は十分くんでおったのだと思いますが、ただそこに、払い下げの相談に応ずと緩和したのは、たとい契約担任官でも、造兵廠長がおりますし、その上に私のような本部長がおりますし、各級幹部の了解を得なければ、自分一人でそうするわけにいかないのですから、そこを緩和して書いたのだろうと思います。
  64. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 そうしますと、先ほど松浦清さんの文書で出ておる内容は、松浦利治郎さんが材料を提供されたものによって書いたということもはっきりいたしましたし、いま一つ、この関係大蔵省が御調査願ったときに、白雲閣の言い分と全く対立的な立場にあるのは松浦利治郎さんという人の発言でありましたが、松浦利治郎さんは、買収当時には一切関係しておられなかった、こういうことが皆さんの前ではっきりいたしたわけでありますが、さらにお伺いいたしたいのは、白雲閣と同時に、同じような条件で買い上げられた東京館というのがあるようでありますが、それは白雲閣と同様なケースであったかどうか、その点、宮永さんにお伺いしたいと思います。
  65. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 白雲閣が二月に買収実施をいたしまして、私の方が、白雲閣だけでは設備が狭小でありますので、もう一つほしいというわけで、その付近にある東京館にも働きかけて、その翌月の三月東京館を買収いたしました。
  66. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 今度は大蔵省に伺いますが、白雲閣払い下げられないで、東京館を払い下げになったそのわけは、少しは聞いておりますが、この公けの席上で、いま一度はっきり伺っておきたいと思います。
  67. 石原説明員(石原周夫)

    ○石原説明員 東京館につきまして、資料もお配りしてあったかと思いまするが、私ども承知をいたしておりますところを申し上げますと、東京館というのは、提供になりまして、二十一年一月に貸借の契約をいたしております。その前から、持主の方は、終戦直後その旧東京館に入られまして、そうして二十一年一月に貸借契約をしておられます。その東京館主の証言によりますと、終戦直後に、御本人は軍にこれを払い下げてもらいたいという了解を得られたといっておられますが、いずれにいにしましても、二十一年の一月には、今申し上げたような貸借の契約をなさいまして、払い下げが済みましたのが二十二年六月、すなわち白雲閣は二十一年三月に陸軍共済組合残務整理を担当した復員局から有償で大蔵省が取得をいたしたわけでありますが、その東京館におきましては、そういった所管が大蔵省に移るということなくして、陸軍共済組合、あるいはその残務整理を担当しておる復員局の所管の間にそういう処置がなされておるわけであります。東京館の払い下げにつきまして大蔵省承知をいたしております経緯は、以上であります。
  68. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 東京館と同じ条件だけれども白雲閣の場合は連絡がちょっと悪かったというだけのことですか。
  69. 石原説明員(石原周夫)

    ○石原説明員 復員局にありました当時のことにつきましては、大蔵省といたしましては、責任の官庁でございませんので、私が承知しておるところを申し上げるわけでありますが、大蔵省に引き継がれましたときの白雲閣に対しまする引き継ぎ事項がございますが、その中には、こういうような払い下げの相談に応ずるということがついておるというような――いろいろな懸案が引き継ぎになっておりますが、その中にはそういうこと、がついておりませんで、今申し上げました三月に引き継ぎをいたして、それで二十二年の四月に国家公務員共済組合法に基きます貸付連合会に対していたしておる、こういう状況になっておりますので、そこのところで、一つの処置が復員局の時代、陸軍共済組合の段階においてなされておる。こちらは復員局から引き継ぎを受けて、引き継ぎの際には、今申しましたような引き継ぎ事項が存在してなかった、こういうことであります。
  70. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 すると官房長のお話では、復員局当時からの詳しいことはわからなかった。それから買い戻しの相談に応ずるというようなことは、引き継ぎ条項でもその当時はわからなかった、こういうことでありますか。
  71. 石原説明員(石原周夫)

    ○石原説明員 今申し上げましたように、引き継ぎ当時の引き継ぎ事項にございませんので、その当時にありましたいろいろな施設に対します懸案はみな引き継ぎを受けておりますが、その中に入っておりませんでした。
  72. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 佐古田さんに伺いますが、あなたは当時から会社関係しておられて、それからその後も関係しておられたようでありますが、終戦後はどなたが責任者であったか伺いたい。
  73. 佐古田参考人(佐古田績)

    佐古田参考人 私が責任者の位置にありました。
  74. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 そうすると佐古田さんが会社責任者であったが、あなたには終戦後、払い下げをやるとかなんとかいう連絡は何もなかったのですか。
  75. 佐古田参考人(佐古田績)

    佐古田参考人 連絡はいただきません。
  76. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 そうしますと、先ほど来くどいくらい申し上げておりましたが、結局払い下げの相談に応ずるということが非常に問題なんで、当時の本部長さんの話では、払い下げてやる場合でも、これくらいの程度しか担当官としては書けないだろう、こういうお話でございましたが、その当時、これよりも強い表現で、必ず返還してやるのだというような条件のついた契約があったのかどうか、これは契約を担当しておられた宮永さんでも、あるいは本部長さんでもけっこうですが、一つお答え願いたいと思います。
  77. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 さいぜんも申し上げましたように、契約書末尾にそれを付しております。不要となった場合には、希望があれば払い下げるといったことは、これはもう買うとき切にそのことが言われましたので、条件としてその末尾に返還のことを書いております。
  78. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 私の伺っているのは、表現の方法なんです。そういう要求があって、そういう話ができても、当時の軍の状態としては、こういう条件がつくことすらも非常にむずかしかったのじゃないかと私らは思いますが、払い下げの相談に応ずるという文句が、先ほど申し上げたように少しはっきりしないから今問題になっているのですが、これよりも強い意味の、返還してやるといったような言葉を使った契約があるのか、また普通そういう払い下げ約束の場合には、相談に応ずるという程度のことしかお書きにならないのか、そこの点を伺いたい。
  79. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 この間十数年を経過しておりますので、どういった意味合いの文句を使っておったかは今ちょっと明瞭に記憶しておりませんが、要するに不要となった場合に、希望があったら払い下げるといったふうな何らかの意思表示は、必ず契約書にしておるのであります。その鷲尾氏の書いた文句そのままであったかどうかはちょっと今はつきり記憶しておりませんが、要するに返してやるという意思表示は、契約書を見れば明瞭にしてあります。  なおこの契約書は、事務所閉鎖当時に復員局に申し送ったのを――最初の金を払う時期に、そのものにつけて出すのが会計法規の命ずるところであります。だから会計検査院でも調べてみると、必ずこの契約書はあるものと思っております。
  80. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 そうしますと、当時払い下げの相談に応ずるというような表現以上の表現があったかどうか、はっきり記憶がない、この文書は、ただ払い下げの相談に応ずる、返してやる趣旨だ、こう解してよろしゅうございますか。
  81. 宮永参考人(宮永三郎)

    宮永参考人 けっこうだと思います。
  82. 松浦参考人(松浦清)

    松浦参考人 古川さんにちょっとお伺いいたしますが、ただいまの御発言は、契約の本文の中にそういうことが書いてあるかということを意味されているのですか、その辺の御質問のお気持をお伺いしたい。
  83. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 私は、実際あります証明書の中の文書の意味をお聞きしております。
  84. 松浦参考人(松浦清)

    松浦参考人 ただいまお話のありました、契約書の中にその趣旨がうたってあるかどうかという御質問は、契約の本文の中にそういう一項があるのか、契約書のどこかにそういうことが書いてあるのか、どちらかを確認されるために御質問されたのじゃないかと思いますが……。
  85. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 私の趣旨は、契約書のどこに書いてあってもいいのです。ただこういう文句が表現されているのか、あるいは、相談に乗るというのは弱い意味に解釈されるが、これは払い下げてやるという約束なのか、ほんとう払い下げてやるという約束なら、もっと強い表現で契約をされている場合があるかどうか、とにかくもっと強い表現の場合と両方あれば、それと比較してこの場合は弱くなるけれども、今の宮永さんの話では、そういうことは記憶がない、しかしこれだけの文書が出ておれば、約束の表現としてはちょっと弱いようであるけれども払い下げてやるという意味なんだ、こういうことを言っていただいたわけですから、その点を伺ったわけです。これより強い意味の表現の言葉が出ているなら、これはそれと比較して弱いものになるから、問題になると思って伺ったわけです。  大蔵当局に伺いますが、この建物昭和二十六年に火災にあった。ところが、御承知のように、これは国が法律に基いて無償で貸し付けている、その無償で貸し付けている物が火災にあったが、その原因が不明ということになっております。その場合に、非現業がこの新しいものを建てた、それには一切の責任を追及しないで、それを非現業のものとして登記されている、これが事実でありますが、無償で貸しているときに火事をやった、しかもその火事の原因がわからないような場合には、かわりに建てれば、そのものの所有にするような管理国有財産としてやっておられるかどうか、一つ管財局の関係でお伺いしたい。
  86. 天野説明員(天野四郎)

    ○天野説明員 この共済組合連合会に対しましては、国家公務員共済組合法によって無償で利用さしているわけでございまして、その無償で貸し付けます財産が火災等で焼けました場合にはどうするかという問題でございますが、その場合に、その物件が無償貸付を受けている方の責めに帰さない理由で焼けました場合は、国はこれに対して求償できないのでありますから、私の方では求償いたしません。
  87. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 関連質問無償で貸している場合、管理責任は、それを無償で使っている人間にあるのですか、ないのですか。
  88. 天野説明員(天野四郎)

    ○天野説明員 無償で利用きしている場合には、もちろんその管理責任は相手方にありますが、しかし相手方の責めによらないでその物件が滅失した場合には、相手方の責任にならない……。
  89. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 相手方の責めにならないというのは、具体的に言うとどういうことになるのか。
  90. 天野説明員(天野四郎)

    ○天野説明員 具体的に、本件につきましては、いろいろ調査いたしました結果、その火災は相手方の責めによらないことが判明いたしたので、国は求償いたし俵せん。
  91. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 事実関係を言って下さい。
  92. 天野説明員(天野四郎)

    ○天野説明員 この白雲閣のこの物件が焼けましたのは、その原因をいろいろ調査いたしました結果、原因が相手方の責めにあるとは思えませんので、国は求償いたしておりません。
  93. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 それでは出火の原因は何ですか。
  94. 天野説明員(天野四郎)

    ○天野説明員 いろいろ調査いたしました結果、原因不明でございます。
  95. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 原因不明というのはどういうことなんです。原因不明だということは、管理責任を全うしているかいないかという関係はどういうことになりますか。
  96. 天野説明員(天野四郎)

    ○天野説明員 本件の場合に、相手方の共済組合連合会無償で使わしておりますが、これは国有財産法でいいます無償貸付とは違いまして、行政財産を国の行政の用に供する目的で共済組合連合会無償で利用さしているわけでございまして、それは無償貸付というような使用貸借の関係ではなくて、行政処分、つまり専用許可、使用許可という行政処分でございます。この場合に相手方に失火の責めがなければ、国は求償しないということになっております。しかし、一般に無償貸付しております物件につきましては、契約書火災保険をつける等、いろいろ国の方ではそのようなことを考慮しておりまして、それらの義務契約条項で負わしております。
  97. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 管理責任はあるんだが、しかし火災の原因が不明だということになると、その二つの事実関係はどうなるのですか。自分は管理責任を負っておったが、どうして火事が起きたかその原因が不明である、そういう事実がここにあるわけなんです。そのときに管理責任を免れますか。火事を起した原因というものは、どこかにあるに違いない。しかし十分に管理ができておったならば、そういう火災を防ぐことができるはずです。その関係はどうなるんです。
  98. 天野説明員(天野四郎)

    ○天野説明員 もちろん国の財産でございますから、使う側におきまして、管理の責めは十分果きなければならないわけでございます。しかし、その物件が火災によりまして滅失した場合に、その原因いかんによりましては、相手方にも弁償責任がない場合もあるわけでございますが、本件はいろいろとその火災の原因について調査をいたしました結果、原因不明というような結論でございますので、国は共済組合連合会に対しまして求償できないわけでございます。
  99. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 原因不明だというのは、どういうことなんです。管理責任が全うされていないからそういう原因不明の火事を起したんじゃないですか。事実関係を言うのですよ。共済組合責任を負わすことを何とか免れようとして、原因不明だという文書を警察に作らして、何回もそれを受け取っただけの話であって、管理責任を免れしむるための方法をとったのだろう、そういうふうにかりに意地悪く解釈したらどうなる、また僕は実際に真相はそうだと思う。しかし、そういうことは役人はえてしてやることなんだが、そういうことであなた方、国の財産の保全ができますか。たとえば僕が国の財産を借りておったとする、それは動産であろうが不動産であろうが、同じことだ。しかし僕のふところの中からいつの間にかだれか盗んで、持っていったかどこへ落したかわからぬというような場合に、その遺失の原因が不明だといってみても、私は国の財産を預かっておったならば、賠償の責任を免れることはできぬでしょうが、自分が国有財産をちゃんと管理していて、どうして焼けたか知りません、失火の原因はわかりません、私の方は落度がありませんといっても、国の財産を管理しておったのは非現業に違いない。国が管理しておったわけではない、第三者が管理しておったわけではない。それを失火の原因を不明だとして、そして非現業に賠償の責任を負わすことができないので、そういう結論を君たちがつけていこうとするところに無理がある、事実関係に無理がある。大蔵省の役人はそれくらいのことをやると思う。だから、われわれはその事実関係を聞いている。ほかにこういう例が出たときにも、同じように補償の責任はない、こういって国の財産が消滅していく、こんなばかなことがどこにありますか、言ってみなさい。
  100. 天野説明員(天野四郎)

    ○天野説明員 本件につきましては、失火の原因をいろいろと警察御当局の方で十分御調査願いました。もし連合会側に責めがございますれば、私どもの方は当然求償いたします。しかし今日までずっとそちらの調査を続けて参りましたけれども、まだなお原因不明というような状況にございますから、国の方は弁償責任を負わすわけに参りません。しかし国の財産を適正に管理すべきことは、もちろん国有財産管理の基本的な原則でありますから、今後はあるいは火災保険をつけるというような義務連合会に負わせまして、十分財産の管理を適正にやっていきたいと思います。
  101. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 それでは一つ聞くが、そのときに非現業から、どのようにあの白雲閣管理しておったかという管理の実態について、報告書があるのでしょうね。あったらそれを朗読して下さい。
  102. 天野説明員(天野四郎)

    ○天野説明員 私の方は、国有財産の総轄機関としての大蔵大臣の立場にあるのでありまして、その財産は、直接大蔵省の行政財産の主管大臣としての大蔵大臣が管理しておる財産でありますから、具体的には、官房の会計課長から御答弁してしかるべき問題だと思います。
  103. 崎谷説明員(崎谷武男)

    ○崎谷説明員 ただいまの火災のてん三つの報告書でありますが、二十六年当時、管理人から理事長あてに詳細なものが出ております。失火発見直後の処置について、それから当夜のいろんな情報、それから鎮火後の警察側の処置、また女中たちが非常に働いたというようなことまでつけまして、非常に詳細なデーターが出ております。  簡単に最後のところだけ申しますと、管理人の報告では、失火後三十分間も電灯がついておりましたので、漏電ではないらしい。失火とすれば、当夜宿泊しておった客か、あるいは従業員かのどちらかになるが、当夜あき室であった十七号室の、しかも外部からの失火とすれば、この両方の嫌疑も薄い。放火とすれば、従業員か、宿泊者か、外部の者かの三者のうちとなるが、取調べの結果は、従業員でも宿泊者でもないようだ。そこで結局最後に残るものは、外部の者の故意による放火、あるいは裏道を通行した者のたばこの吸いがらからではないかということになって、その証拠物件を発見するために、徹底的に十七号室下の地下室を調査した模様であるというような詳細な報告が出ております。これは、前に国会提出いたしました資料の中にも出ております。その後失火原因について、それから失火前にどういうふうにやっておりましたかというようなことにつきまして、だいぶ書類も出ております。伊東警察よりも、これについては引き続き捜査中というふうな報告がございましたが、最終的に放火の事実は発見できません。最終的には三十年十月に、従業員による失火という点は認められず、かつ放火の疑いも認められないので、原因不明のまま捜査を打ち切りましたので、そういうように連絡しております。本件については、検察庁にも連絡了解済みということでございます。
  104. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 無償国有財産を借りておるような場合に、責任がないということは、もし責めを免れようと思えば、免れる方から挙証するのが原則だと思うが、そこの点はわれわれの方でもいま少し研究して、もし大蔵省のいうようなやり方をやっておるならば、法律を改正しなければならぬと思う。無償国有財産を借りておって、責任を免れる場合には、はっきりと原因がわかって、しかも当然だというような理由がなければ、責任を免れしめるべきではないという考えを持っておるわけであります。挙証の責任は免れる方にあるべきではないか、こういう工合に私自身は考えております。これはあとの問題として残しておきたい。  それから会計課長に伺いたいが、この問題は、ただいまお話を聞いておりますと、当時は両当事者とも、約束したにもかかわらず、非現業共済組合が使ったために、なかなか大蔵省はこれに応じない。ちょうど申請してから十年もとにかくこの問題が続いておる。その間昭和二十六年には、ただいま話があったような火災が起った。そしてすぐ再建築した。ところがこの問題で、返してやるべきではないか、いやそうじゃないのだという議論をしておる最中に、去年の七月三十一日に、非現業共済組合保存登記を会計課長はさせておる。昭和二十六年にやったものを、とにかく争いが起っておる最中に、なぜ法律上縛りつけるようなことを会計課長はやったのか、その点を伺いたい。
  105. 崎谷説明員(崎谷武男)

    ○崎谷説明員 ただいまの問題、私どもこういうふうに考えております。実は昨年登記をいたしました問題は、二十六年の火災の跡始末であります。この火災の跡始末は、先ほども御説明のありましたように、一応連合会の責めに帰すべき原因でない火災によりまして焼失いたしましたので、それを復旧するときに、連合会の資金をもって復旧することを大蔵省としては認めたわけであります。連合会の責めに帰すべき事由によりますと、賠償が連合会負担による原状回復、こういうことになるのでありますが、このとき一応連合会の責めにないものとして連合会の資産として復旧を認めた。しかも最終的に原因不明ということで、警察も捜査を打ち切っておりますので、かりに白雲閣払い下げるということをすぐにやらなければならぬといたしましても、この権利関係はいずれにしてもはっきりしておいた方がよかろう、今までとにかく国の登記がそのまま残っておりまして、建物は焼失してないわけでありますから、国の部分は当然抹消する、抹消したあとに作りました連合会の資産は、連合会の資産として登記する方が筋ではないか、かりに払い下げを実行いたします場合に、登記の関係はもちろん重要でありますから、払い下げを実行する上にもこの点ははっきりしておいた方がよかろう、こういう考え方をとりまして、確かに問題になっておる最中に国の登記を抹消し、連合会の資産として登記するということは、平たくいえば刺激するというようなこともございまして、そのためにも登記の手続がおくれておったわけであります。昨年の七月に思い切ってと申しますか、今まで登記をはっきりしませんでしたものを登記した原因は、今私が前に申しましたように、むしろこの際はっきりさせるのが筋である、こういうふうに考えて登記したわけであります。
  106. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 今あなたは、この問題をケリをつけた方がいいというけれども、あのときは非常に議論をしておって、どちらに結末がつくか話し合いをしておる最中ではなかったですか。それに、話の結論を四年も五年も六年もほったらかしておいて、なぜ半月や一カ月や二カ月待てないのか。それを突如として七月三十一日に登記するということは、まことにけしからぬ。どの点よりも、私はこの点がけしからぬと思う。大蔵省の役人はそういうことをやるから、この問題はおかしいと言われるのだ。四年前からそのままになっておったやつを、どうやら話が危ないということになってくると、急速保存登記を連合会名前にするということはまことにけしからぬ。
  107. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 無償で貸してあるものは、大蔵省意思によって、必要な場合には返還せしめることができるのですか。
  108. 崎谷説明員(崎谷武男)

    ○崎谷説明員 共済組合法によりまして無償で貸しておりますが、それには使用許可という形をとっております。使用許可の条件として、連合会に不都合がありましたら、国の都合によっては返還するということをうたっております。
  109. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 国の土地の上に非現業の建物を建てたのですから、土地の使用について契約か何かしておりますか。
  110. 崎谷説明員(崎谷武男)

    ○崎谷説明員 大蔵省の行政財産である土地につきましても、無償使用許可ということで許可を与えております。
  111. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 国の土地の上に建てた財産を、大蔵省の一方的な希望によってのかせることができますか。
  112. 崎谷説明員(崎谷武男)

    ○崎谷説明員 大蔵省が行政財産である土地共済組合連合会に貸しているということは、共済組合員のために共済組合法で認められております無償使用許可をしているわけであります。土地が国のものであって、建物連合会のものだという例は多いのでありますが、これを普通の場合考えますと、これは、やはり連合会がその建物共済組合員のために使っているわけでありますから、建物取りこわせとか、建物をどこかに移転しろということは、常識的に見ましてきわめてむずかしいと考えております。
  113. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 国のものであるということは、国の財産として評価してあるし、財産の値打というものがあります。ところが非現業がその建物を建てたために、その土地はもはや単なる土地ではなくして、その土地の上に家の建った土地ということになる、そうすると、用途が限られてしまう、別の用途に使おうと思っても使えない、しかも無償で非現業に貸し与えている。国の財産を、非現業の用途に供するということで、国の財産の値打がなくなってしまう。ほかの用途には使えない。結果としては国の財産の値打を失するということになるでしょう。いやなら、白雲閣をのけてくれということで、のけさせられると思うか。非現業の所有物件が建ってしまうと、土地の値打はなくなってしまうということになりますが、そういう場合に、大蔵省はそれでもいいと考えておりますか。たとえば、この場合に、非現業に白雲閣を貸したときと同じように考えておるのかどうか。決定的に国の財産の値打をなくする方法、用途を制限してしまってなくしてしまう方法になるのだということをあなたの方は気づいておるのかいないのか。
  114. 崎谷説明員(崎谷武男)

    ○崎谷説明員 それはこういうふうに考えております。もともと国の建物の立っておりました土地でございます。これは、非現業の共済組合の目的に使用されている。この国の建物が焼けまして、国としては、復旧するための予算もないという前提でございますが、その国の建物がなくなった跡に連合会連合会の資金で連合会の資産として復旧した。この復旧した目的は、結局国の建物であろうと、連合会建物であろうと同じことになりますが、共済組合の組合員のためにということである。それからもともと国の建物が建っておったところは、国の建物が建っておりましても、連合会建物が建っておりましても、さら地でないということは、評価の点では同じことだと思っております。御答弁になるかどうかわかりませんが、その点、連合会建物を建てさせたということによって、大蔵省の行政財産の評価をみずから落すようなことになっているのじゃないかということは、私どもとしてはそう考えておりません。
  115. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 あなたは、私が先ほどお尋ねしたときに、何か非現業に不都合なことでもあるか、あるいは国の方に必要な理由があるならば、たとえば白雲閣なら白雲閣を非現業に立ちのいてもらって、これを取り戻すことができる、こう答弁された。そういう必要が起きたときに、今まで国の財産であって、非現業が使っておるものなら返してもらうことができるが、非現業が建てた建物を返してもらうわけにはいかぬ、非現業の所有権というものは残る。そこに不都合が起りませんか。あなたの今の御答弁では、その関係也説明することができぬでしょう。そういう事態が起きたときにどうしま、すか。今のあなたの御答弁では、どうにもならぬでしょう。そういう場合どうします。
  116. 崎谷説明員(崎谷武男)

    ○崎谷説明員 今の御質問でわかりましたが、大蔵省の行政財産である土地の上に非現業の建物を建てた。実は国の建物、が三分の一残っておりますが、三分の一は返せということはいえても、非現業の建てた建物は、その部分については返せといえないじやないか、その点は確かにおっしゃる通りでございます。もともと使用許可の条件に、非現業に一年ごとに使用許可を与えておりますが、およそ国有財産と申しますか、行政財産の貸付の条件に、国の都合によって返せということはみんなうたっております。実際問題として、今の白雲閣払い下げの場合のように、国の部分と連合会の部分と分れております場合、連合会の部分は返せということはできません。その点については、確かにその、返せという条項をそのまま発動して処理できるというふうな問題で、はない、大へんむずかしい問題かと思いますが、これは先ほどから申しておりますように、すでに連合会の資産として連合会が復旧してしまったというところに問題、があるのじやなかろうかと考えております。
  117. 生田委員(生田宏一)

    生田委員 そこで、そういうものをあなたの方ではなぜあわてて登記をしたか。将来そういう解決困難な事態になるのにかかわらず、なぜあわてて登記をしたのですか。むしろそれを登記するくらいなら、非現業が建てたものを国の方で買い取ってやる方がいい。将来あの全財産について、滞りのないような処置ができるわけだ。その場合に、あなたの方は何百万円かの欠損を見なければならぬから、国の方では支出ができないということで支出しなかったわけでしょう。そういうことになると、やはり非現業が品物を焼いて国に迷惑をかけたということになるのですよ。そういうことをあなた方は好まないのでしょう。いずれにしても、原因不明の失火だとして、国の方が、非現業に対して、賠償の責めに任ずるものでないといって要求をしないというところに、こういう問題が起きている。もしあのときに賠償を要求してごらんなさい。非現業は非現業で、自分の必要なだけを建てて国の方に寄付しなさい、こういえば問題は何もなかった。ところがあなたの方は、非現業の建てた建物に対して財産権を認めて登記をさせるから、そこに今あなたの言うような理屈に合わぬ、処置のできぬようなことができる。こういうような一連のものの考え方は、みな理解することのできない役人根性だ。僕らは理解することができない。第一には、失火の原因にしたところで、先ほど言う通りに、僕が国の物をお借りしておる動産だって不動産だって同じことです。それが私の家に置いてあったが、いつの間にかなくなっていた。それは家の者が、取った覚えもなければ、だれも盗みに来た覚えもない、しかし第三者がこっそり持っていったかもしれない。それを、私はなくしたことはない、私は責任がないのだと言ってみても、所有して骨興しておった者が、盗難にあった品物について、自分が管理、保管の責任がないということは、僕はそんなばかな事実はないと思う。非現業が保管をしておった、管理といいますか、どっちの言葉が適当か知らぬけれども、とにかく国から預かって保管をしておった。それは動産であろうと、不動産であろうと同じことだ。それを焼いても、原因不明だ、非現業の責任はない、保管の責任がないといって賠償の責めに応じないという理屈は、どこの事実関係からも出てこないと思う。法律を曲解すれば別です。僕は法律関係を知らぬし、そんなものは調べるひまもないから、これは法律家にほんとうに解明してもらわなければならぬが、あなた方が、非現業が失火に対して責任がないといって、非現業に対する財産補償の追及をやらないというところに、このあやまちがあると思う。それをやっておれば、僕は今お尋ねするようなことは一つもありません。国の財産も完全に保全されて参ります。そうして非現業にしても、自分の方で預かって無償で使っておって焼いたのだから、申しわけないといって国の方へ賠償するのが当りまえだ。しかも非現業は、今日では十数億、二十億の財産を持っておる。その補償の責めに任ずることは何でもない、非現業の実力では。時価に換算すれば三十億も五十億も持っておる。そういう実力を持っておる団体なんです。それに対して、あなた方は何か理屈をくっつけて、僕は法律を曲解しておると今では即断しております。ほんとう法律家によく解明してもらわなければ実際の結論は出てこないが、常識的に考えてもそうではないか。しかも事件係争中にあわてて登記をやる。どこから考えて忌。いいことはないじゃないですか。ものの考え方にあまり正しくないところがある。そうして何とか間違った理屈をけてやってみようとしする、そういう考え方が役人の一番よくないところです。この問題は、僕は今お尋ねしたところでは、非現業に賠償の責任がないとは思わない、あなた方の説も正しいとは思わない。この問題は、後日ほんとう法律的に研究して解明するより仕方がないと思うので、その点、私は保留しておきます。
  118. 古川委員(古川丈吉)

    古川委員 生田君の質問で大体要を得ておるわけですが、私もやはりさっきから申し上げておる通りに、これは民法の原則からいっても、私は当然非現業に責めがあると思う。ただ国有財産管理の場合、もしそういうようなことを免除するような趣旨になっておるならば、これは先ほど申し上げた通り国有財産管理に関する法律を改正しなければならぬ。それから契約、は一年ずつだ、いつでも明け渡しを要求できる、こういうような考え方でおったわけですけれども、非現業が建てた建物の保存登記をすれば、会計課長もみずから認めておるように、明け渡しの要求をする場合に非常に複雑になってくる。こういうことを承知の上で会計課長が急いで保存登記をやったので-それがきょうの参考人方々の御意見によって、払い下げてやるということは確約してあったのだ、その意味だということをはっきり理解したのでありますから、保存登記のためにこれが実行できぬということになれば、これはとにかく会計課長責任が非常に多い、こう私は思う。その点を一つ承知を願いたいと思います。私の質問はこれで終ります。
  119. 石原説明員(石原周夫)

    ○石原説明員 先ほど来の連合会の財産として登記いたした件でありますが、この件につきましては、会計課長から申し上げたしころで大体尽きると思います。ただただ今西委員から御指摘をこうむりましたように、その財産の収得――これは登記とは一応別問題でありまして、収得に伴いまして、借地法の関係が生じやしないかというお尋ねだろうと思います。この点につきましては、私も実は今法律的な論点を十分尽しておりませんので、その点について正確なお答えをすることができませんけれども、そこら辺の形式が、借地法適用の問題が一応あると思うのでありますが、これは研究した上でお答えいたします。今申し上げましたように、一年ごとの無償契約になっておりますので、国家公務員共済組合法の六十七条に従いまして、組合の連合会としての目的がこれを許すに至りましたときには、返還するという問題が起って参ると思います。その場合には、事柄の性質上、当然向うの財産を買い戻すということがございます。その場合に、借地権をそこで評価をして、その分をプラスして払ってやる、そのためにそごが生ずるということは絶対にとるべきでないと思います。そういうような解決ができるような法律関係を考えなければならないと思っております。  それからもう一つは、この時期において登記をいたしたという点でありますが、これは、おしかりをこうむりましたような事情があると思うのであります。事柄の筋合いから申しますれば、四年前失火復旧後におきまして登記をすべきだと思いますが、今日までそのことしが行われておりませんので、先ほど来申し上げましたような時期において事柄の締めくくりをつけておる。この処置によって欠陥が少くなるのじゃないか。おそかりしといえども、なおやるにしかずという考えでなされたのであります。ただ古川委員の御心配のように、本件が払い下げというようなことになりました場合に、障害になるということのないように、これは私ども考えておりますので、その点の御心配は十分努力いたしたいと思います。
  120. 山本委員長(山本幸一)

    山本委員長 それでは白雲閣買い戻し申請の問題についての参考人意見聴取については、この程度で打ち切ります。参考人方々、大へん長い間どうもありがとうございました。
  121. 山本委員長(山本幸一)

    山本委員長 引き続いて外国為替に関する件について調査を進めます。質疑を許します。石村英雄君。
  122. 石村委員(石村英雄)

    ○石村委員 昨年の三月二十三日に、特に羊毛の輸入関係について外貨の割当を受けて、これを転売をしているという問題についてお尋ねをいたしましたところ、当時の通産局長及び直接答弁はありませんでしたが、為替局長等から、転売は黙認も承認もいたしておりません、もしそういう事実があるならば――これは通商局長の板垣さんの御答弁ですが、外貨割当の譲渡の件につきましては、至急調査するという御答弁があったのですが、その後何らの御報告もありませんので、今年の三月一日に再びその点についてお尋ねをいたしましたところ、繊維局長の小室さんから、やはりわれわれとして十分に調査するという御答弁であったのですが、最近の新聞を見ますと、相当転売関係について通商局が調べたか、あるいは繊維局が調べられたか存じませんが、お調べになられたようなことが出ているのですが、どういう御処置をおとりになったか、またとられた結果はどういうことになっているか、御報告願いたいと思います。
  123. 佐々木説明員(佐々木彰一)

    ○佐々木説明員 局長が旅行中でございますので、私から御答弁申し上げます。  二回にわたりまして石村先生の方からただいまのような御質問並びに御意見がございましたが、私どもの方の局長の名前の照会の文書を今年の四月に、毛を直接使います流毛並びに紡毛のメーカーの各社、それから直接その輸入の仕事をいたします輸入商、この両方に照会をいたしました。相当詳細な内容のものでございますが、Iしの外割の番号、発行年月日、開設期日というような項目が相当ございます。これの期限を四月末に切ってありましたのですが、その集計を実はただいまやっているところでございます。大体あと一週間ほどで結果ができ上ると思いますが、私どもの方でそういうことをやりました趣旨は、ただいま先生のおっしゃいましたような、そういう実際の外割をもらいましたメーカーが、果してその通りにこれを収得し、かつ使用しているかどうかということを調べたいという趣旨でございまして、この紡績、商社両方のサイドからの調書も集計した上でこれをさらにつき合せますと、その間の実態というものが大体わかるというつもりでございます。現在中途でございますので、具体的な傾向というようなものはあまりはっきりと申し上げかねるのでございますが、もう少したてば相当具体的にわかるかと思います。
  124. 石村委員(石村英雄)

    ○石村委員 一年たって、二へん質問して初めて調査が行われるようになったというのは、大へん怠慢だということにもなるのですが、しかし、いずれにしても調査をお始めになったということは大へんけっこうなことだと思います。従って、その調査の結果がわかりましてから、それに対してさらにお尋ねしたいと思いますが、昨年の三月二十三日に質問したときに、当時政務次官もいらっしゃったのですが、国税庁の方の問題もやはり申し上げておいたのです。外貨の転売によって非常な利益を得ておる、そうしてこれに関して脱税行為が大へん多いといううわきがあるのだがということで、国税庁の方のお調べをお願いしておいたのですが、きょう国税庁の方から見えていらっしゃれば、そういうことに対してもし調査をなさって、そうして結果が現われてきたとすれば、それを御報告願いたいと思います。
  125. 中西説明員(中西泰男)

    ○中西説明員 お話しのございました一輸入権の買売の事例につきましては、私どもも昨年の八月でございましたか、外貨割当資料をすべて資料化いたしまして、これを各局に全部配付いたしました。申告あるいは課税の調査の際に、その割当資料が、現実に既往において輸入のために使われておるか、あるいはさらに他に転売されておるか、こういう事実を確認するようにして、課税の適正を期するように実は通達いたしまして、自後各局におきまして、その資料に基いて充実した調査を行なっておるような実情でございます。調査課所管法人のおもなもの四十八社につきまして、実は本年の二月の初め、網羅的ではございませんが、各局から報告をとりましたところが、そのうち、金額にいたしまして約六億ばかりの金額が他に転売したことによる所得として申告が出ております。こちらから配付いたしました資料に基きまして、転売による所得が脱漏しておりましたのを調査の結果約千三百万、はかり発見いたしまして、それぞれ課税処理をいたしております。そういった事情でございますので、今後も引き続きこういった外貨割当につきましては、すべて資料化いたしまして、調査の充実をはかっておりますので、もし漏れたものがあれば、調査の際に逐次把握されていくものとわれわれ期待いたしておる次第であります。
  126. 石村委員(石村英雄)

    ○石村委員 私が特に問題としたのは、羊毛を輸入する許可を得て、外貨の割当を受けて、事実はその仕事も何もしないで、ただ為替の転売のプレミアムもうけだけに終始しておるということに対して、外貨の割当宿今後しないようにという趣旨がおもだったわけですが、通産省及びこれに関連して国税庁なんかも、さらに十分お調べになってやっていただきたいと思います。いずれ通産局から詳しい報告があると思いますから、それに基いてさらに御質問し、関連して、あるいは国税庁にさらにお尋ねすることになろうかと思いますが、それは後日に譲ることにします。  それからこれに関連して、当時私質問には直接申し上げなかったのですが、擬装ウール・ウエーストの輸入関係のことですが、この自動承認制になっておるウール・ウエーストのものが非常にカムフラージュされておるというか、何かごまかされてくず毛の輸入をやっておる、こういう事実をその当時から聞いておったのですが、これに関連して、通産局がことしの四月八日に、輸入交渉に当って繊維の長さを何とか制限されたということを聞いております。これは、やはりこうした擬装を防止する意味でなさったことかどうか、お尋ねしたいと思います。またそういう制限をせられた結果、昨年と比べてウール・ウエーストの輸入量がどの程度に変化したか、お答え願いたい。
  127. 加藤説明員(加藤悌次)

    ○加藤説明員 AAで入れますウール・ウエストの従前の平均の二インチ以下を切りまして、〇・五インチということに改正いたしたのでありますが、これは今石村先生から御指摘のありました通り趣旨でやっております。その後の実際の状況を、実は私の方ではまだどういうことになっておりますかチェックをいたしておりませんので、詳細はわからないのでございますが、その結果、従前いわゆるウール・ウエーストということで擬装して入りましたものがどの程度に減っておるだろうかということにつきましては、実は、従前は相当税関で引っかかりまして、われわれの方に検討依頼という格好できたものがあったわけでございますが、これが最近は少くとも私がタッチしておる限りにおきましては、比較的少くなったのではなかろうか、ただ時日もまだ短かいものですから、今後どういうようになって現われて参りますか、もう少し時日をかす必要があるかと存じますが、私が、今申し上げましたように、タッチしておる限りにおきましては、少くなってきておるのではなかろうかというふうに、これは感じでございますが、考えております。
  128. 石村委員(石村英雄)

    ○石村委員 そこで税関部長にお尋ねいたしますが、昨年そういうウール・ウエーストの関係で、検討依頼か何かがどの程度あったものか御報告願いたいと思います。検討依頼の数量、またどういう商社がそんなことをしておるか、氏名等も御公表願いたいと思います。業界でうわさされておるのでは、大体ウール・ウエーストの大部分はでたらめの仮装をしたものだ、こういうのが昨年の話でございました。そのわざわざウール・ウエーストに仮装して出すために切ってやる会社さえ向うにはできておるのだ、こういううわささえあったのですが、昨年の検討依頼はどの程度あったか、税関部長はおそらく御存じだろうと思いますので、お知らせ願いたいと思います。
  129. 山下説明員(山下武利)

    山下説明員 お尋ねの検討依頼の数につきましては、ただいま手元に資料がございませんので、確実なことはお答えいたしかねるわけでございますが、ただいま通産省の方からお話がありましたように、従来は繊維の長さ二インチ以下のものをくずとして扱うということでありましたので、二インチをこえるものでくずとして申請のあったものについては、これを通産省に検討依頼したわけであります。その分につきましては、通産省としてはくずとして輸入を認められないで、あらためて羊毛としての外割をするという条件でもって輸入を認められておったと思います。ことしの四月からは、きっきお話しのありましたように、繊維の平均の長さを二分の一インチ以下ということに押えられましたので、それ以後の検討依頼というものは、よほど減って参っておるというふうに考えております。
  130. 石村委員(石村英雄)

    ○石村委員 そうしますと、これはわざわざ切ってしまったにしろ、二インチ以下でさえあれば、その輸入のあったものについては検討依頼などはなさらなかったわけですか。
  131. 山下説明員(山下武利)

    山下説明員 従前の例におきましては、二インチ以下のくずは検討依頼をいたしておりません。
  132. 石村委員(石村英雄)

    ○石村委員 外国ではわざわざ二インチ以下に切る会社があったそうですが、とにかく切ってしまったら、くず毛になってしまったということで、本来くず毛とは違うわけなんですが、税関とすればそういうのは処置なしだ、こういうお考えだったと理解していいわけですね。
  133. 山下説明員(山下武利)

    山下説明員 税関といたしましては、通産省の御指示に従って、あるいは羊毛とし、あるいはくずとしてこれの通関を認めるわけでございますので、その基準に従ったものは、くずとして扱った次第であります。
  134. 石村委員(石村英雄)

    ○石村委員 だから、結局二インチより長いもの、がくず毛という名前をつけて輸入されたとき、それに疑問があるときに検討依頼が行われる。長きについては確かにくず毛じゃないが、品質的にくず毛ではないか、こう税関で判断されたとき・従来は検討依頼が行われておったと解釈していいわけですか。
  135. 山下説明員(山下武利)

    山下説明員 詳細なことは実は私よく存じませんので、あるいは間違ってお答えをするかと思いますが、通産省で一応おきめになったのは、長きでもってくずと羊毛をわけておられるわけであります。税関で見て、二インチ以下ではあるが、明らかにこれは品質的に羊毛として扱った方がいいんじゃなかろうかというものは、あるいは検討依頼に回しておったのではなかろうか、このように承知いたします。
  136. 石村委員(石村英雄)

    ○石村委員 どうも税関部長はよく御存じないようですから、きょうは時間もありませんので、この次の委員会までに十分お調べになって出てきていただきたい思います。そのときには、検討依頼の従来とった手続、また検討依頼手続がどの程度行われたか、数量及び輸入業者の氏名もお調べ願って出ていただきたいと思います。いろいろこの関係でお尋ねしたいことが多いのですが、こういうようように、わざわざくず毛でないものを、AA制だということを利用して、くず毛に作り上げて輸入するというような不心得なことをやる商社に対す処置ということもお尋ねしたいと思うのですが、すべて事情がのみ込めていないようですから、この次の委員会でお尋ねすることにいたしたいと思います。
  137. 山本委員長(山本幸一)

    山本委員長 本日はこの程度にいたしまして、次会はあらためてまた御通知を申し上げます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後零時五十四分散会