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足立政府
委員 お答えいたします。昨日
横山委員の同じような御質問に対しまして、私の見解を申し上げたのでございますが、久保田
委員ただいま御指摘の点は、いわゆる庶民感情といいますか、そういう点からは私もよくわかる御議論でございます。しかしながら、今回の法案におきましては、政府といたしまして、現在の憲法下におきまして法理論的に検討いたしまして、この分だけはどうも返さなければならないという結論になったものだけ、いわばぎりぎりの線を出しておるわけでございます。と申しますのは、久保田
委員の御質問の中に、今度法案の中で返そうといたしておりますものが、あたかも戦争中に供出されたものであるかのごとき御発言がございましたが、進駐軍に接収を受けましたのは終戦後でございまして、現在の憲法下におきまして接収をされた。もちろんこれは、進駐軍のオールマイティといいますか、権力によって押えられたものでございます。従いまして、私ども、これが返ってきた場合には、
所有権は依然としてつながっておるもの、しかも現在の憲法における私有権尊重の建前からいたしまして、これをゆえなくして
国家に没収するということは、やはり憲法違反になるわけであります。従いまして、戦争中にいろいろな形で政府に供出されたもの、あるいは売り渡されたもの、こういうものにつきましては一切没収する、ただ日銀に契約で、売り戻し条件づきで供出されたものは、やはり契約を尊重しなければならぬ。この限度にとどめておるような次第でございまして、私どもとしては、先ほど来
管財局長がお答え申し上げた
通り、行政監察
委員会において御熱心に御研究なり御議論になりました結論をできるだけ尊重し、また国民感情といいますか、庶民感情といいますか、この気持も十分考慮いたし、なおまた法理論的に許されるぎりぎりの線というのでこの法案を提案いたしておる次第でございます。
なお先ほど御質問が、ございまして、政治的な問題については私からということで、
管財局長から答弁を留保いたしております問題は、この売り上げ代金を政府はどう使うつもりかという御質問でございますが、政府といたしましては、先ほど
管財局長がお答えいたしました
通り、この法案におきましては特別会計を一応設定して、これに全部入れるというところまで出しておるわけでございます。もちろんこの法案が通過いたしますれば審議会ができ、返すべきか返すべきでないかという具体的な証拠とつき合せまして、個人個人
審査をいたしまして決定をいたしますので、あるいは先ほど来御指摘のダイヤが相当数あるじゃないかという御質問がございますが、個々のケースを審議会で
審査いたしました結果、あるいはこの数字は変更されるかもしらぬ。変更されるとすれば、数字は減ってくると思います。ふえることはあるまいと思います。証拠不十分等で、これはむしろ国に没収すべきだというものがふえるかもしれません。いずれにいたしましても、相当な金額のものが特別会計に入るわけでございますが、この法案の取扱いにつきまして、今日まで与野党間におきまして、非公式ではございますが、たびたびの話し合いが持たれたわけであります。私も出席をいたしまして、いろいろ関係者の御意見等も伺って参りました。この法案には、今申し上げた
通り、特別会計に入れるというところまでしか載っておりませんけれども、その後与野党各位の御意見等も十分拝聴いたし、政府といたしましても、国会の御意思がそこに御決定になるならば、この使い道については十分考慮をいたすべきであるというふうに考えております。ただ大蔵省として、今内部的に研究をしました結果をそのまま申し上げますと、かって国が一般会計あるいは特別会計で買い上げました、言いかえれば当時の必要に基きまして国民の税金で、国の財政で買い取られたもの、これにつきましては、やはり一般会計で将来とも使うべきものではないかというふうに考えております。しかしながら……。