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春日委員 これは、やはり
議論の骨子になるところでありますから、くどいようではありますが、明確にしておかなければならぬ問題であろうと存ずるのであります。なお私は、
言葉じりを拾うわけではありませんけれども、あなたは孝議院における
予算委員会で、
委員の
質問に答えて、次のように
答弁されております。すなわちただいま述べられたように、三月における
公定歩合の
引き上げは、将来弾力的
金融政策をとる下地をこしらえたものである、今度の
措置は、この弾力性を具体化したものであって、このねらいは、国内
金融を引き締め、
投資需要を押え、その結果輸入が自然に減ることにある、かくのごとくに述べられまして、さらに
言葉を継いで、今度の
措置で、私が楽観主義者から悲観論者に変ったわけではないと述べられておるわけであります。そうすると、悲観論ということにはいろいろな内容がありましょうけれども、とにかく楽観すべきあなたの基本的な
経済に対する
見通しは、この
財政演説でありましょうが、これをずっと通読してみますれば、この中には、警戒を要すべしということは
一つもないわけです。従いまして、大体これも楽観論だと見るべきでありましょう。内容を簡単に拾って参りますならば、こういうふうに述べられておるのです。「このように、安定した
経済基調の上に
経済の拡大発展が実現しつつあることは、戦後の復興期には見られなかった現象であります。
日本経済の実力が一段と大きくなったことを示すものといえましょう。」かくのごとくに表現されておるのでありますが、いうなれば、設備がどんどんと拡大されていくということは、すなわち
日本経済の実力が一段と大きくなることを示すものであって、これは何ら悲観すべきものではない、このことが言外にニュアンスとしてにじみ出ておると思うのであります。その次にあなたが述べられておるのは、そこで、今後われわれは何をなさんとするか、そこをあなたは述べられて、ところで、このような著しい
経済の拡大に対して、昨年半ばごろから、電力、輸送等について不足が生じてきておる、その険路問題を解決しなければならない、なお社会保障の面では、衣食はすでに足ったが、住宅についてはおくれておる。こういう工合に述べられて、このような産業活動及び国民生活の面における不均衡を是正しながら、全体として
経済力を強化拡大していくということが、今後における施策の眼目であると存じます。こう述べられておるわけです。繰り返して申しますと、
経済基調の上にこの拡大発展が実現しつつあって、
設備投資がどんどん行われておるということは、
日本経済の実力が一段と大きくなったことだから、むしろ歓迎すべきことである、そこで、今後
池田大蔵大臣が断行せんとすることは、この隘路問題の解決と住宅
政策である。言うなれば、その不均衡を
調節していくということが、今後のあなたの施策の眼目である、こういう工合に述べられておる。現在あなたが特に関心を持って
措置されておりまするこの
金融上の恐慌——といっては当らないかもしれませんが、とにかく第一次、第二次のこの
公定歩合の
引き上げは、私ども十国会の大蔵
委員会でいろいろと勉強させていただいておるのでありますが、かつて見ざる非常
措置であります。こういうことは述べられておりません。従いまして、あなたが楽観論から悲観論に転じたものではない。すなわち財政方針で演説をしたところの内容と現状とは大して変っていないとあなたは述べられておりますけれども、あなたのやっておられることは、すなわち財政方針の演説の中でやらんと述べられたことは、国民に公約されたことは、隘路産業、それから住宅問題、そういうようなアンバランスを是正するというところに施策の眼目が置かれる、こういうことでありましたが、あなたが今眼目として置いておるのは、そこではないでありましょう。それはまさに襲い来たらんとするところの巨大なる外貨の損耗、対外信用の確保、
通貨価値の維持、そのためには
設備投資を非常な手段によって押え、そうしてその
目的を達せんとしておられる
財政演説の中で述べられた今後の施策の眼目と、あなたが今眼目として必死に努力をされておる事柄とは違っておる。現実にあなたの努力は眼目が違ってきておる。そのことは、
経済の基調も、それから
経済の現象も、現象と基調というものは違うとあなたはおっしゃるけれども、これは一体不可分のものでありまして、
経済の
実態からさまざまな
経済現象が起きてくるわけであって、これは分離して
考えるということはあり行ない。現象こそ実体である、私はそう
考えます。こういう意味で、重大なる要素を含んで現象がここに現われつつあると断ずるのが、私は公正なる見方ではないかと思うのでありますが、この点いかがでございますか。