○正
示政府委員 お話しの通りと考えます。つきましては、従来の貸付方式というものに根本的な検討を加えたいということで、先般の
国有財産審議会におきましても
相当議論されまして、
審議会の
審議の経過においては、いろいろ
議論が出たのであります。その
一つといたしましては、先ほど申し上げた権利金の関係、権利金を徴せずして事実上土地建物を貸して、それが借地法、借家法の保護を受けるというふうなことに相なったのでは、いわば一種の不当の利得をするような形にもなっておりますので、この点について法制的に大いに
研究を要するような
意見も出されておるのであります。遺憾ながらこの
国会には、関係
方面の意向がまた一致を見ておらないようでございまして、借地権あるいは借家権というふうなものを
法制化して、それに対する正当なる対価を要求するという形になっていないことを私は非常に遺憾に思います。本来
国有財産法で、長期の貸付を認めるということが規定の上にはあるわけでございます。たとえば建物の堅固なもので、三十年というふうな長期の貸付を認めることがあるのでございますから、さような場合には当然
民間の慣行等を
考慮して、それに
相当する権利金を徴するということをいたしますれば、ほとんど実質的に売り払いと変らないようなことになりまして、おのずから貸付ということの正しい姿が実現できると考えますが、そういう法制がいまだ不備でございますので、この点は今後の
研究に符たなければならぬと思っております。しかし、さしずめ現在の法令のもとにおきまして、ただいま
横山委員から御
指摘のように、そのまま借りておるということ、いわば権利の上に眠るような姿で放置しておいてはならないということを考えまして、
昭和三十二年度の指導方針といたしましては、とにかく買って下さい、買ってくれないということであれは、われわれとしては貸付料について
相当の再検討をお願いせざるを得ない、こういう態度で出ることに、今
研究を進めております。もとより法令その他の制約というものを無視するわけには参りませんが、一般の方針といたしましては、一部の方々に不当の利益を与えるような、また権利の上に眠るようなことを許してはいけないということは、
国有財産の
管理の建前からいって当然と心得ておりますので、さような指導方針をもちまして、とにかく金融その他も
相当正常化するときでございますので、貸付につきまして、ぜひともこの際売り払いを奨励していきたい。特に
物納財産等につきましては、多年居住しておるような方でございますので、ある場合には既応の借料が滞納になっておるようなものもございまして、そのような場合におきましては、既応の滞納になった借料と今後の売り払い代金とを、毎月一定額をいわゆる月賦式に徴収すること、これは
相当の手数がかかるのでございますが、私の方ではさような方式も考えまして、一定の年限、一定の金額を月賦でお払いになりますと、その家に所有権が買手方に移る一種の月賦売り払い式の
構想を取り入れまして、貸付
財産の
整理ということを考えております。また工場等につきましては、幸いにして私どもの
管財行政の第一線は財務局においてやっておりますが、財務局は御
承知のように金融
方面の
仕事もやっておりますので、金融との連携をとりながら、やはりこの
財産の売り払いということを促進していきたいということを考えております。この点については、御
承知のように、幸い
財産の所有権が移りませんと金融を受けます場合の抵当物件、あるいは担保という形において
財産を清川する道がございませんので、一部の産業におきましては、この際一挙に払い下げを受けまして、より一そう効率的な事業の整備をはかりたいという機運が
相当出ております。私はこの機運に乗じまして、今申し上げたようなことをお願いをいたしまして、できる限り貸付を促進して参りたい、かように考えておる次第でございます。