○正
示政府委員 ただいま
横錢委員からの御
質問につきまして——前会の
委員会に私よんどころない差しつかえで欠席いたし、まことに申しわけない次第でございます。当時におきましても、ある程度
質疑応答があったわけでありますが、ただいま
三つの点をおあげになりまして、
連合国財産の今までの
処理と申しますか、
やり方に問題がある、こういう問題があるが、これに対する
当局の
考えはどうかという御
質問でございます。
まず第一の敵産
処分の
やり方、これは
戦争中にいわゆる敵産
管理法という
法律を作りまして、敵産の
処分をいたしたのでありまするが、これが問題ではないかという点が第一点でございますが、これは
戦争中のいろいろの問題につきまして、今日新しい
日本の
考え方というものでいろいろ反省すべき点はあろうかと存じます。しかしながら、いやしくも敵産の
管理につきましては、実は私から当時のことを弁護するような形になってまことに変なんでありますが、少くとも客観的な事実といたしまして、これは
日本だけの
制度ではございません。諸
外国にも同様の
制度があったことは、
横錢委員も御
承知の
通りでございます。たとえば第一次
大戦におきまする
ドイツ、これはやはり敵産
管理法と大同小異の
制度を設けまして、当時
連合国軍の
財産につきまして、
ドイツはやはり
処置をいたしております。また第二次
大戦におきましては、
イタリアにおいて、これまた同様の
制度があったことは御
承知の
通りであります。これらの諸
外国の
立法例につきましても、大体
法律学者あるいは裁判所の
見解というものが示されておるのでございまして、大体これらが
国内法として有効であるということについては、私は異議がなかったというふうに存じております。あるいは反対の事実があったのかも存じませんが私寡聞にしてその点は
承知いたしておりません。問題は、これの
国際的効果、国際的にしからば有効であったか無効であったかという点については、実は多少の問題があるのでありまして、この点については、第一次
大戦の際における
ドイツの例は、御
承知の
ヴェルサイユ条約において、国際的にも有効であったということになっております。これに反しまして、第二次
大戦の際における
イタリアの問題につきましては、むしろ逆の
結論が出ておるように
承知をいたしております。
日本の這般の
戦争における場合の敵産の
管理がどうであったかということについて、実は
サンフランシスコ平和条約におきましては、この点についてははっきり何にも言っておりません。言っておりませんので、いわば国際的な
効力は、いずれとも断定はしておらないのが
実情でございます。しかし、少くとも
終戦後に、
連合国の
占領という
事態のもとにおきまして、ただいまいろいろおあげになりましたような、
連合国財産の
返還、あるいは
譲渡、あるいは
株式の
回復というふうな、いわゆる
連合国司令官の指令に基く
諸般の
措置が講じられておるのでございまするから、このことをもってすれば、一応
戦争中の
諸般の
手続というものを
効果を
認めまして、その前提の上にこの
善後処理が進められた、こう
考えるのが論理的ではないかというふうに一応
考えられる次第でございます。これが果して妥当なものであったか、あるいはもっとほかに
やり方があったのではないかという点は、これは
一つの
政治論として、まさに
横錢委員の御
指摘の
通りでございますが、私の
お答え申上しげましたのは、むしろ
法律的に、しかも
国内法、
国際法の両面におきましての大体の
考え方を
お答えをいたした次第でございます。
次に第二の、しからば
終戦後に、今申し上げたように、
連合国の
占領下におきまして、
連合国財産の
返還あるいは
譲渡、
株式の
回復というふうな
措置をとられたのでありますが、その際に、いわゆる
強制買い上げ的な、従ってまた
憲法第二十九条でございますか、公共の必要のために
所有権、
財産権を国が必要とする場合には、これに対して当然相当の
補償をするという
考え方をどうしてとらなかったのかという点でございますが、これまたいわば
占領下におきましての
措置でございまして、いわゆる超
憲法的な力を
背景にいたしましての
措置でございましたので、これにつきましても、
立法論として、あるいは
政治論としての批評は私は可能かと存じますが、当時の
実情のもとにおきましては、いわばやむを得ざる
措置としてこういうことが行われたのである、この点についても、
批判はできるかと思うのでありますが、一応の事実としては、まことにやむを得ない
措置であったと申し上げる次第でございます。しかしながらそれらの
政令は、
平和条約の発効に伴いまして、
政令という名前になっておりますが、実は今日は、新しく
国会の議決に基きまして、すべて
法律としての
効力を持っておるわけでございますが、その
法律としての
効力を持っておりまするところの
政令の中に、それぞれ損失の
処理については
法律をもって別に定める、あるいは
法律の定めるところによって
補償をするというふうな
規定があるにかかわらず、十年余りもじんぜんとして何らの
措置を講じなかったというのは、
当局の怠慢ではないかという点が第三の御
指摘であったのでございますが、これにつきましては、前会の
質疑応答でもたしかるる申し上げておると存じます。何しろ戦後十年よりなりますが、
戦争に伴いまするいろいろのいわゆる
戦時の
処理、あるいは戦後の
処理問題というものは、
在外財産の問題を初めといたしまして、まことに多岐にわたっておったことは申し上げるまでもございませんが、それらの
関連におきまして、この問題は、いわば影響するところきわめて広範でございまして、今日までのところ、これに対して適当な
解決策がまだできていないのはまことに遺憾でございますが、わが国の財政その他
諸般の
実情から申し上げまして、今日までのところはやむを得なかったのではないか。つきましては、われわれといたしまして、今後この問題につきましては、一そう積極的に研究を進める
態度はこれはもう申し上げるまでもないわけでありまして、できる限りすみやかに適当な
結論を得まして、
政府としての
考え方をお示ししたいと
考えておる次第であります。