○
横山委員 私は
日本社会党を代表して、両
法案に
反対の意を表明するものであります。
先ほどいろいろと
質疑の中で申し上げましたが、本来各
開港地におきましては、
入港手数料がとれることになっておるのであります。この
入港手数料の歴史をさかのぼってみれば、非常に古いものでございまして、明治三十一年十二月十六日、とん
税法案が第十三回
帝国議会に
提出をされて、
政府委員から
説明があって以来の問題であります。しかるところ、
政府においてとん税の設定によりまして、
現実問題としては、
開港地においてこれが徴収ができないような
実情になりました。しかのみならず、
開港地の、また
港湾全体の非常な熱望にかかわらず、年々歳々この要望に相匹敵するような
予算の増加が見られないままに、
日本のそれぞれの港においては、非常な窮乏と財政的な負担がかかっておるわけであります。こういうような
実情の中で、今回とん
税法案及び特別とん
税法案が
提出されて参りました。しかもこのとん税及び特別とん
税法案が出て参りましたのは、それ
自体に
目的があったのではございません。
船舶の
固定資産税を
軽減をする、こういう
理由から出て参ったのであります。
しからば、
船舶の
固定資産税は
いかなる
理由によって
軽減をされるに至ったか。なるほど
政府の
答弁を聞きますと、外国と比較して低
いから高くするというのでありますが、実はその一枚裏をめくってみますと、
造船の
利子補給をここで打ち切るために、
船舶会社の損失を
補てんをするというところに真の遠因があるような気がいたすのであります。
造船疑獄が世間を震撼させまして以来、今なおなまなましい問題でありますが、国民の世論に押されて、三十一年度において三十一億円もの
利子補給を打ち切ることになったのは慶賀すベきことではあろうと存じます。けれ
どもそれ
自体の中にも問題があるのであります。十三次
造船以降は打ち切るけれ
ども、十二次
造船以前の分については、きのう私が
質問をいたしました
通りに、
利子補給はやることにはなっておる、
船会社はもらうことにはなっておる、けれ
ども辞退を期待するというのであります。
一体辞退を期待するというのはどういうことでありましょう。
政府と
船会社とが話し合って「お前の方はもう遠慮してくれるか。」「遠慮いたしましょう、そのかわり何
かくれますか。」「何とかいたしましょう。」「何かありませんか。」「
固定資産税でも負けてあげましょうか。」こういうやみ取引が裏面にあるような気がしてならないのであります。
私
どもは、そういうようなことから始まって
固定資産税を
軽減をし、
固定資産税を
軽減したから
市町村に
赤字が出る、
赤字が出るから特別とん税を設定する、特別とん税を設定すれば、今度は
開港地以外の
港湾で、内
航船舶の
固定資産税の
赤字が埋まらない、それをどうしたらい
いかという問題にどんどん
発展してくるのであります。こういう不明朗なこの
法案に対しましては、私
どもとしては、何としても承服することができません。百歩も千歩も譲ったといたしましても、かりに
固定資産税を
軽減するための
船会社に対して、新たにとん税及び特別とん税合計して十八円を取るとするならば、その中で、
国税分のとん税五円を八円にしなければならぬという
理由はないのであります。
国税は来年度千九百億の
自然増収が得られるそうでありますし、ある学者の話によりますと、それ以上二千数百億に上るというときに、取る必要もないとん税を五円から八円にして、そうして特別とん税を十円に押えるということは、まことにそろばんは合うようではありますけれ
ども、それほど不合理な話はないと思うのであります。従って、どんなに話を譲って
政府のお
考えのベ−スに入ったといたしましても、少くとも
国税は
現行通りでよろしい、私
どもは
現行よりも一円を減らして、そうして四円というものを特別とん税の方へ回して、そうして
開港地の
市町村の
財源に譲与するように、強く
主張をして参ったのでありますが、それすらもあえて譲与しないということは、まことにあさはかな
政府のお
考えであると思わざるを得ないのであります。私はここに最終的な
討論をするに当って、
政務次官が、御
趣旨はご
もっともだから、
一つその
減収となる
市町村については、何とか
予算措置をしよう、また
港湾発展のために努力をしておる各
開港所在の
市町村、その他の港の
市町村についても、
行政上あるいは
立法上の
措置を各
関係機関と相談して
善処するというふうな言葉に幾ばくかの期待を持つものでありますが、しかしながら翻って
考えてみますと、このようなことは、そもそも
法案作成に当って当然
考えられるべきであり、その
考えがこの
法案の中にもし盛られたといたしまするならば、当然わが
日本社会党が
主張をいたしておりますこの
主張に近づくことが、その
通りになることが当然であろうと思います。従って、私
どもはこの
法案に対しては
反対をいたし、そうして少くともとん税は四円に、特別とん税は十四円として、そうして当面の
措置をはかり、将来におきましては、さらに
予算並びに
立法上の
措置を新たなる角度をもってとるべきだ、こう確信をいたしまして、この
政府案に対して
反対をいたすものてあります。