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1957-03-20 第26回国会 衆議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十日(水曜日)     午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 山本 幸一君    理事 有馬 英治君 理事 黒金 泰美君    理事 小山 長規君 理事 高見 三郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 平岡忠次郎君    理事 横錢 重吉君       大平 正芳君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    杉浦 武雄君       内藤 友明君    坊  秀男君       前田房之助君    山本 勝市君       有馬 輝武君    石野 久男君       石村 英雄君    赤口 一幸君       神田 大作君    久保田鶴松君       田万 廣文君    横山 利秋君  出席政府委員         大蔵政務次官  足立 篤朗君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君  委員外出席者         専  門  員 椎木 文也君     ————————————— 三月二十日  委員久野忠治君辞任につき、その補欠として仲  川房次郎君が議長の指名で安委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  とん税法案内閣提出第一五号)  特別とん税法案内閣提出第一六号)  印紙税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一九号)  トランプ類税法案内閣提出第四五号)  関税定率法の一部を改正する法律案内閣提出  第五六号)  関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第五七号)  揮発油税法案内閣提出第七二号)  地方道路税法の一部を改正する法律案内閣提  出第七三号)  中小企業資産再評価の特例に関する法律案(  内閣提出第七六号)  関税法の一部を改正する法律栄内閣提出第九  八号)(予)     —————————————
  2. 平岡忠次郎

    ○平岡委員長代理 これより会議を開きます。  委員長に差しつかえがありますので、指名により私が委員長の職務を行います。  とん税法案税関係法律案一括議題として質疑を行います。奧村又十朗君。
  3. 奧村又十郎

    奧村委員 政策的なことですが、昨日大蔵大臣にお尋ねすることが、時間の関係でできなかったので、主税局長にちょっとお尋ねしておきます。臨時税制調査会答申案によりますと、昭和三十三年度には、法人税を二%程度ぜひ減税したいという答申出しておるようですが、これは、今のところ政府はその通りに実施するようなお考えでございますか。
  4. 原純夫

    原政府委員 三十三年度の問題でありますから、その際になりまして最終の結論出したいと思っておりますが、私どもとしては、できる限りそういたしたいという気持は持っております。
  5. 奧村又十郎

    奧村委員 これも大蔵大臣にお尋ねすべきことですが、時間の関係もありまして、きのうはお尋ねできなかったので、主税局長にお尋ねするのですが、大蔵大臣の御意見によりますと、税制改正は今回限りではない、いろいろな状況が許すならば、来年も再来年も税制改正をやって、適切な税制を作っていきたい、こういう御趣旨であったように思う。そこで、今回物品税増徴はできなかった、それでは、来年そういう法人税減税などの機会に、物品税改正をお考えになっておるかどうか。来年のことを申してはまことに空漠たる話でありますが、それをお尋ねする私の気持としては、これは、当然ことし物品税増徴は何がしかしなければならなかった、特に臨時税制調査会であれほど強調しておることであるし、また当の主税局長も、昨年の九月以来、いろいろな大蔵省からお出しになった資料をながめてみると、どうしても物品税をある程度増徴しなければ、税全体の公平が期せられないということを口に出しておっしゃってはおらなかったように思いますが、そのような資料をずいぶんお出しになったし、また臨時税制調査会も、そういう主税局長のお気持が反映しておると思うのです。なぜ物品税をある程度増徴しなければならないかということの理由については、これはもう私から申し上げるまでもなく、臨時税制調査会で詳しく書かれていることであります。また主税局長も、よくおわかりのことと思うのであります、私は、特にこの際つけ加えて申し上げたいことは、物品税は何も全般的に一がいに言うのではなくして、特に零細な中小企業者の作る物価に対しては課税すべきではない、いかに理屈は立っても、零細な企業者については、消費者物品税の転嫁が実際問題として できない。従って、業者の中でいろいろアンバランスができるし、また徴税上技術的にはなはだ困難である、こういう意味から、大企業が製造する、しかも比較的豊かな所得階級方々、いわゆる高額所得階級方々がおもに使用されるような、たとえばテレビとか電気洗濯機高級織物観光バスなどには課税した方がいい、かように私は思うのです。こういう意味からいけば、現在課税しておるものでも、あるいはたとえばラムネなどは免税した方がいいという御意見もまことにごもっともな御意見と思いますが、こういったように考えるのであります。そこで、こういうだれが考えても税の公平上当然課税すべきである、もしそれを課税しなければ、物品税全体としての調和がとれないし、また税制調査会答申にもあるように、特に今回税率引き下げによって、所得税において高額所得者に非常に恩恵があるのだから、そういう方々の使用する比較的奢侈的な高級な物品課税すべきを、なぜしなかったかということを私どもは非常に残念に思うのでありますが、この理由をお尋ねしたい。しかし、これは素直な理由を果して言っていただけるかどうか危むのでありますが一つ勇気出して、主税局長ほんとうのところを言うてもらいたいと思います。
  6. 原純夫

    原政府委員 間接税一般につきまして、臨時税制調査会で非常に突っ込んだ御研究があり、そうしてはっきりした答申が出ておりますことは、御存じの通りであります。直接税と間接税ウエートをどうするかという問題がその中心になるわけでありますが、直接税が非常に重くて、その結果納税もうまくいかない、また執行の方もうまくいかないというような段階においては、間接税ウエートをある程度移していく、かつお話しの通り間接税の対象となし得るもののうち、担税力によく見合うというものがなお相当あるというような見地からの答申であるわけでありまして、その考え方は、私どももまさに正しいというふうに考えております。そこで、なぜ今回それをやらなかったかということでありますが、端的に申しますれば、一つには、自然増収が非常に多額に出た、そうして間接税増徴問題も、一つには、所得税軽減の財源問題としていわれたという面があるわけでありますが、そういう自然増収が相当多く出るということになりますれば、そういう面の考慮というものがだいぶ違って参るということが一つであり、まあそれが結論を支配した一番大きな理由たというふうに申し上げてよろしいと思います。なお突っ込んで言いますれば、間接税の方でどうするかという質問につきましては、調査会答申は、物品税中心とし、揮発油税印紙税というようなものが並んでおるわけですが、突っ込んで言いますると、答申のように、物品税に現行のものは大体そのままにして、それに新たな品目を加えるというのも一つの行き方でありますが、全部洗い直してみれば、物品税の各品目相互の間に相当いろいろな問題があるということ、それから物品税と他の各税との間にもまた問題があるというような点がございます、白地にものを書くということであれば、それらを一切白紙に戻して議論するということになりますが、実際には、間接税立法ということにつきましては、なかなかそういう白地に書くような立法が行われがたい。これはもう昔からの実情で、す。そういうような意味で、どういうふうにして白地に書くのになるべく近いような案が実現するようにやるかというような点も、実際問題として非常に大きな問題でございます。それらも考えあわせて、今回は特に自然増収が多い、こういう際に増徴ということは、なるべくやむを得ぬものにとどめていくということに考えたわけであります。突っ込んだ議輪でいえば、増徴はしないにしても、全体同じ税収の中で、各税の間に、また物品税なら物価税の中において、バランスをとるという問題がありますが、それらは、ただいま申しましたような事情から、なお漸次機会を見て直すという以外に方法はないのじゃないかというふうに考えまして、この際は最小限度改正を、間接税体系だはお願いするということにいたしたわけであります。
  7. 奧村又十郎

    奧村委員 主税局長のお立場では、今のような御答弁になるのもやむを得ないかもわかりませんが、どうもこう奥歯に物のはさまったような御答弁で、今のお話によると、自然増収が意外に多いから、物品税増徴をしなくてもいいと言われておるが、その御答弁には、臨時税制調査会のメンバーの方々は非常に不満に聞いております。現に臨時税制調査会だは、何も物品税増徴税収増収だけを望んでいない、税の公平をはかりたいということをあれほど強く強調しておるのに、主税句長、あなたはあれをお読みにならぬのですか。読んでおられてそういう御答介をなさるとすれば、またしても形式的な御答弁で、これでは、おそら国民はすなおには納得して聞けぬと思う。また大蔵大臣も、たびたび国会で、この問題についての御答弁によると、物品税大衆課税だからかけないというようなことを言っておられますが、少くとも大蔵大臣の御答弁として、それじゃあまり話が大ざっぱ過ぎて、ほんとうの御答弁を避けておると思われる。おそらくそんなことで納税者は納得するものではないと思う。今日テレビ電気洗濯機は、全国すべての家庭に行きわたっておるものじゃない、これが大衆課税というのは、あまりにも大ざっぱである。また、それからすれば、これは少し話が横道に行きますが、社会党諸君が、物品税を大ざっぱに、これは戦時課税だから撤廃すべきだ、大衆課税だから撤廃すべきだという議論も、また税法の論議としてはいかにも大ざっぱで、これはお互いに反省しなければいかぬと思う。そこで主税局長にお願いしたい。ぶち割って言えば、業者反対が強い、その業者反対政治力となって押される、これは、おそらくそういう要素がかなりあるということは、皆知っておる。その業者方々に局長からもよく説いて聞かして、何も業者のふところから税金出してもらうのじゃなしに、税を転嫁して、消費者出してもらって、業者はいわば一緒に税を集めるだけの手数をしんぼうして、納税に協力してもらいたい。これに協力してくれない業者は少いだろうと思うのです。もっとぶち割って業者を納得さして、税の公平を期するように御努力が願いたい。むずかしい話でありますが、しかしものの本筋はこうであります。私は、先年中国からソ連を視察いたしましたが、ソ連における税の制度を見ますると、いわゆる流通税と申しますか、消費税と申しますか、日本における物品税と同じような性格のものが国の収入の約八割以上を占めております。従って時計などには、これは製造価格の何倍の税がかかっておる。そのかわりに、肉とかパンとか、そういう生活必需品は、むしろ課税するどころか、国の補助を出しておる、これは極端な話でありますけれども、やはり消費物資、特にぜいたくな高級な物資を消費する場合に、その購買力に担税能力あるものとして間接税課税するということは、最も合理的な、また実際的な課税であると思うので、これは意見にわたりますが、考えておいていただきたいと思います。  そこで、今後どうなさるかということでありますが、毎年国会の終末には政令改正をなさる、ことしは、政令改正にどういう考えを持っておられるか。またこの三月末あるいは六月末には、免税あるいは制限税率期限の来るものもある、こういうものについて、今政府はどういうお考えを持っておられるか、ついでに承わっておきたい。
  8. 原純夫

    原政府委員 物品税関係については、調査会答申も、増徴ないし新たに課税するものと、軽減するものと両方あったようなわけでありますが、今回は先ほどのようなわけで、これをやらぬということにいたしました関係上、私どもとしては、原則としてもう一切手を触れないで参りたいというふうに思っております。期限の参りますものについても、期限の参りますままでそのままにしておくということを考えております。
  9. 奧村又十郎

    奧村委員 そうすると、私は詳しく調べていませんが、たしか天然色フィルムなどは、最近のうちに免税期限が切れる、そうすると当然課税することになるのですが、これはたしか三月三十一日と思いますが、四月一日から天然色フィルム課税なさる方針でおられるのですか。
  10. 原純夫

    原政府委員 カラー・フィルムは四月から課税になるものと思っております。
  11. 奧村又十郎

    奧村委員 あれは税率何パーセントでしようか。
  12. 原純夫

    原政府委員 三割でございます。
  13. 奧村又十郎

    奧村委員 これに関連しまして、先年われわれミシンについての物品税はたしか免税にした。ところが地力の市町村で、今度は法定外普通税としてミシンに一台五十円から五百円くらいの課税をしている市町村が百何十方市町村ある。またうわさによると、電気洗濯機テレビにも市町村の方で法定外普通税をかけようという話もある こうなると、国の方で免税しても、地方でかければ同じこと、しかも地方の方でかけるのは、かけるところもあるし、かけないところもあるし、非常に不公平になるわけですが、これとの関連はどう考えておられますか。
  14. 原純夫

    原政府委員 なるべく国税と競合しないようにという気持を持って、そういう意見自治庁の方には申しておりますが、たとえば自転車税荷車税自動車税というように、やはり地方から収益するというような意味で、ミシンども、新しい制度でなくて、前からぼつぼつあるようでございます。非常に厳格に、国税でかかっておれば一切いかぬということも言いかねるような市町村の財政の事情もありましようし、またなるべく競合しないようにということも、結局なるべくということであって、絶対にいかぬとはなかなか言い切れない。地方税につきましては、やろうという場合に、こちらが意見を言えるという形になっておりまして、必要に応じて意見は申しておりますけれども、非常に強く絶対いかぬというほどのこともなかろう。税率あたりも、そういうものはそう重い税率でない、かなり軽微なものだというふうに承知しておりますし、ほどほどのことではなかろうかというふうに思っている次第であります。
  15. 奧村又十郎

    奧村委員 次に、昨日名義貸しの問題について大臣のお考えを聞きたかったのですが、これは吟間の関係でお聞きすることができなかったので、ただ主税局長にお願いの趣旨で、一つ資料を要求いたしておきたいと思います。  それは、先日来国税庁長官名義貸しの問題をお尋ねしたが、今回の法律改正で、四月一日からは適切な措置がとれると思うので、今回の措置はまことにけっこうで、これは私は双手をあげて賛成しますが、しかし今日までの税務当局のこの問題に対する税務執行ぶりについては、先日の御答弁ははなはだあいまいで、つかみどころがない、そこで大蔵大臣にお尊ねするつもりであったが、時間の関係でお尋ねできなかった。名義貸しの問題だけでなしに、従来株式の譲渡所得課税の場合でも、証券取引所とか、あるいは株屋さんが法律にきめたにもかかわらず、いわゆる申告義務というものを怠っておられる。そこでなぜ怠るか、これはそういう業者の方が怠るのでもあるが、政府当局も、断じて申告をさせる、法律執行するという気持が薄かったように思う。だんだんそれがこうじて、どうも税法を尊重するという気持が薄れたような感じがして、私はまことに残念です。そういうふうに過去を振り返ってみると、こんなことでは税法は確立できませんから、この際この名義貸しの問題ははっきりしておきたい、こういうことであります。そこで、主税局長を通じて国土庁の方から一つ資料をとっていただきたい。先日あいまいでありましたので、お願いする資料は、まず第一に、いわゆる事業会社から証券会社へ払った配当金、これは昨年一カ年分でけっこうですが、一カ年間の配当金総額、これは証券会社ごとにまとまればまことにけっこうですが、その総額、それからその配当金当該証券会社収入金として何%入っておるか、差引何%がいわゆる大口所得者のあいまいな所得になっておるか、これをはっきり資料としてお出しを願いたい。これに基いて確かめていくならば、この問題はおのずから明確になろうと思うのであります。御承知通り、もしかりに個人が自分名義配当所得を受けたが、これは実際は他人さんのものだ、そこでその名義の力が自分所得として申告しない、そこで税務官吏が、それじゃ他人さんというのは、一体どなたさんに渡したのかと言った場合に、その他人さんの名前は言えませんというようなことで税務官吏は済ましておきますか。それと同様のことで、証券会社は大きいから、あるいはそれは経済上いろいろ波及する影響がありましようから、もちろん慎重を期さなければならけぬれども、ただその言葉に甘えて、あまりに税法を尊重しないということではいかぬと思う。そういう建前から、一つ資料をいただいてから、あなたの方と並行して、われわれもこの問題の実態を究明して参りたい、かように存じますので、資料をお願い申し上げておく次第でございます。  それからもう一つ、これはみなきのうからの仕上げでありまするので、ごしんぼうを願いたいと思いますが、税率軽減であります。所得税税率軽減につきまして、実はこれは先年来当委員会で私がずいぶん議論したところで、今の税制改正にも私の意見が通らなかったので、今後一つ私の意見をよく聞いて、もし私の意見理由があるならば取り上げて、主税局長も今後くみ取っていただきたいと思う。要は、先日社会党諸君からお出しになった手取り所得増加率、これを加味していただきたいということです。表現は、私と社会党方々との表現は違いますが、しかし実態ば同じことです。これは、従来の大蔵省減税についての説明によりますと、単に税額軽減割合だけをとって言われる。しかしよく考えていただきたいのは、五十万円の所得者税額は、五十万円に対して一割の、大ざっぱに言って五万円、ところが一千万円の所得者税額は、大ざっぱに言って五割の五百万円、そうすると、所得に対する税額割合が全然違うので、高額所得者ほど税額割合が多いのですが、それに一率に、たとえば一割ずつの減税をするとすれば、高頭所得者には高率の減税割合になる、そこを一つ考えていただきたい。もっと数字について言いますならば、五十万円の所得者税金が一割で五万円、それを一割減税すれば五千円ですから、五十万円の所得に対してはわずか一%の減税になる。ところが千万円の所得者税額は五百万円、その五百万円の一割減税すれば五十万円、そうすれば千万円の所得に対しては五%の減税になる。つまり所得総額に比べれば、低纈所得者は一%の減税であり、高額所得者は五%の減税になる、これはそうなるでしょう。私の申し上げることがおわかりになったかどうか、それを一つ先に聞きたい。
  16. 原純夫

    原政府委員 それはわかります。この際さっきの資料の御要求ついて、国税庁の方に伝えてできるだけいたします。先日もこの席で長官から答弁がありましたように、会社受け取り配当金収入に見ないということにいたしておりますから、そういう意味で、資料をどの程度整理しておられるか、それによって難易の程度も違うでしょうし、また時間がかかるかかからないかということもあると思いますので、その辺調べました上でなお御連絡申、し上げます。
  17. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは、どうですか、この次からの減税の場合には、従来の税額に対する減税割合手取率に対する減税割合と、両方並行して御説明になった方が公平な御説明と思うのですが、そのようにおやりになりませんか。
  18. 原純夫

    原政府委員 そういう点が御関心でありますれば、そういうことはいたしてけっこうであります。ただこの際、今回の改正についてそういう見地でごらんになるということについて、私ども考えをちょっと申し上げておきたいのは、これもたびたび申し上げておることでありますが、戦争を通して経済も非常にゆがみ、税制も非常にゆがみました。このゆがみをだんだん直そうと累年努力してきておるわけでありますが、実際問題としては、特定の五百億なら五百億を所得者減税に充てるという場合に、やはり特に政治的な角度といいますか、わかりやすさといったようなことが割合に安易にとうとばれまして、控除に財源をほとんど使った。それは、二十五年以来の税制改正の総材源の八割が控除に使われておるということになっております。そして、その結果現在われわれの持っております税法上の負担が、そのものずばり見まして、それぞれの階級についてあまりにアンバランスであるという感じがいたしております。ここに詳細な資料を持っておりますが、たとえば千万円のところで、事業所得の場合ですと、専業の方は専業税も入りますから、それまでくるめて考えますれば、手元に残るのはわずかに三百万円くらいになってしまうというような状態になっております。それについて考え方はいろいろありましょうが、私どもとして、やはり控除の率と税率割合というものを考えて、もう各課税になっている人々の税負担というものは非常に重いということを考えたわけです。重い結果が、納税者の方も十分な申告もされないし、税務の方も重いという感覚を持って、法律通り執行がなかなかできないというようなことではこれはもう重いだけでなくて、その間に非常な不公平が実際上できるというようなことから、ここはもう思い切ってそういう点を直さなければならぬというふうに考えたわけであります。従いまして、手取りから見れば、言われますように、千万円のところが、だんだん手取りがふえるということも承知いたしておりましたけれども、これは、やはり抜本的に税というものを納得できる負担にするという意味においてやらなければいかぬというふうに思ってやったわけであります。なお過去の例を調べましても、昭和二十五年の税制改正、シヤウプが来たときでありますが、そのときにおいて同様な計算をいたしますと、二千万円のところが一番手取りがふえる。その後におきましても、百万、二百万、その辺のところが一番手取りがふえるというようなことが出ておりまして、これは、やはり一番軽減に値するのはその辺だということよりも、やはり低額になればなるほど町得税負担それ自体が小さいということによりますので、お読みになる場合に、低額の人が手取りがよけいふえるということは不能な問題である部分が相当ございますので、その辺も御了解いただきたいと思います。そういいう点を将来一緒に見たいということであれは、私どもとしても、そういうものを用意するということはいたしたいと思います。
  19. 奧村又十郎

    奧村委員 今度の税制改正で、まだ明らかになっておらぬのは、固定資産耐用年数の改訂の問題であろうと思うのです。これは先日来、当委員会公聴会公述人からも強い意見が出たのですが、固定資産耐用年数の中には、現実に即応しないのがずいぶんたくさんある。御承知通り、最近いわゆる技術革命と申しますか、設備技術が進んでいるのに、日本の国内のそういうものは世界の進運にまだ即応していない。そこで、かなり陳腐化した固定資産がたくさんあるので、これをできるだけ早く償却して設備を改新しなければならぬ。それから一般的に固定資産耐用年数というものは長過ぎる、実情に合わないと、何とかしてもらいたいという声が強い。私どもも実はその通り考えておりますしその意見の中でも、アメリカあたりでは、特定の機械の中では、その範囲内で五カ年間の任意償却制度を実施しておるということも言うておる、つまりある程度範囲内で納税者が任意選択して、五カ年の任意償却制度を実施しておる、日本においても、このくらい思い切った考え耐用年数を縮め、あるいは任意償却制度などを創設して、技術革命税法においても即応するようにやってもらいたい。私どもも同感に考えるのでありますが、こういうことについて、今主税税局長の方はどういうように用意しておられますか。
  20. 原純夫

    原政府委員 固定資産耐用年数につきましては、前回が二十六年にきめましたものであります。だいぶ時間がたちますし、おっしゃるように、世界的に技術的な進歩が非常に早いというようなことも考えまして、近い機会に、学識経験者あたりにも御協力を願って、これを再編成するという作業をいたしたいと思っております。なおその際、現在のは長過ぎるというお話でありますが、その辺はよく調べてみないとわかりませんけれども、私の感じといたしましては、前回きめましたときも、実際の耐用年数よりははるかに短かい。それから各国でやっております例に比べましても、決して長過ぎることはない、むしろ若干年数が短かいというようなことにもなっております。技術的に世の中が非常に変るというときにどうかみ合せていくか。一般に短かくするか、あるいは陳腐化の償却をより円滑にやらせるかというような方法論についても問題があると思います、この辺、いずれも問題の検討は具体的な事実に即していたさなければならぬので、十分研究いたしたいと思います。なおアメリカの制度を引いて、任意償却の問題、それから五年間償却の問題がありました、それにつきましては、私の承知しておりますところでは、多分国防産業ともう一つあったと思いますが、五年間に償却させるという制度をやっておるようであります。こういうものにつきましては、われわれの力といたしましても、三年間五割増、あるいは初年度で二分の一償却させるということをやっておりますが、初年度で二分の一を落せるという場合も、これほど大きく落せる国はどこにもないようです。今回はそれに加えまして、鉱山関係の探鉱において、初年度二分の一でありましたのを、全額まで落してしてよろしいということ——機械の場合は、残存価格を除いた九割まででありますが、そういうふうな手当もいたしております。この問題につきましては、そういう三年間五割増ないし初年度二分の一という方式が果してそのままでよろしいかどうかという問題、それから対象にどういうものを考えていくかという問題、そのほかに、多くの国がこういういう慣却の促進を認めます場合は、やはり投資の波とからめ考えておるようでございます。特にイギリス、ドイツというようなところは、投資が過剰になると低くしてしまう、投資が足らなくなるような気配が見えると、それを認め、投資を奨励するというような面を合せてやっております。そういう上に、経済政策的に大きくそういう面をからめるかどうかという問題もありますので、それらを合せて十分研究いたしたい。なおアメリカの任意償却制度といわれておりますものは、私は十分研究はいたしておりませんけれども、アメリカでは、わが国におけるように、法律耐用年数をきめて限度を規定する、そしてそれ以下の範囲内でやりなさいという制度ではなくして、一応企業が長年の経験、あるいは新しい場合ですと、他の企業の経験を見て、これは何年という見積りでやる。ただしそれはフリーに何年でもよろしいというのではなくて、アメリカの税務行政においては、たしか横文字で言いますとエンジニアリング。グループというのがおりまして、相当な技術者をかかえております。そうして申告書にある耐用年数が大体彼らの持っている標準的な耐用年数に大体合えば認めていく、それが相当な開きを見せますと、税務署の方で、これをおかしい言うて否認するというような運用をしているようで、やはり根本は任意償却ではなくて、日本制度趣旨は同じである。ただ、よりきめはここかく、事に当って判断できるようになっているというような制度であると承知しております。従って、任意償却制度というのは当らないのではないかと思いますが、そうしますれば、償却をほんとうに大幅に、どの年度にも持っていけるというようなことにもなる。任意償却ということは、税制からいうとちょっと認めにくいのであります。アメリカもそうやっておらないというふうに私は承知いたしております。
  21. 奧村又十郎

    奧村委員 主税局長のお説、まことにごもっともに存じます。なるほど実際の耐用年数と比べれば、現在の固定資産耐用年数、法定の政令はかなり短かくなっておるというのはわかります。しかし、一方五割増し償却や、あるいは三年間の特別償却を受けるものと受けないものとのアンバランス、これはひど過ぎるという感じですな。それから、申すまでもなく、これは免税とは違いまして、いわば税の繰り延べでありますから、多少繰り延べを大目に見てやるということでありますから、これは多少奮発してやってもらってもかまわぬじゃないか、五割増しや特別償却を受けるものと受けないものとのアンバランスがひど過ぎるから、耐用年数全体の改訂の声が強くなっている、こういうふうに私は思うのです。そうすると、さしずめこの一般的な固定資産耐用年数はいつ改訂するという御方針は、まだ立っていないのですか、やるとすれば、何か特別にこれのための審議会でも作って、またそれで一年もかかっていろいろ審議の上できめる、こういう段取りになるのですか、その点をお尋ねします。
  22. 原純夫

    原政府委員 ただいま特別償却との比較でのお話がありましたが、いろいろ議論にわたりますから、なお私ども十分研究させていただきます。どんな段取りで改訂をやるか、やはり相当なる学識経験者にお願いして——これは非常に骨の折れる仕事なんです。データも集めて、それらの学識経験者でもなかなか全部の機械、全部の設備に通暁しておられるということはない。そうしますと、やはり各経験者の間をどうつないでいくかというようなこと、その各部門での研究自体に相当データが必要であり、また判断に苦心を要する、そのほかそういう全体のコーオーデイネーションもいる。そこにただいまいろいろお話しのような政策的な見地、あるいは経済実態と合わすというような大きな問題もあります。そういうようなことから、私どもとてもこれが三十二年あるいは三十二年度内にできるというまでのものではないのではないか、おそらくもっと長い時間かかる、そうかといって三年、四年かかるということはないと思います。やはりまだ私ども法律案をお願いする仕事に追われて、十分時間表を作ってみておりませんが、やはり一年以上かかるんじゃなかろうかというふうな気持で、これは私の個人的な感じでのお話ですが、そんな感じでおりますが、やる以上は、じっくりとデータを掘り下げ、議論を尽してやりたい。前回やりましたときも、たしか時間は一年半くらいかかったと思います。そうして非常に事務量は多くて、関係方々も大へん御苦心なさったように記憶いたしております。できるだけ早く、しかし粗雑なものであってはいけませんから、いいものを作りたい、せっかく努力いたしたいと思っております。
  23. 奧村又十郎

    奧村委員 先ほどの物品税に関連して、最後にお尋ねしたいと思いますが、物品税も酒税も間接税として似たような性格を持っております。そこで酒税に対しては、これは臨時税制調査会答申にもあるように、かなり重い税を負担しておるので、これ以上酒税の増徴は期待できない、こういうことであります、これは少し高過ぎる。これは、世界的に外国の例を見ましても、また今までの過去の例を見ましても、何からいっても酒税は高過ぎるということは、これはくどく申し上げるまでもないわけです。そこで物品税の中に、同じ間接税関係でも、物品税と非常にアンバランスがある。そこで、一方物品税を少し増徴して、それで間接税全体のアンバランスを取り除こうということですが、物品税増徴ができなかったとすると、重い税だげがそのまま取り残された、こういう格好になるので、これは、一つ何とか減税のことを考えていただかなければならない、かように考えるのであります。現にことしの予算では、歳入予算の一九%近くになったんじゃないかと思う。おそらく戦前戦後を通じて、国の歳入予算の一九%にまで酒税が達したということは、いまだかってなかった。なぜこうなったかというと、戦後の、つまり原料米が不足したために非常に酒が少かった、あの希少性価値に対して特に重い税金をかけた、それがそのまま今日まで大体続いておるというので、米が豊富になってから特に自然増収がふえてきて、酒税がそういうことになった、こういうふうに思うのです。どうです、それじゃ、これから先もこういう税金は、取れれば何ぼでも取っていく、二〇%にも二五%になってもいいということですと、これは、いわばお酒飲みの人にあまり税負担を重くかけ過ぎるのじゃないか。私はこの間計算したのですが、一日に三合酒を飲むと、一年に一石酒を飲む、二級酒を飲んでも二万二千五百円の酒税をその人が負担する、ところが所得税で二万二千五百円を負担する人は、おそらく四十万以上の所得者でなければならぬ。農村へ行ってみまして、四十万以上の所得のある人というのは、ほとんどありません。しかし酒を一日に二合や三合飲む人は、ざらにある。こう考えても、それこそ酒税やたばこ税は大衆課税で、こういうのはむしろ減税しなければならぬ。現に社会党諸君も、今回また酒税の減税案を提案して、本国会で近いうち審議しなければならぬ。政府当局は、これに対してどう考えておられますか。
  24. 原純夫

    原政府委員 先ほども申しましたように、間接税の体系において白紙でものを考えるという、つまり純理論的に考えるという見地からいいますれば、おっしゃる通りのことだと思います。酒税は、お話しの通り戦争中、特に戦後は、いわば酒税が税の非常に大きな部分をずっと背負ってきております。その間お話しの通り、希少価値というものもあってできた、だんだんそれが需給がゆるんできて、供給も相当できるということになってきますと、現在では、負担する消費者に対しても相当重いし、またそういう需給の事情から考えても、かなり問題があるというようなことになってきております。ですから、白紙で考えますれば、物品税の中のかなりいろいろな物品との負担のバランスというようなことも考えますと、まことにどうかというような議論が強く出てくるわけです。ただそれを実際に、それじゃこっちは下げて、こっちは上げるということを白紙でできるかということになりますと、なかなか実際にはできにくいというのが実情で、下げる方だけはよろしいということになりがちでございます。やはりそういう点については、もう少し全般にそういう点を体系的にごらんいただく、私どももそういうことで、大方の判断をしていただくように努力しなければならぬと考えます。また大きな方向としては、おっしゃる通りだと私は思います。ただその間、非常にそういう方向を実現するについて困難が多い。財政需要が減るか、あるいはほかで税収がふえるというような場合には、割合に上げる方なしにできるということになりましょうけれども、今後の財政の状況を見まして、その辺は慎重にやって参りたいと思っております。
  25. 奧村又十郎

    奧村委員 主税局長のただいまの御答弁によると、白紙で言えばその通りだ、酒税は重いので、これは下げなければならぬのだ、まことに率直な御答弁でありますが、その通りならその通りに、酒税を下げるべく努力し、幾分かでも実現させてこそ政治であります。白紙ではそうだが、とてもできぬ、どうもできそうもないとか、何か手放しにあきらめているような御答弁で、はなはだ主税局長の御答弁としてはたよりない、それでは、どうも国民として信頼が持てぬと思うのです。この酒税の問題ばかりではなく、先日来税法の問題をお尋ねするのに、何か理屈ではどうにもならぬ、うしろに強い力があってどうにもなりませんというような、非常に責任のあいまいな御答弁ばかりで、そんな当然すべきことは勇気を持ってやらなければ、私ども政治家になって国会に来ておるのが恥かしくなるのですがね。だから一つ、そういう白紙でもって当然のことなら、ぜひ実現するように大蔵御当局も御努力が願いいたし、私どももそのようにやっていく、もしそれをおやりになりませんと、結果としてどうなりますか。近ごろ国会を取り巻いていろいろな陳情運動があります、中には、それが度を過ぎて、いわゆる内閣官房長官の言うような、強訴というような現象も現われているが、そういうはち巻を締めたり、白たすきをかけて、わあわあ騒がなければ政治は動かないのかということになって、日本の政治をますますゆがめることになる。どうぞ、一つそう手放しにあきらめぬと、何とかやろうという御熱意を示していただきたい、これは私の意見であります。これをもって私の質問を終ります。
  26. 平岡忠次郎

    ○平岡委員長代理 では横錢重吉君。
  27. 横錢重吉

    横錢委員 私は、印紙税についてちょっと伺いたいと思います。税を新しくとったり、あるいはまた増徴する場合には、とられる者に対して納得させるだけの強い理由がなければならぬと思うのです。そういうはっきりとした理由がないのにもかかわらず、この増徴をするというやり方は、どこからでも無理をしてでも税をとろう、そういうふうな態度が大蔵省の中にあるのではないか、こういうふうに見られてもやむと得ないと思うのです。今度出てきておる印紙税増徴もそうであるし、あるいはまた別案として出ておる揮発油税増徴についてもそうである。これを増徴するだけの根拠がないのにもかかかわらず、どうも税源がないからこの方面からとってやろう、こういうふうな態度でこれらの法案を出してきたのではないか、こういうふうに見られる節が非常に多いのであります。従って、政府提案の説明を見ただけでは、なるほどこの理由によって増徴するのか、こういうような理由ではわれわれを納得させることができないのでありますが、これらの根拠について、印紙税について、一つさらに承わりたいと思います。
  28. 原純夫

    原政府委員 印紙税につきまして改正をしようとしているのは、御存じの通り中心は手形に対する課税を、現在何千万、何億の手形でありましても、印紙税十円でよろしいということになっておりますのを、それはいかにも不権衡だということから、これを金額の度合いに応じまして、税負担に度合いがつくようにいたしたいということであります、そう申し上げておるのが、つまり今回お願いしておる趣旨でありまして、印紙税——こういう流通の一面をとらえて課税するという場合に、やはりものにもよりまするけれども、この種類のものによっては、一万円の手形を振り出します場合と、何億という手形を振り出します場合とにおいて、同じ十円ではおかしいではないか。かつ、それはそれだけの孤立した議論でなくて、現に課税いたしております借用証書等におきましては、はっきりと幾ら幾ら以下は幾ら、それをこえたら幾らまでは幾らだというふうに、段階を六つ七つ設けて、その金額の多寡に応じて、それに対応するような税負担をしてもらうういうことにいたしておるわけであります。年来この点は、非常に大きな不権衡として私ども常に問題にしておったところで、日本税制でも、大正のある時期まではそういうふうにいたしておった経過もありますし、各国の事例を見ましても、ほとんど大部分の国が、手形につきましてはやはり金額に応じてとる。極端なところは、手形金額の何パーセントというてとるというふうにいたしておるのもございます。やはりその方が担税力に合う。今のはいかにも担税力から考えておかしいというふうに思いましたので、今回こういう何をお願いしたしその際にも手形の特性を考えて、借用証書の税率をそのまま使うというのでなくして、手形の切りかえ等のこともございますから、それを考えて、借用証書の場合の税率よりはだいぶ軽いものにしておるような次第で、これがお願いしておる趣旨で、無理してでもというふうにおっしゃられると、大へん私どももつらいのですが、そういう趣旨でやっておるわけでございます。
  29. 横錢重吉

    横錢委員 税をとる場合には、担税能力のある者からとるというのが一つ趣旨であろうと思うのです。従って、担税能力のある者からとるというのならば、一応わかるのであるけれども、この印紙税の場合には、一体だれが払うかというならば、金を借りる者が払う、金を借りる者があるということは、金を貸す者がある、金を貸す者に対しては何ら課税が行われないで、金を借りる者に対して印紙税を払わせておる、担税能力のない者から取り上げていこう、こういうふうな政府の方のやり方である。少し考えが、今まで税論議として出てきた論議とかけ離れた、矛盾した今回の態度ではないか、こういうふうに思うのですが、この点いかがですか。
  30. 原純夫

    原政府委員 印紙税は、われわれ流通税の一種と考えておりますが、金が動く、あるいは財産が動くという場合に、その動く財貨の性質に応じ、またものによって、金額に応じてかけることにいたしました。そういう趣旨でありますから、相当な金が動くというときには、債務者にかけるといいましても、債務者がその金でとにかく相当なことをやるというようなことが推知される、そういうようなころでかけていく。つまり流通税というのは、取引高税あたりが一番いい例でありますけれども、財貨なり財貨一般が動きます際に、その財貨の量に応じ、価額に応じてかけるということでありますから、あながち債務者にそれを所得課税というような意味ですぐ負担してもらうということでなくて、そういうところに担税力が推知される、つまり何かやるという非常に漠然とした表現でありますが、そういうようなことでかけるものでありまして、お話の通りですと、印紙税全部を否定されるというようなことにもなります。やはり税は、理論で言えば、全部の人の所得を調べて、所得に応じてかけるという行き方もあるわけでありますが、それだけではなかなかいかない。消費税におきましては、こういう特定のものを使う人は担税力があるということであれば、その担税力を見てかける、また流通行為にしても、この種の流通行為は担税力があると見ればかけるということで、それらが一体となって、全体として妥当な税負担ということになるような趣旨で仕組まれておるものでありますから、その際、債務者だからどうということは必ずしもないのじゃなかろうか、流通税というものはそういうもので、全体として補完し、相補って税の負担が妥当になるということをねらえばよろしいのじゃないかと私も考えております。
  31. 横錢重吉

    横錢委員 税負担の能力があるかどうかという点では、金を貸す者の方に能力があるか、金を借りる者の方に能力があるかというなら、これは金を貸す者の方に能力があるはずです。借りた方からすれば、これを借りた上に、これがさらに十分な効果を発揮できるかどうかという問題もいろいろありますが、通常の立場から言うならば、貸す者と借りる者では、これは勝負にならない。それのみならず、政府のとっておる態度というのは、金を貸した者はそれによって利子所得を上げる、利子所得を上げた者に対しては免税でしょう、これは課税しない、無税だ。力のある者の方に対しては、利子所得を幾らとっても無税にして、力のない者の方が金を借りに行くというと、さらに印紙税をかける、これは、能力のある者に対して公平に税をかけていくという態度にはどうしてもならぬ。これを政府の方では、貸す方に対して印紙税をかけるような方法をやらない、借りる方に対して印紙税をとる方法をやっておる、これで公平の原則、あるいはまた担税力のある者にかけておるのだ、こういうふうな態度を貫いていると言えますか。
  32. 原純夫

    原政府委員 聞きようによっては非常にお聞き苦しいかもしれませんが、流通税というものは、そういうものなのでございます。今申しました取引高税にしても、取引高税の対象になるものは、財貨、サービス全般にわたるわけですから、買う方にどうだというような問題——結局買う力に負担がいくわけです。そういうような意味で、債務者だからかけない、債権者はかけるというセンスというのは、いわば今申しました税体系の中で、所得課税中心にしろという式のお考え方の角度であります。ところが、実際に税を財政に必要なだけ上げて、そして摩擦もなくて上げるということのためには、完全に所得課税でいくのではなかなかできない、やはり間接税を置き、流通税を置いていかなければならぬということで、流通税というものは、もうそこでは、所得課税的な考え方をはずしていただかなくてはいけないのじゃないかというふうに思います。それを先ほど来申し上げておるわけであります。なお貸す方の利子所得にかけないと言われますが、利子所得の非課税は、預貯金、公社債、貸付信託、こういうような種類の利子所得には課税をいたします。ただ課税するからどうということではなくて、私の申し上げておるのは、税の体系の中で、そういう所得課税的な見地ではなくて、いわば補完的な税として、流通そのものにおいて担税力を推知してかけるものであるということを申し上げておるわけであります。
  33. 横錢重吉

    横錢委員 領収書の場合には、利益を得た方、いわゆる売り上げなり料金なりをとったりする力が通常印紙税を払っておる。この場合は、領収書に印紙税を十円払うからということで、商品あるいはその他のものに税をかけておるとは考えられない。従ってこの場合には、領収書を出す方ともらう方では、これは出す方が印紙税負担する、こういう仕組みになっておる。ところがこの手形の場合においては、これは通常銀行に行って金を借りても、その他の場合の商行為をやっても、金を借りる方が印紙税負担しなければならない。ところがこの場合は逆なんです。従って、今言うところの流通税考え方から言うならば、これはごく軽微の印紙税を払うというのであれば、一応理由はあるけれども、これほど重い印紙税にしていこうというのは、少し過酷ではないか、また他のものとの均衡を失しているのではないか、こういうふうに考えますが、いかがですか。
  34. 原純夫

    原政府委員 先ほど来申し上げておりますように、借金をするとその面で非常に気の毒だというお考え方は、やはり所得がどうという式のお考え方が裏にあってのことと思いますが、流通税というのは、要するに財貨が動く場合に、そこに担税力を推定する、借金をして、それをいろいろなものに使うというような場合がありましょう、そういうことを推定してかけるのでありまして、その債務者だから気の毒だという御議論は、ちょっとこういう税の場合には必ずしも当てはまらないのではないか、こういうふうに私ども考えております。
  35. 横錢重吉

    横錢委員 流通税としてこれらの商行為が行われることに対してかけるのだというのならば、やはりそのことは公平でなければいかぬ、これは、借用証書に対しても一応の考え方が立つだろうし、それからもう一つの場合には、銀行の当座貸し越し、これには印紙税をとっておらない。これは、たとえば現在の日銀の各銀行に対する当座貸し越しは、すでに三千億に近い。この三千億に近いところの当座貸し越しに対しては、印紙税を一銭もとっていない。それから銀行と他の個人との間における当座貸し越し、これは各銀行において全部やる、この当座貸し越しも、これは当然同じ考え方から、流通税として見なけれならぬのだが、これに対しても印紙税はかかっておらぬ、こういうものが、大口のものほど無税になって行われておるのに対して、これらの手形に対してだけ印紙税課税していこうというのは、やはり均衡を失しているんじゃないでしょうか。
  36. 原純夫

    原政府委員 今回の場合も、金融機関の出すものにはかけないというふうにいたすことになっております。それは、ただいま申しましたよりな理論から言うて、金融機関の取引においては、もうそれでやるというような、そこで担税力をはかってやるというような部面ではなしに、いわばニュートラルなものにしておいて、これによる金利負担を金融機関の手元で上げるということはないじゃないか、担税力の力から言うても、そこはそこで担税力を推知していくという面じゃないじゃないかというふうに考えてしてあるわけでございます。
  37. 横錢重吉

    横錢委員 今の場合に、金融機関ならば差しつかえないということは理由としてどうもおかしい。日銀そのものも、これは中央銀行として、あるいは日本の国立銀行として立てておるのならば、それはわかるけれども、日銀そのものが株式会社の構想でやっておるでしょう。あるいはその他の銀行といえども、全部株式会社でもってやる。株式会社というのは、営利を追求する原則の上に立っておる。その営利を追求する原則の上に立っておるものとその他の商行為をしているものは全部公平に扱わなければならない。そのものが当座貸し越しの場合においては、全然税がかからない。そして一々手形を切ってやるような小さな商行為に対してはかけていくというのは、片手落ちのやり方だしでは、当座貸し越しの場合において技術的にこれをやることができないかというと、かけようとするならば、技術的に簡単にかけられる。にもかかわらず、こういう大口の方面だけは抜かしておいて、小さな方面だけいじめようというのは、当局のとっておる印紙税法の盲点というか、あるいはまたこの制度の欠陥というか、この法案が完全な姿になっておらないということを示しておるのであります。
  38. 原純夫

    原政府委員 ただいま申しましたように、金融機関の間の資金繰りが足らなくなって借りる場合の金というのは、それで何か収益事業をやろうというのではなくて、いわば資金の過不足を調整するのが目的であります。一般に手形の振り出しがあります場合には、それに基いて何かやる、何かやるということは、それによって収益が出て、所得課税にもなるだろう。しかし税の体系というものでは、それを単純に所得課税一本でやらずに、あるいは消費税とか、あるいは流通税とかいうところでも取って、補完しておる。これはわが国でもそなっておりますし、世界各国そうなっております。そういうふうになっておるので、金融機関がいたします場合に、それによって何かやるというのではなくて、むしろ資金の過不足を調整するものだというふうな考え方、これが中心であります。なお加えて、そういうことによって、金融機関の相互の部内で金利が上ってくるというようなむだは避けたいというようなことも副次均に考えて、金融機関の発するものは取らない、取らないというか、低額にいくということにいんしたわけでございます。
  39. 横錢重吉

    横錢委員 この問題はもう少しやりたいのですか、私の持ち時間がないので他に移しまして……。  先ほど、借用証書の問題についても言われたのですが、借用証書との関係がある。借用証書の方は、段階別に作ってある、しかし手形の方は、何億でも十円である、従って均衡を失しておる、だからこの均衡をとるために出したのだ、こういう論ですね。そうすると、これは均衡をとっていない、どういう点でとっていないかというと、借用証答というのは、通常一年とか二年とか長いものです。手形の商行為というのは、大体二カ月以内、銀行へ行って金を借りれば、大体二カ月でもってこれは決済をしなければならぬ。この原則の上に立って、借川証書で一カ年五十万円を借りた場合には、これは二百円の印紙税を払う。ところが手形で二カ月ごとに切っていくと、これは一年間六回です。そうすると一回は五十円であるけれども、結局は三百円である。手形の方が百円よけい払う。これが百万になった場合、借用証書の方では三百円払う、手形の方は六百円払う、これは均衡をとっていない。百万の金なんか大した金じゃないといえばそれまでだけれども、通常の場合、百万の金というものは現在の市民生活においては重人なる金額だ。この重大なる金額が、まだ実際上の商取引の中においても一番多い。こういうような五十万、百万の一例をとってみても、手形と借川証書とが均衡をとっていないばかりか、むしろ今度の改正によって、手形の方がはるかに重くなっていく。こういうことに対しては、当局はどういうふうに考えておりますか。
  40. 原純夫

    原政府委員 その点は、もちろん私どもとして十分考えたわけであります。実際を調べました。一つには、銀行の手形書きかえの実績を調べてみました。これを見ますと、平均が三カ月ないし三カ月半ということに出ております。なお念を入れて、中小企業のサンプルを幾つか選びまして、それがどの程度の期間で手形を書いておるかというのを見ますと、圧倒的に三カ月というところに中心が参ります。そういうようなことから、今回盛りました税率は——消費貸借が何年にもなるというのがあるでしょうが、一応一年ということを基準にして、今回の各税率は、それの全体として四分の一程度——階級によって若干差はございますが、そういうことにいたしてバランスをとっておるつもりでございます。
  41. 横錢重吉

    横錢委員 この印紙税は、金を借りる者に対してかけておる結果、借用者に対して非常な過重になってくる。なぜかというと、金を借りる者は、まず借用利子を天引きされる、あるいは書類代を払わなくちゃならぬ、印鑑証明に金を要する、それから銀行であるならば、その銀行の株を買わなければならぬ、信用金庫であったならば、川資金を出さなくちゃならぬ、あるいは担保を入れようとするならば、不動産の登記をしなくちやならぬ、登記料を取られる、それのみならず、ようやく借りたと思うと、両建預金か、あるいは歩積みをやらせる、あるいは印税の増徴にあう、そのほかにもまだいろいろなものがかかってくる、こういうふうにして初めて金を借りたとしてごらんなさい。百万円の金を借りても、手元に入るのは五十万円入るか入らないことになってしまう。こういうような現在の状況において、さらに借用する右に対して不利なような法案というものは、これは考えるべきものである。しかも、もしやるとするならば  先ほどの局長の答弁の中には、何億という金が十円の印紙税というのはおかしいんだ、こういうふうなことを例に出されておる。何憶という金が十円というのは、これは確かにおかしいだろう。そういうような巨頭な金に対して印紙税の方を上げていこうというのならば、これは話はわかる。五十万円程度の金額までいじって上げていこうといのは、これは理由が之しいし、また過酷なる増徴になる、こう考えるのです。この点は、ぜひ一つ当局の方としても再考慮すべきじゃないか、また再考慮をしてもらいたいということを一応希望として申し上げまして、私の時間がないので、一応打ち切っておきます。
  42. 平岡忠次郎

    ○平岡委員長代理 神田大作君。
  43. 神田大作

    ○神田(大)委員 私は、時間が一時までということでありますので、揮発油税について基本的な問題だけをお尋ねして、後刻また質問したいと思います。  揮発油税法案政府提案の理由を見ますと、先ほど横錢委員からのお話がありました通り、これだけを見たのでは、どうして揮発油税を上げなけりゃならぬかという理由がはっきりしない。それで、この理由の中に「最近における揮発油の取引の状況及び道路装備財源の確保の必要性にかえりみ」とこうありますが、この点について詳細な説明をお願いします。   〔平岡委員長代理退席、横錢委員長代理着席〕
  44. 原純夫

    原政府委員 順序はあとの方が先になりますが、まず一番の重点は、やはり道路整備財源確保の必要であります。これはもう御案内の通り、二十九年からでしたか、道路整備五カ年計画というものができまして、五年間に二千六百億で道路整備をやりたいということで始め、それに並行して、揮発油税収入を全部五カ年計画の費用に充てるようにという法律国会でお作りになったのでありますが、その後揮発油の消費はきわめて急速に伸びておりますが、一方で自動車の台数の増加、また貨物の増加、鉄道だけではさばき切れぬというようなもろもろのことがあって、道路の整備が現在緊急欠くべからざるものだということは、もう常識になっております。もうよく御存じのことであります。そこで、これを何とかしなければいかぬというのが一つです。これをやります場合に、何とかするのに、一般財源を充てるということも、もちろん考えるべきことでありましょうが、何分道路整備に要ります金がなかなかけたが大きい。最近は、たしか一兆円に上る計画を十年間でやりたいというようなことを建設当局は言うておられるようでありますが、いずれにいたしましても、その所要額が大きい、かたがた、一般財源の力にはいろいろな財政需要が重なっている、減税しなければいいではないかといえば、それまででありますが、減税自体も、これは他の政策にまさるとも劣らないような大きな政策事項として、その必要性はまた各方面の十分お認めいただけるところだということになりますと、揮発油税自体で補完するという線が一応研究の対象とならざるを得ないということになります。  そこで、揮発油税が実質上今道路のための目的税のようになっておりますが、それでは揮発油を消費する車が道路の整備によってどういう利益を受けるか、つまり目的税的なものの考え方というのは、受益とうらはらの関係にあるわけですから、受益を考える、かつ揮発油税税負担が現在幾らで、それはなお増徴に耐え得るかどうか、それが各国の場合と比べてどうかというふうな点を検討するという段取りになったわけであります。それで、いろいろ関係の所管省とも連絡をとって、教えていただきながら調べて参りますと、道路整備による受益は非常に大きいということが、その結論として出て参りました。簡単に申しますると、揮発油税を百億なら百億増徴する、それで道路を改良整備する。そうすると、そこを走る車は損傷が少いばかりでなく、一番大きなコスト・ダウンになることは、早く目的地に着く、そうしますと、一番大きいのは、自動車の償却費が減る、運転手さんの人件費が非常に安く済むということになって、すぐ二割、三制のコストが節約できる、それをずっと集計して参りまますと、日本じゅうの車がそういう百億でできた道路を全部通るというわけには参りませんが、平均的に考えて参りますと、何年か続けて参りますと、大体そういう恩典が平均して及ぶだろうという考え方から、そうやって参りますと、現在の台数がふえないで、貨物量がふえないでも、その利益は十五カ年——道路というものはなかなかなくならぬもので、アスファルトでも相当年数持つものでありますが、平均十五年と見て、十五年間に受けるその利益が、初めの払った税金の倍、二百億になるという計算が出ました。これが、このように毎年車がふえ、貨物がふえておるのを入れましたり、あるいは、その他いい道になれば、舗装費も簡単で済む利益まで見ますと、四倍、五倍という利益が出る。正接自動車業者の利益としてはそれでありますが、子の他にも利益が非常に大きいという——これは、何も私どもだけの計算ではなくて、鮎川さんが中心になってやっておられます調査会がございますが、その調査会では、私どもと大体同じ、むしろ私どもよりも若干上目・利益額を算定されております。そういうことでありますから、目的税として負担していただきます場合においての受益の関係は十分ある、まあおつりがくるくらいあるということがわかり、それでは、現在の税負担が絶対額としてどうかというと、相当大きな負担をしておられるわけでありますけれども、この場合世界の各国と比べてみますと、ガソリンの小売価格の中で税がどのくらいの割合になっておるかというのを見ますと、日本は小売価格が三十七円で、そのうち税が三五%で、十三円であります。これより低いのはアメリカ、その他ではカナダというような国があったと思いますが、米国は二八%、日本よりも安いのはごくわずかの数で、他の諸国、ことに西欧諸国の例を見ますと、イギリスの場合には小売が六十一円、うち税が三十八円入っておって、六三%の税負担、西独においても、五十七円のうち二十六円入っておって四六%、イタリアの方は、七十三円で五十二円余り入っておって、七〇%をこえる税負担になっておるということになっております。そうして、また各国とも、ガソリン税の収入を道路に充てるということについては、かなりにその例がございます。特に顕著なのはアメリカでありますが、連邦・州ともそういう運営をしておる。その上に、アメリカは昨年の六月末の立法で、今後十年間に、抜本的に道路を近代経済に合うように整備しようということで、ガソリン税は五割引き上げをして、それを全部つぎ込むということもやっております。そのように、各国の負担との比較を考え、また各国のやっておることを考え、また道路が自動車業者に相当利益を与える。近ごろでは、自動車の通る道というものは、もう人の歩くというよりも自動車の専用道路みたいなもので、人が歩いては、ほこりをかぶってしょうがないというようなことですから、そういうことを考えると、一般財源からできるだけ出すにしても、この際非常に大きな、言葉がきざですけれども日本の道路を革命的によくしようという場合なので、それらを考えて、ガソリン税をこの際上げて負担していただくという線も、十分御承認いただけるのではなかろうかということを考えまして、今回の法案をお願いしたわけであります。
  45. 神田大作

    ○神田(大)委員 この道路をよくするために揮発油税を取って、それによって道路を改良するということでありますが、これは、一般財源を使わないで、全部この揮発油税によって道路を直そうとするような印象をわれわれは受けるのですが、これは、もちろん自動車業者に利益するところは大きいでしょう。大きいでしょうけれども、道路を改修することは、これらの人たちだけに転嫁されるものではなしに、やはり一般財源からも相当の経費た出して、道路の改修ということがなさるべきだと思う。今局長が一つの例をあげましたが、一つこの資料をわれわれの方へ渡してもらいたい。というのは、一般の自動車が道路改修によって利益をこうむる率、それから先はど申しました各国の揮発油税税負担実情、こういう資料出してもらいたい、今までの資料からわれわれの調べたところによりますと、ガソリン税をとって、ほとんどガソリン税のみによって道路の改修が行われておる。一般財源からはほとんど出ていないというようにわれわれは見ておる。のみならず、このガソリン税をほかの方へも使っておるというような資料もあるわけです。こういう道路整備のために使った財源の詳細な資料出してもらいたい。それから、これからの五カ年計によるところのガソリン税と道路整備の関係、この資料一つ出してもらいたい、それによってわれわれは検討していきたいと思う。ただ私は、ここで、本会議が始まるので時間がありませんから、一つだけ申し上げたいと思いますが、こういうように、道路税を含んで一キロリットルに対して六千五百円も膨大に税率が上るようなことをして、果してこの負担が大衆に転嫁されないか。自動車業者は、ガソリン税が上れば、結局苦しまぎれに、このしわ寄せを大衆に転嫁すると思うのです。こういうことになりますと、日本のような非常に自家用車の少い、営業車を使用しなくれはならぬ国民、あるいはトラック輸送その他の輸送によって商売を行なっておるところの中小企業者、こういうものにガソリン税の値上げが転嫁されると思うのです。こういうことに対して、当局はどうお考えになりますか。
  46. 原純夫

    原政府委員 まず最初に御要求の資料は、できるだけすみやかにそろえて提出いたします。その中で五カ年計画とガソリン税の関係というのは、ただいまあります五カ年計画ならわかっておりますが、新しい十カ年計画といわれるものがどの程度固まっておりますか、それによりまして、しかるべく調査させていただきます。  それから、ただいまガソリン税が道路税を含めて一万三千円の五割、六千五百円引き上げられるので、それが大衆といいますか、運賃にどう響くかというお尋ねでございます、先ほど来申しておりますように、十五年の間には、今の輸送量で倍の利益があがる、輸送量がおそらくどんどん伸びますから、この伸び方でいくと、おそらく三倍、四倍の利益になると思います。そこで、そういうふうになるのだから、もう上げないでもいいじゃないか、あるいはある時期を過ぎると、具体的にコスト・ダウンできる、つまり運賃が下げられるというふうに考えますが、まあそれにしましても、当面五割上げた場合に、運賃に全然響かぬということは、私しいて申し上げるつもりはございません、若干は響くかもしれぬ、しかし、やはり一方で相当に受益があるから、その辺は自動車業者も十分考えてやっていただきたい。もちろん、こういう本来が消費税でございますから、結局最終の消費者に転嫁されるというのが、税としては建前なので、そういう意味からも、全部自分のなにを減らしてのめということは言い切れません、若干はそれによって影響があるかと思います。しかし、ただいま申しました受益も相当あるから、全部なにする必要もなかろうというように考えますと、その影響はごく微々たるものであろうと思います。完全に転嫁をしたといたしましても、運賃に対する影響は、私どもの計算では三%前後でございます。これはバスだのトラックだのハイヤーだの、ものによって若干高低はありますが、大きくいって三%前後であるように記憶いたしております。そこに受益のことも考えて、ある程度に抑制されるというふうになれば、そう大した響きではないのではないか。また荷主の方も、お客さんの方も、いい道になって早く荷が届くということになれば、そういう意味で利益を受けるというようなこともございます。運賃の上ることはまことにおもしろくないことで、私どももそれは希望しないのでございますけれども、何分道路の整備の必要が非常に大きい。先ほど申しました通り実情で、何とかせにゃならぬ、でその財源をという場合に、先ほどるる申し上げましたような意味からいたしますと、一時若干の運賃が上るということがありましても、それががまんし得る程度のものであるならば、一般の運送利用者もそれに耐えていただいて、大きく日本の道路がりっぱに整備でき、そうして、いわば経済の動脈がよくなるということに寄与していただくということからいって、やむを得ないのじやないかというふうな考えで、お願いしておるわけでございます。
  47. 神田大作

    ○神田(大)委員 非常に大事な今の答弁だと思います。われわれは、ガソリン税の値上げが大衆に転嫁されるということに対しましては、どうしても納得できない。というのは、一方において一千億減税というようなことを言って、そうして税金を負けるといっておりながら、片方においては、そういうふうな目に見えない大衆課税をやっていく。しかも減税される面は、五十万から百万というような比較的大きい所得層である。それで、ガソリン税の値上げによって転嫁されるところの層というものは、中小企業者、あるいは零細な勤労者であって、そういうものに転嫁される部分が非常に多いのです。こういう観点からしましても、大衆に転嫁されないという方法ならば考えないこともないと思うけれども、局長がこの委員会において、大衆に転嫁されるということを大体認めておる、そういう前提に立ってのガソリン税の値上げには、われわれは納得できない。しかも六千五百円というような膨大な値上げが果して必要かどうか、三十二年度の道路整備に関する事業費を見ましても、五百四十八億円です。そのうち揮発油税収入額が五百四億円です。このように、ほとんど揮発油税収入だけでもって道路整備の事業費をまかなうことができる、こういう点からいたし玄まても、これは再考しなくちゃならぬのじゃなかろうかと考える。今までも相当揮発油税をとって、これによって道路の改修をやっておりますけれども、そのうちに特別失対事業関係とか、あるいは臨時就労対策関係等に相当税金が回されておるのじゃなかろうか、そういう観点に立って、私は大衆にも転嫁される、また業者といたしましても、今のところあなたは相当の利潤が出ると言われておりますけれども、それは、大衆に転嫁すれば利潤が出るであろうけれども、そうでなければ、結局業者としても、この六千五百円というような高額な値上げによっては営業が成り立たないというようなことを、業者の方からの資料によっても示しております。こういう点で、もっと国民大衆も納得し、業者もやむを得ないというような、そういう納得させる努力を政府当局がどこまでもしないで、一挙に膨大な値上げをするということは、税の公平な負担の面から、あるいは大衆課税軽減する上からも、再考を要する問題じゃなかろうかと思う、この点についてどうお考えになりますか。
  48. 原純夫

    原政府委員 まず大衆に対する課税であるという御非難でありますが、大衆という言葉を中小企業者、その他所得の少い人という意味でおっしゃられるようですが、それでしたら、そういうことはない、大業者でありましても、運送業に頼む場合は、運賃が値上げになればその負担をするわけでありますから、これは国民全部が負担することになると思っております。  それから一般財源からなるべく出せという御趣旨はよくわかります。わかりますが、先ほども申したようなわけで、本年は昨年の四億円に対して四十四億円と四十億円ふやして、財政、予算をやる方もせいぜい勉強しておるわけですが、何分道路の費用は、四、五年前に比べますと、もう本年は三倍以上になってきておるのでございます。二十七年度はたしか百億ちょっとだったと思いますが、それが五百四、五十億ということになっておりますので、本来ならば、揮発油税も一般財源として苦しいときには使いたいと、予算を組む方では一応考える問題だと思うのですが、全部をあげてこれにやっている、そして、他の方ではなかなか苦しいということから、御気持はよくわかりますが、この程度しかできなかったということであろうと思います。なおその中で、揮発油税を特別失対とか臨時就労に使っているという御非難がございましたが、これは、私どもは、公共事業全般がやはり失業の吸収ということを大きな目的としなければならない、沿革的にもそうでありますし、それから政策的な見地からもそうしなければいけないのだと思います。そういうような意味で、各種の就労対策にこれが使われるということは、当然のことではなかろうか、それを御非難いただきましては、一体どうするのか、道路を建設するのに失業者を使っちゃいかぬということは、ちょっとおかしいのじゃなかろうか、よく御非難がありますが、私はそういうふうに考えております。いろいろな考え方はあろうと思うのでありますが、私はかねがねそう思っておりますので、ちょっとつけ加えて申し上げさしていただきます。
  49. 神田大作

    ○神田(大)委員 私は、資料が出てから詳しく御質問しますが、特別失対関係、臨時就労関係揮発油税を使っておることに対して弁明がありましたが、私は、何も特別失対事業でもって道路を作るのはまずいとか、そういうことを言っているのじゃない、 これは、少くとも失対事業とか、あるいは就労対策というようなものは、国の一般財源から当然出してやるべきものです。わざわざ特定業者から取ったところの揮発油税でもってこれをやろうというのは、筋が違うのじゃなかろうか、こういうことです。道路整備には、揮発油税以外の一般財源からもっとより以上に出して、それをなすべきなんです。ところが、道路の整備をするのだと言って取っておるところの揮発油税を、ほかのものに使っておるというようなことは、これは納得できないのじゃなかろうか、こういうように考えておるのであります。その問題を私が指摘したことについての局長の答弁は、当を得ていないと思うのですが、いま一度お答えを願いたいと思います。
  50. 原純夫

    原政府委員 私は、やはり道路を作っているのだ、だからガソリン税の収入を道路を作るのに使う、道路を作る場合に、何も請負業者が固定的に持っている労働者だけで作るということはないのではないか、失業者があれば、それにも仕事を与えるということでいいではなかろうかというふうに考えるのでございます。
  51. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは、どうも大へんな間違いだと思うのです。道路を作ることは何ら差しつかえない、しかし失対事業に使う金は、これは一般財源から出すべきだ、それを揮発油税から出すということは、これが失対事業である限りにおいては、あるいは就労対策である限りにおいては、これは筋が違うのじゃなかろうか、こう思うのです。  本会議が始まっておりますから、あとの質問は後刻にいたしまして、私はこの程度にいたします。
  52. 横錢重吉

    横錢委員長代理 午前の委員会はこの程度にとどめ、午後は本会議散会後再開することとして、暫時休憩いたします。    午後一時七分休憩      ————◇—————    午後四時四分開議
  53. 山本幸一

    山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  連合審査会開会の件についてお諮りいたします。御承知通り、当委員会において審査中の特定多目的ダム建設工事特別会計法案は、建設委員会において審査中の特定多目的ダム法案と密接なる関係がありますので、さきに同委員会に対し、特定多目的ダム法案について連合審査会の開会を申し入れいたしましたが、同委員会より、特定多目的ダム建設工事特別会計法案について、連合審査会を開会いたしたいとの申し入れがありましたので、これを受諾して開会するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 山本幸一

    山本委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なお連合審査会開会の日時は、委員長間の協議により、明後二十二日金曜日、午前十時より両法案について建設委員会及び商工委員会との三委委員会の連合審査会を開会することになりましたから御了承下さい。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時五分散会